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海になっちゃった
雨がざんざんふりました。
「こんなにふったら、おそとが海になっちゃうよ・・・」
たっくんはその夜心配で、なかなかねむれませんでした。
次の日、目がさめると、たっくんはあわててカーテンをあけてみました。
「たいへんだ。ほんとうに海になっちゃった!」
たっくんが海にはいってみると、水はたっくんのひざまででした。近所のお友だち、いーちゃんとくらぼんにそうだんしました。
「どうやって学校まで行こうか。」
「そうねえ・・・。水着を着て水中かけっこで行こうか。」
「うん、それがいい。それがいい。」
3人は水着を着て、水中かけっこで学校まで行きました。
学校に着くと、先生もみんなも水着すがたでした。
帰りの時間になりました。見ると、水の深さはこしまでになっていました。
「これはちょっと、水中かけっこでは帰れませんね。」
先生がいかだやヨットやうきわを、みんなにかしてくれました。
「ぼくいかだで帰る。」
くらぼんが言いました。
「わたし、ヨットがいい。」
いーちゃんが言いました・
「じゃあ、ぼくはうきわにしよう。」
たっくんが言いました。
くらぼんといーちゃんは、スイスイと帰っていきました。たっくんは、プカプカと帰っていきました。
その夜も、雨はじゃんじゃんふりました。
次の日、6時に目がさめると、たっくんの足は8本になっていました。
そして、水の深さはたっくんのかたくらいまで、深くなっていました。
「学校へ行ってきまーす。」
たっくんは8本の足で泳いで行きました。
とちゅうで、いーちゃんとくらぼんに会いました。
いーちゃんは、10本足になっていました。
くらぼんも、何本かよくわからないけど、うじゃうじゃ足がはえていました。
学校に着くと、先生の足は大きなさかなのしっぽみたいになっていました。みんなの足も、泳ぎやすいさかなのしっぽの形になっていました。
帰りの時間になりました。先生が言いました。
「きょうはみんな、足が泳ぎやすくなっているから、スイスイ泳いで帰れますね。」
3人は競争でスイスイ泳いで帰りました。
その夜も、雨がじゃんじゃかふりました。
次の日目がさめると、たっくんはタコになっていました。水の深さは、たっくんの背たけをこえていました。
「学校へ行ってきまーす。」
たっくんは、海にもぐって行きました。
とちゅうでいーちゃんとくらぼんに会いました。
いーちゃんはイカに、くらぼんはクラゲになっていました。
学校に着くと、先生が言いました。
「たっくんはタコになりましたか。いーちゃんはイカですね。くらぼんはクラゲですか。先生はクジラになりました。」
ほかのみんなも、いろんなさかなになっていました。
帰りの時間になりました。先生が言いました。
「きょうはみんな、もぐって帰れますね。」
3人は、海にもぐって帰っていきました。
その夜は、雨があがって静かな夜でした。
次の日目がさめると、もう海はなくなって、水たまりが少しあるだけでした。
たっくんも、いーちゃんも、くらぼんも、人間にもどっていました。
3人はふつうに歩いて学校へ行きました。
学校に着くと、先生もみんなも人間にもどっていました。
「みんな、無事人間にもどれましたか。先生も無事人間にもどれました。」
帰りの時間になりました。先生は言いました。
「みんな、きょうは歩いて帰れますね。」
3人はふつうに歩いて帰りました。
話はこれでおしまいです。でも、ちょっとだけつけたしをすると・・・
たっくんのうちのその日の夕ごはんのおかずは、すだこでした。いーちゃんちはするめでした。そして、くらぼんのうちはなにかというと・・・きくらげでした。・・・あらら・・・?
~ひとこと~
大雨が降った日、子どもが心配そうに言いました。「こんなに降ったら、海になっちゃうよ・・・これじゃあ、学校行けないよ。」そこで、大雨の日に、どうやって学校へ行ったら楽しいか・・・・・・へんてこりんなお話を思いつきました。
2001年 6月
2018年10月23日 発行 初版
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