Photographs taken in Hota
HOTABUNKO
NOBUAKI MAEDA
この本は、私が南房総の保田で撮影した風景を収めた写真集です。撮影地は主に保田の南に位置する海岸地、「鱚ヶ浦(きすがうら」)や「大六(だいろく)海岸」の界隈です。鱚ヶ浦に生まれ育った私が、なぜこのような写真集を作ったのかというと、ちょっとした動機があります。
幼いころから近隣の風景や、この界隈に佇む古別荘たちの雰囲気を好んでいた私は、今からおよそ7年前、地域に残る古い別荘について、そのいわれを調べてみようと思い立ちました。お年寄りに昔のことを聞いたり本を調べたりしていくうちに、鱚ヶ浦と大六の周辺は、大正時代から戦前にかけて、多数の教育者や実業家らが集中して別荘を構えていた場所であったという事がわかりました。2017年には調査で知りえた事柄をまとめ『注訳 保田日記』と『保養地保田 きすがうら事典』という2冊の本を作りました。この取り組みによって、私は具体的なエピソードとともに今まで見えていなかった地域の姿やその魅力に気付くことができました。調査に取り組みながら、私は「この界隈が別荘人に親しまれたのはいったいどうしてなのか?」という素朴な疑問を抱くようになりました。
「居は気を移す」という言葉がありますが、人は自らの気持ちや精神をよりよくする場所を探しているのではないでしょうか。人が風光の良い場所に身を置きたくなるのは、そのような精神的な営みのうちの一つのように思います。幼いころから慣れ親しんだ環境そのものが、人を惹きつけるものであったとしたら、それは私にとっては、とてもうれしいことです。現存する別荘たちは、過去の人々がこの土地を気に入ってくれたことの証のようにも見えてきます。
この写真集に出てくる写真たちは、私自身が、日常生活の中で気に入った瞬間や、調査の途上で発見した景色たちです。
2018.1.10 保田文庫 前田宣明




























2018年1月10日 発行 初版
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