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理想論に死ぬ現実も、夢の中では誰かの将来。
「後悔しない生き方を」なんて私と関係のない人だけが言う言葉。食べかけのアイスが溶けていくあの時間は残酷だ。あなたの死に方を想像してしまう。
横断歩道の白線が薄れていくから、いつかこの道は渡れなくなる。だから、きっと私の寿命はもう少し。赤信号は、「死なないで」の別表現。
あなたの手をポケットから出せなかったのは、私のせい。
首を切り落とせば、次の目的地は幸福の夢幻。
辿り着いた場所、あの日のあなたのポケットの中。
現実を殺して。ワンダーランド。
詩「ワンダーランド」
孤独は夜の始まりだからどうか気をつけて。
寂れた公園のブランコ、あの子の心、揺れないもの同士仲良くしてよ。
視界を遮るのはいつも不安の二文字と一瞬とほんの少しとそれとあと何かあったはず。
それを避けるように目が踊る。踊ること以外に存在価値を教えない眼球、それならいっそ抉り出してポケットにしまっておいて。火葬場で一緒に燃やしてあげて。
夜の匂い、孤独とおんなじ匂い。
朝は私にひとつだけ嘘を吐いた。それに気づいたら連れていかれる永遠の独り部屋。
ブランコに揺れるあの子はきれいだ。
君はもう、綺麗なもの以外見なくていい。
詩「ブランコと心」
心臓の爆弾は赤を切って救ってあげる。青色が睨みつける私の横顔、それを見て見ぬふりして明日の生き方を考える。
今日は、雲の流れがいつもより早い気がする。だから私は少しだけゆっくり息をしてもいいんだって、独り言。
果実色のスカートが波を立てて、君を連れ去ってくれたらいいのに。恋愛なんて、人のためじゃない、優しさのフリをいつまでする。
もしも次の電車が私を殺さなかったら、愛の言葉でも叫んでみるよ。手が触れる。誰でもない存在に触れる。もしも寿命が砂時計で、もしも好意が磁石で、もしも次の電車が私を殺さないのなら。
もう一度。
詩「赤と青」
踵で紡ぐ音楽、わざとらしさはご愛嬌。頷く速度は一定にして。私以外の言葉を優先する生き方を。君の知らない世界は、私を正当化するためのもの。
一瞬で伝わってしまう裏切りの三秒前。だから、四秒前に信頼をやめる。
余韻は母音の残り香。騒音の一つを取り除いて、言葉を作る。私たちはいつも何かを失って、言葉を作る。いつも何かを失って、言葉が住めるスペースを作る。
残飯処理は誰の役割、ランダムに選ばれる人生ゲーム。
作り置きした愛情。絶望を口にするくせに薬指を切り落とせないのは、弱さだ。
幸せなフリをしてみなよ。踵を鳴らせ。
詩「踵を鳴らせ」
停留所を通り過ぎるバスは、私の望んだ行き先へ。私以外いないバスの中、運転手は人工知能。降車ボタンはいらない、終点まで揺られてく。
髪の色は愛の色。君の髪色は嘘の色。馬鹿馬鹿しい喧嘩も炎天下では無表情。
「憂鬱」の二文字で解決した気にならないで。
それが晴れたら痛みはもういちど目を覚ますよ。いつかって言葉で寿命を延ばした気になって。
あと半分が足りない、もう半分が足りない、生まれた時に落とした半分が足りない。
ピッチの外れた君の歌、私が死ぬ日の子守唄。
私はここでバスを待つ。
詩「停留所」
睡眠時間は大事だよ。
ここは夢の中、日々の外側、死にたいの反対側、誰も知らない私の裏側。
地球の裏側には、私とそっくりな命があるらしい。彼女はどうか、幸せで。
望遠鏡を買った日の夜、奇麗な世界を選んだ日。
世界を変えられる気がした朝、優しさの中で生まれた日。
孤独と死はよく似てる。だから「一人になりたくないな」の言葉を独りで呟くあなたの夢は、きっと叶わないみたい。
ねえ明日、もしもあなたが暇だったら、
一緒に地球の裏側を見に行こう。
詩「デート」
真夜中の公園は宇宙船。子供だけが乗り込める好奇心の円盤は、大人の頭上を浮かんでた。気付けば切れた街灯、該当しない私の病名、大人になった日に通知は来なかった。特効薬の上でつま先立ちしている全人類。貧困の差は幸せの光の裏で笑ってる。
冬、吐いた二酸化炭素の色に飽きたら、君は髪色を変える。話し方を変えたら新しい生命体。
あの子の笑顔はきっと愛情の匂わせ。味の無くなった平和をずっと口の中で踊らせて、いつまでも子供のままでいて。
街灯は十代の証明。照らす照明。
私以外が変わる四秒間、バタフライエフェクト。
詩「蝶々結」
子供の頃に愛した罪状、駄菓子屋の泥棒。少年は大半が犯罪者。
悪口の産まれたところ、優しさの埋葬。
教室の外ではいつだって僕らの戦争。夢を見る真夜中に真昼の月が浮かんだ日を生きたから、今でも非現実を愛してる。
天井が地面になって、空が足元に広がって、僕は明日、君に会いに行く。
殺した優しさに夕暮れが笑う、優しい後悔が有限に暮れる。
いつまでも許されない君でいて。君で生きて。
この星の端っこで落ちかけてるのは 愛情、愛情。
詩「少年」
キスもハグもセックスも、たかが命の交換です。
言い訳で終わる情けないラブソング。
「時間が戻れば」は君の口癖。例えば目の色を変えられるなら、フィルターをかけられるなら、満天の星空で埋め尽くそう。星空で泣けるなら、もうなにも見えなくていい。
隣の星からゴミを投げられても、私は知らないフリをする。
幸せ。世界戦争、少年少女、核爆弾はハート型の風船に変えて。君の街まで飛ばしてあげる。
きっと、きみはこの世界の最高傑作。
詩「少年少女世界戦争」
「援助交際」の文字列の中から愛情を探せ。
夏休みの宿題。カラフルなビーズ、外国のお菓子。
私が変わるほんの数分前。
少しだけ高いヒールを履いて、心の軽さに気付いたらふわふわ巡る、ふわふわ回る。
胃の中は意のままに腹八分目で終わらせないで。
十三時間前に描いた未来は知らないうちに誰かのものに。
解き方を忘れた計算、解かないままで大人になった。
無愛想な結び目は私の長所。
右目に真っ白な蓋をして、鮮やかな身投げを見せて、
そうしたら代わりに愛をあげるから。
詩「カラフル」
誘拐された夕方の影。たぶん、君は強い子だよ。
コンビニの前には将来が座る。
長針から逃げる気分を味わえない夢の中、その代わりに死なない夢の中。
きっと、私たちは、百年後も孤独を唄う。前後左右の人間を無視して孤独を唄う。
目を閉じてる間も、光は生きてる。私が死んでも、命は生きてる。
明け方の駅前で語られるほんとうのこと。ぜんぶ君の話だよ。
どれだけ募金に貢いだとしても、罪は消えない。
昨日のことは昨日の私が愛してくれる。
だからせめて今日の私は、涙の色を覚えてて。
詩「つよい人」
大切に生きたって報われない運命線、生命線は遂に地面に着いたころ。やっと言葉の意味を知る。
生と死に隠された三番目の選択肢。
夢心地な夢を描いてた十代の初め、馴れ初めは語らない。
夜道は命が一番弱まる場所だから、せめて背後には気を付けて。正面で世界を信じて。
生きていくのなら最後の夜に気付いて。
溺愛くらいじゃ死なないよ。
横断歩道は白線を踏まないと死んじゃうらしい。
君は何度目の死を迎える。
詩「生命線」
検索履歴は独り言。誰とでも繋がれる時代に唯一の孤独。きっと君もそうなんでしょう。
優しい色した湖も、足首の手前で呪いに変わる。
黄色い線の外側でお待ちください。
ここは、唯一、殺人事件が起きない場所だよ。
マスクは私の初期装備。それでも喉の奥でなら笑えるよ。嫌いなものは残せばいいよ。チャイムが鳴るまで、青春は続く。残響は少し悲しくさせる。夜の右側は君の特等席。左側の景色しか知らないことも思い出なんだと思うから。
下書きの中で、永遠を叫べ。光の代わりに空が鳴る。
声を枯らしても指先でなら歌を唄える。
星は海に沈んで、さようなら。
詩「星と海」
夜空で金魚すくいがしたいな。
朝目が覚めて歯を磨くまでが私の優しさの限界値。
すり減った身体は時間経過では回復しない。だからこれは夢の中ではない。
服のゴミを取るのすら面倒な生活。布団の中で一生を終えよう。
新しい傘を買ったら梅雨が終わる。くだらないの限界を貫け。
葬式で愛を知った日、私の涙に温度を与えて。
夜空で釣った魚の名前を私は知らない。
詩「金魚」
革命家はファストフードの二階席。世界征服をコーラに浮かべて。
少しだけ値上がりした優しさ。免税対象になる日はいつ。
明日には終わる恋心、踏切の入口で流れるミュージック。イヤホンは片耳だけにしておいて。
あなたの将来の夢はなんですか。
あの子の人生は課金ゲーだから。なんて笑えるうちは幸せだよ。
どうせなら最低の人間のままでいたいよ。
不謹慎、不平等、 不可能、ぜんぶ楽譜の上では君のため。
最低の中で最高を呪え。
詩「譜面」
加工した声でプロポーズ。ハッピーエンドもバッドエンドもただの終わりだよ。
洗面台は今日の始まり。浴槽は明日の始まり。
いざ思考停止。演説だけが五月蝿い夕暮れ。世間の声は、私の裏声。
弾んだリズムで線路に向かう少年少女。救おうなんて他人事。他人の背中に羽を生やす能力をもらえたら、きっと使わずに死んでゆく。
君を生かすも殺すも今日の天気次第だね。
目を合わせないでつぶやく優しさ。
だいじょうぶ、明日は早く帰るから。
詩「早退生理論」
君が悪く言われる話。アイスクリームの寿命が短い季節。
夏の記憶を奇跡と言うのなら、奇跡なりに輝いてみてよ。
私の右斜め後ろで語られる将来、風の鳴き声で聞こえない。
まだあなたの正体を知らない。
いらないもので溢れたワンルームには愛おしさが溢れてる。合鍵は私だけで完結される。お金より大事なモノは、お金以外の全て。何も信じられなくなった日に、信じたいものが増えていく。
奇跡なんて無いと知った日、
プラスチックのスプーンがアイスクリームに負けた日。
詩「プラスチック製の奇跡」
肋骨を花瓶代わりに、生命の美しさを語る。
花言葉は私以外を幸せにする言葉。助言とハグしても夢は覚めない。
飲み干せなかった缶コーヒー。吐き捨てたのは絵の具の鮮やかさ。真っ白なキャンパスに、パラレルワールドではどんな色を塗る。
たった一枚の花弁で世界を変えろ。
携帯の充電が切れたらもう君は君に戻っていいんだよ。
もう帰ろう、夢の終わり。
勿忘草の花言葉を忘れて、
聞き飽きた在り来りな愛言葉を抱きしめて。
詩「花瓶の花」
安全なラブソング。街中で流れる君の好きな歌。一人分の横断歩道。
真夜中は私だけの視覚、誰もいない街中で自販機だけが私を見つめてる。
栄養士の資格を取ったらきっと私は死なない。
想像を超えたら現実はいらない。
子どもの遊び場に忘れられた好奇心。
一歩で超えれる白線の終わり、飛び越えたら続いてく。
机の角が怖いなら、君は命の弱さを知っている。
伝えたいことは、死なない程度に伝えてよ。
詩「ラブソング」
ゴミ達の合唱。リズムキープが出来ない部外者。脱落していく奇数組。
点字ブロックの上で語られる恋愛話。きっと君は幸せになんてなれないよ。
惚気アレルギーの部外者の魔女狩り、クリスマス。
命の形を変えるくらいの優しさで空欄を埋めよ。
芸術という言葉を盾にして人を傷つける芸術家。
この世の法律で裁けない私の最期。全部君のため。
点字ブロックの上で語られる世界滅亡の噂。
詩「点字ブロック」
「ごめんね」が言えなくても息を吸う私たちは人間だった。
前髪のスピードに追い付かれる秋の夜。
少しだけ曲がった心の先端は誰の隙間にも埋まれない。
この世界の戦犯は私だ。挨拶の手前で見下す生命。
保険からハミ出る私の憂鬱。
誰も助けてはくれないよ、だからいつでも死ねるように作られた私たちは人間だった。
愛に名前を付けること 将来の夢を語ること
私が信号を守ること
ぜんぶ 生命保険だよ。
詩「生命保険」
「愛してる」を逆から読んで。
逆立ちできないままで大人になって。
意味の無い時間は栄養素。生きてる意味を忘れたままで明日になった。意味に気付いたら振り出しに戻される何年前から始まった人生ゲーム。
護身術であの子を殺して、正当防衛で全人類を滅ぼして。
階段を上って息が上がれば下って家に帰る日々。
視界は地面の奥を見る。
響いた言葉を胸ポケットにしまって。
何かになれた気になって。
何にもなれない君は振り出しに戻ってさようなら。
詩「じんせいげーむ」
君が死なない場所はどこ。息を止めたら世界旅行が始まる。
まだここは生後三か月。たぶん人生は長いよ。
左目で殺した優しさ、右目は前髪で隠して。
触れられるのは朝が始まる二分前、アラームの音を置き去りに。
欠伸の残りで「生きたい」って言いたいよ。
最後のクイズを出される前に。
そういえば、私は生きてる。春が舞ったら足が生まれる。
自転車の車輪は回る。どこまでも行ける気がした。
瞬間移動は最終兵器。
君が死にたくなった日に、君が知らない場所へ行こう。
詩「旅の栞」
言葉の摩擦で擦り減る寿命、同じ形のピースを探せ。
永遠の命を手に入れろ。私以外が持つ優しさ。私の反対側にある笑顔。私の終わりを読み上げる秒針。
神様の名前を全部忘れて、私の中では君が神様になって。
空いたスペースに友達の名前を埋め込んで、学生時代を正当化する。
石橋は叩いて壊せ。不安は洗面台に置いといて。
並んだ歯ブラシは私たちの心の擬人化。
懐かしいキーホルダー、水に溶かす粉のお菓子、夏の思い出。
君の名前で別の人を呼んだ朝。
脳内、世界、恋心、ゆらりゆれる。
詩「サイダーガール」
心が泣いてる、心だけが泣いてた、文章の終わりに涙を拭って。悲しさの演出。誰かの悲しみの上に立つ、私は笑顔しか作れないみたい。
一週間で死んでしまう鼓膜の二週間目に聴かせる音楽を選ぶ就寝時。
どんな声で泣けばいい。どんな声で歌えばいい。
そもそも私は何を歌えばいい。
鳥も虫も命なのにあなたしか大切にできないのだから
私は命以外の何かなのだろう。
優しさを知らない命はぜんぶ情報商材。
改札を抜ける前、左手を振った。
詩「人間の左手」
歩幅の間に本音を隠した。探し出すのは来年の今頃。
「君は幸せになってね」のリズムで線路を越えろ。
命の行方から目を離すな。
改札前で終わりを歌う恋人たちにもいつか終わりは来るよ。
ここは嘘しか死なない世界。「ほら見てよ」の指の先には何も無い。
寿命が尽きても、質量の変化も、嘘になる。
愛の行き先は自分だけが知っている。
性的欲求を愛でる為の優しさ、君のことなんて愛してない。
早くベッドの上で踊ろうよ。
これは夢の中じゃない、
これは君が今日も生き抜いたこの世界のはなし。
詩「ほんとうのはなし」
星座を並び替えて「メロンパンみたいだね」って二人笑って。
ああ、そうか、私は生きてる。
「ただいま」の四秒に存在価値を見出して。そうしたら残りの何億時間は死んでいても生まれた意味と向き合える。
今日は信号機の変化が少しだけ遅いね。
変わらないものなんて、君の苗字だけでいいよ。
花の成長痛。雲の流れに置いていかれて、両足の存在を知る日暮れ。
紅に染る左側は優しさをくれない。
ぜんぶ捨ててしまいたくなる帰り道。
ああ、そうだよ、君も生きてる。
詩「いきてる」
涙を集めて世界地図でも作れたら命の意味を知れる気がする。
思い出の場所にピンを刺そう。
手を離したのは君の方だよ。人のせいにしないでよ。
天秤が掲げた方を愛せよ。軽々しい愛を愛せよ。
車に当たる確率は、命が綺麗だと思える確率。
尊さは後悔の三分の一。
公共料金の数値で寿命が縮む。夜の話ばかりでごめんね。
そういえば、私が死ぬまで消えない歌があるらしい。
それを私は、知らないままで死んでいく。
誰かがそれを綺麗だなんて言わないで。
詩「天秤と愛情」
真実に拘る理由は何。自分の声を知らないフェミニスト。
勇者の剣の作り方。検索欄には正義感。
「嘘でも優しさがあればいいよ」の対義語でぶつかる私の嫌いな人間共といつかダンスを踊ってあげる。だから今は死んでいて。
時代のせいにしたのは三十年前の優しい人間。
次は私の番だよ。嗚呼こんな時代に生まれた事を、誇りに思えるような優しさを。
優しさの終わりに春の始まりを。
春の終わりに花束を。
私の優しさに永遠を。
命の終わりに、優しさの意味をばら撒いて。
詩「優しさの終わりに、春を遊んで」
2020年2月26日 発行 初版
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2016年より執筆を開始。 2018年 個人出版社を設立。 詩集をメインに販売中。(Twitterにて販売中) Twitter:@ningen_ito