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この本はタチヨミ版です。
謎の多いベンチャーキャピタル。通称VC。
起業家が会社を興し、株式公開を目指す過程で現れてくるのが、ベンチャーキャピタルです。
私は以前東証一部上場企業のベンチャーキャピタリストとして、実際に多くのベンチャー企業経営者と接触してきました。
多くのベンチャー企業経営者は、ベンチャーキャピタルの存在は知っているものの、その実態や実情を知る人は非常に少なかったと思います。
謎多き組織体、とも言えるのかもしれません。
今回はベンチャーキャピタルとはどのようなものなのか、実際はどのような投資意思決定がなされているのか、実際にベンチャー投資を行っていたベンチャーキャピタリストとして、その実情についてお伝えいたします。
そもそもベンチャーキャピタル(VC)とは?
多くの方はベンチャーキャピタルとは何ぞや?という疑問を持っていると思います。
まずは、基本中の基本ですが、ベンチャーキャピタルとはどのようなものか、改めて見返してみたいと思います。
ベンチャーキャピタルとは、ご存知、投資家の集合体であるファンド投資を行う機関・会社です。
もう少し詳しくご説明しますと、「未上場でありながら大きな成長可能性を秘めている企業に対して、アグレッシブに資金を投資・支援し、大きなリターンを狙う投資ファンドを運営する機関・会社」のことを指します。
個人投資から集めた資金を運用するファンド、企業から集めた資金を運用するファンドがありますが、企業の自己資金のみで資金提供をしているケースもあります。
私が所属していた企業は、企業の自己資金のみで資金提供をしているベンチャーキャピタルでした。
出資をメインに行っているベンチャーキャピタルもありますが、経営コンサルをメインに行っているベンチャーキャピタルもあります。
つまり、ベンチャーキャピタルとは、資金以外にも、「経営ノウハウ」「人的ネットワーク」を提供し、共に成長する、という理念を持っているベンチャーキャピタルもあります。
ベンチャーキャピタルと銀行との違い
多くの方はご存知かもしれませんが、銀行や金融機関関は貸付提供資金に対する「貸付金利」で収益を上げています。
企業側からすると「借入金」となります。
しかしながら、ベンチャーキャピタルは「金利」目的ではありません。
ベンチャーキャピタルは投資先企業の株式を保有する代わりに、資金を提供します。
投資先企業が成長し、株式公開や企業合併などで得た、リターンを目的に投資していきます。
そのため、投資した企業が倒産した場合、保有株式の価値はなくなり、紙くずとなります。
多くの投資先は倒産または廃業という現実が多く、倒産率の方が高いため、ベンチャーキャピタルの投資はハイリスクハイリターンとなります。
大きく成長した企業がIPO(新規上場)した場合、数十倍~百倍、または、それ以上のリターンを得る事ができますが、ほんの一握りの企業となります。
ベンチャーキャピタルは貸金ではないため、出資を受ける側に返済義務はありません。
しかしながら、一部のベンチャーキャピタルの投資契約に返済義務に近い文言が入っているケースもありますので、もし、投資を受ける際、しっかりと投資契約の内容を把握することをお勧めいたします。
ベンチャーキャピタル(VC)の種類
ベンチャーキャピタルには、いくつか種類があります。
大きく分けて4つに分類されます。
①金融機関系
証券、銀行、保険会社が設立しているベンチャーキャピタルです。
融資先の確保が主な目的としている場合が多いです。
日本のベンチャーキャピタルは、金融機関の影響力が強かった過去の経緯もあり、金融系のベンチャーキャピタルが多いのが実情です。
金融系のベンチャーキャピタルの特徴としては、元銀行出身者などのベンチャーキャピタリストが多く、「貸付」に近い投資形態を持つ場合が多いような気がします。
元銀行マンという方がいらっしゃる、という印象です。
②政府系
政府や公共団体によって設立されたベンチャーキャピタルです。
特徴はグローバル推進、技術力の高いベンチャー・中小企業に積極的に投資する傾向にあります。
公的機関によるベンチャー投資的色彩が強く、投資分野は政府・行政の意向が強く働きます。
政府や行政の意向、各種方針、中小企業白書などを見て、今の政府がどのような方針・分野を強化しているかを把握すると、投資されやすいのか、投資されにくいのか、見えてきます。
タチヨミ版はここまでとなります。
2019年5月24日 発行 初版
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二千社以上企業訪問してきた東証一部上場企業のベンチャーキャピタリスト