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ハーバリウムの作り方
硝子ドームのハーバリウムの作り方
野草ドライフラワーの作り方
矢車草
片喰
露草
大犬ノ殖栗
虎杖
羊蹄
犬蓼
丸葉紅
瘡の王
ハーバリウムの作り方はいたって簡単です。
用意するものはドライフラワーもしくは市販のブリザードフラワー。それらを密封できる瓶に詰めて手芸店などで売られている流動パラフィンを入れれば出来上がり。ベビーオイルや液体のりでも代用できるそうです。
手作りする場合は、瓶などの消毒はよくしましょう。そうでないと制作してから、内側にカビがでてしまうことがあります。
ドライフラワーも専用のシリカゲルを使用して作ることができます。湿気をとることができないとシリカゲルから取り出して何日かすると腐ってしまいますので、その点に注意してドライフラワーはつくりましょう。
植物を入れるさいは、表と裏を意識して入れるといいでしょう。中心にメインとなる植物を据え、それを引き立てるように背景になる植物、脇に飾る植物を入れるようにすると見た目も綺麗なハーバリウムが作ることができます。
試験管など細長い瓶を使用する際はイネ科や蔓化など、葉やすっと茎が伸びた植物を入れると見栄えがいいです。よく通販などでも売られている丸いハーバリウムの瓶などには、薔薇や椿など見栄えのいい円を描くようなお花を入れるとよく似合いますよ。
通販のハンドメイドなどではよく硝子ドームのハーバリウムが売られていることがあります。小さな硝子のドームに閉じ込められた植物標本。可愛らしいですよね。
昨今人気になってきたハーバリウムですが、硝子ドームのものは普通のインテリアショップなどではあまり売られていません。
どうもアクセサリーやキーホルダーとして常に身に着けていることになる硝子ドームは、あまり市販では出回っていないようなのです。
最近では小さなハーバリウムもガチャで出ているようですが、硝子ドームのハーバリウムは液漏れが悩みの種です。
瓶のハーバリウムと違って、硝子ドームは接着して蓋をする必要が出てきます。その接着が上手くいかないと中の液が漏れてしまい、数日たつと液が抜けってしまうこともあります。どうもその辺りがネックになって市販の量販店ではあまり売られていないようなのです。
最近では硝子ドームと蓋の接着にレジンを使用しています。お花と液を入れた硝子ドームの入り口をレジンで塞ぎ、その固まったレジンの上に冠付きの蓋をレジンで接着してできあがり。あとは液漏れがない確認して、無事だったら完成です。
入れるのはカスミソウなどの比較的小さなお花。また、花びらや小さな植物の実、葉っぱなども硝子ドームの中を鮮やかに彩ってくれます。
色違いのお花をたくさん入れて見ても見栄えがいいですし、表と裏を決めてメインになる花を中心に背景に花びらや葉を入れてみるのも綺麗です。
ハーバリウムは退色が問題になります。飾っておくと紫外線などの影響で液につけていた花が劣化して、色が褪せていく現象。これが退色です。
市販のハーバリウムではこの退色を防ぐために着色されたブリザードフラワーが使用されています。ハーバリウムの検定はいくつかありますが、その検定においてもブリザードフラワーや指定のハーバリウムの瓶を使うことを推奨する協会が多いいそうです。
逆に野草を使ったドライフラワーは、ハンドメイドのハーバリウムでもあまりみかけません。ほとんどは市販のブリザードフラワーを使ったものが多いいように見受けられます。
ですが、この退色の過程がなんとも美しいんです。色を残したまま花びらが透けて退色するものもあります。色がすっかり落ちてしまっても、白く透明な花には何とも言えない美しさがあります。
一部が茶色く変色するものもありますが、植物は枯れても美しいもので、これが何とも言えない味わいを醸し出すんです。ネモフィラ科のオオイヌノフグリでこの傾向が少し見られますが、虎杖の花と一緒に硝子ドームに入れてやると、冬枯れた季節にぴったりな作品ができるからとても不思議です。
逆に、着色をしていなくても色が落ちない花もあります。椿や菊の花は退色しにくく、人に贈るハーバリウムを作るさいにもぴったりな花です。
野草の花は小ぶりなで目立たないものが多いいですが、逆にその小ささが硝子ドームのハーバリウムを作るさいにはいい方向に働きます。普通の瓶では目立たない花も、小さな硝子ドームの中では思いっきりその魅力を表現することができるのです。
この野草ですが、ドライフラワーにするとなると少しばかり難しいです。ネコジャラシのようなイネ科の花なら天日に吊るしておいても十分素敵なドライフラワーができますが、日没とともに花を閉じてしまうものは、採取してから1時間以内に処理しないと綺麗なドライフラワーはできあがりません。家に持ち帰る前に花が萎んでしまうのです。
特にカタバミや露草、タンポポは取ってからすぐにシリカゲルに入れてやらないと花が萎れてしまいます。あらかじめこれらの花が自生している場所を探っておいて、花が欲しいときにまっすぐ取りに行くのが1番良いと思います。
次の章からはそんな可愛らしい野草たちをご紹介したいと思います。
正式名称は矢車菊。同名の矢車草と区別するためにこの正式名称がついたそうです。古代エジブト時代から栽培されており、日本には明治時代に渡来しました。図鑑などでは園芸用の草花として紹介されていることが多いいのですが、春から冬にかけて道端や空き地などで咲いているのを多くみかけます。
名前の由来は矢車に似ていることから来ているそうです。よく見られるのは八重咲の見栄えのする品種のもので、水色や青色、濃い紫や白色。桜色を想わせるピンク色など、花色も豊富です。
シリカゲルから出すときに花の形が崩れてしまうことが多いいです。
矢車草の花びらは硝子ドームの加工にはとても使いやすく、創作には欠かすことのできない花でもあります。キク科の花のため退色も少なく、様々な加工に適しています。花の形が金魚の尾鰭のようで、その形を活かした作品を作るのも楽しいです。また、硝子ドームの背景としても活躍するので、この花がなくなったら硝子ドーム自体が作れなくなるかもしれません。
庭先に咲くこの小さな花は、家紋としても好んで使用されてきました。葉が酸を含むため、古くは金属や鏡を磨くためにも使用されていたといいます。黄色い花は日没に、葉と共に閉じられます。シロツメクサの葉とよく混同されますが、カタバミの葉はハートの形をしており、そこから違いがわかるそうです。葉の赤いアカカタバミは花の中心に赤い模様が入ります。赤みの薄いものはウスアカカタバミと呼ぶそうです。
また江戸時代末期に園芸用として持ち込まれたムラサキカタバミもよくみかけます。南アメリカ原産のムラサキカタバミは、石垣の隙間などに咲いています。カタバミより大きくピンク色の花を咲かせるこの品種には、イモカタバミというよく似た花があります。ムラサキカタバミよりもイモカタバミの花は濃く、花も10以上つけるそうです。また、イモカタバミはふれると花粉がつき、ムラサキカタバミはつきません。その違いから両者を区別することができます。
また、カタバミの仲間は繁殖もしやすく育てやすいため、オキザリスの名でさまざまな種類のカタバミが販売され、雑草化しています。花の色は黄色ですが日本在来のそれよりも花が大きく、葉などが上方を向いているオオキハナカタバミもよくみかけられます。
カタバミは日没と共に花が閉じます。採取するなら日が落ちる前がいいでしょう。また、摘んでから萎む時間がとても短い花であるので、採取から1時間以内にはシリカゲルの中に入れるようにしてください。
硝子ドームに入れるさいはメインの花として活躍します。退色すると透明がかった黄色い花びらがとても美しいです。アカカタバミは花の色が薄くなってしまうので、同じ色をなるべく楽しみたい場合は、よく咲いている黄色いカタバミをご利用することをお勧めします。
ムラサキカタバミは退色すると薄い桃色になります。カタバミよりも花も大きいので、大きめな硝子ドームの作品に向いているかもしれません。
古くから日本人に親しまれる露草は、梅雨の訪れを告げる花としても親しまれています。初夏から秋にかけて咲くその青い花を好きな人は多くいます。友禅染の下絵としても使われていた花びらは、硝子ドームの中に閉じ込めても褪せることはありません。
個性の強いユニークな形から、露草を美しく硝子ドームに閉じ込めるのは至難の業です。そのユニークさを物語るのが、花の奥にある派手な黄色い雄しべです。この雄しべ。実は虫をおびき寄せるための囮なんだとか。本物の雄しべは花の前に突き出た髭のような白い部分だそうです。その髭の真ん中も偽物の雄しべという拘りよう。これほど捻くれものの花もそうはありません。
花の開花も半日ほど。摘んでもすぐにしぼんでしまうため、人気がある割にハーバリウムにするハンドメイド作家さんも少ない花でもあります。たまに色違いの花もあり、薄紫のものはハーバリウムにすると透き通る水色に退色していきます。
北アメリカ原産のムラサキツユクサも野生化したものが河原などに咲いています。日本の露草よりも大きく、花は2㎝ほど。
よくみかけるオオムラサキツユクサは、3枚の大きな花弁と中心にある黄色い雄しべが特徴的です。紫色の花は花脈が美しく蝶の翅を思わせます。退色しても透明な美しい紫色になるので、硝子ドームの背景などによく使っています。大きめの硝子ドームに花を入れても綺麗ですよ。
犬の陰嚢にいていることからつけられた名前を裏腹に、オオイヌノフグリはネモフィラ科に属する小さなネモフィラとも呼べる花です。3月の末から冬の陽気の良い日でも見られるこの蒼く小さな花は、明治時代にヨーロッパから渡ってきました。
在来種のイヌノフグリよりも大きいことからこの名前がつけられ、今ではほとんどみなくなったイヌノフグリに代わって日本のいたるところに生えています。
摘んでしばらくすると花が額から離れてしまうオオイヌノフグリ。ですが萎むことはなく、多くのハンドメイド作家さんも春先になると桜と共にオオイヌノフグリを使ったハンドメイドのインテリアやアクセサリーを作ります。
深い露草の青と違い、空の蒼を想わせるオオイヌノフグリの硝子ドームは、昨今話題になっているネモフィラの丘のよう。私はミニチュアネモフィラと呼んで、そんなオオイヌノフグリの硝子ドームを覗き込むのが好きです。蒼い花が浮いている様子を硝子越しに見ると、まるでまるでネモフィラの丘にいったかのような気持ちになれるから不思議です。
オオイヌフグリは花の中央が茶色く退色しますが、その美しい蒼い色は何カ月たっても褪せることはありません。
去年の夏に私は蔓状の小さな花をつけた植物が生えていることに気がつきました。小さな花の形は桜にも似ていて、その色は可憐な霞花と同じ白。そんな美しい花がいたるところに生えていて、私は夢中になって名の知らない白い花たちを集めました。
植物図鑑で調べたところ、どうもそれはイタドリの花のようです。採取した花は微妙に花の形が違うのですが、どうも私はイタドリの雄株と雌株の花を両方手に入れていたようなのです。
雄株の花は触覚のように突き出た8本のおしべが特徴的です。ハーバリウムを作るときも、このおしべのお陰で雄株の方が華やかに見えます。逆に雌株の花は控えめです。半透明のめしべを退化したおしべが囲んでいます。雌株は紅色を帯びるものもあるそうです。
別名はすかんぽといって、若い芽をかじると酸味があってすっぱいことからそう名付けられたそうです。また虎杖の若葉を噛み潰して傷に塗ると痛みが和らぐことから、虎杖と名付けられたとも言われています。漢字の虎杖は若い茎が虎の縞模様の杖に見えることから来ているそう。実際に、枯れた虎杖の幹は杖にも使われています。
イタドリの幹の先端は細かく枝分かれしているため、花のついた細い枝先をそのまま硝子ドームに閉じ込めても綺麗です。星のように細やかに咲いた花たちは、銀河のようにも見えるし、春に咲いた桜にも似ています。
形状がカスミソウに似ているので、カスミソウの代わりに他の花の引き立て役にもしていいです。花だけを他の花と一緒に硝子ドームに入れても綺麗な作品ができあがります。
ドライフラワーのときには白い色をしています。退色すると1週間ほどで濃いクリーム色になるので、その点に考慮して作品を作りましょう。
虎杖と同じタデ科であるこの植物は名前が由来が分かっていません。振るとギシギシと音が鳴ることから名前がつけられた。身がぎっしりつまっているからこの名になったなどいろんな説があるそうです。
漢字だと羊蹄と書き、これは葉の形が羊の蹄に似ていることから来ているそうです。湿った河原の土手や公園などによく生えているギシギシですが、スイバと見間違うことがあります。
ギシギシの葉が青いのに対して、スイバの葉は赤く、スイバの葉は矢じりのような形をしています。また、ギシギシは外国からさまざまな仲間が帰化しており、日本在来のギシギシとの区別が分かりずらい部分があります。図鑑にもあまり詳しく載っていないので、この辺りの区別がとにかくつきにくい。
スイバとギシギシの違いですら分かりにくい……。私が採ってきたのは赤くなったギシギシの実なのですが、もしかしたらこの実はスイバの実かもしれません。
このギシギシの実、去年の6月か7月頃に形が面白くてとってきたものなのですが、花瓶で数日飾っておいたら見事な赤色になりました。初夏の季節は赤い花が少ないので、ギシギシの実の赤には驚いたものです。その後、美しいギシギシの赤い実を夏の河原ではよく見かけました。
このギシギシの実、ハーバリウムにするとその赤が透けてさらに鮮やかになります。メインの花に添えてもいいし、ギシギシを小さな硝子ドームに入れると個性的な作品ができあがります。ギシギシの実が硝子ドームの中で動く様子はとても遊び心があります。
ただ、この赤い実の美しい時期は本当に短い間だけらしく、ちょっと色の薄いものをハーバリウムにすると茶色っぽく退色していきます。ギシギシは川原にたくさん生えていますが、赤い実を手に入れるのは中々に大変です。
香辛料としてタデ酢などに使用されるヤナギタデに似ていますが、葉に辛みがなく食用にならないことからイヌダテとよばれているようです。
夏から秋の初めにかけて咲くイヌダテはカマンマとも呼ばれ、赤飯に見立てておままごとでも使われてきました。紅葉したイヌダテの葉は、それはそれは見事な蘇芳色に染まります。
紅色に染まったイヌダテをハーバリウムに入れたらさぞかし美しいでしょう。そう思ってイヌダテのハーバリウムを作ってみましたが、見事に1週間ほどで退色しました。退色したあとのイヌダテは白く、中に入った実が透きとおってみえます。
ただ、仲間のオオイヌダテの中には白い花をつけるものもあります。イヌダテより大きなタデ科のオオイヌダテはハーバリウムにしても色がもともと白いせいか、種が透きとおって見えるぐらいの変化しかありません。
また、同じダテ科の植物にオオケダテと呼ばれる帰化植物があります。在来のタデ科よりも大きなオオケダケは東南アジアから江戸時代に園芸用として持ち込まれたものです。山の林などに生えるオオケダケは赤紫色の美しい花と実をつけます。ハーバリウムにしてもオオケダケは退色することはほとんどなくその美しい色を保ち続けます。
オオケダケの花は硝子ドームのメインにしても可憐で華がありますし、実はメインの花に添えても美しい赤紫でその存在を引き立てます。
秋になると朱色のラッパ型の花がいたるところで咲きます。蔓化のこの植物は、マルバルコウといい熱帯アメリカ原産の帰化植物です。江戸時代に観賞用として日本に入ってきたこの植物は、関東地方の西方から沖縄にかけて分布しています。
朱色の5角形の花は中央と花の先端が山吹色をしており、花からは白いおしべとめしべが触覚のように突き出ています。
何ともユニークなこのマルバルコウには細い線上の葉をつけるルコウソウ、この両品種を親に持つ園芸用のモミジマルバルコウなどの仲間がいます。
また、朱色ではなくオレンジ色の花をつけるものもまれにあります。
鮮やかな朱色が印象的なマルバルコウですが、そのユニークな形はどことなく泳ぐ金魚を連想させます。また、鮮やかな朱色が退色することもほとんどありません。ルコウソウの白と合わせれば、金魚と銀魚を模したハーバリウムの硝子ドームを作ることも出来るかもしれません。
クサノオウはケシ科クサノオウ属に属する有毒植物です。薬としても使われます。クサノオウの語源は薬草として優れている草の王からきているという説もあります。春から秋の初めにかけて荒地などに咲くクサノオウは、鮮やかな黄色い4つの花びらが特徴的な花です。丸みを帯びた花びらや、茎や葉からでる黄色い汁は毒であるアルカノイドを含みます。そうとは知らず採っていた時期もありました。
シリカゲルから取り出すときにクサノオウは花びらが分解しやすく、崩れてしまことが多いいですす。ただ、その花びらの黄色はハーバリウムにしても退色することなく鮮やかさを保ち続けます。クサノオウの花を硝子ドームに閉じ込めても、花の中心にある茎の芯が個性的で面白い作品に仕上がります。
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2019年2月2日 発行 初版
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