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かわいい、は、正義です。
鞄の中から銃声が聞こえたような、恋。
をしました、わたしは、何色で消えるのでしょう。
六年後には花が咲いて、
少しは大人に触れられましたか。
鏡の内側に「ほんとう」はいて、
目が合ってしまえば、
吸い込まれてしまえば、
やさしいあの子に戻れるのでしょうか。
地球最後の日、
かわいい、は、
正義です。
詩「おんなのこ。(白)」
きみは、背中から「やさしさ」を生やして、
遠くへ、飛んで、いく。言葉が意味を失った日に、
昇った夕陽は、死んでしまうくらい奇麗で、
命は、湖の中に飛び込んでゆく。
さようなら、ねえ、さようなら、
もう一度だけ青の中から左手をください。
きみは、背中から「やさしさ」を生やして、
さようなら。
詩「青く、飛行」
寝てしまえば、生き物、のよう、ですね。
連続する夏の音、窓際で咲いた花、
花、花火のような命でした。
海を呑み込んで、しまえば、神様みたいでしょう、
夏休みは綺麗で、終わらない星みたいでしょう。
丁寧に、生きて、あなた、丁寧に、生きて、
目の前から光が消えてしまってもあなたは、
丁寧に。
窓際で咲いた、花、の色を数えて真夜中。
詩「花は生きて」
ちゃんと、きみのことが「〇ロ」だと叫んで、
夜は ちょうど真ん中で割れました。
隙間、から血は流れて、きみの、
名前を書きましょう。
水を飲んで、生きている気になってしまう、
わたしを、
可愛いと言って。
朝が眠気に負けた頃、
あなたがわたしを好きになる時間に、
数滴だけ涙を濡らして月は染って、
愛が目に見えたような気がしたんです。
詩「〇ロ」
わたしの心の一番綺麗な部分は、
きみが死んでしまうまで、ずっと綺麗です。
怪獣と雷の降る街で恋をして、
春で埋まった街で命は死んでしまうので、
この星に、やさしさなんてものは無いのです、
だから左手を貸してください、
冬の寒さに、あなたの、左手を貸してください。
詩「悴んで、恋」
透明な、朝が来ても、
あなたはいつか死んでしまう憂鬱の中に、
透明な、歌声は生きていました。
真っ白の中で生きているような、ただの夕暮れ、
命が少し零れてしまったので、わたし、
明日は息継ぎの出来ないくらいに、生き物。
命がいつか死んでしまう夜に、
透明な、歌声は生きていました。
詩「透明の唄」
わたしは、海を泣く。
ただそこにあるだけでは、価値が無いらしい。
そう、星の砂が泣いていたので、
代わりに空の色を教えてあげた。
足の小指と引き換えに朝日を浴びた。
夏と引き換えに、前髪は伸びて。
制服から心が漏れて、しまうから、
能動的に死んでしまえばいい。
二酸化炭素だけがきみで、手を繋いだら雨の中。
到底未だに人間のまま、深呼吸をして、
心臓を幸せに。
波に拐われるのが夕暮れだけでは無いのなら。
わたしは、海と鳴く。
詩「心中」
月の少しだけ、
ほんの少しだけ欠けてしまった場所に、
やさしいだけの国を作ろう、
その他すべてが死んでしまう、国を作ろう。
砂と同じ味の、言葉が、
喉の奥に詰まってしまって、
わたし、まだ息ができることを思い出しました。
吐いた煙は、月と同じ匂いがすること、
わたし、ちゃんと、知っていました。
詩「月の匂い」
すべて、かわいいから、ほんとうに、
かわいいから、いつか死んでしまうんだよ、
ってきみは笑った。星は、群れることをやめて、
独りぼっちを選んで、
大切から一番離れた小さな街で暮らしました。
電車に乗遅れた命が、すこし、
光ったような気がしたんです。
わたし、もう、すこし、
人間になれるような気がしたんです。
詩「ショートケーキは光の中で」
肌に触れたそれを、「雨」と呼んで、
解けない紐の先で待ってる命、
が、敏感な空を泳いで
四足歩行にはまだ慣れないままです。
塗った色に名前を付けるくらいには、
命に、価値はありますか。空気を吸って、泳いで、
羽と呼ぶには程遠い二本で、
泳いで、誰か、わたしに名前をください。
どうか似た色の、名前、で呼んでください。
詩「雨、色、」
コーヒーの中、
きみ、と同じ名前の星を浮かべて、
ただ、丁寧に、浮かべて。
詩「告白」
これは、ひとりごと、
だから誰も光らないで。
ただ、歌を唄い続けているのです、
誰も死なない歌を、ただ、唄い続けているのです。
それでも、あなたは百年後には天使になって、
綺麗な湖を照らすでしょう。白日、
欠伸をして、白日、光、
手をすり抜けてしまったから、
あなたはきっと、光。
詩「恋をして、光。」
両手を広げれば、青。
弾ける透明は喉の奥で少しだけ、
揺れていて、きみは世界の半分でした。
舞った白雪の中で、告白をして、
溶けるまでの一瞬を、一瞬、を、愛せますように。
街を見下ろせば、青。背中から心を放って、
もう半分の、世界のよう。
さようなら、
さようなら。
それは、一瞬のようでした。
詩「青雪」
わたし、
いつか骨になる為に産まれた
欠片に、
キスをして。
詩「よる、の色」
あなたがあなたを愛さないうちは、
きっと星に色なんて無いだろうし、
公園に宇宙船は、いつまでも落ちないままです。
残りあと三分間の笑顔を削って、
鏡の裏側、立ち尽くす少女と目が合ってしまった。
一つ、赤を引けば、
つま先を伸ばして歩けるでしょう、
一つ、黒を塗れば、
前を向いて歩けるでしょう。
あなたがあなたを愛せるような、
星が、縞麗でありますように。
詩「化粧」
きみは知らずに
きっと死んでしまうけど、
星は、甘い、味がするんだよ。
詩「木星と少女」
もしも、わたし、全てを失ったとして、
神様の声が聴こえる夜に、
鳴る白色の夢の中にいさせて。
ずっと、独りを愛したまま、人間、
前後左右では花が咲いて、
手のひらをすり抜けるのは命だけ。
きみが声を失ったとして、
いちばん綺麗な声をあげるから、
次の色が鳴るまではどうか、
季節は降り注いで。
詩「季節の聲」
最愛を消してしまうくらいに、
光、は暗闇を抱きしめて、
そのまま水の味を知って。
傷ロから春が舞って、わたし、きみのことが。
生きている限りは死んでしまうので、
青空なんて一瞬の生命です。
甘い、甘い、ミルクココアは優しくて、
溶けてしまうよう。
最愛を消してしまうくらいに、
わたし、は
詩「ミルクココア」
夜に片足をトリップして、
海辺の少女は朝を舞う。
生きていることが正義なら、
何億の、何十億の、命は悪なのでしょう。
きみが咳いた声の一つ一つに命が見え、
隠れ、をして、遊んでいるようにわたし、
息をしてみました。
どうせ消えるものを愛することは愚かだと、
二秒前に吹いた風が言いました。
夜に、リップと、愛だけを持ってわたし。
詩「夜とリップと」
それは、甘い、クリームのような。
そこには人間がいました、
少しだけ優しくなれる気がした朝を
踏み潰してしまったので、
もう、この命は一度きりだと知りました。
それは、甘い、クリームのような。
花が咲く瞬間を見れないこと、
雪の華の溶ける瞬間を見れないこと、
それらが人としての罪だとするなら、
それは、甘い、クリームのような。
詩「命の甘い、」
羽の音がして、朝が来たと知ってしまって、
前髪の長さだけが真実でした。
おはようございます、
今日も独りで息をはじめます、
淀んだ水色に喉を押し当てて、
この世界の一部を吸い込んだわたしは、
わたしの一部は、この世界そのものでしょう。
だから愛おしく思ってください、
世界に似ているわたしのことを、
どうか、愛おしく思ってください。
詩「プロポーズ」
きみは、この世界に色を塗り続けていて、
それは綺麗で、綺麗で、
どうしたってわたしはもう少しで
この世界を食べてしまいそうです。
昨日作った星はもう死んでしまって、
ほんとうに命は輝きながら散るんだね、
なんてきみが笑うから、綺麗で、
この星すらも、
ほんとうに。綺麗で。
詩「星とミルクと」
電車は二駅先で笑って、
わたしを抱きしめてくれるような、気がした。
そうして、春になりました、
命は桜の香りになりました。
電車は一駅先で笑って、
わたしを愛してくれるような、気がした。
昨日を生きたことを思い出して、
目を開ければ夜でした。
名前の無い季節に
落ちてしまったわたしは、
きっと、どうか、幸せに。
詩「××××」
水の色なんて、誰も知らないじゃない。
どうして、宇宙は、
手のひらの中では無口なの。
どうして、宇宙は。
命から吐かれた言葉を手に入れて、
わたしたちは、人間です。
誰も知らないじゃない、
わたしたちが人間なことなんて、
誰も、知らないじゃない。
詩「人とする。」
命なんかより、炭酸の、
泡のほうが綺麗だよ。
夏の匂いがしたら、もう、海に行きましょう。
そしてきみが死んでしまう五分前、
綺麗を、探して、夜の中に手を入れて、
触れて、愛の。匂いがしました。
ふわ、っと、小さく消えてしまうような命なら、
風船の方がちゃんと、縞麗だよ。
詩「炭酸と夏。」
頼りない命でジャンプして、
足の裏から生えてきた、あなたが知らない物語。
真っ赤な天使がいたのです、赤い粉は舞って、
死んでしまった真っ赤な天使がいたのです。
わたし、ロボットとしか話せない、幸せ、
この星とはもうさようなら。
いち、に、のさんで腫に生やした赤い羽根に、
どうか、やさしさを。
詩「天使は赩く」
きみを救うだけのオレンジ。
味のしなくなった命を吐いて、
青く回る星の上、わたしは、
わたしらしく死んでしまうように、今日を。
今この瞬間だけは救いだ、
綺麗な色を見上げる瞬間は、救いだ。
人がたまたま魚の形では無かったことを
思い出にして、
夜が眠るまではオレンジ、
きみをどうか救って。
詩「オレンジ」
純粋な水に、溺れて、水の底で少女は泳いで、
わたしは、溺れて。
命に触れることが怖くなってしまったのはなぜ、
繋いだ手に色を感じられなくなったのはなぜ、
枕元で少女は泣いて、いるのはなぜ。
もう大人になってしまったから、わたしたち、
大人になってしまったから、
透明な水にはもう触れられないから
詩「純粋な水」
白い光の中へ、中へ、わたし、独りきり。
跳ねる金属音は高速で、煙の匂いを遠ざけて、
真っ白い光の中心へ、伸びて。伸びて、
もう誰も追いつけませんように、独りきりで、
いられますように。少女の傷を知らないまま、
泡になって消えてしまう、
大人になってしまうこと。
世界を救ってしまえるような、
泡になる前の、瞬きの様。
詩「少女(泡)」
かわいい、の欠片がバラバラ、
崩れていく様子を見ていました。
わたし、それを見ていました。
チョコレートの甘い部分だけを愛して、
それ以外は夜として、きみは神様だとして。
この世のかわいいをすべて繋いでしまって、
いつか結んで大きな国を作ろう。
そこで暮らそう、
ねえ、たまには、
ほんの少しだけ苦い言葉で抱きしめて。
詩「かわいい、だけの国」
2021年3月20日 発行 初版
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