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本書について
登録販売者ガイドライン
第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識
第2章 人体の働きと医薬品
第3章の1 主な医薬品とその作用
第3章の2 主な医薬品とその作用
第3章の3 主な医薬品とその作用
第4章 薬事関係法規・制度
第5章 医薬品の適正使用、安全対策
登録販売者試験 重要項目 らくらく丸暗記BOOK
ー試験合格には「重要項目を正しい覚える」ことが大切!ー
本書について
本書は、登録販売者試験の筆記試験によく出題される重要項目を集めています。
毎年出題される問題の半数以上は過去に出されている内容と同じです。登録販売者試験の合格ラインは7割以上の正解です。過去の問題をしっかり理解していると、7割以上の点数を取ることができます。ただ、注意しないといけないのは、同じ文章で問いかけているとはかぎりません。そこで大切なのは、短い文章で正しい内容をしっかりと覚えることが大切なんです。
重要項目の短い文章を、毎日30項目覚えると1ヶ月ですべて身に着けることができます。
読むことにあわせて、耳を使っての短文記憶の努力をされると、さらに短い日数でしっかり暗記することができます。
付属教材として音声テキストを準備していますのでご利用ください。
あとは過去問題集を手に入れて解いてみましょう。問題はスラスラ解けるような感じがします。出題者のワナにはまることがなくなるまで繰り返し過去問題を解いてください。
当社ののホームページ(http://penetrateblog.com/)に問題を集めた本棚を準備しています。無料で利用できますので、ぜひトライしてください。すべての問題で合格(7割以上正解で合格)できたら試験に合格できると思います。
登録販売者試験ガイダンス
登録販売者
登録販売者とは、薬機法の改正で誕生したニーズの高い注目の資格です。
登録販売者とは、2009年6月の薬機改正によって誕生した、一般用医薬品の販売を行うための専門資格です。
ドラッグストアや薬局などでは、登録販売者がいることで一般用医薬品の大多数を占める第二類・第三類医薬品の販売が可能になり、薬剤師不足をおぎなう戦力としておおきな注目を集めています。
また、近年ではコンビニエンスストアなどのさまざまな小売店舗でも一般用医薬品の販売ができるようになり、今後さらにニーズが高まる資格といえます。
登録販売者の仕事内容について
登録販売者の仕事でまず頭に浮かぶのは、薬を買いに来たお客様への接客。「薬剤師に次ぐ医薬品販売のプロ」として、いろいろなニーズを持つお客様に的確なアドバイスをするのは登録販売者の大切な仕事です。また、「在庫の管理」「品出し」「売り場作り」などお客様に満足度の高いお買い物をしてもらうためのさまざまな準備に時間を費やすことが多いかもしれません。
さらに、正社員から店長、エリアマネージャーというようにキャリアアップすることで、スタッフの配置や売り上げの管理、売れ筋商品の分析などより責任のあるお仕事を任せられるようになります。
これらのことから、登録販売者には「健康的な生活に関心が高い」「相手の話を誠実に聞くことができる」「日々の勉強を継続することができる」「相手を思いやった提案ができる」といった資質を持った人が向いているといえます。
登録販売者になるには
都道府県が実施する試験に合格する必要があります。
登録販売者になるには、都道府県が実施する試験に合格する必要があります。この試験は国家試験ではないため、あらかじめ厚生労働省が発表している「試験問題作成に関する手引き」にそって、各都道府県が独自に問題を作成し、それぞれの日程で試験を実施しています。ですから、複数のエリアに願書を提出し受験することも可能です。
次に、有資格者としてお仕事を始める際には、勤務地のある都道府県知事の登録をうけることが必要です。登録後は、登録をうけた都道府県に関わらず、全国のドラッグストアや薬局で活躍することができ、あなたのキャリアを支える一生の資格となります。
登録販売者と薬剤師が扱える医薬品の違い
ドラッグストアや薬局で医薬品を購入するときに、副作用などのリスクに応じて、「専門家から適切な情報提供をうけることができる」ようつくられたのが登録販売者の資格制度です。薬剤師以外の専門家として位置づけられている登録販売者ですが、薬剤師と登録販売者ではあつかえる医薬品の範囲がことなります。
登録販売者が扱える薬は医薬品全体の約9割一般用医薬品は、リスクに応じてわけられています。
登録販売者があつかえる医薬品は第2類・第3類に限られるものの、全体の約9割にあたります。医薬品業界は薬剤師不足で、お客様への情報提供が十分にできていないことが問題になっていました。これを解決する登録販売者は、企業にとってのおおきな戦力として期待をあつめています。
登録販売者資格はこんな方におすすめ
ドラッグストアや薬局に勤務している方
まかされる仕事の幅が広がってやりがいアップ
資格手当や時給アップで収入増に期待
店長などへキャリアアップ
登録販売者は、薬剤師につぐ薬のアドバイザーです。お客様の症状や悩みをうかがいながら、一人ひとりに合った医薬品を自信をもっておすすめできるようになり、まかされる仕事の幅がぐっとひろがります。また、登録販売者に資格手当をもうけていたり、時給をたかく設定しているところも少なくありません。待遇面でも今より良い条件ではたらける可能性があります。さらに、実務経験を積むことで、店長などへキャリアアップをめざすこともできます。
転・就職に有利な資格を取りたい方
全国どこでも就職先がある資格を取得し登録すれば、一生モノの資格に
年齢をきにせず働ける
登録販売者は、試験に合格し登録すれば、一生涯の資格になります。ドラッグストアや薬局なら、ご自宅の近くでも職場をさがしやすく、家事や育児と両立してはたらきたいという主婦の皆さんからも人気の資格です。また、お客様からの信頼をえられるよう薬のアドバイザーとして経験を重ねれば、年齢をきにせずにやりがいをもって仕事を続けることができます。
合格率と難易度
登録販売者試験の全国平均合格率は、平成21年度以降40%台を推移しています。ただし、都道府県によって問題がことなるため、同じ年の試験でも合格率が30%程度と低めのエリアがあるいっぽう、60%と高めの合格率になるエリアがあるなど、都道府県によってばらつきがあります。 また、同じエリアでも試験年度によって合格率がことなり、東京都を例にとると、平成25年は27.9%、平成26年は47.9%というように、前年度と比較して極端に上下するケースもみられます。このため、受験生の中には、複数の都道府県に願書を提出する方が少なくありません。
試験問題
試験問題はすべて択一式で記述問題はありません。計240分間で第1章から第5章までの全120問に解答します。 決められた時間の中ですべての問題に解答するためには、身につけた知識をフル活用する解答力が必要です。このため、問題を繰り返し解き解答力を養えるよう、余裕を持った学習期間を設けることが合格につながります。
出題範囲
登録販売者には、お客様からの相談に適切に答え、積極的に情報を提供するなどの重要な役割があります。そのため、厚生労働省は「試験問題作成に関する手引き」の中で、以下のような専門的知識が問われる試験問題を作成するよう定めています。
合格基準
合格基準は、各章で35%~40%以上(都道府県によって異なる)、全体で70%以上の正答率が目安となります。そのため、苦手項目を作らないように学習することが合格の鍵になります。
受験申し込みから合格まで
登録販売者試験をうけるためには、受験申請書入手からはじまるいくつかの手続きが必要です。「気づいたときには締切だった」ということがないよう、余裕をもって準備しておきましょう。
受験申請書の入手
受験を希望する都道府県から受験申込書を入手します。 願書配布時期は都道府県によってことなりますので、全国試験情報ページで確認してください。
受験申請書を提出
願書に必要事項を記入し、添付する書類とあわせて各都道府県の指定する窓口に提出します。
受験申請に必要な書類
受験申請書 ・写真 ・その他都道府県が必要と認める書類
受験票をうけとる
願書提出後に受験票が送られてきます。
試験日
いよいよ本番! 試験会場へのアクセス等は必ず事前に確認しましょう。
合格発表
合格者には都道府県知事から合格書が送られてきます。 合格者の受験番号がホームページで公告される場合もあります。
登録証の交付
登録販売者試験に合格しても、すぐに「登録販売者」になれるわけではありません。 合格後、都道府県に販売従事登録申請をおこない、販売従事登録証の交付をうけます。
勉強方法① 科目別攻略法
科目ごとの攻略法を知れば、間違いなく合格に近づく
試験を構成する5科目は、難易度だけでなく学習内容も全く異なります。そうなれば当然「有効な学習方法」も違ってきます。ここでは科目ごとの攻略法を知って受験でも実務でも役立つ知識を身につけていきましょう。
第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識
第1章では、「医薬品の基本的知識」が問われるため、大部分の問題が一般的な知識で答えられる範囲と言ってよいでしょう。「副作用」「セルフメディケーション」などの基本的なキーワードが多く登場し、医薬品について基礎から学習を始める方にも適した内容で、受験勉強のウォーミングアップとして最適です。ただし、出題範囲の後半にある「薬害の歴史」では少しだけ難易度が上るのでここは注意が必要です。
第2章 人体の働きと医薬品
第2章では、「人体の構造」、「薬が働く仕組み」、「医薬品を使用した事で起こる主な副作用」について問われます。
「人体の構造」では、人の体の中にある臓器が普段どのように働き、私達の日常生活に関わっているのかを理解していきます。ここでは、各臓器をイメージしながら学ぶことが一番のポイント!文章だけではなく、テキストやワークブックにある臓器の図を使いながら学習することをお勧めしています。
また、「薬が働く仕組み」、「医薬品を使用した事で起こる主な副作用」では、専門的で難しい用語も多く出てきますが、頻出ポイントをしっかりと押さえれば確実に得点できる項目でもあります。
第3章 主な医薬品とその作用
第3章では、市販薬に使われている「有効成分やその副作用」について、問われます。
薬の専門家である登録販売者にとって、日々の業務に最も関わる内容で、出題数も登録販売者試験の全120問中40問を占める重要な分野です。
「カタカナの成分名」や「漢字の読み方が難しい漢方薬」など、暗記すべき内容が多くなりますから、試験日から逆算して習得のための学習時間をしっかり確保しておきましょう。
また、一言に医薬品の成分といってもその範囲は膨大ですから、まずは良く出る成分を確実に覚えて得点源にすることが合格への近道になります。
時間的な余裕があれば、ドラッグストアなどに陳列されている商品を手に取り、その有効成分について確認することも記憶の定着に繋がる良い勉強方法になります。
一方、漢方薬については、効能効果をそのまま覚えるのではなく、キーワードを絞り効率良く学習するのがお勧めです。
例えば「麦門冬湯」は「体力中等度以下で、痰が切れにくく、ときに強く咳こみ、又は咽頭の乾燥感があるもののから咳、気管支炎、気管支喘息、咽頭炎、しわがれ声に適すとされますが、水様痰の多い人には不向きとされる」という内容を「咽頭の乾燥感、咳」のように覚えます。
「漢方は棄て問だ!」というご意見を聞くことがありますが、ここ数年で「漢方薬と生薬が絡む出題が急増しています。「棄て問」として切り捨てるのは危険!三幸医療カレッジの練習問題集には「漢方薬」がわかり、まとめるワークがついています。漢方を捨て問題にしないための勉強時間を確保しておきましょう。
第4章 薬事関係法規・制度
第4章では、「医薬品に関連する法律」について問われます。
法律の文章を理解していくため、単調な学習になりがちで苦手意識を持つ方も多い分野です。このストレスを解消するためには、問題を解きながら引っかけポイントを把握しまとめるといった勉強方法がお勧めです。
例えば、「製造販売業者」と「製造業者」や「都道府県知事」と「厚生労働大臣」などの似通った言葉を入れ替えた正誤問題が多く出題されます。このような引っかけポイントは問題を通じて学び、間違った所をテキストで繰り返し復習するといった学習方法が、合格への近道になるでしょう。
第5章 医薬品の適正使用・安全対策
第5章では、「医薬品の添付文書の読み方」、「副作用情報」、「医薬品副作用被害救済制度」について問われます。
登録販売者に関連する各制度について学んでいきますが、比較的取り組みやすい分野です。また、他の分野との関連が多いのも第5章の特徴ですから、各科目の仕上げとして取り組むのがお勧めです。例えば、添付文書に「使用上の注意」と記載がある成分に関する問題では、第3章で学んだ成分名や副作用の知識が活かされます。全体的には、毎年似通った問題が出題されているため、十分高得点を狙えるでしょう。
第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識
医薬品とアレルギー
▢ 1.医薬品の本質
医薬品は本来、人体にとっては異物であるため、好ましくない反応を生じる場合もあります。
有益な効果は薬効、好ましくない反応は副作用です
▢ 2.情報の伝達
医薬品は、必要な情報が適切に伝達されることを通じて、購入者が適切に使用することにより、その役割を十分に発揮します。
必要な情報は:効能効果、用法用量、副作用などです。
▢ 3.市販後の見直し
医薬品は、市販後にも、医学・薬学等の新たな知見、使用成績等に基づいて、その有効性、安全性等の確認が行われます。
有効性、安全性等の確認の結果により、リスク区分、承認基準の見直しを行います。必要に応じて添付文書、製品表示の記載に反映されます。
▢ 4.医薬品の水準
医薬品は、人の生命や健康に密接に関連するものです。よって高い水準で均一な品質が保証されていなければなりません。
薬事法の規定では、健康被害の発生の可能性の有無にかかわらず、異物などの混入、変質などがあってはならないと定めています。販売業者は、製造販売業者からの情報に注意します。
医薬品の副作用
▢ 5.副作用の分類
医薬品の副作用は、薬理作用によるものと、アレルギー(過敏反応)によるものに大別することができます。
薬理作用は、薬物が生体の生理機能に影響を与えることを言います。
▢ 6.副作用
医薬品は、十分に注意して適正に使用された場合でも、副作用を生じることがあります。
医薬品の作用、副作用はすべて解明されているわけではない、十分注意して適正に使用された場合でも副作用を生じることがあります。よって副作用を初期段階で認識し、適切な対応をする必要があります
▢ 7.副作用の扱い
主作用以外の反応であっても、特段の不都合を生じないものであれば、通常、副作用として扱われることはありません。
副作用は、有害事象であり人体に好ましくないものをいいます。副作用の程度は、軽微なものから重大なものまであります。
▢ 8.副作用の回避
一般用医薬品は、通常は、その使用を中断することによる不利益よりも、重大な副作用を回避することが優先されます。
一般用医薬品は、医療用医薬品に比べ軽微な疾患の症状改善に利用されます。よって使用中断による不利益は少ないので、重大な副作用を回避されることが優先されます。
医薬品とアレルギー
▢ 9.免疫機能とアレルギー
細菌やウイルスなどが人体に入ったとき、免疫機構が過敏に反応して、好ましくない症状が引き起こされることがあります。
アレルギーとは、免疫機構が過敏に反応して、身体の各部位に好ましくない症状が引き起こされることをいいます。
▢ 10.医薬品とアレルギー
医薬品によってもアレルギーが引き起こされることがあります。内服薬だけでなく外用薬などでも引き起こされます
医薬品によるアレルギーは、医薬品の薬理作用とは関係なく起こり得ます。内服薬だけでなく、塗り薬や貼付薬等の外用薬によって、湿疹やかぶれ等の皮膚症状等が引き起こされることがあります。
▢ 11.アレルギー歴
医薬品を使用してアレルギーを起こしたことがある人は、その原因となった医薬品の使用を避ける必要があります。
アレルギーを起こすものとして、過去に原因となった医薬品の使用、医薬品には鶏卵や牛乳等を原材料とするものがあり、使用を避けなければならない場合もあります。
▢ 12.抵抗力の低下とアレルギー
医薬品でアレルギーを起こしたことがない人でも、病気等に対する抵抗力が低下している場合にアレルギーを生じることがあります。
過去に医薬品によるアレルギーを起こしたことがない人でも、病気等に対する抵抗力が低下している場合には、医薬品がアレルゲンになりやすくなり、思わぬアレルギーを生じることがあります。
医薬品の不適切な使用と有害事象
▢ 13.適正な選択と使用
医薬品は、保健衛生上のリスクを伴うものであり、適切な医薬品が選択され、適正な使用がなされなければ、有害事象を招く危険性があります。
医薬品のリスクを避けるためには、疾病の種類や症状等をしっかり判断する必要があります。
▢ 14.医薬品の選択
一般用医薬品を使用しても症状が改善しない場合は、適切な医薬品が選択されていない可能性があります。
一般用医薬品を一定期間または一定量使用しても症状が改善しない場合は、適切な医薬品が選択されていない可能性があります。漫然と使用を続けると、有害事象を招く危険性があります。
▢ 15.乱用による薬物依存
適正に使用される限りは安全で有効な医薬品であっても、乱用された場合には薬物依存を生じることがあります。
適正に使用される限りは安全で有効な医薬品であっても、乱用により薬物依存を生じることがあり、いったん薬物依存が形成されると脱却は容易ではありません。必要以上の大量購入や頻回購入を試みる者には注意が必要です。
▢ 16.青少年と薬物乱用
青少年は、薬物乱用の危険性に関する認識や理解が必ずしも十分でなく、身近に入手できる薬物を興味本位で乱用することがあります。
一般用医薬品にも習慣性・依存性のある成分を含むものがあります。青少年は薬物乱用の危険性についての認識や理解が必ずしも十分でなく、興味本位で乱用することに注意が必要です。
他の医薬品や食品との相互作用
▢ 17.相互作用とは
医薬品を併用したり、特定の食品と一緒に摂取した場合に、医薬品の作用が増強したり減弱したりすることを相互作用といいます。
相互作用により、作用が弱くなり効果が得られない、作用が強く出て副作用が発生することがあります。
▢ 18.成分・作用の重複
かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去痰薬、アレルギー用薬等では、成分や作用が重複することが多い。
かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去痰薬、アレルギー用薬等は成分が重複することが多いので相互作用による副作用の発生が心配されるので、併用には注意が必要です。
▢ 19.アルコールの影響
酒類(アルコール)は、医薬品の吸収や代謝に影響を与えることがあります。
酒類(アルコール)は主に肝臓で代謝されるため、酒類をよく摂取する者は肝臓の代謝機能が高まっていることが多く、体内から医薬品が早く消失して十分な薬効が得られなくなることがあります。
▢ 20.カフェインの過剰摂取
カフェインを含む医薬品とコーヒーを一緒に摂取すると、カフェインの過剰摂取となります。
カフェインやビタミンAなどのように、食品中に医薬品の成分と同じ物質が存在することがあります。それらを含む医薬品と食品を併用すると成分の過剰摂取となることがあるので注意が必要です。
小児と医薬品
▢ 21.医薬品の吸収率
小児は大人と比べて身体の大きさに対して腸が長いため、服用した医薬品の吸収率が高い。
▢ 21.医薬品の代謝・排泄
小児は肝臓や腎臓の機能が未発達なため、医薬品の代謝・排泄に時間がかかります。
小児は肝臓や腎臓の機能が未発達なため、医薬品の成分の代謝・排泄に時間がかかり、作用が強く出すぎたり、副作用がより強く出ることがあります。
▢ 22.年齢に応じた医薬品の使用
小児には、必ず年齢に応じた用法用量が定められている医薬品を使用します。
小児には小児向けの薬を選択:小児には、必ず年齢に応じた用法用量が定められている医薬品を使用しましょう。成人用の医薬品の量を減らして小児に与えるような安易な使用は避けます。
▢ 23.乳児と医薬品
乳児向けの用法用量が設定されている医薬品であっても、一般用医薬品による対処は最小限にとどめるのが望ましい。
乳児は医薬品の影響を受けやすく、また状態が急変しやすい。基本的には医師の診察を受けることが優先され、一般用医薬品による対処は最小限にとどめるのが望ましい。
高齢者と医薬品
▢ 24.生理機能の衰えと医薬品
高齢者は一般に生理機能が衰えつつあり、医薬品の作用が強く現れやすく、副作用を生じるリスクが高くなります。
高齢者は一般に生理機能、特に肝臓や腎臓の機能が低下していると、医薬品の作用が強く現れやすく、若い時と比べて副作用を生じるリスクが高くなります。
▢ 25.高齢者の個人差
高齢者といっても、基礎体力や生理機能の衰えの度合いは個人差が大きい。
高齢者であっても、基礎体力や生理機能の衰えの度合いは個人差が大きく、年齢のみからどの程度リスクが増大しているかを判断するのは難しい。一般用医薬品を販売する際には、個々の利用者の状況を把握し適切な対応をとることが重要です。
▢ 26.高齢者への配慮
高齢者は、医薬品についての説明を理解するのに時間がかかったり、添付文書等の記載を読み取ることが難しい傾向があります。
高齢者は、医薬品の説明を理解するのに時間がかかります。また細かい字が見えづらいために添付文書などを読み取ることが難しいです。情報提供や相談対応において特段の配慮が必要となります。
▢ 27.医薬品の取扱い
高齢者は、服薬時の医薬品の取り扱いが困難だったり、医薬品の取り違えや飲み忘れを起こしやすい傾向があります。
高齢者は、手先の衰えのため医薬品を容器や包装から取り出すことが難しく、また医薬品の取り違えや飲み忘れを起こしやすい傾向があります。医薬品の取り扱いについて家族や周囲の人の協力が重要です。
妊婦、授乳婦と医薬品
▢ 28.安全性の評価
一般用医薬品においては、多くの場合、妊婦が使用した場合における安全性に関する評価が困難です。
一般用医薬品においては、多くの場合、妊婦が使用した場合における安全性に関する評価が困難であるため、妊婦の使用については「相談すること」としているものが多い。
▢ 29.ビタミンA含有製剤と先天異常
ビタミンA含有製剤は、妊娠前後の一定期間に通常の用量を超えて摂取すると、胎児に先天異常を起こす危険性が高まります。
妊娠3ヶ月前から妊娠3ヶ月までの間に、ビタミンA含有製剤を通常の用量を超えて継続的に摂取すると、胎児に先天異常を起こす危険性が高まります。
▢ 30.流産や早産の誘発
便秘薬のように、配合成分や用量によっては流産や早産を誘発するおそれがあります。
便秘薬(潟下薬)を使用すると、腸の急激な動きに刺激されて、流産や早産を誘発するおそれがあります。妊娠または妊娠していると思われる人は、十分に注意して使用するか、または使用そのものを避ける必要があります。
▢ 31.医薬品の乳汁への移行
医薬品の種類によっては、体に吸収された医薬品の成分の一部が乳汁中に移行することが知られています。
授乳中の女性が医薬品を使用すると、医薬品の種類によっては、体に吸収された医薬品の成分の一部が乳汁中に移行することがあり、母乳を介して乳児が医薬品の成分を摂取する場合があります。
医療機関で治療を受けている人
▢ 32.一般用医薬品の使用
医療機関で治療を受けている人が一般用医薬品を使用することによって、その症状が悪化したり、治療が妨げられることがあります。
医療機関で治療を受けている人が一般用医薬品を購入しようとする場合には、注意しましょう。疾患の程度や医薬品の種類等を考慮し、場合によっては一般用医薬品の使用を避けることも必要です。
▢ 33.インターフェロン製剤と小柴胡湯
インターフェロン製剤で治療を受けている人が、小柴胡湯の配合されたかぜ薬を使用すると、相互作用で間質性肺炎を起こすおそれがあります。
▢ 34.腎臓病とアスピリン
腎臓病の治療を受けている人がアスピリンを使用した場合、むくみなどの症状が現れ、腎臓病を悪化させるおそれがあります。
腎臓病の治療を受けている人が、アスピリン、アスピリンアルミニウム、エテンザミド、イブプロフェン、アセトアミノフェンを使用すると、むくみや循環体液量の増加し、腎臓病を悪化させるおそれがあります。
▢ 35.医療機関での治療歴
過去に医療機関で治療を受けていた人が一般用医薬品を購入する場合には、かかっていた疾患等を踏まえて情報提供を行います。
過去に治療を受けていた人に対しては、どのような疾患にいつ頃かかっていたのかなどを確認し、一般用医薬品の使用の可否について適切に判断することができるよう情報提供を行います。
プラセボ効果(偽薬効果)
▢ 36.プラセボ効果とは
医薬品を使用したとき、結果的または偶発的に、薬理作用によらない作用を生じることをプラセボ効果といいます。
プラセボ効果(偽薬効果)は、医薬品を使用したこと自体による楽観的な結果への期待(暗示効果)や、条件付けによる生体反応、時間経過による自然発生的な変化(自然緩解など)などが関与して生じるとされています。
▢ 37.薬理作用とプラセボ効果
通常、医薬品を使用したときにもたらされる反応や変化には、プラセボ効果によるものも含まれています。
医薬品を使用すると薬理作用があらわれるが、プラセボ効果による反応や変化が現れることがあります。
▢ 38.プラセボ効果と副作用
プラセボ効果によってもたらされる反応や変化には、望ましい効果と副作用とがあります。
本来の薬理作用によってもたらされるものと同様、プラセボ効果によってもたらされる反応や変化にも、望ましいもの(効果)と不都合なもの(副作用)とがあります。
▢ 39.プラセボ効果を目的とした使用
初めから本来の効果ではなく、プラセボ効果を目的として医薬品が使用されるべきではありません。
プラセボ効果は、主観的な変化だけでなく、客観的に測定可能な変化として現れることもありますが、不確実であり、それを目的として医薬品が使用されるべきではありません。
医薬品の品質
▢ 40.品質の劣化
医薬品に配合されている成分には、高温や多湿、光(紫外線)等によって品質の劣化を起こしやすいものが多い。
医薬品に配合されている成分(有効成分及び添加物成分)には、高温や多湿、光(紫外線)などによって品質の劣化(変質・変敗)を起こしやすいものが多い。
▢ 41.医薬品の保管・陳列
医薬品は、適切に保管・陳列されないと、効き目が低下したり、人体に好ましくない作用をもたらす物質を生じることがあります。
医薬品が保管・陳列される場所については、清潔性が保たれるとともに、その品質が十分保持される環境となるよう、高温、多湿、直射日光の当たるところに置かれることのないよう注意する必要があります。
▢ 42.使用期限
表示されている「使用期限」は、未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限です。
医薬品に表示されている「使用期限」は、未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限です。保管方法によっては(液剤など)、いったん開封されると、記載されている期日まで品質が保証されない場合があります。
▢ 43.常備薬と使用期限
一般用医薬品は、使用期限から十分な余裕をもって販売されることが重要です。
一般用医薬品は、購入された後、すぐに使用されるとは限らないため、家庭における常備薬として購入されることも多いことから、外箱等に記載されている使用期限から十分な余裕をもって販売される必要があります。
一般用医薬品の役割と対処可能な範囲
▢ 44.一般用医薬品の使用目的
一般用医薬品は、日常において、生活者が自らの疾病の診断、治療、予防をすることなどを目的としています(セルフメディケーション)。
一般用医薬品は、医療機関で治療を受けるほどではない体調の不調や疾病の初期段階、または日常において生活者が自らの疾病の診断、治療、予防、またはQOLの改善・向上を図ることを目的としています。
▢ 45.一般用医薬品の役割
生活の質(QOL)の改善・向上は、一般用医薬品の役割の一つである。
一般用医薬品の役割は、次の6つです。
① 軽度な疾病に伴う症状の改善、② 生活習慣病等の疾病に伴う症状発現の予防、③ 生活の質(QOL)の改善・向上、④ 健康状態の自己検査、⑤ 健康の維持・増進、⑥ その他保健衛生(衛生害虫の防除、殺菌消毒等)
▢ 46.対処可能な範囲
症状が重いときや重度の疾病に一般用医薬品を使用することは、適切な対処とはいえない。
症状が重いとき(高熱や激しい腹痛がある場合、患部が広範囲に及ぶ場合など)や重度の疾病に対して一般用医薬品を使用することは、一般用医薬品の役割からは、適切な対処とはいえない。
▢ 47.医療機関の受診
一般用医薬品を一定期間もしくは一定回数使用しても症状が改善しないまたは悪化したときには、医療機関を受診することが望ましい。
体調の不調や軽度の症状等について、一般用医薬品を使用して対処した場合でも、一定期間もしくは一定回数使用しても症状が改善しないまたは悪化したときには、医療機関を受診して医師の診察を受けることが望ましい。
セルフメディケーション
▢ 48.セルフメディケーションとは
セルフメディケーションとは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする」ことです。
WHOによれば、セルフメディケーションとは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てする」ことで、専門家の適切なアドバイスの下で身近な一般用医薬品を利用することも、その考え方に基づいています。
▢ 49.セルフメディケーションの支援
一般用医薬品の販売に従事する専門家は、購入者に対して正確な情報提供を行い、セルフメディケーションを支援します。
一般用医薬品の販売に従事する専門家には、購入者に対して常に科学的な根拠に基づいた正確な情報提供を行い、セルフメディケーションを適切に支援していくことが期待されています。
▢ 50. 適切な情報提供
情報提供は、必ずしも医薬品の販売に結びつけるのでなく、医薬品の使用によらない対処を勧めることが適切な場合もあります。
情報提供の際、一般用医薬品を販売する専門家は、購入者等のセルフメディケーションについて医薬関係者の一員として共に取り組む姿勢が重要であり、受診勧奨や、医薬品の使用によらない対処を勧めることが適切な場合もあります。
▢ 51.広義のセルフメディケーション
食事と栄養のバランス、睡眠・休養、運動、禁煙などの生活習慣の改善を含めた健康維持・増進全般についてセルフメディケーションという場合もあります。
セルフメディケーションは、一般用医薬品の使用のほか、広義には、食事と栄養のバランス、睡眠・休養、運動、禁煙等の生活習慣の改善を含めた健康維持・増進全般について指すことがあります。
販売時のコミュニケーション
▢ 52.添付文書等の記載
添付文書等の記載は一般的で網羅的な内容であるため、個々の使用者が自分にとって必要な内容を適切に理解することは容易ではない。
添付文書や製品表示に記載されている情報は一般的・網羅的な内容であるため、個々の使用者にとってどの記載内容があてはまり、どの注意書きに留意すべきかなどについて適切に理解することは容易ではない。
▢ 53.購入者による選択
購入者は、あらかじめ購入する医薬品を決めていることも多いが、体質や症状にあっているかを調べて選択しているとは限らない。
あらかじめ購入する医薬品を決めている購入者は、その医薬品が体質や症状等に適しているかを事前に調べて選択しているのではなく、テレビ等の宣伝広告や販売価格等に基づいて漠然と選択していることも少なくない。
主な薬害と薬害訴訟
▢ 54.サリドマイド訴訟
サリドマイド訴訟は、サリドマイド製剤を使用した妊婦の出生児に先天異常が発生したことに対する損害賠償請求です。
サリドマイド訴訟は、催眠鎮静剤等として販売されていたサリドマイド製剤を使用した妊婦の出生児に、四肢欠損、耳の障害などの先天異常(サリドマイド胎芽症)が発生したことに対する損害賠償請求です
和解成立年:1974年
▢ 55.スモン訴訟
スモン訴訟は、キノホルム製剤を使用したことにより、亜急性脊髄視神経症に罹患したことに対する損害賠償請求です。
スモン訴訟は、整腸剤として販売されていたキノホルム製剤を使用したことにより、消化器症状を伴う特異な神経症状を引き起こす亜急性脊髄視神経症に罹患したことに対する損害賠償請求です。
和解成立年:1979年
▢ 56.HIV訴訟
HIV訴訟は、血友病患者がHIVの混入した血液製剤の投与を受けてHIVに感染したことに対する損害賠償請求です。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)訴訟は、血友病患者がHIVが混入した原料血漿から製造された血液製剤(血液凝固因子製剤)の投与を受けたことによりHIVに感染したことに対する損害賠償請求です。
和解成立年:1996年
▢ 57.CJD訴訟
CJD訴訟は、脳外科手術等に用いられていたヒト乾燥硬膜を介してCJDに罹患したことに対する損害賠償請求です。
CJD(クロイツフェルト・ヤコブ病)訴訟は、プリオンに汚染されたヒト乾燥硬膜を脳外科手術で移植された患者がCJDに罹患したことに対する損害賠償請求です。CJDは、認知症に似た症状が現れ、死に至る重篤な神経難病です。
和解成立年:2002年
▢ 58.医薬品選択の確認ポイント1
医薬品の販売等に従事する専門家は、購入者の個々の状況の把握に努めることが重要です。購入者から以下について確認しましょう。
何のためにその医薬品を購入しようとしているか(購入者側の二―ズ、購入の動機)
その医薬品を使用する人は情報提供を受けている当人か、またはその家族が想定されるか
その医薬品を使用する人として、小児や高齢者、妊婦等が想定されるか
その医薬品を使用する人が医療機関で治療を受けていないか
▢ 59.医薬品選択の確認ポイント2
その医薬品を使用する人が過去にアレルギーや医薬品による副作用等の経験があるか
その医薬品を使用する人が相互作用や飲み合わせで問題を生じるおそれのあるものを摂取していないか
その医薬品はすぐに使用される状況にあるか(症状等が現にあるか)
症状がある場合、それはいつ頃からか、その原因や患部等の特定はなされているか
医薬品選択の確認ポイント
▢ 60.医薬品選択の確認ポイント1
医薬品の販売等に従事する専門家は、購入者の個々の状況の把握に努めることが重要です。購入者から以下について確認しましょう。
何のためにその医薬品を購入しようとしているか(購入者側の二―ズ、購入の動機)
その医薬品を使用する人は情報提供を受けている当人か、またはその家族が想定されるか
その医薬品を使用する人として、小児や高齢者、妊婦等が想定されるか
その医薬品を使用する人が医療機関で治療を受けていないか
▢ 61.医薬品選択の確認ポイント2
その医薬品を使用する人が過去にアレルギーや医薬品による副作用等の経験があるか
その医薬品を使用する人が相互作用や飲み合わせで問題を生じるおそれのあるものを摂取していないか
その医薬品はすぐに使用される状況にあるか(症状等が現にあるか)
症状がある場合、それはいつ頃からか、その原因や患部等の特定はなされているか
第2章 人体の働きと医薬品
消化器系
▢ 1.歯の構造
歯は、歯周組織によって上下の顎の骨に固定されており、歯根と歯冠に分けられています。
しそう骨の中に埋没している歯の部分を歯根、口腔内に露出する部分を歯冠といいます。歯冠の表面はエナメル質で覆われ、体で最も硬い部分となっています。
▢ 2.唾液のはたらき
唾液腺から分泌される唾液には、リゾチーム等の殺菌・抗菌物質が含まれている。
唾液は、リゾチーム等の殺菌・抗菌物質を含んでおり、ロ腔粘膜の保護・洗浄、殺菌等の作用もあります。
▢ 3.胃の構造と働き
胃粘膜からは、塩酸である胃酸のほか、ペプシノーゲン等が分泌されています。
胃粘膜の表面には無数の微細な孔があり、胃腺につながって胃酸やペプシノーゲン等を分泌しています。ペプシノーゲンは胃酸によって蛋白質を消化するペプシンとなります。
▢ 4.胃内の内容物
食道から送られてきた内容物は、胃の運動によって胃液と混和され、かゆ状となります。
かゆ状となった内容物は、小腸に送り出されるまでの数時間、胃内に滞留する。滞留時間は、炭水化物主体の食品では比較的短く、脂質分の多い食品では比較的長い。
▢ 5.小腸の構造と働き
小腸は全長6~ 7mの管状の臓器で、十二指腸、空腸、回腸の3部分に分かれます。
胃から送られてきた内容物は、小腸の運動によって、消化液の膵液、胆汁、腸液と混和されながら大腸へ送られ、その間に消化と栄養分の吸収が行われます。
▢ 6.小腸の構造
小腸の内壁には輪状のひだがあり、その粘膜表面は絨毛に覆われています。
十二指腸の上部を除く小腸の内壁には輪状のひだがあり、その粘膜表面は絨毛に覆われてビロード状になっています。
▢ 7.膵臓の働き
膵臓は、炭水化物、蛋白質、脂質を消化するすべての酵素の供給を担っています。
膵臓は胃の後下部にある細長い臓器で、膵液を十二指腸ヘ分泌します。膵液は多くの消化酵素を含み、炭水化物、蛋白質、脂質を消化するすべての酵素の供給を担っています。
▢ 8.胆のうの働き
胆のうは、肝臓で産生された胆汁を濃縮して蓄える器官で、腸管内に胆汁を送り込みます。
胆のうは、胆汁を濃縮して蓄える器官で、十二指腸に内容物が入ってくると、収縮して腸管内に胆汁を送り込みます。
▢ 9.胆汁の働き
胆汁に含まれる胆汁酸塩は、脂質の消化を容易にし、脂溶性ビタミンの吸収を助けます。
腸内に放出された胆汁酸塩の大部分は、小腸で再吸収されて肝臓に戻される(腸肝循環)。また、胆汁には古くなった赤血球や過剰のコレステロールを排出する働きもあります。
▢ 10.肝臓の働き
肝臓では、胆汁を産生するほかに、栄養分の代謝や貯蔵が行われます。
小腸で吸収されたブドウ糖は、血液によって肝臓に運ばれてグリコーゲンとして蓄えられる。皮下組織に蓄えられた脂質も、一度肝臓に運ばれてから代謝されます。
▢ 11.肝臓の働き
肝臓では、生体に貯留すると有害な物質の無毒化、代謝が行われます。
肝臓は、生体に有害な物質を、肝細胞内の酵素系の働きで代謝して無毒化し、または体外に排出されやすい形にします。
▢ 12.大腸の働き
大腸は、盲腸、虫垂、結腸、直腸からなる管状の臓器で、内壁粘膜に絨毛はありません。
大腸は、盲腸、虫垂、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸からなる管状の臓器で、内壁粘膜に絨毛がない点で小腸と区別されます。大腸では消化はほとんど行われません。
呼吸器系
▢ 13.呼吸器系の構造
呼吸器系は、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺からなります。
鼻腔から気管支までを気道といい、そのうち、咽頭、喉頭までを上気道、気管から気管支、肺までを下気道といいます。
▢ 14.鼻汁の働き
鼻汁は、吸った空気を湿らせたり粘膜を保護するため、常に少しずつ分泌されています。
鼻汁にはリゾチームが含まれ、気道の防御反応の一つとなっています。かぜやアレルギーのときなどには、防御反応として大量に鼻汁が分泌されます。
▢ 15.扁桃の働き
扁桃は、リンバ組織が集まってできており、細菌、ウィルス等への免疫反応が行われます。
扁桃は咽頭の後壁にあり、気道に侵入してくる細菌、ウィルス等に対する免疫反応が行われます。
リンパ組織には白血球の一種であるリンパ球が密集する組織です。
▢ 16.気管と気管支
気道が肺へ分岐するまでを気管、肺の中で複数に枝分かれする部分を気管支といいます。
喉頭から肺へ向かう気道が左右の肺へ分岐するまでの部分を気管といい、そこから肺の中で複数に枝分かれする部分を気管支といいます。
▢ 17.肺でのガス交換
肺は、肺胞の壁を介して、外気中の酸素と血液中の二酸化炭素のガス交換を行います。
肺では、肺胞の壁を介して、心臓から送られてくる血液から二酸化炭素が肺胞気中に拡散し、代わりに酸素が血液中の赤血球に取り込まれるガス交換が行われます。
▢ 18.肺での呼吸運動
肺自体には肺を動かす筋組織がないため、自力で膨らんだり縮んだりできない。
肺自体には肺を動かす筋組織がないため、横隔膜や肋間筋によって拡張・収縮して呼吸運動が行われています。
循環器系
▢ 19.心臓の構造と働き
心臓は心筋でできた握りこぶし大の袋状の
臓器で、内部は上部左右の心房、下部左右の心室の4つの空洞に分かれています。
心臓は心筋でできた握りこぶし大の袋状の臓器で、胸骨の真下に位置し、血液を循環させるボンプの役割をしています。また、心房で血液を集めて心室に送り、心室から血液を拍出しており、このような心臓の働きを拍動といいます。
▢ 20.血液の流れとガス交換
血液は、心臓の右側部分から肺へ送り出され、肺でガス交換が行われて心臓の左側部分に入り、全身に送り出されます。
心臓の右側部分(右心房、右心室)は、全身から集まってきた血液を肺へ送り出します。肺でのガス交換が行われた血液は、心臓の左側部分(左心房、左心室)に入り、そこから全身に送り出されます。
▢ 21.血液
血液は血漿と血球からなり、酸素や栄養分を全身の組織に供給し、二酸化炭素や老廃物を排泄器官へ運ぶ等の働きをします。
血球には、赤血球、白血球、血小板があります。
▢ 22.血球
赤血球は、血液全体の約40%を占め、ヘモグロビンを含みます。
白血球は、体内に侵入した細菌やウイルス等から身体を防御します。
血小板は、損傷した血管からの血液の流出を抑えます。
▢ 23.血漿の成分
血漿は90%以上が水分からなり、アルブミン、グロブリン等の蛋白質のほか、微量の脂質、糖質、電解質を含みます。
アルブミンは、主に血液の浸透圧を保持する働きをし、脂質(中性脂肪、コレステロール等)は、血漿中の蛋白質と結合してリポ蛋白質を形成し、血漿中に分散しています。血液のねんちょう性は、主に血漿の水分量や赤血球の量で決まります。
泌尿器系
▢ 24.腎臓の構造
腎臓は、横隔膜の下、背骨の左右両側に位置する一対の空豆状の臓器で、尿管、動脈、静脈、リンパ管等がつながっています。
腎臓に入る動脈は細かく枝分かれして、毛細血管が小さな球状になった糸球体を形成する。その外側を袋状のボウマン嚢が包み込んでおり、これを腎小体といいます。
▢ 25.腎臓の働き
腎臓では、血液中の老廃物を除去するほか、水分及び電解質(特にナトリウム)の排出調整が行われています。
腎臓では、血液中の老廃物の除去のほか、水分及び電解質(特にナトリウム)の排出調整が行われており、血液の量と組成を維持して血圧を一定範囲内に保つ上でも重要な役割を担っています。
▢ 26.副腎の構造と働き
副腎は、左右の腎臓の上部にそれぞれ附属し、皮質と髄質の2層構造からなっています。
副腎皮質では、コルチゾールやアルドステロン等の副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモンともいう)が産生・分泌されます。副腎髄質では、自律神経系に作用するアドレナリンとノルアドレナリンが産生・分泌されます。
▢ 27.膀胱と尿道
高齢者では、膀胱や尿道の括約筋の機能が低下し、また膀胱の容量が小さくなるため、尿失禁を起こしやすくなります。
尿が膀胱に溜まると脳に刺激が伝わって尿意が生じます。膀胱の出口にある膀胱括約筋が緩むと膀胱壁の排尿筋が収縮し、尿が尿道へと押し出される。高齢者では、膀胱や尿道の括約筋の機能が低下し、また膀胱の容量が小さくなるため、尿失禁を起こしやすくなります。
感覚器系
▢ 28.目 眼球
角膜と水晶体の間は組織液(房水)で満たされ、角膜に一定の圧(眼圧)を生じさせています。
透明な角膜や水晶体には血管が通っておらず、房水によって栄養分や酸素が供給されています。水晶体の前には虹彩があり、瞳孔を散大・縮小させて眼球内に入る光の量を調整しています。水晶体から網膜までの眼球内は、硝子体という透明のゼリー状組織で満たされています。
▢ 29.網膜と視神経
網膜には光を受容する視細胞が密集しています。視細胞は神経線維につながり、それが束になって眼球の後方で視神経となります。視細胞には、色を識別する細胞と、わずかな光でも敏感に
反応する細胞の二種類があります。光を感じる反応にはビタミンAが不可欠であるため、ビタミンAが不足すると夜間視力の低下(夜盲症)が生じることがあります。
▢ 30.涙液の働き
涙液は、目に入った異物を洗い流すほかに、角膜に酸素や栄養分を供給したり、角膜や結膜を感染から防御する働きをします。
涙液の主な働きには、①目に入ったゴミやほこり等の異物や化学物質を洗い流す、②角膜に酸素や栄養分を供給する、③角膜や結膜で生じた老廃物を洗い流す、④角膜の表面を滑らかに保つ、⑤涙液中のリゾチームや免疫グロブリン等によって角膜や結膜を感染から防御する、などがあります。
▢ 31.眼精疲労
ストレス、睡眠不足、栄養不良などの要因により、慢性的な目の疲れ、肩こり、頭痛等の全身症状を伴うものを眼精疲労といいます。
生理的な疲れ目(目のかすみや充血、痛み等)ではなく、合わないメガネやコンタクトレンズの使用、ストレス、睡眠不足、栄養不良などの要因により、慢性的な目の疲れ、肩こり、頭痛等の全身症状を伴うものを眼精疲労といいます。
▢ 32.鼻腔
鼻腔は、薄い板状の軟骨と骨でできた鼻中隔によって左右に仕切られています。鼻腔は粘膜で覆われ、線毛があります。
鼻腔は、薄い板状の軟骨と骨でできた鼻中隔によって左右に仕切られています。鼻中隔の前部は、毛細血管が豊富に分布しており、さらに粘膜が薄いため傷つきやすく、鼻出血(鼻血)を起こしやすいです。
▢ 33.鼻炎
鼻腔の粘膜に炎症を起こして腫れた状態を鼻炎といい、鼻汁過多や鼻閉(鼻づまり)などの症状を生じます。
鼻腔の粘膜に炎症を起こして腫れた状態を鼻炎といい、鼻腔内に付着したウイルスや細菌感染によつて生じるもの、ハウスダストや花粉等のアレルゲン感染に対する過敏反応によって起こるものなどがあります。
▢ 34.副鼻腔
鼻の周囲の骨内には、鼻腔に隣接した目と目の間などにいくつもの空洞があり、それらを総称して副鼻腔といいます。
鼻の周囲の骨内には、鼻腔に隣接した目と目の間、額部分、頬の下、鼻腔の奥に空洞があり、それらを総称して副鼻腔といいます。これらはいずれも、細い管で鼻腔とつながっています。
▢ 35.副鼻腔炎
鼻粘膜の炎症が副鼻腔にも及んだものを副鼻腔炎といい、慢性のものは一般に蓄膿症と呼ばれます。
副鼻腔に入った埃等の粒子は粘液で捉えられ、線毛の働きによって鼻腔内へ排出されるが、鼻腔とつながる管は細いため、鼻腔粘膜が腫れると副鼻腔の開口部がふさがりやすくなり、副鼻腔炎を生じることがあります。
▢ 36.耳の構造と働き
耳は、聴覚情報と平衡感覚を司る器官で、外耳、中耳、内耳からできています。
音波は外耳、中耳、内耳の働きによって電気信号(神経インパルス)に変換されて脳に伝えられ、脳で音として認識されます。内耳は、体のバランスを保つ機能にもかかわっています。
▢ 37.外耳の構造と働き
外耳のうち、側頭部から突出して音を集める部分を耳介といい、そこから鼓膜まで音を伝える部分を外耳道といいます。
耳介は軟骨組織が皮膚で覆われたもので、外耳道の軟骨部に連なっています。軟骨部には耳毛が生えていて、埃などが入ることを防いでいます。また、外耳道にある耳垢腺じこうせん(汗腺の一種)や皮脂腺からの分泌物に埃や老廃物などが混じって耳垢(耳あか)となります。
▢ 38.中耳の構造と働き
中耳は、外耳道を伝わってきた音を内耳ヘ伝導する部分で、鼓膜、鼓室、耳小
骨、耳管からなっています。
外耳道から伝わった音は鼓膜を振動させ、鼓室内の3つの耳小骨により増幅されて内耳へ伝導されます。耳管は中耳と鼻腔や咽頭を結ぶ細い管で、小さな子供では短くて水平に近いため、鼻腔からウイルスや細菌の感染が起こりやすい。
▢ 39.内耳の構造と働き
内耳は、聴覚器官である蝸牛と、平衡器官である前庭、半規管からできています。
蝸牛は渦巻き形の器官で、内部はリンパ液で満たされています。中耳の耳小骨から伝わる振動でリンパ液が震え、その振動が内耳の小突起を揺らし聴神経が刺激されます。
前庭は水平・垂直方向の加速度を感知する器官で、耳石を有しています。半規管は回転加速度を感知します。どちらも蝸牛と連続するリンパ液で満たされており、リンパ液の動きが平衡感覚として感知さます。
運動器官
▢ 40.皮膚の構造
皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3層構造からできています。
表皮は、角質層と表皮細胞の層があります。角質層は皮膚のバリア機能を持ち、肥厚するとたこやうおのめができます。
真皮は、表皮の内側にあり、皮膚に弾力と強さを与えます。
皮下組織は、真皮の下にある皮下脂肪層です。熱や寒き、衝撃から体を守るほか、脂質としてエネルギーを蓄えます。
付属器官として汗腺があり、エクリン腺とアポクリン腺の2種類です。
▢ 41.皮膚の機能
皮膚の主な機能は、身体の維持と保護、体水分の保持、熱交換、外界情報の感知です。
身体の維持と保護は、体表面を包み、体形を維持し保護します。
体水分の保持は、体の水分が体外に蒸発しないよう、また水分が体内に浸透しないように遮断します。
熱交換は、外界と体内の熱をやり取りし、体温を一定に保ちます。
外界情報の感知は、触覚、圧覚、痛覚、温度感覚等を得ます。
▢ 42.皮膚と微生物
ヒトの皮膚の表面には常に一定の微生物が付着しており、病原菌から守っています。
ヒトの皮膚の表面には常に一定の微生物が付着しており、それらの微生物の存在によって皮膚の表面での病原菌の繁殖が抑えられ、また病原菌の体内への侵入が妨げられています。
▢ 43.メラニン色素
皮膚の色は、表皮や真皮に沈着したメラニン色素によるものです。
メラニン色素は、表皮の最下層にあるメラノサイトで産生され、紫外線から皮膚組織を防護します。防護能力を超える紫外線にさらされると、皮膚に炎症が生じます。
▢ 44.骨の基本構造
骨は体の器官のうち最も硬い組織の一つです。その基本構造は、骨質、骨膜、骨髄、関節軟骨の4組織からできています。
骨の基本構造は、主部となる骨質、骨質表面を覆う骨膜、骨質内部の骨髄、骨の接合部にある関節軟骨の4組織からできています。
▢ 45.骨の機能
骨には、身体各部の支持機能、臓器の保護機能、運動機能、造血機能、貯蔵機能があります。
骨には、身体各部の支持機能、頭部や内臓などの身体各部を支持する機能、臓器の保護機能、骨格内に臓器を収め、保護する機能、運動機能、骨格筋の収縮を効果的に体躯の運動に転換する機能、造血機能、骨髄で産生される造血幹細胞から赤血球、白血球、血小板が分化することにより体内に供給する機能、貯蔵機能、カルシウムやリン等の無機質を蓄える機能があります。
▢ 46.骨の新陳代謝
骨は生きた組織で、成長が止まった後も一生を通じて破壊(吸収)と修復(形成)が行われています。
骨は生きた組織で、骨吸収と骨形成が相互に密接な連絡を保ちながら進行し、これが繰り返されることによって骨の新陳代謝が行われます。骨組織を構成する無機質は骨に硬さを与え、有機質は骨の強靭さを保つ働きをします。
▢ 47.関節
関節とは、狭義には、複数の骨が互いに運動できるように連結したものを指し、これを可動関節といいます。
関節とは、広義には骨と骨との連接全般を意味するが、狭義には可動関節を指します。骨の関節面は弾力性のある柔らかい軟骨層(関節軟骨)に覆われており、衝撃を和らげて関節の動きを滑らかにしています。
▢ 48.筋組織の分類
筋組織は、筋細胞(筋線維)とそれらをつなぐ結合組織からなり、骨格筋、平滑筋、心筋に分類されます。
筋組織は、その機能や形態によって、骨格筋、平滑筋、心筋に分類され、このうち運動器官とされるのは骨格筋です。骨格筋の筋線維には横じま模様(横紋)が見られることから、横紋筋とも呼ばれます。
▢ 49.骨格筋
骨格筋は、収縮力が強く、自分の意識どおりに動かすことができる随意筋であるが、疲労しやすく、長時間の動作は難しい。
骨格筋は随意筋であり、自分の意識どおりに動かすことができるが、疲労しやすい。骨格筋の疲労は、エネルギー源であるグリコーゲンが減少し、酸素や栄養分の供給が不足するとともに、グリコーゲンの代謝に伴って生成する乳酸が蓄積することにより筋組織の収縮性が低下して起こります。
▢ 50.平滑筋
平滑筋は、意識的にコントロールすることができない不随意筋で、筋線維には骨格筋のような横縞模様は見られない。
平滑筋は、消化管壁、血管壁、膀胱等に分布する筋組織で、比較的弱い力で持続的に収縮する特徴があります。自分の意識どおりに動かすことのできない不随意筋です。
筋組織は神経からの指令によつて収縮するが、随意筋は体性神経系で支配され、不随意筋は自律神経系に支配されています。
▢ 51.心筋
心筋は、意識的にコントロールすることができない不随意筋ですが、筋線維には骨格筋のような横縞模様が見られます。
心筋は、心臓壁にある筋層を構成する筋組織で、強い収縮力と持久力を持っています。筋線維には骨格筋のような横縞模様が見られますが、自分の意識どおりに動かすことのできない不随意筋です。
脳・神経系
▢ 52.中枢神経系
中枢神経系は脳と脊髄からなり、延髄でつながっています。
脳と脊髄は延髄でつながっています。延髄には心拍数を調節する心臓中枢、呼吸を調節する呼吸中枢等があり、多くの生体の機能を制御しています。
▢ 53.脳の働き
脳は、記憶、情動、意思決定や自律神経系などの調節を行っています。
脳は、記憶、情動、意思決定等の働きを行っています。また脳の下部には、自律神経系、ホルモン分泌等の様々な調節機能を担っている部位があります。
▢ 54.脊髄
脊髄は脊椎の中にあり、脳と末梢の間で刺激を伝えます。
脊髄は、末梢からの刺激の一部に対して脳を介さずに刺激を返す場合があり、これを脊髄反射と呼びます。
▢ 55.末梢神経系
末梢神経系は、体性神経系と自律神経系に分類され、自律神経系は交感神経系と副交感神経系からなってます。
交感神経系と副交感神経系は、互いに拮抗して働いています。一方が活発になっているときには他方は活動を抑制して、効果器を制御しています。
薬の吸収と代謝
▢ 56.消化管での吸収
消化管で吸収された医薬品の成分は、消化管の毛細血管から血液中に移行します。
消化管で吸収された医薬品の成分は、消化管の毛細血管から血液中に移行し、門脈を経由して肝臓に入ります。
▢ 57.代謝
循環血液中に移行した医薬品の成分は、主に肝細胞内の酵素系の働きで代謝を受けます。
医薬品の成分は、ほとんどの場合、血液中で血漿蛋白質と結合した複合体を形成する。その分子には酵素が作用しないため、一度に代謝されることはなく、徐々に代謝されます。
▢ 58.皮膚に用いる医薬品
塗り薬、貼り薬等の皮膚に用いる医薬品は、有効成分が皮膚から浸透して作用します。
皮膚に用いる医薬品は、通常、循環血液中へ移行する量は比較的少ないが、肝臓で代謝を受けることなく血流に乗って全身へ巡るため、全身作用が現れることがあります。
▢ 59.腎臓の機能と副作用
腎臓の機能が低下した状態にある人では、医薬品の効き目が強すぎたり、副作用を生じやすくなります。
循環血液中に移行した医薬品の成分は、未変化体またはその代謝物が腎臓で濾過されるため、腎臓の機能が低下している人では医薬品の成分が循環血液中に存在する時間が遷延し、効き目が強すぎたり、副作用を生じやすくなります。
▢ 60.医薬品の血中濃度
一度に多量の医薬品を摂取するなどして医薬品の血中濃度を高くしても、ある濃度以上になると薬効は頭打ちになります。
一度に多量の医薬品を摂取したり、適切な間隔をあけずに追加摂取して医薬品の血中濃度を高くしても、ある濃度以上で薬効は頭打ちになり、むしろ有害な作用(毒性)が現れやすくなります。
剤型ごとの違いと適切な使用方法
▢ 61.錠剤(内服)
錠剤(内服)は、胃、腸等で崩壊して有効成分が溶け出し、薬効をもたらします。
錠剤(内服)は、胃、腸等で崩壊して薬効をもたらす剤型で、口中で噛み砕いて服用することは適切ではありません。
▢ 62.錠剤(口腔用)
錠剤(口腔用)は、口腔内で溶かして用いる剤型で、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、 トローチ等に分類されます。
口腔内崩壊錠は、唾液によって速やかに溶けるため、水なしでも服用できます。
チュアブル錠は、なめたり噛み砕いたりして服用するもので、水なしでも服用できます。
トローチ、ドロップは、口中や喉に作用をもたらすものが多く、飲み込まずに徐々に溶かして使用します。
▢ 63.内服液剤
内服液剤は、固形製剤よりも飲みやすく、服用後、速やかに消化管から吸収されます。
内服液剤は、循環血液中の成分濃度が上昇しやすいため、本来の目的以外の不適正な使用がなされることがあります。
▢ 64.カプセル剤
カプセル剤を水なしで服用すると、ゼラチンが喉や食道に貼り付くことがあります。
カプセルの原材料であるゼラチンはブタなどの蛋白質であるため、アレルギーを持つ人は使用を避けましょう。
▢ 65.外用局所に適用する剤型
外用薬には、軟膏剤、クリーム剤、液剤、貼付剤、噴霧剤等があります。
軟膏剤、クリーム剤は、有効成分が適用部位にとどまりやすいです。
液剤は、表面が乾きやすい。直接的な刺激感を与えることがあります。
貼付剤は、薬効が持続します。かぶれなどが起こることがあります。
噴霧剤は、手指で塗りにくい部位や広範な部位に用います。
全身的に現れる副作用
▢ 66.ショック(アナフィラキシー)
ショック(アナフィラキシー)は、発症後の進行が非常に速い(2時間以内)ので、直ちに医療機関を受診し、救急救命措置をとります。
アナフィラキシー様症状は、その原因がアレルギーかどうかはっきりしないときのもちいられます。
ショック(アナフィラキシー)は、医薬品の成分に対する即時性の過敏反応(アレルギー)であります。発生頻度は低いですが、以前にその医薬品の使用によって尋麻疹等のアレルギーを起こしたことがある人では、起きるリスクが高いです。
▢ 67.皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)
皮膚粘膜眼症候群では、高熱を伴い、発疹、発赤、火傷様の水疱等の激しい症状が、全身の皮膚、口、目の粘膜に現れます。
皮膚粘膜眼症候群(SJS)では、38°C以上の高熱を伴う激しい症状が、比較的短期間に現れます。発生は非常にまれだが、発症機序の詳細は不明で、関連すると思われる医薬品の種類も多いため、発症を予測することは困難です。
▢ 68.中毒性表皮壊死症(ライエル症候群)
中毒性表皮壊死症は、高熱を伴い、火傷様の水疱等広範囲にわたる皮膚症状や目の症状が現れる重篤な皮膚疾患です。
中毒性表皮壊死症(TEN)の主な症状は、高熱(38℃以上)、広範囲の皮膚の発赤、目の充血、目やに、排尿・排便時の痛み、喉の痛みであり、症例の多くが皮膚粘膜眼症候群(SJS)の進展型とみられています。
▢ 69.肝機能障害
医薬品により生じる肝機能障害には、医薬品の肝毒性による中毒性のもの、特定の体質で現れるアレルギー性のものがあります。
医薬品により生じる肝機能障害には、医薬品の成分または代謝物の肝毒性による中毒性のものと、特定の体質で現れるアレルギー性のものがあります。主な症状は、全身の倦怠感、黄疸のほか、発熱、発疹、皮膚の掻痒感、吐き気などがあります。
▢ 70.偽アルドステロン症
偽アルドステロン症は、体内に塩分(ナトリウム)と水が貯留し、体からカリウムが失われたことに伴う症状です。
副腎皮質からのアルドステロン分泌が増えていないにもかかわらず、アルドステロンが増えたような症状を生じることから、偽アルドステロン症と呼ばれています。主な症状は、尿量の減少、血圧上昇、筋肉痛等で、進行すると、起立不能、歩行困難、痙攣等を生じます。
▢ 71.病気等に対する抵抗力の低下
医薬品の使用により血液中の白血球が減少し、病気等に対する抵抗力が弱くなり、突然の高熱等の症状を生じることがあります。
医薬品の使用により血液中の白血球(好中球)が減少すると、病気等に対する抵抗力が弱くなり、突然の高熱、悪寒、倦怠感等の症状を生じることがあります。進行すると重症の細菌感染を繰り返し、致命的となるおそれもあります。
精神神経系に現れる副作用
▢ 72.精神神経障害
医薬品の作用によって中枢神経系が刺激され、物事に集中できない、不眠、不安、震え、興奮等の症状を生じることがあります。
医薬品の多量服用や長期連用、適用外の乳幼児への使用等の不適正な使用がなされた場合に限らず、使用した人の体質等により通常の使用でも発生します。症状が現れた場合には、原因と考えられる医薬品の使用を中止します。
▢ 73.無菌性髄膜炎
医薬品の副作用として、無菌性髄膜炎が生じることがあります。膠原病の基礎疾患がある人で発症するリスクが高くなります。
無菌性髄膜炎は、ウイルスが原因で起きる場合が多いが、医薬品の副作用としても生じることがあります。多くの場合、発症は急性で、首筋のつっぱりを伴った激しい頭痛、発熱、吐き気・嘔吐、意識混濁等の症状が現れます。
体の局所に現れる副作用
▢ 74.消化性潰瘍
消化性潰瘍は、医薬品の作用により胃や十二指腸の粘膜が障害され、組織が損傷した状態で、胃もたれ、胃痛等が生じます。
消化性潰瘍では、胃のもたれ、食欲低下、胸やけ、胃痛、消化管出血に伴つて糞便が黒くなるなどの症状を生じます。長期連用のほか、併用すべきでない医薬品やアルコールとの併用等の不適正な使用が原因で起きる場合が多いです。
▢ 75.イレウス様症状(腸閉塞様症状)
腸内容物の通過が阻害された状態をイレウスといい、小児や高齢者のほか、普段から便秘傾向のある人は発症のリスクが高いです。
腸管自体は閉塞を起こしていなくても、医薬品の作用によって腸管運動が麻痺して腸内容物の通過が妨げられると、激しい腹痛や嘔吐、著しい便秘が生じます。悪化すると激しい嘔吐が起こり、脱水症状や全身状態の衰弱が起こります。
▢ 76.間質性肺炎
気管支または肺胞で起こる通常の肺炎に対し、間質で起きた肺炎を間質性肺炎といいます。息切れ等の呼吸困難、空咳、発熱等が生じます。
間質とは、肺の中で肺胞と毛細血管を取り囲んで支持している組織で、間質性肺炎を起こすとガス交換率が低下して血液に酸素が十分取り込めずに低酸素状態となります。悪化すると肺線維症となる場合があります。
▢ 77.喘息
医薬品の使用により起こる喘息は、使用後1時間以内に鼻水、鼻づまりが起こり、咳、喘鳴、呼吸困難を生じ、次第に悪化します。
通年性鼻炎等の鼻の疾患がある人、成人後に喘息を発症した人、季節に関係なく喘息発作が起きる人で発症しやすいです。軽症では半日程度で症状は寛解しますが、重症では24時間以上続き、意識消失や呼吸停止等の危険性もあります。
▢ 78.鬱血性心不全
鬱血性心不全では、拍動のリズムが乱れ、めまい、立ちくらみ、全身のだるさ(疲労感)、動悸、息切れなどの症状が現れます。
鬱血性心不全では、心臓の自動性が低下して拍動のリズムが乱れます。代謝機能の低下によって発症するリスクが高まるとされています。腎機能や肝機能の低下、併用薬との相互作用等に留意し、特に高齢者においては配慮が必要です。
▢ 79.腎障害
医薬品の副作用により腎臓に障害を起こすと、ほとんど尿が出なくなったり、逆に一時的に尿が増えることがあります。
医薬品の副作用による腎障害では、尿の減少、一時的な尿の増量、尿の濁り、血尿、倦怠感、発疹、吐き気、発熱などの症状を生じます。これらの症状が現れたときは、医薬品の使用を中止して、速やかに医師の診察を受ける必要があります。
▢ 80.排尿障害
副交感神経系を抑制する成分が配合された医薬品の使用によって膀胱の括約筋の収縮が抑制され、排尿障害を起こすことがあります。
副交感神経系を抑制する成分が配合された医薬品によって膀胱の括約筋の収縮が抑制されると、尿が出にくい、残尿感等の症状を生じ、さらに進行すると尿が全く出なくなり尿閉となります。下腹が腫れて激しい痛みを起こすことがあります。
▢ 81.眼圧上昇
抗コリン作用のある成分が配合された医薬品の使用によって眼圧上昇が誘発され、急激な視力低下を起こすことがあります。
抗コリン作用のある成分が配合された医薬品の使用によって眼圧上昇(急性緑内障発作)が誘発されることがあります。眼圧上昇に伴って、頭痛や吐き気・嘔吐等の症状が現れることもあり、もともと緑内障がある場合には注意が必要です。
▢ 82.接触皮膚炎
接触皮膚炎は、医薬品が触れた部分の皮膚にのみ生じ、正常な皮膚との境目がはっきりしているのが特徴です。
接触皮膚炎は、外用薬や化学物質等に皮膚が敏感に反応し、強い痒みを伴う発疹等の炎症症状が現れるもので、アレルギー性と刺激性に大別されます。通常は1週間程度で症状は治まりますが、再びその医薬品と接触すると再発します。
▢ 83.光線過敏症
光線過敏症の症状は、医薬品が触れた部分だけでなく、光が当たった部分の皮膚から全身へ広がり重篤化することがあります。
光線過敏症は、太陽光線(紫外線)にあたった部分がかぶれ症状を起こすもので、貼付剤では剥がした後でも発症することがあります。皮膚に医薬品が残らないように洗い流し、患部を遮光して速やかに医師の診療を受ける必要があります。
▢ 84.薬疹
医薬品を使用した後に発疹・発赤等の症状が現れた場合には、まず薬疹の可能性を考慮します。
薬疹はあらゆる医薬品で起きる可能性があります。同じ医薬品でも生じる発疹型は様々であり、赤い大小の斑点(紅斑)、小さく盛り上がつた湿疹(丘疹)のほか、水疱を生じることもあります。尋麻疹以外では痒みはわずかです。
▢ 85.薬疹
以前に医薬品(内服薬に限らない)を使用して薬疹を起こしたことのある人は、同種の医薬品の使用を避ける必要があります。
薬疹は多くの場合、原因となった医薬品の使用を中止すれば、症状は次第に寛解しますが、軽度の薬疹で済んだ人でも、再度同種の医薬品を使用した場合には、ショック(アナフィラキシー)等の重篤な副作用を生じるおそれがあります。
第3章の1 主な医薬品とその作用
かぜと風邪薬のはたらき
▢ 1.かぜの発症
かぜは、かぜ症候群という、主にウイルスが鼻や喉などに感染して起こる様々な症状の総称です。
かぜの原因のほとんどはウイルスの感染であるが、細菌の感染や、まれに冷気や乾燥、アレルギーのような非感染性の要因による場合もある。生体の免疫機構によリウイルスが排除されれば、通常は数日から1週間程度で自然に治癒します。
▢ 2.かぜの症状
かぜの症状は、くしゃみ、鼻汁、鼻 閉、咳、痰等の呼吸器症状、発熱、頭痛、関節痛等の全身症状が組み合わさって現れます。
かぜの症状には、ほかに咽頭痛や全身僧怠感などがあります。かぜとよく似た症状が現れる疾患は、喘息、アレルギー性鼻炎、リウマチ熱、関節リウマチ、肺炎、肺結核、髄膜炎、急性肝炎、尿路感染症等多数あります。
▢ 3.かぜ薬の働き
かぜ薬は、総合感冒薬とも呼ばれ、咳で眠れなかったり、発熱で体力を消耗しそうなときに諸症状の緩和を目的として使用されます。
かぜ薬は、ウイルスの増殖を抑えたり、体内から取り除くものではなく、かぜ薬の使用は対症療法です。発熱、咳、鼻水など症状がはっきりしている場合には、それぞれ解熟鎮痛薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用内服薬を選択することが望まれます。
▢ 4.かぜ薬の配合成分
総合感冒薬は、解熱鎮痛成分、くしゃみや鼻汁を抑える成分、鎮咳成分、去痰成分など複数の有効成分が配合されています。
かぜ薬は、通常、複数の有効成分が配合されているため、他のかぜ薬や解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用薬、アレルギー用薬、鎮静薬などが併用されると、同じ成分または同種の作用を持つ成分が重複して、効き目が強すぎたり、副作用が起こりやすくなるおそれがあります。
風邪薬の配合成分
▢ 5.解熱鎮痛成分
かぜ薬に配合される解熱鎮痛成分には、アスピリン、サリチルアミド、エテンザミド、アセトアミノフェン、イブプロフェン等があります。
アスピリンは、小児にはいかなる場合も使用しない。サリチルアミド、エテンザミドは、水痘またはインフルエンザにかかっている15歳未満の小児には使用を避け、アセトアミノフェンや生薬成分からなる製品を選択します。
▢ 6.くしゃみや鼻水を抑える成分
かぜ薬に配合される抗ヒスタミン成分や抗コリン成分には、くしゃみや鼻水を抑える働きがあります。
抗ヒスタミン成分には、マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸カルビノキサミン、メキタジン、フマル酸クレマスチン、塩酸ジフェンヒドラミン等があるが、眠気や口渇の副作用に注意します。抗コリン成分として、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドが配合されています。
▢ 7.アドレナリン作動成分
かぜ薬に配合されるアドレナリン作動成分には、鼻粘膜の充血を和らげ、気管、気管支を広げる働きがあります。
アドレナリン作動成分には、塩酸メチルエフェドリン、メチルエフェドリンサッカリン塩、塩酸プソイドエフェドリン等がある。生薬成分のマオウが配合されていることがありますが、いずれも、依存性があることに留意します。
▢ 8.鎮咳成分
かぜ薬に配合される鎮咳成分には、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、臭化水素酸デキストロメトルフアン等があります。
鎮咳成分には、ほかにノスカピン、ヒベンズ酸チペピジン、塩酸クロペラスチン等があります。リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデインには依存性があり、また胃腸の運動を低下させる作用も示し、副作用として便秘が現れることがあります。
▢ 9.痰の切れを良くする成分
かぜ薬に配合される去痰成分には、フェネシン、塩酸ブロムヘキシン、チルシステイン等があります。
去痰成分には、ほかにグアヤコールスルホン酸カリウム、生薬成分のシャゼンソウ、セネガ、キキョウ、セキサン、オウヒ等があります。セネガは糖尿病の検査値に影響を生じることがあるので注意します。
▢ 10.抗炎症成分
かぜ薬に配合される塩化リゾチーム、セラペプターゼ等の抗炎症成分には、鼻粘膜や喉の炎症による腫れを和らげる働きがあります。
抗炎症成分には、ほかにセミアルカリプロティナーゼ、ブロメライン、グリチルリチン酸三カリウム、 トラネキサム酸等がある。塩化リゾチームは、組織の修復に寄与して、気道粘膜の線毛運動を促進させて痰の排出を容易にします。鶏卵アレルギーがある人では使用を避ける必要があります。
▢ 11.抗炎症成分
抗炎症成分であるブロメライン、セミアルカリプロティナーゼは、蛋白質分解酵素であり、炎症物質を分解する作用を示します。
ブロメライン、セミアルカリプロティナーゼは、フィブリノゲンやフィブリンを分解する作用もある。血液凝固異常の症状(出血傾向)のある人では出血傾向を悪化させるおそれがあり、注意が必要です。
漢方処方製剤(風邪薬)
▢ 12.葛根湯
葛根湯は、かぜの初期症状に対して用いられ、頭痛、肩こり、筋肉痛、手足や肩の痛みに適している。
葛根湯は、構成生薬として、カンゾウ、マオウを含む。虚弱な人、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れやすい。また、重篤な副作用として肝機能障害を生じることがあります。
▢ 13.麻黄湯
麻黄湯は、かぜの初期症状に対して用いられ、寒気、発熱、頭痛、ふしぶしの痛みに適しています。
麻黄湯は、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感、発汗過多、全身脱力感等の副作用が現れやすい。構成生薬としてカンゾウ、マオウを含むが、マオウの含有量が多く、虚弱な人には使用を避けましょう。
▢ 14.小柴胡湯
小柴胡湯は、かぜの症状が少し長引き、疲労感、食欲不振、吐き気がする場合に適しています。
小柴胡湯は、胃腸虚弱、胃炎などの消化器症状にも効果があるが、虚弱な人には使用を避ける。まれに重篤な副作用として、間質性肺炎、肝機能障害を生じることがあります。また、インターフェロン製剤で治療中の人には禁忌です。
▢ 15.小青竜湯
小青竜湯は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻炎症状、薄い水様の痰を伴う咳、気管支炎などの呼吸器症状に適しています。
小青竜湯は、構成生薬としてカンゾウ、マオウを含む。虚弱な人、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れやすい。まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎を生じることがあります。
風邪薬の副作用と受診勧奨
▢ 16.副作用
かぜ薬を使用した後、症状が悪化してきた場合には、かぜ薬の副作用による症状であることがあります。
かぜ薬の重篤な副作用は、解熱鎮痛成分によるものが多いが、それ以外でも、ショック、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死症、喘息、間質性肺炎が起きることがあるので、漫然と使用を継続せず、医療機関を受診するようすすめましょう。
▢ 17.相互作用
かぜ薬の服用期間中は、酒類(アルコール)の摂取を控える必要があります。
かぜの民間療法として酒類が摂取されることがあるが、アルコールは医薬品成分の吸収や代謝に影響を与え、肝機能障害の副作用が起こりやすくなるため控える必要があります。
また、鎮静作用補助のためにカフェイン類が配合されている場合には、お茶やコーヒーなどの過量摂取に注意します。
▢ 18.受診勧奨 基礎疾患のある人
慢性呼吸器疾患、心臓病、糖尿病等の基礎疾患がある人は、初めから医療機関を受診することが望まれます。
基礎疾患がある人は基礎疾患の悪化や合併症の併発を避けるため、初めから医療機関を受診することが望まれます。また、高熱、黄色や緑色に濁つた膿性の鼻汁・痰、喉(扁桃)の激しい痛みや腫れ、呼吸困難を伴う激しい咳の症状がみられる場合も同様です。
▢ 19.受診勧奨 小児
小児のかぜでは、急性中耳炎を併発しやすいので注意が必要であり、場合によっては医療機関を受診することが望まれます。
急性中耳炎は、ウイルスや細菌が耳管に入り込み増殖して起こります。小児のかぜでは併発しやすいが、かぜ症状の寛解とともに自然に治癒することも多いです。ただし、耳の奥の痛みや発熱が激しい場合や長引く場合には、医療機関を受診することが望まれます。
解熱鎮痛薬の働き
▢ 20.痛みや発熱が起こる仕組み
痛みや発熱は、病気そのものではなく、病気や外傷に対して生体の発する警告信号や防御機能として引き起こされるものであります。
痛みは、病気や外傷などに対する生体からの警告信号であり、発熱は、細菌やウイルス等の感染に対する生体の防御機能の一つです。また、痛みには月経痛(生理痛)などのように、必ずしも明確に病気が原因でないものもあります。
▢ 21.痛みや発熱が起こる仕組み
痛みや発熱は、体内で産生されるプロスタグランジンの働きによって生じます。
プロスタグランジンはホルモンと似た働きをする物質で、病気や外傷のときは産生が活発になり、各部位で発生した痛みを脳へ伝える際に痛みの信号を増幅させます。また、脳の下部の温熱中枢に作用して体温を高く調節し、体の各部位における炎症の発生にも関与します。
▢ 22.解熱鎮痛薬の働き
解熱鎮痛薬は、プロスタグランジンの産生を抑え、発熱や痛みを鎮めるために使用される医薬品です。
解熱鎮痛薬は、痛みや発熱の原因となる病気や外傷自体を治すものではなく、痛みの感覚の増幅を防ぐ鎮痛作用、体温調節を正常時に近い状態に戻す解熱作用、炎症発生部位に作用して腫れを和らげる抗炎症作用を目的としています。症状が現れる前に予防的に使用することは適切ではありません。
▢ 23.解熱鎮痛薬の働き
月経痛(生理痛)は、化学的に合成された解熱鎮痛成分の鎮痛効果が期待できます。
月経そのものが起こる過程にプロスタグランジンが関与しているため、月経痛への効果が期待できます。一方、腹痛を含む痙攣性の内臓痛は発生の仕組みが異なるため、一部の漢方処方製剤を除き、解熱鎮痛薬の効果は期待できません。
解熱鎮痛薬の配合成分
▢ 24.サリチル酸系解熱鎮痛成分
アスピリン、サザピリン、エテンザミド、サリチルアミド等のサリチル酸系解熱鎮痛成分は、ライ症候群との関連性に留意します。
アスピリンは胃腸障害が起こりやすいため、アスピリンアルミニウムとして胃腸への軽減を図つた製品があります。また、アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む)には血液を凝固しにくくさせる作用があり、血栓予防薬の成分として用いられますが、出産予定日12週以内の妊婦は使用を避けます。
▢ 25.アセトアミノフェン
アセトアミノフェンは、主として中枢性の作用により解熱・鎮痛をもたらす。胃腸障害が少ないが、抗炎症作用は期待できません。
アセトアミノフェンは、まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることがあります。内服薬のほか、もっぱら小児の解熱に用いる製品として坐薬に配合されています。内服薬との併用や坐薬を服用することがないよう注意します。
▢ 26.イブプロフェン
イブプロフェンは、胃腸への影響が少なく、抗炎症作用も示すため、頭痛、咽頭痛、月経痛、腰痛等に使用されます。
イブプロフェンは、プロスタグランジンの産生を抑える作用があり、胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎またはクローン氏病の既往歴のある人は再発を招くおそれがあります。また、まれに重篤な副作用として、肝機能障害、腎障害、無菌性髄膜炎を生じることがあります。
▢ 27.メトカルバモール
メトカルバモールは骨格筋の緊張に関与する脊髄の刺激反射を抑え、鎮静作用を示して筋肉のこりを和らげます。
メトカルバモールは腰痛、肩こり、関節痛、神経痛、打撲、捻挫等に用いられます。副作用として眠気、めまい、ふらつきが現れることがあるため、服用後は乗物または機械類の運転操作を避けます。また、消化器系の副作用として、悪心、嘔吐、食欲不振、胃部不快感が現れることがあります。
▢ 28.カフェイン類
カフェイン、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン等は、鎮痛作用の効果を高めるために配合されています。
カフェイン類は、中枢神経系を刺激して頭をすっきりさせ、疲労感・倦怠感・眠気を防ぐが、鎮静成分の作用による眠気が解消されるわけではありません。脳が過剰に興奮すると、震え、めまい、不安、不眠、頭痛を生じることがあります。
▢ 29.配合成分 鎮静成分
鎮静成分としてブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素などが含まれます。
▢ 30.配合成分 制酸成分
制酸成分としてケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが含まれます。
▢ 31.配合成分 ビタミン成分
ビタミン成分としてビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどが含まれます。
眠気を促す薬の配合成分
▢ 32.抗ヒスタミン成分
塩酸ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン成分が主薬の催眠鎮静薬は、睡眠改善薬として一時的な睡眠障害の緩和に用いられます。
睡眠改善薬は、寝つきが悪い、眠りが浅いなどの一時的な睡眠障害の緩和に用いるもので、慢性的に不眠症状がある人や不眠症の診断を受けた人を対象としたものではありません。また、妊娠中の睡眠障害はホルモンのバランスや体型の変化等が原因であり、妊婦では睡眠改善薬の使用を避けましょう。
▢ 33.ブロムワレリル尿素
ブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素は、脳の興奮を抑え、痛みなどを感じる感覚を鈍くする作用を示します。
ブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素は、かぜ薬や解熱鎮痛薬に補助成分として配合されることが多いです。少量でも眠気を催しやすく服用後は乗物等の運転操作を避けることが必要です。また、反復摂取による依存、大量摂取による急性中毒、妊婦では胎児障害の可能性に注意しましょう。
▢ 34.生薬成分
眠気を促す薬には、神経の興奮・緊張を和らげる作用を期待して、チョウトウコウ等の生薬成分が配合されることがあります。
チョウトウコウ、サンソウニン、カノコソウ、チャボトケイソウ、ホップ等の生薬成分は、神経の興奮・緊張を和らげる作用があります。生薬成分のみからなる鎮静薬であっても、複数の鎮静薬の併用や長期連用は避け、これらの成分や鎮静作用のあるハーブを含む食品の摂取にも注意しましょう。
▢ 35.漢方処方製剤
神経質、精神不安、不眠などの症状の改善を目的として、酸棗仁湯さんそうにんとう、加味帰牌湯かみきひとう、抑肝散よくかんさん等の漢方処方製剤が用いられます。
さんそうにんとう、かみきひとう、よくかんさん。よくかんさんかちんぴはんげ、さいこかりゅうこつぼれいとう、けいしかりゅうこつぼれいとう等は、神経質、精神不安、不眠などの症状の改善を目的として用いられますが、症状の原因となる体質の改善を主眼としているため、比較的長期間(1ケ月位)服用されることがあります。
▢ 36.酸棗仁湯、加味帰牌湯
酸棗仁湯は、心身が疲れ弱って眠れない人に適します。加味帰牌湯は不眠症、精神不安、神経症、貧血に適します。
さんそうにんとうは、胃腸が弱い人、下痢または下痢傾向の人では、悪心、食欲不振、胃部不快感が現れやすいです。 1週間位服用して症状の改善がみられない場合には医療機関を受診することが望まれます。加味帰牌湯は、虚弱で血色の悪い人が対象です。いずれも構成生薬としてカンゾウを含んでいます。
▢ 37.抑肝散、抑肝散加陳皮半夏
抑肝散、抑肝散加陳皮半夏は、虚弱体質で神経がたかぶる人における神経症、不眠症に適すが、胃腸の弱い人には不向きとされます。
抑肝散、抑肝散加陳皮半夏は、構成生薬としてカンゾウを含みます。虚弱体質で神経が昂ぶる人における神経症、不眠症に適すとされますが、胃腸の弱い人には不向きです。また、小児の夜泣きに用いる場合、 1週間位服用しても症状が改善されないようであれば、服用を見直すことが望まれます。
▢ 38.柴胡加竜骨牡蛎湯
柴胡加竜骨牡蛎湯は、精神不安があり、動悸や不眠を伴う人における高血圧の随伴症状、神経症、更年期神経症に用いられます。
柴胡加竜骨牡蛎湯は、体の虚弱な人、下痢しやすい人、下剤を使用している人等が用いると、腹痛、激しい腹痛を伴う下痢の副作用が現れやすいです。また、重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎を生じることがあります。
▢ 39.桂枝加竜骨牡蛎湯
桂枝加竜骨牡蛎湯は、虚弱体質で疲れやすく、興奮しやすい人における神経質、不眠症などに用いられます。
桂枝加竜骨牡蛎湯は、虚弱体質で疲れやすく、興奮しやすい人における神経質、不眠症、小児夜泣き、小児夜尿症、眼精疲労に適すとされます。構成生薬としてカンゾウを含むので、乳幼児に使用する場合には、体格の個人差から体重当たりのグリチルリチン酸の摂取量に注意します。
眠気を促す薬の副作用と受診勧奨
▢ 40.副作用
抗ヒスタミン成分は、まれに眠気と正反対の作用を生じて、神経過敏や興奮などを起こすことがあります。
睡眠改善薬に配合される抗ヒスタミン成分は、脳内のヒスタミンによる刺激発生を抑えて眠気を促します。まれに眠気と正反対の作用を生じることがあり、神経過敏や興奮などの症状が現れることがある。特に小児ではそうした副作用が起きやすいため、15歳未満の小児では使用を避けます。
▢ 41.相互作用
催眠鎮静薬の服用と飲酒が重なると、抗ヒスタミン成分やブロムワレリル尿素の効果や副作用が増強されるおそれがあります。
「寝酒」により効き目や副作用が増強するおそれがあるため、催眠鎮静薬を服用する場合には飲酒を避けます。また、生薬成分のみからなる鎮静薬や漢方処方製剤については、アルコールの摂取による睡眠の質の低下や催眠鎮静薬の効果の減弱に注意します。
▢ 42.受診勧奨
慢性的な入眠障害、熟眠障害、中途覚醒、早朝覚醒などの症状がある場合は、医療機関を受診することが望まれます。
不眠に関する一般用医薬品による対処は、基礎疾患がなく、ストレスや疲労、時差ぼけなどによる一時的な不眠、寝つきが悪い場合が対象となります。うつ病などの精神神経疾患や身体疾患に起因する不眠、催眠鎮静薬の使いすぎによる不眠などの可能性がある場合には、医療機関の受診を勧めます。
▢ 43.受診勧奨
ブロムワレリル尿素等の鎮静成分を多量摂取した場合には、応急処置をとるなど専門家に相談します。
通常の使用状況から著しく異なる場合や昏睡・呼吸抑制が起きている場合は、直ちに救命救急が可能な医療機関に連れていく等の対応が必要です。また、反復摂取による薬物依存は、自己努力のみで離脱を図ることは困難であり、医療機関の受診を勧めます。
眠気を防ぐ薬
▢ 44.カフェインの作用
カフェインは、脳に軽い興奮状態を引き起こす作用を示し、眠気や倦怠感を一時的に抑えます。
カフェイン(無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン等を含む)は、眠気や倦怠感を除去する目的で眠気防止薬に配合されています。反復摂取すると習慣になりやすい性質があるため、短期間の服用にとどめます。
▢ 45.カフェインの作用
カフェインには、胃液の分泌を亢進させる作用、心筋を興奮させる作用があります。
カフェインを摂取すると、胃液分泌亢進作用により胃腸障害が現れることがあるため、胃酸過多の症状のある人、胃潰瘍の診断を受けた人は服用を避けます。また、心筋興奮作用により動悸が現れることがあり、心臓病の診断を受けた人は服用を避けます。
▢ 46.カフェインの摂取量
眠気防止薬におけるカフェインの1回摂取量は、カフェインとして200mg、1日摂取量は500mgが上限とされています。
カフェインは、かぜ薬、解熱鎮痛薬、乗物酔い防止薬、滋養強壮保健薬などの医薬品、ビタミン含有保健剤などの医薬部外品、お茶、コーヒーなどの食品にも含まれています。眠気防止薬と同時に摂取するとカフェインが過量となり、中枢神経系や循環器系等への作用が強く現れることがあります。
▢ 47.補助成分
眠気防止薬には、眠気による倦怠感を和らげる成分として、ビタミン類が配合されています。
眠気防止薬には、ビタミンB1(硝酸チアミン、塩酸チアミン)、ビタミンB2(リン酸リボフラビンナトリウム)、ビタミンB5(パントテン酸カルシウム)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシン)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、ニコチン酸アミド、アミノエチルスルホン酸(タウリン)等が配合されています。
眠気を防ぐ薬の副作用と受診勧奨
▢ 48.副作用
カフェインは、胎盤関門を通過して胎児の心拍数を増加させる可能性があり、乳汁中にも一部が移行します。
乳児は肝臓が未発達でカフェイン代謝に時間を要するため、大量のカフェインを摂取または連用する女性から母乳を与えられると、カフェインが体内に蓄積し、頻脈、不眠等を引き起こす可能性があります。授乳期間中の女性は、カフェインの総摂取量が継続して多くならないよう注意します。
▢ 49.相互作用
かぜ薬やアレルギー用薬の使用による眠気を抑えるために眠気防止薬を使用することは適切でありません。
かぜ薬やアレルギー用薬と眠気防止薬を併用すると、カフェインが重複摂取されるおそれがあります。眠気が生じると不都合なときには、眠気を催す成分を含まない医薬品を選択するようにします。眠気防止薬は、一時的に緊張を要する時に眠気や倦怠感を除去する目的で服用されるものです。
▢ 50.受診勧奨
眠気防止薬を使用しても眠気や倦怠感が続く場合には、医療機関を受診します。
眠気防止薬を使用しても眠気や倦怠感が抑えられない場合は、神経、心臓、肺、肝臓等の重大な病気を示唆している可能性があります。また、睡眠時無呼吸症候群、重度の不安症や鬱病、ナルコレプシー等による眠気も考えられるので、医療機関を受診することが望まれます。
▢ 51.受診勧奨
成長期にある小児の発育にとって睡眠は重要であり、眠気防止薬には小児向けの製品はない。
成長ホルモンの分泌を促す脳ホルモンは、ある種の睡眠物質と同時に分泌され、睡眠を促進します。成長期にある小児にとって睡眠は重要であり、小児向けの眠気防止薬はありません。小中学生の試験勉強に効果があるといった誤解による誤用事故の例もあり、15歳未満の小児には使用しません。
鎮暈薬
▢ 52.抗めまい成分
塩酸ジフェニドールには、内耳にある前庭と脳を結ぶ神経の調節作用、内耳への血流改善作用があります。
塩酸ジフェニドールは抗ヒスタミン成分としてよりも、もっぱら抗めまい成分として使用されます。副作用として頭痛、排尿困難、眠気、散瞳による異常な眩しさ、口渇、浮動感や不安定感が現れることがあります。排尿困難の症状がある人や緑内障の人は、症状を悪化させるおそれがあります。
▢ 53.抗ヒスタミン成分
抗ヒスタミン成分は、延髄にある嘔吐中枢への刺激や内耳の前庭における自律神経反射を抑える作用を示します。
抗ヒスタミン成分には、鎮暈薬にもっぱら配合されるジメンヒドリナートのほか、塩酸メクリジン、テオクル酸プロメタジン等があります。プロメタジンを含む成分は乳児突然死症候群や乳児睡眠時無呼吸発作の海外報告があり、15歳未満の小児の使用を避けます。
鎮量薬には、不安や緊張を和らげることを目的として、ブロムワレリル尿素等の鎮静成分が配合されている場合がある。
▢ 54.抗めまい成分
塩酸ジフェニドールには、内耳にある前庭と脳を結ぶ神経の調節作用、内耳への血流改善作用があります。
塩酸ジフェニドールは抗ヒスタミン成分としてよりも、もっぱら抗めまい成分として使用されます。副作用として頭痛、排尿困難、眠気、散瞳による異常な眩しさ、口渇、浮動感や不安定感が現れることがあります。排尿困難の症状がある人や緑内障の人は、症状を悪化させるおそれがあります。
▢ 55.抗ヒスタミン成分
抗ヒスタミン成分は、延髄にある嘔吐中枢への刺激や内耳の前庭における自律神経反射を抑える作用を示します。
抗ヒスタミン成分には、鎮暈薬 にもっぱら配合されるジメンヒドリナートのほか、塩酸メクリジン、テオクル酸プロメタジン等があります。プロメタジンを含む成分は乳児突然死症候群や乳児睡眠時無呼吸発作の海外報告があり、15歳未満の小児の使用を避けます。
鎮量薬には、不安や緊張を和らげることを目的として、ブロムワレリル尿素等の鎮静成分が配合されている場合がある。
▢ 56.抗コリン成分
抗コリン成分である臭化水素酸スコポラミンは、古くから乗物酔い防止に使用されています。
抗コリン成分は、中枢作用では自律神経系の混乱を軽減し、末梢では消化管の緊張を低下させます。臭化水素酸スコポラミンは消化管からの吸収がよく、他の抗コリン成分より脳内に移行しやすいが、肝臓で速やかに代謝されるため作用持続時間は短いです。ロートエキスが配合されている場合もあります。
▢ 57.キサンチン系成分
キサンチン系成分には、カフェイン(無水カフェイン、クエン酸カフェイン等を含む)やジプロフィリンなどがあります。
キサンチン系成分は、脳に軽い興奮を起こし平衡感覚の混乱によるめまいを軽減させます。カフェインには乗物酔いに伴う頭痛を和らげる作用もあります。また、カフェイン配合であっても、抗めまい成分、抗ヒスタミン成分、抗コリン成分、鎮静成分の作用による眠気が解消されるわけではありません。
▢ 58.局所麻酔成分
鎮暈薬には、アミノ安息香酸エチル等の局所麻酔成分が配合されることがあります。
アミノ安息香酸エチルは、胃粘膜への麻酔作用によって嘔吐刺激を和らげ、乗物酔いに伴う吐き気を抑えることを目的として鎮暈薬に配合されます。アミノ安息香酸エチルが配合されている鎮暈薬は、6歳未満への使用を避けます。
▢ 59.相互作用
鎮暈薬は、かぜ薬、解熱鎮痛薬、催眠鎮静薬、鎮咳去痰薬、胃腸鎮痛鎮痙薬、アレルギー用薬等との併用を避けます。
鎮暈薬を、かぜ薬、解熱鎮痛薬、催眠鎮静薬、鎮咳去痰薬、胃腸鎮痛鎮痙薬、アレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む)等と併用すると、抗ヒスタミン成分、抗コリン成分、鎮静成分、カフェイン類等の配合成分が重複して、鎮静作用や副作用が強く現れるおそれがあります。
▢ 60.乳幼児の使用
鎮暈薬(乗物酔い防止薬)には、3歳未満の乳幼児向けの製品はありません。
3歳未満の乳幼児は自律神経系が未発達であるため、乗物酔いが起こることはほとんどありません。乳幼児が乗物で移動中にむずがる場合は、気圧変化による耳の痛みなど他の要因を考慮し、安易に乗物酔い防止薬を使用しない様にしましょう。
▢ 61.受診勧奨
乗物酔いに伴う一時的なものでなく、日常においてめまいが度々生じる場合には、基本的に医療機関を受診することが望まれます。
動悸や立ちくらみ、低血圧などによるふらつきは、平衡機能の障害によるめまいとは区別します。高齢者は平衡機能の衰えによってめまいを起こしやすく、難聴や耳鳴りなどの聴覚障害を伴って現れることも多いです。
小児鎮静薬
▢ 62.小児鎮静薬の働き
小児鎮静薬は、乳児の胃食道逆流に起因するむずがり、夜泣き、乳吐きの症状を鎮め、虚弱体質、消化不良を改善します。
小児では、身体的問題がなくても、睡眠リズムが形成されるまでの発達過程で、情緒不安定・神経過敏により、夜泣き、ひきつけ、疳の虫などの症状が現れることがあります。成長に伴い自然に治まりますが、小児鎮静薬は、体質の改善を主目的として、比較的長期間服用されることがあります。
▢ 63.漢方処方製剤
小児の疳を適応症とする漢方処方製剤には、柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、小建中湯があります。
柴胡加竜骨牡蛎湯以外はカンゾウを含むため、体格の個人差から体重当たりのグリチルリチン酸の摂取量に注意します。小建中湯は腹痛、動悸、手足のほてり、冷え、頻尿、多尿の症状がある小児虚弱体質、疲労倦怠、神経質、慢性胃腸炎、小児夜尿症、夜泣きに適します。
▢ 64.受診勧奨
乳幼児は自分の体調を適切に伝えることが困難なため、保護者等が状態をよく観察し、医薬品の使用を見極めることが重要です。
一定期間服用しても症状が改善しない
激しい下痢や高熱がある
嘔吐物が緑色、血が混じる
嘔吐するときに咳き込み、息を詰まらせる
早めに医療機関を受診させましょう。
鎮咳去痰薬
▢ 65.鎮咳成分
延髄の咳嗽中枢に作用して咳を抑える成分には、モルヒネと同じ基本構造を持つ麻薬性鎮咳成分と非麻薬性鎮咳成分があります。
リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコディンは麻薬性鎮咳成分で、長期連用や大量摂取により倦怠感や虚脱感、多幸感等が現れることがあり、薬物依存につながるおそれがあります。非麻薬性鎮咳成分としては、ノスカビン、塩酸ノスカピン、臭化水素酸デキストロメトルフアン等があります。
▢ 66.気管支拡張成分
アドレナリン作動成分とマオウは、交感神経系を刺激して気管支を拡張することにより、呼吸を楽にして咳や喘息の症状を鎮めます。
アドレナリン作動成分には、塩酸メチルエフェドリン、メチルエフェドリンサッカリン塩、塩酸トリメトキノール、塩酸メトキシフェナミン等があります。マオウは、気管支拡張のほかに、発汗促進、利尿作用もあります。アドレナリン作動成分とマオウは、心臓病、高血圧、糖尿病、甲状腺機能障害の診断を受けた人では症状の悪化を招きやすいです。
▢ 67.気管支拡張成分
キサンチン系成分は、気管支平滑筋に直接作用して弛緩させ、気管支を拡張させます。
ジプロフィリン等のキサンチン系成分は、中枢神経系を興奮させる作用を示し、甲状腺機能障害またはてんかんの診断を受けた人では症状の悪化を招くおそれがあります。また、心臓刺激作用もあり、副作用として動悸が現れることがあります。
▢ 68.抗炎症成分
抗炎症成分の塩化リゾチーム、 トラネキサム酸、グリチルリチン酸二カリウム、カンゾウ等は、気道の炎症を和らげます。
グリチルリチン酸を含む生薬成分として、カンゾウが用いられることがあります。カンゾウには、抗炎症作用のほか、気道粘膜からの分泌を促す作用もあります。カンゾウは大量に摂取するとグリチルリチン酸の大量摂取につながり、偽アルドステロン症を起こすことがあります。 1日最大服用量が原生薬換算で1g以上となる製品は、長期連用を避けます。
▢ 69.去痰成分
去痰成分には、気道粘膜からの分泌促進作用を示すもの、痰の中の粘性蛋白質に作用して粘りけを減少させるものがあります。
気道粘膜からの分泌を促進する成分は、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、クレゾールスルホン酸カリウム、塩酸ブロムヘキシン
痰中の粘性蛋白質に作用する成分は、塩酸エチルシステイン、塩酸メチルシステイン、カルボシステインです。
▢ 70.代表的な生薬成分と作用
キョウニン(アンズの種子):延髄の呼吸中枢、咳嗽中枢の鎮静作用
ナンテンジツ(ナンテンの果実):鎮咳作用(知覚神経、末梢運動神経に作用)
ゴミシ(チョウセンゴミシの果実): 鎮咳作用
シャゼンソウ(オオバコの全草): 去痰作用
オウヒ、セネガ、オンジ:去痰作用
セキサン(ヒガンバナの鱗茎): 去痰作用
バクモンドウ(ジャノヒゲ等の根) :鎮咳、去痰、滋養強壮
▢ 71.漢方処方製剤
半夏厚朴湯は、気分がふさいで咽喉・食道部につかえ感があり、動悸・めまい・吐き気のある人における、咳、しわがれ声、不安神経症・神経性胃炎に適しています。
柴朴湯は、気分がふさいで咽喉、食道部につかえ感があり、動悸・めまい、吐き気のある人における、小児喘息、気管支喘息、気管支炎、咳、不安神経症に適しています。
▢ 72.漢方処方製剤
麦門冬湯は、痰の切れにくい咳、喉の乾燥感、気管支炎、気管支喘息に適しています。ただし、水様痰の多い人には不向きです。
五虎湯、麻杏甘石湯、神秘湯は、咳・喘息に適す。虚弱で胃の弱い人、発汗の著しい人には不向きです。いずれもマオウを含みます。
▢ 73.受診勧奨
咳がひどく痰に線状の血が混じる場合や、黄色や緑色の膿性の痰を伴う場合は、早めに医療機関を受診することが望ましいです。
そのほか、痰を伴わない乾いた咳が続く場合(間質性肺炎の初期症状や医薬品の副作用の可能性がある)、咳、痰、息切れが長期間続く場合(慢性気管支炎、肺気腫等の可能性がある)には、医師の診察を受けることが望ましいです。
口腔咽喉薬・うがい薬
▢ 74.口腔咽喉薬・うがい薬の働き
口腔咽喉薬、うがい薬は口腔内や咽頭部の粘膜に局所的に作用し、炎症による痛み、腫れ等の症状を緩和します。
口腔咽喉薬には、 卜ローチ剤、 ドロップ剤、口腔内に噴霧または塗布する外用液剤があります。 卜ローチ剤やドロップ剤は口中に含み噛まずにゆっくり溶かすように使用し、噴射式液剤では、軽く息を吐いたり、声を出しながら噴射します。口腔咽喉薬は口腔や咽頭の粘膜から吸収されて循環血流中に入りやすく、全身的な影響を生じることがあります。
▢ 75.うがい薬の使用上の注意
うがい薬は、用時水で希釈または溶解して使用しますが、調整した濃度が濃すぎても薄すぎても効果が十分得られません。
効果的なうがいの仕方は、薬液を10~ 20ml程度口に含み、咽頭の奥まで薬液が行き渡るようにガラガラを数回繰り返します。うがい薬の使用後すぐに食事を摂ると、殺菌消毒効果が薄れます。
▢ 76.配合成分
口腔咽喉薬、うがい薬には、抗炎症成分、殺菌消毒成分、局所保護 成分、抗ヒスタミン成分、生薬成分等が配合されています。
▢ 77.配合成分
抗炎症成分の塩化リゾチーム、グリチルリチン酸三カリウム、トラネキサム酸は、声がれ、喉の荒れ、不快感、痛み、腫れを鎮めます。
アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)は、炎症した粘膜組織の修復を促します。
▢ 78.配合成分
殺菌消毒成分の塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、ヨウ素系殺菌消毒成分(ポビドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素)、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、チモールは、付着した細菌等の微生物を死滅させ、増殖を抑制します。
局所保護成分のグリセリンは、粘膜を刺激から保護します。
抗ヒスタミン成分のマレイン酸クロルフェニラミンは、アレルゲンによる不快感を鎮めます。
▢ 79.配合成分
生薬成分のラタニア(マメ科ラタニア根)は、粘膜収斂作用により炎症を寛解させます。
ミルラ(カンラン科ミルラ樹脂、精油)は、粘膜収斂、抗菌作用をあらわします。
ハッカ(シソ科ハッカ地上部)、ウイキョウ(セリ科ウイキョウ果実)、チョウジ(フトモモ科グローブ雷)、ユーカリ(フトモモ科ユーカリノキ葉)の精油は、芳香による清涼感をもたらします。
▢ 80.ヨウ素系殺菌消毒成分の副作用
ヨウ素系殺菌消毒成分を含む口腔咽喉薬・うがい薬では、まれにショック等の全身性の重篤な副作用を生じることがあります。
ヨウ素系殺菌消毒成分(ポビドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素)、またはグルコン酸クロルヘキシジンが配合されたものでは、まれにショック、アナフィラキシー様症状等の全身性の重篤な副作用を生じることがあります。これらの成分に対するアレルギーの既往歴がある人は使用を避けます。
▢ 81.ヨウ素の摂取
ヨウ素系殺菌消毒成分の口腔への使用がヨウ素の摂取につながり、甲状腺におけるホルモン産生に影響を及ぼす可能性があります。
バセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患の診断を受けた人は、治療に悪影響を及ぼすおそれがあるため、使用の適否を、医師または薬剤師に相談します。また、妊婦が摂取したヨウ素の一部は胎盤関門を通過して胎児に、授乳婦では乳汁中に移行するため、長期間にわたり大量に使用してはいけません。
▢ 82.漢方処方製剤
桔梗湯、駆風解毒散及び駆風解毒湯は、扁桃炎や扁桃周囲炎で咽喉が腫れて痛む場合に適しています。桔梗湯、駆風解毒散及び駆風解毒湯は、胃腸が弱く下痢しやすい人では、食欲不振、胃部不快感等の副作用が現れやすいです。駆風解毒散及び駆風解毒湯は、水またはぬるま湯に溶かしてうがいしながら少しずつゆっくり服用します。駆風解毒湯ではトローチ剤もあります。
▢ 83.漢方処方製剤
喉の渇きとほてりのある人には白虎加人参湯が適しています。しわがれ声や咽喉の不快には響声破笛丸が適しています。白虎加入参湯は比較的長期間服用されますが、虚弱な人、胃腸虚弱で冷え性の人では、食欲不振、胃部不快感が現れやすいです。響声破笛丸は、胃腸が弱く下痢しやすい人では、同様の消化器症状が現れやすい。5~6日間使用して症状の改善がみられない場合には使用を中止し、専門家に相談します。
第3章の2 主な医薬品とその作用
胃腸に作用する薬
▢ 1.制酸成分
制酸成分は、中和反応によって胃酸の働きを弱めます。
制酸薬には、次のような成分が配合されています。
(1)炭酸水素ナトリウム(重曹)、(2)アルミニウム(乾燥水酸化アルミニウムゲル等、(3)マグネシウム(ケイ酸マグネシウム等)、(4)アルミニウムとマグネシウム(合成ヒドロタルサイト等)、(5)カルシウム(沈降炭酸カルシウム等)、(6)生薬成分(ボレイ(カキの貝殻))
▢ 2.制酸成分の使用上の注意
アルミニウムを含む成分は、透析治療を受けている人では使用を避けます。
透析治療を受けている人がアルミニウムを含む成分を長期間使用した場合に、アルミニウム脳症、アルミニウム骨症を引き起こしたとの報告があります。また、腎臓病の診断を受けた人は、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等が貯留しやすいので、使用の適否を考慮します。
▢ 3.健胃成分
健胃成分は、味覚や嗅覚を刺激して唾液や胃液の分泌を促し、弱った胃の働きを高めます。
健胃薬には、次のような生薬成分が配合されています。
(1)苦味健胃作用、オウバク、オウレン、センブリ、ゲンチアナ、リュウタン、ユウタン
(2)芳香性健胃作用、ケイヒ、コウボク、ショウキョウ、チョウジ、チンピ、ソウジュツ、ビャクジュッ、ウイキョゥ、オウゴン
(3)その他 乾燥酵母、胃腸の働きに必要な栄養素の補給
塩化カルニチン、胃液分泌促進、胃の運動を高める、胃壁の循環血流を増す
▢ 4.健胃成分についての注意事項
生薬成分が配合された健胃薬は、散剤をオブラートで包んで使用すると効果が期待できません。
健胃薬に配合される生薬成分には独特の味や香りがあり、それらが味覚や嗅覚を刺激することによって胃液の分泌を促し、弱った胃の働きを高めます。オブラートで包むなど味や香りが遮蔽される方法で服用すると効果が期待できません。
▢ 5.消化成分
消化成分には、(1)炭水化物、脂質、蛋白質、繊維質等の分解酵素を補うもの、(2)利胆作用により消化を助けるものがあります。
消化薬には、次のような成分が配合されています。
(1)分解酵素を補う、ジアスターゼ、プロザイム、ニューラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、ビオジアスターゼ、タカジアスターゼ
(2)胆汁の分泌を促す、胆汁末、動物胆、ウルソデオキシヨール酸、デヒドロコール酸
▢ 6.消化成分についての注意事項
胆汁の分泌を促す胆汁末、動物胆等は、肝臓病の診断を受けた人が使用すると症状を悪化させるおそれがあります。
胆汁末、動物胆、ウルソデオキシコール酸、デヒドロコール酸には肝臓の働きを高める作用もあるが、肝臓病の診断を受けた人が使用すると症状を悪化させるおそれがあるので、使用の適否を考慮する。また、ウルソデオキシコール酸は胎児毒性の可能性があり、妊婦には使用しない。
▢ 7.胃粘膜保護・修復成分
胃粘膜保護・修復成分は、胃粘液の分泌を促し、胃粘膜を覆って胃液による消化から保護し、荒れた胃粘膜の修復を促す。
胃粘膜保護・修復成分として、次の成分が配合されている。
アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)、アルジオキサ、スクラルファート、ゲファルナート、ソファルコン、テプレノン、塩酸セトラキサート、メチルメチオニンスルホニウムクロライドなど。
▢ 8.胃粘膜保護・修復成分配合成分についての注意事項
(1)アルジオキサ、スクラルファートは、アルミニウムを含むため、透析治療を受けている人は使用を避け、腎臓病の診断を受けた人は専門家に相談する。
▢ 9.胃粘膜保護・修復成分配合成分についての注意事項
(2)ソフアルコン、テプレノンは、まれに肝機能障害を生じることがあるため、肝臓病の診断を受けた人は専門家に相談する。
▢ 10.胃粘膜保護・修復成分配合成分についての注意事項
(3)塩酸セトラキサートは、体内で代謝されてトラネキサム酸を生じるため、血栓のある人、血栓を起こすおそれがある人は専門家に相談する。
▢ 11.胃液分泌抑制成分
胃液分泌抑制成分には、副交感神経伝達物質のアセチルコリンの働きを抑える抗コリン作用がある。
胃腸薬には、抗コリン成分として、ロートエキスや塩酸ピレンゼピンが配合される場合がある。塩酸ピレンゼピンは、排尿困難、動悸、目のかすみの副作用に注意する。まれに、重篤な副作用としてアナフィラキシー様症状を生じることがある。使用後は、乗物または機械類の運転を避ける。
▢ 12.その他の成分
胃の薬には、胃粘膜の炎症を和らげる抗炎症成分及び消泡成分が配合されていることがある。
(1)抗炎症成分=胃粘膜の炎症を和らげる=グリチルリチン酸ニカリウム、グリチルリチン酸ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、カンゾウ(生薬成分)
(2)消泡成分=消化管内容物中に発生した気泡の分離を促す=ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)
▢ 13.安中散
一般用医薬品の胃薬の使用において、使用をやめると症状がぶり返す場合は、再度使用して症状を抑えるとよい。
安中散は、やせ型で腹部筋肉が弛緩する傾向にあり、胃痛または腹痛、胸やけ、げっぷ、食欲不振、吐き気を伴う人に用いる。
安中散は、やせ型で腹部筋肉が弛緩する傾向にあり、胃痛または腹痛、胸やけ、げつぷ、食欲不振、吐き気を伴う人の神経性胃炎、慢性胃炎、胃アトニーに適すとされるが、まれに重篤な副作用として、肝機能障害を生じることがある。
▢ 14.人参湯(にんじんとう)
人参湯(理中丸)は、手足が冷えやすく、尿量が多い人の胃腸虚弱、胃アトニー、胃痛、下痢、嘔吐に適している。
人参湯を下痢または嘔吐に用いる場合、1週間位使用しても症状の改善が認められないときは、漫然と長期の使用をせず、いったん使用を中止して専門家に相談する。
▢ 15.平胃散(へいいさん)
平胃散は、胃がもたれて消化不良がある人の急性、慢性胃カタル、胃アトニー、消化不良、食欲不振に適している。
平胃散を急性胃カタルに用いる場合、5~6回使用しても症状の改善が認められないときは、漫然と長期の使用をせず、いったん使用を中止して専門家に相談する。
▢ 16.六君子湯(りっくんしとう)
六君子湯は、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすい人に用いる。
六君子湯は、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすい人における胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐に適している。まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることがある。
▢ 17.腸の不調
腸内で、消化・吸収が正常に行われなかったり、腸管運動等に異常が生じると、便秘、軟便、下痢等の症状が現れる。
消化、栄養及び水分の吸収が正常に行われなかつたり、腸管から内容物を送り出す運動に異常が生じると、便秘、軟便、下痢等の症状が現れる。ただし、腸の働きは自律神経系によって制御されており、腸以外の病気等が自律神経系を介して腸の働きに異常を生じさせることもある。
▢ 18.整腸成分(生菌成分、生薬成分)
整腸薬には、腸内細菌のバランスを整える生菌成分、便通を整える生薬成分等が配合されている。
腸内細菌のバランスを整える生菌成分には、ビフィズス菌、アシドフィルス菌、ラクトミン、乳酸菌、酪酸菌等がある。便通を整える生薬成分には、ケツメイシ、ゲンノショウコ、アセンヤク等がある。
▢ 19.整腸成分(マレイン酸トリメプチン)
マレイン酸トリメブチンは、消化管の平滑筋を支配する自律神経に働き、運動を調整する作用がある。
マレイン酸トリメブチンは、消化管(胃、腸)の平滑筋を支配する自律神経に働いて消化管の運動を調整する作用がある。まれに肝機能障害を生じることがあるため、肝臓病の診断を受けた人は、使用の適否について相談する。
▢ 20.止潟成分(収斂成分)
収斂成分は、腸粘膜を引き締めることにより腸粘膜を保護し、炎症を鎮める。
収斂成分には、ビスマスを含む成分(次没食子酸ビスマス、次硝酸ビスマス)、タンニン酸アルブミン等がある。細菌性の下痢や食中毒のときに使用すると、症状を悪化させるおそれがある。ビスマスを含む成分は、1週間以上継続して使用しない。服用時は飲酒を避け、また妊婦には使用しない。
▢ 21.止潟成分(塩酸ロペラミド)
塩酸ロペラミドが配合された止潟薬は、食べ過ぎ・飲みすぎ、寝冷えによる下痢に用いられる。15歳未満の小児の適用はない。
(1)食あたり、水あたりによる下痢は対象外。 (2)2~ 3日間使用しても改善されない場合は、受診する。(3)胃腸鎮痛鎮痙薬を併用しない(腸管の運動を低下させる)。(4)成分の一部が乳汁に移行するため、授乳を避ける。(5)服用時は乗物や機械類の運転を避ける。(6)肛門疾患のある人には使用を避ける。
▢ 22.止瀉成分成分(腸内殺菌成分)
腸内殺菌成分は、乱れている腸内細菌のバランスを正常に近づけ、細菌感染による下痢症状を鎮める。
腸内殺菌成分には、塩化ベルベリン、タンニン酸ベルベリン、アクリノール、クレオソート等がある。ベルベリンはオウレン、オウバクにも含まれ、抗菌作用のほか抗炎症作用も併せ持つ。クレオソートには殺菌作用のほか局所麻酔作用もある。クレオソートが医薬品として使用される。
▢ 23.止瀉成分(吸着成分)
吸着成分は、腸管内の異常発酵等により生じた有害物質を吸着させる。
吸着成分には、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、天然ケイ酸アルミニウム、ヒドロキシナフトエ酸アルミニウム等がある。カオリン、薬用炭などの生薬成分も用いられる。
▢ 24.刺激性瀉下成分(小腸刺激性瀉下成分)
ヒマシ油は小腸刺激性瀉下成分で、誤食・誤飲等による中毒時に腸管内の物質を速やかに体外に排除させる場合等に用いる。
ヒマシ油は、主に誤食・誤飲等による中毒時に用いられるが、防虫剤や殺鼠剤等の脂溶性の物質による中毒に使用すると症状を増悪させる。また、激しい腹痛や悪心・嘔吐がある人、妊婦、3歳未満の乳幼児、授乳中の女性(乳汁中に移行し、乳児に下痢症状が起きる)は使用を避ける。
▢ 25.刺激性瀉下成分(大腸刺激性瀉下成分)
センナ、ダイオウ、ビサコジル、ピコスルファートナトリウム、カサントラノールは、大腸を刺激して排便を促す瀉下成分である。
大腸刺激による瀉下作用を期待して、センノシドに類似の物質を含むアロエや、ジュウヤク(ドクダミの全草)、ケンゴシ(アサガオの種子)等の生薬成分が配合されることもある。
▢ 26.無機塩類
酸化マグネシウムなどマグネシウムを含む成分や硫酸ナトリウムは、腸内容物の浸透圧を高めて糞便中の水分量を増し、大腸を刺激して排便を促す。
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム等は、一部が腸で吸収されて尿中に排泄されるため、腎臓病の診断を受けた人では高マグネシウム血症を生じるおそれがある。硫酸ナトリウムは血液中の電解質のバランスが損なわれるため、心臓病を悪化させるおそれがある。
▢ 27.膨潤性瀉下成分
膨潤性瀉下成分は、腸管内で水分を吸収して腸内容物に浸透し、糞便のかさを増し、糞便を柔らかくする作用がある。
膨潤性瀉下成分には、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウムのほか、生薬成分としてプランタゴ・オバタの種子または種皮が配合される場合がある。効果を高めるためには併せて十分な水分を摂取する。
▢ 28.カンゾウを含む漢方処方製剤
桂枝加芍薬湯及び大黄甘草湯は、構成生薬としてカンゾウを含む。
桂枝加芍薬湯は、腹部膨満感のある人のしぶり腹、腹痛に用いる。大黄甘草湯は便秘に適すが、虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすく不向きである。
▢ 29.ダイオウを含む漢方処方製剤
大黄甘草湯、大黄牡丹皮湯、麻子仁丸は、構成生薬としてダイオウを含む。
大黄牡丹皮湯は、比較的体力があり、下腹部痛、便秘しがちな人の月経不順、月経困難、便秘、痔疾に適すが、虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすく不向きである。麻子仁丸は便秘に用いるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすく不向きである。
▢ 30.専門家への相談
桂枝加芍薬湯、大黄甘草湯、大黄牡丹皮湯、麻子仁丸は、一定期間使用しても症状が改善しない場合は、いったん使用を中止する。
桂枝加芍薬湯、大黄甘草湯、大黄牡丹皮湯、麻子仁丸は、短期の使用に限られるものではないが、大黄甘草湯及び麻子仁丸では5~6日間、桂枝加芍薬湯及び大黄牡丹皮湯では1週間位服用しても症状の改善がみられない場合は、いったん使用を中止して専門家に相談する。
▢ 31.相互作用
医薬品成分には副作用として便秘や下痢を生じるものがあり、それらを含む医薬品と止瀉薬や瀉下薬が併用されると作用の増強や副作用が生じるおそれがある。
(1)駆虫薬とヒマシ油の併用を避ける。(2)センナ及びセンノシド配合の瀉下薬と生薬成分配合の整腸薬の併用を避ける。(3)複数の瀉下薬の併用を避ける。(4)センナの茎を含有する食品と瀉下薬の併用を避ける。
▢ 32.抗コリン成分の働き
抗コリン成分は、副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンと受容体の反応を妨げることにより消化管の過剰な動きを鎮める。
急激な胃腸の痛みは、主に胃腸の過剰な動き(痙攣)によって起きる。消化管の運動は副交感神経系の刺激によって亢進し、また副交感神経系は胃液分泌の亢進にも働くため、副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンと受容体の反応を妨げてその働きを抑える抗コリン成分が用いられる。
▢ 33.抗コリン成分の種類
抗コリン成分は、胃腸の過剰な動きにより生じた急な胃腸の痛み、さしこみを鎮めるほか、胃酸過多や胸やけにも効果がある。
胃腸鎮痛鎮痙薬に配合される抗コリン成分には、臭化メチルベナクチジウム、臭化ブチルスコポラミン、臭化メチルオクタトロピン、塩酸ジサイクロミン、塩酸オキシフェンサイクリミン等のほか、生薬成分のロートエキスがある。
▢ 34.抗コリン成分の副作用
抗コリン成分の副交感神経系抑制作用は消化管に限定されないため、副作用の症状は全身にわたって現れる。
抗コリン成分の副作用としては、散瞳による目のかすみや異常な眩しさ、顔のほてり、頭痛、眠気、口渇、排尿困難等がある。排尿困難の症状がある人、心臓病、緑内障の診断を受けた人は症状の悪化を招くおそれがある。また、高齢者では口渇や便秘の副作用が現れやすい。
▢ 35.ロートエキス
ロートエキスはロートコン(ナス科ハシリドコロ等の根茎及び根)の抽出物で、抗コリン作用を示すアルカロイドを豊富に含む。
ロートエキスは、吸収された成分の一部が母乳中に移行して乳児の脈が速くなるおそれがあるため、授乳中は使用を避けるか、使用する場合には授乳を避ける。また、ロートエキスにより母乳が出にくくなることがある。
▢ 36.塩酸パパベリン
塩酸パパベリンは、消化管の平滑筋に直接働いて胃腸の痙攣を鎮める成分で、抗コリン成分のような胃液分泌抑制作用はない。
塩酸パパベリンは、抗コリン成分と異なり、自律神経系を介さず、消化管の平滑筋に直接働いて胃腸の痙攣を鎮める。眼圧を上昇させる作用があるので、緑内障の診断を受けた人では症状を悪化させるおそれがある。
▢ 37.局所麻酔成分
アミノ安息香酸エチル等の局所麻酔成分は、消化管の粘膜及び平滑筋に対する麻酔作用により鎮痛鎮痙の効果を示す。
アミノ安息香酸エチル、オキセサゼイン等の局所麻酔成分は、痛みを感じにくくなることで重大な消化器疾患や状態の悪化を見過ごすおそれがあるため、長期間の使用を避ける。アミノ安息香酸エチルは、乳幼児でメトヘモグロビン血症のおそれがあり、6歳未満の小児への使用を避ける。
▢ 38.相互作用
胃腸鎮痛鎮痙薬に配合されている成分は、ほとんどが胃腸以外に対する作用も示すため、複数の胃腸鎮痛鎮痙薬の併用を避ける。
抗コリン成分は、かぜ薬、乗物酔い防止薬、鼻炎用内服薬等にも配合されており、抗ヒスタミン薬には抗コリン作用を併せ持つ成分が配合されている場合がある。これらを併用すると抗コリン作用が増強し、排尿困難、目のかすみや異常なまぶしさ、頭痛、口渇等の副作用が現れやすくなる。
▢ 39.受診勧奨
腹部の痛みは、胆嚢炎、胆石症、急性膵炎など胃腸以外の臓器に起因する場合があり、胃腸鎮痛鎮痙薬の使用が適当でない場合がある。
痛みが次第に強くなる、周期的に痛む、嘔吐や発熱を伴う、下痢や血便・血尿を伴う、原因不明の腹痛が30分以上続く等の場合には、医療機関を受診することが望ましい。安易に一般用医薬品を使用すると痛みの発生部位が不明確になって原因が特定できないことがあるので注意する。
▢ 40.浣腸薬の働き
浣腸薬は、便秘の場合に排便を促すことを目的として、直腸内に適用される医薬品である。
浣腸薬の剤型には、注入剤と坐剤がある。繰り返し使用すると直腸の感受性の低下が生じて効果が弱くなるため、運用しない。便秘については、便秘になりやすい食生活等の生活習慣の改善が図られることが重要である。また、流産・早産のおそれがあるため、妊婦には使用しない。
▢ 41.注入剤の配合成分
注入剤には、浸透圧の差により腸管壁から水分を取り込み直腸粘膜を刺激して排便を促すグリセリンやソルビトールが配合されている。
グリセリンが配合された浣腸薬では、排便時に血圧低下を生じて立ちくらみの症状が現れることがあり、高齢者や心臓病の人は使用の適否を専門家に相談する。また、肛門等に損傷があり出血している場合、グリセリンが傷口から血管内に入って溶血や腎不全を引き起こすおそれがある。
▢ 42.注入剤の用法
薬液の注入後すぐに排便すると、薬液のみが排出されて効果が十分得られないため、便意が強まるまでしばらく排便を我慢する。
注入剤の使用方法と注意は次のとおりである。(1)薬液の放出部を肛門に差し込み、薬液だまりの部分を絞って、薬液を押し込むようにゆっくりと注入する。(2)薬液注入後、便意が強まるまで排便を我慢する。(3)半量使用の場合は、残量を再利用せず、廃棄する。
▢ 43.坐剤の用法と配合成分
坐剤は、無理に挿入すると直腸粘膜を傷つけるおそれがあるので、硬すぎる場合は柔らかくして使用する。
坐剤の挿入後は、便意が強まるまで排便を我慢する。配合成分としては、ビサコジル、炭酸水素ナトリウム等があるが、炭酸水素ナトリウムを主薬とする坐剤では、まれに重篤な副作用としてシヨックを生じることがある。また、坐剤を誤って服用することのないよう注意する。
▢ 44.駆虫薬
駆虫薬は、腸管内の寄生虫を駆除するために用いられる医薬品で、一般用医薬品が対象とするのは回虫と蟯虫である。
駆虫薬は腸管内の虫体にのみ作用し、虫卵や腸管内以外に潜伏した幼虫(回虫の場合)には作用が及ばないため、それらが成虫となった頃に再度使用しないと完全には駆除できない。再度駆虫を必要とする場合には、1ケ月以上間隔を置いてから使用する。
▢ 45.駆虫成分(サントニン、カイエン酸)
サントニンは回虫の自発運動を抑える作用、カイニン酸は回虫に痙攣を起こさせる作用を示し、虫体を排便とともに排出させる。
サントニンは主に肝臓で代謝されるため、肝臓病の診断を受けた人は症状を悪化させるおそれがある。副作用として、一時的に物が黄色く見える、耳鳴り、口渇が現れることがある。カイニン酸を含む生薬成分として、マクリ(紅藻類マクリの全薬)が配合されていることがある
▢ 46.駆虫成分(リン酸ピペラジン)
リン酸ピペラジンは、アセチルコリン伝達を妨げて、回虫や蟯虫の運動筋を麻痺させ、虫体を排便とともに排出させる。
リン酸ピペラジンの副作用として、痙攣、倦怠感、眠気、食欲不振、下痢、便秘が現れることがある。痙攣の症状のある人、貧血、栄養障害の診断を受けた人は症状の悪化を招くおそれがあり、肝臓病、腎臓病の診断を受けた人は、ピペラジンが血液中に滞留して副作用が生じやすくなるおそれがあるため、使用の適否を相談する。
▢ 47.駆虫成分(パモ酸ピルビニウム)
パモ酸ピルビニウムは、蟯虫の呼吸や栄養分の代謝を抑えて殺虫作用を示す。
パモ酸ピルビニウムは赤~赤褐色の成分で、使用すると尿や糞便が赤く着色することがある。水に溶けにくいため消化管からの吸収は少ないが、ヒマシ油との併用、脂質分の多い食品やアルコール摂取は避ける。
心臓や血液に作用する薬
▢ 48.心臓の働きと動悸、息切れ
心臓は血液を全身に循環させるボンプの働きを担い、自律神経系により無意識のうちに調整がなされている。
動悸は、心臓の働きが低下して十分な血液を送り出せなくなったときに、脈拍数を増やすことでその不足を補おうとすることによって生じる。また、体の各部への酸素供給の低下を呼吸によって補おうとして、息切れが起こる。
▢ 49.強心薬の働き
一般用医薬品における強心薬は、心臓の働きを整えて、動悸や息切れ等の症状を改善することを目的としている。
強心薬は、一般用医薬品では、疲労やストレス等による軽度の心臓の働きの乱れについて用いられる。心筋に作用し、その収縮力を高める強心成分を主体として配合される。5~6日間使用しても症状の改善がみられない場合には心臓以外の要因も考えられるので、医療機関の受診を勧める。
▢ 50.強心成分
強心成分は、心筋に直接刺激を与えて収縮力を高める。生薬成分のセンソ、ゴオウ、ジャコウ、ロクジョウ等がある。
センソ(シナヒキガエルまたはヘリグロヒキガエルの毒腺の分泌物)は、微量で強い強心作用を示す。皮膚や粘膜に触れると局所麻酔作用を示し、丸薬、錠剤を口中で噛み砕くと舌等が麻痺することがあるため噛まずに服用する。悪心・嘔吐の副作用が現れることがある。
▢ 51.強心成分
ジャコウ、ゴオウ、ロクジョウは、小児五疳薬、滋養強壮保健薬等に配合される。
(1)ジャコウ(ジャコウジカ雄のジャコウ腺分泌物)強心作用のほか、呼吸機能を高め、意識をはっきりさせる。(2)ゴオウ(ウシ胆嚢中に生じた結石)強心作用、末梢血管拡張による血圧降下、興奮を鎮める作用がある。(3)ロクジョウ(シベリアジカ、マンシュウアカジカ雄の幼角)強心作用、強壮、血行促進作用がある。
▢ 52.強心成分以外の配合成分
強心薬には、強心成分の働きを助けるため、鎮静、強壮などの作用を示す生薬成分が組み合わされて配合されることが多い。
強心成分以外の配合成分としては、リュウノウ(中枢神経系の刺激作用による気つけの効果がある)、シンジュ(鎮静作用が期待される)、そのほか、レイヨウカク、ジンコウ、動物胆(ユウタンを含む)、サフラン、ニンジン、インヨウカク等が配合される場合がある。
▢ 53.漢方処方製剤(苓桂朮甘湯)
苓桂朮甘湯は、めまい、ふらつき、動悸があり尿量が減少する人の神経質、ノイローゼ、めまい、動悸、息切れ、頭痛に適する。
苓桂朮甘湯には強心作用を示す生薬は含まれておらず、主に利尿作用により水毒の排出を促す。構成生薬としてカンゾウを含むため、高血圧、心臓病、腎臓病の診断を受けた人では、グリチルリチン酸による偽アルドステロン症を生じやすい。比較的長期間(1ケ月位)服用されることがある。
▢ 54.相互作用
医師の治療を受けている場合は、強心薬の使用により治療中の疾患(心臓病に限らない)に悪影響を生じることがある。
疾患のある人が動悸や息切れの症状がある場合、治療中の疾患に起因する可能性や、処方された薬剤の副作用である可能性もある。医師の治療を受けている人は、強心薬を使用する前に、治療を行っている医師や薬剤師に使用の適否について相談することが望ましい。
▢ 55.受診勧奨
動悸や息切れに対しては、薬の使用だけでなく、生活習慣を改善して動悸や息切れを起こしにくい体質をつくることも重要である。
心臓の働きの低下が比較的軽微であれば、心臓に無理を生じない程度の軽い運動と休息の繰り返しを日常生活に取り入れることにより心筋が鍛えられる。また、手足の筋肉の動きにより血行が促進され、心臓の働きを助ける。
▢ 56.血中コレステロール
コレステロールは細胞の構成成分で、胆汁酸や副腎皮質ホルモン等の生理活性物質の産生に重要な物質である。
コレステロールは生体に不可欠な物質で、産生及び代謝は主として肝臓で行われる。コレステロールは水に溶けにくいため、血液中では血漿蛋白質と結合したリポ蛋白質となって存在し、比重によって低密度リポ蛋白質(LDL)と高密度リポ蛋白質(HDL)に分類される。
▢ 57.LDLとHDL
LDLが多くHDLが少ないと、コレステロールが末梢組織に蓄積し、心臓病、動脈硬化症等の生活習慣病を招く危険性が高くなる。
LDLはコレステロールを肝臓から末梢組織へ運び、HDLは末梢組織のコレステロールを取り込んで肝臓へ運ぶリポ蛋白質である。コレステロールは2つのリポ蛋白質により肝臓と末梢組織の間を行き来している。LDLを悪玉コレステロール、HDLを善玉コレステロールと呼ぶことがある
▢ 58.高コレステロール改善薬の働き
高コレステロール改善薬は、血中コレステロール異常を改善し、異常に伴う末梢血行障害(手足の冷え、痺れ)を緩和する。
高コレステロール改善成分は、末梢組織へのコレステロールの吸収を抑えたり、肝臓におけるコレステロールの代謝を促す。結果的に生活習慣病の予防につながるが、ウエスト周囲径を減少させるなどの痩身効果を目的とする医薬品ではない。
▢ 59.高コレステロール改善薬の位置づけ
高コレステロール改善薬の使用による対処は、食事療法、運動療法の補助的な位置づけである。
コレステロールは、食事から摂取された糖及び脂質から主に産生される。高コレステロールを改善するには、糖質や脂質を多く含む食品の過度の摂取を控え、日常生活に適度な運動を取り入れる等、生活習慣の改善が図られることが重要である。
▢ 60.高コレステロール改善成分
高コレステロール改善成分は脂溶性物質であるため、悪心(吐き気)、胃部不快感、胸やけ、下痢等の消化器系の副作用が現れることがある。
高コレステロール改善成分である大豆油不鹸化物(ソイステロール)は、末梢組織におけるコレステロールの吸収を抑える働きがある。
▢ 61.高コレステロール改善成分
リノール酸、ポリエンホスフアチジルコリンは、肝臓におけるコレステロールの代謝を促す。
ポリエンホスフアチジルコリンは、大豆から抽出・精製したレシチンの一種である。リノール酸、ポリエンホスファチジルコリンは、コレステロールと結合して代謝されやすいコレステロールエステルを形成し、肝臓におけるコレステロールの代謝を促す。
▢ 62.ビタミン成分(ビタミンB2)
ビタミンB2(酪酸リボフラビン等)は、障害の原因となる過酸化脂質と結合して、その代謝を促す。
血漿中に過剰に存在するコレステロールは過酸化脂質となって種々の障害の原因となるが、酪酸リボフラビン等は過酸化脂質と結合し、代謝を促す。リボフラビンの摂取により尿が黄色くなることがあるが、副作用等の異常ではないので使用を中止する必要はない。
▢ 63.ビタミン成分(ビタミンE)
ビタミンE(酢酸トコフェロール)は、コレステロールから過酸化脂質の生成を抑え、末梢血管における血行を促進する。
ビタミンEは、血中コレステロール異常に伴う末梢血行障害(手足の冷え、痺れ)の緩和等に用いられる。米油及び米胚芽油から見出された成分であるガンマーオリザノールが配合されていることがある。
▢ 64.貧血と鉄製剤の働き
貧血は、ビタミン欠乏性貧血と鉄欠乏性貧血等に分類される。鉄製剤は鉄欠乏性貧血に対し鉄分を補い、造血機能の回復を図る。
鉄分は、赤血球が酸素を運搬する上で重要なヘモグロビンの産生に不可欠なミネラルである。摂取不足を生じても貯蔵鉄や血清鉄が減少するのみでヘモグロビン量は変化せず、ただちに貧血の症状は現れない。持続的に欠乏すると、ヘモグロビンが減少して貧血症状が現れる。
▢ 65.配合成分(鉄分)
鉄分は空腹時のほうが吸収率が高いが、胃腸障害等の副作用を軽減するには、食後に服用することが望ましい。
貧血用薬には、鉄分の補充を目的として、フマル酸第一鉄、溶性ピロリン酸第二鉄、可溶性含糖酸化鉄等が配合されている。服用の前後30分にタンニン酸を含む飲食物を摂取すると鉄分の吸収が悪くなる。鉄製剤を服用すると便が黒くなることがあるが、使用中止を要するものではない。
▢ 66.配合成分(鉄以外の金属成分)
貧血用薬には、硫酸銅、硫酸コバルト、硫酸マンガン等の鉄以外の金属成分が配合されていることがある。
銅は、ヘモグロビン産生過程で鉄の代謝や輸送に働く。鉄分によるヘモグロビン産生を助ける。
コバルトは、赤血球生成過程で必要なビタミンB12の構成成分。骨髄での造血機能を高める。
マンガンは、糖質、脂質、蛋白質の代謝に働く酵素の構成物質。エネルギー合成を促進する。
▢ 67.配合成分(ビタミン成分)
貧血用薬には、ビタミン成分としてビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンCが配合されていることがある。
ヘモグロビン産生や赤血球の形成に働くビタミン成分として、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、葉酸が配合されていることがある。ビタミンCは、消化管内で鉄が吸収されやすい状態(ヘム鉄)に保つ働きがある。
▢ 68.ユビデカレノン
ユビデカレノンは肝臓や心臓に多く存在し、エネルギー代謝に関与する酵素の働きを助ける。別名コエンザイムQ10と呼ばれる。
ユビデカレノンは、肝臓や心臓などの臓器に多く存在し、エネルギー産生の際にビタミンB群とともに働く。心筋の酸素利用効率を高めて収縮力を高めることにより、血液循環の改善効果を示し、軽度な心疾患により起こる動悸、息切れ、むくみの症状に用いられる。
▢ 69.その他の成分
循環器用薬には、ヘプロニカート、イノシトールヘキサニコチネート、ルチン、生薬成分のコウカが配合されていることがある。
(1)ヘプロニカート、イノシトールヘキサニコチネートは、代謝されてニコチン酸が遊離し、末梢の血液循環を改善する。
(2)ルチンは、ビタミン様物質の一種で、毛細血管を補強・強化する。
(3)コウカ(べニバナ花)は、末梢の血行を促し、鬱血を除く。
▢ 70.漢方処方製剤
高血圧に伴う諸症状に対して、比較的体力がある人には三黄瀉心湯、身体虚弱傾向のある人には七物降下湯が適すとされる。
(1)三黄瀉心湯は、瀉下成分ダイオウを含むため、瀉下薬との併用を避ける。虚弱で胃腸が弱く下痢しやすい人等では、激しい腹痛を伴う下痢等を起こすことがあり不向き。
(2)七物降下湯は、胃腸が弱く下痢しやすい人では胃部不快感等が現れやすく不向き。15歳未満の小児は使用を避ける。
▢ 71.使用上の注意
高血圧や心疾患に伴う諸症状を改善する医薬品は、それらの治癒を目的とするものではない。
高血圧や心疾患に伴う諸症状を改善する医薬品は体質の改善または症状の緩和が主眼であり、高血圧や心疾患そのものへの対処については医療機関を受診することが望ましい。購入者が、一般用医薬品によって自己治癒が可能であるとの誤解を生じないよう適切な情報提供が必要である。
排泄器官に作用する薬
▢ 72.痔の発症
痔は、肛門付近の血管が鬱血し、肛門に負担がかかることにより生じる。(1)痔核(いぼ痔)、(2)裂肛(切れ痔)、(3)痔ろうがある。
(1)痔核は、便秘等による肛門部への圧迫により肛門の血管が拡張していば状の腫れが生じたもの。内痔核と外痔核がある。
(2)裂肛は、肛門の出口から内側上皮に傷が生じたもので、硬い便の排出時に粘膜が傷つけられることなどにより起こる。
(3)痔ろうは、肛門腺(肛門内部の小さなくぼみ)に糞便のカスが溜まって炎症・化膿を生じたもの。
▢ 73.痔疾用薬の種類
痔疾用薬には、肛門部や直腸内に適用する(1)外用痔疾用薬と、(2)内用痔疾用薬がある。
(1)外用痔疾用薬は、痛み、痒み、腫れ、出血等の緩和や消毒に用いる坐剤、軟膏剤(注入軟膏)、外用液剤がある。
(2)内用痔疾用薬は、比較的緩和な抗炎症作用、血行改善作用がある成分、シャ下・整腸成分などが配合されており、外用痔疾用薬と併用すると効果的である。
▢ 74.漢方処方製剤(乙字湯)
乙字湯は、大便が硬く便秘傾向のある人の痔核、切れ痔、便秘の症状に、キュウキキョウガ湯は痔出血に適すとされる。
乙字湯は構成生薬としてカンゾウ、ダイオウを含む。まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎を生じることがある。虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人では悪心・嘔吐、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい。
▢ 75.相互作用、副作用
坐剤及び注入軟膏では、成分の一部が直腸粘膜から吸収され、全身的な影響を生じることがある。
外用痔疾用薬の坐剤及び注入軟膏では、成分の一部が直腸粘膜から吸収されて循環血流中に入り、内服薬と同様の影響を生じることがあるため、同種の作用を示す成分を含む内服薬、食品、医薬部外品が併用されると、効き目が強く出すぎたり、副作用が現れやすくなることがある。
▢ 76.受診勧奨
痔の原因となる生活習慣の改善を図るとともに一定期間痔疾用薬を使用しても症状が続く場合には、医療機関を受診する。
便秘等の生活習慣の改善を図るとともに一定期間痔疾用薬を使用しても排便時の出血や痛み等の症状が続く場合には、肛門癌などの重大な病気の可能性もあるため、早期に医療機関を受診することが望ましい。
▢ 77.尿路消毒成分
ウワウルシは、経口的に摂取した後、尿中に排出される分解代謝物が抗菌作用を示す。
ウワウルシはツツジ科クマコケモモの葉を薬用部位として用いた生薬で、尿路の殺菌消毒効果を期待されている。日本薬局方収載のウワウルシは、煎薬として、残尿感、排尿に際して不快感のあるものに用いられる。
▢ 78.利尿成分
泌尿器用薬には、利尿作用を期待して、カゴソウ、キササゲ、サンキライ、ソウハクヒ、モクツウ、ブクリョウ等が配合される。
日本薬局方収載のカゴソウは、煎薬として、残尿感、排尿に際して不快感のあるものに用いられる。同じく日本薬局方収載のキササゲ、サンキライ、ソウハクヒは、煎薬として尿量減少に用いられる。
▢ 79.牛車腎気丸、八味地黄丸
牛車腎気丸、八味地黄丸は、疲れやすく、四肢が冷えやすく、尿量減少または多尿で、ときに口渇がある人に適する。下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、痒み、排尿困難、頻尿、むくみに適用
▢ 80.六味丸
六味丸は、疲れやすく、尿量減少または多尿で、ときに口渇がある人に適する。排尿困難、頻尿、むくみ、痒みに適応
▢ 81.猪苓湯
猪苓湯は、尿量が減少し、尿が出にくい人に適する。排尿痛、残尿感に適応
▢ 82.竜胆芍肝湯
竜胆芍肝湯は、比較的体力があり、下腹部の筋肉が緊張する傾向がある人に適する。排尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけの症状に適応
婦人薬
▢ 83.月経と女性ホルモン
月経は子宮の内壁を覆っている子宮内膜が剥がれ落ち、血液と共に排出される生理現象である。
月経周期は種々のホルモンの相互作用により調節されており、脳の下部で産生されるホルモンと卵巣で産生される女性ホルモンが関与している。加齢とともに卵巣からの女性ホルモンの分泌が減少し、妊娠可能な期間が終了することを閉経といい、閉経周辺期を更年期という。
▢ 84.婦人薬の効能・効果
婦人薬は、月経及び月経周期に伴い生じる様々な女性特有の諸症状の緩和と保健を目的とする。
婦人薬の効能・効果は、血の道症、更年期障害、月経異常及び随伴症状の冷え症、月経痛、腰痛、頭痛、のぼせ、肩こり、めまい、動悸、息切れ、手足のしびれ、こしけ(おりもの)、血色不良、便秘、むくみ等である。
▢ 85.更年期障害
更年期(閉経周辺期)には、女性ホルモン分泌量の減少に伴い体に様々な変調が生じることがあり、これを更年期障害という。
更年期には、月経周期が不規則になるほか、不定愁訴として血の道症(形態的異常がなく、抑鬱、不眠、神経質、集中力の低下等の精神神経症状が現れる)や、冷え症、腰痛、頭痛、ほてり、のぼせ、立ちくらみ等の症状が起こることがある。
▢ 86.女性ホルモン成分
人工的に合成された女性ホルモン成分であるエチエルエストラジオール、エストラジオールは、女性ホルモンを補充する。
エチニルエストラジオール、エストラジオールは、腟粘膜または外陰部に適用されるものがある。妊婦への使用(胎児の先天性異常発生の報告)、母乳を与える女性(乳汁中へ移行)では使用を避ける。長期連用により血栓症、乳癌や脳卒中のおそれがある。
▢ 87.温経湯
温経湯は、手足のほてり、唇の乾きがある人に適する。月経不順、月経困難、こしけ、更年期障害、不眠、神経症、湿疹、足腰の冷え、しもやけに適応、胃腸の弱い人には不向き
▢ 88.加味逍遥散
加味逍遥散は、虚弱体質で、肩こりがあり、疲れやすく、精神不安等の精神神経症状を訴える人に適する。冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症に適応、に適応、胃腸の弱い人には不向き、肝機能障害に注意
▢ 89.五積散
五積散(マオウを含む)は、比較的虚弱で、貧血気味で、疲れやすい人に適する。慢性に経過した症状の激しくない胃腸炎、腰痛、神経痛、関節痛、月経痛、頭痛、冷え症、更年期障害、感冒に適応、虚弱な人、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人には不向き
▢ 90.柴胡桂枝湯
柴胡桂枝湯は、体力が弱く、冷え症、貧血気味で、動悸、息切れ、精神神経症状を訴える人に適応、更年期障害、血の道症、神経症、不眠症に適応、間質性肺炎、肝機能障害に注意
▢ 91.桃核承気湯
桃核承気湯(ダイオウを含む)は、比較的体力があり、のぼせて便秘がちな人に適応、月経不順、月経困難症、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状に適応、虚弱な人、胃腸が弱く下痢しやすい人には不向き
▢ 92.桂枝茯苓丸
桂枝茯苓丸は、比較的体力があり、下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えのある人に適応、月経不順、月経痛、更年期障害、肩こり、めまい、頭重、打ち身、しもやけ、しみに適応、虚弱な人には不向き、肝機能障害に注意桂枝秩苓
▢ 93.当帰芍薬散
当帰芍薬散は、比較的体力が乏しく、冷え症で貧血傾向があり、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸がある人に適応、月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後または流産による障害、肩こり、めまい、頭重、腰痛、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ、しみに適応、胃腸の弱い人には不向き
▢ 94.月経不順
月経不順は、過度のストレスや不適切なダイエット等による栄養摂取の偏りによって起こることもある。
月経不順は、卵巣機能の不全により起きる場合もあるが、過度のストレスや不適切なダイエット等による栄養摂取の偏りによって起こることもあり、月経前症候群・の悪化の要因となる。
▢ 95.受診勧奨
内服用婦人薬は、ある程度長期間使用することによって効果が得られるが、効果がみられないときは漫然と使用を継続しない。
内服用婦人薬は比較的作用が穏やかで、ある程度長期にわたって使用することによって効果が得られるが、1ケ月位使用して症状の改善がみられず、日常生活に支障を来すような場合は、漫然と使用を継続せず、医療機関を受診することが望ましい。
アレルギー用薬
▢ 96.アレルギー用薬
アレルギー用薬は、蕁麻疹や湿疹、かぶれ及びそれらに伴う皮膚の痒みまたは鼻炎に用いられる内服薬の総称である。
アレルギー用薬は、蕁麻疹や湿疹、かぶれ及びそれらに伴う皮膚の痒みまたは鼻炎に用いられる内服薬の総称で、ヒスタミンの働きを抑える成分(抗ヒスタミン成分)が主体として配合されている。
▢ 97.抗ヒスタミン成分
アレルギー用薬に含まれる抗ヒスタミン成分は、ヒスタミンが受容体と反応するのを妨げることにより作用を示す。
抗ヒスタミン成分には、マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸カルビノキサミン、塩酸ジフェンヒドラミン、メキタジンなどがある。メキタジンはまれに重篤な副作用としてショック、肝機能障害、血小板減少を生じることがある。抗ヒスタミン成分は抗コリン作用も示すため、排尿困難や便秘、口渇等の副作用が現れることがある。
▢ 98.アドレナリン作動成分
アドレナリン作動成分は、交感神経系を刺激して鼻粘膜の血管を収縮させることにより、鼻粘膜の充血や腫れを和らげる。
鼻炎用内服薬に配合されるアドレナリン作動成分には、塩酸プソイドエフェドリン、塩酸フェニレフリン、塩酸メチルエフェドリン等がある。塩酸プソイドエフェドリンは、パーキンソン病の治療として塩酸セレギリン等が処方されている人では使用を避ける。
▢ 99.その他の配合成分
抗コリン成分(ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド)は、副交感神経系を抑制して鼻汁分泌、くしゃみを抑える。
抗炎症成分(グリチルリチン酸ニカリウム、塩化リゾチーム、ブロメライン、 トラネキサム酸)は、皮膚や鼻粘膜の炎症を和らげる。ビタミン成分(ビタミンB2、B5、B6、C、ニコチン酸アミド)は、皮膚や粘膜の健康維持、回復に重要なビタミンを補給する。
▢ 100.アレルギー症状の軽減
アレルギー症状を軽減するには、日常生活においてアレルゲンの除去、回避などの根源的な対応を図ることが重要である。
アレルギー症状を軽減するには、アレルゲンを除去、回避することが重要であり、何がアレルゲンとなっているのかを見極めることが必要である。アレルゲンを特定するには医療機関で検査を行う。その上での減感作療法も有効である。
▢ 101.他の医薬品との相互作用
一般用アレルギー用薬は複数の有効成分が配合されている場合が多く、他の医薬品との併用による重複摂取に注意する。
一般用アレルギー用薬は、抗ヒスタミン成分、アドレナリン作動成分、抗コリン成分等が配合された医薬品(かぜ薬、睡眠補助剤、乗物酔い防止薬、鎮咳去痰薬、胃腸鎮痛鎮痙薬等)と併用されると、重複摂取となり、効き目が強すぎたり、副作用が起こりやすくなるおそれがある。
▢ 102.内服薬と外用薬の相互作用
アレルギー用薬は、内服薬と外用薬でも同じ成分または同種の作用を有する成分が重複することもあり、注意が必要である。
アレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む)と鼻炎用点鼻薬のように、内服薬と外用薬でも同じ成分または同種の作用を有する成分が重複することもある。それらは相互に影響し合わないとの誤った認識に基づいて併用されることがないよう注意が必要である。
▢ 103.受診勧奨
一般用医薬品のアレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む)は、一時的な症状の緩和に用いられるもので、長期の運用は避ける。
一般用医薬品のアレルギー薬を5~6日間使用しても症状の改善がみられない場合や、種々のアレルギー症状が連鎖的に現れる場合には、医師の診察を受けることが望ましい。また、使用中に症状が悪化・拡大した場合は、副作用の可能性があり、医薬品の使用を中止して受診する。
鼻に用いる薬
▢ 104.鼻炎用点鼻薬とは
鼻炎用点鼻薬は、鼻炎による諸症状のうち、鼻づまり、鼻みず、くしゃみ、頭重の緩和を目的として鼻腔内に適用する外用剤である。
鼻炎用点鼻薬の剤型は、スプレー式で鼻腔内に噴霧するものが多い。噴霧後に鼻汁とともに薬液が逆流する場合があるので、使用前には鼻をよくかんでおく。汚染を防ぐために、容器がなるべく直接鼻に触れないように使用するほか、使用後は清潔に保管し、他人と共有しないようにする。
▢ 105.鼻炎用内服薬との違い
鼻炎用点鼻薬はアドレナリン作動成分を主体に抗ヒスタミン成分や抗炎症成分が配合されており、鼻腔内の局所的な作用を目的とする。
鼻炎用点鼻薬は、鼻粘膜の充血を和らげる成分(アドレナリン作動成分)が主体となり、抗ヒスタミン成分や抗炎症成分を組み合わせて配合されていても、鼻炎用内服薬と違い、鼻腔内の局所的な作用を目的としている。
▢ 106.アドレナリン作動成分
アドレナリン作動成分が配合された点鼻薬は、過度に使用されるとかえって鼻づまりがひどくなりやすい。
アドレナリン作動成分配合の点鼻薬は、過度の使用により鼻粘膜の血管が反応しなくなり、逆に血管が拡張して二次充血を招き、鼻づまりがひどくなりやすい。点鼻薬は、鼻粘膜の血管から吸収されて循環血液中に入りやすく、全身的な影響を生じることがあるため、長期連用は避ける。
▢ 107.鼻炎用点鼻薬の対象
鼻炎用点鼻薬の対象は、急性またはアレルギー性鼻炎及びそれに伴う副鼻腔炎であり、蓄膿症などの慢性のものは対象外である。
蓄膿症などの慢性のものは、鼻炎用点鼻薬の対象となっていない。また、鼻粘膜が腫れてポリープ(鼻茸)となっている場合は、一般用医薬品で対処することは適当でなく、医療機関における治療が必要である。
第3章の3 主な医薬品とその作用
眼科用薬
▢ 1.眼科用薬の種類
眼科用薬は結膜嚢に適用する外用薬で、(1)点眼薬、(2)洗眼薬、(3)コンタクトレンズ装着液の3つに大別できる。
一般用医薬品の点眼薬は、次のように大別される。(1)一般点眼薬、(2)人工涙液(涙液成分を補い、目の疲れや乾き、コンタクトレンズ装着時の不快感を和らげる)、(3)抗菌性点眼薬(結膜炎やものもらい、眼瞼炎等に用いる)、(4)アレルギー用点眼薬(花粉、ハウスダスト等による目のアレルギー症状を緩和する)。
▢ 2.点眼薬の効果
点眼薬は、一度に何滴も点眼しても効果が増すわけではなく、むしろ副作用を起こしやすくなる。
1滴の薬液の量は約50μLであるのに対して、結膜嚢の容積は30μL程度であるため、一度に何滴も点眼しても効果が増すわけではなく、むしろ鼻粘膜や喉から吸収されて副作用を起こしやすくなる。点眼後は数秒間まぶたを開じて、目頭を軽く押さえ、薬液を結膜嚢内に行き渡らせる。
▢ 3.点眼薬の使用上の注意
コンタクトレンズを装着したままで点眼薬を使用することは、添付文書に使用可能と記載がない限り行わないことが望ましい。
特にソフトコンタクトレンズは水分を含みやすく、防腐剤などの配合成分がレンズに吸着されて角膜に障害を起こすことがあるため、装着したままの点眼を避けることとされる製品が多い。ただし、 1回使い切りタイプの防腐剤を含まない製品では、装着時にも使用可能なものもある。
▢ 4.眼科用薬副作用
眼科用薬では、局所性の副作用として目の充血、痒み、腫れ、全身性の副作用として発疹、発赤、痒み等が現れることがある。
局所性の副作用は点眼薬が適応とする症状と区別しにくいため、一定期間使用しても改善されない場合は専門家に相談する。また、全身性の副作用は、それらの原因が眼科用薬によるものと思わずにアレルギー用薬や外皮用薬が使用されることがあるので、購入者に対する適切な助言が必要である。
▢ 5.目の調節機能を改善する配合成分
メチル硫酸ネオスチグミンは、目の調節機能に関与するアセチルコリンの働きを助け、目の調節機能を改善する。
目を酷使すると、目の調節機能に関与するアセチルコリンを分解するコリンエステラーゼの働きが活発になり、目の調節機能が低下して疲れ目などの症状が生じる。メチル硫酸ネオスチグミンはコリンエステラーゼの働きを抑制してアセチルコリンの働きを助け、目の調節機能を改善する。
▢ 6.目の充血、炎症を抑える配合成分
塩酸ナファゾリン等のアドレナリン作動成分は、結膜の血管を収縮させて目の充血を除去することを目的として用いられる。
抗炎症成分である塩化リゾチーム等は比較的緩和な作用を示し、イプシロンーアミノカプロン酸は、炎症物質の生成を抑えて目の炎症を改善する。アズレンスルホン酸ナトリウム等の組織修復成分は、眼粘膜の組織修復を促す。収斂成分として硫酸亜鉛が配合されている場合がある。
▢ 7.目の痒みを抑える配合成分
塩酸ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン成分は、ヒスタミンの働きを抑えることにより目の痒みを和らげる。
クロモグリク酸ナトリウムは抗アレルギー成分で、肥満細胞からのヒスタミンの遊離を抑え、花粉やハウスダストによる目のアレルギー症状を緩和する。アレルギー性でない結膜炎には無効で、抗ヒスタミン成分とともに配合される。
▢ 8.その他の成分
スルファメトキサゾール等のサルフア剤は、細菌感染による結膜炎等の化膿性の症状を改善することを目的として用いられる。
そのほか、無機塩類(リン酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム等)、ビタミン成分(ビタミンAは視力調整、ビタミンB2は、明暗順応の補酵素、ビタミンB5は、目の調節機能の回復、ビタミンB6は、目の疲れの症状の改善、ビタミンB12は、目の調節機能の補助、ビタミンEは、結膜充血、疲れ目の改善)、アミノ酸成分(新陳代謝を促して目の疲れを改善する)等が配合される。
皮膚に用いる薬
▢ 9.外皮用薬の種類と働き
外皮用薬は、皮膚表面の創傷や症状、毛根、血管、筋組織、関節等の症状を改善・緩和するもので、外用局所に直接適用する。
外皮用薬の剤状には、(1)塗り薬、(2)貼付剤、パップ剤、(3)噴霧剤、エアゾール剤がある。適用する皮膚表面に汚れや皮脂が多く付着していると有効成分の浸透性が低下するため、患部を清浄にしてから使用する。また、入浴後は表皮の角質層が柔らかくなっているので有効成分が浸透しやすい。
▢ 10.塗り薬
塗り薬(軟膏剤、クリーム)は、いったん手の甲などに必要量を取ってから患部に塗布する。
塗り薬(軟膏剤、クリーム)は、薬剤を容器から直接指に取って患部に塗布したあと、また指に取ることを繰り返すと、容器内に雑菌が混入するおそれがあるため、いったん手の甲などに必要量を取ってから患部に塗布する。
▢ 11.貼付剤、パップ剤
貼付剤、パップ剤は、患部に汗や汚れ等が付着した状態で使用すると、薬剤の十分な効果が得られない。
患部やその周囲に汗や汚れ等が付着した状態で貼付すると、有効成分の浸透性が低下するほか、剥がれやすくなるため、十分な効果が得られない。また、同じ部位に連続して貼付すると、かぶれ等が生じやすくなるので注意する。
▢ 12.噴霧剤、エアゾール剤
強い刺激を生じるおそれがあるため、噴霧剤、エアゾール剤は、目の周囲や粘膜(口唇等)には使用しない。
噴霧剤、エアゾール剤は、至近距離から噴霧したり同じ部位に連続して噴霧すると凍傷を起こすことがあるので、患部から離して噴霧し、連続噴霧時間は3秒以内とすることが望ましい。また、薬剤の吸入によりめまいや吐き気を生じることがあるので注意して使用する。
▢ 13.アクリノール
アクリノールは黄色の色素で、一般細菌類の一部に対して殺菌消毒作用を示すが、真菌、結核菌、ウイルスに対する効果はない。
アクリノールは黄色の色素で、―般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿菌)に対する殺菌消毒作用を示すが、真菌、結核菌、ウイルスに対しては効果がない。比較的刺激性が低く、創傷患部にしみにくい。衣類等に付着すると黄色く着色して落ちにくいので注意する。
▢ 14.オキシドール(過酸化水素水)
オキシドールは、過酸化水素水の分解で発生する活性酸素の酸化と、泡立ちの物理的な洗浄効果により殺菌作用を示す。
オキシドールは、一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿菌)に対する殺菌消毒作用を示すが、真菌、結核菌、ウイルスに対しては効果がない。作用の持続性が乏しく、組織への浸透性が低いが、刺激性があるため目の周りへの使用を避ける。
▢ 15.ヨウ素系殺菌消毒成分
ヨウ素系殺菌消毒成分は、ヨウ素による酸化作用により結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに対して殺菌消毒作用を示す。
ポピドンヨード、ヨードチンキ等のヨウ素系殺菌消毒成分は、アルカリ性になると殺菌力が低下するので、石鹸と併用する場合は石鹸分をよく洗い落とす。まれにショックやアナフィラキシー等の重篤な副作用を生じることがあり、ヨウ素に対するアレルギー既往がある人は使用を避ける。
▢ 16.マーキュロクロム
マーキュロクロムは有機水銀の一種である。皮膚への浸透性は低いが、口の周りや口が触れる部位(乳頭等)への使用は避ける。
マーキュロクロムは、一般細菌類の一部(連鎖球菌、黄色ブドウ球菌などの化膿菌)に対して殺菌消毒作用を示すが、真菌、結核菌、ウイルスに対する効果はない。ヨードチンキと併用すると殺菌作用が低下する。有機水銀の一種だが、通常の使用において水銀中毒を生じることはない。
▢ 17.ステロイド性抗炎症成分
外皮用薬で用いられるステロイド性抗炎症成分は、体の一部分に生じた湿疹、皮膚炎などの一時的な皮膚症状の緩和に用いる。
デキサメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン等のステロイド性抗炎症成分は、体の一部分に生じた一時的な皮膚症状の緩和に用いるもので、広範囲の皮膚症状や慢性のものは対象としない。水痘、みずむし、たむし、化膿している患部には使用せず、また、長期連用・過度の使用は避ける。
▢ 18.非ステロイド性抗炎症成分
非ステロイド性抗炎症成分はステロイドホルモンと共通の化学構造をもたないが、プロスタグランジンの産生を抑える。
非ステロイド性抗炎症成分は、(1)長期運用を避ける、(2)殺菌作用はなく、皮膚感染症に対しては効果がない、(3)喘息の副作用を引き起こすおそれがある、(4)妊婦への使用を避ける、(5)小児への使用は有効性・安全性が確認されていない(インドメタシン主薬の外皮用薬は11歳未満の小児、その他の成分では15歳未満の小児向けの製品はない)。
▢ 19.非ステロイド性抗炎症成分
ブフェキサマク、ウフェナマートは、湿疹、皮膚炎等に、インドメタシン、ケトプロフェン等は、筋肉痛、関節痛等に用いられる。
ブフェキサマク、ウフェナマートは、湿疹、皮膚炎、かぶれ等の皮膚症状に用いられる。インドメタシン、ケトプロフェン、フェルビナク、ピロキシカムは、プロスタグランジンの産生を抑制して筋肉痛、関節痛、腰痛等を緩和する。ケトプロフェンは、まれに光線過敏症を生じることがある。
▢ 20.その他の成分
痒み、腫れ、痛み等を抑える成分として、局所麻酔成分、抗ヒスタミン成分、局所刺激成分等が配合される場合がある。
局所麻酔成分(塩酸ジブカイン等)、抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミン等)、局所刺激成分(メントール、カプサイシン等)、収斂・皮膚保護成分(酸化亜鉛)、組織修復成分(アラントイン等)、血管収縮成分(塩酸ナファゾリン等)、血行促進成分(ヘパリン類似成分等)等が配合される場合がある。
▢ 21.肌の角質化、かさつき等を改善する成分
サリチル酸は、角質成分を溶解して角質軟化作用を示す。イオウは、角質層のケラチンを変質させて角質軟化作用を示す。
サリチル酸は、頭皮のふけを抑える効果を期待して毛髪用薬に配合されることもある。イオウは、にきび用薬に配合されることもある。また、角質層の水分保持量を高め、皮膚の乾燥を改善する保湿成分として、グリセリン、尿素、白色ワセリン、オリーブ油等が用いられる。
▢ 22.抗菌成分
抗菌成分には、サルファ剤、バシトラシン、硫酸フラジオマイシン等があり、にきび、吹き出物・毛嚢炎、とびひ等に用いる。
(1)スルフアジアジン等のサルファ剤は、細菌のDNA合成を阻害することにより抗菌作用を示す。(2)バシトラシンは、細菌の細胞壁合成を阻害することにより抗菌作用を示す。(3)硫酸フラジオマイシン、クロラムフェニコールは、細菌のタンパク質合成を阻害することにより抗菌作用を示す。
▢ 23.抗真菌成分
抗真菌成分には、イミダゾール系抗真菌成分、塩酸アモロルフィン、ウンデシレン酸等があり、みずむし・たむし等に用いる。
(1)イミダゾール系抗真菌成分は、細胞膜構成成分の産生を妨げる。(2)塩酸アモロルフィンは、細胞膜構成成分の産生を妨げる。(3)シクロピロクスオラミンは、細胞膜に作用する。(4)ウンデシレン酸は、患部を酸性にして発育を抑制する。(5)ピロールニトリンは、菌の呼吸や代謝を妨げる
▢ 24.頭皮・毛根に作用する配合成分
毛髪用薬は、脱毛の防止、育毛、ふけや痒みを抑えることを目的として頭皮に適用する医薬品である。
(1)塩化カルプロニウムは、頭皮の血管を拡張し、毛根への血行を促す。(2)安息香酸エストラジオールは、脱毛を抑制する。(3)生薬成分は、カシュウ(頭皮の脂質代謝を高め、余分な皮脂を取り除く)、チクセツニンジン(血行促進、抗炎症作用)、ヒノキチオール(抗菌、血行促進、抗炎症作用)
▢ 25.うおのめ、たこ、いぼ
うおのめ、たこは、皮膚の一部に機械的刺激や圧迫が繰り返し加わることにより角質層が部分的に厚くなったものである。
いぼは、表皮が隆起した小さな良性の腫瘍で、ウイルス性と老人性に大別される。角質軟化薬のうち、配合成分等が一定範囲内である製品については、医薬部外品(うおのめ・たこ用剤)として販売されているが、いぼに用いる製品は、医薬品としてのみ認められている。
▢ 26.毛嚢炎ととびひ
毛嚢炎は、黄色ブドウ球菌などの化膿菌が毛穴から侵入し、皮脂腺、汗腺で増殖して生じた吹き出物である。
毛嚢炎に対して、とびひ(伝染性膿か疹)は、毛穴を介さずに、虫さされやあせも、掻き傷などから化膿菌が侵入したものである。とびひは小児に発症することが多い。水疱が破れて分泌液が付着すると、皮膚の他の部分や他の人に拡がることがある。
▢ 27.みずむし・たむし
みずむし、たむし等は、真菌の一種の皮膚糸状菌(白癬菌)が皮膚に寄生して起こる。抗真菌成分の配合された外皮用薬を用いる。
じゅくじゅくと湿潤している患部には軟膏かクリーム剤が適しており、皮膚が厚く角質化している患部には液剤が適している。湿疹との判別ができない場合や、亀裂や外傷がひどい患部、化膿している患部には使用しない。2週間位使用しても症状が良くならない場合は医療機関を受診する。
歯や口内に用いる薬
▢ 28.歯痛薬
歯痛薬は、歯の齲蝕(虫歯)や歯髄炎による痛みを応急的に鎮めるものであり、齲蝕そのものを修復するものではない。
歯痛薬には、局所麻酔成分としてアミノ安息香酸エチル、テーカイン、メントール等が、殺菌消毒成分としてフェノール、クレオソート、オイゲノール等が配合される。ただし、歯痛では基本的に歯科診療を受けることが優先され、歯痛薬による対処は最小限にとどめる必要がある。
▢ 29.歯槽膿漏薬
歯槽膿漏薬は、歯肉炎、歯槽膿漏の諸症状の緩和を目的とするもので、患部局所に適用する外用薬と内服薬がある。
歯槽膿漏薬の外用薬には、殺菌消毒成分(塩化セチルピリジニウム等)、抗炎症成分、止血成分(カルバゾクロム)、組織修復成分(アラントイン)等が配合される。内服薬には、抗炎症成分、止血成分(フィトナジオン)、ビタミン成分等が配合されており、外用薬と併用すると効果的である。
▢ 30.口内炎用薬
口内炎は口腔の粘膜に水泡や潰瘍ができるもので、口内炎用薬は、それらを緩和するために口腔内局所に適用される。
口内炎は、栄養の偏りやストレス、睡眠不足、唾液分泌の低下、口腔内の不衛生等が要因とされるが、疱疹ウイルスの口腔内感染による場合や、一般用医薬品の副作用として現れることもある。また、内服薬として、インチンコウ湯(漢方処方製剤)が用いられることもある。
▢ 31.受診勧奨
口内炎や舌炎が1~2週間しても治らない場合や、複数箇所に発生して食事に著しい支障を来す場合には、医療機関を受診する。
口内炎や舌炎は、通常は1~ 2週間で自然寛解する。長期間にわたって症状が長引く場合は口腔内に生じた腫瘍である可能性もあり、再発を繰り返す場合には、ベーチェット病も考えられるので、医療機関を受診することが望ましい。
禁煙補助剤
▢ 32.ニコチン置換療法
禁煙補助剤(咀嚼剤)は、噛むことにより、口腔内でニコチンが放出され、口腔粘膜から吸収されて循環血液中に移行する。
禁煙補助剤(咀嚼剤)は、ニコチンを有効成分とする医薬品で、ニコチン置換療法に使用される。ニコチン置換療法は、ニコチンの摂取を喫煙以外に換えて摂取量を徐々に減量し、離脱症状を軽減しながら最終的にニコチン摂取をゼロにし、禁煙を達成する方法である。
▢ 33.禁煙補助剤(咀嚼剤)
禁煙補助剤(咀嚼剤)は、ガムのように噛んで使用すると唾液が多く分泌され、口腔粘膜からの吸収が十分なされない。
禁煙補助剤(咀嚼剤)は、吐き気や腹痛等の副作用を起こさないように、ゆっくりと断続的に噛むこととされている。また、大量に使用しても禁煙が早く達成できるものではなく、過剰摂取になる可能性があるため、 1度に2個以上の使用は避ける。また、使用期間は3ヶ月を目途とする。
▢ 34.相互作用
ニコチンは交感神経系を興奮させるため、アドレナリン作動成分が配合された医薬品との併用により作用を増強させる。
ニコチンには交感神経系を興奮させる作用があり、アドレナリン作動成分が配合された医薬品(鎮咳去痰薬、鼻炎用薬、痔疾用薬等)と併用するとその作用が増強する。また、禁煙補助剤使用中や使用直後の喫煙は、血中のニコチン濃度が急激に高まるおそれがあるので避ける必要がある。
▢ 35.使用を避ける人
非喫煙者では、一般にニコチンに対する耐性がないため、誤って使用されることのないよう留意する。
非喫煙者はニコチンに対する耐性がないため、誤って使用すると、吐き気、めまい、腹痛等の症状が現れやすい。また、口内炎や喉の痛み、腫れの症状がある人、脳梗塞、脳出血等の急性期脳血管障害や重い心臓病等の基礎疾患がある人、妊婦、母乳を与える女性では使用を避ける。
滋養強壮保健薬
▢ 36.滋養強壮保健薬
滋養強壮保健薬は、体調不調を生じやすい状態や体質の改善、特定の栄養素不足による症状の改善、予防を目的としている。
神経痛、筋肉痛、関節痛、しみ、そばかす等の特定部位の症状を効能、効果とする滋養強壮保健薬は、医薬品として扱われる。また、1日最大量が既定値を超えるビタミン成分も医薬品としてのみ認められている。
▢ 37.医薬部外品の保健薬
ビタミン等の補給を目的とするものとして医薬部外品の保健薬があるが、その効能、効果の範囲は限定されている。
医薬部外品の保健薬における効能・効果の範囲は、滋養強壮、虚弱体質の改善、病中・病後の栄養補給等に限定されている。また配合成分や分量は、人体に対する作用が緩和なものに限られる。
▢ 38.ビタミン主薬製剤
滋養強壮保健薬のうち、1種類以上のビタミンを主薬とする内服薬を、ビタミン主薬製剤という。
滋養強壮保健薬のうち、1種類以上のビタミンを主薬とし、そのビタミンの有効性が期待される症状及びその補給に用いられることを目的とする内服薬を、ビタミン主薬製剤(いわゆるビタミン剤)という。
▢ 39.ビタミンの摂取
ビタミン成分等は、多く摂取したからといって、適用となっている症状の改善を早めるものではない。
ビタミンは代謝において重要であるが、生体自らが産生することはできない(または産生されても不十分)なため、外部から摂取する必要がある。ただし、多く摂取すれば症状の改善を早めるというものではなく、むしろ脂溶性ビタミンでは、過剰摂取により過剰症を生じるおそれがある。
▢ 40.カルシウム成分
カルシウムは、骨や歯の形成、筋肉の収縮、血液凝固、神経機能に関与する。
カルシウム主薬製剤にはクエン酸カルシウム、乳酸カルシウム等が配合され、虚弱体質、腺病質における骨歯の発育促進等に用いられる。過剰症に高カルシウム血症がある。
▢ 41.システイン(アミノ酸成分)
システインは、メラニンの生成を抑えるとともに皮膚の新陳代謝を活発にする。
システインは、皮膚の新陳代謝を活発にしてメラニンの排出を促す。また、肝臓においてアルコールを分解する酵素の働きを助け、代謝を促す働きがある。
▢ 42.アミノエチルスルホン酸(アミノ酸成分)
アミノエチルスルホン酸は、タウリンとも呼ばれ、体のあらゆる部分に存在する。
アミノエチルスルホン酸は、細胞の機能が正常に働くために重要な物質で、肝臓機能を改善する働きがある。
▢ 43.アスパラギン酸ナトリウム(アミノ酸成分)
アスパラギン酸ナトリウムは、骨格筋の疲労の原因となる乳酸の分解を促す。
アスパラギン酸ナトリウムは、アスバラギン酸によるエネルギーの産生効率を高める。
▢ 44.ヘスペリジン
ヘスペリジンは、ビタミン様物質の一つでビタミンCの吸収を助ける。
ビタミンCの吸収を助ける働きのあるヘスペリジンは、滋養強壮保健薬のほか、かぜ薬等にも配合される場合がある。
▢ 45.コンドロイチン硫酸
コンドロイチン硫酸は軟骨組織の主成分で軟骨成分を形成・修復する働きがある。
コンドロイチン硫酸ナトリウムとして、関節痛、筋肉痛等を緩和するため、ビタミンB1等と組み合わされて配合される。
▢ 46.ニンジン(生薬成分)
ニンジンはオタネニンジンの根を用いた生薬で、高麗人参、朝鮮人参とも呼ばれる。
ニンジンには、天日で乾燥させたハクジン、湯通しして乾燥させたコウジンがある。神経系の興奮や副腎皮質の機能を亢進させ、ストレスに対する抵抗力や新陳代謝を高める。
▢ 47.インヨウカク、ハンピ
インヨウカク、ハンピは、強壮、血行促進、強精等の作用を期待して用いられる。
インヨウカクはイカリソウ、ハンピはマムシを用いた生薬で、強壮、血行促進、強精(性機能の亢進)等に用いられる。
▢ 48.ヨクイニン
ヨクイニンはハトムギの種子を用いた生薬で、肌荒れ、いぼに用いられる。
ヨクイニンは、ビタミンB2主薬製剤、ビタミンB6主薬製剤、シャ下薬等の補助成分として配合されることもある。
▢ 49.漢方処方製剤
滋養強壮に用いられる主な漢方処方製剤として、(1)十全大補湯、(2)補中益気湯がある。
(1)十全大補湯は、病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血に適すとされる。胃弱の人には不向き。まれに肝機能障害を生じることがある。(2)補中益気湯は、元気がなく胃腸の働きが衰え、疲れやすい人の虚弱体質、疲労倦怠、病後の衰弱、寝汗に適すとされる。まれに間質性肺炎、肝機能障害を生じることがある。
▢ 50.受診勧奨
滋養強壮保健薬を1ケ月位服用しても症状が改善しないときは、漫然と使用を継続せず、医療機関の受診を勧める。
滋養強壮保健薬は、ある程度の継続使用によって効果が現れる性質の医薬品であるが、1ケ月位服用しても症状が改善しないときは栄養不足以外の要因が考えられる。一般用医薬品で対処することが適当でない疾患による場合もあるので、医療機関の受診を勧める。
漢方処方製剤・生薬製剤
▢ 51.漢方薬
漢方薬は、漢方の考え方に基づき一定の規則で生薬を組み合わせたもので、処方自体が一つの有効成分として独立したものである。
漢方薬は、使用する人の体質や症状その他の状態に適した処方を既成の処方の中から選択して用いられる。一般用医薬品として漢方薬を購入する際には、漢方処方製剤を使用する人の証(体質及び症状)を理解し、その証にあった漢方処方を選択する。
▢ 52.漢方の考え方
漢方においては、患者の証(体質及び症状)に基づく考え方及び陰陽五行説がある。
体質は虚証と実証に分類され、虚証は体内の臓器を働かせるエネルギーの貯蔵量が少ない体質(虚弱体質)で、実証はエネルギーの貯蔵量が多い体質(比較的体力がある状態)を指す。症状は陰病と陽病に分類され、陰病はエネルギーが少ないため臓器の機能が低下している状態、陽病はエネルギーが多いため臓器の機能が亢進している状態である。
▢ 53.陰陽五行説
陰陽五行説は、人体の臓器を五臓六腑に分けて考える。
陰陽五行説は、それぞれの臓器が相互に作用し合って生体のバランスを取っているという考えで、これに基づいて処方を選択する。症状や臓器の状態が処方に反映される。漢方医学では、現在、患者の証と陰陽五行説を組み合わせた考え方が用いられている。
▢ 54.使用上の注意
「漢方薬は作用が穏やかで副作用が少ない」という誤った認識に基づいて使用しない。
漢方処方製剤でも、間質性肺炎や肝機能障害のような重篤な副作用が起きることがあり、証に適さない漢方処方製剤を使用したために症状の悪化や副作用を引き起こす場合もある。比較的長期間継続して服用されることがあるが、一定期間使用後、症状の経過や副作用の発現に留意する。
▢ 55.肥満症または肥絆症に用いる漢方処方製剤
肥満症においては、基本的に糖質や脂質を多く含む食品の過度の摂取を控え、日常生活に適度な運動を取り入れるなどの生活習慣の改善を図る必要がある。
(1)防已黄者湯は、色白で疲れやすく、汗をかきやすい人における肥満症、関節痛、むくみの症状に適する。
(2)防風通聖散は、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな人の高血圧の随伴症状、肥満症、むくみ、便秘の症状に適する。虚弱な人、胃弱で下痢しやすい人、発汗傾向が著しい人では、
激しい腹痛を伴う下痢が生じやすい。小児の適用はない。
(3)大柴胡湯は、がっしりとした体格で比較的体力があり、便秘がちな人の肥満症、胃炎、常習便秘、肩こり等に適する。虚弱な人、胃弱で下痢しやすい人は激しい腹痛を伴う下痢が生じやすい。いずれの漢方処方製剤も、まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎が起こることがある。
▢ 56.黄連解毒湯
黄連解毒湯は、比較的体力があり、のぼせぎみで顔色が赤く、いらいらする傾向のある人の鼻出血、二日酔い、不眠症、ノイローゼ、血の道症、めまいなどに適する。
黄連解毒湯は、虚弱な人には不向きとされる。鼻出血、二日酔いに用いる場合には、5~6回使用しても症状の改善がみられない場合は専門家に相談する。まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎が起こることがある。
▢ 57.清上防風湯
清上防風湯は、にきびに適すとされる。構成生薬としてカンゾウを含む。
清上防風湯は、胃弱な人では、食欲不振、胃部不快感が現れやすい。また、まれに重篤な副作用として肝機能障害、間質性肺炎が起こることがあり、本剤の使用により、まれに症状が進行することもある。
▢ 58.生薬
生薬は、動植物の薬用とする部分、細胞内容物、分泌物、抽出物、鉱物などをいう。
薬用動植物や薬用鉱物等の名称が生薬名と混同されて用いられることがあるが、これらは生薬の素材(基原)となる動植物や鉱物等を指しており、生薬とは明確に区別される必要がある。
▢ 59.生薬製剤
生薬製剤は、生薬成分を組み合わせて配合された医薬品である。
生薬製剤は、漢方処方製剤のように、使用する人の体質や症状その他の状態に適した配合を選択するという考え方に基づくものではなく、個々の有効成分(生薬成分)の薬理作用を考え、それらが相加的に配合された西洋医学的な基調の上に立つものである。
▢ 60.ブシ
ブシは、心筋の収縮力を高めて血液循環を改善し、利尿作用を示す。
ブシは鎮痛作用も示すが、アスピリン等と異なリプロスタグランジンを抑えないので、胃腸障害等の副作用は示さない。また、ブシはハナトリカブトの塊根であり、そのままでは毒性が高いため、毒性を減らすなどの処理を施した加工ブシとして使用される。
公衆衛生用剤
▢ 61.殺菌・消毒と殺菌消毒薬
殺菌・消毒は、滅菌(すべての微生物を殺滅または除去すること)と異なり、微生物の数を減らすために行われる処置である。
消毒薬が微生物を死滅させる仕組みや効果は、殺菌消毒成分の種類、消毒対象の汚染度、微生物の種類や状態などにより異なる。消毒薬によっては、殺菌消毒効果が十分得られない微生物があるので、殺菌・消毒の対象となる微生物によって適切な選択をすることが必要である。
▢ 62.クレゾール石鹸
クレゾール石鹸液は、結核菌を含む一般細菌類、真菌類に殺菌消毒作用を示すが、ウイルスに対する殺菌消毒作用はない。
クレゾール石鹸液(日本薬局方に収載されているもの)は原液を水で希釈して用いるが、刺激が強いため、原液が直接皮膚に付着しないように注意する。付着した場合には直ちに石鹸水と水で洗い流し、炎症が生じていれば医師の診療を受ける。
▢ 63.エタノール、イソプロパノール
エタノールは、アルコール分が微生物のタンパク質を変性させ、結核菌を含む一般細菌類、真菌類、ウイルスに殺菌消毒作用を示す。
エタノール、イソプロパノール等は、脱脂による肌荒れを起こしやすいので、皮膚に繰り返して使用しない。また、粘膜刺激性があるため、粘膜面や目の周り、傷がある部分への使用は避ける。
▢ 64.次亜塩素酸ナトリウム、サラシ粉
次亜塩素酸ナトリウム、サラシ粉は、皮膚刺激性が強いため、人体の消毒には使用せず、もっぱら器具等の殺菌・消毒に用いられる。
サラシ粉、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系殺菌消毒成分は、強い酸化力により一般細菌類、真菌類、ウイルス全般に殺菌消毒作用を示すが、人体の消毒には用いず、もっぱら器具や設備等の殺菌・消毒に用いられる。また、酸性の洗剤と混ぜると有毒な塩素ガスが発生するため、注意する。
▢ 65.飲み込んだ場合
殺菌消毒薬を誤って飲み込んだ場合は、応急処置として多量の牛乳(ない場合は水)を飲ませる。
殺菌消毒薬を誤って飲み込んだ場合は、中毒物質の消化管からの吸収を遅らせ、粘膜を保護するために、多量の牛乳(ない場合は水)を数分以内に飲ませる。また、原末や濃厚液を誤って飲み込んだ場合は、安易に吐き出させない。
▢ 66.目に入った場合
殺菌消毒薬が誤って目に入った場合は、弱い流れの水で十分に(15分間以上)洗眼する。水流が強いと目に障害を起こすことがある。
酸やアルカリが目に入った場合は、早期に十分な水洗がされることが重要である。特にアルカリ性物質の場合は念入りに洗う。また、酸をアルカリで中和したり、アルカリを酸で中和するといった処置は適切でない。
▢ 67.皮膚に付着した場合
殺菌消毒薬が誤って皮膚に付着した場合は、流水をかけながら着衣を取り、石鹸を用いて流水で付着部分を十分に水洗する。
酸やアルカリが皮膚に付着した場合は、早期に十分な(15分間以上)水洗がされることが重要であり、特にアルカリ性物質の場合は、念入りに洗う。目に入った場合と同様に中和剤を用いるなどの処置はしない。
▢ 68.吸入した場合
誤って殺菌消毒薬を吸入し、意識がない場合は、新鮮な空気の吸える所へ運び出し、人工呼吸などの処置を施す。
殺菌消毒薬の誤用・事故等が起きたときの対応は、まず応急処置を行い、その後、速やかに医療機関を受診することが基本である。
▢ 69.医薬品と医薬部外品の違い
ハエ、ダニ、蚊等の衛生害虫の防除を目的とする殺虫剤、忌避剤には、医薬品と医薬部外品がある。
ハエ、ダニ、蚊等の衛生害虫の防除を目的とする殺虫剤、忌避剤のうち、人体への作用が緩和な製品は医薬部外品とされ、人体への作用が緩和とはいえない製品は医薬品とされる。
▢ 70.忌避剤とは
忌避剤は人体に直接使用し、蚊、ツツガムシ、ノミ等が人体に取り付くことを防ぐ。
忌避剤は人体に直接使用するが、虫さされによる痒みや腫れ等の症状を和らげる効果はない。
▢ 71.衛生害虫とは
疾病の媒介、物を汚染するなど、保健衛生上の害を及ぼす昆虫等を衛生害虫という。
外敵から身を守るために人体に危害を加えるもの(ハチ、ドクガ、ドクグモ、サソリ等)は、衛生害虫に含まれない。
▢ 72.衛生害虫と防除の方法
ハエは、赤痢菌、チフス菌、コレラ菌、O-157大腸菌等の病原菌、赤痢アメーバ、寄生虫卵、ポリオウイルス等の病原体を媒介する。ハエの幼虫(ウジ)が人の体内に潜り込み、健康被害を与えることがある。有機リン系殺虫剤を使用してウジを防除する。
▢ 73.衛生害虫と防除の方法
蚊は、日本脳炎、マラリア、黄熱、デング熱等の重篤な病気を媒介する。産卵の水系に殺虫剤を投入して幼虫(ボウフラ)を防除する。その際は、生態系に与える影響を考慮する。
▢ 74.衛生害虫と防除の方法
ゴキブリは、食品にサルモネラ菌、ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌、ボツリヌス菌、O-157大腸菌を媒介する。卵の殻には医薬品が浸透しないため、燻蒸処理は3週間後にもう一度処理を行い、孵化した幼虫を駆除する。
▢ 75.衛生害虫と防除の方法
シラミは、ヒトに寄生する。吸血箇所に激しい痒みを生じるほか、日本紅斑熱、発疹チフス等の病原細菌のリケッチアを媒介する。フェノトリンが配合されたシャンプーやてんか粉を用いて防御する。散髪や洗髪など物理的な方法もある。
▢ 76.衛生害虫と防除の方法
イエダニは、ネズミを宿主とする。吸血箇所に激しい痒みを生じるほか、発疹熱などのリケッチア、ペスト等を媒介する。宿主動物のネズミを駆除し、併せて殺虫剤による燻蒸処理を行いイエダニを防除する。
▢ 77.衛生害虫と防除の方法
ノミは、吸血箇所に痒みを生じるほか、ペスト等の病原細菌を媒介する。掃除機による吸引や殺虫剤を散布して駆除する。ベットに寄生するノミには、ノミ取リシャンプーまたは忌避剤を用いる。
▢ 78.殺虫剤を使用する際の留意事項
殺虫作用に対する抵抗性が生じるのを避けるため、同じ殺虫成分を長期間連用しない。
殺虫剤の使用時は、(1)防護ゴーグル、マスク、手袋等、肌の露出の少ない衣服を着用する。(2)用法・用量を厳守する。(3)皮膚に付いた場合は直ちに石鹸水で洗い流す。(4)食品、食器、玩具等に薬剤がかからないようにする。(5)誤飲した場合は、何系の殺虫成分かを医師に伝えて診察を受ける。
▢ 79.忌避剤を使用する際の留意事項
忌避剤は粘膜刺激性があるため、創傷面、目の周囲、粘膜等に薬剤が触れないようにする。
忌避剤を使用する際は、(1)噴霧剤は顔面には直接噴霧せず、手のひらに噴霧してから塗布する。(2)目に入った場合は直ちに大量の水で洗い流し、症状が重い場合には含有成分を眼科医に伝えて診察を受ける。(3)ディートを含有する忌避剤は、生後6ヶ月未満の乳児への使用を避ける。
一般用検査薬
▢ 80.尿糖・尿蛋白値の異常
泌尿器系の機能が正常に働き、血糖値が正常であれば、糖分や蛋白質は腎臓内でほとんど再吸収され、尿中には排出されない。
尿糖値の異常は一般には高血糖によるが、腎性糖尿、妊娠糖尿のように高血糖を伴わない場合もある。また、尿蛋白値の異常は腎炎やネフローゼの腎機能障害、尿路感染症、尿路結石、膀胱炎などの尿路異常による。
▢ 81.検査結果の判断
いかなる検査薬においても、擬陰性・擬陽性を完全に排除することは困難である。
尿糖・尿蛋白検査薬は尿中の糖や蛋白質の有無を調べるもので、その結果をもって直ちに疾患の有無や種類を判断することはできない。陽性の場合には疾患の確定診断や適切な治療につなげるため早期に受診を勧め、陰性であっても自覚症状がある場合は再検査または受診を勧める。
▢ 82.採尿
尿糖の検査は、食後の尿を検体とする。尿蛋白の検査では、早朝尿を検体とし、激しい運動の直後は避ける。
尿糖の場合は、原則として食後(1~2時間)の尿を検体とする。尿蛋白の場合は、原則として早朝尿(起床直後の尿)を検体とする。いずれも清浄な容器に中間尿を採取し、採尿後は放置せずに速やかに検査する。
▢ 83.食事等による影響
通常、尿は弱酸性だが、食事等による影響により中性~弱アルカリ性に傾くと、正確な検査結果が得られないことがある。
医薬品の中には、検査結果に影響を与える成分を含むものがある。医師から処方された医薬品を使用している場合には、治療を行っている医師または調剤を行った薬剤師に相談することが望ましい。
▢ 84.妊娠検査薬とは
妊娠検査薬は、妊娠の早期判定の補助として、尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の有無を調べるものである。
妊娠すると、胎児(受精卵)を取り巻く絨毛細胞からヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)が分泌される。妊娠検査薬は尿中のhCGの有無を調べ、妊娠の早期判定の補助として用いるものであり、その結果をもって直ちに妊娠しているか否かを断定することはできない。
▢ 85.検査の時期
一般的な妊娠検査薬の使用は、月経予定日が過ぎて概ね1週目以降の検査が推奨されている。
妊娠検査薬は、妊娠が成立してから4週目前後の尿中hCG濃度を検出感度としている。それより早い時期に検査をして陰性の結果が出たとしても、妊娠ではなく単なる月経の遅れなのか、妊娠しているものの検出感度に達していないことによる擬陰性なのかが判別できない。
▢ 86.検査薬の管理
尿中hCGの検出反応は、hCGと特異的に反応する抗体や酵素を用いた反応であるため、温度の影響を受けることがある。
検査薬が高温の場所や冷蔵庫内に保管されていると、設計どおりの検出感度を発揮できなくなることがある。また、検査場所の室温が極端に高い場合や低い場合にも、正確な検査結果が得られないことがある。
▢ 87.検査結果が陽性となる場合
経口避妊薬、更年期障害治療薬等のホルモン剤を使用している人では、妊娠していなくても尿中hCGが検出されることがある。
ホルモン剤を使用している人、閉経している人、絨毛細胞が腫瘍化している場合など、妊娠していなくても、陽性となることがある。また、本来hCGを産生しない組織の細胞が腫瘍化(胃癌、膵癌、卵巣癌等)するとhCGを産生することがあり、検査結果が陽性となることがある。
ビタミン
▢ 89.ビタミン主な成分名働き適応症状
ビタミンA(酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール)は、夜間視力を維持し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つ。目の乾燥感、夜盲症に用いられる。
▢ 90.ビタミン主な成分名働き適応症状
ビタミンB1(塩酸チアミン、硝酸チアミン)は、炭水化物からのエネルギー産生に不可欠で、神経の正常な働きを維持する。神経痛、筋肉痛、関節痛(腰痛、肩こり、五十肩)、手足のしびれ、便秘、脚気に用いられる。
▢ 91.ビタミン主な成分名働き適応症状
ビタミンB2(酪酸リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム)は、脂質の代謝に関与し、皮膚や粘膜の機能を正常に保つ。口角炎、口内炎、舌炎、湿疹、皮膚炎、にきび、肌荒れ、目の充血、目の痒みに用いられる。
▢ 92.ビタミン主な成分名働き適応症状
ビタミンB6(塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール)は、蛋白質の代謝に関与し、皮膚・粘膜の健康や神経機能を維持する。口角炎、口唇炎、口内炎、舌炎、湿疹、皮膚炎、にきび、肌荒れ、手足のしびれに用いられる。
▢ 93.ビタミン主な成分名働き適応症状
ビタミンB12(シアノコバラミン、塩酸ヒドロキソコバラミン)は、赤血球の形成を助ける、神経機能を正常に保つ。貧血に用いられる。
▢ 94.ビタミン主な成分名働き適応症状
ビタミンC(アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム)は、脂質を酸化から守る(抗酸化用)、皮膚や粘膜の機能を正常に保つ、メラニン産生を抑える。しみ、そばかす、日焼け、かぶれによる色素沈着、歯ぐきからの出血・鼻血の予防に用いられる。
▢ 95.ビタミン主な成分名働き適応症状
ビタミンD(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール)は、腸管でカルシウム吸収、尿細管でカルシウム再吸収の促進、骨形成を助ける。骨歯の発育不良、くる病の予防に用いられる。
▢ 96.ビタミン主な成分名働き適応症状
ビタミンE(トコフェロール、コハク酸トコフェロール)は、体内の脂質を酸化から守る、細胞の活動を助ける、血流を改善する。末梢血管障害による肩・首すじのこり、冷え、手足のしびれ、のぼせ、月経不順などに用いられる。
第4章 薬事関係法規・制度
薬局
▢ 1.医薬品の販売業の許可の種類
医薬品の販売業の許可は、店舗販売業の許可、配置販売業の許可、卸売販売業の許可の3種類に分けられます。
医薬品の販売業の許可には、店舗販売業の許可、配置販売業の許可、卸売販売業の許可の3種類があり、このうち、店舗販売業及び配置販売業の許可を受けた者だけが一般の生活者に対して医薬品を販売等することができます。
▢ 2.薬局の定義
薬局は、「薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所」と定義されており、併せて医薬品の販売を行うことができます。
薬局は、「薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所」と定義されており、併せて、店舗により医薬品の販売を行うことが認められています。また、調剤を行う薬局は、医療提供施設としても位置づけられています。
▢ 3.薬局開設の許可
薬局は、その所在地の都道府県知事の許可を受けなければ、開設することができません。
薬局は、薬事法で「その所在地の都道府県知事の許可を受けなければ、開設してはならない」と規定されています。都道府県知事は、調剤や医薬品の販売等を行うために必要な構造設備を備えていないときや業務を行う体制が整っていないときなどは、開設の許可を与えないことができます。
▢ 4.薬局で取り扱う医薬品
薬局では、医療用医薬品及び一般用医薬品のすべての医薬品を取り扱うことができます。
薬局では、医療用医薬品及び一般用医薬品のすべての医薬品を取り扱うことができ、一般用医薬品のうち第二類医薬品、第三類医薬品の販売については、薬剤師のほかに、登録販売者が購入者等への情報提供や相談対応をすることができます。
店舗販売業
▢ 5.店舗販売業の許可
店舗販売業の許可は、店舗ごとに、その店舗の所在地の都道府県知事が与えます。
店舗販売業の許可は、一般用医薬品を販売等する店舗ごとに、その店舗の所在地の都道府県知事が与えます。ただし、所在地が保健所を設置する市又は特別区にある場合は、市長又は区長が与えます。
▢ 6.第一類医薬品の販売
店舗販売業者は、一般用医薬品のうち、第一類医薬品については、薬剤師により販売等させなければなりません。
一般用医薬品のうち、第一類医薬品については、薬剤師により販売等させなければならず、第二類医薬品、第三類医薬品については、薬剤師又は登録販売者により販売等させなければなりません。店舗に薬剤師が不在な場合は、第一類医薬品の販売等を行うことはできません。
▢ 7.調剤の可否
店舗販売業では、薬局と異なり、薬剤師が従事していても調剤を行うことはできません。
薬局と異なり、店舗販売業では、薬剤師が従事していても調剤を行うことはできず、―般用医薬品以外の医薬品を販売すること等は認められていません。違反した者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処されます。
▢ 8.店舗管理者
店舗販売業における店舗管理者は、薬剤師又は登録販売者でなければならない。
店舗管理者は、厚生労働省令で定めるところにより、薬剤師又は登録販売者でなければならない。店舗管理者は、保健衛生上支障を生じることがないよう業務について必要な注意をしなければならず、また、店舗販売業者に対して必要な意見を述べなければならない。一方、店舗販売業者は、店舗管理者の意見を尊重しなければなりません。
配置販売業
▢ 9.配置販売業の許可
配置販売業の許可は、一般用医薬品を配置しようとする区域をその区域に含む都道府県ごとに、その都道府県知事が与えます。
配置販売業の許可は、一般用医薬品を配置しようとする区域をその区域に含む都道府県ごとに、その都道府県知事が与えます。都道府県知事は、医薬品を適切に配置販売する体制が整っていないときなどは許可を与えないことができます。
▢ 10.配置販売業の販売形態
配置販売業は、購入者の居宅に医薬品を予め預けておき、購入者が使用した後でなければ代金請求権を生じない販売形態です。
配置販売業は、予め購入者の居宅に医薬品を預けておき、使用した後に代金請求権が生じる先用後利という販売形態であるため、一般用医薬品のうち経年変化が起こりにくい等の基準に適合しない医薬品を販売等することはできません。
▢ 11.身分証明書の携帯
配置員は、その住所地の都道府県知事が発行する身分証明書を携帯しなければ、医薬品の配置販売に従事してはならない。
配置販売業者又は配置員は、その住所地の都道府県知事が発行する身分証明書の交付を受け、かつ携帯しなければ、医薬品の配置販売に従事してはならないとされています。
▢ 12.区域管理者
区域管理者は、薬剤師又は登録販売者でなければならない。
区域管理者は、厚生労働省令で定めるところにより、薬剤師又は登録販売者でなければならない。区域管理者は、保健衛生上支障を生じることがないよう業務について必要な注意をしなければならず、また、配置販売業者に対して必要な意見を述べなければならない。一方、配置販売業者は、区域管理者の意見を尊重しなければならない。とされています。
医薬品の定義と範囲
▢ 13.医薬品の定義
医薬品は、日本薬局方に収められている物、疾病の診断、治療、予防に使用される物、それ以外の物 に分けられます。
医薬品の定義は、薬事法において、次のように規定されています。
日本薬局方に収められている物、人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品でないものをいいます。そのうち医薬部外品を除きます。
▢ 14.人の身体に直接使用されない医薬品
人の身体に直接使用されない物であっても、医薬品に該当するものがあります。
人の身体に直接使用されない物であっても、検査薬や殺虫剤、器具用消毒薬などは医薬品に該当します。
▢ 15.医薬品の製造販売
医薬品は、厚生労働大臣により製造販売業の許可を受けた者でなければ製造販売してはならない。
医薬品は、厚生労働大臣により製造販売業の許可を受けた者でなければ製造販売してはならず、その医薬品は、品目ごとに、品質、有効性及び安全性について審査等を受け、その製造販売について厚生労働大臣の承認を受けたものでなければならないとされています。
食品と医薬品
▢ 16.食品と医薬品
食品と明記して販売されている製品であっても、医薬品的な効能効果を表示した製品は医薬品に該当します。
食品と明記して販売されている製品であっても、その成分本質、効能効果の標榜内容等に照らして医薬品とみなされることがあります。
▢ 17.無承認無許可医薬品の取締り
医薬品とみなされた食品は、無承認無許可医薬品として、薬事法に基づく取締りの対象になります。
薬事法(第13条第1項)の規定に基づく製造業の許可等を受けずに製造された無承認無許可医薬品は、薬事法に基づく取締りの対象となります。
▢ 18.医薬品の範囲に関する基準
「医薬品の範囲に関する基準」では、医薬品に該当する要素を示しています。
「医薬品の範囲に関する基準」では、医薬品に該当する要素として、次の4つを示している。
①成分本質(原材料)が、専ら医薬品として使用される成分本質を含むこと(食品添加物と認められる場合を除く。)
②医薬品的な効能効果が標榜又は暗示されていること(製品表示や添付文書によるほか、チラシ、パンフレット、刊行物、インターネット等の広告宣伝物等による場合も含む。)
③アンプル剤や舌下錠、口腔内噴霧剤等、医薬品的な形状であること
④服用時期、服用間隔、服用量等の医薬品的な用法用量の記載があること(調理のために使用方法、使用量等を定めている場合を除く。)
いろいろな食品
▢ 19.特別用途食品
特別用途食品は、乳幼児、妊産婦、病者等の発育や健康の保持等に適当な旨を医学的・栄養学的表現で記載し、かつ用途を限定したものである。
特別用途食品は、乳幼児、妊産婦、病者等の発育や健康の保持若しくは回復のために供することが適当な旨を医学的・栄養学的表現で記載し、かつ用途を限定したもので、消費者庁の許可マークが付されています。
▢ 20.特定保健用食品
特定保健用食品とは、身体に影響を与える保健機能成分を含み、特定の保健の用途に資する旨の表示が許可されたものである。
特定保健用食品とは、身体の生理学的機能等に影響を与える保健機能成分を含む食品で、特定の保健の用途に資する旨の表示が許可されたもので、消費者庁の許可マークが付されています。
▢ 21.栄養機能食品
栄養成分量が厚生労働省の定める規格基準を満たしている場合には、その栄養成分の機能の表示を行うことができます。
1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が、厚生労働省の定める規格基準に適合している場合には、その栄養成分の機能の表示を行うことができます。その際、消費者庁長官の許可は要さないが、消費者庁長官の個別の審査を受けたものではない旨の表示が義務づけられています。
▢ 22.健康食品
健康食品という言葉は、法令で定義された用語ではありません。
健康食品という言葉は、法令で定義された用語ではなく、栄養補助食品、サプリメント、ダイエット食品等と呼ばれることもあります。薬事法や食品衛生法等における取扱いは、保健機能食品以外の一般食品と変わるところはありません。
医薬部外品・化粧品
▢ 23.医薬部外品の定義
医薬部外品は、人の疾病の診断、治療、予防、又は人の身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とする物のうち、人体に対する作用が緩和なものをいいます。
医薬部外品は、人の疾病の診断、治療、予防、又は人の身体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とする物のうち、効能効果が定められた範囲内で、人体に対する作用が緩和であるとして厚生労働省が指定するものです。
▢ 24.許可
医薬部外品を製造販売する場合には、製造販売業の許可が必要であるが、販売等については、販売業の許可は必要ない。
医薬部外品を製造販売する場合には、原則として製造販売業の許可が必要であり、品目ごとに承認を得る必要があります。一方、販売等については、医薬品のような販売業の許可は必要なく、一般小売店において販売等することができます。
▢ 25.化粧品の定義
化粧品は、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために使用されます。
化粧品は、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布、その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものとされています。
▢ 26.医薬品的な効能効果の表示
化粧品において、医薬品的な効能効果を表示・標榜することは一切認められていません。
化粧品においては、医薬品的な効能効果を表示・標榜することは一切認められていません。成分本質(原材料)についても、原則として医薬品の成分を配合してはならず、配合が認められる場合でも、添加物として使用されるなど、薬理作用が期待できない量以下に制限されています。
一般用医薬品・生物由来製品
▢ 27.一般用医薬品の定義
一般用医薬品は、医薬品のうち効能効果が著しくないもので、薬剤師等からの情報提供に基づき需要者が選択するものです。
一般用医薬品は、医薬品のうち、その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであって、薬剤師その他の医療関係者から提供された情報に基づく、需要者の選択により使用されることが目的とされているものをいいます。
▢ 28.一般用医薬品の用法
一般用医薬品では、注射等の侵襲性の高い使用方法は用いられない。
一般用医薬品では、注射等の侵襲性の高い使用方法は用いられておらず、人体に直接使用されない検査薬においても、検体の採取に身体への直接のリスクを伴うものは、一般用医薬品としては認められていません。
▢ 29.一般用医薬品の用量
一般用医薬品では、年齢に応じて服用量が定められているなど、使用者による判断の余地は少ないです。
医療用医薬品では、医師又は歯科医師が医学的見地から患者の状態を診て服用量を適宜増減することができることが多いですが、一般用医薬品では、年齢に応じて服用量が定められているなど、使用する一般の生活者による判断の余地は少ないです。
▢ 30.生物由来製品の定義
生物由来製品は、人その他の生物(植物を除く)に由来するものを原料又は材料として製造されるものです。
生物由来製品は、人その他の生物(植物を除く)に由来するものを原料又は材料として製造される医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器のうち、保健衛生上特別の注意を要するものとして厚生労働大臣が指定するものです。
毒薬、劇薬
▢ 31.毒薬
毒薬とは、毒性が強いものとして厚生労働大臣が指定する医薬品で、容器等に定められた表示をしなければならない。とされています。
毒薬とは、毒性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医薬品で、容器等には、黒地に白枠をとって、医薬品の品名及び「毒」の文字が白字で記載されていなければならない。とされています。
▢ 32.劇薬
劇薬とは、劇性が強いものとして厚生労働大臣が指定する医薬品で、容器等に定められた表示をしなければならない。とされています。
劇薬とは、劇性が強いものとして厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する医薬品で、容器等には、白地に赤枠をとって、医薬品の品名及び「劇」の文字が赤字で記載されていなければならない。とされています。
▢ 33.毒薬又は劇薬の貯蔵
業務上毒薬又は劇薬を取り扱う者は、それらを他の物と区別して貯蔵、陳列しなければならない。とされています。
業務上毒薬又は劇薬を取り扱う者は、それらを他の物と区別して貯蔵、陳列しなければならず、特に毒薬を貯蔵、陳列する場所については、かぎを施さなければならない。されています。
▢ 34.書類の交付
毒薬又は劇薬を販売する際には、譲り受ける者から、必要事項が記入され、署名等のされた書類の交付を受けなければならない。とされている。
毒薬又は劇薬を一般の生活者に販売又は譲渡する際には、当該医薬品を譲り受ける者から、品名、数量、使用目的、譲渡年月日、譲受人の氏名、住所及び職業が記入され、署名又は記名押印された書類の交付を受けなければならない。とされています。
一般用医薬品のリスク区分
▢ 35.一般用医薬品のリスク区分
一般用医薬品は、保健衛生上のリスクに応じて、3つに区分されています。
▢ 36.一般用医薬品のリスク区分
第一類医薬品(リスクが特に高い)
その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品のうち、その使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するものです。
▢ 37.一般用医薬品のリスク区分
第二類医薬品(リスクが比較的高い)
その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品(第一類医薬品を除く)であつて、厚生労働大臣が指定するものです。
▢ 38.一般用医薬品のリスク区分
第三類医薬品(リスクが比較的低い)
第一類医薬品及び第二類医薬品以外の一般用医薬品。日常生活に支障を来す程度ではないが、副作用等により身体の変調・不調が起こるおそれはある。としています。
▢ 39.新一般用医薬品
スイッチOTCやダイレクトOTCを新一般用医薬品といい、承認を受けてから一定期間は、第―類医薬品に分類されます。
医療用医薬品において使用されていた有効成分を一般用医薬品において初めて配合したものをスイッチOTCといい、既存の医薬品と明らかに異なる有効成分が配合されたものをダイレクトOTCといいます。
▢ 40.リスク区分の見直し
リスク区分の分類については、安全性に関する新たな知見や副作用の発生状況等を踏まえ、適宜見直しが図られています。
新一般用医薬品は、承認後の一定期間の評価に基づき第二類医薬品又は第三類医薬品に分類されることがあります。また、第三類医薬品について日常生活に支障を来す程度の副作用が生ずるおそれがあることが明らかとなった場合には、第一類医薬品又は第二類医薬品に変更されることもあります。
リスク区分に応じた情報提供
▢ 41.第一類医薬品
第一類医薬品を販売する場合には、原則として、薬剤師が、書面を用いて必要な情報を提供しなければならない。
第一類医薬品を販売等する場合には、薬剤師が、厚生労働省令で定める事項を記載した書面を用いて必要な情報を提供しなければならない。ただし、購入者から説明を要しないとの意思の表明があったときは、その限りではありません。
▢ 42.第二類医薬品
第二類医薬品を販売する場合には、薬剤師又は登録販売者が、必要な情報を提供するよう努めなければならない。
第二類医薬品を販売等する場合には、薬剤師又は登録販売者が、医薬品の適正な使用のために必要な情報を提供するよう努めなければならないとされています。
▢ 43.第三類医薬品
第三類医薬品を販売する場合には、薬剤師又は登録販売者が必要な情報を提供することが望ましいが、法律上の規定はない。
第三類医薬品を販売等する場合には、薬剤師又は登録販売者が医薬品の適正な使用のために必要な情報を提供することが望ましいが、特に法律上の規定は設けられていません。
包装・被包、添付文書等への記載事項
▢ 44.容器・被包への記載事項
医薬品は、その直接の容器又は直接の被包に、製造販売業者の氏名等、定められた事項が記載されていなければならない。
容器・被包等への記載が義務づけられているのは、製造販売業者の氏名又は名称及び住所、名称、製造番号又は製造記号、重量、容量又は個数等の内容量、日本薬局方に収められている医薬品については「日本薬局方」の文字等、一般用医薬品のリスク区分を示す識別表示、等の13事項です。
▢ 45.添付文書等への記載事項
医薬品は、添付文書又は容器・被包に、用法用量等、定められた事項が記載されていなければならない。
医薬品は、これに添付する文書又はその容器若しくは被包に、用法用量その他使用及び取扱い上の必要な注意等の事項が記載されていなければならないとされています。
▢ 46.邦文記載
医薬品の法定記載事項は、邦文で記載されていなければならない。
医薬品の容器・ヒホウ、添付文書等への記載事項(薬事法第50条、第51条、第52条に規定されるもの)は、外国で製造されたものであっても、邦文で記載されていなければならないとされています。
▢ 47.記載禁止事項
添付文書又は容器・ヒホウには、虚偽又は誤解を招くおそれのある事項等が記載されていてはならない。
医薬品は、これに添付する文書又はその容器若しくはヒホウに、虚偽又は誤解を招くおそれのある事項、承認を受けていない効能又は効果、保健衛生上危険がある用法、用量又は使用期間、の事項が記載されていてはならないとされています。
販売広告
▢ 48.誇大広告等の禁止
医薬品については、保健衛生上の観点から、誇大広告や承認前の医薬品等の広告が禁止されています。
医薬品等については、明示的・暗示的を問わず、虚偽又は誇大な広告が禁止されています。また、承認前の医薬品についても、名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告が禁止されています。
▢ 49.虚偽又は誇大な広告
医薬品の有効性又は安全性について、それが確実であると保証するような表現による広告は、虚偽又は誇大な広告とみなされます。
医薬品の有効性又は安全性について、それが確実であることを保証するような表現がなされた広告は、明示的・暗示的を問わず、虚偽又は誇大な広告とみなされます。使用前、使用後を示した図画・写真等を掲げることは、こうした効能効果の保証表現となります。
▢ 50.自己治癒をうたった広告
医師の診断・治療によらなければ一般に治癒が期待できない疾患について自己治癒が可能であるような広告表現は認められていない。
一般用医薬品は、医療機関を受診するほどではない体調の不調や疾病の初期段階に使用されるものが多く、がん、糖尿病、心臓病等、医師による診断・治療によらなければ一般に治癒が期待できない疾患について自己治癒が可能であるかのような広告表現は認められていません。
▢ 51.チラシの掲載
チラシやパンフレットの同一紙面に、医薬品と、食品等の医薬品ではない製品を掲載すること自体に問題はありません。
チラシやパンフレットの同一紙面に、医薬品と、食品、化粧品、雑貨等の医薬品ではない製品を併せて掲載してもよいが、医薬品でない製品を医薬品的な効能効果があるように見せかけ、一般の生活者に誤認を与えるおそれがある場合は、未承認医薬品の広告とみなされることがあります。
販売方法
▢ 52.景品つき販売
医薬品にキャラクターグッズ等の景品類をつけて販売することは認められています。
キャラクターグッズ等の景品類を提供して医薬品を販売することは、不当景品類及び不当表示防止法の限度内であれば認められています。ただし、医薬品を懸賞や景品として授与することは、サンプル品の提供を除き、原則として認められていません。
▢ 53.組み合わせ販売
組み合わせ販売は、購入者の利便性を考慮して行われるものでなければならない。
組み合わせ販売は、購入者の利便性のために異なる複数の医薬品又は医薬品と他の物品(体温計、救急絆創膏、ガーゼ、包帯など)を組み合わせて販売されるもので、販売者側の都合による抱き合わせ、在庫処分等の目的で行うことは厳に認められていません。
▢ 54.組み合わせ販売
組み合わせ販売は、情報提供を十分に行える範囲内で、かつ、組み合わせることに合理性が認められるものでなければならない。
組み合わせ販売は、組み合わせることに合理性が認められるものでなければならず、効能効果が重複する組み合わせや、相互作用により保健衛生上の危害を生じるおそれのある組み合わせは不適当です。
▢ 55.出張所での販売
店舗販売業及び薬局において、許可を受けた店舗以外の出張所に医薬品を貯蔵又は陳列し、そこを拠点として販売を行うことはできません。
店舗販売業及び薬局において、許可は店舗ごとにその店舗の所在地の都道府県知事が与えるため、許可を受けた店舗以外の場所(出張所、連絡所等)を拠点として貯蔵又は陳列し、販売を行うことは認められていません。
行政庁の監視指導員
▢ 56.薬事監視員
厚生労働大臣、都道府県知事、保健所を設置する市の市長及び特別区の区長は、その職員のうちから薬事監視員を命じ、監視指導を行っています。
薬局及び医薬品の販売業に関する監視指導は、基本的に、許可を所管する都道府県、保健所設置市又は特別区の薬事監視員が行っています。
▢ 57.改善命令
都道府県知事は、構造設備が基準に適合しない場合には、薬局開設者等に対して構造設備の改善を命令することができます。
構造設備が基準に適合しない場合や、構造設備によって不良医薬品を生じるおそれがある場合には、都道府県知事は、薬局開設者又は医薬品の販売業者(配置販売業者を除く)に対して構造設備の改善を命じ、又はその改善がなされるまでの間、施設の使用を禁止することができます。
▢ 58.業務停止命令
都道府県知事は、配置販売業の配置員が、業務に関して薬事法に違反した場合には、配置販売業者に対し、その配置員による配置販売の業務の停止を命じることができます。
配置販売業の配置員が、業務に関して、薬事法又はこれに基づく命令や処分に違反した場合には、都道府県知事は、配置販売業者に対し、その配置員による配置販売の業務の停止を命じることができます。
▢ 59.廃棄、回収命令
厚生労働大臣又は都道府県知事は、医薬品を業務上取り扱う者に対し、不正表示医薬品、不良医薬品、無承認無許可医薬品等を廃棄、回収等するよう命じることができます。
廃棄、回収その他の措置を命じられた者がその命令に従わないとき、又は緊急の必要があるときは、薬事監視員にその医薬品等を廃棄、回収等させることができます。
第5章 医薬品の適正使用、安全対策
添付文書
▢ 1.添付文書の改訂
添付文書の内容は、医薬品の有効性・安全性に係る新たな知見や情報に基づき、必要に応じて随時改訂がなされています。
添付文書において重要な内容が変更された場合には、改訂年月を記載するとともに、以前から使用している人が変更箇所に注意を払うことができるよう、改訂された箇所を明示することとされています。
▢ 2.添付文書の保存
添付文書には「使用にあたって、この説明文書を必ず読むこと。また、必要なときに読めるよう大切に保存すること」等の文言が記載されています。
医薬品は、実際に使用する人やそのときの状況によって留意する事項が異なるため、添付文書は、実際に使用する人が必要なときにいつでも取り出して読むことができるように保存される必要があります。
▢ 3.使用上の注意の記載
添付文書における「使用上の注意」は、「してはいけないこと」「相談すること」「その他の注意」から構成されています。
「してはいけないこと」「相談すること」「その他の注意」の文字は、枠囲いまたは文字をゴシック体にするなど他の記載事項と比べて目立つようになっており、医薬品を適正に使用するために重要と考えられる項目が前段に記載されています。
▢ 4.標識的マーク
「使用上の注意」「してはいけないこと」「相談すること」の各項目の見出しには、それぞれ標識的マークが付されています。
▢ 5.「してはいけないこと」の記載事項
「してはいけないこと」には、守らないと症状が悪化したり、副作用や事故等が起こりやすくなる事項について記載されています。
添付文書の「してはいけないこと」の記載事項には、①次の人は使用(服用)しないこと、②次の部位には使用しないこと、③次の医薬品を併用しないこと等の項目があり、それぞれについて具体的な記載がされています。
▢ 6.「してはいけないこと」の記載事項
「してはいけないこと」には、副作用または副作用により誘発される事故を防止するため、避けるべき事項が記載されています。
副作用または副作用により誘発される事故を防止するため、添付文書の「してはいけないこと」には、①服用後は乗物や機械類の運転操作をしないこと、②授乳中の人は服用しないか授乳を避けること、③服用時は飲酒しないこと、④長期連用しないこと等が記載されています。
▢ 7.使用する前に「相談すること」
「相談すること」には、その医薬品を使用する前に、適否について専門家に相談することが望ましい場合について記載されています。
添付文書の「相談すること」には、①医師の治療を受けている人、②妊娠または妊娠していると思われる人、③授乳中の人、④高齢者、⑤アレルギー歴のある人について、その医薬品の使用の適否について専門家に相談した上で、慎重な判断がなされることが望ましい旨が記載されています。
▢ 8.使用したあとに「相談すること」
「相談すること」には、医薬品の使用後に、副作用と考えられる症状を生じた場合や改善がみられない場合の対応等が記載されています。
添付文書の「相談すること」には、その医薬品を使用したあとに、副作用と考えられる症状を生じた場合や、―定期間使用しても症状の改善がみられない場合には、いったん使用を中止した上で適切な対応が円滑に図られるように、具体的な対応等が記載されています。
▢ 9.医薬品の保管
医薬品は、品質を適切に保持するために、「直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に(密栓して)保管すること」とされています。
医薬品は、適切な保管がなされないと化学変化や雑菌の繁殖等を生じることがあり、特にシロップ剤などは変質しやすいため、開封後は冷蔵庫内に保管されることが望ましい。その際は、食品と区別して保管されることが重要です。
▢ 10.小児への配慮
乳幼児は好奇心が強く、届くものに手を出して口に入れることがあるので、医薬品は小児の手の届かないところに保管します。
小児の誤飲事故は、家庭内において、小児が簡単に手に取れる場所や目につく場所に医薬品が置かれていた場合に起こることが多いため、注意を喚起するために「小児の手の届かないところに保管すること」と記載されています。
▢ 11.他の容器への入れ替え
医薬品を他の容器に入れ替えると誤用や品質の劣化を招くおそれがあるので、「他の容器に入れ替えないこと」とされています。
携行するために医薬品を他の容器に入れ替えた場合、日時が経過すると中身がどんな医薬品だったかが不明になり誤用を招くことがある。また、容器が湿ったり汚れていると、適切な品質が保持できなくなるおそれがあります。
▢ 12.眼科用薬
眼科用薬は、細菌汚染があった場合に別の使用者に感染するおそれがあるため「他の人と共用しないこと」とされています。
眼科用薬(点眼薬)は、複数の人が使い回しすると、薬液に細菌汚染があった場合に別の使用者に感染するおそれがあるため、「他の人と共用しないこと」とされています。
製品表示
▢ 13.外箱等への記載
医薬品によっては、「用法・用量その他使用及び取扱い上必要な注意」等の記載を、外箱等に行っている場合があります。
添付文書がある場合でも、通常は外箱等に封入されているため、購入後に製品を開封して添付文書を見て初めて、自分にとつて適当な製品でなかったことがわかるといったことを防ぐため、添付文書のうち、効能・効果、用法・用量等については、外箱にも記載されています。
▢ 14.アルコール含有の記載
1回服用中のアルコール含有量が0.l ml未満の内服液剤については、アルコールを含有する旨及び分量を記載しなくてもよい。
1回服用中に0.1mlを超えるアルコールを含有する内服液剤(滋養強壮を目的とするもの)については、たとえば「アルコール含有○○ ml以下」のようにアルコールを含有す
る旨及びその分量が記載されています。
▢ 15.使用期限の表示
使用期限の表示は、製造後3年を超えて性状及び品質が安定であることが確認されている医薬品については、法的な義務はない。
適切な保存状態の下で製造後3年を超えて性状及び品質が安定であることが確認されている医薬品については、使用期限の表示について法的な義務はないが、流通管理等の便宜上、外箱に記載されるのが通常となっています。
▢ 16.使用期限
表示された使用期限は、未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限です。
医薬品の使用期限は、未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限であり、開封されたものについては記載されている期日まで品質が保証されない場合があります。
安全性情報
▢ 17.緊急安全性情報(ドクターレター)
「緊急安全性情報」は、医薬品等について重要かつ緊急な情報伝達が必要な場合に、厚生労働省からの指示に基づいて、製薬企業等から医薬関係者に直接配布されます。
「緊急安全性情報」はA4サイズの黄色地の印刷物で、医薬品または医療機器について重要かつ緊急な情報伝達が必要な場合に、厚生労働省の指示により製造販売元の製薬企業等から医薬関係者に対して4週間以内に原則として直接配布されます。
▢ 18.医薬品・医療機器等安全性情報
厚生労働省では、医薬品等による重要な副作用等の情報を原則毎月とりまとめ、「医薬品・医療機器等安全性情報」として医薬関係者向けに情報提供を行っています。
「医薬品・医療機器等安全性情報」には、医薬品の安全性に関する解説記事、使用上の注意の改訂内容、参考文献等が掲載されており、冊子、FAX送信のほか、厚生労働省ホームページや独立行政法人医薬品医療機器総合機構の「医薬品医療機器情報提供ホームページ」に掲載されます。
▢ 19.医薬品医療機器情報提供ホームページ
「医薬品医療機器情報提供ホームページ」には、添付文書情報、医薬品・医療機器等安全性情報のほか、一般用医薬品に関連した情報が掲載されています。
「医薬品医療機器情報提供ホームページ」には、緊急安全性情報、使用上の注意の改訂情報、副作用が疑われる症例情報、新医薬品の承認情報、製品回収に関する情報、厚生労働省が発表した資料などが掲載されます。
▢ 20.電子メール配信
独立行政法人医薬品医療機器総合機構では、安全性に関する特に重要な情報を電子メールで配信するサービスを行っています。
電子メールによる配信サービスの登録は、医療機関や学術団体等の関係者のほか、薬局または医薬品の販売業に従事する専門家(薬剤師及び登録販売者)も行うことができます。
購入者に対する情報提供
▢ 21.添付文書情報の閲覧
独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページでは、一般用医薬品の添付文書情報を掲載しており、一般の購入者も閲覧することができます。
一般の購入者が添付文書の内容について事前に閲覧できるように、独立行政法人医薬品医療機器総合機構では、「医薬品医療機器情報提供ホームページ」において、一般用医薬品の添付文書情報を掲載しています。
▢ 22.添付文書の保存の必要性
購入者に対して、添付文書等はその医薬品を使い終わるまで大切に保存することが必要であることを説明することは重要です。
添付文書等は、購入後、必要なときにいつでも取り出して読めるように、その医薬品を使い終わるまで保存することが大切であり、その必要性について購入者に説明することは、情報提供の実効性を高める観点からも重要です。
▢ 23.リスク区分の表示
製品表示にリスク区分を表示することによって、情報提供を行う側も受ける側も、その意義や必要性を認識することができます。
リスク区分が製品表示から容易に判別できることによって、副作用の回避、早期発見のため必要な注意事項等に関心が向けられ、積極的な情報提供を行う側も受ける側も、その意義や必要性について認識することができます。
▢ 24.正確な情報提供
一般の生活者が接する医薬品の有効性や安全性等に関する情報は、断片的であったり、正確に伝わっていない場合も多い。
インターネットの普及に伴い、一般の生活者が容易に医薬品に関する情報を入手できるようになったが、それらは必ずしも正確でない場合も多いため、医薬品販売の専門家は、科学的な根拠に基づいた正確なアドバイスをし、セルフメディケーションを適切に支援することが期待されています。
副作用情報等の収集
▢ 25.医薬品・医療機器等安全性情報報告制度
医薬品の販売に従事する者は、医薬品の副作用等によると疑われる健康被害の発生を知った場合、必要があると認めるときは、厚生労働大臣に報告しなければならない。
医薬品の販売に従事する者(登録販売者を含む)は、医薬品の副作用等によると疑われる健康被害の発生を知った場合、保健衛生上の危害の発生又は拡大の防止のため必要があると認めるときは、その旨を厚生労働大臣に報告しなければならないと規定されています。
▢ 26.「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」の目的
「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」は、副作用等が疑われる事例に直接接する医薬関係者からの情報を広く収集し、安全対策を図ることを目的としています。
「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」は、WHO加盟国の一員として対応した安全対策に係る制度の一つで、医薬関係者から副作用に関する情報を広く収集し、医薬品の安全対策のより着実な実施を図ることを目的としています。
▢ 27.登録販売者の位置づけ
登録販売者は、医薬品の副作用等によるものと疑われる健康被害の発生について報告を行う医薬関係者として位置づけられています。
2006年の薬事法改正による登録販売者制度の導入に伴い、登録販売者も医薬品の副作用等によるものと疑われる健康被害の発生について報告を行う医薬関係者として位置づけられています。
▢ 28.企業からの副作用等の報告制度
製薬企業等には、医薬品の副作用等によるものと疑われる健康被害の発生等を知ったときは、定められた期限までに厚生労働大臣に報告することが義務づけられています。
製薬企業等は、製造販売し、又は承認を受けた医薬品等について、副作用等によるものと疑われる疾病、障害又は死亡の発生、感染症の発生等について、厚生労働省令で定めるものを知ったときは、その旨を厚生労働大臣に報告しなければならないとされています。
「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」の報告の仕方
▢ 29.報告様式の入手方法
報告様式は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の「医薬品医療機器情報提供ホームページ」より入手できます。
「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」の報告様式は、「医薬品・医療機器安全性情報」と同様に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の「医薬品医療機器情報提供ホームページ」より入手できる。また、医学・薬学関係の専門誌等にも掲載されています。
▢ 30.医薬品との因果関係
医薬品との因果関係が必ずしも明確でない場合であっても、「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」の報告の対象となりえます。
医薬品の副作用であるかどうか判断がつきかねる場合でも「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」の報告の対象となりえます。また、安全対策上必要があると認められるときは、医薬品の過量使用や誤用等によると思われる健康被害についても報告がなされる必要があります。
▢ 31.報告すべき副作用
報告すべき医薬品の副作用は、「使用上の注意」に記載されているものだけとは限りません。
「使用上の注意」に記載されていない副作用も「医薬品・医療機器等安全性情報報告制度」の報告の対象です。また、副作用の症状がその医薬品による治療対象となる症状と見分けがつきにくい場合であっても、安易に報告の対象から除外してはいけません。
▢ 32.報告様式の記入
副作用の報告にあたっては、報告様式の記入欄すべてに記入がなされる必要はありません。
副作用の報告にあたっては、報告様式の記入欄すべてに記入がなされる必要はなく、医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等(健康被害を生じた本人に限らない)から把握可能な範囲で報告がなされればよいとされています。
医薬品副作用被害救済制度
▢ 33.医薬品副作用被害救済制度
「医薬品副作用被害救済制度」は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害の救済を図るための公的制度です。
「医薬品副作用被害救済制度」は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による被害者の迅速な救済を図るため、製薬企業の社会的責任に基づく公的制度として、1980年より運営が開始されました。
▢ 34.救済費用の出所
「医薬品副作用被害救済制度」の給付費は、製薬企業から年度ごとに納付される拠出金が充てられています。
救済給付業務に必要な費用は、給付費については、法の規定に基づき製薬企業から年度ごとに納付される拠出金が充てられるほか、事務費については、その2分の1相当額は国庫補助により賄われています。
▢ 35.「医薬品副作用被害救済制度」のしくみ
給付費は、健康被害を受けた本人または家族の給付請求により、薬事・食品衛生審議会の諮問・答申を経て、厚生労働大臣が判定して給付されます。
▢ 36.救済給付の対象
救済給付の対象となるには、添付文書等に記載された用法・用量、「使用上の注意」に従って使用されていることが基本となっています。
「医薬品副作用被害救済制度」は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず副作用によって一定程度以上の健康被害が生じた場合に医療費等の諸給付を行うものであり、不適正な使用による健康被害は、救済給付の対象となりません。
▢ 37.救済給付の対象となる健康被害の程度
救済給付の対象となるのは、副作用による疾病のため入院する程度の医療を受ける場合や、重い後遺障害が残った場合です。
「医薬品副作用被害救済制度」の救済給付の対象となるのは、入院を必要とする程度の医療を受ける場合や、重い後遺障害が残った場合で、医薬品を適正に使用して生じた健康被害であっても、医療機関で治療をしなくても寛解したような軽度なものについては給付対象に含まれません。
▢ 38.給付の対象とならない医薬品
一般用医薬品のうち、殺虫剤・殺鼠剤、殺菌消毒剤、一般用検査薬等は、救済制度の対象となりません。
「医薬品副作用被害救済制度」の対象とならない医薬品が定められており、一般用医薬品では、殺虫剤・殺鼠剤、殺菌消毒剤、一般用検査薬、一部の日局収載医薬品(精製水、ワセリン等)が該当します。
▢ 39.給付から除外されるもの
製品不良など、製薬企業に損害賠償責任がある場合や、無承認無許可医薬品の使用による健康被害は、救済制度の対象となりません。
「医薬品副作用被害救済制度」では、製品不良など、製薬企業に損害賠償責任がある場合や、無承認無許可医薬品(いわゆる健康食品や個人輸入された医薬品を含む)の使用による健康被害は、救済制度の対象から除外されています。
▢ 40.制度の案内等
登録販売者は、健康被害を受けた購入者等に対して、救済制度があることや、相談窓口等を紹介するなどの対応が期待されます。
薬剤師、登録販売者などの医薬品の販売に従事する専門家は、一般用医薬品の使用により生じた副作用が救済給付の対象になると思われるときは、購入者等に対して、救済制度があることや、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の相談窓口等を紹介し、相談を促すなどの対応が期待されています。
▢ 41.請求に必要な書類
救済給付の請求にあたっては、医師の診断書、領収書などのほか、薬局開設者や販売業者の作成した販売証明書が必要です。
一般用医薬品の使用による副作用被害への救済給付の請求にあたっては、医師の診断書、要した医療費を証明する書類(領収書等)などのほか、その医薬品を販売した薬局開設者、販売業者の作成した販売証明書が必要です。
▢ 42.「医薬品副作用被害救済制度」の給付の種類
給付には、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金、葬祭料の7種類があり、それぞれ請求期限が定められています。
▢ 43.医療費
医薬品の副作用による疾病の治療に要した費用の自己負担分(実費)です。
請求期限は、医療費の支払いから5年以内です。
医療費の給付の対象となるのは、副作用による疾病が「入院治療を必要とする程度」の場合です。
▢ 44.医療手当
医薬品の副作用による疾病の治療に伴う医療費以外の費用(定額)です。
請求期限は、医療が行われた翌月から5年以内です。
医療手当の給付の対象となるのは、副作用による疾病が「入院治療を必要とする程度」の場合です。
▢ 45.障害年金
医薬品の副作用によリー定程度の障害の状態にある18歳以上の人の生活補償等(定額)です。
請求期限はありません。
▢ 46.障害児養育年金
医薬品の副作用によリ一定程度の障害の状態にある18歳未満の人を養育する人に給付(定額)です。
請求期限はありません。
▢ 47.遺族年金
生計維持者が医薬品の副作用により死亡した場合に、遺族に給付(定額/最高10年間)です。
死亡から5年以内です。
遺族年金を受け取ることができる先順位者が死亡した場合は、その死亡から2年以内 です。
死亡前に医療費、医療手当、障害年金または障害児養育年金の支給決定があつた場合は、死亡から2年以内 です。
▢ 48.遺族一時金
生計維持者以外の人が医薬品の副作用により死亡した場合に、見舞い等を目的として遺族に給付(定額)です。
死亡から5年以内 です。
死亡前に医療費、医療手当、障害年金または障害児養育年金の支給決定があつた場合は、死亡から2年以内
▢ 49.葬祭料
医薬品の副作用により死亡した人の葬祭に伴う費用(定額)です。
死亡から5年以内 です。
死亡前に医療費、医療手当、障害年金または障害児養育年金の支給決定があった場合は、死亡から2年以内
医薬品PLセンター
▢ 50.医薬品PLセンターの開設
医薬品PLセンターは、日本製薬団体連合会において、PL法(製造物責任法)の施行と同時に開設されました。
医薬品PLセンターは、平成6年にPL法(製造物責任法)が成立するに当たり、「裁判によらない迅速、公平な被害救済システムの有効性に鑑み、裁判外の紛争処理体制を充実強化すること」が求められたため、日本製薬団体連合会において開設されました。
▢ 51.医薬品PLセンターの目的
医薬品PLセンターは、苦情を申立てた消費者が、製薬企業と交渉するに当たり、裁判によらずに迅速に解決できるよう導くことを目的としています。
医薬品PLセンターは、医薬品または医薬部外品に関して苦情を申立てた消費者が、製造販売元の企業と交渉するに当たって、公平・中立な立場で申立ての相談を受け付け、交渉の仲介や調整・あっせんを行い、裁判によらずに迅速な解決に導くことを目的としています。
▢ 52.医薬品PLセンターヘの相談
製品不良など、製薬企業に損害賠償責任がある場合の救済については、医薬品PLセンターヘの相談が推奨されます。
医薬品副作用被害救済制度の対象とならないケースのうち、製品不良など、製薬企業に損害賠償責任がある場合には、医薬品PLセンターヘの相談が推奨されます。
▢ 53.健康被害以外の損害
消費者が医薬品または医薬部外品に関して製薬企業に申立てる苦情には、健康被害以外の損害も含まれます。
消費者である一般用医薬品を使用する生活者、医薬関係者が医薬品または医薬部外品に関して製造販売元の企業に申立てる苦情には、健康被害以外の損害も含まれます。
副作用の発生と対応
▢ 54.アンプル入りかぜ薬
アンプル入りかぜ薬の使用による重篤な副作用(ショック)で、1959年から1965年の間に38名の死亡例が発生しました。
アンプル入りかぜ薬は、錠剤や散剤に比べて吸収が速く、血中濃度が急速に高値に達するため通常量でも副作用が生じやすいことが確認されたため、1965年、厚生省(当時)は関係製薬企業に回収を要請しました。
▢ 55.小柴胡湯による間質性肺炎
小柴胡湯は、インターフェロン製剤との併用例による間質性肺炎が報告されたことから、併用に関して「使用上の注意」が改訂されました。
小柴胡湯による間質性肺炎については、1991年以降、「使用上の注意」に記載されていたが、その後、小柴胡湯とインターフェロン製剤との併用例による間質性肺炎が報告されたことから、1994年にインターフエロン製剤との併用を禁忌とする旨の「使用上の注意」の改訂がなされました。
▢ 56.一般用かぜ薬による間質性肺炎
一般用かぜ薬の使用によると疑われる間質性肺炎の発生事例が、2003年までに26件報告されたため、「使用上の注意」が改訂されました。
一般用かぜ薬の「使用上の注意」に、「まれに間質性肺炎の重篤な症状が起きることがあり、その症状は、かぜの諸症状と区別が難しいため、症状が悪化した場合には服用を中止して医師の診療を受ける」旨の注意喚起がされています。
▢ 57.塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)含有医薬品
PPAが配合された一般用医薬品による脳出血等の副作用症例が複数報告されたため、関係製薬企業等に対して代替成分への速やかな切り替えが指示されました。
塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)が配合された一般用医薬品による脳出血等の副作用として報告されたものの多くが不適切な使用によるものであつたため、厚生労働省より関係製薬企業等に対し、「使用上の注意」の改訂、情報提供の徹底等を行うとともに、代替成分への速やかな切り替えが指示されました。
薬物乱用と乱用防止のための啓発活用
▢ 58.一般用医薬品による薬物乱用
薬物乱用や薬物依存は、違法薬物(麻薬、覚せい剤、大麻等)によるものばかりでなく、一般用医薬品によっても生じ得ます。
薬物乱用や薬物依存は、一般用医薬品によっても生じ得る。特に青少年では、薬物乱用の危険性に関する認識や理解が必ずしも十分でないため、好奇心から身近に入手できる薬物を、興味本位で乱用することがあります。
▢ 59.薬物乱用の弊害
一般用医薬品の乱用をきっかけとして、違法な薬物の乱用につながることもあります。
薬物乱用や薬物依存は、乱用者自身の健康を害するだけでなく、社会的な弊害を生じるおそれが大きい。それを防ぐためには、医薬品の適正使用の重要性等に関して、小中学生のうちから啓発することが重要です。
薬物乱用と乱用防止のための啓発活動
▢ 60.薬と健康の週間
毎年10月17日~ 23日の1週間を「薬と健康の週間」とし、国、自治体、関係団体等による広報活動やイベント等が行われています。
医薬品について正しい知識を広く生活者に浸透させ、保健衛生の維持向上に貢献することを目的に、毎年10月17日~ 23日の1週間を「薬と健康の週間」とし、国、自治体、関係団体等による広報活動やイベント等が実施されています。
▢ 61.「ダメ。ゼッタイ。」普及運動
「ダメ。ゼッタイ。」普及運動は、「6026国際麻薬乱用撲滅デー」の普及のため、毎年6月20日~7月19日の1ヶ月間実施されています。
「6026国際麻薬乱用撲滅デー」を広く普及し、薬物乱用防止をいつそう推進するため、毎年6月20日~ 7月19日までの1ケ月間、国、自治体、関係団体等により「ダメ。ゼツタイ。」普及運動が実施されています。
2022年2月7日 発行 初版
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