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この本はタチヨミ版です。
初めに。
公立、一般の中学校ではなく、あえて私立・中高一貫校の中学に通うことを決めた方、これはむしろ、『通わせる』ことを決めた『親御さん、ご家庭』の方向けに、これから先、厳しい現実の『可能性』を示す形になることをお断りさせて頂きます。
付属の小学校から内部進学が決まった、あるいは受験で合格して、親子ともに、夢や希望に向かって頑張ろうとしている所に、夢も希望もない無粋な、非情な言葉を投げかけることになるかもしれませんが、多くの私立校・中高一貫校生の『進級・進学』の問題を見てきたからこその、『偉そうな』助言、忠告や勧告だと思って下さい。
多くの私立校・中高一貫校生と書きましたが、その多くが、『進級・進学』の問題が表面化してきて、塾や家庭教師に駆け込まれる方、その傾向になりつつある方を見てきての話ですから、全ての私立校・中高一貫校生に当てはまるわけではないですが、その傾向になる可能性があることは、全ての私立校・中高一貫校生に当てはまることだと思います。
自分に限って、あるいはうちの子に限って、『そんなこと』にはならないと、思いつめ、思い込んでいると、対応が遅れ、さらにはその先に『予定』されていたかのように、進級・進学の問題を抱えることになります。
そのことをよく考えた上で、これから先書くことが、少しでも参考になればと思います。
冒頭から、すでにうざい、偉そうな説教に感じられたかもしれませんが、何の権限も、権力もない第三者の戯言や助言などは、気にされなくても結構です。
しかし、今後、『入学した』私立校・中高一貫校では、学校が、先生が、成績の、進級・進学の、進路の『決定』を行う権限、権力があるということ、そして、その審査・評価を行うということに、気を付けて下さい。
学校が、先生が、お子さん、あるいは親御さん、ご家庭の意向に、都合に合わせてくれて、『何でも』やってくれる、許してくれる、(願いを)聞いてくれるわけではありません。
そのことを勘違いしていると、私立校・中高一貫校は、やたらと厳しくて、融通が利かなくて、『何もやってくれない』存在のように感じて、『親子』共々、学校や先生と喧嘩別れするかのように、去っていくことになります。
中学生という多感の時期の、一時の過ち、感情で、様々な未来、可能性を、自ら、あるいは親御さん、ご家庭の方の意向で、都合で、『潰して』しまうことのないように、釘を刺させて頂きます。
私立校・中高一貫校において、進級・進学の審査・評価の大前提、条件は、『成績』、つまり『勉強の結果』となります。
一部、スポーツ科などがある学校では、そのスポーツなどにおいて、目覚ましい結果を出せば、その先に続く道も用意されているかもしれませんが、普通科の、一般科の、クラスにおいては、この大前提、条件が、進級・進学の合否を決めることになります。
そして、それらは各学年各学期に『記録』されていく、テストの点数、成績によって、照らし出されることになります。
人間なんだから、それもまだ幼い子供なんだから、一回二回の失敗ぐらい、一度や二度の挫折ぐらい、反抗期になって、ちょっとの騒ぎを起こしたぐらい、目くじら立てて怒らなくても、重箱の隅をつつくようなことをしなくてもと思われるかもしれませんが、学校、先生は、そして何より過ぎ去る月日、その間に『記録』されていく数字・数値は、『そんなこと』関係ありません。
その間でも、そうしていることも、学校、先生は、淡々と『記録』し、審査・評価を続けていくことになります。
いやいや、最後の最後、挽回して、『人並み』になったんだから、今までのことなど『帳消し』にしてよ、許してよ、何とかしてよで、済むことはありません。
昨今そうやって、救ってしまったがゆえに、腐っても私立の●●生というブランドがあったのが崩壊し、私立校・中高一貫校なのに、学力の格差が広がって、今やどの私立校・中高一貫校でも、一部の上位の方を除いて、学力の低下、それも『基礎学力』の低下が、問題になってきていることに、学校・先生側は危機感を持ち始めているように思えます。
それを払しょくしようと、改革しようと、各学校各先生が奮闘されているとは思いますが、残念ながら、時代の流れもそうですが、子供達、さらには親御さん、ご家庭の方の、『意識』『認識』が変わってしまった、ズレてしまっているように思われます。
数世代前の受験戦争時代、学歴至上主義的な教育の在り方が正しかったとは言いませんが、その全てを『間違っていた』『悪だ』として、ゆとりある、時代に沿ったものこそが『善』であり、『正しい』ものだと、決めつけて推進してしまったがゆえの、今日の結果があると思われます。
個人的には教育、学力の格差があること自体に、問題を感じません。
これからは個性の時代、個々人の実力・能力の時代、自由に、好きなことを行う権利があり、幼い子供といえど、自我があるわけですから、個々人の主義主張があり、それを認め、自由を許すということであれば、『格差』が出てくるのが、当然のことだと思います。
ですから、『たかだか』学校の勉強『ごとき』のことで、口うるさく、こうしろ、ああしろというのはお門違いだとは思います。
しかしながら、その先に、格差が出た後になってから、下位の評価を受けた方が、上位の評価を受けた方、『同等』『同様』の権利を与えろと権利主張するのは、いかがなものかと思います。
自分がやってきたことには個性を認めろ、好き勝手にやらせろ、勉強なんかしたくない、授業なんか出たくない、宿題なんかやりたくない、テストなんか受けたくないと、『我』を通してきた結果、『進級・進学』できませんとなった時、それを『差別だ』、『不当な扱いだ』と騒ぎ立てるのは、どうでしょうか。
多くの私立校・中高一貫校生を見てきて、『いざ』進級・進学の問題に直面し、それも末期の状況・状態になっているにも関わらず、自分の好きなことに『我』を通す方は、この傾向になることが多いです。
大変失礼ながら、これは『親子共々』、そうされる、そう考えられることが多いです。
部活動やスマホを槍玉にあげますが、他の多くの方がそれらと勉強を両立させて、うまく付き合って、『勉強』に主軸をおいて、勉強においての結果を出して、進級・進学までの進路、未来、将来を掴みとっているわけですから、自分だけ、自分の子供だけ、『特別扱い』せよというのはどうでしょうか。
そういった意識、認識が少しでもある場合、私立校・中高一貫校では、『中学時代』から、悲劇、不幸、地獄の始まりとなります。
私立校・中高一貫校に限らず、中学生になると、大きく変わることとして3つ挙げられます。
一つは『部活動』が始まること、もう一つは『定期テスト』が始まること、そして、最後に、『成績表』が『記録』されること。
部活動は言わずもがなかもしれませんが、意外にも定期テストと成績表に関しての意識、認識が、親御さん、ご家庭の方も『勘違い』していることが多いです。
小学校時代の小テストの延長で、定期テストがあり、『通知表・通信表・通知簿・通信簿』の延長で、成績表を軽んじて考える傾向にあります。
そのことが、入学する私立校・中高一貫校との意識、認識と大きく異なると、中学、さらには高校でも、苦しむことになるでしょう。
学校、先生、各教科の採点基準は異なると思いますが、学校、先生側は『大体』でも、定期テストで何点以上取りましょう、成績において、3以上をキープしましょうと、『告知』しているはずです。
それはもちろん、『毎回』『絶対に』だとか、強く言っているわけではない、ましてや、取れなかったら、即退学ですなどということではないでしょう。
しかしながら、そのことで、勘違いされている方の多くは、この条件を、出来る限り『推奨』します程度に考えられていると思います。
そして、これもまた失礼ながら、親御さん、ご家庭の方も『強く』そう思われていることでしょう。
そうして、いざ、進級・進学の問題が表面化してきた時に、進級・進学の基準や条件に、『1年間、ないし、3年間の成績において』のトータルでの、条件や成績の平均化による基準点の算出などを知り、成績で『1』を取るということがどういうことなのかを知ることになると思います。
同年度(1学期~3学期)における成績で『1』を『2回』取った場合、もう『学年成績』において、3以上という基準を満たすことができません。
義務教育の中学時代は『留年』ということにはなりませんので、次年度持ち越しで補習・追試を受けるか、追加課題を出されるかということになると思います。
そして、3年間(8回の学期、成績)で『1』を『4回』取った教科に関して、進学の審査において、かなり厳しい立場に立たされることになります。
それも『複数教科』でとなりますと、高校への内部進学は取り消される可能性が高くなります。
見てきた経験上で言わさせてもらいますが、仮にその状況・状態で、内部進学『出来た』としても、高校から大学への進学はかなり厳しいものになることでしょう。
こうした現状を知れば、『たかだか』一回二回のテストで、成績でと、軽く考えられないと思います。
その一回、二回が、14~16回ある定期テストの、8回の成績の、どれほどの割合を占めるのか、わかることでしょう。
これから先、改革が進む私立校・中高一貫校で、どこまでが、いつまでが『許される』ボーダーラインとなるかはわかりませんが、中学時代からそのボーダーラインをギリギリで過ごして、『何とかなる』と勘違いしたまま、私立校・中高一貫校で進学していくのは危ういです。
そして、何より、そうしたギリギリから、さらに『落ちこぼれて』しまった場合、中学校時代は、通っている私立校・中高一貫校での、『挽回』はかなり厳しいものになります。
授業の質、進度、テストの難易度も含めると、かなり早い段階での『決断』をし、対応・修正をしていかないと、気付いた時には、受験にも対応できないほどの状況・状態にまで、落ちこぼれる可能性が高くなります。
そうならないためにも、一回一回のテストにおいて、成績において、きちんとした『指標』を、親御さん、ご家庭の方が決めておかないと、私立校・中高一貫校での悲劇、不幸、地獄を止めることは難しくなります。
そのためにも、親御さん、ご家庭の方も含めて、もう一度、これから通うことになる私立校・中高一貫校を、よく知っておくことをオススメします。
次に挙げる内容は、理想的なことのように感じられるかもしれませんが、これから通う学校のレベル・偏差値によっては、やっているのが『当たり前』ということもあります。
親御さん、ご家庭の方も含めて、進学が決まった時期では、まだ中学進学の実感がわかないかもしれませんが、出来る限り準備を進めておくことをオススメします。
①入学する学校を良く知ること。
②毎日自分への課題・宿題を作り、実行すること。
③小学校の総復習をしておくこと。
④部活動を決めておくこと、実際にどんな部活動か見ておくこと。
⑤生活のリズム、特に勉強習慣を整えておくこと。
⑥中学の準備(予習)をしておくこと。
⑦一年間、三年間の目標を決めておくこと。
⑧興味があること、夢や将来についてのことを調べておくこと。
⑨一人でできることを増やすこと。
①入学する学校を良く知ることに関して、当たり前のことではありますが、これから3年間、ないしは6年間、青春時代を過ごす、大事な場所であり、勉強はもちろんのこと様々なことを学び、身につけ、そして巣立っていく場所なのですから、『知らなかった』『わからなかった』では済みません。
失礼ながら、これは親御さん、ご家庭の方『も』です。
なんとなく過ごしていたら、進級・進学はおろか、卒業出来ていたという風になるわけではありません。
進級・進学するには、卒業するには、その条件、基準は、さらにはその先へと進学する際に、どんな選択肢があるのかなど、『後』で知って、間に合わない、点数・成績が足りないとなっても、本当に後の祭りとなります。
このことは大人である親御さん、ご家庭の方『こそ』が、よく知っておき、各学年各学期各所でお子さんと話し合い、導いていかなければ、落ちこぼれていく可能性が高まってしまうことになります。
内部進学できたからOK、受験で合格したからOK、その学校・先生から『認められて』、『ぜひ』入学して欲しいと懇願されて進学できたわけではありません。
そのことをもう一度、冷静に、言い聞かせて、これから先、入学する私立校・中高一貫校の学生として、行動するように、行動させるように努めて下さい。
②毎日自分への課題・宿題を作り、実行することに関して、進学できた喜び、自信、達成感からか、『出来る』と勘違いされていることが多いですが、付属の小学校から内部進学してきた方はわかっていると思います。私立校・中高一貫校は、毎日の課題・宿題が、段違いに多く、そして、その量を『やること』が前提の授業の質、進度、難易度となっています。
それを、部活動やスマホの片手間で、あるいは、テスト前までそれらを『溜め込んで』、直前でなんとかすると甘い見積もり、算段をしていればいるほど、蟻地獄のように抜け出せなくなっていくことでしょう。
進学が決定した後に、お子さん自らが、あるいは親御さんがどんなに言ったところで、『毎日』、『自主的に』というのは不可能に近いとは思いますが、ここで、これだけ『自由』『時間』がある時でも、『やらない』『出来ない』ということを学び、自制、あるいはある程度の強制をしないと出来ないということを知り、どう対応していくのかを考えるようにして下さい。
そうでなければ、進学が決定してから、1学期中間テストを迎えるまでの3~4カ月、内部進学生は半年近くの間、『やらない』『出来ない』でもいい、という意識、認識、何よりも『生活』に慣れてしまうことになります。
そうして、迎える1学期中間テストで、思いもしなかった点数を取って、慌てて、どうにかしようにも、期末テストまでの1カ月で、そういった意識、認識、さらには『生活』を改めることは難しいでしょう。
タチヨミ版はここまでとなります。
2019年5月24日 発行 初版
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