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カミキリ通信286〜290号

カミキリ情報館

カミキリ情報館出版



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  この本はタチヨミ版です。

カミキリ通信286号 (2013.12.22)
●出会いたかったカミキリムシ・2013年 フチグロヤツボシカミキリ 宮川幸也
●池修の採集日記2013年 ヤツボシシロカミキリが膝元に  石藏拓

カミキリ通信287号 (2014.01.26)
●出会いたかったカミキリムシ マルバネコブヒゲカミキリ 宮川幸也
●池修の採集日記2013年 アオヒメスギ、ヤナギトラ、中村司氏初案内編

カミキリ通信288号 (2014.02.23)
●出会いたかったカミキリムシ・2013年 チャイロヒゲビロウドカミキリ 宮川幸也
●天牛人語(編集後記改め)昨年の興味あるカミキリニュース

カミキリ通信289号 (2014.03.23)
●出会いたかったカミキリムシ・2013年 ツシマセダカコブヤハズカミキリ 宮川幸也
●池修日記2013 東京都港区青山のノトリナ   石藏拓
●気になるニュース なぜ土日に雨になるか?
●天牛人語(編集後記改め)カミキリ屋外伝 アマゾンの新井久保氏その3双子の虹

カミキリ通信290号 (2014.04.27)
●出会いたかったカミキリムシ・2013年 ハンノキカミキリ 宮川幸也
●池修日記2014 今年も連敗で、はじまる  石藏拓

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カミキリ通信286号 (2013.12.22)

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●出会いたかったカミキリムシ・2013年
フチグロヤツボシカミキリ 宮川 幸也

●池修の採集日記2013年 ヤツボシシロカミキリが膝元に
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●出会いたかったカミキリムシ・2013年
フチグロヤツボシカミキリ 宮川 幸也

(初めに)
 ただただ単純にカミキリムシが好きになり、
それこそただただ漠然に採集・観察を毎年繰り返し、もう何年も過ぎた。
しかしながらここ数年はフィールドに出向く機会も激減し開店休業のような有様であった・・。
趣味として落ち着いた、と言えば聞こえは良いが、採集・観察を始めた頃は昼夜を厭わず、
また、どれ程歩こうが毎回フィールドが見せる新鮮な驚きに疲れすら感じなかった。
そんな頃の自分に今一度立ち返って見たいと思い立ち
今一度テーマを持ってこの趣味と向き合っていこうと考え始めた。
そこで、出会いたかったカミキリ・2013と勝手に銘打ち本年(2013年)を過すことに決めた。
毎回行き当たりばったりではあるが、
本年こそは目星をつけたカミキリムシをきっちりとホストで複数得る
(あるいは観察する)という採集をやっていれば当たり前の事を今一度反芻してみたいと思う。

(フチグロヤツボシカミキリ)
 まず本年の最初の目標はフチグロヤツボシカミキリ。
ご存知の通りホオノキという特徴的な葉や花を有する樹木を
ホストとする美しいカミキリムシである。
採集情報を集める上で、今回はネット情報を頼りにその居場所を探って見た。
すると、高尾山で得られている方の他、津久井湖周辺でも散見されている様子であった。
後で知ったのだが、数年前に津久井湖にホオノキの倒木があり、
そこにフチグロヤツボシが多数集まったことからフチグロヤツボシのツアーが催されたらしい。
恐らくは楽勝であったその当時がちょっと羨ましい気がする。
また、このカミキリの印象としてGW頃に出てくるイメージが強い。
そこで5月5日に採集予定を組み、2013年のカミキリ初めと決めたのである。
 しかしながら津久井湖周辺といっても歩いて回るにはかなり範囲が広い。
現地でただ単純に景色を流しながら歩いたところでとてもじゃないがキリがない。
そこで今度は津久井湖のどの辺にホオノキがあるのか調べてみた。
すると、具合のいい事に路線バスのバス停留所のすぐ傍にホオノキがあるのが分かった。
特徴のある木なのでホオノキ単一でも結構ブログなどにアップされるようだ。
このホオノキにフチグロヤツボシが存在するかは兎も角、
この場所を津久井湖フチグロヤツボシ探索の起点とし、
周辺を見て回る計画を立てた。

 迎えて当日。早速お目当てのバス停で下車。
津久井湖周りの道路から逸れて脇道を少し歩くと情報通りホオノキが複数本。
成木で樹高も結構あるようだ。
また上手い具合にこの私道とホオノキには段差があり、
ちょうどホオノキの1/3程度から上の部分が見えるような位置関係であった。
非常にやり易いシチュエーションに満足しつつ、
早速大きな葉っぱをルッキング。葉には所々穴が空いている。
これがフチグロヤツボシの食べた後なのかは疑問だ
が30分ほどそのホオノキを眺めていた。
時間はAM9時前・・。周辺の探索も考慮に入れていた為、とりあえず
「また後から来よう。」と思いこのポイント(以下Aポイントと表記)を後にする。
 今度は15分程バスで来た道を戻り公園間の連絡通路のような場所。
ここにも見事なホオノキが複数。先ほどのホオノキよりは柵超しで観察しづらいものの、
こちらのホオノキの方が立派に見えた。
ただ流石に連絡通路の役割を果たしている道だけあって、まだ早い時間なのに人が通る。
ここもポイントとして押さえつつ(以下Bポイントと表記)、
今度は津久井湖畔から若干離れてハイキングコースのような道に入る。
最初はスギの植林ばかりだったが
進むにつれてホオノキの成木や幼木がチラホラと見受けられるようになった。
しかしながら成木の葉には見受ける限り食痕のようなものは無く、
幼木は先ほどのAポイントのように葉に穴は空いていたものの
フチグロの姿は見受けられなかった。
 そんなこんなで津久井湖周りをウロウロしているといつの間にやらお昼過ぎ。
小腹が空いてきたのでコンビニで買ったオニギリをBポイントで食べようと思い立った。
Bポイントに到着すると先ほどよりも更に人が増えている。
GWなのだから当たり前であるが、犬の放し飼いやファミリー連れなど盛り沢山である。
それは兎も角、午前と違い午後に入り風が強まり
ホオノキの葉は時折風に煽られ捲れ上がっている。
そんな光景をぼ~っとしながら眺めていると大きな葉に付く小さな昆虫。
更に目を凝らすと紛れもないカミキリムシのシルエット。
「間違いない。フチグロ!」
確信はあったのだがその間もその連絡路は人や犬が行ったり来たり。
とても長竿を取り出してスイープ出来る雰囲気ではない。
変に空気を読む必要もないのだが、このシチュエーションだとやりづらいことこの上ない。
どうすべきか迷っている間にそのシルエットはどこかに消えてしまった・・。
一瞬失望感に襲われたものの、
「・・・待てよ?これはそろそろフチグロヤツボシが
一目に付く位置まで活動を開始する時間なんじゃないか?
それなら!」
一瞬の失望感は淡い希望へと変わっていった。
足はそそくさとAポイントへと向いていた。
 歩いて15分程度。Aポイントで早速ホオノキの葉をルッキング。
時間は午後2時頃だったと記憶している。
程無くしてメタリックカラーの昆虫が
大きなホオノキの葉の上にチョコンと乗っかっている。
初めてのフチグロヤツボシとの出会いであった。
確かにハンノアオに似ているが本種はそれより細身で華奢に見える。
中々いい位置におらず記念撮影は難しかったが長竿を伸ばして無事にネットイン。
面白いもので1匹みつかると立て続けに数匹視界に飛び込んできた。
よくよく観察していると、チョコマカと落ち着き無く動いていることは無く、
どちらかと言うとホオノキの葉の上でなんとなく何かを待っているように鎮座していた。
そして思い出したように飛翔・・。
気温も関係しているとは思うが、
この系統のカミキリは常に落ち着かない印象があるため以外な印象を受けた。
一瞬nullが脳裏をよぎり最悪のカミキリ初めかと思いきや、
最後に美しいフチグロヤツボシに出会え大満足の一日になった。

2013年5月5日
津久井湖周辺 フチグロヤツボシカミキリ 6exs
ゴマフカミキリ 2exs アトジロサビカミキリ 1ex
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●池修の採集日記2013年 ヤツボシシロカミキリが膝元に

N島氏、AXT氏が成虫採集されている。
一種狙いの長野出撃は、リスクありすぎと
なかなか腰の重かった本種の成虫採集にトライした。
7月13日
助っ人N島氏の案内でズミ林へ
この日のためにツユキ氏スペシャル(11メートル)を購入
以前の10メートル竿より軽いですが、やはり長竿、80センチ枠が重いのでしょうか。
長くは掬えない。
「採れましたよ」とN島氏がプレッシャー。
嫌な予感、「採れないかも」。
採集下手が露呈する。
叩き、長竿は特に苦手なんですよ。
11メートル頭上で、ネット枠を逃れていく、茶色(本種?)のを、
開いた口をしめることができずに、その飛翔軌道を拝むだけに。
自分にはダメだ、ネットインできない。
もう材採しかないと、あきらめ、
未採集のムネグロリンゴを探しに、岐阜県へはいると、
思い出した。
そう言えばEichan氏がヤツボシシロを採集した場所がある。
通り道なので立ち寄ることにした。
偶然なのか運命なのか、
その場所付近でEichanと会い、
ポイントへ向かうと、Bさんが、がんばっている。
挨拶して、すぐだった。
「あ! ヤツボシ」と叫んでしまった。
自分の腰付近を横切る、茶色い飛行体をネットインした。
11メートル頭上で、しっかり飛行シルエットを覚えていたからだろう。
Bさんが「秒殺、瞬殺ですか」と言う。
こんな採集は嫌われてしまう。
ネットに入ったヤツボシシロを確認して、すぐにポイントを撤収した。
Bさんには申し訳ない。
数年前同じ道路に立っていて、Bさんの足元に、オオトラが落ちてきたことがあった。
そのお返しだと、お許しください。
しかし、まさかヤツボシシロが低空飛行するとは思わなかった。
小笠原産以外の日本産シロカミキリ族全種に会えました。
チョウセンシロ、オオシロ、ムネホシシロ、タカサゴシロ、
イツホシシロ、ムツボシシロ、オキナワジャノメ
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カミキリ通信287号 (2014.01.26)
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●出会いたかったカミキリムシ マルバネコブヒゲカミキリ 宮川幸也
●池修の採集日記2013年 アオヒメスギ、ヤナギトラ、中村司氏初案内編
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●出会いたかったカミキリムシ マルバネコブヒゲカミキリ
宮川 幸也

 本種は以前から気になっていたもののどうにも足が向かない種類の一つであった。
親切にもカミキリ情報館
には「大涌谷」の個体写真が写っており正に「狙って下さい」と言わんばかりのお膳立てである。
ではあるが、大涌谷と言えば箱根、箱根でイメージするのは
軽井沢的なきらびやかな服を着たセレブ達が周辺を散策しては
美味しいランチをいただく、という昆虫採集には不釣合いな光景が頭にあった。
また、小学生の頃、旅館のベランダで鈴虫の鳴き声が聞こえたので喜び勇んで探したら
低木の根際になんだかスピーカーのようなものがついており、
ひどくがっかりした印象しか残っていない。
要は自然は楽しみたいがムシとか生き物とかは嫌、という人にとって
体の良い自然しか残っていないのではないか?という疑念があったからである。
しかしながら、見るほどにマルバネコブヒゲカミキリのオリエンタルなムードに
惹かれ7月の下旬に意を決して大涌谷を訪れることにしたのである。
(下見してみようかな・・・)



  タチヨミ版はここまでとなります。


カミキリ通信286〜290号

2021年11月3日 発行 初版

著  者:カミキリ情報館
発  行:カミキリ情報館出版

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