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keisuke tamura

coil books



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 目 次


まえがき


Ⅰ 生Ⅰ liveⅠ


Ⅱ 友情 friendship


Ⅲ 愛情 love


Ⅳ 生Ⅱ liveⅡ


Ⅴ 手紙 a letter


あとがき

まえがき

逸る心に終止符を打ち
何も握らず
空が雲に覆われているなら
その隙間から光を集め
誰も通ったことのない道
そこに足跡をつけよう


あなたは生きて行くうえで
大切なものは何ですか
それを大事に
胸に秘めて






Ⅰ 生Ⅰ liveⅠ



暗い夜道を歩いていても
俯いて歩いていたとしても
誰にも公平に
朝は来るだろう
目を瞑って
心の奥底が見えたなら
そこが始まりなんだろう
そこから始まるんだろう

答え

答えを探している
探している間は見つからない
何故かって
答えは自分の中にあるから

もう一人の自分

僕が失ったものはあなたではない
あなたの持っている何か
それは
僕の傍らに佇む
もう一人の自分



僕はときどき
自分を試すんだ
だから嘘をつくんだ
本当のことを少しだけ知っているから
だから嘘をつくんだ



泣き出しそうだった
雲の隙間から
太陽が微笑む
君のためだよ
僕らは何も気づかず
忘れた宿題を
家に取りに帰る

遠回り

少し遠回りして
家に帰った
乾涸びた花壇に
古びた家並み
佇む老婆
遠回りして
明日も帰ろう

価値

全てを手に入れたようで
全てを失った
そう思っている彼女
あなたは未だ自分の価値に気付いていない

可能性

完成の一歩手前
そこを見たい
そこが知りたい
そこが素敵



あなたの笑顔が見たくて
道端に咲いている小さな花を摘んだ
大切に持ち帰ったつもりなのに
枯れてしまった
はらはらと散る花弁が
あなたの姿と重なるように見えた

階段

一つ階段を登りました
今までと違う感覚
また階段があります
初めて見る風景
階段はまだまだ続きます
一段一段
殻を脱ぎ捨て
肌を露わにしていく
今という階段
永遠に続く階段

割れた鏡

自分を割れた鏡に写す
求めれば
求める程
亀裂は深まる
そして気付く
僕は自分を手放す



ふと立ち止まり
後ろを振り向く
石ころが転がっている
一つ拾ってみた
ずっしりと重く
僕は直ぐに手を離した
それは過去の自分
偽りの記

記憶

かつての自分が瞬きをする
遠い昔の記憶が蘇る
今の自分とは違う
過去にしがみついている訳でもないが
断言することも出来ない
鏡を通して
昔の自分を見ている

恐れ

現在を失う
過去に生きる
現在という時間を忘れ
明日に恐れを抱く
やがて朝陽を浴びて
我に返る



世界中を旅して
君の笑顔を見出す
それは僕が君を求めている訳ではなく
僕の中の自分
それを見つけたから



一瞬の煌めき
蛍みたいだね
一瞬の瞬き
人生みたいだね



明日のことは
考えなくてよい
今日月見草の花弁が微笑んでくれたから
昨日のことも
考えなくてよい
解けない迷路だから
僕らは昇る陽を見つめ
夜空の月に想いを託す

遣る

動いてみる
ただひたすら遣ってみる
答えやヒントは
偶然やってくる

砂時計

逆さにすると
沢山降ってきて
一杯になる
また逆さにすると
沢山降ってきて
でも
もう逆さになんてしないんだ
きっと逆さになんてしないんだ



あなたの言葉が
あなたをつくる
僕の想いが
あなたを彩る

子供

金持ちは去って行った
愚劣な奴は顔を見せない
正直者も少し辛そう
残ったのは
一握りの子供達

指輪

あなたは月の砂漠で
無くしたと思い込んでいる指輪を
一生懸命探している
無くした訳ではない
大切にし過ぎて
しまってある場所を忘れただけ

歯車

あなたを見ると
懐かしい
遠い昔の
自分に出逢えたような
いつも噛み合わない
歯車
今日はちょっと違う



僕は小さく生きている
小さく小さく生きている
だから小さく死んで往く
小さく小さく死んで往く
だから添える花は要らない
大輪の花は
きっと僕を呑み込んでしまうだろう

視線

あなたの言葉
あなたの瞬き
あなたの思考
その行為の奥深く
僕はそこに目を向ける

自由

ライオンは吠えない
百獣の王であるライオンは吠えない
草原の大地に思いを馳せ
思うがままに獲物を仕留めた
ライオンは吠えない
飼い馴らされたライオンは吠えない
ライオンは吠えない

秋桜

昨日出逢った素敵な娘は
昨日の出来事
微笑んでくれたのも
昨日の出来事
幸せの一歩手前
いつも一歩手前
だから今日は
摘み取ったばかりの秋桜を
そっと君に手渡そう

終わり

夜が明け
空に輝く星々が眠りに就くとき
夜行列車がトンネルを抜ける
少し前の微かな光
あなたと会える五分前
そのくらいの感覚が
一番がいい
何故かって
終わりが来るのを恐れているから

春の雪

春の雪は
綻びかけた莟を
待ちわびた開花を
少し焦らす
春の雪は
別に意地悪ではない
僕らが少し躊躇うとき
僕らが足早に駈けて行こうとするとき
春の雪は
そんな僕らをそっと窘めてくれる

純白の少女

純白の少女は
赤い血を知らない
滴り落ちる
赤い血を知らない
今日も世界の何処かで
真っ赤に染まった悲鳴が聞こえる
純白の少女は
赤い血を知らない

笑わない女の子

毎朝出迎えてくれる
笑わない女の子
僕の心の欠片を
繋ぎ止めてくれているのかも知れない
笑わない女の子
笑えないのではなくて
笑わない女の子
僕は無関心な振りをして
少し心に隙をつくる
微かに心が繋がる瞬間
でも笑わない女の子

笑顔

あなたがいい気分で居ると
神様は微笑んでくれる
それは
街角のパン屋の娘の優しい心使いだったり
花壇に咲く鬱金香の花弁が太陽みたいだったり
懐くことのない野良猫が近寄って来てくれたり
あなたはいい気分で居ると
沢山の笑顔に囲まれる



あなたの腕にある傷口が
少し膿んでいる
だから僕は
そっと唇を重ねた
あなたは少し笑みを浮かべ
また傷口に目をやる
やはり膿んでいる

水平線

君と僕の水平線
潮が満ちて
空が見えて
陽が昇り
でも決して交わることのない
君と僕の水平線

世界の裏側

僕はあなたの優しさを受け入れられない
僕はあなたの真っ直ぐな気持ちに答えることができない
僕はあなたの誠実な心を裏切ってしまうかも知れない
それは僕が汚れている訳ではなく
僕は少し遠回りをして
僕は少し遠回りをしてでも
世界の裏側を見てみたいんだ






Ⅱ 友情 friendship

孤独

君が振り向いたとき
僕は思った
君はまた出逢うだろう
君は頷く
道は二手に分かれていて
僕らは違う道を選ぶ
やがて僕は
二人で居た記憶を忘れ
雑踏にまぎれていく

いつか

いつか会おうと約束をした
電車に揺られて四時間
目的地へ向かう
混沌としていた思考は
やがて穏やかになり
車窓から外の風景を眺める
いつか会おうと約束をした



雨に搔き消されてしまえばいい
君に放った言葉を
あれから何年経っただろう
今も僕は此処に居る
涙を抑えながら
ずっと此処に居る

再会

夢の中で友人と会った
つい最近会った筈だった
夢の中の彼は随分やつれたように見えた
目が覚めたら
テーブルの上に
一枚の枯れ葉が乗っていた

追悼

彼は地下の壁画に向かって叫んでいた
同じ魂を感じた
生とはなにか
恐れが現実となり
彼はこの世から姿を消した

雑音

もう手に入らないもの
それはお前の奏でる音
逝ってしまった彼の雑音
お互いを埋め合わせていたんだよ
俺の鼓動に



少し離れていて
途切れがちだったり
疎らだったり
でも
それでも
決して壊れることのない
堅い絆

別れ

僕らは
同じ時間を分かち合った記憶を残しつつ
別々の道を歩む
さようならと言う言葉は
また会おうという言葉だと信じている






Ⅲ 愛情 love

厳冬

あなたが誰かを
誰かがあなたを
求めている
やがて寒い冬が訪れ
空は手が届きそうなほど低く
実は硬く締まり
春の訪れを
静かに待つ



分厚い氷の下には
淡淡と流れる水
溢れんばかりの水
濁ることのない
澄んだ水
それが本当の
君の姿

愛の言葉

下手くそでいい
舌足らずでいい
そうやって呟く愛の言葉は
きっと一番
君らしい

波動

静かな音が聴きたい
君の心臓の鼓動のように
喧騒の中
僕らは出逢った
静寂の中
僕らの心は踊った
混沌の中
僕らは一つになった
静かな音が聴きたい

感覚

光のない世界で
見つめる
音のない世界で
傾聴する
麻痺した世界で
触れる
心の眼で
あなたを感じる



僕らの歩みは
光に戻るためのレッスン
ときにつまずき
ときに怒り
そして笑う
全て光に戻るためのレッスン



何かを生み出す手は暖かい
でも
それを守る手は
もっと暖かい

心眼

目に映るもの
手に入るもの
どれも綺麗に輝いていた
微かな鼓動
感じる影
僕はそっと手を差し伸べる
触れた指先に
花が咲く

星の欠片

僕は小さな星の欠片
だから上手く君を照らせない
だけど小さな星の欠片
だから君が瞬きした瞬間消えてしまう
そんな僕をたまに思い出して
夜空を見上げて

贈り物

沢山持っているから
一つあげる
君にあげる
だけど一つだけ
たった一つだけ
君に贈り物
一つは二つになり
二つは三つになり
やがて両手で抱えきれなくなって
君も誰かに贈り物



身近に満ちあふれていて
空気みたいで
僕はそれに気づかず
そして
それが人間の本質

世界

小さな思いやり
些細な切っ掛け
ちっぽけな好意
そんなものを集めて
世界をつくればいいのかもね






Ⅳ 生Ⅱ liveⅡ



新たな一歩
前に進む為の困難
下ろし立ての靴を履いて
何処へ行こう
壁に向かって叫ぶ
向こう側に届かない声



今日という日は
初めてで
何もかも
此処から始まる
そして
終わりを告げる
その積み重ねが
僕らをつくっている

世相

僕が此処で佇んでいても
世界は回っている
僕が此処で叫んでいても
世界には届かない
不図した瞬間
ある老婆に話しかける
彼女はにっこりと笑い
僕の肩をそっと押す

成熟

僕らは成熟という言葉とは裏腹に
大切なものを失っているのでは無いだろうか
一生懸命探した星座や
飽きもせず眺めていた流れる雲
子供の頃夢見たこと
今日は読みかけの本を閉じて
夜空を見上げて床につこう

成長

失うことが怖いなら
何もしなければよいだろう
転ぶことが怖いなら
そこに佇んでいればよいだろう
成長というのは
角が取れて丸くなることではなく
何時までもささくれだった指先を
あなたに差し伸べることかも知れない

絶望

夢の中であなたはこう云った
次お会い出来るのは何時ですか
僕は答えた
また明日
でも眠りの中で小さく呟く
明日はもう来ないと

存在

付き合う人が変わり
目指す道も変わり
目にする風景も変わる
僕らは同じ場所には居ない
ただ此処に在るだけ

太陽を掴む

何も手に入らないと
嘆くなら
太陽を掴むといいだろう
手に入れた瞬間
真っ赤な炎はあなたを包み
過去も現在も未来も
握り締めているもの全て
灰となるだろう

梯子

僕は月に梯子を架け
一段一段登って行く
やがて空気も薄くなり
息が苦しい
だけど登って行く
何故かって
確かめたいんだよ
命というものを

天使

誰の心にも
天使が住んでいる
罪人の心にも
天使は住んでいる
僕らが疲れて
眠りに付く頃
子供の頃を思い出す



僕らは進むべき道を間違えた訳ではない
行き着くところは皆同じだ
左の手首に傷跡の残った彼
僕らはそれを選んでいるに過ぎない
世界は平等ではないと嘆く君
皆初めから知っていた筈だ
僕らは自ずから道を選んでいるに過ぎない



毒を吐け
自由でいる為に
毒を吐け
純粋である為に
毒を吐け
生きる為に
お前が毒を吐く度に
誰も気付いていない様で
でもほんの一握りの人間が
自分の中で蠢いていた自己に気付くんだ

乳母車

誰も乗せていない乳母車を
白髪混じりの女性が押している
ときどき微笑み
押している
時というのは
人それぞれであって
彼女は今日も乳母車を押している

背を向ける

何度も手を振りたいけれど
背を向ける
何度も振り向きたいけれど
背を向ける
背を向ける
それは
心の片隅にある微かな記憶が
確信に変わるのを恐れていて
だから背を向ける



美しいということ
笑顔に隠された彼女の涙
真っ直ぐに進む彼の怒り
強がって見せる彼の心の痼り
美しいということ
影の裏を見抜く
美しいということ
彼ら彼女らの本来の姿

必然

僕らは出会う
必要なときに必要な人と出会う
それは偶然のように見えて
実は色んな奇跡が起きていて
それは必然なんだ

変化

絡んだ糸をほどく
歴史をほどく
そうすると気付いたりする
始まりはほんの些細なことだったりする
変わるのは大変なこと
変わるのは単純なこと

望み

肩書きは要らない
名声も要らない
望んでいることは
心の平和
それだけ

本質

少女に見えた彼女は老婆だった
少年の様に見えた彼は大人だった
見える筈がないとあなたは言うだろう
だけど僕らは見た目に惑わされ
ときに本質を見失う
その角を右に曲がったら
何が見えるのだろう

未完成

完成されていないから
美しいものもある
君と僕は
少しの間
向き合い
微笑み
そしてまた
それぞれの道を歩み始める



僕等は眠りについたころ
夢を見る
胎内にいたときと
同じ夢を見る
結局同じなんだ
閉じた世界と嘆いていたが
本当は開かれているんだ

夢の欠片

今を生きるためには
裸の自分と向き合うこと
きっと必要なこと
僕はときどき君を思い出すけれど
夢の欠片に魅力はない

矛盾

自分の言葉を探している
いつも探している
見つかる度に
僕らは離れてしまい
見つかる度に
心は交わる

明日

言葉の欠片を寄せ集めて
未来と読む
言葉の欠片を寄せ集めて
可能性と読む
言葉の欠片を寄せ集めて
希望と読む
あなたを追い越すことは出来なくても
明日は来る



僕の知らないところで
世界は回っている
君の知らないところで
僕は生きている
零れ落ちそうな星空の夜に
僕は心の雨の音を聞く
眠れないなら眠ることもない
僕の知らないところで
世界は回っている

勇気

疑って逃げるより
信じて騙される方が
ましかも知れない
そんな勇気が足りない
そんな勇気が欲しい



あなたがもしも
道に迷っているなら
道端に咲く小さな花達や
森の木々に話しかければよいかも知れない
未来のことは誰もわからない
分かることはただ唯一
明日も陽が昇るということ

乱心

小さな過ちは
川になり
降り注いだ雨は
気息を乱し
乱心を迎える



旅に出たい
僕の知らない世界を見てみたい
旅に出たい
魂に終着駅はないのかも知れない
旅に出たい
でも最後の旅があるならば
君が生まれ育った街に行きたい



誰しも持っているであろう
痛みや傷
たとえどんなに深く傷ついていたとしても
流す涙に無駄はない
季節は巡り
やがて春を迎えるように
心のしきたりに
例外はない

乖離

あなたの前で
元気でいられる僕は
あなたに貰った心遣いのお陰かも知れない
あなたを通して自分を見つめる
だけど自分から離れて行く



願いは空に届くよ
心が真っ新なとき
そういうときに足跡をつけよう
降りしきる雪の中
新雪に

薔薇の花弁

涙が乾く
その日まで
僕は薔薇の花を見ていた
その花弁が
一枚一枚落ちる度に
わだかまりは解けつつも
確信は深まり
やがて僕は
静かに眠りにつく



僕は命をすり減らしている訳ではない
僕は自分の限界を知りたい訳でもない
僕はただ此処に在る
命ある限りつくり続ける

一輪の花

古い殻を破って
過去を赦して
一輪の花を摘みました
正しい道
間違った道
迷ってしまはないように
だから一輪の花を摘みました

終着駅

暗闇の中にほんのりと浮かぶ小さな光
僕は随分長い間それを掴もうとしていた
掴めば全ての苦悩は解決する
そんなことも思ったりしていた
いつも探していた終着駅
ある日気づくと全く見えなくなっていた
暗闇が存在しない
ただ世界が光に包まれている
僕が探していた終着駅
そんなものは始めからなかった



大丈夫
最善の道は書いてある
生まれたときから
あなたの背後に
ほら
歩いて来た道だよ






Ⅴ 手紙 a letter

樹(父へ)

普段は目立たない
樹のような存在
目立たないけれど
樹のような存在
雨風に負けない
樹のような強さ
枝葉は優しく
小鳥達の憩いの場
僕もまた
樹に成りたいと思う

心(母へ)

あなたの心
寄せ集めました
あなたが切り刻んだ心
寄せ集めました
少し足りません
でも寄せ集めました
あなたとあなたの愛する人から
僕は生まれました

あとがき

最後まで私の拙い表現にお付き合い下さり、ありがとうございます。

2/3という作品集を出版してから、続編のようなものを発表したいと思っていました。

歩き続ける、つまり「生きる」といことについて、日々の生活について綴ってみました。

デザインはタイポグラフィー、オリジナルの書体を使ったデザインだけで制作しました。

「生きる」ということ、簡単なことではない様な気がします。
況して、精神疾患を患ってしまった人間にとっては尚更のことなのです。
私はこうして、こう思って生きています。生かされています。
間違っていることも多いかも知れません。
それでも「置かれた場所で咲く」と言う言葉を実行して来たつもりです。

私の作品から心に残るものが一つでもあれば、嬉しく思います。

1/3

2020年7月7日 発行 初版

著  者:keisuke tamura
発  行:coil books

bb_B_00164912
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