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クルンテープとは、
天使たちの首都という意味
バンコクのいにしえの名称。

中世より美しい人々が住んでいた。
軍人と娘の悲恋の物語が残されている。
クルンテープの栄華はいったい、どれほどのものなのか?
西はアラビアから、インドから商人たちが交易に訪れていた。
もっと遠くはヨーロッパからも。
東は日本からも、、。

この物語の舞台はアソーク
 日本から4300キロ南にこのカフェは存在する。古いホテルの地階のカフェ&レストラン。
中には巨大なS字カウンター。
そこに美しい、そうでもない美女がずらっと並ぶ。
夜毎150人もの男女が今夜も出逢いを求めて真剣勝負を繰り広げる。一晩の来場者は1000人以上。観光シーズンには2000人は来る。
夜の8時から午前2時までパーティーは開かれているのだ。

たまに絶世の美女が降臨する。
東南アジア最大、天使の都クルンテープにわたしは単身、赴き参戦した。

クルンテープとはいにしえのバンコクの名前。意味は天使たちの首都。バンコクの中心地アソーク駅にあるコンプレックス・ターミナル21にその天使像が置かれている。

クルンテープ 青春不敗

evan hiroyuki shintani

Royal Gio Graphic Society in Bangkok



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  この本はタチヨミ版です。

 目 次

恋人たちの出逢いと別れ

クルンテープへの帰還

タイの宝石 凱旋帰国彼女の名前はLISA

ほんとうのストリーHOTEL MIAMIの死角恋人たちの別れ

一度は失った美女を取り戻す!

絶世の美女が目の前を往復?

日本人ブランドは幻想!?

スタンフォード大学バンコク校

テーメー戦後はどうなる?Asokeのバイオリンとヌーイ

下町純情娘の心の闇!

バロンブルーの呪い書けなかった真相と結末

タイでもっともモテル男の話ナデート・釘宮

マルガリータストームの呪縛

McDonald の大混乱クルーが去った後

アラブ人街の追跡

マクドナルドの落日

アソークエクスチェンジビルに咲く名もない花タイ女性が煌く瞬間

アラビアの風詐欺師は日本人が大好き

ぱっつん女子大生は絶滅危惧種に!

日本スゴイ記事の真相

サムライ タイに現る!西野タイランド旋風

タイ女性が世界1になれた内面

浮気の神様タイ人男の言い分

タイから外国企業が逃げるミャンマーシフト始まる

あとがき

ワンおばさんと結界の話

テーメーカフェ 2年ぶりに営業再開 ネコもレーディボーイも悦び乱舞

  目  次
1 恋人たちの出逢いと別れ
2 クルンテープへの帰還
3 タイの宝石LISAの凱旋!
4 恋人たちの死角
5 バンコク下町娘ヌーイ
6 絶世の美女 夏服の女
7 日本人ブランドは幻想
8 スタンフォード大学で学ぶ
9 バイオリンとヌーイ
10 バロンブルーの呪い
11 タイでもてる男ナデート
12 マルガリータの呪縛
13 マクドナルドの落日
14 アラブ人街の追跡
15 エクスチェンジビルの華
16 ぱっつん女子大生は絶滅危惧種?
17 日本スゴイ記事の真相
18 サムライ タイに現れる
19 浮気の神様
20 ミャンマーシフト始まる
21 あとがき
22 ワンおばさんと結界

 タイ人はこの街をバンコクとは言わない。クルンテープ。不朽の名作「クーカム」を凌ぐ激烈な戦場へ向かう前。わたしは世界一のジャーナリストをめざすが、、。堕天使のような熱帯の街で燻る。だが、とても満たされていた。この世の楽園、、。

恋人たちの出逢いと別れ

Nana駅近くにできたコリアンタウン。大画面にKpopsの映像が流れる。表紙撮影をカフェで知り合った嬢に頼んだら「ドレスないから買って!」「ヴィトンのパーティーバック買って」「プーケットで撮ってよ」「日本に連れて行って」わがまま言い放題でついに切れた私。ほっぺたをつねる! 
そしたら、ぷいっと、そっぽ向いて「ふて腐れる女」が完成したのだ。


なんて素敵な夜なんだろう。
ASOKE NANAの中間にあるカフェテラスで夜の風がほおをそよいでいる。このカフェはひとを観察するのに適しているが、その逆も真。
ヌーンに見つかってしまった。
彼女はずっとぼくを狙っていた。
その情熱にはほだされる。

だが、いくら「彼女がいるから」と断っても、「どこにいるの」と言って周りを探すしまつ。
日本語はほんとうに難しいのに、よくここまで頑張ったと感心する。

だけど恋愛と憐憫は別モノ。
出来ないものは出来ない。


日本ではブサイクとかハゲとか罵られている冴えない中年おっさんは思うのだ。

「あなたはそれで幸せなの?」

うっかり、そんなことを聞こうものなら、彼女の恋心に火炎放射器で放火するようなもの。危ない、あぶない。


そのあと、冷房が効いたテーメーカフェへ。

9時半過ぎになったら、男たちの奔流。
活気がみなぎっている。

が、おんなは増えていない。
まるでメッカの巡礼。
脅威の時計回りの渦が発生する。

だが、男たちは場内を一周して退場。


今日も美しい女は来なかった。
土曜日なのに
ナンバーワンの日本語スピーカーは、美女ナンバーワンのビーなのだ。

その美女はテーメーカフェに来る必要はない。月に1、2度、客をさらって、あとは自由恋愛に移行。一度、知り合ったら全部つなぎとめてしまう脅威の独占率。


ビーたんに逢えなかった。
アソークでいつもと違うバイオリン弾きが演奏していた。少しだけ年長だが彼もまだ若い。


ヌーイ(22才)から何してるのとSNS.
アユタヤであった葬儀から帰ってきたみたい。

「ターミナル21でバイオリンを聴いてる」

大丈夫なの?(ブサイクなおっさんのくせしてバイオリンなんて)

大丈夫ではない。
ヌーイが葬式で帰ってしまった2日間、タイの初めての女サーシャに謝っていた。

だが、
もう終わったのよ!
実は英語では誠意が伝わらないとのでタイ語でSNSのやりとりをしていた。

そのうち、まさかぼくがタイ語が流暢なはずがないと気づいたヤツは、
唐突にあんた 誰?

そこから英語に切り変えたが、
英語では命令形や怒りとか感情が増幅され、彼女はついにブチキレてしまった。

だからタイ語で話してたのに、、、。


彼女が話せるのは英語ではなく米語。
それもリゾート地を遊び歩いている
米兵上がりの先生に習った乱暴な言葉で、聞いてて頭にくることが何度もあった。

暴力的なことばにそれじゃ過ぎるではと疑問を投げかけたところで
彼女は力尽きた。

それが永遠の別れになった。

ぼくは絶望した。
彼女とは今回で2度目の別れになる。
一度目は許してくれたが、今回はもうダメだ。

あー、

唖然として漂っていた。


ヌーイから

あんたどこ?
大丈夫?


これから行くから!


ヌーイはぼくが沈んだ深い闇から救い上げるようにやってきた。

バイクの後ろに跨ったおんなが手を挙げた。

なんと素敵なひとだろうと思った。

それがまっすぐ胸に飛び込んできた。

私はこの時期、まだ真実を書けないでいた!

クルンテープへの帰還

アソーク駅のSoi Cowboy の入り口。この角っこではいろんな人間ドラマが見れるのだ。お客に持ち出された嬢が喜びのあまり、絶叫してたり、ゲイの手をつないでるインド人をからかったり。別れを演じたり、、、。人生いろいろあるわ


クルンテープへの帰還


あれからどれほどホテルを泊まり歩いたろう?
NANA駅に近いスクンビッド11-1にあるOYO 236ホテル。
インド人のマネージャーのナランドラさんが親切な男で、快適。ホテルは見つけづらいが一階がインド料理レストラン、テーラーを併設している。
ナナプラザ近くのオーキッドイン。フロントのチアが暖かく迎えてくれた。次はいつくるの? きっとまたね。

それからアソーク・モントレ・ホステル。ここも便利。何しろ向かいがロビンソンの裏側なのだ。そこの5階は部屋が少し広くベッドが2つ。
それからさらにアソークのホテルを転々としている。

パタヤのマクドナルドのクルー(女)はスレていたが、ロビンソンのクルーは教育を受けていて親切。それに客数が圧倒的に多いにも関わらず、辛抱強く丁寧に応対していた。
わたしは彼女らに感謝している。1日に3回ぐらいここを利用しているヘビーユーザーで顔を覚えられてしまった。

それにロビンソン地下のスーパーTOPSのフードコート。
ここの厨房女性もかわいいひとだった。顔を見たら注文を思い出して手際よく料理してくれる。

レストラン内は、混んでいるけど、女の子はひとりだったら、外人のわたしの隣に相席してくる。ほぼ向かい合って食べることになるので、思わず笑いがこぼれる。
タイ人のくせにスープものの料理が辛すぎて悶絶している。
まだ、学生で18才ぐらい。
日本だったら、この年齢の娘はおっさんの隣や向かいの席は断固拒否する。
ところがタイの娘はちがう。簡単に話しかけてくれるし、スカイトレインの中でもラッシュアワーのときは、無理やり突っ込んできて、おっさんの正面の胸にくるっと回って背中をおしつけてくる。
ぜんぜん平気なのだ。
タイの娘は人懐っこいうえに、距離が接近してもぜんぜん大丈夫。

TOPSで相席した女子学生にSO HOT? と聞くと顔を真っ赤にして、うんうんと答える。
アライナ。
きみはタイ人なのに辛いのだめなの?
やっぱり、顔をくしゃくしゃにして、うんにゃ。

わたしは、その午後、22才の美しい娘に出会った。別人。
このほかにもずっと出会いはあったのだが、記憶に深く結びつく出会いというのは、その日になにか出来事が重なる。
わたしは取材活動を続けていた。
土曜だというのに、駆け回っていたのだ。

わたしはひとから聞いたり、信頼できるネット情報から、夜の仕事につく嬢にはいろんなしがらみがあり、いくら頑張っても、報われないのは日本以上なことがわかってきた。
なかには結婚まで行った日本人青年もいる。

しかし、彼らの出会いは、まだ水商売に染まりきる前に出会っており、意思疎通が完全にとれるなど、いくつかの条件をクリアしている。

たとえば27才のマッサージ嬢。美しいのにタトーが背中にいっぱい。彼女はプロンポンで働いているにも関わらず、日本語はまったくだめ。それで英語が少しだけしゃべれる。

29才のドンムアン空港の近くに住むGALママは息子が9才。
本人がいくら美しくて、出会いはたくさんあるのに、幸せになれないでいる。わたしもフランス男をけしかけたほどいい女なのに、、。

アラビアンのサーシャ。大好きだったが性格が激しすぎた。身長156CMなのに体力は凄い。それと同じほど気も強かった。アラビアのおんなの経験がなかっただけに驚くことばかりだった。

ラオスの美しい娘。23才。彼女はすでにこの世界に入って長い。駐在員に悲しい目にあわされたので日本人を憎んでいるんじゃないかと思うことがある。

まだ、たくさんのひとと出逢ったが、書ききれない。


もっとも、心をひかれたのは、完全に素人の普通のお嬢さんだった。
ヌーイはスクンビッドのタイレストランで働く22才。
夜の経験はない。
男はいないと言い張る。
すらりとした小顔の娘。韓国KPOPSグループのBLACKPINCにタイ人一人だけメンバー入りしたLISAに似ている。
顔だけならヌーイの方がタレントに向いている(笑い)。
つまりLISAより美人だ!
出会ったことがないタイプだった。

ぐっと抱きしめると、上を向いて笑う子どもみたいな仕草がかわいい。
かわいい顔して床上手。
おっさんはまたしても激しく恋に堕ちたのだ。

もう、いいかげんにしろという大合唱が聞こえてくる。
編集のさおりにいたっては、「バカはなおんないのよね!帰ってくるな!」

サーシャを失い、もう二度と取り返すことはできない。
ビーにいたっては知れば知るほど心の闇が広がり、彼女を癒すことさえかなわない。

フォンは電話にすらでない。
こういう状況を四面楚歌という。東西南北白発中、それがすべて場に流れてしまってツモれない。
それはマージャンか?

実はあともうひとつ失恋のエピソードがある。おっさん、早くしんでとか言われるので、割愛。
フライパンで叩くぞとか、もう勘弁してほしい。
あまり、打たれ強くない。

ヌーイは日本に連れて帰ることになった。
現在進行形なので、まだ、ひと波乱はあるかもしれない。

わたしのクルンテープでの闘いは、生身なので心が折れるほどの深手を負った。苦しいし、心がバンコクの夕立のように闇に覆われた。
得たものが美しすぎるのか、それを手のなかに持ち続けることができないのだ!

スコールはライトニングをともなってやってくる。
激しく夜空に響きわたり、稲妻が走る。
それでもいつかは晴れ渡る。

アソークの駅下で青年がストリート演奏をしていた。
彼の演奏が好きだ。
だが、彼は1と月に1度ぐらいしかここに立たない。
見るのは2度目。

わたしはバンコクで悲しい目に合ってどん底に突き落とされた日や、喜びにあふれた日に、彼の演奏を聴いているような気がする。




  タチヨミ版はここまでとなります。


クルンテープ 青春不敗

2022年3月20日 発行 2版

著  者:evan hiroyuki shintani
発  行:Royal Gio Graphic Society in Bangkok

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evan hiroyuki shintani

経済専門のジャーナリスト。バンコク駐在中

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