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カミキリ通信281号〜285号

カミキリ情報館

カミキリ情報館出版



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  この本はタチヨミ版です。

281号
●高知の梶ヶ森での思い出 土田治一
●池修の採集日記2013年5月 東京のムネアカクロハナ、セミスジコブヒゲ
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●高知の梶ヶ森での思い出 土田治一

カエデノヘリグロハナカミキリといえば、
私の中学・高校時代に高知の梶ヶ森での思い出がある.
当時はクロスジハナカミキリと言われていた.
最近はどうなってしまったのかわからないけれど、
その梶ヶ森の1100m付近にあるお寺の門のところに梨の木があり、
その花に飛んで来たクロスジハナを採って驚喜したことを覚えている.
以後、毎年時期になると狙って行ったところ、1100mも登って...
まだ花が咲いていなくてがっかりしたり、
採集出来て喜んだりしたことも懐かしい思い出.
また、同・森…と言っても高知でも高い山ですが、
そこにひっそりと咲いていたヤマシャクの花で、
あの妖精・キマルを見つけた時には嬉しさのあまり絶句してしまった!
今は亡き某先輩と私の二人で発見したのが、梶ヶ森でのキマルの二例目の記録だったと記憶している.
ヤマシャクは花の名前も知らず、キマルが来るとも知らないで、まったく偶然に見つけた.
帰宅してからその先輩から電話があり、ヤマシャクだと判明.
すぐに花の名前を調べなかった私は、その先輩に叱られたことを今でもハッキリと覚えている.
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●池修の採集日記2013年5月 
東京のムネアカクロハナ、セミスジコブヒゲその他
5月6日 狛江市
目黒区でムナアカクロハナが採れているというので、
Yさんに案内していただく。
ノイバラの花で、一頭だけムネアカクロハナのオス。
目黒区に近い狛江市だった。
5月13日  高尾山
ゴゴメウツギは五部咲き ヒナルリハナ、トガリバアカネトラ。
カッコウメダカに、いまだ出会えず。
5月14日 狛江市
夏日 ムネアカクロハナ、オス二頭、メスいない。
ノイバラの花満開
5月17日 狛江市
ムネアカクロハナ、オスばかり。 
あきらめて訪花したノイバラを撮影をして帰ろうとすると、
交尾中を発見。 
執着を捨て、無になると、見えてくるんですかね。
5月23日 長崎市内
アメイロ ホソハナ タテジマホソハナ、エグリトラ、ヤツボシハナ 
公園で、ブーメ3 アトジロサビ コブスジサビ  
サタサビ探しをしてみました、市内の公園にブーメがいるとは驚きでした。
5月28日 八王子市
M川さんの案内で、
東京都産のクリ依存のカミキリ
セミスジコブヒゲ
クリチビ
クリサビ
リリース:ヘリグロチビコブ、ヒシ
その他 ヒメナガサビ、トビイロ、アドジロサビ、ホソトラ


カミキリ通信282号 (2013.8.25)

======== 目次 ============

●東京都のクロ 宮川幸也

●池修の採集日記2013年

 四国特産のピドニア全種

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●東京都のクロ
宮川幸也

 「黒い、黒いぢゃないかぁ!!」

初めて見たときは少々驚いた。

サドコブの黒やセダカ亜種のソボやツルギが黒いのは知っていたが

ビロウドにクロが居たとは知らなかった・・。

この当時(2006年位から)ネット画像の黒いコブに垂涎の眼差し
を向けていた影響もあったのだが

ビロウドで体色が「クロ」という事に無性に引き付けられた。

ご存知「ハチジョウビロウドカミキリ」、カミキリ情報館で拝見した本種
は紛れも無くカッコイイ。

そんなハチジョウビロウドを追い求め、
2009年度に八丈島行きの算段を立てる。

個人的に2009年は天牛祭りであった。

兎に角採りたいムシの尻を暇さえあれば追いかける。

節操無いことこの上ない行動だがこんな年(2009年は丑年でし
た→天”牛”つながり・・。)があってもいいかなぁ?と自身を納得させた。

周囲が納得していたかどうかはさておき、
このハチジョウビロウドカミキリ(以下クロビロと表記します)
当然のごとく八丈島にしか居ない。

ただし、行動パターンは毎シーズン目にするビロウドと何ら変わらない筈である。

要は昼は枯葉や材木置き場があれば夕刻頃目立って動く、あるいは夜間の灯下・・。

こんなシーンに当てはまる気がしていた。

しかしながら、ここでふと思ったことがあった。「ビロウドって狙っ
て採ってるもんだっけか?」=個人的な答えは「No」である。

毎シーズンなにかの採集ついでに
ひょっこり顔を出してくれる馴染みの客のような種類である。

これを考えると結構プレッシャーであった。

採れて当たり前なんじゃないか、と・・。

そんなこんなをあれこれとオフシーズンに考えながら、

いざ2009年の予定を封切るともう大変であった・・。

5月下旬から山口のセダカチャレンジ、
6月はムラサキアオ、続いて沖縄イチヂク・・。

そんな合間を縫って八丈島を2009年の6/2と6/3に設定。

前週の山口のトクサカミセダカは運良く得ることが出来たが、
2回連続で上手く行くのだろうか?というより既にバテ気味であった・・。

バテた体に鞭打って羽田空港から一路八丈島へ。

羽田からの八丈島便は実に小さな飛行機。

たまに空港で強風の為欠航みたいなアナウンスが
八丈島便には良く流れるが到着して納得。
空港はかなり小さい。

対馬、佐渡以来、この八丈島が3島目になるが圧倒的にミニマムに感じた。

客層はやはり釣り客が多いようである。
空港を後にして得意の路線バス出撃になるのだが、
空港から目的地に向かう最寄のバス停までは結構歩いた。

簡易な地図を手持ちにもちながらバス停までの八丈の風情を楽しんだ。

途中にあったトンネルでは干からびたサソリモドキ。

余り興味は無いのだが屋外では初めて目にする。

カミキリムシにこそ出会わなかったが、
品川ナンバーの走る離島は何だか不思議な光景である。

島の雰囲気に浸りながらもようやくバス停へ。

小一時間歩いただろうか?

10分程度待っていると目的地へ進むバスが到着。

この時点ではクロビロが八丈島のどこかに居る、
というだけで進む先に何ら根拠は無い。

ただ、個人的に「ここは怪しい!」と踏んだ樫立温泉でバスを下車。

温泉施設はバス停を降りて程無くあったが
結構利用されている方が多いようで人がそれなりに出入りしていた。

それを横目に見やりながらしばし周辺を散策。

すると駐車場の奥向かって右手に細い土道が見える。

直感で良い感じの場所に思えたからである。
何故なら薄暗く、両側に広葉樹があり、
なにより土道が若干泥道になっていて
湿度も保たれているように見えたからである。

「きっと、ビロウドはこんな場所が大好きなハズ」そう思い、
離島のほんのちょっとだけのジャングルクルーズを楽しむことに決め込んだ。

実際道を歩いてみると思っている以上に湿っており靴は早くも泥だらけ。

両脇は広葉樹が占めているが時折ヤシ畑のようなものがある。

時々人が入って手を入れている感じである。
20分から30分は歩いただろうか?先へ進むかどうしようか歩
きながら思案していると若干開けた場所に出た。

一息つこうと歩を留め周辺の枯葉をみると
枯葉からなにやら長い触角が出ているのが目に入る。
どうもお腹側をこちらに向けている様子なので気配を悟られずに慎重に近づく。
念願のクロビロだろうか?
目に入った瞬間「あらら・・」正体はイズニセビロウドカミキリであった。
初採集で嬉しいがこれはクロくない。
ただ、アンテナが長く凄く、カミキリらしい。
しかしながら、とりあえずここにはビロウド類が潜んでいる。
ちょっとだけテンションが上がりもと来た道の左手側を慎重に探っていく。
歩いている際に左手側はルッキングが手薄であったような気がしていたからだ。
慎重に枯葉を見やりながら歩く。
イズニセビロウド程ではないにせよクロビロが隠れていれば
アンテナは目立やはり目立つ目印になる筈。
ちょうど中間点についたあたりに車の折り返し場所のような若干広がった場所がある。
そこの林をちょっと分け入ると上手い具合に枯葉が多く引っ掛かっているのが目に入った。
隈なくルッキングしていると
先程のイズニセビロウドとは明らかに違うアンテナが視界に飛び込んだ。
心拍数を上げながら近づいてみると、
「やった!!」念願のクロビロ=ハチジョウビロウドカミキリであった。
相変わらず隠れるのが下手だが普段見慣れているビロウドとは一線を画す格好良さ。
感動する。
クロコブやソボ・ツルギの黒さとはまた違った黒で、言うなれば、
茶色い毛皮を黒い毛皮に衣替えした様相である。

一気にテンションが上がり、しつこく周辺を散見。

すると追加で♂♀のペアが採集(交尾中だった)できた。
珍しくも狙った獲物を効率良く採集できた為、
一旦この泥道を出て周辺の畑や脇道も見て回った。
とにかくゴマダラカミキリがやたら多く8exs、
アジサイの葉上にはリュウキュウルリボシやフタオビミドリトラ、
何気なく木にしがみ付いていたのは
カミキリではないがハチジョウコクワガタ(以外に珍しいらしい)。
大本命を採集した喜びや余裕もあり、早々に予約した海沿いの民宿へ。
しかし、民宿へ行ってもムシは終わらない。
夜間に部屋の明かりを付けて網戸に来るカミキリを待つ、宿泊型灯火採集。
この方法、大概小さな蛾が集まって終わるのだが今回はちょっと違う。
海沿いにも関わらずリュウキュウヒメカミキリが結構飛来してくれた。
流石にビロウドは飛んでこなかったが・・。
達成感も手伝って明かりを消して就寝。
なんだかいいカミキリムシの夢でも見れそうである。

翌朝は時計の音ではなく、多くの鳥(雀とかかなぁ・・)の声で目が覚める。
なんとも風情のある起床である。
昨日はほぼピーカンの好天だったのだが本日は曇天。
風もかなり強く吹いている。

とりあえず、ミッションコンプリートしたので
もう一つ目を付けていた末吉地区へバスで移動。
目星をつけていたといっても
ただ単にその地区を歩いて良さそうな場所を探し回るのだが・・。
末吉地区付近のバス停で下車すると舗装された登り道が見える。
「とりあえず歩いてみるか・・」そう思い立ち周辺
に目を配りながら歩を進める。時折鼻を突く変な匂いがする。
クサギだろうか??
そう思いながら歩いてると
ふと枝になにがしかカミキリムシがちょこんとしがみ付いている。
「なんだろな?」と思ってみてみるとケブトハナカミキリであった。
こちらも初採集であるが「これホントにハナカミキリ??」と思うような風貌。
なんだかしがみ付き方がタテジマっぽい。
実に渋いハナカミキリである。
そして思っていたよりは大きい。
周辺を見てもいたのはこの一匹のみ。
ラッキーだったかも知れない。

しばし周辺を散策するも
いたのは粗朶にいたアラカワシロヘリトラやアトモンサビ、
相変わらずゴマダラは時折飛翔している。
なんとなく本日は店じまいかなぁ・・。
最後に今一度樫立温泉の細泥道へ行ってみたがビロウドは一匹もおらず。
タイミングが良かったのかもしれない。

ビロウドは確かに普通種であるが体色が黒というだけで全く別物に見えた。
本種に出会えたことは大変な喜びであった。
何かとカミキリの宿題が多い筆者であるが
余裕があればまた八丈島を訪れて本種を見てみたい。
そんな気分にさせてくれるカミキリムシであった。


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●池修の採集日記2013年

 四国特産のピドニア全種 

6月16日

徳島県ツル~ギィ~

名ガイドがいても 自分のカミキリ相性運次第のこともある。

N島さんの案内で ニセシナノクロフを狙い、

ウリハダカエデの葉を掬うが、



  タチヨミ版はここまでとなります。


カミキリ通信281号〜285号

2021年11月6日 発行 初版

著  者:カミキリ情報館
発  行:カミキリ情報館出版

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