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判例六法 完全制覇 一問一答式問題集 民法1-2

判例六法ラノベ化プロジェクト

判例六法ラノベ化プロジェクト出版



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  この本はタチヨミ版です。

【問題125】

 次の文章は判例の要旨であるが、【  】の語句を埋めよ。

 法律行為の要素とは、【    】の内容をなし、表意者がその内容に従って、【     】を発生させようと欲した事実であって、客観的に観察し、その事実につき錯誤がなかったら、【    】をしなかったであろうと認めることが【    】であるものを指す。
 法律行為の要素とは、【         】であって、【    】というのは、各法律行為において、表意者が【    】の内容部分となし、この点につき、錯誤が無かったら、【    】しなかったであろうと考えられ、かつ、【     】ことが、【       】に照らし、妥当と考えられるものをいう。

【問題125】解説

 要素の錯誤の意義について述べた判例の要旨である。

 法律行為の要素とは、【意思表示】の内容をなし、表意者がその内容に従って、【法律上の効果】を発生させようと欲した事実であって、客観的に観察し、その事実につき錯誤がなかったら、【意思表示】をしなかったであろうと認めることが【合理的】であるものを指す。(大判大正5年7月5日)

 法律行為の要素とは、【法律行為の主要部分】であって、【主要部分】というのは、各法律行為において、表意者が【意思表示】の内容部分となし、この点につき、錯誤が無かったら、【意思表示】しなかったであろうと考えられ、かつ、【表示しない】ことが、【一般取引の通念】に照らし、妥当と考えられるものをいう。(大判大正7年10月3日)

【問題126】

 保安林の売買契約において、買主が国だと誤信したために、売買契約に応じたが、実際は、別人が買主だった場合は、買主に関する錯誤であり、要素の錯誤と認められ、かつ、錯誤につき売主に重大な過失なきものとして売買を無効と認めてもよい。

【問題126】解説

 正しい。

 判例は、買主に関する錯誤を要素の錯誤として売主の売買無効の主張が認められるケースがあるとしている。(最判昭和29年2月12日)

【問題127】

 借受金債務と売買代金債務を相殺する目的で、売買契約を締結した場合において、買主が債権者ではなかった場合でも、売買契約の要素について売主に錯誤があつたものとは言えない。

【問題127】解説

 間違い。

 実質的な代物弁済が主たる目的であるから、買主が債権者であることが、売買契約の要素と言える。判例は次のように判示している。

 不動産の売主が、代金の一部の清算について、買主との間で、売主はその兄が買主に対して負担する借受金債務を引き受け、これと代金債務とを対当額で相殺する旨特約した場合において、当該売買契約は右借受金債務の弁済をも目的として締結されたものであるのに、買主は当該債務の債権者ではない等の事情があるときは、右売買契約の要素について売主に錯誤があつたものというべきである。(最判昭和40年10月8日)

【問題128】

 山林を造材事業に供する目的で買受ける契約がなされた場合、買受人において、その北側山麓に開鑿道路が開通し造林事業上極めて有利である等の説明を信じ当初の買受希望価額を上廻る代金で買受ける契約をしたが、実際は、北側道路の存在しない場合、買受人に錯誤があったと言える。

【問題128】解説

 正しい。
 判例も次のように判示している。

 山林を造材事業に供する目的で買受ける契約がなされた場合、買受人において、その北側山麓に開鑿道路が開通し造林事業上極めて有利である等の説明を信じ当初の買受希望価額を上廻る代金で買受ける契約をした等、判示事実関係のもとでは右北側道路の存在は売買契約の要素である。(最判昭和37年11月27日)

【問題129】

 次の文章の【   】に当てはまる語句を埋めよ。

 Aは、パン屋さんを営んでいる。ジャム製造業者Bとの間で、イチゴジャムの売買契約を締結していたが、Bの債務不履行があったため、契約解除しようとした。
 このことについて、Bとの和解契約が締結され、代物弁済として、BがAに甲印のイチゴジャムを引き渡すこととした。Aは、甲印のイチゴジャムが高級イチゴジャムだと誤信していたが、納品されたものは、粗悪品のジャムだった。

 この場合、Aは、和解契約においてした意思表示の重要な部分に錯誤があつたということができるので、錯誤による取消を【          】一方、民法第五百六十六条(改正法)の規定の適用は【      】。

【問題129】解説

 この場合、Aは、和解契約においてした意思表示の重要な部分に錯誤があつたということができるので、錯誤による取消を【主張することができる】一方、民法第五百六十六条(改正法)の規定の適用は【排除される】。

 次の判例の通りである。
 一 仮差押の目的となつているジヤムが一定の品質を有することを前提として和解契約をなしたところ、右ジヤムが粗悪品であつたときは、右和解は要素に錯誤があるものとして無効であると解すべきである。
 二 契約の要素に錯誤があつて無効であるときは、民法第五七〇条の瑕疵担保の規定の適用は排除される。(最判昭和33年6月14日)

 なお、債権法分野の改正に伴い、瑕疵担保責任の規定は、不適合の担保責任に改められている。改正法の解説を確認しておこう。

※民法改正法
(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第五百六十六条 売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。

【問題130】

 甲は自らの子について、養子たるべき者の代諾権者として、乙、丙夫妻と養子縁組を締結したが、乙とのみ交渉し、養子縁組の成否について養母たるべき丙の意思を直接に確認しなかった。この場合、甲に重大な過失があると言えるので、養子縁組について、甲から錯誤による取消を主張することはできない。

【問題130】解説


 間違い。
 判例は同様の事例で次のように判示している。

 養子縁組の成立に関し、甲(養子たるべき者の代諾権者)が乙、丙(養親となるべき者)と養子縁組をする際、同養子縁組の成否について養母たるべき丙の意思を直接に確認しなかつたとしても、これをもつて甲に重大な過失があつたものとはいえない。(最判昭和40年6月25日)

【問題131】

 甲は、乙に対して100万円の債権を有している。乙は、現金を調達できる見込みがないため、自らが所有する水田が100万円に見合うものだと甲に説明、同水田を引き渡すことで弁済する旨を申し出、甲も承諾し、代物弁済契約を締結した。
 ところが、水田は、現状のままでは殆んど耕作に適しない不毛地であった場合は、右代物弁済契約における甲の意思表示は、目的物件の価値について錯誤があり、右錯誤は、法律行為の要素に関するものであるといえる。



  タチヨミ版はここまでとなります。


判例六法 完全制覇 一問一答式問題集 民法1-2

2018年8月30日 発行 初版

著  者:判例六法ラノベ化プロジェクト
発  行:判例六法ラノベ化プロジェクト出版

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