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まえがき
あなたは、家族をいきなり失った事ありますか?
突然、つい最近まで生きていたのに……なぜ?
そういう経験はあなたにはありますか?
これからお送りする物語は、いきなり家族を失った人の実話を元にしたフィクションです。
※本人の意向により実名は伏せております。
わたし、川村 幸枝(ゆきえ)は、胸騒ぎをしていた。
たまにだけど、わたしは胸騒ぎをする事がたまにあって、それもよくないお報せが当たる事もあって、今回の胸騒ぎも、そうなのかなって。
職場で昼休みに昼食後に軽く睡眠をとるというのが日課になっていて、この時もわたしは、昼食後に軽く睡眠を取っていた。
夢で誰かが溺れている。
川かどこかで両手を頭の上にあげていて、必死に助けを求めている少年がいる。
「助けて! 助けて!」
流れの早い川の中心で彼は必死に叫んでいる。
お願い、誰か助けてあげて! わたしはそこで目を覚ました。
午後からの仕事が、思うようにはかどらないのは、きっと夢を見たせいだ。
訴えかけてくるよな、あんな夢を見てからというものの、わたしの胸騒ぎは収まりそうにない。
早く仕事を切り上げたい気持ちになって、定時にならないかと時折時間を気にしている自分がいる。
(まさかね……、麻弘(まひろ)なわけないよね)
川村麻弘、わたしの二歳下の弟は、今年は大学三年生だ。
ふと、夢でのあの少年は麻弘だったんじゃないか? わたしはそんな不吉な事を思うようになった。
そうなると、ますます早く定時で上がりたい気持ちが強くなる。
午前の仕事がやたら早く終わるように感じるのに、午後からの仕事ってどうしてこんなにも遅く感じるのだろう。
フルタイム勤務って、胸騒ぎしている時ほどイラつく事ってないよね。
職場の定時時刻は夕方5時なので、あと数時間だ。
仕事がそれなりに忙しいと時間が過ぎるのはあっという間に感じるのに、仕事が忙しくないと時間が過ぎるのが遅く感じる。
職場では特に終了時間を知らせる事がないので、自分たちで時計を見て残業がなければ机のパソコンの電源を落として帰宅していく。
(よし、5時だ。残業もないしやっと帰れる)
わたしは、パソコンの電源を落として、お先に失礼しますとまだ残っている人へ挨拶をしてから職場から足早に出ていく。
片道だいたい1時間かかるので、それも急ぎたい時にはもどかしい。
地下鉄とバスと乗り換えが大変だけれど、最寄りのバス停へ着いてから、下車をするとわたしは坂道を早歩きで登っていく。
家に着いたら、カーポートに麻弘の車がなくて、わたしは単に家庭教師のバイトでも行っているのだろうくらいにしか思ってなかった。
家に入ろうとして鍵がかかっていたので、少々イラついたけれど、用心深い母親が鍵をかけたままでわたしが帰ってくるのに解錠するのを忘れただけかもしれないと思いながらも、自分で合鍵でで玄関のカギを開けて中へ入った。
「ただいま……」
居間にいると思っていた母親の姿がなくて、わたしは急におばあちゃんのところへお見舞いに行く事にしたのだろうと、この時は思った。
ソファーにバッグを置いて、手洗いうがいをしようと洗面所へ向かった時、わたしの携帯電話が鳴った。
(誰だろう?)
電話してくるのは、およそ見当はついていたけど、確信が持てないのでわたしは急いでバッグから携帯を取り出した。
画面に表示してあるのはお父さんという文字だったので、勘が外れてしまったなと、ちょっとだけがっかりしたけれど、とりあえずは深呼吸して通話ボタンを押して耳に当てる。
(単身赴任先から、何か用なのかな? だったら、個別に電話してこないで家にかけてくればいいのに)
「もしもし……」
『幸枝、今は家にいるのか?』
「そうだけど。どうしたの?」
『そうか。じゃ、家のほうにかけなおす』
こうして、一旦は通話は途切れた。
そして、家電がなったのでわたしは急いで受話器をあげた。
「もしもし」
『幸枝……、お父さんはお母さんと一緒に札幌の手稲の病院に来ている。麻弘が海で溺れたって……、懸命に心臓マッサージしてくれているけれど……、戻らないみたいだ……』
グズ、グズと父親は電話の向こうで涙声になっているから、わたしはなんとなく察した。
「本当に……? 麻弘が……、死んだ……?」
『ごめんな。無言の帰宅になるよ……。これからまだしばらく時間かかるけど、
3人で
家に帰るから待っていて……』
「うん、わかった。気を付けて……」
わたしは受話器を戻した。
本当に、麻弘は亡くなったの?
誰か嘘だと言って。
わたしは、その場に泣き崩れた。
わたしはどれだけその場で泣いていたのだろう。
玄関呼び鈴で、わたしはやっと重たい腰をあげて玄関のドアを開けようとしたら、すでに苫小牧から来たおばさんがドアを開けて中へ入ってきた。
「真由子はまだなの?」
「お母さんはまだ病院から戻って来てないよ。おばさん、どうして?」
「則友さんから連絡をもらったの。麻弘が亡くなったって聞いて、高速を使って車を飛ばしてきたのさ。幸枝、北の方角ってどっちさ?」
家へ上がり込んでくるなり、おばさんはテキパキとわたしに指示をしてくる。
やや遅れて家に上がった祐実さんは、お母さん、そんなせかさないほうがいいってと言っている。
「何のんびりしているのさ。だって、麻弘が
無言で
帰宅してくるんだよ? 真由子がいないなら、こっちで準備してやらないとさ。ぼやぼやしている暇はないの」
「おばさん、北の方角ならこっちだよ」
わたしは玄関と反対側を指さした。
「じゃあ、玄関の内側のドアを外せない? それがあったら邪魔で入れないべさ。あ、お父さん、内側のドアを外すの手伝って」
おばさんは、我が物顔のようにわたしの家でも来たばかりのおじさんに指示をして、せっせと内側のドアを外しにかかる。
「母さん、何も今やらなくてもいいだろう。ましてや、ここは川ちゃんの家なんだから、主が戻って来てからだって十分だろう」
おじさんはブツブツ言いながらも、帰って来てからだと間に合わないと説得するおばさんを手伝っている。
病院から戻って来たらしいので、結果としては玄関の内ドアを外して正解だった。
担架に乗せられた麻弘は、普段は母が寝室につかっている部屋へと運ばれる。
布団を敷いていてよかったと改めて思ったのだった。
おばさんが、休まずに動いてくれてなかったら、今頃大慌てで用意しなきゃならなかったところだった。
「姉さん」
母がおばさんに気気がついて駆け寄ると、おばさんに抱きついた。
「うん……まさかこんな事になるなんてね……」
おばさんは、優しく母の背中を撫でている。
「あの子……、最後の最後にバカなんだから……泳げないのに……」
母は、涙ぐみながらそう話した。
麻弘の事を生前は、バカだと口にした事がなかった母が、初めて麻弘をバカだと言ったのはこの日が最初で最後だろう。
「思い出に浸っている暇なんてないよ。さ、これからしばらく忙しいからね。真由子も帰って来たばかりで休みたいだろうけど、休んでられないよ。それにしても、今年の夏は暑いね。麻弘もこんな暑い夏に逝かなくてもよかったんじゃないかい?」
うっすらと涙を目に浮かばせながら、おばさんは言った。
「ドライアスを持ってきました。あのご遺体はどちらですか?」
たぶん、業者の人だろうか、麻弘の体が傷まないようにとドライアスで冷やすというのだ。
本当に、当分の間はゆっくりとしている時間はなさそう。
忙しいのに来客があった。
どこで聞きつけたのだろうか、麻弘が亡くなったからお線香をあげたいと、制服を着た少女が母親と一緒に訪ねてきたのだ。
わたししか対応する人はいないので、彼女に上がってもらって、奥の部屋へと案内した。
彼女の母親は車で待機しているというので、長居はしないのだろうなと思う。
「わたし、朝倉未唯と言います。かわち……、あ、川村麻弘さんの彼女だったんです。バイト先で知り合って付き合うようになりました」
「そうだったんですか。麻弘が亡くなったのを誰かから聞いたのですか?」
わたしは、亡くなった初日に麻弘の関係者以外は知るのは不可能だと思っていたので、彼女に率直な気持ちを聞いてみた。
「かわちの友だちから聞いたんです。一緒に海へ遊びに行っていた友だちの一人から連絡を受けました」
「そうだったんですね。麻弘に彼女いたなんて知りませんでした」
わたしは、いつだか麻弘が家へ女の子を連れてきた事があったのを思い出したけど、女友達なんだと思っていた子が、彼女だったんだ。
「意外ですよね、こんな高校生がって思いました?」
「はい、そうですね。彼女ができるとしても同い年なのかと勝手に思っていたので、正直驚いてますけど。あ、気が済むまでお別れしてくださいね」
わたしがそう言うと、朝倉さんは線香をあげると、布団に横たわっている麻弘の顔をじっと見つめている。
「こうしてみていると、かわちは今にも起き出しそうですね……、でも、亡くなってるんですよね」
朝倉さんが言うように、麻弘は本当に眠っているように見えて、今にでも起き出しそうにしか見えない。
それくらい、状態がいいという事だ。
海で溺れたと聞いていたけど、状態がいい事が何よりの救いだったのかもしれない。
きっと、ほんの一瞬で麻弘は逝ってしまったという事か。
苦しんだ様子がない事から、そう推測したに過ぎない。
「これが最後なんだと思うと、寂しいけれどかわちに出会えたことはわたしには、何よりの宝物になりました。あの、忙しいのにありがとうございます」
朝倉さんは、最後にもう一本だけ線香をあげて両手を合わせると、部屋から出ていきおじゃましましたと挨拶をして帰って行った。
まさか、この時はわたしはあんな事が起ころうとは思ってもいなかった。
葬儀屋さんの気遣いにより、わたしたちは霊きゅう車で麻弘が通っていたという大学まで行ってもらう事にした。
麻弘はその大学の三年生で、工学部に所属していた。
正門から車で入ると、広い敷地に驚いた。
銀杏並木が有名で、あのクラーク博士と聞いたらああ、あの大学ねとわかる人はわかるだろう大学のただっぴろい敷地をゆっくりと霊きゅう車を走らせて工学部へと行ってもらった。
「麻弘、見えるか?」
父が胸にだいている遺影を工学部があるほうへ差し出した。
霊きゅう車に積んである棺は、まだ顔だけは見える状態にしているので、最後にと父がしてくれている。
その様子を見るだけでわたしは、胸が苦しくなりそうだった。
親が子を亡くすというのが、いかに耐え難いものがあるのか。
どれくらい、その場にいたのだろう。
麻弘は、滑り止めの大学など受験するつもりがなく、北海道の唯一の国立大学一本で、現役で合格を果たし、成績は常に良か優良しかなかったそうだ。
三年生になり、就職するか院生になるか決めなければならない時期に、麻弘は逝ってしまったのだ。
その思い出の詰まった大学をこうして家族で見納めに来た。
これが本当に最後の家族で過ごす時間。
父が涙ぐみながら気が済んだので、車を走らせてくださいとお願いをした。
本来なら、一般車両は簡単にはいれてくれないけれど、事情が事情なだけに大学側の協力があってこそ成し遂げる事ができた。
斎場にたどり着いた頃には、親族一同が待機していた。
「川ちゃん、麻弘との最後の会話はできたのかい?」
苫小牧のおばは、父に優しく声をかけてくる。
父は、目じりの涙をそっと拭って小さく頷くので精一杯だった。
斎場では、順調に葬儀が進んでいる。
麻弘の顔を見るのもきょうが最後なのだと思うと、わたしは居ても立っても居られない気持ちになる。
「いよいよ出棺ですので、みなさまお花を入れてください」
葬儀屋さんがそう言い、わたしたちは口々に麻弘へお別れの言葉を述べながら仏花を入れていく。
さて、釘を打って出棺だといういうタイミングで、いつから来ていたのか、あの時の少女が棺にしがみついてギャーギャー騒ぎ始めた。
「いやああああああ、かわちいいいいいい、逝かないでえええええええ。逝くならわたしも一緒にこの中に入って逝きますううううううう。うわあああああああああああんんん」
「あの……、そろそろお時間なので……」
葬儀屋さんがなだめようとしてもその少女の耳には入っていないらしい。
そんな時だった。
「あなたよりも家族が一番悲しいんだわ。次に悲しいのは親戚なの。悪いけど時間が押しているから離れてくれる? この子のお母さんって来てないの?」
甲高い声が響くので、ドドドドドとどこからともなく体格のいい女性が走ってきて、迷惑かけてすみません! 未唯、行くよ! と棺にしがみつく少女の手を引きはがして首根っこでも引っ張っていくかのように少女の腕をつかんで半ば引きずって出ていった。
ポカーンとしていると、親戚のおばさんが葬儀屋さんにあの、すみませんでした。続けてくださいと伝えると、ハッと我に返った葬儀屋さんは、出棺の準備できましたので――と、続けた。
わたしたち親族は葬儀屋さんが手配してくれたワゴン車で火葬場へと向かう。
その途中、先ほどの出来事を思い返して母が、
「姉さんが仕切ってくれないとどうなるかと思ったわ」
「ほんとだよ。あの子に悪気はないんだろうけど、なんていうかもう少し周りの空気を読んでほしいよね。それにしても言葉は悪いけれど麻弘と別れて正解だったんじゃないかい。あの子と付き合っていると疲れそうだもんね」
などと好き勝手なことを言っている。
ごめん、麻弘が付き合っていた少女の事悪く言ったりして。
だけど、あの子だってきちんとさよならが出来て良かったんじゃないかなとわたしは思った。
火葬場につき、いよいよあの熱々のかまどの中に棺が入れられるんだ。
亡くなったとはいえ、あの高温はかなりなものだから、身体は熱くなるのかな?
わたしはまだ生きているし、未知の事はわからないけれど、想像するだけでも熱くてわたしなら逃げ出してしまいそうだよ。
当たり前だけど、日本では火葬するのが葬式のやり方。
海外のように土に還る事を願って土葬をしない。
今までもおじいちゃんの葬式には出た事があって、火葬されたあとも体験してきたのにやっぱりそれとは別だ。
家族を一人亡くすってこういう事なんだ。
葬儀屋さんは慣れた手つきでかまどの中へ棺を入れて蓋を閉める。
焼きあがったらまた知らせてくれるそうで、わたしたちは控室へと戻った時には、会食が運ばれていた。
ここで簡単に昼食を済ませる事になるらしい。
車を運転しない人は、この昼食からアルコール摂取をする。
父は運転するのでお酒が飲めない。
母は運転しないから小さい缶ビールを一つだけ飲むことにした。
わたしもお酒は飲めるけれど、ただ飲みたいお酒がなかったので、ソフトドリンクにした。
「川ちゃん、本当に寂しくなるね。落ち着いたらもっと寂しさが増してくる時もあると思うけれど、麻弘はずっと胸の中で生きているんだよ」
親戚のおじさんが父の隣に座り、ご飯を食べたりお酒を飲んだりしながらそんな事を話している。
父は愛想笑いをしているけれど、きっと辛い話は今は聞きたくないんだなって、わたしはなんとなく思った。
どれだけの時間が過ぎたのだろうか。
我が家より先に火葬していた家族よりも先に呼ばれたので、え? という顔を見合わせながら火葬場へと向かった。
葬儀屋さんの話によると、若い人ほど早く骨になりやすいらしい。
綺麗なという言葉が相応しいかわからないけれど、麻弘の骨は太くて白いのが多い。
状態もよかったみたいだ。
「こちらの骨壺の方へ順に入れていってください」
そう言われて、父から順に拾った骨を入れていく。
最後まで無駄にすることなく、葬儀屋さんは骨壺へ納めてしまうと白い箱へ入れてくれた。
それを父が持つ。
控室に戻って各々、残した会食などを包むとここでお別れの親族もいて、父に挨拶をして出ていく姿もちらほら見かけた。
あとの親族は斎場へと戻って、簡単に後片付けを済ませる。
「またね」
そう短い挨拶をかわし、それぞれ自家用車で帰宅していく。
わたしたちも、最後に斎場から出て我が家へ向かって帰宅。
それほど家を空けていないのに、麻弘がもういないと言うだけで広く感じた。
「ただいま……。麻弘はしばらくはここに置いておくことになるのか」
父のどこか寂し気な背中を見つめて、わたしはかけてあげる言葉は見つからなかった。
「なんだかあっという間だったね。それにしても今年の夏は本当に異様な暑さで参るわ。何もこんな数年に一度の暑い夏に死ななくたって……」
母はそう話して涙を拭った。
四十九日が過ぎると、麻弘の骨壺を納骨堂に納める。
遠いから実家のお墓へ骨壺を納めるのは面倒くさいという話で、どうせなら自分たちが老いた時の事を考えて家の近くの延滞供養をしてくれるお寺の納骨堂にしようという話でそうなった。
永遠に眠ってください。
あとがき
初の実話を元にした短編小説でした。
今でも、麻弘はひょっこりと戻ってくるのではないかと言う思いをする事もあります。
けれど、麻弘がこの世から去ってから20年以上の年月が経ち、わたしは麻弘は確かにこの世にいたのだという何かが欲しくて、こういう小説という形に残す事にしました。
家族を亡くした方々は、きっと数えきれないほどいるかと思います。
今でも、夏が来て海の映像や、ニュースで水の事故などを見るたびに、ああ、麻弘もそういえば水難事故で亡くしたんだなと思います。
同時に、できるだけ麻弘と同じような形で命を亡くす人が少なくなってくれれば……とも思います。
遊泳禁止のところで泳がないでください。
流れの早いところでふざける真似はけしてしないでください。
水の流れは本当にとても速いです。
自分を過信しないでください。
泳げないのに友だちなどの前で見栄を張らないでください。
今でも思うのは、遊泳禁止のところへ行かなければ、麻弘は生きていたのか? という事です。
ですが、こればかりはわかりません。
仮に、あの時遊泳禁止のところへ行かなかったとしても、もしかしたら、何らかの形で麻弘はこの世から去っていく運命(さだめ)だったのかもしれません。
わたしは、亡くなった人の分まで生きてという言葉が苦手です。
その人の人生はその人のものであって、わたしたち残された家族のものではないからです。
それぞれに違う人生があるから、確かに家族として一緒に育ってきたけれど、その人の分まで生きる事はわたしはできません。
麻弘、わたしの弟でいてくれてありがとう。
たぶん、人間はこの世に生命を産み落とした時から、宿している魂は違うんだろうなという事を教えてくれた気がします。
麻弘は、生前、母にこのような事を言っていたそうです。
「僕のような性格がいい人を神様は傍に置いておきたいんだって」
きっと、麻弘はわかっていたのだと思います。
たまに地上天使としてこの世に降り立つ存在もいるそうです。
地上天使は、自分の役割をよく知っていて、いつ旅経つのかも知っているそうです。
そう考えたら、麻弘はもしかしたら地上天使だったのかもしれません。
麻弘、20年間お疲れさまでした。
今まで有難うございました。
2021年1月24日 発行 初版
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