とても短いですがお楽しみいただければ幸いです。
因みに、救いようのない話です。
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■役職【神】は嘆けない。
「…やれやれ。赤い月も見飽きたし、黒い瞳の種族もウンザリだし。
何とか成らんのかね?幼処よ…、私はもうウンザリだ。」
白髪の女が言った。耳は尖っている。ファンタジー等でお馴染みのエルフといったところか。
「神だって分からないさ。滅ぼす寸前まで追いやり、回復させる。
…この手法で、この「世界」は保たれてきた。が、役職的にボクは神だが…、
あんたが創り手だったわけだし…、壊したいのと違うというのが厄介だね、エディター?」
幼処と呼ばれた少年は、感情の通っていない声で返事をした。
「エディター…か。どうする?私を殺してみるかい?坊や…」
女は、【厭世感で私は出来てます】とでも言いたげな声で言った。
「死ねないくせに?痛いだけだぜ?ボクは別に構わないが」
「偶には…死にたい。仮死でいいんだよ。殺っておくれよ…、坊や」
「把握した。実行する。」
「…ありがとう。産んでよかったよ…ふふ」
「やめてくれ。ボクはシステムなのだから…。それに…」
少年の声は、僅かだが、くぐもっている。
「それに?」
「…目覚めが悪くなる」
「…なるほど」
「…実行するぞ?」
「ああ。」
… … …。
「後味が悪いよ。…母さん。」
少年は左目からだけ血のような赤い涙を流した。
92億年目の「世界」の片隅で…。
【了】
2017年12月11日 発行 初版
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