長くても3分で終わってしまうレースなのだから、そのレースを語り、記すのも端的にまとめた方が面白い……かも?
当該週の中央競馬重賞を中心に、できる限り短い文字数でレースを振り返ってみよう! という1冊です。
2020年の天皇賞(春)から2021年2月のレースまでを収録。レースの振り返りや競馬予想のお供として、ご一読頂ければ幸いです!
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この度は本書を手にとってくださり、誠にありがとうございます。
こちらは僕のnoteにて、2020年5月から「140文字の競馬レース回顧」として連載していたものを、改題・修正を施したのち、1冊にまとめたものになります。
・「140文字の競馬レース回顧」
https://note.com/waratas/m/m667e3f6e3393
そもそも、何でレース回顧を始めたのか? と言いますと、贔屓にしていた某予想サイトが毎週の振り返りコーナーを止めてしまったことがキッカケです。競馬は圧倒的に「プレビュー(※予想)」が大事であり、「レビュー」は蔑ろにされているきらいがあります。レビューに時間を費やすならば、もう次のレースを考えたい! ということなのかもしれません。
そんな最中でも丁寧なレビューを書く方がいたのですが、その方も理由なく撤退してしまい……それならば自分で書くしかないな(!?)と思い立ち、noteを使って、見様見真似で記し始めたのであります。
最初は140文字までの制限付きである「つぶやき」機能を使い、GⅠレースを中心に更新。だんだん140文字では書ききれなくなったり、取り扱いレースを増やしていったことから、2020年12月からは記事機能に移行&週1回で気になるレースをまとめて更新、というかたちをとり、現在に至っております。ですので、文体の統一感や取り上げるレースの有無など、本書内にはバラツキがございます。読者の皆様には誠に申し訳ないのですが、その点はご容赦頂ますよう、よろしくお願いいたします。
コロナ禍における大変な時期も、中央・地方の競馬は開催を続けていました。だからこそ、この1冊にたどり着けたと実感しております。ホースマン諸氏に感謝をし、引き続き馬券を買い続けたい…できれば、このレビューをの文言を活かして、「当て続けたい」にたどり着きたいのですけどね。ではまた!
2021年5月 かしわ記念◎ソリストサンダー
和良拓馬
【天皇賞(春)】色々と落ち着いたので、ようやく春天をゆっくり見返す。キタサンブラック以降の春天のトレンドが総まとめされたような印象。中距離でも走れる実績馬に、穴馬はトニービン持ちとステイゴールドと……。というわけで、宝塚で狙いたいのはユーキャンスマイル。成長曲線にミッキーロケットっぽさがある。
【NHKマイルカップ】コロコロとトレンドが変わるので、過去傾向研究派泣かせのレース。今年は傾向の変わり目だった。1~3着まで全て1400mでの好走実績ありなのは、ここ2年とは全く逆。来年も従うべきか、それとも2種類馬券を用意するか。さて、◎プリンスリターン、そして原田騎手もめげないで!
【ヴィクトリアマイル】トロワゼトワルの複勝&1着馬とのワイドを持っていた+プリモシーンとノームコアの取捨を間違えた=悶える。良馬場のときは短距離で走れる馬をというのは合っていたが。ただ、最大の見当違いはサウンドキアラの軽視。1400&マイルならば堅実に走れるニューヒロインの誕生。えっ、1着馬? 語るまでもなく!
【オークス】スマートな騎乗ではなかったが、馬は涼しくゴールを駆ける。先週に続き、〇デアリングタクトも「強い」の一言。△ウインマイティーとのワイドで馬券は命拾い。そんな両者とも血筋はロベルト系。今の府中で問われるタフさとは何か? ダービーに向けての研究は続く。なお、◎クラヴァシュドールは完敗。
【日本ダービー】「自らの力でこじ開けるタイプ」と「オーラで相手を怯ませるタイプ」。アーモンドアイやデアリングタクトが前者ならば、コントレイルは後者である。歴代の名馬で言えば、ロードカナロアやキタサンブラックと同じ。故に、敗れるならば個性的な馬が最適な条件で出たとき。その時は菊花賞よりもあとになる?
コントレイル以外も回顧を。オークスとの同時性はヴェルトライゼンテ、ペースが合ったサトノインプレッサ、セントライト記念勝ったら菊でも買いたいガロアクリーク、対抗に推したコルテジアもまた中距離で穴を開けてくれるはず。最後にサリオス。次にコントレイルと会い見えるときは、来年の秋天か…?
【安田記念】初の斤量56kgがどうか? と思ったが、全く問題なし。グランアレグリアも「怪物」と呼ばれていたことをすっかり忘れていた。少なくとも、このレースにおいてはアーモンドアイを上回る力量だった。さて、僕の馬券的には▲ノームコアが4着で涙。春の東京GⅠの裏MVPはノリさんではないだろうか。
【帝王賞】ドバイ組で勝ったのはアーモンドアイのみ。今回の帝王賞に彼女クラスの馬はいない…という見立てが誤りだった。条件揃った◎オメガパフュームに圧勝なので、クリソベリル恐るべし。3・4着と5・6着はこの日の馬場への適応力の差。○ケイティブレイブと▲ノンコノユメは馬の力に適した乗り方をしたということで、納得している。
【宝塚記念予想】
そう言えば、ダービーで◎を打った馬だった。クラシックで見捨てたファン、乗り捨てたジョッキーたちを見返してやろう。そして、再び振り向かせる時が来た! ◎はカデナ。前走で見せた末脚を、どう繰り出すかがキーとなる。他はクロノジェネシス、ラッキーライラック、トーセンカンビーナとのワイドボックスをば。
【宝塚記念回顧】いかにも宝塚記念らしい舞台で勝つ馬が勝った、という印象。直前の雨は○クロノジェネシスの道悪巧者をサポートしたが、血統・距離適正・枠順などを総合的に考えれば、良馬場でも彼女なら勝てたと感じる。さて◎カデナ。見返すことはできなかったが、僕にとっては見捨てられない一頭になった。
他にも語りたいとこ多し。カデナとメイショウテンゲンの位置取りから見る外>内の荒れ具合。勝ち馬と対極のキャラクターであるサートゥルナーリアはやむ無しの出来。大阪杯勝ち馬は宝塚を勝てない傾向続く。今年のドバイ遠征組は2頭を除いて壊滅的な出来。モズベッロが見せたB級ディープ種牡馬の可能性。そしてキセキはまだ信じることができるのだろうか?
【CBC賞】軽斤量、夏のスプリント戦に強いサクラバクシンオーの血、意外と伸びた馬場の内側(エイシンデネブの位置取りと末脚に注目!)など…。とは言え、ラブカンプーを買うのは難しい。1度壊れた馬を見事建て直した、陣営の執念に天晴。ただ僕の馬券的には、2着のアンヴァルは候補に入れてたけど…。
【ラジオNIKKEI賞】この日は伏兵の逃げが目立つ。バビットも逃げ&先行有利の馬場を見事に活かした印象。重馬場得意なナカヤマフェスタの血も騒いだか。坂があるコースは未知数だが、菊花賞の複穴として面白い。さて、調べたところ内田博騎手の単勝回収率は106%! 単穴男として目覚めたか?
【七夕賞】先週、内田騎手の単勝期待値は高いと書いたが、夏の間はまだ信じられそうな。福島巧者が揃ったこのレースにおいて、明暗を分けたのは騎手の馬場読み。そう思えば、地方競馬っぽいエスコート? 常に馬場チェックを欠かさない福永騎手が連に絡むのも納得。3着に導いた酒井騎手は今日、この一鞍のみだった。
【プロキオンS】ダート1400メートルオープンでブイブイ言わせてた連中を、GⅠ実績ある馬が一蹴。サンライズノヴァもヤマニンアンプリメも、完全に人気の盲点。特に1着馬は「帝王賞除外されて〜」の前置きがあると…。最大の驚きはエアスピネル復活。次の選択肢は? 個人的にはダート中距離の重賞で買いたい。
【函館2歳S】マツリダゴッホ産駒は意外と早熟傾向がある、が第一印象。ロードクエストみたいな例もあるっちゃあるし。現役時代の印象に引っ張られてはいけない。「新馬戦を番手で勝った馬は要注意」の法則も忘れずに。モンファボリは脆さばかりが目立つ結果に終わる。難解な2歳戦線…
【函館記念】「いかに捲るか」が勝敗を分ける。内を狙った馬もごちゃつき全滅。ハイペースの中で前づけした3着・4着も高く評価したい。さて、アドマイヤジャスタは復活の勝利。先の盛岡クラスターカップを制したマスターフェンサー含め、ジャスタウェイ産駒はそろそろ爆発の時が近いということか?
【中京記念】◎エントシャイデンの複勝1点勝負大成功! なのに、全然嬉しくない。ハイペースで前が潰れ、差し・追込勢の中で最もスムーズに走れたのが勝ち馬だった…としか言いようが無いか。先のCBC賞含め、「馬場が使い古された阪神」のデータが蓄積されるまでは、展開と馬場読みで戦うしかない。
【アイビスSD】「苗字に『田』のつく騎手は千直が得意」という迷信に、新たに「菱田」も仲間入り? スムーズにラチ沿いのポジションを得たジョーカナチャンと、綺麗な競馬をしてしまったライオンボスの明暗。3着ビリーバーを選べた杉原騎手は一安心? あと、ダート組の初挑戦は上級条件では厳しいと認識す。
【クイーンS】インで忍び続け、ここぞの場面で力を爆発。外枠有利のレース傾向を覆した、吉田隼騎手の手綱さばきが光る。2年連続でヴィクトワールピサ産駒好走も新たな傾向か? 2・3着はロスの多い競馬。ビーチサンバは新たな最強の1勝馬候補に? 粘れたカリビアンゴールドとナルハヤは次走も注目したい。
【エルムS】◎タイムフライヤーで的中。とにかく、強さは際立っていた。引き続き小回りコースでは買い。でも、GⅠだと…? 函館・札幌のダート17はハーツ産駒の庭になりつつある。ウェスタールンド、アナザートゥルースも持ち味出しているので、引き続き注目。対してエアスピネルは適性の見極めが難しくなった。
【レパードS】新潟だからケンシンコウなのか? ユニコーンSが1&2着の印象が強すぎて忘れてたが、ちょい負け組が強いのがこのレースの特徴でもある。大人の競馬を見せたミヤジコクオウは中央向き、デュードヴァンはやはり脚質差しで東京向きかと。
【クラスターC】ドバイGSの2着馬がハンデ55kgというのは、罠ではなく恩恵だったということ。ハナにこだわらず、ヒロシゲゴールドを見ながら競馬をできたことは、今後に向けても大きな収穫。ハンデと言えば、3着のブルドックボスも大健闘。JBCスプリントでの再戦が楽しみになってきた。
【サマーチャンピオン】JRA勢の4頭による競馬。地方+小回り実績&勢いで◎メイショウテンスイにしたが、今回はサヴィに巧く立ち回れてしまった…。コパノキッキングはまだ復調の感は乏しく。距離もコースも向いていなかった。それ以上にヤマニンアンプリメのパフォーマンスに不満。ムラが大きいということか…。
【ブリーダーズゴールドカップ】この日の門別は先行2頭+差し1頭という傾向が強かったが、メインレースもそんな印象。ただ、メモリーコウは選べず。プリンシアコメータは門別の砂が合っている。対照的に、物足りないレーヌブランシュ。3歳馬はこのレースでは頭を取れないジンクスが続く。
【小倉記念】残り1000mを延々と11秒台で走れる馬が勝つのがこのレースの特徴だと思ったのだが…。4コーナーで◎ノーブルマーズと▲ロードクエストを見た瞬間、少しだけ大きな夢を見ました。前日に前残りだ! と皆が騒いでいたのも、罠だったのだろうか? 来年も変則開催の可能性高いので、この傾向を支持すべし。
【関屋記念】トロワゼトワルの逃げについていけたか、いけないか、そもそも無視するこができたか。新潟はトロワゼトワル向きの馬場ではない、と思っていたが、そこの取捨に自分は失敗してしまった。◎ミッキーブリランテはもうひと伸び足りなかった。プリモシーン、クリノガウディーのスランプは深刻。
【北九州記念】先行2頭+差し1頭という傾向は例年通り。アウィルアウェイの複勝持ってて良かった…。レッドアンシェルはインで脚を溜め、逃げ馬を仕留める理想的な競馬ができた。そしてモズスーパーフレアの逃げっぷり! このカタチにハマれば、やはり強い。1・2着ともスプリンターズステークスで候補に入れておきたい。
【札幌記念】これぞノリさんの騎乗にウットリ。4コーナーでラッキーを捉えられる位置&手応えならば勝負あり。ノームコアは奥が深い馬になりつつある。ペルシアンナイトの復活はびっくり。小回り向きの馬になってきた? ハービンジャー産駒のワン・ツーにも注目。ラッキーライラックはもう少し後ろで競馬したかった印象。
【キーンランドC】重馬場OK+差しOK≒エイティーンガール活躍できる舞台が整った。4角で捲ったライトオンキューに、上手くついていった時点で勝負ありか。ダイアトニックは覇気無き競馬で参考外。ディメンシオンは今レースで引退とは! まだ松田騎手と一発穴を開けそうだったが…お疲れ様でした。
【新潟2歳S】とにかく上がりの早い馬を買え! がこのレースの特徴だが、今年の1着馬は34.1(※レース自体は35.1)。例年よりも1秒遅い。逃げ馬の存在もあると思うが、◎ショックアクションのパワーがハマったとも思う。クラシックとは違うところで、勝ち星を重ねそうな気もしているが。
【札幌2歳S】白毛馬が生まれ、育ち、どんどん強くなっていく。ソダシのレコード勝ちが示すのは、また違う意味での「競馬の魅力」だと言える。それにしても、凄いぞシラユキヒメ牝系! 2着のユーバーレーベンも含め、どんどん牝馬クラシック戦線が盛り上がっていく一方で、牡馬は物足りない結果に…。
【小倉2歳S】すごいぞシラユキヒメ牝系!(今週2度目) …色々とレース形態は異なるけれど、感想については札幌2歳Sとあまり変わらない。レース内容的には重馬場巧者らしい馬から上位に来たかと。ディープ産駒は短距離GⅠを勝っていないが、さてミッキーアイル産駒ならばどこまで行けるだろうか?
【新潟記念】パトロールビデオを見ると、なお面白い。まずはジナンボー&デムーロの攻めた騎乗を称えるべき。直線で外枠の差し馬勢を封じ込めた点も唸らされる。だが、それをねじ伏せたブラヴァスも強いし、今後の成長にも期待できる。対してワーケアの負け方は、3歳勢の不安にも繋がるものだった。
【紫苑S】オープン時代と比べて、大変良いメンバーが揃ったものだ。そして、GⅠ出走馬などの「格」が重視されるレースになった。マルターズディオサは収穫多い勝利。距離が持つ&ワンターン以外でも対応できた点は好評価。パラスアテナも牝馬限定なら実力出せる。ここに京都適正の±はあるか?
【京成杯AH】やっぱりトロワゼトワルの買い時がわからない…。スマイルカナとやり合う&今の馬場は適さない、と思ったのだが。異なる時計で勝てるのだから、やはり怖くなってきたと捉えるべきか。そして3着のボンセルヴィーソ。オープンやリステッドではダメなのに、なぜかマイル重賞で馬券に入る謎!
【セントウルS】ここまでは完ぺきなダノンスマッシュ。良いポジションを取り、逃げ馬2頭をペースメーカーにして、良いタイミングでエンジンをふかす。さて、本番はここまで上手くいくのだろうか? 2着のメイショウグロッケはなんと、サムソン×マンカフェの組み合わせ。これだから血統を追うのは面白い。
【ローズS】リアアメリアは随分と「賢い」馬になったなあ、という印象。デアリングタクトの挑戦者として、十分な地位は得た。前の馬が全滅する中、2着・3着はコース取りが上手かった追い込み勢。こういう「勝ちきれない故に、ここで絶対に権利が取りたい馬」には、馬柱を無視して注意せねば。反省!
【セントライト記念】ここで◎ガロアクリークが勝てば、キタサンブラックの再現あると踏んでいたけれど。川田騎手の「成長は来年から」の言葉も気になる。さて、バビット。超スローペースの見事な逃げ切り勝ち。コントレイルが戦ったことが無いタイプなだけに、内枠を引けばますます買いたくなるかも。
【神戸新聞杯】コントレイルが強いのはよくわかった。そして、菊花賞の2番手はヴェルトライゼンテにすることにした。あの脚は逆転候補の筆頭に推すだけの価値がある。トライアル2戦を終えて、ダービーからの序列はあまり変わっていないことがよくわかった。割って入るならばアリストテレスくらいか?
【オールカマー】カレンブーケドールは女版キセキのようなところがある。距離、コースもすんなりこなすけれど、皆の的にされてしまい、最後は差されたり逃げ切られたりで…。センテリュオは良馬場なら強みを出せる。ミッキースワローはスローペースにやられたか。ジェネラーレウーノは好きな馬なので、復活は嬉しい限り。
【日本テレビ盃】アナザートゥルースが思ったよりも逃げ馬と絡んでしまい、頭を抱える。このペースに合わせた馬はほぼほぼ脱落。ロードブレスは理想的な競馬ができた。調子よりも格が重視されるレースにおいて、この結果は大きな驚き。ダノンファラオもまだ未熟。やはりダート界もクリソベリル一強か。
【シリウスS】3歳ダート戦線も「カフェファラオのみが強い」ことが証明された。前走は地方の砂が合わなかったということか。JBCや東京大賞典よりもチャンピオンズCで買いましょう。2・3着は中京へのコース適正あり。◎メイショウワザシは健闘したが、直線で息切れ。斜行で後味も悪くなり…。
【スプリンターズS】先週はと今週で正反対の馬場傾向。非常に難しい馬場読みになっただけに、馬券は◎グランアレグリアと〇モズスーパーフレア双方の単勝とワイド流しを購入。結果、前者で△アウィルアウェイのワイドともども的中。ただ、勝者は展開や馬場というより、完全に力でねじ伏せていた。
ダノンスマッシュ、ミスターメロディといった好位を抑えた馬が上位を占めている通り、決して完全な後方待機&外有利という訳でもない。モズスーパーフレアもビアンフェがいなければ…と思っているだろう。まだこの3頭はGⅠで見限れない。それにしても、アウィルアウェイの末脚にびっくり。ジャスタウェイ産駒爆発の4歳秋か?
【凱旋門賞】「有馬記念は情念のレース」という某氏の発言を、ふとこのレースにも重ね合わせる。エネイブルに開かず、ソットサスに開いた進路。長期にわたり全く覆らないジンクスの数々は、まさに「情念」の蓄積ではないかと。さて、長期遠征中のディアドラ。彼女の積み重ねも日本競馬界で共有せねば。
【東京盃】控える競馬を覚えどんどん強くなるジャスティン、大井でも崩れなくなったブルドッグボス、調教内容変更が功を奏しつつあるコパノキッキング。この3頭で争うJBCがますます楽しみだ。でも、馬券は◎サブノジュニアで外れ。そして、ここ最近の地方交流でやらかしまくりのルメールさん……
【レディスプレリュード】好位で運べる重馬場巧者、◎マドラスチェックには絶対の自信があったのだが。いきなりの昇級戦をものともせず、マルシュロレーヌが差し切ってしまった。「ダート替わりのオルフェ産駒」とは言うが、果たしてこのままGⅠまで突っ走るのか? 矢作厩舎、充実の日々は続く。
【サウジアラビアRC】不良馬場ならリーチザクラウン&エイシンフラッシュ産駒だ! で大振りした結果、勝ったのはバゴ産駒という。内で逃げ粘るか、大外から差し追込かの両極端の馬場を読むのは難しかった。早熟で完成度の高さが求められるレースだけど、ステラヴェローチェは息の長い活躍を望みたい。
【毎日王冠】ダイワキャグニーは去勢に成功し、秋天やJCを目指す資格もある。その馬をマークし、最後はモノともせず抜き去るのだから…。この世代はコントレイルとサリオスが抜けて強い、ということを証明した1戦。サンレイポケットもGⅢレベルなら買い。
【京都大賞典】次第にドバイ空輸送の傷も癒えてきたのだろうか。グローリーヴェイズが京都巧者ぶりを発揮できたレースになった。キセキも復活途上ではあるのだが、まだキャラ変がしっくりこないし、ゴールはどこにあるのか。キングオブコージは57kgをクリア。有馬記念で再考したい1頭である。
【南部杯】人馬得意な盛岡なら、◎アルクトス復活あっても良い、と思っていたが、まさかレコード勝ちとは。大雨の恩恵を受けたのは2着のモズアスコットも同じ。両者に共通するのは、芝もこなせる(こなしてた)適性。最大の驚きは3着のモジアナフレイバー。JBCや東京大賞典が楽しみになってきた。
【秋華賞】泥だらけの一冠目、強引にこじ開けた二冠目。それらと比較すると、三冠目は全く異なる勝ち方になった。春のライバルをあっさり追い抜き、夏の上がり馬たちを振り切る。デアリングタクトは「美しく」勝ったのである。個人的には、重馬場の秋華賞は欧州血統が強いことを再認識する一戦だった。
【菊花賞】○アリストテレスの単勝馬券持ってるのに、被せて来たとき「違う、そうじゃない!」と思ってしまった。◎コントレイルは先週の馬場なら負けていたかも。支持率の割には、意外と苦戦要因はあった。これが三冠の重みか。ただ、今回の苦戦は古馬になるときのキャラづくりに役立つとも考えている。
【エリザベス女王杯】ラッキーライラックとアーモンドアイは同期。インタビューを聞いて、改めて気がついた。両者の再戦も見てみたかったが、交わらないことで価値を高めてきた側面もある。リリーノーブルも健在だったら…。さて、そんな5歳牝馬で僕が買ったのはノームコアとセンテリュオ。なんと不完全燃焼なレースか。
【マイルCS】1着から4着までは、人馬共に100点満点の競馬をした。特にインディチャンプは勝ったと思っただろう。ただ、グランアレグリアの底知れぬ力に屈す。来年目指すと言われている中距離路線も現実的に? 対するサリオスは馬の力を出し切っていない戦い方。レシステンシアはまだレース運びに脆さありの印象。
【ジャパンカップ】無敗の三冠馬2頭が、傷つかずに負けるならばココではないか? 3強の序列付けに悩んだ結果、この答えに辿り着いた。結果的にその通りになった。3頭ともに無闇にマークせず、それぞれが素の力で戦おうとした最後の直線には、ただただ痺れた。全スポーツにおける、2020年の個人的ベストバウトはコレで決まりだ!
負けた2頭にも未来はある。コントレイルは有馬の方が体調を整えやすかったはず。あえて厳しい道を選んだからこそ、良いプロレスができた。デアリングタクトは直線で少しスムーズさを欠いたが、3着に入る気持ちの強さはある。前者はよりスピードを、後者はよりタフさを磨いて戦って欲しい。
着外の馬たちにも眩い輝き。カレンブーケドールは僚馬から勝負強さを学び取れたか? グローリーヴェイズは強い競馬ができたが、内に刺さったのが痛恨。ワールドプレミアは有馬に向けて体を暖めることに成功。そして、キセキ。あの走りは、毎回◎を打った2018年下半期のキセキだった。
【チャンピオンズC】帝王賞の後、クリソはアーモンドアイみたいだ! と思ったのだが、まさか間隔詰めると弱いとこまで似てるのか……。上位の着順は昨年から少し替わっただけ。世代交代云々より、「前走地方勝ち組はダメ」「基本は左回り巧者」といった、このレース独自の傾向がより深まったと考えたい。
【阪神JF】クロフネ、キンカメ、シラユキヒメ……金子オーナーの夢がまた一つ積み重なる。最後の直線は内から外から色々な馬が差し込んできたが、ソダシはよく耐え抜いた。サトノレイナスは兄よりも仕上がりが早い印象。ユーバーレーベンは牝馬に強い手塚厩舎の力発揮。メイケイエールは距離の壁を感じた。
【朝日杯FS】ホープフルステークスがクラシック寄りになるならば、朝日杯FSは短距離寄りになるのでは? その予測のもとで1400m好走歴があるグレナディアガーズとロードマックスに重い印を打ち、前者の単勝を得ることができた。阪神JFはまだクラシックとの連動性があるが、このレースのキャラクターはより偏り始めた印象である。
【中山大障害】
ここ数年、冬の中山は大障害デーに足を運んでいた。グランプリ前のソワソワ感と、障害レースファンの熱さが同居する楽しさが……おっと、思い出話が長くなった。メイショウダッサイの強さはオジュウチョウサンと肩を並べつつある強さ。小倉のジャンプレースは中山との連動性もあるので、レース数が増える来年も注目。
【ホープフルS】
遅咲きの印象があったジャスタウェイ産駒が2歳GⅠを勝つ。ただ、よく考えてみればハーツクライ産駒も早熟・晩成の落差が激しい種牡馬ではある。だんだん似てきた? ランドオブリバティの負け方はショッキング。ヨーホーレイクは中山のトライアルレースで引き続き追い続けたい。
【阪神カップ】
ダノンファンタジーもマルターズディオサも、中距離のイメージが強いのでさっぱり考えておらず。クラシックはトライアル勝ち止まりだった馬たちが、距離短縮で活きたということか? まあ、阪神カップはリピーターレースなので、来年も出てきたら重い印を打つことにしよう。
【有馬記念】
有馬記念は「情念」のレース…なのだが、2020年はジャパンカップがその役割を担ってしまった。故に、クロノジェネシスとフィエールマンの叩き合いは、まさに純粋な力と力のぶつかり合いとなり、この年の「非根幹距離王」を決めるに相応しいシーンとして爽やかな気持ちに…なったのはなったけど、サラキアの急成長は想定外だよなあ。
【東京大賞典】
チャンピオンズカップ上位の馬がほとんど不在だと、流石にオメガパフュームの頭は固い。故に、2着のカジノフォンテンには驚いた。中央重賞好走歴のある馬が地方に流れ、競い合ううちに地元叩き上げの馬も強くなる…。短距離は中央・地方が互角になりつつあるが、中長距離界もその流れは強まるか?
【中山金杯】K究ニュースのK野氏が「この馬体なら抱かれても良い」と評したことでもお馴染みのヒシイグアス。中山では崩れず待望の重賞初勝利。大阪杯に向け、また面白い馬が1頭増えた。一方、明け4歳勢はココロノトウダイが健闘も、他は…。5歳世代の逆襲と4歳世代の苦闘という傾向がしばらく続く予感あり。
【京都金杯】東とは異なり、こちらは2歳重賞勝ち馬の復活。コースバイアスに岩田康騎手の素晴らしい手綱さばきが加われば、納得がいく。ただ、次に繋がりそうなのは2着のピースワンパラディの方だったり。シュリはここで揉まれて、どう成長していくか? しかしまあ、中京の傾向がまだ掴めない。
【シンザン記念】金杯からコース傾向はあまり変わらず。なので、内枠からいこう! とした結果、逃げ馬を当てるレースになってしまった。馬場読みが上手い福永騎手だからこそ、今年の変速開催はよーく抑えておけということですかね? ククナの大外は不運だが、ジェンティルドンナ・アーモンドアイクラスではないということ。
【フェアリーS】勝ち馬のファインルージュはダートにいてもおかしくない血統構成。でも、ダートっぽい馬も走りやすいのがこのレースの特徴だな、ということを思い出したり。さて、今週の中山芝コースはミスプロ&キングマンボや! と思っていたのにホウオウエクセルは軽視してしまった。
【愛知杯】マジックキャッスルはクラシックではツキが無かったが、年が明けて好転の兆し? 展開に助けられた面もあるが、非常に強い勝ち方だった。今後の中距離路線も期待できる。一方、好位につけた有力馬は全滅。センテリュオはパドックを見たとき、何だか覇気が無いなと思ったらその通りの展開に…。
【日経新春杯】今の中京はロベルト系の庭! ということで、ミスマンマミーアの複勝を買っていて良かった。さて、このレースの勝者も「クラシックに行けなかった5歳馬」。ということで、やはりこの世代は早熟と晩成で二極化している? 団野騎手はリュヌルージュやバビットで悔しい思いをしていただけに、嬉しい重賞初勝利。
【京成杯】芝コースの内側は決して良くなかっただけに、今回はグラティアスの能力+操縦性の高さで勝ちきった印象。次のレースも内枠なら買い。ルメール騎手もクラシック候補の手持ち札がどんどん増えてきた。タイムトゥヘヴンは広いコースなら狙ってみたい。レース傾向は新馬戦や未勝利戦で質の高い勝ち方をした馬重視にシフトしつつある。
【TCK女王杯】マルシュロレーヌ寒さに弱い説とは何だったのか。馬場を考えると、あの差し脚は更に驚き。前走は格負けということにする。プリンシアコメータは58kgであの粘りだと、まだまだ条件次第では戦える。レーヌブランシュは調子が上向いてきたので抑えていたが、ワイドで流したマルカンセンサー&マドラスチェックが4着同着では…
【東海S】「インティに喧嘩を売る馬がいるか、いないか」というチェックを忘れていた。まだ中京では強さを発揮できると思っていたが、とにかく脆いときは脆い。今日はオーヴェルニュの安定感が光る一戦。ただ、フェブラリー向きかと言われると? アナザートゥルースは兄と同じく、道悪の小回りコースは引き続き買い。
【AJCC】先週まで続いていた「4歳馬軽視大作戦」は見事失敗。エピファネイア産駒の道悪信頼度は想像以上に高い。かつ、アリストテレスはまだ底を見せていない。ヴェルトライゼンテもそう言えば、中山適性は高かった。単勝を抑えたラストドラフトとモズベッロは敵わなかったが、馬のキャラクターはこの1戦でより明確になった。
【シルクロードS】モズスーパーフレアの負けパターンは「ハイペースに持ち込めない」ときだと考えていただけに、この展開で大敗を喫したというのは非常に気がかり。一方、勝ったシヴァージは普段よりやや前目のポジションながら、末脚は強烈なまま。中京競馬場の福永騎手は実に堂々とした進路選択が目立っている。
【根岸S】差し足が強烈+上がり馬=根岸Sを勝つ馬、という公式に見事当てはまったレッドルゼル。彼を頭で買うことは楽なことではある。ただ、本番の馬券妙味を考えると、2〜4着のチョイ負け組が面白いのではないか。ステルヴィオはいかにも初ダートの転向失敗という典型例を見せられた感じがしてしまった。
【きさらぎ賞】ラーゴムはいかにもこの荒れきった中京向きの馬である。今回の中京開催で得た様々なサンプルは、今後の予想に大いに活かせる。京都改修期間中で日本競馬の流れが変わりそうな予感も? ヨーホーレイクはやっぱり中山のトライアルで見たかった。ランドオブリバティはスタートの不利は痛かったが、安全運転に終始した印象あり。
【東京新聞杯】重賞初挑戦+東京芝への対応という2つの難題をカラテはあっさりクリア。もちろん、菅原騎手の好騎乗もあってこそ。19年騎手デビュー組の躍進はまだまだ続く。あとは大塚くんのトラブル解決&快方を祈りたいが…。2着カテドラルで「侮れない19年NHKマイル組」を再認識。ヴァンドギャルドは東京芝が合わない訳じゃないが、何だかもどかしい戦い続く。
【佐賀記念】クリンチャーの地方適性は想像以上に高かった。佐賀では不利とされる内枠も、すんなりハナを奪ったあとは悠々と駆け抜けるのみ。川田騎手との相性も良く、善戦マンの面影なし。しばらくはこのコンビで地方行脚を進めそうな予感。ロードゴラッソは今日の前が止まらない馬場が合わなかった印象なので、次も交流重賞ならば推したいところ。
【クイーンカップ】エイシンヒテンが「脚を使わせる逃げ」をした中で、好位から難なく抜け出したアカイトリノムスメが勝利。着差以上の強い勝ち方。右回りや輸送などの未体験ゾーンはあるが、桜花賞も充分戦えるのではないか。アールドヴィーヴルとエイシンヒテンはまた穴を開けそう。ククナは物足りない内容が続く。リフレイムは路線変更がベターな気もする。
【京都記念】勝ちきれない馬を軌道修正するならば、川田騎手はお手の物。というのを、3日前のレースでも見たような。ラブズオンリーユーも本質的には長く良い脚を使う馬ということも再認識。先行有利や血統はミスプロ系という傾向を踏まえれば、ステイフーリッシュやダンビュライトの買い時だったと反省。ワグネリアンからはポジティブな要素を見いだせず。
【共同通信杯】内容や時計の遅さに不満はあるかもしれないが、着差が0.4秒もついた点を僕は評価したい。エピファネイア産駒のスケールは徐々に大きくなっている。ただ、皐月賞よりもダービー向き? ドバイマジェスティの子は初重賞で挫ける傾向にあるので、シャフリヤールは次に期待。レフトゥバーズは高い授業料になってしまった。牝馬限定戦で再起をば。
【京都牝馬ステークス】このレース前までのイベリスの1400m成績は【0-0-1-5】だが、うち4回は人気を大きく上回るものだった。好位勢に足を使わせ、差し馬を振り切った勝利なだけに、非常に良い勝ち方をしたのでは。19年NHKマイル組のプチブレイクが続く。シャインガーネットはもう少しやれても良い気がするが…
【ダイヤモンドステークス】グロンディオーズとオーソリティは及第点の出来。残り800メートルは消耗戦になっただけに、見ごたえもあった。ステイヤー路線はトニービン持ち or ステイゴールド系統というのも再認識。例年以上に天皇賞春にも直結しそう? ポンデザールは坂が無いコースがベター。こちらは京都改修を恨めしく思っていそうな
【小倉大賞典】テリトーリアルは平坦向きの印象だったので複勝を持っていたが、まさか頭で来るとは。芝コースの内側が荒れている+外に膨らむと差しきれないという微妙なコンディションの中、良い位置取りを石川騎手もキープできた。ボッケリーニも悲観する内容ではない。デンコウアンジュのイン突きは勝敗云々を通り越して、痺れる決断だった。
【フェブラリーステークス】「ワンターンのコースならばまだ崩れていない!」ということを寸前に気がついて、エアスピネルからワイドを流していたのだが…。カフェファラオは内枠だと×というのは、馬具の工夫などの努力で解消された。また、ヒヤシンスSやユニコーンSで活躍した馬は、フェブラリーSでも軽視してはいけないとい。対して、◎を打ったアルクトスはこれだけ良い条件が揃ったのに、力負けとはがっかり。
さて、コパノリッキーが大波乱を起こしたあたりから、フェブラリーSの傾向はどんどん変化している。中東行きという選択肢や短距離路線の充実などによって、出走馬の質が変化。故に「素の力でコース適性を凌駕する」というのが難しくなっている。エアスピネルもそうだが、「ワンターン実績あり」と「王道路線(チャンピオンズカップ、東京大賞典など)大敗馬」が組み合わされば、また良い穴馬を見つけられると信じていこう。
【阪急杯】久々にレシステンシアらしい逃げ切りだった。「追いつけそうなのに追いつけない」というスタイルは、スプリントよりも府中マイルが似合いそう。北村騎手は前日は3,200メートルで逃げ切ったが、1,400メートルも文句なし。インディチャンプは以前より末脚の破壊力が薄れた印象。ダノンファンタジーはスタートが全て。
【中山記念】東西金杯覇者対決は東側に軍配。ヒシイグアスの強さは操縦性の良さ。今日もハイペースの中で難しい競馬だったが、最後の直線も完璧な立ち回りだった。ケイデンスコールは1800メートルまでなら戦える。ウインイクシードは勝ったと思ったのではないか。バビットをマークし続け、ギリギリまで先頭に立ち続けたのは称賛に値する。
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2014年から2016年の日本ダービーは、蛯名騎手が騎乗する馬に重い印を打った。その中で特に思い入れがあるのが、タンタアレグリアだったりする。複勝とドゥラメンテとのワイドをしこたま買ってましてね…。中長距離戦にて、地味な馬の着順をグッと上げる力。調教師になられても、それが発揮される(僕の馬券に役立つ?)ことを願って。お疲れさまでした!
競馬のレースの中で好きな距離は? そんな質問があれば、僕は間違いなく「1400メートル」だと答える。
何が良いのかと聞かれたら、その「独特な中途半端さ」だと答えたい。スプリントにしては長すぎて、マイルにしては短すぎる。だから、スプリンターでもマイラーでもない、この距離が好きで得意な馬が生まれる。阪神カップを連覇したサンカルロはその好例と言えるだろう。
関東で1400メートルのコースと言えば、東京競馬場である。ここには芝もダートもこの距離が存在している。コーナーは1回、そして長い直線。シンプルでわかりやすく、かつ逃げに賭けても、末脚に賭けても見所がある。また、東京のダートマイル戦は芝スタートであるため、より混じりけの無いダート勝負を味わいたいのであれば、1400メートルである。
僕がこのコースを愛するもう一つの理由は、「何度もこのコースにチャレンジしてくれる」可能性が高いということだ。勝ち上がって昇級した馬、夏になり降級した馬、そして、このコースが生命線だと信じて再びやってくる馬。
そんなカオスが漂う下級クラスは、特に興味深い。勝ちきれない者たちが集う、踊り場のようだ。なんだ、またお前か。おう、久しぶりだな。パドックにいる僕がそう気がつくのだから、実際に戦っている者たちはより一層実感しているのかもしれない。
逆に1400メートル戦の悲しいところを挙げるとすれば、「スプリントやマイルでなかなか勝ってくれない」ということである。そう、1400メートルの魅力にハマってしまった馬は、なかなかそれ以外の距離に適応できないのだ。そして、1400メートルのGⅠレースは地方交流を含め、存在していない。
2017年のフェブラリーステークス、僕はカフジテイクとエイシンバッケンの単複勝負で挑んだ。この距離で勝つ馬が好きだからこそ、推さなければならない。悩んだ末に辿り着いたのがこの理由である。
残念ながら、そんな馬券が簡単に当たるほど、世の中は甘くない。
でも、僕の1400メートル愛は消え失せない。この日の最終レースは大島特別。そう、ダートの1400メートルの一戦だ。シュテルングランツが人気に応え、僕の懐も少しだけ暖まった。そして、新しい馬がこの踊り場に来てくれたことを歓迎した。
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季節は巡り、東京競馬場に再び彼はやってきた。
春、シュテルングランツは準オープンのBSイレブン賞を勝ち上がった。しかし、続く欅ステークスはクラスの壁にぶち当たった。そして、一休みして迎えたこの秋、グリーンチャンネルカップに挑もうとしている。
どのレースも、府中ダート1400メートルである。
やっぱり、君もしつこいくらいココ狙っているな。パドックでの佇まいをぼんやりと確認しつつ、ためらうことなくマークシートはシュテルングランツの馬番を塗りつぶした
2017年10月21日投稿 加筆・改題・修正済
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2021年5月5日 発行 初版
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1988年3月生まれ、神奈川県横浜市出身。サラリーマンを続ける傍ら、2014年秋より電子書籍の作成及び執筆活動をスタート。得意ジャンルはスポーツとファンタジー。主な寄稿先は「月刊群雛(GunSu)」「ウマフリ」など。NovelJam 2018に編集として参加し、新城カズマ賞及び海猫沢めろん賞を受賞。(これに気を良くしてしまい、)以降は雑誌制作活動も開始。「電子雑誌をつくろう!」「ラグビークラスタ」「#susonolife」の編集長を務める。日本代表から近所の空き地まで、場所と格を問わず、暖かくスポーツの現場を見守り続けています ・Twitter @Waratas ・note https://note.mu/waratas