前書き-序盤戦

話の主人公・溝口鉄平は、奨励会出身の棋士ではない。

規定の年齢までにプロ棋士になれなかったため、プロ編入試験で、プロになった棋士だ。

現実に編入試験でプロになった棋士はいる――。

祖父・溝口平蔵九段が到達した三冠を越えるのが、鉄平の当面の目標だ。

鉄平は、まだ二十代という若さ。
「六冠」を狙っている。

さあ、当面の目標である、
祖父・平蔵を越えることができるのか？　

一緒に、読んでいってみよう！　

本作品の全部あるいは一部を無断で複製・転載・配信・送信したり、ホームページ・ブログ・SNS等上に転載することを禁止します。
本作品の内容を無断で改変、改ざん等を行うことも禁止します。
また、有償・無償にかかわらず本作品を第三者に譲渡することはできません。

『銀ならず鉄平』は、フィクションです。

(1)R王の記者会見

記者会見。
フラッシュがたかれる。

「R王獲得、おめでとうございます。
91手で、勝利した、溝口鉄平・新R王です！」

「ありがとうございます」

「棋風として、『銀ならず』を心がけているようですが…」

「心がけています。100％、銀ならずです」

「100％ですか！　珍しいですね。
鉄平さんは、どなたの門下なのでしょう？」

「誰の門下でもありません。自己流です」

「楽々勝ったというイメージの勝負でしたが」

「苦しい戦いでした――」

「ひとまず安心ですね。R王を獲得なさって」

「まだまだ始まりです――。六冠を狙っています」

「となると、HBさんとの戦いもありますが――。
強敵ですね」

「HBさんは、敵ではなく、同志であり、先輩です――」

「とにかく、まだ二十代という若さ。
鉄平さんのこれからの活躍に期待しましょう！」