───────────────────────
───────────────────────
本書について
1章 保育の心理学
2章 保育原理
3章 子ども家庭福祉
4章 社会福祉
5章 教育原理
6章 社会的養護
7章 子どもの保健
8章 子どもの食と栄養
ガイドライン
保育士試験 合格のための重要事項短文集 暗記BOOK
ー試験合格には「短文で正しい知識」を身につけることが大切!ー
本書について
本書は、保育士試験の筆記試験によく出題される事項を集めています。
毎年出題される問題の半数以上は過去に出されている内容と同じです。保育士試験の合格ラインは7割以上の正解です。過去の問題をしっかり理解していると、7割以上の点数を取ることができます。ただ、注意しないといけないのは、同じ文章で問いかけているとはかぎらないです。そこで大切なのは、短い文章で正しい内容をしっかりと覚えることが大切です。
短い文章ですので、毎日50の文章を覚えると1月ですべて暗記できます。
読むことにあわせて、耳を使っての短文記憶の努力をされると、さらに短い日数でしっかり暗記することができます。
付属教材として音声テキストを準備していますのでご利用ください。
あとは過去問題集を手に入れて解いてみましょう。問題はスラスラ解けるような感じがします。出題者のワナにはまることがなくなるまで繰り返し過去問題を解いてください。
当社のホームページ(http://penetrateblog.com/)に問題を集めた本棚を準備しています。無料で利用できますので、ぜひトライしてください。すべての問題で合格(7割以上正解で合格)できたら試験に合格できると思います。
1章 保育の心理学
1.保育と心理学(1)
☐ 1.「親となる」ことで、視野が広がり、多角的なものの見方ができるようになる。
☐ 2.人生の出来事や移動などによって環境が変わることを、環境移行という。一般に変化の幅が大きいほど不安や混乱は大きくなる。
☐ 3.人の生涯発達とは、「受精してから死に至るまでの心身の変化」のことを指す。その過程は常に上昇的なものではなく、停滞したり、ときに後退したりする。
☐ 4.環境や価値の意味は、人間の心の働きによって生まれるものではなく、環境自体が持っているものだという理論をアフォーダンスという。持つ、与えるという動詞をギブソン(Gibson,J.J.)が名詞形にした造語である。
☐ 5.ボウルビィ(Bowlby,J.は、人間の母と子が親密な関係を持ち、相互に満足する関係を継続して保つことが精神衛生の基本的なものであるとした。アタッチメント(愛着)理論についてで、提唱した。
☐ 6.エリクソン(Erikson,E.H.)の発達段階説では、「基本的信頼」とは、養育者や周りの大人への信頼感のことである。基本的信頼は誕生から育つ過程で、「困ったときも誰かが助けてくれる」と感じる経験を積み重ねることによって得られる。
☐ 7.メタ認知とは、「認知することをより高い視点から認知する」ということである。幼児期後期から発達する。
2.保育と心理学(2)
☐ 8.保育者としては、遺伝的要因と環境的要因のどちらかのみで発達をとらえるのではなく、相互が作用し合うものとしてとらえることが望ましい。
☐ 9.乳児は、愛着(情緒的な絆)対象である養育者(特定の大人)を安全基地とし、安心感を得ることで、積極的に探索活動をすることができる。
☐ 10.幼児期になると、目の前にいなくても養育者のイメージを想起することによって、安心感を得ることができるようになる。この場合の幼児の持つ養育者(愛着対象)のイメージを、内的ワーキングモデルという。
☐ 11.一人ひとりの幼児が主体性を発揮することによって、ときに葛藤が生じることもある。葛藤は、自己抑制と自己主張のバランスを、自己調整することである。幼児期の葛藤は、自己調整を学ぶ機会となる。
☐ 12.ローレンツ(Lorenz,K.Z.)は、乳児の身体に比して大きな頭、顔の中央よりやや下に位置する大きな目、丸みを持ったからだつきを幼児図式(ベビースキーマ)と呼ぶ。養育行動を引き出す効果がある。
☐ 13.他者理解・共感とは、他者の行為を認めるだけでなくその背後にある思考や感情などについて気づき、理解する力である。
☐ 14.自己統制能力は、自分の思考や感情を客観的にとらえ、自他を正当に比較し、他者の立場を推測できる能力である。
☐ 15.子どもは、大人によって生命を守られ、愛され、信頼されることにより、情緒が安定するとともに人への信頼感が育つ。この関係を起点として、次第に他の子どもとの間でも相互に働きかけ、関わりを深め、人への信頼感と自己の主体性を形成していく。
3.発達の理論
☐ 26.ポルトマン(Portmann,A.)は、人間は未成熟な状態である生理的早産の状態で生まれるとした。
☐ 27.人間に特有の出生時の特徴は、二次的就巣性と呼ばれている。高等哺乳類は離巣性を特徴とするが、人間の場合、感覚機能は母胎内で発達し、運動機能は誕生後に発達するという二次的就巣性を特徴とする。
☐ 28.ブロンフェンブレンナーは、子どもを取り巻く環境は、子どもを中心とした同心円の構造になっていると考えた。
☐ 29.ブロンフェンブレンナーは、子どもが直接触れ合う関係(子どもと親、子どもときょうだい、子どもと保育士など)を、マイクロシステムと呼んだ。マクロシステムは、信念体系や価値観、法律、文化などの社会的文脈のことを指す。
☐ 30.ジェンセン(Jensen,A.R.)は、人の心身の特質の発達には環境も遺伝も相互に関連すると唱えた。心身の諸特質の遺伝的可能性が現れるのに必要な環境条件は、その特性により異なり、固有な一定の水準(閾値)がある考え方を環境閾値説という。
☐ 31.発達とは、常に前進していくものではなく、病気や加齢、心理的ショックなどにより、衰えや一時的退行が起こることも発達の一部である。前進し続けることだけが発達ではない。
☐ 32.学習を可能にし、成立させるために必要な発達の素地を、レディネスという。ゲゼル(Gesell,A.)は、レディネスに相応する課題を与えるという考えを示した。
4.認知の発達
☐ 33.ピアジェ(Piaget,J.)は、認知発達理論を唱えた。
☐ 34.発ヴィゴツキー(Vygotsky, L.S.)は、発達の最近接領域を唱えた。
☐ 35.子どもの認知発達には、自力で遂行可能な現在の発達レベルと、大人や仲間の援助を必要とする潜在的な発達レベルがある。子どもの認知発達における2つのレベルの間の領域を、発達の最近接領域という。
☐ 36.ピアジェのいう前操作期とは、2~7歳頃を指す。さらに、その前半を前概念的思考段階、後半を直観的思考段階と分けた。
☐ 37.ピアジェの分類による前操作期の子どもは、時間の経過や見かけの変化に惑わされやすいという特徴がある。前操作期の子どもは、思考が知覚に支配されているため、見かけに着目しやすい。また、客観的にとらえることができず、自己中心性を特徴とする。
☐ 38.数えていった最後の数がその集合の大きさを表わすことを「基数の原理」という。「計数」は、「数を数えること」を指す。
☐ 39.パブロフが発見した「梅干しを思い浮かべただけで唾液が出てくる」というような認知メカニズムを、レスポンデント条件づけという。口に入れなくてもその味をすでに経験しているので、思い浮かべただけで唾液が出る。これをレスポンデント条件づけ(古典的条件付け)と呼ぶ。
☐ 40.ピアジェによると、幼児期は「すべての物に生命がある」という考えを持つことがあるという。それをアニミズムと呼ぶ。
5.言葉の発達
☐ 41.聞かれたものを指差して答える可逆の指差しのことを、「応答の指差し」とよぶ。「応答の指差し」は、相手の意図を受け取って応える指差しであり、言語獲得の基盤として大切である。
☐ 42.話し言葉の基となる発声は、生後4か月頃から現れる喃語にみられる。生後1~2か月頃から現れる発声は、クーイングという。
☐ 43.子音と母音が繰り返される反復喃語(規準喃語)を発するようになるのは、6~7か月頃である。喃語(不完全喃語)は、4か月頃から発する。
☐ 44.初語は1歳頃にみられる。これらは「マンマ」「ブーブー」など発音しやすい言葉で、身近な人や物に関わる名詞が多い。
☐ 45.ヴィゴツキーによれば、活動に熱中しているときに発する子どもの「独り言」は、思考のための言葉である「内言」への移行途中のものである。幼児期の独り言は、コミュニケーションのための言語である「外言」から、思考のための言語である「内言」への移行途中の「不完全な内言」であるとした。
☐ 46.3歳頃に物や場所の取り合いによるトラブルが多いのは、自分の思いを言葉で表現することが十分にできないからである。
☐ 47.親しい人との対話を通して交わされる言葉を、一次的言葉という。具体的な事柄について目の前の他者と会話する言葉を一次的言葉という。幼児期から学童期には、不特定多数の他者へ向けた二次的言葉へ移行する。
6.社会性の発達
☐ 48.あやすと笑うなど社会的な意味を持った微笑は、社会的微笑は、周囲からの働きかけに応じた反応である。
☐ 49.6か月頃から8か月頃の時期は、人見知りが激しくなる。見慣れた人と見知らぬ人を区別したり、見知らぬ人が関わろうとすると顔をそむけたり泣き叫んだりすることは人見知り、または8か月不安という。
☐ 50.社会的参照(ソーシャルリファレンシング)とは、ヒトが表情や視線から様々な情報を得る行動のことをいう。乳児は、9か月頃から自分の行動の指針として、他者のまねをするようになる。
☐ 51.5歳頃になると、他人の役に立つことを嬉しく感じるようになる。他人の役に立つような行動を自発的にする向社会的行動がみられる。
☐ 52.ごっこ遊びができるようになるには、象徴機能の発達が必要である。象徴機能とは、例えば葉っぱをお皿に見立てることができる能力のことである。象徴機能の発達によって、ごっこ遊びが可能になる。
☐ 53.乳児は、大人の話しかけに合わせて自分の身体を動かす。コンドン(Condon,W.S.)とサンダー(Sander,L.W.)は、乳児が大人の話しかけに合わせて自分の身体を動かすことを、エントレインメントといった。
☐ 54.役割取得とは、他者の立場に置かれた自分を想像することで、他者の意図や感情を推察することである。役割取得能力は、道徳判断の発達とも関連する。
7.子どもの精神保健
☐ 55.反応性愛着障害は、ネグレクトや虐待などにより、特定の養育者との間に愛着関係が形成できなかったことによる障害である。
☐ 56.注意欠如・多動症(ADHD)の子どもは、保育者の話をさえぎり他の子どもに話しかけたり、話の途中で答えを言ったりする事がある。注意欠如・多動症(ADHD)の子どもは、注意を持続させたり、集中したりすることが難しい。多くは4歳頃に症状が現れる。
☐ 57.見知らぬ大人になれなれしくしたり、給食を大量に食べたり、常に衣服が汚れていたり、不自然な部位にあざがみられる場合、虐待されている子ども(被虐待児)のサインとなる場合がある。
☐ 58.言葉の発達は正常であるにもかかわらず、特定の場面(例えば保育所)で話せないでいる状態は、選択性緘黙(かんもく)が疑われる。
☐ 59.吃音は言葉の開始時に、最初の音を何回も速く繰り返す、次の音が出ないなど流暢に話せない状態を指す。
☐ 60.突発的、急速に繰り返される不規則な瞬きや咳払いをすること、体の一部あるいは全身が不随意に瞬間的に動いてしまうのは、チックの症状である。
☐ 61.突然理由もなく、動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作を起こし、そのために生活に支障が出ている状態はパニック症である。
☐ 62.うつ病は、1日中気分が落ち込んでいるといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じる病気である。
☐ 63.「心の理論」とは、他者には自分の知っていることと異なる信念があるとわかることである。自閉症児は、心の理論の獲得が困難であるという指摘もある。
8.生涯発達(1)
☐ 64.NICU(新生児集中治療室)入室などによる産後の長期の母子分離は、母親の産後うつ病の危険因子になる。低出生体重児の出生や、NICU入室などによる長期の母子分離は、産後うつ病を引き起こす可能性がり、危険因子であるといえる。
☐ 65.胎児は、指しゃぶりなどの反射運動をすでに始めている。胎児期から、新生児と同じようないくつかの行動を見ることができる。
☐ 66.原始反射とは、生命維持のために必要な、出生直後からみられる適切な行動である。原始反射は脳の発達に伴いみられなくなり、代わりに随意運動が活発になる。正常な発達をしている場合は生後数か月のうちにみられなくなる。
☐ 67.吸啜反射は、食行動の一つの基礎である。吸啜反射は、新生児が栄養補給するための反射行動である。
☐ 68.新生児が足裏の外側面に刺激を受けたときに、足の親指が反り返ったり、他の4本の指が扇状に開いたりする反射を、バビンスキー反射という。
☐ 69.原始反射には、吸啜反射、口唇探索反射、把握反射、モロー反射、バビンスキー反射などがあり、消様々な種類の原始反射は、失時期はそれぞれ異なる。
☐ 70.ローレンツは、特定の時期に特定の刺激によって生じた反応が、反復的な学習・経験・報酬がなくても一貫して生じ半永久的に消失しない現象を刷り込み(インプリンティング)という。
9.生涯発達(2)
☐ 71.新生児の段階では、0.01程度の視力であり、生後半年頃に0.1程度、3歳頃には1.0程度に発達する。
☐ 72.アイ・コンタクトは、生後2か月頃から人との間で目が合うようになることで、視線接触ともいう。アイコンタクトは、二者が関係を持ち、二者間で気持ちが通じ合うことの一つの確かな指標となるものである。
☐ 73.新生児が大人の話しかけに同期して自分の体を動かす現象は、エントレインメントと呼ぶ。
☐ 74.クーイングは、新生児の喃語の前の段階の発声である。
☐ 75.乳児の泣きや怒りをおさめ、おだやかな状態を回復するための手立てとして役立つものは、タッチング(スキンシップ)である。タッチングは皮膚接触、皮膚関係とも呼ばれ、乳幼児に対する頬ずりや抱くなどの行為を指す。対人関係や性格形成に必要不可欠な要素とみなされている。
☐ 76.探索活動は、新奇性、複雑性、意外さ、変化や不調和などにより活性化する。
☐ 77.新生児は、大人と同じような表情を示すことがある。新生児が無意識的にする模倣のことを新生児模倣または共鳴動作という。乳児期後期に、意図的な模倣が出現するとともに消失する。
☐ 78.0歳後半には、共同注意ができるようになる。共同注意とは、視線や指差しについて、何を見たり指したりしているのかを相互了解することであり、生後8~9か月頃からみられるようになる。
10.生涯発達(3)
☐ 79.生後8~12か月頃には、目の前から見えなくなると自分から捜したり手を伸ばしたりする(物の永続性の理解の成立)。
☐ 80.生後3か月頃になると、自分の手を目の前にかざしてじっと見つめるハンドリガードがみられる。ハンドリガードにより、自分の見ている手が自分で動かしている手であることに気づき、身体感覚と結びつけることで身体的自己を発見する。
☐ 81.乳児でも、他児に対して興味を示す。生後3か月の乳児でも、他児に対して興味を示すことがわかっている。乳児は相互交渉まではできないが、他児に対して、じっと見たり、発声したり、微笑したり、接触したりする。
☐ 82.ルイス(Lewis,M)は、誕生時には「充足(満足)、興味、苦痛」の原初的感情を持って生まれるという説を唱えた。原初的感情に加えて、生後3か月頃までの「喜び、悲しみ、嫌悪」、6か月頃までの「驚き、怒り、恐れ」の感情を合わせて一次的感情と定義した。
☐ 83.1歳3か月頃から2歳未満の時期に、歩き始め、手を使い、言葉を話す、とともにつまむ、めくる、はずすなどの細かい手の動き(微細運動)ができるようになる。
☐ 84.1歳以上3歳未満児では、便器での排泄になれ、自分で排泄ができるようになることをめざす。排泄の身体的機能が整うのはおおむね2歳前後である。 トイレットトレーニングは身体の排泄にかかわる機能の成熟状況をみて行うべきである。
☐ 85.2歳頃になると、自分を強く主張するようになる。自己意識の高まりとともに、「自分で」「○○ちゃん(自分の名前)がやる」など、自己主張が強くなる。
11.生涯発達(4)
☐ 86.2~3歳児では、平行(並行)遊びにあたる状況が多い。4~5歳になるとよくみられる役割分担のある活動は、無理に促す必要はない。
☐ 87.パーテンは、社会性の発達の面から子供の遊びを6段階に分類した。何もしていない行動、ひとり遊び、傍観者的行動、平行(並行)遊び、連合遊び、協同遊びの6つに分類した。
☐ 88.一人遊びは、周りに他児がいても一人で遊ぶ様子である。5歳児でも活動内容によっては見られる。
☐ 89.4歳頃になると、全身のバランスを取る能力が発達し、体の動きが巧みになってくる。スキップや片足跳びをするなど体の動きが巧みになってくるとともに、運動量も増えてくる。
☐ 90.4歳頃になると、他者の心の状態について推測することができるようになる。相手の心の中を推察したり、他者が自分とは異なる意識を持つと考えることができたりする能力を心の理論という。
☐ 91.心の理論の獲得を調べるためには、誤信念課題が用いられる。誤信念課題とは、ある事象を見た人とそれを見ていない人との心的な差異はどのようなものかを答える課題である。「サリー・アン課題」が有名。
☐ 92.自分がやりたいことと仲間のやりたいこととのぶつかり合いを、対人葛藤という。2~3歳頃では平行遊びが多いが、4~5歳頃になり活発なやり取りで遊ぶようになると、自分と仲間のやりたいこととのぶつかり合いを経験することになる。
12.生涯発達(5)
☐ 93.3歳以上の幼児は、いろいろな遊びを楽しみながら物事をやり遂げようとする気持ちをもつ。
☐ 94.4歳頃になると、ようやく、他者から見た自分に気づくようになる。なお、他者の視点から考えることができるようになるのは7~8歳頃である。
☐ 95.2歳頃から、ごっこ遊びがみられるようになる。3歳頃には、注意力や観察力、記憶力が発達し、日常の経験を再現するなど、遊びに発展性がみられる。
☐ 96.学童期の仲間は、観察学習のモデルとして相互に影響を及ぼし合う存在である。学童期の仲間関係は、見本(モデル)の行動やその行動の結果を観察することで学ぶ観察学習(モデリング)のモデルとして社会的相互作用を行う。
☐ 97.男児に行動力や力強さ、女児にしとやかさやていねいさを求めるような、性別に沿った役割が期待されることを性役割期待という。性役割期待は、男女それぞれに対する心理・社会・文化的な面での役割や特徴に基づいて周囲が個人にもそれに沿った言動を期待することである。
☐ 98.小学校1~2年生にあたる低学年で、ピアジェの発達理論における具体的操作期に入るので、その年齢から具体的な事物については、論理的思考ができるようになる。
☐ 99.学童期は、競争意識や共同(協同)意識が高まる。ドッジボールやサッカーなどのスポーツを好むようになる。
13.生涯発達(5)
☐ 100.「不登校」とは、何らかの心理的要因により児童生徒が登校しない、あるいはしたくともできない状況のことを指す。文部科学省は、心理的、情緒的要因の他に、身体的あるいは社会的要因・背景も要因の一つであると定義している。
☐ 101.大人のアタッチメント(愛着)の個人差の測定方法には、アダルト・アタッチメント・インタビューがある。成人の語りに基づいてアタッチメントを測定・分類する半構造化面接法であり、成人期のアタッチメント測定に広く用いられている。
☐ 102.青年期は、自己の内面に目を向け、親との心理的離乳を図る。青年期は、アイデンティティ(自己同一性)確立の時期であり、身体的心理的に成長するとともに、親からの心理的離乳を図る時期である。
☐ 103.モラトリアムとは、アイデンティティが確立しておらず模索している段階のことで、社会的責任や義務が生じていない、または回避している時期となる。
☐ 104.高齢期であっても幸福感を維持したり、上昇させたりする人はいる。老化が幸福感を低下させるわけではない。
☐ 105.青年期に特徴的な友人関係をプア・グループという。学童期から青年期にかけて、ギャング・グループ、チャム・グループ、プア・グループヘと発達する。
☐ 106.子どもが巣立つ時期には、親は、子どもとの関係と夫婦間の関係を再構築することが課題となる。例えば、子育てだけに力を尽くし、子育てが終わった後に他にやるべきことが見いだせずに抑うつ状態になってしまうことを、空の巣症候群という。
14.保育実践
☐ 107.保育所は、「全体的な計画」を作成しなければならない。「全体的な計画」は、入所から就学までの全期間に保育の目標達成のため、どのような道筋をたどり、養護と教育が一体となり進めていくかを示すもの。
☐ 108.保育士には、児童福祉法で守秘義務が課せられている。第18条の22に「正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保育士でなくなった後も、同様とする」とある。
☐ 109.保育所は、虐待のリスク要因を発見しやすい場であるので、虐待の疑われるケースを発見した保育士は、保育所職員や児童相談所と相談し、連携しながら、適切な対応をとるべきことが保育所保育指針に示されている。
☐ 110.保育所での親子分離援助の一つとして、1日の流れをスクリプトとして理解することを促すことがあげられる。スクリプトとは、「日常生活で起こり得る状況を理解し、適切にふるまう定型化された知識」のことである。
☐ 111.スクリプト獲得の方法として、子どもの発達に合わせて1日の活動の流れや時間の区切り等を、視覚的に示すことが効果的である。
☐ 112.保育をとらえる方法としては、「場面を特に限定せずそこでおこっている心がひきつけられる出来事をできるだけそのままに感じる」やり方の自然的観察法のほか、保育の場でも、仮説を立てたり、条件をできる限り統制したりする実験的観察法も用いられる。
☐ 113.一人一人の子どもに「どのような」支援や配慮が必要となるか、保育所で蓄積した情報を小学校に送付する資料は、「保育所児童保育要録」である。
☐ 114.原始反射とは、生命維持のために必要な、出生直後からみられる適切な行動である。
ロ 115.新生児が無意識的にする模倣を、新生児模倣または共鳴動作という。
ロ 116.ヴィゴッキーは子どもの独り言(独語)は、外言が内言になる移行過程であるととらえた。
ロ 117.平行(並行)遊びとは、ほかの子どものそばで同じ遊びをしているが、互いに交渉はしない遊びである。
ロ 118.他者には、自分とは異なる信念があるとわかることは、心の理論の獲得である。
ロ 119.子ども同士のいざこざは、社会的スキルを獲得するための重要な要素となる。4~5歳になると子ども同士での解決も多くなる。
☐ 120.ヒトが、表情や視線から様々な情報を得る行動のことを、社会的参照という。
ロ 121.学童期の中・高学年がつくる凝集性・結束力の高い閉鎖的なグループを、ギャング・グループという。
2章 保育原理
1.保育の理念と概念
☐ 1.保育士は、保育士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。児童福祉法第18条の21に定められている。第18条の22には守秘義務について、第18条の23には名称独占について記載されている。
☐ 2.保育所の特性は、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うことである。
☐ 3.保育所保育指針の保育所の役割より、子どもの最善の利益を考慮しその福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場でなければならない。
☐ 4.2019(令和元)年10月から3~5歳までの無償化がスタートした。0~2歳までの子どもは、住民税非課税世帯を対象として利用料が無償となった。
☐ 5.日本の保育所での障害児保育は、1974(昭和49)年に策定された「障害児保育事業実施要綱」により、障害児の受け入れが開始され、1978(昭和53)年の通知で対象が拡大された。
☐ 6.「児童の権利に関する条約」は、大きく4つの柱を中心に構成されている。「児童の権利に関する条約」は、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利の4つの権利を中心に構成されている。
☐ 7.「児童は人として尊ばれ、社会の一員として重んぜられる」は、「児童憲章」の記述で、日本で1951年5月5日に宣言された。「児童の権利に関する条約」は1989(平成元)年に国際連合が採択し、日本は1994(平成6)年に批准した。
2.保育の社会的意義と法制度
☐ 8.保育所保育指針には、保育所に入所している子供の就学に際し、子供の育ちを支える資料を小学校へ送付するように記されている。保育所は保育所児童保育要録、幼稚園は幼稚園幼児指導要録、幼保連携型認定こども園は幼保連携型認定こども園園児指導要録を小学校へ送付する。
☐ 9.保育所は地域の住民に対し情報の提供を行い保育に支障がない範囲で乳幼児等の保育に関する相談に応じ助言に努めなければならない。児童福祉法第48条の4や保育指針第4章3に地域の保護者等に対する子育て支援を行い、地域に開かれた保育所としての存在が求められている。
☐ 10.児童福祉法では、児童が健やかに養育されるために、国や地方公共団体による保護者への支援が求められている。2016(平成28)年6月3日より第3条の2が追加され、家庭における児童の心身ともに健やかな養育のため、国及び地方公共団体による児童の保護者への支援の必要性が示されている。
▢ 11.地域型保育事業は、小規模保育、家庭的保育、事業所内保育、居宅訪問型保育の4つに分類され、0~2歳児の保育を拡充するため設けられた。
▢ 12.児童虐待の防止等に関する法律では、児童が同居する家庭の配偶者に対する暴力も虐待行為であるとしている。第2条第4号「児童虐待の定義」に記載されており、児童への直接的な暴力でなくても虐待行為となる。
▢ 13.児童福祉法によると、児童は満18歳に満たない者とし、満1歳未満を乳児、就学前までを幼児、就学から18歳までを少年とする。
▢ 14.2015(平成27)年に開始された「子ども・子育て支援新制度」では、保育の必要性に応じ1~3号認定の区分が設けられた。施設型給付(認定こども園・保育所・幼稚園)と地域型保育給付(小規模保育・家庭的保育・居宅訪問型保育など)に分け、財政支援を簡素化した。
3.保育の基本と環境
▢ 15.認定こども園は、① 幼保連携型認定こども園、② 幼稚園型認定こども園、③ 保育所型認定こども園、④ 地方裁量型認定こども園の4つに分類されている。
▢ 16.認定こども園は、施行5年の2011(平成23)年では762か所で、「子ども・子育て支援新制度」が施行された2015(平成27)年に2000か所を超えた(2836か所)。2020(令和2)年4月には8016か所となった。
▢ 17.幼稚園の職員配置基準よると、保育士は、0歳児3人、1~2歳児6人、3歳児20人、4~5歳児30人に対して、それぞれ1人以上の配置が必要である。
▢ 18.認定こども園の4つの類型のうち、幼保連携型認定こども園で保育を行う者を保育教諭と呼び、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方の資格が必要である(2024年度末まで特例措置有)。
▢ 19.保育においては、一人一人の子どもの状況や家庭及び地域社会での生活の実態を把握しながら、保護者の意向を理解・受容して保育をすすめていく必要がある。
▢ 20.幼児教育を行う施設においては、生涯にわたる生きる力の基礎を培うため、3つの資質・能力を一体的に育むように努めている。「知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力等の基礎」「学びに向かう力、人間性等」の3つの資質・能力を掲げている。
▢ 21.保育所保育指針の養護に関する基本的事項には、「生命の保持」と「情緒の安定」のねらい及び内容が記されている。養護に関わるねらい及び内容として、「生命の保持」と「情緒の安定」について、それぞれ4項目定められている。
4.子どもの発達と保育の内容
▢ 22.「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、10の姿から構成されており、保育士等が指導を行う際に考慮するものである。
▢ 23.乳児期の発達については、特定の大人との応答的な関わりによって情緒的な絆が形成される。
▢ 24.乳児保育に関わるねらい及び内容は、身体的発達「健やかに伸び伸びと育つ」、社会的発達「身近な人と気持ちが通じ合う」、精神的発達「身近なものと関わり感性が育つ」の3つである。
▢ 25.障害の有無にかかわらず、すべての子を包括、包含する保育を包含保育(インクルーシブ保育)という。
▢ 26.「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」には、ア.健康な心と体、イ.自立心、ウ.協同性、エ.道徳性・規範意識の芽生え、オ.社会生活との関わりなどがある。加えて、力.思考力の芽生え、キ.自然との関わり・生命尊重、ク.数量や図形・標識や文字などへの関心・感覚、ケ.言葉による伝え合い、コ.豊かな感性と表現がある。
▢ 27.3歳以上児の保育では、個々の興味や特性も踏まえながらではあるが、個の成長と集団としての活動が充実するよう働きかける必要がある。
▢ 28.保育所保育指針に、「在園時間が異なることや、睡眠時間は子どもの発達状況や個人によって差があるため、一律とならないよう配慮する」とある。
5.保育士の専門性
▢ 29.保育所保育指針には、保育士の社会的責任や、施設の長の責務について記されている2009(平成21)年4月施行から法的拘束力を持つようになっている。
▢ 30.保育士には、プライバシーの保護、知り得た事柄の秘密保持義務があり、相談者の了解を得る必要がある。
▢ 31.保育者は自然災害等に備え、日頃から保護者や地域との連携を構築しておく必要がある。連絡体制や引渡し方法等について確認することが保育所保育指針に示されている。
▢ 32.保育所での保護者支援は重要であり、保育所における保護者支援は、保育士が果たすべき業務である。
▢ 33.保育所保育指針は、2008(平成20)年の改定から「保護者に対する支援」の章が加わり、保護者支援の重要性が高まってきている。更に2017(平成29)年告示では、同章を「子育て支援」に改め、いっそうの充実が図られた。
▢ 34.全国保育士会倫理綱領には、保育者のチームワークの重要性が掲げられている。倫理綱領には全8つの内容が掲げられている。保育実践においては子どもの情報の引き継ぎや保育者間の連携が重要となる。
▢ 35.保育士には、子ども同士だけでなく子どもと保護者の関わりに対しても、見守りながら適宜必要な援助をしていく関係構築の技術が求められる。
6.保育の目標
▢ 36.長時間にわたる保育においては、その内容や方法、職員協力体制、家庭との連携などを指導計画に位置付けることとしている。長時間保育においては、子どもの発達過程、生活リズム及び心身の状態なども考慮しながら活動と休息、緊張感と解放感などの調和も考慮する。
▢ 37.3歳未満児の指導計画に関しては生育歴、心身の発達や活動の実態に即して、個別的な計画の作成が必要不可欠である。
▢ 38.保育計画は、子どもの実態や子どもを取り巻く状況の変化などに即して保育の過程を記録し、計画に基づく保育の内容の見直しを行い、改善を図る必要がある。
▢ 39.乳児保育における「健やかに伸び伸びと育つ」のねらいとして、「食事、睡眠等の生活のリズムの感覚が芽生える」ことが示されている。他に「身体感覚が育ち、快適な環境に心地よさを感じる」や「伸び伸びと体を動かし、はう、歩くなどの運動をしようとする」ことが示されている。
▢ 40.入所している子どもに虐待が疑われる場合、児童虐待の通告義務は、守秘義務より優先される。
▢ 41.保護者からの子育て相談に対する助言は、相互理解に努めながら、保護者一人一人の自己決定を尊重する。保育士は、一方的な助言を避け、保護者との信頼関係を基盤にしながら、まず気持ちを受け止めることが大切である。
▢ 42.食育への取り組みでは、食物アレルギーや体調不良、障害のある子どもなど、特別な配慮をしながら食育に取り組む必要がある。
7.保育の実際
▢ 43.保育所の指導計画は、子どもの生活の連続性、季節の変化などを考慮し、発達過程を見通して行われるものである。
▢ 44.2017(平成29)年告示の保育所保育指針には、災害への備えという項目が加わり、災害から子どもを守る役割が明記された。災害の発生時に備え、緊急時の対応の具体的内容や手順、職員の役割分担、避難訓練計画に関するマニュアルを作成することなどが明記されている。
▢ 45.乳児期からの食習慣の形成は重要ではあるが、食べる喜びや楽しさを味わい、進んで食べようとする気持ちが育つように援助することが大切である。
▢ 46.1~3歳未満児の保育においては言葉での伝え合いができるようになるために、気持ちや経験等の言語化を行うことを援助するなど、子ども同士の関わりの仲立ちを行うことが重要である。
▢ 47.障害のある子どもの指導計画は、その子どもの発達の状況や日々の状態によっては、指導計画にとらわれず、柔軟に保育する。
▢ 48.指導計画では、保育所の経験が小学校の生活や学習につながるよう、小学校との連携に留意する。保育所の子どもと小学校児童の交流、情報共有など小学校との積極的な連携を図るよう配慮する。
▢ 49.小学校との連携においては、小学校教師との意見交換や合同の研究の機会などを設けることも、円滑な接続に重要とされている。「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」や育まれた資質・能力を踏まえ、保育所保育と小学校教育との円滑な接続を図ることが重要とされている。
8.諸外国の保育の思想と歴史
▢ 50.フランスの啓蒙思想家であるルソー(Rousseau,J.-J.は)『エミ-ル』『社会契約論』『人間不平等起源論』を著し、近代教育思想に大きな影響を与えた。ルソーは、「子どもの発見者」とも称され、子どもの持つ善性を活かした消極教育を提唱した。
▢ 51.コメニウス(Comenius,J.A.)は、ルソーよりも100年程前に幼児期の重要性について説き、『母親学校の指針』において家庭教育の重要性を示した。著書に『大教授学』『世界図絵』がある。
▢ 52.ドイツの教育思想家フレーベル(Fröbel,F.W.)は、幼児の遊びを育む道具である「恩物」を考案し、1840年に幼稚園を創設した。
▢ 53.ヤヌシュ・コルチャック(Korczak,J.)の小児科医で児童作家のオーベルラン(Oberlin,J.F.)は、『子どもの権利の尊重』を記し、子どもの権利論者として評価された。
▢ 54.オーベルランはフランスの牧師で、世界初の保育施設をフランスに創設した。
▢ 55.スイスで貧民の子どものために教育を施したペスタロッチ(Pestalozzi.J.H.)は、その実践記録として『隠者の夕暮』などを記している。
▢ 56.クルプスカヤは、ロシアで労働者の子どもたちへの無料の保育所や幼稚園の開設に尽力し、『国民教育と民主主義』などを記した。
▢ 57.モンテッソーリ(Montessori,M.)は、障害児教育の先駆者とされており、「子どもの家」を創設し、『子どもの発見』『幼児の秘密』などを著した。幼児期を敏感期として捉え、独自の教育方法を見出した。この教育方法は現代においてもモンテッソーリ・メソッドとして広く実践されている。
9.日本の保育の思想と歴史
▢ 58.寛雄平は、1890(明治23)年、鳥取の農村に農作業が忙しい期間のみ開設される、季節託児所「農繁期託児所」を設立した。
▢ 59.1890(明治23)年、新潟静修学校では、学校に通う生徒が連れてくる弟妹を預かる施設を付設し、これが託児所の始まりとなった。赤沢鍾美により開設され、やがて働く母親の子どもも預かるようになり、後に「守孤扶独幼稚児保護会」と命名された。
▢ 60.日本最初の幼稚園は1876(明治9)年の東京女子師範学校附属幼稚園。監事に関信三、主任保姆に松野クララ、保姆に豊田芙雄、近藤濱が就任した。
▢ 61.姫路市生まれの野口幽香は、師範学校卒業後から附属幼稚園の教諭として従事していたが、後に二葉幼稚園を開園し、フレーベルの精神を基本とした保育を行った。
▢ 62.石井十次は児童福祉事業に取り組む中で岡山孤児院を創設した。家族制度や里親制度を導入するなど、新しい試みにも積極的だった。
▢ 63.1917(大正6)年に東京女子高等師範学校付属幼稚園主事に就任した倉橋惣三は、ドイツのフレーベルの精神に基づいた保育を進めた。
▢ 64.城戸幡太郎は倉橋の児童中心主義とは異なる、社会協力の精神の重要性を説き、保育問題研究会を設立した。
▢ 65.橋詰良一は、大自然の中で子どもの主体性を大事にした露天保育を考案し「家なき幼稚園」を開設した。
▢ 66.土川五郎は大正・昭和期に幼児期に適した遊戯のあり方を模索、リズミカルな歌曲に動作を交えた「律動遊戯」を考案した。
▢ 67.東基吉は1904(明治37)年『幼稚園保育法』を著した。保育の体系化を図り、あそびの重要性を唱えている。これまでのしつけや作法を主とする保育から、子どもの育ちに合った教材や遊戯に着目したことは現代においても大切な視点である。
10.保育の現状と課題
▢ 68.レッジョ・エミリアの保育とは、イタリア北部のレッジョ・エミリア市発祥の保育実践で、長期にわたるプロジェクト型の保育が展開されている。子どもの関心に合わせて小グループで活動し、教育専門家のペダゴジスタと美術専門家のアトリエリスタが中心となって、それらの活動を支えている。
▢ 69.「子ども・子育て支援新制度」における3つの認定区分では、幼稚園は1号認定、保育所は2・3号認定、地域型保育事業は3号認定が原則利用できる。認定こども園は、すべての子どもが利用できる。
▢ 70.地域型保育事業における小規模保育事業は、小規模保育事業A型はすべて、B型は2分の1以上が保育士資格保有者でなければならない。C型は子育て支援員の研修修了者であればよい。
▢ 71.1999(平成11)年に成立した男女共同参画社会基本法では、家庭を営む男女が、ともに仕事と家事・育児の両立ができる社会の創出を目指している。
▢ 72.認定こども園への入園は、認定こども園と直接契約する。ただし申請先については、1号認定は認定こども園、2・3号認定は市町村である。
▢ 73.地域子ども・子育て支援事業におけるファミリー・サポート・センター事業は、地域の実情に応じた子育て支援のニーズが高まっている。ファミリー・サポート・センター事業では、依頼(援助を受けたい)会員に対する提供(援助を提供できる)会員が不足していることが課題である。
▢ 74.保育者の質の向上のため、保育所においては、体系的な研修計画を作成しなければならない。保育における課題や各職員のキャリアパス等も見据えて、職位や職務内容を踏まえた体系的な研修計画を作成しなければならない。
▢ 75.「児童の権利に関する条約」は、国際連合が1989年に採択し、日本は1994(平成6)年に批准した。
▢ 76.地域型保育事業は、小規模保育、家庭的保育、事業所内保育、居宅訪問型保育の4つに分類される。
▢ 77.乳児保育は、信頼関係や情緒の安定に配慮し、特定の保育士が応答的に関わるよう努める。
▢ 78.モンテッソーリは、知的障害児の教育に携わり、幼児期を敏感期と捉え、モンテッソーリ・メソッドとして実践した。
▢ 79.石井十次は、児童福祉事業に取り組む中で岡山孤児院を創設した。家族制度や里親制度を導入するなど、新しい試みにも積極的だった。
▢ 80.保育所は、家庭や地域の様々な社会資源との連携を図りながら、保護者に対する支援及び地域の子育て家庭に対する支援等を行う役割を担っている。
3章 子ども家庭福祉
1.子ども家庭福祉の歴史的変遷
▢ 1.日本が児童の権利に関する条約を批准した年に、エンゼルプランが始まった。エンゼルプラン(1994年)は少子化対策として策定された子育て支援計画である。その後、新エンゼルプラン(1999年)となり、保育・雇用・母子保健・相談・教育など幅広い項目が盛り込まれた。
▢ 2.保育所は、保育所を利用している保護者と地域の子育て家庭の保護者を対象にした支援を行うこととされている。
▢ 3.小橋勝之助は、1890(明治23)年に博愛社を創設した。
▢ 4.石井十次は、1887(明治20)年に岡山孤児院を創設した。
▢ 5.フランスのエレン・ケイ(Key,E.)は、著書『児童の世紀』の中で「人は子どもというものを知らない」と述べている。
▢ 6.ルソーは、著書『エミール』の中で子どもの生きる権利や可能性について述べている。
▢ 7.知的障害児を対象とした滝乃川学園は、石井亮一が開設した。
▢ 8.高木憲次は整肢療護園を開設した。
▢ 9.糸賀一雄は、1946(昭和21)年に知的障害児施設近江学園を開設し、知的障害児の福祉・教育に一生を捧げた。「この子らを世の光に」を信念に、知的障害児の福祉・教育に一生を捧げた。
▢ 10.わが国最初の託児所といわれる新潟静修学校新潟静修学校は、1890(明治23)年に赤沢鍾美が開設した。
▢ 11.野口幽香は、1900(明治33)年に貧民のための二葉幼稚園(二葉保育園)を創設した。
2.子ども家庭福祉の制度と実施体系
▢ 12.児童虐待防止とDV対策の連携強化のため、児童相談所は、配偶者暴力相談支援センターと連携協力するよう努めなければならない。連携だけでなく、婦人相談所及び配偶者暴力相談支援センターの職員も、児童虐待の早期発見に努めなければならないとされている。
▢ 13.地方公共団体は、要保護児童の適切な保護を図るため、要保護児童対策地域協議会(地域協議会)を設置するよう努めなければならない。平成16年児童福祉法改正法で、支援の実施状況の把握や関係機関等との連絡調整を行う地域協議会を設置し、関係機関等に対して資料や情報の提供、意見の開陳等の協力を求めることができる。
▢ 14.児童相談所が行う児童福祉施設への入所にかかる費用は、都道府県はその費用の全部または一部を保護者から徴収することができる。都道府県は、本人またはその扶養義務者から、その負担能力に応じてその費用の全部または一部を徴収することができる。
☐ 15.児童相談所が被虐待児童を一時保護する場合の費用は、都道府県が負担し、国がこの半分を負担する。
☐ 16.都道府県は、都道府県及び市町村以外の者の設置する保育所における保育費用について、その費用の4分の1を負担しなければならない。
☐ 17.児童福祉法第10条には、市町村が行う児童と妊産婦に関する福祉の業務として、児童及び妊産婦の福祉に関して、「必要な実情の把握に努めること」「必要な情報の提供を行うこと」などが示されている。
☐ 18.市町村は、必要に応じ、子育て世代包括支援センターを設置するように努めなければならない。2016(平成28)年に子育て世代(母子健康)包括支援センターの設置に関する母子保健法第22条の改正が行われた。
3.子ども家庭福祉の実施機関
☐ 19.関係機関は、要保護児童対策地域協議会から資料または情報の提供等、必要な協力の求めがあった場合には、応じるよう努めなければならない。
☐ 20.児童相談所の設置が義務付けられているのは、都道府県と指定都市であり、都の特別区と中核市も設置することができるとされている。
☐ 21.保健所は、地域保健法に基づき設置されている機関である。同法第5条により、都道府県、指定都市、中核市、特別区等に設置義務がある。
☐ 22.全国の児童相談所に寄せられる相談で、最も多い相談内容は養護相談(49.2%)である。次いで障害相談(34.8%)、育成相談(7.8%)の順となっている。近年、養護相談は年々上昇している(令和元年度福祉行政報告例の概況)。
☐ 23.児童相談所には、医師または保健師の配置が義務付けられている。2016年10月1日施行の児童福祉法の改正により、児童の健康及び心身の発達に関する専門的な知識等を必要とする指導のため、義務付けられた。
☐ 24.児童発達支援センターは、児童福祉法第43条で定められた、児童福祉施設である。地域の中核的な療育支援施設として、障害児とその家族のための相談や療育など、総合的な支援を行い、医療型と福祉型の二種類がある。
☐ 25.自立援助ホーム(児童自立生活援助事業)の対象は、児童福祉法第6条の3第1項が改正され、2017年4月1日より「大学等の学生で満22歳に達する日の属する年度の末日までの間にある者」が加えられた。
4.子ども家庭福祉の専門職
☐ 26.児童相談所の所長は、被虐待児童が管轄区域外に移転する場合は、移転先管轄の児童相談所の所長に対し、速やかに必要な情報の提供を行うものとすることと定められている。
☐ 27.家庭支援専門相談員は、乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設に配置されている。母子生活支援施設には、母子支援員の配置がある。
▢ 28.子育て世代包括支援センターには、保健師等を1名以上配置することが記載されている。保健師・助産師等のこれまでの母子保健活動の経験を活かすことで、センターの業務を効果的かつ効率的に展開できるため、配置されている。
▢ 29.民生委員は、児童委員を兼ねる。民生委員は厚生労働大臣より委嘱される。主任児童委員は、児童委員の中から厚生労働大臣によって指名される。(児童福祉法第16条第2項)
▢ 30.里親支援専門相談員は、乳児院及び児童養護施設に配置することができる。
▢ 31.保護司は、法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員である。保護司の委嘱及び保護区の設定は、法務大臣が行う。なお、保護司の数は、全国を通じて5万2,500人を超えないものとされている(保護司法第2条)。
▢ 31.家庭相談員は、福祉事務所の家庭児童相談室に設置され、児童の福祉についての相談援助を行う。
5.少子化と地域子育て支援
▢ 32.保育所の利用要件については、以前は「保育に欠ける」であったが、保育の必要性の認定にかわることで、求職活動や就学、虐待やDVのおそれ等、事由が具体的に示された。
▢ 33.合計特殊出生率は、15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したものである。合計特殊出生率は、1人の女性がその年齢別出生率で一生の間に子どもを産むとしたときの子どもの数に相当する。
▢ 34.「子ども・子育て支援新制度」における総合的な子育て支援の推進に関わる内容の実施主体は、基礎自治体である市町村である。市町村は、地域のニーズを踏まえて計画を策定して、給付などを担う。国及び都道府県は、実施主体の市町村を重層的に支える役割を担う。
▢ 35.次世代育成支援対策推進法では、企業に行動計画の策定を義務付け、国には策定に関する指針を定めることを義務付けている。
▢ 36.次世代育成支援対策推進法で、行動計画の目標達成等、基準を満たした企業は申請により厚生労働大臣の認定である「くるみん認定」を受けることができる。
▢ 37.保育所・幼稚園・認定こども園への給付は、「施設型給付」である。「地域型保育給付」の対象となるのは、小規模保育等である。
▢ 38.育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)では、保育所等に入れない場合、育児休業の再延長が可能となった。育児・介護休業法が改正されて、2017(平成29)年10月から施行となった。子が保育所等に入れない場合、最長2歳まで育児休業の再延長が可能となった。
6.母子保健
▢ 39.市町村は、妊産婦・その配偶者または乳幼児の保護者に対し、保健指導を受けることを「勧奨しなければならない」とされており義務付けではない。
▢ 40.養育支援訪問事業は、養育支援が特に必要な家庭を保健師等が居宅訪問し、養育に関する指導、助言等を行う。児童が家庭復帰した家庭も含まれる。
▢ 41.母子保健法における「妊産婦」とは、妊娠中または出産後1年以内の女子をいう。その他、同法による定義では、「新生児」とは出生後28日を経過しない乳児を指し、「低体重児」とは体重が2,500g未満の乳児をいう。
▢ 42.母子健康手帳は、自分の住んでいる市区町村の役所で交付される。市区町村の役所で「妊娠届」に必要事項を記入して提出すれば、その場で交付される。
▢ 43.1歳6か月及び3歳児の乳幼児健康診査の対象児は、1歳6か月健診が「満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児」、3歳児健診は「満3歳を超え満4歳に達しない幼児」とされている。
▢ 44.子育て世代(母子健康)包括支援センターは、妊娠・出産・子育てに関する各種の相談に応じる機関である。母子保健法の改正により、2017(平成29)年4月から市区町村に子育て世代包括支援センターの設置が努力義務とされ、妊産婦の相談に対応している。
▢ 45.「産前・産後サポート事業」は、妊産婦等が抱える妊娠・出産、子育てに関する悩み等の相談支援を行い、家庭や地域での妊産婦等の孤立感の解消を図ることを目的としている。実施方法は「寄り添い相談に乗り孤立感や育児の不安の軽減等」を目的とするアウトリーチ(パートナー)型、「保健センター等において個別に妊産婦の相談に乗る」デイサービス(参加)型がある。
7.子どもの健全育成
▢ 46.「児童館ガイドライン」には、「遊び及び生活を通した子どもの発達の増進」「子どもの安定した日常の生活の支援」「子どもと子育て家庭が抱える可能性のある課題の発生予防・早期発見と対応」等、5項目が示されている。「児童の一時預かりによる保護」は含まれていない。
▢ 47.放課後児童健全育成事業は、「新・放課後子ども総合プラン」により、放課後子供教室との一体型での実施が求められている。「小1の壁」や「待機児童」を解消するとともに、放課後を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、放課後児童クラブと放課後子供教室の両事業の計画的な整備等が推進されている。
▢ 48.「令和2年放課後児童健全育成事業の実施状況」で、放課後児童クラブの登録児童数は近年増加傾向にある。録児童数は対前年11,701人増加し1,311,008人、クラブ数は対前年744か所増加して26,625か所であり、ともに年々増加傾向にある。
▢ 49.放課後児童クラブの設置・運営主体別クラブ数の状況でみると、公立公営が全体の約30%、公立民営のクラブが約48%、民立民営が約22%を占めている。
▢ 50.放課後児童健全育成事業の対象は、小学校に就学している子どもすべてを対象としている。
▢ 51.放課後児童健全育成事業所を開所する時間は、その地方における児童の保護者の労働時間、小学校の授業の終了の時刻その他の状況等を考慮して、開所時間は事業所ごとに定める。小学校の授業の休業日は「1日につき8時間」、休業日以外は「1日につき3時間」が原則である(放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準第18条)。
8.ひとり親家庭の福祉
▢ 52.2016(平成28)年厚生労働省人口動態統計特殊報告「婚姻に関する統計」の概況によると、婚姻件数に占める再婚の割合は増加している。平成27年では、婚姻件数の26.8%が「夫婦とも再婚又はどちらか一方が再婚」である。子どもを連れて再婚する家族を、ステップファミリーという。
▢ 53.平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要によると、ひとり親自身の平均年間収入、平均年間就労収入は平成23年の前回調査と比較して、母子、父子世帯ともに増加している。平均年間収入は、母子世帯243(前回223)万円、父子世帯420(前回380)万円、平均年間就労収入は、母子世帯200(前回181)万円、父子世帯398(前回360)万円であり、ともに増加している。
▢ 54.母子及び父子並びに寡婦福祉法では、「児童」を20歳未満の者と定義している。なお、児童福祉法では、児童を18歳未満の者と定義している。
▢ 55.母子及び父子並びに寡婦福祉法の改正により、母子自立支援員は、母子・父子自立支援員に改称された。2002(平成14)年の改正により父子家庭も同法の対象とされていたが、2014(平成26)年の改正により母子・父子自立支援員に改称された。
▢ 56.市町村は、保育所に入所する児童を選考するときに、母子家庭等の福祉が増進されるように特別の配慮をしなければならない。
▢ 57.母子生活支援施設は、特別な事情がある場合は子どもが20歳になるまで在所でき、母子家庭の母子を保護し、自立のための生活支援を行う施設である。
▢ 58.児童扶養手当は、父母が婚姻を解消した児童を監護し、生計を同じくする父にも支給される。2010(平成22)年の児童扶養手当法の改正により、父子家庭にも支給されるようになった。
9.児童虐待防止法
▢ 59.学校及び児童福祉施設は、児童及び保護者に対して、児童虐待の防止のための教育又は啓発に努めなければならない。
▢ 60.「虐待を受けたと思われる児童」を発見した者は通告しなければならず、明確な虐待行為の確証は必要としない(児童虐待防止法第6条)。
▢ 61.2019(令和元)年度の児童相談所へ寄せられた児童虐待相談の件数は、調査を開始した1990(平成2)年度より一貫して増加している。2019(令和元)年度の相談件数は、193,780件であり過去最高値となっている(令和元年度福祉行政報告例)。
▢ 62.ここ数年、虐待相談の内容をみると心理的虐待が身体的虐待を上回り、一番高い割合となっている。2013(平成25)年度以降、心理的虐待が一番高い割合を占め、2019(令和元)年度における相談種別の56.3%を占める。
▢ 63.2019(令和元)年度の全国の被措置児童等虐待の届出・通告受理件数のうち、虐待の事実が認められた施設等は、「児童養護施設」が一番多い。一番多いのは、「児童養護施設」50件(53.2%)である。他に、「障害児入所施設等」14件(14.9%)、「里親・ファミリーホーム」11件(11.7%)、「児童相談所一時保護所」11件(11.7%)となっている。
▢ 64.2019(令和元)年度に児童相談所に寄せられた虐待相談の相談経路は、警察等49.8%、近隣知人13.0%、家族親戚8.2%、学校7.2%となっている。
▢ 65.児童の福祉に関する事務に従事する職員は、臨検に際して必要がある場合、家の錠をはずすことができるとしている。児童の福祉に関する事務に従事する職員は、裁判所に許可状を請求し、強制的に立入調査、臨検、捜索を行うことができる。
10.要保護児童の現状と福祉
▢ 66.特別養子縁組の対象となる児童の年齢は、2020(令和2)年4月1日施行の民法の改正により、原則15歳未満まで対象年齢が拡大された。特別養子縁組の場合、実親との親子関係は消滅する。
▢ 67.里親開拓から里親と児童のマッチング、里親に対する訪問支援、里親委託児童の自立支援まで一貫した里親支援は、都道府県(児童相談所)の業務である。2017(平成29)年4月1日施行(平成28年6月公布)の「児童福祉法等の一部を改正する法律」において、明記された(児童福祉法第11条第1項第2号)。
▢ 68.里親委託児童の自立支援計画書は、児童相談所が自立支援計画書を作成し、里親はそれに基づき養育を行う(「里親及びファミリーホーム養育指針(平成24年3月)」)。
▢ 69.2017(平成29)年4月1日施行(平成28年6月公布)の児童福祉法の改正により、市町村の設置する要保護児童対策地域協議会の調整機関に、専門職を置くことは義務である。
▢ 70.養子縁組を前提とする里親となるためには、都道府県知事の認定を受けなければならない。養子縁組里親は、都道府県知事が認定する。
▢ 71.特別養子縁組の養子候補者が審判時に15歳に達している場合には、本人の同意が必要である。特別養子縁組は、実親が子を虐待している場合等では実親の同意は不要である。また、民法の改正により、15歳以上は本人の同意が必要になった。
▢ 72.里親になるためには、所定の研修を受けることが義務づけられている。里親になるための資格は必要ないが、居住地の児童相談所に相談し、所定の研修を受けることが義務づけられている。
11.障害のある子どもへの対応
▢ 73.保育所等訪問支援では、小学校、認定こども園も含め、保育所、幼稚園、特別支援学校、その他児童が集団生活を営む施設として市町村が認めるものも対象となる。
▢ 74.障害児通所支援の実施主体は市町村、障害児入所支援の実施主体は都道府県である。
▢ 75.放課後等デイサービス、保育所等訪問支援は、いずれも障害児通所給付費及び特例障害児通所給付費による給付の対象である。給付の対象となるのは、ほかに児童発達支援、医療型児童発達支援が該当する。
▢ 76.障害者基本法において障害者とは、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者」と規定されている。
▢ 77.児童発達支援は、障害児通所支援の一つで、小学校就学前の6歳までの障害のある子どもが主に通う、支援を受けるための施設を、児童発達支援センターという。児童発達支援センターは、日常生活の自立支援や機能訓練、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場の提供、集団生活への適応のための訓練といった障害児への支援を目的にしている。
▢ 78.障害のある子どもも利用できるように適切な配慮及び環境整備を行い、可能な限り受入れに努めるよう放課後児童クラブ運営指針に定められている。
▢ 79.児童自立生活援助は、義務教育を終了した満20歳未満の児童や22歳までの大学生等で、児童養護施設を退所したもの等に自立援助ホームにおいて、相談その他日常生活上の援助、生活指導、就業の支援を行う。
12.少年非行と情緒障害
▢ 80.少年法では、14歳以上で犯罪を行った少年は、犯罪少年という。14歳に満たないで、刑罰法令に触れる行為をした少年は、触法少年という。
▢ 81.罪を犯した少年が14歳に満たない場合でも必要があると認められた場合には、家庭裁判所に送致される。送致の判断は、児童相談所長が行う。
▢ 82.警察署における一時保護期間は、原則として、児童に一時保護を加えてから24時間を超えない範囲で行われる(やむを得ない場合は延長可能)。
▢ 83.18~19歳の厳罰化を柱とした改正少年法では、18~19歳を特定少年と位置付け、公訴提起後は原則として、記事等の掲載が可能となった。改正少年法では、18~19歳を適用対象としたまま特定少年と位置付け、公訴提起後は略式手続による場合を除いて、記事等の掲載の禁止規定が適用されないこととなった(同法68条)。
▢ 84.情緒障害とは、感情を表出したり抑制したりすることが困難な状態をいう。情緒障害とは、被虐待やその他の要因で、ひきこもりや場面緘黙などの心因性とされる症状が起き、学校生活や社会生活に支障をきたす状況をいう。
▢ 85.少年鑑別所は、犯罪傾向の進んだ少年を収容する施設であり、収容期間は2週間以内が原則(特に必要のある場合、8週間まで延長可能)である。
▢ 86.児童自立支援施設には、児童自立支援専門員と児童生活支援員が配置されている。ほかに、嘱託医及び精神科の診療に経験を有する医師又は嘱託医、個別対応職員、家庭支援専門相談員、栄養士、調理員を置かなければならない。
13.多様な家庭生活の実態
▢ 87.「2019年国民生活基礎調査」によると、「単独世帯」が最も多く、次いで「夫婦と未婚の子のみの世帯」が多くなっている。単独世帯が28.8%と最も多く、次が夫婦と未婚の子のみの世帯の28.4%、夫婦のみの世帯が24.4%と続く。
▢ 88.「2019年国民生活基礎調査」によると、世帯の状況が、児童がいる世帯と児童がいない世帯とでは、児童がいない世帯の方が多い。2019(令和元)年では、児童のいない世帯は78.3%、児童のいる世帯が21.7%と児童がいない世帯が多くなっている。
▢ 89.児童扶養手当の支給には所得制限があり、手当の全部または、一部が支給されない場合がある。
▢ 90.「令和元年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は1割を超えていない。育児休業取得率は、男性が7.48%、女性が83.0%である。厚生労働省では、2020年度に男性の取得率を13%に上げることを目標に掲げている。
▢ 91.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」により、子どもの看護休暇を取得できるのは就学前までである。小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が、子どもの看護休暇を取得できる。
▢ 92.人口動態統計によると、離婚率は2002(平成14)年にもっとも多くなり、その後6年間は減少している。その後、増加の年もあったが緩やかに減少傾向である。
▢ 93.「2019年国民生活基礎調査」によると、児童のいる世帯の児童の数は、1人(全世帯の10.1%)が最も多く、次いで2人(同8.7%)、3人以上(同2.8%)の順になっている。
14.子ども家庭福祉の動向
▢ 94.利用者支援事業特定型は待機児童に限定せず、保育サービスに関する相談、保育所や各種サービスに関する情報提供や利用支援等を行う事業である。
▢ 95.子育て援助活動支援事業においては、病児や病後児の預かりも行われている。活動例には、「保育施設等への送迎」や、「学校の放課後」「保護者の病気時」「冠婚葬祭や他の子どもの学校行事」「病児・病後児」の預かり等がある。
▢ 96.子ども・子育て支援新制度における地域型保育給付(事業)とは、小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育の4つの事業をいう。
▢ 97.ファミリー・サポート・センターには、相互援助活動の調整などの事務を行うアドバイザーを配置しなければならない。なお、子どもを預かる援助を行う会員は保育士・幼稚園教諭免許を有していなくてもよい。
▢ 98.利用者支援事業の母子保健型は、子育て世代包括支援センター(母子健康包括支援センター)の事業の一部として実施されるものである。
▢ 99.令和元年度福祉行政報告例によると、登録里親世帯数は近年増加傾向にあり、2018年度末12,275世帯、2019年度末13,485世帯となっている。
▢ 100.子育て支援事業における病児保育事業は、「病児対応型・病後児対応型」「体調不良児対応型」「非施設型(訪問型)」の3つの事業類型で構成される。
▢ 101.児童相談所に寄せられる相談で、最も多いのは養護相談、次いで障害相談、育成相談となっており、近年、養護相談の増加がみられる。
▢ 102.児童相談所の所長は、被虐待児童が管轄区域外に移転する場合は、移転先を管轄する児童相談所の所長に対し、速やかに必要な情報の提供を行う。
▢ 103.子ども・子育て支援法では、保育所・幼稚園・認定こども園への給付は「施設型給付」、小規模保育等への給付は「地域型保育給付」の対象である。
▢ 104.14歳以上で犯罪を行った少年を犯罪少年、14歳に満たないで刑罰法令に触れ1る行為をした少年を触法少年という。
▢ 105.病児保育事業は、「病児対応型・病後児対応型」「体調不良児対応型」「非施設型(訪問型)」の3つの事業類型がある。
▢ 106.児童憲章には児童が人として尊ばれ、社会の一員として重んぜられ、よい環境のなかで育てられることが定められている。
4章 社会福祉
1.社会福祉の理念と概念
☐ 1.障害者基本法には、障害者の定義の中で「障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。」と規定されている。2006(平成18)年に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」の批准に先立ち、2013(平成25)年には障害者差別解消法が制定され、「障害及び社会的障壁」という文言が盛り込まれた。
☐ 2.社会福祉における自立支援は、障害者福祉の分野に限らず、高齢者福祉、児童家庭福祉の分野にも共通の理念と考えられている。障害者福祉分野では障害者基本法、高齢者福祉分野では介護保険法、児童家庭福祉分野では児童福祉法などにおいて、自立支援が規定されている。
☐ 3.社会福祉における社会資源とは、公的な機関や専門職による制度に基づいたサービス・支援などのフォーマルな社会資源と、家族や近隣住民などのインフォーマルな社会資源がある。
☐ 4.ソーシャル・エクスクルージョンは、社会的排除を意味する。支援はソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)の考えのもと立案・展開される。
☐ 5.ノーマライゼーションには、誰もが暮らしやすい社会・環境の整備を意味し、脱施設化やソーシャル・インクルージョンの考え方に通じる。
☐ 6.今日では、公的な福祉サービスだけでは対応できない福祉課題が発生しており、共助や自助の役割が論じられるようになっている。社会福祉基本構想懇談会により、福祉課題解決に向けた形態(役割)として「自助」「共助」「公助」が提起された。
☐ 7.2001年5月にWHO総会で採択された「国際生活機能分類」(ICF)では、健康の構成要素に関する分類であり、生活機能モデルを共通の考え方として生きることを捉えようとする。
2.社会福祉の歴史的変遷
☐ 8.社会福祉基礎構造改革の一環として、2000(平成12)年に「社会福祉事業法」が「社会福祉法」に名称変更された。「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」成立に伴い、「地域における社会福祉(地域福祉)の推進」が明記された。
☐ 9.虐待防止に関する法律の成立順は、「児童虐待防止法」「配偶者暴力防止法」「高齢者虐待防止法」「障害者虐待防止法」である。成立年は、「児童虐待防止法」は、2000年、「配偶者暴力防止法」は、2001年、「高齢者虐待防止法」は、2005年、「障害者虐待防止法」は2011年である。
☐ 10.子どもの貧困対策法を踏まえて成立した「子供の貧困対策に関する大綱」により39の指標が示され、「教育の支援」「生活の安定に資するための支援」「保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援」「経済的支援」の4つの重点施策が示されている。
☐ 11.イギリスで行われた貧困調査、ブース(Booth,C.)の「ロンドン調査」、ラウントリー(Rowntree,B.S.)の「ヨーク調査」によって、貧困の背景は、労働条件、病気、多子など、社会・経済的要因が大きいことがわかった。
☐ 12.コミュニティケアサービスのあり方を示した1988年のグリフィス報告は、イギリスで成立した「国民保健サービス及びコミュニティケア法」の成立に影響を与えた。
☐ 13.家族及び地域社会などの仲間集団における相互扶助の変容は、第二次世界大戦後の家族制度の転換や人口の流動化の影響を受けている。戦後、家族制度が解体されて家族内の相互扶助の機能は弱まった。また、都市への人口の流動化は農村部を過疎化させて相互扶助を弱体化させた。
☐ 14.今日、株式会社をはじめとする営利企業やNPO法人などが経営できるのは、経営主体に制限のない第二種社会福祉事業である。
3.社会福祉法人
☐ 15.社会福祉法人は、経営する社会福祉事業に支障がない限り、公益事業または収益事業を行うことができる。
☐ 16.社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的として社会福祉法に基づき設立された法人である。特定非営利活動法人の認証を得る必要はない。
☐ 17.2020(令和2)年の社会福祉法改正では、相互の業務連携を推進する社会福祉連携推進法人制度が創設された。地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な福祉サービス提供体制を整備する観点から、社会福祉連携推進法人制度が創設された。
☐ 18.共同募金事業を行うことを目的として設立される社会福祉法人を共同募金会と称している。同会以外の者は、共同募金事業を行うことができない。
☐ 19.国または地方公共団体が必要と認めるときは、省令や条例で定める手続に従い、社会福祉法人に対して補助金を支出することができる。
☐ 20.国または地方公共団体は、通常の条件よりも当該社会福祉法人に有利な条件で、貸付金を支出したり財産を譲り渡したりすることができる。そのため、厚生労働大臣または地方公共団体の長は、助成の目的が有効に達せられることを確保するために、事業や会計状況の報告等を行わせる権限を持っている。
☐ 21.社会福祉法人の監事は、理事または当該社会福祉法人の職員を兼ねることができない(兼職禁止)。
4.福祉行政計画
☐ 22.地域福祉計画は自立生活支援という視点から、社会福祉法で市町村には「地域福祉計画」、都道府県には「地域福祉支援計画」の策定が定められている。
☐ 23.老人福祉法に基づく老人福祉計画には、老人福祉施設の整備に関する事項が盛り込まれている。都道府県老人福祉計画と市町村老人福祉計画があり、都道府県老人福祉計画には、老人福祉施設の整備のために講じる措置に関する事項がある。
▢ 24.市町村は、基本指針に即して、5年を1期とする市町村子ども・子育て支援事業計画を定める。同計画では教育・保育提供区域ごとにおける各年度の特定教育・保育施設に係る必要利用定員総数などの事柄を定めている。
▢ 25.市町村子ども・子育て支援事業計画を定める、または変更するときはインターネットを利用して住民の意見を求めることを認めている。市町村には、インターネットその他の内閣府令で定める方法によって、広く住民の意見を求めて反映させるための措置を講ずる努力義務がある。
▢ 26.市町村介護保険事業計画は、市町村地域福祉計画と調和が保たれたものでなければならず、さらに市町村老人福祉計画と一体のものとして作成されなければならない。
▢ 27.市町村地域福祉計画は、市町村が主導で策定される。計画の策定や変更をするときは、あらかじめ住民等の意見を反映させ、内容を公表するよう努める(社会福祉法第107条)。
▢ 28.市町村障害福祉計画では、各年度における指定障害福祉サービス、指定地域相談支援または指定計画相談支援の種類ごとの必要量の見込みを定める。このほかに、障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に係る目標に関する事項なども定めている(障害者総合支援法第88条2項)。
5.社会保障制度
▢ 29.社会保障制度には、社会保険として医療保険、年金保険、雇用保険、労働者災害補償保険、介護保険がある。社会保険は社会保障の一つで、疾病や事故、障害などの生活上のリスクに対して、保険料を負担することで、国民が相互に助け合う制度である。
▢ 30.育児・介護休業法で、1歳未満の子の養育の休業は、有期契約者で、入社1年未満のものや、子が1歳6か月に達する日までに労働契約が満了し更新されないことが明らかな場合、原則、対象外となる。
▢ 31.遺族基礎年金の支給対象となるのは、死亡した者によって生計を維持されていた「① 18歳未満の子のいる配偶者」、あるいは「② 18歳未満の子」に限られる。
▢ 32.育児休業の際に支給される育児休業給付金は、雇用保険法に定められている。被保険者が、原則1歳未満の子を養育するために休業をした場合に、それ以前2年間にみなし被保険者期間が通算12か月以上あるときに支給される。
▢ 33.二次健康診断等給付は、労働者災害補償保険制度によって行われるものであり、ほかに業務災害及び通勤災害に関する保険給付、社会復帰促進等事業等がある。
▢ 34.生活保護の「被保護者調査(令和元年度確定値)」によると、同年度の類型別世帯数の割合は、最も多いのは高齢者世帯55.1%である(母子世帯5.0%)。保護開始理由は貯金等の減少・喪失(40.2%)、廃止理由は死亡(43.3%)が最も多い。
▢ 35.公的年金制度の被保険者は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者である。老齢年金を受け取るために必要な資格期間は10年である。
6.社会福祉の実施機関
▢ 36.福祉事務所は、都道府県と市(特別区を含む)に設置が義務付けられているが、町村の設置は任意とされている。
▢ 37.生活保護の実施機関は、居住する自治体が市や特別区等の場合は、その福祉事務所であり、福祉事務所を設置していない町村の場合は、管轄する都道府県の福祉事務所である。
▢ 38.都道府県と政令指定都市は、児童福祉法に基づき児童相談所を設置しなければならない。児童相談所設置市は任意設置、特別区も希望して認められると設置することができる。
▢ 39.身体障害者手帳を交付するのは、一般的な都市においては、都道府県知事、指定都市市長、中核都市市長が交付する。申請に基づき審査をし、交付基準に該当することが認められると身体障害者手帳が交付される。
▢ 40.子育て支援員は、受講内容にしたがって、乳児院や児童養護施設、学童クラブ、地域子育て支援拠点、家庭的保育や小規模保育事業等が配置先となる。福祉事務所への配置は想定されていない。
▢ 41.婦人相談所は、都道府県に設置が義務付けられている。要保護女子の保護更生に関する相談、調査、指導、一時保護などの業務を行っている。
▢ 42.売春防止法第34条に基づく婦人相談所は、配偶者暴力防止法第3条により、配偶者暴力相談支援センターとしての機能も果たしている。
7.社会福祉の専門職
▢ 43.子育て世代包括支援センターは、妊娠期から子育て期まで切れ目のない支援を行うため、保健師等を1名以上配置することとなっている。
▢ 44.介護支援専門員は、介護保険法に基づく専門相談員で、介護保険施設、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所や介護保険施設などに必置の職員である。介護保険制度において、主にケアマネジメントを担当している。
▢ 45.民生委員法に規定されている民生委員は、民生委員法に規定されている無給のボランティアである(任期3年)。児童委員を兼ねており、都道府県知事の推薦によって厚生労働大臣が委嘱する。
▢ 46.保育士は、名称独占の国家資格である。保育士でない者は、保育士または紛らわしい名称を使用してはならない(規定違反者は罰金に処せられる)。
▢ 47.社会福祉専門職が、生活問題を抱えている地域住民の代弁者として制度改善の行動を起こす対応を行うことは、適切な行為である。ソーシャルアクションに関する記述である。生活問題を抱える者の二―ズに対応するために、既存の制度やサービスの維持・改善・拡充などを求めて国や自治体などに働きかける行為は適切である。
▢ 48.介護福祉士は、研修などの要件を満たせば、たんの吸引などの医療行為を行うことができる。社会福祉士及び介護福祉士法に基づき、介護福祉士は、保健師助産師看護師法の規定にかかわらず診療の補助として喀痰吸引等を行うことができる。
▢ 49.家庭裁判所は、父母による親権の行使が困難または不適当である場合に、2年以内の期間を定めて親権停止の審判をすることができる。
8.社会福祉の法律と制度
▢ 50.障害者総合支援法における障害支援区分の認定は、市町村が行う。市町村は、障害支援区分の認定や支給要否決定を行うために、申請に係る障害者等やその保護者に面接を行い、心身の状況などの事項を調査する。
▢ 51.障害者総合支援法は、障害福祉サービスの充実等、日常生活や社会生活の総合的支援のため創設された。障害児への福祉サービスは、2012(平成24)年に児童福祉法へ根拠規定が一本化された。
▢ 52.生活困窮者自立支援法では、生活困窮者に対する支援の種類、内容などを記載した個別の支援計画を作成する事業(生活困窮者自立相談支援事業)を規定している。このほかにも、家計相談に応じる事業、認定生活困窮者就労訓練事業の利用斡旋を行う事業等がある。
▢ 53.行動上著しい困難を有する知的障害者が外出時に利用する障害福祉サービスは、「行動援護」である。「行動援護」とは、行動上著しい困難を有する障害者等が行動する際に危険を回避するために必要な援護や、外出時の介護などを行うものである。
▢ 54.「就労継続支援」は、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者に生産活動の機会の提供を行う。「就労移行支援」とは、一般就労等を希望する障害者に対して就労に必要な知識及び能力の訓練等を行うものである。
▢ 55.視覚障害のある児童は、身体障害者手帳の対象となる。身体障害者手帳は、児童にも交付される。視覚障害、聴覚または平衡機能の障害、言語または咀嗜機能の障害、肢体不自由などがある者が対象となる。
▢ 56.療育手帳の取得にあたって年齢制限は設けられていない。交付にあたっては、18歳未満の者は児童相談所、18歳以上の者は知的障害者更生相談所において知的障害の判定を受ける必要がある。
9.相談援助の基礎と実際
▢ 57.2003 (平成15)年の児童福祉法改正に伴い保育士の業務は、児童福祉法第18条の4に、「児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行う」こと(ソーシャルワーク)が明記されている。
▢ 58.ソーシャルインクルージョンとは、社会的に排除されやすい人々と地域の中で支え合い、助け合いながら暮らしていく考え方である。貧困や障害等の状況によって社会から排除されている(排除されやすい)人々の社会参加を促進する考え方である。
▢ 59.アセスメントにおいては、利用者が利用できる(している)社会資源の評価を行うほか、身体的状況、精神的状況、家族関係、近隣関係の把握等を行う。
▢ 60.相談支援の過程は、インテーク(初回・受理面接)に始まり、アセスメント(事前評価、課題の明確化)と進み、経過を観察(モニタリング)、事後評価(エバリュエーション)、必要であれば再アセスメントが求められる。
▢ 61.受容の原則は、信頼関係の形成のために欠かせないものであり、利用者の「ありのままを受け入れること」であり、「言うことをすべてよいことと肯定する」ことではない。信頼関係形成に重要。
▢ 62.利用者への相談支援の場面で、利用者に本当に必要なことを判断し、アドバイスなどを行うが、問題解決のための判断や決断は利用者自身が行うことが大切である。
▢ 63.保育所において保護者の相談を受ける場合、秘密保持の原則は、児童の利益に反する場合には適用されない。虐待が行われている等、児童の権利や利益が侵害されている状況がある場合には、秘密保持の原則に優先して通告や連携の対応がとられる。
10.福祉サービスの第三者評価事業
▢ 64.乳児院、児童養護施設、母子生活支援施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設はいずれも毎年度、自己評価を行わなければならない。施設(社会的養護関係施設)では、自己評価(毎年)と第三者評価(3年に1度以上)が2012(平成24)年度から義務化されている。
▢ 65.サービス評価制度には、自己評価と第三者評価があり、利用者の生活の質(QOL)の向上に寄与したかどうか、そのサービスの質を評価点検する。第三者評価の目的は、「提供するサービスの質」を評価し、「事業運営における具体的な問題点」を把握すること、サービスの質の向上に結びつけることである。
▢ 66.社会福祉サービスの第三者評価を行う第三者評価機関は、都道府県推進組織に設置された第三者評価機関認証委員会の認証を受ける必要がある。
▢ 67.公益法人やNPO法人、株式会社等の営利法人は、第三者評価機関として認証を受けることができる(原則として法人形態は問わない)。
▢ 68.福祉サービスの第三者評価事業に従事する評価調査者は、評価調査者に対する研修を受講することになっている。評価調査者養成研修を受講することは、評価調査者としての業務を行うための要件になっている。
▢ 69.都道府県推進組織は、福祉サービス第三者評価結果の公表ガイドラインに基づき、福祉サービスの第三者評価事業結果を公表する。なお、事業所の同意を得ていない場合、結果は公表しない。
▢ 70.児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)における第三者評価の受審は、努力義務である。(児童福祉法施行規則第36条の23)
11.苦情解決制度
▢ 71.保育所の苦情解決は、「社会福祉法」「保育所保育指針」「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」で触れられている。
▢ 72.サービス提供者は、事業所内で受け付けた苦情に関して、苦情内容や結果の報告義務はない。運営適正化委員会に苦情解決の申し出があったときは、その相談に応じ、事情を調査することになる。
▢ 73.社会福祉法において、社会福祉事業の経営者には利用者等からの苦情の解決を自主的に行うことが求められる。事業者は、苦情受付担当者、苦情解決責任者、第三者委員といった苦情解決の体制を整える必要がある。
▢ 74.運営適正化委員会は、苦情に係る利用者の処遇についての不当な行為が行われている恐れがある場合には、都道府県知事にその旨を通知することによって福祉サービスの利用者の権利を擁護する。
▢ 75.運営適正化委員会の第三者委員は、利用者の立場や特性に配慮した適切な対応を推進するために、委員の候補には、「評議員(理事以外)、監事・監査役、弁護士」等が挙げられる。なお、苦情受付担当者は「職員」、苦情解決責任者は「施設長、理事等」の中から任命される。
▢ 76.児童福祉施設における苦情解決制度では、保護者に限定されず、サービス利用者である児童からの申し出が可能である。
▢ 77.苦情を第三者的立場から適切に解決するため、社会福祉法では、都道府県社会福祉協議会に運営適正化委員会の設置が定められている。福祉サービスに関する苦情解決の申し出があった場合にその事情を調査し、福祉サービス利用援助事業を行う者に対し必要な助言をすることもある。
12.情報提供
▢ 78.社会福祉事業者が提供する福祉サービスについて広告する際、利用者の誤解を招くような誇大広告は禁止されている。社会福祉法では、広告について、著しく事実と異なるまたは実際よりも優良もしくは有利であると誤認させるような表示を禁じている。
▢ 79.市町村は、福祉事務所を通して、老人福祉に関する必要な情報を、福祉サービスを利用しようとする者に提供する業務を行う。老人福祉法に基づき、市町村は老人福祉に関する実情把握や必要な情報の提供等を行うが、その業務は市町村に設置の福祉事務所が担当する。
▢ 80.国、地方公共団体は独自に情報提供体制を整備するとともに、WAMNET(ワムネット)とも連携して情報提供を行っている。WAMNET(ワムネット)は福祉保健医療関連の総合情報サイトで、サービス提供機関に関する情報や各種福祉制度、取組み事例などを公表している。
▢ 81.保育所は、保育所保育の意図の説明などを通じて、保護者との相互理解を図るよう努めなければならない。保育所保育指針に示されている。
▢ 82.社会福祉事業の経営者は、福祉サービスを利用するための契約が成立したときは、利用者に対して遅滞なく、サービス内容などを記載した書面を交付しなければならない。
▢ 83.保育所は、地域住民に対して、保育内容に関する情報を提供するよう努めなければならない。加えて、その行う保育に支障がない限りにおいて、乳幼児等の保育に関する相談に応じ助言を行う努力義務がある。
▢ 84.社会福祉事業の経営者は、社会福祉法において、福祉サービスを利用するための契約内容及びその履行に関する事柄についての説明は、努力義務となっている。
13.権利擁護制度
▢ 85.子どもの権利は、1989(平成元)年に国連総会で採択され、1994(平成6)年に日本で批准された「児童の権利に関する条約」に示され、児童福祉法にもそれは規定されている。2016(平成28)年に改正された児童福祉法第1条に、「児童の権利に関する条約の精神」が明記されている。
▢ 86.日常生活自立支援事業は、本人との契約のもとに、福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理等の支援が行われる。契約等の法律行為を援助できるのは成年後見制度である。
▢ 87.日常生活自立支援事業の実施主体は、都道府県社会福祉協議会・指定都市社会福祉協議会である(窓口業務等は市町村社会福祉協議会等が担う)。
▢ 88.日常生活自立支援事業は幅広い役割を担い、例えば、預金通帳の預かりサービス、預金の入出金などのサービスが含まれる。
▢ 89.法定後見制度は判断能力が十分でない人を対象とする仕組みであり、家庭裁判所が本人の判断能力に応じて後見、保佐、補助のいずれかを決定する。
▢ 90.「子供の貧困対策に関する大綱」は重点施策として、教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援等をあげている。同大綱は、「全ての子供たちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指し、子供の貧困対策を総合的に推進する」ことを目指し策定された。
▢ 91.障害者を雇用する者から障害者虐待を受けた障害者は、その旨を市町村または都道府県に届け出ることができる。
14.社会福祉の動向
▢ 92.少子高齢化による人口構造や雇用基盤の変化などにより社会経済情勢が変化し、社会保障制度は全世代対応型の制度へ転換した。受益と負担の均衡がとれた「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」が、2013(平成25)年に成立した。
▢ 93.介護保険の導入に伴い高齢者への福祉サービスなどに契約制度が導入されたが、児童福祉における社会的養護においては措置制度をとっている。
▢ 94.「令和2(2020)年人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、死因別にみると、死因順位の第1位は悪性新生物であり、死亡総数の27.3%を占める。なお、死因順位の第2位は心疾患、第3位は老衰である。
▢ 95.障害者自立支援法の利用者負担は当初応益負担であったが、障害者総合支援法に改められた現在は応能負担を原則としている。2010(平成22)年の法改正で利用者負担は、利用者の負担能力に応じて徴収される応能負担に改められた。障害者総合支援法に改正された現在も、その原則を引き継いでいる。
▢ 96.1961(昭和36)年の国民年金の創設によって、自営業者なども年金制度の対象に加えられ、国民皆年金が整えられた。国民皆年金をもって、1961(昭和36)年にすべての国民が医療保険及び年金保険に加入する「国民皆保険・皆年金」の体制が実現した。
▢ 97.児童発達支援や保育所等訪問支援等の障害児への支援は、2012(平成24年)の児童福祉法改正により障害児通所支援として、児童発達支援、医療型児童発達支援、保育所等訪問支援等が定められた。
▢ 98.福祉サービスの契約制度は、1997(平成9)年に保育所入所が、行政措置から市町村との利用契約に改正されたことに始まる。1997(平成9)年の児童福祉法改正により、保育所入所に利用契約制度が導入され、福祉サービス利用に関わる仕組みは大きく変わることになった。
15.地域福祉の推進
▢ 99.保育所は、地域の子育て支援の拠点としての役割も期待されている。地域子育て支援拠点事業として、「子育て親子の交流の場の提供と交流の促進」「子育て等に関する相談、援助」などを実施することが、求められている。
▢ 100.ボランティアは、社会福祉法において、地域福祉を推進する主体として位置付けられている。社会福祉法において、ボランティアは、地域住民、社会福祉事業経営者とともに、地域福祉の推進に努める主体の一翼に位置付けられている。
▢ 101.共同募金を募金方法別実績額でみると、戸別募金が最も多くを占めている。2019(令和元)年度の同実績額によると、募金総額は約174億円である。このうち戸別募金額は約70%を占め、街頭募金などは少数派である。
▢ 102.地域包括ケアシステムの構築のためには、多様な関係者が参加する地域ケア会議の開催が必要である。このほかに、地域の医療・介護関係機関が連携しての包括的かつ継続的な在宅医療・介護の提供、重層的な生活支援体制の確保なども重要である。
▢ 103.社会貢献活動の重要性が認識されて「ボランティア元年」と呼ばれた年は、1995(平成7)年である。1995(平成7)年の阪神・淡路大震災では、大勢のボランティアが全国から駆けつけたことから、「ボランティア元年」と呼ばれている。
▢ 104.市町村が作成した災害時の避難行動要支援者名簿について、必要な範囲で、民生委員、消防機関等に対し避難行動要支援者名簿の情報を提供できる(条例に定めがある場合を除き本人の同意が必要)。
▢ 105.市町村地域福祉計画を策定・変更するときには、社会福祉法の規定により、住民、社会福祉事業者等からの意見を取り入れるための措置や、内容の公表は努力義務である。
▢ 106.社会資源は、制度化されたサービス・支援などのフォーマルなものと、家族や近隣住民などのインフォーマルなものがある。
▢ 107.生活保護制度の申請窓口は福祉事務所で、都道府県と立(特別区含む)に設置義務がある。
▢ 108.民生委員の任期は3年で、都道府県知事の推薦をもって厚生労働大臣が委嘱する。
▢ 109.相談支援の展開過程は、インテーク → アセスメント → プランニング → インターベンション → モニタリング → エバリュエーション → ターミネーションの順で進んでいく。
▢ 110.社会的養護関係施設では、3年ごとに1回以上の第三者評価の受審(毎年の自己評価)が義務付けられている。
▢ 111.法定後見制度は、判断能力が十分でない人を対象とする仕組みで、家庭裁判所が本人の判断能力に応じて、後見、保佐、補助のいずれかを決定する。
5章 教育原理
1.教育の意義と目的
▢ 1.すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育をうける権利がある。日本国憲法26条1項で定められているのは権利、26条2項で「その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う」と規定されている。
▢ 2.幼稚園には、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるようにするための基礎を培うことが求められている。平成29年告示の幼稚園教育要領前文に記されている。前文には、幼稚園教育要領が教育課程の基準を大綱的に定めることも同時に示されている。
▢ 3.「幅広い教養」や「真理を求める態度」は、初等教育課程から養うことが意図されている、幼児教育においても求められている。教育基本法において、「幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと」(教育基本法1章2条1項)と規定されている。
▢ 4.生きる力の基礎となる資質・能力は、幼児の遊びの中で相互につながりあって育っていくもので、総合的な指導が必要になる。生きる力の基礎となる資質・能力は、「知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力の基礎」「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱からなる。
▢ 5.わが国の教育の目的には、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた国民の育成が掲げられている。
▢ 6.幼児教育はあくまでも教育課程であるため、その中心は子どもへの教育的な指導であり、保護者や地域、行政との連携も求められる。「幼稚園教育要領」1章第6には、保護者、地域、行政の他、地域の初等教育校、中等教育校との連携も求められている。
▢ 7.保育者は、長期的に発達を見通した年・学期・月等の長期の指導計画と、生活に即した週・日等の短期計画を作成し、適切な指導を行う。
2.諸外国の教育の思想と歴史的変遷(1)
▢ 8.ペスタロッチ(Pestalozzi,J.H.)は頭(知識)・手(技術)・心(宗教心)の3つの力の調和的発達を意識し、直接的な体験を重視する直観教授を提唱した。
▢ 9..「この教育は、自然か人間か事物によって与えられる」とは、ルソー(Rousseau,J.-J.)の言葉である。ルソーは、著作『エミール』において、教育には「自然の教育」「人間の教育」「事物の教育」の3種類があると述べている。
▢ 10.ヴィゴッキー(Vygotsky′,L.S.)は、子どもの問題解決の発達には、大人の援助で成立する段階と自主的な活動で成立する段階の2つがあり、その差異を、発達の最近接領域と位置づけた。「発達の最近接領域(ZPD:Zone of Proximal Development)」
▢ 11.スキナーが唱えたのはプログラム学習である。
▢ 12.「すべてのもののなかに、永遠の法則が、宿り、働き、かつ支配している」とは、フレーベル(Fröbel,F.W.)の言葉である。『人間の教育』の記述である。フレーベルはこの世のすべてのもののなかには神から生じ、神によって支配された統一体が存在すると考えた。
▢ 13.モンテッソーリによる、子どもが特定の時期に示す感受性を育てる教育思想は、レッジョ・エミリアの教育実践にも繋がっていった。
▢ 14.ロック(Locke,J.)は、子どもは生まれながらに「白紙(タブラ・ラサ)」であって、経験によって観念を獲得することを説いた。ロックは、子どもが観念を獲得するためには、行為の反復による習慣の形成が必要だと考えた。
▢ 15.デューイ(Dewey,J.)による子どもの作業を通した教育実践は、シカゴ大学(University of Chicago)にて実験学校(Laboratory school)を設立した。デューイは子ども自身の経験の再構成ということに注目した。
3.諸外国の教育の思想と歴史的変遷(2)
▢ 16.ヘルバルト(Herbart,J.F.)の4段階教授説は、「明瞭-連合-系統-方法」の4つから構成されている。
▢ 17.キルパトリック(Kilpatrick,W.H.)は、プロジェクト・メソッドと呼ばれる教育方法を提唱し、子どもたち自身が問題を発見し、解決する方法である。そこで教師は、ファシリテーターの役割として存在する。
▢ 18.ブルーナー(Bruner,J.S.)は、「どの教科でも、知的性格を保ち、発達のどの段階のどの子どもにも効果的に教えることができる」とした。ブルーナーは発見学習の提唱者。教育方法を工夫することでレディネス(学習が成立するための準備状態)はつくられるとした。
▢ 19.「近代教育の父」とも呼ばれるコメニウス(Comenius,J.A.)は、6歳までの時期を「母親学校」と呼び、乳幼児期における母親との関わりを重要とした。
▢ 20.ペスタロッチは、人間の本性に従った「合自然性の教育」を目指した。ルソーの影響を受けたペスタロッチは、人間の本性に従った「合自然性の教育」を目指し、調和的な人間を育成する教育方法(メトーデ)を探究した。
▢ 21.恩物とは、幼稚園の創始者フレーベルが考案し、体系化した幼児のための遊具である。
▢ 22.教育はすべての人に必要として、年齢と発達段階に応じて区分された学校体系を構想した人物は、コメニウスである。コメニウスは、年齢と発達段階に応じて区分された学校体系について論じた『大教授学』や世界最初の絵入りの教科書『世界図絵』を著した。
4.日本の教育の思想と歴史的変遷
▢ 23.無着成恭は、第二次世界大戦後の山形において作文教育を行い、目の前の現実から生活を見つめる教育を行った。無着成恭らの作文教育を生活綴方教育といい、著書『山びこ学校』により、全国から注目を浴びる教育実践となった。
▢ 24.山本鼎は、教本に倣うのではない、子どもの自由な表現を重視し、自由画教育運動を興した。山本鼎は、自由画教育運動を興した人物であり、子どもの自由な表現を尊重し、個性や創造性を引き出すリアリズムの信念を訴えた。
▢ 25.福沢諭吉は『学問のすゝめ』で、人間は生まれながらに平等であるが、学ぶものと学ばないもので差が出てくる。それゆえ学びを怠らず、自立して賢くなることが肝要と説いた。福沢諭吉は『学問のすゝめ』において、身を立て世に出るために必要な、実学を身につけなくてはならないと説いた。
▢ 26.大正自由教育の代表的な人物である澤柳政太郎は、成城小学校を設立した教育実践者であり、そこで教員であった小原國芳が玉川学園を設立した。
▢ 27.日本において最も早く体系的ともいえる教育論をまとめた儒学者は、貝原益軒である。1710年『和俗童子訓』を著した儒学者である。
▢ 28.幼児の自発性を尊重した保育理論を展開し、「生活を、生活で、生活へ」という有名な言葉を残した人物は、倉橋惣三である。
▢ 29.城戸幡太郎は、大人が子どもを共同的生活へと導くことを重視した。
▢ 30.倉橋惣三の幼児教育の方法は、誘導保育と呼ばれる。幼児を自発的に活動させ、それを誘い、促し、助けることが先生の役割であるとする誘導保育を説き、『幼稚園真諦』を著した。
5.教育の制度
▢ 31.現行の「学校教育法」上の学校とは、学校教育法第1条において、「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校」となっている。
▢ 32.義務教育とは、親や大人たちの、子どもの教育を受ける権利に応える義務をいう。
▢ 33.わが国においては、義務教育の無償の理念の下、国公立の義務教育諸学校では授業料を徴収しない。
▢ 34.幼児教育の無償化には、幼稚園・保育所・認定こども園の他に、企業主導型保育事業、幼稚園の預かり保育なども含まれている。
▢ 35.都道府県は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない(教育基本法第16条第4項)。
▢ 36.中央教育審議会は、文部科学省に設置された審議会の一つであり、国の教育政策の方向性を定める力を持つ。
▢ 37.教育委員会は都道府県や市町村などに置かれた行政委員会の一つである。
▢ 38.市町村は、経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童に対して、必要な援助を与えなければならない。(学校教育法第19条)
6.教育の実践(1)
▢ 39.2016年度から2020年度にかけて文部科学省は、「教育の情報化加速化プラン」を示し、教育における情報機器の活用を促進している。このプランでは、ICTを活用した「次世代の学校・地域」の創生が示され、情報機器を活用した教育について述べられている。GIGAスクール構想。
▢ 40.経験カリキュラムは、子どもの生活の中での問いを中心とした学びをねらいとしている。学習者が生活の中で持った興味や関心を重視して編成されたカリキュラムである。
▢ 41.子どもたちが学校の文化としての価値、態度、規範や習慣などを知らず知らず身に付けていく一連の働きを、潜在的カリキュラムという。潜在的カリキュラムは、学校や社会が求める価値や規範等をはっきりと示さずに伝達し、刷り込む一連のプロセスで、隠れたカリキュラムともいう。
▢ 42.公式に定められた教育目標に沿って、意図的、計画的に編成されたカリキュラムのことを、顕在的カリキュラムという。
▢ 43.教科カリキュラムとは、学習する内容をそれぞれの分野に分け、系統的に教えるように編成されたカリキュラムである。
▢ 44.問題解決学習は、デューイの教育理論に基づいている。デューイの教育理論は、今日の問題解決学習や、コア・カリキュラムの理論に引き継がれている。
▢ 45.レッジョ・エミリア・アプローチとは、プロジェクトと呼ばれるテーマ発展型の保育で、教師、保護者、行政関係者、教育学の専門家等が支え合って子どもの活動を支援する。幼児教育の実践法で、実践のふりかえりには、子どもの行動や言葉を、メモや写真など様々な手法を用いて記録しながら作成するドキュメンテーションを活用する。
7.教育の実践(2)
▢ 46.幼児教育から初等教育課程への円滑な接続をはかるために、幼小連携が求められている。小1プロブレムの対策や、地域交流のために、幼小連携が推進されている。
▢ 47.教師は、自らの専門性を高めるために、自らの実践の気づきをフィードバックし更新するなどの反省的実践家になることが求められている。
▢ 48.学習者の自発的反応に対して即座にフィードバックがなされ、学習の確認をすることができるのは、プログラム学習でスキナーにより構想された。
▢ 49.完全習得学習(マスタリー・ラーニング)という授業モデルを提唱したのは、ブルーム(Bloom,B.S.)である。ブルームは、一人ひとりの学習の進度に応じて学習を個別化することで、すべての子どもが学習を完全に習得できると考えた。
▢ 50.ベル・ランカスター法は、大量の生徒を相手に教育を行うため、集団の中から優秀な生徒を助教(モニター)として任用し教師の指示を伝えるという方法で、学習効果を高めた。ベル・ランカスター法は、ベルが開発した教授法だが同時期にランカスターが提唱したため、ベル・ランカスター法といわれる。一斉授業の起源ともいわれている。
▢ 51.学習指導の途上で指導の軌道を修正したり、指導法の適切性を確認したりするために行われるのは、形成的評価である。
▢ 52.学期末や学年末など学習が一段落したところで、教育目標の達成の程度を明らかにしようとするのは、総括的評価である。総括的評価は、教育目標の達成の程度を総合的に評価する。その結果は、次の指導計画立案等に役立てられる。
8.生涯学習社会と教育
▢ 53.生涯学習施設の概要や組織等を定めた法律として、社会教育法がある。
▢ 54.生涯学習振興法は、その振興に関するものである。
▢ 55.生涯学習の振興をはかる国際連合の組織は、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)である。
▢ 56.生涯教育という言葉は、1965年ユネスコの成人教育推進国際委員会で、ラルグラン(Lengrand,P.)によって提唱された。
▢ 57.ハッチンスは学習社会を提唱した。
▢ 58.リカレント教育とは、学校教育を終えて社会の諸活動に従事した後、個人の必要に応じて教育機関に戻るなど交互に行き交う教育である。リカレント教育は、生涯教育の一形態で、1970年に経済協力開発機構(OECD)の報告書で初めて取り上げられた。
▢ 59.変化の激しい社会において、各個人が「自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」を身につけ、知識や技能は陳腐化しないように常に更新する必要がある。また、他者との関係を築く力等の豊かな人間性を含む総合的な力は、ライフステージに応じて様々な場所や方法で学習し、職業生活や社会における活動にて、成果を発揮することが求められている。
▢ 60.生涯学習とは、文化活動、趣味、ボランティア活動などあらゆる機会に行うものである。
▢ 61.将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現在の世代のニーズを満たすような社会づくりのことを「持続可能な開発」という。「持続可能な開発」を目的として行われる教育のことを「持続可能な開発のための教育」といい、2002(平成14)年に日本が世界首脳会議で提案した。
9.教育をめぐる現代的課題
▢ 62.人類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう、ESD(持続可能な開発のための教育)が注目されている。ESDを通じたSDGs(持続可能な開発目標)の達成が2015年の国連サミットで採択。持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指している。
▢ 63.特別支援教育は、これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく、知的な遅れのない発達障害も含めて実施されるものである。
▢ 64.2019(令和元)年に、児童福祉法、児童虐待防止法などが改正され、保護者による体罰の禁止が明文化された。また、この改正で、児童相談所の体制強化や虐待した親に対する再発防止プログラムを実施する努力義務ももりこまれた。
▢ 65.2018(平成30)年度の学習指導要領改訂から、道徳の教科化が行われた。道徳の教科化の他にも、2018~2020年度の学習指導要領改訂から、外国語教育の小学校3・4年次での導入、プログラミング教育の導入が行われた。
▢ 66.幼児教育の無償化は、国から各自治体へ補助をし、各自治体の保育所等を支援するものである。
▢ 67.新しい教育のあり方として、「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の導入が行われている。「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)では、子どもが自ら考え、行動できる能力を伸ばしていくことが目指されている。
▢ 68.18歳選挙権が確立するなかで、若者の社会参加のための政治教育の必要性が高まっている。文部科学省は、選挙権年齢に高校生も入る可能性があるため、高校生の政治参加や高等学校で政治教育を行うなど、政治教育の重要性を強調している。
▢ 69.明瞭一連合一系統一方法という4段階教授説を提示したのは、ヘルバルトである。
▢ 70.モンテッソーリ法は、環境構成に配慮し、子どもの自発的活動に依拠した教育方法である。
▢ 71.フレーベルは、恩物と呼ばれる玩具を用いた教育方法を生み出した。
▢ 72.今日の問題解決学習は、デューイの教育理論に基づいたものである。
▢ 73.澤柳政太郎は、成城小学校を設立し、大正自由教育という一時代を築いた。
▢ 74.現代の幼稚園においては、幼小連携が求められている。
▢ 75.教育基本法によると、幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものである。
06章 社会的養護
1.社会的養護の意義と対象
☐ 1.児童を家庭において養育することが困難であり、または適当でない場合は、当該児童の家庭における養育環境と同様の養育環境において、継続的に養育されるよう必要な措置を講じなければならない(児童福祉法第3条の2)。
☐ 2.児童福祉法で定義する要保護児童とは、保護者のない児童または保護者に監護させることが不適当であると認められる児童をいう。
☐ 3.児童福祉法で定義する要支援児童とは、保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童をいう。
☐ 4.社会的養護と一般の子育て支援施策は、一連の連続性を持つものであり、密接な連携が必要である。
☐ 5.社会的養護は、子どもの最善の利益のためにという考え方と、社会全体で子どもを育むという考え方を理念としている(社会的養護の課題と将来像)。
☐ 6.社会的養護における施設での養育・支援の内容や方法は、厚生労働省が策定した指針を基に行われている。児童養護施設、乳児院、児童心理治療施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設、里親・ファミリーホームの6つの運営、養育指針が示されている。
☐ 7.児童養護施設では、地域で生活する児童を対象とした、短期入所生活援助事業も行っている。同施設では子育て支援、児童虐待予防として、短期入所生活援助(ショートステイ)事業、夜間養護等(トワイライトステイ)事業も実施している。
2.社会的養護の歴史的変遷
☐ 8.2016(平成28)年の児童福祉法の改正において、同法第1条(児童福祉の理念)が改正された。1条の見直しは制定後初めてとなる。子どもは権利行使の主体で最善の利益が優先されるので「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり」と条文に明記された。
☐ 9.バーナード(Barnard,T.J.)は、イギリスで浮浪児等の貧困児童救済のための施設を設立した。小舎制やアフターケア等、先駆的な取り組みを実施した。
☐ 10.1997(平成9)年の児童福祉法一部改正において、自立支援の観点が導入され、複数の施設が施設名を改称した。母子寮は母子生活支援施設、養護施設は児童養護施設、教護院は児童自立支援施設、自立相談援助事業は児童自立生活援助事業と改称された。
☐ 11.ボウルビィ(Bowlby,J.)は、乳幼児期に特定の養育者からの一貫した養育が重要であることを報告した。1951(昭和26)年にWHOの「ボウルビィ報告」において、乳幼児期には、母親等の特定の養育者からの一貫した養育が重要であることを発表した。
☐ 12.石井十次は、1887(明治20)年に孤児教育会を創設し、その後、1898(明治31)年に岡山孤児院と改称した。
☐ 13.留岡幸助は、非行や犯罪の主な原因は劣悪な環境によるものと考え、1899(明治32)年、私立感化院「家庭学校」を創設した。留岡幸助は、更生に向けた感化教育事業を行った。感化院はこれまで何度か改称され、現在では児童自立支援施設となっている。
☐ 14.石井亮一は、1891(明治24)年にわが国初の知的障害児のための施設である、滝乃川学園を創設した。
3.社会的養護の制度
☐ 15.子どもやその保護者からの苦情を適切に解決する場所として、都道府県の社会福祉協議会には運営適正化委員会が設置されている。
☐ 16.児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)は、乳児院や児童養護施設と同様に第二種社会福祉事業として位置付けられている。
☐ 17.児童福祉法における「できる限り良好な家庭的環境」とは、地域小規模児童養護施設や小規模グループケアのことを指す。家庭における養育が適当でない児童は「家庭と同様の養育環境」に次いで、「良好な家庭的環境」で養育されるよう必要な措置が取られている。
☐ 18.児童福祉施設における第三者委員とは、子どもの苦情に応じて、施設と子どもとの間で話し合いの際に、立ち会いをしてくれる人のことである。子どもからの意見、要望又は苦情に関し、子どもの立場に配慮した適切な対応を図り、施設長へ必要な助言をする人である。
☐ 19.虐待通告受理後、安全確認は原則48時間以内に子どもを直接目視することにより行うとされている。安全確認ができない場合は、立入調査を実施する。
☐ 20.都道府県は、質の高い里親養育の実現を目指して、民間フォスタリング機関に業務を委託することができる。平成28年の児童福祉法改正により、子どもの家庭養育優先原則に則り、里親に関する業務(フォスタリンク業務)が具体的に位置付けられた。
☐ 21.乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設は、3年に1回以上第三者評価を受けなければならない。これらの社会的養護関係施設は、そこで生活する者への影響が特に大きいため、3年に1回以上の受審が定められている。
4.里親制度
☐ 22.特別養子縁組制度の対象児童の年齢は、2020(令和2)年4月の民法等の一部改正の施行により、特別養子縁組の成立の審判の申立て時に子どもの年齢は15歳未満であること、とされた。
☐ 23.里親は、都道府県等が行う研修を受け、その資質の向上を図るように努めなければならない。養育の一般原則として、里親は、養育を効果的に行うため、都道府県等が行う研修を受け、資質の向上を図るよう努めなければならないとしている。
☐ 24.里親の普及啓発から里親の選定、里親と児童の調整、児童の養育に関する計画の作成など、一貫した里親支援は、2017(平成29)年4月1日より、都道府県(児童相談所)の業務となった。
☐ 25.専門里親は、児童虐待や障害等による、特別な課題を有する児童を専門的に養育する里親である。2002(平成14)年に創設された専門里親は養育里親の一種。経験豊富な者や専門的訓練を受け要件を満たした者のみが専門里親になることができる。
☐ 26.里親制度の枠組みとして「ファミリーホーム」が事業化されている。2009(平成21)年に制度化され、定員5人または6人に対し、養育者、補助者合わせて3人以上を置くことで開設できる。
☐ 27.里親は、児童相談所長があらかじめ委託児童ごとに作成する自立支援計画に従って、委託児童を養育しなければならない。
☐ 28.里親委託の対象となる子は、新生児から年齢の高い子どもまですべての子どもが対象となり、加えて保護者の傷病等で短期間の養育を必要とする子どもも含まれる。
5.社会的養護の専門職
☐ 29.障害児入所施設には、福祉型・医療型にかかわらず、児童発達支援管理責任者を配置しなければならない。児童発達支援管理責任者は、児童発達支援センターや放課後等デイサービスにも配置されている。
☐ 30.少年を指導する職員(少年指導員)は、母子生活支援施設に配置基準がある職員である。
☐ 31.里親委託の推進及び里親支援の充実を図るため、乳児院と児童養護施設に里親支援専門相談員を配置することが可能である。里親支援専門相談員は、家庭支援専門相談員の資格要件を満たし、里親制度への理解及びソーシャルワークの視点を有する者である。
☐ 32.家庭支援専門相談員は、乳児院、、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設に配置される。母子生活支援施設には、配置基準がない。
☐ 33.被虐待児等の個別の対応が必要な児童やその保護者への支援をする専門職として、児童養護施設等には個別対応職員が配置されている。
☐ 34.個別対応職員は、児童養護施設、乳児院、児童心理治療施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設に配置義務がある。
☐ 35.児童養護施設には、満2歳未満の幼児おおむね1.6人につき1人以上、満2歳以上満3歳未満の幼児おおむね2人につき1人以上、満3歳以上の幼児おおむね4人につき1人以上、少年おおむね5.5人につき1人以上の児童指導員及び保育士を配置する。
☐ 36.児童養護施設の心理療法担当職員配置基準は、心理療法の必要があると認められる児童10人以上に心理療法を行う場合、配置しなければならない。
6.児童福祉施設の種類とその特徴
☐ 37.児童自立支援施設で策定される自立支援計画の見直しにおいては、自立支援計画の見直しは、子どもとともに生活を振り返り、子どもの意向を確認し、保護者の意向を踏まえ、子どもの最善の利益を考慮して行う。
☐ 38.福祉型障害児入所施設における生活指導は、児童が日常の起居の間に、退所後、できる限り社会に適応するようこれを行わなければならない。
☐ 39.母子生活支援施設は、配偶者のない女子、これに準ずる事情にある女子、その者が監護すべき児童(原則18歳未満)を対象としている。
☐ 40.児童発達支援センターで対応する障害については、原則3障害を取り扱えるよう整備することが望ましい。専門機能に特化したものでもよいともされており、さらに、センター機能として保育所等訪問や障害児相談支援の事業も展開している。
☐ 41.児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)の入所年齢は、2017(平成29)年4月より、高等学校の生徒、満20歳に達する日の前日において大学等の学生で満22歳に達する日の年度末日までの間にあるものが加えられた。
☐ 42.自立援助ホームは、里親委託措置の解除や、施設から退所した子どもに対して、居住場所と食事の提供を行う。職員は、就労姿勢や職場の対人関係についての援助・指導、その他自立した日常生活及び社会生活を営むために必要な相談・援助・指導を行う。
☐ 43.児童家庭支援センターは、地域で生活する子育て家庭に対する相談・助言・援助を行う施設である。その他、市町村、児童相談所、児童福祉施設等からの依頼により、必要に応じて助言・援助・指導を行う。里親やファミリーホームの支援も行う。
7.児童養護施設
☐ 44.児童養護施設は、里親養育を優先し、それが難しい場合には、施設養護を行う。施設を小規模化し家庭的養育を目指しているが、本体施設は残し高度専門的な手厚いケアの集中的提供を行うことが考えられている。
☐ 45.児童養護施設入所児童のうち、何らかの障害等がある児童は、増加の一途をたどっている。2008(平成20)年は23.4%、2013(平成25)年は28.5%、2018(平成30)年は36.7%と増加の一途をたどっている(児童養護施設入所児童等調査結果)。
☐ 46.施設長や職員は、自らの人権感覚を磨き施設全体の支援の質の向上を図ることが求められている。施設長や職員が子どもの権利擁護に関する研修に参加し、人権感覚を磨くことで、施設全体が権利擁護の姿勢を持つ(児童養護施設運営指針)。
☐ 47.児童養護施設が小規模グループケアを行う場合、 専任の職員として、各グループに児童指導員または保育士1名と、管理宿直等職員1名を加配し、他の職員と連携してケアを行う必要がある。
☐ 48.地域小規模児童養護施設の特性として、子どもの個別ニーズに即応でき、柔軟性のある個別対応が可能となることがあげられる。小規模化と地域分散化で、職員の力量の向上が求められており、同時に、施設の組織運営力の向上やスーバーバイズ体制の整備が求められている。
☐ 49.児童養護施設に入所している中の6割を超える児童は、「被虐待経験」がある。65.6%で6割を超えている(児童養護施設入所児童等調査の概要(平成30年2月))。
☐ 50.自立支援計画書の見直しでは、子どもとともに生活を振り返り、可能な限り子どもやその保護者の意向を確認して反映させていく。(児童養護施設運営指針(平成24年厚生労働省))。
8.乳児院
☐ 51.被虐待経験のある乳児院入所児童のうち最も多い虐待はネグレクト(66.1%)、身体的虐待(28.9%)、心理的虐待(16.4%)の順になっている(児童養護施設入所児童等調査の概要(平成30年2月))。
☐ 52.乳幼児の養育は、原則、里親委託とすることを目指し、今後、乳児院は家庭支援を中心に行っていくことが検討されている。乳児院の多機能化・機能転換が検討されており、特別なニーズがある子どもの養育と、家庭を支援するセンター的役割を担うことになっていく。
☐ 53.乳児院入所児童も保育所等訪問支援事業の訪問対象になっている。保育所等訪問事業は、2012(平成24)年に創設、2018(平成30)年4月の児童福祉法改正に伴い乳児院や児童養護施設も訪問先として拡大された。
☐ 54.乳児院は、里親支援の拠点としても期待されている。家庭支援専門相談員に加え、里親支援専門相談員が継続的な支援体制を整備し支援している。
☐ 55.乳児院の養育は、基本的に入所から退所まで一貫した担当者が行う。特別な配慮が必要な場合を除いて、日常の養育は「担当養育制」がとられ、受容的・応答性の高い関わりの中で養育が行われている。
☐ 56.乳児院では、乳児が入所した日から、医師又は嘱託医が適当と認めた期間、観察室にてその心身の状況を観察しなければならない。
☐ 57.乳児院の主な養育者は看護師であるが、保育士又は児童指導員に代えることができる。ただし、児童数に応じ看護師は配置が義務付けられている。
9.児童心理治療施設
☐ 58.児童心理治療施設(旧称:情緒障害児短期治療施設)入所児童の半数以上が「被虐待経験あり」の児童である。入所児童の78.1%が「被虐待経験あり」で、児童福祉施設等の中で最も高い割合である(児童養護施設入所児童等調査の概要(平成30年2月))。
☐ 59.児童心理治療施設には、心理的困難や生きづらさを感じている児童、心理治療が必要な児童が入所している。虐待や発達障害などを背景とする問題に対する治療・支援が主となる(情緒障害児短期治療施設運営指針(平成24年厚生労働省))。
☐ 60.情緒障害児短期治療施設運営指針により、児童心理治療施設における入所治療は原則として数か月から2~3年程度の期間とされている。
☐ 61.児童心理治療施設での治療は、日常生活、学校生活、個人心理治療、集団療法、家族支援、施設外での社会体験等を有機的に結びつけた総合的な治療・支援(総合環境療法)である。
☐ 62.生活指導は、児童の社会的適応能力の回復を図り、児童が施設退所後、健全な社会生活を営めるように行わなければならない。生活指導及び心理療法により、児童の社会的適応能力の回復を図る。また、施設退所後も、相談やその他の援助を受けることができる。
☐ 63.児童心理治療施設や児童養護施設などに入所した児童について、都道府県では、満20歳に達するまで措置延長できることとされている。
☐ 64.児童心理治療施設は、家庭環境、学校における交友関係、その他の環境上の理由により社会生活への適応が困難となった児童を対象とし、治療及び生活指導を行う。入所のほかに通所の利用もある。
10.社会的養護の現状
☐ 65.2019(令和元)年度の里親・ファミリーホームヘの委託児童数は7,492人で、里親委託率はここ十数年一貫して増加している。里親委託児童数は5,832人(登録里親数13,485世帯)、ファミリーホーム委託児童数は1,660人(設置数は417箇所)で年々委託児童数が増加している(社会的養育の推進に向けて(令和3年5月))。
☐ 66.2019(令和元)年度の児童相談所における虐待相談の内容別件数で、最も多いのは、心理的虐待である。身体的虐待は、2番目に多い49,240件(25.4%)で、最も多いのは、心理的虐待で109,118件(56.3%)である(令和元年度福祉行政報告例)。
☐ 67.2019(令和元)年度、全国の児童相談所の相談の種類で、最も多いのは児童虐待相談等を含む「養護相談」である。児童相談所における相談の種類別対応件数で、最も多いのは「養護相談」49.2%、次いで「障害相談」34.8%である。(令和元年度福祉行政報告例)。
☐ 68.児童養護施設入所児童等調査の概要(平成30年2月)によると、母子生活支援施設への入所理由では、「配偶者からの暴力」(50.7%)が最も多く、次いで「住宅事情による」(16.4%)が多くなっている。
☐ 69.近年の児童養護施設児の進学率は、高校などへの進学率は、94.9%で一般の98.8%とあまり差がないが、大学などへの進学率は、17.8%で一般の52.7%と比較すると低く、就職が多くなっている(社会的養育の推進に向けて(令和3年5月))。
☐ 70.児童養護施設の設置数及び入所児童数は、里親委託の推進から児童養護施設への入所児童数(24,539人)は減少傾向だが、児童養護施設の小規模化から設置数(612か所)は増加傾向にある(社会的養育の推進に向けて(令和3年5月))。
☐ 71.わが国の社会的養護は、子どもの最善の利益のために、社会全体で子どもを育むという考え方を理念としている。
ロ 72.社会的養護関係施設である手し児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設では、3年に1回以上の第三者評価を受けなければならない。
ロ 73.少年指導員は、母子生活支援施設に配置基準がある職員である。
ロ 74.里親支援専門相談員は、乳児院と児童養護施設に配置することができる。
ロ 75.児童心理治療施設は、入所での利用と保護者の下から通う通所の利用もある。
ロ 76.里親等委託率は、十数年一貫して増加している。
ロ 77.里親委託の推進から児童養護施設への入所児童数(25,348人)は減少傾向だが、児童養護施設の小規模化から設置数(606か所)は増加傾向にある。
7章 子どもの保健
1.子どもの健康と保健の意義
☐ 1.母子保健法は、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を目的に定められた。
☐ 2.2020(令和2)年の出生数は、84万0,832人と過去最低を記録し、出生率は人口千対6.8である。前年の出生数86万5,239人より2万4,407人減少し、出生率も7.0より低下した。出生数、出生率ともに5年連続で減少している。
☐ 3.保育所保育において、子どもの健康及び安全の確保は、子どもの生命の保持と健やかな生活の基本であると、保育所保育指針に明記されている。
☐ 4.合計特殊出生率は、15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、一人の女性が一生に産むとされる子どもの数に相当する。
☐ 5.「令和2年人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、2020(令和2)年の日本の合計特殊出生率は、1.34である。日本の合計特殊出生率は、1993(平成5)年に1.46となり、1994(平成6)年には1.5に上昇するものの、1995(平成7)年以降は1.5を下回っている。
☐ 6.低出生体重児とは、出生時に体重が2,500g未満の新生児のことをいい、出生時の体重が1,500g未満の新生児は、極低出生体重児という。
☐ 7.WHO憲章前文の定義によれば、健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない。
2.子どもの発育・発達と保健(1)
☐ 8.出生後から生後28日未満を新生児、満1歳未満を乳児、満1歳以上から就学前を幼児という。小学校入学以上満18歳未満は児童・生徒である。
☐ 9.身体が大きくなっていくことを発育(成長)といい、身体の動きが機能的に高まることを発達という。発育と発達は密接に関連している。
☐ 10.子どもの発育・発達は、連続した現象で、遺伝的に決められた一定の順序で進み、機能的な成熟は中心部から末梢へと向かって起こる。機能的な成熟には方向性があり、近遠方向(中心部から末梢)、頭尾方向(頭部から尾部)などがある。個人差が大きい。
☐ 11.頭囲を計測するときは、前方は左右の眉の直上、後方は後頭部の一番突出しているところを通る周径を計測する。出生時頭囲は、胸囲よりも少し大きく、33cmくらいで、1歳で頭囲は、胸囲とほぼ同じくらいになる。
☐ 12.身長の計測は、2歳未満の乳幼児では仰向けの状態で測定し、2歳以上の幼児では立位で測定する。2歳以上の場合、身長計の尺柱にかかと、背中を当て、立位であごを引き、耳と眼を結ぶ線が水平になるよう頭を固定、足先を30度に開き計測する。
☐ 13.身体測定で得られた数値の評価の基準となるのは、乳幼児身体発育値である。一般的に乳幼児身体発育値が使われ、母子健康手帳にも記載されている。3および97パーセンタイル曲線の帯の中に入っていれば、問題ないと判断される。
☐ 14.ヒトの体は細胞から構成され、最小の単位を元素といい、タンパク質、脂質、糖質、ミネラルなどが含まれる。
3.子どもの発育・発達と保健(2)
☐ 15.保育所における子どもの発育及び発達状態について、疾病や障害の疑いが生じた場合、専門機関と連携及び協力を図り、対応について検討し、保護者に伝え、支援していく。
☐ 16.カウプ指数は、主に乳幼児の栄養状態を知るための体形指数で、おおよそ15~19未満が標準である。肥満度は肥満判定に用いられる。肥満度は、実測体重が標準体重からどの程度離れているかを%で示したものである。カウプ指数は、「体重g/(身長cm)²×10」で計算される。
☐ 17.スキャモン(Scammon,R.)の器官別発育曲線で、神経型は乳幼児期に最も急速に発達する。一般型(身長・体重)は乳児期と思春期に、リンパ系型は7~12歳位に、生殖型は思春期に急速に発育する。
☐ 18.幼児の体温は36.0~37.4℃ 、安静時の脈拍数は毎分90~120回、呼吸数は毎分20~30回が正常範囲である。なお、乳児の安静時の脈拍数は毎分120~140回、呼吸数は毎分30~40回が正常範囲である。食事後や運動後に体温は上昇し、脈拍・呼吸数は増加する。
☐ 19.新生児の体重は、生後3~5日経つと、尿、胎便、不感蒸泄などが摂取量よりも多いために体重が5~10%ほど減少することを生理的体重減少という。生後7~10日で出生時の体重に戻るので特に問題ない。
☐ 20.母乳には、感染防御因子として免疫グロブリンIgAが豊富に含まれる。感染防御に役立つ。IgGは胎盤経由で移行する抗体である。母乳はビタミンK欠乏の可能性がある。
☐ 21.大泉門とは、額の上部にあるひし形のすき間のことをいい、正常な発達をしている乳児では、大泉門は生後6か月~2歳で開鎖する。なお、後頭部の三角形のすき間を小泉門といい、生後2か月頃に閉鎖する。
4.子どもの発育・発達と保健(3)
☐ 22.子どもの脳の重量は、出生時約350gである。脳の仕組みについて、前頭葉の機能は、運動に関連する領域と、知覚を司る領域に大別される。脳の重量は、出生時約350g(大人の約25%)で、出生後急速に増加して3歳で約80%、6歳で約90%に達する。
☐ 23.乳歯は妊娠初期から形成され始め、出生時にはかなりできあがっている。生後6~8か月頃に下顎の前歯が生え始め、2~3歳で型本が生えそろう。
☐ 24.体温は、脳の視床下部の体温調節中枢によって一定に保たれ、早朝が低く、活動する日中が高くなり、日内変動がある。
☐ 25.発熱とは、一般的に37.5℃以上をいう。また、平熱よりも1℃以上高い状態も発熱とみなすことができる。発熱時は、脱水に注意し水分摂取を促す。発熱は、身体を守るための生体防御機能の一つで、発熱することで白血球を活性化し、免疫機能を高める。そのため発熱が軽度のときは、解熱剤を使用せず、冷却(クーリング)を行う。
☐ 26.レム睡眠の特徴が、急速眼球運動「Rapid Eye Movement」で、その頭文字をとってREM睡眠と呼ばれ、夢を見る浅い眠りである。ノンレム睡眠は、静的な睡眠で脳は休息している。
☐ 27.乳児の便の色は、黄、緑、茶色が正常で、異常な便の色は、白、黒、赤等である。生後4か月くらいまでは、便の色に注意が必要である。母子健康手帳に掲載されている便色カラーカードで判別し、胆道閉鎖症などの病気の早期発見に努める。
5.子どもの発育・発達と保健(4)
☐ 28.早産とは、正期産より前の出産のことであり、妊娠22週0日から妊娠36週6日までの出産をいう。正期産とは、妊娠37週0日から妊娠41週6日までの出産をいう。
☐ 29.緊張性頸反射とは、仰臥位で頭を一方に向けると、向けた方の上下肢が伸展する反射で3~5か月頃消失する。
☐ 30.バビンスキー反射(足裏反射)とは、足の裏の外側をこすると、足の親指が甲の側に屈曲する反射で、2歳ごろまでに消失する。
☐ 31.哺乳反射は、口の中に何か入ると吸啜する反射で、モロー反射は、頭を持ち上げ離すと抱きつくように屈曲する反射である。哺乳反射は、新生児にみられる反射で、生後4~5か月頃に消失する。モロー反射は、通常、生まれた直後からみられる反射で、生後3~4か月頃に消失する。
☐ 32.2歳頃両足でピョンピョンとび、3歳頃には、三輪車をこいで動かすことができ、4歳頃でんぐり返しをし、5歳頃スキップもできるようになる。3歳頃になると歩行は安定し、できる運動が増え、三輪車をこいで動かすことができ、さらに手先も器用になる。スキップができるようになるのは、5歳頃である。
☐ 33.運動機能の発達は、首のすわり(生後3~4か月頃) → 寝返り(生後5~6か月頃) → おすわり、はいはい(生後7~8か月頃) → つかまり立ち(生後9~10か月頃) → ひとり歩き(1歳~1歳6か月頃)の順で進む。
☐ 34.体重や身長は、乳児期に急速に増加し、小学校高学年からの思春期に再び増加する。この時期を第二次性徴という。
6.子どもの発達障害と心の健康(1)
☐ 35.注意欠如・多動症(ADHD)は、多動・不注意・衝動性などが認められる。注意欠如・多動症(ADHD)の子どもへの対応として、やるべきことや予定を視覚的に示すと指示が伝わる。
☐ 36.反抗は精神発達の過程における一過性の現象で、幼児期の反抗期を第一次反抗期、思春期の反抗期を第二次反抗期という。
☐ 37.チック障害は、男児に多くみられ、単純運動チックではまばたき、単純音声チックでは咳払いなどの症状がある。脳神経の機能異常が原因とされ、ストレスによって症状が増減する。
☐ 38.てんかんでは、脳波の異常が認められ、症状としては全身または一部の筋肉が収縮するけいれん発作や意識を消失することがある。てんかんは種々の成因により起きる慢性の脳疾患で、脳波の異常が認められる。発作時は周囲の安全を確保し、発作が起きた時間と状況を確認する。
☐ 39.自閉スペクトラム症(ASD)の特徴として、反復的な行動や強いこだわりがあり、コミュニケーションが苦手で手順が急に変わると混乱するといったものがある。子どもへの対応として、耳を塞いで不快そうにしているときは、静かな場所に移動したり、絵や写真を使って見通しが持てるようにしたりする。
☐ 40.分離不安障害は、母親が離れようとするときに胃痛や頭痛が生じるなどの症状がある。分離不安障害は、愛着を抱いている人との分離の際に不安を示し、泣く、しがみつくなど分離されることを極度に嫌がることである。
☐ 41.発達障害(ADHD、学習障害、アスペルガー症候群など)は、合併しやすく、症状や特性も似ていて鑑別も難しい。
7.子どもの発達障害と心の健康(2)
☐ 42.限局性学習障害(SLD)は、主として学童期以降に診断が確定される。限局性学習障害(SLD)は、読み・書き・計算・運動などに困難さがみられる。就学後の学習場面で気付くことが多いため、主として学童期以降に明らかとなる。
☐ 43.子どもへの虐待の疑いがある場合、保育士には行政もしくは児童相談所などへ、速やかに通告する義務がある。その後の虐待の事実の検証は、児童相談所などで行う。
☐ 44.発達障害が疑われる場合には、医師の診断を待って支援を開始するのでは、遅い場合もある。保育士には、早期発見・早期介入という役割があり、医療機関など関係機関と協力し合い、発達に即したきめ細かい支援を行う。
☐ 45.虐待に至るおそれのある要因(リスク要因)として、保護者側の要因に、若年での妊娠・出産があげられる。その他の保護者側の要因として、自身の被虐待経験や、経済的な問題などがある。
☐ 46.低体重出生や早産は、注意欠如・多動症のリスク要因である。注意欠如・多動症は、早産児や低体重出生児に多く、胎児環境が、注意欠如・多動症の発症に影響していると言われている。
☐ 47.児童虐待対策の中心的な機関は、児童相談所や福祉事務所である。保健センターは、母子保健事業の一環として、児童虐待の早期発見や発生予防に対応する。
8.子どもの疾病と保育(1)
☐ 48.インフルエンザによる発熱時にアスピリンを使用すると、脳症を起こすことがあり、原因不明の熱に常備薬の解熱剤を安易に使用するべきではない。
☐ 49.高熱時は、薄着にし冷却を行い、熱を放散させ、汗をかいたら着替えをする。ただし、悪寒がある場合には、部屋を十分暖め厚着をさせる。
☐ 50.頭部を打撲後に頭痛や吐き気、嘔吐がみられたら必ず病院を受診する。子どもは体に比べて頭部が大きいため頭部を打撲することが多い。症状がみられたら速やかに受診、検査をする。受傷後24時間は注意して観察する。
☐ 51.乳幼児期は、熱性けいれんを起こしやすく、けいれんが起こったら、仰臥位で顔を横に向けるか、側臥位にして寝かせ、唾液や吐物が気管に入らないようにし、けいれんの持続時間を確認する。
☐ 52.けいれんとは、全身または体の一部の筋肉が、意志とは関係なく発作的に収縮し、多くは意識消失を伴うが、意識がある場合もある。けいれん時は、静かに寝かせ安全を確保し、意識、呼吸状態を確認し、窒息を予防する。
☐ 53.子どもは、嘔吐や下痢により脱水になりやすいため、嘔吐、下痢がある場合、電解質を含んだ水分を摂取させる。
☐ 54.先天性股関節脱臼は、女児に多い。先天性股関節脱臼の予防には、お尻を少し持ち上げておむつ交換し、足の動きを阻害しないようにおむつを当てる、などに気をつける。
9.子どもの疾病と保育(2)
☐ 55.熱中症は、屋外だけでなく屋内などの高温多湿な環境でも発症する。体温調節がうまく働かず、体内に熱がこもってしまうので、室温や湿度を調整し、こまめに水分や塩分を補給し予防する。
☐ 56.乳幼児の食物アレルギーの原因食物は、鶏卵が最も多い。食物アレルギーの3大原因は、鶏卵、乳製品、小麦である。日本保育園保健協議会によると、食物アレルギー有病率は2009年度は約4.9%であった。
☐ 57.食物アレルギーの症状は、皮膚・粘膜症状が比較的多いが、複数の臓器に症状が出現する状態をアナフィラキシーと呼ぶ。乳幼児期のアナフィラキシーの原因のほとんどは、食物アレルギーであり、保育所で初めて起こすこともあり、対処法を習熟しておく必要がある。
☐ 58.食物アレルギーの有病率は、 食物アレルギーは小学生より低年齢に多く、年齢とともに改善する傾向がある。保育所の食物アレルギー有病率は1歳児で小学生の3倍以上である。
☐ 59.気管支喘息は、喘鳴を伴う呼吸困難の発作を繰り返し、アトピー素因(アレルギーと関係ある免疫物質IgE抗体を持つ)が認められる。気管支喘息は、呼吸をするときにゼイゼイといった喘鳴を伴う呼吸困難の発作を繰り返す。誘因は、細菌やダニ、ハウスダストなどである。
☐ 60.アトピー性皮膚炎は、アトピー素因を背景としたかゆみを特徴とする皮膚炎である。かゆみが強いときは、冷たいタオルや保冷剤で冷やすことが効果的である。保育所では、薬の塗布や与薬は基本行わない。
☐ 61.乳幼児でも、アレルギー性鼻炎や花粉症は認められる。
10.子どもの疾病と保育(3)
☐ 62.感染経路のひとつである接触感染は、病原体が体の表面に付着しただけでは、感染しない。病原体の付着した手で口、鼻などを触ることによって、病原体が体内に侵入し、感染する。
☐ 63.飛沫感染は、感染者の咳やくしゃみなどの飛沫が飛び散る周囲2mの範囲で起こりやすい。飛沫感染は、感染している者から2m以上離れていて、感染者がマスクを装着していれば、保育所での集団発生は、予防できる可能性がある。集団の場では、咳エチケットが重要である。
☐ 64.麻しんや水痘は、接触感染、空気感染、飛沫感染で、ヒトからヒトヘ感染する。
☐ 65.川崎病は原因不明の発疹を伴う熱性疾患で、ヒトからヒトヘ感染しない。
☐ 66.「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」によれば、通常のインフルエンザに罹患した場合、発症した日の翌日から5日を経過し、かつ解熱した日の翌日から2日(幼児にあっては3日)経過するまでなので、5日以上になることもある。
☐ 67.耳下腺、顎下腺、舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで登園を控える。病原体は、ムンプスウイルスである。
☐ 68.麻しんに罹患したら、解熱した後3日を経過するまで登園を控える。麻しんは、カタル期から発疹期に感染性があり、解熱すると回復期に入り、感染性が低下する。口中にコプリック斑(白い斑点)ができる。
☐ 69.乳幼児への肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン、水痘ワクチン、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチンの接種は定期接種である。2013年に肺炎球菌、ヒブ、2014年に水痘、2016年にB型肝炎、2020年にロタウイルスが定期接種となった。
11.子どもの疾病と保育(4)
☐ 70.感染者は症状がなくても感染源となりうる。潜伏期間(病原体が体内に入ってから発症するまでの期間)があり、全く症状のない不顕性感染もある。
☐ 71.麻しん及び風しんの予防接種は、Ⅰ期の生後12か月以上24か月未満の間に1回と、Ⅱ期の5歳以上7歳未満の間に1回、合計2回を乳幼児期に接種する。麻しん風しん(MR)ワクチンは、Ⅰ期の生後12か月以上24か月未満と、Ⅱ 期の小学校就学前(5歳以上7歳未満)の2回接種する。
☐ 72.結核は、結核菌が空気感染することで起こり、症状は長びく咳、呼吸困難等である。乳児は重症化しやすいので、生後5~8か月にBCG生ワクチンを接種する。
☐ 73.予防接種は、定期接種と任意接種に分けられ、ワクチンは、生ワクチンと不活化ワクチンに大別される。生ワクチンには、BCG、水痘、流行性耳下腺炎があり、不活化ワクチンには、4種混合、ヒブ、小児用肺炎球菌、インフルエンザなどがある。
☐ 74.ロタウイルスのワクチンは、ロタウイルスの感染で引き起こされる胃腸炎を予防する、経口接種の生ワクチンである。ロタウイルスは、乳幼児期にかかりやすく、主な症状には激しい下痢、嘔吐、発熱、腹痛などがある。2020(令和2)年10月より定期接種となった。
☐ 75.おたふくかぜワクチンは、任意接種であり、1歳を過ぎたら接種可能である。
☐ 76.ワクチンの接種間隔は、2020(令和2)年10月1日より変更となり、生ワクチン同士は4週間以上あけ、その他のワクチンの接種間隔の制限はなくなった。
12.環境及び衛生管理並びに安全管理
☐ 77.感染とは、ウイルスや細菌等の病原体が体内に侵入し発育又は増殖したことをいう。感染症とは、何らかの症状が現れた状態をいう。
☐ 78.保育環境の安全管理については、マニュアルや安全点検表を作成して、施設、設備、遊具、玩具、用具、園庭等を定期的に点検する。全職員が共通理解の下、連携して安全対策を行う。
☐ 79.食事中の誤嚥を防ぐためのポイントは、食べ方に注意が必要な食材は、食べさせないようにするのではなく、細かく切るなど工夫して食材を提供する。子どもの口に合った量で、汁物や水分を適切に与える。
☐ 80.窒息時のサインをチョークサインといい、窒息を起こしたときに両手を交差させてのど元をつかむような動作をいう。幼児が窒息したときには、背部を強くたたく方法(背部叩打法)とみぞおちの下で握り拳にして腹部を上へ圧迫する方法(ハイムリック法)がある。
☐ 81.職員は、日常的に手洗いを励行する。衛生管理で重要な対策は、手洗いなどの手指衛生である。消毒は毎回行うのではなく、感染症流行時や、吐物、便、血液などが付着した際にていねいに取り除き、消毒を行う。
☐ 82.災害への備えとして、訓練をする時間帯は、午前中、食事中、午睡中、午後などあらゆる時間を想定して行い、訓練後は評価し、改善点を明らかにする。
☐ 83.風邪やインフルエンザの流行時には、流行時には、定期的に換気をして、室内の衛生を保つ。暖房器具や加湿器を使い室内の温度や湿度を調整する。
13.事故防止と安全対策
☐ 84.子どもが倒れて意識がなく呼吸がみられないときは、救急車の要請と胸骨圧迫、人工呼吸を行い、自動体外式除細動器(AED)を装着して音声指示に従う。
☐ 85.乳幼児突然死症候群(SIDS)は、原因は不明で1歳未満に多い。リスク要因として、うつぶせ寝、人工栄養、両親の喫煙などがあげられる。
☐ 86.ヒヤリ・ハットとは、事故には至らなかったがヒヤリとしたり、ハッとしたりした出来事をいい、記録して分析し再発防止に努める。PDCAサイクル(Plan:計画、Do:実施、Check:評価、Action:改善)に沿って分析し、保育者間で情報を共有し、再発防止に努める。
☐ 87.肝炎ウイルスキャリアの園児が鼻出血した場合、肝炎ウイルスを含んだ唾液や血液は感染する可能性があり、感染対策として使い捨てのゴム手袋を装着し、血液が触れないように手当てを行う。
☐ 88.プール活動・水遊びで注意すべきポイントは、監視者は監視に専念し、エリア全域をくまなく確認し規則的に目線を動かして監視する。注意すべき他のポイントは、時間的余裕をもって行う、動かない子どもや不自然な動きの子どもを見つけるなどがある。
☐ 89.「令和2年人口動態統計」では、1~4歳児の死亡原因のうち、1~4歳児では、死亡原因の第1位は「先天奇形、変形及び染色体異常」、第2位は「悪性新生物」、第3位が「不慮の事故」となっている。
☐ 90.子どもの飛び出しがないように園の出入り口は施錠して安全を確保する。また、外部からの不審者等の侵入防止のための措置や訓練も行う。
14.健康・安全の実施体制及び保健活動の計画・評価
☐ 91.「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」では、施設・事業者・地方自治体のみが対応を行う。事故発生の防止や事故発生時の具体的な対応についての参考とすべき資料である。
☐ 92.子どもの健康管理について嘱託医と常に連携を図るとともに、保育所全体の方針や取り組みについて周知するように努める。嘱託医は、定期健康診断や、保育所全体の健康管理を行う。
☐ 93.保育所では、一人一人の子どもの健康及び安全の確保とともに、子ども集団全体の健康及び安全の確保に努めなければならない。保育所保育指針に、子どもの健康及び安全は、子どもの生命の保持と健やかな生活の基本であることが明記されている。
☐ 94.保育中の事故防止のために、子どもの心身の状態等を踏まえつつ、う保育所保育指針に、共同作業ではなく共通理解するよう明記されている。また家庭や地域の関係機関の協力の下に安全指導を行うことも明記されている。
☐ 95.感染症と診断された場合、医師の指示に基づいて出席停止とする。医師の診察を受けて診断書を提出してもらい、登園再開とする。
☐ 96.事故が発生した場合、迅速に応急処置や救急蘇生を行う。緊急度に応じて救急車の手配や保護者及び嘱託医への連絡等を迅速に行う。
☐ 97.保健計画は、「情報収集」→「目標の設定」→「内容の設定」→「関係機関との連携・調整」→「計画の決定」の順に進めるとよい。子どもへの配慮を、クラスごとや月齢別に施した保健計画を立案し計画的に実施する。また保健計画については保護者への働きかけも重要である。
15.母子保健対策
☐ 98.保育所は、保護者に市町村の乳幼児健診を受けるように勧める。子どもの健康支援のためには、行政や教育機関との連携が必要である。乳幼児健診は、母子保健法に規定され、市町村は健診を行わなければならないとされている。保育所は、結果の報告も働きかける。
☐ 99.3歳児の健康診査では、言語・運動発達、視聴覚機能、情緒、習癖、社会性など精神面の発達、歯科などの幅広い健康診査が行われる。3歳児の健康診査では、疾病や身体的異常の検査のほか、発育発達状態の確認、歯科検診、視聴覚検査や尿検査など幅広く行われる。
☐ 100.母子保健法では新生児訪問指導、健康診査、保健指導、母子健康手帳の交付、妊産婦の訪問指導などが定められている。その他、栄養摂取に関する援助、妊娠の届出、低体重児の届出なども含まれる。
☐ 101.産後うつは分娩後数週間~数か月頃に激しい気分の変動がみられ、10~15%の女性が発症するといわれている。育児不安、育児疲れ等により起こる。
☐ 102.妊婦が妊娠前期に風疹ウイルスに感染すると、出生児は先天性風疹症候群となり、先天性の難聴や白内障、心疾患などを合併する。妊娠を希望する女性は、妊娠前に風疹の抗体価を確認し、抗体がなければ予防接種を受け、感染予防する。
☐ 103.母子保健サービスのうち、母子健康手帳の交付、乳児健康診査、3歳児健康診査などの基本的サービスの実施主体は、市町村である。
☐ 104.マススクリーニング検査とは、3歳児健康診査時に行う発達検査である。
マススクリーニング検査は、生後5~7日に、新生児を対象とし、先天性代謝異常等の発見を目的に行われる検査で、現在は多くの疾患が発見できるタンデムマス法で行われている。
16.子どもの保健と環境
☐ 105.乳幼児は、成人と比べて体重当たりの体表面積が大きく低体温になりやすいため、生後2か月頃までは、成人より1枚以上多めの衣服を着せ、それ以降は成人と同じにし、ハイハイの頃より1枚少なく着せる。
☐ 106.小児の食事に関しても大人と同様に、糖分や塩分を控え、食材のおいしさを生かしてうす味を心がける。いろいろなものを食べることは大切であるが、小児の生活習慣病の予防のために、糖分や塩分を控えたうす味を心がける。
☐ 107.食事を与える時は、食事中の姿勢や、眠くなっていないか注意し、食事の後は食べ物を飲み込んだことを確認する。子どものペースに合ったタイミングと、口に合った量を与え、ゆっくり落ちついて食べることができる時間を確保する。
☐ 108.子どもを取り巻く身近な環境には家庭環境、社会環境、自然環境などがある。環境は子どもの生活に相互的に関わっていて、子どもの健康や発達に影響を与えている。
☐ 109.日光浴により、体内でビタミンDが生成され、カルシウムの吸収が促されるが、乳児は皮膚が弱いので、直接日光に当たらないように工夫する。
☐ 110.保育室の温度は、夏季は26~28℃、冬季は20~23℃が適当で、必要に応じて冷暖房器具を使用する。風によって体温を奪われやすいため、体に直接風が当たらないように配慮する。
☐ 111.身体障害のある子どもへの対応として、バリアフリーやユニバーサルデザインの視点からも環境を整える。ユニバーサルデザインとは「どこでも、だれでも、自由に使いやすく」という考え方で、安全で適切な環境設定を行うこと。
ロ 112.母子保健法は、母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進を目的としている。
ロ 113.発育・発達は、連続した現象で、遺伝的に決められた一定の順序で進む。
ロ 114.食物アレルギーの3大原因は、鶏卵、乳製品、小麦で、皮膚症状が最も多い。
ロ 115.麻しん及び風しんの予防接種(MRワクチン)は、Ⅰ期を生後12~24か月未満、Ⅱ期を小学校就学前(5歳以上7歳未満)の合計2回接種する。
ロ 116.子どもへの虐待が疑われる場合には、速やかに児童相談所などへ通告する。
ロ 117.インフルエンザに罹患した場合、発症後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで登園を控える。
ロ 118.不活化ワクチンには、4種混合、ヒブ、小児用肺炎球菌、インフルエンザなどがある。
8章 子どもの食と栄養
1.子どもの健康と食生活の意義
☐ 1.「令和元年度食料需給表」によると、2019(令和元)年度の日本の食料自給率は供給熱量ベースで50%を下回っている。食糧需給表には、食品ごとの食料自給率や推移が記載されている。2019(令和元)年度の日本の食料自給率は、供給熱量ベースで38%と50%を下回っている。
☐ 2.「令和元年国民健康・栄養調査」において、「1~6歳」における脂肪エネルギーの比率は、男女ともに30%以下である。「1~6歳」における脂肪エネルギーの比率は、男性29.2%、女性28.2%である。
☐ 3.「食生活指針」(文部省、厚生省、農林水産省)では、「ごはんなどの穀類をしっかりと」と示されている。
☐ 4.「食生活指針」には、「調理や保存を上手にして、食べ残しのない適量を心がけましょう」との記載がある。2016(平成28)年に一部改定された。同じ項目に、「まだ食べられるのに廃棄されている食品ロスを減らしましょう」などの記載がある。
☐ 5.朝食欠食は、脳の糖質不足となり、集中力の低下を招く。脳は糖質をエネルギー源として利用するが、蓄えておくことができない。朝食欠食は脳へのエネルギー供給が不足し午前中は体や脳が十分働かなくなる。
☐ 6.「平成30・令和元年度児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書」では、食事を残す理由として最も多いのは、男子で「嫌いなものがある」31.1%であり、女子では「量が多い」37.7%であった(公財日本学校保健会より)。
☐ 7.「令和元年度食育白書」によると、朝食を欠食する人(週2~3日食べる、ほとんど食べない)の割合は、全体で12%程度であるが、特に若い世代では26%程度と高い。
2.日本人の食事摂取基準
☐ 8.脂質の食事摂取基準は、脂肪エネルギー比率(%エネルギー)の目標量で示され、1歳以上のすべての年齢区分において20~30である。
☐ 9.「日本人の食事摂取基準2020年版」では、1~5歳までは、ふつうのみの1区分、6歳以上は「低い」「ふつう」「高い」の3区分である。
☐ 10.成長期である小児の推定エネルギー必要量(kcal/日)には、組織の形成のためのエネルギーと、組織増加分(蓄積量)のエネルギーが必要である。算出式は、推定エネルギー必要量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル+エネルギー蓄積量(kcal/日)で求められる。
☐ 11.栄養素の指標の目的の一つである「生活習慣病の予防」のために栄養素を摂取する際に各栄養素の目標量を上回るように栄養を摂取する。
☐ 12.「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食塩の目標量(g/日)は、1~2歳で男女とも3.0未満、3~5歳で男女とも3.5未満となっている。
☐ 13.「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、妊娠初期の鉄(推奨量)の付加量(mg/日)は+2.5となっている。
☐ 14.「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、カルシウムの推奨量には男女で差がある。1~2歳のカルシウム推奨量は、男子450mg/日、女子400mg/日である。
3.栄養に関する基本的知識【糖質】
☐ 15.炭水化物は、糖質と食物繊維に分類される。消化吸収できるか否かで分けられ、消化、吸収されエネルギー源となるのが糖質である。
☐ 16.糖質は、唾液と膵臓から分泌される膵液に含まれる消化酵素アミラーゼにより、分解される。
☐ 17.グリセリンは、脂肪酸と結びついて、食品の油脂の大部分を占める中性脂肪の中に含まれている。
☐ 18.ブドウ糖(グルコース)は、炭素、酸素、水素からなる。ブドウ糖のような炭水化物や、脂質は、炭素、酸素、水素で構成される。たんぱく質は炭素、酸素、水素のほか、窒素を含むのが特徴である。
☐ 19.乳糖は、小腸粘膜の消化酵素であるラクターゼによって、単糖類のブドウ糖(グルコース)とガラクトースに分解される。
☐ 20.グリコーゲンは、ブドウ糖が多数結合した多糖類である。動物の肝臓や筋肉などに、貯蔵されている。
☐ 21.二糖類の麦芽糖は、マルターゼにより分解される。麦芽糖のほかに、二糖類にはショ糖や乳糖があり、ショ糖はスクラーゼ、乳糖はラクターゼにより分解される。
4.栄養に関する基本的知識【脂質】
☐ 22.脂質の摂取は、脂溶性ビタミンの吸収を助ける。脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K) は、 脂質とともに吸収される。脂溶性ビタミンを含む食品は、脂質と一緒に摂取するとよい。
☐ 23.トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングに多く含まれる。不飽和脂肪酸は、炭素間の二重結合のまわりの構造の違いにより、シス型とトランス型の2種類に分けられる。天然の不飽和脂肪酸は、ほとんどがシス型である。
☐ 24.一般に、動物性脂肪には、バター、牛脂などがあり、飽和脂肪酸が多く含まれている。
☐ 25.脂質1gは、2kcalのエネルギーとして利用される。糖質、たんぱく質は1g当たり4kcalである。
☐ 26.ドコサヘキサエン酸(DHA)には、多価不飽和脂肪酸が多く含まれている。いわし、さんま、あじなどの青魚に含まれる脂肪酸は、n-3系の多価不飽和脂肪酸である。
☐ 27.単純脂質は、グリセリンと脂肪酸のみからなる。複合脂質は単純脂質の一部にリン酸、糖質などを含む。胆汁酸などからなるのは、誘導脂質という。
☐ 28.中性脂肪の消化は、主に小腸において脂肪分解酵素リパーゼの作用によって、グリセリンと脂肪酸に分解される。
5.栄養に関する基本的知識【たんぱく質】
☐ 29.たんぱく質の構成元素は、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)のほかに、必ず窒素(N)を含む。
☐ 30.体内で合成することができず、食物から摂取しなければならないアミノ酸を、必須アミノ酸という。必須アミノ酸は、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、 トリプトファン、リジン、ヒスチジンの9種類である。
☐ 31.たんぱく質は、胃液、膵液、そして小腸上皮細胞で腸液の作用や膜消化によって、アミノ酸にまで分解され、吸収される。
☐ 32.乳児の胃には、たんぱく質の胃内滞留時間を延長する機能があり、消化性は高い。乳児の胃では、凝乳酵素レンニンの働きにより乳の中のカゼインが凝固され、カードが生成される。
☐ 33.6つの基礎食品群によると、たんぱく質の主な働きは、「主に体を作るもとになる」である。
☐ 34.たんぱく質は、糖質や脂質の摂取量が不足した際に、エネルギー源として利用される。脂質も同様に、エネルギー源不足時にはエネルギー源となる。
☐ 36.米は、主にエネルギー源であるが、たんぱく質もある程度含んでいるので、適量摂取する。米には、成分の6~7%のたんはく質が含まれている。日本人にとって、米はたんぱく質の供給源ともなっているので、適量摂取する。
6.栄養に関する基本的知識【ミネラルなど】
☐ 37.ビタミンAの欠乏症は、夜盲症である。
☐ 38.ビタミンCは、皮膚や細胞のコラーゲンの合成に必須である。
☐ 39.ビタミンB12には、血液をつくる働きや神経の機能維持を助ける働きがある。
☐ 40.たんぱく質代謝に関与するものは、亜鉛である。
☐ 41.カルシウムは、骨や歯の構成成分である。
☐ 42.6つの基礎食品群において、緑黄色野菜に多く含まれるのは、カロテンである。
☐ 43.リンは、カルシウムと結合して、骨や歯をつくる成分である。結合後はリン酸カルシウムとなり、骨や歯をつくるが、リンは、過剰摂取すると腸管におけるカルシウムの吸収を抑制する働きがある。
☐ 44.乳児期では、1日に体重1kg当たり125~150mlの水分摂取が必要であり、年齢が低いほど多い。
☐ 45.無機質(ミネラル)は、体内で合成されない。食事からとる必要がある。
7.乳児期の授乳・離乳の意義と食生活(1)
☐ 46.母乳に含まれる感染抑制物質は、感染症の発症予防と重症化の低下に役立つ。免疫グロブリンA(lgA)、ラクトフェリンなどの感染抑制物質は、特に母乳の初乳に多く含まれ、新生児の感染予防に大きな役割を果たしている。
☐ 47.ヒト細胞白血病ウィルス1型(HTLV-1)は、母乳を通じて感染する可能性がある。このような場合には、授乳は人工乳のみにするなどの対応が必要となる。
☐ 48.市販されている乳児用調製粉乳の標準調乳濃度は、約12~15%程度である。
☐ 49.「母乳育児を成功させるための10か条」(WHO/UNICEF)では、欲しがるときは、いつでも母乳を飲ませるようにとの記載がみられる。その他にも、分娩後30分以内に母乳を与える母子同室にするようにとある。
☐ 50.母乳中の糖質は、乳糖(ラクトース)である。
☐ 51、母乳には、ビタミンKが少ないため、母乳栄養児は人工栄養児に比べて、頭蓋内出血を起こしやすい。
☐ 52.WHO/FAO共同作成のガイドラインでは、「乳児用調製粉乳の調乳で使用する湯は70℃以上を保つこと」としている。乳幼児の髄膜炎や腸炎の発生に関係しているとされる、サカザキ菌の感染リスク低減のため、一度沸騰させた70℃以上の湯を使用し、2時間以内に使用しなかった乳は廃棄する。
8.乳児期の授乳・離乳の意義と食生活(2)
☐ 53.「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改定版:厚生労働省)では、牛乳を与えるのは1歳以降が望ましいが、乳製品の中でヨーグルト、脂肪や塩分の少ないチーズは、離乳食として早い時期から与えてもよい。
☐ 54.「授乳・離乳の支援ガイド」では、離乳の開始時期は「生後5~6か月頃が適当である」と示されている。1日1回1さじずつから始める。
☐ 55.生後9か月以降は、鉄が不足しやすいので、赤身の魚や肉、レバーを取り入れ、調理用に育児用ミルクを使用する等工夫する。この時期、牛乳は調理に使用できるが、育児用ミルクの方が鉄の吸収がよく、離乳食と組み合わせて使用するとよい。
☐ 56.舌と上あごでつぶせないものを歯茎の上でつぶすことを覚える月齢は、9~11か月頃である。12~18か月頃には、口へ詰め込みすぎたり、食べこぼしたりしながら、一口量を覚えるようになる。
☐ 57.ベビーフードを利用するときには、子どもの月齢に応じて固さの合ったものを選び、与える前には一口食べて確認する。離乳食の4区分を目安にベビーフードを選び、与える前に大人が一口食べてみて、味、固さ、温度を確認し、子どもの食べ方を確認する。
☐ 58.離乳の完了とは、形のある食べ物をかみつぶすことができ、エネルギーや栄養素の大部分が母乳や育児用ミルク以外の食べ物からとれる頃で目安は12~18か月である。
☐ 59.はちみつは、乳児ボツリヌス症予防のため、満1歳までは使わない。
9.幼児期の心身の発達と食生活
☐ 60.「授乳・離乳の支援ガイド」では、子ども(1歳)の1日の食事量の目安は、主食、主菜、副菜はそれぞれ成人の1/2弱程度、果物は1/2程度と考えられている。
☐ 61.一般的に乳歯が生えそろうのは、2~3歳である。
☐ 62.体重1kgあたりのエネルギー必要量は、成人より幼児のほうが多い。幼児は体が小さいが、日々成長して体を作る時期であるため、体重1kgあたりのエネルギー必要量は、成人より多い。
☐ 63.「平成27年度乳幼児栄養調査結果の概要」の「現在子どもの食事について困っていること」は、2~3歳未満に最も多い回答は、「遊び食べをする」である。
☐ 64.「平成27年度乳幼児栄養調査結果の概要」における「13種類の食物の摂取頻度(2~6歳児)」で、穀類は「毎日2回以上」と回答した保護者の割合が、最も高率であった。「毎日2回以上」摂取していると回答した保護者が最も多かったのが、穀類(97%)であり、次いでお茶など甘くない飲料(84%)、野菜(52%)、牛乳・乳製品(36%)であった。
☐ 65.一般的には幼児の食具の持ち方は、上手持ちから下手持ちに変化させ、大人の持ち手に近づけていく。
☐ 66.幼児期の間食の適量は、発育・発達状況や生活状況に応じて、1日全体のおおむね10~20%程度の量を目安にする。
10.学童期の心身の発達と食生活
☐ 67.10~11歳の参照体位は、参照身長、参照体重ともに、女子の方が男子を上回っている。この時期は男女間に発育の差がみられ、女子の方が男子より2歳ほど早く第二発育急進期を迎え、参照身長、参照体重ともに、女子は男子を上回る。
☐ 68.「学校給食実施基準の一部改正について」に、学校給食のない日は、カルシウム不足が顕著であり、カルシウム摂取に効果的である牛乳等についての使用に配慮することとある。
☐ 69.学校給食の目標の一つに、「適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること」があげられている。学校給食の目標は7つあり、「望ましい食習慣を養うこと」「食料の生産・流通・消費について、正しい理解に導くこと」などがある。
☐ 70.小児期(6~15歳)においても、メタボリックシンドロームの診断基準が定められており、その診断基準には腹囲が含まれる。小児期のメタボリックシンドロームの診断基準は、腹囲が80cm以上でかつ、血圧、血清脂質、空腹時血糖のうち、2項目以上を満たすと診断される。
☐ 71.学童期の肥満は、成人期の肥満に移行しやすい。肥満度は、標準体重に対して実測体重が何%上回っているかを示すものであり、これにより子どもの肥満を評価する。
☐ 72.「令和元年度学校保健統計調査」(文部科学省)によると、女子の痩身傾向児の出現率は、12歳では、4%台となっている。12歳の女子の痩身傾向児の出現率は、4.22%で、5~17歳の間で最も高くなっている。
☐ 73.「日本人の食事摂取基準(2020年版)」における学童期の年齢区分は、6~7歳、8~9歳、10~11歳の3区分である。学校給食実施基準の基準値も、この3区分で示されている。
11.生涯発達と食生活
☐ 74.「食事バランスガイド」では、「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳品」「果製品」の5区分で記載されている。
☐ 75.「食事バランスガイド」では、食事の提供量の単位はサービング(SV)を用い、栄養素ではなく料理ごとに具体的に記載されている点も特徴である。
☐ 76.「令和2年人口動態統計月報年計の概況」によると、日本人の死因で多いものは、第1位が悪性新生物、第2位が心疾患、第3位は老衰である。
☐ 77.「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」(令和3年)には、“不足しがちなビタミン・ミネラルを、「副菜」でたっぷりと”と記載されている。その他に、“「主菜」を組み合わせてたんぱく質を十分に”、“乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などでカルシウムを十分に”、“無理なくからだを動かしましよう”などの記載がある。
☐ 78.「令和元年国民健康・栄養調査」の20歳代の身体状況に関する記述で、女性のやせの者(BMI<18.5kg/㎡)の割合は、20歳以上59歳以下の女性のやせの者(BMI<18.5kg/㎡)の割合は、いずれの年齢階級も10%超であり、特に20歳代では20%程度である。
☐ 79.「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、たんぱく質(推奨量:g/日)の妊娠初期の付加量は、+0となっている。中期は+5、後期は+25となっている。
☐ 80.3色食品群の食品の分類で、赤のグループには、「体をつくるもとになる」働きのある食品が含まれ、魚、肉、卵などがある。
12.食育の基本と内容
☐ 81.「第4次食育推進基本計画」の重点事項の一つに、“生涯を通じた心身の健康を支える食育の推進”がある。これと連携する形で、“持続可能な食を支える食育の推進”、横断的な重点事項として“「新たな日常」やデジタル化に対応した食育の推進”があり、総合的に推進する。
☐ 82.食育基本法には、食育基本法における食育の位置付けは、「知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの」とされている。
☐ 83.「保育所保育指針」の第3章「健康及び安全」の2「食育の推進」には、保育所における食育は、健康な生活の基本としての「食を営む力」の育成に向け、その基礎を培うことを目標とすることと記載がなされている。「食育の推進」には、子どもと調理員との関わりや、調理室など食に関わる保育環境に配慮するという記載がなされている。
☐ 84.「楽しく食べる子どもに~食からはじまる健やかガイド~」の、発育・発達過程に応じて育てたい“食べる力"に、学童期では「自分の食生活を振り返り、評価し、改善できる」がある。その他に、「自然と食べ物との関わり、地域と食べ物との関わりに関心をもつ」も、学童期に育てたい“食べる力"の目標となっている。
☐ 85.「第4次食育推進基本計画」の食育推進16項目の目標の1つに、“食品ロス削減のために何らかの行動をしている国民を増やす”がある。
☐ 86.保育所での食事の提供における幼児の給与栄養目標量には、「日本人の食事摂取基準」を用いて、乳汁と離乳食に分けて設定している。「日本人の食事摂取基準」をもとに、幼児の給与栄養目標量は1~2歳児と3~5歳児に分けて設定され、乳汁と離乳食に分けられている。
13.児童福祉施設における食事と栄養
☐ 87.乳汁の与え方は、集団においても個別対応が大切である。
☐ 88.給食施設では、食中毒が発生した場合の原因究明のため、万一に備えて、給食の原材料及び調理済みの食品は、食品ごとに50g程度ずつ清潔な容器に入れ、-20℃以下で2週間以上保存する。
☐ 89.保育所では、乳幼児期から様々な食べものの多くの味を経験する食事を提供し幅広い味覚を作り上げ、偏らない嗜好の形成を支援する。児童福祉施設における食事の役割は、食事の提供と、発達段階に応じて豊かな食の体験を積み重ねていく食育に、一体的に取り組むことである。
☐ 90.児童福祉施設の食事計画において、エネルギー摂取量の計画に当たっては、定期的に身長及び体重を計測し、観察・評価を行う。エネルギー摂取量の計画に当たっては、成長曲線に照らし合わせるなどの観察・評価を行う。
☐ 91.食中毒予防の3原則は、食中毒菌を「つけない、増やさない、やっつける(殺菌する)」である。「つけない」は手や調理器具を清潔に保つ、「増やさない」は調理後すぐに食べる、「やっつける」は75℃で1分以上加熱することを示している。
☐ 92.「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」(厚生労働省)には冷蔵庫内は10℃以下、冷凍庫内は-15℃以下に維持すべきである。
☐ 93.「児童福祉施設における食事の提供ガイド」では、調理済みの食品は「加熱調理後はすみやかに(2時間以内)喫食する」としている。このガイドでは、「調理済み食品を室温に放置しないようにし、加熱調理後はすみやかに(2時間以内)喫食することを徹底する。残食については処分する」としている。
14.特別な配慮を要する子どもの食と栄養
☐ 94.フェニルケトン尿症、ガラクトース血症などの先天性代謝異常症の場合、治療用として特殊ミルクを与える。フェニルケトン尿症の場合はフェニルアラニンを制限した、ガラクトース血症の場合はガラクトース、ラクトースを制限した特殊ミルクを与える。
☐ 95.アレルゲンは、食物アレルギーを引き起こす抗原のことである。
☐ 96.口内炎・手足口病など口腔内に痛みがあるときには、舌触りのよいなめらかなものを与える。つるんとしていて、口腔内を刺激しないものを与える。固いものや塩味のもの、酸味があるものは避ける。
☐ 97.下痢の際は、脂肪の多い食品や料理は控えるようにする。下痢のときは、水分を補給し、食事は消化のよいものを与え、消化の悪い脂肪の多い食品や料理は、与えないようにする。
☐ 98.「食物アレルギー診療ガイドライン」では、鶏卵アレルギーがある場合でも、一般的に鶏肉は、除去不要とされている。鶏卵アレルギーがある場合でも、魚卵や卵殻カルシウムも除去の必要はない。「念のため」「心配だから」という理由だけで、除去をしてはならない。
☐ 99.アレルギー児に用いるのは、たんぱく質を分解した加水分解乳、完全にアミノ酸に分解したアミノ酸乳、牛乳を用いていない大豆乳などである。
☐ 100.フォローアップミルクは、離乳期に不足しがちな栄養素をバランスよく補えるもので母乳代わりとなるミルクとは異なる。生後9か月から使用できる。
15.障害のある子どもへの対応
☐ 101.嚥下困難な子どもの食事を作る際には、ゼリー状、ポタージュ状の食品形態に調理すると、飲み込みやすい。プリン状のものや乳化状のものも飲み込みやすく、反対にスポンジ状のもの、繊維状のものは飲み込みにくい。
☐ 102.摂食・嚥下困難な子どもの食事の姿勢は、首の筋肉がリラックスするように、頭を少し前かがみにするとよい。摂食・嚥下障害のある子どもは、頭を後方に反らすと咀しゃくや嚥下がしにくくなるので、首の筋肉がリラックスするように、頭を少し前かがみにするとよい。
☐ 103.食品表示法においてアレルギー表示が義務づけられているのは、卵、乳、小麦、落花生、えび、そば、かにの7つである。
☐ 104.障害がある子どもの食事の介助では、介助者は子どもと同じ目線で介助する。高い位置から介助すると、咀しゃくや嚥下に必要な筋肉が緊張して、嚥下しにくくなる。
☐ 105.経管栄養とは、管を通して流動性のある栄養食(栄養剤)を消化器官へ注入する方法である。経口摂取ができない障害児の場合は、口や鼻、または胃や腸などの消化管に開口部を設け、ゴム管を挿入して流動食で栄養管理をする。
☐ 106.スプーンは、口の幅よりも狭く、浅いものを選ぶとよい。一回の量は少なめにして、口唇で取り込みやすいようスプーンの先の方にのせ介助する。
☐ 107.柑橘類は酸味が強く、嚥下が困難な子どもにとっては食べにくい食品である。
ロ 108.「日本人の食事摂取基準」では、生活習慣病の発症予防のためには、各栄養素の目標量を上回るように栄養を摂取する。
ロ 109.ブドウ糖(グルコース)は、糖質の構成成分として重要な単糖類である。
ロ 110.不飽和脂肪酸には、シス型とトランス型があり、マーガリン、ショートニングには、 トランス脂肪酸が含まれる。
ロ 111.ビタミンA、D、E、Kは、脂溶性ビタミンである。
ロ 112.母乳には、免疫グロブリンA(lgA)、ラクトフェリンなどの感染抑制物質が含まれており、感染症の発症予防などに役立っている。
ロ 113.「授乳・離乳の支援ガイド」に示されている離乳の開始時期は、生後5~6か月頃である。
ロ 114.3色食品群では、赤のグループには、魚・肉・卵などの体をつくるもとになる働きのある食品が含まれる。
保育士試験とは
保育士(国家資格)とは
【定義】児童福祉法第18条の4
保育士とは、第18条の18第1項の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう。
保育士資格を取得するには
厚生労働大臣の指定する保育士を養成する学校その他の施設(以下「指定保育士養成施設」という)を卒業した者
保育士試験に合格した者
指定試験機関について
【指定試験機関の指定】児童福祉法第18条の9
都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、一般社団法人又は一般財団法人であって、保育士試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という)を適正かつ確実に実施することができると認められるものとして当該都道府県知事が指定する者(以下「指定試験機関」という)に試験事務の全部又は一部を行わせることができる。
保育士試験を受けるには
【受験資格】児童福祉法施行規則第6条の9
受験資格を満たしていれば受験できます。 保育士試験受験資格については、こちら。
【試験科目】児童福祉法施行規則第6条の10
保育士試験は、筆記試験及び実技試験によって行い、実技試験は、筆記試験のすべてに合格した者について行う。
筆記試験は、次の科目について行う。
保育原理
教育原理及び社会的養護
子ども家庭福祉
社会福祉
保育の心理学
子どもの保健
子どもの食と栄養
保育実習理論
実技試験は、保育実習実技について行う。
受験申請に必要なもの
受験申請書(「受験申請の手引き」に同封されています。)
受験資格を証明する書類(卒業証明書など)
⇒受験者により必要な書類が異なりますので、「受験申請の手引き」にて確認してください。
証明写真
受験手数料(「受験申請の手引き」に払込票が同封されています。)
保育士試験出題範囲
科目別出題範囲(抜粋版)
保育原理
教育原理
社会的養護
子ども家庭福祉
社会福祉
保育の心理学
子どもの保健
子どもの食と栄養
保育実習理論
保育士試験出題範囲
保育原理
第1 出題の基本方針
保育の意義並びに保育の内容及び方法について体系的に理解しているかを
問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、保育所保育指針の内容並びに児童の保育及び保護者
に対する保育に関する指導を担う保育士の役割及び責務について、また、子育
て支援等を含む保育の社会的意義など、保育に関する現代的課題に関しても配
慮が必要である。
第2 出題範囲
「指定保育士養成施設の指定及び運営の基準について」(平成15 年12 月9
日付け雇児発第1209001 号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)別紙3「教
科目の教授内容」(以下「平成15 年通知別紙」という。)に定める教科目「保
育原理」、「乳児保育Ⅰ」、「乳児保育Ⅱ」、「障害児保育」及び「子育て支援」の
内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 保育所保育指針の内容と保育の実際との関連を重視した出題が望ましい。
2 教育原理、子ども家庭福祉、社会福祉及び社会的養護の出題と十分関連
をとって出題する。
3 出題範囲の改正に伴う経過措置として、当分の間、保育原理の出題につ
いては、改正前の出題範囲における保育相談支援の内容全般を理解してい
ることを前提とした出題とする。
教育原理
第1 出題の基本方針
教育に関する基本的概念、教育における実践原理を体系的に理解しているか
を問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、教育の思想及び制度について、また、子ども家庭福
祉等との関連性及び教育を巡る現代的課題に関しても配慮が必要である。
第2 出題範囲
平成15 年通知別紙に定める教科目「教育原理」の内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 保育の実践との関連を重視した出題が望ましい。
2 保育原理、子ども家庭福祉及び社会的養護の出題と十分関連をとって出題
する。
社会的養護
第1 出題の基本方針
現代社会における社会的養護の意義及び役割について体系的に理解してい
るかを問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、社会的養護の理念・制度の体系を概括的に理解して
いるかという点のほか、子ども及び社会的養護を取り巻く状況並びに家庭養護
及び施設養護の援助の実際について、また、保育との関連性及び社会的養護に
関する現代的課題に関しても配慮が必要である。
第2 出題範囲
平成15 年通知別紙に定める教科目「社会的養護Ⅰ」及び「社会的養護Ⅱ」
の内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 社会的養護の制度及び歴史的変遷の部分からは、歴史的に古いもの又は
現在の制度体系と関連のないものは出題しない。
2 保育原理、子ども家庭福祉及び社会福祉の出題と十分関連をとって出題
する。
子ども家庭福祉
第1 出題の基本方針
現代社会における子ども家庭福祉の意義及び役割について体系的に理解し
ているかを問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、子ども家庭福祉の理念・制度の体系を概括的に理解
しているかという点のほか、児童及び家庭を取り巻く状況及び子ども家庭福祉
の実際について、また、保育との関連性及び子ども家庭福祉に関する現代的課
題に関しても配慮が必要である。
第2 出題範囲
平成15 年通知別紙に定める教科目「子ども家庭福祉」及び「子ども家庭支
援論」の内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 子どもの人権擁護及び子ども家庭福祉に関する現代的課題等について理
解しているかという点についても出題し、その場合には具体的事例を設定し
て問う等工夫が必要である。
2 子ども家庭福祉の歴史的変遷の部分からは、歴史的に古いもの又は現在の
制度体系と関連のないものは出題しない。
3 保育原理、社会福祉及び社会的養護の出題と十分関連をとって出題する。
4 出題範囲の改正に伴う経過措置として、当分の間、子ども家庭福祉の出題
については、改正前の出題範囲となっている家庭支援論の内容を理解してい
ることを前提とした出題とする。
社会福祉
第1 出題の基本方針
社会福祉全般に関して、その理念体系を理解しているかを問うことを基本と
する。
問題選択に当たっては、社会福祉の理念・制度の体系を概括的に理解してい
るかという点のほか、その背景となっている社会の動向、社会保障等の関連制
度の概要、利用者の保護に関わる仕組み、相談援助等について、また、子ども
家庭福祉との関連性及び社会福祉に関する現代的課題に関しても配慮が必要
である。
第2 出題範囲
平成15 年通知別紙に定める教科目「社会福祉」の内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 社会福祉に関する法律、手続き及び歴史的変遷の部分からは、歴史的に古
いもの又は現在の制度体系と関連のないものは出題しない。
2 保育原理、子ども家庭福祉及び社会的養護の出題と十分関連をとって出題
する。
3 出題範囲の改正に伴う経過措置として、当分の間、社会福祉の出題につい
ては、改正前の出題範囲における相談援助の内容を理解していることを前提
とした出題とする。
保育の心理学
第1 出題の基本方針
保育実践に関わる心理学の知識及び発達の基本原理について体系的に理解
しているかを問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、子どもの発達過程における心理及び発達の特徴を理
解しているかという点のほか、生活及び遊びを通して学ぶ子どもの経験及び学
習の過程について、また、保育における発達援助、家庭の理解及び子どもの発
達に関する現代的課題に関しても配慮が必要である。
第2 出題範囲
平成15 年通知別紙に定める教科目「保育の心理学」、「子ども家庭支援の心
理学」及び「子どもの理解と援助」の内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 児童の発達過程及び発達の特性について正しく理解し、保育(養護及び教
育)との関連において把握することを主眼として出題する。
2 児童の発達課題、初期経験の重要性等、保育の実際において役立つような
知識についても問わなければならない。
3 保育原理、子ども家庭福祉及び子どもの保健の出題と十分関連をとって出
題する。
子どもの保健
第1 出題の基本方針
児童の健康及び安全に係る基本的知識、保育実践に係る児童の疾病及びその
予防、事故防止並びに安全管理等についての理解を問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、児童の健康増進を図る保健活動の意義、保育におけ
る環境及び衛生管理並びに安全管理について理解しているかという点のほか、
母子保健対策、他職種との連携等に関しても配慮が必要である。
第2 出題範囲
平成15 年通知別紙に定める教科目「子どもの保健」及び「子どもの健康と
安全」の内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 子どもの疾病、事故等の予防及び適切な対応について、保育の実際におい
て起こりうる事項に関して出題することが望ましい。
2 一人一人の子どもの保健とともに、集団の場における保健的対応及び対策
についても問わなければならない。
3 保育の心理学及び子どもの食と栄養の出題と十分関連をとって出題する。
4 出題範囲の改正に伴う経過措置として、当分の間、子どもの保健の出題に
ついては、改正前の出題範囲となっている内容を理解していることを前提と
した出題とする。
子どもの食と栄養
第1 出題の基本方針
子どもの食生活及び栄養に関する基本的知識並びに保育実践に係る食育の
基本及び内容についての理解を問うことを基本とする。
問題選択に当たっては、子どもの健康な生活の基本としての食生活の意義、
栄養の基本的概念、調理の基本、年齢及び発達過程における食生活について理
解しているかという点のほか、食に係る特別な配慮を有する子どもへの対応、
食を通した保護者への支援及び現代社会における食生活の課題に関しても配
慮が必要である。
第2 出題範囲
平成15 年通知別紙に定める教科目「子どもの食と栄養」の内容とする。
第3 出題上の留意事項
1 子どもの食及び栄養に関する適切な対応について、保育の実際において
必要な事項に関して出題することが望ましい。
2 子どもの保健の出題と十分関連をとって出題する。
保育実習(保育実習理論及び保育実習実技)
第1 出題の基本方針
保育に関する教科目全体の知識・技術を基礎とし、子どもの保育及び保護者
への支援について総合的に理解し、実践する応用力を問うことを基本とする。
保育実習理論については、保育所を含む児童福祉施設の役割や機能について、
また、保育士の職業倫理、資質の向上等について具体的に理解しているかとい
う点のほか、保育実践に係る計画及びその評価並びに児童福祉施設における子
どもの生活及び援助活動に関しても配慮が必要である。
第2 出題範囲
A 保育実習理論
平成15 年通知別紙に定める教科目「保育内容の理解と方法」、「保育内容総
論」、「保育内容演習」、「保育実習Ⅰ」、「保育実習指導Ⅰ」、「保育実践演習」、
「保育者論」、及び「保育の計画と評価」の内容とする。
B 保育実習実技
1 音楽に関する技術
課題に対する器楽・声楽等
2 造形に関する技術
課題に対する絵画・制作等
3 言語に関する技術
課題に対する言葉に関する遊びや表現等
第3 出題上の留意事項
1 保育に関する知識及び技術並びに受験者の思考力及び創意工夫が総合
的に把握されやすい内容を選択する。
2 子どもの保育の実際において、必要度及び活用度の高い内容を重視する。
3 子どもの遊びを豊かに展開するための技術及びその応用力についても
考慮する。
4 保育実習実技の受験者が多い場合、多人数が同一条件のもとに受験でき
るよう配慮する。
2022年3月25日 発行 初版
bb_B_00173152
bcck: http://bccks.jp/bcck/00173152/info
user: http://bccks.jp/user/150447
format:#002y
Powered by BCCKS
株式会社BCCKS
〒141-0021
東京都品川区上大崎 1-5-5 201
contact@bccks.jp
http://bccks.jp
「資格試験のペネトレイト」で医療・介護・福祉の仕事に携わる方に必須の資格取得のお手伝いをしています。 私は、薬剤師、社会福祉士、介護支援専門員の免許を持っていますが、現在は薬剤師の仕事に従事しています。 資格試験合格のノウハウは1つ、シンプルな学習が大切、そのための教材を公開しています。 ホームページ「資格試験のペネトレイト」http://penetrateblog.com/に教材の販売コーナーと無料の問題集を集めた棚を提供しています。 私と一緒に資格試験合格を目指しましょう。