spine
jacket

───────────────────────



介護福祉士試験 重要項目 らくらく丸暗記BOOK

上野和夫

合同会社想い研究所



───────────────────────

 目 次 ※このエントリを使う場合は「記事非表示」チェックを外してください

目次

本書について
ガイダンス
人間の尊厳と自立 など
人間関係の形成 など
生活と福祉 など
介護福祉士の役割や機能 など
コミュニケーションの基本 など
介護支援の概要 など
介護過程の概要 など
人間の成長と発達 など
認知症を取り巻く状況 など
障害の基礎 など
こころとからだのしくみ など

介護福祉士試験 重要項目 らくらく丸暗記BOOK
ー試験合格には「重要項目を正しい覚える」ことが大切!ー




本書について


本書は、介護福祉士試験の筆記試験によく出題される重要項目を集めています。


毎年出題される問題の半数以上は過去に出されている内容と同じです。登録販売者試験の合格ラインは7割以上の正解です。過去の問題をしっかり理解していると、7割以上の点数を取ること ができます。ただ、注意しないといけないのは、同じ文章で問いかけているとはかぎりません。そこで大切なのは、短い文章で正しい内容をしっかりと覚えることが大切なんです。


重要項目の短い文章を、毎日30項目覚えると1ヶ月ですべて身に着けることができます。
読むことにあわせて、耳を使っての短文記憶の努力をされると、さらに短い日数でしっかり暗記することができます。
付属教材として音声テキストを準備していますのでご利用ください。


あとは過去問題集を手に入れて解いてみましょう。問題はスラスラ解けるような感じがします。出題者のワナにはまることがなくなるまで繰り返し過去問題を解いてください。
当社ののホームページ(http://penetrateblog.com/)に問題を集めた本棚を準備しています。無料で利用できますので、ぜひトライしてください。すべての問題で合格(7割以上正解で合格)できたら試験に合格できると思います。







介護福祉士試験ガイダンス
介護福祉士について


介護福祉士の資格について


介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法(1987年5月26日制定、2007年12月5日改正)により定められた介護・福祉分野の国家資格です。


法律では、 「介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと」と定義しています。


しかし、資格制度創設後10年以上を経て、介護福祉士に求められる役割は大きく変化しています。身の回りの世話をするだけの介護から、高齢者や障害者等の生き方や生活全体にかかわることで利用者の暮らしを支え、自立に向けた介護利用者や家族と共に実践することへと変わってきています。


さらに、これからの介護福祉士は、国民の福祉サービスの充実・向上の中心的役割を担っている資格者として、(1)豊かな感性、(2)洞察力・情報分析能力、(3)介護目標・計画の立案能力等が厳しく求められ、チームケアの一員として高い評価が得られるよう努力することが必要です。


2007年の法律改正の際には、 「社会福祉士又は介護福祉士は、社会福祉及び介護を取り巻く環境の変化による業務の内容の変化に適応するため、相談援助又は介護等に関する知識及び技能の向上に努めなければならない」と資質向上の責務も加えられ、日本介護福祉士会は介護福祉士の資質向上を目指す職能団体として役割がますます大きくなっています。


介護福祉士の専門性


「介護福祉士の専門性」と言われることはよくありますが、その内容についてはっきり示されたものはありませんでした。 日本介護福祉士会では26年度、研修委員会において都道府県介護福祉士会からのご意見をもとに「介護福祉士の専門性」について明文化できるように検討しました。
介護は生活全般に関わる広範な仕事です。 ところが、多くの人々は『介護』というと、おむつを交換するなどの排せつ介助やベッドから起こすなどの移乗介助、暑い浴室の中で行う入浴介助などをイメージしていると思います。 しかし、介護福祉士が行っているのは、これらの介助も含めた生活全般について、観察などから情報収集して、それらを統合・分析し、どのような課題、ニーズがあるのか発見したうえで、QOLを高めるための介護方法を見出していくことです。 実際にその利用者に最適な介護を実践し、目標達成するためには、介護職員の指導や教育も必要ですし、関係職種との連携やさまざまな面での環境の整備も求められます。 これらができるのは介護職として守るべき倫理や介護実践の原則をよく理解し、介護という仕事のなかで守り、実行できるという前提があります。




介護福祉士を取得するには


介護福祉士国家資格は、次のいずれかのルートで取得することができます。
公益財団法人社会福祉振興・試験センター


介護福祉士の資格取得方法の見直し


「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正により、平成29年度(第30回)から、養成施設ルートが介護福祉士国家試験の受験資格となります。なお、養成施設を平成33年度末までに卒業する方は、卒業後5年の間は、国家試験を受験しなくても、または、合格しなくても、介護福祉士になることができます。この間に国家試験に合格するか、卒業後5年間続けて介護等の業務に従事することで、5年経過後も介護福祉士の登録を継続することができます。平成34年度以降に養成施設を卒業する方からは、国家試験に合格しなければ介護福祉士になることはできません


実務経験ルートで受験を希望する方は「実務経験3年以上」だけでは受験できません。


(注意3)平成20年度以前に福祉系高等学校(専攻科を含む)に入学し、卒業した方、特例高等学校(専攻科を含む)を卒業し、9か月以上介護等の業務に従事した方が、「実技試験の免除」を申請する場合は、「介護技術講習」を修了する必要があります。「実務者研修」の修了で実技試験が免除になるのは、「実務経験ルート」と、「経済連携協定(EPA)ルート」の方のみですのでご注意ください。


介護福祉士国家試験


介護福祉士国家試験を受験するには『介護福祉士国家試験受験の手引き』が必要になります。 受験の手引きは公益財団法人社会福祉振興・試験センター


試験科目
人間の尊厳と自立、人間関係とコミュニケーション、社会の理解、介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、介護過程、発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解、こころとからだのしくみ、医療的ケア、総合問題試験期日毎年1月下旬


国家試験の詳細についてはこちら


試験の実施及び登録機関(詳しい受験資格等についてはこちらへお問い合せください)
公益財団法人社会福祉振興・試験センター
国家試験情報専用ダイヤル:03-3486-7559



1 介護福祉士


人間の尊厳と自立


▢ 1.人間の尊厳は「人間として尊ばれるべき誇り」という意味で人権ともいわれます。


人権の思想は、18世紀のアメリカ独立宣言(1776年)やフランス革命における人権宣言(1789年)に明記され、20世紀に入ると、人権の具体化のために社会権がうたわれ、 ドイツのワイマール憲法で生存権が明記されます。


▢ 2.すべての人は生まれながらにして自由であり、尊厳と権利について平等です。


第二次世界大戦後、1948年に国際連合が世界人権宣言で「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」と宣言しました。また、1975年の国連総会で採択された障害者の権利宣言には、「障害者は、その人間としての尊厳が尊重される生まれながらの権利を有する」と明記されています。


▢ 3.日本国憲法第25条では、生存権が保障されています。


わが国において人間の尊厳は、日本国憲法の基本的人権の尊重(第11条)、個人の尊重(第13条)に明記されており、また、第25条では基本的人権を日常生活の面で具体化した生存権が保障されています。


▢ 4.障害者基本法において、障害者の権利が明記されました。


障害者基本法は、障害者施策の基本となる法律で、1993(平成5)年に心身障害者対策基本法を改正して成立しました。障害者は個人の尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利がある、と明記しています。また、共生社会の実現、障害による差別の禁止などを掲げています。


▢ 5.自立生活運動(IL運動)では、自己決定・生活の質の向上を重視します。


自立生活運動は、1970年代にアメリカ西海岸で始まった。それまでは、日常生活動作(ADL)の自立や、経済的自立が重視されていた。これに対し、自立生活運動では、自分の生き方を自分で選びそれに自ら責任を取ることが自立です、として、自己決定権と生活の質(QOL)を重視しました。


▢ 6.福祉サービスの基本理念は「個人の尊厳の保持」です。


社会福祉法第3条に、福祉サービスは、「個人の尊厳の保持」を旨とし、利用者が健康に育てられ、また「能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように支援するもの」であるよう規定しています。そのほか、障害者基本法、介護保険法、社会福祉士及び介護福祉士法などでも尊厳の保持を明記しています。


介護における尊厳の保持・自立支援


▢ 7.アドボカシーとは、利用者の権利を守るために行う代弁です。


アドボカシーとは、代弁や権利擁護と訳され、自分の権利を主張することが困難な利用者(児童、高齢者、障害者等)の代わりに、援助者が利用者の権利を主張するものです。
措置による福祉サービスの提供から、契約による福祉サービスの提供へと変化したことに伴い、利用者の権利を保護する方法が重視され、そのための仕組みがつくられた。


利用者の権利保護のための主な内容
利用者に対する説明責任(努力義務)、契約時の書面交付の義務付け、誇大広告の禁止、
苦情解決システムの構築
福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)の実施


▢ 8.福祉サービスを必要とする人の権利を守る方法が重視されています。


措置による福祉サービスの提供から、契約による福祉サービスの提供へと変化したことに伴い、利用者の権利を保護する方法が重視され、そのための仕組みがつくられた。


利用者の権利保護のための主な内容
利用者に対する説明責任(努力義務)、契約時の書面交付の義務付け、誇大広告の禁止、
苦情解決システムの構築
福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)の実施


▢ 9.日常生活の中で動機付けを行っていくことは、その者の生活意欲の向上につながります。


利用者への自立支援では、身体機能、精神状態、生活環境などを総合的に評価し、その者の希望に合わせながら、利用者自身で行為や行動をしようとする意欲を高める支援を実施していきます。生活意欲が低下している者に対しては、声かけなどの働きかけや、基本的な人間の欲求が満たされるような支援を行うことによって、生活意欲を高めていきます。


▢ 10.利用者の自己決定を尊重します。


介護を必要とする人が自分の意思で自分の生き方を決められるようできる限り自己決定を尊重します。
自己決定は、個別援助の原則の1つですが、あくまでも自己決定能力の有無や公共の福祉に反しない限りにおいて尊重されます。


権利擁護


▢ 11.日常生活自立支援事業の実施主体は、都道府県社会福祉協議会または指定都市社会福祉協議会です。


日常生活自立支援事業は、社会福祉法に基づく福祉サービス利用援助事業として位置付けられています。
窓口業務などは市区町村社会福祉協議会に委託することができます。
日常生活自立支援事業の対象は、認知症、知的障害、精神障害などがあることによって、十分な判断能力がなく、適切な福祉サービスを受けることができないが、事業の契約内容については判断できる程度の者となっています。


日常生活自立支援事業の主な支援内容
生活支援は、介護保険サービス事業者と契約締結の援助、要介護認定に関する申請手続の援助
行政手続は、行政手続の代行
日常的金銭管理は、通帳や印鑑等の預かり、預金の引き出し、公共料金、福祉サービス利用料、家賃の支払
書類等の預かりは、大切な書類の保管


▢ 12.日常生活自立支援事業を実施する専門職には、専門員と生活支援員がある。


専門員は、支援計画の作成や契約の締結に関する業務を担当し、生活支援員は、支援計画に基づいて実際の支援を行う業務を担当します。


▢ 13.日常生活自立支援事業では、苦情解決のため、運営適正化委員会を設置します。


運営適正化委員会は、①「福祉サービス利用援助事業」の適正な運営と、②福祉サービスの利用者からの福祉サービスに関する苦情解決(相談・助言など)のために、都道府県社会福祉協議会または指定都市社会福祉協議会に設置されています。


▢ 14.日常生活自立支援事業の事業経営者は契約の内容・履行について説明する努力義務があります。


社会福祉法第76条において、「福祉サービスを利用するための契約の内容及びその履行に関する事項について説明するよう努めなければならない」とされています。また第77条では、利用契約が成立したときには、サービス内容や利用金額などについて書面を交付しなければならないとされています。


▢ 15.成年後見制度には任意後見制度と法定後見制度があります。


現行の成年後見制度は、2000(平成12)年より施行されています。任意後見制度は、現在は判断能力が十分である人が、将来判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ任意後見人を選定し、契約しておく(任意後見契約)制度です。これに対し、法定後見制度は、現に判断能力が低下している人のための制度であり、親族や市町村長の申し立てにより、家庭裁判所が後見人を選定します。


▢ 16.家庭裁判所は、本人の判断能力に応じて後見、保佐、補助のいずれかを選任します。


後見は、常に自分で判断して法律行為が行えないほどの判断能力を欠く者に対して選任されます。本人の財産に関するすべての法律行為について、本人に代わって行うことができます。
保佐は、判断能力が特に不十分な者に対して選任されます。特定の法律行為に関して代理権を有することができます。
補助は、判断能力が不十分な者に対して選任されます。当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権または同意権を有することができます。


▢ 17.任意後見制度では、公正証書によって任意後見契約を締結します。


任意後見制度は、加齢などに伴う判断能力の低下や喪失に備え、当事者が事前に、自身の身上監護・財産管理などを行ってもらう任意後見人を自ら選択し、公正証書に基づく任意後見契約により後見事務の内容を決めておくものです。


▢ 18.任意後見契約の発効に関する申し立ては、本人、配偶者、4親等内の親族などが行います。


本人、配偶者、4親等内の親族などが家庭裁判所に申し立て、任意後見契約の発効時に家庭裁判所が任意後見監督人を選任したうえで、任意後見受任者が任意後見人として認められます。任意後見監督人は、任意後見人の不正や権限の濫用を防ぐため、任意後見人を監督します。


▢ 19.2006(平成18)年に高齢者虐待防止法が施行されました。


「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」が正式名称です。2005(平成17)年に成立、2006(平成18)年に施行されました。虐待が疑われるときには、市町村へ通報する義務が発見者に課されています。また、市町村には、届出窓口の設置とその広報が義務付けられています。


▢ 20.高齢者虐待防止のため、市町村と地域包括支援センター等の役割が強化されました。


高齢者虐待防止法は、高齢者虐待の現場へ市町村の立ち入りを認め、行政の早期介入により虐待を防ぐことが目的です。市町村長は、高齢者に重大な危険が生じている場合は、所管の警察署長に援助を求めることができ、立ち入り調査ができます。また、市町村は虐待防止を適切に実施するため、地域包括支援センター等との連携協力体制を整備しなければならない。


▢ 21.高齢者虐待防止法では、高齢者虐待を5種類に分類しています。


身体的虐待は、身体に外傷が生じる暴行(外傷が生じるおそれがあるものも含む)を加える。
心理的虐待は、暴言や拒絶的な対応など著しい心理的外傷を与える言動
介護等放棄は、衰弱させるような著しい減食、長時間の放置、養護者以外による虐待行為の放置など養護を怠る(ネグレクト)
性的虐待は、わいせつな行為をすることやさせること
経済的虐待は、財産の不当な処分などによって、高齢者から不当に財産上の利益を得る。


▢ 22.高齢者虐待防止法では、虐待者を養護者と養介護施設従事者等に区分しています。


養護者とは、高齢者の世話をしている家族、親族、同居人等を指します。養介護施設従事者等とは、養護施設または養護事業等の業務に従事する者を指します。


▢ 23.養護者による高齢者虐待の加害者は息子が最も多い


養護者による高齢者虐待の内容は、身体的虐待が65.0%と最も多く、次いで心理的虐待(40.4%)、経済的虐待(23.5%)、介護等放棄(23.4%)となっています。


▢ 24.利用者に対する身体拘束・行動制限は、原則として禁止されています。


介護保険施設の指定基準で禁止されている身体拘束となる行為
① 徘徊防止のためいすやベッド等に縛りつける
② 転落防止のためベッドに縛りつける
③ 自分で降りられないようベッドを柵で囲む
④ チューブを抜かないよう四肢を縛る
⑤ 皮膚を掻くことなどを抑えるためミトン型の手袋等をさせる
⑥ 車いすなどからずれたりしないようY字帯などをつける
⑦ 立ち上がりを妨げるようないすを使用する
③ おむつ外しなどを制限するため介護衣(つなぎ服)を着せる
⑨ 他人への迷惑行為を防ぐためベッドなどに縛りつける
⑩ 落ち着かせるため向精神薬を過剰に服用させる
⑪ 自分で開けられない居室等に隔離する


▢ 25.2012(平成24)年10月に障害者虐待防止法が施行されました。


障害者虐待防止法(障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律)では、障害者虐待を養護者、障害者福祉施設従事者等、使用者によるものの3つに大別しています。


▢ 26.使用者による障害者虐待の通報・届出先は、市町村または都道府県です。


養護者による障害者虐待や障害者福祉施設従事者等による障害者虐待の通報先は市町村であるが、使用者による障害者虐待については、市町村だけでなく、都道府県にも通報・届出をすることができます。
使用者による障害者虐待を受けた障害者本人も、その旨を市町村や都道府県に届け出ることができます。


▢ 27.障害者虐待防止法では、障害者虐待を5種類に分類しています。


身体的虐待は、身体に外傷が生じる(外傷が生じるおそれのあるものを含む)暴行を加えることや、正当な理由なく身体を拘束すること
性的虐待は、わいせつな行為をすることや、わいせつな行為をさせること
心理的虐待は、著しい暴言や拒絶的な対応など、著しい心理的外傷を与える言動を行うこと
介護等放棄は、著しい減食、長時間の放置、養護者以外の同居人による虐待行為の放置など養護をしく怠ること(ネグレクト)
経済的虐待は、障害者の財産を不当に処分することなど、障害者から不当に財産上の利益を得ること


▢ 28.障害者虐待の防止などを図るため、市町村障害者虐待防止センターや都道府県障害者権利擁護センターが設けられています。


市町村障害者虐待防止センターや都道府県障害者権利擁護センターは、障害者虐待防止法に基づき、障害者虐待の防止、障害者虐待を受けた障害者の保護、障害者虐待に係る通報・届出の受理などを行うために設けられています。
市町村障害者虐待防止センターや都道府県障害者権利擁護センターの業務は、委託することもできます。
市町村障害者虐待防止センターは、障害者虐待に係る通報や届出の受理、障害者や養護者に対する相談、指導、助言、障害者虐待の防止や養護者に対する支援に関する広報などの啓発活動など
都道府県障害者権利擁護センターは、使用者による障害者虐待に係る通報や届出の受理、市町村相互間の連絡調整、市町村への情報提供、障害者虐待を受けた障害者に関する各般の問題や養護者に対する支援に関する相談など

介護福祉士2


人間関係の形成


▢ 1.利用者を理解するためには、援助者の自己覚知が前提となります。


自己覚知とは、援助者が自分自身のものの考え方・見方について、その癖や傾向に気づき理解することです。援助者が偏見や先入観をもったままでいると、利用者をありのままに理解する妨げになるため、援助者は自分自身にどのような傾向があるのかを知り、自分の色眼鏡をはずすことが必要です。


▢ 2.利用者と援助者の間で形成された信頼感(関係)をラポールといいます。


介護従事者は利用者を理解しようとし、その心情に寄り添うことが必要です。ラポールの形成は対人援助において人間関係の土台であり、そうすることで利用者が真に必要としている支援が可能になります。
コミュニケーションは、信頼関係(ラポール)のもととなります。


▢ 3.共感的理解とは、援助者が利用者の感情を理解し、その感情に寄り添うことです。


利用者は、援助者が共感的理解を示すことで、「自分の気持ちをわかってくれた」と感じ、援助者と利用者とのラポールが形成されていきます。


▢ 4.援助の過程で、相談援助者の側の倫理的判断や価値観を先行させてはならない。


クライエントや家族等の意見や行動を、相談援助者の価値観や社会通念から一方的に評価したり表明したりしてはいけない。非審判的態度で対応します。


▢ 5.対面すると、利用者への理解が深まる。


利用者と対面すると、電話や家族などから得た情報をもとに想像する以上に利用者に対する理解が深まる。それは、対面することで、介護従事者が自分の五感をすべて使って、利用者の生活状況や心身の状態を把握することができるからです。


▢ 6.言語的コミュニケーション、準言語、非言語的コミュニケーションの活用に配慮する。


コミュニケーションには、言語的コミュニケーション、準言語、非言語的コミュニケーション(対人距離や表情など)があります。
準言語とは、声の高さ、声の大きさ、話す速さ、言葉遣いなどの語調のことです。


▢ 7.利用者との面接では、非言語的コミュニケーションに注目します。


非言語的コミュニケーションは、利用者の心の声として非常に重要です。援助者には、利用者の非言語的コミュニケーションに込められた意味を洞察することが求められます。特に、回数の少ない利用者や、言語・聴覚・視覚に障害のある利用者とコミュニケーションを図る際には、表情、身ぶり、姿勢などに注目するとよい。


▢ 8.コミュニケーションを図る際は、対人距離に注意します。


援助者が利用者とコミュニケーションを図る際、対人距離が遠すぎても近すぎても、利用者に不安や恐怖などの心理的影響を与え、スムーズに会話ができないため、利用者が安心して話せる適切な距離を保ちます。


▢ 9.コミュニケーションを図る際は、環境にも配慮します。


利用者が安心して話せるかどうかは、コミュニケーシ∃ンを図る環境に影響されます。利用者にとってリラックスできる場所や雰囲気を用意することは、よいコミュニケーションを促すことになります。援助者は、顔がはっきり見える明るい場所、清潔感のある場所を選ぶなど、コミュニケーションを図る環境に配慮する必要があります。


▢ 10.相手の話の腰を折らずに、じっくりと耳を傾けます。


利用者とのコミュニケーションの基本は「受容と傾聴」です。
受容とは、相手をありのまま受け入れることです。利用者の状況を受け入れ、その言葉、とりわけ、言葉にならない心の声に耳を傾けることが、利用者が介護従事者を信頼することにつながります。相手の話の腰を折るのは、相手の話を聞くより自分が話したくなっている証拠です。


▢ 11.関心をもって聞いていることを態度や姿勢で示す。


相手が自分の話に関心をもって聞いてくれていると話がしやすくなります。利用者をより理解するため、利用者の自己肯定感をはぐくむためにも多くの話を引き出すことが望ましい。介護従事者は、利用者の方へ身体を傾ける、視線を合わせる、適度な相槌を打つなどによって、関心をもって聞いていることを示すように心がけます。


▢ 12.利用者の主訴を語ってもらう場合には、オープン・クエスチョンを活用する。


答えが「はい」「いいえ」で終わってしまうような質問(クローズド・クエスチョン)では、利用者は自分の思いを十分に伝えることができない。一般的には、「はい」「いいえ」で終わらない質問(オープン・クエスチョン)を投げかけることにより、利用者に多くを語らせるように心がけます。


▢ 13.利用者が話したくない内容を無理に聴きだす必要はない。


コミュニケーション技法では、質問の内容や質問の仕方を工夫することが重要です。また、その質問に答えるかどうかは利用者が決める、ということを念頭に置いておきます。


▢ 14.情報が伝わりやすいように方法を工夫する。


利用者とコミュニケーションを図る際は、簡単な言葉で文節を区切って簡潔に話したり、利用者のコミュニケーション能力に応じて、手話・筆談以外にも点字器やコミュニケーションエイドを用いるなどして、利用者に情報が伝わりやすいようコミュニケーション方法を工夫します。


▢ 15.筆談を正確な情報の伝達に活用します。


筆談は時間がかかるというデメリットもあるが、手話と併用することで、より正確な情報を伝達することができます。必要に応じて、文字だけでなく絵や記号を活用します。


▢ 16.介護記録は介護チーム内のコミュニケーション・ツールになります。


ケース記録や介護日誌は介護チーム内の重要な記録です。ケース記録等によって利用者に関する情報を発信し、共有し、それに応じて適切なサービスを提供することができます。

介護福祉士3


生活と福祉


▢ 1.家族の機能には、生命維持機能、生活維持機能、ケア機能の3つがあります。


家族の機能には、食欲、性欲、安全の欲求を満たす生命維持機能、経済的に支え合う生活維持機能、高齢者や乳幼児、障害者に対するケア機能があります。
また、社会学者のパーソンズは、核家族は住居面や経済面において親家族から分離・独立している点を指摘し、子どもの社会化と成人のパーソナリティの安定化の2つを基本的かつれ以上減らすことができない家族の機能としました。
社会学者の森岡清美は、家族とは「夫婦・親子・兄弟など少数の近親者を主要な構成員とし、成員相互の深い感情的包絡で結ばれた、第一次的な福祉追求の集団である」と定義しています。


▢ 2.世帯とは、住まいと生計を同じくしている人々の集まりです。


家族とは、基本的に親族によって構成される居住を共にする集団をいいます。一方、世帯は行政上の考え方で、「住まいと生計を同じくする人達の集まり、または1人で住んでいるか、あるいは自分だけで生計を営んでいる単身者」のことです。


▢ 3.親族的扶養には、生活保持義務と生活補助義務があります。


親族的扶養では、親が未成年の子どもを養う扶養と、夫婦間の扶養を生活保持義務といいます。それ以外の親族の間の扶養は生活補助義務といい、生活に余裕がある範囲で相手を援助すればよいという義務です。原則として「直系親族」と「兄弟姉妹」が扶養義務を負うが、特別な事情がある場合は、家庭裁判所が3親等内親族に扶養義務を与えることができます。


▢ 4.家族は、規模や構成によって分類されます。


生殖家族(創設家族)は、 自分が結婚してつくる家族
定位家族(出生家族) は、自分が生まれ育った家族
核家族は、1組の夫婦とその子どもだけの家族
拡大家族は、核家族に親やきょうだいなど、それより上の世代も含む家族
修正拡大家族は、非同居だが子世代の核家族と親世代が頻繁に行き来し、相互援助の関係にある家族
直系家族は、子のうちの1人が親と同居し、財産を相続
複合家族は、複数の子どもの家族(核家族)が親と同居


☐ 5.地域社会の集団は、コミュニティとアソシエーションに区別できます。


地域とは、人が他の人々と共同して生きていく基本的な場所のことです。社会学者のマッキーバーは、一定の地域で人々の共同生活が営まれる社会をコミュニティと呼び、コミュニティ内部である目的のために作られた集団のことをアソシエーションとしました。


☐ 6.過疎地域では、共同体の維持が困難な限界集落が数多く存在します。


65歳以上の高齢者が住民の50%を超えて、人口の再生産が難しく、冠婚葬祭などの住民生活の維持が困難な集落を限界集落と呼びます。


☐ 7.ライフサイクルの中では、子ども時代、子育て期、老年期に貧困になりやすい。


子ども時代は自分への出費のため、子育て期は子どもへの出費のため、老年期では収入が減るため貧困になりやすいとされます。
また、失業や疾病等による貧困のリスクには、自助、互助、共助、公助等を使い対処します。
自助は、貯蓄を行う、生活の仕方を変えるなどして自分で対処する
互助は、家族や親族、知人間で互いに助け合う
共助は、地域の連帯等によって生活をサポートする
公助は、必要な支援は、国や地方公共団体が社会保障等として行う


社会保障制度の発展 


☐ 8.日本の社会保障・社会福祉制度は、創設・改正・廃止を繰り返して発展してきました。


昭和20年代は、戦後混乱の収拾
1946年:旧生活保護法成立、1947年:児童福祉法成立、1949年:身体障害者福祉法成立、1950年:現行生活保護法成立(福祉三法体制)、1951年:社会福祉事業法(現・社会福祉法)成立
昭和30年代は、国民生活安定化政策
1958年:国民健康保険法全面改正、1959年:国民年金法成立、(1961年:国民皆年金・皆保険体制の確立)、1960年:精神薄弱者福祉法(現・知的障害者福祉法)成立、1963年:老人福祉法成立、1964年:母子福祉法(現・母子及び寡婦福祉法)成立(福祉六法体制)
昭和40年代は、高度経済成長下での社会保障拡充
1970年:心身障害者対策基本法(現・障害者基本法)成立、1973年:老人医療費無料化
昭和50年代は、経済安定成長と社会保障制度の改革
1982年:老人保健法(現・高齢者医療確保法)成立、
平成元年~11年は、少子高齢社会への計画的対応
1989年:ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10か年戦略)策定、1994年:新ゴールドプラン策定・エンゼルプラン策定、1999年:ゴールドプラン21策定。新エンゼルプラン策定
平成12年以降は、社会福祉基礎構造改革の推進
2000年:社会福祉法成立・介護保険法施行、2005年:障害者自立支援法成立・介護保険法改正、2006年:高齢者医療確保法成立(老人保健法改正・改称)、2008年:後期高齢者医療制度創設、2012年:障害者総合支援法成立(障害者自立支援法を改正)


☐ 9.福祉関係八法改正以降、市町村への権限移譲が進んだ。


1990(平成2)年の福祉関係八法改正により、老人・身体障害者の施設への入所措置権限などが都道府県から市町村に移譲された。その後、社会福祉法改正に伴い、知的障害者に対する措置権限も市町村に移譲されている。


☐ 10.福祉三法体制は、昭和20年代に確立した。


国民皆年金・皆保険体制は、昭和36年に確立した。
平成に入り、少子高齢社会への計画対応が本格的になった。


☐ 11.2000(平成12)年に社会福祉事業法が社会福祉法に改正、改称されました。


社会福祉基礎構造改革の1つとして行われました。
改正の要点は、福祉サービスの利用制度化、利用者保護の仕組みの導入、福祉サービスの質の向上、社会福祉事業の活性化、地域福祉の推進


☐ 12.社会福祉法では、全分野に共通の基本事項を定めています。


社会福祉法では、老人・障害者(児)・児童など社会福祉のすべての分野に共通する基本的なことについて規定しています。例えば、福祉サービスの基本理念、社会福祉法人についての規定、国や地方公共団体の責務などが明記されています。このため、社会福祉法は福祉の基本となる法律といわれます。


☐ 13.サービスは利用者が選択します。


社会福祉事業法では行政が福祉サービスを決めていた措置制度であった。これに対し、社会福祉法では利用者とサービス提供者の立場が対等であるとして、利用者が自分でサービスを選べる仕組みをめざしています(契約(利用)制度)。


☐ 14.特別養護老人ホームは、1963(昭和38)年に創設されました。


創設された当時の特別養護老人ホームでは、身体上または精神上の著しい欠陥があるために、常時の介護を必要とする65歳以上の者を対象にしていました。また、入所要件を満たす高齢者を特別養護老人ホームに収容する措置がとられていたことから、「収容の場」としてとらえられていました。


社会福祉制度のしくみ


☐ 15.社会保険や公的扶助は、社会保障の範囲に含まれます。


わが国の社会保障の範囲は、狭義に社会保険、公的扶助、社会福祉、公衆衛生及び医療、老人保健が含まれており、広義には恩給と戦争犠牲者援護が加わるとされています。
社会保障制度審議会の1950(昭和25)年勧告では、社会保障制度について「疾病、負傷、分娩、廃疾、死亡、老齢、失業、多子その他困窮の原因に対し、保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ、生活困窮に陥った者に対しては、国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに、公衆衛生及び社会福祉の向上を図り、もってすべての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすることをいうのである」としています。
社会保障制度の範囲と主な種類
社会保険は、医療保険、年金保険、雇用保険、介護保険、労働者災害補償保険
公的扶助は、生活保護
社会福祉は、高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉、社会手当
公衆衛生及び医療は、食品衛生、感染症対策、上下水道
老人保健は、後期高齢者医療制度


▢ 16.社会保険には、医療保険、年金保険、雇用保険、介護保険、労働者災害補償保険があります。


わが国の社会保険には、医療保険、年金保険、雇用保険、介護保険、労働者災害補償保険があり、原則として被保険者資格を満たした場合に自動的に加入します(強制加入)


▢ 17.医療保険では、業務外の事由による疾病や傷病などを保険事故とします。


医療保険は、原則として医療を現物給付の方法によって支給します。


▢ 18.国民健康保険の保険料の納付義務は世帯主にあります。


保険料を滞納した場合、その期間に応じて、保険証有効期間の短縮や保険給付の―時差し止めなどの措置がとられます。


▢ 19.国民健康保険には、市町村国保と国保組合があります。


市町村国保とは「市町村国民健康保険」のことで、市町村が保険者となる地域保険です。これに対し国保組合は「国民健康保険組合」のことで、同業種従業員が組合を組織し保険者となる職域保険です。一般被用者健康保険には、主として大企業の被用者を対象とし、各健康保険組合が保険者となる組合健康保険と、主として中小企業の被用者を対象とする全国健康保険協会管掌保険(協会けんぽ)があります。


▢ 20.社会保障関係費は国の一般歳出の半分超を占めます。


2013(平成25)年度予算では、社会保障関係費は29兆1224億円で、一般歳出53兆9774億円のうち54.0%にあたる。社会保障関係費の中では、年金医療介護保険給付費が75.1%を占めています。


▢ 21.雇用保険給付の申請先は、公共職業安定所(ハローワーク)です。


雇用保険は、労働者の生活及び雇用の安定を図るほか、失業の減少を目的とした社会保険です。保険者は国であり、被保険者は適用事業所に雇用される労働者となっています。
雇用保険の給付には、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付があります。


▢ 22.労働者災害補償保険の保険者は国です。


労働者災害補償保険は、労働者の業務上や通勤途中のけが、病気、障害、死亡について補償する社会保険であり、療養補償給付や療養給付として医療の現物給付を行っています。
労働者災害補償保険の保険料は事業主が納付することになっているため、労働者の負担はない。


現代社会の動向


▢ 23.合計特殊出生率の低い状態が続いています。


1974(昭和49)年に合計特殊出生率が2.05となり、人口が増加も減少もしない人口置換水準(およそ2.1)を割りました。
その後も出生率の低下は続き、2005(平成17)年には1.26の水準まで低下しました。
2012(平成24)年は1.41で、低水準が続いています。


▢ 24.高齢者世帯の所得のうち、最大のものは公的年金・恩給です。


高齢者世帯の平均所得金額は、2012(平成24)年調査では303万6000円でそのうち69.1%が公的年金・恩給です。次いで稼働所得(19.5%)、財産所得(5.8%)となっています。ちなみに、全世帯の平均所得金額は約548万円で、高齢者世帯の所得は全世帯平均所得の約半分です。
(厚生労働省「平成24年国民生活基礎調査の概況」)


▢ 25.平均寿命は、男性が79.94歳、女性86.41歳です。


平均寿命は延び続けており、2012(平成24)年では男性が約80歳、女性が約86歳になっています。これは世界のトップ水準です。わが国の高齢化は極めて急激に進んだことが特徴的です。


▢ 26.高齢者のいる世帯は児童のいる世帯より多い。


1997(平成9)年に65歳以上の高齢者のいる世帯数が18歳未満の未婚者(児童)のいる世帯数を上回りました。2012(平成24)年のデータでは、高齢者のいる世帯は2093万世帯で構成比率43.4%、児童のいる世帯は1200万3000世帯で構成比率24.9%です。
65歳以上の単身世帯が増加しています。1992(平成4)年には約187万世帯でしたが、2012(平成24)年には約490万世帯(構成割合約23%)にまでなっています。


▢ 27.わが国の障害者の総数は約788万人で、人口の6.2%を占めています。


平成23年「生活のしづらさなどに関する調査結果」を反映させると、わが国の障害者の総数は約788万人と推計されています。
在宅・施設(入院)別にみた障害者数
身体障害者・児 在宅3864000人、施設・入院73000人、小計3,937,000人
知的障害者・児 在宅622000人、施設・入院119000人、小計741,000人
精神障害者 在宅2,878,000人、施設・入院323,000人、小計3,201,000人


▢ 28.介護者の半数以上が60歳以上です。


「平成22年国民生活基礎調査の概況」によれば、要介護者と同居している介護者の62.1%が60歳以上です。高齢者の夫婦のみの世帯が増加していることもあり、老老介護が社会問題となっています。


介護保険制度1


▢ 29.介護保険法は、国民の共同連帯の理念に基づいたものです。


介護保険法の目的は、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、行う保険給付等に関して必要な事項を定めることによって、国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることです。


▢ 30.介護状態区分は要介護1~5、要支援状態区分は要支援1~ 2に区分されます。


要介護度は、7段階に区分されています。要介護者は、居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービスを利用することができ、要支援者は、介護予防サービスや地域密着型介護予防サービスを利用することができます。要支援者は、施設サービスを利用することはできません。


▢ 31.介護保険の保険者は市町村(特別区を含む)です。


介護保険制度は、人口の高齢化を背景に2000(平成12)年に施行された介護保険法に基づいて実施されています。介護を社会全体で担うために社会保険方式を採用しており、住民にとって最も身近な行政である市町村が保険者になっています。


▢ 32.第1号被保険者の保険料は、市町村が定め徴収します。


介護保険制度の被保険者は、市町村に住所のある65歳以上の第1号被保険者と医療保険加入者で40歳以上65歳未満の第2号被保険者に分かれます。第1号被保険者の保険料は、各市町村が、所得に応じて決定し徴収します。徴収方法には、一定額以上の年金受給者対象の年金からの天引き(特別徴収)と、それ以外の個別徴収(普通徴収)があります。


▢ 33.第2号被保険者の保険料は、医療保険者が徴収します。


第2号被保険者の保険料は、各々が加入している医療保険者が所得に応じて設定し、医療保険料として徴収します。


▢ 34.第2号被保険者は、特定疾病が原因の場合、保険給付の対象となります。


第2号被保険者が要支援・要介護状態になったときは、その原因が問題になります。原因が、加齢に伴うものと認められる疾病(特定疾病)である場合に限り、保険給付の対象となります。


▢ 35.介護保険サービスの利用者負担は原則1割です。


介護保険制度では、サービスの利用者負担は応益負担になっています。原則として1割負担です。


▢ 36.介護保険の給付には、「介護給付」「予防給付」「市町村特別給付」があります。


介護保険給付には、介護給付、予防給付、市町村特別給付があります。介護給付は、要介護認定された被保険者に対する給付です。予防給付は、要介護状態になるおそれがあると認定(要支援認定)された被保険者に対して、予防を目的に給付されます。市町村特別給付は、保険者である市町村がそれぞれ独自に行う給付です。


▢ 37.介護給付と予防給付は保険料と公費で1/2ずつ負担します。


介護保険給付のうち、介護給付と予防給付の財源は、50%を被保険者からの保険料でまかないます。
在宅給付の場合 国25%(20%が定率負担、5%が調整交付金)、 都道府県12.5%、市町村12.5%
施設等給付の場合 国20%(15%が定率負担、5%が調整交付金)、都道府県17.5%、市町村12.5%


▢ 38.要介護認定の申請手続きは、事業者が代行できます。


要介護認定を受けるには市居宅介護支援は要介護者のニーズを諸サービスにつなぎます
居宅介護支援は、利用者である要介護者の保健・医療・福祉にわたるさまざまな二―ズを把握し、それに合った居宅サービス計画(ケアプラン)を立ててサービスにつなげていきます。居宅サービス計画には、公的な機関や事業所(フォーマルサービス)、親族やボランティア(インフォーマルサポート)などあらゆるものを組み込みます。町村に申請をしなければならない。本人、家族のほか、地域包括支援センター、省令に定められた指定居宅介護支援事業者や介護保険施設が申請できる(代行申請)。


▢ 39.介護認定審査・判定は介護認定審査会で行います。


要介護認定プロセス
1.市町村に申請
2.認定調査
3.1次判定(基本調査等を用いたコンピュータ判定をもとに、認定調査特記事項、主治医意見書を加味)
4、二次判定(介護認定審査会で一次判定結果、介護の手間にかかる審査判定等をもとに意見を付す)
5.市町村が認定


▢ 40.介護認定に不服があれば、介護保険審査会に審査請求できます。


介護認定結果に不服がある場合は、都道府県に設置されている介護保険審査会に審査請求ができます。


▢ 41.居宅介護支援は要介護者のニーズを諸サービスにつなぎます。


居宅介護支援は、利用者である要介護者の保健・医療・福祉にわたるさまざまな二―ズを把握し、それに合った居宅サービス計画(ケアプラン)を立ててサービスにつなげていきます。居宅サービス計画には、公的な機関や事業所(フォーマルサービス)、親族やボランティア(インフォーマルサポート)などあらゆるものを組み込みます。


▢ 42.保険給付は、被保険者の選択に基づきます。


介護保険制度では、被保険者自身がサービスを選択し契約を結ぶ、ということが基本です。


▢ 43.居宅サービス計画費は10割給付です。


介護保険サービスの利用者負担は原則1割であるが、居宅サービス計画費、介護予防サービス計画費に利用者負担はない。


▢ 44.介護保険の施設サービスは、特定入所者介護サービス費の支給対象となります。


特定入所者介護サービス費の対象は、介護保険の施設サービス、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、短期入所生活介護、短期入所療養介護です。特定入所者介護予防サービス費の対象は、介護予防短期入所生活介護と介護予防短期入所療養介護に限られます。


介護保険制度2


▢ 45.サービス計画の見直しは、本人や家族の了解をとります。


介護保険の基本は、自己選択です。このため、サービス計画を変更する際は、文書による本人や家族の同意が必要です。


▢ 46.国民健康保険団体連合会は、介護サービスの質の向上に関する調査を実施します。


国民健康保険団体連合会は、市町村からの委託を受けて、保険給付の審査・支払業務、介護サービスの質の向上に関する調査、介護サービス事業者に対する必要な指導・助言を実施します。そのほか、第三者行為求償事務、介護サービスの提供事業、介護保険施設の運営なども実施することができます。


▢ 47.介護給付費審査委員会は、介護給付費請求書の審査を行います。


介護給付費審査委員会は、国民健康保険団体連合会に設置されます。
介護給付費審査委員会の委員は、国民健康保険団体連合会が委嘱し、それぞれ同数の介護給付等対象サービス担当者を代表する委員、市町村を代表する委員、公益を代表する委員によって組織されます。任期は2年です。


▢ 48.介護保険の保険者は、介護保険に関する収入及び支出について、特別会計を設けます。


介護保険の保険者は、介護保険における収入と支出に関して介護保険特別会計を設け、他の会計項目とは区別して管理しなければならない。ほかに、被保険者の資格管理、保険料徴収、要介護・要支援認定、保険給付(審査・支払い)、事業者・施設の指定・指導・監督、地域支援事業及び保健福祉事業、市町村介護保険事業計画(3年1期)の策定などを行います。


▢ 49.都道府県は、3年を1期として都道府県介護保険事業支援計画を策定します。


介護保険における都道府県の役割には、3年を1期として都道府県介護保険事業支援計画を策定するほか、介護保険審査会の設置、居宅サービス・居宅介護支援・介護予防サービス事業者・介護保険施設の指定・指導・監督、介護サービス情報の公表、介護支援専門員の養成、財政安定化基金の設置などがあります。


▢ 50.国は、保健医療サービス・福祉サービスを提供する体制の確保などに関する施策を定めます。


介護保険における国の役割は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、保健医療サービス・福祉サービスを提供する体制の確保などに関する施策を定めることです。具体的には、介護保険制度の基本的な枠組みの設定、財政的な支援、事業者・施設・都道府県・市町村・支払基金・国保連ヘの指導・監督等があります。


▢ 51.市町村介護保険事業計画は、市町村老人福祉計画と一体のものとして作成します。


市町村介護保険事業計画は、市町村老人福祉計画と一体のものとして作成されなければならず、さらに市町村地域福祉計画などと調和が保たれたものでなければならない。定めるべき事項として、各年度における地域支援事業の量の見込みなど、また、定めるよう努める事項として、各年度における地域支援事業に要する費用の額などが盛りこまれます。


▢ 52.地域支援事業は、必須事業、市町村の判断によって実施する事業、任意事業に大別されます。


必須事業には、介護予防事業と包括的支援事業があり、市町村が独自に行う任意事業には、介護給付等費用適正化事業や家族介護支援事業などがあります。市町村の判断によって実施する事業は、3種類の事業で構成されています。


▢ 53.包括的支援事業は、4種類の事業で構成されます。


包括的支援事業には、①介護予防ケアマネジメント事業、②総合相談支援事業、③権利擁護事業、④包括的・継続的ケアマネジメント支援事業があります。包括的支援事業の対象は、第1号被保険者と第2号被保険者であり、介護予防事業の対象は、第1号被保険者に限られています。


▢ 54.介護予防事業は、一次予防事業と二次予防事業で構成されます。


一次予防事業には、介護予防普及啓発事業、地域介護予防活動支援事業、一次予防事業評価事業があり、二次予防事業には、二次予防事業の対象者把握事業、通所型介護予防事業、訪問型介護予防事業、二次予防事業評価事業があります。


▢ 55.介護予防・日常生活支援総合事業は、2011(平成23)年の介護保険法改正で創設されました。


2011(平成23)年の介護保険法改正では、地域支援事業に介護予防・日常生活支援総合事業を創設しました。介護予防・日常生活支援総合事業は、①介護予防ケアマネジメント事業、②介護予防事業、③市町村の判断により実施する事業を、市町村が一括して総合的に行う事業です。


▢ 56.地域包括支援センターは、地域住民の保健医療の向上や福祉の増進を包括的に支援します。


地域包括支援センターでは、包括的支援事業を実施しているほか、介護予防事業、地域支援事業の任意事業、介護予防支援を実施することができます。基本的に保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員が配置されます。


▢ 57.居宅サービスや介護予防サービスの事業者の指定は、都道府県知事が行います。


居宅サービス、施設サービス、介護予防サービス、居宅介護支援の事業者は、都道府県知事が指定・許可
地域密着型サービス、地域密着型介護予防サービス、介護予防支援の事業者は、市町村長が指定


▢ 58.介護老人保健施設は、介護保険施設の1つとして位置付けられています。


現行の介護保険法における介護保険施設には、指定介護老人福祉施設と介護老人保健施設があります。指定介護老人福祉施設は都道府県知事の指定を受け、介護老人保健施設は都道府県知事の許可を受けます。なお、指定介護療養型医療施設は、現在の介護保険法からは削除されていますが、既存の施設については2017(平成29)年度末まで廃止が猶予されています。


▢ 59.財政安定化基金の財源は、国、都道府県、市町村がそれぞれ3分の1ずつを負担する。


収納率低下のために赤字となった場合に、不足額の2分の1が交付金として交付され、残りの2分の1は貸付されます。また、見込みを上回る給付費増のために赤字となった場合は、その全額が貸付されます。


障害者総合支援法


▢ 60.2013(平成25)年4月1日から障害者総合支援法が施行されました。


2013(平成25)年4月1日から、障害者自立支援法にかわって「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」に改正・改称されました。
主な改正点は、名称変更のほか、基本理念の提示、障害者の範囲の拡大、地域生活支援事業の追加などが挙げられます。障害者へのサービスに関しては、これまでと同様、自立支援給付と地域生活支援事業で構成されています。


▢ 61.障害者の範囲は、難病がある者も含まれています。


障害者の範囲には、身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難病がある者が含まれています。
難病に含まれるものは、メニエール病、パーキンソン病、アジソン病、関節リウマチ、プリオン病 など


▢ 62.地域生活支援事業は、市町村が実施するものと都道府県が実施するものに大別されます。


市町村が実施するものには、必須事業として、相談支援事業、地域活動支援センター機能強化事業、成年後見制度利用支援事業、コミュニケーション支援事業などがあります。都道府県が実施するものには、必須事業として、専門性の高い相談支援事業や、サービス・相談支援者、指導者育成事業などがあります。


▢ 63.平成26年4月から、従来の障害程度区分が障害支援区分に変更されました。


障害者総合支援法への法改正に伴い、平成26年4月から障害程度区分は、障害支援区分に変更されました。そのほか、共同生活介護が共同生活援助に一元化されたことや、地域移行支援の対象拡大、重度訪問介護の対象拡大などの変更もありました。


▢ 64.相談支援には、基本相談支援、地域相談支援、計画相談支援があります。


相談支援事業の種類としては、一般相談支援事業と特定相談支援事業に区分されており、一般相談支援事業では基本相談支援と地域相談支援を行い、特定相談支援事業では基本相談支援と計画相談支援を行うことになっています。
地域相談支援は、地域移行支援と地域定着支援を行う
計画相談支援は、サービス利用支援と継続サービス利用支援を行う。


介護実践に関する制度


▢ 65.2004(平成16)年に消費者保護基本法が消費者基本法に改正、改称されました。


消費者安全法により、都道府県、市町村に消費生活センターが設置されました。また、国の独立した機関として国民生活センターがつくられ、2009(平成21)年には消費者庁が発足しました。そのほか、消費者を守るために「消費者契約法」「クーリング・オフ制度」「製造物責任法」「改正消費生活用製品安全法」「個人情報保護法」等があります。


▢ 66.消費生活センターは、消費者相談の受付・苦情処理を行っています。


消費生活センターは都道府県と市町村の消費者行政機関です。国の独立した機関である国民生活センターと連携して、消費者情報の提供や消費者教育、商品テスト、消費者相談の受付・苦情処理などを行っています。


▢ 67.2006(平成18)年にバリアフリー新法が成立しました。


ハートビル法、交通バリアフリー法が統合されて、バリアフリー新法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)が制定されました。この法律は、建築物・道路・交通機関を一体としてとらえて、それらのパリアフリー化を図ることを目的としています。


▢ 68.個人情報保護法は、個人の権利利益の保護を目的とした法律です。


個人の権利と利益を保護するために、個人情報取扱事業者に対して個人情報の取り扱い方法を定めた法律で、2003(平成15)年に制定されました。個人情報とは、生存する個人に関する情報であって、その情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものをいいます。


▢ 69.個人情報取扱事業者は、個人情報の利用目的をできる限り特定しなければならない。


個人情報取扱事業者には、利用目的の特定、適正な取得、利用目的の通知・公表、安全な管理、従業員・委託先の監督、第三者提供の制限、保有個人データの開示、苦情の迅速な処理を行うなどの義務が課せられています。利用目的を変更する場合、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。


▢ 70.病院には、20人以上の患者を入院させる施設があります。


医療法上、病院と診療所は、入院施設によって区別されます。
病院は、20人以上の患者を入院させるための施設を有するもの
診療所は、患者を入院させるための施設を有しないものまたは19人以下の患者を入院させるための施設を有するもの


▢ 71.育児・介護休業法では、介護休業制度、育児休業制度、看護休暇制度などを設けています。


育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)に基づく子の看護休暇は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が、事業主に申し出ることにより、原則、 1年度において5労働日を限度に取得することができます。


▢ 72.別居の祖父母は、介護休業の対象となる家族に含まれない。


介護休業は、負傷や疾病などにより、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族を介護や日常生活上の世話をするためのものです。対象家族には、配偶者、父母、子、配偶者の父母、労働者が同居しかつ扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫が含まれます。介護休業の期間は、対象家族1人につき、要介護状態に至ることに1回通算93日までの間で労働者が申し出た期間となっています。


▢ 73.生活保護法の目的は、最低限度の生活の保障と自立の助長です。


「生活保護法」第1条に述べられている。生活保障だけでなく、自立を助けることも目的であるところに注意します。


▢ 74.生活保護の基本原理は4つです。


保護の4つの原理
①家責任の原理は、国が国民の最低限度の生活を保障する責任を負う

②無差別平等の原理は、保護においては、身分や困窮の原因などによる差別的な取り扱いは行わない
③最低生活保障の原理は、すべての国民が、健康で文化的な最低限度の生活を保障される
④保護の補足性の原理は、資産や能力の活用、扶養義務者による扶養、他法による救済を優先し、なお不十分な場合に補足的に用いる


▢ 75.生活保護の実施は、保護の4つの原則に則って行われます。


保護の4つの原則
①申請保護の原則は、保護は、原則として、要保護者、その扶養義務者その他の親族の申請に基づいて行う
②基準及び程度の原則は、厚生労働大臣が定める基準に基づいて要保護者の必要を計り、保護によって不足分を補う。基準は、年齢・性・世帯構成・所在地などによって定める
③必要即応の原則要保護者の実際の必要を考慮して適切に保護を行う
④世帯単位の原則保護は、原則として世帯を単位とする。ただし、状況により、世帯分離もあり得る


▢ 76.生活保護の実施は資産・能力の活用を要件とします。


生活保護の原理の1つ「補足性の原理」である(生活保護法第4条)。生活保護は保険料でなく公費を原資とするため、簡単に給付できない。利用し得る資産、能力、親族の扶養その他あらゆるものを活用し、他の法的保護を用いてなお困窮する場合に限定されます。


▢ 77.生活保護には生活扶助・医療扶助・教育扶助など8種類があります。


生活保護は、保護の4つの原則に則り、8種類の扶助から必要なものを給付します。介護扶助と医療扶助は原則として現物給付であり、ほかは金銭給付となっています。
①生活扶助は、日常必要な諸費用。第1類として、個人単位の経費(食費、被服費等)、第2類として、世帯単位の経費(光熱水道費等)と地区別冬季加算などを定め、給付する
②教育扶助は、義務教育に必要な学用品、給食費等の費用
③住宅扶助は、借家、借間の家賃など住居費用と修繕費用
④介護扶助は、2000(平成12)年の介護保険導入に伴って創設。介護保険法の被保険者の場合は、必要な介護サービスの利用者負担部分(1割)を公費負担する。被保険者でない場合は介護サービスを現物給付
⑤出産扶助は、分娩及び分娩後の処置等の出産にかかる費用
⑥生業扶助は、就労に必要なものの給付、技能修得費用など
⑦葬祭扶助は、保護を受けている者が死亡した場合の葬祭などに必要な費用
⑧医療扶助は、入院、診察、投薬、手術、療養などの現物給付


▢ 78.介護扶助の範囲には、居宅介護、福祉用具、住宅改修などが含まれます。


介護扶助の支給範囲には、①居宅介護、②福祉用具、③住宅改修、④施設介護、⑤介護予防、⑥介護予防福祉用具、⑦介護予防住宅改修、⑧移送が含まれます。介護扶助は、原則として現物給付の方法で支給されるものであるが、ただし、福祉用具、住宅改修、介護予防福祉用具、介護予防住宅改修については、金銭給付の方法によって支給されます。


▢ 79.生活保護受給者が介護扶助を受給する際は、要介護認定を受けます。


介護保険の被保険者である生活保護受給者が介護扶助を受給する際は、介護保険法に基づいて要介護認定を実施する。また、介護保険の被保険者ではない生活保護受給者が介護扶助を受ける際は、生活保護法による要介護認定を、市町村の介護認定審査会に委託して実施します。

介護福祉士4


介護福祉士の役割や機能


▢ 1.介護が社会問題化した背景には、高齢化が進んだことがあります。


わが国の高齢化の特徴として、他国に比べ急激に進んだこと、程度が著しいこと、地域社会の解体や家族機能の低下、少子化などの社会変化と同時に進んだことなどが挙げられます。さらに、平均寿命が延びていることから、後期高齢者の増加が予測され、それに伴う老老介護の増加も懸念されています。また、高齢者虐待、高齢者の所得の7割は公的年金・恩給であるが格差が大きく、低所得者が多いなどの問題もあります。


▢ 2.一人暮らしは孤独や不安に駆られることが多い。


一人暮らしでは、体調が優れないときなどに孤独や不安にさいなまれやすい。介護従事者は、特に一人暮らしの利用者の精神状態に注意を払う必要があります。


▢ 3.介護予防・リハビリテーションの充実は、尊厳を支えるケアとして重要視されています。


「2015年の高齢者介護~高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて~」では、尊厳を支えるケアの確立への方策として、①介護予防・リハビリテーションの充実、②生活の継続性を維持するための新しい介護サービス体系、③新しいケアモデルの確立、④サービスの質の確保と向上の4項目を掲げています。


▢ 4.日本介護福祉士会は、生涯研修体系の確立に向けた活動を行っています。


日本介護福祉士会は、介護福祉士倫理綱領を採択し、介護福祉士としての倫理観を明記しています。また、能力向上のため、生涯研修体系の確立に向けた活動、研修活動事業や学術研究事業、広報・普及・啓発に関する事業、介護や福祉に関する政策提言などを行っています。


▢ 5.介護福祉士は、利用者の心身の状況に応じた介護を行います。


2007(平成19)年に「社会福祉士及び介護福祉士法」が改正され、介護福祉士の業務についての定義が変更されました。
●介護福祉士の業務
①介護福祉士の名称を用いること(名称独占。試験に合格し必要事項を登録すると介護福祉士となる)
②専門的知識及び技術をもつこと
③身体や精神の障害のために日常生活を営むのに支障がある人を対象とすること
④利用者の心身の状況に応じた介護を行うこと
⑤利用者と利用者の家族に介護について指導すること
名称独占とは「介護福祉士以外の人は介護福祉士を名乗ってはいけない」という意味です
業務独占は、医師のように、「その資格をもっている人以外はその仕事をしてはいけない」という意味です。


▢ 6.介護福祉士には、福祉サービス関係者等との連携保持義務が課せられています。


「社会福祉士及び介護福祉士法」第47条第2項において、「業務を行うに当たっては (中略) 福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない」と規定されています。福祉サービス関係者等とは、福祉サービス関係者のほか、医師・看護師・保健師・言語聴覚士・作業療法士・理学療法士などの医療関係者も含まれます。


▢ 7.利用者の社会的自立、住環境の整備なども支援します。


介護福祉士は、利用者を全人的に支援するために、利用者本位を基本としつつ、身辺の自立や精神的な自立のほか、社会的自立や住環境の整備も支援します。


▢ 8.介護福祉士には、誠実義務、信用失墜行為の禁止、秘密保持義務等が課せられています。


「社会福祉士及び介護福祉士法」では、介護福祉士の義務等が規定されています。
第44条の2は、誠実義務(利用者個人の尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、利用者の立場に立って誠実に業務を行う)
第45条は、信用失墜行為の禁止(信用を傷つけるような行為をしてはならない)
第46条は、秘密保持義務(業務に関して知り得た利用者の秘密を漏らしてはならない)
第47条の2は、資質向上の責務(知識・技能の向上に努める)


▢ 9.介護予防の視点も大切です。


介護福祉士の業務には、現在は要介護状態でない人の介護予防も含まれます。高齢者の場合は、加齢に伴って身体機能が低下するので、要介護状態にならないよう予防の視点をもって支援します。


介護の基礎


▢ 10.ノーマライゼーションの考え方は、バンクーミケルセンが提唱しました。


ノーマライゼーションの理念は、障害があっても、普通(ノーマル)の生活が保障されることです。デンマークの知的障害児の親の会の運動から始まり、バンクーミケルセンが提唱しました。その後スウェーデンのニィリエが8つの原理に整理しました。


▢ 11.利用者のQOL(生活の質)の向上をめざし、支援していきます。


介護従事者は、利用者が自立した生活を営み、自己実現を図ることができるよう、ADL(日常生活動作)の自立に必要な介助を行います。また、QOLを向上させるように、利用者が社会的な役割をもち、他者との交流や社会参加を積極的に行えるよう支援します。利用者のADLやQOLの向上のために何が必要かを理解するためには、生活史やさまざまな側面をとらえる必要があります。


▢ 12.2001(平成13)年に国際生活機能分類(ICF)が採択されました。


国際生活機能分類(ICF)は、2001(平成13)年に世界保健機関(WHO)で採択されました。それまで用いられてきた国際障害分類(ICIDH)では、障害を機能障害・能力障害・社会的不利の3段階に分けていました。ICFはこれを発展させ、障害当事者の参加を得て検討されました。人間の生活機能を心身機能・身体構造、活動、参加の3側面から統合モデルとして包括的にとらえ、障害とは、これらについて何か問題を抱えた状態であるとしました。


▢ 13.国際生活機能分類の生活機能は、心身機能・身体構造、活動、参加で構成されています。


国際生活機能分類は、大きく①健康状態、②生活機能、③背景因子の3レベルで構成されています。


生活機能の3要素
心身機能・身体構造は、心身機能は、身体の生理機能を意味し、身体構造は、各器官や肢体(構成部分を含む)の身体の解剖学的部分を意味する
活動は、個人の課題・行為に対する遂行を意味する
参加は、人生場面や生活への関わりを意味する


▢ 14.国際生活機能分類の背景因子は、環境因子と個人因子です。


環境因子には、生活環境や介護者などが含まれ、個人因子には、性別や性格などが含まれます。
環境因子は、生活機能や障害への外的影響を意味する
個人因子は、生活機能と障害への内的影響を意味する


▢ 15.WHO(世界保健機関)では、リハビリテーションを4つの領域に分類しています。


リハビリテーションの4つの領域
① 医学的リハビリテーション
② 社会リハビリテーション
③ 教育リハビリテーション
④ 職業リハビリテーション
リハビリテーションという言葉は、名誉回復や公民権回復の意味もあります。単なる機能回復訓練ではなく「全人間的復権」をめざすものなのです。


▢ 16.医学的リハビリテーションの過程は、急性期、回復期、維持期に区分されます。


維持期のリハビリテーションを包含する概念として、地域リハビリテーションがあります。維持期のリハビリテーションは、介護保険の訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションなどの利用によって実施されるものです。


▢ 17.リハビリテーションには、理学療法や作業療法などがあります。


理学療法には、関節可動域訓練、筋力強化訓練、歩行訓練、全体調整訓練、チルトテーブル訓練などがあり、作業療法には、日常生活活動訓練や家事動作訓練などがあります。


▢ 18.IADLはADLの動作を応用した日常生活上のより複雑な活動です。


IADL(手段的日常生活動作)とは、衣食住の最低限度のことができるだけでなく、道具や手段を使って行う、より複雑で日常の生活に必要な動作をいいます。具体的には、電話を使う、乗り物に乗って出かける、買い物をする、金銭管理をする、薬を飲むなどです。


▢ 19.患者のADLの障害は、運動障害の程度とは比例しない。


一般的に、運動機能の障害が重ければ日常生活動作(ADL)の障害も重くなりやすいが、運動機能だけでなく、認知機能・感覚機能などの障害の程度にも影響されるため、比例しません。


▢ 20.レクリエーションの主体は利用者個人です。


レクリエーションは、施設などで集団で行われる場合であっても、それを行う人、すなわち主体はレクリエーションに参加する一人ひとりの利用者です。レクリエーションを準備する施設や援助者、レクリエーションを行うグループ全体ではないので注意します。


▢ 21.レクリエーションは、利用者の心身及び生活の活性化のための活動です。


レクリエーションは生活の楽しさを味わうための活動です。レクリエーションを生活の中に欠かさないこと、生活そのものを楽しくすること、すなわち、生活のレクリエーション化によって、利用者の心身と生活を張り合いのあるものにすることが大切です。


▢ 22.レクリエーションは、障害の有無にかかわらず楽しめることが大切です。


レクリエーションは、生活に「楽しみ」という要素を与えるものであるから、障害の有無や年齢、性別にかかわらず、誰でも楽しめることが大切です。障害がある場合は、レクリエーションヘの参加がリハビリテーションの意味をもつこともあるので、積極的にレクリエーションを楽しめるように工夫します。


▢ 23.セラピューティック・レクリエーションは、治療的な意味合いをもつ。


セラピューティック・レクリエーションは、「セラピーの意味をもつレクリエーション」という意味で、治療的な意味合いをもつレクリエーションのことです。対象者は、心身に障害のある人や高齢者などで、生活の質(QOL)の向上をめざします。


▢ 24.セラピューティック・レクリエーションには、治療的段階・余暇教育的段階・社会参加的段階の3段階があります。


セラピューティック・レクリエーションは、利用者の自立度合いに応じて、3段階に分けられます。最も自立度が低く、治療的な関わりが必要な段階を治療的段階、次の段階を余暇教育的段階といい、利用者の自立度が高まり、さらに社会性の向上を目標にする段階を社会参加的段階といいます。


▢ 25.セラピューティック・レクリエーションのプログラムは、利用と活動の難易度がつり合うように作成する。


セラピューティック・レクリエーションの場合は、プログラムが治療上有効であるような配慮が欠かせない。具体的には、利用者の現在の能力に対して、レクリエーションの内容が難しすぎず、やさしすぎないように調節することが大切です。ちょうどよくつり合う場合に「フロー」と呼ばれます、楽しく流れるようにスムーズに活動ができる状態になります。


▢ 26.セラピューティック・レクリエーションでは、援助者の関わりは小さくし、利用者の主体性と自由度を大きくするよう心がけます。


治療的なレクレーションであっても、主体はあくまで利用者です。治療的な配慮が必要なために援助者の関わりが大きくなりがちであるが、できるだけ利用者の主体性を大切にし、自分の自由意思で参加できるように心がけます。


▢ 27.レクリエーション活動をリハビリテーションに利用できることもあります。


機能回復のための訓練であっても、楽しく行うことは大切です。楽しければ、無理なく頑張ることが可能だからです。したがって、レクリエーション活動の中で効果のあるものをリハビリテーションに利用することはできます。ただし、レクリエーションは利用者が自主的に楽しむことが目的で、機能回復が最終目標ではありません。


▢ 28.レクリエーションでは、生活全体を快適にすることが大切です。


レクリエーションは、利用者に対し、生活に楽しみを与えることが重要であるが、さらに広く考えれば、日常生活環境を整備することも含め、生活全体の心地よさを提供するものといえます。
そのため、まずは利用者のもっているレクリエーション財を把握することが大切です。


▢ 29.クラブ活動のような小集団のレクリエーション活動も効果があります。


小集団のレクリエーションでは、参加者相互間の交流が生まれ、参加者間の相互作用(グループダイナミックス)が働く。したがって、集団としての成長とともに、個々の利用者の社会性を高める効果もあります。
小集団のレクリエーションの重要点は、① 集団行動が難しい利用者には個別対応を行う。② いくつかのプログラムから選択できるようにする。③ 参加l者の介護度のレベルを揃える。


▢ 30.施設においても、個々人に適した生活プログラムを作るべきです。


施設における介護でも、画一的なプログラムではなく、アセスメントに基づいて、個々人に合わせたプログラムを提供することが、精神的・身体的な活動の活性化につながります。


▢ 31.虚弱高齢者にも自分でできることはしてもらう。


介護従事者は、利用者の残存能力を活用して利用者の介護度が重くならないように努めることが大切です。このため、虚弱高齢者にも自分でできることはしてもらうという支援方法が望ましい。


▢ 32.ケアマネジメントでは、利用者本位及びチームアプローチの徹底が重要視されます。


介護支援専門員は、ケアマネジメントを行うにあたり、利用者本位の徹底、チームアプローチの徹底、居宅サービス計画に基づくサービス実施状況のモニタリング(1か月に1回利用者と面接)と計画の修正、サービス実施体制におけるマネジメントの情報提供と秘密保持、社会資源の開発などを行うとされます。


介護サービス


▢ 33.居宅介護支援事業所において、居宅サービス計画は介護支援専門員が作成します。


居宅サービス計画の作成にあたって実施されるアセスメントは、利用者の居宅を訪問し、利用者及び利用者の家族との面接によって行わなければならない。居宅サービス計画は、利用者自身で作成することもできます。


▢ 34.居宅介護支援事業所の管理者は、介護支援門員でなければならない。


「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」において、居宅介護支援事業所の管理者は介護支援専門員でなければならないと定められています。居宅介護支援(ケアマネジメント)は、要介護者を対象に実施されるものです。要支援者を対象に実施されるものは、介護予防支援(介護予防ケアマネジメント)です。


▢ 35.介護保険の訪問介護の支援内容は、身体介護と生活援助に大別できます。


訪問介護で提供する支援は、利用者本人に係るものに限られるため、利用者の家族の食事の支度や飼い犬の散歩などを行うことはできない。


▢ 36.訪問リハビリテーションは、主治医の指示と訪問リハビリテーション計画に基づき行います。


訪問リハビリテーションは、居宅要介護者(病状が安定期にあり、居宅において医学的管理下における理学療法等が必要であると主治医が認めたものに限る)の居宅において、心身機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるサービスです。


▢ 37.居宅療養管理指導は、居宅要介護者について行われる療養上の管理及び指導等をいいます。


居宅療養管理指導は、病院、診療所または薬局の、医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士、医療機関や訪問看護ステーションの訪問看護師などにより行われる療養上の管理及び指導等をいいます。


▢ 38.訪問看護は、主治医の指示に基づき行われます。


訪問看護の開始時には主治医が記載した「訪問看護指示書」が必要であり、有効期間は、1か月から6か月です。サービスの内容は、褥瘡の処置やカテーテルの管理、療養指導、リハビリテーション、ターミナルケアなど。サービスの提供者は、保健師、看護師、准看護師のほか、理学療法士、作業療法士など。


▢ 39.訪問入浴介護は、浴槽を提供して入浴介護を行う居宅サービスです。


訪問入浴介護は、自宅に浴室がないなど、居宅での入浴が困難な要介護者を対象に、浴槽を提供して入浴介護を行う居宅サービスです。自宅の浴室を使用して入浴が可能な要介護者に対しては、訪問介護の身体介護を利用して、入浴介護を受けることになります。


▢ 40.訪問入浴介護のサービス提供体制の基本は、看護職員1名と介護職員2名です。


訪問入浴介護のサービス提供体制は、看護職員1名と介護職員2名を基本としているが、利用者の身体の状況等に支障を生ずるおそれがなく、主治の医師の意見を確認した上で、介護職員3名で提供することも可能です。介護予防訪問入浴介護の場合は、看護職員1名と介護職員1名を基本とし、介護職員2名での提供も可能としています。


▢ 41.通所介護は利用者の家族の身体的・精神的負担の軽減を図ります。


通所介護は利用者の社会的な孤立感を解消させ、心身機能を維持する効果があります。さらに、家族介護者を介護から定期的に一定時間解放することができるため、介護負担を軽減する効果もあります。


▢ 42.通所介護では個別援助計画を立案します。


通所介護での支援を効果的に行うためには、利用に先立って利用者個々のニーズを把握し、ふさわしいプログラムを提供する個別援助計画を立案する必要があります。
通所介護計画は、通所介護事業所の管理者が作成し、5年間保管しなければならない。


▢ 43.生活機能向上グループ活動加算は、通所介護にのみ設けられています。


介護予防通所介護の介護報酬に設けられている生活機能向上グループ活動加算は、介護予防通所介護従事者が共同して、利用者に対し生活機能の改善等の目的を設定した介護予防通所介護計画を作成していることや、生活機能向上グループ活動サービスを週1回以上実施していること等の要件を満たした場合に算定することができます。


▢ 44.通所介護は、居宅要介護者に対して、日常生活上の世話、機能訓練を行います。


通所介護では、利用者が特別養護老人ホームや老人サービスセンターなどに通い、その施設において入浴、排泄、食事等の介護その他日常生活上の世話、機能訓練が行われます。


▢ 45.通所リハビリテーションを実施する事業者は、介護老人保健施設、病院、診療所です。


通所リハビリテーションとは、主治医がサービスの利用が必要であると認めた居宅要介護者について、介護老人保健施設、病院、診療所などに通わせ、その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行うサービスをいいます。


▢ 46.短期入所生活介護の対象は、一時的に居宅での日常生活に支障がある要介護者です。


短期入所生活介護(ショートステイ)は、①利用者の心身状況、②利用者の家族の疾病、冠婚葬祭、出張等、③利用者の家族の身体・精神的負担により、一時的に居宅において日常生活を営むのに支障がある要介護者を対象としています。短期入所生活介護計画は、概ね4日間以上継続して短期入所する利用者に対して作成されます。


▢ 47.特定施設入居者生活介護では、介護支援専門員である計画作成担当者を配置します。


特定施設とは、有料老人ホーム、軽費老人ホーム、養護老人ホームをいいます。特定施設では、介護支援専門員である計画作成担当者を配置しなければならない。


▢ 48.福祉用具貸与とは、厚生労働大臣が定める福祉用具のレンタルサービスをいいます。


福祉用具貸与では、要支援・要介護認定を受けた者が、できる限り居宅で自立した日常生活ができるよう、厚生労働大臣が定める福祉用具を貸与(レンタル)します。
●福祉用具貸与の対象種目 13種目
①車いす ②車いす付属品 ③特殊寝台
④特殊寝台付属品 ⑤手すり ⑥床ずれ防止用具
⑦体位変換器 ⑧歩行器 ⑨スロープ
⑩歩行補助杖 ⑪認知症老人徘徊感知機器
⑫移動用リフト(つり具部分除く) ⑬自動排泄処理装置


▢ 49.特定福祉用具販売とは、福祉用具のうち入浴または排泄に使用するものの販売です。


福祉用具のうち、入浴や排泄に用いられるなど、貸与になじまないものを販売します。
特定福祉用具販売の対象種目5種目
①腰掛便座
②自動排泄処理装置の交換可能部品
③簡易浴槽
④入浴補助用具
⑤移動用リフトのつり具部分


▢ 50.福祉用具サービスを利用する際には、福祉用具サービス計画を作成します。


福祉用具サービス計画は、福祉用具専門相談員が作成します。
福祉用具貸与の場合には福祉用具貸与計画を作成し、特定福祉用具販売の場合には特定福祉用具販売計画を作成します。利用者が福祉用具貸与と特定福祉用具販売を両方利用している場合には、双方の計画を一体のものとして作成しなければならない。


▢ 51.小規模多機能型居宅介護事業所には、介護支援専門員が配置されます。


小規模多機能型居宅介護は、居宅要介護者に対して、通いサービス、訪問サービス、短期宿泊サービスを適切に組み合わせて提供する地域密着型サービスです。小規模多機能型居宅介護事業所には、小規模多機能型居宅介護計画や居宅サービス計画を作成するため、介護支援専門員が配置されます。


▢ 52.定期巡回・随時対応型訪問介護看護と複合型サービスが地域密着型サービスに創設された。


医療的ケアが必要な重度の要介護者に介護と看護を一体的に提供して在宅生活を支えるサービス。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、定期巡回と随時対応を組み合わせて行います。また、複合型サービスは、小規模多機能型居宅介護と訪問看護を組み合わせて提供します。


▢ 53.介護老人保健施設では、通所リハビリテーション等の提供も可能です。


介護老人保健施設は、開設時に都道府県知事の許可を受ける必要があります。介護老人保健施設では、通所リハビリテーション等の提供も可能です。介護保健施設サービスは、計画担当介護支援専門員が作成する施設サービス計画に基づき提供されます。


▢ 54.介護保険の施設サービスを受けられるのは、要介護者に限られています。


介護保険施設が提供する施設サービスには、介護福祉施設サービスと介護保健施設サービスがあります。なお、これまで介護保険施設に位置付けられていた介護療養型医療施設は、2011(平成23)年度末に廃止され、既存の施設については2017(平成29)年度末までの猶予(経過措置)が認められています。既存の施設については従前の規定が適用されます。


▢ 55.介護保険施設では施設サービス計画に基づいてサービスが提供されます。


介護保険施設では、施設サービス計画に基づいてサービスが提供されます。介護支援専門員が各入所者のニーズをとらえ、各人にふさわしい計画原案を作成します。本人の同意を文書によって得たうえで決定します。


▢ 56.施設入所をするかは、本人の意思を尊重します。


援助の基本は利用者の自己選択。自己決定である。施設入所については、周囲はそれが最良であると考えても、本人にとっては、生活がまったく変わってしまう重大な決定です。助言をしつつ、本人の意思を尊重することが大切です。


▢ 57.利用者の今までの生活習慣を尊重します。


施設は集団生活の場であるので、利用者の今までの生活習慣をそのまま続けることは困難です。しかし、個人の尊厳を守るため、生活習慣など利用者の「生き方」を最大限尊重した支援をすることが大切です。


▢ 58.夜間対応型訪問介護は、3種類のサービスを一括して提供する地域密着型サービスです。


夜間対応型訪問介護は、定期巡回サービス、オペレーションセンターサービス、随時訪問サービスを一括して提供する地域密着型サービスです。サービス提供時間は、夜間対応型訪問介護事業所ごとに設定することができるが、最低限22時から翌朝6時までの間は含めなければならない。


▢ 59.認知症対応型共同生活介護の共同生活住居の入居定員は、5人以上9人以下です。


認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)には、 1つまたは2つの共同生活住居を設ける。共同生活住居には、居室、居間、食堂、台所、浴室、消火設備などの設備を整備する必要があります。
1居室の定員は、原則として1人であるが、利用者の処遇上必要と認められる場合には2人とすることができます。


介護実践における連携


▢ 60.効率的な支援を行うため、チームを組んで介護を行います。


介護記録の共有、ケアカンファレンス等を行い、利用者について共通認識のもと、医師の指示に基づき、医療関係者や教育関係者、ボランティア等と連携しチームを組んで支援していきます。
チームを組むことにより、サービスの重複、必要なサービスが行われないなどの過不足をなくし、効率的な支援を行うことができます。


▢ 61.チームアプローチでは、介護従事者以外との連携も必要となります。


チームアプローチでは、医療関係者、福祉サービス関係者などのさまざまな職種との連携が必要となります。
医療関係者
医師、看護師、保健師、歯科医師、薬剤師、栄養士、放射線技師、臨床検査技師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士、義肢装具士等
福祉サービス関係者
介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員、ケースワーカー、ホームヘルパー、民生委員、ボランティア等


▢ 62.臨床心理士、障害者職業カウンセラーは国家資格ではない。


臨床心理士は、財団法人の日本臨床心理士資格認定協会の審査による民間資格で、心理判定や心理療法などを行います。
障害者職業カウンセラーは、地域障害者職業センターに配置される専門職です。地域障害者職業センターは、障害者の雇用支援のために「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づいて設置されます。


▢ 63.理学療法士は、主に基本的動作能力の回復を図るため、理学療法を行います。


リハビリテーション関係専門職の主な業務
理学療法士(PT)は、医師の指示のもと、身体機能に障害のある人に対し、主に基本的動作能力の回復を図るため、治療体操などの運動、電気刺激、マッサージ、温熱などの理学療法を行う。
作業療法士(OT)は、医師の指示のもと、身体機能や精神機能に障害のある人に対し、主に応用的動作能力や社会適応能力の回復を図るため、手芸や工作などの作業療法を行う。
言語聴覚士は、医師または歯科医師の指示のもと、診療の補助として、音声機能、言語機能、聴覚に障害のある人に対し、嚥下訓練や人工内耳の調整など、機能の維持・向上を図るための訓練 検査・助言などを行う。
義肢装具士は、医師の指示のもと、主に石膏包帯(ギプス包帯)などを使用して、立体的に身体の型をとる方法(採型)や、身体の輪郭をトレースし寸法を記録する方法(採寸)で、義肢・装具の型をとり、製作し、身体に合わせることを行う。
視能訓練士は、医師の指示のもと、視能検査を行うとともに、斜視や弱視の障
害を持つ者に対し、視機能向上のために訓練治療を行う。
精神保健福祉士は、精神機能に障害がある人の生活問題や社会問題の解決のための援助や、社会復帰を支援するために、本人とその家族に対し、相談援助を行う。主治医の意見を聞き、指導を受けるが、医師の指示によって業務を行うものではない。


▢ 64.地域での自立生活のためには、地域支援ネットワークが重要です。


利用者が地域で自立して生活するためには、生活のあらゆる面をサポートする体制を整えることが必要です。そのためには、行政や事業所などによるフォーマルサービスだけでなく、親戚・知人・近隣、ボランティアなどによるインフォーマルサポートも含め、利用者を取り巻く地域支援のネットワーク(ソーシャル・サポート・ネットワーク)ができていることが望ましい。


▢ 65.介護予防として、中核機関として、地域包括支援センターが創設されました。


2006(平成18)年4月に改正・施行された介護保険法に基づいて創設された地域包括支援センターは、市町村が設置し、地域支援事業を市町村から受託しています。主に包括的支援事業を実施しており、地域のネットワークの中核的存在でもあります。


介護現場の安全管理領域


▢ 66.利用者の安全確保のため、利用者を観察し状況を把握する技能が必要となります。


介護従事者は、自分の五感を使って利用者の状況を観察し、利用者に異常を発見した場合、状況に応じて医療関係者等に連絡・相談します。医療の専門家ではないので勝手に判断しない。


観察ポイント
皮膚の観察は、乾燥の状態、発赤など褥瘡の兆候
脱水症状は、肌、唇、舌、腋窩の乾き
嚥下の確認は、むせる、苦しそうな表情をする、いつもと違う音がするときは誤嚥を疑う
尿量は、水分摂取量と尿量に注意する
呼吸数と呼吸の状況は、成人の標準呼吸回数は、1分間に15~20回。呼吸の辛さの有無、安定度、喘鳴に注意
体温は、成人の体温は腋の下(腋窩)体温で36~37℃程度。35℃ 以下で低体温となる
脈拍は、成人の通常脈拍は1分間で60~80回程度。90~100以上が頻脈、50以下が徐脈、乱れがある場合は不整脈
血圧は、正常は最高血圧140mmHg未満、最低血圧90mmHg未満
精神的変化は、うつ状態と認知機能の低下に注意


▢ 67.薬の使用を勝手に中止してはいけません。


降圧剤や抗精神病薬は一定量を継続して服用することが必要なので、調子がよいからといって服薬をやめることは危険です。


▢ 68.インフルエンザでは、全身の倦怠感が強い。


インフルエンザは、全身倦怠感のほか、高熱、関節の痛みなどの症状が出ます。高齢者等の免疫力が低下した患者の場合は重い症状になることが多い。感染力が強いので院内感染等に注意が必要です。


▢ 69.ノロウイルスによる食中毒は、冬に発生しやすい。


ノロウイルスによる食中毒は、夏よりも冬に多く発生する二枚貝などを十分加熱しない場合に起こりやすい。患者の吐瀉物や便等の排泄物から二次感染を起こすので注意が必要です。


▢ 70.利用者の感染症予防を図り、介護従事者自身が感染源とならないようにします。


利用者は免疫力・抵抗力が低下していることが多い。そのため、感染しやすいので、介護従事者は利用者の感染予防のために、清潔や湿度・温度などの環境に配慮します。それと同時に、介護従事者自身が感染の媒体とならないように、手洗い・うがい、マスク・エプロン・手袋の着用を励行し、自分自身も感染症予防を心がけます。


▢ 71.転倒・転落事故は、家庭内における高齢者の死亡の主な原因の1つです。


転倒・転落事故は、高齢者の家庭内の不慮の事故による死亡の主な原因の1つです。床の段差解消、手すりの設置、階段に滑り止め設置、浴槽内に滑り止めマット等の設置が有効です。また、誤嚥の事故も多く、利用者が確実に飲食できる介護が必要です。緊急時には、慌てず、冷静な対応をすることが大切です。


▢ 72.介護従事者は、自分自身の心と身体の調子を整えることが必要です。


介護従事者の健康管理の基本は、腰痛などの予防のため、負担の少ない筋肉の使い方(ボディメカニクス)をする。筋力を鍛えるよう心がける。十分な睡眠と休養をとる。ストレスをうまく解消する。栄養バランスのとれた食事を摂る。規則正しい生活を心がける。定期的に健康診断を受ける。


▢ 73.従業員が50人以上の職場には、衛生管理者や産業医の配置が義務付けられています。


労働安全衛生法では、事業者に対して職場の安全と衛生を確保するための体制づくりを義務付けています。


介護従事者の倫理


▢ 74.『日本介護福祉士会倫理綱領』に、介護福祉士としての倫理観が明記されています。


日本介護福祉士会倫理綱領
前文
私たち介護福祉士は、介護福祉二―ズを有するすべての人々が、住み慣れた地域において安心して老いることができ、そして暮らし続けていくことのできる社会の実現を願っています。
そのため、私たち日本介護福祉士会は、一人ひとりの心豊かな暮らしを支える介護福祉の専門職として、ここに倫理綱領を定め、自らの専門的知識・技術及び倫理的自覚をもって最善の介護福祉サービスの提供に努めます。
(利用者本位、自立支援)
1.介護福祉士は、すべての人々の基本的人権を擁護し、一人ひとりの住民が心豊かな暮らしと老後が送れるよう利用者本位の立場から自己決定を最大限尊重し、自立に向けた介護福祉サービスを提供していきます。
(専門的サービスの提供)
2.介護福祉士は、常に専門的知識・技術の研鑽に励むとともに、豊かな感性と的確な判断力を培い、深い洞察力をもって専門的サービスの提供に努めます。
また、介護福祉士は、介護福祉サービスの質的向上に努め、自己の実施した介護福祉サービスについては、常に専門職としての責任を負います。
(プライバシーの保護)
3.介護福祉士は、プライバシーを保護するため、職務上知り得た個人の情報を守ります。
(総合的サービスの提供と積極的な連携、協力)
4.介護福祉士は、利用者に最適なサービスを総合的に提供していくため、福祉、医療、保健その他関連する業務に従事する者と積極的な連携を図り、協力して行動します。
(利用者ニーズの代弁)
5.介護福祉士は、暮らしを支える視点から利用者の真のニーズを受けとめ、それを代弁していくことも重要な役割であると確認したうえで、考え、行動します。
(地域福祉の推進)
6.介護福祉士は、地域において生じる介護問題を解決していくために、専門職として常に積極的な態度で住民と接し、介護問題に対する深い理解が得られるよう努めるとともに、その介護力の強化に協力していきます。
(後継者の育成)
7.介護福祉士は、すべての人々が将来にわたり安心して質の高い介護を受ける権利を享受できるよう、介護福祉士に関する教育水準の向上と後継者の育成に力を注ぎます。


▢ 75.利用者一人ひとりの生き方を尊重します。


社会福祉法において福祉サービスの基本的理念として規定されているように、介護従事者には、個人の尊厳を尊重することが求められます。具体的には、利用者自身の生き方・生活の方法を尊重した介護を行うことが必要です。


▢ 76.利用者の自立した生活の実現を積極的に支援します。


利用者が、可能な限り、その人らしい自立した生活を送ることができるように、日常生活動作(ADL)の自立と生活の質(QOL)の向上を支援します。そのためには、利用者の価値観やニーズを把握するように努めることが大切です。


▢ 77.利用者の自己選択、自己決定を尊重します。


『日本介護福祉士会倫理綱領』では、介護福祉士は利用者本位の立場から「自己決定を最大限尊重」する、と言明しています。


▢ 78.自分の価値観で利用者を批判してはならない。


利用者の「その人らしい生活」を支援することが、介護従事者の基本です。したがって、利用者自身の価値観に沿った支援が求められるのであって、介護従事者の価値観をもとに利用者を批判」するなどの価値観の押し付けはしてはならない。


▢ 79.利用者の身体機能の維持・改善、精神活動の向上に努めます。


介護従事者は、利用者の自立した生活のために身体機能の維持・改善を支援すること、さらにその人らしい質の高い生活のために、精神活動の向上をサポートすることが必要です。


▢ 80.たとえ重度の障害があっても、利用者の社会参加を促します。


障害者基本法の理念にもあるように、福祉従事者は障害者の自立と社会参加を支援することが大切です。利用者に重度の障害がある場合には、社会参加をするためにはさまざまなバリアが存在するが、利用者本人の自己実現に向けて社会参加を支援します。


▢ 81.優しさだけでなく、専門的知識・技術が必要です。


介護従事者には基本として優しさが求められるが、それだけでは不十分です。『日本介護福祉士会倫理綱領』の前文にもあるように、介護福祉士は、介護福祉の専門職として、専門的知識・専門的技術・倫理的自覚をもってサービスを提供すべきです。


▢ 82.家族が利用者と精神的な関わり合いをもてるように支援します。


家族介護者にかかる介護負担は相当大きいものとなっています。
介護従事者は、家族介護者の心情を理解し、アドバイスをすることで、家族の精神的な負担感を軽くし、家族が利用者と精神的に関われる余裕をもてるように支援します。


▢ 83.スーパービジョンの機能には、教育的機能、管理的機能、支持的(援助的)機能があります。


介護従事者は、専門職としての知識、技術、価値について各々で研鑽を積むことが大切です。さらに問題を一人で抱えこまず、スーパービジョンによって熟練の専門職から教育的な指導を受け、自分では気づかなかったことに気づき能力を向上させるとともに、介護業務に対して意欲を高めることが大切です。


▢ 84.初回訪問時の言葉や表情が利用者との関係に影響します。


初めて利用者と接したときに、信頼関係(ラポール)の構築につながる印象を与えられるか、不信感をもたれるかによって、その後の支援関係は異なってきます。初回訪問においては、利用者のニーズや心情を受け止め、理解するように努めます。自立生活の支援を行うためには、利用者がどこまで自分でできるのかを確認し、利用者の残存機能を引き出す支援をします。


▢ 85.主治医と相談する場合、本人の同意を得ます。


あくまで利用者の意思を尊重すること。介護従事者の独りよがりではいけないのです。支援は利用者本人の意思を尊重することが基本です。医師や医療関係者との連携が必要な場合には、介護従事者や行政が決定するのではなく、利用者や家族の同意を得ます。


▢ 86.利用者の権利を擁護する仕組みとして、成年後見制度や苦情解決制度などがあります。


認知症高齢者など、サービスの利用に不利が生じる可能性のある利用者のため、成年後見制度や苦情解決制度などが整備されています。


▢ 87.個人情報保護に関する法律が施行され、ガイドラインが示されました。


利用者の個人情報を適切かつ安全に管理し、外部からの不正アクセス、不正使用、紛失、破壊、改ざん、漏洩等を予防し、個人情報を第三者へ提供する場合、利用者からの同意があった場合を除き、個人の識別や特定ができない形式に変更するなどのガイドラインが示されています。







5 介護福祉士


コミュニケーションの基本


▢ 1.情報の伝達は、コミュニケーションの基本的な機能です。


コミュニケーションには、情報の伝達、双方向の意思の交流、人と人とのつながりを生む、エンパワメントを促すという4点の役割があります。


▢ 2.円滑にコミュニケーションを図るためには、信頼関係(ラポール)を築くことが大切です。


利用者を支援するためには、利用者とよいコミュニケーションをとり、利用者を理解することが欠かせない。そのためには利用者との間に信頼関係(ラポール)を築く必要があり、その土台となるのは利用者の介護従事者に対する安心感です。利用者の訴えを傾聴し、十分なコミュニケーションを図ることで利用者のニーズを把握することができます。


▢ 3.介護職は、利用者の非言語的コミュニケーションにも注目します。


利用者の理解のためには、非言語的コミュニケーションが重要となります。利用者のしぐさや表情、まなざし、語調などの非言語的コミュニケーションを観察することによって、利用者の心の声を聞き取る努力をすることが大切です。


▢ 4.イーガンは、利用者への関心を表す態度を「SOLER」としてまとめました。


イーガンの5つの基本動作(SOLER)
S Squarelyは、利用者とまっすぐ向き合う姿勢
O 0penは、利用者に対して開いた姿勢をとる
L Leanは、利用者のほうに少し身体を傾ける
E Eye Contactは、適度に利用者と目を合わせる
R Relaxedは、リラックスして話を聴く


▢ 5.イーガンは、共感の技法を第1次共感と第2次共感の2つのレベルに区分しました。


利用者の言葉の意味するところ、また、さらにその奥にある気持ちを理解しようとすることが大切です。イーガンは、相手の言葉から、その人の感情とその感情の原因をとらえ、相手に返す共感を第1次共感の技法(応答の技法)とし、相手の言葉の奥に隠れている感情とその背景となっている事柄を感じ取り、それを的確な言葉で表現する共感を第2次共感の技法としました。


▢ 6.共感を基礎として、相手の意見を明確にし、言い換え、焦点化、要約をします。


会話を1つの方向へまとめるための主な技法として、明確化、言い換え、焦点化、要約があります。これらの技法によって、話が整理され、利用者の考えや疑問が明らかになります。そのうえで利用者や家族が問題に直面して自分の問題としてどうすべきか取り組めるように促します。こうした働きかけの結果として、利用者や家族の同意が得られるだけでなく、介護従事者が伝えたいことを理解してもらうことができます。


▢ 7.援助関係はバイスティックの7原則を心がけます。


バイスティックの7原則とは、援助関係における最も基本的な原則です。
1.個別化は、ほかの誰でもない、利用者その人のさまざまな事情を尊重する
2.自己決定は、決定するのは利用者本人である。援助者は利用者自身が決定できるように支援をする。
3.受容は、利用者の言動や態度をそのまま受け入れること
4.非審判的態度は、利用者の価値観を尊重する。援助者自身の価値観で利用者の行動を批判しない
5.意図的な感情表現は、利用者が自分自身の感情を率直に出すことができるように、意図的に働きかける
6.統制された情緒関与は、援助者が自分の感情を自覚しつつ、利用者の訴えや感情をくみ取り、共感をもって理解しようと努める
7.秘密保持利用者に関する情報は、本人の承諾なしには他者に知らせない


コミュニケーション技法の活用


▢ 8.尋問のような質問をしない。


利用者から必要な情報を性急に聞き出そうとすると、クローズド・クエスチョンばかりの尋問のような問いかけになりがちです。それでは、利用者が心を閉じてしまうので注意します。


▢ 9.話し方に障害がある利用者の場合も、じっくり話を聴く


利用者が言語障害などのために話がたどたどしいような場合でも、先回りせずに、理解しようとじっくりと話を聴くことが大切です。それが利用者の自尊心を尊重することになり、介護従事者への信頼につながります。また、利用者にとって、格好のリハビリテーションにもなります。


▢ 10.視覚障害のある利用者とは、聴覚機能や触覚機能を活用してコミュニケーションを図ります。


利用者の視覚機能に障害がある場合は、目だけでは十分に得られない情報を、音声情報や触覚で得られる情報で補います。状況をクロックポジションで説明したり、視覚障害者用拡大読書器や点字の使用で文字情報を提供するとよい。言語的コミュニケーションは取れるが、非言語的コミュニケーションは十分取れないため、介護従事者は言葉によって表現できるよう留意します。
点字器、点字ディスプレイ、点字図書などは、日常生活用具の給付対象品目となっています。ただし、点字の習得は容易ではないため、中途障害者支援には点字が有効でないこともあります。


日常生活用具の給付対象品目例
点字ディスプレイ、点字器、点字タイプライター、視覚障害者用ポータブルレコーダー、視覚障害者用活字文書読み上げ装置、視覚障害者用拡大読書器、盲人用時計、視覚障害者用ワードプロセッサー(共同利用)、点字図書


▢ 11.中途失聴者では、手話によるコミュニケーションは難しい。


手話を習得するには、相当な訓練が必要で、中途失聴者が使いこなすのは困難なことがあります。その場合は、一度習熟している文字を用いたコミュニケーションである筆談や要約筆記を用いたほうが、正確なコミュニケーションをとりやすい。


▢ 12.中途失聴者でも、簡単な読話はできるようになります。


読話は、話している相手の国の動きや表情から話を読み取るもので、読み取れるようになるまでには訓練が必要であり、またすべてを読み取れるものではない。しかし、中途失聴者でも、訓練すれば簡単な読話はできるようになります


▢ 13.高齢者の難聴の兆候の1つに、耳鳴りを訴えるということがあります。


高齢者の難聴の兆候には、聴いているテレビの音が大きくなります。後ろから声をかけても振り返らない、会話でつじつまの合わないことを言う、耳鳴りを訴えるなどがあります。


▢ 14.失語症の種類に合わせ、コミュニケーション方法を工夫します。


失語症の種類
運動性失語は、聴く内容は理解できるが、話すことは流暢でなく、復唱が上手くできない。漢字の読み書きはできるが仮名を間違えやすい。
感覚性失語症は、聴く内容が理解できない。流暢に話すが、支離滅裂で、何を言っているか全くわからないこともある(ジャーゴン)。復唱は困難である。読み誤りに気づかない、書き誤りが甚だしい。
全失語は、すべての言語機能が障害される。
失名詞(失名辞)失語は、聴くことを理解し、流暢に話し、復唱も良好であるが、事物の名前が出てこない。
伝導失語は、聴くことを理解し読解も良好である。復唱が困難で、言い間違いが多いが自分で直そうとする。


▢ 15.失語症では五十音表の使用は有効でない。


失語症は、脳の言語領域が機能低下しているので、ふさわしい言葉そのものを思い出すことができなくなっています。したがって、五十音表を用いて意思疎通を図ることは有効ではない。五十音表が有効なのは構音障害の場合です。


▢ 16.重度の失語症の人には「はい」「いいえ」で答える質問がよい。


失語症の利用者とのコミュニケーションのためには、わかりやすい言葉を用いる、ゆっくりと話すなどの工夫が必要です。また、オープン・クエスチョンよりもクローズド・クエスチョンを用い、簡単な言葉で答えられる質問にするほうが有効です。また非言語的なメッセージも重要です。


記録・報告・会議


▢ 17.記録の保管は利用者のプライバシーの保護を心がけます。


個人情報を保護することは非常に重要です。介護記録には、利用者のプライバシーに関わる情報が多く記載されているので、管理には十分に注意を払い、関係者以外が持ち出すことのないようにします。なお、介護記録を記入する際は、通常、ボールペンを用い、記録は、介護の完結の日から2年間保存します。


▢ 18.報告は、相手がしっかりと把握できるように客観的な事実を正確に伝えます。


報告は、「誰が、いつ、どこで、何があった」という客観的な事実を正確かつ簡潔に伝える必要があります。
報告する際に、自分の考えや推測などを交えてしまうと、報告する相手がその状況などを十分に把握することはできません。自分の考えや推測を伝える必要がある場合には、報告内容と区別します。


▢ 19.記録の内容は時間・場所・原因・状態などを記す。


複数の介護従事者によるサービス提供には、すべての介護従事者がチームとして共通認識をもつことが必要なので、記録の共有が役立ちます。記録内容は、事実をありのままに記載することが大切です。客観的で冷静な態度で、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どうした」の5W1Hを踏まえて記録します。主観的な書き方では他の関係者に理解できないので避けるべきです。文体としては、叙述体、逐語体、要約体、説明体があります。


▢ 20.ケアカンファレンスは、本人の意向や希望を踏まえて参加メンバーが知識と技術と経験知を集結し、より良いケアについて考える場です。


ケアカンファレンス参加における留意事項
1.事前に資料を読み、疑問点や自分の考えをまとめておく。
2.事例提供者に対して、批判したり、悪いところの指摘ばかりをしたりしない。
3.事例についての情報を共有できるよう努める。
4.参加者が専門職としてもつ知識・経験・技術などを集結する

6 介護福祉士


介護支援の概要


▢ 1.その人らしい、尊厳のある生活を営むため、多岐にわたる側面の充実が求められます。


生活には、ADL(日常生活動作)と呼ばれる、整容・更衣・移動・食事・排泄・入浴などを行う生活上の基本的な営みと、IADL(手段的日常生活動作)によって実現が可能な、家事、社会参加、人間関係の維持・構築、経済活動、文化活動などの社会的な営みがあります。利用者の自己実現に向けた生活のため、生きがいをもてるよう支援します。


▢ 2.ICF(国際生活機能分類)の視点に立ち、生活機能が向上するよう生活支援を行います。


ICFモデルの視点から、「身体的不利がある」というところから出発するのではなく、「心身機能や身体構造が健康状態や環境、活動、参加との関係でうまく機能していない状態である」と考えます。うまく機能させるためには、心身機能や身体構造と相互に作用するよう有効な働きかけが必要であり、それによって利用者がその人らしい、自立した生活を営むことができます。


▢ 3.利用者に社会的役割・生きがいを与えるような支援をします。


社会的役割を自覚することができないと、日常生活が無気力になりやすい。介護従事者は、利用者が積極的に社会参加し、レクリエーションや趣味などの活動を通して生きがいを感じて生活できるよう支援します。


▢ 4.食事や住環境を利用者が楽しめるように援助します。


介護従事者には、日常生活行為だけでなく、利用者の生活全般を支援することが求められます。したがって、食事もただ食べさせればよいのではなく、利用者の好みに合い、栄養的にもバランスが取れ、食事の雰囲気を楽しめるものにすることが大切です。住環境についても利用者の居心地のよさを大切にします。


▢ 5.住環境整備では、バリアフリー、ユニバーサルデザインの考え方が大切です。


住環境整備によって、利用者の身体的状況に応じた環境を確保します。整備のポイントとして、転倒・転落などの事故の防止、ADLが自立しやすいような支援、社会参加を支援、福祉用具を使いやすい環境にする、特に施設においてはプライバシーに配慮することなどが挙げられます。


▢ 6.トイレや浴室のドアは、開き戸より引き戸や折れ戸がよい。


トイレや浴室のドアが内開きの開き戸であると、利用者が中で転倒してしまったような場合に、利用者の身体がつかえてドアを開けられないことがあります。また、開き戸よりも引き戸のほうが操作が楽で車いすにも対応しやすいので、 トイレや浴室のドアは引き戸や折れ戸がよい。


▢ 7.生活空間とは、利用者が生活を営む場のことです。


安全で心地よい生活の場をつくるためのポイント
居室は、1階にあること、トイレ・浴室・洗面所が近いこと、寝食分離や家族とのだんらんがしやすいこと、外出しやすいこと、ベッドの高さは介護の場合65cm程度、利用者が動ける場合は40~45cm程度であること。
玄関は、扉が引き戸であること、車いすを使う場合などでは段差がないこと、手すりなどつかまるところがあること、上り框が高くなく、段差がわかりやすいこと、床が滑りにくいこと、足元灯があり、十分な照明があること、靴を履くためのいすがあること、車いすを使う場合などに、十分な広さがあること。
廊下は、手すりなどつかまるところがあること、床が滑りにくいこと、足元灯があり、十分な照明があること、段差がないこと。
階段は、勾配が緩やかなこと(30~35度くらい)、踏面に26~30cmの奥行きがあり、蹴上げは15~18cmの高さがあること、手すりがあること(片麻痺の場合には降りるときに健側になるように設置)、足元灯があること、階段の上と下に照明のスイッチがあること、滑り止めがあること、滑りにくい床材であること。
トイレは、居室に近いこと、居室からトイレまで手すりなどつかまるところがあること、洋式トイレであること、便座の高さが身体に合っていること、座る・立つ動作をしやすい位置に手すりがあること、室温を暖かく保てること、流水レバーが使いやすいこと、ドアが内開きでないこと。
浴室は、滑りにくい床材であること、換気しやすいこと、室温を暖かく保てること、入浴用いす(シャワーチェア)、バスボードなどが利用できること、出入り口や浴槽への出入り口、浴槽内などに手すりがあること、浴槽のふちが高すぎないこと(床から40cm程度)。


▢ 8.部屋を冷房するときは外気との差を5℃以内にする。


居室の温度と外気の差が大きすぎると、外出時などに身体が適応できず体調を崩しやすい。したがって、暑い時期であっても、外気との温度差は5℃以内に抑えることが望ましい。また、冷気は床にとどまるので、足元が冷えないようにします。


▢ 9.要介護の悪化や転居した場合には、住宅改修費の給付を再度受け付けることが出来ます。


過去に支給限度基準額まで住宅改修費の給付を受けていても、要介護者の要介護度が3段階以上重度になった場合や、転居した居宅に住宅改修が必要な場合には、再度、給付を受けられます。


▢ 10.ハウスダストはアレルギー疾患の原因になります。


ハウスダストに含まれるほこりやダニはアレルギー疾患の原因になることがあります。予防のためには、清掃・換気をよくし、室内を適度な湿度に保ち、清潔を保持することを心がけます。


▢ 11.洗面所・浴室・トイレは利用者の居室に隣接していることが望ましい。


洗面所・浴室・トイレは、生活上必ず使うところであるため、利用者の居室に隣接し、移動に時間と労力がかからないことが望ましい。


▢ 12.住宅改修費の支給は、事前申請制を採用しています。


住宅改修費の支給を受けるには、住宅改修を行う前に住宅改修費支給申請書、住宅改修が必要な理由書、工事費見積書などの必要書類を市町村に申請します。
住宅改修費対象工事は、手すりの取り付け、段差解消、床材の変更、扉の取替え、便器の取替えに大別されます。また、扉の取替えに伴う壁や柱の改修工事も支給対象となります。


▢ 13.福祉用具は利用者の自立を支援し、介護従事者の負担も軽減します。


福祉用具を使えば、利用者はそれまでは介助されていた動作の中で自分でできることが増え、介護従事者の負担も軽減します。つまり、福祉用具は利用者の自立を支援すると同時に、介護従事者の介護負担も軽減します。


▢ 14.福祉用具には、機能訓練の用具や補装具も含まれます。


福祉用具には、高齢者や障害者の日常生活上の便宜を図るための用具、機能訓練のための用具及び補装具などがあります。


▢ 15.関節に拘縮や痛みがある場合、補高便座を用います。


関節リウマチなどのために関節に拘縮や痛みがある場合には、便座の上に補高便座を置いて便座の高さを調節し、立つ・座るといった動作を楽にします。


▢ 16.歩行が不安定な場合、夜間のみポータブルトイレを使うこともあります。


ポータブルトイレは、利用者が、尿意・便意があり移動できるものの、歩行が不安定な場合などに用いる。特に居室からトイレが遠いような場合、転倒防止のため夜間のみ使用することもあります。


▢ 17.褥瘡予防用のマットレスなどを適宜用います。


褥療の予防には、肌触りがよく縫い目が触らない寝巻きを選ぶ、通気性のよい敷物を選びしわを作らない、布団を干すなどを行うが、十分でない場合には、褥瘡予防用のマットレスなどを用います。


▢ 18.福祉用具・介護用品の導入は利用者・家族が決定します。


介護従事者から見て、福祉用具や介護用品の導入が適切と考えられる場合でも、決定するのは利用者本人です。介護従事者は、効果的で使い勝手がよい用具の情報を提供します。


▢ 19.移動用リフトのつり具部分は、特定福祉用具販売の対象となります。


つり具部分を除く、移動用リフトは福祉用具貸与の対象となります。移動用リフトの1つである階段移動用リフトは、電動モーターで階段や段差を昇降できます。住宅改修が困難なエレベーターのない集合住宅などに居住する要介護者を対象としています。


▢ 20.身じたくとは、洗顔、歯磨き、整髪、着替え、化粧など、身なりを整えることです。


身じたくは、その人らしい健康な生き方のために欠かせないものであり、社会参加の準備、生活のリズムづくり、自己表現、清潔保持、体温調節などの役割があります。身じたくにより社会的な生活が送れるようになり、また、生活リズムを整え、適当な体温や衛生状態にすることで、より快適な生活を過ごすことができます。


▢ 21.身じたくに関するアセスメントにおいてもICFモデルが役立つ。


身じたくという行動は、ICFモデルにおいては生活機能の活動にあたります。健康状態、心身機能・身体構造、参加、環境因子や個人因子と相互に関係するため、総合的に評価することが必要です。


▢ 22.整容介助では、ICFモデルを用いた身じたくのアセスメントを基本とします。


整容とは、洗面、ひげそり、化粧、爪切り、洗髪、整髪など姿を整えることです。整容介助では、ICFモデルを用いた身じたくのアセスメントを基本に、利用者の身体状況、精神状況、ADL、環境などをよく観察・評価し、対応します。整容を積極的に行うか否かは生活意欲の程度を表します。


▢ 23.洗髪の介助では、爪を立てずに指の腹で頭皮をマッサージしながら洗います。


爪を立てマッサージをすることによって、爪で傷められた頭皮は乾燥して、ふけや痒みの原因になることから、爪を立てずに指の腹で頭皮をマッサージしながら洗います。また、洗髪前にブラッシングをすることによって、地肌の汚れを浮かせ、頭皮の血行も良くなり、髪のからみも取ることができます。


▢ 24.義歯の手入れは、歯ブラシと流水で洗い、水か専用の洗浄剤につけます。


義歯の変形や摩耗を防ぐため、歯磨き剤、漂白剤や熱湯は使わないようにします。


▢ 25.片麻痺の人には、麻痺側から着せ、健側から脱がせます。


片麻痺の利用者に衣類を着せるときは、麻痺側は身体が自由に動かないのであるから、衣類のほうを自由に動かすようにします。したがって、着せるときは、まず麻痺側から行う(着患)。
健側は身体が自由に動くので、衣類に麻痺側の手や足が入って、固定されても、問題なく着られます。かぶりの場合は、その後、頭を通す。脱ぐときは逆で、まず健側を脱がせ(脱健)、衣類が自由に動くようになってから麻痺側を脱がせる。「脱健着患の原則」。


▢ 26.寝たきりの利用者には、背縫いのない寝巻きを選ぶ。


寝たきりの利用者の場合、褥瘡を予防することが大切です。背縫いのある寝巻きでは、縫い目に身体の重みがかかり、皮膚がすれて褥瘡になるおそれがあるので避けます。


▢ 27.寝たきりの場合は前開きの寝巻きが着脱しやすい。


利用者が寝たきりの場合は、かぶり式よりも前開きの寝巻きのほうが着脱しやすい。衣類を選ぶときに、介護のしやすさを優先するべきではないが、利用者の身体への負担が少ないように配慮することは大切です。


▢ 28.衣服の選択は本人の好み・生活習慣を優先する。


何を着るかは、着る人の自己表現の1つです。利用者の好み、生活習慣を優先して選択します。ただし、身体状況に合わせて利用者にとって安楽な衣類であることも考慮する必要があります。


▢ 29.清潔を保つため、汚れが目立つ淡い色調の服を選びます。


汚れが目立つとこまめに着替えをするようになります。介護従事者にとっては手がかかって大変であるが、清潔を保つためには汚れに気づきやすい淡い色調の服を選ぶことが望ましい。


▢ 30.下着には綿や絹が適しています。


綿や絹などの天然素材は、吸湿性と通気性に優れているので、下着として用いると、皮膚の不感蒸泄(汗をかかなくても体内から水分を排泄する機能)や発汗の作用を助けます。


▢ 31.車いす利用も、外出時には靴を履いたほうがよい。


たとえ車いすで移動しているために足を地面に下ろすことがない場合でも、足を保護するため、また、利用者の社会性のためにも靴を履くことが望ましい。


▢ 32.活動範囲が広いことは、利用者の生活の広がりを意味します。


食べる、寝る、排泄するなどの生理的な行為、身じたくや社会参加などの社会的な行為のいずれも移動を伴います。移動可能な範囲が広く、自立しているほど活動範囲が広い。活動範囲が広いことは、利用者の生活の広がりを意味し、利用者の生活がより豊かになるといえます。移動(体位変換を含む)は下肢筋力の低下や、廃用症候群(生活不活発病)、褥瘡などの予防にもなります。


▢ 33.適切な移動介護を行うため、アセスメントにより利用者の心身状態を把握します。


移動に介護を必要とする利用者は、その多くが麻痺や運動機能障害などの肢体不自由を抱えているが、その状況は一人ひとり異なります。ICFモデルの枠組みを活用しながらアセスメントを行う必要があります。


▢ 34.自力で寝返りができない場合、約2時間ごとの体位変換を実施し、褥瘡予防を図ります。


寝たきり状態にあるなど、自力で寝返りができない者は、褥瘡が発生しやすいことから、約2時間ごとに体位変換を行うことや、栄養管理を徹底することなどによって、褥瘡予防を図らなければならない。


▢ 35.立位にする場合は上半身を前に傾斜させます。


立位にする場合は、利用者の上半身を前に傾けると、腰から上が前方向に出るため体重の移動がスムーズになり、立ち上がりやすくなります。


▢ 36.対麻痺の利用者の車いすへの移乗介助は臀部を持ち上げます。


対麻痺で両下肢が麻痺している場合には、利用者は腕を介護従事者の肩に回し、介護従事者が利用者の臀部を持ち上げて移乗を介助します。相当の重量を支えなければならないので、ボディメカニクスを用いて、できるだけ負担を少なくするように行う。


ボディメカニクスの基本
介護従事者の身体にかかる負担を少なくし、利用者を安全・安楽に動かすための介護従事者の身体の使い方です。
1.支持基底面を広くし、重心を低くする。両足を広げ、膝を曲げて腰を下げる。
2.骨盤を安定させる。背筋を伸ばし、腹筋と臀部の筋を引き締める。
3.利用者にできるだけ近づく。利用者の重心を自分の重心に近づける。
4.身体をねじらずに、腰と肩を平行に保つ。腰痛予防になる。
5.大きい筋を使い、水平に引く。腕の筋肉だけでなく、全身の筋肉を使う。
6.てこの原理を使う。少ない力で利用者を動かすことができる。
7.利用者の身体を小さくまとめる。利用者がベッドと接触する面を小さくする。


▢ 37.車いすで砂利敷きの場所を通るときはキャスタ(前輪)を上げる。


車いすで外出する際には、道路面が不整備であると利用者は振動を受けて不快です。砂利敷きの場所を通るときには、介護従事者は車いすのティッピングレバーを踏んでキャスタを上げて振動が少なくなるように工夫します。車いすを動かすときには、フットサポート(フットレスト)に足がのっていることを確認します。


▢ 38.エスカレーターを下りる場合、車いすを後ろ向きにして後輪から乗る。


エスカレーターを車いすで下りるのは危険なので、原則的にはエレベーターを用いるが、必要な場合には、後ろ向きにして(利用者は後ろ方向を向く)キャスタを浮かし、後輪から乗る。介護従事者はブレーキをかけずに、車いすの後方から身体全体でしっかりと支えます。


▢ 39.車いすの移動では、短時間停止する場合でも必ずブレーキをかけます。


車いすが動いてしまうと大変危険なので、たとえ短時間の停止でも必ずブレーキをかけます。ただし、エスカレーターに乗るときには、すぐ動けるようにブレーキをかけないでおく。


▢ 40.車いすで電車を利用する際は、事前に利用する駅に連絡します。



駅にあらかじめ連絡しておくと、移動が速やかにできるように駅員が準備してくれるので、安心感と快適さが増す。


▢ 41.車いすで電車に乗るときは、電車に対して直角に向かい前向きで乗車します。


車いすで電車に乗るときには、電車の乗車口に向かつて直角に車いすを置き、ティッピングレバーを踏んでキャスタを上げて乗車口から乗せ、キャスタが車内に乗ってから後輪を押し上げて乗車します。


▢ 42.麻痺側の手指の関節は、屈曲拘縮をきたしやすいので注意します。


麻痺側の手指は、身体の内側に向けて曲がって固まりやすい。また、下肢は内側に向けてつま先立ちのような姿勢(尖足)になり拘縮が起きやすい。予防・改善には、関節を曲げ伸ばしたり回転させたりして関節可動域を維持・拡大する関節可動域運動を行う。


▢ 43.杖を使う歩行は、杖→麻痺側→健側の順に進み、介助は麻痺側から行います。


歩行するときは、健側の手に持った杖を前に出し、頼れる状態にしてから麻痺側を進め、最後に健側を引きつけて身体の安定を回復する。介助者は、患者の麻痺側に立ち、支えられるようにする。


▢ 44.片麻痺のある人が車に乗るには、健側から乗車します。


片麻痺の場合、動作が自由になるのは健側のほうであるから、健側に自動車をつけ、車いすを自動車のドアに30度くらいの角度で止める。


▢ 45.自立に向けた移動の介護では、他の職種との連携が大切となる。


居住環境整備は、介護支援専門員等の福祉関係者、医師や理学療法士等の医療関係者、建築士等の建築関係者と連携して進めることが有効です。住宅改修費の給付には介護支援専門員等による「住宅改修が必要な理由書」が必要となります。


▢ 46.食事の目的は、必要な栄養素の摂取、食事の楽しさを感じてもらうことです。


食事は、生命維持と活動のために必要な栄養素を摂取するだけでなく、生活上、大切な楽しみであり、団欒や交流の機会でもある。食事を楽しむためには、誤嚥の危険性を防止するなど、安全性への配慮も必要です。


▢ 47.より良い食事の介護に向けて、食事に関するアセスメントを多面的に行います。


ICFモデルにそって観察すべきポイントを挙げ、利用者の健康状態や生活機能などを把握します。アセスメントに基づいて、必要な栄養素が摂取できるように、利用者の生活歴・好み・文化的な背景等も考慮した食事を用意することが望ましい。また、摂取方法にも留意します。


▢ 48.食事の際は、雰囲気づくりにも配慮します。


食事介助では、食事が単なる栄養補給にならないよう、利用者が楽しめる雰囲気づくりが大切です。
食事介助のポイントは、食事前に排泄を済ませる。食事場所を整える。食事を摂りやすい体位にする。食事を摂る体勢を整える。使いやすい介護用食器を選ぶ。利用者ができるだけ自分で食べられるようにする。


▢ 49.座位が取れない人の食事介助は、ベッドを30度程度起こす。


座位が取れない利用者の場合は、誤嚥を防ぐように注意しなければならない。臥位では誤嚥の危険が高いので、身体が傾かない30度程度の角度にベッドを起こして食事介助をします。


▢ 50.顔面の片麻痺がある場合、食物残渣は麻痺側に残りやすい。


麻痺があると感覚が鈍くなり、また動作も思うようにできない。口中も同様であって、食物のくずやかけらは、麻痺側にあると感じにくく、また排出する動作もスムーズではないため、口中に残りやすい。


▢ 51.食事の状況は健康状態のバロメーターになります。


食欲不振が口腔内の状況悪化に気づくきっかけになるなど、食事の状況は健康状態のバロメーターになります。
心身の悪化が予想される場合には、医師、看護師、歯科医師に連絡し対処します。また、より良い食事内容を提供するためには、栄養士、調理師介護支援専門員等との連携が大切です。低栄養状態を判断するための指標には、食事摂取量、体格指数(BMI)、体重減少率、血清アルブミン値があります。


▢ 52.嚥下障害のある人も、できるだけ自力で食べるよう支援します。


嚥下障害がある利用者も、できる限り自力で食べられるように、時間をかけて、咀嚼や嚥下の状況を注意深く観察しながら介助します。食べ物を口に入れたら口唇を閉じるように声かけします。


▢ 53.誤嚥を防ぐには、食事をゼリー状にするなどの工夫をします。


誤嚥を防ぐためには、食事がのどを通りやすいように工夫する。具体的には、ゼリー状やマッシユ状にする、でんぷんを用いてとろみをつけるなどの手をかけ、誤嚥しやすい海藻やもちなどの粘着性の食品、豆、ぱさぱさした食品を避けます。細かく刻んだ場合は、とろみをつけて飲み込みやすくします。


▢ 54.視覚障害者にはクロックポジションの方法を用い、自分で食事ができるよう支援します。


クロックポジションとは、時計の文字盤の位置を利用して、視覚障害者に物の位置を知らせる方法です。例えば、2時の方向に焼き魚がある、というような使い方をします。さまざまに工夫して、利用者が自分でできることが増えるように支援します。


▢ 55.高齢者は脱水を起こしやすいので、できるだけ水分を摂取できるようにします。


お茶や水などの飲み物を用意してまめに摂取を促すほか、汁物にとろみをつけたり水分の多い食事内容にしたりするなどの工夫をする。脱水予防の食品としては、スポーツドリンク、みそ汁、すいか、ヨーグルトなどがあります。


▢ 56.入浴前には、健康状態・気分などを把握します。


入浴には、清潔を保てる、気分が爽快になるなどの効果があるが、事故が起こりやすく、体力を消耗する行為でもある。したがって、入浴前には健康状態(バイタルサイン)のチェックを行う。体調不良がはっきりと数字に表れないこともあるので、利用者の気分が優れないときは無理に勧めない。利用者の安全に配慮します。また、空腹時や食事の直後の入浴は避けます。


バイタルサイン
呼吸は、15~20回/分
脈拍は、60~80回/分
体温は、36.5℃前後、高齢者は低くなる
血圧は、最低血圧90mmHg未満、最高血圧140mmHg未満


▢ 57.冬季には、脱衣室や浴室の室温に注意します。


冬季には、脱衣室や浴室の温度が、居室に比べてかなり低くなりやすい。急激な温度差は脳血管疾患や心疾患を引き起こしやすいので、脱衣室・浴室とも十分に暖めてから入浴させます。


▢ 58.入浴に関するアセスメントを行います。


入浴は、体力を消耗する活動であり、また感染症を媒介する危険性もあるため、健康状態の観察が重要となります。また、極めて個人的な活動のため、好みなど個人因子が大切になります。ICFモデルに則って観察すべきポイントを挙げ、利用者の健康状態や生活機能などを把握します。


▢ 59.入浴介助では、福祉用具を最大限に活用します。


入浴時は事故が起こりやすいため、福祉用具を最大限に活用します。滑り止めマット、バスボード、入浴用いす(シャワーチェア)、浴槽内いすなど、多くの入浴関連用具が介護保険制度では特定福祉用具販売の対象となっています。


▢ 60.湯の温度は必ず介護従事者の肌で確認します。


シャワーは40℃前後が適当だが、数値のみに頼らずに、温度やシャワーの強さ(湯圧)は介護従事者が自分の肌で確認します。


▢ 61.身体は、末梢から中心に向かって洗う。


心臓への負担が少ないように、指先から肩へ、つま先から大腿部へというように、末梢から心臓に向かって洗います。なお、高齢者は皮膚が乾燥しやすいので、強くこすりすぎないように配慮します。


▢ 62.入浴後は、水分補給をして休養をとらせます。


入浴後はよく身体を拭いてから、必ず水分補給をします。また、入浴は体力を消耗するので、暖かくしてゆっくり休ませます。入浴時間は15分をめどに、長くなりすぎないよう気をつけます。


▢ 63.入浴時は事故が起こりやすいため、医療職との連携が必須です。


介護従事者は、医師、看護師から利用者の疾患や血圧の状態など、利用者の健康状態に関する正確な情報を把握しておくとともに、緊急時には速やかに連絡が取れるよう体制を整えておきます。また、ケアプランに入浴介助を位置付けるのは介護支援専門員であるため、緊密な連絡を心がけます。


▢ 64.入浴できないときは、清拭を行う方法もあります。


体調不良などで入浴ができないときは、55~60℃ くらいの湯を使って清拭を行うこともできます。清拭は身体が冷えやすいので、室内温度に気をつけてタオルなどで保温しながら行います。


▢ 65.心疾患があったり体調がすぐれない利用者には、シャワー浴や部分浴を実施します。


利用者に心疾患などの疾病がある場合には、主治医の指示のもと、シャワー浴や部分浴を実施します。シャワー浴は、心疾患がある場合などは、入浴より身体への負担が少ない。


▢ 66.手浴や足浴は、清潔保持に効果があります。


手浴や足浴は体調不良などで入浴できないときに、手だけあるいは足だけを湯につけて温め、清潔にするものです。清拭以上の爽快感を得ることができ、血行の促進につながるので寝つきがよくなります。


▢ 67.排泄の自立は、人の尊厳を保持するうえで重要です。


排泄は、人間の生命活動にとって最も基本的なものの1つであり、健康状態を端的に表すものです。排泄は極めて個人的な事柄であるため、排泄が自立していることは人の尊厳にとって重要です。排泄の介護では、ICFモデルにそって観察すべきポイントを挙げ、広い視野でアセスメントを行います。


▢ 68.介護従事者は、利用者の自尊心、羞恥心に配慮して介助します。


利用者は排泄の介助をやむを得ず要請するのである。そのため、介護従事者は、その要請にいつでも快く応じ、言葉かけや介助に十分配慮して対応します。失禁は、利用者の自尊心を傷つけるので、失禁に至らないようただちに対応します。また、プライバシーを守る工夫も必要です。夜間などは、ポータブルトイレを用いるなど、できる限り排泄の自立を支援します。


▢ 69.利用者が安全に安心して排泄できるように、トイレ環境を整備します。


立ち上がり時には、床に対して垂直に手すりが設置してあると使いやすい。トイレでの排泄を維持するためには、 トイレが居室の近くにある、洋式トイレにする、便座の高さを身体に合わせる、室温を調整するなどの配慮が求められます。


▢ 70.和式便器から洋式便器への改修は、介護保険の住宅改修費の給付対象です。


洋式便器への取り替え(洗浄機能等付きも可)は、利用者が立ち上がるのが困難な場合等を想定し住宅改修費の対象となります。既存の便座に洗浄機能等を付ける変更は対象とならない。


▢ 71.尿意・便意があり、座位を取ることができれば、トイレでの排泄が可能です。


尿意・便意があり、座位を取ることができれば、 トイレでの排泄が可能であるため、介護従事者は、利用者の排泄の間隔や排泄習慣などを把握し、 トイレ誘導などを行います。また、利用者自身にできる限り行ってもらい、できない部分を介助することが大切です。女性介助の場合、尿道に雑菌が侵入するのを防ぐため、前から後ろへ拭いて肛門部を清潔にします。


▢ 72.加齢に伴い、尿道付近の括約筋が緩くなる。


高齢者は、尿道付近の括約筋や骨盤底筋群の筋力低下のため、排尿を我慢することが難しく、尿失禁を起こしやすい。また、女性では、腹圧性尿失禁(くしゃみや咳などで腹部に力を入れた拍子に尿が漏れる)が多い。治療には骨盤底筋訓練法(ケーゲル法)が有効です。


▢ 73.尿失禁のある利用者に水分制限をしてはいけない。


尿失禁があると、利用者自身が失敗をおそれて水分摂取を控えようとしやすい。しかし、水分制限をすると、脱水になりやすく尿路感染症にもかかりやすくなるので、水分制限をしてはいけない。
下痢を起こしている場合は、十分に水分補給し、おむつが汚れている場合は、頻繁に交換を行います。


▢ 74.片麻痺のある人のおむつ交換は、麻痺側が下になる時間を短くします。


麻痺側はあらゆる感覚が鈍くなっているので、麻痺側が下になることで皮膚が傷んだりしてもわからないおそれがあります。できる限り麻痺側が下になる時間を短くする工夫が必要です。また、おむつ交換の際は、「失礼します」など、声かけをする配慮が望ましい。おむつ交換時は、陰部の洗浄を丁寧に行い、尿道から肛門の方向へ蒸しタオルで拭き、清潔にします。


▢ 75.尿失禁が繰り返される場合も、安易におむつを使わない。


おむつの使用は、皮膚のかぶれや感染を起こしやすいだけでなく、利用者の自尊心を著しく傷つけます。できる限りおむつを使用せず、排泄サインを察知して早めのトイレ誘導や、ポータブルトイレの使用などによって排泄の自立を保つ努力が必要です。


▢ 76.寝たきりの者がおむつを装着する場合、腹部とおむつとの間に指2本程度の余裕をもつ。


寝たきりの者に対しておむつを使用する場合、紙おむつの腹部のテープは腰前面4か所でとめ、下段のテープは斜め上向きに、上段のテープは斜め下向きにとめて、左右対称になるようにすることなどに配慮します。
また、布おむつを使用する際、女性の場合には後側を厚くし、男性の場合には前側を厚くすることが基本です。


▢ 77.おむつ交換は利用者のニーズに個別に対応します。


おむつ交換は施設や介護従事者の都合ではなく、利用者それぞれの排尿・排便に応じて行わなければならない。また、紙おむつは、利用者の体型や尿量に合わせて種類を選ぶ。おむつを着用する場合は、利用者本人、家族と十分に話し合い、本人の気持ちに配慮します。


▢ 78.留置カテーテルを挿入している利用者は尿道口周辺の清潔を心がけます。


膀胱留置カテーテルを挿入している場合は、尿路感染症を起こしやすいので、尿道口周辺の清潔を保つよう注意します。また、十分に水分を摂取して尿量を確保し、自浄作用を促します。


▢ 79.差し込み便器は、便意はあるがトイレヘの移動が困難な場合などに、ベッド上で排便・排尿(女性の場合)をする用具です。


男女共に、差し込み便器を使用する場合は肛門部が便器の中央にくるように注意します。男性の場合は尿器を同時に準備します。ベッド上での排泄を説明し、了解を得ること、気兼ねなく―人で排便できる環境をつくることが大切です。


▢ 80.利用者に排尿や排便障害がある場合は、医師や看護師の意見を聞く。


利用者に排尿や排便障害がある場合は、医師や看護師と連絡を密にし、疾患の発見・治療につなげます。そして医療的な見地からのケアに関する留意点を聞き、実践します。また、高齢者は便秘になりやすい傾向にあるため、食物繊維が豊富な食事の摂取、適度な運動などを行い、便秘の予防を図ることが大切です。そのためには、栄養士・調理師、介護支援専門員とも十分な情報交換を行い、利用者に応じた食事・ケアプランを提供します。


▢ 81.家事には、家計管理も含まれます。


家事とは、生活するための衣(洗濯・アイロンかけ・裁縫等)・食(買い物・調理・片付け等)・住(整理整頓・掃除・ゴミ出し・修繕等)に必要な行為です。また、家計管理も家事の一部です。介護保険法における訪問介護のうちの生活援助や地域密着型共同生活介護のうちの生活支援などの業務が家事にあたります。


▢ 82.訪問介護では、生活援助として家事支援を提供しています。


訪問介護の生活援助では、整理、一般的な調理・配膳、掃除、洗濯、ベッドメイク、衣類の買い物などの家事支援を提供します。



▢ 83.利用者のそれまでの生活の営みを継続することができるよう支援します。


家事の介護では、利用者の意思と個性を尊重するだけでなく、利用者の残存能力を活かして自立を支援します。介護従事者は、利用者の生活の仕方を知り、利用者の意思と個性を尊重した家事支援を行うよう努めます。利用者の家事への参加は、利用者の能力を高め、生活の質(QOL)を高めます。


▢ 84.食の介護では、利用者が低栄養にならないように注意します。


高齢者は、日中の活動量が少ないため、食欲が低下しやすく食事量が減りやすい。しかし、低栄養は褥瘡の原因ともなるので注意します。


▢ 85.高齢者の便秘を防ぐためには、食物繊維を摂取します。


高齢者は、腸の機能(蠕動運動)が低下して便秘を起こしやすくなるため、食物繊維を多く含む食品を摂取して排便を促す。なお、そのほかの便秘予防には、規則正しく十分な食事量を摂ること、油脂類を摂ること、適度な運動をすることなどが有効です。


▢ 86.野菜の調理法のうち、ビタミンCの損失が最も多いのは煮物です。


ビタミンCは加熱によって破壊される栄養素であるが、調理方法によって損失程度が異なります。損失程度の大きい順に並ベると、煮る、ゆでる、漬ける、揚げる、炒める、蒸すとなります。


▢ 87.ゼラチンは、動物の骨や皮に含まれるコラーゲンからできています。


ゼラチンは、嚥下障害のある人の食事にとろみをつけるのによく用いられる食品です。もとは動物の骨や皮に含まれるコラーゲンで、主成分はたんぱく質です。魚の煮こごりはゼラチン質を含む煮汁が冷えて固まったものです。


▢ 88.刺身などの生魚食では腸炎ビブリオによる食中毒が発生しやすい。


食中毒は、抵抗力の弱い高齢者にとっては命取りになることもあるので十分注意します。
魚介類とその加工品では、腸炎ビブリオ菌による食中毒が発生しやすい。症状としては、腹痛、下痢、発熱、嘔吐がみられます。予防として、生魚を調理したまな板や包丁で野菜などを調理しないこと、真水で洗うこと、調理後は速やかに食べることなどを守る。


▢ 89.加熱不十分な肉類では、サルモネラ菌などによる食中毒が起こりやすい。


加熱不十分な肉類が原因食品となる食中毒の場合、原因細菌としては、サルモネラ菌、病原性大腸菌、カンピロバクターなどが考えられます。病原性大腸菌では、出血性の下痢が起こるなど症状が激烈なので注意します。


▢ 90.還元型漂白剤は、すべての繊維の白物に使えます。


漂白剤には、酸化型漂白剤と還元型漂白剤があります。酸化型漂白剤には塩素系漂白剤と酸素系漂白剤があり、どちらも毛や絹の漂白には使えないが、還元型の漂白剤はすべての繊維に使えます。


▢ 91.ドラム式の洗濯機は泡の立ちにくい洗剤がよい。


―般的には、洗濯石鹸は泡立ちがよいほうが洗浄力が高いが、ドラム式の洗濯機はたたき洗いを応用したものなので、泡で洗浄力が落ちてしまうのを避けるため、泡の立ちにくい洗剤を選ぶ。


▢ 92.しみ抜きは、しょうゆやジュースは水や温水を使い、口紅やチョコレートはベンジンを使います。


しみの種類としみ抜き方法
しみの種類・しみの性質・しみ抜き方法
1.しょうゆ、ソース、ジュース、紅茶は、水溶性、水または温水でぬらす→洗剤をつける→綿 ポリエステルはもみ洗い、その他デリケートな素材はたたいたり、ブラシでこする→白物は部分漂白する
2.血液は、水溶性、必ず水でぬらす→水または温水でぬらす→洗剤をつける→綿 ポリエステルはもみ洗い、その他デリケートな素材はたたいたり、ブラシでこする→白物は部分漂白する
3.襟汚れ、口紅、クレヨン、チョコレートは、油性、ベンジンをつける→洗剤で洗う(温度は高いほうがよい)
4.朱肉は、油性、エタノールをつける→ブラシでたたく
5.墨汁は、不溶性、歯磨き粉やご飯粒をつける→もみ洗い
6.泥は、不溶性、汚れを乾かす→たたく、もむ、ブラシをかけるなどで落とす→水でぬらして洗剤でもみ洗い


▢ 93.毛製品の形を整えるにはスチームを用います。


毛製品の手入れは、家庭で洗う場合には中性洗剤で手洗いなどで行い、形を整えて陰干しします。型崩れしたときには、スチームアイロンを浮かせて使います。保管には防虫剤と乾燥剤を使用します。


▢ 94.家事支援を行う介護従事者は、医師・看護師、介護支援専門員等の関連職種と連携します。


家事支援を行うことで、利用者の心身の状況を把握できるため、異常があった場合には、速やかに専門機関に連絡・相談します。主治医や訪問看護師、利用者の状況に合った支援を行うためのケアプランを作成する介護支援専門員と連携を図る。その他、家事支援の中で、成年後見制度の必要性などに気づいたときは地域包括支援センターヘ相談します。


▢ 95.より良い睡眠のためには、日中の活動を充実させることが有効です。


安眠のための援助は、適度な室温を保つ、静かで、適度に暗い環境を整える、寝具を温かく、柔らかく軽いものにするなど、利用者の好みに応じて工夫する、日中の活動を充実させる、昼寝をし過ぎないように注意する、就寝前に、入浴、歯磨き、洗面などを行い、身体が冷えないようにしておく、空腹になり過ぎないように配慮する、睡眠薬などはできるだけ使わないようにする。


▢ 96.マッサージは末梢神経や筋肉の興奮を沈静化します。


マッサージには、血行をよくして新陳代謝を高める効果があります。
そのため、末梢神経の興奮が抑えられ痛みが軽減し、睡眠が促される。ただし、医学的に禁忌の場合もあるので注意する。冷罨法、温罨法も有効です。また、安楽な姿勢であっても同じ姿勢を長時間続けると疲れるので、定期的な体位変換が必要です。


▢ 97.寝たきりの要因には、身体的要因・心理的要因などがある。


利用者が寝たきりになる要因としては、1.拘縮などにより日常動作に痛みが伴うようになるなどの身体的要因、2.刺激が少なくやる気が出ないなど精神活動が低下する心理的要因、3.介護力が不足しているために「寝かせきり」になってしまう介護力要因などがあります。


▢ 98.長期間の安静が必要な場合は、早い段階から医療関係者と連携して支援します。


寝たきりは、脳血管疾患や転倒による骨折のために長期間安静を保つ必要があったことが契機になることが多い。そのまま臥床が続くと、褥瘡などの廃用症候群(生活不活発病)が進み、ますます心身の機能が低下するので、できるだけ早期から医療関係者と連携して、廃用症候群(生活不活発病)が重くならないように支援します。


▢ 99.機能の維持・回復のためのリハビリテーションはできるだけ早期に開始します。


臥床期間が長くなるほど、廃用症候群(生活不活発病)が進み、身体機能が低下しやすくなります。寝たきりの原因にもなるので、急性期を過ぎたら、医師の指示のもとでできるだけ早期にリハビリテーションを始めることが機能の維持・回復のために重要です。


▢ 100.思考力の衰えを防ぐためにも、体位を変え視界を広げます。


寝たきりの場合、視覚的にも刺激が少なくなります。体位を変え視界を広げることで、視覚に刺激を与え思考力を喚起することができます。また、好きな音楽を流して聴覚に刺激を与えることも思考力の衰えを防ぎます。


▢ 101.寝たきり高齢者は精神活動や生活意欲などが低下しやすい。


寝たきりの高齢者は、あらゆる面で刺激が少なくなります。このため、精神面での廃用症候群(生活不活発病)として無気力な状態や抑うつ的な状態となり、睡眠障害をきたすなど精神活動が低下しやすい。


▢ 102.臥床を強いると寝たきりになりやすい。


体調不良などのために大事をとって寝かせておくと、筋力などの身体機能が衰え、精神機能も低下して寝たきりになりやすい。長期臥床になると、肺炎を起こしやすくなります。できる限り身体を起こして、身体的・精神的な刺激を与えることが大切です。


▢ 103.寝たきりからの回復のためには、足底を床につけた端座位を保持すると効果的です。


寝たきりからの回復のためには、まず、少しずつベッドのギャッチアップを行う。起立性低血圧による立ちくらみなどがなければ、足底を床につけてベッドの端に座る端座位を保持するように訓練します。


▢ 104.便秘になりがちなので、水分と食物繊維の摂取を心がけます。


寝たきり高齢者は身体機能が低下しており、運動量も少ないので、腸の蠕動運動が弱くなっています。このため、便秘になりやすいので、便が硬くなりすぎないように水分を摂取すること、便通を促すように食物繊維の豊富な食事を摂ることが大切です。


▢ 105.寝たままの状態で排泄を続けると尿路感染症を起こしやすい。


寝たままの姿勢で排泄をすると、排泄物が身体にとどまりやすいので細菌が尿路を逆行することがあります。このため、長期にわたって寝たままの状態での排泄が続くと、尿路感染症を起こしやすい。介護従事者は清潔を維持するように注意を払います。


▢ 106.寝たきりでは、関節の拘縮が生じ痛むためにますます動かさなくなります。


寝たきりの利用者の場合、関節の拘縮が進むために身体を動かそうとすると痛みが強くなり、ますます動かさなくなります。そのため、さらに関節の拘縮が進むという悪循環が起こりやすい。


▢ 107.処方された薬は原型のまま服用します。


カプセル剤などは潰したりせず、原型のまま服用します。薬が飲みにくい場合には、処方した主治医に相談します。


▢ 108.高齢者は、薬の効果が現れやすく、副作用も現れやすい。


高齢者の場合には、代謝機能の低下などに伴い、服用した薬が体内に留まる時間が長くなるため、薬の効果が現れやすく、副作用も現れやすい。


▢ 109.処方された薬の内容・服用方法を把握し、実行を支援します。


薬を使用するのは利用者本人だが、誤用すると副作用などの危険があるので、介護従事者も薬の内容や服用方法について正確に把握します。利用者本人が正確に使用できるように支援します。


▢ 110.薬は冷暗所に保管するよう助言する。


薬は直射日光や暑さで変質することがあるので冷暗所に保管するように助言します。薬の管理は、利用者本人または家族が行うべきことなので、介護従事者は自分の判断で管理せず、助言することが大切です。


▢ 111.点眼容器は、まつげに触れないようにします。


点眼薬を用いる際は、1.手や眼の周囲を清潔にする、2.まぶたをひき、薬を1滴点眼する(このとき容器がまつげ等に触れないようにする)、3.目頭を3分程軽く押さえる、4. 2種類以上の薬を使うときは5分以上間をおくことに注意します。


▢ 112.座薬は冷蔵庫から出してすぐには使わない。


座薬を冷蔵庫で保管した後に使用する場合、硬くなっているので、すぐに挿入すると肛門を傷つけることがある。少し室温に置くか、ワセリンなどの潤滑油を使用するよう利用者に助言します。


▢ 113.視覚・聴覚などあらゆる感覚を働かせて利用者の状態を観察します。


介護従事者は、利用者の状態・周囲の状況などを視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚の五感をすべて働かせて観察します。特に高齢者の場合は、疾患の症状が非定型的であるので、顔色、声の調子、体臭、皮膚の乾燥程度、食欲などを細心の注意をもって観察し、異変がないかどうかを見極めることが大切です。


▢ 114.利用者の体調変化については医療関係者に相談します。


利用者の体調変化について気づいたことは、医療関係者に相談する。介護従事者は、医療の専門家ではないので、勝手に判断してはならない。医療関係者との連携は、福祉サービス関係者等との連携として「社会福祉士及び介護福祉士法」にも定められています。


▢ 115.利用者が受診を拒否する場合は、医療従事者に相談します。


介護従事者から見て、利用者が医師の診察を受けることが必要と考えられるにもかかわらず、本人が受診を拒否する場合には、医療従事者に相談して対応を考えます。介護従事者が決定することではないが、医療従事者の判断によっては往診も可能です。


▢ 116.在宅介護を継続できるか否かは医療上の問題が大きい。


在宅介護を続けられるか、施設入居や病院への入院が必要か否かは医療上の問題が大きい。要介護度が高くなると、経管栄養や留置カテーテル、痰の吸引など高度な医療上の処置が必要となり、在宅介護では対応しきれなくなることがあります。なお、2011(平成23)年の介護保険法の改正により、2012(平成24)年4月から介護福祉士等による痰の吸引等が可能となりました。


▢ 117.心肺蘇生法(CPR)は、胸骨圧迫と人工呼吸を30:2で行います。


1.反応確認は、肩を軽くたたきながら大声で呼びかける
反応なし
2.呼吸確認は、応援を呼び、119番通報とAEDを依頼する
呼吸なし
3.CPR開始は、ただちに胸骨圧迫からCPRを開始する
4.AED装着
AEDの必要ありでは、AED使用後、CPRを再開
AEDの必要なしでは、速やかにCPRを再開


▢ 118.衣服の上からの火傷は、すぐに冷水で冷やす。


火傷に対する水冷却は、できるだけ速やかに行い、冷水で疼痛が軽減するまで続けます。また、火傷によってできた水疱は、潰さないように被覆します。


▢ 119.終末期介護(ターミナルケア)では、個人の尊厳を重視することが必要です。


最期まで、個人の尊厳を重視し、主に苦痛を緩和するケアを行う。不治の病のために死期が近づいた利用者に対しては、医療職と密接に連携し、身体的苦痛だけでなく精神的、社会的、霊的な苦痛を緩和し、その人らしい最期を迎えられるよう支援することが大切です。


▢ 120.終末期介護では、利用者や家族の意向に沿った介護を行う。


終末期介護で、利用者や家族の意向に沿った介護を行うためには、利用者や家族と終末期の迎え方について話し合っておくこと、家族が利用者と関わる時間を多く取れるようにすることが必要です。なお、終末期の介護に移行する時期は介護従事者ではなく、利用者と家族が医師と相談しながら決定します。


▢ 121.可能な限り、食事を経口摂取できるように介助する。


尊厳に満ちた死を迎えられるように、終末期であっても、可能な限り、食事は経口摂取できるよう支援します。


▢ 122.臨終期には、安心できる環境を提供するよう努めます。


静かで明るすぎず、暗すぎない、心地よい室内環境を整え、できるだけ利用者の家族がそばにいられるように配慮します。臨終期まで聴覚機能は比較的に維持されているため、言葉かけは最期まで続けるとよい。


▢ 123.介護従事者が、利用者を亡くした家族と悲しみを共有するには、家族の話を傾聴します。


家族が利用者の死を受け入れるためには、利用者の死を十分に悲しむことも必要です。このような「喪の作業」をグリーフ・ワークといいます。


▢ 124.終末期には、医療関係者との連携が不可欠です。


介護従事者は、利用者が望む終末期とするために医師と協働します。痛みの緩和や人工呼吸器を用いる場合は医師による処置が必要です。また、利用者の状態が急変した場合には医師に速やかに連絡し、対処を依頼します。

7 介護福祉士


介護過程の概要


▢ 1.介護過程とは、最適な介護を実施するための一連のプロセスです。


介護過程とは、個々の利用者に対して最も役に立つ介護を提供するための一連のプロセスです。介護過程では、1.利用者の抱えている介護上の課題を把握(アセスメント)、2.その解決のためにどのような介護を行うかを計画、3.実施、4.その後、実施した介護の効果について評価(モニタリング)し、その介護を終了するか、継続するか、別の方法に変えるかを考えます。この過程を繰り返すことで、利用者により良い介護を提供することができます。


▢ 2.利用者についての情報収集は必要最小限にとどめます。


情報の中には、利用者の生活歴、琢族構成、問題の内容、利用者の職場等の環境に関する情報など、さまざまなものがあります。
情報の収集には時間も労力も必要で、個人のプライバシーに関することも多いので、厳選し、援助に必要な最小限度にとどめます。また、利用者本人からの収集を基本とし、その他の関係者から情報を得るには、必ず利用者本人の了解をとるようにします。


▢ 3.アセスメントは適切な介護計画を策定するために行います。


アセスメントの結果、問題解決のために何をしなければならないかが明確になります。これを受けて、利用者への適切な介護計画、つまり、問題解決のために援助者が具体的に何をするかという計画が策定されます。アセスメントにおいては、ICFモデルを枠組みとすることも有用です。先入観や偏見を持たない観察眼が必要です。


▢ 4.生活課題を明らかにすることが支援の根拠となります。


収集した情報を基に、利用者の抱えている生活課題とニーズ(どのような支援を必要としているか)について分析します。生活課題は利用者の望む生活を実現するために解決すべきことです。


▢ 5.援助者は意図的に終結を準備します。


介護過程は、終結までを含んでいます。したがって、きちんと目的意識を持って終結を準備することが必要です。終結を迎えるのは、課題が解決された場合とこれ以上の援助を行っても効果を期待できない場合です。いずれにしても、これまでの介護過程の意味について評価をすることが大切です。また、終結後も何か問題が生じたときには相談できるつながりを残しておきます。


▢ 6.援助者は意図的に終結を準備します。


介護過程は、終結までを含んでいます。したがって、きちんと目的意識を持って終結を準備することが必要です。終結を迎えるのは、課題が解決された場合とこれ以上の援助を行っても効果を期待できない場合です。いずれにしても、これまでの介護過程の意味について評価をすることが大切です。また、終結後も何か問題が生じたときには相談できるつながりを残しておきます。


▢ 7.介護計画の作成にあたっては、5W1Hをふまえて具体的に立案します。


介護計画の作成にあたっては、利用者の二―ズなどを把握した上で5W1Hを踏まえて具体的に立案する必要があります。作成した介護計画は、介護職などの専門職だけでなく、利用者や利用者の家族も閲覧することを踏まえ、わかりやすい言葉を使用します。


▢ 8.利用者のニーズをつかむには、セルフケア能力の判断が大切です。


セルフケア能力とは、利用者自身がどれくらい自分の身の回りのことができるか、という能力です。基本的に、利用者が自分ではできないことを介護従事者が支援するので、何ができないかだけでなく、何ができるかの把握も大切です。


▢ 9.介護計画の目標は、実現可能で具体的なものとします。


介護計画は利用者にとって実現可能なものであり、具体的に、介護従事者がどのようなサービスを提供するかが明確であることが大切です。そうでなければ、計画は実効性のない「絵に描いた餅」になってしまうからです。支援目標は、長期目標と、それを達成するための短期目標を設定します。


介護家庭の実際


▢ 10.援助の効果については、ADLだけでなく多面的に評価します。


援助を実行した後に、援助の効果について評価する(モニタリング)。その際、日常生活動作(ADL)がどのように変化したかだけでなく、生活の質(QOL)が向上したかを含め、多面的に評価することが求められます。


▢ 11.観察のポイントは、利用者の身体的側面、認識・心理的側面、行動面の3つです。


高齢者や障害者は身体状況に変化を起こしやすいため、観察が必須であり、介護活動の出発点は観察であるといえます。


観察のポイント
身体的側面は、身体に何らかの違和感・症状・障害がないか
認識・心理的側面は、利用者本人が身体状況や生活環境についてどう考えているか
行動面は、利用者の生活にどのような制限や不自由さがあるか


▢ 12.訪問介護計画は、サービス提供責任者が作成します。


訪問介護計画は、サービス提供責任者が作成します。訪問介護計画には、利用者の日常生活全般の状況や希望を踏まえたうえで、訪問介護の目標、その目標を達成するための具体的なサービスの内容などが記載されます。利用者または家族に説明し、利用者の同意を得て確定します。


▢ 13.介護計画は、定期的に預ニタリングを実施し、必要に応じて変更します。


定期的にモニタリングを実施し、利用者の心身状態や生活環境の変化、要介護度の変更、利用者の希望などによって、介護計画の内容を変更することを検討します。介護計画の見直し、変更を行う際はサービス担当者会議(ケアカンファレンス)を行い、利用者や家族の意向と専門職などの意見を聞き、利用者や家族に説明し文書において同意を得ます。



8介護福祉士


人間の成長と発達


▢ 1.エリクソンは人格発達を8段階に分けました。


エリクソンは人生における人格の発達段階を8段階に分けました。そしてそれぞれに克服すべき課題とそれを克服したときに到達できる状態、失敗したときに陥る状態を示しました。


エリクソンの発達課題
1.乳児期(0~1歳)は、養育者(母親など)との関係を通した基本的信頼感
2.幼児前期(1~3歳)は、自分の身体をコントロールする自律感
3.幼児後期(3~6歳)は、自発的に行動する快感を覚える
4.児童期(6~12歳)は、さまざまな活動を通した勤勉性
5.青年期(12~20歳)は、アイデンティティ(同一性)
6.成人期初期(20~30歳)は、親密な人間関係の構築
7.成人期(壮年期)(30~65歳)は、子育て・仕事など社会的な役割を通した次世代の育成
8.成人期後期(老年期)(65歳~)は、 人生の意味をまとめる


▢ 2.自分の人生をありのままに受け入れることが、老年期の重要な課題です。


エリクソンの発達課題にあるように、老年期の課題は、自分自身の人生をまとめ上げることです。したがって、ありのままの自分の人生を受け入れることが重要な課題です。


▢ 3.ピアジェは、認識や思考の発達を4段階に分けた。


人間の成長と発達
ピアジェの認知発達段階
1. 0~2歳は、感覚運動段階、感覚器官の働きを通して認識する
2. 2~7歳は、前操作段階、ものの見え方に左右される直感的思考、模倣など象徴的思考
3.7~11歳は、具体的操作段階、ものの見掛けの変化にだまされない。具体的なものを論理的に考えられる
4.11歳以降は、形式的操作段階、抽象的概念の理解、論理的思考ができる


▢ 4.ユングは40歳前後を人生の正午にあたるとしました。


ユングのライフサイクル論では人生を4段階に分けています。最初の1/4が少年期、次の1/4が成人前期、40歳は「人生の正午」(真ん中)にあたり、後半の1/4が中年期、最後の1/4が老年期となります。


老年期の発達と成熟


▢ 5.フロイトは、5つの発達段階を提唱した。


フロイトは、リビドー(性的エネルギー)の現れ方に着目し、5つの発達段階を提唱しました。発達段階は老年期に相当するものはなく、成人期までの分類となっています。


フロイトの発達段階
1.誕生~1歳は、口唇期、授乳・摂食など、口から快感を得る
2.3歳頃までは、肛門期、排泄に関係する肛門から快感を得る時期
3.5歳頃までは、男根器、生殖器への関心、異性の親への性的関心が生じる時期
4.11歳頃までは、潜在期エネルギーが外部に向かう時期
5.青春期・成人期は、思春期・性器期、性生活の発達が特徴となる時期


▢ 6.ライチャードは定年退職後の男性高齢者の人格を5つに分類しました。


ライチャードによる定年退職後の男性高齢者を対象とした人格分類
1.円熟型は、自己を受容し、社会参加に積極的、建設的に生きようとする
2.安楽椅子型(ロッキングチェアー型)は、受動的で消極的であり、責任から解放されたことを喜んでいる
3.自己防衛型(装甲型)は、老化に対する不安から、老いを拒否し積極的に活動
しようとする
4.外罰型(憤慨型)は、 自分の不幸を他人のせいにして不平不満をもつ
5.内罰型(自責型)は、自分の不幸を悔やみ、自分を責める。抑うつ状態になりやすい


▢ 7.サクセスフルエイジングとは、老化に適応した主観的な幸福感がある生き方をいいます。


サクセスフルエイジングは、老化に適応した主観的な幸福感がある生き方であり、長寿、高いQOL、社会貢献の要素で構成されるものです。
サクセスフルエイジングを得るためには、自分の人生が満足できるものであるかどうか、老年期の発達課題が達成できるかという2点がポイントとなります。


▢ 8.高齢期は職業からの引退、配偶者との死別などから孤立しやすい。


高齢期は、定年退職や子どもの独立などから社会的役割の喪失感が強くなり、配偶者や知人などの近親者との死別によって孤立感が強くなります。特に、それまで地域とのつながりが少なかったような高齢者は孤立しやすい。高齢者の閉じこもりは、気分が抑うつ的になるなど精神活動が低下して起きることがあります。


老化に伴う心身の変化


▢ 9.加齢に伴い流動性知能は低下するが、結晶性知能は維持されます。


加齢に伴って、知覚速度や書字速度などの情報処理スピードは遅くなります。情報処理能力は流動性知能(学習や文化の影響を受けにくい知的能力、動作的知能)であり、加齢に伴って低下しやすい。これに対し、結晶性知能(学習・文化・経験に磨かれる能力、言語的知能)は衰えにくい。


▢ 10.老年期でも、意味記憶は低下しにくい。


意味記憶とは、意味のある言葉や文章についての記憶です。記憶力は、加齢に伴って衰えやすい機能であるといわれるが、意味記憶や手続き記憶(自転車の乗り方など身体が覚えている記憶)はよく保たれます。


▢ 11.高齢者の身体的な特徴として、新陳代謝の低下、感覚器の機能低下、運動能力の低下などがある。


老化に伴い、身体的な機能は、全身にわたって低下します。
高齢者の主な身体的変化
1.個人差が大きくなる‐生活習慣や遺伝的な要因の違いが大きく現れる。疾患にかかっても、症状の出方がさまざまです
2.全身の変化‐参ホメオスタシス(身体の恒常性を維持する機能)が低下、体液比率が低下、脱水を起こしやすくなる、免疫力が低下
3.骨格 筋の変化‐骨の代謝が低下し、骨密度が低下、筋量・筋力が低下、転倒しやすくなる
4.消化器系の変化‐唾液の分泌が減少、腸の蠕動運動が減退、便秘しやすくなる
5.循環器系の変化‐動脈硬化が生じ、高血圧になりやすくなる
6.呼吸器の変化‐反射が低下、誤嚥を起こしやすくなる
7.泌尿器の変化‐膀胱容量の減少、骨盤底筋の筋力低下、尿意の感覚鈍化等により尿失禁を起こしやすくなる
8.内分泌の変化‐インスリン、エストロゲン(卵胞ホルモン)などの減少・機能低下
9.感覚器の変化‐耳、目、舌などの感受性が低下、味覚も低下する


▢ 12.「高齢者は頑固だ」というようなステレオタイプの見方は避けます。


心理学の研究によれば、個々人のパーソナリティは中年期までにほぼ固まっており、それは晩年まで維持されます。したがって、十把ひとからげに「高齢者のパーソナリティ」を論じるわけにはいかない。ただし、高齢になると脳障害や身体的・社会的・経済的な不安定さが生じやすく、これらは人格に影響を与えます。


▢ 13.自己受容とは、自分の弱点も含めて受け入れることです。


老年期の課題である自己受容とは、自分の長所だけを見つけてよしとすることではなく、自分の欠点や弱点も含めて、自分自身を受け入れることです。


▢ 14.加齢に伴い、飲んだ薬が体内に長くとどまりやすいため、副作用が出やすい。


高齢者は新陳代謝が低下しているため、服用した薬が体内に長くとどまる。また、体全体の抵抗力も弱くなっているので薬の副作用が出やすい。介護従事者は、注意深く観察をして、必要があれば医療関係者に報告します。


▢ 15.加齢に伴い、視覚・聴覚の機能が低下しコミュニケーションをとりにくくなります。


加齢に伴い、白内障や老人性難聴(感音性難聴)などで視力・聴力が衰えます。コミュニケーションに必要な情報は視覚や聴覚によって得られる部分が多いので、コミュニケーションがとりにくくなります。閉じこもりの原因の1つです。


▢ 16.起居動作などの低下により、トイレヘの移動に時間がかかり、排泄の失敗をしやすくなります。


高齢者は筋力の低下などのために動作が緩慢になっています。また、尿道の括約筋が緩くなっていることなどもあり、排尿や排便が間に合わなくなりやすい。高齢者は尿失禁をすると自尊心が大変傷つくので、介護従事者は早めのトイレ誘導を心がけます。


▢ 17.入院など環境の変化は認知症の引き金となりやすい。


高齢者は、新しい生活環境への適応力が低下しているため、病院への入院や施設への入所、引越しなどの生活環境の変化に対応できず、認知症が誘発されることがあります。


高齢者に多い症状・疾患


▢ 18.高齢者の症状は非定型的です。


高齢者の場合、疾患の現れ方が非定型的です。例えば、肺炎にかかっていても高熱が出ず、微熱程度の発熱にとどまることがあり、無痛性の心筋梗塞もあります。全身の状態が悪化しやすく回復しにくい、複数の疾患を併発しやすいなど、高齢者に特有の状況が起きます。したがって、介護従事者には健康観察について、より慎重であることが求められます。


▢ 19.高齢者は、心理的・身体的な誘因により精神神経症状を起こしやすい。


心理的な誘因としては、近親者との死別や転居などの環境の変化により、抑うつ状態を示すことがあります。また、身体的な誘因としては、脱水による錯乱などがあります。


▢ 20.高齢者の頭痛の原因はさまざまです。


高齢者の頭痛の原因
緑内障は、眼圧の異常によって起きる
くも膜下出血は、急激な痛みを生じる
慢性副鼻腔炎は、鼻腔とつながっているため、感染症によって炎症を起こしやすい
高血圧は、まれに頭痛を起こすことがある


▢ 21.高齢者の感染症は、呼吸器系と尿路系の感染で多い。


高齢者に最も多い感染症は、膀胱炎などの尿路感染症です。
インフルエンザ、肺炎などの呼吸器系感染症も多い。高齢者は、免疫力が低下しているために感染しやすい。また、尿路感染の場合、留置カテーテルを使用することも原因の1つとなっています。


▢ 22.糖尿病は、肥満や運動不足などが発病の誘因となります。


糖尿病には、インスリンが不足して起きる1型糖尿病と、インスリン非依存型の2型糖尿病があります。2型糖尿病は、生活習慣病の1つで、肥満や運動不足が発病の誘因となります。治療は生活習慣の改善、すなわち、栄養バランスの取れた食事を適量摂取すること、適度な運動、適度な睡眠などが基本です。


▢ 23.糖尿病の三大合併症は、腎症、網膜症、神経障害です。


糖尿病がおそろしいのは、重篤な合併症を引き起こすことがあるためです。腎不全の原因の第1位は、糖尿病性腎症であり、糖尿病性網膜症は、後天性失明の原因となる主要疾患です。また、糖尿病性神経障害のために、けがや火傷に気づかず重症になることもあります。


▢ 24.痛風は足の親指の付け根に痛みが走る。


痛風は中高齢の男性に多くみられ、プリン体の代謝異常により、血液中の尿酸値が上昇して起きる疾患です。尿酸が一定量を超えると結晶化してこれが関節内に沈着します。多くは足の拇趾基関節(親指付け根)に起き、強烈な痛みを伴います。


▢ 25.骨粗鬆症予防には、カルシウム、動物性たんぱく質、ビタミンC・Dをとる。


骨粗鬆症は、閉経後の女性に多くみられます。女性ホルモン減少の影響などから骨の密度が低下しやすいためです。骨の構成成分であるカルシウムの摂取と、その吸収を促す良質なたんぱく質、ビタミンC・Dの摂取が必要です。またリンをとりすぎないこと、適度な運動や日光浴を行うことも大切です。 


▢ 26.高齢者では心筋梗塞が起きても胸痛を訴えない場合があります。


高齢者の疾患の特徴として、症状が顕著に現れないということがあります。心筋梗塞は、心臓の血流が止まり心筋が壊死するので、通常は激しい胸痛が起きるが、高齢者の場合は無痛のこともあります。
心筋梗塞と狭心症との対比
心筋梗塞狭心症
心筋梗塞は、冠動脈がふさがり、血流停止心筋が壊死、激しい胸痛が30分以上続く、ニトログリセリンは無効、鎮痛剤としてモルヒネ投与、予後は心臓集中管理治療室へ収容、高死亡率
狭心症は、冠動脈が狭くなり、酸素欠乏、胸痛、圧迫感が1~5分(10分以内)、ニトログリセリンを投与、予後は、長引くと急性心筋梗塞へ移行


▢ 27.高齢者にとって、環境や生活習慣の変化が、睡眠の質の低下や不眠につながりやすい。


高齢者の場合、適応能力が低下していることから、施設入所など、環境や生活習慣が変化することによって、睡眠の質が低下し、不眠につながりやすい。また、睡眠の質は、身体疾患の進行や増悪の影響を受け、低下しやすい。


▢ 28.高齢者のてんかんの原因として最も多いのは、脳出血や脳梗塞などの脳血管障害です。


高齢者のてんかんは、意識障害、痙禦、失語、しびれ、発汗など多様な症状がみられます。また、初回発作後の再発率は高い。
てんかん発作時には、首の周囲の衣服を緩め、顔を横に向けるなどにより、誤嚥予防や気道の確保を図ります。


▢ 29.緑内障では一般的に眼圧が上昇します。


緑内障は、一般的には眼圧が上がり視神経が障害を受けるもので、頭痛や眼の痛みがあります。ただし、眼圧が正常な緑内障もあります。
緑内障は、眼圧の上昇が原因、症状は、視野が欠ける急性の場合、頭痛、目の痛み、好発年齢40歳前後、一度失った視野・視力は取り戻せない、薬、レーザー治療、手術で眼圧を下げる
白内障は、水晶体の白濁(混濁)が原因、症状は、著しい視力低下、高齢者に好発、眼内レンズを入れる手術により視力を回復する。


▢ 30.災害避難時には、エコノミークラス症候群や低体温症に注意します。


高齢者では、災害や震災などの天災で避難所生活が長期にわたる場合、エコノミークラス症候群や低体温症に注意する必要があります。エコノミークラス症候群は長時間、足を動かさず同じ姿勢でいると血栓ができる疾患で、脳塞栓や肺塞栓、心筋梗塞を引き起こすことがあります。予防法として、身体を動かす、適度な水分補給を心がけることが大事です。また、低体温症を予防するには、乾いた衣類の着用、保温・エネルギー摂取・水分補給に努めます。
天災など悲惨な出来事に見舞われると、抑うつ傾向がみられることがあります。被災直後は躁気分にあることが多く、それが一定期間続いた後にうつ気分に転じます。介護従事者には身体的なケアだけでなく、精神面のケアに配慮することも求められます。


▢ 31.大腿骨頸部の骨折は、原則、手術をします。


大腿骨頸部(足の付け根部分)は骨粗鬆症の高齢者などが転倒した場合に骨折することが多い。骨折部の癒合が期待できず、寝たきりの原因ともなるため、安静臥床期間を短くする目的で手術をします。


▢ 32.わが国の死因の第1位は、男女とも悪性新生物です。


平成24年人口動態統計によると、わが国の死因の第1位は男女とも悪性新生物であり、第2位は心疾患となっています。第3位と第4位は肺炎と脳血管疾患で、男女で順位が異なっています。
男性は、1位悪性新生物、2位心疾患、3位肺炎、4位脳血管疾患
女性は、1位悪性新生物、2位心疾患、3位脳血管疾患、4位肺炎


▢ 33.C型肝炎ウイルスは、肝臓がんの発生に関係します。


C型肝炎は、慢性肝炎に移行しやすい。そのまま治療がなされないと、肝臓がんに進行する可能性があります。


▢ 34.心筋梗塞は冠動脈の動脈硬化が原因となります。


動脈硬化は、加齢に伴い血管の内壁にコレステロールが付着し、血管が狭くもろくなるものです。心筋梗塞は、心臓自身に栄養を送っている冠動脈の血管が動脈硬化を起こし、血栓や血腫がつまる疾患です。心筋梗塞では、主に前胸部痛などが現れるほか、呼吸困難、左肩の鈍痛、意識障害がみられることもあります。


▢ 35.動脈硬化は労作性狭心症や一過性脳虚血発作の原因となる。


労作性狭心症は、労作時(運動や階段を上るなどの作業をしたとき)に起きる狭心症です。胸痛などの狭心症の症状が生じるが、安静にしていると痛みがなくなる。一過性脳虚血発作は、一時的に片麻痺や言語障害などの脳血管疾患の症状が現れるもので、自然に症状が治まる。いずれも、動脈硬化が基礎にあることが多い。


▢ 36.心不全の場合、むくみ・チアノーゼ・などの症状が現れます。


心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、血液を体全体に十分に送り出せなくなった状態です。左心室の機能が低下すると、栄養と酸素を含んだ血液を送り出す力が不十分になるためにチアノーゼや呼吸困難が起きます。右心室の機能が低下すると、老廃物と二酸化炭素を含んだ血液が排出されにくいためむくみ(浮腫)が生じます。


▢ 37.脳塞栓は、心疾患に伴うことが多い。


脳塞栓は心臓や比較的太い血管でできた血栓が脳動脈でつまる疾患です。血栓は、心筋梗塞・心筋症などにより生じるので、脳塞栓は心疾患に伴って生じるので脳塞栓は心疾患に伴って生じることが多い。


▢ 38.脳内出血は大脳基底核部によく起きます。


大脳基底核部は姿勢保持や随意運動を調節するなどの働きをしており、出血部位の反対側に半身麻痺が生じます。

9 介護福祉士


認知症を取り巻く状況


▢ 1.1980年代後半に、認知症患者のためのグループホームが誕生した。


認知症は、かつては精神科病院への入院で対処され社会問題化するに伴い国が研究事業などを始めたが、介護従事者を優先させたケア論であった。1980年代後半にグループホームが誕生し、少人数ケアが有効であるとしてユニツトケアも行われるようになった。現在は、「認知症の人のためのケアマネジメントセンター方式」というケアマネジメント手法が開発され、利用者の尊厳を大切にしたケアがめざされています。


▢ 2.認知症地域支援推進員は、地域包括支援センターや市町村に配置されています。


認知症地域支援推進員は、医療機関、介護サービス、地域の支援機関等をつなぐコーディネーターの役割を担っています。認知症地域支援推進員の業務には、専門医療の専門機関などについての紹介、認知症に関する情報提供、認知症と確定診断を受けた高齢者の情報の把握、家族等からの認知症に関する総合相談などがあります。


▢ 3.高齢者の認知症の程度は、「認知症日常生活自立度」で表されます。


認知症高齢者の日常生活自立度判定基準は、ⅠからMまであります。


認知症の基礎


▢ 4.認知症とは、脳の器質的障害などによって生じ、記憶力などが低下するものをいいます。


ICD-10(国際疾病分類第10版)では、認知症を「通常、慢性あるいは進行性の脳疾患によって生じ、記憶、思考、見当識、理解、計算、学習、言語、判断など多数の高次大脳機能の障害からなる症候群」と定義しています。認知症は、脳血管障害や神経変性疾患などの原因疾患によって分類されます。


▢ 5.認知症状には、中核症状と行動・心理症状(BPSD)があります。


中核症状は、記憶障害、認知機能障害、見当識障害、理解力・判断力の低下、失行・失認、失語、実行機能の障害、性格変化など
行動・心理症状(BPSD)は、抑うつ状態、徘徊、妄想、異食、弄便(ろうべん)、失禁など


▢ 6.記憶力・計算力・理解力・判断力が低下します。


認知症の知的な障害としては、記憶力の低下、計算力の低下、理解力や判断力の低下などがみられます。認知症では、認知機能障害のほかに、徘徊・不潔行為・収集癖などの問題行動が起きることも多く、社会生活上の障害となります。


▢ 7.日時・場所・人物などがわからなくなる見当識障害が起きます。


認知症の場合、日時・場所・人物などがわからなくなる見当識障害を生じます。例えば、自宅にいるのに「家に帰る」と言って出かけようとしたり、日付がわからなくなったり、亡くなった人に「会いに行く」と言ったりする。これが見当識障害です。


▢ 8.脳の病変により、知的機能が低下します。


認知症では、単なる老化に伴う記憶力の低下とは異なり、脳の病変によって知能全般の低下が生じます。主な症状として認知機能の障害があります。知能の低下は、血管性認知症では脳梗塞や脳出血によって脳細胞の一部が壊死するために生じ、アルツハイマー型認知症では、脳の萎縮のために生じます。


▢ 9.体験そのものを忘れる記憶障害が起こりやすい。


一般的な老化に伴う記憶力低下では、体験の一部を忘れるだけで体験したという事実は覚えており、かつ、自分が忘れたことを認識しています。これに対し、認知症の場合は、体験したという事実そのものを忘れてしまう。これを悪性健忘といいます。アルツハイマ―型認知症の初期の症状に、しまったことを忘れて誰かに盗られたと思いこむ、物盗られ妄想があります。


▢ 10.アルツハイマー型認知症は女性に多くみられ、血管性認知症は男性に多くみられます。


アルツハイマー型認知症は、女性に多い。発病年齢70歳以上に多い。病状の進行は、ゆるやかな坂を転がるように進行、認知症の特徴は、全般的な認知症、表情は、病気の自覚がないため明るい。人格変化は、徐々に人格が崩れる。症状の特徴は、徘徊・多動が多い
血管性認知症は、男性に多い。発病年齢は、50歳以降加齢とともに増える。病状の進行は、進行階段を下りるように進行。認知症の特徴は、まだら認知症。表情は、病気の自覚があるため暗い。人格変化は、人格はよく保たれる。症状の特徴は、情動失禁(感情のコントロールが利かなくなる)が多い。


▢ 11.ピック病の認知障害は改善が困難です。


認知障害のうち、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、うつ病、甲状腺機能低下症など脳の器質的な疾患によるものでない場合には原因疾患の治療によって改善が可能であるが、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、ピック病、レビー小体型認知症などの場合は改善が困難です。


▢ 12.慢性硬膜下血腫では、転倒による脳打撲があった3か月後くらいに、頭痛やもの忘れの症状がみられます。


慢性硬膜下血腫の原因には転倒による脳打撲があり、打撲時は痛みのほかは症状がみられない。打撲後、数週間から3か月後くらいで、頭痛やもの忘れの症状が生じます。


▢ 13.クロイツフェルト・ヤコブ病には、認知障害と運動失調があります。


クロイツフェルト・ヤコブ病は、急速に進行する認知症の原因疾患です。発症は50~60歳代に多く、症状は、認知障害と運動失調があります。


▢ 14.レビー小体型認知症は、初期から生じる幻覚、特に幻視という症状が特徴です。


レビー小体型認知症では、認知症の症状に加え、パーキンソン症状(手足のふるえ、すくみ足などの歩行障害)と幻視がみられます。比較的初期から、幻覚、特に具体的で鮮明な幻視がみられるのが特徴です。


▢ 15.若年性認知症とは、65歳未満で発症する認知症をいいます。


若年性認知症は、65歳未満で発症する認知症であり、作業能率の低下など、実行機能の障害が先行して生じる場合があります。
若年性認知症の原因疾患としては、血管性認知症が最も多く、次いでアルツハイマー型認知症が多くなっています。若年性認知症である介護保険の第2号被保険者は、市町村が認めた場合に、障害福祉サービスを利用することもできます。


▢ 16.うつ病やせん妄は、認知症の症状に似ているため、間違われやすい。


うつ病は、意欲の低下や無関心などの症状を示すため、認知症が現れたと間違われる場合があります。また、せん妄も、幻視、幻聴、妄想などを示すことから、認知症が現れたと間違われる場合があります。なお、せん妄の原因には、脱水、脳の器質疾患、感染症、栄養失調、手術の影響などがあります。


▢ 17.長谷川式認知症スケールには動作性の課題は含まれない。


長谷川式認知症スケールは、認知症の中心的な症状である見当識障害や記憶障害を調べる簡便な評価法です。その中には失認や失行などの動作性評価項目はない。


▢ 18.リアリティ・オリエンテーション(RO)は、実認識を強めます。


リアリティ・オリエンテーションは現実認識を高めるような情報を与えるもので、いつもそうした関わり合い方をする24時間リアリティ・オリエンテーションと、同程度の認知機能障害をもつ少人数のグループに対して決まった時間の中で行う教室リアリティ・オリエンテーションがあります。


▢ 19.回想法は認知症高齢者だけでなく一般高齢者にも有効です。


回想法は、高齢者の思い出に関係する事柄や物事について語り合うことを用いた心理療法です。長期記憶に働きかけ記憶力維持に効果があると同時に、自己の受容と統合にも効果があります。自己の受容と統合は老年期の発達課題であるから、認知症高齢者だけでなく、高齢者全般に有効です。


▢ 20.音楽療法には、活動的な方法と受動的な方法があります。


音楽療法には、実際に歌ったり演奏したり、音楽に合わせて身体を動かしたりする活動的な方法と、音楽を聴いて心身の統合を図る受動的な方法があります。認知症の初期段階で有効とされます。


▢ 21.動作法は、ゆったりとした動作を行うことで心身のリラックスを図る。


動作法は、認知症高齢者や精神障害者などにも用いられる心理療法です。ゆっくりとした動作に集中することで自分を客観視することができ、身体をリラックスさせることが精神的なリラックスにもつながります。


▢ 22.対話が困難になり、行動障害が生じます。


認知症が進むと言語障害や記憶障害などのために対話が困難となり、徘徊やせん妄などの行動障害が生じてくる。


認知症の主な行動障害
徘徊は、家の内外をさまよい歩く、対応は、むやみに止めない
妄想は、実際にはあり得ないことを信じ込んでしまう、対応は、否定しない
物盗られ妄想ならば一緒に探す、など
せん妄は、幻覚などのために興奮状態になる意識障害、対応は、紛らわしい音・物を取り除く、不穏な状況になったときは自傷・他害を予防する
異食は、食物でないもの(便など)を食べてしまう。対応は、危険なものを手の届くところに置かない
不潔行為は、弄便(便をこねたりして遊ぶ)など。対応はタイミングを見計らってトィレに誘導する、排泄後すぐに片づけるなど


▢ 23.認知症高齢者とは安定した信頼関係を築くことが大切です。


認知症高齢者の場合、本人も新しい情報を覚えられないことなどに不安を抱えていることが多いので、できる限り、介護従事者との関係に変化がないことが大切です。したがって、できる限り特定の介護従事者との間に安定した信頼関係(ラポール)を築けるような努力が必要です。


▢ 24.認知症対応型共同生活介護は、家庭的環境と地域住民との交流の下でサービスを提供します。


認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)は、居室は原則として個室で、家庭に近い環境で「その人らしさ」を大切に生活します。一日の日課はなく、個々人のペースを尊重している。家事を行ったりする程度の適度な刺激は認知症の進行を抑える効果があります。


▢ 25.参加拒否や居眠りの場合は無理強いをせず、自主的な参加を促すように働きかけます。


認知症高齢者の場合、居眠りをしたり拒否したりするなど援助者の予期しない反応が返ってくることもあります。そうした場合には、利用者が楽しめなければレクリエーションではないと考え、決して無理強いをせずに自主的な参加を促すように働きかけます。


▢ 26.認知症対応型通所介護は、認知症がある要介護者を対象にした地域密着型サービスです。


認知症がある要介護者を対象にした地域密着型サービスには認知症対応型通所介護と認知症対応型共同生活介護があります。
どちらのサービスも利用者に認知症があることを利用要件としているが、認知症の原因疾患が急性の状態にある者は対象外となります。認知症対応型共同生活介護では、少人数での共同生活を営むことに支障がないことも要件に含まれています。


認知症への支援


▢ 27.家族の悩みは些細なことと思われても傾聴し、指示的な言動は避けます。


介護福祉士は家族介護者への支援もその業務であるから、家族の訴えは、些細なことと思われる場合にもおろそかにせず、受容的な態度でじっくりと傾聴することが大切です。
家族は利用者への愛情から、できる限りの介護をしています。家族の心情を理解し、さまざまなサービスの情報やより良い介助方法等の助言や指導を行う必要があるが、非難をしてはならない。


▢ 28.家族だけの介護は共倒れになることがあるので、社会資源の活用を助言します。


介護が長期間にわたる場合、家族の負担は相当重くなります。介護疲れで家族までもが倒れる事態もあり得る。場合によっては高齢者虐待につながることもあり得るので、介護従事者は注意深く見守り、できる限り社会資源を活用して介護負担を軽減するように助言します。

10 介護福祉士


障害の基礎


▢1.国際生活機能分類(lCF)は、医学モデルと社会モデルの統合モデルです。


医学モデルは、障害を病気や外傷などから直接生じる個人の問題ととらえ、医学的な支援(治療)を重視するものです。対して、社会モデルは、障害を社会的な環境によって作り出された問題とみなし、社会への参加を社会全体の責任であると考え、政治的な解決を重視します。ICFモデルはこの対立する考え方を統合したもので障害者福祉で活用されるようになってきています。


▢2.国際生活機能分類(lCF)は、国際障害分類(lCIDH)の改訂版です。


ICFは1980(昭和55)年にWHOが作成したICIDHの改訂版で、2001(平成13)年に採択されました。ICFでは障害をマイナス面からだけではなく、生活機能という中立的な観点を加えて分類しています。生活機能を、心身機能、身体構造、活動、参加の3側面からとらえ、すべての側面が相互に関係し合う相互作用モデルであり、統合モデルであるといえます。


▢3.障害者とは、障害のために継続的に生活に相当な制限を受ける者です。


「障害者基本法」第2条において、「障害者」とは、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう」と定義されています。障害者基本法によって、初めて精神障害者が障害者施策の対象であることが法律上に明記された。


▢4.身体障害者福祉法上、身体障害者は身体障害者手帳の交付を受けた者です。


身体障害者とは、「身体上の障害がある十八歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう」と、定義されている(身体障害者福祉法第4条)。したがって、身体障害者福祉法上の身体障害者は、身体障害者手帳の交付を受けた者です。なお、身体障害者障害程度等級表で障害程度は1~7級に分類され、手帳は1~6級に交付されます。


▢5.肝臓機能障害は身体障害の対象です。


2010(平成22)年4月1日から身体障害者福祉法上の身体障害の対象に「肝臓機能障害」が追加されました。身体障害者手帳の交付対象になるとともに、肝臓移植手術、肝臓移植後の抗免疫療法等が自立支援医療の対象となった。


▢6.内部障害は、身体障害者福祉法に定められています。


身体障害者福祉法では、内部障害を、心臓・腎臓・肝臓・呼吸器・膀胱または直腸・小腸における機能障害とヒト免疫不全ウイルス(HⅣ)による免疫機能障害に分類しています。


▢7.療育手帳は、都道府県が交付します。


療育手帳は知的障害児・者に交付されます。児童相談所(18歳未満)または知的障害者更生相談所(18歳以上)において知的障害と判定された場合に、都道府県知事または政令指定都市または中核市の市長から交付されます。手帳には障害の程度が記載され、原則として2年ごとにその判定を行うことになっています。


▢8.精神障害者保健福祉手帳は、1級から3級までの区別があります。


「精神障害者保健福祉手帳」は、精神障害者の自立と社会参加を支援するために、1995(平成7)年に精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)で規定されました。障害の程度により1~3級に分かれる。また、この手帳の有効期間は2年です。精神障害者保健福祉手帳などの障害者手帳には、写真が貼付されます。


▢9.精神保健福祉法で定義する精神障害者には、知的障害者が含まれています。


精神保健福祉法では、精神障害者を「統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者」と定義しています。定義上、知的障害を含んでいるが、知的障害者は、精神障害者保健福祉手帳の対象にはならない。


▢10.わが国は、2014年1月、障害者権利条約に批准しました。


障害者権利条約は、2006年12月に採択され、2008年5月に発効されました。わが国は2007年9月に署名し、その後、障害者基本法や障害者差別解消法の成立により、国内の法律が条約の水準に達したとして2013年12月に参議院本会議で条約の批准を承認し、2014年1月20日付けで批准した。


▢11.障害者基本計画は2002(平成14)年に策定されました。


2002(平成14)年、障害者基本法に基づき、障害者施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者基本計画が策定されました。計画期間は2003(平成15)年度からの10年間で、2008(平成20)年度からの後期5年間の重点施策実施5か年計画では、地域移行の推進、障害者の職業的自立支援強化等を重点施策としている。これらの長期計画は、「リハビリテーション」と「ノーマライゼーション」を基本理念としています。 


▢12.ソーシャル・インクルージョンは、特別支援教育へつながる理念です。


ソーシャル・インクルージョンは、社会的包摂と訳され、あらゆる人々を援護し、社会の一員として包み支え合うという理念です。近年EUにおいて、社会的に排除された人々の問題が注目され、ソーシャル・インクルージョンはこの問題の解決方法として提示されています。また、障害児教育において、障害児を含め普通学校で教育することなどはこの理念の具体的な表れであり、特別支援教育へとつながっています。


身体障害


▢13.脊髄の損傷で神経伝導路が切れると、下位の神経は機能しない。


外傷や腫瘍などのために脊髄損傷が起きると、損傷を受けた部分より下位の神経が機能しなくなる。例えば、腰髄を損傷した場合は、下肢が麻痺し、排尿排便障害が起きる。頸髄を損傷した場合は、下肢の麻痺と排尿排便障害に加えて、体幹と上肢の麻痺が生じます。
主な麻痺
四肢麻痺は、四肢すべて麻痺、主な原因は頸髄損傷、脳性麻痺
片麻痺は、右または左のどちらか片側麻痺、主な原因は、脳血管麻痺
対麻痺は、両上肢または両下肢麻痺、主な原因は、脊髄損傷


▢14.関節リウマチの症状は朝強く、季節・天候にも左右されます。


関節リウマチの特徴として、朝起きたときの手足のこわばりが強いこと、寒い季節や低気圧によって症状が悪化することが挙げられます。
また、精神的なストレス、感染症、高い湿度などによっても悪化する。


▢15.関節リウマチでは、自助具を使用することで自立度が上がります。


手のこわばりのために手が自由に動かないという症状に対して、例えば、 ドアノブをまわす方式でなくレバー式に替えるなど、自助具や福祉用具の使用によって生活の自立度を上げることができます。


▢16.頸髄損傷者の場合、体温調節機能の障害を伴うことが多い。


頸髄を損傷すると、体温調節機能に障害を受けます。このため、外気温が変動すると体温も変動してしまうので、室内温度の管理が重要です。


▢17.脊髄損傷では褥瘡予防を心がけます。


脊髄を損傷すると、下肢の麻痺、さらに体幹や上肢の麻痺が生じるので寝返りを打つことが困難になり、褥瘡が発生しやすい。褥瘡はできてしまうと悪化しやすいので、定期的な体位変換をするなど、極力予防を心がけます。


▢18.脳性麻痺では、身体状況は変化しても、脳の病変は変わらない。


脳性麻痺は、受胎から生後4週間までに起きた脳の病変による運動・姿勢の異常である。原因となっている病変は、低体重や仮死、黄疸などによる非進行性のものです。ただし、身体状況は成長(加齢)に伴って変化します。


▢19.脳血管疾患後遺症の片麻痺は、脳が損傷を受けた場所の逆側に起きます。


右脳に出血や梗塞による損傷が起きた場合は左片麻痺、左脳に損傷が起きた場合は右片麻痺が生じます。右片麻痺、左片麻痺ともに、麻痺側の感覚機能の障害、筋力の低下、筋の緊張等が起きて歩行障害が起きます。


▢20.脳卒中の後遺症では、麻痺側の筋緊張が強まることが多い。


中枢神経の麻痺では、痙性麻痺という、突っ張った状態になる麻痺が起きやすい。


▢21.脳卒中後遺症は、どちら側の麻痺かによって、その他の障害の見当がつきます。


右側麻痺ならば失語症、左側麻痺ならば空間認識障害をもつことが多い。


▢22.視覚障害は視力と視野の両面から障害認定します。


視覚障害は、身体障害者障害程度等級表において、視力と視野それぞれの程度別に障害の等級が定められています。同じ等級に重複して障害がある場合は、1つ上の障害等級になります。例えば、視力・視野共に4級の障害程度であれば、視力障害3級と認定されます。視覚障害には、盲と弱視(ロービジョン)の2通りがあり、障害程度等級は1~6級まであります。


▢23.視覚障害者をいすに誘導する場合、いすの近くに来たら背もたれに手を移します。


視覚障害者をいすに誘導する場合には、近くまでは、通常のガイドヘルプ(手引き歩行)の方法で誘導します。近くに来たら、利用者の手をいすの背もたれや肘掛けなどに移し、利用者が自分でいすの形や大きさ、座面の位置などを確かめてから座るようにします。


▢24.点字は、凸部を左から右になぞって読む。


点字は、視覚障害者が指先の感触を使って読む字である。6個の点の組み合わせで表示され、読み方は左から右へと読むようにできています。


▢25.部屋の様子は、入口など基点を決めて説明します。


視覚障害者に部屋の様子を説明するときには、位置関係を想像しやすいように入口などを基点に決めて、そこからの位置を説明します。


▢26.ガイドヘルプの場合、介護従事者は視覚障害者の半歩前に立ちます。


ガイドヘルプの場合は、視覚障害者のつまずきの原因とならないように、利用者が白杖(はくじょう)を持っていないほうの側で利用者よりも半歩前に立つ。このとき、利用者には、空いているほうの手で介護従事者の上腕を軽く握ってもらいます。


▢27.室内だけで過ごさず、安全に外出ができるよう介助します。


視覚障害者は、屋外に出ると不安が大きいために、閉じこもりやすい。しかし、できる限り介護従事者が介助し、ノーマルな社会参加ができるように支援します。


▢28.先天性視覚障害では、バーバリズムが生じやすい。


先天性視覚障害者の場合、具体的なイメージをもつために必要な生活体験が欠け、言葉が一人歩きして物事の正確な理解が困難になります。これをバーバリズム(唯言語主義)といいます。


▢29.加齢黄斑変性症は網膜の中心にある黄斑に病変が起きる疾患で、進行すると失明します。


欧米の成人の失明原因の第1位であり、わが国でも増加しています。


▢30.高齢者の難聴は、感音性難聴が多く補聴器の効果は低い。


難聴には、伝音器(外耳から中耳)の障害で補聴器の効果がある伝音性難聴と、感音器(内耳より奥)の障害で補聴器の効果が低い感音性難聴があります。高齢者の難聴は感音性難聴で補聴器の効果が低く、薬剤も有効でない。しかし、他に有効な方法がないので、補聴器をよく調整して用います。


▢31.聴覚障害者本人に情報が理解されていないことも多いので、確認をします。


聴覚障害者の場合、耳から情報が入らない分を他の手段で補うので、介護従事者としては、情報が理解されているか否かを確認したほうがよい。その際には「はい」「いいえ」で答えるクローズド・クエスチョン(閉じられた質問)を用います。


▢32.言いたい内容が言葉にできない状態を運動性失語といいます。


失語症は、脳の言語領域の損傷のために、以前はもっていた言語能力を失い、言語表現ができなくなったり、言語の理解ができなくなったりする疾患です。そのうち、運動性失語(ブローカ失語)は、他人の言葉は理解できるが、自分で言語表現ができない状態をいいます。


▢33.感覚性失語症の人には大きな声で話しても効果はない。


感覚性失語(ウエルニッケ失語)は、失語症のうちで、言葉の意味がわからなくなる状態をいう。相手の話の意味がわからず、本人も言葉の発声は流暢であるが、言っている内容が支離滅裂になります。したがって、大きな声を出しても効果はない。


▢34.構音障害の利用者に対しては、発音を訂正させたりしない。


構音障害は、脳の言語領域の損傷ではなく、言語の発声に必要な器官の運動機能の低下や麻痺があるために正しく発音できない状態をいう。発音が不明瞭で上手に話せないことに利用者自身が傷ついているので、介護従事者は発音を直させるなど自尊心を傷つけるような働きかけをしないように気をつけます。


▢35.コミュニケーションには、図や絵、写真なども使い、読話で話が理解されないときは表現を工夫します。


聴覚障害や言語障害のように、言語によるコミュニケーションが難しい場合は、筆談のほか図や絵、写真など、道具を用いてコミュニケーションを図り、表情豊かに接することで補う。
読話は、読み取りにくいこともあるので、話を理解できないような場合には、同じ表現をただ繰り返すのではなく、別の言い方をするなど表現を工夫します。


▢36.心臓機能障害者は便秘になりやすいので、食事・排泄に注意します。


心臓機能障害者は、塩分制限だけでなく、水分制限や運動制限を受けるために、便秘になりやすい。排便のためにいきむことは心臓の負担になるので、食物繊維を豊富に含む食材を選ぶなどの工夫をし、便通に注意します。


▢37.体位ドレナージは、さまざまな体位に移動することによって、効率的に痰の喀出を促進します。


体位ドレナージは、さまざまな体位に移動することによって効率的に痰の喀出を促進する方法であり、痰吸引を実施する際に必要に応じて行うことが大切です。
また、長期療養で気管切開や気管挿管を受けている者に対しては、自力で気道内の分泌物を喀出できない場合も多いので、適宜、痰吸引の実施によって気道を確保します。


▢38.腎臓機能障害者はカリウムと塩分の摂取を制限します。


腎臓機能障害者に対しては、食事療法が必要です。具体的には、塩分、カロリー、たんぱく質、カリウムの摂取を控えます。水分も、尿量に応じて制限します。中等度以上の腎不全では人工透析が必要になります。


▢39.人工肛門は小腸に近い場所にあると水様便になりやすい。


人工肛門(消化管ストマ)は、直腸がんや大腸がん等の手術で肛門が失われた場合に造設されます。人工肛門は小腸に近い位置にあるほど水様便になります。


▢40.尿路ストマの使用では、入浴時に適切な装具を装着します。


尿路ストマは人工膀胱の排泄口のことです。尿が常に流れ出ている状態なので、入浴時にはパウチを装着して尿漏れを防ぐ。また、感染症になりやすいので注意します。


▢41.呼吸器機能障害者の入浴は半身浴が望ましい。


呼吸器機能障害者の場合、全身浴では水圧が胸部にかかり呼吸器に負担になります。したがって、胸部の下までの半身浴が望ましい。なお、心臓機能障害者も同様の理由から半身浴が望まれます。


▢42.呼吸器機能障害者の居室は乾燥しないように留意します。


呼吸器機能障害者の場合、居室が乾燥していると咳が出やすくなり呼吸困難につながるおそれもあります。このため、加湿器などを用いて乾燥を防ぐことが必要です。


▢43.在宅酸素療法(HOT)は、呼吸器機能障害者の在宅療法を可能にしました。


在宅酸素療法(HOT)が開発されたことにより、従来は入院していた呼吸器機能障害者の退院、在宅療法が可能になった。

医師の指示のもとに管理し、酸素の量は医師が判断するため、自分で調節してはならない。酸素ボンベは、爆発のおそれがあるため火気厳禁です。


▢44.知的障害者の診断は知能指数だけでなく、社会適応力など総合的に行われます。


知的障害者は、一般的には、「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)に現れ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」と定義されています。知能指数だけでなく、社会適応力や学習能力など総合的な見地から診断されます。


▢45.知的障害者に対しては本人の興味や意欲を理解し、良好な人間関係を築いて支援します。


知的障害者は知性で物事を判断することが苦手であるが、感受性は豊かです。自分の感情をうまく表現することは困難であっても、感情そのものは敏感であるので大切にします。
生活を援助するためには、本人の能力を引き出すことが大切です。そのためには、本人の興味や意欲を大切にして物事に関れるように支援します。また、良好な人間関係を作れるように支援して社会適応能力を伸ばします。


精神障害(発達障害)


▢46.成人期にはアルコール依存症が生じやすい。


成人期に起こりやすい精神的な問題としては、アルコール依存症、うつ病、燃え尽き症候群などがあります。アルコール依存症は、ストレス解消などを目的として飲酒が続いたために、アルコールの摂取なしには精神的・身体的に正常を保てなくなるものです。社会生活を営めなくなったり、家庭崩壊の原因になるなど、重大な問題を生じやすい。


▢47.空の巣症候群は初老期に起きやすい。


空の巣症候群は、成人した子どもが独立するときなどに親(特に母親)が陥る虚脱状態です。役割喪失感から、うつ状態になったリアルコール依存症になったりしやすい。


▢48.環境の変化がうつ病のきっかけになります。


高齢者には、配偶者など近親者との死別、社会的役割の喪失、経済力の低下、身体の老化などの環境の変化が起きやすい。
こうした喪失体験による精神的な落ち込みが契機となってうつ病を発症することは多い。


▢49.うつ病には医師による治療と周囲の温かい見守りが重要です。


うつ病は、薬剤が有効な精神疾患です。周囲の温かい見守りはもちろん大切であるが、早期に医師の診断を受けることが望ましい。周囲がむやみに励ますことは好ましくないので注意します。なお、うつ病では悲観的・自責的になりやすいため、自殺念慮や自殺企図が生じやすい。興奮状態にある場合には不安を取り除くように接します。


▢50.統合失調症は、社会復帰のために、丁寧な訓練をすることが必要です。


統合失調症は、幻覚や妄想などの症状があり、日常生活に支障をきたす。社会性回復のために日常生活の管理等について、丁寧な訓練をすることが必要です。介護従事者は、病の体験と現実との葛藤があることを理解して支援します。


▢51.てんかんの全般発作では、意識消失が起きやすい。


てんかんは慢性の脳疾患であり、発作には全般発作と部分発作があります。全般発作は脳幹部における発作で意識障害を伴う。部分発作の場合は意識障害を伴わないこともあります。大きい発作のときには安静を保ち、痙攣発作がおさまったら嘔吐物による窒息を避けるために顔を横向きにする。過労や睡眠不足で誘発されることがあるので注意します。


▢52.心的外傷後ストレス障害(PTSD)は恐怖体験などで生じます。


心的外傷後ストレス障害は、大地震や交通事故、テロ事件などのおそろしい体験をした後に起きる精神障害です。心的外傷(トラウマ)を受けた後、潜伏期間を経て、体験した事件を突然生々しく思い出すフラッシュバックや、恐怖感を生じるなどの症状が現れます。


▢53.高次脳機能障害の症状には、遂行機能障害や社会的行動障害などがあります。


高次脳機能障害の場合には、遂行機能障害、社会的行動障害、注意障害、半側空間無視、記憶障害などの症状がみられます。
遂行機能障害は、自分で日常生活や仕事について計画を立てても実行できない
社会的行動障害は、依存傾向や固執性などがある
注意障害は、同時に2つ以上のことをしようとすると混乱する
半側空間無視は、患側の空間に注意を欠き、転倒しやすい


▢54.心理的な原因により症状が身体面に現れます。


心身症は、ストレスなどの心理的な要因で自律神経や内分泌機能のバランスが崩れ、胃潰瘍、高血圧症、喘患などの身体症状を起こすものです。


▢55.幻覚・妄想を否定せず受け入れる。


介護従事者は、幻覚や妄想を頭から否定するのではなく、その利用者にとっての事実としてとらえ、利用者の世界を傷つけないようにゆっくりと話を聴く。


▢56.広汎性発達障害には、小児自閉症、アスペルガー症候群、レット症候群などがあります。


広汎性発達障害は、主に社会性、コミュニケーション能力、思考の発達などに障害がみられ、変化に対する不安が強いという特徴があります。


▢57.自閉症は脳の機能障害が疑われます。


自閉症は、脳の機能障害が疑われる発達障害でおよそ3歳までに症状が現れます。対人関係に困難があり、変化に対応しにくく、決まった行動を繰り返す、言語発達が遅れる等の特徴があります。


▢58.学習障害(LD)は、特定の困難さをもつ障害です。


基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態を指す。


▢59.注意欠陥多動性障害(AD/HD)の症状の1つに衝動性があります。


注意欠陥多動性障害(AD/HD)の症状には、衝動性、極端な多動、注意力の障害などがある。衝動性は、欲求が満たされない場合に示すことが多い。


難病


▢60.特定疾患(いわゆる難病)には、パーキンソン病、全身性エリテマトーデスなどがあります。


特定疾患治療研究事業の対象疾患は、いわゆる難病で、原因不明、治療法が未確立、後遺症を残す可能性が高い、経過が慢性にわたるために、経済的支援また介護が必要などの理由により家族の負担が重い疾患です。神経難病の場合、原因不明で進行性であるので、悲観的になりやすい。介護従事者は、生きがいを見つけるよう支援します。


▢61.パーキンソン病では、振戦・すくみ足・突進歩行・小刻み歩行がみられます。


パーキンソン病は、中脳の病変により運動機能が低下します。主な症状として、本人の意思に関係なく絶え間なく手が震えたり(振戦)、歩こうとしても足が動かなかったり(すくみ足)、動き出すといきなり飛び出してしまったり(突進歩行)、一歩がひどく小またになったり(小刻み歩行)といったことが生じます。


▢62.筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、褥瘡になりやすく、嚥下ができなくなるために、食事も経管栄養が必要になります。


筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、特定疾患に指定されている難病です。運動機能障害が次第に重症化して移動が困難になります。このため、褥瘡になりやすく、体位変換の必要があります。嚥下ができなくなるために食事も経管栄養が必要になり、排尿・排便にも障害が生じ、言語障害も生じます。


▢63.脊髄小脳変性症は、歩行失調(小刻み歩行)や上肢の障害が起きて動きがぎこちなくなります。


脊髄小脳変性症は、特定疾患に指定されており、歩行失調(小刻み歩行)のほか上肢の障害が起きて動きがぎこちなくなる、言語が不明瞭になる、排尿障害・起立性低貧血・発汗障害などの症状が起きます。


障害受容と心理領域


▢64.障害の受容には、時間がかかります。


障害の受容過程は、1.障害を知ったショック期→2.障害を否定したい否認期→3.苦悩と混乱期→4.解決への努力期→5.受容期と分けられます。しかし、このプロセスは「行きつ戻りつ」であり、一本調子に進むものではない。


▢65.障害受容の困難さは、必ずしも障害の程度とは一致しない。


障害をどのように受容できるかは、個々人の価値観。人生観による部分も大きいので、個人差が大きい。障害の程度が軽ければ受容が容易である、というものではない。


▢66.障害者のリハビリテーションへの動機付けには、まず情緒的な安定を図る(全人間的復権)。


障害者がリハビリテーションを行う意欲を高めるには、まず、力ウンセリングなどで、情緒的な安定を図ります。そして、失った機能を嘆くよりも残存機能を生かすことを考えるように支援します。


▢67.中途障害者に関わるには、適応機制について理解します。


適応機制(防衛機制)とは、自我が傷つかないようにしようとする無意識な心の働きです。中途障害者は、それまでの人生において可能であったことができなくなったことから、自分のイメージを保てなくなり、自我が危機的な状況に置かれています。このため、適応機制が働いていることが多いので、利用者理解のためには適応機制について理解することが必要です。
主な適応機制
合理化は、自分に都合のよい理屈をつけて、自分を正当化しようとする
投影は、自分の中にある認めたくない欲求や感情を、他人の中に見いだして攻撃する
反動形成は、自分の本当の欲求とは正反対の行動をとる
補償は、他の人との間に生じる劣等感情を、他のことにおける優越感情で補おうとする


▢68.障害受容の過程において抑圧がみられる場合があります。


抑圧とは、適応機制の1つであり、認めたくない欲求、不安、苦痛を意識下にとどめ、意識にのぼらないようにすることを指します。

11 介護福祉士


こころとからだのしくみ


▢ 1.記憶には「短期記憶」と「長期記憶」があります。


短期記憶はごく短時間だけ情報を保持するもので、加齢の影響を受けにくい。長期記憶は長期間にわたって情報を保持するものであるが、長期記憶のうち、エピソード記憶、特に比較的最近の出来事(近時記憶)については加齢の影響を受けやすい。意味記憶、手続き記憶、かなり時間が経過した出来事(遠隔記憶)については能力が低下しにくい。このため認知症の高齢者であっても若い頃のことはよく覚えています。


▢ 2.マズローは、人間の欲求を5段階に階層化しました。


欲求(動機)の階層は、
1.生理的欲求
2.安全と安定の欲求
3.所属と愛情の欲求
4.自尊と尊敬の欲求
5.自己実現の欲求


▢ 3.記憶には、記名・保持・再生の3過程があります。


記銘はある経験を覚えこむこと、保持はそれを蓄えておくこと、再生は必要な場合にそれを思い出すことです。記憶はこの3過程からできています。


▢ 4.感情には、情緒・情動、気分、情操・価値観の3つの側面があります。


感情とは、事象や状況について意味づけを行う心理面における機能的概念です。悲しみや怒りなどの主観的な体験は、生理的反応や身体的な表出が現れることによって、他者に認知されます。
情緒は、環境刺激への反応として生じる一過性の意識体験
気分は、ある期間持続する感情を指し、その者が行動を起こして認識を深める動因になる
情操は、社会的または文化的な価値観をもつ対象に向けられた反応


▢ 5.脳は、大脳、小脳、脳幹に大別されます。


大脳には、大脳皮質・大脳辺縁系、大脳基底核があります。大脳皮質は、右半球と左半球に分かれ、それぞれが、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉の4部位に分かれています。
前頭葉は、思考、判断、記憶、計算
運動中枢は、口・舌・手足の働きの調節
頭頂葉は、皮膚・知覚等の感覚の調節
側頭葉は、音、情緒、感情等の調節
後頭葉は、視覚調節
運動性言語中枢は、話す言葉の調節
感覚性言語中枢は、言語理解


▢ 6.肘関節と手関節の間を前腕といいます。


肘(ちゅう)関節から手関節(手首)までが前腕です。前腕には橈骨(とうこつ)親指側と尺骨(小指側)があり、撓骨は高齢者が骨折しやすい骨です。なお、肘関節から肩関節までは上腕といいます。
高齢者には、脊椎圧迫骨折、撓骨骨折、大腿骨頸部骨折が多くみられます。


▢ 7.膵臓は外分泌腺とランゲルハンス島からなる。


外分泌腺は、消化酵素を十二指腸内へ分泌し、ランゲルハンス島は、インシュリンやグルカゴンなどを分泌します。


▢ 8.胸部と腹部は横隔膜によって分けられます。


横隔膜は胸部下口を閉じる膜です。横隔膜より上部が胸部(心臓や肺がある)、下部が腹部(消化器や生殖器がある)となる。


▢ 9.腎臓は背側にあります。


腎臓は腰椎の左右に一対ある泌尿器であり、背側
に位置しています。


▢ 10.坐骨神経は大腿部を走行しています。


坐骨神経は、末梢神経の中で最も太く長い神経です。腰椎の下から始まり、大腿部を通って下肢の知覚や運動をつかさどる。


▢ 11.大腿四頭筋が収縮すると膝関節が伸びます。


大腿四頭筋は膝関節の上部、大腿部の前面にあり、大腿四頭筋が収縮する(縮む)と膝関節が伸展(伸びる)します。このとき、背面にある大腿二頭筋は弛緩(ゆるむ)しています。逆に、大腿四頭筋が弛緩し、大腿二頭筋が収縮するとき、膝が屈曲します。


▢ 12.上腕三頭筋が収縮すると肘関節が伸びます。


上腕三頭筋は肘関節の上部、背面にあり、上腕三頭筋が収縮すると肘関節は伸展します。このとき、前面にある上腕二頭筋は弛緩しています。逆に上腕三頭筋が弛緩し、上腕二頭筋が収縮すると肘関節は屈曲します。


▢ 13.撓骨神経は上腕部から前腕部を走行しています。


撓骨神経は、上腕部から前腕部親指側を通っています。上肢の知覚や運動をつかさどる。


▢ 14.大動脈は左心室から出ます。


血液の流れは次のようになっている。
心臓は1回の収縮で約70~100mlの血液を送り出す。赤血球が酸素運搬を担います。


▢ 15.高齢者の高血圧症では、日内変動が大きく、正常なリズムを示さないことが多い。


高齢者が入浴する場合、浴室と脱衣所の温度差が大きいと心臓に負荷がかかり、血圧が変動しやすい。そのため、浴室と脱衣所の温度差が小さくなるように温度調節をこまめに行います。


▢ 16.不感蒸泄とは、皮膚や呼吸からの蒸発によって水分が失われるものをいいます。


体温は、身体から水分を蒸発させて調節しており、この蒸発には、不感蒸泄と発汗があります。不感蒸泄よりも発汗の方が、体温を大きく調節する機能があります。汗は、水とナトリウムなどの電解質を成分として含んでおり、血液からつくられます。


日常生活に関連したこころとからだのしくみ


▢ 17.たんぱく質は生体組織を構成し、生体機能の調整・エネルギーの供給を行います。


たんぱく質は、筋肉・臓器などを形成し、酵素・血液・ホルモンをつくります。また、エネルギー源として、1g当たり約4kcalの熱量を供給します。肉・魚・豆・卵などに多く含まれ、中でも必須アミノ酸と呼ばれる体内で合成できない9種類のアミノ酸については、食品から摂取することが必要です。


▢ 18.脂質は生体組織を構成し、エネルギーを供給します。


脂質は、中性脂肪、リン脂質、コレステロールなどを含み、皮下脂肪などを構成します。脂溶性ビタミンの摂取にも必要であるが、1g当たり約9kcalの熱量を供給するので、摂り過ぎは肥満の原因となります。総エネルギー摂取量の20~ 25%を目標とします。


▢ 19.無機質は生体組織を構成し、生体機能の調節をします。


カルシウム、マグネシウム、鉄、カリウム等の無機質はミネラルともいわれ、カルシウムが歯や骨を形成し、鉄分が赤血球のヘモグロビンの成分になるなど、たんぱく質などと共に人体を構成しています。また、カリウムは細胞内液の浸透圧、pHを調節するなど生体機能の調整をします。


▢ 20.日本人の食塩摂取目標量は、1 日当たり男性9.0g未満、女性7.5g未満です。


食塩を摂りすぎると、高血圧など生活習慣病の原因になるので、摂取を控えることが望ましい。「日本人の食事摂取基準」では、1日当たリナトリウム(食塩)の目標摂取量は男性9.Og未満、女性7.5g未満であるが、実際には、減少傾向ではあるものの、「2011(平成23)年国民健康・栄養調査結果の概要」では男性11.4g、女性9.6gで、目標量を超えています。


▢ 21.ビタミンは生体機能を調整します。


ビタミンによる生体機能の調整
ビタミンAは、視覚機能と成長機能の調整
ビタミンEは、細胞の老化防止
ビタミンCは、体内の酸化還元


▢ 22.食物繊維の摂取目標量は、1日当たり17~19g以上です。


食品中の食物繊維は消化されない。整腸、有毒物質の排泄を促す、食後の血糖上昇を抑制するなどの作用があるため、目標量として1日男性19g、女1生17g以上を摂取します。


▢ 23.70歳以上のカルシウム摂取推奨量は、1日当たり男性722mg、女性622mgです。


高齢になると、骨粗鬆症などの予防を図るために多くのカルシウム摂取を必要とします。70歳以上では、1日当たり男性722mg、女性622mgを推奨量として積極的に摂取します。


▢ 24.高齢者は咳反射が低下し、誤嚥を引き起こしやすくなります。


咳反射とは、誤って気管に異物が入った場合に、その異物を排出するために激しく咳込むことをいいます。高齢者は、この咳反射の機能が低下しているため誤嚥や誤嚥性肺炎を起こしやすい。


▢ 25.食物を認知して口に入れ、咽頭と食道を経て胃に入れるまでの過程を摂食・嚥下といいます。


摂食・嚥下の5分類
行期(認知期)は、何をどう食べるか判断する時期。認知機能が影響する。食物のにおいや色形などを認知し、経験から味を想像する。判断に基づいて、唾液が分泌され摂取に向けて身体が準備する
準備期(咀嚼期)は、食物を口に入れて噛み砕き唾液と混ぜて、食塊に整える時期
口腔期(嚥下第1期)は、食塊を□腔から咽頭へ送り出す時期。主に舌によって、食塊が□腔から咽頭へ移送される
因頭期(嚥下第2期)は、食塊を咽頭から食道へ送り出す時期。軟口蓋が鼻腔を塞ぎ、晦下反射によって食塊が咽頭を通過する
食道期(嚥下第3期)は、食塊を食道入り口から胃へ送り出す時期。食道と胃の境目には下部食道括約筋があり、胃から食道への逆流を防いでいる。不随意的な運動である。


▢ 26.入浴には、生理的効果、心理的効果、社会的効果があります。


入浴により、生理的効果(心肺機能や利尿作用の促進、感染予防等)、心理的な効果(爽快感の獲得、リラックス効果等)、社会的な効果(清潔保持により社会参加がしやすくなる等)などの効果が得られます。また、入浴には、温熱作用、静水圧作用、浮力作用の3つの作用があります。42度以上の高温による入浴は、筋肉が収縮します。


▢ 27.レム睡眠では脳は覚醒に近い状態です。


睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠を約90分間周期でくり返すリズムがあります。レム睡眠では、身体は眠っているのに脳は覚醒に近い状態であり、夢を見ることが多い。ノンレム睡眠は身体も脳もぐっすりと眠っている状態です。
よい睡眠のためには、生活にメリハリをつけ、身体を動かし、生活リズムを整えます。


▢ 28.睡眠不足は、歩行時の転倒や転落などの事故につながるおそれもあります。


睡眠不足は、集中力や注意力などの低下につながりやすく、歩行時の転倒や転落などの事故につながるおそれもあります。高齢者の場合には、睡眠不足が事故につながるリスクがより高まります。
また、認知症が認められる高齢者の場合、夜間の不眠だけでなく、午睡が増え、昼夜逆転をきたしやすい傾向にあります。


▢ 29.睡眠時無呼吸が認められる場合、睡眠障害や睡眠の質の低下につながりやすい。


睡眠時無呼吸が認めらねる場合、中途覚醒などの睡眠障害や睡眠の質の低下につながりやすく、昼間に眠気を感じることが多くなる傾向にある。


▢ 30.臨床的な死の三大兆候は、心停止、自発的呼吸停止、瞳孔散大です。


死の定義は、生物学的な死(生理機能が不可逆的に停止)、法律上の死(死亡診断書の発行)、臨床的な死(三大兆候の確認)によって異なる。危篤状態になると、呼吸は深さや間隔が乱れ(チェーンストーン呼吸、肩呼吸、下顎呼吸等になる)、体温・血圧・脈拍の低下、チアノーゼ、喘鳴などの兆候が現れます。


▢ 31.キューブラー・ロスは、終末期の患者の心理過程を「否認」「怒り」「取引」「抑うつ」「受容」の5段階に分けた。


死の受容の5段階
否認は、自分の死期が近いことを受け入れられず否定する時期
怒りは、「なぜ自分が死ななければならないのか」と怒りを抱く時期
取引は、「何でもしますから助けてください」というように、奇蹟を願う時期
抑うつは、自分が死から逃れられないことを悟り、絶望して抑うつ状態になる時期
受容は、死んでゆくことを自然の理として受け入れられるようになる時期

介護福祉士試験 重要項目 らくらく丸暗記BOOK

2022年3月28日 発行 初版

著  者:上野和夫
発  行:合同会社想い研究所

bb_B_00173167
bcck: http://bccks.jp/bcck/00173167/info
user: http://bccks.jp/user/150447
format:#002y

Powered by BCCKS

株式会社BCCKS
〒141-0021
東京都品川区上大崎 1-5-5 201
contact@bccks.jp
http://bccks.jp

上野和夫

「資格試験のペネトレイト」で医療・介護・福祉の仕事に携わる方に必須の資格取得のお手伝いをしています。 私は、薬剤師、社会福祉士、介護支援専門員の免許を持っていますが、現在は薬剤師の仕事に従事しています。 資格試験合格のノウハウは1つ、シンプルな学習が大切、そのための教材を公開しています。 ホームページ「資格試験のペネトレイト」http://penetrateblog.com/に教材の販売コーナーと無料の問題集を集めた棚を提供しています。 私と一緒に資格試験合格を目指しましょう。

jacket