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調理師試験 重要項目らくらく丸暗記BOOK

上野和夫

合同会社ペネトレイト



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目次

本書について
ガイダンス
公衆衛生学
食品学
栄養学
衛生法規
食品衛生学
調理理論
食文化概論

調理師試験 重要項目 らくらく丸暗記BOOK
ー試験合格には「重要項目を正しい覚える」ことが大切!ー




本書について


本書は、調理師試験の筆記試験によく出題される重要項目を集めています。


毎年出題される問題の半数以上は過去に出されている内容と同じです。調理師試験の合格ラインは6割以上の正解です。過去の問題をしっかり理解していると、6割以上の点数を取ることができます。ただ、注意しないといけないのは、同じ文章で問いかけているとはかぎりません。そこで大切なのは、短い文章で正しい内容をしっかりと覚えることが大切なんです。


重要項目の短い文章を、毎日30項目覚えると1月ですべて身に着けることができます。
読むことにあわせて、耳を使っての短文記憶の努力をされると、さらに短い日数でしっかり暗記することができます。
付属教材として音声テキストを準備していますのでご利用ください。


あとは過去問題集を手に入れて解いてみましょう。問題はスラスラ解けるような感じがします。出題者のワナにはまることがなくなるまで繰り返し過去問題を解いてください。
当社ののホームページ(http://penetrateblog.com/)に問題を集めた本棚を準備しています。無料で利用できますので、ぜひトライしてください。すべての問題で合格(7割以上正解で合格)できたら試験に合格できると思います。


コンテンツ




本書について
調理師試験ガイダンス


1.公衆衛生学
2.食品学
3.栄養学
4.衛生法規
5.食品衛生学
6.調理理論
7.食文化概論





調理師試験ガイダンス


1.調理師免許を取得するには次の二つの方法がある。
(1)都道府県知事指定の調理師養成施設を終了する。
(2)調理師試験に合格する。


2.調理師試験の受験資格
次の(1)学歴及び(2)職歴の条件を満たしている必要があります。
(1)学歴
中学校卒業者もしくはこれに準ずる学校卒業した者、または厚生労働大臣がこれと同等以上の学力を有すると認めた者
(2)職歴(実務経験)
上記の学歴終了後、次の施設または営業施設で、調理業務に2年以上従事した者(従事期間については、複数の勤務先(過去分)の合算が可能)
①寄宿舎、学校、病院、事業所などの給食施設(継続して1回20食以上または1日50食以上を調理している施設)
②飲食店営業(旅館、簡易宿泊所を含む)
③魚介類販売業(販売のみで調理工程を認められていないものを除く)
④そうざい製造業


実務経験として認められていない場合
飲食店等で仕事をしていても、ウェイトレスやウエイター、ホステス、食器洗浄、会計、事務など直接調理業務に従事していない場合
栄養士、保育士、看護師、ホームヘルパーなどの職種で採用され、調理の業務に従事していた場合
アルバイト、パートとして行った調理業務(ただし、週4日以上かつ1日6時間以上継続して従事している場合を除く)
食品衛生法による営業許可を受けていない施設での調理業務
菓子製造業または喫茶店営業の許可のみを受けた営業施設で従事している場合
飲食店営業の許可を受けた営業施設でも、ケーキ・デザート類及びパン製造(調理パン等は除く)の業務に従事している者
料理学校や調理師学校で調理を習っていた期間、または教えていた期間
会社や研究所等で食品開発業務の一環として従事している場合
外国の飲食店で従事している場合
高校在学期間中に従事している場合(定時制・通信制を除く)など


受験の手続き
受験を希望する都道府県の調理師試験担当窓口などで、受験案内を入手し、必要な書類を願書受付期間中に指定の場所へ提出します。
提出書類(主なもの)
①受験申請書
②写真(6か月以内に撮影したもの。上半身、無帽)
③受験手数料(都道府県によって異なる)の領収証書
④最終学歴の卒業証明書(卒業した学校で入手)
⑤調理業務従事証明書(勤務先で作成・証明してもらう。2年以上調理業務に従事したことを証明するもの)
その他 戸籍抄本等、印鑑登録証明書 など


調理師試験
調理師試験は原則として都道府県(または各地域の試験実施機関)ごとに実施されます。
試験日や回数、試験問題数などは試験実施機関によって多少違いがあります。
厚生労働省保健医療局の通知により、調理師試験基準は以下のとおり示されています。


(1)試験形式
試験は筆記試験のみ。出題形式は「4肢択一問題」です。
出題数は60題以上、試験時間は120分以上と定められています。


(2)試験科目(6科目)
試験科目は、①公衆衛生、②食品学、③栄養学、④食品栄養学、⑤調理理論、⑥食文化概論の6科目です。


(3)合格基準
合格基準の目安は、原則として正解が総問題の6割以上です。ただし、科目別の平均点を著しく下回るものが1科目でもあれば、正解が6割以上あっても不合格となる場合があります。


(4)免許取得の申請
調理師免許を取得するためには、都道府県知事に免許取得の申請をします。免許申請に必要な主なものは次の通りです。
①調理師免許申請書(保健所または都道府県庁にある所定の用紙に記入)
②免許資格を証する書類(試験合格証書または合格通知書)
③医師の診断書(麻薬、大麻、あへん、覚せい剤の中毒者でないことを証明するもの)
④戸籍抄本または謄本もしくは住民票の写し(外国籍の場合は国籍が表示されている住民票の写し)
⑤免許手数料(都道府県によって異なる)など





1.公衆衛生学
公衆衛生学
公衆衛生学概論、衛生統計
環境衛生、感染症予防
健康づくり、母子保健
学校保健、高齢者保健
労働衛生
公衆衛生学概論
▢1.健康とは、肉体的、精神的、社会的に完全に良好な状態であることです。
世界の公衆衛生の中心機関である世界保健機関(WHO)の憲章(1948(昭和23)年)では、「健康とは、単に疾病や虚弱でないということだけではなく、肉体的、精神的並びに社会的に完全に良好な状態である」としています。
▢2.オタワ憲章ではヘルスプロモーションを定義しました。
世界保健機関(WHO)のオタワ憲章(1986〔昭和61〕年)ではヘルスプロモーシ∃ンを「人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようになるプロセス」と定義付け、個人や集団の自己管理能力の向上を目指しています。
▢3.公衆衛生は日本国憲法第25条に保障さねています。
日本国憲法第25条には「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とあります。
▢4.わが国の保健衛生行政は地域保健法に基づいて実施されています。
1994(平成6)年に保健所法が改正、名称変更され地域保健法となりました。保健衛生行政の第一線機関である保健所(2012〔平成24〕年4月現在、全国約500か所、支所を含まない)と市町村保健センター(平成26年4月現在、全国約2,400施設)の業務について規定しています。


▢5.消費者庁は2009(平成21)年に始動しました。
消費者庁は、消費者が安心できる安全で豊かな消費生活の実現を目指して内閣府に設置されました。消費者安全法に基づいて消費者の苦情相談等を行う行政機関である消費生活センターを設置し、独立行政法人である国民生活センターとともに消費者安全のための施策を推進しています。
▢6.FAO(国連食糧農業機関)は、世界の食糧生産や栄養の問題を扱う国際連合の専門機関です。
世界の公衆衛生問題に関する国際機関には他に、ILO(アイエルオー)-国際労働機関(労働保健に関する問題)、UNICEF(ユニセフ)-国連児童基金(母子保健や児童問題)、UNEP(ユネップ)-国際環境計画(環境保全問題)があります。
衛生統計
▢7.わが国の高齢者人口の割合(高齢化率)は、25.1%です。
内閣府の「平成26年版高齢社会白書」によると、2013(平成25年)10月1日現在のわが国の総人口は1億2,730万人です。そのうち65歳以上の高齢者人口は過去最高の3,190万人であり、総人口に占める割合(高齢化率)も、過去最高の25.1%(前年24.1%)でした。出生率の低下や寿命の延長などにより、高齢化はさらに進むとみられます。
▢8.従属人口指数は、生産年齢人口の扶養負担の割合を示す指数です。
従属人口指数は、100人の労働者が子どもと高齢者を支える数であり、次の式で求められます。数値が高いほど生産年齢人▢(15~64歳)の扶養負担が大きい。
(年少人口+老年人口)/ 生産年齢人口× 100
「平成26年版高齢社会白書」によると、平成25年10月1日現在の従属人口指数は61%で、近年上昇しています。
▢9.人口動態統計は1年間の市町村への届出を元に集計されています。
人口動態統計は、1年間に各市町村へ届け出られたすべての出生、死亡、婚姻、離婚及び死産を対象に、厚生労働省により集計されています。
▢10.平均寿命とは、0歳における平均余命のことです。
各年齢の生存者が平均してあと何年生きられるかを示した平均余命のうち、O歳の平均余命を平均寿命と呼びます。わが国の平均寿命は男80.2歳、女86.6歳(2013〔平成25〕年)です。また、日常的に介護を要せず自立した生活ができる生存期間を健康寿命といい、日本では男70.4歳、女73.6歳(2010〔平成22〕年)で、平均寿命とともに世界トップクラスです。
▢11.死因別死亡者数の割合はがん(悪性新生物)が最も多い。
平成25年の死亡者は約126万8千人であり、そのうち約28.8%が、がん(悪性新生物)による死亡です。
主な死因別死亡数の割合は、がん(悪性新生物)28.8%、心疾患15.5%、肺炎9.7%、脳血管疾患9.3%、老衰 5.5%、不慮の事故 3.1%、自殺2.1%、その他26.1%
▢12.わが国は少子化が進んでおり、合計特殊出生率は1.43、2013(平成25)年です。
合計特殊出生率は女性1人(15~ 49歳)が一生の間に生む平均子ども数です。日本ではこの率が2.08を下回ると人口が減少するとされますが、1990年代後半以降ずつと1.5を下回った低水準が続き、少子化が進行しています。
▢13.わが国の乳児死亡率は2.1(平成25年)で、世界でも有数の低率国です。
出生1000に対する乳児(1歳未満の子ども)の死亡数を乳児死亡率といい、地域の衛生状態の良否などを知る重要な指標です。わが国では大正末期には140を超えていたが、戦後急速に改善し、昭和末期に1桁となったのちも改善し続けています。
乳児死亡率=年間乳児死亡数/年間出生数×1000
▢14.健康増進に基づき、国民健康・栄養調査が毎年実施されています。
健康増進法第10条に基づき、身体状況、栄養素等摂取状況、生活習慣状況について調査が実施されています。
平成24年国民健康・栄養調査の結果
成人の野菜の摂取量は、286.5g、20代から40代が少なく、60代、70代が多い。
魚貝摂取量は、70.0g、 減少傾向
肉類摂取量は、88.9g、増加傾向
朝食の欠食率は、男12.8%、女9.0% 、減少傾向(20代が多い)
成人の食塩摂取量は、男11.3g、女9.6g、横ばい傾向
エネルギー摂取量は、1874kcal、 減少傾向
肥満者(BMI≧ 25)の割合は、男29.1%、女19.4%、男性は横ばい、女性は減少傾向
運動習慣状況は、男36.1%、女28.2%、 男女とも横ばい傾向
喫煙状況は、男34.1%、女9.0%、 横ばい傾向
環境衛生
▢15.環境基本法では公害に関する環境基準等を定めています。
環境基本法には、人の健康または生活環境にかかわる被害が生じる公害の環境基準や規制措置、防止計画等について定めています。
主な環境汚染公害事件とその原因物質
四日市ぜんそくは、硫黄酸化物による大気汚染
水俣病は、有機水銀(メチル水銀)による水質汚染
イタイイタイ病は、カドミウムによる水質汚染
典型7公害は、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、悪臭、地盤沈下です。
▢16.環境基本法には大気汚染に関する環境基準が設定されています。
環境基本法には、大気汚染にかかわる環境汚染指標として、下記のようなものが設定されています。
―酸化炭素、(排気ガスが発生源)
二酸化硫黄、(酸性雨の主成分)
浮遊粒子状物質、(煤塵、黒煙が発生源)
二酸化窒素、(工場のボイラー等が発生源)
光化学オキシダント、(二酸化炭素と太陽光によつて生成されるオゾンやアルヒド)
▢17.一酸化炭素(CO)は大気汚染物質のひとつです。
一酸化炭素を吸い込むと、酸素より先に血液中のヘモグロビン(Hb)と結びつき、酸欠状態となり、頭痛、めまい、悪心等の症状を引き起こし、ついには窒息死に至る。一酸化炭素は家庭用燃料ガスや自動車の排ガス等の不完全燃焼でも発生します。近年、排ガス規制により、大気中の一酸化炭素濃度は減少しています。
▢18.シックハウス症候群は家屋の建材等に含まれる化学物質による健康影響です。
シック八ウス症候群は、新築、改築の際の建材、特に合成接着剤(ホルムアルデヒド)、塗料(トルエン)、防虫剤(パラジクロロベンゼン)等の化学物質が揮発して人の健康に影響を及ぼすもので、めまい、吐き気、のどの痛み等のさまざまな症状を起こします。
▢19.人が感じる温度を感覚温度という。
感覚温度は、気温、湿度、気流(風)、太陽の放射熱などが関係します。湿度が高く風がないと不快に感じ、不快指数(80以上は誰もが不快と感じる指数)で表す。
不快指数=0.72×[乾球温度℃+湿球温度℃]+40.6
▢20.室内の冷暖房は、外気温との差を5~7℃以内に保つ。
空気調節された室内の温度は、基本的に屋外との温度差が大きすぎないように、夏は21~28℃ 程度、冬は17~23℃程度が望ましい。また、室内の空気は、自然換気(窓や隙間)、人工換気(換気扇、空調機)により常に新鮮な空気の補給を必要とする。環境衛生管理基準では17~28℃ 、相対湿度40~70%、気流0.5m/秒以下と定められています。
▢21.日本の水道水は軟水です。
水にはカルシウム塩、マグネシウム塩が多く溶けている硬水(硬度が高い水)と少ししか溶けていない軟水(硬度が低い水)があり、日本の水道水は軟水です。硬水は、胃腸を害し、下痢の原因となることがあるほか、調理では豆や肉がうまく煮えないなどの特徴があります。
▢22.上水道の消毒は塩素剤によって行われています。
水道水の水質基準、施設基準等を定めた水道法により、自治体が衛生的で安全な水を供給しています。浄水場では水源の水から不純物を除去し、ろ過したあと塩素消毒がなされます。給水栓における水は遊離残留塩素を0.1mg/L以上保持するように塩素消毒がなされることが定められ、水の汚染の度合いを示す値にはBOD(生物化学的酸素要求量)、COD(科学的酸素要求量)、SS(浮遊物質量)が用いられます。
▢23.2014(平成26)年3月現在のわが国の下水道普及率は、全人口の77.0%です。
生活排水、産業排水と雨水を下水と呼びます。下水道(下水処理のための排水管や処理施設)により、し尿処理が衛生的になり、感染症等の疾病を予防し、生活環境が改善されるなどの利点があるが、わが国の平成26年3月時点の下水道普及率は全人口の77.0%にすぎない。
▢24.廃棄物は産業廃棄物と一般廃棄物に分けられます。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」によって、廃棄物は「ゴミ、粗大こみ、汚泥、し尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物・不要物等であって、固形状または液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染されたものを除く)」とされています。また、廃棄物を産業廃棄物と一般廃棄物に大別しています。
産業廃棄物(事業者が処理):事業活動によって生じる燃えかす、汚泥、廃油、
廃プラスチック等
一般廃棄物(市町村が処理):日常生活から出るごみ、粗大ごみ、し尿、動物の死体
▢25.テレビなどの使用済家電製品は業者が回収します
一般廃棄物のうち、テレビ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫・冷凍庫は特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)の対象であり、業者が有料で回収します。また、パソコンは資源有効利用促進法(パソコンリサイクル法)の対象であり、同様に業者が有料で回収します。なお、2013(平成25)年4月より、携帯電話、デジタルカメラ、ゲーム機などを対象とする使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)が施行されています。
▢26.調理室の照度は全体照明を150ルクス以上にしなければならない。
調理室、給食室等、労働者を常時就業させる場所の照度(明るさの度合い)は、労働安全衛生法に基づく労働安全衛生規則によって、全体照明150ルクス以上と基準が定められています。さらに、精密な作業をする調理作業面、盛り付けカウンター等では300ルクス以上が望ましい。
▢27.環境汚染物質によって食品が汚染されないように対策が講じられています。
生活環境の中に放出され、生物に悪い影響を与える可能性のある物質を環境汚染物質といいます。食品のなかに混入すると食品汚染物質となり、人体に影響を及ぼす危険があるため、食品衛生法、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)等によってさまざまな対策(規制、禁止策)が取られています。
環境汚染物質対策
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、規制値を超えた食品の流通防止、PCB、DDT等の製造、使用禁止
有機水銀(メチル水銀)は、規制値を超えた魚介類の流通防止
残留農薬は、使用できる農薬の登録と規制、残留許容量の規制
TBTO(有機スズ化合物)は、特定用途以外の使用制限
クロルデン類は、特定用途以外の使用制限
▢28.ネズミ、衛生害虫は感染症を媒介します。
感染症等を予防するため、衛生状態に気をつけ、ネズミ、衛生害虫(ハエ、蚊、ダニ、ゴキブリ等)の発生を予防することが重要です。駆除の際には、発生初期に、広範囲に一斉に、動物の習性・生態に合わせて行うこと、発生源を除くことに重点をおいて行います。
そ族・衛生害虫と関連疾患
ネズミは、ペスト、ワイル病
ハエは、赤痢、腸チフス
ダニは、アレルギー
蚊は、マラリア、日本脳炎
ゴキブリは、食中毒、消化器疾患
ノミ、シラミは、ペスト、発しんチフス
ドクガは、発しん、かゆみ
感染予防法
▢29.感染症は、病原体が人間の体の中に入ることによって引き起こされる疾病です。
感染症の原因となる病原体には、ウイルス、細菌、原虫、寄生虫等の種類があります。
病原体と主な感染症
ウイルスは、インフルエンザ、狂犬病、日本脳炎、麻しん、急性灰白髄炎(ポリオ)、ウイルス性肝炎、伝染性肝炎、伝染性下痢症、エボラ出血熱、水痘、エイズ
クラミジアは、性器クラミジア感染症、オウム病
リケッチアは、発しんチフス、つつが虫病
細菌は、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフス、ジフテリア、しょう紅熱、結核、腸管出血性大腸菌感染症、百日咳、ペスト、破傷風、りん病
スピロヘータは、梅毒
原虫は、マラリア、 トキソプラズマ
寄生虫は、回虫症、日本住血吸虫症、エキノコックス症
プリオン(異常たんぱく質)は、BSE(牛海綿状脳症)
▢30.感染症の予防には、予防接種が有効です。
感染症の個人的予防のうえで最も大切なのは、各個人が疾病に対する感受性を下げる(病原体に対する抵抗力を高める)ことです。それには予防接種が有効です。予防接種は感染症に対する免疫をつけるために抗原物質(ワクチン)を投与することです。
▢31.予防接種には、定期予防接種と任意予防接種があります。
定期予防接種は予防接種法に基づき接種されます。接種期間、対象年齢が定められ、公費助成が行われます。任意予防接種は被接種者の自由意思により接種するものです。
定期予防接種は、ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ(4種混合)、麻しん・風しん(MRワクチン)、日本脳炎、結核、Hib感染症、肺炎球菌(小児と原則65歳以上)、子宮頸がん、インフルエンザ(原則65歳以上)、水痘
任意予防接種は、おたふくかぜ、B型肝炎、A型肝炎等
▢32.感染症の発生条件には「感染源」、「感染経路」、「感受性」の3つがあります。
感染症の予防対策は、発生条件により3つに分けることができます。
感染源(病原体を排出する患者、無症状病原体保有者、病原体保有動物)への対策は、検疫(輸入感染症予防)、患者の届出、入院隔離措置
感染経路(飛沫感染、経口感染、接触感染、空気感染等)への対策は、消毒、マスク、うがい、手洗い、ネズミ、衛生害虫の駆除
感受性(人間の感染症へのかかりやすさ)への対策は、予防接種、良好な栄養状態、健康状態の維持(抵抗力を高める)
感染症の予防は、(1)感染源に近寄らない、(2)感染経路をたつ、(3)抵抗力を高める
▢33.感染症は、感染源が直接または間接的にほかの人間に伝染することによって起こります。
感染源(ウイルス、細菌、原虫等の病原体)の感染経路によって感染症は飛沫感染、経口感染、経皮感染、媒介感染などに分類することができます。
飛沫感染は、結核、ジフテリア、麻しん、しょう紅熱、インフルエンザ
経口感染は、コレラ、赤痢、腸チフス、急性灰白髄炎(ポリオ)、パラチフス、腸管出血性大腸菌感染症
経皮感染は、日本住血吸虫症、狂犬病、破傷風
接触感染は、梅毒、りん病、エイズ、性器クラミジア感染症
昆虫の媒介感染は、日本脳炎、発しんチフス、ペスト、マラリア
▢34.寄生虫病は、寄生虫が人間の腸、肝臓、皮下組織などに寄生することによって起こります。
主な寄生虫病
回虫病は、野菜の上などに生育している回虫が人間の小腸に寄生します
アニサキスは、魚介類を宿主にしており、刺身等、魚介を生で食して感染し、胃腸壁で腫瘤をつくります
ぎょう虫病は、 ぎょう虫は人の腸に寄生し、夜になると肛門の外に産卵します。最も多い寄生虫病です。
日本住血吸虫病は、中間宿主の宮入貝から出た子虫は皮膚から入り門脈血管に寄生します
条虫病は、条虫(さなだ虫)類の種類による中間宿主(牛、豚、マス、サケなど)を食して感染し、腸に寄生します
▢35.寄生虫病は減少しているが、輸入寄生虫病は増加しています。
戦後多かった寄生虫病感染者は衛生状態の向上等により急激に減少し、1994(平成6)年に寄生虫予防法は廃止されました。現在、学校保健安全法に基づき、幼稚園、小学校低学年に寄生虫卵検査が行われています。一方、いわゆる輸入寄生虫病は海外渡航者や輸入動物からの感染により増加しています。
健康づくり
▢36.疾病予防対策は、一次予防、二次予防、三次予防の三段階で行われています。
医学には予防医学(公衆衛生学)と治療医学(臨床医学)があります。予防医学では疾病の進行段階に応じて一次予防、二次予防、三次予防があり、それぞれの段階に適した予防手段が講じられています。
一次予防:目的は、疾病の発生防止と健康増進、特殊疾病予防、手段は、健康・衛生教育、食生活・生活習慣の改善、予防接種、消毒、環境対策
二次予防:目的は、早期発見、早期治療、重症化予防、手段は、一般健康診査、集団検診、人間ドック、患者への栄養指導、合併症の防止
三次予防:目的は、機能回復、社会復帰、手段は、リハビリテーショス、疾病軽症化に向けた介護、配置転換、人工透析
▢37.わが国の疾病による主要死因は生活習慣病です。
わが国の疾病による主要死因は20世紀前半まで結核などの感染症であったが、現在では、がん(悪性新生物)、心疾患、脳血管疾患、高血圧、糖尿病などの生活習慣病が主流となっています。死因はがんが最も多く死亡数全体28.8%、2013(平成25)年であり、がん、心疾患、脳血管疾患を合わせた死亡数は全体の半数を超えています。
▢38.人口の高齢化に伴い、粗死亡率は緩やかに上昇しています。
わが国の2013(平成25)年の粗死亡率(人口1,000対)は10.1であり、前年より0.1上昇した。これは、高齢化により死亡数が上昇しているためです。一方、特定年を基準として年齢構成の歪みを補正した年齢調整死亡率は年々低下しており、死亡に関して改善されていることがわかります。

「粗死亡率」は―定期間(通常1年間)の死亡数をその期間の人口で割った死亡率(人口1,000対)のことです。
▢39.がん(悪性新生物)による死亡数は増加し続けています。
主な死因の年次推移では、がんによる死亡数は一貫して増加を続け、1981(昭和56)年以降、脳血管疾患にかわり死因順位第1位となっています。また、年齢調整死亡率では、がんによる死亡率は男女とも近年緩やかに低下しています。
▢40.男女ともに胃がんは減少し、女性の乳がんが増加しています。
がんの部位別の年齢調整死亡率(平成25年)の順位
男性は、1位肺がん、2位胃がん、3位大腸がん、4位肝臓がん、5位膵臓がん
肺がんは1993(平成5)年以降、胃がんに換わり第1位、胃がんは近年減少、大腸がんは横ばい傾向です。
女性は1位大腸がん、2位肺がん、3位胃がん、4位膵臓がん、5位乳がん
大腸がん、肺がんは横ばい、胃がんは減少傾向です
▢41.がん発生の危険因子として、生活習慣、特に喫煙と食事が大きく関与しています。
がんの予防には食生活の改善などの1次予防が重要です。そのため、独立行政法人国立がん研究センター「がんを防ぐための12か条、1978(昭和53)年)」、公益財団法人がん研究振興財団「がんを防ぐための12か条、2011(平成23)年」などで、がん予防を提唱しています。
▢42.心疾患の3大危険因子は高コレステロール血症、高血圧、喫煙です。
心疾患はわが国の死亡数全体の15.5%、2013(平成25)年であり死亡原因の第2位を占めているが、年齢調整死亡率は近年緩やかに減少しています。わが国の心疾患発症の割合は欧米に比べ非常に低い。魚、植物油に含まれる不飽和脂肪酸は心疾患発症リスクを下げる働きをします。
▢43.脳血管疾患(脳卒中)は高齢者が寝たきりになる主な原因です。
脳血管疾患には脳出血、くも膜下出血、脳梗塞などがあります。年齢調整死亡率は男女とも減少しているが、高齢者が寝たきりになる原因の第1位です。脳血管疾患の予防は高血圧予防と血圧の管理が中心です。
▢44.高血圧は脳血管疾患、心疾患、腎臓病などの要因になります。
高血圧症有病者の割合は男性55.5%、女性39.6%、2012(平成24)年国民健康・栄養調査)であり、高血圧の危険因子は、ナトリウム過剰摂取、カリウムの摂取不足、肥満、運動不足、アルコール過剰摂取などです。減塩、節酒、肥満防止などの一次予防が重要です。
▢45.40歳以上の成人の10人に1人が糖尿病です。
糖尿病は、膵臓のラングル八ンス島から分泌されるインスリンの不足または働きが悪くなることにより血糖値の高い状態が続く疾患です。糖尿病が強く疑われる者の割合は増加しており、対策として、肥満の防止、運動不足解消、脂質・糖質の過剰摂取防止などの一次予防が重要です。
▢46.成人男性のメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は増加しています。
糖尿病等の生活習慣病のリスクを高めるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる者またはその予備群は男性で約2人に1人、女性で約5人に1人(平成24年国民健康・栄養調査)です。
必須項目:内臓脂肪蓄積は、腹囲径 男性:85cm以上、女性:90cm以上
選択項目:これらの項目のうち2項目以上
脂質異常は、中性脂肪150mg/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満のいずれかまたは両方
高血圧は、収縮期(最大)血圧130mmHg、拡張期(最少)血圧85mmHg以上のいずれかまたは両方
高血糖は、空腹時高血糖 110mg/dL以上
▢47.「新健康フロンティア戦略」は国民の健康寿命を延ばすことを目標としています。
「新健康フロンティア戦略」は2007(平成19)年に国民の健康寿命(健康に生きられる人生の長さ)を延ばすことを目標として、とりまとめられた10か年計画です。子どもの健康・女性の健康・こころの健康などの9つの分野について、予防を重視した健康づくり運動を推進しています。
▢48.2008(平成20)年4月から特定健診・特定保健指導が実施されています。
老人保健法が改正施行された「高齢者の医療の確保に関する法律」に即して40歳から74歳を対象とした特定健診・特定保健指導の実施が義務化されました。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の減少等を目指して、腹囲測定、血液検査結果等により、生活習慣病のリスクを階層化し、そのリスクに応じて情報提供、動機付け支援、積極的支援を行います。
▢49.2013 (平成25)年から、健康日本21(第2次)が開始されました。
国民の健康づくりの指針となる2013~22(平成34)年度の第2次「健康日本21」では、第1次「健康日本21」2000(平成12)~2012(平成24)年のあとを受けて、健康寿命を延ばし超高齢社会に対応すること、地域や社会経済状況の違いによる集団間の健康格差を縮小することなどを目指しています 。
▢50.脂質異常症は動脈硬化の危険因子です。
脂質異常症には、高LDL(悪玉)コレステロール血症、高トリグリセライド(中性脂肪)などがあり、動脈硬化を引き起こし、脳血管障害、心疾患などの原因となります。予防には、適度な運動とバランスのとれた食事が基本です。
▢51.たばこ対策は、喫煙率の低下と受動喫煙状況の改善が目標とされています。
たばこには一酸化炭素、ニコチン、タールなどの有害成分が含まれ、健康日本21(第2次)には喫煙対策の指標があります。
健康日本21(第2次)の喫煙に関する目標
成人の喫煙率の低下 (平成23年20.1%→ 平成34年度目標12%)
未成年者の喫煙をなくす(目標0%)
妊産婦の喫煙をなくす(目標0%)
受動喫煙状況の改善(行政機関、医療機関、家庭、飲食店等ごとに目標値設定)
▢52.飲酒については、量、飲み方を適正にすることを目標としています。
飲酒による生活習慣病のリスクやアルコール中毒(依存症)、アルコール性肝障害等の問題が指摘されているが、アルコール自体が有害というわけではなく、量や飲み方等に関して「適正飲酒」が推奨されます。健康日本21(第2次)では適正飲酒に関する指標がかかげられています。
健康日本21(第2次)の飲酒に関する目標
生活習慣病のリスクを高める量の飲酒(1日平均純アルコール摂取量男性40g以上、女性20g以上)をしている者の割合の減少
未成年者の飲酒をなくす(目標0%)
妊娠中の飲酒をなくす(目標0%)
母子保健
▢53.母子保健法はわが国の母性と乳幼児の健康の保持、増進を目的としています。
母子保健法の下で、妊娠、出産から子どもの発育を通じて一貫した体系のもとに母子保健対策が進められています。
母子保健法による母子保健対策
保健指導は、市町村より妊娠した者への母子健康手帳の交付、妊産婦、新生児、未熟児等への訪問指導、集団保健指導(母親学級、育児学級等)
健康診査は、妊婦健康診査、乳幼児健康診査、1歳6か月児健康診査、3歳児健康診査
医療援護は、低出生体重児(2、500g未満)の届出、未熟児(出生2、000g以下等)への養育医療の給付
各市町村へ「妊娠届」を提出し「母子健康手帳」を受け取ります。
▢54.母子健康手帳には母子の健康状態を記録します。
市町村が妊娠した者に交付する母子健康手帳は、妊娠中、出産、乳幼児の健康状態を記録するものであり、母子の健康に関して行政的に把握し、健康診査等の保健指導の際の重要な資料となります。また、母子健康手帳には乳幼児発達曲線など標準的な発育・発達の目安が記載されており、母親はわが子の発育・発達を客観的に把握することができます。
▢55.「健やか親子21」は母子保健の課題や方向性を示し、約8割に改善がみられました。
「健やか親子21」は、母子保健の国民運動計画として、2001(平成13)~ 2014(平成26)年に実施されました。思春期の保健対策の強化と健康教育の推進など、4つの課題が示されたが、2013(平成25)年の最終評価報告書によれば約8割が改善されています。2015(平成27)年度からは「すべての子どもが健やかに育つ社会」の10年後の実現に向け、「健やか親子21(第2次)」がスタートします。
学校保健
▢56.学校保健安全法では、学校での健康診断等について規定しています。
健康診断の実施時期(定期健康診断:毎年6月30日まで、就学時健康診断:就学4か月前まで)や実施項目等について定めています。また、感染症罹患児童・生徒について、校長が出席停止を行うことなどが規定されています。
▢57.学校給食実施率は小学校99.2%、中学校85.4% 2012(平成24)年5月現在です。
学校給食は、学校給食法により、その普及と食育の推進を図ることを目的として実施されています。
学校給食の目標は、適切な栄養摂取、望ましい食習慣、社交性と協同の精神、伝統的な食文化の理解などです。
高齢者保健
▢58.介護保険制度の保険者は市区町村であり、被保険者は第1号(65歳以上)と第2号(40~64歳)からなる。
介護保険制度は高齢者の介護を保障するために2000(平成12)年に施行されました。財源は被保険者の保険料と公費負担です。要支援1~2及び要介護1~5に区分され、介護サービスや支援が提供されます。
▢59.認知症は、アルツハイマー型と脳血管疾患型に大別されます。
高齢者の認知症有病率は2010(平成22)年現在高齢者人口の8~10%、85歳では27%と推定され、高齢化に伴い増加しています。また、認知症の原因疾患は脳の萎縮により記憶障害等を引き起こすアルツハイマー病と脳血管性認知症が大半です。
労働衛生
▢60.労働衛生とは、労働者の安全と衛生を保つための諸対策を講じることです。
労働者の生命、身体を災害や職業上の疾病から守り、労働者の健康の保持・増進のために諸活動が行われています。近年は産業の発達に伴い、災害の発現、職業病の多発がみられ、労働衛生の重要性は増しています。
▢61.労働者は労働基準法と労働安全衛生法によって、災害や職業病から守られています。
労働者の安全、衛生を確保するための法律は労働基準法と労働安全衛生法があり、作業環境の管理や作業自体の管理、健康の管理について労働条件の基準等を定め、労働災害の防止についての対策を推進しています。
労働基準法は、労働時間、休憩、休日、女性と年少者の労働、災害の補償、寄宿舎
労働安全衛生法は、労働者の安全と健康保持のための一般健康診断(全労働者)、特殊健康診断(有害な業務従事者)、快適な作業環境の形成
▢62.職業に原因があって引き起こされる疾病を職業病(業務上疾病)といいます。
かつては劣悪な労働条件や有害な環境での作業などによる職業病が大きな社会問題となっていたが、労働基準法、労働安全衛生法の下での諸対策により重金属工業従事者の中毒やがん等の従来のような職業病は減少しています。一方、産業の発達に伴い、新たな職業病も現れるため、定期健康診断や作業環境の整備が重要です。
職業病の主なもの
じん肺症は、トンネルなど掘削作業時の粉じんの吸入による肺疾患
ベンゼン中毒は、塗料に含まれるベンゼン吸入による中毒症状
白ろう病は、振動する工具の使用による血管神経障害
▢63.労働災害(労災)には、死亡災害、死傷災害、重大災害 (一度に3人以上が被災)があります。
2013(平成25)年は労働災害の発生件数が4年ぶりに減少しました。死傷者数(死亡及び4日以上の休業)も減少したが、年間11万人を超えている(通勤中の災害を除く)。労働災害が認定されると、労働者災害補償保険法に基づいて保障がなされます。



2.食品学
食品学
食品の分類と成分
植物性食品・動物性食品
その他の食品
食品の加工と貯蔵
食品の表示
食品の分類と成分
▢1.食品は、毒性がなく、栄養素を含み、人の嗜好に適しているものをいいます。
食品の条件は、毒性がない、1種類以上の栄養素を含む、人の嗜好に適している、の3つです。食物とは、この食品を加工調理し、おいしく食べられる形にしたものをいいます。
▢2.一般に、植物性食品は、炭水化物、ビタミン、無機質が多く、脂質が多い。
動物性食品は、炭水化物、ビタミン、無機質を多く含み、たんぱく質や脂質は少ない(例外として、大豆はたんばく質や脂質が多い)。動物性食品は、たんばく質や脂質が多く、炭水化物はほとんど含まれない。
植物性食品は、穀類、いも類、砂糖類、豆類、種実類、野菜類、果実類、きのこ類、海藻類、植物性油脂 など
動物性食品は、魚介類、肉類、卵、牛乳。乳製品、動物性油脂 など
▢3.「日本食品標準成分表2010」は、文部科学省より公表されています。
「日本食品標準成分表2010」では、食品は18群に大別され、食品の可食部(廃棄部分を除いた食べられる部分)100g当たりのエネルギーと各種成分を表しています。
▢4.牛乳、乳製品、藻類、小魚は、カルシウムを多く含む食品です。
食品は、植物性食品と動物性食品という分け方のほかに、多く含まれる成分によって分けることができます。
食品に多く含まれる成分
砂糖、穀類、いも類、大豆以外の豆類は、炭水化物
魚類、肉類、卵、牛乳、大豆及び大豆製品は、たんぱく質
油脂、大豆、卵黄は、脂質
レバー、乳製品、卵黄、緑黄色野菜、魚類は、ビタミンA
レバー、豚肉、穀類、豆類は、ビタミンB1
レバー、肉類、牛乳は、ビタミンB2
かんきつ類、いも類は、ビタミンC
牛乳、乳製品、藻類、小魚は、カルシウム
レバー、卵黄、緑黄色野菜は、鉄
植物性食品・動物性食品
▢5.うるち米のでんぷんは、アミロース20%とアミロペクチン80%です。
米はでんぷんの種類によって、うるち米ともち米に分けられます。
うるち米のでんぷんは、アミロース(粘りが少ない)20%とアミロペクチン(粘りが強い)80%です。もち米はアミロペクチンが100%で粘りが強い。
米は貯蔵中にビタミンB1が減少し、脂質は酸化して味が落ちます。
▢6.小麦粉の強力粉は、薄力粉よりグルテンが多い。
小麦のたんぱく質は、水を加えて練るとグルテンができて、粘りと弾力が出ます。たんぱく質が多いものほど粘り気が強く、強力粉、中力粉、薄力粉の順にグルテンが多い。
小麦粉の主な用途
強力粉は、パン、パスタなど
中力粉は、麺類など
薄力粉は、ケーキ、クッキー、天ぷらのころもなど
▢7.さつまいもは、ビタミンCが比較的多く、カロテンも含まれます。
いもの種類
さつまいもは、ビタミンCや力ロテンの他に食物繊維も含まれ、便秘予防になる。
じゃがいもは、発芽時の芽や緑変した皮にソラニンという毒素があるので、取り除く。
やまといもは、特有の粘りは、マンナン(糖質)とムチン(たんぱく質)によるものです。
さといもは、特有の粘りは、ガラクタン(糖質)とムチン(たんぱく質)によるものです。
こんにゃくいもは、主成分は、食物繊維のグルコマンナンです。
▢8.大豆は、たんぱく質や脂質が非常に多い。
大豆はたんばく質と脂質が非常に多く、ビタミンB群も多く含まれています。そのままでは消化吸収率が低いので、納豆、みそ、しょうゆなどに加工されています。
たんぱく質と脂質が多いものは、大豆
炭水化物とたんぱく質が多いものは、あずき、いんげん豆、えんどう豆、そら豆
▢9.緑黄色野菜は、可食部100g当たりカロテンを600㎍以上含む野菜をいいます。
カロテン含量が60㎍に満たなくても、 トマト、ピーマン、さやいんげんなどはカロテンを比較的多く含み、摂取頻度が高いので、緑黄色野菜に分類されています。その他の野菜(淡色野菜)は、ビタミンCを多く含んでいます。
▢10.きのこ類は主に不溶性食物繊維のため、消化されにくい。
生のきのこは、約90%が水分です。炭水化物も比較的多いが、不溶性食物繊維の割合が多く、消化されにくい。また、日干しによリビタミンDが多くなります。
▢11.魚類の脂質には不飽和脂肪酸が多く含まれています。
魚類の脂質(魚油)には、不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれています。DHAとEPAは必須脂肪酸であり、体内でつくることができないので、食物から摂るようにします。
▢12.肉類は、と殺後一時的にかたくなるが、数日後、自己消化によりやわらかくなります。
肉類が、と殺後一時的にかたくなることを死後硬直、数日後、自己消化によりやわらかくなることを肉の熟成といいます。
肉の種類
牛肉は、良質のたんはく質を含み、肝臓(レバー)には鉄やビタミンAなどが豊富です。
豚肉は、他の肉類に比べ、ビタミンB1が多い。肝臓(レバー)には牛の約3倍の鉄が含まれています。
鶏肉繊維が細く、脂肪が少ない。消化がよい。
▢13.鶏卵はたんぱく価が高く、ビタミンC以外の栄養素を豊富に含んでいます。
鶏卵は、卵黄、卵白、卵殻の3つの部分から成り、重量比は3:6:1です。

卵黄
栄養素は、脂質のほとんどを含むコレステロールが非常に多い。ビタミンA、B1、B2、D、鉄を含む
性質は、マヨネーズの乳化性に関与、卵黄の色素は力ロテノイド
凝固温度は、65-70℃

卵白
栄養素は、水分とたんぱく質が多い
性質は、メレンゲ、スポンジケーキの気泡性に関与
凝固温度は、70-80℃
▢14.牛乳は、たんぱく質やカルシウムの優れた供給源で、ビタミンCと鉄以外のほとんどの栄養素を含む。
牛乳のたんぱく質は良質で、栄養価も高く、ビタミンCと鉄以外のほとんどの栄養素を含む。カルシウムとリンの比率(1:1)もよく、他の食品のカルシウムに比べて吸収率が高い。
▢15.ターメリック(うこん)の粉末は黄金色で、カレーの主原料です。
香辛料の原料は植物の種子、果実、葉茎、根などで、その特性は、辛味、苦み、強い香り、着色作用などです。臭みやくせを和らげたり、風味やこくをつけるものとして、調味料とは区別されます。
主な香辛料と用途
しょうがは、ジンジャー、香辛性があり、におい消し、薬味、菓子などに用います。
さんしょうは、若葉は汁物や和え物に、実は粉にしてうなぎなどにかけます。
とうがらしは、とうがらしが原料のペッパーソースは、アメリカでつくられた辛味調味料です。
くちなしは、 乾燥した果実に黄色の着色作用があり、栗きんとん、さつまいもの煮物、たくあん漬け、和菓子などに用います。
シナモンは、肉桂、ニッキ、独特な芳香と苦みがあり、アップルパイなどに用います。
サフランは、色と香味があり、魚の煮込みやブイヤベースなどに用います。
ローリエは、ベイリーフ、芳香性があり、肉料理やシチューなどに用います。
バニラは、香り付けで、アイスクリームやクッキーなどの洋菓子に用います
その他の食品
▢16.コピー食品は、ある食品に似せて別の食材を加工してつくられたものです
コピー食品は、ある食品に似せて別の食材を加工してつくられたもので、魚のすり身を用いて力二脚に似せた力二蒲鉾や、イクラやキャビアを模造したものなどがあります。
▢17.食品は、保健機能食品と一般食品に分けられます
保健機能食品には、特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品の2つがあります。一般食品に含まれる健康食品は、広く健康の保持増進に役立つ食品として販売されているものであるが、法律上の定義はなく、医薬品としての効能をもつ食品ではない。
▢18.特定保健用食品(トクホ)は、おなかの調子を整えるのに役立つなど、保健の効果を表示することができる食品です。
特定保健用食品(トクホ)は、からだの生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品です。個別審査が行われ、許可されたものには、許可証票が付けられます。
特定保健用食品の成分
おなかの調子を整える成分は、オリゴ糖、食物繊維、乳酸菌などを含む飲料など
コレステロールの調整成分は、大豆たんぱく質やキトサンを含む清涼飲料水など
無機質の吸収促進成分は、CCM(クエン酸リンゴ酸カルシウム)やCPP(カゼインホスホペプチド)、ヘム鉄を含む飲料など
虫歯になりにくい成分は、パラチノースやマルチトール、キシリトールなどが含まれるガム、チョコレートなど
血圧の調整成分は、カゼインドデカペプチドや杜仲葉配糖体などが含まれる飲料など
血糖の調整成分は、難消化性デキストリンやグァバ茶など
▢19.栄養機能食品は、消費者庁の個別審査を受けたものではないことの表示が必要です。
栄養機能食品は、栄養成分(ビタミン・ミネラル)の補給・補完のために利用される食品です。消費者庁長官から個別に審査を受けたものではないこと、栄養機能、注意喚起などの表示が必要となっています。

▢20.特別用途食品は、内閣総理大臣の許可により販売できる食品です。
特別用途食品は、乳児、幼児、妊産婦、病者などの発育、健康の保持、回復に適する表示をする食品です。内閣総理大臣により販売が許可されると、許可マークが付けられます。
食品の加工と貯蔵
▢21.精白米は、玄米を歩留まり90~92%に精白したものです。
精白米は、玄米から糠や胚芽を取り除いたもので、玄米に対する精白米の割合を歩留まりといいます。
米の主な加工品
うるち米は、上新粉
もち米は、道明寺粉、白玉粉、みじん粉
▢22.ヨーグルトは、牛乳のたんぱく質カゼインを乳酸菌で発酵させ、凝固させたものです。
乳類の主な加工品
クリームは、牛乳の脂肪を集めたもの。バターの原料です
チーズは。牛乳のたんぱく質に酵素を加えて発酵させたもので、ナチュラルチーズとフロセスチーズがあります。たんぱく質、カルシウム、ビタミンA、B2が多い
練乳は、牛乳を濃縮したもので、砂糖を加えた加糖練乳(コンデンスミルク)と砂糖を加えない無糖練乳(エバミルク)があります
脱脂粉乳は、牛乳から乳脂肪を分離した残りを乾燥したもので、全粉乳に比べてたんはく質とカルシウムが多い
▢23.ベーコンは豚のバラ肉を塩漬けしたあと、燻製にしたものです。
主な加工食品と主要原材料
オートミールは、えん麦
こんにゃくは、こんにゃくいも
麦芽あめは、大麦、もち米
押し麦は、大麦
豆乳は、大豆
皮蛋は、あひるの卵
▢24.清酒は、米と米麹を原料として、酵母の作用で発酵させた食品です。
米麹は米にコウジカビを繁殖させたもので、清酒や甘酒、米味噌などの製造に使われます。
食用微生物と主な加工食品
細菌は、納豆、ヨーグルト、酢
カビは、かつお節
酵母は、ビール、ワイン、パン
細菌十酵母は、漬け物
カビ十酵母は、清酒
細菌+酵母+カビは、みそ、しょうゆ
▢25.ガス貯蔵法とは、酸素を少なくした人工空気の中で密閉して貯蔵する方法です。
食品は時間の経過とともに鮮度を失い、酵素や微生物や酸化によって品質が低下し、食用に適さなくなります。栄養価、味、色、香りなどの品質を保持するために下記のような貯蔵方法があります。
食品貯蔵の種類
ガス貯蔵法は、酸素を少なくし、炭酸ガスなどを多くした人工空気の中で密閉して貯蔵する方法で、野菜や果物の貯蔵に用いられます
燻製法は、塩蔵による防腐効果に加えて、燻煙による乾燥と煙の成分により防腐する方法で、燻製特有の風味が加わる。ハム、ベーコン、スモークチーズ、いかの燻製などがあります
殺菌灯による方法は、紫外線を照射することによって殺菌する方法で、清涼飲料水の殺菌に利用されています
放射線による方法は、わが国では、じゃがいもの発芽防止にのみ許可されている方法であります
砂糖漬け法・塩漬け法・酢漬け法は、砂糖、食塩、酢の濃厚液は脱水作用があり、細菌の繁殖を防ぐことを利用した方法で、果実類は砂糖漬け、肉、魚、野菜類は塩漬けや酢漬けにする
食品の表示
▢26.「特定原材料」とは、アレルギー物質を含むとして、省令で表示が義務付けられたものをいいます。
特定原材料には、卵、小麦、そば、落花生、乳、えび、かにが定められています。また、「特定原材料に準ずるもの」とは、アレルギー物質を含むとして通知で定められたもので、表示は奨励であり、義務付けられてはいない。特定原材料に準ずるものには、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、ごまなどが定められています。
▢27.消費期限は、品質が急激に劣化する食品に表示されます。
消費期限は、おおよそ5日程度で品質が急激に劣化する食品に表示されているもので、その表示のある食品は、期限内に消費します。開封した場合は、期限内であっても保証外となるので、速やかに食べるようにします



3.栄養学
栄養学
栄養素の働き
炭水化物
脂質
たんぱく質
ビタミン
無機質(ミネラル)
ホルモン
消化と吸収
エネルギー
国民の栄養状態
ライフステージと栄養
病態と栄養
栄養素の働き
▢1.生体内で活動のエネルギー源として働く栄養素は、糖質(炭水化物)と脂質とたんぱく質です。
栄養素の種類と働き
活動のエネルギー源は、炭水化物(糖質)、脂質、タンパク質
体組織の成長と補充は、脂質、タンパク質、無機質(ミネラル)
体機能を順調に維持・調整は、タンパク質、無機質(ミネラル)、ビタミン
▢2.人体の構成成分は、水分が最も多い。
人体の構成成分の割合は、成人男女平均でおおよそ、水分(57%)、脂質(21%)、たんぱく質(16%)、無機質(ミネラル)(5%)、糖質(炭水化物)(1%)となっています。
炭水化物
▢3.炭水化物は、エネルギーになる糖質と、食物繊維に分けられます。
炭水化物は、単糖類、二糖類、多糖類の3つに大別されるが、さらにエネルギーになる糖質と、食物繊維に分けられます。食物繊維は、人の消化酵素では分解されない食品中の難消化成分の総称です。
炭水化物の分類
単糖類は、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトース、マンノース

二糖類は、ショ糖(スクロース:ブドウ糖と果糖の分子1つずつ)、麦芽糖(マルトース:ブドウ糖が2分子)、乳糖(ラクトース:ブドウ糖とガラクトースの分子1つずつ)

多糖類は、でんぷん(ブドウ糖が多数結合、穀類やいも類などに多く含まれる)、グリコーゲン(ブドウ糖が多数結合、肝臓や筋肉の中に存在)、セルロース(植物の細胞壁の主成分)、ガラクタン(寒天の成分)、ペクチン(果物に多く含まれる)、グルコマンナン(こんにゃくの成分)、アルギン酸(こんぶやわかめなどの海藻に含まれる)
▢4.炭水化物(糖質)が体内でエネルギー源となるとき、ビタミンB1が必要とされます。
糖質が体内で燃焼しエネルギーを発生する過程で、ビタミンB1が必要です。穀類、いも類などを食べるときには、ビタミンB1を多く含む食品も一緒に摂取するようにします。
▢5.糖質1g当たりのエネルギー発生量は4kcalです。
糖質1g当たりのエネルギー発生量は4kcal、たんぱく質は4kcal、脂質は9kcalです。これらの3大栄養素が重要なエネルギー源です。
食品のエネルギー量を求めるときに用いるアトウォーター係数(kcal/g)は炭水化物(糖質)が4、たんぱく質が4、脂質が9です。
▢6.1歳以上の炭水化物の目標量は、総エネルギーの50~65%です。
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、1歳以上の1日当たりの炭水化物の目標量は、総エネルギーの50~65%です。
▢7.食物繊維は水溶性と不溶性に分類され、生理作用が異なります。
食物繊維には、植物性のセルロース、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸などと、動物性のえびやかにの殻の成分キチンなどがあり、水溶性と不溶性に分類されます。
食物繊維の種類と生理作用
水溶性食物繊維(ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸)は、食後の血糖値の急上昇抑制作用、血圧や血中コレステロール値の上昇抑制作用、腸内環境の適正化
不溶性食物繊維(セルロース、キチン)は、唾液分泌量の増加、満腹感の維持、排便の促進効果
脂質
▢8.脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。
飽和脂肪酸は動物性食品の油脂に多く、血中LDLコレステロール値を上昇させる作用があります。不飽和脂肪酸は植物油に多く、血中LDLコレステロール値を下降させる作用があります。
脂肪酸の種類と特徴
飽和脂肪酸は、バター、牛脂、豚脂など動物性食品の油脂に多く含まれています。血中LDLコレステロール上昇作用がある。
不飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸は、オレイン酸はオリーブ油や菜種油などに含まれています。
不飽和脂肪酸・多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)は、植物油に多い多価不飽和脂肪酸(リノール酸、リノレン酸)や、魚油に多いDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)は、血栓予防、血中LDLコレステロール低下作用がある
▢9.不飽和脂肪酸のうち体内で合成できない脂肪酸を、必須脂肪酸といいます。
不飽和脂肪酸のうち、必須脂肪酸は体内で合成できないため、食物から摂らなくてはならない。必須脂肪酸には、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、魚油に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などがある。
▢10.コレステロールは生体膜の構成成分です。
コレステロールは、食物から摂るよりも肝臓で合成されるほうが多い。細胞膜などの生体膜を構成し、胆汁酸や性ホルモンの成分となっています。
▢11.1歳以上の脂質の目標量は、総エネルギーの20~30%です。
脂肪エネルギー比率が高くなると、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、冠動脈疾患などのリスクが増大する。「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、1歳以上の1日当たりのエネルギー産生栄養素バランスの目標量を、脂質20~30%、たんぱく質13~20%としている。
▢12.脂質が体内でエネルギー源となるときは、ビタミンB1を必要としない。
脂質が体内で燃焼してエネルギーを発生する過程ではビタミンB1を必要としないので、体内のビタミンB1の節約になる。
たんぱく質
▢13.たんぱく質は、炭素、酸素、水素、窒素より構成されます。
たんぱく質は、20種類のアミノ酸が結合した化合物で、窒素を含むことが特徴です。血液、筋肉組織、内臓、脳、皮膚、毛髪、爪などをつくるほか、ホルモンや酵素の原料となります。
▢14.必須アミノ酸は9種類です。
必須アミノ酸は、リジン、ヒスチジン、ソロイシン、スレオニン、メチオニン、トリプトファンの9種類です。
▢15.必須アミノ酸は、動物性食品に多く含まれます。
必須アミノ酸は、体内で合成できないため、食物から摂らなくてはならない。動物性食品の卵、牛乳、肉類、魚類などに多く含まれます。たんぱく質の栄養価は、必須アミノ酸9種類をバランスよく含んでいるものほど高く、1種類でも少ないものがあると、体内での利用率が下がります。
▢16.穀類の第1制限アミノ酸は、リジンです。
必須アミノ酸9種類の中で、最も不足するアミノ酸を、第1制限アミノ酸といいます。穀類、米、小麦などの第1制限アミノ酸は、リジンです。植物性食品は、必須アミノ酸を多く含む動物性食品や大豆などと一緒に食べると、たんぱく質の栄養価を上げることができます。
ビタミン
▢17.脂溶性ビタミンには、ビタミンA、D、E、Kがあります。
脂溶性ビタミンは、油に溶けやすい性質があります。脂溶性ビタミンはビタミンD、A、K、Eの4種類です。
脂溶性ビタミン
ビタミンAは、(1)視覚の正常化、皮膚・粘膜の保護、成長促進 (2)緑黄色野菜に含まれる力ロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変わります。うなぎ、レバー、牛乳、乳製品、卵黄、緑黄色野菜 など含まれます。
ビタミンDは、(1)小腸内でのカルシウムとリンの吸収を促進し、骨の形成に関与 (2)紫外線にあたると皮膚に生成されます。レバー、肝油、牛乳、乳製品、卵黄、魚類、きのこ類などに含まれます。
ビタミンEは、必須脂肪酸、ビタミンA、力ロテンの抗酸化を行います。胚芽油、綿実油、豆類、緑黄色野菜 などに含まれます。
ビタミンKは、血液の凝固因子の産生、骨の形成に関与します。豆類、緑黄色野菜、海藻類、腸内細菌によって合成されます。
▢18.脂溶性ビタミンは、過剰障害を起こすおそれがあります。
脂溶性ビタミンの中で、ビタミンA、D、Eは、大量に摂取すると過剰障害を起こすおそれがあるので、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では耐容上限量を設定しています。
▢19.水溶性ビタミンには、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、ナイアシン、葉酸などがあります。
水溶性ビタミンは、水に溶けやすい性質があります。
水溶性ビタミンの主な種類
ビタミンB1は、糖質の代謝に関与する補酵素、レバー、豚肉、胚芽、豆類、緑黄色野菜に含まれます。
ビタミンB2は、糖質・脂質・たんぱく質の代謝に関与、成長促進因子、レバー、肉、牛乳、卵、胚芽、緑黄色野菜に含まれます。
ビタミンCは、コラーゲンの生成、免疫力の向上、緑黄色野菜、かんきつ類、いも類に含まれます。
ナイアシンは、糖質・脂質・たんぱく質の代謝に関与、レバー、肉類、魚類、豆類、緑黄色野菜に含まれます。
▢20.ビタミンの摂取量が欠乏すると、典型的な疾病や症状が現れます。
ビタミンは、基本的に食物から摂取する必要のある栄養素です。エネルギー源や体組織の構成には関与しないが、摂取量が欠乏すると、典型的な疾病や症状が現れます。
ビタミンの主な欠乏症
ビタミンAは、夜盲症、皮膚乾燥症、発育不全
ビタミンB1は、脚気、神経炎
ビタミンB2は、口唇炎、国角炎、舌炎、発育不全
ビタミンB12は、悪性貧血
ビタミンCは、壊血病
ビタミンDは、くる病(小児)、骨軟化症(成人)、骨粗鬆症
ビタミンEは、溶血性貧血
ビタミンKは、血液凝固の停滞、出血性疾患(新生児)
ナイアシンは、ペラグラ(皮膚、消化管、神経の障害)
無機質(ミネラル)
▢21.無機質は、骨や歯、筋肉、血液の成分になるほか、体液を弱アルカリ性に保つ作用などがあります。
無機質は、体内で生成できないため、食物から摂取する必要があります。
無機質(ミネラル)の主な種類
カルシウムは、骨と歯の成分、血液の凝固作用、筋肉の収縮作用、ビタミンDを一緒に摂ると吸収率がよい
リンは、骨と歯の成分、体液のpH調節
マグネシウムは、骨と歯の成分、筋肉の収縮作用
カリウムは、体液の浸透圧の維持、筋肉の収縮作用
ナトリウムは、体液の浸透圧やpHの維持
鉄は、たんぱく質と結合してヘモグロビン(血色素)をつくる重要成分
銅は、ヘモグロビンの合成に関与、鉄の吸収を助ける
亜鉛は、たんぱく質や核酸の代謝に関与
ヨウ素は、甲状腺ホルモン(サイロキシン)の成分
▢22.カルシウムは、リンとの比率が1:1のとき、利用率がよい。
リンは過剰摂取すると、カルシウムの吸収を抑制する働きがあるので、摂り過ぎないように注意します。カルシウムの吸収を高めるものとして、ビタミンD、たんぱく質、乳糖があります。
▢23.骨粗鬆症の予防のために、カルシウムを十分に摂取します。
無機質(ミネラル)の欠乏症と過剰症
カルシウムの欠乏症は、骨粗鬆症
リンの欠乏症は、発育不全
マグネシウムの欠乏症は、代謝異常
カリウムの欠乏症は、筋無力症
ナトリウムの欠乏症は、血圧低下、過剰症は、血圧上昇
鉄の欠乏症は、鉄欠乏性貧血
銅の欠乏症は、貧血
亜鉛の欠乏症は、味覚障害、皮膚炎
ヨウ素の欠乏症は、甲状腺腫、クレチン病
▢24.ナトリウムは、欠乏よりも過剰摂取に注意します。
ナトリウムは食塩として摂取されており、過剰摂取は高血圧、動脈硬化、がんなどの生活習慣病を招くおそれがあります。「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、1日の目標量を、12歳以上の男性8.Og未満、10歳以上の女性7.Og未満と設定しています。
▢25.体内の鉄の約70%は血液に存在します。
体内の鉄の約70%は血液中のヘモグロビンの成分であり、残りが肝臓や筋肉などに存在します。鉄が不足すると、貧血になるので、吸収のよいヘム鉄を摂るようにします。ヘム鉄は、赤身の肉や魚などの動物性食品に多く含まれています。
良質なたんぱく質やビタミンCをいっしょに摂ると、鉄の吸収がよくなります。
ホルモン
▢26.分泌腺でつくられ、体内の機能を調節する物質をホルモンといいます。
ホルモンは体内の分泌腺でつくられ、血液中に分泌されて、特定の場所で体内の複雑な機能を調節します。
主なホルモンの種類とその作用
甲状腺のホルモンは、サイロキシン(甲状腺ホルモン)です。ヨウ素を含む。新陳代謝の活発化で小児期に欠乏でクレチン病、過剰症でバセドウ病
副甲状腺のホルモンは、パラソルモン(副甲状腺ホルモン)です。ペプチド(たんぱく質性)ホルモン、力ルシウムとリンの代謝に関与、欠乏症でテタニー
膵臓のランゲルハンス島β細胞のホルモンは、インスリンです。ペプチドホルモン、血糖値を下げる、欠乏症で糖尿病
膵臓のランゲルハンス島α細胞のホルモンは、グルカゴンです。ペプチドホルモン、血糖値を上げる。
副腎皮質のホルモンは、アルドステロン・コルチゾールです。アドレナリンは、
コレステロールから合成、塩類と水分代謝に関与します。コルチゾールは、コレステロールから合成、炭水化物とたんぱく質の代謝に関与、血糖値を上げる。
副腎髄質のホルモンは、アドレナリン・ノルアドレナリンです。交感神経の末端を刺激し毛細血管を収縮させて、血圧を上げる。
脳下垂体前葉のホルモンは、成長ホルモンです。たんぱく質の合成、蓄積と脂肪の燃焼を促進、カルシウムとリンの代謝に関与。発育期の欠乏で下垂体性小人症、過剰症で巨人症
▢27.インスリンの分泌量または作用が不足した状態を糖尿病といいます。
インスリンは、膵臓のラングル八ンス島β 細胞から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる作用があります。分泌量または作用が不足した状態を糖尿病といいます。
グルカゴンは、膵臓のラングル八ンス島α細胞から分泌されるホルモンで、インスリンとは反対の働きにより血糖値を上げる作用があります。
インスリンとグルカゴンには、正反対の作用があります。
▢28.甲状腺ホルモンは、新陳代謝を活発にする作用があります。
甲状腺ホルモンは、サイロキシンと呼ばれ、ヨウ素を含んでいます。
新陳代謝を活発にする作用があり、バセドウ病は甲状腺の機能が亢進する病気です。小児期に不足すると、発育不良、知的発達の遅れなどを伴うクレチン病になります。
▢29.副甲状腺ホルモンは、カルシウムとリンの代謝に関与しています。
副甲状腺ホルモンは、パラソルモンともいい、たんぱく質性のホルモンです。カルシウムとリンの代謝に関与し、欠乏すると、筋肉の痙攣を起こすテタニーの症状を起こします。
▢30.副腎髄質ホルモンは、血圧を上昇させます。
副腎髄質は、アドレナリンとノルアドレナリンを分泌し、交感神経の末端を刺激して毛細血管を収縮させ、血圧を上昇させます。また、血糖が下がったときには、グリコーゲンを分解して血糖値を上昇させる作用もあります。
▢31.成長ホルモンは、たんぱく質の合成・蓄積を促進します。
成長ホルモンは脳下垂体前葉から分泌され、たんばく質の合成・蓄積と脂肪の燃焼を促進し、カルシウムとリンの代謝に関与しています。発育期に成長ホルモンの分泌が不足すると下垂体性小人症に、過剰に分泌されると巨人症になります。
消化と吸収
▢32.口腔内では、睡液中のアミラーゼによりでんぷんが分解されます。
口腔内で分解されるものは、でんぷんです。でんぷんはプチアリン(唾液アミラーゼ)により麦芽糖(マルトース)に分解され、胃に送られます。
▢33.膵液には、糖質、たんばく質、脂質を分解する消化酵素が含まれています。
膵液には、糖質、たんぱく質、脂質を分解する消化酵素が含まれ、糖質にはアミラーゼ、たんぱく質にはトリプシンとキモトリプシン、脂質にはリパーゼが消化酵素として作用します
▢34.胃では、ペプシンによりたんぱく質が分解されます。
胃で分解されるものは、たんぱく質です。たんぱく質は消化酵素ペプシンによリペプトン、プロテオースに分解されます。


エネルギー
▢35.基礎代謝とは、覚醒状態で必要な最小限のエネルギー量です。
基礎代謝量は、早朝空腹時に快適な室内(室温など)において安静仰臥位・覚醒状態で測定されます。
基礎代謝が大きくなる条件は、低年齢、女性より男性、栄養状態がよい、体格がよい(体表面積が広い)、妊娠時、身体活動量が多い、夏より冬、体温が高いなど
▢36.推定エネルギー必要量は、「基礎代謝量(kcal/日)× 身体活動レベル」で求めます。
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、18歳以上の推定エネルギー必要量は、推定エネルギー必要量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)× 身体活動レベルで算定します。
6歳以降の身体活動レベルは、低い、ふつう、高い、の3区分としています。
国民の栄養状態
▢37.毎日の食事は、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5つに区分されます。
「食生活指針」2000(平成12)年(厚生省・文部省・農林水産省)を具体的な行動に結びつけるものとして、「食事バランスガイド」があります。毎日の食事を5つ(主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物)に区分し、区分ごとに「SV(サービング)」という単位を用いて1日に何をどれだけ食べたらよいかを示しています。厚生労働省と農林水産省の共同により2005(平成17)年に策定されました。
▢38.「食事バランスガイド」は、国民の健康づくり、生活習慣病の予防、食料自給率の向上を狙いとしています。
「食事バランスガイド」では、主食であるごはんを、しっかり食べることを勧めています。また、地域でとれた新鮮な野菜や魚などを積極的に食べることで、食事のバランスがよくなるとともに、食料自給率も上がるとしています。
▢39.6つの基礎食品群では、栄養成分の似た食品でグループ分けしています。
「6つの基礎食品群」は、栄養成分の類似している食品を6群に分類したもので、バランスよく栄養素を摂るための参考となります。
第1群(類):たんはく質魚は、肉・卵・大豆・大豆製品
第2群(類):カルシウムは、牛乳・乳製品・小魚・海藻類
第3群(類):力ロテンは、緑黄色野菜
第4群(類):ビタミンCは、その他の野菜・果物
第5群(類):糖質は、砂糖・穀類・いも類
第6群(類):脂肪は、油脂類
ライフステージと栄養
▢40.妊娠期には、塩分を控え、エネルギーの過剰摂取に注意します。

妊娠期には、妊娠高血圧症候群、糖尿病、肥満などにならないようにします。そのためには、塩分を控える、エネルギーの過剰摂取を避ける、体重増加を適正にコントロールするなどに気をつけて、バランスのよい食生活を心がけます。
▢41.離乳は、通常、生後5、6か月頃から始め、12~18か月頃には完了します。
離乳開始とは、はじめてなめらかにすりつぶした食物を与えた時をいい、その時期はおよそ生後5~6か月頃が適当です。離乳の完了とは、形のある食物をかみつぶすことができるようになり、エネルギーや栄養素の大部分が母乳または育児用ミルク以外の食物から摂れるようになった状態をいい、その時期は通常生後12~18か月頃です。
▢42.はちみつは、満1歳まではボツリヌス菌の予防の観点から与えない。
はちみつは、乳児ボツリヌス症の原因食品といわれています。乳児特有の感染症であり、1歳以上の者に与えても発症しない。
▢43.幼児期は、3度の食事で必要量を満たすことは難しいので、間食を与えます。
幼児は、エネルギーや栄養素の必要量が多いが、消化器が小さく、消化機能も未熟であるため、3度の食事で必要量を満たすことは難しい。食事で不足する分を間食で補うようにします。
▢44.思春期は、最も多くのエネルギーや栄養素を必要とする時期です。
思春期は、急速な発育と活動量の増加などのため、最も多くのエネルギーや栄養素を必要とする時期です。たんぱく質、カルシウム、鉄、ビタミンを十分摂るようにします。また、欠食によるエネルギー不足にならないように気をつけ、エネルギー過多の場合は運動による活動量を増やして、消費エネルギーを高めるようにします。
▢45.高齢になると薄味に満足しないことが多いが、薄い味付けを心がけます。
高齢期には味覚が鈍くなり味の濃いものを好むようになるが、塩分の摂り過ぎは動脈硬化や高血圧、糖分の摂り過ぎは肥満などを招くので、薄味を心がけます。また、食事の量は、青・壮年期に比べて少なめでよいが、良質なたんばく質源である肉、魚、卵などや、ビタミンと無機質も不足しないよう、毎日摂るようにします。
病態と栄養
▢46.肥満は、脂質が過剰に蓄積された状態をいいます。
肥満の要因には、食事、運動不足、体質、精神的・社会的因子などさまざまなものがあげられるが、生活習慣病とも関連があるといわれています。減量は1か月に1~2kgを目標に、あせらず根気よく続けることが大切です。
肥満の判定は身長と体重から計算されるBMI(Body Mass Index)の数値で行われており、日本肥満学会が決めた判定基準では、統計的に最も病気にかかりにくいBMI22を標準とし、25以上を肥満としています。
BMIの計算式は、BMI=体重(kg)/身長(m)× 身長(m)
日本人の食事摂取基準(2015年版)において目標とするBMIの範囲(18歳以上)
18~49歳は、18.5-24.9
50~69歳は、20.0-24.9
70歳以上は、21.5-24.9
▢47.2型糖尿病の食事療法は、腹八分目で偏食をしないことです。
糖尿病はインスリンの作用不足によって起こるが、2型糖尿病は肥満、過食、運動不足などの生活習慣が関係している場合も多い。治療には食事療法と運動療法が有効であり、腹八分目で偏食をしない食生活を心がけます。
疾病と食事療法
脂質異常症は、エネルギーの過剰摂取を避け、動物性脂質を少なめにして、EPAやDHAの多い魚を食べる。
高血圧症は、塩分を控え、コレステロールや飽和脂肪酸を摂り過ぎない。
肝臓病は、アルコールを控える。栄養バランスを考え、肥満に注意する。
腎臓病は、食塩摂取の基本は6g未満/日とする。腎炎の場合は、低たんはく質食にする。
痛風は、アルコールの飲み過ぎに注意し、プリン体を多く含む食品を避け、適正なエネルギーを摂取する。
骨粗髪症は、カルシウムを十分に摂る。


4.衛生法規
衛生法規
衛生法規
調理師法
食品衛生法
その他の法規
衛生法規
▢1.調理師法や製菓衛生師法は、保健衛生法規(一般衛生法規)に分類されます。
衛生法規は、衛生に関する法律や規則の総称で、大きく4つに分類されます。そのうちの保健衛生法規(一般衛生法規)は、さらに3つに分類され、調理師法や製菓衛生師法は、公衆衛生関係法規に分類されます。
▢2.去令の体系は、最上位が日本国憲法です。
日本の法規の最上位に位置するのが日本国憲法で、法律→政令→省令→告示→条例→規則の順となっています。このなかで、条例と規則は、地方公共団体の定めるものです。
調理師法
▢3.調理師法は、1958(昭和33)年に施行さました。
調理師法第1条には目的として、調理従事者の資質を向上させること、調理技術の合理的な発達を図ること、国民の食生活の向上に資することの3つが定められています。
▢4.都道府県知事の免許を受けた者のみが調理師の名称を用いることが許されます。
調理師法第2条には調理師の定義として、「この法律で『調理師』とは、調理師の名称を用いて調理の業務に従事することができる者として都道府県知事の免許を受けた者をいう」と定められています。
▢5.調理師の名称独占の規定により、無免許の者が調理師を名乗ることは禁止されています。
免許をもたない者が調理師を名乗ったりまぎらわしい名称を用いることは、調理師法第8条で禁止されています。
▢6.調理師免許の取得には、①調理師養成施設の卒業と②調理師試験の合格という2つの方法があります。
①調理師養成施設の卒業は、高等学校の入試資格を有する者が、都道府県知事指定の調理師養成施設で1年以上修業し、必要な科目の授業と調理実習を960時間以上受けて修得します。
②調理師試験の合格は、高等学校の入試資格を有する者が、厚生労働省令で定める施設・飲食店営業・魚介類販売業、そうざい製造業で2年以上調理の実務に従事した後、調理師試験に合格します。
皿洗いや配膳の実務では、受験資格は得られません。
▢7.調理師免許が与えられない要件として、絶対的欠格事由と相対的欠格事由があります。
絶対的欠格事由については免許が与えられませんが、相対的欠格事由では与えられない場合があります。
免許を与えない要件
① 絶対的欠格事由〈免許は与えられない〉
調理業務上、食中毒その他衛生上重大な事故を発生させたことにより免許取消処分を受けた後、1年を経過しない者
② 相対的欠格事由〈免許を与えないことがある〉
麻薬、あへん、大麻、覚せい剤の中毒者、または罰金以上の刑に処せられた者
▢8.名簿の登録事項に変更があったときは、名簿の訂正を申請しなくてはならない。
名簿の登録事項に変更があったときは、30日以内に免許を与えた都道府県知事に、名簿の訂正を申請しなくてはならない。
申請の際には、変更事項を証明する書類を添付する必要があります。
調理師法
▢9.調理師の免許申請には、申請書に厚生労働省令で定める書類を添付します。
調理師の免許申請には、申請書に厚生労働省令で定める書類を添付し、住所地の都道府県知事に提出します。
調理師免許申請の手続き
厚生労働省令で定める書類(①指定調理師養成施設の卒業証明書あるいは調
理師試験合格証書、②戸籍謄本または抄本もしくは住民票の写し、③麻薬、あへん、大麻または覚せい剤の中毒者であるかないかに関する医師の診断書)を添付して調理師免許交付申請を都道府県知事に行います。
▢10.免許証を汚したり、破ったり、紛失したときは、再交付を申請することができます。
免許証を汚したり、破ったり、紛失したときは、免許証を与えた都道府県知事に再交付を申請することができます。汚れたり、破れた免許証は申請書に添えて提出しなければならない。再交付後に紛失した免許証を発見したときは、5日以内に免許を与えた都道府県知事に返納しなければならない。
▢11.免許証の記載事項に変更があったときは、免許証の書換交付を申請することができます。
免許証の記載事項に変更があったときは、免許を与えた都道府県知事に免許証の書換交付を申請することができます。
▢12.名簿の登録の消除を申請するには、免許を与えた都道府県知事に申請書を提出しなければならない。
調理師が死亡したり失踪宣告を受けたときは、届出義務者は30日以内に名簿の登録消除を申請しなければならない。登録の消除を申請するには、免許を与えた都道府県知事に免許証を返納しなければなりません。
▢13.免許の取消処分を受けた調理師は、免許証を返納しなければならない。
免許の取消処分を受けた調理師は、5日以内に免許証を、免許を与えた都道府県知事に返納しなければならない。免許取消処分になる要件は、(1)麻薬、あへん、大麻、覚せい剤の中毒者 (2)罰金以上の刑に処せられた者 (3)調理業務に関して、食中毒その他衛生上重大な事故を発生させた場合
▢14.調理の仕事をしている調理師は、2年ごとの届出義務があります。
飲食店などで調理の仕事をしている調理師は、2年ごとに、12月31日現在における氏名、住所などを就業地の都道府県知事に翌年の1月15日までに届け出なければならない。届出に必要な事項は、①氏名、年齢、性別、②本籍地都道府県名(外国人は国籍)、住所、③登録を受けた都道府県名、調理師名簿登録番号、登録年月日、④業務に従事する場所の所在地と名称
▢15.飲食店関係営業施設などには、調理師を置く努力義務があります。
調理師法第8条の2には調理師の設置として、飲食店関係営業施設ごとに、調理師を置くように努めなければならないと定められています。
▢16.技術技能を評価する試験に合格すると、「専門調理師」の称号を記載した認定書が与えられます。
調理師の技術技能を評価する試験で、実技と学科の両試験に合格すると、厚生労働大臣から「専門調理師」の称号を記載した認定書が与えられます。
▢17.「専門調理師」は合格した技術審査の実技試験科目に応じた名称を名乗ることができます。
「専門調理師」が試験科目に応じて名乗ることができる名称は、
日本料理は、日本料理専門調理師、中国料理は、中国料理専門調理師
西洋料理は、西洋料理専門調理師、すし料理は、すし料理専門調理師
麺料理は、麺料理専門調理師、給食用特殊料理は、給食用特殊料理専門調理師
食品衛生法
▢18.食品衛生法は、飲食に起因する衛生上の危害の発生防止を目的としています。
食品衛生法の第1条には、「食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって国民の健康の保護を図ることを目的とする」と定められています。
▢19.食品衛生法に定義されている食品には、医薬品及び医薬部外品は含まれません。
食品衛生法の第4条には、「この法律で食品とは、すべての飲食物をいう。ただし、薬事法に規定する医薬品及び医薬部外品は、これを含まない」と定められています。 食品衛生法の対象には食品のほかに、食品添加物や容器包装、おもちゃ、洗浄剤等も含まれます。
▢20.食品衛生法は、清潔衛生取り扱いの原則を規定しています。
食品衛生法の第5条には、販売する食品または添加物の取り扱いについて、「清潔で衛生的に行わなければならない」と定められています。
▢21.食品衛生監視員の多くは保健所に配置され、食品関係営業施設を監視・指導します。
保健所は地域保健法に基づき、全国に約500か所設置されています。食品衛生監視員の多くは保健所に配置され、食品関係の営業施設などを監視・指導し、立入検査や食品の収去などの業務を行います。場合によっては営業許可の取消、営業の禁止・停止、その他の行政処分を行います。
▢22.食品衛生管理者は、食品、添加物が衛生的に製造または加工されるよう管理・監督を行います。
食品衛生管理者は、乳製品、食肉製品、マーガリン、添加物などが特に衛生上の注意をもって製造または加工されるように管理・監督を行います。
食品衛生管理者を置かなければならない施設は、全粉乳、加糖粉子し、調製粉乳、食肉製品、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、放射線照射食品、食用油脂、マーガリン、ショートニング及び添加物の製造または加工を行う施設です。
▢23.食品衛生責任者は、食品衛生法施行条例により営業施設へ置くことが義務付けられています。
食品衛生責任者は、食品衛生法施行条例により飲食店などの営業施設へ置くことが義務付けられ、営業施設での衛生上の管理・監督を行います。
▢24.飲食店、喫茶店などの営業を行う場合は、都道府県知事の許可が必要です。
飲食店営業、喫茶店営業、魚介類販売業など34営業を行う場合は、厚生労働省令の定めにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。
▢25.医師は、食中毒患者の届け出の義務があります。
食中毒患者もしくはその疑いのある患者を診断し、またはその死体を検案した医師は、24時間以内に最寄りの保健所長に届け出なければならない。
その他の法規
▢26.健康増進法は、一次予防を推進しています。
健康増進法は、国民健康づくり運動「健康日本21」をさらに推進するため2003(平成15)年に施行された法律で、一次予防を推進する内容となっています。
健康増進法で定められているものは、都道府県健康増進計画の策定、国民健康・栄養調査の実施、栄養指導・保健指導の実施、特定給食施設における栄養管理、受動喫煙防止、栄養表示基準と特別用途表示などです。
▢27.健康増進法には、栄養表示基準が定められています。
栄養表示基準は、健康増進法第31条に規定され、一般の消費者に販売する食品に栄養表示や熱量を表示しようとするときに、基準を守ることが義務付けられています。
▢28.食品安全基本法には、食品安全委員会の設置などが規定されています。
食品安全基本法には、基本理念、施策策定にかかわる基本的方針、食品安全委員会の設置などが規定されています。食品安全委員会は、施策策定にかかわる基本的方針3つの要素のなかのリスク評価を行っています。
施策策定にかかわる基本的方針の3要素は、リスク評価(食品健康影響評価の実施)、リスク管理 (評価に基づいた施策の策定)、リスクコミュニケーション(情報及び意見の交換促進)です。
▢29.学校給食法は、学校給食の普及充実及び食育の推進を図ることを目的としています。
学校給食法は、学校給食が児童及び生徒の心身の健全な発達に資するもので、食に関する正しい理解と適切な判断力を養うために、学校給食の普及充実及び学校における食育の推進を図ることを目的としています。
▢30.廃棄物処理法では、一般廃棄物処理は市町村の責務として処理することが定められています。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)では、ごみ、し尿などの一般廃棄物処理は市町村の責務であり、産業廃棄物処理は排出した事業者が自ら行うことが同法第6条と第11条に定められています。
▢31.学校保健法が改正され、2009(平成21)年より学校保健安全法として施行されました。
学校保健安全法は、保健管理と安全管理を重点的に取り上げたものとなっています。
学校保健安全法で定められているものは、学校保健計画の策定、環境衛生基準の設定、保健室の設置、健康相談と保健指導の実施、児童生徒と職員の健康診断の実施、感染症の予防等です。
▢32.食育基本法は、伝統的な食文化、農山漁村の活性化、食料自給率の向上への貢献を規定しています。
食育基本法は、国民が健全な心身をつちかい、豊かな人間性を育むため、食育に関する基本理念と施策を定め、食育を総合的かつ計画的に推進することなどを目的としています。
その他の主な法律とその規定内容について
健康増進法は、受動喫煙の防止
学校保健安全法は、児童生徒と職員の健康診断
予防接種法は、伝染のおそれのある疾病の発生と蔓延を予防
食品安全基本法は、内閣府所管、食品安全委員会の設置
検疫法は、感染症の病原体の国内侵入を防止
消費者基本法は、品質規格、表示の適正化
製造物責任法(PL法)は、 製造業者等の損害賠償責任
労働基準法は、労働条件の基準
労働安全衛生法は、病人の就業禁止



5.食品衛生学
食品衛生学
食品衛生学概論
食中毒とその予防
食品異物
洗浄と消毒法
食品添加物
食品の変化と保存
食品簡易鑑別法
器具・容器
食品衛生対策
食品衛生学概論
▢1.わが国の食品保健行政は食品衛生法に基づいて運営されています。
食品衛生法 1947(昭和22)年は日本において、飲食によって生じる危害の発生を防止するための法律です。第4条において、食品衛生とは「食品(薬事法による医薬品・医療部外品以外の飲食物)、添加物、器具及び容器包装を対象とする飲食に関する衛生である」と定めている。食品衛生を担当する代表的な行政機関は、国(厚生労働省)と都道府県(保健所)がその任を担っています。
▢2.輸入食品の監視・指導は、検疫所で食品衛生監視員によって書類審査・検査などが実施されています。
輸入食品は年々増加し、現在カロリーベースでは約60%を輸入食品に頼っており、「食の安全」確保のために「輸入食品監視指導計画」が年度ごとに策定され、残留農薬や添加物の安全対策などへの一層の強化が求められています。
▢3.BSE(牛海綿状脳症)問題を契機に牛肉のトレーサビリティシステムが確立されました。
BSE(牛海綿状脳症)は、牛の脳組織がスポンジのようになって死に至る病です。異常プリオン(たんぱく質の一種)が原因物質とされ、人への伝染も指摘されて世界的に問題となりました。
これを契機に牛肉トレーサビリティ法(牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法)が施行され、国産牛肉の個体情報、給餌情報などが提供されるようになりました。
▢4.総合衛生管理製造過程はHACCP(ハサップ)を導入したシステムです。
総合衛生管理製造過程は厚生労働省がHACCP(危害分析重要管理点システム)の考え方を取り入れてつくった食品の安全管理システムです。厚生労働大臣が対象食品の営業者の申請に基づき、製造された食品が基準に適合していることを確認、承認します。
対象食品は、乳・乳製品、清涼飲料水、食肉製品、魚肉練り製品、容器包装詰め加圧加熱殺菌食品です。
▢5.食品安全基本法が2003(平成15)年に制定されました。
食品安全基本法は食品の安全性の確保のために、その基本理念を定め、国、地方自治体は施策の策定及び実施を責務とすること、食品関係事業者は必要な措置を適切に講じることを責務とすることを明記しています。また、消費者は知識と理解を深め、意見を表明するよう努めることとしています。
▢6.食品安全委員会が内閣府に設置されています。
食品安全委員会は食品安全基本法の施行に伴い内閣府に発足した組織です。関係行政機関から独立して、科学的な知見に基づき、客観的に、中立公正にリスク評価(食品健康影響評価)を行います。厚生労働省や農林水産省に対し、食の安全に関する施策などについて勧告を行う権限をもっています。
食品異物
▢7.食品異物は動物性異物、植物性異物、鉱物性異物に分類されます。
食品衛生法により、健康被害を与える異物が食品に混入した場合、取り締まりの対象となります。
主な食品異物
動物性異物は、人の毛髪、昆虫や寄生虫の死骸・卵、ダニ類
植物性異物は、カビ、紙片、木片
鉱物性異物は、土、砂、金属片、ガラス
▢8.微生物の発育条件は、栄養素、適当な温度、水分活性の3つです。
微生物(原虫類、カビ類、細菌類など)のうち、病気の原因となるものを衛生微生物といいます。微生物の発育・繁殖条件は、栄養素(食品の中の炭素化合物や無機塩類など)、温度(微生物により適温20~70℃ )、水分活性Aw(微生物が利用可能な自由水量)0.91以上です。
食中毒とその予防
▢9.食中毒はその原因物質の種類により、細菌性食中毒、ウイルス性食中毒、化学性食中毒、自然毒食中毒、その他に大別されます。
食中毒は細菌、ウイルスなどで汚染された食品を飲食することによって、嘔吐、下痢、発熱といった激しい症状や神経障害などの健康障害を生じる場合をいいます。原因物質により、多発する季節、健康被害、対処法が異なります。
主な食中毒の分類
細菌性・感染型・感染侵入型は、サルモネラ属菌、腸管侵入性大腸菌
細菌性・感染型・感染毒素型は、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、ウエルシュ菌、セレウス菌(下痢型)、腸管出血性大腸菌(VT産生)、腸管毒素原性大腸菌
細菌性・毒素型は、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌(嘔吐型)
ウイルス性は、ノロウイルスなど
化学性は、有害化学物質によるもの:水銀、ヒ素、銅、鉛。過酸化脂質、食品添加物、ヒスタミン(アレルギー様食中毒)
自然毒・植物性は、毒きのこ、じゃがいもの芽、トリカブトやアジサイなどの毒草
自然毒・動物性は、フグ、貝毒
▢10.食中毒の患者数は毎年2~3万人で推移しています。
細菌性食中毒は夏季に多く発生し、2013(平成25)年の患者は患者数全体の29.6%、事件数全体の40.0%を占めた。なかでも腸管出血性大腸菌O157による食中毒は死者が出るなど、重症化の危険性が高い。ウイルス性食中毒はそのほとんどがノロウイルスによるもので、冬季に多く、患者数62.0%、事件数36.3%と最も多かった。
▢11.食中毒事件の原因食品では魚介類が最も多い。
平成25年の食中毒事件の原因食品としては、魚介類が最も多く全件数の17.0%、次いで複合調理食品6.9%、野菜類及びその加工品6.7%であった。また原因施設別の件数では、飲食店、家庭、旅館の順、患者数では飲食店、仕出し屋、旅館の順で、件数、患者数ともに飲食店が全体の半数以上を占めました。
▢12.細菌性食中毒は高温多湿の環境で多発します。
一般に細菌は気温、湿度が高いと増殖するため、夏季の高温多湿状況で多発します。発症の仕方には、感染型と毒素型があり、感染型はさらに感染侵入型と感染毒素型に分けられます。
細菌性食中毒の予防原則
清潔の原則(汚染の防止)
温度の原則(加熱により殺菌、5℃以下の低温保存で菌の増殖防止)
迅速の原則(速く調理し早く食べる)
▢13.サルモネラ属菌食中毒は生卵、洋菓子、食肉が原因となることが多い。
サルモネラ属菌食中毒は感染侵入型であり、発病は飲食後10~24時間位で、ほかの食中毒より経過が長い。原因食品では鶏卵による発生が多い。
サルモネラ菌は熱に弱いため食品などを十分加熱することが大切です。
▢14.腸炎ビブリオ食中毒は海産の魚介類とその加工品から感染します。
腸炎ビブリオ食中毒は感染毒素型食中毒であり、原因となる菌は海水域に生息しているため食塩濃度3%、20℃ 以上で増殖します。予防には、魚介類を飲用に適する流水でよく洗う、低温保存、加熱処理が重要です。生食用鮮魚介類に対する腸炎ビブリオの基準は1g当たり100以下です。
▢15.ブドウ球菌食中毒は毒素型食中毒の代表的なものであり潜伏期間が短い。
ブドウ球菌食中毒は毒素型食中毒の代表的なものです。人の鼻腔内や化膿した傷などに存在する黄色ブドウ球菌が毒素エンテロトキシンを産生して食中毒を起こします。この毒素は熱に強く、潜伏期間は短く、1~5時間です。化膿傷のある手指からの汚染防止のため、調理の際には手袋の使用や、器具の消毒などが重要です。
▢16.ウエルシュ菌食中毒は大量調理施設での発生が多い。
ウエルシュ菌食中毒は感染毒素型食中毒です。菌は嫌気性(酸素がない状態を好む)で10℃ 以下では増殖しない。予防には調理の際よくかき混ぜて酸素を送り込むこと、急速に冷却することなどがあります。
▢17.腸管出血性大腸菌0157に感染すると、臓障害を起こし死亡することがあります。
腸管出血性大腸菌0157は感染毒素型食中毒であり、腸内の菌が産生するベロ毒素(VT)により少量の菌(約100個)でも発症し、激しい腹痛と出血性大腸炎を引き起こします。菌は動物の糞便中に存在し、汚染された食肉等から感染します。2012(平成24)年には、野菜の浅漬けによる腸管出血性大腸菌0157食中毒が発生し、150人を超える重症者と死者8人が出る事態となった。
▢18.カンピロバクター食中毒は細菌性食中毒の中で最も多い。
カンピロバクター食中毒は感染毒素型食中毒であり、菌は家畜の腸内に生息し、特に鶏の保菌率が高い。微好気的条件(こくわずかな量の酸素を含んだ環境)でのみ発育し、低温でも生存するため、冬季にも食中毒が発生します。予防には、食肉の生食を避け、中心部まで加熱調理することが重要です。
▢19.ノロウイルス食中毒は冬に多発します。
ノロウイルス食中毒はウイルス性食中毒の大半を占めます。汚染食品としてはカキ、ハマグリなどの二枚貝ですが、原因が特定できないことも多い。ノロウイルスは経口・飛沫感染で人の小腸に入り増殖します。感染力が強く、10~100個の少数のウイルスの侵入だけでも感染・発病します。
ノロウイルス食中毒の予防・対策
手洗い、加熱(85~90℃で90秒以上)、二次感染防止(患者の嘔吐物などの衛生的処理と消毒)、次亜塩素酸ナトリウムで消毒(アルコールや逆性石けん、酸は効果がありません)
▢20.ヒスタミンによる食中毒は化学性食中毒の大半を占めます。
赤身の魚肉に含まれる物質が化学変化したヒスタミンによる食中毒は、食後30分~1時間後に発症します。顔面の紅潮、じんましん様の発しんなど、アレルギーに似た症状を起こします。
▢21.化学性食中毒には、不良添加物、残留農薬等による中毒、有害な容器・器具による中毒も含まれます。
化学性食中毒にはヒスタミンのほかに次のようなものが含まれます。
食品添加物の品質不良による中毒は、食品衛生法で決められている使用限度量を超えたり、使用を認められていないものによって起こります。
有毒物質による中毒は、残留農薬基準を超えた農薬、殺虫剤などによって起こります。
有害な容器・器具による中毒は、調理容器などに含まれる金属、化学物質によって起こります。
▢22.自然毒食中毒には動物性自然毒と植物性自然毒があります。
動物性自然毒にはフグなどの魚介類の毒、植物性自然毒にはきのこ類、じゃがいもなどがあり、それぞれ有毒成分が異なります。
動物性自然毒は、フグのテトロドトキシン、アオブダイのパリトキシン、バラムツ、アプラソコムツのワックス
植物性自然毒は、きのこ類のムスカリン、アマトキシン、じゃがいものソラニン、トリカブトのアコニチン、青梅のアミグダリン
▢23.フグの毒(テトロドトキシン)は主に内臓に含まれています。
フグの毒は主に内臓、特に卵巣に多く含まれ、種類や季節により強さが違います。熱に強く水に溶けにくいため、調理では有毒部位を捨て、食肉部を大量の水で洗う必要があります。フグ毒は食後30分~3時間で発症、感覚麻痺から呼吸困難へ進み、致死率が高い。
▢24.食中毒発生時には発生後24時間以内に保健所に届け出をします。
食中毒の発生の防止と措置については国によって食中毒処理要領が出されています。食中毒が起きた場合、軽い場合でも保健所に知らせ、医師の診察を受けなければならない。原因と思われる食品、中毒になった人の嘔吐物、便を保存し、保健所の食品衛生監視員の指導に従います。
▢25.大量調理施設衛生マニュアルは、同一メニューを1回300食以上または1日750食以上提供する調理施設に適用されます。
大量調理施設衛生マニュアルには、HACCP(ハサップ、危害分析重要管理点システム)の概念に基づき、調理過程の管理事項、施設設備の管理、検食の保存、調理従事者の衛生管理などについて管理事項が示されています。
▢26.加熱調理食品は、中心部を75℃ で1分以上加熱します。
大量調理施設衛生マニュアルには、加熱調理食品の温度に関して以下のように記載されています。
加熱調理食品は中心部が75℃ で1分以上またはこれと同等以上まで加熱します。
二枚貝などノロウイルス汚染のおそれのある食品は85~90℃で90秒以上加熱します。
▢27.調理後直ちに提供されない食品は、10℃ 以下または65℃ 以上で管理します。
調理後の食品は調理終了後から2時間以内に食べることが望ましい。調理後の食品の管理に関しては、病原菌が増殖しないよう管理しなければならない。加熱調理後、食品を冷却する場合、冷却機などを用いて、30分以内に中心温度を20℃ 付近(または60分以内に中心温度を10℃付近)まで下げるようにします。
▢28.寄生虫による食中毒の多くは感染源食品の加熱不足によって起こります。
寄生虫感染症の予防には十分な加熱(中心温度75℃ で1分以上)が大切です。
トキソプラズマの感染源食品は、豚肉で、リンパ節の腫れ、水頭症を発症
赤痢マネーバーの感染源食品は、汚染食品で、大腸炎、下痢、粘血便を発症
回虫・ぎょう虫の感染源食品は、野菜で、腹痛、神経症状、頭痛を発症
アニサキスの感染源食品は、サバ、ニシン等海産魚類で、腹痛、おう吐を発症
肝吸虫の感染源食品は、フナ、コイ等淡水魚類で、下痢、肝腫脹、黄疸を発症
クリプトスポリジウムの感染源食品は、汚染された水で下痢、胃けいれんを発症
無鉤条虫の感染源食品は、牛肉で腹痛、下痢、食欲減退を発症
有鉤条虫の感染源食品は、豚肉で腹痛、下痢、筋肉痛を発症
洗浄と消毒法
▢29.野菜、果物、飲食器の洗浄に用いられる洗浄剤は食品衛生法の適用を受けます。
野菜などの食品や器具についたほこり、汚れ、付着した回虫類や農薬を洗い落とすために、正しい用法で洗浄をします。
石けんより洗浄力
中性洗剤(台所洗剤)は、野菜などの洗浄では水1Lに対して1mL(0.1%)に2~3分漬けてから流水で洗い落とす。石鹸より洗浄力が強い
脂肪酸系洗浄剤(石けん)は、 0.5%以下の溶液で使用、野菜などは流水で30秒以上すすぐ、野菜類は5分以上浸漬しない
▢30.消毒法には物理的消毒法と化学的消毒法があります。
消毒とは、感染を防ぐために病原性のある特定の微生物のみを死滅させることです。物理的消毒法は熱や光を利用した消毒方法であり、化学的消毒法は化学薬品を利用した消毒方法です。
▢31.物理的消毒法は熱や光を利用して消毒します。
寒さに強く熱に弱い病原体の性質に対して熱や光を利用して消毒するもので、伝統的消毒法も多い。
煮沸消毒は、十分な量の湯の中に消毒する物を入れて煮る
蒸気消毒は、100℃以上の流通蒸気または高圧蒸気を用いる
乾熱消毒は、高温の乾燥した空気による消毒
焼却消毒は、消毒すべき物をすべて焼き捨てる
日光消毒は、直射日光を夏1~2時間、冬5~6時間当てる。効果は表面だけです
紫外線消毒は、殺菌灯(波長2,600Åが殺菌力最高)を照射。効果は表面だけです
▢32.化学的消毒法は対象物によって適切な消毒薬を用いることが大切です。
消毒に使用する主な薬品と使用法、適した(適さない)対象は次のとおりです。
クレゾール石鹸液は、3%溶液(強臭)で使用、室内、便所、金属食器に適し、ふきん、白衣に不適

塩素剤(さらし粉、次亜塩素酸ナトリウムなど)は、50~100mL溶液で使用、食器、器具、水、室内、床に適し、金属(腐食する)に不適

石炭酸水は、3%溶液で使用、衣類、器具に適し、消毒効果が低いため、器具類は10分以上浸すことが必要

アルコールは、約70%溶液で使用、手指、器具に適し、ノロウイルス汚染物質には効果がない

逆性石鹸(陽性石鹸)は、洗浄力はなく、殺菌力が強い、無臭、食器、冷蔵庫、ゴミバケツ、手指に適し、普通石けんや中性洗剤と混ぜると効果がなくなる
過酸化水素は、3%溶液で使用、LL牛乳パック、カズノコに適し、他の食品には用いない
▢33.調理時には、最も適した消毒を行って、感染症などを予防します。
調理者は、常に手の爪を短く切り、調理前に石けんで手をよく洗う。次に逆性石けんで手指を消毒し、流水で再度手洗いをします。
ふきんやエプロンなどの布は、石けんで洗ってから煮沸消毒または日光消毒をします。客の使うナプキンなどは煮沸消毒か蒸気消毒をします。食器、調理器具は煮沸消毒、熱湯消毒のあとでよく乾燥させます。
▢34.まな板・包丁は消毒後、よく乾燥させます。
まな板・包丁は煮沸消毒や熱湯消毒、紫外線消毒のあと、よく乾燥させることが大切です。紫外線殺菌や熱風殺菌をできるまな板・包丁保管庫で保管すると衛生的です。木製まな板より合成樹脂や合成ゴムのまな板のほうが病原菌が繁殖しにくく、衛生的です。
▢35.食品の製造、加工、保存の目的で食品に添加、混和、浸潤その他の方法で使用されるものを食品添加物といいます。
食品添加物には、使用目的によって甘昧料、着色料、保存料、酸化防止剤などの種類があります。
甘味料の用途は、食品に甘みをつける、キシリトール、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ソルビトール
着色料の用途は、食品に色をつける、三二酸化鉄、タール色素の製剤、銅クロロフィリンナトリウム
保存料の用途は、カビや微生物などの発育を抑制し、食品の保存性を高める、ソルビン酸、安息香酸
酸化防止剤の用途は、食品の酸化を防ぐ、L-アスコルビン酸、エリソルビン酸
発色剤の用途は、食品の鮮やかな色調を保つ、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム
漂白剤の用途は、食品の色調を白くする、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、亜硫酸ナトリウム
防カビ・(防ばい)剤の用途は、かんきつ類とバナナのカビを防く、オルトフェニルフェノール、ジフェニル、イマザリル、チアベンダゾール
膨張剤の用途は、食品に膨らみを与える、炭酸水素ナトリウム
酸味料の用途は、食品に酸味を与える、クエン酸、乳酸、リンゴ酸
調味料の用途は、食品にうま味を与える、L-グルタミン酸ナトリウム、5-イノシン酸ニナトリウム
強化剤の用途は、食品の栄養素を強化する、L-アスコルビン酸、乳酸カルシウム
着香料の用途は、食品に香りを与える、ギ酸シトロネリル、バニリン、酢酸エチル
増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊料の用途は、食品に粘性を与えたり、滑らかにして食感をよくする、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース
▢36.食品衛生法では食品添加物の使用基準を定めています。
食品衛生法では添加物により、無毒性量(慢性毒性試験ですべての有害な影響が認められない最大量)に安全係数1/100を掛けた1日摂取許容量(ADI)を上回らないように使用基準、使用できる食品、使用目的、使用方法などを定めています。
▢37.食品添加物は食品の容器包装に表示されます。
食品に使用した添加物は、物質名、簡略名などの表示が義務付けられ、8種類の添加物は用途名を併記しなければならない。
用途名を表示しなければならない添加物は、甘味料、着色料、保存料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防カビ剤、糊料(増粘剤、安定剤、ゲル化剤)の8種類です

▢38加工助剤、キャリーオーバーは食品添加物の表示を免除されます。
加エ助剤は、(1)加工途中で使用されるが最終食品の完成前に除去されるもの、(2)食品中に通常含まれる成分に変えられその成分の量を有意に増加させないもの、(3)食品中にわずかしか含まれずその成分が食品に影響を及ぼさないものである。またキャリーオーバーは、原材料の製造・加工で使用されるが、食品製造には使用されず、最終食品中では影響を及ぼさないものです。
▢39.保存料(防腐剤)は加エ食品の微生物の発育を抑え、食品の変質・腐敗を防ぎます。
練り製品や清涼飲料水などに含まれるソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウムなどの化学的に合成された保存料には、使用対象食品と使用量の限度が定められています。
▢40.着色料には天然色素と合成着色料があります。
着色料は食品に色をつける目的で使用されます。天然色素(既存添加物)にはウコン色素、クチナシ色素などがあります。合成着色料にはタール系色素製剤(食用赤色2号など)、β―カロテンなどがあり、使用基準や使用食品の制限があります。
▢41.甘昧料は食品に甘みを与えるが、エネルギー源にはならない。
人工甘味料のひとつであるサッカリンにはサッカリンとサッカリンナトリウムがあります。サッカリンは砂糖の約500倍の甘さがあり、チューインガムのみに使用されます。サッカリンナトリウムは清涼飲料水、つくだ煮などに使用され、使用量、最大残存量が食品によって規定されています。
▢42.防カビ剤(防ばい剤)は、かんきつ類とバナナの表皮に用いられます。
防カビ剤は主に外国産のかんきつ類やバナナなどの輸送・貯蔵中のカビの発生を防止します。浸漬、塗布、散布などの方法で用いられ、それぞれ最大残存量が決められています。
主な防カビ剤と使用対象食品
イマザリルの対象食品は、かんきつ類、バナナ
オルトフェニルフェノール(OPP)の対象食品は、かんきつ類
チアベンダゾール(TBZ)の対象商品は、かんきつ類、バナナ
フルジオキソニルの対象商品は、あんず、おうとう、かんきつ類、キウィー、ざくろ、すもも、西洋なし、ネクタリン、びわ、マルメロ、もも、りんご
▢43.酸化防止剤は食品の酸化による品質の低下を防止します。
食品が空気中の酸素によって酸化されると、風味の劣化や栄養価の低下などを引き起こします。特に油脂や油脂を含んだ食品では酸化によって生じる過酸化物が消化器障害を起こします。酸化防止剤L-アスコルビン酸、エリソルビン酸などは食品成分の代わりに自身が酸化されることによって食品の酸化を防ぎます。
食品の変化と保存
▢44.食品の劣化には、腐敗、変敗、変質があります。
食品の腐敗とは、微生物により食品のたんぱく質が分解されて食用に適さなくなることです。変敗とは食品中の炭水化物や脂質の分解により食べられなくなること、変質は食品の鮮度が落ちて食用に適さなくなることです。
▢45.食品が微生物により分解され、その味や性質が変化しても食用に適する場合は発酵・醸造などであり、腐敗とはいわない。
乳酸菌、麹菌、酵母等の発酵によってつくられ、人が食べるために有益なものは発酵食品といい、腐敗・変敗とはいわない。発酵食品には、納豆、しょうゆ、みそ、日本酒・ビール等の酒類、∃一グルト・チーズ等の酪農製品などがあります。
▢46.食品の腐敗や変敗を起こす原因の多くは、食品についた腐敗微生物です。
食品の表面には酸素のある環境で増殖する好気性菌、内部には酸素を必要としない嫌気性菌があることが多い。食品の保存法には適温・水分を好む微生物の活動を止めるための方法として、乾燥法、低温貯蔵法、燻煙法、缶詰・瓶詰法、漬物法(塩漬け、砂糖漬け、味噌漬け、粕漬け、酢漬け等)、紫外線照射法、放射線照射法、加圧加熱(レトルト)殺菌法などがあります。
▢47.乾燥法は水分をおおむね15%以下にして微生物の活動を抑えます。
微生物は食品の水分活性が低いほど生育しにくくなる(水分活性AwO.5以下では増殖しない)。乾燥法は食品を乾燥させて微生物の発育を抑える方法です。乾燥の仕方により、天日乾燥、温風乾燥、真空凍結乾燥(フリーズドライ)などがあります。
▢48.低温貯蔵法には、冷蔵法(-2~10℃)と冷凍法(-15℃以下)があります。
微生物は低温では活動が衰えることを利用して、食品に適した方法で保存するのが低温貯蔵法です。保存基準の温度が定められている食品もあります。
野菜・果物は、10℃前後(冷凍野菜類は-15℃以下)
食肉類は、10℃以下(冷凍食肉製品は-15℃以下)
魚介類は、5℃以下(冷凍魚肉製品は-15℃以下)
▢49.塩漬けや砂糖漬けでは、微生物の水分が体外に脱水されて、その発育が抑えられます。
塩漬け、砂糖漬け、味噌漬け、粕漬けなどは、濃溶液の中では浸透圧が高くなり微生物の水分が体外に出ることにより発育できなくなります。酢液ではpHが酸性に傾くことにより、微生物の発育が妨げられます。
▢50.缶詰・瓶詰法は食品を密閉容器に詰めたあとで加熱殺菌して保存します。
缶詰・瓶詰法は、ジャムや野菜・魚介の漬物、食肉製品などを保存する方法として、古くから経験的に行われてきました。加熱殺菌が不十分であると、ボツリヌス菌などの嫌気性菌が増殖して有害ガスが出るため、内容物により適切な加熱温度や時間で殺菌する必要があります。
▢51.加圧加熱(レトルト)殺菌法は蒸留器具で高圧高温にして殺菌します。
カレー、シチューなどの食品をポリエチレンなどを重ね合わせた耐熱性フィルム容器に詰めて加圧加熱(レトルト)殺菌した食品を一般にレトルトパウチ(レトルト)食品といい、保存性に優れています。
▢52.ロングライフ牛乳(LL牛乳)は長期間(3か月位)常温で保存ができます。
牛乳は食品衛生法で種類、成分規格、殺菌法などが定められています。添加物、成分調整の有無によって、成分無調整牛乳、調整牛乳(低脂肪乳など)、加工乳、などがあります。
主な殺菌方法
低温殺菌法(LTLT法)は、63℃位で30分加熱
高温短時間殺菌法(HTST法)は、72℃以上で15秒以上加熱
超高温殺菌法(UHT殺菌法)は、120~150℃位で1~3秒加熱
UHT殺菌法で無菌充填した牛乳はロングライフ牛乳(LL牛乳)と呼ばれ、開封前ならば常温で3か月位保存できます。
食品簡易鑑別法
▢53.食品や原料の購入の際、鮮度や良否を見分けることは衛生上大切です。
主要な食品の鮮度や良否の見分け方は次の表のとおりです。
鑑別のポイント
卵の鑑別は、(新鮮)からの表面がザラザラしていてつやがない、振って音がしない、光に透かしてみると明るい。〔古い〕割ったとき、卵黄と卵白が広がる。
魚類の鑑別は、(新鮮)うろこがしっかりついており、魚独特の色をしていて、つやがある、眼球が突出している。〔古い〕K値(生鮮度判定恒数)や揮発性塩基窒素量が増加する。
肉類の鑑別は、〔古い〕pHは高くなる。
牛乳の鑑別は、〔古い〕発酵して酸度が高くなっているので、加熱すると固まる。
バターの鑑別は、(新鮮)香味がよく、変敗臭がなく、なめらかでムラがない。
★ バターとマーガリンの見分け方は、加熱を強くすると、バターは泡が消えない、マーガリンは泡がすぐ消える。
みその鑑別は、(良品)水によく溶け、煮ると長く濁っている。〔不良品〕上のほうが早く澄んでくる。
缶詰の鑑別は、(良品)缶の上下の面がへこんでいる。〔不良品〕缶が膨らんだものは腐敗によるガスが原因である。
▢54.鮮度がよい魚類は、うろこがしっかり皮膚についています。
魚類の鮮度はほかに、光沢のよいもの、死後硬直中のもの、眼球が突き出して澄んでいるもの、生鮮度判定恒数であるK値の低いもの(すし用20%以下、一般生食用40~60%以下)によって鑑別します。貝類は、生臭みがなく、叩くと澄んだ音のする生きたものが鮮度がよい。
K値とは、魚は死ぬと魚自身の酵素でたんぱく質を分解していきます。この分解の進み具合を示したものがK値で、低いものほど新鮮です
▢55.肉類は鮮度が悪くなるとpHが高くなります。
鮮度のよい肉のpH(水素イオン指数)は5.5~6でやや酸性です。鮮度が悪くなるとpHが高くなり、アルカリ性に向かっていきます。
▢56.鮮度の良好な鶏卵は、からの表面がザラザラしていて光沢がない。
鶏卵は、透光検査(電灯の光に透かしてみる)をすると明るく透けて見えるもの、からを割ったときに卵黄が盛り上がり、卵白に弾力があるものが鮮度がよい。
▢57.缶詰の缶が膨らんでいるものは食用に適さない。
缶詰は、缶の上下両面が膨らんでいないものが良品です。缶の膨張は加熱不足等により腐敗ガスが発生したものであり、食用不可です。国内製品ではまれであるが、缶の金属が溶けて水素ガスが発生して缶が膨張している場合も食用不可です。また、缶の変形やさびのあるものも穴が開いて細菌が入り込んでいる場合があり、食用には適さない。
器具・容器
▢58.食品衛生法に基づき、食品、添加物、器具や容器包装に規格基準が定められています。
「食品、添加物等の規格基準」では、食品用器具・容器包装など食品に接触するすべてのものが対象であり、ラップ類も含まれます。材質の原料や構成成分によって溶出物が異なるため、材質別に規格が定められています。
▢59.ガラス、陶磁器、ホウロウ製品は有害金属についての規制があります。
「食品、添加物等の規格基準」において、ガラス、陶磁器、ホウロウ製品は、有害金属である鉛、カドミウムが溶出しないよう規格値が定められており、規格試験に合格しないと使用できません。
▢60.プラスチック製品の規格は一般規格と個別規格に分かれます。
食品衛生法第18条に基づく「食品、添加物等の規格基準」において、食品の容器や包装に用いられるプラスチック等の製品の安全性を確保するための具体的な規格が定められています。この基準は逐次改正され、合成樹脂器具、容器包装の基準を定めています。
プラスチックの材質にはさまざまなものがあるため、規格には、すべてのプラスチックに適用される一般規格と、材質別に規制される個別規格があります。
プラスチックの規格と規制対象物質
個別規格
フェノール樹脂(弁当箱、皿など)・メラミン樹脂(食器、盆など)の規制対象物質は、フェノール、ホルムアルデヒド、ポリエチレンテレフタレート(飲料水ボトルなど)、アンチモン、ゲルマニウム、ポリカーボネート(哺乳瓶など) ビスフェノールA、一般規格カドミウム、鉛、重金属、過マンガン酸カリウムの規制
▢61.調理施設はHACCPの考えに基づいて衛生管理を行うのが望ましい。
調理室、下こしらえ室、食堂、調理台や調理器具などの調理施設・設備の衛生管理はHACCP(ハサップ:危害分析重要管理点システム)の考えに基づいて事業者が自主的に衛生管理するのが望ましい。最終製品だけの衛生検査ではなく、製造過程ごとに危害を分析し、重要管理点を定めて加熱、冷蔵等に関して適した衛生管理や安全措置を設ける方法です。
▢62.調理場は、排水や換気に気をつけます。
調理場は、調理室と下ごしらえ室(処理室)に区分します。下ごしらえ室で、材料の水洗い等を済ませ、調理室で切る、煮る、焼くなどの調理作業をします。床面はドライシステム(乾式)が望ましい。ウエットシステム(湿式)の場合は完全な排水のための勾配をつけます。高温多湿を避け、湿度80%以下、温度25℃以下に保つよう換気や排気などを心がけます。
▢63.冷凍・冷蔵庫では保冷のため、食品を庫内容積の70%以下で保存します。
冷凍・冷蔵庫に原材料や製品を保存する場合、食品間の汚染防止のため、原料と出来上がり食品を区別して保管します。霜を取り、庫内に隔測温度計を取り付け、毎日午前と午後の2回以上温度確認をします。
▢64.野菜・果物を加熱せずに供する場合は流水で3回以上洗浄します。
生食する野菜や果物は、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム溶液(200 mg/Lで5分か100mg/Lで10分)で殺菌を行い、その後流水で十分にすすぎ洗いを行います。
▢65.食中毒などの二次感染を予防します。
生肉などは食中毒菌などに汚染されているものがあるので、取扱いには次のような点に気をつけます。
調理従事者は流水・石けんでしっかりと2回手指の洗浄・消毒を行う
原材料は専用の保管設備に、食材ごとに区分して保管
下処理は専用の区域で行い、調理室等と分ける
まな板、包丁などの器具は食材・用途別に専用にし、使用後流水で洗浄、80℃5分以上殺菌、乾燥して保管
食品、移動性の器具・容器は床面から60cm以上の場所で扱う(跳ね水による汚染防止)
▢66.煮込み料理は、作り置きしない。
シチュー、カレー等の煮込み料理は保存中にウエルシュ菌が爆発的に増殖することがあるため、当日分だけを調理し、作り置きしないようにします。ウエルシュ菌は酸素を嫌うので、調理には鍋をかき混ぜてできるだけ酸素を送り込むようにし、加熱後冷却する場合は30分以内に中心温度20℃付近または60分以内に中心温度10℃ まで下げます。
▢67.食品を取り扱う者は清潔でなければならない。
清潔な仕事着、帽子、必要に応じてマスク、使い捨て手袋を着用します。調理室から出るとき、便所に行くときは着替えます。調理中、爪は短く、手洗い・消毒し、調理器具が髪、鼻、口などに触れないなど、清潔を保つ習慣を身につけます。
▢68.食品を取り扱う者は、月1回(学校給食調理従事者は月2回)検便を受けます。
食品取扱者は健康でなければならない。食中毒予防の観点から、サルモネラ菌などの保菌者、手指にできものや化膿傷のある者は調理してはならない。下痢などで体調の悪いときは医師の健康診断を受け、完全に治らなければ調理に携わってはいけない。
▢69.食品中の残留農薬について、残留基準が定められています。
残留農薬には殺虫剤、殺菌剤、除草剤、ポストハーベスト農薬(輸入農作物の収穫後に使用される農薬)などがあります。使用してよいものには、個別に残留基準の定められている農薬と、個別には定められていない農薬(ポジティブリスト制度により、一律0.01ppm以下とされるもの)があります。また、製造・使用を禁止されているものには、メタミドホスなどがあります。
▢70.食品中の放射性物質の基準値が設定されています。
2011(平成23)年の東日本大震災の際の原発事故をうけ、厚生労働省では2012(平成24)年4月から食品中(一般食品、乳児用食品、牛乳、飲料水の4区分)の放射性セシウムの新基準値を設定しています。
食品中の放射性セシウム基準値
規格基準(ベクレル/kg)は、 一般食品100、乳児用食品50、牛乳50、飲料水10




6.調理理論
調理理論
調理の種類と特徴
非加熱調理操作
加熱調理操作
調理器具
調理の味・色・香り
調理による食品成分の変化
献立作成
調理技術
新調理システム
調理の種類と特徴
▢1.和式調理(日本料理)では、視覚的要素と包丁さばきが重視されます。
和式調理(日本料理)は、季節感と新鮮さを大切にする素材中心の料理であるため、視覚的要素と包丁さばきが重視されます。
▢2.洋式調理(西洋料理)は、肉が主材料で、ソースやスパイスの組み合わせが重視されます。
洋式調理(西洋料理)は、肉の部位や加熱法、ソースやスパイスの組み合わせが重視される。加熱道具のフライパンは、西洋料理のシンボルとされています。
温かいソースの種類
ベシャメルソースは、牛乳の白いソースで 鶏、魚介、野菜料理に使う
ブルーテソースは、ホワイトソースをフォンでのばしたソースで鶏、魚介、野菜料理に使う
トマトソースは、トマトピューレ入りのソースで料理一般に使う
ブラウンソースは、ブラウンルウのソースで主に獣肉料理に使う
▢3.仔牛肉のだし汁をフォン・ド・ヴォーといいます。
フォン(Fond)は、フランス料理で使われるだし汁のことであり、ソースのもとになります。ド(de)は、英語のオブ(of)にあたり、後ろに食材名がきます。
だし汁の種類
仔牛肉のだし汁は、フォン・ド・ヴォー
鶏肉のだし汁は、フォン・ド・ヴォライユ
野鳥、野獣のだし汁は、フォン・ド・ジビエ
魚のだし汁は、フォン・ド・ポアッソン(ポワソン)など
▢4.中国式調理(中国料理)は、海産物の乾燥品の水戻しなどを中心に、味付けが重視されます。
中国大陸は海から離れた地域も多く、海産物の乾燥品の水戻しなどを主材料として、味付けを重視した料理をつくり上げます。
乾燥品の種類
木耳(ムゥーアル)は、きくらげ
魚翅(ユウチイ)は、ふかひれ
燕窩(イェオウ)は、海つばめの巣
海参(ハイシェン)は、干しナマコ
香姑(シャングゥー)は、しいたけ
乾鮑(ガンパオ)は、干しあわび
非加熱調理操作
▢5.刺身や握り寿司は非加熱調理操作です。
非加熱調理操作は物理的調理操作ともいわれ、下ごしらえのほか、刺し身や握り寿司、和え物、サラダのような仕上げを受け持つこともあります。
主な非加熱調理操作
計量は、はかる
洗浄は、洗う、とぐ
浸漬は、浸す、もどす、さらす、漬ける
混合・撹拌は、混ぜる、和える、かき回す、こねる、練る、泡立てる
切砕・成形は、切る、削る、むく、そぐ、おろす(魚)
粉砕・磨砕は、砕く、つぶす、する、裏ごす、おろす(野菜)
圧搾・ろ過は、しばる、こす、ふるう(粉)
圧縮・伸展は、押す、握る、詰める、伸ばす
冷却・冷凍は、冷ます、冷やす、凍らせる
解凍は、溶かす
▢6.調理操作の「浸漬」の目的には、味付けと防腐(しょうゆ漬け、酢漬け)があります。
「浸漬」は、食品を水や液体に浸しておく操作です。目的として、味付けと防腐(例:しょうゆ漬け、酢漬け)、食品中の成分の抽出(例:塩抜き、あく抜き)、吸水とそれに伴う膨潤・軟化(例:乾物の水浸)、変色の防止(例:野菜・いもなどの水浸)などがあります。
▢7.圧搾は食品に圧力を加えて水分から分離し、ろ過は自然の重力で分離させる操作です。
圧搾はオレンジジュースなどのように水分と固形分を分離させたり、こし餡のように固形分と固形分を圧力によって分離させる操作です。餃子の皮や握り飯のように変形のみを目的とする場合もあります。ろ過はコーヒーや紅茶の抽出のように圧力を加えず自然に分離させる操作です。
▢8.生食用冷凍魚介類は、組織の破壊や汁が流出しないよう、低温で時間をかけて解凍します。
刺し身のように生食にする冷凍魚介類は、組織の破壊やドリップという汁の流出が起きないよう、冷蔵庫内で包装したまま時間をかけて解凍します。また、衣をつけたフライなどは、解凍せずにそのまま電子レンジで加熱したり油で揚げるほうがよい。
▢9.乾物にはもどすと重量や体積が大きく増えるものがあります。
乾物や、干物、豆類などの乾燥食品は、吸水すると膨潤・軟化し、量が増えます。
乾物のもどし方ともどし倍率(重量比)のめやす
ひじきは、水に20~30分、約4~8.5倍
かんぴょうは、熱湯でゆでる、約7倍
凍り豆腐は、水~湯に数分~30分、約5~6倍
はるさめは、熱湯に4分浸す、約3倍
平ゆばは、水に3~5分、約3~4倍
干ししいたけは、水に20分、約55倍
切り干し大根は、水に15分、約45倍
大豆は、水に一晩、約2~25倍
あずきは、60~90分ゆでる、約2.5倍
▢10.「切砕・成形」の操作には、食品を食べやすく、外観を美しいものにする目的があります。
刃物やそのほかの道具を使って食品を分割する操作を切砕・盛形といいます。目的として、食べやすく外観を美しくする(例:姿づくり)、食べられない部分を除いて利用しやすくする(例:皮むき、三枚おろし)、表面積を広げて、味付けしやすくするなどがあります。
▢11.食材に裏から十文字に包丁を入れることを、隠し包丁といいます。
盛り付けるときに裏側になる面に、日立たないように包丁で切れ目を入れることを隠し包丁といいます。食材に火が通りやすく、味がしみやすくなり、また、食べやすくするために行います。ふろふき大根などに入れます。
▢12.和式調理でせん切りのことを、洋式調理でジュリエンヌ、中国式調理で絲(スー)といいます。もあります。
調理方式によって呼び名の違うもの目切り食品の主な切り方
輪切り、いちょう切り、くし形切り、せん切り、薄切り、小口切り、拍子木切り、さいの目切り、面取り、みじん切り、かつらむき、ささがき、シャトー切りがあります。
▢13.食材のうち、肉や魚などは、引き切りにします。
食材を切る場合の包丁の使い方には、引き切り、押し切り、たたき切りなどがあります。
包丁の使い方と適する食材
引き切りは、肉や魚などのやわらかいもの
押し切りは、野菜などのかたいもの
たたき切りは、かたい魚の頭や骨など
魚の切り方は、筒切り、手開き、背開き、二枚おろし、三枚おろしなどがあります。
▢14.小口切りには長ねぎ、きゅうりが適しています。
食材の切り方には、味をふくみやすくしたり見た目をよくするなど、目的に応じたさまざまなものがあります。
野菜の切り方と適する材料
小口切りは、長ねぎ、きゅうり
末広切りは、なす、にんじん
ささがきは、ごぼう
菊花切りは、かぶ
面取りは、大根、じやがいも
加熱調理操作
▢15.加熱調理操作は熱エネルギーを使った調理方法で、乾式加熱、湿式加熱などがあります。
熱エネルギーを使って、たんぱく質の熱変性やでんぷんの糊化など食品に望ましい変化を起こさせようとする調理法が加熱調理操作です。熱媒体として水を使用しない乾式加熱(焼く、炒める、揚げるなど)と、水を使用する湿式加熱(煮る、蒸す、ゆでるなど)、また電子レンジや電磁調理器(IH調理器)等を使った加熱調理法があります。
▢16.揚げ物は、食材を少しずつ油に入れます。
揚げ物は、180℃前後の高温の油の中で食材を加熱する操作です。一度に多量の食材を油に入れると、油の温度が下がりカラリと揚がらないので、少しずつ入れるようにしなければならない。揚げ物の加熱時間は短いため、食材の形や栄養成分の変化は少ない。
▢17.衣による揚げ温度の判定において、下まで沈むのは160℃ です。
箸の先に衣をつけて表面に近いところから1滴落とし、衣の浮き沈みで油の温度を判断することができます。
衣による揚げ温度判定
160℃一下まで沈む
170℃-中ほどまで沈む
180℃-少しだけ沈む
200℃-沈まずに表面に散る
▢18.さつまいもやレンコンは160~180℃ でゆっくり揚げます。
揚げ物にはそれぞれ適温があります。いも類や餅など、でんぷんを多く含むものは火がとおりにくいのでゆっくり揚げます。
揚げ物の適温
ドーナツは、160℃で3分
コロッケは、190~200℃で0.5~1分
天ぷら(魚介類)は、180~190℃で1~2分
フライは、180℃で2~3分
精進揚げ(いも、レンコン)は、160~180℃で3分
▢19.たけのこは、米糠を加えてゆでるとやわらかくなり、シュウ酸を含んだえぐ味も抜けます。
ゆで物の添加材料
わらび、ぜんまいは、あく汁を加えてゆでるとやわらかくなり、色鮮やかに仕上がる。0.2~0.3%の重曹でも代用できます。
青菜は、ゆで汁の2%の食塩を加えてゆでるとクロロフィルが安定化し、色鮮やかに仕上がる。
やつがしらは、みょうばんを加えてゆでると細胞膜のペクチン質が不溶化し、煮くずれを防ぐことができます。
▢20.みそ汁、すまし汁の適温は80℃ です。
加熱調理には、食材や調理法によってそれぞれの適温があります。
それは調理の適温であり、食べころ飲みごろの温度とは異なる場合があります。
加熱調理の適温
煎茶浸出は、70~90℃
コーヒー抽出は、85~95℃
スープ(鶏がら)は、90~95℃
カラメルは、170~190℃
パイは、200~240℃
▢21.蒸し物では、色、香り、形を保ったまま長時間の加熱ができます。
蒸し物は、沸騰した湯から発生する蒸気の熱を利用した加熱操作です。沸騰している限り100℃ を一定に保つことができます。
蒸し物の特徴
直接火があたらず、100℃を超えないので、焦げない
食材の形が崩れず、色も変わらない
水の中に食材を入れないので、香り、うま味、栄養成分を損なうことがない
生臭みが残るので香りの強いものには向かない
途中の味付けが難しい
▢22.かつお節でとるだしは、沸騰した湯にかつお節を入れてすぐ火を止めます。
だしの特徴
日本料理のだしは、かつお節は沸騰した湯に入れてすぐ火を止め、かつお節が沈んだらふきんでこします。昆布は水から浸水し、静かに加熱して沸騰直前に取り出します。
洋風だしは、すね肉や骨などを長時間煮出してとります。濁りを除くには、卵白を入れてあくを吸着させます
中華料理の湯(たん)は、鶏や豚骨などを長時間煮出してとります
調理器具
▢23.片刃の包丁は、刺し身を切るのに適します。
片刃の包丁は、片面にだけ力が加わるので、刺し身のように塊を端から切るのに適します。また、両刃の包丁は、左右両面に力が加わるので、いも類、野菜など組織のかたいものを輪切りにするのに適します。
包丁の材質では、鋼製の包丁は砥石で軽く研いでおくと切れ味がよいが、さびやすいので、日常の手入れとして水気をよく拭き取っておきます。セラミックの包丁はさびることはなく、また、金属臭が食材につかない。
包丁の種類
出刃包丁、刺身包丁(やなぎ刃)、刺身包丁(たこ引き)、薄刃(鎌包丁・関西)、薄刃(関東)、三徳包丁、菜切り包丁、中華包丁、ペティナイフ、牛刀(大)、牛刀(小)、スライスナイフ
▢24.大さじ1杯(15cc)を比較すると、油12g、食塩18g、砂糖9g、しょうゆ18gです。
計量スプーン大さじ1杯の重量(ℊ)
水・酢・酒は、15ml、しょうゆは、18ml、みそは、18ml、砂糖(上白糖)9ml、食塩は、18ml、油は、12ml、小麦粉は、9ml、片栗粉は、9ml
▢25.電磁調理器(IH調理器)は、磁力線を発生する一種のコンロです。
電磁調理器のコンロ自体は発熱しないため、不完全燃焼や衣類への着火などの心配がなく、安全で清潔であるが、使える鍋に制限があり、土鍋や陶磁器は使用できない。
▢26.電子レンジは、周波数の高い電磁波(マイクロ波)を利用した加熱調理器です。
電子レンジは、非常に速く発熱が起こるので、加熱時間は短く、栄養損失や色、香りの変化が少ない。ただし、細かい温度調節がしにくい、焦げ目がつかない、アルミホイル、金属製品、漆器、縁に金や銀の線や柄がある陶磁器などには適さないなど、使用上の注意事項を確認して使用します。
▢27.鍋の材質は、熱伝導率と比熱の大きいことが望ましい。
熱伝導率は熱の伝わりやすさを表し、比熱は温まりにくさと冷めにくさを表す。したがって、鍋の材質は、熱伝導率と比熱の大きいことが望ましい。
▢28.アルミニウム鍋は、鉄鍋や土鍋より冷めやすい。
アルミニウム鍋は、鉄鍋や土鍋(陶磁器)より熱伝導が速いが、鍋自体が薄いため冷めやすい。土鍋(陶磁器)は、熱伝導率が小さく熱が伝わりにくいのでなかなか温まらないが、厚手にできているのでいったん温まると冷めにくい。
▢29.オープン調理で、ホイル焼きは、内部温度230~250℃のこく強火で焼きます。
オーブン調理は、オーブン内部の熱と食材から発生する水蒸気で、食材を蒸し焼きにするものです。
オーブンの内部温度
ごく強火は、230~ 250℃、ホイル焼き、焼きいも、メレンゲの色つけ
強火は、200~220℃、パン、パイ、ピザ、グラタン
中火は、160~200℃、 ケーキ、クッキー、焼きりんご、シュークリームの皮
中弱火は、130~160℃、プディング、卵豆腐
ごく弱火は、100~120℃、トースト
▢30.プロバンガスは都市ガスより発熱量(kcal/㎥)が多い。
気体の燃料1㎥が完全燃焼するときに発生する熱量を発熱量といい、その量によって燃料の性能を比べることができます。プロパンガスと都市ガスの発熱量を比較すると、プロバンガスのほうが、都市ガスよりも発熱量が多い。
▢31.大量調理で、ミートチョッパーは摩砕用器具として用いられます。
給食のような大量調理に用いられるものとしての主な調理器具
ピューラーは、球根皮むき機
フードカッター・フードスライサーは、切砕・成形用器具
ミートチョッパーは、磨砕用器具
ブロイラーは、加熱器具
スチームコンベクションオーブンは、温風と水蒸気を利用する多機能加熱器具
ブラストチラーは、強制冷却機器
調理の味・色・香り
▢32.甘味、酸味・塩味・苦味・うま味を五味といいます。
味と主な呈味物質
甘味は、サッカリン、アスパルテーム、ショ糖(砂糖)
酸味は、酢酸(食酢)、クエン酸、乳酸
塩味は、塩化ナトリウム(食塩)
苦味は、カフェイン、塩化マグネシウム(にがり)
辛味は、カプサイシン
うま味は、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸、コハク酸
渋味は、タンニン、カテキン
▢33.味の相互作用には、対比効果、抑制効果、相乗効果の3つがあります。
味の相互作用
対比効果は、一方が他方の味を引き立てる現象。甘味と塩味は、餡に塩、すいかに塩、うま味と塩味は、だし汁に塩
抑制効果は、一方が他方の味を抑え、緩和する現象。苦味と甘味は、コーヒーと砂糖、酸味と甘味は、果汁と砂糖、酸味と塩味は、梅酢と塩
相乗効果は、相互に味を強めあう現象。うま味とうま味は、グルタミン酸とイノシン酸、甘味と甘味は、砂糖と他の甘味料
▢34.りんごを切って放置しておくと褐色になるのは、酸化酵素によるものです。
野菜、果物、いも類に含まれるポリフェノールは、空気に触れると酸化酵素の作用で褐色に変わります。これを防止するためには、切ってすぐに、水や塩水や酢水につけたり、短時間加熱したり、酸化防止剤としてビタミンCを加えるとよい。
▢35.クロロフィルは、ほうれん草などに含まれる緑色の色素です。
食品の主な色素
クロロフィル(緑)は、緑黄色野菜など
フラボノイド(白・黄)は、大豆、れんこん、ごぼうなど
アントシアニン(赤~紫)は、赤かぶ、なす、黒豆など
力ロテノイド(橙)は、かんきつ類、かぼちゃ、にんじんなど
アスタシン(加熱で鮮やかな赤)は、えび、かに
ミオグロビン(赤)は、 肉、赤身の魚
▢36.フラボノイドは、酸によって白色に、アルカリによって黄色に変化します。
フラボノイドは、酸によって白色に、アルカリによって黄色に変化する。れんこんやこぼうを酢で煮ると白くなるのは、れんこんやこぼうに含まれるフラボノイドが酸に反応するためです。
アントシアニンは、酸によって赤色に、アルカリによって青色や紫色に変化する。梅干しを巻いたしそが赤くなるのは、しそに含まれるアントシアニンが酸に反応するためです。
クロロフィルは、酸・加熱・光によって退色し、アルカリによって鮮やかな緑色になる。食塩を加えると色が安定します。
▢37.糖がたんぱく質と一緒に加熱されると、アミノ・カルボニル反応が起こり褐変します。
糖類がたんぱく質やアミノ酸と―緒に加熱されると、アミノカルボニル反応が起こり褐変します。かば焼き、みそ、パン、ケーキなどの色がその例です。
▢38.えびやかにはアスタシンという色素を持ち、加熱すると鮮やかな赤色が現れます。
アスタシンは動物性カロテノイド系色素です。加熱するとたんぱく質が熱変性を起こし、同時に酸化が起こって鮮やかな赤色が現れます。
▢39.肉色素のミオグロビンは加熱されると、灰褐色になります。
肉などに含まれるたんぱく質の熱凝固は60~70℃で始まり、これ以上加熱すると肉色素のミオグロビンが赤から灰褐色に変化します。
▢40.魚の生臭さの主な成分は、トリメチルアミンによるものです。
食品中の主な香気成分
まつたけは、桂皮酸メチル、大根は、メチルメルカプタン、にんにくは、アリルメルカプタン、かんきつ類は、リモネン、シトラール、桃は、ギ酸エチル、はっかは、メントール
▢41.みそや牛乳に含まれるたんぱく質には、魚の生臭みを吸着させる効果があります。
たんぱく質には、においを吸着する性質があるので、さばのみそ煮やムニエルに用いるみそや牛乳には、魚の生臭みを吸着させる効果があります。
調理による食品成分の変化
▢42.たんばく質は60~70℃で熱凝固するが、凝固の速さと程度は、調味料の影響を受けます。

たんぱく質の熱凝固と調味料
食塩は、熱凝固を速めて、凝固物をかたくする。(例)塩入りの卵焼きはかたい
砂糖は、熱凝固を遅らせて、凝固物をやわらかくする。(例)砂糖入りの卵焼きはやわらかい
食酢は、熱凝固しやすくする、食塩と併用すると熱凝固を促進する。(例)焼き魚の串や網に酢を塗ると身が付着しにくい、塩や酢を入れたポーチドエッグ(落とし卵)は固まりやすい
▢43.無機質にも、たんぱく質の凝固作用があります。
熱くした大豆の絞り汁ににがり(塩化マグネシウム)などを加え、大豆たんぱく質のグリシンを凝固させたものが豆腐です。これは、無機質(マグネシウムやカルシウム)のたんぱく質凝固作用を利用しています。
▢44.砂糖は、水分を吸収して離水を防ぐ働きをするので、卵自の泡を安定させます。
砂糖のたんぱく質への作用と調理例
アミノ酸と結合、良い色と香りを出す(アミノ・カルボニル反応)は、カステラ、ドーナツ、スポンジケーキ
卵白の泡を安定させるは、メレンゲ、泡(淡)雪かん
熱凝固を遅らせ、やわらかく固めるは、卵焼き、プディング
小麦粉生地の発酵を助けるは、パン、まんじゅう
▢45.油は長時間加熱すると、酸化し劣化します。
長時間の加熱で、油は酸化し劣化します。不純物も酸化の原因になります。油脂の劣化防止のためには、揚げかすはこまめに取るようにし、揚げ物が終わったら、こして容器に入れ、密閉して、直射日光に当てないように冷暗所に保管します。
▢46.生のβでんぷんに水を加え加熱すると、糊状のαでんぷんになります。
βでんぷんが水と加熱で糊状のαでんぷんに変化する現象を、でんぷんの糊化またはα化といいます。糊化したαでんぷんは、水分を含んだまま放置するとβでんぷんに戻ります。これを老化またはβ化といいます。
▢47.せんべい、ビスケット、即席麺などをアルファ化食品といいます。
老化またはβ化を防ぐために、糊化(α化)直後に水分を15%以下に乾燥させた食品を、アルファ化食品といいます。
▢48.脂溶性ビタミンに比べ水溶性ビタミンは、調理による損失が大きい。
ビタミンの調理損失
脂溶性のビタミンAは、調理による損失は少ない、光、酸素に弱い
脂溶性のビタミンDは、調理による損失は少ない
水溶性のビタミンB1は、煮汁、ゆで汁に溶け出す、アルカリに弱い、豆を煮るときに重曹を加えると、40~90%を損失します
水溶性のビタミンB2は、ビタミンB1と同じく水によく溶けます、熱には強いが、アルカリ、紫外線に弱い
水溶性のビタミンCは、空気中の酸素で酸化されやすく、加熱で促進されます、アルカリで分解が進む、ゆで汁などへの溶出や分解は50~70%に及びます
▢49.ビタミンCの損失が最も少ない調理法は、揚げ物です。
ビタミンCは、食品成分中最も調理による損失が大きい。ゆで物、煮物などのゆで汁には50~70%が溶け出し、焼き物、蒸し物では10~30%が損失します。揚げ物は高温・短時間の調理なので、ビタミンCの損失が最も少ない調理法です。
献立作成
▢50.小児の献立として調味料を用いる場合は、食品の持ち味を生かした薄味にします。
小児の献立では、消化のよいたんぱく質と脂質を組み合わせる、一度に多量を与えるより、おやつを含め回数を増やす、いろいろな食品を取り入れ偏食になることを防ぐ、濃い味付けや刺激物は避けて食品の持ち味を生かした薄味にすることなどを心がけます。
▢51.児童・生徒の献立は、動物性たんぱく質を十分に摂取させるようにします。
成長が急速な時期なので、動物性たんぱく質やカルシウム、ビタミンを十分に摂取させるようにします。また、濃い味付けにしないようにします。
▢52.エネルギーを必要とする肉体労働の場合は、高エネルギーの献立とします。
肉体労働の場合は高エネルギーの献立とするが、エネルギー使わず疲労の大きい精神労働の場合は、エネルギーを抑え、良質のたんばく質とビタミンに富んだ食事を、快適な環境で摂れるようにします。
▢53.病院給食には、特別食として糖尿病食があります。
病院給食は、日常食に近い一般食(一般治療食)と特別食(特別治療食)に分けられます。特別治療食には疾病の治療を行う目的があります。
主な特別治療食で制限するもの
腎臓病は、食塩、水分、たんぱく質
糖尿病は、総エネルギー
高血圧症は、食塩、動物性脂質、総エネルギー、アルコール類
肝臓病は、動物性脂質、アルコール類
▢54.行事食や供応食の献立は、栄養より嗜好的価値が重視されます。
行事食には行事ごとに特定の献立や食品があり、供応食は客をもてなすための献立が用意されます。毎日続く日常の食事とは違うものなので、栄養より嗜好的価値が重視されます。
▢55.給食では調理面において、安全、栄養、嗜好の3条件を満たすことが望ましい。
給食は、学校、病院、寮などの施設において特定多数の人に対して継続的に食事を提供するものです。目的や性質の異なる場所での提供では、調理面においてそれぞれの特徴をふまえながら、安全、栄養、嗜好の3条件を満たす給食づくりをすることが望ましい。
新調理システム
▢56.新調理システムは、食材ロスの少ない調理・保存システムです。
新調理システムとは、従来のクックサーブにクックフリーズ、クックチル、真空調理などを加えた計画的で合理的な調理システムです。調理後すぐに提供するクックサーブよりも長期間保存できるので、食材を計画的に無駄なく使用できます。
▢57.真空調理法は、真空包装し時間をかけて低温加熱するため、調味料の浸透も均一で、やわらかく仕上がります。
真空調理法は、生または下処理した食材と調味料を専用の袋に詰め、真空包装して95℃ 以下の低温で時間をかけて加熱します。真空包装で調味料の浸透が均一になり、低温加熱で食材の熱変性を防ぐことができるため、食材の重量減少は小さく、やわらかい仕上がりになります。
▢58.クックチルシステムは、食材を加熱調理後、急速冷却して運搬・保管し、再加熱して提供します。
クックチルシステムは、食材を加熱調理後、90分以内に中心温度90℃以下まで急速冷却し、3℃以下に冷蔵して運搬・保管し、再加熱(中心温度75℃以上で1分以上。ノロウイルス汚染のおそれのある食品は85~90℃で90秒以上)して提供する調理法です。
▢59.クックフリーズシステムは、食材を加熱調理後、急速冷凍保存し、再加熱して提供します。
クックフリーズシステムは、食材を加熱調理後、中心温度を90分以内に-5℃ 、120分以内に-18℃ まで急速冷凍し、-18℃以下で保存、再加熱(中心温度75℃以上で1分以上。ノロウイルス汚染のおそれのある食品は85~90℃で90秒以上)して提供する調理法です。食材を冷凍するため、保存期間が長くなります。
▢60.外部加エ品の活用により、時間短縮を図り、経済性を追求することができます。
外部の食品業者が加工した冷凍・チルド状態の調理済み食品を活用することで、時間短縮を図り、経済性を追求することができます。既製品をそのまま利用する場合と、仕様書により生産を委託する2つの場合があります。
調理技術
▢61.味付けの順序として正しいものは、砂糖→塩→酢→しょうゆ→みそです。
複数の調味料を別々に入れる場合、砂糖は分子量が大きく浸透しにくいので、塩より先に入れます。酢、しょうゆ、みそは、揮発性香気成分を含み、早めに入れると酸味や風味がとんでしまうため、加熱の最後に入れます。したがって、味付けの順序は、
さ(砂糖)→し(塩)→す(酢)→せ(しょうゆ)→そ(みそ)となります。
▢62.乾燥豆は吸水に15~16時間以上かかります。
大豆などの乾燥豆は、吸水に時間をかけて十分膨潤させてから加熱します。
▢63.あずきは、胴割れを防ぐため、吸水させずに煮ます。
あずきは、吸水で表皮が切れて胴割れを起こすので、洗ってすぐに加熱します。あずきを煮るときは、中心部と表皮の温度を均一にするために、途中で冷水(びっくり水)を加えます。
▢64.煮豆の調理では、分量の調味料は数回に分けて入れます。
分量の調味料を一気に入れると、豆の水分が絞り出され豆が縮んでかたくなり、しわが寄る原因になります。したがって、調味料は数回に分けて入れるようにします。
▢65.黒豆を煮るときは、さびた鉄くぎを入れると豆の色が鮮やかになります。
黒豆の色(アントシアニン)は、金属イオンと反応して色が鮮やかになるので、煮るときに重曹や古くぎを入れるとよい。
▢66.生野菜を冷水につけると、パリッとして歯切れがよくなります。
生野菜を冷水につけると水分が吸収されるので、パリッとして歯切れがよくなります。生野菜に塩を振っておくとしんなりするのは、塩に組織内の水分を外へ引き出す作用があるためです。サラダドレッシングには、塩と同じ作用をする食酢が入っているので、食べる直前にかけます。
▢67.魚の持ち味を生かす加熱法は、直火焼きであり、焼き方は、強火の遠火がよい。
炭火で焼く場合、火が強すぎてもそのままにし、魚などの焼き物を遠ざけて火加減を調節します。この焼き方が、強火の遠火です。
▢68.焼き魚は、焼く20~30分前に魚の重量の1~2%の食塩をまぶします。
魚にまぶす塩を振り塩という。食塩には水分を外へ引き出す作用があるので、魚の身を引き締め、生臭みをとることができます。また、食塩はたんぱく質の熱凝固を促進し、身くずれも防ぎます。
▢69.煮魚は煮汁を少なくし、煮立ってから入れます。
魚の表面のたんぱく質を熱凝固させてうま味をとじ込め、煮汁に溶けたうま味も魚にからめます。鍋よりひとまわり小さい落としぶたをすると、煮汁がふたにあたって落ちるので、少ない煮汁でも全体にまわり、ムラなく味を含ませることができます。
▢70.皮や骨のある魚を長時間煮ると、コラーゲンがゼラチンに変化して汁に溶けます。
皮や骨のある魚を長時間煮ると、コラーゲンというたんぱく質が汁に溶けます。冷えて固まったものが、煮こごりです。
▢71.炊飯では、洗米後、米の重量の25 ~30%の水を吸水させます。
洗米後、浸漬を省いてすぐに加熱すると、中心にかたい芯が残ることがあるので、気温や水温に応じて冬は1~3時間程度、夏は30分~1時間程度吸水させます。吸水の際の水加減は、米の重量の1.4~1.5倍、容量の1.1~1.2倍です。炊き上がりの米飯の重量は、もとの米の重量の2.1~ 2.3倍になります。
▢72.さつまいもは、ゆっくり加熱すると甘味が強くなります。
さつまいもは、ゆっくり加熱するとアミラーゼが働き、でんぶんが分解されて糖に変わるので、甘味が強くなります。電子レンジで急速に加熱した場合は、ゆっくり加熱したものより甘みが少ない。
▢73.小麦粉に水分を加えてこねた生地をドウ、水分が多くゆるい生地をバッターといいます。
ドウは、パン、パイ、麺などの生地に、バッターは、スポンジケーキやクレープの生地、てんぷらの衣などに形を変えて食べられています。
▢74.生のいもは、長く水にさらしておくと、煮えにくくなります。
生のいもは、空気に触れると褐変するので、切ったら水につけるが、長い間水にさらしておくと、細胞膜のペクチンが水中の無機質と結合してかたくなり煮えにくくなります。
▢75.やまのいもには、でんぷんを分解する酵素アミラーゼが含まれ、すりおろして生で食べられます。
やまのいも(山の芋)には、酵素アミラーゼが多量に含まれるため、生食してもでんぷんが消化されます。
▢76.ビーフステーキに適している肉の部位は、背の部分です。
ビーフステーキには、背の部分にあるサーロインやリブロースなどの部位が適しています。肉は、焼く直前に、塩、こしょうをします。
▢77.ビーフステーキの焼き加減で、レアは表面のみを焼いた生焼けの状態のことです。
ビーフステーキの焼き加減
ベリーウエルダンは、完全に中まで焼いた状態、肉の中心部85~95℃
ウェルダンは、十分に焼いた状態、肉の中心部70~85℃
ミディアムは、レアとウエルダンの中くらいに焼いた状態、肉の中心部65~70℃
レアは、表面のみを焼いた生焼けの状態、肉の中心部55~65℃
▢78.卵黄中のレシチンには、水分と油を乳化する働きがあります。
卵黄のレシチンは、水分と油が分離しないように乳化剤として働きます。マ∃ネーズは、このレシチンの性質を利用したもので、卵黄を用いて酢と油の乳化状態を安定に保っています。
▢79.茶わん蒸し、卵豆腐、プディングは、すだちを起こさないように入力を調節します。
茶わん蒸しなどは、沸騰すると気泡が発生してそのまま固まり、「す」が立ちます。蒸し器の温度は85~90℃を保つようにします。
▢80.卵を長時間ゆでると硫化第一鉄が発生し、卵黄が青黒く変色します。
卵を長時間ゆでると、卵白のたんぱく質から発生したイオウが卵黄中の鉄分と結びついて硫化第一鉄となり、卵黄が青黒く変色します。ゆでたあとはすぐに冷水で冷やすと、多少は変色を防ぐことができます。
▢81.牛乳を用いた煮込み料理では、牛乳は仕上げに加えます。
煮込み料理で、酸味の強い野菜や果物を入れて加熱すると、牛乳のたんぱく質カゼインが酸で固まるため、口当たりや見た目が悪くなることがあります。したがって、牛乳は仕上げに加えるようにします。
▢82.バターは油中水滴型のエマルジョン(乳化液)です。
バターやマーガリンのように油中に水分が分散しているものは、油中水滴型のエマルジヨンです。これに対して、マ∃ネーズや生クリームは、水中に油分が分散している水中油滴型のエマルジョンです。
▢83.食塩は、微生物の発育を抑えることができます。
食塩の主な作用は、微生物の発育を抑える、たんぱく質の熱凝固を促進する、すり身の粘着力を強める、小麦粉生地の弾力を増す、脱水作用がある、青菜の緑色を保つ、さといもなどのぬめりを取る、氷水の温度を下げる
▢84.ほどよく感じる食塩濃度は0.8~1.2%です。
加工食品には保存性をより高めるために食塩量を多くする方法があります。
加工食品中の食塩量のめやすは、梅干し8~22%、しらす干し4~7%、めざし3~6%、ハム、ソーセージ2~4%、かまぼこ2~3%、塩さけ(新巻を含む)2~3%、チーズ1~4%、しようゆ(普通)12~16%、辛みそ10~13%、甘みそ6%
▢85.ゼラチンは、キウイフルーツや生のパイナップルの汁を加えると、分解し固まらなくなります。
キウイフルーツや生のパイナップルは、たんぱく質分解酵素を含んでいるので、ゼラチンに加えると固まらない。
ゼラチンと寒天の特徴
ゼラチンの原料は、牛や豚の骨や皮のコラーゲン、主成分たんぱく質、使用濃度2~3%以上、溶解温度20~27℃、注意点は、たんぱく質分解酵素を含んだ生の果物(キウイフルーツ・パイナップルなど)を入れると固まらない
寒天の原料は、テングサなどの海藻、主成分食物繊維(多糖類)、使用濃度0.5~1%以上、溶解温度68~84℃、凝固温度28~35℃、注意点は、果汁と一緒に長く煮ると酸の作用により固まりにくくなるので、火からおろして果汁を加えます
▢86.練りようかんの50~60%は砂糖です。
加工食品には保存性をより高めるために砂糖量を多くする方法があります。
加工食品中の砂糖量のめやす
練りようかん50~60%、カステラ40%前後、チョコレート30~40%、水ようかん20~30%、ゼリー9~13%
▢87.生魚を酢でしめるとかたくなるのは、たんぱく質への作用によるものです。
食酢には、たんぱく質を凝縮させ、身を引き締めるという作用があります。また、焼き魚の網や金串に塗って、金属への付着を防ぐ作用や、ポーチドエッグの湯の中に入れて、たんばく質の熱凝固を促進させる作用もあります。大根おろしに加えると、食品中の酵素作用を抑制して、辛みを防ぐことができます。



7.食文化概論
食文化概論
食文化の意義と多様性
日本の食文化
世界の料理
食の環境と食文化の未来像
食文化の意義と多様性
▢1.食物の基本的な条件は、安全性、栄養性、嗜好性の3つです。
食事に求められる機能
(1)食物の基本的条件は、安全性、栄養性、嗜好性
(2)食物の制限条件は、経済性、簡易性、利便性
人類の食文化を象徴することがらは、「道具の使用」、「火の利用」、「食物の味付け」
▢2.「ケ」はふだんの日、「ハレ」はあらたまった日として区別します。
民俗学では、「ケ」はふだん、日常の日であり、「ハレ」は儀式、祭り、年中行事などのあらたまった日であるとしている。食ベものの内容も、「ハレ」のほうが「ケ」よりも豪華なものになります。
▢3.伝統行事に、1月7日に食べる七草粥があります。
春の七草(せり、なずな、こぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ)を入れた粥を1月7日の朝食に食べると万病を防ぐといわれています。
▢4.イスラム教徒の食物のタブーは、豚肉、死獣の肉、血液、アルコール類などです。
宗教上の食物禁忌は、イスラム教、ユダヤ教、ヒンズー教などの食物のタブーが知られています。
宗教上の主な禁じられたり、好ましくないとされる飲食物
イスラム教では、豚肉、死獣の肉、血液、アルコール類
ユダヤ教では、豚肉、らくだ肉、血液、うろことひれのない魚類(たこ、えび、いか、うなぎなど)、肉と乳製品の同時摂取
ヒンズ-教では、牛肉、殺生による動物一般
▢5.職業としての調理人が増加したのは、江戸時代に入ってからです。
宮中や大名に仕える料理人は以前から存在していたが、江戸時代になると料亭や屋台が増えたことから、料理人は調理によって収入を得ることができるようになり、職業として成り立つようになりました。
▢6.箸食は、日本、中国、台湾、朝鮮半島、べ卜ナムなどで行われています。
箸食文化は、中国大陸で生まれ、東アジアに広まっています。ナイフ、フォーク、スプーン食は、ヨーロッパ、ロシア、アメリカなどで行われており、それ以外の地域では、手食の習慣が現在でも浸透しています。
日本の食文化
▢7.平安貴族の大饗料理は日本料理の原形となりました。
平安時代は貴族の宴会が盛んでした。料理を形式化し、色、形、盛り付けの美しさを重視した大饗料理は、日本料理の原形となりました。
▢8.鎌倉時代には、動物性食品などを禁じた精進料理が庶民に広まりました。
曹洞宗永平寺の道元禅師が禅寺の食事に関する教訓書『典座教訓』を著し、それにならって禅寺の中でつくられていた料理が精進料理として庶民に広まりました。この料理は、動物性食品と五車(ねぎやにんにくなどの薬味)を禁じたため、代わりに用いられた植物性食品の大豆加工品が発達しました。
▢9.室町時代には、儀式用日本料理の基礎と呼ばれる本膳料理が誕生しました。
鎌倉時代の武家の食生活は、簡素で形式にとらわれない合理的なものであったが、室町時代になると優雅でぜいたくなものヘと変わっていきました。また、貴族社会の影響を受けた本膳料理は、武家社会の饗応料理として確立し、儀式用日本料理の基礎と呼ばれました。
▢10.安土桃山時代には、茶道と結びついた茶会席料理が誕生しました。
千利休の「わび・さび」の精神を取り入れた茶道が大成され、茶の前に供する食事として、素朴で簡素な茶会席料理が誕生しました。この茶会席料理は、江戸時代には懐石料理と呼ばれました。
▢11.安土桃山時代には南蛮貿易が盛んになり、ポルトガルやスペインなどから輸入品が持ち込まれました。
安土桃山時代には、かぼちゃ、じゃがいも、とうもろこし等の南米原産の野菜や、パン、カステラ、ビスケット、金平糖等の菓子類、洋酒などが伝来しました。天ぷらや南蛮漬けなど日本の食べ物として定着したものもありました。
▢12.普茶料理は中国風の精進料理です。
普茶料理は、江戸時代、中国僧隠元禅師が黄檗宗万福寺に伝えた精進料理で、ごま・油脂・野菜・大豆製品・葛粉を用いたものです。
▢13.卓袱料理は、オランダと中国の折衷料理が日本風に変化したものです。
卓袱料理は、江戸時代に長崎に入ってきたオランダ料理が、中国(唐)料理と折衷し、日本風に変化したものです。おひれ椀というすまし汁のあとに、和風、中華風、南蛮風の大皿料理が出されるもので、長崎の郷土料理となっています。
▢14.江戸時代には、庶民の間に形式を崩した酒宴向きの会席料理が広まりました。
室町時代に誕生した本膳料理は儀式料理として完成し、庶民には気楽な宴席の会席料理が広まりました。茶会で供される茶会席料理は、庶民の会席料理と混同されないよう懐石料理に名称をあらためました。また、人口の多い江戸では、屋台や料理屋が現れました。
▢15.明治時代の3大洋食は、トンカツ、コロッケ、ライスカレーです。
明治時代は急速に欧米化が進んで肉食が解禁になり、牛肉や、牛鍋屋が現れました。西洋料理店、中華料理店が普及し、和洋中折衷型の食文化が生み出されました。
▢16.郷土料理は、地域の風習や産物が伝承された独特の名物料理です。
主な郷土料理
北海道:石狩鍋・ジンギスカン鍋・ルイベ・三平汁
秋田:きりたんぽ・しょっつる
岩手:わんこそば
宮城:ずんだもち
山形:いも煮
千葉:なめろう
栃木:すむつかり
山梨:ほうとう
石川:治部煮
長野:おやき
岐阜:朴葉味噌
滋賀:ふなずし
京都:千枚漬け・しば漬け
三重:手こねずし
大阪:船場汁
島根:割子そば・ぬのは飯
岡山:祭りずし
香川:さぬきうどん
高知:皿鉢料理
長崎:卓袱料理
熊本:からしれんこん
宮崎:冷や汁
沖縄:チャンプルー・ソーキそば
世界の料理
▢17.西洋料理の共通の特徴は、獣鳥肉、乳製品、油脂、香辛料を用い、パンを常食することです。
西洋料理の範囲は世界中に広がっているため風土や産物による地域差があります。共通の特徴に加えて、地域色に富んだ料理や調理法が発達しています。
各国の西洋料理の特徴
フランス料理の特徴は、洗練性・豪華・高級宴会料理、エスカルゴ・フォアグラ
イギリス料理の特徴は、保守的・合理的、ローストビーフ、紅茶とビスケット、プディング
イタリア料理の特徴は、温暖な気候・素材の季節性・地域性、パスタ類・トマト・オリーブ油
スペイン料理の特徴は、地域ごとの郷土料理、パエリア・ガスパチョ
ドイツ料理の特徴は、素朴・貯蔵性、じやがいも・サウアークラウト・ソーセージ
ロシア料理の特徴は、厳寒な気候・脂肪分の多い料理、ボルシチ、ピロシキ
アメリカ料理の特徴は、移民による各国の混合料理、ビーフステーキ・ハンバーガー、シリアル
▢18.フランスの料理人、オーギュスト・エスコフィ工は1903(明治36)年に『料理の指針』を出版し、5000種以上の料理を分類しました。
オーギュスト・エスコフィエは、書籍『料理の指針』のなかで5000種以上の料理を分類し、古典料理を組み立て直しました。また、1900(明治33)年には、フランスのタイヤ会社ミシュランがガイドブック『ギド・ミシュラン』を出版し、フランス料理店の格付けを始めました。
▢19.18世紀に書かれた『随園食単』は、現代でも中国料理の指針となっています。
『随園食単』は、中国の清時代の詩人、袁枚の著書です。多くの食材や調理法の記録が載っています。現代でも中国料理の指針となっています。
▢20.中国料理は、上海料理(東方)、四川料理(西方)、広東料理(南方)、北京料理(北方)の4つの系統があります。
中国は国土が広いため、気候や風土や食材による地域差があり、地域別に4つの系統に大別できます。
中国は食に対して、「医食同源」の思想があり、現代では「薬膳料理」が人気です。
中国料理の4つの系統とその特徴
東方の上海・江蘇料理の特徴は、四季がある温暖な気候で、魚介類や農産物など素材が豊富です。上海蟹、東坡肉
西方の四川・雲南料理の特徴は、厳寒な気候で、肉、疏菜、淡水魚、唐辛子を材料に用います。麻婆豆腐、搾菜
南方の広東・福建料理の特徴は、季節性が豊かな気候・素材・調理法が多彩です。飲茶、点心、酢豚
北方の北京・山東料理の特徴は、大陸性気候のため1年の気温差が大きく厳しい気候です。小麦粉、油、羊などを使った料理が特徴で味は濃厚です。北京ダック、餃子
▢21.エスニック料理という言葉は、1960年代後半にアメリカで使われ始めました。
エスニック料理は、移住した人々が自国料理を食べられる料理店をつくったのが起源で、移民料理ともいわれます。日本では、東南アジア、中近東、中南米の料理がエスニック料理といわれることが多い。
主なエスニック料理
タイ:トムヤムクン、ベトナム:ゴイクン、韓国:サムゲタン・プルコギ・ナムル、インド:タンドリーチキン・チャパティ、トルコ:シシカバブ、北アフリカ:クスクス、メキシコ:タコスなど
▢22.20世紀後半に、フランスでヌーベル・キュイジーヌ(新しい料理)の運動が起こりました。
20世紀後半にポール・ボキューズなどのシェフが担い手となって生まれたヌーベル・キュイジーヌは、ヘルシーで現代的な料理として人気となりました。
食の環境と食文化の未来像
▢23.現代の食志向は、二極分化現象が特徴となっています。
現代の食志向は、豊かさを求めるグルメ・高級化と効率を追求する簡便化が分離しながら並立しているという、二極分化現象が特徴となっています。
▢24.デバ地下、スーパーで買う食事を中食といいます。
市販の惣菜や持ち帰り弁当のように、家庭外で調理されたものを購入して家庭で食べることを「中食」、レストランなど家庭の外で食べることを「外食」、家庭で調理して食べることを「内食」といいます。食が減って、外食・中食が増えるという「食の外部化」が進んでいます。
▢25.1人で食事をすることを孤食といいます。
家族の食事で、それぞれが違うものを食べることも、個食といい、孤食や個食が増えています。
▢26.スローフード運動はイタリアで始まりました。
スローフード運動は1980年代半ばにイタリアで始まりました。伝統的な食材や料理を見直し、守っていこうというもので、国際的な運動となっています。
▢27.日本の食料自給率は、先進国の中で極めて低い水準を示しています。
日本の2013(平成25)年度の自給率(概算)はカロリーベースで39%、生産額ベースで65%となっています。

調理師試験 重要項目らくらく丸暗記BOOK

2022年2月6日 発行 初版

著  者:上野和夫
発  行:合同会社ペネトレイト

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上野和夫

「資格試験のペネトレイト」で医療・介護・福祉の仕事に携わる方に必須の資格取得のお手伝いをしています。 私は、薬剤師、社会福祉士、介護支援専門員の免許を持っていますが、現在は薬剤師の仕事に従事しています。 資格試験合格のノウハウは1つ、シンプルな学習が大切、そのための教材を公開しています。 ホームページ「資格試験のペネトレイト」http://penetrateblog.com/に教材の販売コーナーと無料の問題集を集めた棚を提供しています。 私と一緒に資格試験合格を目指しましょう。

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