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シーカムラインとは「盲腸線」行き止まりの路線であるとともに、盲腸のように要らない線の意味もあります。
しかし最近盲腸も臓器として機能してるなんて話も。
この雑誌はエビコー鉄研として、あなたのテツ道ライフにちょっとお役に立てればいいな、なんて思った雑誌です。




  この本はタチヨミ版です。

アペリティフ

「本当にやっちゃうんですね、部誌の公開」
「さふなり。我らエビコー鉄研の部誌がもし本当に発行されたら、というのもあるのだが」
「なんで『だが』なんですか」
「また著者がいろいろとこじらせてしもうてのう……」
「やだなー、著者がこじらせてるのは前からじゃないですかー。ヒドイっ!」
「さふいえばさふなのであるが。ともあれ、『乙女のたしなみ・テツ道』を具体化することがこの部誌の目標なり」
「具体化って。しかもこれ、創刊号って事は、2号もありえるってことですよね」
「さふなり」
「そんなの、めちゃめちゃだようー! ヒドいッ」
「苦情は著者までどしどし送りつけてくれたまえ! では、スタートなのだ!」

ちょっとその前に・エビコー鉄研部員紹介


長原ながはらキラ
 みんなに『総裁』と呼ばれている。「さふである!」とか口調がやたら特徴ある子。
 エビコー鉄研の部長は部長ではなく総裁と呼ぶ。
葛城かつらぎ御波みなみ
 国語洞察力に非常に優れたアイドル並み容姿の子。でも密かに変態。鉄研副総裁。
芦塚あしづかツバメ
 イラストと模型作りに優れた子。イラストの腕前は超高校級。「ヒドイっ」が口癖。
 ちなみに貧乳。
武者小路むしゃのこうじ詩音しおん
 模型作りの腕前はエビコー鉄研ナンバーワン。
 身体が弱くて入学を遅らせているので実はみんなより年上。
 超癒し系のお嬢様。当然胸は大きい。
中川なかがわ華子はなこ
 鉄道趣味向けに特化した食堂『サハシ』の娘。写真撮影と料理が得意。
 バカにされるとすぐ反応してしまう。
鹿川かぬかカオル
 ダイヤ鉄。
 超頭脳明晰で、鉄道会社のバイトでダイヤや車両運用表を組んでいるIQ800のギフテッド。
 高校時代は将棋奨励会だったが、現在将棋プロ4段。

テツ道コラム:周遊列車時代と架空鉄道

鉄研総裁・長原キラ    

 JR九州の「ななつ星in九州」に続き、川崎重工・近畿車輛の製造したJR西日本「トワイライトエクスプレス瑞風」がヴェール、ではなく塗装保護カバーを脱いだ。そして川崎重工とJ-TRECで建造されていた「トランスイート四季島」もまた重ねた試運転の上、内装まで報道陣に公開した。
「ななつ星」についてはすでに運用を重ね、多くの鉄道ファンだけでない人々をも満足させ、予想外なリピーター需要もあるように聞く。「瑞風」「四季島」もまたそのようになり、国内観光需要のまさに牽引車となって、観光立国を目指す日本の希望となって欲しいとワタクシは願っている。

夜行列車前史

 もともと夜行列車は夜のうちに移動と宿泊、さらには夕食を済ませるビジネス需要が多かった。初期の夜行列車はその需要が主であったと思われる。
 しかし次第に新幹線や航空機など、朝イチに出発しても十分昼前に目的地に着いてしまうようになり、宿泊込みの出張が認められない経済事情も生じ、平成の現代ではそれが認められるのは山陰・四国の一部、そして北海道のみとなってしまった。それに対応する列車も山陰・四国へは「サンライズ出雲」「サンライズ瀬戸」という夜行電車寝台列車のみとなり、他には特別ツアー列車として細々とまだ在籍する寝台客車列車が走るだけである。寝台電車についても583系はこの2017年4月8日を最後に全滅してしまうのだ。
 だが、夜行需要はなくなったわけではなく、現に夜行バスは新宿にできたバスターミナル「バスタ新宿」も好調に利用され、23:00時頃にはなかなかの活況であった。料金帯も昼の新幹線と同額程度の個室バスでも利用率は高く、また主力の三列シート夜行も、かつての鉄道夜行全盛期のように雁行して発車していくその様は独特の旅情に満ちている。便数も休日前などは増発便もあっても満席となっているようだ。これはすなわち、バス運用の経済的な柔軟性が発揮され、バス以上寝台列車未満という需要数にフィットしているところであろう。だがやはり寝台列車未満であることは現実であり、寝台列車復活にはその需要は力不足の感は否めない。

夜行列車のコスト

 また旧来の寝台列車のことを考えるに当たって、その高コスト構造を抜きにしては語れない。寝台列車はベッドメークをした上で空気輸送をしていた状況であったが夜行バスはベッドメークほどコストをかけないうえでほぼ定員輸送。車両運用については1往復に一晩かかる夜行運用では同じであるが、鉄道の場合は軌道補修などのコストも割高である。末期に『ごろんとシート』などベッドメークを廃した列車も登場し好評を得ていたが、しかしいかんせんB開放寝台車としても定員はわずか36名。往年は料金をばらばらにしても三段寝台で50人以上の収入があったのだから、収益力で追い詰められていたのがよく分かる。これが現代では二段寝台、個室寝台としていってますます定員が減少し収益力は落ちていく。世の中的に開放寝台のプライバシーのなさも嫌われ、まさに行き詰まったのがこれまでの旧来型寝台列車の歴史であった。その欠点、高コスト構造を改善しないまま高速夜行バスが流行っているから寝台列車がそのまま復活できるというのは甘い話と言わざるを得ない。寝台列車はバスほどきめ細かい行き先に対応できないのでもある。短編成で完結する寝台車を作り、それを多数連結して途中で切り離してあちこちに向かう『多層立て運用』を、などというが、その解結作業すらもまた今では忌避されている現状がある。地域別にJRを分割した結果、他社の車両を自社の責任で解結作業をしてなおかつそれで収入が線路使用料程度では割に合わない。ない袖がふれないのは当然である。これは怠惰だからやらないのではない。経営的にうまくいかないからやれないのである。その事情を理解した上で、周遊列車の話をしたいと思う。

列車のコストの魔法の数字

 そこで車両建造費について散見される若干の不見識を指摘したい。新幹線に比べると在来線列車は安く見える。だが、一定期間あたりの定員総数の運賃と料金による収益で、公表された建造費をザックリ割った係数を考えてみる。すると面白いことに、一定の数値が出てくる。
 在来線では通勤電車は定員総数が多いが特別料金はない。しかも運転距離が長いことも考えると係数は1・5程度になる。そして特別車両、たとえば小田急ロマンスカーなどは2を超える。運転距離に対して定員が少なく、そのわりに運賃以外の料金がまだ割安なのだ。この2を超えて3未満が各社のプレミアムカーの予算標準であるようで、じつは近鉄の『しまかぜ』も2・5程度である。
 そこで新幹線であるが、恐ろしいことにこの係数だと1を割り込む。あれだけ高い車両費を払っても、輸送力・輸送速度が大きいために、運賃収入・新幹線料金が単価は少なくとも回数と人数が稼げるため、大幅に収益力が強いのだ。逆に寝台列車は1日で1つの列車が往復することは出来ない。2日にまたがるし、運用を考えると3日程度1往復にはかかる。それで運賃・特急料金・寝台料金では、通常の昼間在来線特急よりはるかに係数が高く3を超える。概算で新幹線は同じ経路なら在来線寝台車の3倍の収益を軽くはじきだす。これを考えれば、JR北海道が無理をしてでも北海道新幹線を新函館北斗まででも急いで開業させたがったのが分かると言えよう。『北斗星』は夢はあるけれど、コストは実は高くついていたのだ。乗る側としては安いとは思わなくても、である。それが現実だったのであろう。



  タチヨミ版はここまでとなります。


エビコー鉄研部誌:シーカムラインvol.1

2017年3月21日 発行 初版

著  者:米田淳一
発  行:米田淳一未来科学研究所

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YONEDEN

 YONEDENこと米田淳一(よねた・じゅんいち)です。  SF小説「プリンセス・プラスティック」シリーズで商業デビューしましたが、自ら力量不足を感じ商業ベースを離れ、シリーズ(全十四巻)を完結させパブーで発表中。他にも長編短編いろいろとパブーで発表しています。セルパブでもがんばっていこうと思いつつ、現在事務屋さんも某所でやっております。でも未だに日本推理作家協会にはいます。  ちなみに「プリンセス・プラスティック」がどんなSFかというと、女性型女性サイズの戦艦シファとミスフィが要人警護の旅をしたり、高機動戦艦として飛び回る話です。艦船擬人化の「艦これ」が流行ってるなか、昔書いたこの話を持ち出す人がときどきいますが、もともと違うものだし、私も「艦これ」は、やらないけど好きです。  でも私はこのシファとミスフィを無事に笑顔で帰港させるまで「艦これ」はやらないと決めてます。(影響されてるなあ……)  あと鉄道ファンでもあるので、「鉄研でいず」という女の子だらけの鉄道研究部のシリーズも書いています。よろしくです。

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