spine
jacket

───────────────────────



論考集1

雨音多一

遊勇舎



───────────────────────

「ヒューマン・テクノロジーについて」

 2018年に雨音多一が提唱した概念に、「ヒューマン・テクノロジー」というものがある。
 この概念は「人間が人間らしくあるためのテクノロジー」のことを指す。例えば、「スマホの通知音を深夜帯は鳴らなくする機能」のことである。
 科学技術は人間が創り出したものであるが、「人間のために」作り出されたものは少ない。しかし、その一例として、「ユニバーサル・デザイン」をあげることが出来るだろう。
 「人間のためのデザイン」・「人間のためのテクノロジー」は、利益至上主義では到達できない。それは、真に「人間的な」発想からしか生まれ得ない。唯物論が原爆を生んだと云われるように、発想の根幹がその技術を生むのである。真の人間から生まれるのが「人間らしい技術」、すなわち「ヒューマン・テクノロジー」なのである。
(結)


「出版革命について」

 私たちは、今、革命の最中に居る。それは、「出版革命」という名の革命である。
 この出版革命が成立するには、他に三つの革命が登場する必要が有った。その三つとは「情報革命」・「印刷革命」・「流通革命」である。
 「情報革命」はインターネットの普及による、電子商取引・電子出版の進展である。「印刷革命」とは、オンデマンド・プリンターの登場による印刷技術の革新、印刷物のコスト・ダウンである。また小ロット印刷もそれに加えることもできる。「流通革命」とは、インターネット販売による商取引の電子化、モータリゼーションの進展、運輸システムの強化が挙げられる。
 この三つの革命が成立してはじめて、出版革命が存在する。出版革命の最大の特徴は、「編集者を通さない」個人だけで完結できるシステムである。校正者やデザイナーも含まない(自分自身で行う)システムが、「個人出版」なのである。
 この個人出版は、例えばこのサイト(note.comさん)などで書き溜めた原稿を出版することなどにも使え、従来のインターネット・サービス(ブログなど)とも相性が良い。
 この先にあるのが、「一億総作家」シナリオである。誰でも気軽に、オンデマンド出版や電子出版をお小遣い程度の費用で行うことが可能になったのだ。これが「出版革命」なのである。
(結)


「幸福主義について(1)」

 「幸福主義」は、雨音多一の提唱した概念で、ポスト資本主義の社会を指す。資本主義社会は、「大量生産・大量消費」の社会であった。現在の日本や欧米の社会は、この大量生産・大量消費とは、違った様式に移り変わりつつある。
 それは「小ロット生産」の、少量多品目の社会である。そして「ハイ・クオリティ」もその特徴として挙げることができる。
 それは例えば、「本」についても言えることである。現在、オンデマンド印刷による「個人出版」が隆盛している。個人出版とは、出版社や編集者を通さない出版形態のことで、ほぼ無料に近い金額で出版することさえ可能である。オンデマンド印刷では、一冊から作ることができる。この個人出版・オンデマンド印刷によって「作家」や「表現者」に誰にでもなれるようになった。これはインターネットと印刷技術の発達による所が大きい。このような「小ロット生産」は個々人に向けたサービスである。
 もうひとつは「ハイ・クオリティ」である。一昔前のチラシを思い浮かべてほしい。例えば、昭和時代には「赤刷り」と呼ばれる折り込みチラシが多かった。それは、低価格販売のスーパーマーケットのチラシである。令和の現在は、高細密のまるで写真集のようなクオリティのスーパーマーケットのチラシが目をひく。クオリティが全てにおいて向上している。それはチラシだけでなく、デザイン家電などのプロダクト製品や、映画やテレビの映像などもそういうことができる。
 これが「小ロット生産」と「ハイクオリティ」が、「幸福主義社会」の特徴なのである。
(結)


「テレワークと幸福主義」

 テレワークやリモートワークと呼ばれる仕事がある。それは、会社での事務作業を、インターネットを使って自宅にいながら行う作業・仕事である。「テレワーク」は近年広まった言葉であるが、デザイン業界では「SOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)」として、2000年頃から使われている言葉である。
 幸福主義の主たるフィールドは、東京都ではないと想定している。郡山市や宇都宮市などの中都市を、その圏内に収めている。それは、インターネットを使ったテレワークやリモートオフィスが拓いた未来である。自宅を大都市ではなく、小・中都市にすることで、安価で広い家を買うことが出来るだろう。そしてそこから、月に数回東京都のオフィスに通うのである。
 この小・中都市で生活するライフスタイルを「半・田舎暮らし」と名付けたい。住環境や自然環境に優れた土地で、自然に囲まれて暮らす生活。それは「経済性」という物差しでは計れない「幸福」であるのだ。
(結)


「インターネット・シンデレラ」

 インターネットでSNS等をしていると、突然「格好いい人」や「美人さん」と知り合いになることがある。これはフェイスブックなどのSNSで顕著である。その日から「王子さま」や「お姫さま」と知り合いになるのは、現実世界のみの場合と比べると、非常に高い確率である。これを「インターネット・シンデレラ」と名付けたい。今、ネット上でアイドルやタレントのような活動をする人が増えているのも、その原因のひとつである。
 もうひとつには、インターネットで知り合い、お付きあいする人も増えている。これは主にスマホであろう。「王子さま」や「お姫さま」はガラスの靴ではなく、スマートフォンを持って現れるのだ。
(結)


「半・田舎暮らしのライフスタイル」

 近い将来、東京を襲うであろう首都直下型地震は、テレワークやリモートワークによって、その被害を軽減できるのではないだろうか。
 コロナウィルスの蔓延は、東京に「テレワーク」や「リモートワーク」の仕事を普及させた。会社へ行かず、自宅で仕事をするライフスタイルが、東京の未来に別な姿を生じさせたのである。
 つまり、「郡山市や宇都宮市などの中都市に住み、週に一回程度、東京に行く」という「半・田舎暮らし」のライフスタイルが成立するのである。これによって、直下型地震による甚大な被害を、相当軽減できるようになるのではないだろうか。
(結)


「イマジネーションをもって生きる」

 多くのコンピュータ・ゲームのRPGでは、HP(体力)から数字のダメージを差し引いて、攻撃の強さを表現する。そこに、リアルな血しぶきはない。数値化され、抽象化された「痛み」は伝わることがない。それを言語化することが必要なのである。例えば、「100ポイントのダメージ」を表現する時には、「腕がもげて、その辺に転がっている」と伝える。これはテーブルトークRPGなら容易である。コンピュータ・ゲームRPGでも可能であろう。問題なのは「イマジネーションを持って生きる」ことが出来るかどうかなのである。
 そして「常に考え続ける」ことが、「RPGの呪い」を解くカギなのである。そこにしか、ゲームの未来は立ち現れてこないのでは無いのだろうか。
(結)

論考集1

2020年8月16日 発行 初版

著  者:雨音多一
発  行:遊勇舎

bb_B_00165409
bcck: http://bccks.jp/bcck/00165409/info
user: http://bccks.jp/user/147921
format:#002y

Powered by BCCKS

株式会社BCCKS
〒141-0021
東京都品川区上大崎 1-5-5 201
contact@bccks.jp
http://bccks.jp

雨音多一

ポエムと小説、ときどきピアノ。

jacket