───────────────────────
───────────────────────
本書について
1章 保育原理
2章 教育原理
3章 社会的養護
4章 児童家庭福祉
5章 社会福祉
6章 保育の心理学
7章 子どもの保険
ガイドライン
保育士試験 重要項目 らくらく丸暗記BOOK
ー試験合格には「重要項目を正しい覚える」ことが大切!ー
本書について
本書は、保育士試験の筆記試験によく出題される重要項目を集めています。
毎年出題される問題の半数以上は過去に出されている内容と同じです。保育士試験の合格ラインは7割以上の正解です。過去の問題をしっかり理解していると、7割以上の点数を取ること ができます。ただ、注意しないといけないのは、同じ文章で問いかけているとはかぎりません。そこで大切なのは、短い文章で正しい内容をしっかりと覚えることが大切なんです。
重要項目の短い文章を、毎日30項目覚えると1ヶ月ですべて身に着けることができます。
読むことにあわせて、耳を使っての短文記憶の努力をされると、さらに短い日数でしっかり暗記することができます。
付属教材として音声テキストを準備していますのでご利用ください。
あとは過去問題集を手に入れて解いてみましょう。問題はスラスラ解けるような感じがします。出題者のワナにはまることがなくなるまで繰り返し過去問題を解いてください。
当社ののホームページ(http://penetrateblog.com/)に問題を集めた本棚を準備しています。無料で利用できますので、ぜひトライしてください。すべての問題で合格(7割以上正解で合格)できたら試験に合格できると思います。
1章 保育原理
保育の意義
□ 1.児童を心身ともに健やかに育成する責任は、父母その他の法定保護者、国及び地方公共団体にあります。
「児童の権利に関する条約」、「教育基本法」、「児童福祉法」に児童の育成に関する責任の所在についての規定があります。
□ 2.「児童の権利に関する条約」は、子どもの生命への権利、生存と発達の確保について規定しています。
「児童の権利に関する条約」は、1989(平成元)年、国連総会において採択され、日本は1994(平成6)年に批准しました。
□ 3.国及び地方公共団体は、幼児期の教育の振興に努めなければならない。
教育基本法第11条の規定は、保育所などの児童福祉施設や子育て支援施設など、幼児期の子どもに関係するすべての施設に適用されます。
□ 4.保育士とは、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び保護者への保育に関する指導を行う者のことです。
保育士の国家資格化(2001年)にともない、保育士に対して社会的責任の自覚と専門性の向上が求められています。
□ 5.市町村には、保育を提供する義務があります。
市町村は、保育を提供する義務や保育所を選ぶための保育所に関する情報公開の義務があります。
□ 6.市町村は都道府県知事に届け出て保育所を設置できます。
児童福祉施設の一つである保育所の設置に関しては、児童福祉法第35条に規定されています。保育所の設置主体の制限は、2000(平成12)年に撤廃され、学校法人や株式会社も保育所を設置できるようになりました。
市町村が都道府県知事に届け出る事項は、名称・種類・位置・建物の設備の規模及び構造物並びにその図面・運営の方法・経営の責任者など
□ 7.保育所の対象は、保育に欠ける乳児または幼児、その他の児童です。
保育所保育の対象については、児童福祉法第39条に規定されています。第2項の「その他の児童」満18歳に満たない乳児又は幼児でない児童を指します。
□ 8.保育所は、地域の乳児や幼児の保護者に対して、保育に関する相談、助言を行います。
保育所は、保育所への入所の有無にかかわらず、地域の乳児や幼児の保護者に対して相談・助言を行わなければならない。
□ 9.保育所は子どもの最善の利益を守らなければならない。
保育所は、保育に欠ける子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とした児童福祉施設です。子どもの最善の利益を守り、子どもにとって最もふさわしい生活の場でなければならない。
□ 10.保育所における保育は、養護と教育が一体となって行われます。
保育所は、専門性を有する職員により、家庭との連携の下、子どもの発達過程を踏まえた対応と環境を通して、養護と教育を一体的に行うことを特性としています。
保育所保育指針における保育の基本
□ 11.保育士は、一人一人の発達過程に応じて保育しなければならない。
保育所保育指針 第1章「総則」3「保育の原理」(2)「保育の方法」
ウ 子どもの発達について理解し、一人一人の発達過程に応じて保育すること。その際、子どもの個人差に十分配慮すること。
□ 12.保育士は、子ども相互の関係作りを重視した保育を行わなければならない。
保育士は、一人一人の子どもの個人差に配慮するとともに、子ども相互の関わりを重視して、集団としての成長を促す援助を行わなければならない。
□ 13.保育の環境には、人的環境、物的環境、自然や社会事象などがあります。
保育の環境には、保育士等や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、更には自然や社会の事象などがあります。保育所は、こうした人、物、場などの環境が相互に関連し合い、子どもの生活が豊かなものとなるよう、計画的に環境を構成し、工夫して保育しなければならない。
□ 14.保育士は、倫理観に裏付けられた専門的知識、技術及び判断をもって子どもを保育します。
保育所の役割は、保育所における保育士は、児童福祉法第18条の4の規定を踏まえ、保育所の役割及び機能が適切に発揮されるように、倫理観に裏付けられた専門的知識、技術及び判断をもって、子どもを保育するとともに、子どもの保護者に対する保育に関する指導を行うものである。
□ 15.養護のねらいは、生命の保持と情緒の安定に分けられます。
生命の保持 ねらいは、
① 一人一人の子どもが、快適に生活できるようにする。
② 一人一人の子どもが、健康で安全に過こせるようにする。
③ 一人一人の子どもの生理的欲求が、十分に満たされるようにする。
④ 一人一人の子どもの健康増進が、積極的に図られるようにする。
情緒の安定 (ア)ねらいは、
① 一人一人の子どもが、安定感を持つて過こせるようにする。
② 一人一人の子どもが、自分の気持ちを安心して表すことができるようにする。
③ 一人一人の子どもが、周囲から主体として受け止められ、主体として育ち、自分を肯定する気持ちが育まれていくようにする。
④ 一人一人の子どもの心身の疲れが癒されるようにする。
□ 16.教育のねらいは、健康・人間関係・環境・言葉・表現の5つに分けられます。
教育に関わるねらい及び内容は、
ア 健康-健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う。
イ 人間関係-他の人々と親しみ、支え合つて生活するために、自立心を育て、人と関わる力を養う。
ウ 環境-周囲の様々な環境に好奇心や探究心を持つて関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。
工 言葉-経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。
オ 表現-感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする。
□ 16.保護者への支援には、保育所に入所する子どもの保護者に対する支援と地域の子育て家庭への支援があります。
保育所は、その特性を生かして、保育所に入所する子どもの保護者に対する支援や、地域の子育て家庭への支援について、職員間の連携を図りながら、積極的に取り組むことが求められます。
□ 17.保育所における保護者支援では、子どもの最善の利益を考慮します。
保育所保育指針 第6章「保護者に対する支援」1「保育所における保護者に対する支援の基本」
(1)子どもの最善の利益を考慮し、子どもの福祉を重視すること。
□ 18.子育てに関する相談や助言では、保護者の自己決定を尊重します。
保育所保育指針 第6章「保護者に対する支援」1「保育所における保護者に対する支援の基本」
(5)子育て等に関する相談や助言に当たつては、保護者の気持ちを受け止め、相互の信頼関係を基本に、保護者一人一人の自己決定を尊重すること。
□ 19.相談・助言においては、プライバシーの保護と知り得た事柄の秘密保持に留意します。
相談・助言における秘密保持は専門的原則です。ただし、子どもが虐待を受けている状況など、秘密を保持することが子どもの福祉を侵害し、子どもの最善の利益を図ることができないような場合は、関係機関等に通知し、協議することが認められます。
□ 20.保護者に対しては、日々の保育の意図などを説明します。
保育所保育指針 第6章「保護者に対する支援」2「保育所に入所している子どもの保護者に対する支援」
(2)保護者に対し、保育所における子どもの様子や日々の保育の意図などを説明し、保護者との相互理解を図るよう努めること。
□ 21.多様な保育を実施する場合には、子どもの福祉が尊重されるよう努めます。
■保育所保育指針 第6章「保護者に対する支援」2「保育所に入所している子どもの保護者に対する支援」
(3)保育所において、保護者の仕事と子育ての両立等を支援するため、通常の保育に加えて、保育時間の延長、休日、夜間の保育、病児・病後児に対する保育など多様な保育を実施する場合には、保護者の状況に配慮するとともに、子どもの福祉が尊重されるよう努めること。
□ 22.保育所は、地域の子育て中の家庭に対する支援も行います。
保育所保育指針 第6章「保護者に対する支援」3「地域における子育て支援」
(1)保育所は、児童福祉法第48条の3の規定に基づき、その行う保育に支障がない限りにおいて、地域の実情や当該保育所の体制等を踏まえ、次に掲げるような地域の保護者等に対する子育て支援を積極的に行うよう努めること。
ア 地域の子育ての拠点としての機能
イ 一意保育
□ 23.地域の子どもをめぐる諸課題は、要保護児童対策地域協議会などと連携して取り組みます。
保育所保育指針 第6章「保護者に対する支援」3「地域における子育て支援」
(3)地域の要保護児童への対応など、地域の子どもをめぐる諸課題に対し、要保護児童対策地域協議会など関係機関等と連携、協力して取り組むよう努めること。
保育の目標と方法
☐ 24.保育所の保育には、養護と教育の目標と保護者支援の目標があります。
保育所の目標は、子どもの保育を通して、「子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培う」ことと、「入所する子どもの保護者に対し、その援助に当たる」ことである。
□ 25.乳幼児期にふさわしい体験が得られるよう、生活や遊びを通して総合的に保育しなければならない。
保育所保育指針 第1章「総則」3「保育の原理」(2)「保育の方法」
オ 子どもが自発的、意欲的に関われるような環境を構成し、子どもの主体的な活動や子ども相互の関わりを大切にすること。特に、子L幼児期にふさわしい体験が得られるように、生活や遊びを通して総合的に保育すること。
□ 26.保護者支援においては、一人一人の保護者の状況やその意向を理解し、受容することが大切です。
保育所保育指針 第1章「総則」3「保育の原理」(2)「保育の方法」
カ ー人一人の保護者の状況やその意向を理解、受容し、それぞれの親子関係や家庭生活等に配慮しながら、をとらえ、適切に援助すること。
□ 27.保育士は、子ども同士がけんかや葛藤の経験を通して互いの気持ちを理解できるように保育しなければならない。
保育所保育指針 第3章「保育の内容」2「保育の実施上の配慮事項」(4)「3歳以上児の保育に関わる配慮事項」
エ けんかなど葛藤を経験しながら次第に相手の気持ちを理解し、相互に必要な存在であることを実感できるよう配慮すること。
□ 28.保育課程は、地域の実態、子どもや家庭の状況、保育時間などを考慮して編成します。
保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」1「保育の計画」(1)「保育課程」
イ 保育課程は、地域の実態、子どもや家庭の状況、保育時固などを考慮し、子どもの育ちに関する長期的見通しを持って適切に編成されなければならない。
□ 29.保育課程は、子どもの生活の連続性や発達の連続性に留意して編成します。
保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」1「保育の計画」(1)「保育課程」
ウ 保育課程は、子どもの生活の連続性や発達の連続性に留意し、各保育所が創意工夫して保育できるよう、編成されなければならない。
□ 30.指導計画は、保育課程に基づいて作成します。
指導計画には、長期の指導計画(年、期、月)と短期の指導計画(週、日)があります。
保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」]「保育の計画」(2)「指導計画」ア「指導計画の作成」
(ア)保育課程に基づき、子どもの生活や発達を見通した長期的な指導計画と、それに関連しながら、より具体的な子どもの日々の生活に即した短期的な指導計画を作成して、保育が適切に展開されるようにすること。
□ 31.導計画のねらい及び内容は、子どもの実態に即して具体的に設定します。
保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」1「保育の計画」(2)「指導計画」ア「指導計画の作成」
(ウ)保育所の生活における子どもの発達過程を見通し、生活の連続性、季節の変化などを考慮し、子どもの実態に即した具体的なねらい及び内容を設定すること。
□ 32.3歳未満児については、個別的な計画を作成します。
保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」]「保育の計画」(3)貯旨導計画の作成上、特に留意すべき事項」ア「発達過程に応じた保育」
(ア)3歳未満児については、一人一人の子どもの生育歴、心身の発達、活動の実態等に即して、個別的な計画を作成すること。
(イ)3歳以上児については、個の成長と、子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮すること。
□ 33.長時間にわたる保育は、家庭との連携を指導計画に位置付けます。
保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」1「保育の計画」(3)指導計画の作成上、特に留意すべき事項」
イ 「長時間にわたる保育」
長時間にわたる保育については、子どもの発達過程、生活のリズム及び心身の状態に十分配慮して、保育の内容や方法、職員の協力体制、家庭との連携などを指導計画に位置付けること。
□ 34.障害のある子どもには、指導計画にとらわれず、柔軟に保育します。
保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」1「保育の計画」(3)「指導計画の作成上、特に留意すべき事項」
ウ「障害のある子どもの保育」
(イ)保育の展開に当たっては、その子どもの発達の状況や日々の状態によっては、指導計画にとらわれず、柔軟に保育したり、職員の連携体制の中で個別の関わりが十分行えるようにすること。
□ 35.就学に向けて小学校との積極的な連携を図ります。
保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」1「保育の計画」(3)「指導計画の作成上、特に留意すべき事項」
エ「小学校との連携」
(ア)子どもの生活や発達の連続性を踏まえ、保育の内容の工夫を図るとともに、就学に向けて、保育所の子どもと小学校の児童との交流、職員同士の交流、情報共有や相互理解など小学校との積極的な連携を図るよう配慮すること。
□ 36.家庭及び地域社会と連携した保育が展開されるよう配慮する必要があります。
保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」1「保育の計画」(3)「指導計画の作成上、特に留意すべき事項」
オ 「家庭及び地域社会との連携」
子どもの生活の連続性を踏まえ、家庭及び地域社会と連携して保育が展開されるよう配慮すること。その際、家庭や地域の機関及び団体の協力を得て、地域の自然、人材、行事、施設等の資源を積極的に活用し、豊かな生活体験を始め保育内容の充実が図られるよう配慮すること。
□ 37.保育士は、保育所全体の保育内容についても認識を深めます。
保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」2「保育の内容等の自己評価」(1)「保育士等の自己評価」
イ 保育士等による自己評価に当たっては、次の事項に留意しなければならない。
(1) 自らの保育実践の振り返りや職員相互の話し合い等を通じて、専門性の向上及び保育の質の向上のための課題を明確にするとともに、保育所全体の保育の内容に関する認識を深めること。
□ 38.保育所は、保育の内容等について自ら評価を行い、その結果を公表するよう努めなければならない。
保育所保育指針 第4章「保育の計画及び評価」2「保育の内容等の自己評価」(2)「保育所の自己評価」
ア 保育所は、保育の質の向上を図るため、保育の計画の展開や保育士等の自己評価を踏まえ、当該保育所の保育の内容等について、自ら評価を行い、その結果を公表するよう努めなければならない。
□ 39.保育所に入所している子どもの就学に当たり、「保育所児童保育要録」を小学校へ送付することが義務付けられています。
保小連携の一環として、2009(平成21)年から、一人一人の子どもの育ちや学びの資料である「保育所児童保育要録」を保育士が作成し、それぞれの小学校へ送付することが義務付けられました。
□ 40.保育中に体調不良や傷害が発生した場合には、その子どもの状態等に応じて、保護者に連絡します。
保育所保育指針 第5章「健康及び安全」1「子どもの健康支援」(3)「疾病等への対応」
ア 保育中に体調不良や傷害が発生した場合には、その子どもの状態等に応じて、保護者に連絡するとともに、適宜、嘱託医や子どものかかりつけ医等と相談し、適切な処置を行うこと。看護師等が配置されている場合には、その専門性を生かした対応を図ること。
□ 41.感染症の発生や疑いがある場合には、保護者や全職員に連絡し、協力を求めます。
保育所保育指針 第5章「健康及び安全」1「子どもの健康支援」(3)「疾病等への対応」
イ 感染症やその他の疾病の発生予防に努め、その発生や疑いがある場合には、必要に応じて嘱託医、市町村、保健所等に連絡し、その指示に従うとともに、保護者や全職員に連絡し、協力を求めること。また、感染症に関する保育所の対応方法等について、あらかじめ関係機関の協力を得ておくこと。看護師等が配置されている場合には、その専門性を生かした対応を図ること。
保育の思想と歴史的変遷
□ 42.オーベルランは、世界最古の保育施設を設立した。
世界で最も古い保育施設は、1769年にドイツ人の牧師オーベルランがアルサス・ロレーヌ地方に開設した幼児保護所といわれています。彼は、幼い子ども達を保護し、言語教育を行った。また、母親たちには編み物を教えました。
□ 43.モンテッソーリは、「子どもの家」と名付けられた託児室での指導を委託されました。
イタリアの医師であり、障害児教育者でもあったモンテッソーリは、1907年にローマの貧民街に開設された託児室を託されました。モンテッソーリは、障害児のために考案した教具を「子どもの家」の幼児たちにも利用し、「日常の生活技術の訓練」「感覚訓練」などを実践しました。
□ 44.日本での幼稚園の始まりは、東京女子師範学校附属幼稚園です。
1876(明治9)年に開設された東京女子師範学校附属幼稚園(現・お茶の水女子大学附属幼稚園)は、フレーベルのキンダーガルテンをもとにつくられました。ドイツでフレーベル教員養成を受けた松野クララが主任保拇となり、豊田芙雄と近藤濱がクララの指導のもとで保育を行いました。
□ 45.「子守学校」は、子守のために就学が困難な子どものための教室です。
弟妹や他家の乳幼児の子守により就学が困難な子どものために、全国の都道府県には「子守学校」が、また、学校を設置できない場合には「子守学級」が設置されました。子守たちは、乳幼児を背負ったり、別室にて交代で面倒をみたりして授業を受けました。
□ 46.赤沢鍾美(あつとみ)は、新潟静修学校にわが国初の託児所を併設しました。
日本人による最初の本格的な託児所は、1890(明治23)年に赤沢鍾美が新潟で開設した新潟静修学校に併設された保育室です。これは、後に守孤扶独幼稚児保護会という保育事業に発展した。また、同年、鳥取県では筧雄平によって農繁期託児所(季節保育)が開設されました。
□ 47.1926(大正15)年に、わが国初の幼稚園に関する単独の勅令である「幼稚園令」が公布されました。
幼稚園の目的、保育内容、設備に関する基準、保母の資格や職務などが幼稚園令において明確に規定された。第1条では幼稚園の目的を、人間形成の基礎を培い、家庭教育を補うこととしていました。また、第6条では、幼稚園に入園できる幼児の年齢を満3歳以上としながらも、特別な事情がある場合には3歳未満児の入園も認めるとしていました。
□ 48.「保育要領一幼児教育の手引き」は、幼稚園、保育所、家庭で役立つ手引き書とされました。
1948(昭和23)年に当時の文部省によって発行された「保育要領―幼児教育の手引き」は、誘導保育を提唱した倉橋惣三を委員長とする作成委員会によって作成され、自由遊び、音楽、自然観察、ごっこ遊びなど12項目にわたる保育内容や方法の基準を示しました。1956(昭和31)年、「保育要領」は「幼稚園教育要領」に改訂されました。
□ 49.現行の「保育所保育指針」は厚生労働大臣告示です。
初の「保育所保育指針」は1965(昭和40)年に厚生省局長通知として出されたが、2008(平成20)年に改定されて告示となった。「幼稚園教育要領」は、1956(昭和31)年の作成時から告示文書です。憲法、法律、政令、省令、告示には法的拘束力があります。
□ 50.1963(昭和38)年に「幼稚園と保育所との関係について」の通知が出されました。
文部省と厚生省局長の連名による「幼稚園と保育所との関係について」の中で、3歳以上児の保育については、「幼稚園教育要領」に準ずることが望ましいとされました。これを受け、1965(昭和40)年に「保育所保育指針」が示されました。
現在の保育所と幼稚園の比較
根拠となる法令:保育所-児童福祉法、保育所-学校教育法
所轄省庁:保育所-厚生労働省、幼稚園-文部科学省
社会的役割:保育所-児童福祉施設、幼稚園-教育機関
対象:保育所-原則として、保育に欠ける産休明けの乳児から就学前の幼児、幼稚園-原則として、満3歳以上就学前までの幼児
1日の保育・教育時間:保育所-原則として8時間、幼稚園-4時間を標準
資格:保育所-保育士資格、幼稚園-幼稚園教諭免許
保育・教育内容:保育所-保育所保育指針、幼稚園-幼稚園教育要領
保育の現状
□ 51.認定こども園は、都道府県が認定します。
認定こども園は、2006(平成18)年より設置・運営されています。「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」に基づき、幼稚園と保育所の一体化をめざして制度化された施設で、4つの型があります。0歳から就学前までの子どもを対象とし、保護者の就労状況等に関係なく、施設と直接契約することで入園できます。
幼保連携型は、認可保育所と認可幼稚園が連携して一体的な運営を行う。
幼稚園型は、認可幼稚園に保育所機能を拡充。
保育所型は、認可保育所に幼稚園機能を拡充。
地方裁量型は、認可外であった施設が教育 保育機能を備えて行う。
□ 52.認可外保育施設には、事業所内保育施設、ヘき地保育所、ベビーホテルなどがあります。
認可外保育施設は、保育所と同様の業務を目的とする施設であって、都道府県知事の認可を受けていないもの。2001(平成13)年の児童福祉法の一部改正により届出制等の規定が設けられました。東京都の認証保育所など、独自の基準を設けて補助を行っている自治体もあります。
□ 53.家庭的保育事業は、保育者の居宅で少人数での保育を行います。
家庭的保育事業は、産休明け・乳児保育の需要に応じるための保育所の補完的事業として、2000(平成12)年に創設された国庫補助事業です。保育士、看護師、幼稚園教諭、その他の者が研修を修了し、市町村長が家庭的保育者として適当と認める者が、自宅等で就学前の児童を預かって保育サービスを提供します。保育時間はおおむね8時間とされています。対象年齢は、3歳未満であるが、地域によっては就学前までとされます。
□ 54.保育所保育の内容は、厚生労働大臣が定めます。
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第35条に「保育所における保育は、養護及び教育を一体的に行うことをその特性とし、その内容については、厚生労働大臣が定める指針に従う」とあります。
□ 55.子育て支援拠点事業には、一般型、地域機能強化型があります。
地域子育て支援拠点事業の実施主体は、市町村(特別区を含む)だが、社会福祉法人、NPO法人、民間事業者等へ委託することもできます。
従業者は、一般型-子育て支援に関して意欲があり、子育てに関する知識 経験を有する者(2名以上)、連携型-子育て支援に関して意欲があり、子育てに関する知識経験を有する者(1名以上)に児童福祉施設等の職員が協力して実施、地域機能強化型-育児 保育等について相当の知識 経験を有し、地域の子育て事情や社会資源に精通する者(2名以上、ただし利用者支援を実施する場合には3名以上)
実施場所は、一般型-保育所、公共施設空きスペース、商店街空き店舗、民家、マンション アパートの一室等を活用、連携型-児童福祉施設等、地域機能強化型-公共施設、保育所などの児童福祉施設等で地域社会に密着した場所で実施
□ 56.アメリカの「ヘッド・スタート・プログラム」とは、貧困家庭の幼児を対象とした就学援助のためのプログラムです。
アメリカで1960年代半ばに創設された「ヘッド・スタート・プログラム」は、教育・医療・栄養・社会的サービスなどの援助を提供する事業です。就学前にアルファベットを読めること、10までの数を数えられるようになることなどを目標としています。
2章 教育原理
教育の意義と目的
□ 1.「教育基本法」における教育の目的は、人格の完成です。
「教育基本法」は、わが国の教育の目的や理念、教育の実施に関する基本を定め、国や地方公共団体の責務を明らかにしています。
◆教育基本法第1条(教育の目的)
教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
□ 2.「教育基本法」は、「日本国憲法」の精神にのっとり制定された法律です。
「教育基本法」は、教育関連法規の中心となる法律として1947(昭和22)年に制定され、2006(平成18)年に全面改正されました。前文には、民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを国民の理想として示しています。また、その実現のため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進することが示されています。
□ 3.「学校教育法」が定める「学校」には、幼稚園も含まれます。
学校教育法が定める学校とは幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校であることが規定されています。国立学校は国が、公立学校は地方公共団体が、私立学校は学校法人が設置する学校です。
□ 4.「学校教育法」における幼稚園の目的は、幼児の心身の発達を助長することです。
学校教育法第22条において幼稚園とは、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする、と定められています。第23条にその目的を実現するための目標が定められています。
□ 5.幼稚園教育の基本は、「環境を通して行う教育」です。
「幼稚園教育要領」の第一章「総則」には、「幼児期における教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、幼稚園教育は、学校教育法第22条に規定する目的を達成するため、幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行うものであることを基本とする」と示されています。
□ 6.児童憲章は、すべての児童の幸福をはかるために、日本国憲法の精神に基づき制定されました。
1951(昭和26)年5月5日に制定された児童憲章は、日本の子どもの人格と人間的権利を保障する内容となっています。
教育の思想と歴史的変遷
□ 7.ソクラテスの対話法は、「産婆術」と呼ばれています。
古代ギリシャの哲学者ソクラテスの対話法は、対話を通じて相手の持つ考え方に疑問を投げかけることで、相手に自らの無知を自覚させ(無知の知)、相手が真理を産み出すことを助けることから、「産婆術」と呼ばれています。
□ 8.コメニウスは、『大教授学』や『世界図絵』を著しました。
コメニウスは、近代教育学の父と称され、教育史上最初の教育学の著書とされる『大教授学』を著した。「すべての人にすべてのことを教える」として、年齢と発達段階に応じて区分された統一学校の構想を示しました。また、感覚を通して対象を直接的に理解させる直観教授を提唱し、1658年に世界最初の絵入り教科書『世界図絵』を著しました。
□ 9.ロックは、「教育に関する若干の見解」を著しました。
ロックは、イギリスの思想家です。紳士を育てるための教育論『教育に関する若干の見解』を著し、体育・徳育・知育の重要性を説いた。序文には、「健全な身体に宿る健全な精神」という言葉が記されています。また彼は、人間は生まれながらに知識や観念をもっているという考えを否定し、人間は生まれたときはまったくの白紙であるとする「白紙説(タブラ・ラサ)」を唱えました。
□ 10.ルソーは、『エミール』を著しました。
「子どもの発見者」といわれるルソーは、『エミール』を著し、内なる自然説に基づき、子どもの自然な発達や成長を促す消極教育を提唱しました。冒頭で「万物をつくる者の手をはなれるときすべてはよいものであるが、人間の手にうつるとすべてが悪くなる」という性善説を述べています。
□ 11.ペスタロッチは、『隠者の夕暮』を著しました。
ペスタロッチは、貧しい民衆の子どもたちの社会的自立を教育の課題として、生活が陶冶するという教育原理を生み出した。『隠者の夕暮』は初期の著作で、冒頭の「王座の上にあっても、木の葉の屋根の陰に住まっても、その本質において同じ人間」という一節が有名です。
□ 12.フレーベルは、幼稚園の創始者です。
フレーベルは1826年に『人間教育』を著し、冒頭で「すべてのもののなかに、永遠の法則が、宿り、働き、かつ支配している」と述べ、子どものなかに宿る神的なものを導き出すことが教育であるとしました。1840年に世界最初の幼稚園「一般ドイツ幼稚園(キンダーガルテン)」を創設しました。また、家庭教育を向上させるために母親のための教育書『母の歌と愛撫の歌』を著した。
□ 13.恩物は、フレーベルが考案した幼児のための遊具です。
恩物とは神から授けられたものという意味で、フレーベルは遊びの持つ教育的意義をとらえ、子どもの遊びの発展のために体系化した遊具を考案しました。わが国では、1876(明治9)年に、東京女子師範学校に附属幼稚園が設置される際に導入されました。
□ 14.オーエンは、幼児学校を設立しました。
イギリスの空想的社会主義者として知られるオーエンは、紡績工場での労働者教育の経験から、環境を整えることで性格形成が可能であるとの考えを持つに至り、1816年に性格形成学院を開校しました。とりわけ幼児期の環境の影響を重視し、性格形成学院の中に最初の保育所といわれる幼児学校を設け、労働者の子どもを預かりました。
□ 15.デューイは、シカゴ大学に設立された実験学校で教育実践を行いました。
アメリカの教育思想家であるジョン・デューイは、シカゴ大学附属小学校(実験学校)で、子どもの生活経験や興味を教育の出発点とする子ども中心の教育実践を行いました。デューイの教育理論は、問題解決学習やコア・カリキュラムの理論ヘと引き継がれています。
□ 16.貝原益軒は、『和俗童子訓』を著しました。
貝原益軒は、日本のロックと称され、日本において最も早く体系的ともいえる教育論をまとめた儒学者です。「「小児の教えは早くすべし」として、早い時期からの教育やしつけの必要性を主張しました。わが国初の体系的な教科書と言われている『和俗童子訓』や、女子の教訓書である『女大学』があります。
□ 17.森有礼(ありのり)は、西洋の新知識を身に付けた啓蒙活動家からなる学術結社「明六社」を西村茂樹らとともに結成しました。1885(明治18)年の内閣制度発足時に初代文部大臣に就任し、富国強兵のための国民教育制度の整備に着手しました。1886(明治19)年には、小学校令・中学校令・帝国大学令・師範学校令を公布して近代学校制度の基礎を定めました。
□ 18.倉橋惣三は、『幼稚園保育法真諦』を著した。
倉橋惣三は、東京女子高等師範学校附属幼稚園(現。お茶の水女子大学附属幼稚園)の主事を務め、大正期から第二次世界大戦後まで、わが国の幼児教育の指導的立場にあった。形式化したフレーベル主義を排し、子どもの自由な遊びを生活の中に実現することで、さらに充実した子どもの生活の展開を目指す誘導保育を『幼稚園保育法真諦』で説き、「生活を生活で生活へ」というフレーズでもって理解を求めました。
教育の制度
□ 19.特別支援学校は、学校教育法」第1条に定める学校です。「
平成18年の学校教育法の改正にともない、特別支援学校制度が創設されました。視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者または病弱者(身体虚弱者を含む)に対して、幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上または生活上の困難を克服し、自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的としています。
□ 20.教育委員会は都道府県及び市町村(特別区を含む)に設置される教育行政機関です。
教育委員会は、教育の政治的中立性、継続性、安定性を確保するために、地方公共団体の教育に関する事務を管理、執行する機関です。教育委員会の教育長は教育委員の中から選任され、首長が任命します。首長は、首長と教育委員会から構成される総合教育会議を設け、その地域の実情に応じた教育の振興に関する施策の大綱を策定します。
教育の実践
☐ 21.教科カリキュラムは、学問体系を基礎としています。
教科カリキュラムは、学問や芸術などを教科としてまとめて系統化するカリキュラムです。効率よく学習できる半面、教材の理解に重点が置かれるため、画一的で高度なものになり、子どもの興味や関心とのずれが生じやすい、教科同士の関連がとりづらいなどの問題があります。
□ 22.経験カリキュラムは、子どもの興味や関心に基づいて構成されます。
経験カリキュラムは、子どもの興味・関心・能力・実際の生活経験などに基づいて構成されるカリキュラムです。自発的な活動や学習を重視し、子どもの学習意欲を引き出しやすい半面、必要な知識・技能が網羅されない可能性があります。
□ 23.潜在的カリキュラムは、隠れたカリキュラムとも呼ばれます。
子どもが学校などに適応していく中で獲得する社会規範、価値観、信念、態度など、はっきりと示されないかたちで子どもに伝達されるカリキュラムを潜在的カリキュラムといいます。「男らしく」「女らしく」といった言葉がけは、ジェンダー(社会的文化的な性差)が潜在的カリキュラムとして作用します。
□ 24.プロジェクト・メソッドは、キルパトリックが提唱した問題解決学習の一つです。
プロジェクト・メソッドは構案法ともいい、キルバトリックによって提唱された。目標の設定(See)→計画の立案(Plan)→実践(Do)→反省・評価(See)という一連の学習活動を生徒自身が行う学習方法です。
□ 25.プログラム学習は、スキナーの刺激一反応の結合モデルに基づく学習理論です。
プログラム学習とは、スキナーが開発した学習理論です。プログラム学習では、学習者が、細かいステップに分割された学習内容を一つ一つ答えると、すぐに解答の正誤を知らされ、自分のペースで学習を続けることができます。
□ 26.発見学習は、『教育の過程』を著したブルーナーが提唱しました。
発見学習は、学習の過程において自らその規則性や法則性などを発見していく学習法で、アメリカの心理学者ブルーナーが提唱しました。学問中心カリキュラムでありながら問題解決学習の教育法に類似しており、プログラム学習と比べ試行錯誤の多い学習法です。
□ 27.ヘルバルトは、教授段階説を唱えました。
ヘルバルトは、教育の目的は倫理学によって示され、教育の方法は心理学によって示されるとしました。また、学習者の立場から学習の過程を明瞭-連合-系統-方法の4段階に整理しました。弟子のラインは、これを教師の立場からとらえ直し、予備-提示-比較-総括-応用の5段階教授法を唱えた。この方法は明治期に日本にも導入され、大きな影響を与えました。
□ 28.特別支援教育は、一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な指導及び必要な支援を行います。
特別支援教育は、知的な遅れのない発達障害も含めて、特別な支援を必要とする幼児・児童・生徒が在籍する全ての学校において実施されます。障害の有無や、その他の個々の違いを認識しつつ様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるものであり、わが国の現在及び将来の社会にとって重要な意味を持っています。特別支援学校は、地域における特別支援のコーディネータ的な役割を担っています。
□ 29.いじめは、どの学校、どの子でも起こりうる問題です。
文部科学省は、学校におけるいじめ問題への取り組みの指針として「いじめの問題への取組の徹底について(通知)」(平成18年10月)を示しました。
生涯学習社会における教育の現状と課題
□ 30.ラングランは、生涯教育の整備の必要性を主張しました。
1965年に開催されたユネスコの第3回成人教育推進国際委員会において、フラスのポール・ラングランが、「生涯にわたって統合された教育」を提唱したことで、初めて生涯教育という言葉が公式に登場しました。著書『生涯教育入門』では、学習の機会があらゆる場で確保されることが大切であると述べています。
☐ 31.ハッチンスは、『学習社会』を著しました。
アメリカのハッチンスは、1968年に著した『学習社会』の中で、「価値の転換に成功した社会をつくらなければならない」とし、学習社会の構築を提言しました。学習社会の概念は、1972年にフランスのフォールを委員長とするユネスコ教育開発国際委員会の報告『未来の学習』によって普及しました。
□ 32.経済協力開発機構(OECD)は、リカレント教育を提唱しました。
リカレント教育は、生涯にわたる教育を受ける機会を保障する、社会人の再教育・再学習のための社会システムです。経済協力開発機構(OECD)が『教育機会の均等』(1970年)、「リカレント教育一生涯学習のための戦略」(1973年)において提唱しました。
□ 33.これからの生涯には、社会全体の教育力向上のために、学校・家庭・地域の連携が必要です。
国民が豊かな人間性を含む総合力を身につけるためには、一人一人の学習の支援と共に、社会全体の教育力を向上させることが必要です。そのためには、地域社会における教育力の向上が不可欠であり、地域全体での子育てや学習の支え合いの視点が大切です。また、行政が調整役となり、関係者が連携し、課題の解決を図っていくことは有効です。
3章 社会的養護
社会的養護の意義と歴史的変遷
□ 1.すべての児童は、心身ともに健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される。
「児童憲章」第1条の記述です。「児童憲章」は1951(昭和26)年に国会で採択され、「児童は、人として尊ばれる。児童は、社会の一員として重んぜられる。児童は、よい環境のなかで育てられる。」と宣言されました。
□ 2.家庭環境を奪われた児童のための家庭に代わる監護は国が確保する。
1989(平成元)年に国連に採択され、日本が1994(平成6)年に批准しました。
「児童の権利に関する条約」では、家庭環境を奪われた児童のための家庭に代わる監護を国が確保するよう示しています。
□ 3.「児童福祉法」では、親権者、未成年後見人など児童を実際に監護する者を保護者といいます。
児童福祉法第6条に「この法律で、保護者とは、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護する者をいう。」と規定され、児童虐待防止法、母子保健法等においても保護者の定義は同じです。保護者は国及び地方公共団体とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負います。
□ 4.保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当な児童を要保護児童といいます。
児童福祉法第6条の3第8項には、保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を要保護児童という、と規定されています。小規模住居型児童養育事業は、要保護児童を、相当の経験を有する者や厚生労働省令で定める者の住居で養育する事業です。
□ 5.国際障害者年以降、施設福祉から地域福祉ヘの転換が図られました。
国連は1981年を国際障害者年と定め、障害者が身体的・精神的に社会に適応できるよう支援することなどについて国際的な取り組みを求めました。ノーマライゼーションの理念が具現化されたもので、日本でも施設整備中心の福祉施策から地域福祉の推進へと政策を転換するきっかけとなりました。
□ 6.わが国の社会的養護の施策の取り組みの1つとして、里親制度の充実を図り、里親への委託を推進しています。
2008(平成21)年の児童福祉法改正などにより、里親手当の引き上げや里親支援機関事業が実施されました。平成26年版少子化社会対策白書では、児童虐待防止とともに社会的養護の質・量の充実について以下の4点をあげています。
①家庭的養護の推進(里親、ファミリーホームの優先、施設の小規模化の推進等)
②年長児の自立支援策の拡充(児童自立生活援助事業の実施等)
③社会的養護に関する施設機能の充実(第三者評価の評価基準の策定等)
④被措置児童等虐待の防止(被措置児童等の権利擁護を図るための適切な整備)
□ 7.日本の児童養護の歴史における重要人物
石井十次は、1887(明治20)年に児童養護施設の岡山孤児院を設立しました。
赤沢鍾美は、1890(明治23)年にわが国初の常設託児所の新潟静修学校(後の守孤扶独幼稚児保護会)を設立しました。
石井亮一は、1891(明治24)年にわが国初の知的障害児のための施設の孤女学院(現 滝乃川学園)を設立しました。
留岡幸助は、1899(明治32)年に現在の児童自立支援施設の栄鴨家庭学校と1914(大正3)年に北海道家庭学校を設立しました。三能主義(よく働き、よく食べ、よく寝る)を実践しました。
高本憲次は、1942(昭和17)年に現在の心身障害児総合医療療育センターの整肢療護園を設立しました。
糸賀一雄は、1946(昭和21)年に知的障害児のための施設の近江学園を設立しました。「この子らを世の光に」
野口幽香・森島峰は、1900(明治33)年に貧困家庭の子どもヘの幼児教育の実践ために二葉幼稚園を設立しました。
伊沢修二は、1903(明治36)年にわが国初の言語障害児施設の楽石社を設立しました。
柏倉松蔵1921(大正10)年にわが国初の肢体不自由児施設の柏学園を設立しました。
社会的養護と児童家庭福祉
□ 8.社会的養護には、施設養護と家庭養護があります。
社会的養護とは、保護者がいなかったり、保護者に監護させることが適当でない児童やその家庭を、社会福祉制度により支援、養護することです。
施設養護は、児童養護施設、乳児院、母子生活支援施設、情緒障害児短期治療施設などの児童福祉施設や小規模で、より家庭的な環境で行われる小規模グループケア、地域小規模児童養護施設(グループホーム)など家庭的養護が行われます。
家庭養護では、里親制度、ファミリーホームなど養育者の家庭で行われます。
□ 9.市町村が保育所に入所する児童を選考する場合には、特別の支援を要する家庭の福祉に配慮をしなければならない。
児童虐待の防止等に関する法律第13条の2では、児童虐待を受けた児童等に対する支援に関し、市町村の保育所の入所選考に係る配慮のほか、国及び地方公共団体に対し、児童虐待を受けた児童への教育内容や方法の改善・充実を図るための施策、居住の場所の確保、進学や就業の支援などの自立支援のための施策などを講じる義務を課しています。
社会的養護の制度と実施体系
□ 10.児童館や児童遊園は、児童福祉施設です。
放課後児童クラブなどを行っている児童館や、ブランコ、ジャングルジムなどの遊具が設けられている児童遊園は、「児童福祉法」第40条に規定されている児童厚生施設であり、児童厚生施設は児童福祉施設の一つです。
児童福祉施設の種類(児童福祉法第7条)は、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設及び児童家庭支援センター
□ 11.児童養護施設等の施設長は、自立支援計画を策定する義務があります。
子どもと家庭に対する的確なアセスメント及び適切な自立支援について、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」が改正され、2005(平成17)年4月より、乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設の各施設長には、自立支援計画の策定が義務付けられました。
□ 12.グループホームの定員は、6人です(常時5人以上)。
地域小規模児童養護施設(グループホーム)は、児童養護施設を本体とする、小規模な分園です。本体施設から離れた家庭的な環境の下で養育することが適切な児童を対象とします。地域の既存の住宅等を利用し、家庭的な環境の下で児童の社会的自立を支援する。児童指導員または保育士が2名配置されます。
□ 13.児童福祉施設への入所措置は、原則として2年を超えてはならない。
「児童福祉法」第28条に関する要保護児童について、家庭裁判所の承認を得て都道府県が行う児童福祉施設への入所措置は、原則2年を超えてはならない。ただし、当該措置を継続しなければ保護者がその児童を虐待するなど、当該児童の福祉を害するおそれがあると認めるときは、都道府県は、家庭裁判所の承認を得て、当該期間を更新することができます。
□ 14.里親は、種類にかかわらず、都道府県知事の認可を受けたものをいいます。
里親には、養育里親、専門里親、養子縁組里親、親族里親の4種類があります。里親になるためには、必要な研修と都道府県知事の認可を受ける。養育里親の要件には、①養育についての理解及び熱意と、児童に対する豊かな愛情があること、②経済的に困窮していないこと、③都道府県知事が行う養育里親研修を修了していること、④同居人も含め欠格事由に該当していないこと、などがある。
□ 15.養育里親は、養子縁組を前提としない。
里親制度は、児童福祉法に規定された制度で、2009(平成21)年度から養子縁組を前提としない里親として養育里親が制度化されました。
□ 16.家庭支援専門相談員は、虐待・放任等による施設入所児の早期家庭復帰を専門に担当します。
家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)は、施設入所前から退所後のアフターケアにわたる総合的な家庭調整を行う職員です。乳児院には1999(平成11)年度から、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設及び児童自立支援施設には2004(平成16)年度から配置されています。
□ 17.家庭支援専門相談員の業務の1つとして、里親委託推進があります。
家庭支援専門相談員には、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を有する者、児童養護施設において児童の指導に5年以上従事した者などの要件が設けられています。
家庭支援専門相談員の主な業務内容は、児童の早期家庭復帰のための保護者等への相談援助業務、退所後の児童に対する継続した相談援助、里親委託推進のための業務、養子縁組推進のための業務、地域の子育て家庭に対する育児不安解消のための相談援助、要保護児童の状況の把握や情報交換を行うための協議会への参画、施設職員への指導 助言及びケース会議への出席、児童相談所等関係機関との連絡 調整
施設養護の実際
□ 18.児童福祉施設は、最低基準を超えて常にその設備・運営を向上させなければならない。
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第4条に、児童福祉施設は、最低基準を超えて、常に設備及び運営を向上させなければならないこと、最低基準を超えて、設備を有し、又は運営をしている児童福祉施設においては、最低基準を理由として、その設備又は運営を低下させてはならないことが規定されています。
□ 19.乳児院に幼児を、児童養護施設に乳児を入所させることができます。
乳児院は、保健上、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、幼児を入院させることができる(児童福祉法第37条)。また、児童養護施設は、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を入所させることができる(同法第41条)。
□ 20.母子生活支援施設に入所する児童は、原則として18歳未満です。
母子生活支援施設は、配偶者のない女子、これに準ずる事情にある女子、その者が監護すべき児童(原則18歳未満)を入所させて保護し、自立の促進のために生活を支援するだけでなく、退所した者について相談などの援助を行うことを目的とした施設です(児童福祉法第38条)。
□ 21.児童自立支援施設の入所対象となる児童には、家庭環境などの理由により生活指導等を要する児童も含まれています。
児童自立支援施設は、不良行為をした、または不良行為をするおそれのある児童や、家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を対象としている。原則18歳未満の者が対象であるが、必要があれば20歳に達するまでの措置延長をとることができます。
□ 22.児童福祉施設の一つとして、障害児入所施設が位置付けられています。
障害児入所施設は、福祉型と医療型の2つに区分されます。また、障害児入所支援とは、障害児入所施設や指定医療機関において、保護、日常生活の指導、知識技能の付与などを行うほか、重症心身障害児に対する治療を行うことをいいます。
障害児入所施設の区分と支援内容
福祉型は、①保護、②日常生活の指導、③独立自活に必要な知識技能の付与
医療型は、①保護 ②日常生活の指導 ③独立自活に必要な知識技能の付与 ④治療
□ 23.障害児入所施設の長は、入所障害児に対し、入所支援計画を作成します。
入所支援計画は、入所障害児の保護者及び障害児の意向、障害児の適性、障害児の障害の特性その他の事情を踏まえて作成します。
障害児入所支援は、作成された入所支援計画に基づいて提供し、その効果について継続的な評価を実施します。
障害児入所施設では、生活指導、学習指導、職業指導などが実施されています。
☐ 24.児童養護施設には、児童指導員、保育士、個別対応職員、家庭支援専門相談員などの専門職が配置されます。
児童養護施設において、心理療法を行う必要があると認められる児童10人以上に心理療法を行う場合には、心理療法担当職員を置かなければならない。また、児童養護施設に実習設備を設けて職業指導を行う場合には、職業指導員を置かなければならない。
□ 25.児童養護施設における生活指導は、児童の自主性を尊重しつつ、基本的生活習慣を確立します。
児童養護施設における養護は、児童に対して安定した生活環境を整え、生活指導、学習指導、職業指導、家庭環境の調整を行いつつ児童を養育します。
生活指導は、児童の自主性を尊重しつつ、基本的生活習慣を確立するだけでなく、豊かな人間性及び社会性を養い、かつ、将来自立した生活を営むために必要な知識及び経験を得ることができるように行わなければならない。
□ 26.情緒障害児短期治療施設には、心理療法を担当する職員を置かなければならない。
情緒障害児短期治療施設には、おおむね児童10人以上につき1人以上の心理療法を担当する職員の配置義務が定められています。1999(平成11)年以降、増加する被虐待児童の支援を目的として、児童養護施設、乳児院、児童自立支援施設、母子生活支援施設にも心理療法を担当する職員が配置されるようになりました。
□ 27.児童福祉施設の職員は、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」に、入所児童への虐待の禁止が定められています。
児童福祉施設職員の入所児童の虐待禁上については、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第9条の2に明記されています。また児童福祉法においても、2008(平成20)年の改正により、第2章に「第7節 被措置児童等虐待の防止等」第33条の10~ 17が追加されました。
社会的養護の現状
☐ 28.児童養護施設の在所者数は、約2万8000人となっています。
「平成24年社会福祉施設等調査の概況」によると、児童養護施設の在所者数は28,188人となっており、児童福祉施設の中で保育所に次いで多くなっています。
主な児童福祉施設の在所者数
保育所は、2,187,568人、児童養護施設は、28,188人、母子生活支援施設(世帯人員数)は、9,437人、乳児院3,023人、情緒障害児短期治療施設1,236人、児童自立支援施設1.506人
□ 29.児童自立支援施設は、すべての都道府県に設置されています。
都道府県には、児童自立支援施設の設置義務があります(児童福祉法施行令第36条)。「社会的養護の現状(平成26年3月)」によれば、2013(平成25)年10月1日現在、児童自立支援施設は全国に58か所あります。
□ 30.乳児院に在籍している児童の心身の状況では、身体虚弱の割合が約2割です。
乳児院は、原則として乳児(1歳未満)を入所させて養育する施設であるが、「平成19年度児童養護施設入所児童等調査結果の概要」(厚生労働省)によると、乳児院入所総数の76%が1~5歳児です。また、32.3%が「障害等あり」で、そのうちの20.4%を身体虚弱が占めています。
□ 31.母子生活支援施設への「入所理由」では、「配偶者からの暴力」の割合が最も高い。
「平成19年度児童養護施設入所児童等調査結果の概要」(厚生労働省)によると、母子生活支援施設への入所理由で最も多いのは「配偶者からの暴力」40.8%で、次いで「経済的理由による」24.6%です。
□ 32.都道府県・政令指定都市には児童相談所の設置義務が課せられています。
児童相談所は中核市など政令で指定する市も設置することができます。人口50万人に最低1か所程度が必要であり、地理的条件や利用者の利便など各都道府県の実情に応じて設置されることが適当とされます。
□ 33.現に委託されている里親家庭の総数は3,000世帯を上回っています。
「社会的養護の現状(平成26年3月)」における里親家庭の状況をみると、現に委託されている里親家庭の総数は3,487世帯、委託児童数は4,578人です。
里親申込みの動機(平成20年2月時点)
第1位は、児童福祉への理解から37.1%
第2位は、子どもを育てたいから31.4%
第3位は、養子を得たいため21.8%
4章 児童家庭福祉
児童家庭福祉の歩み
□ 1.児童は大人とは違う固有の存在です。
長らく子どもは独立した一人の人格としてではなく、大人の従属物と考えられていたが、ルソーなど近代西欧の思想家らとその著書によって子どもの権利や可能性が主張され始めました。
☐ 2.代表的な思想家とその著書
ルソーは、『エミール』(1762年)
フレーベルは、『人間の教育』(1826年)
エレン・ケイは、『児童の世紀』(1900年)
□ 3.1989年に、国際連合で児童の権利に関する条約が採択されました。
児童の権利に関する条約(通称:子どもの権利条約)は、1924年の国際連盟による児童権利宣言(ジュネーブ宣言)、1959年の国際連合による児童権利宣言に続く、子どもの権利に関する国際的宣言です。54条で構成されており、子どもの受動的権利(保護される存在)に加えて、子どもの能動的権利(意見表明権、表現の自由など)が認められています。わが国は1994(平成6)年に批准しました。
□ 4.明治から昭和初期のわが国の児童福祉は、民間人や民間団体が中心になって行われていました。
恤救規則、救護法など公的な法律はあったが、対象が限られており、西洋思想や宗教理念に基づいた篤志家達が児童保護施設を設立、運営し、後の公的施設の原型を築きました。
1887(明治20)年:石井十次は、岡山孤児院(孤児、棄児を対象)
1891(明治24)年:石井亮一は、孤女学院(後の知的障害者施設)
1899(明治32)年:留岡幸助は、家庭学校(非行少年を対象)
1942(昭和17)年:高木憲次は、整肢療護園(肢体不自由児を対象)
□ 5.児童福祉法は、わが国の児童の福祉と人権保障の中心となる法律です。
1947(昭和22)年に成立した児童福祉法では、すべての児童の権利を規定しています。児童福祉施設や児童相談所等の機関の設置・運営や措置を規定し、時代のニーズに応じて改正されています。
□ 6.児童福祉法では、すべての国民に児童の健全育成に関する義務を課しています。
児童福祉法第1条では、基本理念として、すべての国民に児童の基本的人権保障への努力義務があることを明記しています。
第2条では、国と地方公共団体には保護者とともに児童の健全育成の責任があることを明記しています。
□ 7.児童福祉法では、児童を「満18歳に満たない者」と定義しています。
児童福祉法第4条では、児童を満18歳に満たない者とし、乳児、幼児、少年の3つに区分しています。
児童は、18歳未満に満たない者、乳児は、満1歳に満たない者、幼児は、満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者、少年は、小学校就学の始期から満18歳に達するまでの者
児童家庭福祉実施機関
☐ 8.児童相談所は児童福祉法に基づく行政機関です。
児童相談所は児童福祉法第12条に基づく、児童福祉のための専門機関であり、すべての都道府県及び政令指定都市に設置義務が課されています。また中核市などにも設置することができます(同法第59条の4)。2013(平成25)年4月現在、全国で207か所に設置されています。
(厚生労働省「平成25年度全国児童相談所一覧」)
□ 9.児童相談所は、子どもに関する相談、調査・判定、指導、措置、一時保護などを行います。
業務は厚生労働省の通知である「児童相談所運営指針」に基づいています。児童相談所にはその規模に応じて、所長、児童福祉司、児童心理司、児童指導員、児童相談員、医師、保育士等が配置されています。18歳未満の児童の福祉や健全育成等あらゆる相談に応じ、児童やその保護者などに援助や指導を行います。
□ 10.児童相談所において最も多い相談は障害相談です。
児童相談所が受け付ける相談の種類には、養護相談、保健相談、障害相談、非行相談、育成相談などがあります。その中で最も多いのは障害相談で、2012(平成24)年度の全相談件数の45.6%であり、ほぼ半数を占めています。次いで、養護相談(304%)、育成相談(13.6%)となっています。
□ 11.児童相談所は、必要と認められるときは児童の一時保護を行います。
児童虐待、家出などの理由により、緊急に児童を保護する必要があると児童相談所長、都道府県知事が認めた場合などに、児童相談所長は保護者の同意がなくても当児童の一時保護を決定することができます。一時保護は児童相談所に付設される一時保護所のほか警察署などで行い、原則2か月を超えてはならない。
□ 12.児童福祉施設は、入所型施設と通所型施設があります。
児童福祉施設には、行政機関の措置による施設と児童や保護者の自由意志により利用できる施設があり、利用形態は入所型と通所型がある。児童福祉法改正により、2012(平成24)年4月から、障害児施設については従来の障害別施設から通所・入所の利用形態別に一元化されました。
助産施設は、経済的理由で入院助産を受けられない妊産婦を入所させ助産を受けさせる。
乳児院は、乳児(特に必要な場合、幼児も含む)を入院させて養育し、退院した者について相談その他の援助を行う。
母子生活支援施設は、配偶者のない女子又はそれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させ保護 支援し、退所した者の相談 援助を行う。
保育所は、保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育する。
児童養護施設は、保護者のいない児童、虐待されている児童等を入所させて養護し、退所した者の相談援助を行う。
障害児入所施設は、福祉型障害児入所施設と医療型障害児入所施設に区分され、障害児の保護、指導、知識技能の付与を行う。医療型施設では治療も行う。
児童発達支援センターは、福祉型と医療型に区分され、障害児を日々保護者の下から通わせて指導、知識技能の付与、適応のための訓練を行う。医療型センターでは治療も行う。
情緒障害児短期治療施設は、軽度の情緒障害を有する児童を短期間入所又は通所させて、情緒障害を治し、退所した者の相談 援助を行う。
児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び生活指導を要する児童を入所又は通所させ指導、自立支援を行い、退所した者の相談 援助を行う。
児童厚生施設は、児童館、児童遊園等、児童に健全な遊びを与え健康を増進し情操を豊かにする。
児童家庭支援センターは、地域の児童の福祉に関する相談、助言等を行い、また市町村の求めに応じ助言、援助等を行うほか、保護を要する児童やその保護者に対する指導、児童福祉施設等との連絡調整等を行い、地域の児童や家庭の福祉の向上を図る。
□ 13.児童養護施設には、親がいても家庭で養育できない児童の入所が増えています。
児童養護施設は児童福祉施設の一つであり、親のいない児童や親がいても家庭で養育できない児童が入所しています。入所児童の養護問題発生理由で多いのは、父または母の虐待・酷使(34.7%)、父または母の放任・怠だ(13.0%)など、親が生存しているにもかかわらず家庭で養育できない児童に関するものであり、両親(父母いずれか一方の場合も含む)の死亡(1.9%)、両親(同)の行方不明(1.1%)など親がいない児童の場合より多くなっています。
□ 14.児童養護施設には満20歳に達するまで在所できます。
児童養護施設の入所児童には、虐待経験のある者が53.4%、障害等のある者が23.4%います。児童相談所が児童の保護や療育の継続の必要を認めれば、満20歳に達するまで在所できます。また退所後の相談や支援に対応するために、家庭支援専門相談員が配置されています。
□ 15.児童養護施設には保育士を配置しなければならない。
児童養護施設には、児童指導員、嘱託医、保育士、個別対応職員、家庭支援専門相談員、栄養士及び調理員並びに乳児が入所している施設にあっては看護師を置かなければならない(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第42条第1項)。また、心理療法を行う必要がある児童が10人以上いる場合には、心理療法担当職員の配置の義務があります。
□ 16.児童館、児童遊園等は児童の健全育成のための児童福祉施設です。
児童福祉法第40条に規定されている児童厚生施設には児童館や児童遊園等があります。屋内型の児童館はその大きさや活動内容によって、小型児童館、児童センター、大型児童館(A型、B型、C型)、その他に区別されています。児童遊園は屋外型の児童厚生施設です。児童厚生施設には、児童の遊びを指導する者を置かなければならない(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第38条)。
□ 17.保育所への入所は選択利用方式です。
保育所は児童福祉施設の一つであり、保護者の委託を受けて保育に欠ける児童を保育します。入所手続きは、従前は市町村による措置制度であったが、1997(平成9)年の児童福祉法改正により、保護者が個々の情報をもとに保育所を選択し、市町村に申し込む選択利用方式になりました。
□ 18.保育時間は1日につき8時間を原則とします。
保育所保育は養護及び教育を一体的に行うのが特性であり、保育所における保育時間は、1日につき8時間を原則とします。その地方における乳幼児の保護者の労働時間その他家庭状況等を考慮して、保育所長が保育時間を定めます。
□ 19.保育所利用児童は年々増加傾向にあり、入所待機児童は都市部に多い。
保育所定員数、保育所利用児童数、保育所数ともに年々増加しています。保育所定員数の総数は利用希望者数を上回っているが、都市部を中心に慢性的な待機状況を抱えています。入所待機児童は、年齢区分の1、2歳に多い。
□ 20.保育士は名称独占資格です。
2001(平成13)年の児童福祉法改正により任用資格から名称独占資格になった。保育士とは、「登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」と定義されている(児童福祉法第18条の4)。都道府県知事の登録を受けることで、保育士になります。
□ 21.保育士には守秘義務があります。
2001(平成13)年の児童福祉法改正で保育士資格が名称独占資格になったことにあわせて、保育士の信用失墜行為の禁止、守秘義務などの規定が整備されました。守秘義務について、保育士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならず、保育士でなくなった後においても、同様であることが規定されています。違反者には罰則規定があります(児童福祉法第18条の21,22)。
□ 22.保育士配置基準は、乳児はおおむね3人につき1人以上と決まっています。
保育士の配置基準は「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」において定められています。
乳児は、おおむね3人につき1人以上
満1歳以上満3歳に満たない幼児は、おおむね6人につき1人以上
満3歳以上満4歳に満たない幼児は、おおむね20人につき1人以上
満4歳以上の幼児は、おおむね30人につき1人以上
□ 23.民生委員は、児童委員も兼ね、「民生委員法」という法律にもとづいて配置されています。
民生委員は、都道府県知事の推薦で厚生労働大臣によって委嘱されます。その職務は常に社会奉仕の精神をもって、常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行うことなどです。また、児童福祉法によって、児童委員を兼ねることになっています。
□ 24.子どもの利益を守るため、親権を制限できる親権停止の制度が創設されました。
2012(平成24)年4月の民法の改正により、親権停止制度が創設されたほか、法人または複数人の未成年後見人が選任できるようになった。2013(平成25)年度に全国の児童相談所長が行った、親権停止の審判の申立ては、16自治体で23事例、法人などによる未成年後見人の選任申立ては10自治体で11事例となっています。
少子化と子育て支援
□ 25.わが国の合計特殊出生率は、人口置換水準を下回っています。
人口置換水準とは、人口維持に必要な合計特殊出生率のことで、先進国では2.1前後とされる。わが国の2013(平成25)年の合計特殊出生率は1.43(出生数約103万人)で1990年代半ばからは1.5を下回った低水準が続いています。
(厚生労働省「平成25年人口動態統計月報年計(概数)の概況」)
□ 26.2010(平成22)年に、子ども・子育てビジョンが策定されました。
子ども・子育てビジョンは、少子化社会対策基本法に基づく「大綱」として制定されました。2014(平成26)年度までの5年間に講ずるべき施策の具体的内容と目標が提示されています。「社会全体で子育てを支える」「希望がかなえられる」という基本的な考え方のもとに、目指すべき社会への政策4本と12の主要施策を提示し、男性の育児参加の促進や保育所待機児童の解消のための数値目標などを掲げています。
目指すべき社会への政策4本柱は、①子どもの育ちを支え、若者が安心して成長できる社会ヘ、②妊娠、出産、子育ての希望が実現できる社会ヘ、③多様なネットワークで子育て力のある地域社会ヘ、④男性も女性も仕事と生活が調和する社会ヘ
□ 27.2003(平成15)年に、少子化社会対策基本法が成立しました。
少子化に対処するための施策を総合的に推進することを目的にした法律です。その前文において、「結婚や出産は個人の決定に基づく」ことを認めながらも「子どもを生み、育てる者が真に誇りと喜びを感じることのできる社会を実現」するために、国、地方公共団体、国民に責務があることを明記しています。
□ 28.次世代育成支援対策推進法では、国に「指針」の策定を、地方公共団体及び企業に「行動計画」の策定を義務付けています。
次世代育成支援対策推進法は、2005(平成17)年から10年間の時限立法として、少子化対策の一環として制定されました。国の策定する指針の下に、地方公共団体は地域における子育て支援や子育て環境の整備に関する行動計画の策定が、企業(従業員101人以上)は従業員の仕事と家庭の両立に関しての目標や措置の内容を記載した行動計画の策定が義務付けられています。平成26年の改正により10年延長されました。
□ 29.市町村は、子育て支援事業の体制の整備に努めなければならない。
放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業等が子育て支援事業として法定化されています。(児童福祉法第21条の8~ 17)。
□ 30.放課後児童健全育成事業は、留守家庭の小学生を対象としています。
放課後児童健全育成事業は、子育て支援事業の一つとして規定されたもの(児童福祉法第21条の9,10)で、放課後児童クラブともいわれます。授業終了後に児童厚生施設等を利用して、適切な遊びと生活の場を与えて児童の健全育成を図る事業です。2015(平成27)年4月施行の子ども・子育て支援新制度により、従来の「おおむね10歳未満」という枠がなくなる予定です。
□ 31.都市部においては、放課後児童健全育成事業についても「待機児童問題」が発生しています。
保育所の「待機児童問題」と同様に、放課後児童健全育成事業においても現在「利用したいのに利用できない」という状況があります。全国学童保育連絡協議会の調査によると、2014(平成26)年5月現在、316市区町村に9,115人の待機児童がいるといわれています。
□ 32.男性の育児休業取得率は約2%であり、まだまだ低い状態にあります。
「平成25年度雇用均等基本調査」(厚生労働省)によると、育児休業取得率は男性が2.03%、女性が83.0%です。厚生労働省では男性の取得率を、2017(平成29)年度には10%、2020(平成32)年度には13%に上げることなどを目標に掲げ、ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の調和)の実現に取り組んでいます。
□ 33.学校修了までの児童には児童手当が支給されます。
2012(平成24)年4月に改正児童手当法が成立しました。児童手当の支給額は、子ども一人当たり月額で、①3歳未満には1万5千円、②3歳から小学校卒業までの第1子、第2子には1万円、第3子には1万5千円、③中学生には1万円となっています。同年6月からは、所得制限が設けられています。
□ 34.母子保健法の目的は、母性と乳幼児の健康増進を図ることです。
母子保健法は、1965(昭和40)年に成立しました。妊婦乳幼児健康診査、保健指導、医療その他の措置を講じ、国民保健の向上に寄与することを目的としています。1997(平成9)年の同法改正により、従前は保健所(都道府県)で行われていた3歳児健康診査等の身近な保健サービスが市町村に一元化されました。
□ 35.母子健康手帳の交付は市町村が行います。
妊娠した者は妊娠を市町村に届け出ることが義務付けられており、届出を受けて市町村が母子健康手帳を交付する(母子保健法第16条)。母子健康手帳は妊婦の健康状況、出産時及び出産後の状況、出生後の子どもの就学前までの成長状況、健康診査や予防接種の内容などを記録する健康管理手帳となる。
□ 36.「健やか親子21」は21世紀の母子保健の方向性や指標を示しています。
「健やか親子21」は、2000(平成12)年に策定された2014(平成26)年までの国民運動計画です。地域の実情に応じた母子保健計画を策定するよう各自治体に求めました。計画は、国民一人一人が自主的に健康維持や疾病の予防に努めるというWHO(世界保健機関)のヘルスプロモーションの基本理念に基づいています。2015(平成27)年度からは「健やか親子21(第2次)」が始まります。
虐待の防止と要保護児童
□ 37.2000(平成12)年に、児童虐待の防止等に関する法律が制定、施行されました。
深刻化する児童虐待問題に適切に対応するために、児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)では、児童虐待の定義(2条)、児童虐待の禁止(3条)、国及び地方公共団体の責務等(4条)、児童虐待の早期発見等(5条)、児童虐待に係る通告(6条)等について規定しています。
□ 38.児童虐待防止法では、虐待を4つに分類しています。
①身体的虐待は、児童の身体に外傷が生じるかそのおそれのある暴行を加えること。
②性的虐待は、児童にわいせつな行為をすることまたは児童をしてわいせつな行為をさせること。
③ネグレクトは、(保護の怠慢・放棄・拒否)児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食、長時間の放置、保護者以外の同居人による児童虐待と同様の行為の放置、その他保護者としての監護を怠ること。
④心理的虐待は、児童に対する著しい暴言、拒絶的対応、児童が同居する家庭で配偶者への暴力、その他の児童に著しい心理的外傷をあたえる言動を行うこと。
□ 39.近年、虐待相談件数は急増しています。
児童相談所が対応した児童虐待の相談対応件数は毎年増加し続け、2013(平成25)年度は73,765件で、これまでで最多件数となりました。児童虐待防止法の施行された2000(平成12)年の17,725件の4倍以上になっています。厚生労働省は、虐待相談件数の増加に関し、虐待自体が増えていることに加え、地域住民の関心が高まって通報が増えたことによるとみています。
□ 40.虐待を受けたと思われる児童を発見した者は市町村、福祉事務所または児童相談所に通告しなければならない。
児童虐待防止法第6条、児童福祉法第25条に規定され、通告が守秘義務には当たらないことも明記されています。また、学校や児童福祉施設、病院等児童福祉に関係する団体やその職員、医師、保健師、弁護士等、児童虐待を早期に発見しやすい立場にある者は、被虐待児童の早期発見に努めなければならない(児童虐待防止法第5条)。
□ 41.児童相談所は、一時保護等の措置を実施します。
市町村や都道府県の設置する福祉事務所が被虐待児に関する通告を受けた場合、必要に応じ当該児童との面会や安全確認を行う。さらに必要が認められる場合、児童相談所へ送致する。児童相談所は通告、送致を受けた場合、必要に応じ、一時保護、施設入所等の措置を行う。
□ 42.児童虐待の加害者は、実母が最も多い。
2012(平成24)年度の児童虐待を虐待者別にみると、実母が半数以上を占め、次いで実父が約3割となっています。
虐待の種類では身体的虐待が最も多く、次いで心理的虐待、ネグレクト、性的虐待の順となっています。
□ 43.DV防止法は、離婚後、引き続き被害を受けた場合についても適用されます。
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)」は、2001(平成13)年に施行され、2014(平成26)年、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」と改称されました。配偶者には、生活の本拠をともにする交際相手なども含まれます。配偶者暴力相談支援センターを中心としたDV被害者の相談、保護、自立支援態勢などを確立するための施策や、地方裁判所による保護命令に係る規定などが盛り込まれ、婦人相談員が被害者の相談、指導を行う。
□ 44.2008(平成20)年に、養育支援訪問事業が法定化されました。
2008(平成20)年の児童福祉法の改正により、養育支援訪問事業が法定化され(児童福祉法第21条の9,10の2)、第二種社会福祉事業とされた。虐待等の養育上の問題を未然に防ぐために、乳児家庭全戸訪問事業により把握された要支援児童等の家庭を保健師や子育て経験者等が訪問して支援します。
□ 45.2004(平成16)年に、要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)が法定化されました。
要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)は、市町村において、保健、医療、福祉、教育、警察、司法等の関係機関や団体が連携を取り合い、情報を共有することにより、虐待を受けた児童や非行児童など、要保護児童の問題に対応するものです。2011(平成23)年4月現在、98%の市町村に設置されています。
□ 46.里親は要保護児童を親に代わって家庭で養育します。
児童福祉法第6条の4に規定され、その運営は「里親制度運営要綱」による。里親認定に当たっては、都道府県知事が児童福祉審議会の意見を聴いて適当と認める者を里親として認定します。里親になる者はその種類により、所定の研修を受けます。
□ 47.里親には4種類あります。
里親には4種類あり、委託児童数には制限がある(児童福祉法施行規則第1条の33~37)。
①養育里親は、要保護児童を養育する里親
②親族里親は、両親等の監護者が死亡等によって養育困難な状態にある要保護児童の扶養義務者及びその配偶者であり、当該児童を養育する里親
③養子縁組里親は、将来養子縁組をすることを目的として養育する里親
④専門里親は、要保護児童のうち、児童虐待等により心身に有害な影響を受けた児童、障害を持つ児童、非行等の問題を有する児童などを養育する里親
障害児福祉
□ 48.WHO(世界保健機関)は、2001年に新しい障害者観であるICF(国際生活機能分類)を採択しました。
従来は、障害を個人の属性として、機能の回復や補完に着目して障害を分類していたが、ICFでは、人間の生活機能と障害について、特に環境との相互作用に着目しています。子ども・青少年版のICF―CYも採択されています。
□ 49.2004(平成16)年に、発達障害者支援法が成立しました。
発達障害者支援法は発達障害者の早期発見、早期支援により、発達障害者の福祉を図ることを目的としています。発達障害を「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義しています。また、障害児には発達障害児を含みます
□ 50.平成24年4月1日施行の児童福祉法で、「障害児通所支援」、「障害児相談支援」が創設されました。
「障害児通所支援」には、4種類のサービスがあります。
児童発達支援は、児童発達支援センター等での指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練等の供与
医療型児童発達支援は、肢体不自由のある児童につき、医療型児童発達支援センター等での支援と治療
放課後等デイサービスは、就学している障害児に放課後や休校日に児童発達支援センター等で訓練等の供与
保育所等訪問支援は、保育所等施設に通う障害児に施設を訪問して集団生活に適応するための支援等の供与
また「障害児相談支援」とは、障害児支援利用援助及び継続障害児支援利用援助を行うことをいいます(児童福祉法第6条の2第6項)。
□ 51.発達障害者支援センターは、発達障害者やその保護者に対し生涯一貫して支援を行います。
発達障害者への支援はほかの障害に比べ遅れをとっていたが、保育所等では発達障害児への対応は重要な課題となっていました。
2004(平成16)年に発達障害者支援法が成立したことにより、各都道府県に発達障害者支援センターが設置され、関連機関と連携しながら発達障害者支援が行われています。
障害児福祉
□ 52.障害者基本法は、障害者の個人の尊厳を重んじ、障害者の権利を保障しています。
障害者基本法は1993(平成5)年に成立し、国に障害者基本計画を、地方公共団体に障害者計画の策定を義務付けています。また、同法に則って成立した障害者自立支援法は、2013(平成25)年4月から障害者総合支援法として新たに施行されています。
□ 53.障害児とその家庭には、経済的保障として各種手当が支給されます。
20歳未満の在宅の重度または中度の障害児を養育する家庭には特別児童扶養手当が、20歳未満の重度の障害を有する児童に対しては障害児福祉手当が支給されます。
□ 54.身体障害者(児)には「身体障害者手帳」、知的障害者(児)には「療育手帳」が交付されます。
障害者(児)のためのサービスを利用しやすくするために手帳制度が設けられています。手帳は都道府県知事より交付されます。
社会的養護
□ 55.少年法では、非行少年を3つに定義しています。
少年法では、20歳に満たない者を「少年」と規定し、さらに非行少年を3つに定義しています(少年法第3条)。
犯罪少年は、14歳以上で犯罪を行った少年
触法少年は、14歳に満たないで、刑罰法令に触れる行為をした少年
虞犯少年は、その性格等に照らして、将来犯罪や刑罰法令に触れる行為を行うおそれのある少年
児童福祉法では、小学校就学の始期から満18歳に達するまでを少年と定義しています。少年法と異なっているので注意しましょう。
● 56.14歳以上の犯罪少年は家庭裁判所で調査、審判を受けます。
家庭裁判所では、保護処分(保護観察、少年院送致、児童自立支援施設または児童養護施設送致)などの決定をします。
□ 57.14歳未満の触法少年、虞犯少年は、児童相談所で福祉的措置がとられます。
14歳未満の者は基本的に刑法の対象とならず、児童福祉法に基づいて児童相談所で福祉的措置(訓戒、指導、里親への委託、児童自立支援施設または児童養護施設送致、家庭裁判所送致等)がとられます。
□ 58.児童自立支援施設は非行少年のケアを担う児童福祉施設です。
児童自立支援施設は、不良行為を行ったかまたはそのおそれのある児童や、家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を対象とする児童福祉施設です。入所または保護者の下から通所させて必要な指導を行い、自立を支援することを目的としています。また、退所後の児童に対しても必要な相談や援助を行います。児童自立支援専門員及び児童生活支援員が配置されています。
□ 59.情緒障害とは、感情を表出したり抑制したりすることが困難な状態をいいます。
情緒障害は、被虐待やその要因により、情緒が不安定な状態や引きこもり、場面絨黙などの心因性とされる症状を自分の意思ではコントロールできないことが継続し、学校生活や社会生活に支障をきたす状況をいいます。行政用語であって医学診断名ではありません。
□ 60.情緒障害児短期治療施設には、心理療法担当職員をおかなければならない。
情緒障害児短期治療施設は、児童相談所の措置によって軽度の情緒障害を有する児童が入所または通園し、情緒障害を治療するための児童福祉施設です。そのため、医師、心理療法担当職員、児童指導員、保育士、看護師、個別対応職員、家庭支援専門相談員、栄養士及び調理員が配置されています(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第73条)。
ひとり親家庭等の福祉
□ 61.ひとり親世帯になった理由は、離婚が大半を占めます。
「平成23年度全国母子世帯等調査」によると、2011(平成23)年11月現在の母子世帯数は約123万7,700世帯、父子世帯数は約22万3,300世帯です。ひとり親世帯になった理由は、2006(平成18)年の前回調査に比べ母子世帯、父子世帯ともに死別によるものが減少し、離婚によるものが増加して母子世帯は8割、父子世帯は7割を超えています。
□ 62.母子世帯の8割以上が生活が苦しいと答えています。
2011(平成23)年の母子家庭の平均世帯人員は3.42人で、平均世帯収入は291万円である(平成23年度全国母子世帯等調査)。母子世帯の84.8%が「生活が大変苦しい」、または「やや苦しい」と答えています。この割合は、全世帯(苦しいと答えた者59.9%)、児童のいる世帯(同65.9%)と比べて圧倒的に高い(平成25年国民生活基礎調査)。
□ 63.母子及び父子並びに寡婦福祉法は、ひとり親家庭の生活の安定と向上を目的としています。
ひとり親の経済的自立と子どもの健やかな成長、「子どもの貧困」対策などのため、ひとり親家庭への支援施策が見直され、「母子及び寡婦福祉法」は、2014(平成26)年10月に「母子及び父子並びに寡婦福祉法」と改称されました。また、母子自立支援員、母子福祉団体等の規定や基本方針、自立促進計画の規定に父子家庭も対象として追加され、「母子・父子自立支援員」、「母子・父子福祉団体」と改称されました。
□ 64.「母子及び父子並びに寡婦福祉法」では、児童を20歳未満の者と定義しています。
児童福祉法では、「児童」を18歳未満の者と定義しているが、母子及び父子並びに寡婦福祉法では、20歳未満の者と定義しています。また、「寡婦」は、現在、配偶者のない女子で、配偶者のない女子として児童を扶養していたことのある者です。かつてひとり親として子どもを育てていた者も含まれます。
□ 65.ひとり親家庭には児童扶養手当が支給されます。
児童扶養手当法の改正により、2010(平成22)年8月から、母子家庭だけでなく、父子家庭にも児童扶養手当が支給されるようになりました。受給には所得制限があります。また、2014(平成26)年の同法の改正により、併給制限が見直され、公的年金の受給者についても、公的年金給付等の額に応じて、児童扶養手当の一部が支給されるようになりました。年金額が手当額を下回るときはその差額分の手当が支給されます。
□ 66.母子生活支援施設では母子家庭の母子を入所させて保護、支援を行います。
児童福祉法に規定された児童福祉施設であり、児童が20歳になるまで在所できる。入所は利用選択方式で、近年は、DVの被害を理由に入所する世帯も増加しています。
5章 社会福祉
社会福祉の歴史と基本理念
□ 1.恤救規則は、わが国初の公的な救済制度です。
1874(明治7)年に制定の恤救規則は、人々のお互いの同情心によって助け合うこと、血縁的な助け合いを基礎とした、わが国初の救済制度です。
わが国の社会福祉施策の発展
明治7年:恤救規則の制定
大正6年:済世顧問制度の創設
大正7年:方面委員制度の創設
昭和4年:救護法の制定
昭和20年代:社会保障制度審議会の「1950年勧告」、福祉三法が整備
昭和30年代:国民皆保険・皆年金が成立・福祉六法が整備
昭和48年:福祉元年
平成2年:福祉関係八法の改正
□ 2.社会福祉基礎構造改革によって、社会福祉事業法が社会福祉法に改称され、公益質屋法が廃止されました。
福祉サービスに対する需要の多様化や家庭の生活保持機能の低下などを背景として、2000(平成12)年に社会福祉基礎構造改革が行われました。この社会福祉基礎構造改革では、社会福祉事業法から社会福祉法への改称、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法、民生委員法、社会福祉施設職員等退職手当共済法、生活保護法の一部改正、公益質屋法の廃止が行われました。
□ 3.社会福祉基礎構造改革により、福祉サービスは、措置制度から利用者本位の利用制度になりました。
福祉サービスは、従来、行政処分によってサービス内容を決定する措置制度であったが、社会福祉基礎構造改革によって、利用者が事業者と対等な関係に基づいてサービスを選択する利用者本位の利用制度に転換されました。
□ 4.潜在的ニーズは、ニーズがあるにもかかわらず、そのニーズが表出されていないものをいいます。
潜在的ニーズは、ニーズが表出されていない点から「隠されたニーズ」とも呼ばれています。ニーズの存在を本人が自覚しており、そのニーズが表出されているものは、「顕在的ニーズ」といいます。
福祉ニーズは、福祉サービス、法制度、地域社会などが、改善・回復することによって充足されるニーズ
貨幣的ニーズは、金銭が給付されることによって充足されるニーズ
非貨幣的ニーズは、保育サービスや介護サービスなどのサービスを利用することによって充足されるニーズ
□ 5.福祉サービスの供給は、インフォームドチョイスという考え方が普及したことにより、選択権を尊重するようになっています。
インフォームドチョイスは、インフォームドコンセント(説明と同意)を推進した考え方であり、十分な説明に基づく選択のことをいいます。
□ 6.日本国憲法第25条では、すべての国民が、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると明記しています。
日本国憲法は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3大原理を基礎としており、第13条において生命、自由及び幸福追求権の尊重、第25条において生存権を規定しています。
□ 7.デンマークの1959年法において、ノーマライゼーションが初めて法律上に導入されました。
ノーマライゼーションは、障害者の生活や行動の妨げとなる物理的な障壁を取り除き、行動の自由を確保しようとする理念であり、デンマークのバンク‐ミケルセンによって提唱されました。その後、スウェーデンのニイリエがノーマライゼーションについての8つの原理を提唱しました。
社会福祉と児童家庭福祉
□ 8.国際人権規約のうち、社会権規約を国際人権A規約、自由権規約を国際人権B規約と呼びます。
国際人権規約は、障害者の権利宣言の内容を基礎に条約化したものであり、1966年の第21回国連総会において採択され、1976年に発効した。わが国は1979年に批准しました。国際人権規約は、大きく社会権規約(経済的、社会的及び文
化的権利に関する国際規約)と、自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)に分かれています。
□ 9.社会権規約では、児童及び年少者は、経済的及び社会的な搾取から保護されるべきであると明記しています。
国際人権規約の社会権規約第10条に、児童及び年少者に対する援助及び保護に関して明記されています。
□ 10.児童の権利に関する条約では、児童の権利として、所有、保護、参加などに関する権利を有することを明記しています。
国際連合が1989年に採択し、日本が1994(平成6)年に批准した児童の権利に関する条約において、児童は、出生後直ちに登録され、出生時から氏名・国籍を取得する権利を有するものとしています。また、できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有することが示されています。
□ 11.民法では、監護及び教育の権利義務として、親権を行う者は子の利益のために子の監護と教育をする権利を有し、義務を負うと定めています。
民法では、親権の効力として、監護及び教育の権利義務のほか居所の指定、懲戒、職業の許可などについて定めています。
居所の指定は、子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。
懲戒は、親権を行う者は、監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。
職業の許可は、子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
社会福祉制度と実施体系
☐ 12.社会福祉法は、福祉サービスの基本的理地域福祉の推進、福祉サービスの提供の原則などについて規定しています。
社会福祉法は、社会福祉事業の範囲、地域福祉の推進、社会福祉協議会等を規定しています。社会福祉事業のうち第1種社会福祉事業には共同募金や居住型福祉施設等があり、原則として国、地方公共団体または社会福祉法人が経営するとされています。また、地域福祉の推進のための地域福祉計画の作成や、福祉サービスに関する苦情解決のための運営適正化委員会についても規定しています。
□ 13.地域福祉計画は、社会福祉法に基づく行政計画です。
地域福祉計画には、市町村地域福祉計画と都道府県地域福祉支援計画があります。市町村地域福祉計画では、地域福祉に関する活動への住民の参加の促進に関する事項などを定め、都道府県地域福祉支援計画では、市町村の地域福祉の推進を支援するための基本的方針に関する事項などを定めます。
□ 14.社会福祉法人は、公益事業または収益事業を行うことができます。
社会福祉法人は、実施している社会福祉事業に支障がない限り、公益事業や収益事業を行うことができます。社会福祉法人の所轄庁は、原則、都道府県知事であり、役員として、理事を3人以上、監事を1人以上置かなければならない。
□ 15.市町村社会福祉協議会や都道府県社会福祉協議会は、地域福祉の推進を図ることを目的とする団体です。
社会福祉協議会では、社会福祉に関する相談支援、日常生活自立支援事業、ボランティアや市民活動の支援など、地域福祉の増進を図っています。
社会福祉協議会の主な業務
市町村社会福祉協議会は、①社会福祉を目的とする事業の企画・実施、②住民の社会福祉活動の参加に向けた助言 ③市町村社会福祉協議会都道府県社会福祉協議会する調査・普及・宣伝
都道府県社会福祉協議会は、①社会福祉を目的とする事業の従事者の養成。研修、②社会福祉を目的とする事業の経営に関する指導・助言、③市町村社会福祉協議会の相互連絡・事業調整
□ 16.福祉事務所は、福祉関係法に定める援護や育成などを行う福祉行政機関です。
都道府県や市は条例によって福祉事務所を設置しなければならない。町村は条例によって福祉事務所を設置することができます。福祉事務所には、所長、指導監督員、現業員、事務員が配置されます。現業員は、所長の指揮監督を受けて、要保護者等と面接し、その者の資産や環境などを調査して、保護等の有無やその種類を判断するほか、その者に生活指導を行います。
□ 17.児童相談所の主な目的は、子どもの福祉を図ること、子どもの権利を擁護することです。
児童相談所は、児童福祉法に基づく機関で、18歳未満の児童に関する問題について相談・通告・送致を受け付け、児童や保護者に援助を行います。援助に必要な調査・診断・判定を行うほか、緊急の場合や行動観察のために児童を一時保護し、児童養護施設・乳児院・児童自立支援施設・障害児施設等ヘの入所等の措置なども行います。
□ 18.地域包括支援センターには、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員が配置されます。
地域包括支援センターは、介護保険法に基づく機関で、各市町村に設置されており、主に包括的支援事業を実施しています。地域包括支援センターにおいて、介護予防支援事業を実施する場合には、市町村長の指定を受ける必要があります。
□ 19.児童発達支援センターは、福祉型と医療型の2つに区分されています。
児童発達支援センターは、児童福祉法に基づく児童福祉施設の一つであり、障害児を日々保護者の下から通わせて支援を実施しています。
福祉型は、①日常生活における基本的動作の指導、②独立自活に必要な知識技能の付与、③集団生活への適応のための訓練
医療型は、①日常生活における基本的動作の指導、②独立自活に必要な知識技能の付与、③集団生活への適応のための訓練、④治療
□ 20.障害者基本法の目的は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することです。
障害者基本法では、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念に則り、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関して基本原則を定めています。
□ 21.障害者基本法では、何人も障害者に対し、障害を理由として差別してはならないという差別の禁止が規定されています。
障害者基本法の改正により、新たに差別の禁止規定が設けられました。
障害者基本法第4条
第1項 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
第2項 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、
その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによって前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。
第3項 国は、第1項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。
□ 22.虐待防止を図るための法律として、児童虐待防止法、高齢者虐待防止法、障害者虐待防止法があります。
2000(平成12)年に児童虐待防止法(児童虐待の防止等に関する法律)が制定された。その後、2005(平成17)年に高齢者虐待防止法(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)、2011(平成23)年に障害者虐待防止法(障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律)が制定されました。
虐待の種類
児童虐待は、①身体的虐待、②心理的虐待、③ネグレクト、④性的虐待
高齢者虐待・障害者虐待は、①身体的虐待、②心理的虐待、③ネグレクト、④性的虐待、⑤経済的虐待
□ 23.福祉サービスに係る利用料の利用者負担方式には、応益負担と応能負担があります。
応能負担は、利用者負担の徴収額が利用者の負担能力(所得状況)に応じて決定され、応益負担は、利用者負担の徴収額が利用したサービスの利用量(利用回数)に応じて決定されるものです。
□ 24.雇用保険の適用事業所の労働者が失業した場合には、公共職業安定所に対して雇用保険の給付申請を行います。
雇用保険は、労働者の生活及び雇用の安定を図るほか、失業の減少を目的とした社会保険です。保険者は国であり、被保険者は、適用事業所に雇用される労働者です。雇用保険の給付には、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付があります。
□ 25.国民健康保険の保険料は、基礎分保険料、後期高齢者支援金分保険料、介護分保険料で構成されています。
国民健康保険の各保険料には、世帯限度額が設けられています。その額は、世帯単位及び年度単位で計算しており、保険料の納付義務は世帯主にあります。介護保険料は40歳から徴収されます。
□ 26.わが国の公的年金制度は、国民皆年金体制です。
わが国の公的年金には国民年金、厚生年金、共済年金の3種類があり、働きかたにより加入する年金が異なります。国民年金の給付には、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の3種類があり、基礎年金は併給されません。
年金の種類
国民年金は、原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人
厚生年金は、厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する全ての人
共済年金は、公務員。私立学校教職員など、共済組合の組合員
□ 27.厚生年金、共済年金の被保険者は、国民年金の第2号被保険者です。
厚生年金、共済年金の被保険者は、国民年金とそれぞれの年金の2つの年金制度に加入しています。自営業者などの第1号被保険者と、第2号被保険者に扶養される配偶者(20歳以上60歳未満)である第3号被保険者は国民年金のみの加入となります。
□ 28.生活保護は、原則として要保護者や扶養義務者などの申請に基づいて開始されます。
生活保護法には、生活保護の基本原理と保護の4原則が示されており、その一つとして、原則として要保護者や扶養義務者などの申請に基づいて保護を開始するという「申請保護の原則」が設けられています。
4つの基本原理は、①国家責任による最低生活保障の原理、②無差別平等の原理、③健康で文化的な最低生活保障の原理、④保護の補足性の原理
保護の4原則は、①申請保護の原則、②基準及び程度の原則、③必要即応の原則、④世帯単位の原則
□ 29.介護扶助と医療扶助は、原則として現物給付によって支給されます。
生活保護法における保護の種類は8種類あり、支給内容によって金銭給付または現物給付がなされます。
金銭給付は、①生活扶助、②教育扶助、③住宅扶助、④出産扶助、⑤生業扶助、⑥葬祭扶助
現物給付は、①医療扶助、②介護扶助
□ 30.救護施設は、入所する要保護者に対して生活扶助を行うことを目的とした施設です。
生活保護法に基づく保護施設には、①救護施設、②更生施設、③医療保護施設、④授産施設、⑤宿所提供施設の5種類があります。
このうち生活扶助を行うことを目的とする施設は、救護施設と更生施設です。
保護施設の種類とその特徴
救護施設は、身体上または精神上著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とした施設
更生施設は、身体上または精神上の理由により養護や生活指導を必要とする要保護者を入所させて、生活扶助を行うことを目的とした施設
医療保護施設は、医療を必要とする要保護者に対し、医療の給付を行うことを目的とした施設
授産施設は、身体上もしくは精神上の理由または世帯の事情によって、就業能力の限られている要保護者に対し、就労または技能の修得のために必要な機会及び便宜を与えて、その自立を助長することを目的とした施設
宿所提供施設は、住居のない要保護者の世帯に対し、住宅扶助を行うことを目的とした施設
□ 31.保育士は、児童の保育や児童の保護者に対する保育の指導を行う専門職です。
保育士資格を得るには、厚生労働大臣の指定する保育士を養成する学校その他の施設で所定の課程・科目を履修し卒業するか、毎年1回都道府県が実施する保育士試験に合格しなければならない。そのうえで、都道府県知事に登録申請し、保育士登録名簿に登録され、保育士登録証(保育士証)の交付を受けてはじめて保育士として就業できます。
□ 32.社会福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく名称独占の国家資格です。
社会福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく名称独占の国家資格であり、社会福祉に関する相談援助や福祉サービス関係者などとの連絡・調整などを行う専門職です。
社会福祉士と介護福祉士に課せられている義務等は、①誠実義務、②信用失墜行為の禁止、③秘密保持義務、④連携の保持、⑤資質向上の責務、⑥名称の使用制限
□ 33.介護福祉士は、利用者に対し、医師の指示の下、喀痰吸引を行うことができます。
介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく名称独占の国家資格であり、身体上または精神上の障害があることによって、日常生活を営むのに支障がある者に対し、その状況に応じた介護、家族介護者に対する介護指導などを行う専門職です。2012(平成24)年4月から、研修などの要件を満たした介護福祉士は、喀痰吸引等を行うことができるようになりました。
□ 34.精神保健福祉士は、精神障害者の社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、必要な訓練を行う専門職です。
精神保健福祉士は、精神保健福祉士法に基づく名称独占の国家資格であり、精神科病院などの医療施設において精神障害の医療を受けている者や、精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設の利用者に対し、社会復帰に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練などを行っています。
□ 35.介護支援専門員は、ケアプランの作成業務を担う専門職です。
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護保険法に基づく公的資格であり、居宅サービス計画や施設サービス計画などのケアプランを作成する業務のほか、要介護者等の相談援助、要介護者等が適切なサービスを利用できるようにサービス事業者や関係機関などと連絡調整を図るなどの業務を担当しています。
□ 36.社会福祉主事は、社会福祉法に基づく任用資格であり、福祉事務所などに配置されています。
社会福祉主事は、社会福祉法に基づく任用資格であり、福祉事務所の現業員、各種社会福祉施設の生活相談員、社会福祉協議会の職員などとして、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務を行います。
□ 37.母子・父子自立支援員は、ひとり親家庭や寡婦に対し、相談や指導を行う専門職です。
母子・父子自立支援員は、母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づき、主に社会福祉事務所に配置され、配偶者なしに児童を扶養している者や寡婦に対し、就職や子どもの教育などに関する相談、自立に必要な情報提供、職業能力の向上の支援、求職活動の支援などを行います。
□ 38.婦人相談員は、要保護女子の発見に努めるとともに、要保護女子の相談に応じ、必要な指導を行う専門職です。
婦人相談員は、売春防止法に基づき、都道府県知事または市長により委嘱され主に都道府県が設置する婦人相談所に配置されます。婦人相談所はDV防止法によって配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするものとされ、婦人相談員は被害者の相談に応じ、必要な指導を行うことができます。
相談援助
□ 39.今日の援助技術では、エンパワメント・アプローチやストレングス・アプローチなどが活用されています。
エンパワメントとは、その者が持つ問題解決能力を引き出していくように支援することをいい、ストレングスとはその者が持つ強みや長所をいいます。利用者の援助では、個人が自分自身で問題を解決できるような援助と、個人や地域が有する強みを最大限生かそうとする援助を組み合わせて実施しています。
□ 40.インテーク面接は、利用者の主訴や抱える問題等を明確にするための最初の面接です。
インテーク面接は、初回面接や受理面接ともいい、支援を行うに当たって利用者や家族と面接し、利用者の主訴や抱えている問題などについて確認する援助過程の一つです。インテーク面接では、利用者の主訴、ニーズ、その原因。理由などの情報を収集するため、利用者の同意を得たうえで、記録を行う必要がある。また、面接の進行の程度などに応じて、複数回にわたって行うことができます。
□ 41.援助者は、対人援助において、バイステックの7原則に基づいた対応を図ります。
援助者は、個別援助技術を実践していくうえで、バイステックの7原則に基づいた発言や態度で臨むことが求められています。
バイステックの7原則
個別化の原則は、利用者を個別的にとらえて問題解決を図る。
受容の原則は、利用者の性格や行動傾向などをあるがまま受け入れる。
意図的な感情表出の原則は、利用者が、自分の考えや感情を表現できるように支援する。
統制された情緒関与の原則は、援助者は、利用者が表出した感情に対して感情的にならずに情緒的関与を行う。
非審判的態度の原則は、利用者の言動に対し、社会的基準や援助者の価値観によって、批判的な意見や評価をしない。
自己決定の原則は、利用者が、自分の意思によって決定できるように支援する。
秘密保持の原則は、利用者の個人情報や相談内容などの秘密を遵守する。
□ 42.アセスメントは、利用者から得られた情報を分析し、利用者の抱えている課題を明確にする事前評価の援助段階です。
個別援助技術の展開過程
インテーク(受理面接)は、申請者の主訴を把握しながら信頼関係(ラポール)を構築する。
アセスメント(事前評価)は、情報収集と分析を行って課題を明らかにする。
プランニング(援助計画)は、アセスメント結果に基づき、具体的な援助計画を作成。
インターベンション(介入)は、利用者自身に直接働きかけたり、社会資源を活用して環境等に働きかけたりする。
モニタリングは、援助が適切に行われているかなどを吟味し、フィードバックを行う。
エバリュエーション(事後評価)は、利用者にとってサービス提供が問題解決をもたらしたかどうか判断する。
終結は、援助を終結する。
□ 43.スーバービジョンの機能として、教育的機能、支持的機能、管理的機能があります。
スーパービジョンは、スーパーバイザーがスーパーバイジーに対して、能力を最大限生かした実践ができるように指導する方法をいいます。
個別スーパービジョンは、スーパーバイザーとスーパーバイジーの1対1で行う。
グループスーパービジョンは、スーパーバイザーと複数のスーパーバイジーで行う。
ライブ・スーパービジョンは、実際の援助場面にスーパーバイザーが同席する。
ピア・スーパービジョンは、スーパーバイジー同士で事例研究などを行う。
□ 44.アドボカシーとは利用者のニーズを代弁することによって、権利擁護を図ることです。
アドボカシーとは、代弁機能や権利擁護と訳され、社会福祉分野においては、自分自身でニーズを訴えることのできない利用者に対し、援助者がそのニーズを代弁し、福祉サービスの適切な利用に結びつけることなどによって、利用者の権利擁護を図ることをいいます。
社会福祉援助技術の代表的な用語
アウトリーチは、援助者が、積極的に利用者とかかわりを持つように対応すること。
エンパワメントは、利用者の持つ能力に着目し、その能力を引き出すように支援すること。
アカウンタビリティは、援助者の利用者に対する説明責任のこと。
利用者保護の仕組み
□ 45.第三者評価とは、第三者が公平かつ客観的な立場から、社会福祉サービスを評価し、質の改善を図るものです。
第三者評価は、社会福祉法に基づく社会福祉事業共通の制度です。第三者評価事業は事業者が任意で受ける仕組みであるが、2012(平成24)年度から社会的養護関係施設については義務化されました。
第三者評価機関は、都道府県推進組織に設置された第三者評価機関認証委員会の認証を受ける必要があります。公益法人やNPO法人などは、第三者評価機関として認証を受けることができます。
□ 46.第三者評価結果は、第三者評価基準等委員会が公表します。
都道府県推進組織に設置された第三者評価基準等委員会は、第三者評価機関からの第三者評価結果について報告を受け、公表します。福祉サービスの第三者評価事業では、主に福祉サービス提供体制の整備状況と取り組みについて、専門的かつ客観的な立場からの評価をします。
□ 47.個人情報保護法は、個人の権利利益を保護することを目的とした法律です。
個人情報保護法では、個人情報は個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることから、個人情報の適正な取り扱いが図られなければならないという基本理念を示しています。個人情報とは、生存する個人に関する情報であって、その情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものをいいます。
□ 48.運営適正化委員会は、都道府県社会福祉協議会に設置されています。
運営適正化委員会は、人格が高潔であり、社会福祉に関する識見を有し、かつ、社会福祉、法律または医療に関し学識経験を有する者で構成されています。福祉サービス利用援助事業の適正な運営の確保と、福祉サービスに関する利用者等からの苦情の適切な解決を目的として都道府県社会福祉協議会に設置されています。
□ 49.日常生活自立支援事業は、十分な判断能力がない者を対象としています。
日常生活自立支援事業は、社会福祉法に基づく福祉サービス利用援助事業であり、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者のうち、十分な判断能力がなく、適切な福祉サービスを受けることができないが、日常生活自立支援事業の契約内容が判断できる者を対象としています。実施主体は、都道府県社会福祉協議会または指定都市社会福祉協議会です。
□ 50.日常生活自立支援事業では、専門員が作成した支援計画に基づいて支援が実施されます。
日常生活自立支援事業では、支援計画に基づき、福祉サービスの利用援助、行政手続きの代行、日常的金銭管理(公共料金や家賃の支払い、預貯金の引き出しなど)、書類等の預かりなどの支援を行っています。
日常生活自立支援事業の専門職
専門員は、支援計画の作成や契約の締結に関する業務を担当
生活支援員は、支援計画に基づいて実際の支援を行う業務を担当
□ 51.法定後見制度では、本人の判断能力に応じて家庭裁判所が後見、保佐、補助のいずれかを選任します。
成年後見制度は、すでに判断能力が低下している成年者を対象とした法定後見制度と、将来の判断能力の低下に備える任意後見制度に大別されます。また、2012(平成24)年に児童虐待などから子どもを守るため、最長2年の親権停止の制度が創設されました。未成年後見人制度も見直され、複数人や社会福祉法人などの法人が後見人になることも可能となりました。
法定後見制度の3類型
後見は、常に自分で判断して法律行為が行えないほどの判断能力を欠く者に対して選任される。本人の財産に関するすべての法律行為について、本人に代わって行うことができる。
保佐は、判断能力が特に不十分な者に対して選任される。特定の法律行為に関して代理権を有することができる。
補助は、判断能力が不十分な者に対して選任される。当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権または同意権を有することができる。
□ 52.任意後見制度では、公正証書によって任意後見契約を締結します。
任意後見制度は、当事者が、加齢などに伴う判断能力の低下や喪失に備え、事前に、自身の身上監護・財産管理などを行ってもらう任意後見人を自ら選択し、公正証書に基づく任意後見契約により後見事務の内容を決めておくものです。任意後見人は、任意後見契約の発効時に家庭裁判所が任意後見監督人を選任したうえで認められます。任意後見監督人は、任意後見人の不正や権限の濫用を防ぐため、任意後見人を監督し、家庭裁判所に対して任意後見人に関する報告を行います。
□ 53.任意後見人に不正等がある場合には、家庭裁判所がその任意後見人を解任します。
任意後見制度では、任意後見監督人が任意後見人を監督しており、その任意後見人が不正な行為などを行った場合には、任意後見監督人の報告を受けた家庭裁判所が任意後見人を解任することができます。
社会福祉の動向
□ 54.新エンゼルプランは、エンゼルプランを強化した実施計画として、策定されました。
新エンゼルプランの後継版として、子ども。子育て応援プランが策定されました。
□ 55.社会保障給付費を部門別にいると、年金が最も大きな割合を示しています。
2011(平成23)年度の社会保障給付費は約107兆4,950億円であり、社会保障給付費の対国民所得比は32.31%となっています。社会保障給付費を「年金」、「医療」、「福祉その他」に分類して部門別にみると、「年金」:約53.1兆円(49.4%)、「医療」:34.1兆円(31.7%)、「福祉その他」:20.4兆円(18.9%)となっています。
□ 56.保障関係費の75.6%を、年金医療介護保険給付費が占めています。
社会保障関係費は、年金医療介護保険給付費、社会福祉費、生活保護費、保健衛生対策費、雇用労災対策費などで構成されています。2013(平成25)年度の社会保障関係費は、約291兆円であり、そのうち年金医療介護保険給付費が約22兆円で約75%を占めています。
□ 57.国際連合は、2011(平成23)年を「ボラティア国際年+10(プラステン)」と位置づけました。
国際連合は、2001(平成13)年をボランティア国際年と位置付け、再度、ボランティア推進を世界に呼びかけるため、10年目に当たる2011(平成23)年を「ボランティア国際年+10(プラステン)」と位置付けました。
□ 58.2005(平成17)年の合計特殊出生率は1.26であり、過去最低の数値となりました。
わが国の合計特殊出生率は、1966(昭和41)年の「ひのえうま」という特殊な要因によって1.58と低い数値を示し、翌年2.23にまで回復したものの、1989(平成元)年に1.57まで減少し、社会が衝撃を受けた(これを1.57ショックという)。その後も減少傾向は続き、2005(平成17)年に過去最低となる1.26を記録した。また、死亡数は昭和50年代頃から微増傾向にあり、2005(平成17)年に、わが国の出生数は初めて死亡数を下回りました。
□ 59.児童のいる世帯は、約1,208万世帯であり、全世帯の約24%を占めています。
平成25年国民生活基礎調査によると、2013(平成25)年の児童のいる世帯は、約1,208万世帯(全世帯の約24%)であるが、昭和61年と比べると約527万世帯も減少している。また、平成25年のひとり親と未婚の子のみの世帯は、約91万世帯となっている一方、平成25年の高齢者世帯は約1,161万世帯(全世帯の約23%)となっています。
6章 保育の心理学
保育と心理学
□ 1.保育は、生涯発達の流れを考慮した関わりが重要です。
人間は、受精から死まで、生涯にわたって発達します。特に乳幼児期は、環境から大きな影響を受けながら発達するため、生涯発達の流れを考慮した関わりが重要となります。そのためには、養護に関わる「生命の維持」、「情緒の安定」と、教育に関わる「健康・人間関係・環境・言葉・表現」の5領域における経験を保障した保育を行います。
□ 2.子どもは、生まれたときから有能です。
子ども観や保育観は、その時代の社会文化的状況によって変化していく。現在では、「子どもは生まれたときから有能で、環境に主体的に関わるものであり、すべての子どもの人権を保障し社会的に養護すべき存在である」という子ども観のもと、保育が行われています。
□ 3.子どもの発達を理解するためには、子どもの心もちへの共感が重要です。
子どもを理解することは、生涯発達の中での子どもの知的発達や身体発達、認知発達について理解するとともに、その子どもの心の動きに共感し、ともに楽しむことによって生まれる感情的な営みでもあります。そのため、目に見える子どもの行動や表情の発達と、内面の発達の両方を理解し支援することが重要となります。
□ 4.触れている感覚と触れられている感覚の両方を感じることを、ダブルタッチといいます。
誕生から1歳半頃まで、自分の顔に触ったり手足を国に入れたりしながら、自己を認識していく。自分で自分の身体に触れると、触れている感覚と触れられている感覚の両方が生じます。このような二重の感覚をダブルタッチといいます。しかし、自分以外のものに触れるときは、ダブルタッチは生じません。このような身体的感覚の違いから、子どもは自他の区別を理解していきます。
□ 5.他者と第3の対象を共に見て共有することを共同注意といいます。
共同注意とは、生後8か月過ぎ頃から、ものを通して人とやり取りできるようになり、養育者が指した先を見るなど他者と事象を共有することができるようになることです。これは、ハイハイの開始によって自分で動き回り、ものを多方面から見ることで、ものには様々な視点があることに気付くという経験を通して成り立っていくものです。
□ 6.自分の行動の指針として他者を参照することを、社会的参照といいます。
自分にとって未知で不確定な状況や場面において、その場を共有している大人など信頼できる他者の顔色や表情、声の調子をうかがって、それを自分の行動のガイドとすることを社会的参照といいます。文化的学習の始まりとされ、生後9か月頃から現れます。
□ 7.1歳半過ぎから2歳頃にかけて、第一次反抗期がはじまります。
自他の区別がはっきりしてくると、自分でやりたがったり、やりたいことを制止されると反抗したりします。このように、激しい自己主張や反抗的な態度を取る時期のことを反抗期といいます。これは、自己が確立していき、養育者から自立しようとするために現れます。
□ 8.自分で自分の行動をコントロールできることを自己制御といいます。
3歳頃になると、相手やその時の状況に合わせて自分の気持ちや行動をコントロールできるようになっていきます。このような自己制御は、自己を抑制する側面と自己を主張する側面を持っており、その両面が育つことが、自己の育ちには重要です。
□ 9.向社会的行動とは、報酬を期待せずに他者を援助するための、自発的な行動のことです。
向社会的行動は、例えば泣いている子どもをなぐさめるような働きかけをする、席を譲る、悩みを聞くというような他者を援助する自発的な行動のことです。これは、他者の感情を理解し、共感できるようになるとともに生じる。2歳頃からみられ、幼児期から児童期にかけて発達していきます。
□ 10.感情は、一次的感情から二次的感情へとしていく。
誕生時には、満足・苦痛・興味の3つの感情(原初的感情)を持ち、生後3か月頃までに喜び・悲しみ・嫌悪の感情が、生後6か月頃までに驚き、怒り、恐れの感情がみられるようになります。これらを一次的感情といいます。さらに、1歳半頃から、照れ・共感・あこがれ・誇り・罪・恥など、自己意識や自己評価に関連した二次的感情がみられるようになります。
□ 11.表出された感情を状況に合わせて調整することを、感情制御といいます。
感情は、徐々に自分で調整できるようになっていきます。誕生時は母乳をもらったりおむつを替えてもらったりしながら不快な状態を解消し、1歳頃には指をしゃぶったりするなど、自分の身体を刺激して落ち着くような行動もみられます。2歳頃にはことばで感情を表出するようになり、4歳頃から他者の気持ちを考慮して感情制御できるようになります。5歳頃になると、感情制御していることを自覚できるようになります。
□ 12.「心の理論」とは、他者の心的状態を理解する能力のことです。
他者の意図、信念、願望、感情、思考など、直接は観察することのできない他者の心的状態の理解は「心の理論」とよばれます。心の理論を調べるには、誤信念課題が用いられます。
発達の理論と子ども理解
□ 13.子どもは、およそ身長50cm、体重3,000gで生まれます。
子どもは、身長約50cm、体重約3,000gで誕生し、1歳までに身長約1.5倍、体重約3倍、2歳までに身長約1.7倍、体重約4倍に成長します。身長の変化とともに体形も変化します。誕生時は頭部が大きく4頭身だが、2~3歳頃になると頭部が占める割合が小さくなり5頭身程度になります。5~6歳頃には6頭身程度になり、大人に近い体形になっていきます。
□ 14.運動機能は、3つの流れにより発達します。
運動機能の発達には、①頭部から尾部方向への発達(首がすわる、お座り、ハイハイ、つかまり立ち、ひとり歩きという流れ)、②身体の中心部から周辺部方向への発達(上腕部、前腕部、手、指のコントロールができるようになるという流れ)、③粗大運動から微細運動への発達(全身を使った動きから指を使った細かい動きができるようになるという流れ)があります。
□ 15.胎児期には、聴覚は新生児に近い状態にまで発達します。
視覚・聴覚は妊娠32週頃には新生児に近い状態にまで発達します。胎児期から様々な音を聞いており、新生児は母親とその他の人の声を識別している様子がみられます。また、人の声のする方を向いたり、特に抑揚のある声や高い声(マザリーズ)を好んで聞きます。
□ 16.誕生時の視力は0.02程度です。
新生児が焦点を当てられる範囲は、新生児を抱いた時にちょうど顔が見える距離(約20cm)といわれます。誕生時の視力は0.02程度で、3か月児で0.1、6か月児で0.2です。また、新生児は興味のあるものを長く見つめる性質があり、人の顔や、コントラストのはっきりしたものを好んで見ます。
□ 17.6か月頃になると、人の顔をはっきりと区別できるようになります。
子どもが見知らぬ人に対してみせる不安や恐れを人見知りといい、生後6~8か月頃にみられます。人見知りは、知っている人と知らない人をはっきりと区別し、顔を認識するようになることから起きます。見知らぬ人に出会うと泣いたり養育者にしがみついたり後ろに隠れたりするなどの行動がみられます。
□ 18.アニミズムとは、幼児が無生物にも心があるように扱うものです。
ビアジェは、幼児が無生物に生命を認めたり、動物(人間を含む)の特性を付与したり、意識や意志等、心があるように扱う心理的特徴をアニミズムと呼んだ。例えば、雨を「空が泣いている」などといったりするのはアニミズム的発想です。
□ 19.ピアジェは、子どもの知思考力の発達について段階的に区分しました。
ピアジェの認知発達理論
感覚運動期(0~2歳頃)は、見たり聞いたり触ったりするなどの感覚と運動を通して外界に働きかけ、動作とその結果との関係を認識する。対象は見えなくなっても世界には存在し続けるという物の永続性を獲得。
前概念的思考の段階(2~4歳頃)は、目の前にない事象をイメージとして思い浮かべる(表象)ことができる。見立て遊び(人形を赤ちゃんに見立てる)、ふり遊び(ジュースを飲むふりをする)などがみられ、思考の範囲が広がる。
直観的思考期(4~7、8歳頃)見かけに左右されやすく、自己との関係で対象をとらえる。概念が安定して一般的な概念に近づくが論理の応用にはいたらない。
具体的操作期(7、8~11、12歳頃)は、客観的・論理的な考え方ができるようになり、具体的な事象は見た目に惑わされずに体系付けて考えられるようになる。ものの大きさや長さ、量などは特に操作を加えなければ変化しないという保存の概念を獲得。
形式的操作期(11、12~14、15歳頃)は、抽象的な事象に対し論理的に考えられるようになる。命題論理、仮説演繹的思考、比例概念などが理解できる。
□ 20.言語の発達は、指さしから始まります。
生後8~9か月頃になると、大人の指さした方向を見ることができるようになり、生後10か月頃には自分で指さしをしながら思いを伝えようとする。1歳頃になると、指さしによって自分の意思を伝えるだけでなく、相手の意図をくみとって応答できるようになります。このような指さしは、言語獲得の基盤となります。
□ 21.言語は一次的ことばから、二次的ことばへと発達します。
1歳頃から単語を話し始め(一語文)、2歳頃には2つの単語をつなげて話すようになり(二語文)、4歳頃までに日常生活には困らない程度の会話能力を発達させていく。相手との具体的な状況の中でやりとりすることばを、一次的ことばという。幼児期から児童期にかけて、書きことばや不特定多数の相手を想定したことばである二次的ことばを身に付けていく。
□ 22.言語には、外言と内言の2つの働きがあります。
ヴィゴツキーは、言語には、外言と内言の2つの機能があるとしました。他者とコミュニケーションをとるための機能を外言、思考するための機能を内言といいます。幼児期の子どもは、他者の視点に立って話したり考えたりすることが難しいという特徴(自己中心性)を持ちます。そのため外言が内在化されて内言が生じる過程で、独り言のような自己中心的言語がみられます。
□ 23.人生のイベントや転居などによる移動などによって環境が変わることを環境移行といいます。
環境移行とは、保育所や幼稚園への入所、入園や、小学校入学などの人生のイベントや、転居による移動、さらには災害や事故などの予想外の出来事によって生じる、その人を取り巻く環境の変化を指します。
人との相互的かかわりと子どもの発達
□ 24.子どもは遊びを通したやり取りの中で社会性を育てていきます。
5、6歳頃になると、ことばを使ったやり取りが増えていきます。遊びを通して仲間同士で話し合いをしたり、いざこざを起こしたりしながら、他者との関わり方や問題解決方法など、様々な社会性を獲得します。
□ 25.人間の発達は環境との相互作用の中で進展します。
ブロンフェンブレンナーは人間を取り巻く環境を ①本人と直接やり取りの起こるマイクロシステム、②複数のマイクロシステム間の関係であるメゾシステム、③本人が直接参加するわけではないが間接的に影響を与えるエクソシステム、④社会・文化の状況全体を示すマクロシステムの4つの入れ子構造としてとらえました。発達はこれらのシステムが関係し合って相互作用の中で進展するとしました。
□ 26.特定の他者と子どもとの間に形成される親密な愛情の絆を、愛着(アタッチメント)といいます。
子どもは誕生時から特定の他者と非言語的なやり取り(子どもに微笑みかける、出した声に応答するなど)を通して、情緒的な絆である愛着を形成していく。愛着はアタッチメントともいい、ボウルビィによって提唱されました。
□ 27.他者と自分自身の両方を信頼できるという感覚を、基本的信頼感といいます。
子どもは不安を感じたときに養育者のもとへ戻り、共感したり慰めたり認めたりしてもらうことで安心感を得て、行動範囲を広げていく。そのようなやり取りを積み重ねることで、「自分はいつでもわかってもらえる」という他者への信頼感と、「自分はそのようにしてもらえる存在だ」という自分自身への信頼感を育てていきます。これを、基本的信頼感といいます。
□ 28.子どもの心のなかに形成された愛着対象についてのイメージは、内的ワーキング・モデルといいます。
乳児期は、愛着対象である養育者を常に視野に入れ、いつでも戻ることのできる安全基地とします。幼児期になると目の前にいなくても養育者のイメージ(内的ワーキング・モデル)を想起することによって安心感を得ることができるようになります。
□ 29.養育者と子どもの間には、生後まもなくから同調的な相互作用がみられます。
コンドンとサンダーは、誕生直後の子どもが大人の話しかけに対してそれに呼応するかのように相互同期的に体を動かすことから、母子間には響きあうような同調的相互作用が見られることを発見し、それをエントレインメントと呼びました。これは特定の相手に限られた現象ではないが、養育者と子どもの間の関係の基盤となります。
□ 30.乳児にも、他児との関わりが認められます。
以前は2歳頃までの子、幼児は他児への興味を示さず関わりもみられないと考えられていましたが、現在では生後3か月でも他児を見たり触れたりすること、1歳前後で共通の物を通したやりとりが開始され、おもちゃを取る、噛みつくなどのトラブルもみられるようになることがわかっています。
□ 31.他児との関わりは、テーマを共有した遊びからことばを介したやり取リヘと発達します。
1歳6か月過ぎ頃には相手の真似をしたり追いかけたりするなど、テーマを共有した遊びが増えていきます。2歳過ぎ頃には、同年代の仲間同士でことばを使ったやり取りがみられるようになります。だんだんと特定の相手と遊ぶことが明確になり、3歳頃には特に仲の良いグループもみられるようになります。
□ 32.他児との遊びを通して、対人葛藤やその解決能力を身に付けます。
他児との遊びの中で、自分と相手のやりたいことがぶつかるという対人葛藤場面に直面します。最初は、物を取る・取られるということがほとんどであるが、徐々に相手の立場に立って気持ちを考えたり理解したり(役割取得)できるようになります。子どもは対人葛藤場面から問題解決能力を身に付け、大人の直接介入を必要とする段階から、大人や年長者の仲裁やことばでの援助で解決できる段階、仲間同士で解決できる段階ヘと発達していきます。
□ 33.様々な人間関係を通して、子どもは社会性を獲得します。
成長とともに子どもの人間関係は広がっていきます。子どもは他者との社会的なやり取りを通して、集団での関わりや遊びの楽しさ、人への思いやりの気持ち、他者への理解、自律など様々な社会性を身に付けていくようになります。
生涯発達と初期経験の重要性
□ 34.発達過程は一般的に、胎児期、新生児期、乳児期、幼児期、学童期、青年期、成人期、老年期に区分されます。
胎児期(受精後~誕生まで)は、妊娠20週頃から胎児の運動が母親に伝わるようになり、胎外からの音刺激を受けて身体を動かしたり、指しゃぶりなどの反射行動もみられる。また、味覚刺激も識別している。
新生児期(誕生~満28日未満)は、呼吸・栄養摂取・排泄 温度変化などへの対応ができるようになり、生きるための基礎が確立していく。
乳児期(0~1歳半頃)は、全面的に養育者に依存しながら、歩く・話す・食べるなど、生物としての自立ができるようになっていく。
幼児期(1歳半~6歳頃)は、3歳頃までに身体・運動機能が著しく発達し、基本的生活習慣が確立する。歩くことで行動範囲が拡大し、言葉の獲得により自己主張ができるようになる。自己調整能力に欠けるため第一次反抗期がみらねる。
保育園や幼稚園を通して他者との関わりが増える。
学重期(6~12歳頃)は、学校生活を通して学習習慣や集団生活への適応を身に付け、社会に出るための多くの知識や人格が形成される。養育者以外の大人や仲間との関わりも増える。
青年期(12~22歳頃)第二次性徴を受け入れるとともに、身体的・心理的・社会的に大きな変化がみられる。自己の確立とともに人生観や社会観が確立し、自分の生き方を選択していく。
成人期(22~65歳頃)は、家庭や社会の中心となって大きな役割を担う時期。自
己と社会との調和を保つようになる。
老年期(65歳頃以降)は、個人差が大きいが、老化が進み、社会的活動における役割が減る。身体的機能や環境適応能力の低下がみられるが、判断力や洞察力などの精神活動は維持されることもある。
□ 35.保育所保育指針における乳幼児期の発達過程は、8つに区分されます。
乳幼児は、発達過程において8つに区分できます。個人差が大きいため、個人に合った関わりが重要です。
●乳幼児期の発達過程
1、おおむね6か月未満
2、おおむね6か月~1歳3か月未満
3、おおむね1歳3か月~2歳未満
4、おおむね2歳
5、おおむね3歳
6、おおむね4歳
7、おおむね5歳
8、おおむね6歳
□ 36.受精から誕生までの時期を、胎児期という。
胎児は母体内で様々な動きをしており、妊娠20週頃から母親は胎児の動き(胎動)を感じることができるようになります。また、32週頃には視覚や聴覚などの感覚器官は、誕生時とほぼ同程度まで発達し、40週頃に生まれてきます。
□ 37.出生から満28日未満を新生児期といいます。
乳児期の中でも特に出生から満28日未満までを新生児期といいます。新生児期は胎外での生活に適応していくための準備期間であり、刺激に対して受動的・自動的に生じる運動が主となります。視力は0.02程度で約20cmの範囲のものしか見えず、動く対象は追えません。聴覚は、妊娠7~8か月頃には胎外の音を聞いているとされ、生後1~2週間で音の大小や高低を区別します。
□ 38.生後2か月頃から人と目が合うようになります。
生後2か月頃から人との間で目が合うようになることをアイ・コンタクト、または視線接触といいます。生後3か月頃からはあやしかけに微笑みながら目が合うようになります。
□ 39.1歳または1歳半までの時期を乳児期といいます。
乳児期は大人との関わりが中心となります。この時期は、養育者との愛着を形成し、基本的信頼感を得ることが重要です。乳児の発達は個人差が大きいため、一人一人の発達速度、行動特徴、体質などに合わせた保育が必要となります。睡眠中の乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防も重要であり、うつぶせ寝にしない、うつぶせにするときに目を離さないなどの注意が必要です。
☐ 40.乳児期は、食べる、歩く・話すなどの人間として基本的な行動を身に付ける時期です。
生後3~4か月頃には養育者を区別し、養育者に笑いかけられたりあやされたりすると泣き止むようになります。生後5か月頃には興味のあるものに手を伸ばし、生後6か月頃までに首がすわります。生後6か月~1歳3か月までには、座る、ハイハイする、つかまり立ちをする、伝い歩きをする、ひとりで歩くなどの発達がみられます。
□ 41.生後4か月頃から喃語を発するようになり、1歳頃に初語がみられます。
言葉の発達は、生後2か月頃からのどを鳴らすようなクーイングがみられ、生後4か月頃には「アー」「ウー」などの喃語を発するようになります。生後6~10か月頃には子音と母音の構造をもつ「バババ」「マママ」などの規準喃語が現れます。その後、1歳頃になると、初めて意味のあることばである初語を発し、1歳半頃までの間に爆発的に語彙を獲得していきます。
□ 42.1歳または1歳半頃から6歳頃までを幼児期といいます。
幼児期前期には、歩行が成立して行動範囲が拡大し、養育者や保育者を安全基地として積極的に探索活動を広げていくことができます。幼児期後期になると、集団生活に参加することが多くなり、運動も活発になって仲間との遊びを楽しむようになっていきます。
□ 43.1歳後半頃には二語文を話し始め、見立て遊びなどの象徴機能も発達します。
おおむね1歳3か月から2歳未満
語彙の爆発が起こり、多くの言葉を話し出す。
「ママ、だっこ」など2つの語をつなげた二語文も出始め、大人の言葉を理解し、言葉で意思や欲求を示そうとする。
葉っぱをお皿に見立てるなど、あるものをほかのものに見立てる象徴機能が発達する。
□ 44.2歳頃になると、語彙の増加や、強い自己主張などがみられます。
おおむね2歳
よく歩いたり、走ったり、ジャンプしたりするようになる。
食事や衣類の着脱など、身の回りのことを自分でしようとする。自己意識の高まりとともに、強い自己主張がみられるようになり、上手にできずにかんしゃくを起こすことも多い。
発声が明瞭になり、語彙が増加する。
□ 45.3歳頃になると、遊びを通して他児と関わる経験が増加し、トラブルも増えます。
おおむね3歳
食事や排泄などがある程度自立してできるようになり、基本的な身辺処理能力が備わる。
走る、ジャンプするなど、基本的な運動技能が発達する。
遊びを通して他児と関わる経験が増えるとともに、 トラブルも多くなる。
注意力や観察力、記憶力が発達し、日常の経験をごっこ遊びの中で再現するなど、遊びに発展性がみられる。
□ 46.4歳頃になると、運動能力、想像力、感情などが豊かになります。
おおむね4歳
全身のバランスをとる能力が発達し、活発に活動する。手先も器用になり、顔や人の絵を描いたりするようになる。
他者から見た自分に気付くようになり、自分とは違う他者の視点から考えることができるようになる。
想像力や感情が豊かになり、感情制御もできるようになる。
□ 47.5歳頃には、社会生活に必要な基本的な能力を身に付けていく。
おおむね5~6歳
仲間とともに活発に遊ぶようになり、自分たちで決まりを作ったり問題を解決したりしようとする。
集団規範が身に付き、集団の中での役割やルールを理解して行動できるようになる。
仲間同士で言葉を使った遊びやイメージを共有しながら遊べるようになる。
読み書きに興味を持ち始め、知識欲が高まる。
□ 48.学童期になると、自己概念が発達し、社会的比較を行うようになります。
自己概念とは、自分についての一貫した考え方や見方、自己や自己の行動に対する評価・態度・感情などのことです。学童期になると、自己概念を発達させるとともに、自分は他者と比べてどのくらいできる、できないのかなどの社会的比較を行うことで、自分自身の明確な位置付けができるようになっていきます。
□ 49.学重期から青年期にかけて、友人関係はギャング・グループ、チャム・グループ、ピア・グループヘと発達します。
友人関係は、自己の発達に大きな影響を与えます。学童期の中・高学年頃になると家族よりも仲間を優先させ、同年齢や同性との仲間意識が強くなる(ギャング・グループ)。中学生頃には親密な友人と共通点をことばで確認し合うことで仲間意識を高め(チャム・グループ)、高校生頃にはお互いの価値観や違いを認める仲間関係を形成する(ピア・グループ)。
□ 50.青年期には、親から自立したい気持ちと依存せざるを得ない状況から葛藤が生じます。
身体的な成長に伴い、親と同じ大人に近づいていると自覚することによって、親からの自立という課題に直面します。多くの場合、友人と親密な関係性を築いて、心の拠りどころを親から友人へと移行させていくが、自立したい気持ちと依存せざるを得ない状況から、葛藤が生じることが多い。また、自分のことをわかってもらえないという孤独感を感じることも多い。
□ 51.青年期には、自己を模索し、アイデンティティを獲得します。
自分は何者であるかという自己定義と、社会における自己の役割や存在意義についての意識を、アイデンティティ(自己同一性)といいます。エリクソンは、 青年期の発達課題は「自己同一性」対「自己同一性の拡散」であると主張しました。
□ 52.青年期になると第二次性徴が始まり、男性または女性らしい体つきになっていきます。
女子:エストロゲンなどの女性ホルモンの分泌が活発化し、骨盤周辺や胸部、肩から背中、上腕などに皮下脂肪が蓄積され、全体的に丸みを帯びた体つきになります。性器や子宮などの発育が進み、月経が始まります。
男子:テストステロンなどの男性ホルモンの分泌が活発化し、全体的に皮下脂肪が減少します。肩幅が広くなり、髭や低い声など成人男1生特有の身体的特徴が徐々に現れ、精通も生じます。
□ 53.成人・老年期は、身体的な能力は衰退するが、知的能力は長く維持できます。
成人・老年期になると身体的能力は衰退するものの、記憶や知能、論理的推論などの知的能力は、衰退する部分もあるが長く維持できます。子どもの巣立ちや退職などに伴い、人間関係や社会的な役割の大きな変化を経験するため、夫婦関係を立て直し、新たな社会的ネットワークを築いていくことが、その後の適応に大きく関わっていきます。
□ 54.人間は生涯発達し、変化し続ける存在です。
人間は生涯かけて発達し変化し続ける存在であり、特に乳幼児期は環境の影響を受けながら大きく変化します。人は、環境との相互作用によって成長するが、ストレスを乗り越えて立ち直る力(レジリエンス)を本来持っています。人との関わりの中で子ども自身の発達する力を引き出すためには、大人の適切な援助が大切です。
子どもの発達と保育実践
□55.保育とは、子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うものです。
子どもの行為には必ず意味があります。そのため、その意味を探り子どもを理解することが重要です。
子どもの行為
①思いや願望、葛藤などの表れによるもの
②発達する過程におけるもの
□ 56.人間は「生理的早産」です。
人間は、進化の過程における直立二足歩行及び大脳の発達の影響により、ほかの多くの哺乳類と比べて1年程度早く生まれます。そのため、出生直後に立ったり歩いたりできず、他者からの養育を必要とする未熟な状態で生まれてきます。これを、ポルトマンは「生理的早産」と呼びました。
□ 57.人間の赤ちゃんは、人から養護的な感情や養育行動を引き出すような力を生得的に備えています。
赤ちゃんは生得的に人と関わる力をもっており、大人からの養育行動を引き出しています。人に敏感に反応するため「人の顔」を他と区別し好んで注意を向けたり、無意識的に人の顔をまねる新生児模倣(共鳴動作)をしたりします。また、丸いかわいらしい形態や生理的微笑(新生児微笑)は、人からの働きかけを引き出しています。
□ 58.生後3か月頃になると、生得的反応は社会的反応へと移行していきます。
新生児にみられる新生児微笑は、刺激に誘発されて生じる生得的な反応です。しかし、生後3か月頃になると、養育者の声から感情状態を読み取って反応するようになり、あやすと声を出して笑うようになります。大人が微笑むと微笑み返すなど、人に向けて主体的に笑うことを社会的微笑といいます。
□ 59.それぞれの時期や年齢には、特有の発達段階到達すべき発達課題があります。
子どもの発達を支え、援助するためには、発達過程を知り、その時期の特性や重視すべき課題を理解することが大切です。保育所保育指針における「おおむね○歳」という表現は、その年齢の平均的な傾向を示すとともに、個人差があることを表しています。つまり、子どもの均一な発達ではなく、一人一人の発達をとらえることが重要です。
□ 60.生まれつき持った個人の特性を気質といいます。
トマスとチェスは、子どもの気質は、身体的活動の活発さ、順応性、睡眠・排泄の規則性など、9つの特性があるとしました。気質は乳幼児期からみられ、その間は一定しているといわれるが、成長に伴い変化していく可能性が高い。個人差に応じた保育を行うためには、その子どもの生活経験や発達過程、気質などを把握することが大切です。
□ 61.保育では、「発達の最近接領域」に適切に働きかけていくことが求められます。
ヴィゴツキーは、子どもの発達には、子どもが他者の援助なしに自力で問題解決できる現在の発達水準と、親や保育者などからの援助によって解決できる水準の2つの水準があるとしました。この2つの水準の間を「発達の最近接領域」と呼びます。大人の適切な援助によって子どもの発達水準を上げることができ、子どもの発達の可能性を広げていくことができます。
□ 62.経験には、直接経験と間接経験があります。
直接経験とは、環境に対して自分の身体を用いて直接働きかける経験のことで、間接経験とは、絵本やテレビなどから間接的に情報を得る経験です。直接経験を通して五感を働かせ、感情経験や知的経験を積み重ねて、運動機能、身体的機能、自己などを発達させていきます。
□ 63.子どもは環境との相互作用によって発達します。
ギブソンは、環境の価値や意味は環境が持っているという「アフォーダンス」理論を提唱しました。子どもは与えられた環境に働きかけるが、その環境が持つ意味は一つではなく、様々な解釈が可能となります。そのため、保育環境は、子どもが様々な興味や関心を持てるように構成する必要があります。
□ 64.保育士は、子ども自身の力を十分に認め、適切な援助や環境構成を行うことが重要です。
保育士は、子どもに、発達上の課題が見られたり、保育所の生活になじみにくいなどの状態を認めても、子ども自身の力を十分に認め、一人一人の発達過程や心身の状態に応じた適切な援助及び環境構成を行うべきです。
□ 65.子どもは仲間との関わりを通して、対等なヨコの関係を形成します。
大人と子どもは養育する者とされる者というタテの関係であるのに対し、子ども同士はお互いに育ち合うヨコの関係となります。子どもは仲間との関わりを通して、大人との関わりでは経験できない対人関係を形成します。
□ 66.2~3歳頃は平行遊びが多く、4~6歳頃では連合遊びや協同遊びが多くみられるようになります。
年齢とともに遊び方に変化がみられるが、これらの遊びは発達の段階的な過程を示すわけではない。どの遊びも子どもにとって重要な意味を果たします。
ひとり遊びは、自分ひとりで行う遊び
傍観的行動は、遊びには参加せずに、他児が遊んでいる様子を眺めたり口出ししたりする行動
平行遊びは、近くで同じ遊びをしているが、お互いにやり取りはない遊び
連合遊びは、他児と一緒に同じ活動に関わる遊び
協同遊びは、共通の目的を持ち、他児と協力したり役割分担をしたりする遊び
□ 67.困難な状況であっても柔軟に対応し、乗り越えていく力をレジリエンスといいます。
今日においては、社会の急激な変化などに適応でき、生涯にわたってたくましく生きるための力が重要です。そのため、レジリエンスを育むことも保育者に求められています。
□ 68.自己意識の高まりとともに自我が芽生え、自己主張や自己抑制がみられるようになります。
1歳後半から2歳頃にかけて、自分自身に対する意識(自己意識)を持つようになり、自己意識の高まりとともに自己主張がみられるようになります。この頃になると、大人からの注意によって行動を抑制できるようになり、また、言語や思考などの発達に伴って自分の中に行動の基準を持ち、それに従って行動をコントロールできるようになります(自己抑制、自己統制)。
生活や遊びを通した学びの過程
□ 69.遊びとは、興味を持ったものに対して主体的に関わっていく活動のことです。
遊びには様々な要素が含まれ、子どもは遊びを通して、思考力や想像力、知識や対人関係能力を養っていきます。遊びは何かを学ばせる手段や何かを学ぶためのものではなく、子どもが主体的に関わり様々な感情体験を行った結果として、子どもの心身の成長と発達を促す機会となります。そのため、大人が必要な環境を構成し、適切な援助をすることが重要です。
□ 70.生きる力は、生涯にわたって自発的に学び続ける基礎となります。
生きる力とは、社会の中で個性を発揮しながら他者と関わり、豊かな人生を送る力のことをいう。乳幼児期に、直接的で多様な体験を通して生じる豊かな感情や感覚を積み重ねていくことが、自分自身の学びとなり、個性を発揮しながら主体的に取り組む基礎となって、生きる力へとつながっていきます。
保育における発達援助
□ 71.基本的生活習慣を得ると、生活の流れの見通しを持つことができます。
食事、排泄、衣服の着脱などの基本的生活習慣を獲得する過程では、個人の社会・文化的背景が密接に関わるとともに、身体的成長と言語理解が大きく影響します。基本的生活習慣を得ると、生活リズムを整え、生活の流れの見通しが持てる(スクリプトの獲得)ようになります。
□ 72.子どもの主体性を育むためには、子どもの意思や目的を感じ取った保育を行います。
主体的に活動するためには、多くの意思や目的の中から自分なりの選択をし、それを実現するためのスキルを持つ必要があります。主体性を育む保育を行うためには、子どもの意思や目的を感じ取り、発達過程に沿った援助をすることが必要です。
□ 73.子どもをとらえる基準には、生活年齢、発達年齢、所属集団年齢の3種類があります。
生活年齢とは実際の年齢、発達年齢とは、発達の程度を示す年齢、所属集団年齢とは、集団生活によって生じる年齢(3歳児クラス、小学1年生)のことです。例えば、同じ発達年齢でも所属集団年齢が異なれば期待されるものは異なります。そのため、3つの年齢から総合的に子どもをとらえることが重要です。
□ 74.子供に課題を与えるときは、心身の発達を見極めることが重要です。
ゲゼルは、子どものレディネス(学習の成立のために必要な心身の準備性)ができたところでふさわしい課題を与えることが重要だとしました。以前はゲゼルによる成熟的要因を重視しました、加齢による自然なレディネス成立を待つ風潮が強かったが、最近では形成的レディネス観が強まっています。
□ 75.より良く生きるためには、社会資源を活用します。
社会資源とは、葛藤や問題解決のときに活用できる制度や機関、人などのことをいいます。子どもの発達援助は、関係機関との連携や協働が重要であり、チームを組んで統一した援助目標に向け、それぞれの立場から援助を行います。連携するためには、子どもの発達の現状に対する共通理解を持ち、情報を共有することが不可欠となります。
□ 76.出生体重が2,500g未満の子どもを低出生体重児といいます。
低出生体重児は、通常の妊娠期間よりも早くに生まれた未熟児であることが多い。低出生体重児は誕生後にNICU (新生児集中治療室)に入院し、退院後も身体面と知的発達面において定期的にフォローを受けます。特に、1,500g未満の極低出生体重児や1,000g未満の超低出生体重児は、発育の遅れや視覚障害、脆弱性などの発達の危険因子を持っているため、配慮が必要です。
□ 77.発達障害の症状の発現後、できるだけ早期に発達支援を行うことが重要です。
発達障害とは脳機能の発達に関係する障害で、その症状は通常低年齢において発現します。慢性的で持続的な障害が生じるため、長期にわたり個別に計画されたサービスなどによる援助が必要です。
主な発達障害
学習障害(LD)は、 読字障害、書字表出障害、算数障害
広汎性発達障害は、自閉性障害、アスペルガー症候群など
精神遅滞・発達遅滞は、知的能力の遅れ
コミュニケーション障害は、表出性言語障害、受容性言語障害
運動能力障害は、運動機能の発達の遅れ
幼児期又は小児期早期の哺育。摂食障害は、異食症、反芻性障害など
チック障害は、運動チック、音声チックなど
排泄障害は、夜尿、遺尿症、遺糞症など
その他の障害は、選択性絨黙、分離不安障害、反応性愛着障害など
□ 78.子どもの発達に大きな影響を与える社会的状況の一つに少子化があります。
合計特殊出生率は、一人の女性が―生の間に何人の子どもを出産するかを示す数値のことです。人口を維持するには2.07ないし2.08が必要であるが、日本の2013(平成25)年の合計特殊出生率は1.43です。2005(平成17)年の1.26を底に上昇傾向にあるが出生数は低下傾向が続いています。
□ 79.虐待が疑われる場合は、早急に児童相談所や虐待相談窓口に連絡します。
虐待が疑われる場合、児童相談所や市町村の虐待相談窓口などに早急に連絡します。児童相談所や市町村の要保護児童対策地域協議会では、問題を共有し役割を分担して対応します。
7章 子どもの保健
健康と保健の意義
□ 1.ICF(国際生活機能分類モデル)では、健康状態や障害を環境との相互作用に着目してとらえています。
ICFは世界保健機関(WHO)において2001年に採択されました。それまでの国際障害分類(ICIDH)では、障害を個人の属性として克服・補完していくものととらえていたが、ICFでは、健康状態や障害を生活機能というプラス面からみるように視点を転換し、さらに環境因子の観点を加えることでその相互作用に着目しています。
□ 2.健康とは、肉体的にも、精神的にも、社会的にも完全に調和のとれた状態です。
世界保健機関(WHO)憲章において、「健康とは、肉体的にも精神的にも社会的にも完全に調和のとれた状態を意味するものであって、単に病気ではないとか虚弱ではないということではない」と定義されています。健康には「良く生きること」という意味があり、心理状態や環境も考慮し、生活の質(QOL:Quality of Life)を向上させる必要があります。
□ 3.ヘルスプロモーションは、21世紀に向けての健康戦略です。
ヘルスプロモーシヨンは、1986(昭和61)年にWHO(世界保健機関)によりオタワ憲章で提唱されました。状態を向上させるためには、地域、家庭、職場など総合的な取り組みが必要であるとしました。
□ 4.「健やか親子21」の課題は、改善がみられました。
「健やか親子21」は、2001(平成13)~ 2014(平成26)年を計画期間とし、21世紀の母子保健の取り組みの方向性と目標や指標を示したものです。4つの課題が示されていましたが2013(平成25)年の最終評価では、全体の8割で一定の改善が見られました。
今後の課題は、思春期保健対策の充実、周産期・小児救急・小児在宅医療の充実、安心した育児と子どもの健やかな成長を支える地域の支援体制づくり、「育てにくさ」を感じる親に寄り添う支援、児童虐待防止対策の更なる充実 などです。
□ 5.乳児は満1歳未満、幼児は満1歳以上から就学前を指します。
小児期の年齢による区分は、新生児を出生後から生後28日未満、乳児を新生児期を含む満1歳未満、幼児を満]歳以上から就学前、児童・生徒を小学校入学以上満18歳に満たない者までとしています(学童は主として小学生を指す)。
□ 6.虐待を受けた子どもは、身体的障害や精神障害、発育障害などの悪影響を受けます。
身体的障害は、頭蓋内出血、骨折、やけどなど
精神障害は、身体的精神的暴力などによるトラウマ(心的外傷)、不安、情緒不安定
発育障害は、栄養や感覚刺激の不足による発育不良や精神遅滞
対人関係障害は、安定した愛着関係を形成できないことによる、ひきこもり、緊張、乱暴
自尊心の欠如は、低い自己評価
□ 7.子どもの死亡原因は0歳児では、先天奇形、変形、染色体異常が多い。
児童の年齢が上がるにつれて、不慮の事故が増加します。
年齢別順位は
0歳は、先天奇形、変形、染色体異常、呼吸障害等、乳幼児突然死症候群(SIDS)、不慮の事故、出血性障害等
1~4歳は、先天奇形、変形、染色体異常、不慮の事故、悪性新生物心疾患肺炎
5~9歳は、不慮の事故、悪性新生物、その他の新生物、心疾患、肺炎、先天奇形等
10~14歳は、悪性新生物、自殺、不慮の事故、心疾患、先天奇形等
□ 8.児童虐待相談件数は年々増加しており、その予防対策が重要な課題となっています。
児童虐待の予防を公衆衛生の面から整理すると次のようになります。
1次予防は、地域での子育て支援、育児サークル等の子育て資源の情報提供など
2次予防は、早期発見、早期対応
3次予防は、再発の防止のための在宅支援、分離保護、親の問題や子育ての問題の支援など
身体発育と評価
□ 9.発育・発達は一定の順序で進みます。
一般に、測定によって得られる身体の大きさや形態面での増大を発育または成長といい、知能や運動機能などが成熟していくことを発達といいます。発育・発達には生物学の一般法則が当てはまり、以下のような原則があります。
発育 発達は連続した現象である。
発育 発達は一定の順序で進む。
発育は身体の各部に均一に起こるのではなく、速度も一定ではない。
発育には決定的に大切な時期(感受期、臨界期)がある。
発育 発達には方向性がある。
発育・発達は相互作用によって支配される。
□ 10.生後1年で、体重は約3倍、身長は約1.5倍になります。
出生時の平均体重は約3,000g、身長は約50cm、女児は身長体重ともに男児よりやや少ない。出生体重が2,500g未満を低出生体重児、1,500g未満を極低出生体重児、1,000g未満を超低出生体重児といいます。生後、一時的に5~10%の体重減少(生理的体重減少)がみられるが、それは哺乳量より体内から失われる水分の方が多いためです。体重は生後3か月で約2倍、満二歳で約3倍となります。身長は生後1年で約1.5倍、4年で約2倍となります。
□ 11.乳幼児の身長の計測は、2歳児未満は仰臥位、2歳児以上は立位で行います。
2歳児未満では筋肉の発達が弱いため、立位では背筋をしっかりと伸ばすことができない。そのため、身長計測時には、立位がとれても仰臥位で測定します。
□ 12.新生児の頭蓋の頭頂部には大泉門があります。
頭蓋は15種類23個の頭蓋骨から形成されているが、出生時は各々の縫合が癒合しておらず、骨と骨の間に泉門(隙間)があります。前頭骨と頭頂骨の泉門を大泉門、後頭骨と頭頂骨の泉門を小泉門といいます。小泉門は6か月頃までに、大泉門は6か月~2歳までに閉鎖します。脳の重量は出生時約350g(成人の25%)です。約140億個の脳細胞は出生時にほぼそろっているが、脳細胞の働きを助けるグリア細胞の増加や神経回路の発達により、脳の重量は生後6か月で約2倍、3歳で成人の80%、6歳で90%に達し、乳幼児期に最も増大します。
□ 13.頭囲の測定では、後頭結節から前頭部の左右の眉の真上を通る周囲径を測定します。
出生時の頭囲は約33~35cmで、胸囲(約32cm)より大きい。生後1年で約45cmとなり、胸囲とほぼ同じとなります。計測は、乳児は仰臥位、幼児は座位あるいは立位で行います。巻尺は、後頭結節から前頭部の左右の眉の真上を通して測定します。頭囲が大きい場合は脳腫瘍や水頭症を疑って検査や経過観察を行い、頭囲が小さい場合は脳性まひや小頭症、狭頭症など、早期発見と治療の必要な場合が多い。
□ 14.乳歯は、生後6、7か月頃生え始めます。
乳歯は生後6、7か月頃、下顎の乳中切歯から生え始め、満3歳頃には20本が生えそろいます。乳歯は6、7歳頃から順次、永久歯(32本)に生えかわります。乳児の虫歯は進行が早いため、糖分の過剰摂取を控え、規則正しい食習慣や歯磨きの習慣をつけるなどの虫歯予防に留意します。
□ 15.乳幼児身体発育曲線は、乳幼児の発育の評価に用いられます。
乳幼児身体発育曲線は、体重、身長に関して、3、10、25、50、75、90、97パーセンタイル値を結んだパーセンタイル曲線が図示されたもので、これと比較して発育の偏りがないかどうかを評価します。3未満もしくは97以上を発育の偏りとして精密検査の対象とします。10未満もしくは90以上では偏りの疑いとして経過観察します。
□ 16.カウプ指数は、数字が高いほど肥満傾向を示しています。
カウプ指数は、乳幼児の身長と体重のバランスを判断するための指標です。算出式は、体重(g)÷身長(cm)2×10で、成人に用いられるBMIと同じです。数値が高いほど肥満傾向を示し、15~18が正常域です。生後3か月以内の乳児では数値が低く出ることがあります。
生理機能と精神運動機能の発達
☐ 17.胎児循環は、出生後肺循環へ移行します。
胎児の血液の流れを胎児循環といい、胎児期は母親の胎盤と胎児の臍帯を介して母体の血液から酸素や栄養をもらっています。出生して肺呼吸が開始すると肺循環が確立し、そのため、新生児の循環器では卵円孔と動脈管の閉鎖、臍帯の血管の閉鎖が生じます。
□ 18.胎児期は、母子免疫によって感染症から守られます。
免疫には、受動免疫(母子免疫など)と能動免疫(自分で作り出す免疫)があります。母子免疫は、胎盤を通して母体内の免疫グロブリン(IgG)が胎児内に移行し、新生児は母体と同程度のIgGをもっています。出生後減少するが、生後半年くらいは感染症を防止します。母乳にも免疫グロブリン(IgA)が含まれるが、乳児自身が感染したり予防接種を受けたりして獲得する能動免疫によって身体の免疫機能が整ってきます。
□ 19.乳幼児は年齢が低いほど、呼吸数、脈拍数が多く、体温が高い。
健康の基本的徴候となるバイタルサイン(体温、脈拍、呼吸、血圧)に関して、基礎代謝の高い乳幼児は、年齢が低いほど、呼吸数、脈拍数が多い。体温は36.0~37.4℃ と高く、体重1kg当たりの水分必要量は成人の約2倍と多い。また動脈硬化を起こしていないので血圧は低い。
□ 20.睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があります。
新生児は睡眠と覚醒を繰り返し、1日15~20時間近く眠り昼夜の区別があまりない。生後2~3か月になると養育者の睡眠―覚醒リズムにより昼夜の区別がつき、生活リズム(サーカディアンリズム)が出てくる。睡眠にはレム睡眠(急速眼球運動を伴う浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)があり、ノンレム睡眠時に、成長ホルモンがたくさん分泌されます。
□ 21.乳児期での死因順位(2013〔平成25〕年度)の第3位は乳幼児突然死症候群(SIDS)です。
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、前ぶれもなく睡眠中に死亡します。リスク要因として、「うつぶせ寝」、「両親の喫煙」、「人工栄養」などがあげられています。
□ 22.新生児期には特有の原始反射があります。
新生児期には、特有の原始反射があるが、生後3~6か月頃で次第に消失します。
探索反射は、口唇及び口角の刺激で、その方向に口や頭を向ける。
吸啜反射は、口腔内に指や乳首を入れると吸いつく。
モロー反射は、仰臥位で子どもの後頭部を支えて、床面から5cmぐらい上げ、急に手を下げると、手足を伸展させた後、抱きつくように屈曲する。
把握反射は、手のひらを圧迫すると握りしめる。
緊張性頸反射は、仰臥位で頭を一方に向けると、その側の上下肢は伸展し、反対側は屈曲する。
□ 23.感覚機能は新生児期から機能しています。
皮膚覚は、圧覚、痛覚、温度覚は、出生時から存在する。
味覚は、新生児期から白湯より糖水を好む。生後2~3か月から、一層敏感になるといわれています。
嗅覚は、母親の母乳と他の母親の母乳のにおいを区別できます。
聴覚は、胎生7~8か月から聴力がある。生後数時間で音に反応する。
視覚は、光覚は、胎生30週頃に認められ、新生児には瞬目反射(まばたき反射)がある。生後1週間から固視機能が認められる。
□ 24.生後1年で、親指と人差し指で小さな物をつまむことができます。
月年齢別の粗大運動機能と微細運動機能
生後1~2か月は、緊張性頸反射の姿勢をとる。手のひらを開き、物を持たせると握る。
生後3~4か月は、首がすわる。腹這いで顔を持ち上げ肩を床から離す。物に手を伸ばす。
生後5~6か月は、腹臥位では両腕で体重を支え、胸を上げる。寝返りをする。両手でおもちゃを持つ。物を持ち替える。
生後7~8か月は、一人で座る。這う。人差し指、中指で物をつかむ。
生後9~10か月は、高這いができる。つかまり立ちをする。親指と他の指で小さい物をはさむようにつかむ。
生後11~12か月は、つたい歩き。瞬間的に一人で立つ。親指と人差し指で小さな物をつまむ。
1歳~1歳半は、両足を開いて不安定に歩く。積み木を2~3個積める。
1歳7か月~2歳は、走る。階段を一段ずつ両足をいったんそろえて上る。服のボタンをはずす。積み木を4~6個積む。
3歳は、数秒間片足立ちする。三輪車にのってこぐ。円をまねてかく。積み木でトンネルをつくる。のりをつけて貼り付ける。
4歳は、片足とび。階段を交互に一段ずつ下りる。四角形をまねてかく。はさみで簡単な形を切り抜く。
5歳は、スキップ、でんぐり返し、ブランコこぎ、ボール遊びなど複雑な運動ができる。三角形をまねてかく。簡単な折り紙を折る。
□ 25.言葉の発達とは、言葉によって他人とのコミュニケーションを成立させる機能の発達です。
言語機能の過程には話す機能(表現)と聞く機能(受容)とその間に脳中枢のプロセスがあります。
叫声期は、誕生時は未分化な泣き声だが、生後1か月頃には空腹や痛み等によって泣き声の区別が可能になる。
喃語期は、生後2か月頃、泣き叫びのない発声。生後3~4か月頃、アー、ブーなどの喃語。
模倣期は、生後7か月頃から周囲の人の言葉をまねる。10か月頃、ジャルゴンというあたかも話しているような発声。
発語期は、1歳頃、意味のある言語(初語)が出る。1歳半~2歳頃に二語文、3歳頃に従属文。
□ 26.情緒の発達は、社会性の発達や人格形成に影響します。
出生時には興奮のみであった情緒は、乳児期前半は快、不快に、さらに後半には、快は愛情、得意、喜びに、不快は怒り、恐れ、不満へと分化して発達します。
□ 27.幼児期からのよい生活習慣の形成は将来の生活習慣病の予防、健康寿命の延長に結びつきます。
睡眠、食事、排泄、衣服の着脱、身の回りの清潔の5つの習慣を基本的生活習慣といい、身体機能や生理機能、心理的発達との関連が大きいといわれ、幼児期からよい生活習慣を身に付けることは成人期、高齢期までの健康に役立つこととなります。
□ 28.母(父)子相互作用によって、社会性の基礎が育まれます。
乳幼児は母や父をはじめとした家族との相互関係により、言語、生活習慣、行動等を学び、社会の一員としての行動を身に付けていきます。
生後2~4か月は、あやすと笑い、喃語が出る。
生後6~8か月は、大人の注意を引く。人見知りをする。
生後9~10か月は、大人のまねをする。バイバイをする。
1歳半~2歳子ども同士で同じことをして遊べる。
3歳~4歳1つの遊びを協同で行える。けんかが少なくなり、遊びのルールや約束を理解する。
子どもの精神保健
□ 29.ポルトマンは人間の出生状態を「生理的早産」であるとした。
人間は、出生時には感覚器官の成熟はある程度進んでいるが、自力での生存に必要な運動能力を獲得できていない。そのため、乳幼児は養育者に依存しつつ、生育にとって重要な影響を及ぼす環境との相互作用の中で、多くの能力を獲得しながら人間らしく成長します。
□ 30.ビアジェは子どもの認知の発達を同化と調節ということばで特徴付けました。
同化とはこれまでの経験で身に付けた認知の構造(シェマ)であり、調節とはこれまでの認識(シェマ)ではうまくいかなくなったときに構造を変えて対応していくことです。子どもは環境との相互作用の中で同化と調節により自分の認知構造を広げていく。自己中心性は幼児期の認知の特徴であり、5歳頃からしだいに客観的思考を獲得していきます。
□ 31.ボウルビーは、乳児が生得的に持っている愛着行動には、4つの発達段階があるとしました。
養育者などの特定の他者と子どもとの間に形成される緊密な情緒的絆のことを愛着(アタッチメント)といいます。ボウルビーは、養育者の養育行動を引き出す愛着行動(泣く、笑う、抱きつくなど)を乳児は生得的に持っているとし4段階に区分しました。
ボウルビーによる愛着行動の発達段階
第1段階は、誕生~12週、人物弁別を伴わない定位と発信
第2段階は、12週~6か月、特定の人物に対する定位と発信
第3段階は、6か月~ 2歳、発信並びに動作の手段による特定の人物への接近の維持
第4段階は、2歳終わり頃~、目標修正的協調性
□ 32.エインズワースは、子どもの愛着パターンを4タイプに分類しました。
エインズワースは、ストレンジ・シチュエーション法という
手続きを用いて、子どもの愛着パターンを、Aタイプ(回避型)、Bタイプ(安定型)、Cタイプ(両価〔アンビバレント〕型)、Dタイプ(無秩序型)の4タイプに分類しました。愛着パターンは、子どもの気質や養育環境によって異なり、文化差もあります。
□ 33.児童福祉法では、障害児の定義に「精神に障害のある児童(発達障害児を含む)」を含みます。
児童福祉法では従来、障害を身体障害と知的障害としていたが、2012(平成24)年4月に改正施行され、障害児の定義に、精神に障害のある児童(発達障害児を含む)が加えられました)。
□ 34.発達障害者支援法は、発達障害者の法的な位置付けや支援の確立等を目的として2004(平成16)年に制定されました。
発達障害者支援法では、発達障害を「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義しています。
□ 35.広汎性発達障害には自閉症、アスペルガー症候群などが含まれ、自閉症スペクトラム(ASD)とも呼ばれます。
広汎性発達障害の主要な3症状は①コミュニケーションの遅れ、②ことばの遅れ、③こだわりや常同行動です。ほかに、感覚過敏、知的障害、多動・不注意、不器用さ、視覚優位などの特異な認知特性などを伴うこともあります。
□ 36.発達障害のある子どもへの対応は、子どもの一人一人の特性を把握して、正の強化因子を与えることが大切です。
ICFの考えに立ち、障害を克服させることよりも、それに由来する生活の困難さを最小限にすることを目標にします。
発達障害児への対応の原則は、得意なことをほめて伸ばす。一つずつ指示する。具体的なことばを用いる。自尊心の低下等の二次障害を起こさないよう留意し、否定せずに正しい方法を教える。スモールステップでの指導・視覚優位の情報を与える。周囲との感情交流を増やすなどを原則とする。
□ 37.自閉症(自閉性障害)は、男児に多くみられます。
自閉症は広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)に分類されます。兆候は低年齢で発現し、特徴的な認知障害と行動がみられます。男女比では男児に多い。援助においては、ICFの考えに則り、適応領域の拡大を図ります。視覚優位の傾向があるので、絵カードを用いるなど視覚に訴える情報伝達を心がけます。
自閉症の特徴は、社会性や対人関係の障害、言葉の遅れや歪みと常同的な行動、活動や興味の範囲が著しく限定されます。
□ 38.アスペルガー症候群は、言葉の遅れを伴わない。
アスペルガー症候群は、広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)に分類されます。対人関係障害と情緒障害を主とし、めだった言葉の遅れや知的障害がみられないことが特徴とされます。
アスペルガー症候群の特徴は、想像力が乏しく、他者との共感的な情緒的交流を持つことが困難。関心の幅は狭いが、関心のある事柄には熱中する。手先の不器用さを伴うことがあります。
□ 39.学習障害(LD)は、読字、書字、計算、運動(機能)能力に関する障害です。
LDは、学習面で著しい困難さを示します。知的能力は標準かそれ以上であるが、読字、書字、計算、運動(機能)能力におけるいずれかの分野で年齢相応の学習の獲得が困難です。男児に多く、ほとんどが児童期に発覚する。下位カテゴリーとして、読字障害、算数障害などがあります。自信の喪失や自己評価の低下などの二次障害に注意する必要があります。
□ 40.注意欠陥/多動性障害(ADHD)は、不注意、多動性、衝動性の3つの有無により診断されます。
ADHDは、不注意、多動性、衝動性の3つの行動特徴があり、そのいずれかまたはすべての症状が就学期前後に発見されることが多く、男児に多い。一見すると明るい様子であるため気付かないうちに問題が進行しやすく、また集団活動場面でより顕著になるため、自己評価の低下や学力低下などの二次障害に注意する必要があります。
□ 41.精神発達遅滞とは知能の発達が遅れ、年齢相応の知能を獲得していない状態です。
精神発達遅滞とは、知的障害とほぼ同義で、発育期に現れ一般的知的機能が平均以下で、同時に適応行動の障害を伴う状態です。出現頻度に男女の差はありません。療育においては、コミュニケーションと日常生活動作の自立が最も重要です。
精神遅滞の区分
軽度は、IQ50-70、75程度、日常生活はおおよそ差し支えなくできるが、抽象的な思考や推理の能力に欠ける。
中度は、IQ35~49程度)、重度は、IQ20~34程度、基本的な身辺処理はおおよそできる、または周囲の援助があれば可能。運動障害をはじめ種々の神経症状やてんかん発作を伴うことが多い。
最重度は、IQ20未満程度、基本的な身辺処理の自立も困難であり、周囲の介護を必要とする。重度の身体症状・てんかん発作・運動障害その他の症状を伴うことが多い。
□ 42.運動発達遅滞は運動の発達が遅れます。
四肢のまひ、欠損、あるいは体幹の機能障害のため、日常の動作等が不自由な状態です。バリアフリーなどの適切な環境設定を心がけ、二次障害を予防することが必要です。
□ 43.心身症は、心因が身体に大きな影響を及ぼし、身体疾患となります。
心身症は、精神的・心理的要因から生じる様々な身体症状であり、診断や治療に心理的要因への配慮が必要とされます。
小児科領域の心身症は、ぜんそく、アレルギー疾患(喘息、アトピー性皮膚炎)、過敏性腸症候群、摂食障害、過換気症候群、起立性調節障害、チック、夜尿、心因性難聴、円形脱毛など
□ 44.摂食障害には、神経性無食欲症(拒食症)と神経性大食症(過食症)があります。
摂食障害は、成長への恐怖、ストレス、無理なダイエット経験などが要因としてあげられ、思春期頃の女子に多い。栄養不良による血液量の減少や大脳中枢部の萎縮など、身体的障害が生じることもあります。摂食障害には、主に神経性無食欲症(拒食症)と神経性大食症(過食症)があります。痩せていること以外にアイデンティティを見いだすことが改善の糸口になります。
□ 45.チックには、運動チックと音声チックがあります。
チックには、不随意的に、主に顔面や首、腕などの筋肉が動いてしまう運動チックと、発声として生じる音声チックがあります。神経質な子どもに多くみられ、怒りや攻撃感情を抑え込んでいることが原因としてあげられます。
一過性チックは、1年以上持続せず、まばたきや首ふりなどの症状が単独に現れます。
慢性チックは、1年以上持続し、症状が多発することが多い。
トゥレット症候群は、重度のチックで、多発性の運動チックと音声チックを伴う。
□ 46.夜尿は、心因性で生じることもあります。
夜尿の多くは心と身体的機能が未成熟であるために生じるが、ストレスなどの心因性によって生じることもあります。例えば、弟や妹が生まれたことをきっかけに夜尿が復活することがあり、父母の愛情が弟妹に移行したことの不安や不満を赤ちゃん返りする行動(幼児退行)で表現しています。
□ 47.成長期の子どもの心は大人とは違った脆弱性があり、様々な精神疾患を引き起こします。
精神疾患の分類
育ちの問題は、乳幼児期の母親との愛着形成の障りによるとされるもの。愛着障害、不適切な養育(虐待を含む)など
行動の問題は、感情の統制ができずに行動として出てくるもの。反抗挑戦性障害、適応障害、行為障害 など
不安の問題は、不安とその回避行動のために日常生活に障害が生じるもの。分離不安障害、全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、社交恐怖、トラウマ障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、選択性緘黙など
気分の障害は、気分の高揚や抑うつの気分変化のあるもの。うつ病、双極性障害
身体表現性障害は、身体には異常がないが痛み等の症状を訴えるもの。身体化障害、転換性障害、心気症 など
意識の問題は、意識の変容を起こすもの。解離性障害、解離性同一性障害 など
思春期以降は、主に中学生以降に発症するもの。統合失調症、人格障害
保育現場での保健と衛生管理
□ 48.室温と外気温の差は、できるだけ5℃ 以内に保ちます。
居室の広さと設備等の基準は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を守り、環境整備に留意します。室温は冬期18~20℃ 、夏期25~28℃ に調整し、室温と外気温の差は、できるだけ5℃以内に保つことが望ましい。また、室内の湿度は50~60%にし、定期的に換気を行う。クーラーなどを使用する際は子どもの体に直接風が当たらないように調節します。
□ 49.食中毒は、細菌性食中毒、ウイルス性食中毒、化学的食中毒、自然毒に分類できます。
食中毒の原因は、細菌・ウイルス・化学物質・自然毒に分類され、夏期は細菌によるもの、冬期はウイルスによるもの(ノロウイルス、ロタウイルス)が最も多い。細菌性食中毒はさらに感染型(腸炎ビブリオ菌、病原性大腸菌、サルモネラ菌、カンピロパクター)と毒素型(ブドウ球菌、ボツリヌス菌)に分けられます。病原性大腸菌(O-157等)の感染型食中毒では、嘔吐物や便を的確に処理、消毒を行い、二次感染予防に努めることが重要です。
□ 50.細菌性の食中毒の発生は、夏季に多い。
細菌性の食中毒の発生は、気温・湿度の高い夏期に多い。食中毒の予防の3原則は、その原因となる細菌やウイルスを食べ物に「つけない」、「増やさない」、「やっつける(殺菌する)」です。加熱調理食品は、その中心部が75℃ 以上に加熱されるようにしなければならない。「大量調理施設衛生管理マニュアル」や「児童福祉施設等における衛生管理の改善充実及び食中毒発生の予防について」などを活用し、食中毒発生予防マニュアルを作成しておくことが望ましい。
□ 51食中毒など感染症の予防には手指洗いを励行し、消毒を徹底します。
手指洗いは石鹸を用いて、指の間や爪の中まで正しい方法で行うよう子どもに指導する。室内や遊具等は通常から清潔を保つほかに、厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン」を参照し、感染症発生時に消毒用アルコールや次亜塩素酸ナトリウム等の消毒薬を適切に使用して二次感染を予防できるよう、普段から対策を立てておきます。
子どもの疾病と看護
□ 52.発熱時は、水分を補給し、脱水に注意します。
子どもの発熱は、感染症で起こりやすい。高熱時には薄着にし、クーリング(太い静脈などを冷やす)を行う。脱水防止のため、水分を少量頻回に補う。解熱剤の使用には注意を要するので、医師の指導・指示の下で行います。
□ 53.嘔吐は、他症状と合わせて観察、対応します。
吐物が気管に入らないよう顔を横に向けて寝かせる。脱水予防のため、様子をみながら、水分、電解質を補給します。症状が続く、吐物に胆汁等が混じるときは受診します。頭を打った後に嘔吐を繰り返す場合は至急脳外科を受診します。
□ 54.下痢は、水分補給や清潔に留意します。
下痢は、回数、量、臭い、混入物、腹痛の有無などを観察し、水分補給や清潔に留意します。脱水防止に、水分、電解質の補給します。発熱や嘔吐を伴う等、ロタウイルス感染症や食中毒等の疑いがあるときは消毒、滅菌を行い受診します。
□ 55.脱水には、低張性脱水、等張性脱水、高張性脱水があります。
脱水は、体内から水分と電解質が失われた状態で、低張性脱水、等張性脱水、高張性脱水があります。脱水症状が進行すると重症化して生命の危機を招くこともあるので注意を要します。
低張性脱水は、水分の喪失より電解質の喪失が大きい。発汗、熱けいれん、下痢、嘔吐
等張性脱水は、水分、電解質がほぼ同程度に失われます。ネフローゼ
高張性脱水は、主に水分が失われます。発熱、糖尿病
□ 56.咳や呼吸困難のみられる疾病では、咳に伴う誤嚥に注意します。
咳や呼吸困難のみられる疾病で、発熱を伴う場合はかぜ、肺炎、気管支炎、百日咳等の感染症、喘鳴がある場合は喘息、仮性クループ等があげられます。安静が大事であるが、チアノーゼが出た場合やぜ一ぜ一と音のする場合はすぐ受診し、咳に伴う誤嚥に注意します。
□ 57.発疹は、感染症によるものかどうかに留意します。
小児の感染症には、麻しん、風しん、水痘、手足口病など発疹を伴うものが多い。発熱を伴う等、感染症を疑う場合には個別保育等の対処をします。感染症以外ではアトピー性皮膚炎、じんましん等でも発疹がみられます。
□ 58.けいれんは、呼吸の確保に留意します。
けいれんを起こした場合は、医師に連絡すると同時に、窒患しないよう側臥位で寝かせます。脳の器質的な疾病であるてんかん等のほかに、熱性けいれん、泣き入りひきつけ等、主に乳幼児期だけに起こるけいれんもあります。
□ 59.てんかんは慢性の脳疾患です。
てんかんの大半は小児期までに発症するが、特に乳児期に発症しやすい点頭てんかんは知的障害を伴うことが多い。てんかん発作の際は慌てずに気道確保に留意し、発作の様子、意識の有無等を観察し、医師や家庭と連携をとります。
□ 60.新生児マス・スクリーニングは、疾病の発生予防や早期発見のための検査です。
先天性代謝異常は、糖質、脂質、アミノ酸など代謝に必要な酵素を合成する遺伝子の異常による疾病で、多くの種類があります。新生児マス・スクリーニングは生後5曰くらいの新生児のかかとから採血して検査する方法で、フェニルケトン尿症、ホモシスチン尿症等の先天性代謝異常症やクレチン症(先天性甲状腺機能低下症)、先天性副腎過形成症についての検査が都道府県により公費で実施されています。
□ 61.アレルギー性疾患には、気管支喘息、花粉症、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎等があります。
アレルゲンには、主に吸入抗原(ホコリ、ダニ、花粉など)と食物抗原(卵などのたんぱく質、小麦などの穀類等)があります。食物抗原には劇症型のアナフィラキシーショックを引き起こすものもあるので、保護者から事前に既往歴等を聞き、医師とも連絡を取りあって注意点や対応方法等(除去食の実施、補助治療薬の使用等)を検討しておきます。厚生労働省「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を参考にします。
感染症と予防
□ 62.第2種感染症は感染症ごとに出席停止期間が決められています。
学校保健安全法施行規則は、学校で予防すべき感染症を3種類に分類しており、感染症の種類ごとに出席停止期間が定めています。第1種感染症はエボラ出血熱、ペストなどの重大な感染症で、治癒するまで、第3種感染症はコレラ、腸管出血性大腸菌感染症などの流行する可能性のある感染症で、症状により医師に感染のおそれがないと認められるまで出席停止となります。第2種感染症は学校で伝染しやすい、飛沫感染する感染症で9種類です。
第2種感染症の出席停止期間について
インフルエンザ(鳥インフルエンザH5Nlを除く)は、発症後5日を経過し、かつ熱が下がった後2日(幼児の場合は3日)を経過するまで
百日咳は、特有の咳が出なくなるまで、または5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで
麻しんは、解熱した後3日を経過するまで
流行性耳下腺炎は、耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好となるまで
風しんは、発疹が消失するまで
水痘は、すべての発疹が痂皮化するまで
咽頭結膜熱(プール熱)は、 主要症状が消退した後2日を経過するまで
結核は、病状により学校医等において感染のおそれがないと認めるまで
髄膜炎菌性髄膜炎は、病状により学校医等において感染のおそれがないと認めるまで
□ 63.予防接種には定期接種と任意接種があります。
1994(平成6)年に新予防接種法が施行され、それまでの義務接種から定期接種へ、集団接種から個別接種となりました。定期接種は公費で行われます。
定期接種は、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ(4種混合ワクチン)、麻しん、風しん(MRワクチン)、日本脳炎、BCG、Hib感染症、肺炎球菌(小児、原則65歳以上)、ヒトパピローマウイルス感染症、インフルエンザ(原則65歳以上)、水痘
□ 64.DPT-IPVワクチンはジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4種混含ワクチンです。
2012(平成24)年から、従来の3種(ジフテリア、百日咳、破傷風)混合ワクチンにポリオを加えた4種混合ワクチンが導入されました。標準接種期間は、 1期(生後3~ 12か月)に3~8週間間隔をおいて3回、12~18か月後に1期追加を1回、11~12歳に2期(2種混合)1回を接種します。
□ 65.ワクチンには、生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドがあります。
ワクチンには、弱毒化させた病原体を接種する生ワクチンと病原体や毒素を不活化させた不活化ワクチンと毒素を無毒化したトキソイドがあります。生ワクチンを接種した場合次の接種まで27日以上、不活化ワクチンでは6日以上間隔をあけます。ポリオ(脊髄性小児まひ)ワクチンは従来生ワクチンであったが2012(平成24)年秋から不活化ワクチンが導入された。
□ 66.Rワクチンは、1歳と小学校入学前1年の2回接種します。
麻しんと風しんとの混合ワクチンであるMRワクチンは、2006(平成18)年から2回接種になりました。麻しんは麻しんウイルスによる空気感染などで起こり、発熱の後カタル期、コプリック斑、発疹を特徴とする感染力の強い感染症です。
学校において予防すべき感染症第2種に指定され、解熱後3日を経過するまで出席停止となっています。
□ 67.結核予防のBCGワクチンは、原則として生後1歳未満に生ワクチンを1回、上腕外側中央にスポイトで滴下します。
結核は、結核菌の空気感染によって発症します。2007(平成19)年結核予防法が廃止され、感染症予防法の2類感染症に指定されてその適用を受けることとなりました。結核予防のBCGワクチンは、原則として生後1歳未満に生ワクチンを1回、上腕外側中央にスポイトで滴下します。2013(平成25)年に対象が生後6か月未満から1歳未満に拡大されました。
□ 68.流行性耳下腺炎の予防接種は、任意接種です。
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)はムンプスウイルスによる飛沫感染などで、5~10歳に好発します。予防には、任意接種でおたふくかぜワクチンを接種します。ほかにインフルエンザ、A型及びB型肝炎等の任意接種があります。B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)による血液感染ですが、母親がHBs抗原陽性であると母子感染(垂直感染)します。
□ 69.水痘は、空気感染や接触感染などにより発症します。
水痘(水ぼうそう)は、水痘帯状疱疹ウイルスによる空気感染や接触感染などにより発症し、非常に感染力が強い。予防接種は生ワクチンを接種します。2014(平成26)年10月より定期接種となりました。すべての発疹がかさぶたになるまで出席停止が定められています。治癒後、ウイルスが神経節に入り込んでしまい、再活性化して発疹が出るのが帯状疱疹です。
□ 70.突発性発疹は、2歳以下の乳幼児に好発します。
突発性発疹は、2歳以下の乳幼児に好発します。ヒトヘルペスウイルスによって発病し、突然39~40℃ の高熱が出て3~4日続き、その後に発疹が現れます。悪化はしないが、熱性けいれんを起こすことがあります。一度罹患すれば再度かかることはありません。予防接種は実施されていない。
□ 71.手足口病は、軽い発熱と手足や口の中に小さな水疱ができます。
手足口病は、A群コクサッキーウイルスやエンテロウイルスの飛沫感染などで、夏季に多く発症し、軽い発熱と手足や口の中に小さな水疱ができます。予防接種や治療法などはない。学校で予防すべき感染症第3種に指定されており、出席停止期間は医師が症状によって決めます。
□ 72.溶連菌感染症には扁桃炎、とびひ、しょうこう熱等があります。
溶連菌感染症には扁桃炎、とびひ、しょうこう熱等があります。飛沫感染などによるが、ワクチンはない。治療にはペニシリン系の抗生剤が用いられます。学校で予防すべき感染症第3種に指定されています。
事故の防止と安全管理
☐ 73.0歳児の死亡事故は、窒息が最も多い。
子どもの事故は子どもの発達段階に関連があり、首のすわる生後4、5か月まではうつぶせ寝や寝具が顔を覆うこと等による窒息が圧倒的 に多い 。お座り、ハイハイができるようになる乳児期後期では転倒や誤飲、誤嚥が増加し、1歳以上では、一人歩きから行動範囲が広がるが危険察知ができないため、交通事故が最も多い。
□ 74.誤飲、誤嚥の事故は、生後6か月頃から1、2歳の子どもに多い。
子どもの誤飲ではタバコが最も多く、事故総数の約半分を占め、次いで化粧品、医薬品です。子どもの手の届くところには置かないなどの配慮をします。飲んでしまった場合、それぞれ対処法が異なるので医療受診します。気道が塞がれて窒患、呼吸困難、チアノーゼを起こしている場合は、応急措置をしながら直ちに救急車を要請します。
□ 75.創傷には、止血と消毒を行います。
全血液の1/3以上を失うと危険であるため、出血量が多い場合はまず止血して消毒します。擦り傷やさし傷では、細菌感染に気をつけ、患部を流水で洗って外部の汚れをとってから消毒を行います。動物に咬まれた場合は必ず受診します。
□ 76.軽いやけどは、流水でよく冷やします。
第1度から第2度程度のやけど(熱傷)は、患部の皮膚がむけないように衣服を脱がさずに痛みがなくなるまで10~15分、流水(なければ氷か冷水)で冷やすことにより、痕が残りにくくなります。第3度の場合は重症となるので至急救急車を要請します。
やけどの程度について
第1度は、表皮が損傷し、赤く、ひりひり痛む。
第2度は、真皮まで損傷し、水疱やびらんができ、強く痛む。
第3度は、皮下組織まで損傷し、焼けて硬くなり、白くなり焦げる。痛みや皮膚の知覚がなくなる。
□ 77.頭部打撲・外傷では、意識の状態を確認します。
こぶだけで元気な場合は安静にして患部を冷やすが、頭痛、吐き気や嘔吐等の症状がみられたら、すぐに受診します。出血している場合は、圧迫止血をします。受傷後24時間は注意して観察します。事故防止にはリスクマネジメントによる組織的継続的取り組みとともに子どもに対する安全教育によるセルフケア能力を高めていくことも重要です。
□ 78.呼吸停止、心停止では、救急車の要請と同時に心肺蘇生を行います。
意識障害がみられた場合には、まず大声で応援を呼び119番通報とAED(自動体外式除細動器)を依頼します。次に呼吸を確認し、呼吸がなければ心停止とみなして、ただちに胸骨圧迫法による心臓マッサージを行います。人工呼吸の準備ができ次第、胸骨圧迫と人工呼吸を15:2(救助者2人以上)または30:2(救助者1人)の割合で行います。AEDが到着したら装着して指示に従います。
□ 79.熱中症は、室内でも発症します。
熱中症は暑熱障害の総称であり、高温環境下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体内の調節機能が破綻したりするなどして発症し、炎天下だけでなく室内でも起きます。重症度はI度(軽度)~Ⅲ度(重度)に分類されます。
I度の症状が認められれば、すぐに涼しい場所で身体を冷やし水分を与え、改善がみられない場合やⅡ度、Ⅲ度の症状の場合は直ちに病院へ搬送します。予防策は暑さを避け、こまめに水分補給し休憩をとることです。激しい運動等発汗の多いときはスポーツ飲料、経口補水液等を補給し、帽子の着用と通気性吸湿性の高い服装にするなどです。また、運動に適切な環境として、暑さ指数とされるWBGT値(気温、湿度、輻射熱から割り出した指標)を活用します。
分類と症状について
I度は、現場での応急処置で対応できる軽症、めまい、立ちくらみ、筋肉痛、筋肉の硬直、大量の発汗
Ⅱ度は、病院への搬送を必要とする中等症、頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感
Ⅲ度は、入院して集中治療の必要性のある重症、意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温
□ 80.身近な母子保健サービスの実施主体は、市町村です。
母子健康手帳の交付、訪問指導(新生児、生後4か月までの子どもの家庭等を保健師等が訪問)、乳幼児健康診査等は、市町村が実施しています。
市町村は、健康診査、保健指導、健康教育、事業の実施、母子保健計画の策定都道府県は、広域的・専門的な内容の活動、市町村に対する連絡調整・指導・助言、人的支援を行います。
□ 81.出生時体重2.000g以下の乳児などは、未熟児養育医療の対象です。
未熟児養育医療は、出生時体重2,000g以下の乳児などに対して、入院医療費のうち医療保険の自己負担分を給付します。そのほかに、乳幼児を対象とする主な公費負担医療として、小児慢性特定疾患治療研究事業(小児がん、喘息など特定の疾患の医療給付)、自立支援医療(身体障害児の医療給付)、結核児童療育給付(医療給付や学用品等の支給)があります。
保育士試験とは
保育士(国家資格)とは
【定義】児童福祉法第18条の4
保育士とは、第18条の18第1項の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう。
保育士資格を取得するには
厚生労働大臣の指定する保育士を養成する学校その他の施設(以下「指定保育士養成施設」という)を卒業した者
保育士試験に合格した者
指定試験機関について
【指定試験機関の指定】児童福祉法第18条の9
都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、一般社団法人又は一般財団法人であって、保育士試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という)を適正かつ確実に実施することができると認められるものとして当該都道府県知事が指定する者(以下「指定試験機関」という)に試験事務の全部又は一部を行わせることができる。
保育士試験を受けるには
【受験資格】児童福祉法施行規則第6条の9
受験資格を満たしていれば受験できます。 保育士試験受験資格については、こちら。
【試験科目】児童福祉法施行規則第6条の10
保育士試験は、筆記試験及び実技試験によって行い、実技試験は、筆記試験のすべてに合格した者について行う。
筆記試験は、次の科目について行う。
保育原理
教育原理及び社会的養護
子ども家庭福祉
社会福祉
保育の心理学
子どもの保健
子どもの食と栄養
保育実習理論
実技試験は、保育実習実技について行う。
受験申請に必要なもの
受験申請書(「受験申請の手引き」に同封されています。)
受験資格を証明する書類(卒業証明書など)
⇒受験者により必要な書類が異なりますので、「受験申請の手引き」にて確認してください。
証明写真
受験手数料(「受験申請の手引き」に払込票が同封されています。)
保育士試験出題範囲
科目別出題範囲(抜粋版)
保育原理
教育原理
社会的養護
子ども家庭福祉
社会福祉
保育の心理学
子どもの保健
子どもの食と栄養
保育実習理論
保育士試験出題範囲
保育原理
第1 出題の基本方針
保育の意義並びに保育の内容及び方法について体系的に理解しているかを
問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、保育所保育指針の内容並びに児童の保育及び保護者
に対する保育に関する指導を担う保育士の役割及び責務について、また、子育
て支援等を含む保育の社会的意義など、保育に関する現代的課題に関しても配
慮が必要である。
第2 出題範囲
「指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について」(平成15 年12 月9
日付け雇児発第1209001 号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)別紙3「教
科目の教授内容」(以下「平成15 年通知別紙」という。)に定める教科目「保
育原理」、「乳児保育Ⅰ」、「乳児保育Ⅱ」、「障害児保育」及び「子育て支援」の
内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 保育所保育指針の内容と保育の実際との関連を重視した出題が望ましい。
2 教育原理、子ども家庭福祉、社会福祉及び社会的養護の出題と十分関連
をとって出題する。
3 出題範囲の改正に伴う経過措置として、当分の間、保育原理の出題につ
いては、改正前の出題範囲における保育相談支援の内容全般を理解してい
ることを前提とした出題とする。
教育原理
第1 出題の基本方針
教育に関する基本的概念、教育における実践原理を体系的に理解しているか
を問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、教育の思想及び制度について、また、子ども家庭福
祉等との関連性及び教育を巡る現代的課題に関しても配慮が必要である。
第2 出題範囲
平成15 年通知別紙に定める教科目「教育原理」の内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 保育の実践との関連を重視した出題が望ましい。
2 保育原理、子ども家庭福祉及び社会的養護の出題と十分関連をとって出題
する。
社会的養護
第1 出題の基本方針
現代社会における社会的養護の意義及び役割について体系的に理解してい
るかを問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、社会的養護の理念・制度の体系を概括的に理解して
いるかという点のほか、子ども及び社会的養護を取り巻く状況並びに家庭養護
及び施設養護の援助の実際について、また、保育との関連性及び社会的養護に
関する現代的課題に関しても配慮が必要である。
第2 出題範囲
平成15 年通知別紙に定める教科目「社会的養護Ⅰ」及び「社会的養護Ⅱ」
の内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 社会的養護の制度及び歴史的変遷の部分からは、歴史的に古いもの又は
現在の制度体系と関連のないものは出題しない。
2 保育原理、子ども家庭福祉及び社会福祉の出題と十分関連をとって出題
する。
子ども家庭福祉
第1 出題の基本方針
現代社会における子ども家庭福祉の意義及び役割について体系的に理解し
ているかを問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、子ども家庭福祉の理念・制度の体系を概括的に理解
しているかという点のほか、児童及び家庭を取り巻く状況及び子ども家庭福祉
の実際について、また、保育との関連性及び子ども家庭福祉に関する現代的課
題に関しても配慮が必要である。
第2 出題範囲
平成15 年通知別紙に定める教科目「子ども家庭福祉」及び「子ども家庭支
援論」の内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 子どもの人権擁護及び子ども家庭福祉に関する現代的課題等について理
解しているかという点についても出題し、その場合には具体的事例を設定し
て問う等工夫が必要である。
2 子ども家庭福祉の歴史的変遷の部分からは、歴史的に古いもの又は現在の
制度体系と関連のないものは出題しない。
3 保育原理、社会福祉及び社会的養護の出題と十分関連をとって出題する。
4 出題範囲の改正に伴う経過措置として、当分の間、子ども家庭福祉の出題
については、改正前の出題範囲となっている家庭支援論の内容を理解してい
ることを前提とした出題とする。
社会福祉
第1 出題の基本方針
社会福祉全般に関して、その理念体系を理解しているかを問うことを基本と
する。
問題選択に当たっては、社会福祉の理念・制度の体系を概括的に理解してい
るかという点のほか、その背景となっている社会の動向、社会保障等の関連制
度の概要、利用者の保護に関わる仕組み、相談援助等について、また、子ども
家庭福祉との関連性及び社会福祉に関する現代的課題に関しても配慮が必要
である。
第2 出題範囲
平成15 年通知別紙に定める教科目「社会福祉」の内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 社会福祉に関する法律、手続き及び歴史的変遷の部分からは、歴史的に古
いもの又は現在の制度体系と関連のないものは出題しない。
2 保育原理、子ども家庭福祉及び社会的養護の出題と十分関連をとって出題
する。
3 出題範囲の改正に伴う経過措置として、当分の間、社会福祉の出題につい
ては、改正前の出題範囲における相談援助の内容を理解していることを前提
とした出題とする。
保育の心理学
第1 出題の基本方針
保育実践に関わる心理学の知識及び発達の基本原理について体系的に理解
しているかを問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、子どもの発達過程における心理及び発達の特徴を理
解しているかという点のほか、生活及び遊びを通して学ぶ子どもの経験及び学
習の過程について、また、保育における発達援助、家庭の理解及び子どもの発
達に関する現代的課題に関しても配慮が必要である。
第2 出題範囲
平成15 年通知別紙に定める教科目「保育の心理学」、「子ども家庭支援の心
理学」及び「子どもの理解と援助」の内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 児童の発達過程及び発達の特性について正しく理解し、保育(養護及び教
育)との関連において把握することを主眼として出題する。
2 児童の発達課題、初期経験の重要性等、保育の実際において役立つような
知識についても問わなければならない。
3 保育原理、子ども家庭福祉及び子どもの保健の出題と十分関連をとって出
題する。
子どもの保健
第1 出題の基本方針
児童の健康及び安全に係る基本的知識、保育実践に係る児童の疾病及びその
予防、事故防止並びに安全管理等についての理解を問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、児童の健康増進を図る保健活動の意義、保育におけ
る環境及び衛生管理並びに安全管理について理解しているかという点のほか、
母子保健対策、他職種との連携等に関しても配慮が必要である。
第2 出題範囲
平成15 年通知別紙に定める教科目「子どもの保健」及び「子どもの健康と
安全」の内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 子どもの疾病、事故等の予防及び適切な対応について、保育の実際におい
て起こりうる事項に関して出題することが望ましい。
2 一人一人の子どもの保健とともに、集団の場における保健的対応及び対策
についても問わなければならない。
3 保育の心理学及び子どもの食と栄養の出題と十分関連をとって出題する。
4 出題範囲の改正に伴う経過措置として、当分の間、子どもの保健の出題に
ついては、改正前の出題範囲となっている内容を理解していることを前提と
した出題とする。
子どもの食と栄養
第1 出題の基本方針
子どもの食生活及び栄養に関する基本的知識並びに保育実践に係る食育の
基本及び内容についての理解を問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、子どもの健康な生活の基本としての食生活の意義、
栄養の基本的概念、調理の基本、年齢及び発達過程における食生活について理
解しているかという点のほか、食に係る特別な配慮を有する子どもへの対応、
食を通した保護者への支援及び現代社会における食生活の課題に関しても配
慮が必要である。
第2 出題範囲
平成15 年通知別紙に定める教科目「子どもの食と栄養」の内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 子どもの食及び栄養に関する適切な対応について、保育の実際において
必要な事項に関して出題することが望ましい。
2 子どもの保健の出題と十分関連をとって出題する。
保育実習(保育実習理論及び保育実習実技)
第1 出題の基本方針
保育に関する教科目全体の知識・技術を基礎とし、子どもの保育及び保護者
への支援について総合的に理解し、実践する応用力を問うことを基本とする。
保育実習理論については、保育所を含む児童福祉施設の役割や機能について、
また、保育士の職業倫理、資質の向上等について具体的に理解しているかとい
う点のほか、保育実践に係る計画及びその評価並びに児童福祉施設における子
どもの生活及び援助活動に関しても配慮が必要である。
第2 出題範囲
A 保育実習理論
平成15 年通知別紙に定める教科目「保育内容の理解と方法」、「保育内容総
論」、「保育内容演習」、「保育実習Ⅰ」、「保育実習指導Ⅰ」、「保育実践演習」、
「保育者論」、及び「保育の計画と評価」の内容とする。
B 保育実習実技
1 音楽に関する技術
課題に対する器楽・声楽等
2 造形に関する技術
課題に対する絵画・制作等
3 言語に関する技術
課題に対する言葉に関する遊びや表現等
第3 出題上の留意事項
1 保育に関する知識及び技術並びに受験者の思考力及び創意工夫が総合
的に把握されやすい内容を選択する。
2 子どもの保育の実際において、必要度及び活用度の高い内容を重視する。
3 子どもの遊びを豊かに展開するための技術及びその応用力についても
考慮する。
4 保育実習実技の受験者が多い場合、多人数が同一条件のもとに受験でき
るよう配慮する。
2022年3月25日 発行 初版
bb_B_00173150
bcck: http://bccks.jp/bcck/00173150/info
user: http://bccks.jp/user/150447
format:#002y
Powered by BCCKS
株式会社BCCKS
〒141-0021
東京都品川区上大崎 1-5-5 201
contact@bccks.jp
http://bccks.jp
「資格試験のペネトレイト」で医療・介護・福祉の仕事に携わる方に必須の資格取得のお手伝いをしています。 私は、薬剤師、社会福祉士、介護支援専門員の免許を持っていますが、現在は薬剤師の仕事に従事しています。 資格試験合格のノウハウは1つ、シンプルな学習が大切、そのための教材を公開しています。 ホームページ「資格試験のペネトレイト」http://penetrateblog.com/に教材の販売コーナーと無料の問題集を集めた棚を提供しています。 私と一緒に資格試験合格を目指しましょう。