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本書は、2016年に開催されたKCICアートマネジメントラボ2016の開催概要をまとめたドキュメントです。全6回開催されたセッションをまとめています。
かごしま文化情報センター(KCIC)では、来場者からの「アートに関する学びの場が欲しい」という要望に応え、昨年よりレクチャーシリーズ「KCICアートマネジメントラボ」を開講しています。作品をつくるアーティストだけでなく、アート企画を考える人やそれをサポートする人など、幅広い層が参加できるように「アートマネジメント」をテーマにしています。2年目の今年は、7月から12月にかけて6回行いました。
私たちは、アートマネジメントを芸術・文化と現代社会の好ましい関係を探求することで成熟した社会を目指す姿勢だと捉えています。昨年度は、「アートの現場における実践的な技能」について学びました。そして、今年度は、「アートにどのような力があり、現代社会において芸術・文化がどうあるべきか」ということを探求することに主眼を置いて、「◯◯×アート」とテーマを設定しました。◯◯には、スポーツ、観光、企業、建築、防災、政策といった、今後鹿児島に関わってくるキーワード、市民に興味関心の高いキーワードを選び、キーワードごとにゲストをお呼びしました。
今年度のシリーズのサブタイトルは「想像力を広げる6つの学び場」。全6回すべてにおいて、社会とアートの関係性を実践的に模索した事例を知ることができ、参加者がこれからの時代を切り開いていく想像力を得る良い機会になったのではないでしょうか。
会 期:2016年7月〜12月 全6回
参加費:無料
対 象:興味のある方であれば、どなたでも
会 場:市民アートギャラリー
(鹿児島市易居町1-2鹿児島市役所みなと大通り別館1F)
主 催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
助 成:一般財団法人地域創造
企画・制作:かごしま文化情報センター(KCIC) アートディビジョン
●企画コンセプト
未来へののりしろづくり
アートマネジメントとは、芸術・文化と現代社会の好ましい関係を探求することであり、成熟した社会を目指す姿勢です。多様性や創造性をもたらし、柔軟な社会をつくる、それは社会にのりしろを作ることではないでしょうか。のりしろは、ものごとの遊びやゆとり、柔軟性を表す言葉です。このレクチャーシリーズでは、アートマネジメントの視点で、未来に向けて、様々な分野を横断し、社会に寛容さをもたらす学びの場としたい。つまりは「未来へののりしろづくり」を目指すのです。
●昨年度のアーカイブ
KCICアートマネジメントラボ2015
http://www.kcic.jp/art-management-lab-2015/
●テーマ:
スポーツ×アート
●ゲスト:
宇野 常寛(評論家/批評誌「PLANETS」編集長)
1978年生。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)。共著に濱野智史との対談『希望論』(NHK出版)、石破茂との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版)。編著に『静かなる革命へのブループリント: この国の未来をつくる7つの対話』(河出書房新社)など。京都精華大学非常勤講師、立教大学兼任講師のほか、J-WAVE「THE HANGOUT」月曜ナビゲーター、日本テレビ「スッキリ!!」コメンテーターも務める。
●日程
2016年7月23日(土) 14:00〜16:00
2020年に東京での開催が決まったオリンピック・パラリンピック。スポーツの祭典と呼ばれる一大イベントの過去を振り返ると都市再編の道具(ツール)として機能し、開催後も都市に遺産を残している側面があります。2020年に国体が開催される鹿児島においても、これからやってくるスポーツの祭典をいかに未来への推進剤にしていけるのか、芸術・文化の側面からも考えたい。スポーツとアート、さらには現代のライフスタイル、まちづくりなど、幅広いジャンルの「これから」について宇野 常寛氏に語っていただきました。
●参加者
45名
●参加者の声:
・視野を広げる貴重な体験となりました。ありがとうございました。
・宇野さんのお話、とても刺激的。スパッと切ってくれる感じが爽快でした。とても良い内容だったので、KCICのサイトで公開してたくさんの人に見て、読んで欲しいです。
・知的刺激を受けてたのしかったです。
・新しい視点を得ることができました。
・とてもわかりやすい言葉で、理解しやすかった。
●テーマ
観光×アート
●ゲスト
山出 淳也(NPO法人BEPPU PROJECT代表理事/アーティスト)
1970年大分生まれ。アーティストとして、台北ビエンナーレ(2000〜01年)のほか、東京都現代美術館(2000〜01年)、Palais de Tokyo(パリ、2002年)での展覧会など多数参加。帰国後、地域や多様な団体との連携による国際展開催を目指して、2005年にBEPPU PROJECTを立ち上げ現在にいたる。別府現代芸術フェスティバル 「混浴温泉世界」 総合プロデューサー(2009年、2012年、2015年)、国東半島芸術祭 総合ディレクター(2014年)、おおいたトイレンナーレ 総合ディレクター(2015年)、平成20年度 芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞(芸術振興部門)、文化庁第14期文化政策部会 文化審議会委員
http://www.beppuproject.com/
●日程
2016年8月6日(土) 14:00〜16:00
大分県別府市の温泉街を舞台に国際芸術祭を実現し、広く地域の魅力を伝える「旅手帖BEPPU」の発行や地元でものづくりに励む人々の作り出す商品を各地に売り出す「OITA MADE」の取組みなど、多角的にまちの魅力発信に取り組むBEPPPU PROJECT。その代表理事の山出氏を迎えて、地域への誘客とアートの取組みをどのように展開することができるのかを考えます。昨年で一区切りつけた現代芸術祭「混浴温泉世界」や今年度から始めた「in BEPPU」などの話からアートプロジェクトを通して、街や市民が変わっていく様子をお聞きすることができました。
今日は、「アートにどのような力があり、現代社会において芸術文化がどうあるべきか」※1とあります。「アートにどのような力があるか」というのは、よくわかりませんが、BEPPU PROJECTとしてアートってこういうものかなぁと僕がよくスタッフとする話をお伝えします。アートってすごい技術を使って、色々な作品を作っていくことだと、僕らは認識することが多いかもしれないけれど、それはつまりどういうことなのかと考えた時に、よく話すことです。アートってね、10個あったら10通りすべて違ったりするわけですよ。誰かの真似をしたりすると怒られたりしますね。その時にアーティストが考えることは何かっていうと、今まで美しいと思っていたことについて、異なった見方とか美しさがあるのではないか、ということを見出したり、今まで考えられていたことは果たして正しいんだろうか?という疑問を持ち、極めて特徴的な見方や考え方で切り込んで行くことだと思うんです。つまり、我々にとっては、自由なものの見方や考え方を促す、ある種の気づきを与える触媒ではないかなぁと感じています。このアートっていうものは厄介なことに、地域の課題を解決してくれるわけではないんですよ。むしろ、問題を起こします。なぜかというと、私たちの物の見方や、街の捉え方に対して、「果たしてそうなんだろうか?」と疑問を投げかけ、その本質を見ようとするからなんだと思います。今まで当たり前だと思っていたシステムなどが、別の視点で見ると全然違う可能性があるのではないかと気づいていくことにつながるので、彼らは問題提起を行っていくんだと思います。これがアーティストからなくなったらダメだと僕は思っていて、毎回行政とかと話をする時に、こういうことが起こりますと最初に言うようにしています。先ほど、創造都市という言葉がありましたが、アートというものは今までにないものの見方や考え方を促していきます。それは、今までにない価値を生み出して行くことでもあると思っています。なので、経済活動や、都市や地域の暮らしにおいて、他とは違う鹿児島でのあり方とか、鹿児島での価値とか、そういうことを考えていくことに繋がるだろうと思います。最後に、これはとても言いたいことなんですけど、10作品があれば10通り考え方があると先ほど言いました。それって多様な価値が同時に共存するということです。全然違う考え方やものの見方が同時にあるということは、つまり違いを認め合うということだと思います。これこそ僕は人生を豊かにすることだと思うし、例えば、子供達がみんなと違う考え方をしているとか、全然違う絵を描いていると、「お前変わっているな」と言われて「じゃあ、自分は普通の絵を描かないといけない」と思う世の中であって欲しくないんですよ。「おまえ、それが紫に見えたの?すげえな」と言われないと楽しくないじゃないですか?そこに人間のクリエイティビティがあると思うし、クリエイティビティはアーティストにあるわけではなくて、人間の能力の一部です。物事を自由に考えたり見たりすることって、みんなにできることなんですよね。それが産業分野であればイノベーションだし、アート分野で言えば極めて美しい作品、素晴らしい作品だと言われるんだろうなぁと思っています。
※1 今回のKCICアートマネジメントラボにおけるアートマネジメントのポイントのひとつ。
●参加者
39名
●参加者の声
・アートをする側としては経験があったのですが、マネジメントについてはまるで考えたことがなかったので、大変勉強になりました。膨大なプロセス、視点があってどこから何を考えたらよいのかと途方に暮れる思いもあるのですが、自分の中で引っかかったことから1つずつやっていこうと思います。ありがとうございました。
・とてもわかりやすく、奥深い話をおききできました。大きな事もはじまりは小さな一歩というのが印象的でした。
・観光×アート、鹿児島でもしましょう!
・山出さんのお話に引き込まれ、あっという間でした。多様な価値が存在することが人生を豊かにしていく!!というお話に感動しました。
・前回の山出さんのお話のその後のお話を聞けてよかったです。単発な企画が多いなかで、ひとつのアートプロジェクトの前後の話と2015と2016が聞けてありがたかったです。
●テーマ
企業×アート
●ゲスト:
加藤 種男(公益社団法人企業メセナ協議会 専務理事)
地場企業、自治体による地域創造の応援団として、おおさか創造千島財団理事、沖縄県文化振興会、八戸市「はっち」、「さいたまトリエンナーレ2016」、新潟市「水と土の芸術祭」などのアドバイザーなどを務める。1990年~2013年、アサヒビールの企業メセナ活動を中心に社会創造を担当。2012年から現職。また、2004年~2010年、横浜市芸術文化振興財団専務理事、大仏次郎記念館館長、YCC館長などを歴任し、「文化芸術創造都市横浜」を推進。そのほかの主な現職として、アートNPOリンク理事、埼玉県芸術文化財団評議員、アーツカウンシル東京カウンシル・ボード議長など。2008年芸術選奨文部科学大臣賞受賞。 ※プロフィールは2016年度現在のもの
●日程
2016年9月6日(火) 18:30〜20:30
アサヒビール株式会社(現 アサヒグループホールディングス株式会社)の文化財団にて、長年にわたり企業の立場で国内の各地で文化振興の支援とアドバイスを行ってきた加藤氏。丁寧に地域を訪れ、人々と触れ合いながらその取組みを支援している多くの事例をもとに、企業の立場で地域社会を創造的に変える“経済とアートによる地域の連携”についてうかがいます。「創造経済」というキーワードを軸に「芸術に何ができるのか?」や「企業の文化投資」、「地域の財産」に関する話を、事例とともにお聞きすることができました。
芸術文化っていうのは何かっていうと、非功利性つまり、それ自体何の役にも立たない。これが大事なんです。それから非効率性。手間暇がかかる。一個一個手作りしてある。この大量生産大量消費型の時代に一個一個手で作る。なんと馬鹿なことを、と思われるかもだけど、だからこそ世界の見方を変えることができる。(中略)今まで文化は、どうも自分の生活とは無縁なもの、なるべく遠くにあるものを文化あるいは芸術と呼ぶように、近年なってきてしまったわけです。なんかちょっと気取っているもの。洗練された別のもの。というものになった。パリコレもそういう要素が多少あるから、だんだん庶民に見向きもされなくなって、東京ガールズコレクションの方に視点が移っていくようになる。理由はなにか?きゃりーぱみゅぱみゅ?みたいなものがなぜ受けるか?生活のなかに再びファッションが活きてくる可能性があるわけです。自分たちの生き方、現に自分の生活、生きてる暮らしの中にファッションをもう一度取り戻したい。それは芸術文化も一緒で「取り戻したい」というのが我々のビジョンな訳です。(中略)先ほど申しました芸術文化を暮らしの中に取り戻すということを我々はやりたい。お祭り型の文化を再興したい。お祭りっていうものは本来見物人はいないものです。なぜならば、だいたい同じ日に同じ地区で祭りってあるんですよ。なので、隣の祭りなんて見る暇なんてないんですよ。みんな自分のところの面白い祭りがあるんです。祭りは自分のところの祭りが一番だと思っているので、人の祭りなんて見に行かない。ところが、都市化して、過疎化して、祭りの継続が難しくなったり、コミュニティがないから祭りになかなか参加できないため、だいたい祭りを見物している。あんなもの見物するよりやった方が絶対に面白いに決まっているというのが、祭り型の文化というものを考えたいと思っている。つまり、作り手と受け手が流動化している。全員で作って全員で楽しむことを祭りというと。でも、ひとり、見物人が想定されていました。お祭りは見物人がいるんです。ほんとうは。誰か?それは、神様ですね。神様に見てもらうために祭りというものをやる。大きな災害があった時には、鎮魂やら「もう2度とこういう災害を起こさないでください」といって、お祭りをして、お祈りをする。豊作のあとは感謝をする。あるいは来年もまたよろしくという予祝行事だったわけです。見物人ひとり、作り手全員という構造が祭りの構造。これは近年の芸術の構造とは逆だということがよく分かります。というのは、近年はだれか偉い作り手がいて、その人のつくった作品を大勢がお祈りするように見せる。この構造を私は転換したい。もう一回、祭り型に変えたいと思っています。そうすることによって、下請け企業、下請け町村から脱却して、自社ブランドやわがまちブランドの形成をしていくことができるんじゃないか。それで、ブランド化戦略は、ともかくブランド化せにゃいかんのです。マーケティング戦略もする必要がある。その時、地域の企業、あるいは地域が間違えるのは、近所で一番をやりたいというところです。あるいは東京に売り込もうというのも間違いなんです。というよりは、世界に売ろうよという方法をとりたいっていうのが、今日の提案したいことのひとつです。地域から世界に売り出すということをやって、同心円的にやるのではなく、いきなり世界に売り出す。地元の人が知らないとかどうでもいい。世界が知ってくれればいい。という戦略を考えたほうがいいんじゃないか。
●参加者
26名
●参加者の声:
・アートはどんな分野ともうまく絡むなぁ...と実感しました。経済は初めての分野でしたがとても面白かったです。
・様々な事例を教えて下さり、非常に興味深かったです。
・鹿児島の今後についてピリッとした課題を示唆していただき、その通りだなーと思いました。色々なアイデアなども刺激されて聞いててとても楽しかったです。
・生活に文化を取り戻す?企業の視点で言葉を置き換えると参考になることがたくさんありました。
・アートを体験する上では、気にならないけど、とても大切な部分である経済という部分を様々な事例を通して知れたのはとてもよかったと思います。
●テーマ
建築×アート
●ゲスト
辻 琢磨(建築家 /403architecture[dajiba])
1986年静岡県生まれ。2008年横浜国立大学建設学科建築学コース卒業。2010年横浜国立大学大学院建築都市スクールY¬GSA修了。2010年 Urban Nouveau*勤務。2011年メディアプロジェクト・アンテナ企画運営。2011年403architecture[dajiba]設立。現在、滋賀県立大学、大阪市立大学非常勤講師。2014年「富塚の天井」にて第30回吉岡賞受賞。
会田 大也(ミュージアムエデュケーター)
1976年東京生まれ。2000年東京造形大学造形学部デザイン学科造形計画専攻卒業。2003年情報科学芸術大学院大学[IAMAS]修了。2003年開館当初より11年間、山口情報芸術センターの教育普及担当として、メディアリテラシー教育と美術教育の領域を横断する形で、オリジナルのワークショップや教育コンテンツの開発と実施を担当する。2014年より東京大学大学院ソーシャルICTグローバル・クリエイティブ・リーダー[GCL]育成プログラム特任助教。
●日程
事前説明会 2016年9月22日(木・祝) 14:00〜16:00
ワークショップ 2016年11月23日(水・祝)〜27日(日)
展示 2016年11月27日(日)〜12月20日(火)
作家・作品と鑑賞者の良好な関係を模索するミュージアムエデュケーターと環境や文脈を読み解きながら空間を創造する建築家が協働して考案したワークショップ「モノセレモニーズ」を通して、アーティストの思考を参加者に体験してもらいました。
「モノセレモニーズ」は、ワークショップの参加者によって開催される、ささやかな芸術祭。ひとつのモノがその機能を終えるまでのエピローグではなく、そこから生まれ変わり、新たに風景として溶け込んでいく過程を、現代の「セレモニー」として捉え、地域に住む人々の思いが詰まった「モノ」が、新しい使い手の元に渡り、異なる役割を持って、風景となっていく「もの」がたり。
ワークショップでは、モノ・ヒト・場所を公募し、14個のモノ、9人の参加者、6箇所の場所が集まり、それらをマッチングし、6つのプロジェクトが立ち上がりました。プロジェクトの開始時にはオープニングイベントとして、モノを供養する供養祭を催し、プロジェクト完成後には誕生祭や作品見学ツアーを行ないました。
モノセレモニーズの流れ
1)生まれ変わるモノ、生まれ変わらせる人、そして場所の悩みを募集する。
2)モノのこれまでを振り返り、大切なことをピックアップする。
3)モノの次の生き方を考え、次にモノが置かれる場所に合わせて、改修案を考える。
4)改修案を元に作業し、人の手によって、モノを生まれ変わらせる。
5)生まれ変わったモノを新しい場所に置き、モノが新しい生活を始めていく。
<募集した人・モノ・場所の条件>
□モノの募集
捨てたいとは思っているけれど、捨てられない思い出のモノ。
例)捨てられない嫁入り箪笥 など
・モノの名前
・モノへの思い出
・モノの写真
※モノの素材は、以下の条件に合うのもをお願いします。
・分解・加工が容易な素材であること
・電化製品でないこと
・容易に自然腐食しないもの
・耐久性があるものが望ましい。
□ヒトの募集
辻氏、会田氏とともに、リデザインに挑戦してみたいヒト。
※完成した成果物の出展者として、展示物のキャプションに記載。
□場所の募集
現状、悩みを持っている場所。
例)昔からある古いオルガンを動かしやすくするためのコロ付きの台座が欲しい など
<集まったモノ>
・マージャン牌
・すごく重い棚
・カタカタ
・テニスラケット
・製図板
・ちゃぶ台
・ベビーベッド
・おままごと用台所
・中華料理屋円卓
・鏡台
・木の椅子
・箱椅子
・木製大型ブロック
・良い積み木
<提供された場所>
1)かごしま文化情報センター
(住所:鹿児島市易居町1-2 時間:10:00〜18:00
定休:水・日曜日)
2)ふじが丘保育園
(会期中は、かごしま文化情報センターにて展示)
3)レトロフト
(住所:鹿児島市名山町2-1 時間:11:00〜19:00
定休:月曜日)
4)ホテルニューニシノ
(住所:鹿児島市千日町13-24 時間:8:00〜22:00
年中無休)
5)KENTA STORE
(住所:鹿児島市東千石町10-12 時間:11:00〜19:00
定休:木曜日)
6)凡
(住所:鹿児島市東千石町1-15 時間:12:00〜25:00
不定休)
<参加したヒト>
北野 真衣・穂満 亮祐・飯泉 綾子・入田 裕夏子・大山 佳菜
[技術サポート]
宮園 孝都
[サポーター]
応援団員W 江口 美久 森永 涼平
作品①
◯ハモンドの踊る靴/辻 琢磨・会田 大也(レトロフト)
レトロフトの地下室に鎮座するハモンドオルガンを簡単に移動させるための台座の計画です。ハモンドオルガンは、高価なパイプオルガンの代わりにゴスペルミュージックを生み出し、その後のジャズミュージックに影響を与えたと言われています。
もともと靴の問屋が入居していたレトロフトの倉庫に長らく置かれていた、靴箱と思しきすごく重い棚の側板が台座の床面としてオルガンの脚を受け、林光華園の旧店舗で使われていた中華テーブルを台座の側面に転用しています。オルガンの脚元と台座の突起の組み合わせは脚鍵盤を模し、中華テーブルの裏側のダークブラウンの表面は、このハモンドオルガンの色との調和を図っています。台座の分だけ演奏位置が高くなったため、ジャズのスタンディング演奏にも適した高さに生まれ変わっています。靴という人の脚元を支えた棚の素材が、オルガンの脚元を支え、人を集める円卓の曲線を利用することで、新しい「靴」を履いたオルガンに再び多くの人々が集まるようにという思いを込めました。(辻 琢磨/会田 大也)
場所:レトロフト
人:辻 琢磨/会田 大也
モノ:すごく重い棚/中華料理屋円卓
作品②
◯インサイドメモリー/北野 真衣(ふじヶ丘保育園)
真新しい外見の中には長年子どもたちに愛されたモノが詰まっています。どのモノも長年愛用されていたらしく所々汚れていたり、塗装が剥げていたりしています。この収納棚には、Sさんのお嬢さんが遊んでいたカタカタ、Mさんからいただいた色調の美しい積み木の二つを使いました。この二つのモノはどちらも子どもの健やかな成長を願ってつくられたにちがいありません。新しいモノへ生まれ変わっても子どもたちとの物語は途絶えてほしくないと思い、ふじヶ丘保育園の収納棚に転用しようと思いました。
箱の仕切りは積み木とカタカタで作り、箱の強度は積み木で補いました。箱の中をのぞけば、かつて子どもたちが遊んだ思い出がつまっています。かつて遊んでくれた子ども達との思い出を懐かしみながら新しいモノになって再び子どもたちと会う日を楽しみにしていることでしょう。(北野 真衣)
場所:ふじヶ丘保育園
人:北野 真衣
モノ:カタカタ/良い積み木
作品③
◯かがみん/入田 裕夏子・大山 佳菜(KENTA STORE)
KENTA STOREは甑島から発信された、人とモノと場所を繋ぐ、鹿児島の食と暮らしの専門店です。素敵なお店ですが、一見さんが少し入りにくい、何のお店なのかわかりづらいというオーナーの山下さんのお話を受けて、このような三面で構成された看板を制作しました。素材として用いているのは、旅館のお婆さんが大切にしてきた姿見と鏡台の鏡、そして建築学生が使っていた製図板。その二面の鏡が映し出すのは、KENTA STOREのある天文館のアーケードとお店の中、「ちょっと覗いてみよう」と思わせるようなデザインを目指しました。そして三面目は、KENTA STOREの方々がお店から伝えたいことを毎日自由に書いていただけるように、多くのデザインが生まれてきた製図板を転用し黒板としています。天文館という街に溶け込みつつ、きらびやかな看板が列ぶアーケードで華美な装飾を避け、「シンプルに目に留まる」ことを意識しました。お店とお客様とのコミュニケーションのツールとなることを願っています。(入田 裕夏子/大山 佳菜)
場所:KENTA STORE
人:入田 裕夏子/大山 佳菜
モノ:鏡台/製図板/ちゃぶ台
作品④
◯街の報せ/穂満 亮祐(ニューニシノ)
今回制作したのはホテルニューニシノの受付カウンター横に置かれている観光や飲食、イベント、地図といった内容のチラシやパンフレット類を置くための収納棚です。モノにはふじヶ丘保育園で長く使われてきた木製大型ブロックを選びました。ブロックを開いてみると、約20年間子ども達に使われて傷がついたり色が変化したりした外側とは異なる美しい木の面が現れ、この内側にチラシ類を入れて収納として使うことで用途の転換を図っています。これまで使われてきたことによる味のある外面と全く触れられることのなかった無垢な内面の質のギャップに加え、子ども達の「遊び」という長期的な歴史と短期的に更新を繰り返すフレッシュな「報せ」が対を成して共存していきます。収納は壁にある既存のバーにフック状の金具を用いて取り外しできるように固定し、時期によって変化する報せの量に可変的に対応できるようにしています。これまで机の上に密集していたチラシやパンフレット類を、ホテルのお客様方が思わず目に入り手に取ってしまうように、壁を広く用いて配置しました。(穂満 亮祐)
場所:ニューニシノ
人:穂満 亮祐
モノ:木製大型ブロック
作品⑤
◯ライフ・イズ・ビューティフル/飯泉 綾子(凡)
凡は、自由を愛する人たちの憩いのバーです。飲み屋なのに、ただ寝に来るだけの人がいたり、開店時間はまちまちであったり(Facebookで毎日お知らせ)、店もお客さんも自由に過ごしています。そんなお店には不思議な本棚があります。哲学だったり宗教だったり、果ては女性の下着の歴史の本まで!置いてあります。まるで子どもの知りたい心と同じような、無邪気な知的欲求を満たす書籍たちと言えます。この場所に、ふじヶ丘保育園で子どもたちが使ってきた椅子を転用した本棚を製作しました。素材の木の板には、保育園の歴史(サイン)がそっと記されています。大人たちが、いつでも子どもに還ってきても良いように…そんな想いも込めて、このサインを残してあります。
本棚の色は、店舗の内装のイタリア風の色彩にも合っていると思っています。イタリア映画『ライフ・イズ・ビューティフル』(1997)に登場する素敵な本屋さんの雰囲気を思い出しながら製作しました。(飯泉 綾子)
場所:凡
人:飯泉 綾子
モノ:木の椅子/箱椅子
作品⑥
◯スタンドアップスタンド/市村 良平
(かごしま文化情報センター(KCIC))
鹿児島市の「文化薫る地域の魅力づくりプラン」を推進する活動拠点として設置されたかごしま文化情報センター(KCIC)。しかし、展示やイベントなどで使用される什器はどんなシチュエーションでも使用できる中庸なデザインのもので、どことなく無機質で冷たい印象があるのも事実です。普段使っている金属製のキャプションスタンドも、「文化薫る」とは言い難いものでありました。そこで今回、KCICが使うに相応しい什器として「キャプションスタンド」を、製作しました。材料にはベビーベッドの手すりの支柱と、保育園の子ども用椅子の背もたれを転用しています。装飾的な支柱に、色付けされた背もたれを適度な大きさにカットして土台としました。大中小の3種類の高さを揃えたことで、これまで欲しいと思っていた子どもの目線にあった高さのスタンドも誕生しました。赤ちゃんが生まれ、子どもが成長して「立ちあがる」ように、鹿児島の文化が流転・生成していくようなプロジェクトがたくさん「立ちあがる」ことを願っています。(市村 良平)
場所:かごしま文化情報センター(KCIC)
人:市村 良平
モノ:ベビーベッド/木の椅子
●参加者
説明会:12名
ワークショップ:9名
●参加者の声:
・面白い企画があることを知れて良かったです。
・参加型は人脈もふえそうで、おもしろそうだと思いました。
・公共系のイベントとしては、とてもやわらかい企画だと思いました。楽しみです。
●関連電子書籍
辻 琢磨著「動き、流れる建築のかたち Architecture flows with us」
http://tsujitakuma.jp/abook/
●テーマ
防災×アート
●ゲスト
永田 宏和(NPO法人プラス・アーツ 理事長)
1993年大阪大学大学院修了。2005年阪神・淡路大震災10周年事業で家族が楽しみながら防災を学ぶプログラム「イザ!カエルキャラバン!」を開発。2006年NPO法人プラス・アーツ設立。現在、首都圏、関西圏など全国各地及び、インドネシア、タイ、フィリピン、中米、南米など海外での防災教育普及に積極的に取り組む。東京ガス、東京メトロ、三井不動産グループ、無印良品、NHKなど企業・メディアの防災アドバイザーも数多く務めている。NHK・Eテレ「東北発☆未来塾」TBS「情熱大陸」、日本テレビ「世界一受けたい授業」出演。
http://www.plus-arts.net/
●日程
2016年12月2日(金) 18:30〜20:30
日本では、ここ数年で大きな自然災害をいくつも経験しています。どの場所でも起きる可能性のある災害に対し、防災に関する意識は高まりつつありますが、モシモの時のことに対して当事者意識を持つのは難しい。だからこそ、特別なことをするのではなく、イツモの生活の中で備えておきたい。モシモをイツモに。アーツの力で備える防災について、地域の人たちがお互い仲良く、生き生き暮らす元気なまちになる「地域豊穣化」やアイデアや工夫、デザインやアートを注入して、事業やプログラムの新しいカタチを生み出す「+クリエイティブ」などについてお聞きしました。
種※1のノウハウの一つ目が不完全プランニングと呼ばれてるものなんですけど、つまり完璧につくらない。活動とかプログラムを地域に持っていく時に、いかに余地を残すか、関わりシロを用意しておくかということなんですよ。これ(図1)見ての通り、穴があって隙だらけでしょ?そうしたら、来た人達がどうなるかっていうと、一緒に作ることができるんですよ。要するに、一緒に参加して、一緒に作り上げていくプロセスに巻き込まれていくんですよね。それはどういうことが起きるかっていうと、みんなが関わって、みんなが一緒に作っていく間に、それは自分のもの、その人のものになるんですよ。俺たちのものになるんですよ。例えば、かえるキャラバンって僕らが作ったんですよ、もともとは。藤 浩志さん※2と一緒に。だけども、あきらかに獲得されますよね。地域の人達のものになっています。そういう風に種をつくる時に考えないのは、さっき言ったように地域の人が一番間違っている考え方で、全部作り込んじゃうってことなんですよ。役割も決めちゃうわけですから。行ったら、手伝えないんですよ。みんな、いるから。スタッフのやることが決まっていて、餅つきでも餅食べるしかできないでしょ?つかせてはくれるかもしれないけど。もっと関われるように、何か持って来てとか、あんた何が得意なん?って。藤 浩志さんっていつも得意技を聞くんですよ、最初に。ワークショップやったら。全員の得意技を。僕、最初なんでこんなこと聞くのかな?と思ったら、全部使ってるんですよ、最終的に。その得意技を発揮する場を作りますよね。そういう考え方が基本にないと、やっぱり主体にはなれないというか、お手伝いよりももうちょっと主体的に関われる関わりシロがいるかなと思います。で、もう一個。関わりシロさえ作ればいいんですね。隙だらけでっせと。ところがこれ(図2)、さっきの絵と違うのは、中が光ってないでしょ?つまり、空っぽってことは、つまんないことが来た時どうなるかってことなんですけど、どうなると思います?しょうもないイベントで手伝ってって言われても、みんな帰っちゃうでしょ?そんなもんやってる暇ないわとか、わしら今忙しいねんと。だから、何かを持って行った時に、それは非常に魅力的なものじゃないとダメなんです。惹きつけられる魅力を発していないといけない。それは、すごく楽しそうだとか、美しいとか、感動できそうとか、普段でけへんことできそうやとか、特に子どもさん連れて親がくる時とか子どもにそういう体験させたいと思うわけでしょ?どこか遊びに行くよりも、この体験をさせたいと思えるかどうか。こういうことを、魅力を発揮させようと思ったら、クリエイティブっていう要素が必要なんですよ。だから僕たちは「+クリエイティブ」っていうのが、デザインセンターのコンセプトも「+クリエイティブ」でもあるんですけど、そうするとみんな寄って来て、寄って来たら手伝えるみたいな二段工法なんですよ(図3)。だからどっちが欠けてもダメ。「+クリエイティブ」で魅力に溢れてて、近づいて来て、近づいて来たら手伝えるみたいな。そういう風に種を作れるかどうかってことが、最大のポイントですね。そうすると「+クリエイティブ」ていうので、地域に行くとおじいちゃん達が「わしら横文字わからん」みたいな感じになるんで、いやいやちゃいますよと。クリエイティブって創造的なって意味だけども、もっと語源を辿ると、新しい何かを作り出すんじゃなくて、既存のものをぶち壊すっていう意味も隠れてるんですよ。ということはどういうことかっていうと、地域にもそうだし、役所でもそうだし、新しい事業をつくろうったって、無理なんですよ。神戸市も全然財政が無理やから、予算通らないんですよ。新しい事業。そんな地域ばっかりですよ。全国的にそうだと思います。潤沢にあるのは東京都くらいちゃいますか?なので、今までの事業を見直した方がいいんですよ。地域も今やってることをよくした方がいい。新しいこと何かやりませんか?って持って行ったら、「いやぁ、もうわしらも忙しいんやぞ」と言われるのが関の山ですね。本当に忙しいんですね、皆さん。そうじゃなくて、いつもやっている、マンネリ化しているのがあるでしょ?とか、困っているのあるでしょ?といったら絶対ありますから。それをよくしてあげるというか、よくするっていう方が、絶対に可能性あります。僕は神戸市のデザインセンターでやっているのは、それを全部やっているんですよ。だからいまどうなってるかというと、神戸市のいろんな部局が、順番待ち状態なんですよ。僕らは、ゼミをやっているんですけど、それを一個一個持って来た課題を市民とか、学生とかいろんな人を集めて、3ヶ月くらい揉んで揉んで、リサーチして、議論して、アクションプランを「こうやったらどうや」っていうのをその部局に返してあげるんですけど。20回やって19事業ぐらいが動いているんですよ。もう全部事業化しているんです。それくらいの実績が上がっているんです。だからそうなると、私の課題も面倒みてってなって、最近、道路部さんとか公園部さんが来たりとか、自分で考えろって言いたくなるんですけど、そんな状態。ということは、つまり世の中の行政も地域も、困っているわけです。なんかマンネリ化してやっているけど、これでええとは思ってないんやけど、なんとなしにそのままやってるっていうものだらけなんですね。だからそれを見直せたら、見直せるスキルというか行動力を持つと、すごい活かせるんですよ。だから、地域とか地方の足らないのは種なんですよ。種を作れないんですよ。
※1 地域で行う活動やプログラムの比喩的表現。
※2 鹿児島出身の美術家。秋田公立美術大学教授。
●参加者
22名
●参加者の声
・楽しく学べる防災、いろんなところに広がってほしい。
・とても興味深くうかがいました。今後の仕事にいかせるヒントをたくさんいただきました。ありがとうございました。
・防災に限らず、まちづくりに関する話も聞けて大変勉強になりました。デザインや魅せ方について今一度考えさせたれました。
・目からウロコ的な話でおもしろかった。マンネリ化した防災訓練が変えられそうです。ありがとうございました。
・防災をその分野のみでなく、もっと広い視点で捉えることも必要だなと思えました。ありがとうございました。
●テーマ
政策×アート
●ゲスト
大澤 寅雄(ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室)
1970年生まれ。株式会社 ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室准主任研究員、九州大学ソーシャルアートラボ・アドバイザー、NPO法人STスポット横浜監事。慶應義塾大学卒業後、劇場コンサルタントとして公共ホール・劇場の管理運営計画や開館準備業務に携わる。2003年文化庁新進芸術家海外留学制度により、アメリカ・シアトル近郊で劇場運営の研修を行う。帰国後、NPO法人STスポット横浜の理事および事務局長、東京大学文化資源学公開講座「市民社会再生」運営委員を経て現職。
●日程
2016年12月13日(火) 18:30〜20:30
民間の立場から政策提言や政策課題の論点などを提供する政策研究機関 ニッセイ基礎研究所の芸術文化プロジェクト室で国内の文化活動を視察・研究する大澤氏。昨年のKCICアートマネジメントラボで国や自治体、民間の文化政策・活動の流れをお話しいただいた大澤氏に、今回は2020年のオリンピックに向けて動いている世の中に対して、大きな節目となる2020年の“その後まで”のビジョンを考える必要性について伺います。
アートは金儲けの手段なのかよ?と考えちゃう時があるんですね。まちづくりの手段なのか?金儲けの手段なのか?と。嫌になっちゃうと思います。これはテコの絵(図1)です。ここにアートがあって、社会というのがあって、よっこいしょとアートをテコにして、社会を動かすと思うんですけど、「いや、待てよ。社会というものをテコにして、アートの新しいものを生み出していこう」っていう考え方もあるんじゃないの?」そこをぼくは大事にしたいと思います。つまり、目的とか手段とか、ついつい、こういう議論に陥るんですけれども、僕としては最終的に「アートは目的なのか手段なのか」ということに対しては「どっちもあり」だと思います。こういうところに僕は落ち着きました。もっと落ち着かせるために生態系としてイメージしたいというのが、私の考え方で、藤 浩志さんという鹿児島が産んだ世界に誇る日本の美術家がいるんですけれども、ご存知でしょうか?十和田市現代美術館の館長をされた後、秋田公立美術大学の先生をおやりになっています。僕の住んでいるところからチャリンコで15分くらいのところにご自宅があるんですが、なかなか会えない。忙しい方です。その藤さんがこんな絵(図2)を描いてくれたんですね。芸術活動するにあたって、なんかモヤモヤする種があって、そこから芽が出て行く。その芽を発芽させて、最後に作品というかたちになり表現が生まれる。その時に、藤さんは作家として、創造性という作家活動する時にモヤモヤとした種から何かが得られる感じなんだなということを言いたくて、それを支えるにはまず土が必要だったり、水が必要だったり、光が必要だったり、風が必要ですよっていうことをおっしゃっているんですね。水というのが藤さんの中では大事で、面白いと思っている人、思ってくれる人が、ここでは水の役割。なんかモヤモヤっとして、こんなことできないかなぁと思った時に、「それ面白いね!」っていう人が水の役割。そうすると、水をどんどんやることで、芽が出てくるんじゃないか。僕は本当に藤さんの考え方が大好きで、そこからどんどん変換していったんですけれども、僕のなかで生態系っていうのを地域に置き換えたんですね。生態系のなかには、植物っていう生産者っていう役割があります。それを消費する虫とか動物とかは消費者。さらにそれが土に還って、バクテリアとか菌が分解していく分解者っていう要素になります。要はですね、この生態系の世の中は、生産する木や草があって、それをまず牛が食べたりする。それを食べる小さな動物や虫なんかがいて。それを食べる動物がいたりして、みんな死んだり、うんこをしたりすると、土のなかで分解してくれる存在がバクテリアとか。それを分解してくれることで草が育つ。また、芽がでる。こういう生態系がある。これって文化もそうなんじゃないかって思ったんです。文化に変えると施策、施設があって、そこで事業をやる人たち、利用する人たちがいる。観客と参加者がいて、その人たちの営みは、地域づくりや教育や福祉といったところにも応用されて、やがては市民の人たちが豊かになった地域や豊かになった教育環境を使うことで、その恩恵を受ける。その市民たちが、このまちに住んでよかったなぁと思えたのであれば、文化施策や文化施設の存在を支援したり理解する。っていう循環が生まれるといいな。大概、このへんの文化施策や文化施設、事業者、利用者が当事者となる。まだこの辺で(観客、利用者)で止まっちゃうんですね。「何人お客さんとか」「何人参加してくれた」「よかった」「駄目だった」とか。その先があるんですね。「まちにとってどうだったんだろう」とか「市民にとってどうだったんだろう」。そこまでいって、市民の人たちが「やっぱり鹿児島の文化って面白いね」とか「市民会館とか美術館とかいいことやってるな」と思えるようになって、ようやく一気に循環が始まる。その循環が非常に大事だと思っています。
●参加者
22名
●参加者の声
・アートマネジメントの考え方、とても素晴らしいと思います。シリーズ続けて欲しいです。全県レベルでの取組みが可能となるよう組織も大きくなって欲しいです。
・どんなことができるんだろうと、何もわからないままきましたが、いろんなことが聞けてとても勉強になりました。楽しかったです。ありがとうございました。
・様々な事例も紹介していただき、視野が広がった。なかなか聞けない話を多く聞けたので、またやってほしい。
・とてもわかりやすくてよかったです。
●デザイナー
久保 雄太
1983年鹿児島市生まれ。デザイナー。
2007年4月、福岡にて株式会社SOL DESIGN入社。同時に、NPO法人九州コミュニティ研究所に所属。2010年よりフリーランスとして活動。2011年7月鹿児島にて、暮らしをテーマにした学びの場づくり「サクラ島大学」を開始。広告とパブリックデザインの現場経験を活かし、様々なデザインプロジェクトの企画立案、ディレクションおよびデザイナーの役割を担います。かごしまデザインアワー ド 2013 奨励賞・ 2014 企業賞
http://sakura-univ.net/
会 期:2016年7月23日(土)〜12月13日(火) 全6回
企 画:かごしま文化情報センター(KCIC)アートディビジョン
主 催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
助 成:一般財団法人地域創造
2017年3月13日 発行 初版
bb_B_00149211
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