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四拍子三小節で綴る いのち

近藤いずみ

Bambooshoots



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  この本はタチヨミ版です。


一   おめでとう一等賞のお玉杓子


二   人となれ我の卯浪で大事な子


三   いざ咲かん種皮を破きて古代蓮


四   花に息吹き込む小枝赤ら顔


五   光差す方へ方へと心太


六   生まれたて紅葉も銀杏も若葉色


七   暖かや愛されようと笑む赤子


八   天仰ぎ手足伸ばして亀の鳴く


九   仔馬さんそんなに慌てて立たずとも


十   産声と爆音そして百千鳥


十一  轟音が去った路上に雛の轍


十二  守りたいこれが愛かと星月夜


十三  手を広げ空におねだり若楓


十四  細い手で空を蹴飛ばし水馬


十五  白梅の中に接ぎ木の紅一点


十六  うつむけば上を向けよとつくしんぼ


十七  死にたいと言う君ですら太る冬


十八  逞しく冷蔵庫の中伸びる葱


十九  蟻の群れ踏みて遊びし夜の震え


二〇  何学ぶ蛙の腹を切り裂いて


二一  火を付けて耳を塞いで浅蜊蒸し


二二  人よりも渇きが怖い夏の蝶


二三  首を切り焼けば生き生き七変化


二四  次はない朝日を拝む沙羅の花


二五  秋の蚊に吸わせてあげて徳を積む


二六  実るためただそれだけの花楓


二七  白銀を解かさぬ赤で灯るエリカ


二八  今はもう菊の香となりし君が霊


二九  線香を揺らすは君か秋風か


三〇  踏切を待つ足下に彼岸花


三一  呼び止めることもできたか秋時雨


三二  一瞬で宇宙の生死描く花火


三三  山吹や大地のブレスに揺さぶられ


三四  人気ない寒夜も弛まず湧く草津


三五  子育てもほっと一息竹の春


三六  空蝉の爪先に残る力あり


三七  夢を見ん花筏に乗る蟻とても


三八  そっと咲き艶やかに実る七竃


三九  何色の照葉となるや秋の我


四〇  なぜかしら夢で泣いてた冬支度


四一  この手首か細く白く百日紅


四二  走馬燈回す力も弱くなり


四三  老いた手に重たすぎる花池に零し


四四  気が付けば月を見ているもうそろそろ


四五  豊の秋背中丸める稲穂かな


四六  春風に託すいつかの礼と詫び


四七  散ってこそ赤い実となれ花苺


四八  落ち惜しむ銀杏紅葉や右左


四九  今まさに風に溶けゆく冬の蝶


五十  病室で手を握り合う二人静 



  タチヨミ版はここまでとなります。


四拍子三小節で綴る いのち

2018年1月10日 発行 初版

著  者:近藤いずみ
発  行:Bambooshoots

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