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社会福祉士試験 合格のための 重要事項短文集暗記BOOK

上野和夫

ペネトレイト



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 目 次 ※このエントリを使う場合は「記事非表示」チェックを外してください

目次

本書について
社会福祉士ガイダンス
人体の構造と機能及び疾病
心理学理論と心理的支援
社会理論と社会システム
現代社会と福祉
地域福祉の理論と方法
福祉行財政と福祉計画
社会保障
障害者に対する支援と障害者自立支援制度
低所得者に対する支援と生活保護制度
保健医療サービス
権利擁護と成年後見制度
社会調査の基礎
相談援助の基礎と専門職
相談援助の理論と方法
福祉サービスの組織と経営
高齢者に対する支援と介護保険制度
児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
就労支援サービス
更生保護制度

社会福祉士試験 合格のための重要事項短文集 暗記BOOK
ー試験合格には「短文で正しい知識」を身につけることが大切!ー


本書について


本書は、社会福祉士試験の筆記試験によく出題される事項を集めています。


毎年出題される問題の半数以上は過去に出されている内容と同じです。社会福祉士試験の合格ラインは6割以上の正解です。過去の問題をしっかり理解していると、7割以上の点数を取ることができます。ただ、注意しないといけないのは、同じ文章で問いかけているとはかぎらないです。そこで大切なのは、短い文章で正しい内容をしっかりと覚えることが大切です。


短い文章ですので、毎日50の文章を覚えると1月ですべて暗記できます。
読むことにあわせて、耳を使っての短文記憶の努力をされると、さらに短い日数でしっかり暗記することができます。


付属教材として音声テキストを準備していますのでご利用ください。


あとは過去問題集を手に入れて解いてみましょう。問題はスラスラ解けるような感じがします。出題者のワナにはまることがなくなるまで繰り返し過去問題を解いてください。


当社のホームページ(http://penetrateblog.com/)に問題を集めた本棚を準備しています。無料で利用できますので、ぜひトライしてください。すべての問題で合格(7割以上正解で合格)できたら試験に合格できると思います。



社会福祉士試験の申し込みスケジュール


社会福祉士試験の申し込みスケジュールは、以下のようになっています。


①2021年(令和3年)8月上旬:受験の手引を申請
8月上旬から「受験の手引」というものを取り寄せることができます。


初めて受験をする場合は「受験の手引」がなければ試験の申込みができません。
請求にお金はかからないので確実におこないましょう。


※過去の試験(第10回~)で、受験票を受け取った方のうち、確定した証明書を提出した方(受験資格が確定している方)は、インターネットによる受験申し込みができます(PC・スマートフォン・タブレット)。『受験の手引』を取り寄せる必要はありません。


②2021年(令和3年)9月9日〜10月8日:申し込み
申し込み期間は令和3年9月9日から10月8日の約1ヶ月間です。(消印有効)


期間内に忘れず申し込み手続きを済ませましょう。


申し込みができなければ受験自体ができないので、余裕を持って準備し郵送しましょう。


③2021年(令和3年)12月頃:受験票が返送されてくる
無事に申し込みが完了すると、12月ごろに受験番号や試験会場が記載された受験票が返送されます。


内容に誤りがないか確認し、試験当日まで無くさないよう保管しましょう。


④2022年(令和4年)2月6日:受験本番
試験当日です。試験曜日は日曜で全国一斉に実施されます。


積み重ねの成果を発揮しましょう!


⑤2022年(令和4年)3月15日:合格発表
合格発表です。結果はインターネットで確認することができます。


また、受験者に対して結果通知が同日に発送されます。


社会福祉士試験の申し込み方法


つづいて、試験の申込み方法について解説します。


社会福祉士試験の申し込みは、


郵送での申し込み
インターネットでの申し込み 
(過去の試験(第10回~)で、受験票を受け取った方のうち、確定した証明書を提出した方※受験資格が確定している方が対象)
2つの方法があります。


この2つでは出願方法が異なるので、それぞれの場合に分けて見ていきましょう。


1 郵送での申し込み方法
まずは郵送での申し込みについて解説します。


①受験の手引を入手する(ホームページ・はがき)
郵送申し込みの場合は、最初に『受験の手引』を入手する必要があります。


受験の手引は社会福祉振興・試験センターのホームページから取り寄せることができます。


また、受験の手引の請求は郵送はがきでも可能です。


記入例を参考にはがきの裏面に、


郵便番号
住所
氏名
電話番号
必要人数(例:社会福祉士受験の手引1人分)
上記をはっきりと記入し「社会福祉振興・試験センター宛」に郵送しましょう。


精神保健福祉士と同時受験を予定している場合は(精神保健福祉士受験の手引1人分)と併せて記入してください。


送り先
郵便番号:150-0002
住所:東京都渋谷区渋谷1の5の6
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター行


参考: 社会福祉振興・試験センター


②提出書類を準備する
つづいて、受験の手引に同封してある提出書類の記入や、受験料の振り込みなどに取り掛かりましょう。


必要な書類な次のとおりです。


全員が提出するもの
・受験申込書
・受験手数料払込受領証貼付用紙
・受験用写真等確認用紙


初受験者が提出するもの
・卒業証書(見込み含む)
・指定科目履修証明書(大学&短大卒のみ)
・実務経験証明書(実務経験が認められる人のみ)


再受験者が提出するもの
・受験資格確定済申出書
 ※再受験の場合は、一定の要件を満たしてればインターネット申請も可能です。


受験料
受験手数料は以下を参考にしてください。


受験料
社会福祉士(一般受験者) 19,370円
社会福祉士(精神保健福祉士と同時受験者) 16,840円
社会福祉士(科目免除者) 16,230円
払込期限は10月8日(金)までです。


受験手数料は、提出書類が郵送の場合、指定の「コンビニエンスストア専用払込票」を使用しての支払いになります。


③封筒記載の提出先に郵送で提出する
②で用意した書類を受付先に送付します。


届いていないなどのトラブルを防ぐためにも、郵送は郵便窓口から「簡易書留」で郵送することを強くおすすめします。


受験申込書の受付期間は、令和3年9月9日(木)から10月8日(金)までです。


10月8日の消印まで有効ですが、余裕を持って申込みをおこないましょう。


2 インターネットでの申し込み方法
次に、インターネットでの申し込み方法です。


※前提として、インターネットで申し込みをおこなうには「2回目以降の受験で要件を満たした方」が対象となるので注意しましょう。


インターネットの申込期間は2021年9月9日(木)〜10月8日(金)の約1ヶ月間です。


インターネットによる申し込み手順は次のとおりです。


① 申込みに必要なものを準備する
申し込みには次のものが必要です。


メールアドレス
 
過去の受験票または結果通知(「受験回」「受験番号」が分かるもの)
※複数回受験者は直近のもの
 
顔写真データ(幅665・高さ915ピクセル・JPEG形式に限る)
→申込み6ヶ月以内のもの、正面を向き肩から上、脱帽、両目が開き目がはっきり見え、試験中にメガネを着用する場合はメガネを着用


※写真の詳細はこちらで確認できます
以下は該当する方のみ必要です。


クレジットカード情報
(クレジットカード決済を選択する場合)
 
精神保健福祉士登録証に記載された「登録番号」
(試験科目(共通科目)の免除を申請する方)
 
前回受験時の配慮決定通知
(障害のある方などで、受験上の配慮を希望する方)
② 試験センターのホームページにアクセスし必要事項を入力
社会福祉振興・試験センターのホームページで必要事項を入力してください。


申込みはこちらでおこなうことができます。


申込み:社会福祉振興・試験センター


入力事項にしたがって入力事項を記入しましょう。


③受験手数料の支払い
インターネットによる受験申し込みをする方は、クレジットカードまたはコンビニエンスストアでの支払いができます。


申し込みの際の注意点
以上で申し込みは完了ですが、いくつか注意する点があるので解説します。


①インターネット申し込みは過去の受験者が対象
インターネット申し込みは、過去に受験しており以下の条件にあてはまる場合に利用可能です。


過去の試験(第10回~)で、受験票を受け取っている
確定した証明書を提出した方(受験資格が確定している)
上記に該当する方は、「受験の手引」を取り寄せる必要はありません。


手続きを簡略化できるので、対象の方は積極的に活用しましょう。


インターネットによる受験申し込みできるか不明な方、たとえば過去の試験で、「受験票(結果通知)」を受け取ったが、


受験票(結果通知)を紛失してしまった
確定した証明書を提出したか分からない
など、受験申し込みできるかあいまいな方は、下記に問い合わせをして確認することも可能です。


社会福祉振興・試験センター 試験室
電話番号:03-3486-7521
受付時間:9時30分~17時(土曜・日曜・祝日を除く)


問い合わせは、どんなに遅くとも10月1日までに確認しましょう。


参考: 社会福祉振興・試験センター


②受験の手引の請求・申込みは余裕をもって完了する
「受験の手引」申請後、手元に届くまでに数日間かかってしまいます。


どんなに遅くとも締切の一週間前(10月1日まで)には申請を終えましょう。


申込書類についても、必要事項の記入、証明証の準備、受験料の振り込みなどを終えてから書類を送付する必要があります。


申込みは早く済ませ、試験勉強に集中しましょう。


③2021年度(2022年)試験から受験料が上がる
厚生労働省の発表では、2021年度の社会福祉士試験から受験料が上がります。


受験料
社会福祉士(一般受験者) 15,440円→19,370円(+3,930円)
社会福祉士(精神保健福祉士と同時受験者) 13,980円→16,840円(+2,860円)
社会福祉士(科目免除者) 13,020円→16,230円(+3,210円)
と、約3,000円前後受験料が引き上げられます。


とくに2回目以降受験される方は前回より値段が上がってびっくりされるかもしれません。


指定された受験料を用意しコンビニエンスストアなどで支払いを完了しましょう。


まとめ


以上、社会福祉士の申し込みのスケジュール、申込み方法、注意点について解説しました。


インターネットでの申込みは初受験の方はできないので、とくに注意が必要です。


申込みは、何かと手間な部分が多いので早めに必要書類を準備しスケジュールに余裕を持って進めることをおすすめします。


難関といわれる社会福祉士試験、確実に合格を狙うなら対策講座の利用を検討してみてはいかがでしょうか?



1. 人体の構造と機能及び疾病

援助者として、対象者の身体状態を正確に把握し、医療や保健の専門職と迅速な連携をとるためには、人体の構造や疾病に関する基礎知識が必須となります。

<1> 人体の構造と各器官の機能

▢ 1.不感蒸泄とは、呼気や皮膚の表面から自然に排泄される水分のことである。

▢ 2.頸動脈は、首の側面に位置しており、体表から触知することができる。

▢ 3.健康な成人において、血液細胞(赤血球、白血球、血小板)を作り出しているのは骨髄である。

▢ 4.赤血球の主な働きは、ヘモグロビンによる酸素の運搬である。

▢ 5.免疫系には体液性免疫と細胞性免疫があり、T細胞が関係するのは、細胞性免疫で、体液性免疫にはB細胞が関係する。

▢ 6.B細胞は、抗体を産出するなどの役割を担っており、体内に侵入した抗原を間接的に攻撃する。

▢ 7.インスリンは、膵臓のランゲルハンス島β細胞から分泌される。

▢ 8.最低血圧とは、心臓が拡張したときに動脈にかかる圧力をいう。心臓の動きには、血液が心臓に戻ってたまり、広がっている状態の拡張期と、収縮して血液を全身に送り出す収縮期がある。

▢ 9.腸管は、口側より、十二指腸、空腸、回腸、大腸の順序である。

▢ 10.心臓の左の心房と心室の間にある弁を僧帽弁、右の心房と心室の間にある弁を三尖弁という。

▢ 11.肺は、胸壁の各種筋肉と横隔膜の連携で、呼吸運動を毎分約12~18回繰り返している。肺が自ら収縮・拡張を行っているわけではない。

▢ 12.気管は喉頭蓋、甲状軟骨、輪状軟骨、披裂軟骨で構成され、食道の前方に位置する。 

▢ 13.喉頭蓋には、嚥下する瞬間に気管に蓋をするような機能があり、誤嚥を防止している。

▢ 14.脳幹は、上部から中脳・橋・延髄の順に並んでいる。

▢ 15.大脳のうち、前頭葉は、主に計画、判断、評価、創造などの高次精神活動に関係する。頭頂葉は、身体位置の空間的認識に関係するものである。

▢ 16.交感神経は、心臓の拍動を速め、瞳孔拡大を促す。副交感神経はそれらを抑制する働きをする。

▢ 17.筋肉線維には、内臓などの筋肉を構成する平滑筋と、骨格筋を構成する横紋筋がある。このうち随意的に動くのが横紋筋で、不随意的なものが平滑筋である。

▢ 18.瞳孔は、虹彩の中央にある丸くて黒い部分である。虹彩の収縮によって光の量を調節する。

▢ 19.三半規管は内耳の中にある。耳の構造は外耳と中耳の境目に鼓膜があり、中耳と内耳の間には鼓室がある。その奥に内耳がある。

<2> 高齢者の身体・精神の特徴と疾患

▢ 20.高齢者の疾患の特徴には、個人差が大きい、慢性の疾患が多い、症状が非定型的である点が挙げられる。

▢ 21.生理的老化の特徴のひとつに不可逆性(進行性)がある。

▢ 22.高齢男性の尿失禁の多くは、溢流性尿失禁である。高齢女性の尿失禁の多くは、腹圧性尿失禁である。腹圧性尿失禁では、くしゃみ、咳、笑った時、運動時など腹圧が上昇した際に少量の尿が漏れ出す。

▢ 23.前立腺肥大症の初発症状は、夜間頻尿、残尿感である。その後、尿の出だしが遅くなったり、放出力が減退したりするようになり、進行すると最終的に慢性的な尿閉状態となる。

▢ 24.学習や経験などにより獲得された能力に関連する結晶性知能は、60歳頃まで上昇を続けるが、新しい情報を獲得して適切な処理を行う流動性知能は、加齢とともに低下していくとされている。

▢ 25.加齢に伴い、収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)の差は大きくなる。これは心臓の収縮期血圧は上昇するが、拡張期血圧の変化は少ないので脈圧(収縮期血圧と拡張期血圧の差)が大きくなるためである。

▢ 26.老人性難聴では、高音領域から聴力が低下する傾向にある。

▢ 27.褥瘡は寝たきりなどにより血流障害が起こり、皮膚のただれや潰瘍をきたす状態をいう。要因としては、低栄養状態や皮膚の湿潤などがある。

▢ 28.前頭側頭型認知症では、人格変化や反社会的行動がみられ、社会のルールや常識的な規範などが分からなくなりやすい。

▢ 29.アルツハイマー型認知症の症状は、少しずつ進行するとされている。発症初期から記憶障害や記銘力の低下、見当識障害などがみられ、理解力や判断力も低下する。

▢ 30.レビー小体型認知症で最も多い幻覚症状は、幻視である。そのほかの特徴には、パーキンソン症状がある。

▢ 31.脳血管性認知症の特徴的な症状には、まだら認知症や感情失禁がある。

▢ 32.骨粗鬆症は、骨量の低下を伴い、骨折しやすい状態に至る。特に女性は、閉経後にエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が低下して、骨のカルシウムが著しく減少する。

▢ 33.変形性関節症とは、股関節、膝関節、肘関節などの大関節に変形、痛み、運動制限が出現する疾患である。膝関節に最も起こりやすい。

▢ 34.誤嚥により起こる肺炎は、誤嚥性肺炎という。沈下性肺炎とは、仰臥位が続くことで、肺の後方に痰などが溜まりやすくなることで起こる肺炎をいう。

▢ 35.白内障では、水晶体が混濁する。緑内障は、眼球の眼圧亢進や視神経乳頭障害により、徐々に視野が欠損する疾患である。

<3> 国際生活機能分類(ICF)と健康の概念

▢ 36.2001年、世界保健機関(WHO)は、国際障害分類(lCIDH)を改訂し、「生活機能」というプラス面に着目した国際生活機能分類(lCF)として採択した。

▢ 37.国際生活機能分類(ICF)で定義されている生活機能とは、心身機能・身体構造、活動、参加の3つの階層(レベル)がある。これらに何らかの問題が生じた状態を、それぞれ機能障害、活動制限、参加制約とし、総称して「障害」と呼ぶ。

▢ 38.国際生活機能分類(ICF)で定義されている活動とは、生きていくうえでのさまざまな生活行為をいい、日常生活動作や人との交流、趣味などを個人が遂行していくことである。

▢ 39.国際生活機能分類(ICF)で定義されている参加制約とは、個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する難しさのことである。

▢ 40.国際生活機能分類(lCF)における背景因子は、個人の人生と生活に関する背景全体を表すもので、環境因子と個人因子の2つの構成要素からなる。

▢ 41.WHO憲章による健康の定義は、「健康とは、完全な肉体的、精神的および社会的福祉(ウェルビーイング)の状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」とされている。

▢ 42.ヘルスプロモーションは、WHO(世界保健機関)が1986年のオタワ憲章で提唱し、21世紀の健康戦略で「人々が自らの健康をコントロールし改善できるようにするプロセス」と定義された。

<4> 代表的な疾患の概要

▢ 43.血友病は、伴性劣性遺伝性疾患で、女性(保因者)によって子孫に伝えられる。ほとんどの場合、男性に発症するが、まれに女性にもみられる。

▢ 44.ダウン症候群は、常染色体異常による疾患である。性染色体異常による疾患には、 ターナー症候群やクラインフェルター症候群がある。

▢ 45.結核は、空気感染の感染症であり、予防にはBCG接種が有効である。手洗いは、接触感染の感染症の予防策として効果的である。

▢ 46.ウイルス性肝炎のうち慢性肝炎に移行しやすいのは、B型とC型である。特にC型は肝硬変や肝がんに移行することが多い。

▢ 47.デング熱は、ダニではなくネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊によって媒介されるデングウイルス感染症である。潜伏期間は2~15日で、突然の発熱、頭痛、結膜充血を伴うことが多い。

▢ 48.ノロウイルスに汚染された衣類の消毒には、流水での手洗いや塩素系漂白剤、加熱などによる対処が有効である。消毒用アルコールなどは無効である。

▢ 49.カンピロバクターは、主に鶏肉によって感染し、症状は腹痛、下痢、発熱である。十分な加熱調理が、食中毒予防に効果的である。流水で洗うと効果があるのは、腸炎ビブリオである。

▢ 50.妊娠初期に、妊婦が風疹に感染したために、出生児に現れる先天性障害を先天性風疹症候群という。胎児に心臓の形態異常や白内障などの網膜の異常、中枢神経系の異常などが現れやすいとされている。

▢ 51.MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、院内感染の原因菌となる。院内感染とは病院内で起こる感染をいい、MRSAはその代表的細菌である。

▢ 52.MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は、病院内で、患者から看護職員などへ感染し、その菌が直接、あるいは間接的に他の患者などに接触感染することが多い。

▢ 53.筋萎縮性側索硬化症(ALS)の初期症状は、手の筋肉の萎縮、脱力などであることが多い。

▢ 54.筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、多くの場合、知的能力は障害されない。また、感覚障害、眼球運動障害、膀胱・直腸障害、褥瘡も、ほとんどみられない(陰性四徴候)。

▢ 55.脊髄小脳変性症は、運動失調を主症状とする進行性の神経疾患である。体幹のふらつき、歩行不安定、言語不明瞭などで、進行すると歩行不能となる。

▢ 56.パーキンソン病は、ドーパミンの産出低下を伴う、原因不明の神経疾患である。治療には、 ドーパミンを補うためにL-ドーパなどが用いられる。

▢ 57.パーキンソン病の特徴的な症状は振戦、無動・寡動、固縮、姿勢反射異常など。また、患者の顔貌は仮面のようであり、歩行の特徴として前傾姿勢、突進現象や小刻み歩行などがみられる。

▢ 58.関節リウマチは、30~50歳代の女性に好発する疾患で、小さな関節の痛みや腫れから始まり、徐々に手首や肩、膝、足首などの関節に痛みや腫れが出現するようになる。朝のこわばりが特徴である。

<5> 生活習慣病

▢ 59.大腸がんなどの一部の生活習慣病には、発症に遺伝要因が関与していると考えられているものがある。

▢ 60.喫煙は、肺がん、肺気腫、狭心症、不整脈、心筋梗塞などを起こしやすくする。それ以外に喫煙は口腔がんや膀胱がんの主要因子でもある。

▢ 61.狭心症の治療薬の代表的なものには、ニトログリセリンのほか、カルシウム拮抗薬やβ遮断薬、アスピリンなどがある。

▢ 62.心筋梗塞は、心筋虚血の状態が長く続いて心筋の血行が完全に途絶え、細胞が死滅した状態をいう。激しい胸の痛みが30分以上続く。

▢ 63.脳出血は脳の血管が破れて出血を起こす疾患で、深い昏睡とともに半身の麻痺が出現する場合が多い。活動中に起こることが多く、症状は急速に進行する。

▢ 64.くも膜下出血で現れる激しい頭痛は、発症時に突然起こる。悪心、嘔吐があり、意識の混濁がみられる。

▢ 65.多発性脳梗塞の症状には、四肢の麻痺、運動機能の障害、視野の異常、言語障害、嚥下障害、頭痛、意識障害などがある。そのほか、認知症やパーキンソン病などの機能障害を引き起こす可能性がある。

▢ 66.若年者に多く発症する糖尿病は、1型糖尿病である。中高年に多く発症するのは、過食・運動不足・肥満・老化などがインスリン分泌低下に加わって発症する2型糖尿病である。

▢ 67.糖尿病を原因とする目の障害としては、糖尿病性網膜症のほかに白内障も多い。

▢ 68.せん妄の原因には、糖尿病の低血糖、薬の副作用、脱水症、感染症、栄養失調などがある。

▢ 69.糖尿病の治療法は、食事療法、運動療法、薬物療法である。

▢ 70.本態性高血圧(一次性高血圧)は、高血圧全体の約85~90%である。高血圧は発症する原因が不明な本態性高血圧と他の疾患や薬剤などの副作用など、原因が明らかな続発性高血圧(二次性高血圧)の2つに分類される。

▢ 71.高血圧は、腎血管病変の最も重要な危険因子である。腎血管病変が進行すると腎硬化症となる。

▢ 72.血液透析導入の原因第1位は糖尿病性腎症、第2位が慢性糸球体腎炎、第3位が腎硬化症である。

▢ 73.メタボリックシンドロームの診断基準は腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上で、加えて① 中性脂肪値が150mg/dL以上か、HDLコレステロール値が40mg/dL未満、またはその両方に該当、② 最高(収縮期)血圧が130mm/Hg以上か、最低(拡張期)血圧が85mm/Hg以上、またはその両方に該当、③ 空腹時の血糖値が110mg/dL以上の3項目のうち2項目以上とされている。

▢ 74.痛風は、血液中の尿酸値が高くなる高尿酸血症になり、針状の尿酸の結晶が関節を刺激することで痛みが生じるものである。空腹時の血液中の尿酸値が7mg/dL以上になると高尿酸血症と判断され、痛風の発症率も高くなる。

<6> 障害の概要

▢ 75.視覚障害とは、可能な限り眼科的治療を施し、眼鏡などで矯正してもなお、長期にわたり一定以上の視機能の低下がある場合をいう。網膜から視覚中枢までの伝達路のどこかに病変がある場合や、損傷を受けた場合に生じる。

▢ 76.聴覚障害のうち、ある程度、音声の識別ができる状態を難聴、ほとんど聴力のない状態を聾という。難聴は、聴覚経路のどの場所に障害を受けているかにより、伝音難聴と感音難聴に分類され、音声の聞こえ方の障害が異なる。

▢ 77.伝音難聴の場合は、小さな音だけが聞き取りにくくなるので、補聴器などにより改善が期待できる。感音難聴では、大きな音が耳に響きすぎたり、 ゆがんで聞こえたりするため、補聴器の適合が困難である。

▢ 78.遂行機能障害は高次脳機能障害のひとつで、言語・記憶・行為などの高次脳機能が保たれているにもかかわらず これらを有効に活用できない障害である。

▢ 79.脳損傷に起因する肢体不自由では、知的障害、感覚・知覚障害、言語障害などの随伴障害を引き起こす例が多い傾向がある。

▢ 80.内部障害とは、心臓機能障害、 じん臓機能障害、吸器機能障害、ぼうこうまたは直腸の機能障害、小腸機能障害、 ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害、肝臓機能障害の7つの障害をいう。

▢ 81.自開スペクトラム症の人の多くは、知能の障害や言語の障害を併せもっている。

▢ 82.限局性学習症(学習障害、LD)とは、知的発達の遅れはみられないが、読む・書く・計算などの習得や使用に困難を示す状態をいう。注意欠如・多動症(注意欠陥多動性障害、ADHD)は、年齢に不釣り合いな不注意・多動性・衝動性を特徴とする障害であり、社会的活動や学業に支障をきたす。

<7> 精神障害とDSM-5

▢ 83.DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)では、何らかの症状がある場合と健常な状態とはつながっているとするスペクトラム(連続体)が取り入れられ、その診断方法として多元的診断(ディメンション診断)が採用された。

▢ 84.DSM-5は、アメリカ精神医学会(APA)が作成しているものである。1952年にDSM-Ⅰが作成され、1968年にDSM-Ⅱが開発されたことに始まり、2013年にDSM-5が出版された。

▢ 85.DSM-5で統合失調症と診断するためには、特徴的症状のうち、2つまたはそれ以上の症状が1ゕ月存在し、障害の持続的な特徴が6か月間存在することがあげられている。

▢ 86.DSM-5で統合失調症と診断するための5つの症状には、① 妄想、② 幻覚、③ まとまりのない発語、④ ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動、⑤ 陰性症状がある。

▢ 87.うつ病では、朝や午前中に状態が悪く、午後や夕方から気分がよくなる日内変動がみられる。

▢ 88.うつ病では、貧困妄想(財産をなくした)、罪責妄想(重大な罪を犯した)、心気妄想(重大な病気にかかっている)などの妄想を呈する。

▢ 89.DSM-5で躁病と診断するには、例えば、3時間眠っただけで十分な休息がとれたと感じるなど、睡眠要求の減少があげられている。

▢ 90.神経性やせ症(神経性無食欲症)のタイプには、「摂食制限型」「過食・排出型」「部分寛解」「完全寛解」がある。

<8> リハビリテーションの概要

▢ 91.リハビリテーションは、利用者の生活機能に関する目標を設定し、それを実現するための計画に従って実行するプロセスである。

▢ 92.リハビリテーションの目的は、全人間的復権(人間らしく生きる権利の回復)である。そのため、見た目では分からない内部障害もその対象となる。

▢ 93.リハビリテーションの目的は、残存能力の活用、QOLの向上を目指すことにある。障害の固定化、関節の拘縮、廃用性萎縮が起きないよう、できるだけ早期にリハビリテーションを開始することが重要である。

▢ 94.リハビリテーション医療には、医師のほか、看護師や理学療法士などさまざまな職種がかかわる。

▢ 95.リハビリテーションを担う職種には、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが含まれる。

▢ 96.1986年の国際リハビリテーション協会(RI)の定義では、「社会的リハビリテーションとは、社会生活力(SFA)を高めることを目的としたプロセスである」とされている。

▢ 97.廃用症候群には、筋萎縮、関節拘縮、起立性低血圧などがあり、 それぞれの症状に応じて、筋力増強訓練や関節可動域訓練などのリハビリテーションを実施し、 その予防や改善を図る。

2. 心理学理論と心理的支援

心理学の各理論を押さえるだけでなく、各技法についても実践に応用できるレベルまで理解を深めておきましょう。

<1> 心理学の発展過程

▢ 98.1879年、ドイツのライプチヒ大学の哲学部に、ヴントが世界最初の心理学実験室を開設した。

▢ 99.フェヒナーは、内的な感覚量は外界の刺激量の対数に比例して増大するという、 フェヒナーの法則を提唱した。

▢ 100.ゲシュタルト心理学は、心理現象を全体としてのまとまりを持っているものとして、全体の特性からとらえるべきであるという理論に立っている。

▢ 101.初期のゲシュタルト心理学は、知覚・思考・記憶などの実験心理学的な研究が中心であったが、 レヴィンによって研究対象が要求・情緒・パーソナリティ・社会心理の問題に拡大された。

▢ 102.ワトソンは、意識のような主観的経験を研究対象から除き、客観的な刺激とそれに導かれる反応の因果関係を明らかにする行動主義心理学を提唱した。

▢ 103.ワトソンは、刺激(S)と反応(R)のみを研究の対象とし、生得性よりも環境的要因を重要視した。

▢ 104.以前の心理学は意識を対象としていたが、フロイトは、抑圧された無意識を理解することが人間理解につながるという精神分析学を提唱した。 

▢ 105.ユングは、個人的体験などによらないすべての人に共通な無意識(普遍的無意識)があると仮定し、それが夢や内的イメージを作り出すと考えた。

<2> 人の心理学的理解(1)

▢ 106.情動は、急激に生起し数秒間で消失する。気分はある期間持続するもので、必ずしも明確な対象があって生じるというものではない。

▢ 107.外部からの報酬や罰による動機づけを外発的動機づけという。対して、行動や活動することそのものが喜びや満足となるような行動の動機づけを内発的機づけという。

▢ 108.マズローは、人間の欲求を上位の欲求から順に、自己実現の欲求、自尊の欲求、愛情と所属の欲求、安全の欲求、生理的欲求の5段階に階層付けた。

▢ 109.試験に失敗したときに、勉強不足に原因があるとするのは、原因帰属の内的帰属に該当する。

▢ 110.視野の中で形として浮き出て見える部分を図といい、背景となって見える部分を地という。図と地の分化(分離)という現象は、知覚の成立の基本となる。

▢ 111.目や耳などの感覚器には、光や音以外にも「眼球をおすと光が見える」などの感覚を生じさせる刺激があり、こうした刺激を不適刺激という。適刺激とは、特定の感覚器に感覚を生じさせる上で特に適合したタイプの刺激をいう。目にとっては光が、耳には音が適刺激である。

▢ 112.知覚の恒常性とは、物理的刺激の変化にもかかわらず、そのものの性質を同一に保とうとする知覚の働きである。

▢ 113.錯視とは、知覚される状態と実際の物理的な状態の間に差異が生じている状態をいう。中空にある月より地平線に近い月の方が大きく見える。これは「月の錯視」と呼ばれるものである。

<3> 人の心理学的理解(2)

▢ 114.学習理論は、条件づけの連合説と試行錯誤、洞察などの認知説によって説明される。

▢ 115.レモンを心の中でイメージしていると、次第に唾液が出てきた。これはレスポンデント(古典的)条件づけである。オペラント(道具的)条件づけは自発的反応に対する条件づけである。

▢ 116.狭い箱に入れられた猫は脱出しようとしていろいろ試みたが、紐を引っ張ると出口が開くことを覚えた後は、箱に入れられるとすぐに紐を引っ張った。これは試行錯誤学習である。洞察学習は、ケーラーによって主張された理論である。

▢ 117.過去の学習や経験を適用して得られた判断力や習慣のことを結晶性知能という。

▢ 118.記憶とは、新しいことを覚える記銘、それを一定の期間覚えておく保持、覚えた情報を思い出す想起という一連の過程をいう。想起には、再生および再認の過程がある。

▢ 119.手続き記憶とは、自転車に乗ったり楽器を演奏したりするときの技能に関する記憶である。感覚記憶は外部からの刺激の視覚的特徴などを抽出し、最大1、2秒程度保持される意識されない記憶である。

▢ 120.エピソード記憶は、「いつ、どこで、何を」といった個人的経験の記憶である。愛知県の県庁所在地は、名古屋市であるという記憶は、意味記憶である。

▢ 121.作動記憶(ワーキングメモリ)とは、短期記憶の概念を発展させたもので、短期記憶が、情報の短期貯蔵庫としての機能を重視しているのに対し、作動記憶は、情報の処理機能を重視したものである。

▢ 122.長期記憶の記憶容量は無限大とされており、再生の繰り返しにより永続的に保持される。

▢ 123.手続き記憶とは、 自動車の運転など、意識しなくてもできる、技能やノウハウについての記憶をいう。将来の約束や予定についての記憶は、展望記憶と呼ばれる。

▢ 124.ハロー効果とは、あるひとつのことに優れていると、他のことでも優れていると評価してしまうことで、マイナスの方向へ作用する場合もある。

▢ 125.リーダーシップのPM理論によれば、pM型は、集団を維持・強化する能力はあるが、課題遂行能力が低いリーダーシップ型に分類される。Pm型は、集団を維持・強化する能力は低いが、課題遂行能力があるリーダーシップ型に分類される。

▢ 126.抑圧とは、実現困難な欲求や苦痛な体験などを心の中に押さえ込んでしまうことをいう。退行とは、現在の発達段階より下の発達段階に逆戻りして、未熟な言動を行うことをいう。

▢ 127.置き換えとは、ある受け入れがたい感情、欲求を、受け入れやすい関連のある対象に振り向けることをいう。同一視(同一化)とは、望ましいと思われる性質を自分のものであるかのようにみなし、満足や安定を得ようとすることをいう。

▢ 128.取り入れとは、他者の考えや価値観、感情などを自分の考え・価値観・感情として取り込もうとすることをいう。飛行機事故をいつも心配していた。しかし、事故の確率は極めて低いと考え、不安な気持ちを静めた。これを知性化という。

▢ 129.投影とは、自分の中の認めがたい感情・欲求を、外的対象(他者、事物)の属性であると見なすことである。苦手な人に対していつもより過剰に優しくした。これを反動形成という。

▢ 130.補償とは、不得意な面を他の面で補おうとすることをいう。攻撃衝動を解消するためにボクシングを始めた。これを昇華という。

<4> 人の成長・発達と心理

▢ 131.ゲゼルは、双生児を使った実験で、早い段階から訓練するよりも、十分に成熟してからのほうが効果的であることを立証し、訓練・学習に対するレディネス(準備状態)が重要とする成熟優位説を唱えた。

▢ 132.環境優位説は、学習優位説ともいい、発達における環境と学習の働きを重視する。出生前の経験は重視されない。環境優位説を唱えたのはワトソンである。

▢ 133.ボウルビィは、特定の人物に向けて焦点化された愛着の結び付きをアタッチメントと呼んだ。ローレンツは、刷り込み現象を報告した。

▢ 134.ヴィゴッキーは、子どもの知的発達には、他者からの援助などによって達成が可能な水準と、独力で問題解決できる水準があると考え、それらの差異である発達の最近接領域に働きかける教育が、子どもの知的発達に有効であるとしている。

▢ 135.ピアジェは、人間の発達段階を、感覚運動期(出生~2歳頃)、前操作期(2~6、7歳頃)、具体的操作期(6、7~ 11、12歳頃)、形式的操作期(11、12歳以降)の4段階に分類している。物の形状や配置の見た目が変化しても、その物の数や量は一定である、という保存の概念が理解できるようになるのは、具体的操作期である。

▢ 136.フロイトは、性的エネルギーのリビドーが、各発達段階でどのように充足されたかによって人のパーソナリティの発達が決定されると考え、発達のプロセスを口唇期、肛門期、男根期、潜伏期、性器期の5段階に分類した。

▢ 137.ハヴィガーストは、発達課題は自然に達成されるものではなく、個人の成熟や社会からの圧力に加え、それを達成しようとする個人の願望が必要であるとした。

▢ 138.エリクソンは、心理社会的発達段階を8つに区分し、各段階には特有の危機とその克服があると指摘している。若い成年期の解決すべき基本的課題は「親密性対孤立」である。

▢ 139.自分はどのような人間なのか、などを確立するのは、アイデンティティの達成である。心理・社会的モラトリアムとは、社会から課された役割や義務を猶予する期間のことである。

▢ 140.マーシアは、エリクソンの考え方を発展させて、青年期のアイデンティティの状態(アイデンティティ・ステイタス)を「アイデンティティ発達」「モラトリアム」「早期完了」「同一性拡散」という4つに分類した。

▢ 141.ステューデント・アパシーは、アイデンティティ(自己同一性・自我同一性)の拡散に関連している。

▢ 142.障害発生初期(ショック期)では、起こっていることに実感を持ちにくい。障害が回復不能であることを知らされると、深刻な苦悩、不安、葛藤の感情に襲われるのが一般的である。

<5> 日常生活と心の健康

▢ 143.セリエは、 ストレスを「外界のあらゆる要求に対する身体の非特異的反応」であるとし、 この一連の反応を汎適応症候群と呼んだ。

▢ 144.音楽の発表会であがりそうになったが、課題曲を思い浮かべ演奏のリハーサルをしていたら気分が楽になった。これは問題焦点型コーピングである。情動焦点型コーピングとは、問題に対する気持ちをコントロールしたり変化させたりして、苦痛の軽減を目指すストレス対処法である。

▢ 145.試験の結果が悪かったので、気晴らしのため休日に友人と遊びに出掛けた。これは、情動焦点型コーピングである。問題焦点型コーピングとは、問題を明確にし、別の解決方法を見つけて、ストレッサーを改善し、問題自体を取り除くことを目指すストレス対処法である。

▢ 146.アルコール依存の治療は、アルコールに対する精神依存からの脱却を目的とする。その中心となるのが精神療法であり、個人療法のみならず、集団療法も重視される。断酒会や自助グループのAA(Alcoholics Anonymous)などがあり、断酒の継続に有効である。

▢ 147.マスラックのバーンアウト尺度(MBI)によれば、バーンアウトは、情緒的消耗感(仕事を続ける中で、情緒的に力を出し尽くして消耗してしまった状態)、個人的達成感の低下(仕事に対するやりがいの低下)、脱人格化(職場の人間関係に対する無情で、非人間的な対応)に特徴付けられる。

▢ 148.心的外傷後ストレス障害(PTSD)を受けた人は、ある種の無感覚、感情鈍麻、ひきこもりなどによって、外傷と関連した刺激を持続的に回避しようとする。

<6> 心理検査の概要

▢ 149.CMI(コーネル・メディカル・インデックス)は、精神的側面と身体的側面の両面にわたる自覚症状を測定する検査である。

▢ 150.ウェクスラー式知能検査は言語性検査と動作性検査で構成され、検査結果から知能指数を測定する。成人用、児童用、幼児用がある。年齢別の検査項目を配列している検査は、ビネー式知能検査である。

▢ 151.投影法は、図形などの描かれた曖昧で多義的な刺激を自由に見て、被験者がそれにどのような意味付けをするかを検査者が分析するもので、数値的な診断は不可能で、検査者により判断が異なる場合がある。

▢ 152.ロールシャッハ・テストは人格検査(性格検査)の一種で、インクの染みによってできた、左右対称のテスト図版を10枚見せて、何に見えるかを想像してもらい、その内容から心理状態や性格傾向を判定する方法である。特に対象年齢は限定していない。

▢ 153.TAT(主題統覚検査、絵画統覚検査)は、31枚の図版から、被験者の年齢と性別により選択された20枚で構成される。被験者には、それぞれの図版について過去、現在、未来にわたる物語を自由に語ってもらう。提示された絵を見て作った物語の内容から、隠された欲求やコンプレックスの存在を明らかにする。

▢ 154.MMPl(ミネソタ多面人格目録)は、質問紙法による人格検査である。4種の妥当尺度と10種の臨床尺度、その他の尺度からなる、550の質問項目で構成される。

▢ 155.PFスタディ(絵画欲求不満テスト)は、欲求不満が喚起される場面を描いた絵に対する反応から、性格傾向を把握する検査である。

<7> 個別心理療法

▢ 156.精神分析療法やユング派の心理療法は、夢分析を行い、無意識の意識化を重視する。クライエント(来談者)中心療法は、ロジャーズが創始した技法で、無条件の積極的尊重や共感的理解などが重視される。

▢ 157.カウンセリングにおいては、クライエントの共感的理解が大切である。

▢ 158.言い換えとは、クライエントの話の内容を、主旨を変えずにカウンセラーが自分の言葉に翻訳、意訳して返す技法である。要約は、クライエントの感情を整理するために、カウンセラーがクライエントの話や気持ちの要点を伝え返す技法である。

▢ 159.精神分析療法の特徴として、治療が治療契約・作業同盟のもとで行われることがあげられる。治療契約とは治療の開始に当たり、治療者とクライエントの間でなされる治療方法などの取り決めのこと。

▢ 160.治療関係が進んで、クライエントが親などに向けていた無意識的な感情や葛藤を、治療者に対して向けるようになることを転移という。一方、治療者がクライエントにそうした感情を向けることは逆転移という。

▢ 161.森田正馬により、1920年ころ思案された森田療法は、意識的な自覚を重視しており、神経症に限らず広く活用されている。精神分析療法では、神経症の原因には無意識の欲求の抑圧があると考え、クライエントの抑圧の解消を図ることで症状を取り去ろうとする。

▢ 162.森田療法では、1週間ただひたすら横になって寝る絶対臥褥期を通して「生の欲望」をかきたて、軽作業期では、心身の不調や症状を持ったまま、クライエントはひとりでできる簡単な作業を行い、次の作業期、社会訓練期へと進む。

▢ 163.遊戯療法とは、プレイルームで玩具や道具を使って、治療者が子どもと一緒に遊びながら信頼関係を築き、治療を進めていく方法である。多くは個別療法として行われるが、集団で行われる場合もある。

▢ 164.箱庭療法は、カルフがローエンフェルトの考案した技法をもとに、ユングの理論を取り入れて発展させ、確立した。

▢ 165.箱庭療法において、箱は行動の自由を制限する枠組みであるが、逆にその中は自由を保障された、安心できる空間となりうる。そのため、治療者とクライエントとの信頼関係が重視される。

▢ 166.バウムテストは、スイスの心理学者コッホによって創始された。白画用紙に「実のなる木を描いてくださ い」という教示だけで絵を描かせ、それを評定する投影法のひとつである。また、自由に描くことが肝心であり、上手に描く必要はない。

▢ 167.動作療法は、動作を通じて心理的問題にアプローチをする療法である。脳性麻痺の子どもを対象に始まったが、現在では障害児・者を対象とする福祉分野をはじめ、幅広い分野にわたって適用されている。

▢ 168.ブリーフ・サイコセラピーは、より短期的(ブリーフ)かつ効率的な治療を探究するもので、多様な流派で構成されている。

▢ 169.障害のある子の親に対する心理的支援としては、ピアカウンセリングの機会を提供することが効果的である。ピアカウンセリングは、同じ障害がある者同士やその親同士がカウンセリングを行うことで、互いの問題を分かち合い、成長につなげていく手法である。

▢ 170.音楽療法では、歌唱や楽器演奏などの能動的方法のほか、音楽鑑賞などの受動的方法も用いられる。

<8> 認知療法・行動療法

▢ 171.認知的アプローチは、ベックやエリスらによる認知療法に代表される。認知の過程において生じた歪みに焦点を当て、それを修正していくものである。

▢ 172.認知療法により、うつ病による自己に対する否定的な認知を肯定的に変化させ、気分の変化を促すことが期待できる。

▢ 173.行動療法は、学習理論に基づく反復練習・訓練による再学習を行い、目的とする再学習を行い、目的とする行動の獲得を目指す。

▢ 174.不安や恐怖が生じる状況を回避するのではなく、直面させ続ける技法をエクスポージャー(曝露法)といい、行動療法の技法のひとつである。

▢ 175.自律訓練法では、受動的注意集中状態下で、四肢の重感、四肢の温感、心臓調整、呼吸調整、腹部温感、額部涼感を順に得ることで、心身の状態は緊張から弛緩へ切り替えられる。系統的脱感作法は、不安やストレスを感じる場面を刺激の少ないレベルから想像し、その刺激にリラックスできるように訓練し、刺激を段階的に強めていくものである。

▢ 176.行動療法のシェーピングは、学習理論を応用し、目標となる行動をいくつかのステップに分けて段階的に達成していく技法である。

▢ 177.SST(社会生活技能訓練)は、リバーマンらによって開発された認知行動療法に基づいた技法である。

▢ 178.SST(社会生活技能訓練)は、認知的技法と行動療法を通じて、対人関係を改善する対処法であり、ロールプレイングなどを通して学習した行動を日常生活で般化(普通に使える状態)することを重視している。

<9> 集団心理療法・家族療法

▢ 179.集団心理療法では、集団の持つ相互作用的な力によって感情表出が容易になり、 クライエント同士が共感じ合ったり、自発的な行動が生まれたりする。

▢ 180.心理劇(サイコドラマ)はモレノによって考案された集団心理療法である。具体的に役割を演じる行為を反復表現させることで個人の創造性や自発性の回復を目指す。

▢ 181.心理劇の対象は、うつ病、統合失調症患者のみならず、健常者、治療者まで幅広く用いられる。

▢ 182.ベーシック・エンカウンターグループは、クライエント中心療法の創始者ロジャーズによって1960年代から70年代にかけて導入された。わが国で80年代から行われているものを構成的エンカウンターグループという。

▢ 183.エンカウンターグループは、心理的な問題をもたない人々に対しても、さらなる心理的成長を目指すグループアプローチとして用いられる。集団成員が集団の中で相互に自己を開示し、語り合い、一人ひとりが自己実現に向けて取り組んでいく集団療法である。

▢ 184.回想法は、認知症高齢者の心理的な安定や成長を図ることなどを目的に、幼少期などの音の記憶をたどりながら、これまでの人生を振り返ってもらう心理療法のひとつである。

▢ 185.回想法では、回想を促すために、当時をしのばせる写真・音楽・生活材などを用意するとよい。

▢ 186.心理的な安定と成長を得ることが回想法の目的であり、回想の内容が事実かどうかは重要でない。

▢ 187.リアリティ・オリエンテーションとは、認知症高齢者など見当識障害のある人を対象に、認知能力を高めることを目的に行われる手法である。

▢ 188.自助グループ(セルフヘルプグループ)とは、同様の問題を抱えた人同士が集まり、支え合いながら状況の改善を目指すもので、アルコール問題や薬物依存など人生における危機や変化に対処する人々のグループもある。

▢ 189.自助グループ(セルフヘルプグループ)とは、同様の課題を抱えた人びとが集まって、専門職とは独立して、自らの課題を自らの力で解決していこうとするグループである。

▢ 190.家族療法は、家族をひとつのシステムとして捉える。クライエントの心の問題は家族システムの中で形成されたものと考え、クライエント一人だけでなく、家族全員を対象として治療的に働きかける。

▢ 191.患者と呼ばれる人 (IP : ldentified Patient)は 、家族システムに変化を起こすキー・パーソンではなく、家族システムの救助信号である。家族システムに問題が起こることによりIPが出現する。

▢ 192.構造派家族療法は、家族システム内の構造変化を重視し、世代間の境界がはっきりするようにサブシステムを組み直すアプローチを行う。主な技法として、援助者が家族の交流に仲間入りして協力関係をつくる技法(ジョイニング)などを取り入れている。

▢ 193.戦略派家族療法は、家族にあえて問題行動をさせるなどして(逆説的介入法)、家族同士が相互に働きかけ合うルールや流れを変えて、実用的、現実的な問題解決を図ることを目的としている。

▢ 194.成長派家族療法は、家族心理の過程を自己評価、コミュニケーション、家族システム、家族ルールの4つの要素から成るととらえ、家族ルールを変化させることを重視する。

3. 社会理論と社会システム

この科目は、社会福祉の領域と密接に関連する内容が多く、援助のあり方を考えるうえで、大きな意義を持ちます。この点を踏まえて、学習を進めましょう。

<1> 社会システム

▢ 195.リースマンは、社会的性格を、伝統指向型、内部指向型、他人指向型に分類した。「孤独な群衆」は、他人指向型を示している。

▢ 196.社会指標は、経済指標以外に非貨幣的指標も用いて、社会や国民生活の諸側面の状態を包括的に測定する統計指標である。客観的評価だけではなく、主観的評価も数量化されている。

▢ 197.幸福度指標とは、OECD(経済協力開発機構)が開発した、幸福の度合いを測定する指標である。社会の福祉水準を測定する社会指標である。

▢ 198.ジニ係数とは、所得や資産の不平等あるいは格差をはかるための尺度である。なお、ジニ係数は0から1の間で示され、数値が大きいほどより不平等であることを示す。

▢ 199.ケインズは完全雇用や景気安定のための国家の積極的な市場介入を論じ、ベヴァリッジはそれに加え、社会保障制度の充実が福祉国家完成の要件とした。

▢ 200.個人間または集団において生じる、贈り物などに対する「返礼」の相互行為を互酬性という。互酬性には儀礼的な要素もあり、返礼は等価物に限られない。

▢ 201.パーソンズは、自然状態ではあり得ない社会秩序がなぜ可能となるのかという原理的な問いをホッブス問題として示し、その答えとして、社会システムによる価値や規範の埋め込みを論じた。

<2> 社会変動

▢ 202.19世紀にフランスで活躍したコントは、『実証哲学講義』を著し、人間精神は神学的段階、形而上学的段階、実証的(科学的)段階の三段階を経て進歩するという、三段階の法則を唱えた。

▢ 203.デュルケムは『社会分業論』の中で、近代の産業社会では、機械的連帯(比較的同質の人々が結合)から有機的連帯(異質な個人が分業によって結合)ヘと移行すると唱え、連帯の型の対置を行った。

▢ 204.デュルケムは、経済的繁栄によって人々の欲望が過度に肥大化し、どこまでいっても満足できないアノミーに陥り、それが焦燥感や幻減などをもたらすと考えた。

▢ 205.スペンサーの社会進化論では、近代社会への移行を、強制による軍事型社会から自発性による産業型社会への進化であるととらえた。

▢ 206.社会を生物有機体にたとえて説明する社会有機体論は、コントやスペーサーなどにより提唱された。特にスペンサーは、社会を生物有機体と同質のものととらえ、単純なものから複雑なものへと成長・発展していくと考えた。

▢ 207.カリスマ的支配とは、非日常的な資質の持ち主によって成立する支配体制で、ウェーバーによって提唱された。伝統的支配、合法的支配とならび支配三類型と呼ばれている。

▢ 208.大衆社会論では、「現代社会」について、中間集団の解体によって原子化された個人が一元的に操作される点に特徴を見いだした。中間集団は、村落・職業集団など、国家と個人の間にあって、個人の安定をつくり出す集団。

▢ 209.マンハイムは、大衆社会の人間像を「甲羅のない蟹」と表現した。甲羅のない蟹は、反省を欠き、欲望も抑えず、共同体という防御壁を失った大衆社会の人間像をいう。

▢ 210.フロムは、過度な自由による不安から逃れようとする人々は権威に向かい、強者には従順で、弱者には残虐な権威主義的パーソナリティをみせるとした。

▢ 211.2019年6月末現在(速報値)、わが国における在留外国人数の国籍・地域別では、中国が全体の27.8%を占めて最も多く、以下韓国、ベトナム、フィリピン、ブラジル、ネパールと続いている。

▢ 212.コンピュータの発達は、新たなメディア・リテラシーを必要としているが、それに対応できない中高年世代をテクノストレスに追い込んでいる。メディア・リテラシーとは、コンピュータなどの情報機器を使いこなし、情報を読み取る能力をいう。

▢ 213.2000年の国勢調査時において、65歳以上人口(老年人口)が15歳未満人口(年少人口)を初めて上回った。

▢ 214.日本の人口は、高度経済成長期以降も増加が続いてきたが、2010年の1億2,806万人をピークに増加から減少に転じ、現在まで減少が続いている。

▢ 215.老年人口指数とは、15~64歳の生産年齢人口に対して占める65歳以上人口の比率である。

▢ 216.少子化は、合計特殊出生率が人口置換水準を長期的に下回る状態をいう。人口置換水準とは、人口が増加も減少もしない均衡した状態となる合計特殊出生率の水準のことを指す。

<3> 地域

▢ 217.シカゴ学派のバージェスが提示した同心円地帯理論は、同心円状の構造を持つ都市における中心部の老朽化・貧困化と、経済的に豊かな階層の郊外流出を示す都市の成長過程を図式化したものである。

▢ 218.ウェルマンは、コミュニティ解放論を提唱した。シカゴ学派のワースは、アーバニズム論(都市的生活様式)の中で、都市化による家族や親類、近隣などとのきずなの弱まり、パーソナリティの統合性喪失、孤独感や不安の増大について述べた。

▢ 219.鈴木栄太郎は、結節機関の存在を都市と農村とを区別する標識とし、その集中を都市性の増大、すなわち都市化として規定した。結節機関とは、官庁・寺社・学校・映画館など人々の交流の結節点となるような施設のこと。鈴木栄太郎は、それらが多ければ多いほど都市化が進んでいるとした。

▢ 220.磯村英一は、近代社会の都市生活について、生活の場と職場の分離を前提とし、そのどちらでもない匿名的で非拘束的な場として盛り場などの「第三の空間」概念を提示した。

▢ 221.都市化に伴い、人口流出、高齢化、施設老朽化などにより大都市中心部の周辺地域が衰退化するインナーシティ問題が生じることがある。

▢ 222.限界集落とは、過疎化による人口減少の結果、65歳以上の高齢者が過半数を占め、 もはや集落を維持していくことが困難な状態にある地域のことをいう。

▢ 223.コンパクトシティとは、拡散した都市機能を集約させ、生活圏の再構築を図る都市をいう。テクノポリスとは、先端技術産業を軸として、地方経済の発展を目指す都市をいう。

<4> 社会集団と組織

▢ 224.クーリーは、家族や遊び仲間、地域集団など、対面的で親密な集団を第一次集団と呼んだ。第二次集団とは、学校や会社、組合など、特定の目的、関心、利害に基づき人為的につくられた集団である。

▢ 225.テンニースによれば、ゲゼルシャフトは、大都市や国家など、目的的な選択意志によって形成される集団をいう。一方、ケマインシャフトは、家族や村落など、本質意志に基づく親密な集団である。

▢ 226.インフォーマルグループとは、非公式集団と訳され、メンバーの親密な相互関係を通じて形成される集団である。

▢ 227.マッキーバーは、地域性に基づく共同体(コミュニ ティ)から共通の利害に基づく人工的な集団(アソシエーション)が派生してくるとした。

▢ 228.準拠集団とは、ある個人がそこに所属しているか否かにかかわらず、自己の態度や意見の形成において影響を受ける集団をいう。社会心理学において提起され、マートンによって理論化された。

▢ 229.ヴェーバーは官僚制の特色として、専門的な職員の採用、規則の成文化、没人格的な人間関係、明確な上下関係などをあげた。

▢ 230.ネットワーク組織とは、個人やグループが、固く結び付くのではなく、網の目のように緩くつながっている組織をいう。

▢ 231.現代の非営利組織(NPO)の役割には、第三者的な視点から肥大化する企業や政府の活動を監視していくことや、市場競争の論理への対抗的役割を果たしていくことがある。

<5> 家族

▢ 232.オグバーンは、家族が担っていた経済、教育、宗教、娯楽、保護、地位付与という6つの機能は産業化の中で失われ、愛情機能だけが残されると論じた。

▢ 233.マードックは、家族には性、生殖、経済、教育の4つの機能があり、それらを果たすための必要最小限の単位が核家族であると考えた。

▢ 234.パーソンズは、夫・父親は外に出て生活費を稼ぐという手段的役割を、妻・母親は家族メンバーの情緒面での安定を図るという表出的役割を担うものとし、家庭内役割分担の図式を提示した。

▢ 235.非親族員の場合であっても、同じ住居で暮らし、生計を同じくしていれば、同一の世帯に属することになる。

▢ 236.わが国の国勢調査や家計調査では、家族ではなく世帯という概念が用いられる。国勢調査では、「住居と生計を共にしている人の集まり」「一戸を構えて住んでいる単身者」「間借り・下宿などの単身者」「会社などの独身寮の単身者」などを一般世帯に、「寮・寄宿舎の学生・生徒」「病院・療養所の入院者」「社会施設の入所者」などを施設等の世帯に分類している。

▢ 237.定位家族とは、自分が生まれ育った家族、つまり社会化されていく場である。一方、生殖家族とは、自分が結婚してつくった家族をいう。したがって、夫婦と子からなる家庭を子の立場からみれば定位家族、親夫婦の立場からみれば生殖家族となる。

▢ 238.リトウォクは、「古典的拡大家族」の変形というベき「修正拡大家族」の機能について述べた。修正拡大家族とは、核家族をつくった子どもの世帯と親の世帯とが対等に結び付いて、距離や地位の差があっても互いに協力し合う関係をいう。

▢ 239.ディンクス(DINKs : Double lncome No Kids)とは、子どもがいない共働き夫婦のこと。子どもを持つ共働き夫婦はデュークス(DEWKs : Double Employed With Kids)という。

▢ 240.ステップファミリー(Stepfamily)は、共に暮らすカップルの少なくとも一方が、以前のパートナーとの間にできた子どもを伴っている場合に形成される。

▢ 241.単身赴任者や遠距離の大学通学者などは、家族(親族員)となり、同一家族が複数の世帯に分かれる場合もある。

▢ 242.わが国の世帯規模は、1985年国勢調査では3.17人、1990年では3.01人、1995年では2.85人となっている。これ以降3人を割り込み、減少傾向が続いている。

▢ 243.わが国では、男女とも多くの年齢層で未婚率の上昇傾向が続き、晩婚化や非婚化が進行している。国勢調査(平成27年)によれば、20歳代後半(25~29歳)の未婚率は、男性が72.7%、女性が61.3%となっている。

▢ 244.国民生活基礎調査(平成30年)における65歳以上の者のいる世帯の世帯構造のうち、世帯数の多い上位2つは、夫婦のみの世帯と単独世帯である。

▢ 245.国民生活基礎調査(平成30年)によると、65歳以上の者のいる世帯の世帯数は2,492万7,000世帯で、全世帯の48.9%を占めている。

<6> 生活のとらえ方

▢ 246.鈴木栄太郎は、生活構造を地域社会学の流れでとらえ、正常人口の正常生活という観点から、サラリーマン層などの「正常な」人々の規則的な生活パターンをみていくことを提唱した。

▢ 247.ライフサイクルとは、各段階に固有の発達課題を達成していく過程を指す。

▢ 248.ライフコースとは、個人がたどる多様な人生のあり方をとらえようとする概念である。ライフサイクル論の批判を受けて、エルダーらによって提唱された。

▢ 249.国勢調査(平成27年)によれば、就業人口に占める割合は、第一次産業が4.1%、第二次産業が24.1%、第三次産業が71.9%である。

▢ 250.国勢調査(平成27年)によれば、職業(大分類)別15歳以上就業者では、男性就業者のうち「事務従事者」は14.1%であり、25%を下回っている。なお、女性就業者のうち「事務従事者」は27.0%である。

▢ 251.労働力調査によれば、2019(令和元)年平均の男女別完全失業率は、男性が2.5%、女性が2.2%となっており、22年連続して男性が上回っている。

▢ 252.親と子という一世代違う関係において、どのような地位の違いが発生したかを見ることが社会移動の基本的観点であり、それを世代間移動という。個人が職業を変える場合を世代内移動と呼ぶ。 

▢ 253.ボードリヤールによれば、大量消費時代のモノの価値は、他の商品が持つコード(記号的意味)との差異によって示されるとしており、実質的機能の消費へ移ることは想定していない。

<7> 役割・自己・コミュニケーション

▢ 254.マートンは、将来、自分が所属すると思われる集団の価値・規範を事前に取り入れることを予期的(期待的)社会化という概念で示した。

▢ 255.行為とは、人が何かの意味を持って行うふるまいで主観的意味を持つものである。

▢ 256.ゴフマンは、 日常的な相互行為の円滑な進行のため人々に求められる演技を、相互行為儀礼と呼んだ。ゴフマンによれば、他人の失敗を見て見ぬふりをするのも、相互行為儀礼の一種である。

▢ 257.「役割葛藤」は、1人の人が担う複数の役割が、その人の中で衝突するために生じるものである。発達上の困難は、個人で選択することではないため、役割葛藤であるとはいえない。

▢ 258.外科医が手術室で冗談を言うのは、ゴフマンが示した役割距離の例である。ゴフマンは、期待される役割を引き受けつつも、その役割を茶化して余裕を示すなど、意図的に役割から距離をとる態度を、役割距離の概念で説明した。

▢ 259.ミードによれば、「ごっこ遊び」は、役割取得の重要な契機となる。「ごっこ遊び」では、一定の役割を演じることで、他人の立場に身を置くことができるようになる。

▢ 260.業績主義に対して、生まれながらの性や民族、あるいは世襲的身分などによって、 その人の努力や能力とは関係なく地位が確定する状況を属性主義といい、伝統的社会の特質のひとつである。

▢ 261.目的合理的行為とは、過去の経験に基づき諸個人の内に身についた知覚・思考・実践行動を生み出す性向を意味する。価値合理的行為とは、結果はどうなろうと関係なく、自分の信じる絶対的な価値に従ってなされる行為である。

<8> 社会問題の理解

▢ 262.オグバーンは、近代産業社会にあっては、物質文化の発展するスピードが、それに対応すべき非物質文化の発展よりも速く、そのズレから文化遅滞と呼ばれる混乱が生じるとした。

▢ 263.サザーランドの分化的接触論は、逸脱の原因を、周囲の環境からの学習という社会的要因から論じる。

▢ 264.マートンは、社会における文化的目標とそれを達成するための制度的手段の不統合(ズレ)が人々に逸脱をもたらすとし、そこから生じる社会規範の衰退をアノミーと呼んだ。

▢ 265.ベッカーらが唱えたラベリング論は、ある行為が逸脱とされるのは、その行為に対して社会の側が「逸脱」というラベルを貼るためだという考え方である。

▢ 266.エドウィン・シャーは、賭博、売春、麻薬など法的に犯罪として規定されているものの、「被害者がいない(ように見える)犯罪」を、被害者なき犯罪と呼んだ。

▢ 267.キツセとスペクターによれば、社会問題や社会病理は、ある社会状態を「問題あり」と定義し主張する人々の活動によって構築される像である。

▢ 268.マートンは、人々が抱く不満は、その人の置かれる社会的境遇の絶対的な劣悪さによるのではなく、主観的な希求水準と現実の達成水準との相対的な格差から生じるとした(相対的剥奪)。

▢ 269.1970年前後からアメリカを中心に普及した資源動員論は、資源動員論では、社会運動を、目標達成に向けて人、モノ、情報などの資源を戦略的に動員していく組織的な連帯行動とみる一方、人間感情の役割については、否定的にとらえた。 

▢ 270.「因人のジレンマ」とは、 2人の囚人が、ともに黙秘することが双方にとって得であるにもかかわらず、 ともに非協力的な行動を選ぶことで、双方にとって望ましくない結果になるものをいう。

▢ 271.ある財(主に公共財)やサービスの対価を払うことなく、利益のみを享受する人のことを「フリーライダー」という。

▢ 272.シャドウワークとは、財とサービスの生産を補足するために産業社会に不可欠ではあるが、賃金が支払われない労働(家事・育児・介護など)をいう。

▢ 273.わが国では、女性の年齢別労働力率にみられるM字型就労パターン(いわゆるM字カーブ)の中央部の落ち込みは近年浅くなり、台形に近付きつつある。

▢ 274.エコロジー的近代化論は、近代化・合理化の結果として発生した環境問題を、社会システムの政策的革新によって解決しようとする思想であり、技術革新による環境保全と経済の持続的な成長は両立するという立場から論じられる。

▢ 275.「共有地の悲劇」とは、個人がそれぞれ合理的な判断の下で自己利益を追求した結果、全体としては盃利益な状況を招いてしまうことを指す。

4. 現代社会と福祉

社会福祉基礎構造改革に始まり、新法の制定など社会福祉は大きく変化しています。これらを踏まえて、社会福祉の理念と歴史、専門職の倫理、制度の仕組みなどを押さえましょう。

<1> 社会福祉と福祉政策

▢ 276.社会保障の体系は、「① 広義の社会保障、② 狭義の社会保障、③ 社会保障関連制度」に大別され、狭義の社会保障とは、「① 社会保険、② 公的扶助、③ 社会福祉、④ 公衆衛生(および医療)、⑤ 老人保健」の5つから構成されている。

▢ 277.世界人権宣言22条において、すべて人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し、各国の組織および資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格の自由な発展とに欠くことのできない経済的、社会的および文化的権利の実現に対する権利を有する。

▢ 278.ロールズは「正義」について、社会で最も不遇な人の最大の便益となるように、資源配分の是正が行われるべきであると論じた。

▢ 279.社会的企業とは、社会的な困難や課題に取り組む組織である。

▢ 280.孝橋正一は、社会政策の対象が、資本主義経済そのものが生み出す基礎的・本質的な社会問題であるのに対し、社会事業の対象は、その社会問題から関係的・派生的に生じた社会的問題であるとした。

▢ 281.ティトマスの「福祉の社会的分業」は、公的福祉、財政福祉、企業福祉の分担関係によって、福祉システムを「残余的福祉モデル」「産業的業績達成モデル」「制度的再配分モデル」に区分したものである。

<2> 各国の社会福祉の発展過程

▢ 282.1601年に制定されたエリザベス救貧法では、労働能力のある貧民を強制労働に就かせ、労働能力のない貧民を救貧院(アームズハウス)に収容し、保護者のいない貧困児童を徒弟奉公に出すという救済策が設けられた。

▢ 283.労役場テスト法(1722年)は、労役場への収容を救済の条件とし、そこでの生活と労働を過酷なものにし、貧民自ら救貧申請を取り下げることを目的に制定された。

▢ 284.1834年にイギリスで制定された新救貧法において、救済を受ける者は最下層の独立労働者の生活水準よりも実質・外見ともに低いものでなければならないという劣等処遇の原則が規定された。劣等処遇の原則のほか、労役場への収容と強制労働(ワークハウス・システム)、救済基準の一律化(均一処遇の原則)が規定された。

▢ 285.1869年、ロンドンで設立された慈善組織協会(COS)は、慈善活動を組織化するとともに友愛訪問を実施し、ソーシャルワークの形成に大きな影響を与えた。

▢ 286.イギリスにおいて、慈善組織協会は、貧困を個人の生活や習慣の問題として把握する道徳的貧困感に基づいており、貧困の発生を社会的要因とする視点がなかった。したがって、立法による救済は主張されなかった。

▢ 287.イギリスにおいて、セツルメント運動を創始したのは、デニスンである。デニスンは、貧困問題の真の解決は、貧民に施しを与えることではなく、自立した生活への意欲を取り戻させることによって成し遂げられる、と説いた。

▢ 288.ロンドンの富裕地域に設立されたトインビー・ホールは、バーネットの努力により、1884年、ロンドンの貧民街に設立された世界最初のセツルメントである。

▢ 289.ラウントリーの労働者のライフサイクルによると、結婚前の20歳代前半層は、比較的生活が楽である。貧困が集中するのは、子育て期と労働能力を失った老年期である。

▢ 290.老齢年金法(無拠出制)は1908年に成立したが、70歳以上、資力調査の上、所得制限を伴うもので、20年間イギリス本国に居住、有罪判決を受けた者を除くなど、支給要件は厳しいものであった。

▢ 291.1911年にイギリスで制定された国民保険法(1911年)は、健康保険と失業保険から成るものとして創設された。特に、失業保険は、世界で最初の制度であった。

▢ 292.ベヴァリッジは、「社会保険および関連サービス」(ベヴァリッジ報告)において、窮乏、疾病、無知、不潔、怠惰という5つの巨大な悪の攻撃に対する社会保障政策を構想した。

▢ 293.イギリスでは、1968年のシーボーム報告を受けて、1970年に地方自治体社会サービス法が成立した。

▢ 294.1978年のウルフェンデン報告では、福祉サービスの供給システムを公的部門、民間営利部門、民間非営利部門、インフォーマル部門の4類型に分類し、福祉多元主義の概念を提示した。

▢ 295.1982年のバークレイ報告では、ソーシャルワーカーの任務の位置付けについて、社会的ケア計画と個別カウンセリングの統合を図ったコミュニティ・ソーシャルワークに関するものであると述べている。

▢ 296.コイトは、1886年にアメリカ初のセツルメントとしてネイバーフッド・ギルドを設立した。なお、ハル・ハウスを設立したのは、J. アダムスである。

▢ 297.ニューディール政策は、 F. ルーズベルト大統領が1933年から行った政策である。バートレットが、『ソーシャルワーク実践の共通基盤」を著し、価値、知識、介入をソーシャルワークの共通の基盤と位置付けたのは1970年である。

▢ 298.アメリカでは、1960年代に低所得者に対する公的扶助として、フード・スタンプ制度(食費の補助)、ヘッド・スタート計画(就学援助プログラム)などが制度化された。

▢ 299.障害者の自立生活運動(IL運動)は、 カリフォルニア大学バークレイ校に在籍する重度障害がある学生によるキャンパス内での運動として始まり、やがて地域での自立生活センターの活動に発展し、保護から自立支援へと福祉理念の変化を促した。

▢ 300.ドイツでは、1994年に介護保険制度が成立した。エルバーフェルト制度では、市内を546区域に分け、1区に1人のボランティア委員を配置した。

▢ 301.フランスでは、1962年にラロック委員会報告が発表された。この報告が福祉政策において、高齢者福祉に比重をおく契機となった。

▢ 302.スウェーデンでは、1980年(施行は1982年)に、福祉サービスを体系化した社会サービス法が制定された。これにより、高齢者福祉や児童福祉のサービスが急速に発展した。

▢ 303.スウェーデンでは、1992年に実施されたエーデル改革により、ナーシングホームや長期療養ケア施設の権限および医療サービス提供の義務を県(ランスティング)から市(コミューン)へと委譲し、福祉・医療の地方分権化を進めた。

<3> わが国の社会福祉の発展過程

▢ 304.1897年にわが国で最初の知的障害児施設である滝乃川学園を設立したのは、石井亮一である。生江孝之は、キリスト教の立場から、社会事業教育に従事し、『社会事業綱要』(1923年)などを著した。

▢ 305.1897年に片山潜は、東京の神田にキリスト教社会事業の本営としてセツルメント・ハウスのキングスレー館を開設した。

▢ 306.留岡幸助は、1899年に東京で私立感化院の家庭学校を、1914年には北海道家庭学校を創設し、感化教育を行い、学校内の農場で教育農場の事業を展開した。

▢ 307.野口幽香は、1900年に二葉幼稚園(現 : 二葉保育園)を開設し、貧困児童の保護事業に当たった。山室軍平は、同年に廃娼運動を開始し、出獄人保護、児童保護など、キリスト教社会事業の活動に尽力した。

▢ 308.一番ヶ瀬康子は、生活権を基点に据えた実践論と運動論を組み入れた社会福祉学が総合的に体系化されなければならないとした。

▢ 309.横山源之助は、1899年に『日本之下層社会』をまとめ、貧民窟のルポルタージュを通して、社会の底辺に生きる人々の生活実態を明らかにしている。『貧乏物語』を著したのは、河上肇である。

▢ 310.1908年に感化法が改正され、内務省主催の第1回感化救済事業講習会が開催された。また民間慈善事業の育成と組織化を目的として、同年に中央慈善協会が設立された。

▢ 311.糸賀一雄は、1946年に近江学園(知的障害児施設)を創設し、「この子らを世の光に」という信念のもと、福祉と教育に当たった。方面委員制度は、大阪府知事の林市蔵が小河滋次郎の協力を得て1918年に創設した。

▢ 312.方面委員制度は、政府ではなく大阪府に起源がある。1918年に大阪府知事である林市蔵のもとで小河滋次郎がエルバーフェルト制度や済世顧問制度などを参考にして設立し、全国に普及した。

▢ 313.救護法(1929年制定)の対象は、65歳以上の高齢者、13歳以下の児童、妊産婦、心身の障害により労務に支障のある者であり、労働能力のある貧困者を除外している。

▢ 314.救護法(1929年制定)における救護施設には、孤児院や養老院などが含まれている。

▢ 315.「社会保障制度改革国民会議報告書」(2013年)における社会保障制度改革では、地域完結型の医療の確立を提案している。

▢ 316.「社会保障制度改革国民会議報告書」(2013年)では、少子化対策、医療、介護、年金分野という社会保障の4分野の改革が示され、全世代を対象とする社会保障(「21世紀 (2025年) 日本モデル」)への転換を目指すものとされた。

▢ 317.「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年)では、あらゆる場で、誰もが活躍できる、いわば全員参加型の一億総活躍社会を実現するとしている。

<4> 福祉政策におけるニーズと資源

▢ 318.ニーズや、その単数形であるニードは、客観的な「価値」に基づいており、なくてはならない、必要不可欠な何かを求めている状態のことをいう。

▢ 319.ブラッドショーのニーズの類型では、規範的二ード(ノーマティブ・二ード)、感得されたニード(フェルト・ニード)、表明されたニード、比較ニードの4つに分類される。

感得された二ードは、クライエントによって体感的に自覚される。

▢ 320.フェルト・ニード(感得された二ード)とは、サービスの必要性を利用者が自覚したニードである。専門職が社会規範に照らして把握する福祉二ードは、ノーマティブ・二ード(規範的二ード)である。

▢ 321.ニーズ充足の評価については、客観的評価だけでなく、利用者等の主観的評価も重要な指標となる。

▢ 322.三浦文夫は、貨幣的ニードを記述のように定義した。また、非貨幣的ニードは、ニーズの貨幣的測定が困難であり、金銭給付では充分な効果が期待できない非金銭的な対応(現物給付や対人サービスなど)を要するニーズのこと、としている。

▢ 323.社会資源とは、福祉ニーズを充足するために活用される社会福祉関連の機関・施設、個人・集団、重全、知識、技術などであり、フォーマルな資源とインフォーマルな資源がある。

<5> 福祉政策の課題

▢ 324.貧困は、絶対的貧困と相対的貧困に区分される。絶対的貧困とは、時代や社会の相違とかかわりなく、生物学的に生存が可能な最低限度の生活を意味し、相対的貧困とは、特定の社会の標準的な生活様式・慣習・活動への参加を剥奪された状態を意味する。

▢ 325.ラウントリーはヨーク調査において、「その総収入が単なる肉体的能率を維持するのに必要な最小限度にも足りない家庭」を第一次貧困、「その総収入が単なる肉体的能率を保持するに足る家庭」を第二次貧困と定義した。

▢ 326.ルイスは、貧困者には共通した「貧困の文化(culture of poverty)」があることを明らかにした。タウンセントは、標準的な生活様式・慣習・活動ヘの参加を剥奪された状態を相対的剥奪、食物、被服、居住などを剥奪された状態を物理的剥奪、雇用の権利、家族活動、教育などを剥奪された状態を生会的剥奪とした。

▢ 327. OECDの相対的貧困率の基準は、等価可処分所得が全人口の中央値の50%未満の所得層が全人口に占める比率を指す。

▢ 328.センは、人間の福祉は、どのような財を持っているかではなく、何をすることができるかという人間の機能の集合(ケイパビリティ)によって決まると論じた。そして、ケイパビリティの欠如が貧困であるとした。

▢ 329.「子供の貧困対策に関する大綱」(2014年)には、「子どもゆめ基金」事業により、貧困の状況にある子供を支援している民間団体が行う体験活動への助成を行うという記述がある。

▢ 330.「子供の貧困対策に関する大綱」(2014年)では、ひとり親家庭に、生活支援と就業支援を組み合わせた支援メニューをワンストップで提供できるよう、就業支援専門員の配置など必要な支援を行うこととした。

▢ 331.社会的排除は、多次元的な要因によって引き起こされる状態であるとともに、そこに至る過程(プロセス)に注目した概念である。

▢ 332.宮本太郎は社会的包摂のアプローチを、ワークフェア(就労義務を所得保障の条件とする政策)、アクティベーション(就労促進のための社会サービスを社会保障と並列して行う政策)、ベーシック・インカム(資産調査や就労義務を課さずに、最低限の所得保障を行う政策)の3つに区分した。

▢ 333. 世界保健機関(WHO)の「健康の社会的決定要因」とは、集団間の健康における格差と社会的境遇との関連に着目する概念であり、社会的決定要因には、個人の学歴や所得、ソーシャルキャピタルなどが含まれる。 

▢ 334.わが国におけるセーフティネットは、3重になっており、第1が雇用対策と住宅対策、第2が社会保険制度、第3が低所得者対策と貧困対策である。

▢ 335.法務省の「性的指向及び性自認を理由とする偏見や差別をなくしましょう」では、「性的指向及び性自認の問題に関する呼称」にLGBTという表現を使用している

<6> 福祉政策の構成要素

▢ 336.選別主義的な資源の配分においては、資力調査に基づいて福祉サービスの対象者を規定する。普遍主義とは、利用者の資力にかかわらず、すべての階層の人々に対してサービスを供給する考え方で、厳密な資力調査は行われない。

▢ 337.ティトマスは、選別的サービスが社会権として与えられるためには、その土台に普遍主義的サービスが必要であると主張した。

▢ 338.パターナリズムとは、「家父長的温情主義」などと訳され、強い立場の者が弱い立場の者の利益を考え、本人の意思に関係なく、その行動に介入・干渉することである。そのため、個人の自由を認めてはいない。

▢ 339.ソロモンはエンパワメントを「差別的な待遇によって、クライエントが無力な状態に陥っている場合に、そうした状態を改善する目的で行われる一連の活動に対して、援助者がクライエントとともに関与するプロセス」と定義した。

▢ 340.福祉政策における公共財の供給とは、「市場の失敗」を原因として概念化されたものである。公共財とは、非競合性あるいは非排除性を有する財であるため、「市場の失敗」を引き起こしやすいのが特徴である。

▢ 341.福祉サービスの利用者負担がない場合、福祉サービスの非利用者にとって、利用者に対する不公平感がでる。公平性の確保のための機能といえる。

▢ 342.福祉サービスにおける準(疑似)市場は、部分的に市場メカニズムを取り入れた公的サービスの提供である。福祉サービスの購入者は、あくまで利用者である。自治体が福祉サービスの購入者となり、それを対象者に分配することは、措置制度の時代の選別主義的考え方である。

▢ 343.社会福祉法において、社会福祉事業の経営者は、福祉サービスを利用するための契約(厚生労働省令で定めるものを除く)が成立したときは、その利用者に対し、遅滞なく、書面を交付しなければならないことが規定されている。

▢ 344.ラショニング(配給・割当)とは、ブースが「直接的コントロールによる需要の制限」であるとし、ジャッジが「クライエントのニード判定から純粋に恣意的な資源の配分までを含む手続き」であると定義している。いずれの概念も、希少な資源を、市場メカニズムを用いずに必要とする人々に供給するための方法である。

▢ 345.福祉サービス利用過程における情報の非対称性とは、サービス提供者と利用者の間で、福祉サービスに関する情報に多寡が生じることをいう。そのため、サービス提供利用者は、福祉サービスに関する情報を利用者へ開示することなどが必要である。

▢ 346.マーシャルは、18世紀に獲得された市民的権利、19世紀に獲得された政治的権利、20世紀に獲得された社会的権利の3つの要素から成り立っているのが、福祉国家段階のシティズンシップであるとした。

<7> 福祉政策と関連政策

▢ 347.特別支援教育とは、障害がある幼児・児童・生徒の自立・社会参加に向けて、教育的ニーズの把握、能力の向上、生活・学習上の困難の改善・克服のために、適切な指導と必要な支援を行うことである。したがって、特別支援学校で行われる教育に限らない。

▢ 348.地域生涯学習振興基本構想とは、生涯学習振興法において、都道府県が作成できると定められ、社会教育に係る学習および文化活動その他の生涯学習に資する諸活動の多様な機会の総合的な提供を、民間事業者の能力を活用しつつ行う構想である。

▢ 349.公営住宅法18条において「事業主体は、公営住宅の入居者から3月分の家賃に相当する金額の範囲内において敷金を徴収することができる」と規定されている。

▢ 350.住生活基本法において、国には住生活基本計画(全国計画)の策定が義務付けられ、都道府県は、全国計画に即して、都道府県計画を策定することとされている。

▢ 351.「住宅セーフティネット法」における住宅確保要配慮者には、子育て世帯や災害の被災者世帯などが含まれている。

▢ 352.サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者住まい法の改正により創設された新たな登録制度で、登録要件を満たしたサービス付き高齢者向け住宅が建設・改修を行う場合、国が費用の一部を補助する事業を行っている。

5. 地域福祉の理論と方法

地域福祉の基本的な考え方を理解し、地域福祉におけるネットワーキングや社会資源の活用と、その推進方法、地域の中で活躍する組織 団体、専門職の役割について学習しましょう。

<1> 地域福祉の基本的な考え方

▢ 353.ウェルマンは、 これまでの地縁を基盤とした居住地域をコミュニティとする伝統的な捉え方に疑問を投げかけた。人々が地理的な空間を超え個人のライフスタイルを通じ、つながりを形成しているコミュニティの解放という視点から整理した。

▢ 354.ウェルマンは、都市化は、コミュニティを近隣社会から解放し、地域という空間的枠組みを超えたネットワーク形成を促すとした。ヒラリーは、コミュニティに関する94通りの規定を整理し、コミュニティにおいては、「地域性」と「共同性」が最低限の共通項であるとした。

▢ 355.マッキーバーは、集団を地域性に基づく共同体コミュニティと共通の利害に基づく人工的な集団であるアソシエーションに分類した。家族はアソシエーションに含まれる。

▢ 356.奥田道大が示した個我モデルとは、市民型権意識が強く、組織活動家型リーダーが存在する、対行政圧力団体型組織である。地域共同体モデルとは、地元共同意識が強く、名望有力者型リーダーが存在し、伝統型住民層によって形成される村落・町内会型組織のことである。

▢ 357.ノーマライゼーションは、デンマークのバンク-ミケルセンによって提唱された。わが国への本格的な普及は、1981年の国際障害者年以降である。ニィリエは、8つの原理を提唱し、ノーマライゼーションをより具体化させた。

▢ 358.ソーシャルインクルージョンとは、すべての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。

▢ 359.1939年に提出されたレイン報告では、地域社会に生じる福祉ニーズに対し、社会資源を調整、開発することがコミュニティ・オーガニゼーションの主な機能であるとして、二ーズ・資源調整説を唱えている。リンデマンの理論では、コミュニティ・オーガニゼーションを、ソーシャル・オーガニゼーションのひとつとし、地域社会における諸問題を民主的に調整する意識的努力を組織することであるとした。

▢ 360. ロスは、地域社会が団結協力して実行する態度を養い育てる過程をコミュニティ・オーガニゼーションであると定義した。ニューステッターのインターグループワーク説によれば、 コミュニティ・オーガニゼーションとは、地域社会を構成するグループ間の協力と協働の関係を調整・促進することで地域社会の問題を解決していく過程であるとされている。

▢ 361.ロスマンの小地域開発モデルとは、コミュニティの住民の多くが地域活動に参加することにより、地域の変化を期待する伝統的な活動である。社会計画モデルとは、地域社会の問題を計画的・合理的に解決するように、専門的技術を駆使する活動である。

▢ 362.ロスマンのソーシャルアクションモデルは、地域住民の連帯に基づいて資源の整備や制度の改善を求めていく活動である。

▢ 363.わが国のコミュニティケアの考え方は、イギリスにおける1968年のシーボーム報告の影響を受けている。施設中心から在宅福祉へと、社会福祉の考え方を転換させる契機となった。

▢ 364.シーボーム報告(1968年)は、高齢者や障害者へのサービスを供給し、地方公共団体を中心とした対人社会サービスの強化を勧告した。を強調した。

▢ 365.1969年に発表されたエイブス報告では、ボランティアは専門家の代わりではなく、新たな社会サービスを開発する役割があることを強調した。

▢ 366.イギリスでは、シーボーム報告に続き、バークレイ報告により、コミュニティケアが展開し、コミュニティ・ソーシャルワークという考え方が登場した。コミュニティ・ソーシャルワークとは、要援護者の自立支援を図るために展開されるソーシャルワークの総体を指す。フォーマルケアとインフォーマルケアの統合化をはじめ、医療・保健・教育等のサービスの有機的な連携を図るものである。

▢ 367.1988年のワグナー報告では、積極的に利用される魅力ある施設サービスを目指すことが提言された。

▢ 368.イギリスでは、1988年のグリフィス報告を受けて、1989年に政府白書『住民のケア一次の10年およびそれ以降におけるコミュニティケア』が発表され、1990年に国民保健サービス及びコミュニティケア法が成立した。

▢ 369.岡村重夫は、地域福祉の構成要素として、最も直接的で具体的な援助活動としてのコミュニティケアと、それを可能にするための条件づくりとしての一般的地域組織化活動と福祉組織化活動、予防的社会福祉をあげている。

▢ 370.右田紀久恵は、地域社会に生じる生活問題を、生活原則、権利原則、住民主体原則によって軽減、除去または予防し、地域住民の生活権保障と社会的自己実現を目的とした制度、体系を地域福祉の基礎要件とした。

▢ 371.真田是は、生活問題とその解決のための政策、そして地域社会の産業構造の変革も視野に入れた生活の共同的維持・再生産の地域的システムを重視した。

▢ 372.永田幹夫は、地域福祉の構成要素として、在宅福祉サービス、環境改善サービス、組織活動の3点を挙げた。

▢ 373.日本におけるセツルメント運動の先駆けは、学生を主体とした大学セツルメント運動、行政が関わる隣保館、そして宗教家による活動である。岡山博愛会はキリスト教の教えに基づいたセツルメント運動である。

▢ 374.現在の共同募金は、1921年に長崎県社会事業協会が行った募金運動が始まりである。また、1947年に社会事業共同募金中央委員会が共同募金を発足し、全国規模で展開されることになった。

▢ 375.1979年に全国社会福祉協議会が刊行した『在宅福祉サービスの戦略』では、今後の社会福祉の中心的課題を非貨幣的ニーズであるとした。なお、非貨幣的ニーズとは、金銭給付にとどまらない家事援助や身体自立、精神的ケアなどの具体的な福祉サービスを指す。

▢ 376.市町村社会福祉協議会は、1983年の社会福祉事業法の改正により法定化された。

▢ 377.2000年の社会福祉法の改正により、市町村社会福祉協議会は地域福祉の推進を図ることを目的とする団体として位置付けられたが、都道府県社会福祉協議会は広域的見地から福祉活動の推進を行う団体として位置付けられている。

▢ 378.障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業は、それぞれの地域の実情に応じて柔軟な実施が期待されていることから、利用者負担の方法についても全国一律に設定されるものではなく、基本的には事業の実施主体の判断によるとされている。

<2> 地域福祉の主体と対象

▢ 379.厚生労働省では、福祉に関する制度や仕組みの構築、地方への支援、国民生活の安定保持に向けての基盤整備などを行っており、地域福祉の推進において基本的な政策を実施している。

▢ 380.在宅福祉サービスには、利用者の居宅を訪問する訪問型サービスのほか、利用者がデイサービスなどに通所する通所型サービスもある。1990年の社会福祉関係八法の改正により、在宅福祉サービスの多くは、第二種社会福祉事業として法定化された。

▢ 381.避難行動要支援者とは、要配偶者のうち、災害が発生したり災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者で、円滑かつ迅速な非難の確保を保を図るため、特に支援を要する者のことをいう。

▢ 382.医療計画の策定主体は、都道府県である(医療法30条の4)。二次医療圏は、一般的医療を行い、複数の市町村を単位とする。特殊な医療を提供する医療圏は三次医療圏である。

▢ 383.「国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本的な指針」(平成5年厚生省告示)では、ボランティア活動や住民参加による福祉活動を促進するための措置が示されたが、義務付けられていない。また、この指針を受けて、全国社会福祉協議会は「ボランティア活動推進7ヵ年プラン構想」を策定し、ボランティア活動振興のための目標、課題などを明らかにした。

▢ 384.社会福祉法において、地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者および社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力し、地域福祉の推進に努めなければならないと規定されている。

▢ 385.社会福祉事業の経営者は、利用者と利用契約を結ぶ場合、契約内容について十分な説明を行い、経営者の名称や主な事務所の所在地、提供する福祉サービスの内容などを記載した書面を遅滞なく交付しなければならない。

▢ 386.社会福祉法79条では、広告された福祉サービスの内容その他の厚生労働省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示や実際よりも優良・有利であると誤認させるような表示をしてはならない(誇大広告の禁止)と規定されているが、広告可能な事項は列記されていない。

▢ 387.社会福祉事業の経営者は、常に、その提供する福祉サービスについて、利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない。(社会福祉法82条 )。

▢ 388.社会福祉事業のうち、国、地方公共団体または社会福祉法人が経営することを原則とするのは、第一種社会福祉事業である(社会福祉法60条)。

▢ 389.2020(令和2)年4月に創設された日常生活支援住居施設は、被保護者に対する日常生活上の支援の実施に必要な要件を満たし、都道府県知事が認めた施設であり、第二種社会福祉事業に位置付けられている。

▢ 390.国および都道府県以外の者が第二種社会福祉事業を開始したときは、開始日から1か月以内に事業経営地の都道府県知事に届け出なければならない(社会福祉法69条)。

▢ 391.地方社会福祉審議会は、社会福祉法7条1項におい て、「社会福祉に関する事項を調査審議するため」の機関として規定され、また、同法7条2項において、「都道府県知事又は指定都市若しくは中核市の長の監督に属し、その諮間に答え、又は関係行政庁に意見を具申するものとする」と規定されている。

<3> 地域福祉に係る組織、団体および専門職や地域住民

▢ 392.市町村は、地域包括支援センターを設置することができるが、設置義務までは課せられていない。

▢ 393.介護保険法施行規則において、地域包括支援センターには、原則、社会福祉士、保健師、主任介護支援専門員の3人の専門職またはそれらに準ずる者を配置することが規定されている。

▢ 394.社会福祉協議会は、地域福祉の推進を目的とした団体(民間非営利団体)として、社会福祉法109~111条に規定されている。

▢ 395.2000年の社会福祉法の改正により、市町村社会福祉協議会は、1または同一都道府県内の2以上の市町村の区域内において設置することが規定された。

▢ 396.社会福祉法109条において、市町村社会福祉協議会が行う業務には、社会福祉に関する活動への住民の参加のための援助、社会福祉を目的とする事業の企画および実施、調査、普及、宣伝、連絡、調整および助成と規定されている。

▢ 397.社会福祉法109条5項において、関係行政庁の職員は、市町村社会福祉協議会および地区社会福祉協議会の役員となることができる。ただし、役員の総数の5分の1を超えてはならないと規定されている。

▢ 398.社会福祉法110条において、都道府県社会福祉協議会は、広域的な見地から「市町村社会福祉協議会の相互の連絡および事業の調整」を行うことが規定されている。

▢ 399.社会福祉を目的とする事業に従事する者の養成および研修は、都道府県社会福祉協議会が行う業務として、社会福祉法110条に規定されている。

▢ 400.社会福祉法93条において、都道府県に対する福祉人材センターの設置が規定されているが、設置は義務ではない。

▢ 401.NPO法人は、公益法人等とみなされ、特殊法人ではない。特殊法人とは、公共法人の一類型で、政府などの代行機関などである。

▢ 402.特定非営利活動法人の活動分野で「保健・医療又は福祉の増進を図る活動」を行う団体数は、2万9,845で最も多い(2019年9月末現在)。

▢ 403.認定特定非営利活動法人の認定有効期間は、特定非営利活動促進法に基づき、認定の日から5年と定められている。

▢ 404.共同募金は、公益性・公共性が高いことから、第一種社会福祉事業に位置付けられ、共同募金会以外の者は、共同募金事業を行ってはならないことが社会福祉法に規定されている。

▢ 405.共同募金運動要綱には、活動原則として、民間性、地域性、計画性、公開性、参画性、福祉教育の普遍性があげられている。

▢ 406.共同募金の配分委員会設置が義務付けられているのは、都道府県共同募金会である。

▢ 407.共同募金は、社会福祉を目的とする事業を経営する者以外には配分できない(社会福祉法117条)。

▢ 408.社会福祉法117条4項において、「国及び地方公共団体は、寄付金の配分について干渉してはならない」と規定されている。

▢ 409.共同募金の募金額は、1995年前後をピークに減少傾向にある。

▢ 410.共同募金において寄付金を募集する区域は都道府県を単位とし、募集期間については厚生労働大臣が定める期間内に限られている(現行10月1日~翌年3月31日までの6か月間)。

▢ 411.町内会は、包括的活動を行う任意の団体(住民組織)であることから、世帯単位による加入が一般的であるが、加入については地方自治法で定められていない。

▢ 412.地方自治法260条の2において、町内会は、不動産の貸付け等、収益事業を実施することができることが規定されている。

▢ 413.1879年に東京で設立された「共立商社」が、わが国最初の生活協同組合である。なお、生活協同組合は、1948年に制定された消費生活協同組合法により、厚生労働省所管で運営されている。

▢ 414.老人クラブは、教養講座やレクリエーション活動だけでなく、若手の高齢者の組織化や次世代交流のための事業、安全な暮らしの場づくりなど、地域づくりに寄与するさまざまな活動を実施することができる。

▢ 415.ボランティア・コーディネーターとは、ボランティア活動支援に当たるスタッフの名称で、ボランティア活動者の主体性を引き出すことを念頭に、プログラムの企画、開発も行う。

▢ 416.生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)は、関係者間の情報共有やサービス提供主体間の連携体制づくりなどのネットワークの構築に加え、地域に不足するサービスの創出、サービスの担い手養成など資源開発を行う役割も期待されている。

▢ 417.生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)は、市民活動への理解があり、国や都道府県が実施する研修を修了しているなどの要件を満たしていることが望ましいとしており、特定の資格要件はない。

▢ 418.社会福祉法では、地域福祉の推進として、地域子育て支援拠点事業等を経営する者の責務や、包括的な支援体制の整備などについて規定している。

▢ 419.民生委員の任期は3年である。その職務について、都道府県知事の指揮監督を受ける。なお、民生委員は、市(特別区を含む)町村の区域に置くこととされている。

▢ 420.民生委員は、1945年以前には方面委員と呼ばれていたが、1946年の民生委員令の公布によって民生委員に名称が改められた。また、1947年の児童福祉法制定により、民生委員は児童委員も兼ねることとなった。

▢ 421.民生委員法4条において、民生委員の定数は、厚生労働大臣の定める基準を参酌して、都道府県の条例で定める。条例は、都道府県知事が、各区域を管轄する市町村長(特別区長を含む)の意見を聴いて、これを定めることが規定されている。

▢ 422.民生委員法5条において、民生委員は、都道府県知事の推薦によって、厚生労働大臣がこれを委嘱することが規定されている。

▢ 423.民生委員法24条において、民生委員協議会は、市町村の区域を単位とする社会福祉関係団体の組織に加わることができると規定されており、市町村ごとに1つではない。

▢ 424.「認知症初期集中支援チーム」は、認知症専門医の指導の下、保健師、看護師、介護福祉士など医療福祉専門職で構成されている。認知症が疑われる人、認知症の人やその家族を訪問し、観察・評価を行った上で家族支援などの初期の支援を包括的・集中的に行い、かかりつけ医と連携しながら認知症に対する適切な治療につなげ、自立生活の支援を行う。

▢ 425.キャラバン・メイトは、キャラバン・メイト養成研修を受講した認知症サポーター養成講座の講師役のことである。認知症サポーター養成講座の企画、立案、実施を行う。

▢ 426.介護相談員は、サービス利用者等の相談に応じる等の活動を行う者の登録を市町村が行い、申出のあったサービス事業所等に派遣すること等により、利用者の疑問や不満、不安の解消を図るとともに、派遣を受けた事業所における介護サービスの質的な向上を図ることとされている。

▢ 427.日常生活自立支援事業における専門員は、原則として社会福祉士、精神保健福祉士等であって、一定の研修を受けた者である。

<4> 地域福祉の推進方法

▢ 428.エンパワメントとは、個人や集団が本来持っている能力を回復し、自己決定能力、経済的・社会的・法的・政治的な力を付け、社会的な権限を獲得すること、また、その過程のことをいう。

▢ 429.地域におけるケアマネジメント実践においては、法律や制度に基づくフォーマルサービスと地域社会に存在するインフォーマルサポートを最大限に利用することが重要である。

▢ 430.地域福祉の推進には、地域の状況に応じて、個人支援レベル、機関・団体の活動者や実務者レベル、それらの代表者レベルの各種の重層的な連携が想定される。

▢ 431.社会資源には、行政や社会福祉施設、各種専門職などによるフォーマルな資源と、家族・近隣、ボランティアなどによるインフォーマルな資源がある。

▢ 432.多様な生活ニーズを充足するために住民間で課題を共有し、相互に支え、支えられるという支え合いの関係を構築することが求められている。そのため、サービスを利用する住民も社会資源に含まれる。

▢ 433.社会福祉法83条において、運営適正化委員会の設置主体は、都道府県社会福祉協議会であることが規定されている。

▢ 434.運営適正化委員会が、福祉サービスに関する苦情について行うのは、相談、援助、調査、解決のためのあっせん等である。事業者に改善を命じることができるのは、厚生労働大臣、都道府県知事、市町村長等行政機関である。

▢ 435.運営適正化委員会は、福祉サービス利用援助事業の適正な運営の確保および福祉サービスに関する苦情解決を行い、福祉サービスの利用者の権利を擁護することを目的としており、社会福祉事業における公正・中立な第三者委員会である。

▢ 436.グループインタビューは、グルーフダイナミックスにより、ひとりの参加者の発言により、別の参加者に気づきがもたらされ、新たな福祉ニーズを導き出す可能性があるなど、福祉ニーズの質的な把握方法として有効である。

▢ 437.社会福祉法78条1項において、「社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなけれはならない」と規定されている。

▢ 438.第三者評価制度は、あくまでも利害関係のない第三者による評価であり、法令に定められた福祉サービスの運営基準が遵守されているかを確認するのは、国および地方公共団体等所轄庁の役割である。

▢ 439.「地域力強化検討会最終とりまとめ」(2017年)では、地域の課題を地域で解決していく財源として、クラウドファンディングやSIB(social lmpact Bond)等も有効であるとされている。

▢ 440.バリアフリー新法において、バリアフリー化の対象は、建築物および旅客施設、車両等、道路、路外駐車場、都市公園などである。

▢ 441.プラットフォーム型の連携とは、ワンストップでの支援を可能とするものである。プロジェクト型の連携とは、支援チーム等を編成してチームアプローチによって支援することをいう。

6. 福祉行財政と福祉計画

近年の福祉施策の動向を踏まえて、福祉行政の役割や実施体制、財源などを把握し、相談援助を円滑に行うための福祉計画を理解することが重要です。

<1> 福祉行政と実施体制

▢ 442.1999年に公布された地方分権一括法により、機関委任事務や団体委任事務は廃止され、地方公共団体の行う事務は、法定受託事務と自治事務の2つに分けられた。

▢ 443.福祉事務所の設置義務は、都道府県と市にあることが社会福祉法に規定されている。町村については、任意による設置が定められている。

▢ 444.都道府県は、身体障害者の更生援護の利便や、市町村の援護の適切な実施の支援のため、必要の地に身体障害者更生相談所を設けなければならない(身体障害者福祉法11条)。

▢ 445.児童相談所の業務には、里親の開拓から児童の自立支援までの一貫した里親支援も位置付けられている。

▢ 446.婦人相談所は、売春防止法に基づき設置され、壁防止法により、配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすことが規定されている。

▢ 447.認定こども園は施設型給付の対象であり、保護者は、子どものための教育・保育給付を受けようとするときは、市町村に対し、区分についての申請をし、認定を受けなければならない(子ども・子育て支援法20条)。

<2> 社会福祉の財源

▢ 448.生活保護の保護費について、国は、市町村や都道府県が支弁した保護費、保護施設事務費、委託事務費の4分の3を負担する(生活保護法75条)。

▢ 449.「地方財政白書」(平成31年版)によると、2017年度の国民健康保険事業の歳入決算額は15兆7,863億円、歳出決算額は15兆3,002億円となっており、歳入決算額の方が多い。

▢ 450.「地方財政自書」(平成31年版)によると、2017年度の経常収支比率「70%未満」の市町村は、0.8%となっている。なお、経常収支比率「90%以上100%未満」の市町村が50.1%と最も多い。

▢ 451.「地方財政白書」(平成31年版)によると、2017年度の地方公共団体の歳出を目的別にみると、民生費(26.5%)、教育費(17.2%)、公債費(12.9%)、土木費(12.2%)、総務費(9.3%)の順となっている。

▢ 452.「地方財政白書」(平成31年版)によると、2017年度の民生費の歳出を目的別にみると、児童福祉費(32.8%)が最も多く、以下、社会福祉費(26.5%)、老人福祉費(24.2%)、生活保護費(15.4%)、災害救助費(1.2%)の順となっている。

▢ 453.「地方財政白書」(平成31年版)によると、2017年度の民生費25兆9,834億円のうち、都道府県は8兆726億円、市町村は21兆1,697億円であり、市町村が都道府県の2.6倍多くなっている。

▢ 454.「地方財政白書」(平成31年版)によると、2017年度の民生費の性質別歳出の内訳(「その他の経費」を除く)について、都道府県では、「補助費等」が最も多い。なお、市町村では、「扶助費」が最も多い。

▢ 455.2017年度の地方公共団体の一般財源は、地方税の占める割合が最も大きく、全体の39.4%となっている。続いて国から交付される地方交付税が16.5%となっている。

▢ 456.地方交付税は、国が都道府県や市町村など、各地方公共団体の財政均衡化を図るために調整する税金であり、一般財源に含まれるため、使途に制限はない。

▢ 457.地方消費税は都道府県に歳入されるので都道府県税である。歳入後、その2分の1が市町村へ交付される。

▢ 458.介護保険の財源構造の割合は、社会保険方式で実施されており、保険料が50%、公費負担が50%である。

▢ 459.措置制度は、福祉サービスの利用者の申出により、措置権者が調査・判定をして行政処分を行うことである。

▢ 460.後期高齢者医療制度の費用負担は、公費(税金)5割、国保・被用者保険からの支援全4割、高齢者の保険料1割となっている。

▢ 461.介護老人福祉施設のサービスのうち、食費、居住費(滞在費)その他日常生活に要する費用については、利用者の自己負担となっている。ただし低所得者については、負担の上限額(負担限度額)が定められ、居住費(滞在費)・食費の負担が軽減される。

<3> 福祉計画の意義と目的

▢ 462.わが国の地域福祉計画は、社会福祉協議会など民間を中心とした計画である民間計画と、行政による行政計画という2つの流れで展開されてきた。

▢ 463.1983年、全国社会福祉協議会は「市町村の社会福祉協議会強化計画」を提起し、市町村社会福祉協議会に地域福祉計画の策定を指導した。これが、民間計画の始まりである。

▢ 464.1990年の社会福祉関係八法の改正により、公的な在宅福祉サービスの位置付けの明確化と法的整備が行われ、地域福祉計画に関連する新たな行政計画として、老人保健福祉計画が登場した。

▢ 465.障害者基本法の制定に伴い、国に障害者基本計画の策定が義務付けられたが、都道府県と市町村が策定する障害者計画は、2004年の改正で義務付けられた(市町村の障害者計画は、2007年度より義務化)。

▢ 466.1999年に定められた少子化対策推進基本方針に基づき、新エンゼルプランが実施された(2000~2004年度)。新エンゼルプラン終了後に、少子化社会対策大綱に基づき、子ども・子育て応援プランが実施された(2005~2009年度)。

▢ 467.1989年に東京都地域福祉推進計画等検討委員会が三相計画を示した。なお、三相計画は、市町村が策定する市町村地域福祉計画、市町村社会福祉協議会や住民等が策定する地域福祉活動計画、東京都が策定する地域福祉推進計画により構成される。

▢ 468.児童福祉法の改正により、2018年度から市町村には市町村障害児福祉計画の策定義務、都道府県には都道府県障害児福祉計画の策定義務を課している。

<4> 福祉計画の主体と方法

▢ 469.社会福祉法の改正により、2018年度から市町村や都道府県は、策定した地域福祉計画について、定期的に調査、分析、評価を行うよう努めなければならない。

▢ 470.「地域における福祉サービスの適切な利用の推進に関する事項」は、市町村地域福祉計画に盛り込まれる事項である。

▢ 471.市町村地域福祉計画を策定または変更する場合には、あらかじめ地域住民等の意見を反映させるよう努め、さらに、その内容を公表するように努めるものとしている。

▢ 472.都道府県地域福祉支援計画を策定または変更する場合には、あらかじめ公聴会の開催等、住民その他の者の意見を反映させるよう努め、さらに、その内容を公表するよう努めるものとしている。

▢ 473.市町村介護保険事業計画は、市町村計画との整合性の確保が図られたものでなければならない(介護保険法117条)。

▢ 474.介護保険法118条10項において、都道府県介護保険事業支援計画は、都道府県地域福祉支援計画、都道府県高齢者居住安定確保計画と「調和が保たれたものでなければならない」と規定されている。

▢ 475.市町村介護保険事業計画は、市町村老人福祉計画と一体のものとして作成されなければならず、都道府県介護保険事業支援計画は、都道府県老人福祉計画と一体のものとして作成されなければならない。

▢ 476.市町村介護保険事業計画は、市町村地域福祉計画や市町村高齢者居住安定確保計画など、要介護者等の保健、医療、福祉、居住に関する事項を定めるものと調和が保たれたものでなければならない(介護保険法117条)。

▢ 477.市町村の介護保険料は、市町村介護保険事業計画に定める介護給付等対象サービスの見込量等に基づいて算定される(介護保険法129条3項)。

▢ 478.老人福祉法において、「市町村は、市町村老人福祉計画を定め、又は変更しようとするときは、 あらかじめ、都道府県の意見を聴かなければならない」と規定されている(老人福祉法20条の8第9項)。

▢ 479.市町村は、市町村介護保険事業計画に位置付けた目標の達成状況に関する調査および分析を行い、当該計画の実績の評価を行う。その評価結果は公表するよう努めるとともに、都道府県知事に報告する(介護保険法117条)。

▢ 480.厚生労働大臣は、市町村介護保険事業計画および都道府県介護保険事業支援計画の作成、実施、評価などに資するため、必要な情報について調査および分析を行い、その結果を公表する(介護保険法118条の2)。

▢ 481.2005年の介護保険法の改正によって、都道府県は、3年を1期とする都道府県介護保険事業支援計画を定めることが規定された。

▢ 482.市町村は、基本指針に即して、5年を1期とする市町村子ども・子育て支援事業計画を定めるものとする(子ども・子育て支援法61条)。

▢ 483.市町村障害児福祉計画は、市町村障害福祉計画と一体のものとして作成することができるほか、市町村障害者計画や市町村地域福祉計画などと調和が保たれたものでなければならない(児童福祉法33条の20)。

▢ 484.障害者総合支援法89条2項三号では、都道府県障害福祉計画において定めるものとして「各年度の指定障害者支援施設の必要入所定員総数」が規定されている。

▢ 485.障害者総合支援法において、市町村障害福祉計画は、市町村障害者計画、市町村地域福祉計画、その他の福祉計画で「障害者等の福祉に関する事項」を定めるものと調和が保たれたものでなければならないと規定されている。

▢ 486.障害者総合支援法に、市町村障害福祉計画においては、障害福祉サービス、相談支援および地域生活支援事業の提供体制の確保に係る目標に関する事項を定めるものとすると規定されている。

▢ 487.次世代育成支援対策推進法において、都道府県行動計画は、5年ごとに5年を1期として策定されることが規定されている。

▢ 488.次世代育成支援対策推進法に規定する市町村行動計画は、市町村が定期的に実施状況に関する評価を行い、市町村行動計画に検討を加え、必要があると認めるときは、 これを変更するなどの必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

▢ 489.都道府県は、都道府県子ども・子育て支援事業支援計画を定め、または変更した場合、遅滞なく、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。

7. 社会保障

安心して暮らすうえで、社会保障は重要です。日本と諸外国の社会保障の概要、年金や医療等の社会保険制度について押さえましょう。

<1> 社会保障制度の歴史と各国の現状

▢ 490.ドイツで生存権が確立したのは、1919年制定のワイマール憲法において明文化されたことによる。これは、世界最初の生存権規定である。

▢ 491.イギリスには、医療サービスを税財源により提供する国民保健サービスの仕組みがある。1946年の国民保健サービス法に基づき、NHSと呼ばれるすべての国民に予防医療、リハビリも含めた包括的な保健医療サービスを提供している。

▢ 492.アメリカの社会保障法は「社会保障」という語を世界で初めて用いた法律である。大恐慌による国民の経済不安に対処するニューディール政策の一環として、1935年に制定された。

▢ 493.イギリスのベヴァリッジ報告では、均一拠出、均一給付の原則が示された。

▢ 494.アメリカの公的医療保障制度では、全国民を対象とするものはないが、高齢者等を対象としたメディケアと低所得者を対象としたメディケイドがある。

▢ 495.ドイツの年金制度は、一定以上の所得がある被用者は強制加入、一定範囲の自営業者、無職者は任意加入となっている。

▢ 496.フランスの医療保障はわが国やドイツなどと同じく社会保険方式で、原則として償還方式をとる。

▢ 497.スウェーデンの保健・医療サービスは、ランスティング(県に相当)が税方式で運営し、提供している。費用は主にランスティングの税収で賄われている(一部自己負担)。

<2> わが国の社会保障の概要

▢ 498.社会保障の基本的機能は、日本国憲法25条が規定する国民の生存権の保障にある。

▢ 499.社会保険は公的な保険制度で、一定の条件を満たす国民は加入して保険料を負担する義務があるので、各個人が自由に制度に加入・脱退することは認められていない。

▢ 500.公的扶助では、受給に当たって資産調査が行われることからスティグマが伴う。

▢ 501.社会保険制度は、基本的な特質として防貧的な機能を持つ。公的扶助制度が持つ基本的な特質は、救貧的な機能である。

▢ 502.2017年度の社会保障給付費(120兆2,443億円)の部門別構成割合をみると、およそ50%近くを「年金」が占めている。年金が45.6%、医療が32.8%、福祉その他が21.6%となっている(「平成29年度社会保障費用統計」)。

▢ 503.2017年度の社会保障給付費の対国内総生産比は21.97%で、30%を超えていない。なお、対国民所得比は29.75%となっている。

▢ 504.2017年度の社会保障財源の項目別割合をみると、社会保険料が全体の50.0%で最も大きく、税(公費負担)の35.3%、他の収入の14.7%と続く。

▢ 505.2017年度の社会支出の総額は124兆1,837億円で、対国民所得比は30.72%である。OECD基準の社会支出は、施設整備費など直接個人に移転されない費用も含み、社会保障給付費よりも広い概念である。

▢ 506.国民負担率とは、国民所得に対する租税負担と社会保障負担(社会保険料)の割合をいう。

<3> 年金保険制度と企業年金

▢ 507.1959(昭和34)年に制定された国民年金法により、自営業者等にも公的年金制度が適用されたため、国民皆年全体制が実現することになった。

▢ 508.2004年の年金制度改正で、マクロ経済スライドが新たに導入された。マクロ経済スライドは、社会全体の保険料負担能力の変化を年金額に反映させる仕組みである。なお、2015年度に初めて適用された。

▢ 509.離婚時の年金分割について、分割対象となるのは厚生年全部分であり、老齢基礎年金である国民年全部分は分割の対象とはならない。

▢ 510.2016年の年金制度改正により、2017年4月から短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲が拡大された。

▢ 511.2016年の年金制度改正により、2019年4月から国民年金第1号被保険者の産前産後期間の保険料が免除となった。

▢ 512.国民年金の保険者は、政府である。

▢ 513.老齢基礎年金の満額の支給が受けられるのは、40年間保険料を納付した場合である。

▢ 514.2004年の年金制度改正により、厚生年金の保険料率は、毎年0.354%ずつ引き上げられ、2017年9月以降は18.30%で固定されている。

▢ 515.法改正により、2020(令和2)年4月から、国民年金の被扶養配偶者の要件に「原則として国内に居住していること」が追加された。

▢ 516.2007年4月から、遺族厚生年金の受給権を取得した当時30歳未満で子のいない妻の遺族厚生年金の受給権は、5年間で消滅することとなった。

▢ 517.2007年4月から、厚生年金適用事業所に在職する70歳以上の人は、60歳代後半の人と同様の在職老齢年金制度が適用され、年金額と賃金の合計額に応じて老齢厚生年金の全部または一部が支給停止になったが、厚生年全保険料は納付しなくてよい。


▢ 518.2006年度から、65歳以上の人を対象に、障害基礎年金と老齢厚生年金、障害基礎年金と遺族厚生年金について併給が可能になった。


▢ 519.国民年金の場合、自営業者の妻は第1号被保険者になる。サラリーマンの夫(第2号被保険者)の妻(20歳以上60歳未満)であれば第3号被保険者となる。


▢ 520.国民年金の第1号被保険者への独自給付である寡婦年金と死亡一時金は、同時に受け取ることができず、どちらかを選択する。


▢ 521.2000年の厚生年全保険法改正により、60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢は、2013年度から61歳となり、2025年度までの間に段階的に65歳へと引き上げることとなった(女性は5年遅れて実施)。


▢ 522.遺族基礎年金は、 その者の子を有しない配偶者には支給されない。遺族基礎年金の支給対象者は、死亡した者によって生計を維持されていた、子のある配偶者または子である。

▢ 523.20歳前に傷病を負った人の障害基礎年金については、20歳になったときに障害等級1級または2級の状態であれば受給できる。ただし、本人の前年の所得が一定額を超えると、全額または2分の1が支給停止になる。


▢ 524.納付猶予制度により、保険料納付の猶予を受けた者が保険料を追納しなかった場合、老齢基礎年金の支給額に、当該期間の国庫負担分は反映されない。保険料の「免除」と「納付猶予(学生の場合は学生納付特例)」は、その期間が老齢基礎年金額に反映されるか否かの違いがある。


▢ 525.付加年金は、第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者が、国民年金の定額保険料に付加保険料を合わせて納めることで、将来において老齢基礎年金を受給する際に、上乗せ受給できる制度である。


▢ 526.遺族厚生年金の額は、死亡した者の老齢厚生年金(報酬比例部分)の額の4分の3である。なお、被保険者期間の月数が300月に満たない場合は、300月として計算される。


▢ 527.障害等級2級の受給者に支給される障害基礎年金の額は、老齢基礎年金の満額と同額である。なお障害等級1級の受給者に支給される障害基礎年金の額は、老齢基礎年金の満額の1.25倍である。


▢ 528.学生納付特例制度を利用する場合は、制度を利用する学生本人の前年の所得が一定額以下であることが条件となる。
 
▢ 529.2017年1月より、確定拠出年金の個人型は、加入対象者が拡大され、これまで対象外の国民年金第3号被保険者や、60歳未満の企業年金加入者や公務員なども加入できるようになった。



<4> 医療保険制度

▢ 530.わが国初の社会保険立法である健康保険法の適用対象は、適用事業所に勤める被用者とその扶養家族である。


▢ 531.医療制度改革関連法が2006年に成立し、老人保健制度の廃止や新たな高齢者医療制度(後期高齢者医療制度および前期高齢者の財政調整制度)の創設など、一連の改革が実施された。


▢ 532.従業員が一定数を超える事業所の事業主は、健康保険組合を設立することができるが、必ず設立しなければならないものではない。


▢ 533.国民健康保険組合は、自営業であっても、同種の事業・業務に従事する300人以上の者の同意により、都道府県知事の認可を受けて設立することができる。


▢ 534.健康保険制度では、すべての法人事業所と常時5人以上の従業員を使用する事業所で働く者を被保険者とするが、5人未満であっても、一定の手続きが行われた任意適用事業所の従業員は被保険者となる。

▢ 535.国民健康保険には、都道府県および市町村が保険者となる国民健康保険と、自営業者の職種別の国民健康保険組合がある。


▢ 536.パートタイム労働者であっても、勤務時間・勤務日数が一般社員の3/4以上ある、または3/4未満でも勤務時間が週20時間以上であるなどの要件を満たしていれば、健康保険の適用を受ける。


▢ 537.健康保険の療養の給付率(70歳未満)は、義務教育就学前は8割(自己負担2割)で、それ以外は7割(自己負担3割)となっている。

▢ 538.法改正によって、2020(令和2)年4月から、健康保険や国民健康保険の被扶養者の要件に「原則として国内に居住していること」が追加された。

▢ 539.同一世帯でなくても、被扶養者の病気やけがに対しては、家族療養費が支給される。その給付の範囲・受給方法・受給期間などは、すべて被保険者に対する療養の給付と同様である。


▢ 540.健康保険の保険者は、全国健康保険協会および健康保険組合である。

▢ 541.健康保険組合の保険料は、健康保険組合ごとに定められている。


▢ 542.国民健康保険において、市町村は、都道府県が示した標準保険料率を参考にして保険料の算定方式などを定める。


▢ 543.2003年4月より、健康保険には、賞与を含めて保険料を負担する総報酬制が導入されたが、標準報酬月額にも標準賞与額にも上限が定められている。


▢ 544.国民健康保険料の納付義務者は世帯主である。世帯主が国民健康保険に加入していない場合でも、その世帯に国民健康保険の被保険者がいれば、世帯主に保険料の納付義務が生じる。


▢ 545.後期高齢者医療制度の被保険者は、65歳以上75歳未満である。一定程度の障害の状態にあると認定を受けた者も、後期高齢者医療制度の被保険者となる。


▢ 546.後期高齢者医療制度における国と地方自治体の負担割合は、2 : 1である。公費の内訳は、国 : 都道府県 : 市町村 = 4 : 1 : 1の割合になる。

<5> 労働保険制度

▢ 547.労働者災害補償保険(労災保険)は、同様の制度がある公務員を除き、労働者を使用するすべての事業に強制適用される。また、個人タクシー、大工などのいわゆる一人親方も労災保険への特別加入が認められる。


▢ 548.労災保険の補償対象となる労働災害は、業務災害と通勤災害に区分される。


▢ 549.業務災害や通勤災害については健康保険が適用されず、労災保険による給付を受ける。


▢ 550.療養補償給付は、労災指定病院等での医療の現物給付を原則とするが、例外的に、指定病院以外の病院等で療養した場合に費用の全額を支払い、後に相当額の支給を受ける「療養の費用の支給」もある。


▢ 551.休業補償給付は、業務上の傷病による療養のため労働できず賃金を受けられない場合、休業4日目から支給される。


▢ 552.労災保険では、脳血管や心臓の状態を把握するための二次健康診断、医師等による特定保健指導は、受診者の費用負担なく受けることができる。二次健康診断等給付は、事業者の実施する労働安全衛生法に基づく健康診断のうち直近のもの(一次健康診断)などで、脳血管疾患や心臓疾患に関する一定の項目に異常がみられる場合に適用される。

▢ 553.労災保険の保険料は、全額を事業主が負担する。労働者の負担はない。


▢ 554.労災による障害等級は、第1級から第14級までである。第1級から第7級までについては障害(補償)年金が、第8級以降は障害(補償)一時金が、それぞれ障害の程度に応じて支給される。


▢ 555.雇用保険制度における基本手当は一般被保険者に対する求職者給付の1つである。雇用保険の被保険者でない者は、基本手当を受給できない。


▢ 556.パートタイム労働者等の場合は、31日以上引き続き雇用が見込まれ、かつ1週間の所定労働時間が20時間以上であれば、雇用保険の被保険者となる。


▢ 557.雇用保険の保険者は、政府(主管は厚生労働省)である。現業事務を取り扱う出先機関には、公共職業安定所(ハローワーク)などがある。


▢ 558.一般被保険者の基本手当は、原則として、離職の日以前の2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上(倒産・解雇の場合は、離職の日以前の1年間に、通算して6か月以上)あるときに支給される。


▢ 559.雇用保険の被保険者が育児体業を取得した場合、育児休業給付として、休業前賃金の50%(育児休業開始時から最初の6か月は67%)が、休業期間中に全額支給される。


▢ 560.「パパ・ママ育休プラス制度」の利用により、父母ともに育児休業を取得する場合は、一定の要件を満たせば、子が1歳2か月に達する前日までの間、最大1年間、育児休業給付金を受給することができる。


▢ 561.介護休業給付は、支給対象となる家族の同一要介護状態につき、1回の介護休業期間について休業前の賃金の67%相当額が支給される。その期間は、介護休業開始日から最長3か月間となっている。


▢ 562.国庫負担の割合は、日雇労働求職者給付金以外の求職者給付については4分の1となっている。ただし、当面の間は55%に引き下げた負担割合となっている。

<6> 介護保険制度

▢ 563.介護保険では市町村で組織する広域連合が保険者となることができる。介護保険法に規定する保険者は、原則として市町村および特別区であるが、地方自治法284条1項および2項の規定などにより、一部事務組合および広域連合が保険者になっている例も多い。


▢ 564.介護保険施設に入所し、住所を施設所在地の市町村に変更した場合は、住所地特例により、住所変更前の住所地の市町村が保険者となる。


▢ 565.介護保険の第2号被保険者保険料には、被用者保険間の加入者の報酬額に比例して負担する総報酬割が導入されており、2020年4月に全面的に適用される。


▢ 566.介護保険の被保険者には、65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である第2号被保険者がある。


▢ 567.生活保護を受けていても、65歳以上の者は、介護保険の第1号被保険者となる。その場合、生活保護の生活扶助に保険料相当額が加算される。


▢ 568.保険給付や保険料の徴収に関する保険者の処分に不服がある場合の審査請求先である介護保険審査会は、都道府県に設置されている。


▢ 569.介護給付と予防給付は、介護保険法に規定される法定給付であるが、市町村特別給付は、市町村が独自に条例で定めることができるものである。


▢ 570.63歳の介護保険被保険者が、交通事故が原因で要介護状態になった場合には、介護保険の給付を受けることはできない。40歳以上65歳未満の第2号被保険者が保険給付を受けるためには、加齢に伴って生じる心身の変化に起因する16種類の特定疾病により、要支援・要介護状態にあると認定されることが必要となる。


▢ 571.加入する医療保険制度を通して介護保険料を支払うのは、第2号被保険者(40歳以上65歳未満)である。


▢ 572.2011年の介護保険法改正により、地域密着型サービスの一類型として、定期巡回・随時対応型訪問介護看護が創設された。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、重度者を始めとした要介護高齢者の在宅生活を支えるため、日中・夜間を通じて、定期巡回訪問と随時の対応を行うサービスである。 


▢ 573.第1号被保険者の保険料額は、所得状況等に応じて原則9段階になっている。なお、保険料段階は、市町村の判断により、さらに細分化できる。


▢ 574.第1号被保険者が老齢・退職年金、障害年金、遺族年金を年間18万円以上受給している場合は、特別徴収の対象となる。それ以外の場合は普通徴収が行われる。


▢ 575.第2号被保険者の保険料は、医療保険者が医療保険料に上乗せして徴収し、介護給付費・地域支援事業支援納付金として、社会保険診療報酬支払基金へ納付する。


▢ 576.介護保険サービスの利用に係る利用料の自己負担割合は、原則として1割負担であるが、その者の所得に応じて2割負担もしくは3割負担となる。


▢ 577.介護保険制度では、市町村ごとの介護保険財政の調整を行うため、国が負担する給付費の5%相当分が、調整交付金として交付される。


▢ 578.財政安定化基金は、市町村の介護保険財政の安定に必要な費用を交付・貸付するために都道府県が設置する基金である。その財源は、国・都道府県・市町村がそれぞれ3分の1ずつ負担している。



8. 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
 
障害者福祉の歴史・理念を踏まえたうえで、障害者総合支援法に基づいた障害福祉サービスの体系と関連施策の内容をしっかり理解しましょう。




<1> 障害者の生活実態


▢ 579.厚生労働省が2016年12月に実施した「平成28年生活のしづらさなどに関する調査」によれば、在宅で生活をしている障害者手帳所持者数は、559.4万人となっている。

▢ 580.「平成28年生活のしづらさなどに関する調査」(厚生労働省)によれば、最も多いのは身体障害者手帳所持者で428万7,000人である。


▢ 581.「平成28年生活のしづらさなどに関する調査」(厚生労働省)において、身体障害者手帳所持者数を種類別にみると、肢体不自由は45.0%で最も多く、視覚障害は7.3%となっている。


▢ 582.「平成28年生活のしづらさなどに関する調査」(厚生労働省)によれば、65歳未満の身体障害者のうち、「親と暮らしている」者は48.6%で半数以下となっている。


▢ 583.「平成28年生活のしづらさなどに関する調査」(厚生労働省)によれば、身体障害者手帳所持者のうち、65歳以上の者は 72.6%であり、3分の2を超えている。


▢ 584.「平成28年生活のしづらさなどに関する調査」(厚生労働省)によれば、手帳非所持で、自立支援給付等を受けていない者のうち、74.7%の者が障害による日常生活を送る上での生活のしづらさがあると回答した。


▢ 585.『令和元年版 障害者自書』によれば、2017年においては20歳未満では男性が17万8,000人、女性が10万4,000人となっている。




<2> 障害者福祉制度の発展過程


▢ 586.1948年に出された世界人権宣言で、すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利について平等であると表明された。

▢ 587.知的障害者の権利宣言は、1971年に国連で採択されたもので、知的障害者が他の人と同等の権利を有していることを宣言するとともに、適切な医療、教育、訓練を受ける権利などが明記されている。障害者の権利宣言は、それより後の1975年に採択された。


▢ 588.自立生活運動(lL運動)は、自立の考え方をADLの自立から精神的な自立を重視した考え方へ変化させた。


▢ 589.1981年の国際障害者年では、完全参加と平等をテーマに、世界各国で障害者施策の実施が計画され、WHO、UNESCO、EU、ILOなどの国際機関により、さまざまな取組みが行われた。


▢ 590.障害者の権利に関する条約では、障害者一人ひとりの状況に応じてその環境を改善したり調整したりする「合理的配慮」という考え方が重要視された。


▢ 591.重症心身障害児施設は、1967年の児童福祉法の一部改正により、病院認可児童福祉施設として法定化された。なお、重症心身障害児施設は、児童福祉法の改正により、2012年4月から障害児入所施設に改められた。


▢ 592.1990年に制定された障害をもつアメリカ人法(ADA)は、公共の輸送機関や建築物に対する障害者のアクセス権確保と雇用差別の撤廃を義務付け、あらゆる分野における障害者の社会参加への機会均等を保障した法律である。


▢ 593.障害者基本法の障害者の範囲に難病等の者も含まれるようになったのは、2011年の改正による。また同改正において、発達障害が明記され、精神障害に含まれるとされた。


▢ 594.1990年の社会福祉関係八法改正により、身体障害者福祉行政について、在宅福祉と施設福祉の市町村への一元化が図られた。


▢ 595.1949年制定当時の身体障害者福祉法は、身体障害者の定義を、身体上の障害のため職業能力が損傷されている18歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けた者とした。


▢ 596.重度精神薄弱児扶養手当法(現 : 特別児童扶養手当等の支給に関する法律)は、制定当初、重度の知的障害児を対象とした法律であった。その後1966年に「重度精神薄弱児扶養手当法の一部を改正する法律」が成立し、精神または身体に重度の障害を有する児童が対象となった。


▢ 597.障害者関連法として、1949年にわが国で最初に制定されたのは身体障害者福祉法である。生活保護法・児童福祉法と併せて福祉三法と呼ばれる。


▢ 598.支援費制度の実施により、身体障害者、知的障害童、障害児のサービスについて、利用契約制度が導入された。


▢ 599.障害者差別解消法2条(2013年)において、障害者を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう」と定義しており、障害者基本法の定義と同様である。




<3> 障害者自立支援制度(1)


▢ 600.「障害者の権利に関する条約」の批准に向けた国内法の整備に向けて、2009年に「障がい者制度改革推進会議」が内閣府に設置された。


▢ 601.障害者総合支援法において、障害者とは、身体障害者、知的障害者、精神障害者(発達障害者を含む)、難病患者のうち18歳以上のものとしている。


▢ 602.都道府県知事は障害福祉サービス事業者のほか、障害者支援施設や自立支援医療機関などの指定も行っている。


▢ 603.障害者総合支援法において、障害者または障害児の保護者が居住地を有しないとき、 または明らかでないときは、その障害者または障害児の保護者の現在地の市町村が支給決定を行うものとしている。


▢ 604.障害支援区分の認定は、介護給付費の支給を希望する場合に受ける必要がある。


▢ 605.障害支援区分の認定は、市町村審査会の審査および判定に基づいて市町村によって行われる。


▢ 606.障害者総合支援法では、すべての国民は、その障害の有無にかかわらず、障害者等が自立した日常生活又は社会生活を営めるような地域社会の実現に協力するよう努めなければならないとしている。


▢ 607.障害支援区分とは、障害者等の障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を総合的に示すものとして厚生労働省令で定める区分をいう。


▢ 608.障害者総合支援法は、2014年4月から、重度の知的障害、精神障害により、行動上著しい困難を有する障害者であって常時介護を要する者も対象に含まれるようになった。


▢ 609.重度訪問介護は、2018年4月から医療機関への入院時も一定の支援を行うことが可能となった。


▢ 610.自立生活援助は、施設入所支援や共同生活援助を受けていた障害者等を対象に、定期的な巡回訪問や随時の対応により、円滑な地域生活に向けた相談や助言等の援助を行う。


▢ 611.就労継続支援とは、通常の事業所の雇用が困難な障害者に、就労の機会を提供し、必要な訓練などを行うサービスである。就労移行支援は、就労を希望する65歳未満の障害者に対して、一定期間、生産活動等の機会を提供することによって、就労に必要な知識や能力の向上を図る訓練等を行うサービスである。


▢ 612.障害福祉サービスのうち、共生型サービスが認められているのは、居宅介護、重度訪問介護、生活介重、 自立訓練、短期入所である。


▢ 613.障害支援区分の認定調査は、基本的に市町村が行うものであるが、指定一般相談支援事業者等に委託することも可能である。


▢ 614.療養介護とは、医療を必要とし、常時介護を要する障害者に、機能訓練、看護、医学的管理の下における介護等を行うサービスである。生活介護とは、常時介護を要する障害者に、障害者支援施設等で介護、創作的活動や生産活動の機会の提供等を行うものをいう。


▢ 615.就労定着支援は、就労移行支援などと同様、訓練等給付の対象である。






<4> 障害者自立支援制度(2)


▢ 616.障害者総合支援法では、厚生労働大臣は、自立支援給付および地域生活支援事業の円滑な実施を確保するための基本指針を定めたり変更した際には、遅滞なく公表しなければならない。


▢ 617.特定相談支援事業とは、基本相談支援と計画相談支援を行うサービスを指す。地域移行支援は、一般相談支援事業のひとつである。なお、指定特定相談支援事業者の指定は市町村が行う。


▢ 618.障害福祉サービス事業者等の情報公表制度の実施主体は、都道府県知事(都道府県)である。


▢ 619.サービス等利用計画を作成するのは、相談支援専門員の業務である。サービス管理責任者は、個別支援計画の作成にかかわる業務を担当する。


▢ 620.サービス管理責任者研修は、都道府県地域生活支援事業に位置付けられている。したがって、市町村ではなく、都道府県の研修として実施される。


▢ 621.市町村審査会は、判定結果を市町村へ通知する。立町村は、その結果に基づき、障害支援区分の認定を行い、認定結果を申請者に通知する。


▢ 622.基幹相談支援センターは、障害者総合支援法に基づく、総合的・専門的な相談業務や地域の事業者支援等を行う機関であり、協議会の運営の中心的な役割を担っている。


▢ 623.居宅介護や重度訪問介護では、一定の研修を修了した介護職員が、医師の指示の下、喀痰吸引や経管栄養を実施できる。




<5> 障害者福祉関連法


▢ 624.1960年制定当時の精神薄弱者福祉法は、精神薄弱者援護施設を法的に位置付け、入所施設の設置体制を整備した。精神薄弱者福祉法5条では、「精神薄弱者援護施設とは、精神薄弱者更生施設、精神薄弱者授産施設、精神薄弱者通勤寮及び精神薄弱者福祉ホームをいう」と規定されていた。


▢ 625.身体障害者福祉法には、身体障害者更生相談所の設置義務は都道府県にあることが規定されている。


▢ 626.2011年の障害者基本法の改正で、2004年の改正時に設けられた、障害を理由とする差別の禁止に違反することとならないよう、社会的障壁の除去の実施にかかる合理的配慮の考え方が取り入れられた。


▢ 627.身体障害者手帳、療育手帳は居住地の福祉事務所か市町村、精神障害者保健福祉手帳は居住地の市町村が申請窓口となる。


▢ 628.身体障害者手帳には、有効期限がない。精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年である。


▢ 629.1990年の社会福祉関係八法(児童福祉法、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法、老人福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、社会福祉事業法、老人保健法、社会福祉・医療事業団法)の改正には、精神保健法は含まれない。


▢ 630.身体障害者手帳は、身体障害者等級の1~7級のうち、障害等級1~6級の者に対して交付される。


▢ 631.肝臓機能障害は、2010(平成22)年4月から身体障害者手帳の対象に加わっている。


▢ 632.身体障害者福祉法では、市町村は情報の提供、相談・指導のうち、主として居宅において日常生活を営む身体障害者及びその介護を行う者に係るものについては、これを相談支援事業を行う当該市町村以外の者に委託することができると規定されている。


▢ 633.知的障害者福祉法において、都道府県は、知的障害者更生相談所に知的障害者福祉司を置かなければならないと規定されている。


▢ 634.知的障害者福祉法では、知的障害者の定義は明確にされていない。そのため、療育手帳は、「療育手帳制度について(1973年、厚生事務次官通知)」を根拠に発行されている。
▢ 635.精神保健福祉法では、精神障害者とは、統合失調症、精神作用物質による急性中毒またはその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいうとしている。


▢ 636.精神保健福祉相談員は、精神保健福祉法に基づき、保健所や精神保健福祉センターに配置されている。


▢ 637.高次脳機能障害で日常生活や社会生活に制約がある者は、精神障害者保健福祉手帳の交付対象となる。


▢ 638.発達障害者支援法2条2項において、発達障害者のうち18歳未満の者も発達障害児として同法の対象とされている。


▢ 639.発達障害者支援法では、発達障害を自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものと規定している。


▢ 640.発達障害者支援法による発達障害者支援センターの業務には、専門的な発達支援とともに、就労支援を行うことも含まれている。主な業務は、① 発達障害者およびその家族に対する、専門的な相談・助言、② 専門的な発達支援および就労の支援、③ 医療、保健、福祉、教育等の業務を行う関係機関および民間団体、これに従事する者に対する、発達障害についての情報提供、研修、④ 発達障害に関して、医療等の業務を行う関係機関および民間団体との連絡調整、である。


▢ 641.障害者総合支援法における基幹相談支援センターでは、総合的・専門的な相談支援として、3障害対応のワンストップ相談窓口、支援困難事例への対応や相談支援事業への助言、地域の相談支援専門員の人材育成等を行っている。


▢ 642.「バリアフリー新法」は、「高齢者、障害者等の移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資すること」を目的としているが、「移動の権利」は法文上明記されていない。


▢ 643.「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(障害者虐待防止法)は、障害者虐待の定義を、養護者・障害者福祉施設従事者・使用者による虐待としている。


▢ 644.「障害者差別解消法」では、行政機関等は、障害者から社会的障壁の除去を必要とする旨の意思表明があった場合、その実施に伴う負担が過重でないときは、配慮が求められるとしている。


▢ 645.障害者差別解消法では、差別を解消するための支援措置として、既存の相談、紛争解決の制度の活用・充実を図り、体制を整備していくこととされている。













9. 低所得者に対する支援と生活保護制度
 
生活保護法における原理・原則や扶助の種類、保護の実施機関の体制などについて理解を深め、公的扶助の歴史的展開や近年の動向を、しっかり押さえましょう。




<1> 公的扶助の概念と歴史


▢ 646.生活保護制度では、要保護状態にあることを確認するため、行政機関によって資力調査(ミーンズ・テスト、資産調査)が行われる。


▢ 647.生活保護法2条に規定する無差別平等の原理により、全国民を対象とした一般扶助主義を採用。なお、制限扶助主義は、労働不能の困窮者のみ救済対象とするもので、救護法などで採用された。


▢ 648.救済基準を全国一律にすることによって、教区ごとのばらつきをなくし、救貧行政の中央集権化を図るという均一処遇が行われたのは、1834年に制定された新救貧法である。


▢ 649.1834年に制定された新救貧法では、貧民に与えられる救済の質・量は労働者の最低生活水準を上回ってはならないことを原則とした(劣等処遇の原則)。


▢ 650.1834年に制定された新救貧法では、労役場を労働能力のある貧民の救済の場として、院外救済を禁止した。設問の記述は、ギルバート法による制度である。


▢ 651.救貧法および失業救済に関する王立(勅命)委員会報告書において、救貧法を解体すべきと主張したのは、ウェッブによる少数派報告である。多数派報告では、救貧法制度の存続と強化を目指した。


▢ 652.恤救規則は、1874(明治7)年に制定された公的な救済制度であるが、血縁的な助け合いを基礎に、人々のお互いの同情心によって助け合うこととしていた。


▢ 653.恤救規則(1874年)の救済の対象は「無告ノ窮民」で、具体的には、極貧かつ独身で、① 廃疾にかかり労働不能な者、② 70歳以上で重病あるいは老衰者、③ 疾病にかかり労働不能な者、④ 13歳以下の者、と制限し、私的扶養が期待できない者をいう。


▢ 654.恤救規則の救済内容は、当該地の前月下期の米相場により米代が支給されるというもので、その内訳は、極貧かつ独身の廃疾者および70歳以上の重病・老衰者は年間1石8斗を、疾病者には1日男性3合、女性2合を、13歳以下の児童は年間7斗を上限としていた。


▢ 655.1929年に制定された救護法の救護の種類は、生活扶助、医療、助産、生業扶助の4種類であり、加えて埋葬費の支給が行われた。


▢ 656.救護法では、民法上の扶養義務者による扶養が優先され、扶養義務者に扶養能力がある場合や、労働能力のある貧困者には救護を行わないという除外規定が設けられた。


▢ 657.旧生活保護法2条(1946年)に次の各号の一に該当する者は、この法律による保護はこれをなさないと規定されており、 その第二号に「素行不良な者」を挙げている。


▢ 658.1946年にGHQは、「社会救済に関する覚書」(SCAPIN775)を発し、それを受けて旧生活保護法が制定、生活扶助、医療扶助、助産扶助、生業扶塾、葬祭扶助の5種類の扶助が制度化された。


▢ 659.現行生活保護法では、教育扶助と住宅扶助が加わり、7つの扶助となった。なお、2000年には介護扶助が加わり、現在は8つの扶助となっている。




<2> 保護の原理・原則、被保護者の権利・義務


▢ 660.生活保護法は、日本国憲法25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としている。


▢ 661.生活に困窮している外国人に対する扶助は、永住や配偶者の資格などで在留する場合、日本国民に準じた保護を行う。ただし、外国人には保護請求権や不服申立てを行う権利は認められていない。


▢ 662.生活保護法2条でいう無差別平等とは、人種、信条、性別、社会的身分、門地等によって差別されることはない、ということである。


▢ 663.生活保護法3条の最低生活では、保障される最低限度の生活は、日本国憲法25条に規定された健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならないと規定されている。


▢ 664.生活保護法の保護は、利用できる資産や能力、他の法律や制度を活用(他法他施策の優先)しても、なお生活に不足を生じた場合に、その不足分を補うものである。これを保護の補足性という。


▢ 665.生活保護法4条における扶養義務者には、民法752、877条に基づき、配偶者や直系血族、兄弟姉妹といった絶対的扶養義務者と3等身内の親族という相対的扶養義務者が含まれる。


▢ 666.生活保護法では、現に保護を受けている者を「被保護者」という。


▢ 667.生活保護法では、要保護者、その扶養義務者または同居の親族の申請に基づいて開始される申請保護が原則である。


▢ 668.要保護者が急迫した状況にあるときは、保護の申請がなくとも、資力調査を待たずに、福祉事務所長の判断で必要な保護(職権保護)を行うことができる。これは申請保護の原則の但し書として規定されている。


▢ 669.保護の要否および程度は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要をもとに決定される。これを基準及び程度の原則という。保護の算定基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別に分けて設定されている。


▢ 670.生活保護法の規定では、被保護者に対して扶養義務者が扶養の義務を履行しないとき、費用を支弁した都道府県または市町村は、その費用の全部または一部を、その扶養義務者から徴収することができる。


▢ 671.保護に当たっては、要保護者の年齢、性別、健康状態を考慮したうえで保護の内容や保護費の額が決定される。これを必要即応の原則という。
 
▢ 672.保護は世帯単位で、 その要否および程度を決めるが、何らかの事情により、それができない場合には個人単位で行われる。これを世帯単位の原則という。


▢ 673.生活保護は、原則として世帯単位の原則に基づくが、世帯分離が認められる場合は、個人単位で保護を受けることが可能である。


▢ 674.生活保護法8条では、保護基準は、厚生労働大臣が定めると規定されている。


▢ 675.生活保護基準は、厚生労働大臣で改定される。


▢ 676.生活保護法に基づく不利益変更の禁止について、地方公共団体の予算不足は、正当な理由(保護申請に虚偽がある場合など)に該当しない。


▢ 677.被保護者は、保護金品を標準として租税その他の公課を課せられることがない。これを公課禁止という。


▢ 678.被保護者は、既に給与を受けた保護金品またはこれを受ける権利を差し押さえられることはない。これを差押禁止という。


▢ 679.生活扶助は、原則、被保護者の居宅において行うものであるが、救護施設、更生施設、日常生活支援住居施設などに入所・入居しているなどの場合にも行うことができる。


▢ 680.生活保護法の届出の義務についての記述であるが、収入、支出その他生計の状況に変動があったときは、保護の実施機関または福祉事務所長に届け出なければならない。


▢ 681.被保護者が文書による指導・指示に従わない場合、保護の実施機関は保護の変更または停止・廃止をすることができると規定されている。


▢ 682.生活保護法に、被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県または市町村に対して、保護の実施機関の定める額を返還しなければならないと規定されている。




<3> 保護の種類と保護施設


▢ 683.生活扶助は、飲食費や被服費などの個人単位の経費を第1類、光熱費や家具什器などの世帯単位の経費を第2類としている。


▢ 684.現在の生活扶助基準は、水準均衡方式によって設定される。マーケッ卜・バスケット方式によって設定されていたのは、1948年から1960年までである。


▢ 685.生活扶助基準第2類は、地域区分別、世帯人員別に設定されている。生活扶助基準第1類は、所在地域区分ごと、年齢ごとに設定されている。


▢ 686.被保護者が、入退院、通院をした場合に要する交通費(移送)は、医療扶助から支給される。


▢ 687.生活扶助の支給範囲は、衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なものや、移送に係る費用となっている。葬祭費は、葬祭扶助の支給範囲に含まれる。


▢ 688.教育扶助の支給範囲は、義務教育に伴って必要な教科書などの学用品や通学用品、学校給食などとなっている。高等学校の就学に係る学用品費については、生業扶助の支給範囲に含まれる。


▢ 689.生活保護法33条1項に、「住宅扶助は金銭給付によって行うものとする」と規定されている。


▢ 690.生活保護法において、医療扶助は、原則として現物給付によって支給されることが規定されている。


▢ 691.生活扶助により、入院中の被保護者に対しては入院患者日用品費が支給される。


▢ 692.生活保護法15条の2において、要介護者に対する介護扶助の範囲は、居宅介護、福祉用具、住宅改修、施設介護、介護予防、介護予防福祉用具、介護予防住宅改修、移送、介護予防・日常生活支援と規定されている。

▢ 693.生活保護法16条において、出産扶助の範囲は、分娩の介助、分娩前および分娩後の処置、脱脂綿、ガーゼその他の衛生材料と規定されている。


▢ 694.生業扶助は、現に就いている生業の維持を目的とするため、生業に就くために必要な技能の修得は 対象範囲に含まれる。


▢ 695.生活保護法18条において、葬祭扶助の範囲は、遺体の検案、死体の運搬、火葬または埋葬、納骨その他葬祭のために必要なものと規定されている。


▢ 696.エンゲル方式は、ベルギーの労働者世帯の家計構造の調査を行ったエンゲルが提唱した総生活費を算出する方式で、わが国では1961年から1964年まで採用されていた。


▢ 697.1965年から1983年にかけて採用された、格差縮小方式とは、予算編成時に政府が発表する国民消費支出の伸び率をもとに、一般世帯と生活保護世帯の生活水準の格差縮小分を加え、生活扶助基準の改定率を決める方式である。


▢ 698.最低限度の生活を維持するのに必要な飲食物費、被服材料費、光熱水費などの具体的な費目を積み上げ、最低生活費を算出する方式をマーケット・バスケット方式という。
水準均衡方式とは、当該年度に想定される一般国民の消費動向を踏まえ、前年までの消費水準との調整を図り、生活扶助基準を算定する方式である。


▢ 699.保護施設の種類は、救護施設、更生施設、医療保護施設、授産施設、宿所提供施設の5種類である。


▢ 700.救護施設は、心身に著しい障害があるために日常生活を営むことが困難な要保護者を入所させ、生活扶助を行うことを目的とする施設である。


▢ 701.更生施設は、身体上または精神上の理由により、養護および生活指導を必要とする要保護者を入所させて、生活扶助や自立と社会参加に必要な生活指導を行うことを目的とした施設である。
授産施設は、就業能力の限られている要保護者の就労または技能の修得のために必要な機会および便宜を与えて、その自立を助長することを目的とする施設である。


▢ 702.医療保護施設は、医療を必要とする要保護者に対して、医療扶助を行うことを目的とする施設である。


▢ 703.保護施設である授産施設への入所は、従来どおり措置権者への申請とそれによる行政処分である。


▢ 704.宿所提供施設は、住居のない要保護者の世帯に対し、住宅扶助を行うことを目的とする施設である。


▢ 705.保護施設を設置することができるのは、都道府県、市町村および地方独立行政法人、社会福祉法人、日本赤十字社である。


▢ 706.被保護者健康管理支援事業は、被保護者への必要な情報の提供、保健指導、医療の受診の勧奨などを行うもので、2021(令和3)年1月に創設を予定。


▢ 707.被保護者健康管理支援事業は、就労の支援に関する問題について、被保護者からの相談に応じ、必要な情報の提供や助言を行う。




<4> 保護の運営と費用


▢ 708.保護の実施機関は、社会福祉法14条に基づき設置されている都道府県および市の福祉事務所と任意に設置されている町村の福祉事務所である。


▢ 709.福祉事務所の長は、都道府県知事または市町村長(特別区の区長を含む)の指揮監督を受けて、所務を掌理するものであるが、その長についての資格要件は、社会福祉法上に設けられていない。


▢ 710.社会福祉法15条6項において、福祉事務所の指導監督を行う所員および現業を行う所員は、社会福祉主事でなければならないと規定されている。
 
▢ 711.民生委員は、協力機関として、要保護者の発見や生活状態の調査などを通じて、福祉事務所長または社会福祉主事の事務の執行に協力するとされている。


▢ 712.保護の実施機関が行う決定通知は、保護の申請があった日から14日以内に行うことが原則である。ただし、特別な理由がある場合、保護の通知は最長30日まで延長することができる。


▢ 713.生活保護法において、福祉事務所長が行う処分に不服がある者は、都道府県知事に対して審査請求を行うことができる。


▢ 714.町村は、保護の実施機関や福祉事務所長からの求めに応じ、被保護者等に対して、保護金品を交付することになっている(生活保護法19条)。


▢ 715.生活保護法73条において、都道府県は、居住地がないか、または明らかでない被保護者の保護につき市町村が支弁した保護費、保護施設事務費および委託事務費4分の1を負度担しなければならないと規定されている。




<5> 生活保護の動向


▢ 716.「平成30年度被保護者調査」(厚生労働省)によると、2014年度から2018年度にかけて、世帯類型別被保護世帯数のうち母子世帯の割合は、6.8%から5.3%にまで下降している。


▢ 717.「平成30年度被保護者調査」(厚生労働省)によると、2005年度から2018年度までの生活保護の被保護実人員を市郡別にみると、市部は1994年度以降増加したが、2014年度以降減少している。郡部は2003年度から減少したが、2007年以降再び増加に転じ、2014年度以降は減少している。


▢ 718.「平成30年度被保護者調査」(厚生労働省)によると、被保護実人員数(保護停止中を含む)は、約210万人である。


▢ 719.「平成30年度被保護者調査」(厚生労働省)によると、保護率(人口百対)は1.66%となっている。


▢ 720.「平成30年度被保護者調査」(厚生労働省)によると、保護の種類別に扶助人員をみた場合、「生活扶助」が最も多く、次いで「住宅扶助」が多い。


▢ 721.「平成30年度被保護者調査」(厚生労働省)によると、保護の開始の主な理由で最も多いのは「貯金等の減少・喪失」であり、次いで「傷病による」が多い。


▢ 722.「平成30年度被保護者調査」(厚生労働省)によると、保護の廃上の主な理由で最も多いのは「死亡」であり、次いで「働きによる収入の増加・取得・働き手の転入」が多い。




<6> 自立支援プログラムの意義と実際


▢ 723.自立支援プログラムは、就労による経済的自立を図る就労自立支援、自らの健康・生活管理を行う日常生活自立支援、社会的なつながりを回復・維持する社会生活自立支援などを目指している。


▢ 724.自立支援プログラムは、就労自立のためのプログラムのみならず、日常生活自立および社会生活自立を目指すプログラムを幅広く用意し、被保護者の抱える多様な課題に対応できるようにする必要があるとしている。


▢ 725.自立支援プログラムのうち、効果の高い事業については、生活保護法上の被保護者就労支援事業や被保護者就労準備支援事業、生活困窮者自立支援法上の生活困窮者就労準備支援事業のように法定化された事業に転換された。


▢ 726.被保護者就労準備支援事業(一般事業分)は、生活保護法に基づき、生活困窮者自立支援法に基づく就労準備支援事業に相当する事業として実施することになった。


▢ 727.被保護者就労準備支援事業(一般事業分)の利用対象は、直ちに就職することが困難な被保護者であって、生活習慣の形成・改善を行い、社会参加に必要な基礎技能等を習得することにより就労か見込まれる者のうち、本事業への参加を希望する者となっている。


▢ 728.被保護者就労準備支援事業(一般事業分)には、日常生活自立に関する支援、社会生活自立に関する支援、就労自立に関する支援が含まれている。




<7> 低所得者対策


▢ 729.生活福祉資金貸付制度の実施主体は、都道府県社会福祉協議会であり、貸付の決定は、市町村社会福祉協議会が策定した計画を都道府県社会福祉協議会内に設置されている生活福祉資金運営委員会において審査し、要否を決定する。


▢ 730.生活福祉資金貸付制度の貸付対象世帯は、低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯である。なお、母子・父子世帯や寡婦に対する貸付制度には、母子・父子・寡婦福祉資金貸付制度がある。


▢ 731.生活福祉資金については、同一世帯に対して、必要と判断されれば、複数の資金を同時に貸し付けることができる。


▢ 732.生活福祉資金は、借り入れる資金ごとに償還期限が定められているため、その期限までに返済しなかった場合は残元金に対して 延滞利子が加算される。


▢ 733.総合支援資金には、生活再建までの間に必要な生活支援費、住宅入居費、生活再建のため一時的に必要かつ日常生活費では賄うことが困難である費用や就職・転職を前提とした技能習得に要する経費などの一時生活再建費の3つがある。


▢ 734.不動産担保型生活資金は、低所得の高齢者世帯(65歳以上)に対して、一定の居住用不動産を担保として生活資金を貸し付ける資金である。


▢ 735.臨時特例つなぎ資金貸付制度の実施主体は都道府県社会福祉協議会である。なお、この制度は連帯保証人が不要で、貸付利子は無利子となっている。


▢ 736.無料低額診療制度は、社会福祉法上の「生計困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業」であり、第二種社会福祉事業に位置付けられている。

▢ 737.日常生活支援住居施設は、2020(令和2)年4月に創設された施設で、その設置には都道府県知事の認可が必要となる。


▢ 738.「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」(ホームレス自立支援基本方針)において、ホームレスに対する生活保護の適用については、一般の者と同様であり、自立に向けて必要な保護を実施することが記されている。


▢ 739.生活困窮者自立支援法は、生活困窮者対策と生活保護制度の見直しの一体的な検討を経て、2013年に成立し、2015年から施行された。



▢ 740.生活困窮者自立支援法の対象者は、生活困窮者である。


▢ 741.生活困窮者自立支援法では、住居の確保を目的とした給付金を支給する制度として、生活困窮者住居確保給付金が設けられている。


▢ 742.自立相談支援事業では、生活困窮者などからの相談に応じ、必要な情報提供や助言を行うほか、認定生活困窮者就労訓練事業の利用についてのあっせんを行っている。


▢ 743.一時生活支援事業では、一定の住居を持たない生活困窮者に対し、一定期間にわたって宿泊場所を供与し、食事の提供などの支援を行う。








 



10. 保健医療サービス
 
社会福祉援助活動を円滑に進めるためにも、医療保険制度や診療報酬の仕組み、保健医療サービスの概要や専門職の役割と実際を理解しておきましょう。




<1> 医療保険制度


▢ 744.75歳以上の加入者の一部負担金は、療養の給付に要した費用の1割が基本であるが、現役並み所得者の場合には3割負担となる。

▢ 745.保険外併用療養費の差額分や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は、高額療養費の支給対象とはならない。


▢ 746.2018年8月以降の高額療養費(70歳以上)では、現役並みの所得がある区分が所得に応じて3つに細分化されているほか、個人・世帯の区分の撤廃や、年間上限額の設定などを図っている。

▢ 747.高額療養費における自己負担額の世帯合算では、家族が別々の医療保険に加入している場合は合算できない。世帯合算できるのは、同じ医療保険制度に加入している者のみである。


▢ 748.医療保険制度の改正により、2007年4月から医療機関での窓口負担を軽減するため、70歳未満の被保険者および被扶養者については、入院等に係る高額療養費の支払いの特例(現物給付化)が実施されている。


▢ 749.70歳未満が個人・世帯区分を設けていないのに対し、70~75歳未満は、個人ごとを対象とした外来区分と、世帯ごとを対象とした外来、入院という設定がされている。


▢ 750.高額療養費の申請の受け付けは、受診月の翌月から2年以内である。期間内に申請しなければ、時効により申請の権利を失う。


▢ 751.長期高額疾病(血友病、人工透析が必要な慢性腎不全、抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群を指す。)とは、厚生労働大臣の指定する特定疾病で、長期にわたり高額な医療費が必要な疾病を指す。


▢ 752.2018年8月以降の高額介護合算療養費(70歳以上)は、現役並みの所得がある区分が3つに細分化され、上限額も67万円から212万円まで引き上げられた。


▢ 753.高額介護合算療養費は、同一世帯内に介護保険の受給者がいる場合、1年間(8月1日~翌年7月31日)にかかった医療保険(高額療養費を除く)と介護保険の自己負担額(高額介護サービス費、高額介護予防サービス費を除く)の合算額が自己負担限度額を超えた世帯に、医療保険、介護保険の自己負担額の比率に応じて、現金で医療保険者と介護保険者から支給される。

▢ 754.出産育児一時金は、定額の一時金として給付される。全国健康保険協会管掌健康保険の場合は、1児につき42万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産の場合は40万4,000円)となっている。


▢ 755.傷病手当金は、業務外のケガや病気で労務不能となった場合に給付される。業務上のケガで労務不能となった場合には、労災保険から休業補償給付が支給される。


▢ 756.健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療保険制度などでは、法改正により、 オンライン資格確認の実施に向けた体制の整備が進められている。


▢ 757.国民医療費の支給範囲は傷病の治療費に限っているため、正常な妊娠や分娩などに要する費用や健康診断、市販の売薬、予防接種などに要する費用、固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢などの費用や差額ベッド代は含まれない。


▢ 758.国民医療費は、医療保険制度等による給付、後期高齢者医療制度や公費負担医療制度による給付、これに伴う患者の一部負担などによって支払われた医療費を合算したものである。


▢ 759.2017年度の国民医療費における65歳以上の総額は、25兆9,515億円(前年度25兆1,584億円)、65歳未満は、17兆1,195億円(同16兆9,797億円)と、65歳以上は増加、65歳未満も増加している。


▢ 760.2017年度の国民医療費を年齢階級別にみると、「75歳以上」が全体の約3分の1(37.4%)を占めている。


▢ 761.2017年度の国民医療費の財源別構成割合をみると、保険料が最も大きく全体のおよそ半分を占めている。保険料(49.4%)、公費(38.4%)、患者負担(11.6%)となっている。


▢ 762.2017年度の国民医療費は、入院・入院外・歯科診療・薬局調剤などに分配されるが、 このうち入院医療費は、16兆2,116億円で全体の37.6%を占めている。近年、30%台後半で推移している。


▢ 763.2017年度の国民医療費の傷病分類別医科診療医療費の構成割合上位3つは、順に循環器系の疾患、新生物〈腫瘍〉、筋骨格系および結合組織の疾患である。


▢ 764.国民医療費の国民所得に占める比率をみると、2008年度は10%未満であったのに対し、2017年度は10.66%となっており、増加傾向を示している。
 


<2> 診療報酬


▢ 765.保険医療機関が受け取る診療報酬は、保険者によって賄われる。審査支払機関は保険者が保険医療機関から直接請求される診療報酬額について、代理で審査・支払を行っている。


▢ 766.診療報酬とは、国によって定められる保険診療で行われる診察や検査の料金、薬の価格等のことであり、厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会の答申を経て改定が行われる。


▢ 767.診療報酬は全国一律で1点が、10円の公定価格となっている。それに対して、介護報酬は1単位10円を基本に都市部ほど高い報酬となっている。


▢ 768.診療報酬には、「医科診療報酬」「歯科診療報酬」「調剤報酬」の3種類がある。


▢ 769.外来診療報酬については、従来からの出来高払い制度がとられている。


▢ 770.2006年度の診療報酬改定で、在宅療養支援診療所が新設された。保健医療機関たる診療所であること、24時間連絡を受ける医師または看護職員を配置し、その連絡先を文書で患者宅に示していることなどの要件がある。


▢ 771.2018年度の診療報酬改定において、従来の退院支援加算の名称が「入退院支援加算」に見直され、退院困難な要因に、虐待を受けていることなどを追加した。
 
▢ 772.2020年度の診療報酬改定では、本体部分を0.55%上げ、薬価や材料価格を下げたことから、全体では0.46%の引き下げとなった。




<3> 保健医療サービスの概要


▢ 773.医療法は、医師または歯科医師が公衆または特定多数人のため医業または歯科医業を行う場所のうち、病床数が20床以上のものを病院、19床以下のものを診療所としている。
▢ 774.医療法では、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設を医療提供施設というと規定されている。


▢ 775.地域医療支援病院の承認要件には、救急医療を提供する能力を有することが含まれる。紹介患者に対する医療提供体制の整備や、原則200床以上の病床を有することなども地域医療支援病院の承認要件とされている。


▢ 776.特定機能病院は、厚生労働大臣の承認を受けることとされている。なお、厚生労働大臣は承認をするに当たって、あらかじめ社会保障審議会の意見を聴かなければならない。


▢ 777.特定機能病院の設立には、400床以上の病床を有することと、所定の診療科のうち10科以上を持つことが必要である。


▢ 778.社会保険診療報酬支払基金は、保険診療の審査支払機能を担うが、保険者の代理で業務を行っているだけで保険者ではない。


▢ 779.地域保健法5条により、都道府県には保健所の設置が義務付けられているが、市町村に市町村保健センターの設置は義務付けられてはいない。


▢ 780.在宅療養支援病院の施設基準のひとつとして、在宅医療担当常勤の医師が3名以上配置されていることがあげられる。


▢ 781.健康日本21(第二次)では、国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向として、健康寿命の延伸と健康格差の縮小、主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防、社会生活を営むために必要な機能の維持および向上、健康を支え、守るための社会環境の整備、栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙および歯・口腔の健康に関する生活習慣および社会環境の改善、の5つを掲げ、各分野に関する目標を設定している。


▢ 782.2003年に施行された健康増進法は、国民の健康増進を総合的に推進するための基本事項を定めており、病院・駅・百貨店など多数の者が利用する施設での受動喫煙の防止の努力義務も規定されている。


▢ 783.予防には、疾病の発生を防ぐ一次予防、早期発見・早期治療の二次予防、自立や社会参加などを目指すリハビリテーション等の三次予防がある。


▢ 784.2006年の感染症法の改正で、結核予防法は廃止され、その内容を感染症法に統合するとともに、結核を二類感染症に分類した。


▢ 785.高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、特定健康診査や特定保健指導の対象は、40歳から74歳までのすべての被保険者・被扶養者となっている。


▢ 786.地域連携クリティカルパスは、診療を担当する複数の医療機関が前もって診察内容を提示することにより患者が安心して治療を受けられ、かつ、早期に退院して自宅に帰れるように計画された診療計画表のことであり、担当するすべての医療機関で共有して使用する。




<4> 保健医療サービスにおける専門職の役割と実際


▢ 787.医師の資格は、医師法に基づく。医師の資格を持たない者が医業を行うことを禁じる業務独占と、医師を名乗ることや紛らわしい名称を用いることを禁じる名称独占の資格とされている。


▢ 788.医師は、死体に異状を認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。


▢ 789.医療法1条の4第2項において、インフォームドコンセントに「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」として、努力義務ではあるが明記されている。


▢ 790.母子保健法11条に定める新生児訪問指導の規定により、保健師等による新生児への訪問指導は「当該新生児が新生児でなくなった後においても、継続することができる」とされている。


▢ 791.看護師は、保健師助産師看護師法5条に、「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう」と定められた国家資格である。じょく婦とは、産後の女性のことをいう。


▢ 792.保健師助産師看護師法37条において、看護師は、臨時応急の手当を行う場合などは、医師または歯科医師の指示は必ずしも必要ではないと規定されている。


▢ 793.准看護師は、保健師助産師看護師法6条に、「都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者をいう」と定められた都道府県の認定資格である。


▢ 794.言語聴覚士は、医師または歯科医師の指示の下、摂食機能療法、嚥下訓練、人工内耳の調整などを実施することができる。


▢ 795.理学療法士(PT)は、医師の指示のもとに業務を行う。リハビリテーション・プログラムの処方をするのは医師である。


▢ 796.理学療法士及び作業療法士法2条2項において、作業療法とは、「身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせること」と規定されている。


▢ 797.臨床工学技士法2条2項において、臨床工学技士は、医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作および保守点検を行うと規定されている。


▢ 798.義肢装具士は、医師の指示の下に、義肢および装具の装着部位の採型ならびに義肢および装具の製作および身体への適合(義肢装具の製作適合等)を行う専門職である。


▢ 799.柔道整復師には、「外科手術、薬品投与等の禁止」が課せられていることから、外科手術を実施することや薬品を投与することはできない。


▢ 800.2002年に改訂された医療ソーシャルワーカーの業務指針によれば、患者が医療上の指導を受け入れない場合には、その理由となっている心理的・社会的問題の解決に向けて援助を行う。










 
 
 


 
 











11. 権利擁護と成年後見制度
 
この科目では、憲法・民法・行政法の基本原理と成年後見制度等の学習を通して、相談援助活動における権利擁護について理解を深めてください。




<1> 日本国憲法の基本原理


▢ 801.日本国憲法は、大日本帝国憲法における天皇主権主義を廃し、国民主権主義を採用した。


▢ 802.日本国憲法25条1項では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とし、生存権の保障を規定している。生存権は、ワイマール憲法(1919年)で初めて規定された。


▢ 803.日本国憲法の基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人にも等しく及ぶ。


▢ 804.日本国憲法の人権規定は、網羅的なものではない。社会の変化に伴い、プライバシー権、環境権、自己決定権など、憲法に個別の規定がない「新しい人権」が主張され、その根拠となるのが、13条が規定する幸福追求権である。


▢ 805.日本国憲法20条1項は、「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」と規定している。


▢ 806.日本国憲法に国民の義務として明記されているものには、勤労義務や納税義務などがある。


▢ 807.表現の自由は、思想や信条その他あらゆる情報を発表し伝達する自由をいい、あらゆる表現方法が保障される。ただし、無制約なものではなく、公共の福祉による制約を受ける。


▢ 808.日本国憲法は、財産権の不可侵(29条1項)を規定しているが、財産権の内容は、公共の福祉の観点から制約を受けるとしている(29条2項)。


▢ 809.基本的人権のひとつに分類される国務請求権(受益権)には、請願権や裁判を受ける権利、国家賠償請求権などが含まれる。


▢ 810.公職選挙法改正(2013年)では、衆議院議員、参議院議員ならびに地方公共団体の議会の議員および長の選挙について、成年被後見人の選挙権が回復されている。


▢ 811.社会権は、「人間に値する生活」ができるよう、国家に積極的な施策を請求する権利であり、国家の介入の排除を目的とする自由権とは対照をなす。


▢ 812.日本国憲法26条が規定する教育を受ける権利は、生存権、勤労の権利、労働基本権とともに、社会権として分類される。


▢ 813.日本国憲法28条が規定する労働三権とは、団結権、団体交渉権、団体行動権(争議権)である。


▢ 814.日本国憲法27条1項は、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」としている。


▢ 815.最高裁判所の判決によれば、保護基準の設定に関して、主務大臣が憲法および生活保護法の趣旨・目的に反し、法律によって与えられた裁量権の限界を超えまたは裁量権を濫用した場合には、違法な行為として司法審査の対象となることを免れない。


▢ 816.1970年の最高裁判所の判決によると、生活保護費の不服を争う訴訟係争中に、被保護者本人が死亡した場合には、生活保護を受ける権利は一身専属権であることから、権利を譲渡することができないだけでなく、相続の対象にもならない。


▢ 817.国会は、衆議院と参議院によって構成される二院制である。両議院の関係として、法律案の議決、予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名には衆議院の優越が認められている。


▢ 818.弾劾裁判所は、訴追委員会から罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するために設けられる裁判所で、両議院の議員により組織される。


▢ 819.憲法86条により、内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。


▢ 820.憲法69条に規定される内閣不信任決議は、衆議院のみの権能である。


▢ 821.最高裁判所が法律の違憲・無効を宣言した場合でも、憲法上その法律の改廃は義務付けられてはいない。その法律は当該事件に限り不適用とする考え方が多数説である。


▢ 822.日本国憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会がこれを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票または国会の定める選挙の際に行われる投票で、その過半数の賛成を必要とする。


▢ 823.憲法85条は、国費支出と国の債務負担行為については、国会の議決に基づくことを必要とすると規定している。


▢ 824.憲法89条には、公の支配に属しない慈善、教育もしくは博愛の事業に対し、これを支出し、またはその利用に供してはならないとして、公金支出の禁止が規定されている。
 
 
<2> 民法の理解


▢ 825.子は親権者が指定した場所に、居所を定めなければならないとしているが、未成年者が結婚すると成年とみなされ、居所を指定することはできない。これを成年擬制という。


▢ 826.契約に際して、詐欺による意思表示がなされた場合、善意の第三者にその取消しを主張することはできないが、強迫の場合には主張することができる。


▢ 827.代理権がない者による無権代理行為であっても、本人の追認があれば、有効な代理行為となる。


▢ 828.不動産物権変動は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
なお、動産物権変動を三者に主張するには、その動産の引渡しが必要。


▢ 829.不動産の売買契約を締結した場合、売主から買主に対して不動産の所有権が移転するのは、契約成立(意思表示)の時とするのが判例・通説である。


▢ 830.お金の貸し借り(消費貸借)は、要物・片務契約である。当事者の合意のほか、物の引渡しが成立要件となる契約を要物契約、合意だけで成立する契約を諾成契約という。また、当事者双方が対価的意義を有する債務を負う契約を双務契約、一方だけが債務を負うか双方の債務が対価的意義を持たない契約を片務契約という。


▢ 831.売買契約において、売主が品物を提供するまでは、買主は代金の支払いを拒絶することができる。民法は、互いに対価的意義を有する債務を負担しているとき、当事者の一方は、相手方が債務を履行するまで自分の債務の履行を拒めるものとしている。これを同時履行の抗弁権という。


▢ 832.瑕疵担保責任の追及は、買主が瑕疵を知ってから1年以内にしなくてはならない。


▢ 833.日常生活自立支援事業における日常的金銭管理について、その根拠を民法上の典型契約に求めた場合、委任契約に該当する。


▢ 834.不法行為の効果として損害賠償請求権が発生する。損害には財産的損害だけでなく、精神的損害も含まれ、賠償方法は原則として金銭賠償である。


▢ 835.夫婦の一方が協議離婚に応じないとき、離婚するためには、まず、調停前置主義によって、家庭裁判所に離婚調停を申し立てる。


▢ 836.離婚により婚姻が解消されると、氏を改めていた夫または妻は復氏するが、離婚の日から3ゕ月以内に届け出れば、離婚の際に称していた氏を称することができる。


▢ 837.特別養子縁組制度において、配偶者のいる者(夫婦)でなければならず、夫婦共同で縁組をすることになる。


▢ 838.特別養子縁組では、審判申立て時に、養子となる者は、原則15歳未満(場合により17歳未満)でなければならない。


▢ 839.民法の定めにより、父母の婚姻中、嫡出子の親権は、父母が共同して行うこととされている。


▢ 840.父母の離婚後、嫡出子の親権は、協議・裁判で決められた方が、単独で親権を行う。 


▢ 841.父母の離婚後、子との面会交流について協議で定める。協議が成立しない場合は、家庭裁判所が定めると民法に規定されている。


▢ 842.2011年の民法改正により、親権の停止制度が新設された。親権の停止制度は、父や母による親権の行使が困難、不適当で子の利益を害する場合に、家庭裁判所が、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人、検察官の請求により、親権停止(2年以内)の審判を行うものである。

▢ 843.直系血族および兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある。


▢ 844.特別な事情のある場合には、家庭裁判所の審判によって3親等内の親族も扶養義務を負うことがある。


▢ 845.相続人には、血族相続人と配偶者たる相続人があり、配偶者は常に相続人になる。


▢ 846.民法において、相続開始のときに懐胎されていた胎児は、出生すれば相続時に遡って相続人となる。


▢ 847.被相続人の死亡(相続開始)より前に、相続人であった子が死亡している場合には、被相続人の孫が代襲相続人となる。


▢ 848.普通養子縁組では、実親および実方親族との関係は消滅せず、養子は実方・養方双方と相互に相続権・扶養義務を持つ。また、特別養子縁組では、実方の父母およびその血族との親族関係が終了し、実親子間の相続権、扶養義務はともになくなる。


▢ 849.法定相続分は、配偶者と子だけが相続人の場合、配偶者2分の1、子2分の1となる。配偶者と直系尊属では、前者3分の2、後者3分の1、配偶者と兄弟姉妹では、前者4分の3、後者4分の1となる。


▢ 850.2013年の民法改正により、非嫡出子の相続分を嫡出子の半分とする規定が削除され、両者の相続分は原則として同等となった。


▢ 851.相続欠格の効果(相続権の喪失)は、欠格事由にあたる事実があるだけで法律上当然に発生するが、廃除の効果(相続権の剥奪)は、被相続人からの請求に基づく家庭裁判所の審判・調停により生じる。


▢ 852.遺言をするには意思能力があればよく、未成年者も15歳に達していれば単独で遺言ができる。


▢ 853.成年被後見人は、医師2人以上が事理弁識能力の回復を証明できるときは、医師2人以上の立会いのもと遺言することができる。一方、被保佐人、被補助人は、医師の立会いがなくても、単独で遺言ができる。保佐人または補助人の同意も不要である。


▢ 854.2000年に制定(翌年施行)された消費者契約法では、事業者の不実告知や断定的判断の提供、不利益事実の不告知などにより、消費者が契約内容を誤認した場合には、その契約の取り消しができるとしている。


▢ 855.特定商取引法には、通信販売についてクーリングオフ制度の規定がないため、制度の対象とならない。


▢ 856.訪問販売における現金取引では、3,000円未満の場合を除き、クーリングオフが認められている。


▢ 857.訪問購入については特定商取引法が、不招請勧誘(飛び込み勧誘)の禁止、クーリングオフ制度を記載した書面の交付義務、クーリングオフ期間中の物品引渡しの拒絶などを規定している。




<3> 行政法の理解


▢ 858.行政行為とは、一般には行政庁が公権力の行使として、国民・住民の具体的な権利義務その他の法的地位に変動を生じさせる行為をいう。


▢ 859.瑕疵ある行政行為は、瑕疵の程度により、無効の行政行為と取り消しうべき行政行為に分けられる。前者は、はじめから全く効力を生じないが、後者は、公定力により、正当な権限のある行政庁や裁判所によって取り消されるまでは、有効となる。


▢ 860.不可争力とは、瑕疵ある行政行為でも、一定の不服申立期間や出訴期間を過ぎると取消しを求めることができず、その行政行為に拘束される効力をいう。


▢ 861.執行力とは、行政上の義務の不履行があるとき、行政庁が自力で義務の履行を強制できる(強制執行できる)効力をいう。


▢ 862.行政罰は、行政上の義務連反に対して、一般統治権に基づき制裁として科される罰である。一般的、道徳的、社会的非行に対して科せられる刑事罰とは異なる。


▢ 863.行政手続法は、処分手続として、申請に対する処分と不利益処分との2つの手続を認めている。申請に対する処分とは、行政庁の許認可などを求める申請に対し、行政庁が諾否の応答をすること。不利益処分とは、行政庁が法令に基づき、特定の者に直接義務を課すか、その権利を制限する処分をいう。


▢ 864.行政手続法32条2項に、「行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取り扱いをしてはならない」と規定されている。


▢ 865.行政不服審査法は、この法律またはその他の法律に不服申立てができないという規定がない限り、すべての行政庁の処分・不作為に対して不服申立てを認める概括主義を採用している。


▢ 866.不服申立てには、審査請求、再調査の請求、再審査請求の3種類がある。2014年の改正で、異議申立ては廃止された。


▢ 867.行政不服審査法に基づく不服申立ては、他の法律(条例に基づく処分については条例を含む)に口頭ですることができる旨の定めがある場合は、口頭で行うこともできる。


▢ 868.行政処分に対する不服申立てがあっても、処分の効力、処分の執行または手続の続行を妨げることはできない(執行不停止の原則)。ただし、例外的に申立てまたは職権により執行停止の措置がとられることがある。


▢ 869.行政不服審査法による不服申立ての期間は、審査請求・再調査の請求では、原則として、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ゕ月以内、再審査請求では、同じく1ゕ月以内である。


▢ 870.行政事件訴訟法において、行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲を超えたり、その濫用があった場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができることが規定されている。


▢ 871.審査請求の裁決後、さらに行う不服申立てを再審査請求という。これは、法律が認める場合などに限られるため、必ずすることができるわけではない。


▢ 872.行政事件訴訟法において定められている行政事件訴訟には、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟および機関訴訟の4類型がある。


▢ 873.介護保険制度の要介護認定・要支援認定の結果など、審査請求が認められているものについては、行政事件訴訟法上の取消訴訟で争い得るものである。

▢ 874.抗告訴訟は、処分の取消しの訴え、裁決の取消しの訴え、無効等確認の訴え、不作為の違法確認の訴え、義務付けの訴え、差止めの訴えの6つの形態に分類されている。


▢ 875.取消訴訟は、処分または裁決があったことを知った日から6ゕ月を経過すると提起できなくなる。また、処分または裁決があったことを知らなくても、処分または裁決の日から1年を経過すると、正当な理由のない限り、提起できない。


▢ 876.個別の法律が、審査請求に対する裁決後でなければ処分の取消しの訴えを提起できないと定めている場合は、それに従わなければならない(審査請求前置主義)。生活保護法、介護保険法、障害者総合支援法などにこの規定が採用されている。


▢ 877.国家賠償法による損害賠償請求は、行政事件訴訟としてではなく、民事訴訟として行われる。また、訴訟における被告は、行政庁ではなく、国または公共団体である。


▢ 878.行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)は、日本国民に限定せず、外国人を含め、すべての者に情報開示請求権を認めている。


▢ 879.情報公開法は、官報、白書、新聞、書籍その他不特定多数の者への販売を目的に発行されるものなどは、行政文書から除外するとしている。


▢ 880.個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)は、民間の個人情報取扱事業者に対し、利用目的の特定、情報の適正管理や第三者提供の制限、苦情処理体制の整備などを義務付けている。


▢ 881.個人情報保護法による「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものをいう。


▢ 882.個人情報保護法は、個人情報における利用目的による制限の例外として、人の生命、身体または財産の保護や公衆衛生の向上または児童の健全な育成の推進のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるときなどを定めている。


▢ 883.地方自治法は、都道府県と市町村を普通地方公共団体に、特別区(東京23区)を特別地方公共団体に区分している。


▢ 884.地方自治法は、条例の制定・改廃は、地方公共団体の議会の議決事項としている。


▢ 885.普通地方公共団体が、住民に対して義務を課したり、権利を制限する場合には、条例によることとされている。


▢ 886.日本国憲法92条の「地方自治の本旨」は、民主主義の原理に立脚し、住民の意思に基づき地方事務が行われるとする住民自治と、地方分権の原理に立脚し、国家から独立した団体に地方事務が委ねられ、その団体の意思と責任において行われるとする団体自治の2原則からなる。


▢ 887.地方公共団体の条例制定権の対象は、地方公共団体の事務に限られ、国の事務には及ばない。ただし、自治事務だけでなく、法定受託事務も対象となる。




<4> 成年後見制度


▢ 888.後見開始の審判の請求権者は、民法に規定された本人 (意思能力を回復している場合に限る)、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、保佐人、補助人、検察官などのほか、民法以外の法律に規定された「市町村長、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人も含まれる。


▢ 889.成年後見人は複数でもよく、社会福祉協議会などの法人が選任されることもある。なお、未成年後見人は、従来、1人に限られていたが、民法改正により、2012年4月からは成年後見人同様、複数の者や法人の選任が認められることとなった。


▢ 890.後見開始の審判により選任された成年後見人は、成年被後見人の財産に関するすべての法律行為について代理権を持つ。


▢ 891.成年後見人に不正な行為、著しい不行跡などの事実がある場合、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人、その親族、検察官の請求によりまたは職権で、解任することができる。


▢ 892.成年後見人は、成年被後見人の一身専属権(婚姻、離婚、認知、養子縁組・離縁等の身分行為や扶養を受ける権利、遺言などの権利)に介入することはできず、代理権・取消権は及ばない。


▢ 893.後見および保佐については、家庭裁判所は、精神の状況につき、明らかにその必要がない場合を除き、鑑定をしなければ、後見開始の審判をすることができない。補助の場合は、原則、鑑定は不要で医師の診断書で判断が行われている。
▢ 894.保佐人には、民法13条1項に定められている重要な法律行為についての取消権は認められているが、日用品の購入その他日常生活に関する行為についての取消権はない。


▢ 895.本人以外の者の請求により成年後見・保佐の開始を審判するに当たっては本人の同意は不要であるが、補助開始の審判をするに当たっては、本人の同意が必要である。


▢ 896.補助人は、被補助人との利益が相反する行為については、補助監督人がいない場合、臨時補助人の請求をしなければならない。


▢ 897.任意後見契約に関する法律により、任意後見契約は公正証書によって行われなければならない。なお、任意後見契約には、家庭裁判所により任意後見監督人が選任された時から契約の効力を生ずるという内容の特約を付することになっている。


▢ 898.民法17条において、補助人に同意権を付与するには、被補助人の同意は必要であると規定されている。


▢ 899.「成年後見関係事件の概況(平成31年1月~令和元年12月)」によると、「成年後見制度の利用者」は、22万4,442人であり、前年に比べて増加している。


▢ 900.「成年後見関係事件の概況(平成31年1月~令和元年12月)」によると、「成年後見関係事件」の申立件数は、3万5,959件である。


▢ 901.「成年後見関係事件の概況(平成31年1月~令和元年12月)」において、「成年後見人等」と本人との関係をみると、親族が「成年後見人等」に選任されたものが全体の約21.8%である。




<5> 日常生活自立支援事業と威年後見制度利用支援事業


▢ 902.成年後見人が本人に代わって日常生活自立支援事業の利用契約を締結することは、法律上認められている。


▢ 903.日常生活自立支援事業は国庫補助事業であり、第二種社会福祉事業に規定された「福祉サービス利用援助事業」に該当する。


▢ 904.日常生活自立支援事業の実施主体は、都道府県・指定都市社会福祉協議会であり、事業の一部を市町村社会福祉協議会や地域のNPO団体等に委託することができる。


▢ 905.日常生活自立支援事業では、日常的金銭管理サービスとして、年金等の受領に必要な手続き、医療費・公共料金・税金などを支払う手続きなどが行われている。


▢ 906.日常生活自立支援事業では、住宅改造・居住家屋の賃借・住民票の届出等の行政手続きに関する援助や、定期的な訪問による生活変化の察知なども日常生活自立支援事業の事業内容に含まれている。


▢ 907.日常生活自立支援事業において、実際に援助を行うのは専門員と生活支援員である。専門員は、初期相談から契約締結能力の確認、本人に必要な援助の特定、自立支援計画の策定などの業務を、生活支援員は、専門員の指示を受けて、個々の支援計画に基づいて具体的な援助を行う。そのうち専門員は、原則として社会福祉士や精神保健福祉士等であって、一定の研修を受けた者とされている。


▢ 908.日常生活自立支援事業は、本人からの申請に基づき、実施主体と契約を締結することによりサービスを利用することになる。したがって、契約期間中であっても、本人の意思で途中解約は可能である。


▢ 909.日常生活自立支援事業による援助の対象者は、居宅で生活している者に限られず、社会福祉施設の入所者や病院等の入院患者も対象となる。


▢ 910.「契約締結判定ガイドライン」に基づく調査の結果、利用希望者本人の契約締結能力に疑義が生じた場合、契約締結審査会がその審査を行う。なお、契約締結審査会は都道府県・指定都市社会福祉協議会に設置される。


▢ 911.日常生活自立支援事業の利用対象となる精神障害者の要件に、精神障害者保健福祉手帳の有無は設けられていない。


▢ 912.日常生活自立支援事業の利用料は、実施主体ごとに設定されている。


▢ 913.成年後見制度利用促進基本計画の対象期間は、おおむね5年程度とされている。


▢ 914.政府は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、成年後見制度利用促進会議を設けることとされている。


▢ 915.成年後見制度利用支援事業は、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業において、必須の事業となっている。一方、介護保険法に基づく地域支援事業においては、任意の事業となっている。


▢ 916.成年後見制度利用支援事業は、事業が開始された2001年当時は、低所得の認知症高齢者に対象が限られていたが、障害者支援費制度の導入や障害者自立支援法の施行等に伴い、知的障害者、精神障害者も対象となった。
 


<6> 権利擁護に係る組織、団体の役割と実際


▢ 917.家庭裁判所は家庭に関する事件の審判・調停、少年の保護事件の審判等に必要な調査や環境調整などの事務を司っている。養子などの審判のほか、戸籍名や性別の変更などの審判も取り扱っている。


▢ 918.家庭裁判所調査官は、裁判所職員採用総合職試験を受験して採用された後、2年間の研修で必要な技能等を修得することが必要である。民間人から選任される非常勤の特別職公務員ではない。


▢ 919.法務局の組織は、全国を8ブロックの地域に分け、各ブロックを受け持つ機関である法務局と、その下にある都道府県を単位とする地域を受け持つ42か所の地方法務局などからなる。


▢ 920.法務局が登記所としての事務を担当し、成年後見登記事項証明書の交付事務は法務局の登記官が行う。


▢ 921.人権擁護委員は、法務大臣から委嘱された民間のボランティアである。その定数は、全国を通じて2万人を越えてはならない(人権擁護委員法)。


▢ 922.公益社団法人成年後見センター・リーカルサポートでは、成年後見人養成のための研修を実施したり、会員(司法書士等)が受任した事件について、定期的にセンターヘ職務遂行状況を報告することを義務付けるなどの取組みを行っている。


▢ 923.総合相談支援業務の内容は地域におけるネットワーク構築、実態把握など、権利擁護業務の内容は成年後見制度の利用促進、高齢者虐待への対応、消費者被害の防止などである。








 



12. 社会調査の基礎
 
社会調査は、サービス利用者のニーズや問題の把握、提供されているサービスの効果を調べるための重要な手段です。社会調査の倫理、量的調査と質的調査の特徴や方法などを学びましよう。




<1> 社会調査の意義と目的
 
▢ 924.社会福祉調査は、対象者の潜在的ニーズを把握できるため、介護サービスのニーズの測定や生活保護の調査、福祉サービスの効果測定など、幅広く活用される。


▢ 925.社会調査は、量的調査と質的調査に分けられる。量的調査は、集めたデータを統計的に処理することで、その平均や分散、比率などを知ることができる。質的調査は、集めたデータを記述的に処理することで、それを質的に把握することができる。


▢ 926.統計調査とは、社会事象を数量的性質で観察・分析することを目的としたものであり、調査対象から、全数調査、標本調査、実態調査などに分類することができる。


▢ 927.センサスとは国勢を把握することを目的に、国が実施する統計的調査で、全数調査で行われる(日本常住の外国人も含む)。「国勢調査」「事業所・企業統計調査」「工業統計調査」「商業統計調査」「農林業センサス」を5大センサスという。


▢ 928.報道機関が行っている世論調査は、社会調査に含まれるものである。ただし、統計調査には含まれない。


▢ 929.世論調査とは、特定の事項について、一般大衆がどのような意見、判断、態度を示しているかを数量的性質で示した調査をいう。




<2> 社会調査をめぐる法と倫理


▢ 930.改正統計法では、国の行政機関が行う統計調査でも、行政機関との共同研究など高度な公益性を有する研究などに限り、一般からの求めに応じて、統計データを提供することが可能になった。


▢ 931.統計法では、専門的かつ中立公正な調査審議を行う統計委員会を総務省に設置することが規定されている。


▢ 932.わが国の国勢調査は、調査時に日本に居住するすべての人(外国人を含む)を対象とする全数調査であり、統計法により、直接その実施が定められている。


▢ 933.基幹統計である国民生活基礎調査は、3年ごとに大規模な調査を行い、中間の各年に小規模な簡易調査が行われる。


▢ 934.統計法において、一般統計調査を「行政機関が行う統計調査のうち基幹統計調査以外のもの」、基幹統計調査を「基幹統計の作成を目的とする統計調査」と定義している。


▢ 935.国民経済計算(GDP統計)は、統計法6条1項において、「内閣総理大臣は、国際連合の定める国民経済計算の体系に関する基準に準拠し、国民経済計算の作成基準を定め、これに基づき、毎年少なくとも一回、国民経済計算を作成しなければならない」と規定されている。


▢ 936.社会調査は、しかるべき手続きを経て行われる場合であっても、回答内容の秘密は守り、また、一定の例外を除き、データは調査目的以外に使用してはならない。


▢ 937.仮説とは、事象、法則、理論などを説明するために「仮に設けられる説」で、必ずしも正しいとはいえず、棄却される場合もある。仮説と異なる結果であっても、研究結果の検証を行うために、そのデータを含めて報告書などをまとめなければならない。


▢ 938.社会調査を行う場合、調査対象者にインフォームドコンセントがは、必ず行わなければならない。調査者は、調査データの提供先と使用目的を知らせなければならない。また、一定の例外を除き、調査データが当該調査以外の目的には使用されないことを保証しなければならない。


▢ 939.社会調査協会倫理規程の7条では、調査対象者が満15歳以下の場合には、まず保護者か学校長などの責任ある成人の承諾を得なければならない、としている。


▢ 940.社会調査協会倫理規程の8条では、調査対象者から要請があった場合には、当該部分の記録を破棄または削除しなければならない、としている。


▢ 941.調査票の回答内容および対象者に関する情報は、共同研究者間であっても、個人を特定する必要がない場合には、個別に特定できないように加工しなければならない。また、個人を特定する必要がある場合でも、調査の対象者に不利益を被る可能性があれば、個別に特定できないようにしなければならない。


▢ 942.社会調査の結果が現実社会に影響を与えることを、アナウンスメント効果という。具体例としては、経済予測 が実体経済に変化を及ぼしたり、選挙予測が当落を左右したりすることなどがあげられる。




<3> 量的調査の方法


▢ 943.標本調査は母集団の一部を対象とし、調査対象となる集団の一部を抽出することで、母集団の特性を推測する量的調査である。


▢ 944.調査対象者の多段抽出法は、母集団から乱数表を用いてサンプルを抽出する単純無作為抽出に比べて、母集団の特性を推定する精度は低い。


▢ 945.縦断調査は、同じ調査対象を長い時間幅から調べる調査であり、因果関係を分析するのに適している。横断調査は、性別・年齢・職業・年収などの属性によって調査対象を分類し、分析するのに適している。




▢ 946.同じ調査の対象となる集団(パネル)に対して一定期間を置きながら調査を繰り返し、追跡していく調査のことをパネル調査という。回を重ねるごとに調査対象者の転居や死亡などで調査対象者が減少することをパネルの摩耗という。


▢ 947.調査対象者が自ら調査票に記入する方法を自記式(自計式)調査、調査員が聞取りを行い、回答を調査票に記入する方法を他記式(他計式)調査という。質問に正確に回答しているかを調査員が確認できないので、自記式の方が誤記入が起こりやすい。


▢ 948.留置調査 (配票調査)は、 調査員を通して調査対象者に調査票の配布・回収を行う自計式調査 (自記式調査)の一種である。 回収率は高くなることが多い。


▢ 949.個別面接調査は、調査員が調査票に記入する他計式調査(他記式調査)の一種であり、時間・人件費などがかかるが、対象者の態度や意見を把握することに優れている。


▢ 950.変数間の因果関係を検討する場合、結果となったり、影響を受けたりする変数を従属変数といい、従属変数に対して影響を及ぼす原因や要因となる変数を独立変数という。


▢ 951.変数間の関連性がある(有意性)ことを検証するため、逆に変数間に関連性がないことを証明する方法が用いられる。そのために立てられる仮説を帰無仮説と呼ぶ。これが棄却される、すなわち「仮説の否定」が否定されれば、変数間に関連があると証明できることになる。


▢ 952.有意抽出法には、偶然出会った人を対象とする縁故法、調査への参加者を応募で集める応募法、母集団の特性や属性に着目し、その割合に応じて標本を選ぶ割当法の3種類がある。


▢ 953.質問紙調査において、複雑で難しい質問には、調査員が説明などを加えながら行う他記式で質問紙に記入する方法が適している。


▢ 954.変数を質問文にするワーディングでは、曖昧さを避けるため、「喫煙や飲酒を毎日しますか?」ような1つの質問で複数のことを同時に聞くダブルバーレルは使用するべきではないとされている。


▢ 955.威光暗示効果とは、名誉や権威のある人から言われたことを、そのまま信頼してしまうことである。回答者が質問に対して肯定的な回答を行う傾向があることを、イエス・テンデンシー(黙従傾向)という。


▢ 956.信頼性とは、ある尺度を用いて特定の対象を測定した場合、同じ結果が一貫して得られるかどうかを示すものである。妥当性とは、測定したい概念をどのくらい正確に測定できているか、という測定の適切性のことをいう。


▢ 957.名義尺度で測定されるデータは量的意味が含まれないカテゴリカルデータなので、中央値(メディアン)や平均値を求めることはできない。代表値は量頻値(モード)のみである。


▢ 958.名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比例尺度という4つの尺度水準のうち、大小関係を測定することができるのは、間隔尺度と比例尺度である。


▢ 959.クロス集計は、 2つ以上の変数の組み合わせに関して、度数を示した相関表のことである。セルの度数の比がすべての行で等しい場合とは、1つの変数に対し、もう1つの変数が影響を受けていない状態を示している。


▢ 960.コーディングには、調査票を作成する際に質問紙の中にコード化しておくプリ・コーディングと、調査票を回収した後に自由記述欄などの回答を一定の基準によって分類し、分類したカテゴリーごとに記号を付与していくアフター・コーディングがある。


▢ 961.分散と標準偏差は、分散の正の平方根を計算すると標準偏差となることから、これら2つの指標に関係性があるといえる。


▢ 962.t 検定は2つのグループ間のある要素の平均値の差を統計学的に検証する手法である。3つ以上のグループの平均値の差を統計学的に検証するには、通常、分散分析が用いられる。


▢ 963.ピアソンの積率相関係数とは、数値データに使用し、2つの変数間の相関を示すものである。


 
<4> 質的調査の方法


▢ 964.統制的観察法と非統制的観察法(単純観察法)の違いは、観察方法や調査内容を統制するか否かである。調査者が部外者として観察を行うか否かは、参与観察法と非参与観察法の違いであり、これらはいずれも非統計的観察法である。


▢ 965.参与観察法は、調査対象者の内部的な情報が得られるというメリットがある一方、調査者が対象者と親密な関係になることで、主観的な感情が生じ、客観的な分析がしにくくなるというデメリットがある。


▢ 966.アクションリサーチでは、研究者は対象者と積極的に協働するため、参与度合はかなり高く、完全なる参加者に準じる立場になる。


▢ 967.構造化面接は、予め用意した質問事項に沿って、質問事項の順番や言い方を変えることなく行う面接方法である。ライフストーリー・インタビューを実施する場合、質問内容から派生する可能性があると考えられることから、半構造化面接にした方がよい。


▢ 968.非構造化面接は、調査対象者と自由に会話をしながら、そのなかで質問をしていくものである。


▢ 969.インタビューや聞き取りなどから得られる調査データのうち、質的データ分析においては、被調査者の言葉をそのまま分析概念に用いる場合もある。ファイリング、コーディング、マッピングなどの方法を用いて、入手できた膨大なデータを整理・分析することが重要である。


▢ 970.グラウンデッド・セオリー・アプローチは、データ化、 コーディング、理論的飽和という過程を経て仮説等を構築していくものであり、分析を進めた結果としてこれ以上新しい概念やカテゴリーが出てこなくなった状態を理論的飽和と呼んでいる。


▢ 971.グレイザーとストラウスによって提唱されたグラウンデッド・セオリー・アプローチは、データ対話型理論ともいい、事前に設定された仮説や既存の理論を持たずにデータを収集し、そこから理論を創出する方法である。


▢ 972.グラウンデッド・セオリー・アプローチにおける軸足コーディングは、複数の事象に対して単一のコードを貼り付けていくことをいう。


▢ 973.KJ 法は、仮説を立てたり、その発想を得たりするために活用される、川喜田二郎が発案したデータ整理法である。


▢ 974.KJ 法は、収集した情報をカードに記入して、類似の内容のものをグループ化し、 カード群の論理的関連性をつかみ、図解したり、文章化したりする技法である。


▢ 975.質的調査の記録やデータの収集方法として、ビデオ、DVD、映像記録、映画、音楽など、音声データや映像データを用いることができる。


▢ 976.会話分析の関心は、調査対象者がどのように日常的な相互行為を秩序立てて生み出すのかを解明するために、会話の形式や構造に向けられるほか、会話の内容やイントネーションなどにも向けられる。











13. 相談援助の基盤と専門職
 
社会福祉士として、相談と理念、職業倫理についての理解は重要です。この科目では社会福祉士及び介護福祉士法に規定される社会福祉士の役割、ソーシャルワーカーの倫理網領などこついて学習します。




<1> 社会福祉士と精神保健福祉士の役割と意義


▢ 977.社会福祉士及び介護福祉士法は「社会福祉士及び介護福祉士の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって社会福祉の増進に寄与すること」を目的とする。


▢ 978.2007年に改正された社会福祉士及び介護福祉士法では、社会福祉および介護を取り巻く環境の変化による業務内容の変化に適応するため、知識および技能の向上に努めなければならないことが明記された。


▢ 979.社会福祉士の資格に有効期間はなく、資格更新の必要がない。介護支援専門員は、5年ごとに資格更新のための研修を受けなければならない。


▢ 980.社会福祉士は、福祉に関する相談・助言を行うことを中核的な業務とするが、業務独占ではないため、社会福祉士に限定されるものではない。


▢ 981.精神保健福祉士法41条2項に「その業務を行うに当たって精神障害者に主治の医師があるときは、その指導を受けなければならない」と規定されている。


▢ 982.社会福祉士の義務のひとつとして、業務を行うにあたり、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならないという連携保持義務がある。


▢ 983.認定社会福祉士は、高齢分野、障害分野、児童・家庭分野、医療分野など、分野ごとに認定される。認定上級社会福祉士は自らの実践に加え、複数の分野にまたがる地域の課題について実践・連携・教育に携わる。




<2> 相談援助の概念と範囲


▢ 984.国際ソーシャルワーカー連盟が2000年に採択したソーシャルワークの定義は、人間の福利(ウェルビーイング)の増進を目指して、社会の変革を進め、人びとのエンパワーメントと解放を促していくことが唱えられている。


▢ 985.国際ソーシャルワーカー連盟と国際ソーシャルワーク学校連盟による2014年のソーシャルワークのグローバル定義では、「ソーシャルワークの大原則は、人間の内在的価値と尊厳の尊重、危害を加えないこと、多様性の尊重、人権と社会正義の支持である」としている。


▢ 986.2014年のソーシャルワークのグローバル定義では、経済成長こそが社会開発の前提条件であるという従来の考え方には賛同しないとしている。


▢ 987.1869年にロンドンで誕生した慈善組織協会(COS)は、貧民を「救済に値する者」と「値しない者」に選別して、救済に値する者をケースワークの対象として、値しない者は救貧法の対象とした。


▢ 988.フレックスナーは「ソーシャルワークは専門職か」と題する講演を行い、諸条件によリソーシャルワークは専門職に該当しないと発表した。


▢ 989.ミルフォード会議の報告書(1929年)の成果は、ジェネリック・ソーシャル・ケースワークという概念である。専門職として専門化、細分化が進んでいくソーシャルワークに共通する事項を抽出しようとする試みで、統合化への先駆けとなった。


▢ 990.エビデンスに基づく実践は、欧米を中心に1990年代以降ソーシャルワーク分野に導入されたものである。




<3> 相談援助の理念と権利擁護の意義


▢ 991.ソーシャルワーカーは、業務遂行によって得た専門職業上の知識をクライエントのみならず、社会全体の利益になるよう活用していくことが大切である。


▢ 992.ソーシャルワーカーは、援助活動において、利用者の価値観や自己決定を尊重し、利用者がその権利を十分理解し、活用していけるように援助する。


▢ 993.利用者本位の視点では、利用者の意思を可能な限り確認し、本人の希望に添った支援をする必要がある。


▢ 994.高齢者のための国連原則は、国連総会が1991年に採択したもので、自立、参加、介護、自己実現、尊厳の5つの領域の一般原則が定められている。


▢ 995.ニィリエが唱えた8つの原理は、① ノーマルなリズムによる1日の生活、② ノーマルなリズムによる1週間の生活、③ ノーマルなリズムによる1年間の生活、④ ライフサイクルにおけるノーマルな発達経験、⑤ 自己決定に対するノーマルな理解と尊重、⑥ ノーマルな異性との生活、⑦ ノーマルな経済水準による生活、⑧ ノーマルな住環境による生活である。


▢ 996.アドボカシーとは、サービス利用者の主体的な生活を実現するために、その意思や権利を代弁することである。家族や友人の判断よりも本人の意向が尊重されるようにすべきである。


▢ 997.シチズンアドボカシーとは、クライエント等の市民が主体となって行う権利擁護運動である。コーズアドボカシーは、同じ課題を抱えるクライエントの代弁や制度の改善・開発を目指す活動である。




<4> 相談援助に係る専門職の概念と範囲


▢ 998.福祉事務所に配置される専門職は社会福祉法に規定されており、福祉事務所長のほか、指導監督を行う所員(査察指導員)、現業を行う所員(現業員)、事務を行う所員(事務員)が配置される。査察指導員はスーパーバイザーとして位置付けられている。


▢ 999.知的障害者福祉法において、市町村または都道府県から委託された知的障害者相談員は、知的障害者またはその保護者の相談に応じ、知的障害者の更生のために必要な援助を行うことが規定されている。


▢ 1000.母子・父子自立支援員は、都道府県知事、市長および福祉事務所を管理する町村長からの委嘱を受け、配偶者のない者で現に児童を扶養しているものに対し、職業能力の向上および求職活動に関する支援を行う。


▢ 1001.スクールソーシャルワーカーになるには、特定の資格制度を有する規定はない。教育分野において、いじめや不登校、家庭環境などにおける生活問題について相談に応じ、安定した学校生活を送るための支援を主な業務とする。


▢ 1002.婦人相談員は、売春防止法に基づき、要保護女子の発見、相談、指導等を行う。なお、婦人相談員は、都道府県知事および市長から委嘱される。


▢ 1003.都道府県社会福祉協議会および指定都市社会福祉協議会に配置されている福祉活動指導員は、民間社会福祉活動の推進方策について助言・指導、調査、企画および連絡調整を行い、広報、指導その他の実践活動の推進に従事するとされている。




<5> 専門職倫理と倫理的ジレンマ


▢ 1004.ミラーソンは、「専門職とは、主観的にも客観的にも相応の職業上の地位を認められ、一定の研究領域を持ち、専門的な訓練と教育とを経て、固有の職務を行う比較的地位が高い非肉体的職務に属する職業をいう」と定義している。専門職の属性として、① 公衆の福祉という目的、② 理論と技術、③ 教育と訓練、④ テストによる能力証明、⑤ 専門職団体の組織化、⑥ 倫理綱領をあげており、倫理綱領は「専門職の条件」であるとしている。


▢ 1005.専門職は、倫理綱領に忠実な行動をとるだけでなく、結果をもとにサービスの効果、効率についても常に検討し、援助方法の改善、向上も心がけなければならない。


▢ 1006.ソーシャルワーカーの倫理綱領では、 ソーシャル・インクルージョンとして、 ソーシャルワーカーは、人々をあらゆる差別、貧困、抑圧、排除、暴力、環境破壊などから守り、包含的な社会を目指すよう努めると規定されている。


▢ 1007.ソーシャルワーカーの倫理綱領では、倫理基準を、利用者に対する倫理責任、実践現場における倫理責任、社会に対する倫理責任、専門職としての倫理責任に分けて規定している。実践現場における倫理責任のひとつとして、ソーシャルワーカーは、常に業務を点検し評価を行い、業務改善を推進すると定めている。


▢ 1008.社会福祉士の行動規範によると、社会福祉士は、社会福祉士としての自覚と誇りを持ち、社会的信用を高めるよう行動しなければならないとある。したがって、専門職集団の利益よりも社会的信用を高めるべきである。


▢ 1009.社会福祉士の行動規範によると、社会福祉士は、利用者から専門職サービスの代償として、正規の報酬以外に物品や全銭を受け取ってはならないとある。




<6> 総合的かつ包括的な援助と多職種連携


▢ 1010.ジェネラリスト・ソーシャルワークは、それぞれの専門分野を統合化し、包括的(ホリスティック)な視点で福祉ニーズにアプローチしていくものとして誕生した。


▢ 1011.ソーシャルワークの統合化以前は、個々の領域で専門分化していた方法論を各自が主張したため、 ソーシャルワークの固有性の視点や価値が曖味になってしまい、ソーシャルワーカーのアイデンティティ(存在意義)に混乱がみられた。統合化はソーシャルワーカーのアイデンティティを確立する試みでもあった。


▢ 1012.複合的な課題をもつ家族への相談援助では、家族の問題をこれ以上悪化させないため、第二次予防の活動に焦点化する。第一次予防は問題が生じる前に行う予防である。
再発防止やリハビリテーションが第三次予防である。


▢ 1013.総合的かつ包括的な相談援助に向けたジェネラリストの視点においては、困難な問題が重複したクライエントについては、1つの機関の担当ワーカーとのかかわりだけでなく、さまざまな機関のさまざまな専門職が協力して支援していくことが求められる。


▢ 1014.ジェネラリスト・ソーシャルワークは、個人などの個別の状況に応じたアプローチ(ミクロ)、集団や組織などを対象としたアプローチ(メゾ)、法制度や政策などの環境整備等へのアプローチ(マクロ)の視点を包括する。


▢ 1015.ナラティブアプローチは、クライエントの主体性や語りを重視することから、脱近代主義であるポストモダンの影響を受けたソーシャルワークであるといえる。

















14. 相談援助の理論と方法
 
この科目は、相談援助の理論や関連法律などの知識だけでなく、それを実際の援助場面でいかに応用するか、実践を想定しながら学習してください。




<1> 人と環境の交互作用


▢ 1016.システム理論や生態学理論を取り入れた生活モデルが盛んに用いられるようになったのは、1970年代からである。


▢ 1017.システム理論とは、システムは要素の集合であり、システムや要素は互いに作用しているとする理論である。システム理論の視点でなされるソーシャルワークは、個人に特化するのではなく、人と環境の交互作用に着目して働きかける。


▢ 1018.理論生物学者ベルタランフィにより提唱された一般システム理論では、システムを、外部環境に対して開かれている開放システムとしてとらえる。


▢ 1019.ピンカスとミナハンによるソーシャルワーク実践における4つの基本システムのうち、ソーシャルワーカーが所属する公私の機関もしくは組織体を、チェンジ・エージェント・システム(ワーカー・システム)という。アクション・システムとは、選択された標的を変革し影響を与える実行活動に参加する人々や資源すべてを指す。


▢ 1020.ピンカスとミナハンによるソーシャルワーク実践における4つの基本システムのうち、ソーシャルワーカーが働きかけ、変化を引き起こす対象を、ターゲット・システムという。ターゲット・システムとは、問題解決のために変革あるいは影響を与えていく標的となる人や組織を指す。


▢ 1021.バートレットは、社会生活機能という概念を用いて、社会環境からの要求と人々の対処努力との間の交換・均衡に焦点を合わせることを提唱した。




<2> 相談援助の対象と実践モデル


▢ 1022.パールマンは問題解決アプローチにおいて、クライエントが社会的役割を遂行するうえで生じる葛藤の問題を重視し、その役割遂行上の問題解決に取り組む利用者の力を重視した。また、「クライエントが支援を活用する力」を意味するワーカビリティや、「人・問題・場所・過程」を意味する4つのPを唱えている。


▢ 1023.サリービーが唱えたストレングス視点においては、問題解決を行うためのストレングスは、強さや長所の意味であり、個人や家族のみならず、地域の社会資源の中にも見いだすことができるとした。


▢ 1024.ハミルトンやトウルは、精神分析学を基本にするケースワークを発展させ、診断主義アプローチを体系化するのに貢献した。


▢ 1025.心理社会的アプローチは、診断主義の流れをくむもので、ホリスによって提唱された。ホリスは「状況の中にある人間」をケースワークの中心概念としてとらえた。


▢ 1026.リードとエプスタインは、既存のアプローチ理論を折衷して、課題中心アプローチを提唱した。タフトやロビンソンは、ランクの業績を基盤に、機能主義アプローチを提唱した。


▢ 1027.課題中心アプローチでは、達成可能と考えられる課題を、短期課題として利用者が設定する。ただし、計画の作成などは援助者とともに行い、その達成のため、計画的に援助することに重点が置かれる。


▢ 1028.相談援助における危機介入アプローチは、ラポポートやカプランらによって示された危機理論をクライエントの人生上の危機への介入に導入した短期処遇モデルである。不安定な状態(危機状態)に陥ったクライエントに対し、早期に積極的・集中的な援助を行い、危機状態から抜け出すことを目的にしたものである。


▢ 1029.ジャーメインとギッターマンは、エコロジカル・アプローチとライフモデルを体系化した。システム理論を基盤として、人と環境との交互作用に焦点を当て両者の調和を目指す理論を説いた。


▢ 1030.行動変容アプローチは、学習理論に基づきクライエントの抱える問題に焦点を当て、問題行動が除去されたり、修正されることを目標に据えたものである。


▢ 1031.エンパワメントアプローチは、クライエントが置かれている否定的な抑圧状況を認識し自らの能力に気づき、その能力を高め、問題に対処することを目指すアプローチである。


▢ 1032.ナラティブアプローチは、「言葉や認識によって現実がつくられている」とする考えより生まれ、クライエントが語る物語(ナラティブ)を通して援助を行う。機能的アプローチは、診断主義アプローチヘの批判として誕生した経緯があり、自我心理学から強い影響を受けている。


▢ 1033.フェミニストアプローチは、フェミニズムの視点から行うソーシャルワーク実践であり、ジェンダー概念を取り入れることやエンパワメントを促すことなどにその特徴がある。


▢ 1034.解決志向アプローチは、問題の原因を追究するのではなく、解決につながる要素に注目し、直接的な解決を目指す方法である。バーグやシェイザーらによるブリーフセラピー(短期療法)の流れを汲んでいる。




<3> 相談援助の過程


▢ 1035.インテークの段階では、コミュニケーションを図りながら、クライエントの主訴を把握するとともに、ソーシャルワーカーが所属する機関の機能について説明するなど、自己開示も行うことによって、ラボール(信頼関係)を築いていく。

▢ 1036.アセスメント(事前評価)は、クライエントの抱える課題の解決やニーズの充足のために、どのような方法を用いて援助していくことが最適なのかを考えるための情報収集・分析・整理のプロセスである。


▢ 1037.相談援助におけるプランニングでは、二―ズ優先アプローチに基づいて策定するように心がけなければならない。


▢ 1038.インターベンション(介入)とは、実際に援助を行っていく段階のことである。援助者が、既存のサービスだけでは利用者のニーズを充足させることができない場合には、社会資源の開発にも関与する必要がある。


▢ 1039.ソシオグラムは、成員間の選択・拒否関係を図式化し、小集団における人間関係の構造を明らかにするものである。エゴグラムは、交流分析理論に基づき、人間の性格を5つの領域に分析する。
 
▢ 1040.PIE (Person-in-Environment)は、相談援助のアセスメントツールのひとつで、クライエントが訴える社会生活機能の問題を記述し、分類し、コード化することで、その人の人生行路を把握するのに役立つ。


▢ 1041.統制された情緒的関与の原則とは、利用者の感情表現に対して、ソーシャルワーカーが自らの感情を自覚し、統制(コントロール)するという原則である。

▢ 1042.バイステックによる「自己決定の原則」とは、クライエント自身が自分のことを自分で決定することである。ただし、自己決定が自身や第三者に害を及ぼす可能性がある場合は、ソーシャルワーカーが干渉することもある。


▢ 1043.バイステックによる「意図的な感情の表出(感情表現)の原則」とは、クライエントが否定的な感情も含めて、自由に表出できるようにソーシャルワーカーが働きかけることである。


▢ 1044.バイステックによる「個別性尊重の原則」とは、クライエントの置かれている状況を理解することが含まれるが、他のクライエントと比較せずに、個々のクライエントの個別性を理解し、尊重しなければならない。


▢ 1045.援助の前後に行うリファーラルとは、現行のケアプランで対応できない利用者を他機関に送致することである。モニタリングは、一連の援助過程の中間評価で、点検・見直しを行う段階である。


▢ 1046.フォローアップとは、支援が終結したクライエントの状況の変化に対応するために、モニタリングを継続することである。クライエントが抱える問題の全体像を理解・評価するのは、アセスメント(事前評価)時あるいはエバリュエーション(事後評価)時に行われる。


 
<4> 相談援助における援助関係


▢ 1047.何度も同じ話を繰り返す認知症高齢者に対して、話をしっかりと受け止め、会話を続けることが精神的な安定にもつながる。


▢ 1048.知的障害者とのコミュニケーション手段には、言語だけでなく、サインやジェスチャーのほか、 コンピュータ、絵や文字などのカード類の使用などさまざまな方法がある。


▢ 1049.点字は視覚障害者のコミュニケーション手段であり、点字を書くときには右から左に打ち、読むときには左から右に読む。


▢ 1050.手話は、表現や読み取りといった技術面の訓練にある程度の時間が必要なため、すぐに活用することは難しい。高齢で難聴になった場合に有効とはいえない。


▢ 1051.逆転移とは、援助者が自分にとって重要な人物(家族など)に抱いていた感情や葛藤を、利用者に対して向けることをいう。一方、転移とは、利用者が、自分にとって重要な人物に対して向けた感情を、援助者に対して向けることをいう。


▢ 1052.援助関係におけるラポールとは、援助者と利用者の間の信頼関係のことである。


▢ 1053.ソーシャルワーカーは、クライエントの権利を守るために権威的な関係(パターナリズム)から脱却し、エンパワメントの増進に努めるべきである。


▢ 1054.援助関係においてクライエントを共感的に理解するために、ソーシャルワーカー自身の言動の傾向性を熟知し(自己覚知)、先入観などを排除する必要がある。




<5> 相談援助のための技術(1)


▢ 1055.面接は、面接室等の比較的統制された場だけではなく、サービス利用者の自宅や施設の日常生活場面での面接も意識的に重要視するべきである。利用者の日常生活場面においての面接は、面接室などの統制された場面での面接に比べて、利用者の置かれた状況を理解しやすいなどのメリットがある。このような面接を、生活場面面接(ライフスペースインタビュー)という。


▢ 1056.利用者の感情状態については、言語的(バーバル)コミュニケーションだけでなく、姿勢や視線、身ぶりなどの非言語的(ノンバーバル)コミュニケーションからも感情を読み取ることが大切である。


▢ 1057.相談援助のための面接で、「閉じられた質問」は、「はい」「いいえ」で答えられる質問の仕方なので、単純な確認を行うときに有効である。


▢ 1058.「どうされましたか」という質問の仕方は、相手が自由に意見を述べることができることから、「開かれた質問」に該当する。


▢ 1059.アメリカでは、1963年にケネディ大統領が議会に提出したケネディ教書により、地域精神保健センターが設置され、精神科病院からの早期退院など、脱施設化の方向性と地域ケア体制が促進された。


▢ 1060.ケアマネジメントでは、利用者のニーズを充足するために、フォーマルな社会資源だけでなく、インフォーマルな社会資源も活用するため、当該資源を探し出して調整することが求められている。


▢ 1061.ケアマネジメントにおけるアセスメントは、クライエントやその家族と面接をすることによって行われる。精神面、身体面の把握のみならず、住環境、家族関係、経済状況、援助の状況など幅広い生活障害全般の把握を行う。




<6> 相談援助のための技術(2)


▢ 1062.アウトリーチとは、支援が必要であるにもかかわらず自発的に申し出ない人々などのもとに援助者が出向き、積極的に働きかけて支援の実現を目指すことである。


▢ 1063.アグレッシブ・ケースワークとは、援助が必要であるにもかかわらず、援助を受けることに消極的・拒否的な人に対して、援助者から積極的に働きかけ、生活上のさまざまな相談に応じる方法である。


▢ 1064.ソーシャルワークでは、人々が自らを生活問題解決の主体であることを自覚し、ニーズに応じた社会資源を活用できるように、援助を展開する。


▢ 1065.施設や組織などのフォーマルな社会資源と、家族やボランティアなどのインフォーマルな社会資源を有機的に結び付けるのが、ソーシャルサポートネットワークである。


▢ 1066.コーディネーションとは、クライエントが抱えている問題に対応するためにさまざまな専門職が連携を図り、サービスを調整することであり、ソーシャルサポートネットワークに必要である。


▢ 1067.相談援助における社会資源の使用目的は、クライエントの二一ズを充足させるために利用可能な人的、物的、制度的なすべての資源のことである。


▢ 1068.ソーシャルアクション(社会活動法)とは、個人、集団、地域住民のニーズに応え、環境や制度などの改善を求めるために働きかける活動で、対象に個人を含む。




<7> 相談援助のための技術(3)


▢ 1069.シュワルツが提唱した相互作用モデルにおけるグループワーカーの役割は、メンバーとグループとの媒介者であり、主導的な立場はとらない。


▢ 1070.グループワークにおけるプログラム活動は、グループの目標達成のために選択するべきであり、メンバーの主体的、自立的な参加を促すため、グループワーカーの好みなどを基準にするのではない。


▢ 1071.グループワークは、準備期、開始期、作業期、終結期という過程を経て行われる。開始期には、援助関係の形成がなされる。


▢ 1072.グループワーカーは、メンバー自身が葛藤を回避することなく直視し、主体的に解決できるように側面堕に支援しなければならない(葛藤解決の原則)。


▢ 1073.集団援助技術の展開過程における作業期には、メンバー間の相互関係が発達し、グループの凝集性が生まれる一方、対立や孤立といった危機的状況も生じるのが特徴である。開始期の特徴として、メンバーには、グループに対する希望や期待とともに不安と恐れ、疑問、緊張などの気持ちが混ざり合っている。


▢ 1074.メンバー間の結束力が強くなり相互関係が発達すると、グループの凝集性が生まれ、グループの規範が確立していく。グループの凝集性とは、グループとしてのまとまりのことをいう。


▢ 1075.プログラム活動の途中であっても、計画の目標が達成されたと判断されれば、集団援助は終結してもかまわない。集団援助技術の目的は、目標の達成であるため、当初計画していた予定回数や期間を満たさなくとも、目標を達成した時点で援助を終結することもある。


▢ 1076.自助グループ(セルフヘルプグループ)は、個人が自発的に参加する水平的なグループのため、メンバー間に明確な上下関係がない場合が多い。


▢ 1077.個別化の原則には、メンバー個人の相違点を認識するための個別化と、当該グループを他のグループとは違う固有の特徴を持つグループとして認識するグループの個別化とがある。


▢ 1078.参加の原則とは、グループ活動に対して、メンバーの自主的・主体的参加を促す原則である。援助者には、メンバーが主体的に取り組める環境づくりと、メンバーの参加への動機づけなどが求められる。


▢ 1079.集団過程におけるリーダーシップとは、グループの中の特定のメンバーが、ほかのメンバーやグループの全体に何らかの変化を起こす働きかけのことをいう。


▢ 1080.経験の原則とは、グループのメンバーがグループ活動を通して経験を積み、社会的成長を図るという原則である。葛藤解決の原則とは、グループワーカーの援助によって、グループの相互作用の中で生じる葛藤やメンバー個人の内面的葛藤の解決を促すことである。


▢ 1081.制限の原則とは、グループの行動に一定の制約を設け、個々のメンバーが安心してグループ活動に参加できるようにするという原則である。


▢ 1082.スーパービジョンの目的は、スーパーバイザーがスーパーバイジーと肯定的に関わりながら、管理的・教育的・支持的機能を果たすことによって、組織の方針に沿って質・量ともに最良のサービスを利用者に提供することである。


▢ 1083.スーパービジョンの教育的機能は、専門職としての知識、技術、価値、倫理を習得させることを意味する。


▢ 1084.スーパービジョン関係を用いて情緒的・心理的な面をサポートすることは支持的機能である。管理的機能は、業務遂行が可能になるように適切な業務量に目配りすることなどを指す。


▢ 1085.グループスーパービジョンとは、スーパーバイザーが、ケース会議や事例研究会などのグループを活用し、スーパーバイジーであるメンバー同士の相互作用によって、援助の質的向上を目指すものである。


▢ 1086.ピアスーパービジョンは、仲間(ピア)同士が、互いに共通課題の検討などを行うことで、スーパーバイザーを置かずに、スーパーバイジーが集団で行う。ライブスーパービジョンは、スーパーバイザーとスーパーバイジーが同席して行う。


▢ 1087.コンサルテーションとは、対人援助の専門職が課題解決のために、特定の領域の専門職から情報・知識・技術を習得する過程を指す。


▢ 1088.叙述体は、援助の過程で生じた事柄を、記録者の解釈を交えずに、時間的な流れに沿って、そのまま記録したものであり、事実を時間の経過に従って記述する文体である。要約体は、事実やその解釈、見解の要点を整理して示すものである。


▢ 1089.長期にわたる援助過程を記録するのに有効なのは、要点をまとめた要約記録である。過程記録は援助過程を時系列に沿って整理し、記述したものである。


▢ 1090.問題志向型記録は、問題点ごとに、S (主観的情報)、O (客観的情報)、A (アセスメント)、P (計画)の4項目に整理して記載するものである。


▢ 1091.説明体は、客観的な事実に加えて、ソーシャルワーカーによる主観的な説明や解釈を記述するスタイルである。


▢ 1092.「福祉関係事業者における個人情報の適正な取扱いのためのガイドライン」によると、個人情報を扱うには利用の目的を特定し、それ以外での利用では本人の同意が必要となる。ただし児童虐待事例などは本人の同意を得る必要はない。


▢ 1093.ファミリーマップは、家族の構成員間にみられるコミュニケーションの状況や力関係、情緒的な結び付きなどを示した図である。家族内で起きているコミュニケーション上の葛藤や問題などが視覚的に把握できるので、その家族が抱える病理性の分析などにも 有効である。


▢ 1094.ジェノグラムは、ボーエンが開発したマッピング技法で、3世代以上の拡大家族間の相互作用の見取り図である。


▢ 1095.エコマップは、ハートマンが考案したマッピング技法である。利用者の家族関係だけでなく、その周囲の人々や社会資源との関係なども含めて、その時点ごとの環境を図示する。


▢ 1096.単一事例実験計画法(シングル・システム・デザイン)とは、対象が1ケースで、利用者の問題(目標)に対して、介入(インターベンション)の効果を測定する方法である。


▢ 1097.ソーシャルワークにおける効果測定は、サービスの内容や、対象となるクライエントの変化を測定するものであり、スーパーバイザーが評価するものではない。

















15. 福祉サービスの組織と経営
 
福祉関係者の働く環境を改善する動きが高まっています。よりよい援助を行うためにも、福祉サービス提供組織の管理運営について理解を深めることが重要です。




<1> 社会福祉法人


▢ 1098.社会福祉法において、「社会福祉事業を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人」と規定されている。


▢ 1099.社会福祉法23条では、「社会福祉法人以外の者は、その名称中に、『社会福祉法人』又はこれに紛らわしい文字を用いてはならない」と規定されている。


▢ 1100.会計監査人は、社会福祉法人の計算書類およびその附属明細書を監査する。この場合、会計監査報告を作成しなければならない。


▢ 1101.評議員の任期は、選任後4年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。


▢ 1102.社会福祉法では、社会福祉法人の役員は、理事6人以上、監事は2人以上でなければならないと規定されている。


▢ 1103.社会福祉法では、社会福祉法人の役員について、任期を選任後2年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとしている。


▢ 1104.社会福祉法人の役員と会計監査人は、評議員会の決議によって選任することになっている(社会福祉法43条)。


▢ 1105.社会福祉法人は、合併契約を締結したうえで、他の社会福祉法人と合併することができる。合併の種類には、吸収合併や新設合併がある。


▢ 1106.社会福祉法人は、その事業を行うに当たり、評議員、理事、監事、職員その他の政令で定める社会福祉法人の関係者に対し、特別の利益を与えてはならない(社会福祉法27条)。


▢ 1107.社会福祉法人が行う収益事業は、法人の社会的信用を傷つける恐れがなく、かつ投機的なものでない限り、特別な制限はない。


▢ 1108.社会福祉法人の会計年度は、4月1日から翌年3月31日まで規定され、毎会計年度終了後3か月以内に計算書類(貸借対照表および収支計算書)、事業報告書、附属明細書を作成しなければならない。なお、これらの書類は監事が監査する。


▢ 1109.すべての社会福祉法人は、定款、報酬等の支給の基準、計算書類、役員等名簿および現況報告書について、インターネットにおいて公表を行うことが社会福祉審査基準に規定されている。


▢ 1110.社会福祉法において、社会福祉法人の解散事由は、評議員会の決議、定款に定めた解散事由の発生、目的たる事業の成功の不能、合併、破産手続き開始の決定、所轄庁の解散命令を規定している。


▢ 1111.社会福祉法において、社会福祉法人には経営の透明性の確保が義務付けられている。


▢ 1112.合併後存続する社会福祉法人または合併によって設立した社会福祉法人は、合併によって消滅した社会福祉法人の一切の権利義務(当該社会福祉法人がその行う事業に関し行政庁の認可その他の処分に基づいて有する権利義務を含む)を承継する。


▢ 1113.社会福祉法人は、吸収合併後に存続する社会福祉法人の主たる事務所の所在地において、合併の登記をすることにより、その効力が生じる。


▢ 1114.評議員会は、原則として理事が招集する。また、評議員は、理事に対し、評議員会の目的である事項や招集の理由を示して、評議員会の招集を請求することができる。


▢ 1115.社会福祉法人は、評議員会の日から10年間、議事録をその主たる事務所に備え置かなければならない。


▢ 1116.社会福祉法人の行う介護サービス事業は、非課税となる。一方、特定非営利活動法人の行う介護サービス事業は、法人税法上の収益事業に該当するため、法人税が課税される。


▢ 1117.市町村や社会福祉法人が社会福祉施設を設置し、第一種社会福祉事業を経営しようとするときは、施設を設置しようとする地の都道府県知事に届け出ることが義務付けられている。


▢ 1118.老人福祉法では、社会福祉法人は、都道府県知事の認可を受けて、養護老人ホームや特別養護老人ホームを設置することができると規定されている。




<2> 特定非営利活動法人とその他の組織・団体


▢ 1119.特定非営利活動法人は、非営利を目的としているが、特定非営利活動事業に支障がない限り、収益事業を行うことができる。


▢ 1120.特定非営利活動法人制度は、市民が行う自由な社会貢献活動の健全な発展を促進し、公益の増進に寄与するために1998年に創設されたが、税制上の取扱いから国が活動領域を20分野に限定している。
 
▢ 1121.特定非営利活動促進法に規定する活動分野において、「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」が最も多く、特定非営利活動法人が地域福祉の担い手として大きな位置を占めている。


▢ 1122.特定非営利活動法人の所轄庁は、1つおよび2つ以上の都道府県に事務所を置く場合は主たる事務所がある都道府県知事であり、事務所が指定都市の区域内のみにある場合は、その指定都市の長である。


▢ 1123.特定非営利活動促進法に基づき、所轄庁に申請書を提出して設立の認証を受けなければならない。また、同法において、「特定非営利活動法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する」と規定されている。


▢ 1124.特定非営利活動法人の解散時における残余財産は、特定非営利活動法人、国、地方公共団体、公益社団・財団法人、社会福祉法人などから選定された者に帰属する。


▢ 1125.所轄庁による認証・不認証の決定は、正当な理由がない限り、申請を受理した日から4か月以内(条例があればその期間内)に行うことが義務付けられている。


▢ 1126.特定非営利活動法人の業務は、定款で理事その他の役員に委任したものを除き、すべて社員総会の決議によって行う。


▢ 1127.特定非営利活動法人の役員は、理事3人以上、監事1人以上で、任期は2年以内である。


▢ 1128.特定非営利活動促進法では、各役員についてその配偶者および3親等内の親族が1人を超えて含まれてはならないことや、その役員、その配偶者および3親等内の親族が役員の総数の3分の1を超えてはならないことが規定されている。
 
▢ 1129.特定非営利活動法人の定款の変更は、社員総会で議決された後、所轄庁の認証を受けた時点で効力を生じる。


▢ 1130.特定非営利活動促進法において、利害関係人等から事業報告書等や役員名簿等または定款の閲覧の請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧させなければならないと規定されている。


▢ 1131.特定非営利活動法人は、定款に定めがある場合を除き、社員総会で総社員数の4分の3以上の同意を得て議決後、所轄庁の認証を経て、他の特定非営利活動法人と合併することができる。


▢ 1132.医療法人とは、医療法に基づく公益性の高い医療を実施する法人として認められた病院や診療所、介護老人保健施設、介護医療院である。


▢ 1133.特定医療法人は、租税特別措置法に基づいた財団または出資持分の定めのない社団の医療法人のことをいう。また、その事業が公的に運営されていることから、国税庁長官の承認を受けた法人である。


▢ 1134.2006年、民間非営利活動を積極的に位置付けるという観点から、公益法人制度改革関連三法「一般社団・財団法人法」、「公益法人認定法」、「関係法律整備法」が制定された。


▢ 1135.公益法人は、一般社団法人と一般財団法人、および公益社団法人と公益財団法人に区分される。一般社団法人または一般財団法人は、剰余金の分配を目的としない社団または財団で登記することにより、法人格を取得する団体であり、公益社団法人または公益財団法人は、一般社団法人・一般財団法人のうち、公益を目的とする団体として行政庁から認定を受けた団体のことである。


▢ 1136.一般財団法人の設立に際して、設立者が拠出する財産および価額の合計は、300万円以上でなければならない。


▢ 1137.内閣総理大臣の管轄は、① 国の事務や公益目的事業で政令に定めがあるもの、② 2つ以上の都道府県区域内に事務所を設置するもの、③ 公益事業を2つ以上の都道府県区域内に設置することを定款で定めているもの、となる。それ以外の公益法人は、事務所が所在する都道府県知事の管轄となる。


▢ 1138.2006年、会社法の施行に伴い有限会社が廃止され、会社類型が株式会社、合名会社、合資会社、合同会社となった。
 
▢ 1139.1998年に制定された特定非営利活動促進法の制定により、市民団体の法人格の取得が容易になった。




<3> 福祉サービスの組織と経営に係る基礎理論


▢ 1140.ヴェーバーがあげた官僚制に特有な機能様式は、官庁組織に限定されたものではなく、民間企業や学校にも対応している。


▢ 1141.バーナードは、組織成立の必要十分条件でありかつすべての組織にみられる要素として、伝達(コミュニケーション)、貢献意欲、共通目的の3つをあげている。




▢ 1142.サイモンは、将来の不確実性や費用の問題などに直面すると意思決定の合理性が制約される「限定合理性」に基づく「経営人モデル」を提唱した。


▢ 1143.シャインによると組織文化は、組織が共有し、当然視している仮定の総和である。その仮定は組織がその歴史を通じて獲得してきたものである。


▢ 1144.チャンドラーは、戦略的決定の意味を、企業の長期的体質にかかわるものとして、企業の長期目標の決定、それに対応した代替案、諸資源の割り当てに求めた。


▢ 1145.アンゾフは、経営戦略の体系を完成させた人物で、経営の意思決定を、上位から① 戦略的意思決定、② 管理的意思決定、③ 業務的意思決定の3つの階層に区分したことでも知られている。


▢ 1146.アンドルーズは、企業が持つ「強み」と「弱み」、企業環境の「機会」と「脅威」を評価する企業戦略(中長期計画を策定する方法)を重視し、企業の成功とは、「強み」と「機会」の適合であるとした。


▢ 1147.ドラッカーのマネジメント理論は、従業員満足が重要であり、従業員一人ひとりの目標と全体の利益を調和させるものである。


▢ 1148.メイヨーらのホーソン実験によって明らかになったのは、生産能率に影響を与える主要因は作業条件ではなく人間関係などの非公式組織である。


▢ 1149.シェリフらの実験によれば、2つの集団間の対立の解消には、単なる集団間の接触ではなく、対立する集団が一致協力しなければ達成できないような上位目標の導入が有効であることが明らかになった。


▢ 1150.三隅二不二のリーダーシップ理論は、P (課題達成機能)とM (集団維持機能)のPM理論である。SL理論は部下の成熟度で有効なリーダーシップが異なるという考え方である。


▢ 1151.PDCAサイクルとは、「Plan (計画)」、「Do (実行、実施)」、「Check (評価、確認)」、「Act (改善、処置)」の頭文字をとったもので、アメリカの工場における品質管理の手法として開発された。


▢ 1152.マグレガーは、人間は本来怠け者で、放っておくと仕事をしないのがX理論、人間は本来働き者で、自己実現のために働くのがY理論として、人間に関する理論には2つのタイプがあると主張した。進んで働きたがるはずの人間の働く意欲が低いのは、管理者側に原因があると考えるのはY理論である。


▢ 1153.コンティンジェンシー(条件即応)理論とは、最も効果的なリーダーシップのあり方は、状況(環境)によって異なるという考え方で、代表例としてフィードラーの条件即応モデルがある。




<4> 福祉サービス提供組織の経営と実際


▢ 1154.社会福祉施設を経営しない社会福祉法人の設立に必要な基本財産は、原則として1億円以上である。ただし、緩和措置で要件を満たした場合、1,000万円以上の基本財産で賄えることになっている。


▢ 1155.社会福祉法人には、配当(利益処分)が認められておらず、「過去の利益の蓄積額」は、赤字経営をしない限り増加する特性がある。


▢ 1156.共同募金からの配分を受けた社会福祉事業を経営する者は、1年間は寄付金の募集をすることができないが、寄付を受ける行為には制限がなく、随時、寄付を受けることができる。


▢ 1157.介護報酬の基準額は、介護保険法上、厚生労働大臣が介護給付費分科会の意見を聴いて定めることとされている。


▢ 1158.社会福祉事業については情報提供を積極的に行う観点から広告は原則自由であるが、社会福祉法において、「誇大広告の禁止」が規定されている。


▢ 1159.コンプライアンスとは、「(要求・命令などに)従うこと、応じること」と訳され、「企業活動における法令遵守」を意味する言葉である。


▢ 1160.CSR(企業の社会的責任)とは、適正な雇用・労働条件、消費者への適切な対応、環境問題への配慮、地域社会への貢献を行うなど、企業が市民として果たすべき責任をいい、福祉サービス事業者にも求められる。


▢ 1161.監査には、外部の第三者が行う「外部監査」と、監事・監査役が行う「監査役等監査」、内部の組織・担当者が行う「内部監査」などがある。


▢ 1162.介護保険法施行規則には、事業所や施設の数が1以上20未満の、最も規模の小さい事業者であっても、法令を遵守するための「法令遵守責任者」の選任が規定されている。


▢ 1163.2007年8月に改正・告示された「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」(新福祉人材確保指針)は、福祉・介護サービス分野に従事する人材を確保するための取組みとして、① 労働環境の整備の推進等、② キャリアアップの仕組みの構築、③ 潜在的有資格者等の参入の促進等、④ 福祉・介護サービスの周知・理解、⑤ 多様な人材の参入・参画の促進、の5つを示している。


▢ 1164.社会福祉法人は、再投下可能な財産(社会福祉充実残額)を、社会福祉充実計画に記載しなければならず、記載するにあたって、公認会計士や税理士などの意見を聴かなければならない。


▢ 1165.社会福祉法人が作成しなければならない計算書類には、収支計算書や貸借対照表がある。


▢ 1166.貸借対照表とは、当該会計年度末現在における資産、負債および純資産の状態を表示するものである。資金収支計算書とは、事業の収支の状態や継続性をみるために、当該会計年度における支払資金の増加および減少の状況を表示するものである。
 
▢ 1167.減価償却とは、固定資産(土地と建設仮勘定を除く)の取得原価を、その耐用年数にわたって費用化する手続である。




<5> 福祉サービスの管理運営の方法と実際


▢ 1168.社会福祉の現場においては、努力が報われない無力感から生じるバーン・アウト(燃え尽き症候群)が多く見られるが、これに対しては、スーパービジョン機能のうち支持的機能(信頼関係を軸にサポートすること)が有効とされる。  


▢ 1169.サービスの提供にとって、人と人とが接する人的要素も、施設・設備などの物的要素も必要で欠くことができない重要な要素である。


▢ 1170.サービスは有形製品と比較して、無形性、同時性、消滅性、異質性などの特徴がある。そのため、品質管理や、利用者による評価が難しい。


▢ 1171.サービスの消費者が知覚するサービスの質は、結果として何が提供されたかだけではなく、どのようにして提供されたのかによっても評価されるため、サービス提供のプロセスは重要である。


▢ 1172.ドナベディアンが提唱した、ヘルスケアの質の評価は、構造、過程、成果の3つの側面からなる。リハビリテーションや予防活動は、過程の要素である。


▢ 1173.サービス・デリバリー・システムとは、サービスを利用者へ届けるためのプロセスのことをいい、そのサービスの水準は、従事者と利用者だけではなく、技術や物的要素などによって決まる。


▢ 1174.社会福祉事業の経営者は、常に、その提供する福祉サービスについて、利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない。利用者等からの苦情を、適切に解決する役割を担っているのは、運営適正化委員会である。


▢ 1175.リスクマネジメントにおいて、危機管理体制の確立は重要である。リスクマネジメントは、事故の予防(事前対応)と事故対策(事後対応)などに分けられ、さまざまな事業環境に対するリスク対応が含まれる。


▢ 1176.キャリア(職業・経歴)のアンカー(錨・楔)のようなものが、 キャリアアンカーである。キャリアを選択する上で、犠牲にしたくない能力・動機・価値観等である。年数が経つにつれてキャリアの高原状態に入ることをキャリアプラトーと呼ぶ。


▢ 1177.OJTとは、職場の上司や先輩が職場の部下や後輩に対して直接指導する職務教育訓練方法のひとつである。OFF-JTとは、教育訓練の方法のひとつであり、職場を離れて行う職務教育訓練方法のことである。


▢ 1178.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(育児介護休業法)では、すべての事業主は、育児休業、介護休業、子の看護休暇の申し出を拒むことはできない、としている。
 
▢ 1179.1歳6か月以降も認可保育園等に入れない等の場合は、会社に申し出ることにより育児休業期間を最長2歳まで再延長でき、その際の育児休業給付金の給付期間も2歳までとなる。


▢ 1180.介護休業を取得することができる対象家族は、配偶者、父母および子ならびに配偶者の父母をいう。


▢ 1181.メンタルヘルスの不調により休業した労働者の職場復帰は、事業者による支援が欠かせない。個人に限らず組織の視点で取り組むことが必要である。












 



16. 高齢者に対する支援と介護保険制度
 
この科目の内容は、介護保険制度を中心に、関連各法まで多岐にわたります。高齢者福祉の理念を踏まえ、体系的に復習しましょう。




<1> 高齢者の生活実態


▢ 1182.わが国の合計特殊出生率は、第二次ベビーブームが終わった1975年ごろから低下傾向が顕著になり、近年はやや回復しているものの2019年では1.42と、人口置換水準(2.07程度)を大きく割り込んでいる。


▢ 1183.2018年の「人口動態統計(確定数)の概況」をみると、出生数は約92万人、死亡数は約136万人となっており、出生数よりも死亡数の方が多い。


▢ 1184.「平成30年国民生活基礎調査」によれば、高齢者世帯1世帯当たりの平均所得金額の構成割合は、「公的年金・恩給」が61.1%、「稼働所得」が25.4%となっている。


▢ 1185.「平成30年国民生活基礎調査」によれば、1世帯当たりの平均所得金額は、高齢者世帯が334万9,000円で、全世帯551万6,000円の約6割となっている。


▢ 1186.「平成30年国民生活基礎調査」によれば、現在の暮らしについて、「大変苦しい」と答えた高齢者世帯は全体の22.0%、「やや苦しい」と答えた高齢者世帯は33.1%で、両者を合わせると55.1%である。


▢ 1187.「平成30年度高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果」によれば、2018年度において高齢者虐待と認められた件数は、養護者(高齢者の世話をする家族等)によるものが1万7,249件、養介護施設従事者等によるものが621件である。虐待の種別をみると、 いずれも「身体的虐待」が最も多く、次いで「心理的虐待」となっている。




<2> 高齢者福祉制度の発展過程


▢ 1188.老人福祉に関する施策を総合的・体系的に推進するための基本法として、1962年に厚生労働大臣の諮問機関である中央社会福祉審議会が取りまとめた「老人福祉施策の推進に関する意見(中間報告)」を受けて、1963年に老人福祉法が成立、施行された。


▢ 1189.1990年の老人福祉法改正により、都道府県と市町村には、老人保健福祉計画の策定が義務付けられた。


▢ 1190.老人福祉法の一部改正により、1973年から実施された老人医療費支給制度では、70歳以上の高齢者の医療費負担が無料化された。


▢ 1191.1995年に制定された高齢社会対策基本法は、政府に対し、「推進すべき高齢社会対策の指針として、基本的かつ総合的な高齢社会対策の大綱」の作成を義務付けている。


▢ 1192.2018(平成30)年策定の高齢社会対策大綱では、「全世代型の社会保障」も兼ね備えたエイジレス社会を目指す目標のほか、人工知能や情報通信技術といった技術革新の成果も充分に活用できるとしている。


▢ 1193.「ゴールドプラン」を改定して作成された「新ゴールドプラン」(1994年)では、利用者本位・自立支援、普遍主義、総合的サービスの提供、地域主義を基本理念として掲げた。


▢ 1194.認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)は、2012年9月に厚生労働省が公表した5か年計画。介護保険制度は2000年に開始された。2015年には認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)が策定された。




<3> 高齢者福祉関連法


▢ 1195.老人福祉法3条は、基本的理念として、老人は常に心身の健康を保持し、または、知識と経験を活用して、社会的活動に参加するよう努めることや、老人の希望と能力とに応じ、適当な仕事に従事する機会など社会的活動に参加する機会を与えられるものとすることを定めている。


▢ 1196.老人福祉法において「老人」の定義はなく、社会通念上、老人と認められるような人を指すと一般的に解釈されている。


▢ 1197.老人福祉法5条の3に定める老人福祉施設とは、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センターであり、有料老人ホームは含まれない。


▢ 1198.市町村福祉事務所において、老人福祉に関する所員への技術的指導や、専門的技術を要する業務を行う社会福祉主事を、一般に老人福祉指導主事という。


▢ 1199.2011年の高齢者住まい法の改正では、サービス付き高齢者向け住宅の登録制度が創設されたことにより、高齢者円滑入居賃貸住宅の登録制度や高齢者向け優良賃貸住宅の供給計画の認定制度、高齢者居住支援センターの指定制度が廃止された。


▢ 1200.サービス付き高齢者向け住宅の登録基準は、住宅に関して床面積(原則25㎡以上)、便所・洗面設備等の設置、バリアフリーが規定されているほか、サービスの提供として、少なくとも安否確認・生活相談サービスを提供することとされている。


▢ 1201.高年齢者雇用安定法における高年齢者とは、55歳以上の者である。


▢ 1202.高齢者虐待防止法は、虐待防止に関する国等の責務、高齢者の保護、養護者に対する支援等を定めることを目的として、2005年11月に成立した。


▢ 1203.高齢者虐待防止法25条において、都道府県知事は、毎年度、要介護施設従事者等による高齢者虐待の状況や養介護施設従事者等による高齢者虐待があった場合にとった措置などについて公表しなければならないと規定されている。


▢ 1204.いわゆる心理的虐待について、「児童虐待防止法」、「高齢者虐待防止法」ともに規定している。


▢ 1205.高齢者虐待防止法により、養護者による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、生命や身体に重大な危険が生じていない場合でも、速やかに市町村に通報しなければならない。


▢ 1206.高齢者虐待防止法28条は、国と地方公共団体に対し、高齢者虐待の防止等を図るため、成年後見制度の周知のための措置、成年後見制度の利用に係る経済的負担の軽減のための措置等を講ずることにより、成年後見制度が広く利用されるようにしなければならないとしている。


▢ 1207.老人保健制度は1983年から開始されており、老人福祉法による70歳以上の者に対する老人医療費支給制度は1973年に開始されている。




<4> 介護保険制度の概要


▢ 1208.市町村および特別区は、介護保険に関する収入や支出について、特別会計を設けなければならない(介護保険法3条2項)。


▢ 1209.介護保険の被保険者は、市町村に対して、当該被保険者に係る被保険者証の交付を求めることができる(介護保険法12条3項)。


▢ 1210.介護保険法2条3項には、「被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して」とある。


▢ 1211.介護保険法2条4項には、「その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない」とある。


▢ 1212.市町村は、第1号被保険者の介護保険料の徴収を、特別徴収または普通徴収の方法によって行うことができる(介護保険法131条)。


▢ 1213.介護保険施設に入所し、住所を施設所在地に変更した場合、財源の公平性の見地から、その入所者については住所変更前の市町村を保険者とする住所地特例が設けられている。


▢ 1214.介護保険の第2号被保険者は、市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者である。


▢ 1215.要介護認定は、その申請のあった日にさかのぼってその効力を生ずる。一方、要介護更新認定は、当該申請に係る要介護認定の有効期間の満了日の翌日にさかのぼってその効力を生ずる。


▢ 1216.介護保険の第2号被保険者は、要介護状態・要支援状態の原因である身体上または精神上の障害が、特定疾病に起因したものの場合に限り保険給付の対象となる。


▢ 1217.現在、介護保険制度における特定疾病は、2006年4月にがん末期が加わり、16疾患となっている。


▢ 1218.要介護等認定の処分に関する不服は、都道府県に設置されている介護保険審査会に審査請求できる。


▢ 1219.要介護更新認定の有効期間は、原則として12か月である。市町村は、必要と認める場合、3か月から36か月の範囲で設定することができる。


▢ 1220.介護サービスの利用に係る費用の自己負担割合は、基本的には1割負担であるが、年金収入等が280万円以上ある者は2割負担、年金収入等が340万円となっている者は3割負担となっている。


▢ 1221.都道府県は、介護保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用に充てるため、財政安定化基金を設ける。(介護保険法147条)。


▢ 1222.介護報酬の算定基準を厚生労働大臣が定める際には、あらかじめ社会保障審議会の意見を聴かなければならない。


▢ 1223.現行の介護保険法で定義する介護保険施設は、指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院の3種類である(介護保険法8条)。


▢ 1224.介護医療院や介護老人保健施設を開設する場合は、都道府県知事の許可を得る必要がある。一方、介護老人福祉施設を開設する場合は、都道府県知事の指定を受ける必要がある。




<5> 介護保険制度によるサービス


▢ 1225.訪問介護の内容は、入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって、機能訓練や療養上の世話は含まれない。


▢ 1226.短期入所生活介護とは介護保険法8条に、特別養護老人ホームまたは老人短期入所施設に短期間入所させて介護すると規定されている。短期入所療養介護とは、居宅要介護者を介護老人保健施設または介護医療院に短期間入所させて、医学的管理下で行う介護をいう。


▢ 1227.指定居宅サービス事業者は、指定を受けた都道府県知事から6年ごとに指定の更新を受けなければならない。


▢ 1228.指定居宅介護支援事業者の指定は、指定介護予防支援事業者等と同様、市町村長が行う。


▢ 1229.通所介護は、居宅要介護者等を老人デイサービスセンターなどに通わせ、入浴、排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話および機能訓練を行うもので、病院や診療所では行わない。


▢ 1230.介護保険サービスのうち、共生型サービスが認められているのは、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護、短期入所生活介護、介護予防短期入所生活介護の5種類である。


▢ 1231.特定福祉用具販売の種目には、腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具部分が含まれる。


▢ 1232.認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の入居定員は、5人以上9人以下とされ、居室については原則1人部屋とされている。


▢ 1233.地域密着型介護老人福祉施設および地域密着型特定施設の入所定員は、29人以下である。


▢ 1234.療養通所介護は、地域密着型サービスのひとつであり、その利用定員は、18人以下である。


▢ 1235.要介護認定で「要支援」と認定された高齢者は介護予防住宅改修費の支給対象となる。


▢ 1236.法改正により、2020年4月から市町村に対し、地域支援事業の実施にあたっては、高齢者保健事業や国民健康保険保健事業と一体的に実施するよう努める旨の規定が追加された。


▢ 1237.介護予防ケアマネジメント(第一号介護予防支援事業)は、市町村からの委託により、地域包括支援センターが実施できる。


▢ 1238.生活支援体制整備事業における生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)の機能には、「地域のニーズと資源の状況の見える化、問題提起」、「地縁組織等多様な主体への協力依頼などの働きかけ」などがある。


▢ 1239.認知症総合支援事業では、専門家による認知症の早期対応のための支援や、認知症や認知症が疑われる被保険者に対する総合的な支援を行う。


▢ 1240.包括的・継続的ケアマネジメント支援業務では、ケア体制の構築、個々の介護支援専門員のサポート、居宅サービス計画の検証などを実施する。




<6> 介護保険制度に係る組織と専門職


▢ 1241.2018年度より、指定居宅介護支援事業所の管理者は、原則として主任介護支援専門員でなければならない。(経過措置期間あり)。


▢ 1242.国民健康保険団体連合会は、市町村から委託を受けて行う介護サービス費の請求に関する審査・支払い、指定居宅サービス等の質の向上に関する調査、介護保険施設等への助言・指導などを行う。


▢ 1243.サービス担当者会議は、居宅サービス計画原案を作成した場合や変更した場合などに、介護支援専門員が開催するものである。


▢ 1244.介護支援専門員に対しては、正当な理由なしに、業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないという秘密保持義務が課せられている。この義務は、介護支援専門員でなくなった後も適用される。


▢ 1245.介護福祉士、義肢装具士、保健師、(准)看護師、理学療法士、社会福祉士などの資格取得者は、講習を受けずに、福祉用具専門相談員になれる。


▢ 1246.2017年1月の国家試験に合格した介護福祉士より、医師の指示、看護師等との連携の下、たんの吸引等を行うことが可能になっている。それ以前の者は、研修を受け登録することで行える。ただし、褥瘡の処置はできない。


▢ 1247.市町村は、定期的に地域包括支援センターにおける事業の実施状況について評価を行うとともに、必要に応じ、包括的支援事業の方針の変更など、必要な措置を講じなければならない(介護保険法115条の46)。




<7> 介護の概念


▢ 1248.社会全体で介護を担う「介護の社会化」が国家的課題とされ、社会福祉士及び介護福祉士法(1987年制定)、介護保険法(1997年制定)など、関連する法律や施策が打ち出された。


▢ 1249.介護とはADL(日常生活動作)の自立とQOL(生活の質)の向上を目指すことで、その人らしく快適な社会生活が営めるよう援助する行為である。


▢ 1250.ADLには、食事や排泄、更衣、入浴などの身辺動作や移動動作がある。


▢ 1251.利用者の日常の生活状態を知るためには、ADLやIADL(手段的日常生活動作)をアセスメントしておくと効果的である。また、残存機能を生かした介護は利用者の心身の活性化につながるため、できることに視点を置く姿勢が求められる。


▢ 1252.生活不活発病は廃用症候群ともいい、心身の機能を十分に使わないために、身体的機能や精神的機能が低下して起こる症候群をいう。


▢ 1253.利用者の個別性を重視した介護とは、その人を主体者として人権を尊重し、尊厳を保持することである。


▢ 1254.介護者は、利用者の最も身近にいて長時間接することが多く、状態変化の第一発見者になることが多いので、医療関係者との連携を密にしておく。


▢ 1255.介護予防は、個々の機能の改善のみを目的とするのではなく、高齢者の自己実現への取組みを支援し、QOLの向上を目的とする。




<8> 日常生活のおける介護技術


▢ 1256.利用者の安全・安楽を守るために、介護従事者は、視覚・聴覚・嗅覚・触覚などの感覚を働かせて、絶えず利用者の心身の状態を観察し、変化を速やかに発見する能力を身に付けなくてはならない。



▢ 1257.介護における利用者理解は、介護者自身の感情や人生観を反映させてしまっては、利用者を受容できない。自己覚知により客観的な態度・思考で介護に臨む姿勢が求められる。


▢ 1258.バイタルサインとは、生命徴候のことである。一般には体温、呼吸、脈拍、血圧を指し、救急医学ではこれに意識レベルが加わる。


▢ 1259.感染症予防の原則は、病原体を除去すること、感染経路を絶つこと、体力・免疫力を維持・強化することである。石けんと流水で手を十分に洗うなど、介護従事者自らが感染の媒介者にならないことが、感染症予防の基本のひとつである。


▢ 1260.インフルエンザは、保菌者が咳やくしゃみ、会話をした際などに発生する飛沫に含まれるウイルスを鼻や口から吸い込むことにより感染する。手洗いやうがい、マスクの着用が感染予防に有効である。


▢ 1261.右片麻痺で嚥下機能が低下した状態にある人に対する食事介護では、食前に、深呼吸をしてもらったり、口唇や頬の運動をしてもらうことは、咀嚼や嚥下筋群の機能を活性化させることができ、誤嚥予防につながる。


▢ 1262.右片麻痺で嚥下機能が低下した状態にある人に対する食事介護では、食事の時は、患側(麻痺側)である右側にクッションを入れ、座位姿勢が保てるようにする。


▢ 1263.家族介護者の指導に当たっては、ボディメカニクスの原理を実践してもらう等、介護方法を習得させることが必要である。ボディメカニクスとは、人間の姿勢・動作時の身体の骨格・関節・筋肉・内臓などの各系統間の力学的相互関係のことをいう。これを理解し活用することで、利用者の負担減と介護者の腰痛予防にもつながる。


▢ 1264.ボディメカニクスの基本原則では、身体を安定させるためには、支持基底面積(身体を支える面積)を広くとる。また、重心を低くし、骨盤を安定させることが重要である。


▢ 1265.片麻痺のある人のベッド上での体位変換の際は、介護者は要介護者の状態や意思を確認しやすい健側に立つ。


▢ 1266.長期臥床の人を急に起こすと起立性低血圧を誘発することがあるので、最初は少しずつ起きる角度を上げ、異常がなければ徐々に角度を上げるとともに、所要時間を伸ばし、座位訓練を行う。


▢ 1267.車いすで段差を下るときは、後ろ向きで降ろすのが正しい。


▢ 1268.片麻痺の人が階段を昇る場合は、杖を一段上につき、健側、患側の順に足を上げる。階段を降りる場合は、杖を一段下につき、患側、健側の順に足を下ろす。


▢ 1269.全盲の人への移動介助で階段を下るときは、介助者が本人に説明後、一段先行し、次に本人が下るのを待つなどの配慮が必要とされる。


▢ 1270.失禁しやすいために外出を拒む高齢者の外出を支援するためのひとつの方法として、おむつの利用は有効である。おむつ利用により外出できるようになれば、生活空間や活動の幅が広がり、高齢者本人のQOLの向上にもつながる。ただし、おむつ利用に当たっては、本人の意思を尊重するよう努めることが大切。


▢ 1271.寝たきり状態で少量ずつ便失禁が続く人には、清潔を保ち、便失禁によるかぶれなどを防ぐためにも、こまめに温湯を使って清拭や洗浄を行い、よく乾燥させることが重要である。


▢ 1272.入浴を行うと、温熱作用によって皮下の血管が拡張して血行が促進されるため、疲労回復や褥瘡の予防につながる。


▢ 1273.入浴介護を行う場合、身体への負担が少ない37~39℃の微温浴がよい。時間は15分程度を目安とする。


▢ 1274.高齢者は、のどの渇きに対する感覚が鈍くなり、脱水状態になっても気付かないことがある。そのため、本人から訴えがなくても、水分の補給に留意する。


▢ 1275.胃ろうで栄養補給をしている場合、食べ物を咀しゃくしないため、唾液による自浄作用が低下している。そのため、口腔を清潔に保つためのケアは必ず行う。


▢ 1276.利用者に片麻痺がある場合、麻痺側を保護するため、健側から脱がせ、患側から着せる脱健着患が基本となる。


▢ 1277.側臥位の場合に褥瘡が発生しやすいのは、肩関節部や腸骨部、肘頭部、大転子部、外果部などである。仰臥位の場合では、仙骨部、踵骨部に褥瘡が発生しやすい。


▢ 1278.発赤を発見して30分程度除圧をしても消えないときは、褥瘡の初期段階を疑う。褥瘡の症状である発赤部へのマッサージは、症状を悪化させる恐れがあるため避ける。




<9> 認知症・終末期の介護


▢ 1279.分からなくなっていることに対して取り繕っている認知症高齢者に対しては、問題点を指摘して事実を認めるように促すことは避ける。本人の自尊心を傷付けないよう、否定的態度は避け、肯定的・支持的な態度で接することが重要である。


▢ 1280.認知症高齢者で、周囲の人が誰か分からなくなったり、時間や場所などが分からなくなるのは、見当識障害によるものである。見当識障害を解消するための訓練として、リアリティ・オリエンテーションがある。これは、日付や場所などについて繰り返し質問することなどにより、現実認識を深めることを目的とする。


▢ 1281.認知症高齢者への療法として、過去の思い出に働きかけて心理的な安定や意欲の向上を図る回想法やバリデーションがある。バリデーションは、高齢者に共感し、尊厳を回復させて力づける方法がある。


▢ 1282.パーソンセンタードケアの理念は、認知症になってもその人らしく、いきいきと生活できるように個別のケアをすることである。


▢ 1283.認知症の症状は、認知症状とBPSD(認知症の行動・心理症状)に大別される。妄想、徘徊、抑うつ、睡眠障害などはBPSDに含まれ、記憶障害、見当識障害、実行機能障害などは認知症状に含まれる。


▢ 1284.終末期の介護では、安楽に過ごせる体位をくふうし、痛みや倦怠感の緩和に努めることが必要である。


▢ 1285.特別養護老人ホームの終末期の介護において、全身が衰弱し経口摂取ができなくなったので嘱託医と連絡をとり、家族とともに今後の方針を検討する。容態の変化に対応できるよう予め連絡体制などを整えておく。


▢ 1286.終末期にある人のそばにいてよく話を聴く、スキンシップを図るなど、コミュニケーションを十分にとることも精神面の介護として必要である。




<10> 住環境の整備


▢ 1287.バリアフリーは、物理的障壁だけでなく、心理的あるいは制度面における障壁の除去という意味も合む。


▢ 1288.高齢者が利用するトイレは、夜間の利用を考慮し、できるだけ寝室の近くに配置するのがよい。


▢ 1289.介護保険における住宅改修費の支給限度基準額は一律20万円で、要介護状態区分による違いはない。


▢ 1290.高齢者に適した住環境整備として、玄関と玄関先の段差が20cmの場合、車いす利用者にとってスロープの勾配は、できるだけ緩やかなほうがよいが、一般的には12分の1までを目安とする。これは1mの高さを上がるのに水平距離が12m必要となることを表す。


▢ 1291.要介護高齢者の住環境として、ドアの取っ手は、握りやすさと開閉操作のしやすさから、球状のものよりもレバー式など棒状のもののほうがよい。


▢ 1292.片麻痺がある人への介護の視点から見た浴室の環境整備において、一般的には、身体を上下方向に移動させる場合には、縦手すりを、水平移動する場所には、水平手すり(横手すり)を設置する。浴槽の出入りのための手すりは、縦手すりが安全である。


▢ 1293.浴室の戸は、開き戸の場合、浴室側からみて外側に開くものが望ましい。浴室の戸が浴室側からみて内開きだと、万一、浴室内で高齢者が倒れた場合に戸が開かない恐れがあるため、外開きもしくは引き戸にするのがよい。トイレの戸も同様。


▢ 1294.高齢者は加齢に伴い水晶体が濁ってくると、青や緑系統の色の区別がつきにくくなる。そのため、日常生活空間では、視覚的に見やすい赤・黄といった系統の色を使用するとよい。

























17. 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
 
援助対象となる児童や家庭の現状と各施策の内容、児童福祉の担い手などを、児童福祉法を中心に押さえておきましょう。




<1> 児童・家庭の生活実態と社会情勢


▢ 1295.わが国の年間の出生数は、第1次ベビーブーム期には約270万人、第2次ベビーブーム期には約200万人であったが、1975年に200万人を割り込み、それ以降、毎年減少し続けている。


▢ 1296.2016年度の全国ひとり親世帯等調査によると、ひとり親家庭における、子どもについての悩みは、母子世帯・父子世帯ともに、「教育・進学」が最も多い。


▢ 1297.2016年度の全国ひとり親世帯等調査によると、就業している母子世帯の母は81.8%、就業の母は9.4%で、就業している母親の方が多い。


▢ 1298.1964年制定の母子福祉法は、母子家庭のみを対象としていたが、1981年の母子及び寡婦福祉法への改正により、寡婦が対象に加わり、2002年の改正では、父子家庭も対象となっている。


▢ 1299.児童相談所における児童虐待相談の対応件数は増加しており、2018年度は15万9,838件である。


▢ 1300.2018年度の児童相談所における児童虐待相談内容の内訳をみると、心理的虐待が最も多く、身体的虐待、保護の怠慢・拒否と続く。


▢ 1301.2018年度の児童相談所における児童虐待相談の対応件数を、主な虐待者別にみると、実母が最も多く、以下、実父、実父以外の父親と続く。




<2> 児童・家庭福祉制度の発展過程と児童の定義と権利


▢ 1302.高木憲次が1932年に設立した光明学校は、わが国初の肢体不自由児のための学校である。石井十次は、1891年に愛知県北西部から岐阜県下にかけて大きな被害をもたらした濃尾大震災の孤児を救済するために、名古屋震災孤児院を設立した。




▢ 1303.近江学園の創設者である糸賀一雄は、「この子らを世の光に」という言葉を 通して、人間尊重の福祉の取り組みを展開した。


▢ 1304.1911年に成立した工場法(1916年に施行)は12歳未満の者の使用禁止、15歳未満の者の12時間労働および深夜業(午後10時から午前4時)の禁止等を規定した法律である。


▢ 1305.児童福祉法でいう少年は、小学校就学の始期から、満18歳に達するまでの者をいうが、少年法でいう少年は、20歳に満たない者をいう。


▢ 1306.母子及び父子並びに寡婦福祉法でいう児童とは、「20歳に満たない者」とされている。


▢ 1307.母子保健法では、児童福祉法と同様に、乳児を満1歳に満たない者、幼児を満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者と同じ年齢区分に規定している。


▢ 1308.発達障害者支援法では、発達障害者を、発達障害を有するために日常生活または社会生活に制限を受ける者、としており、そのうち18歳未満の者を発達障害児と定義している。


▢ 1309.14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年を触法少年、14歳以上で罪を犯した少年を犯罪少年、将来罪を犯す、あるいは刑罰法令に触れる行為をする虞(おそれ)のある少年を虞犯少年という。


▢ 1310.児童の権利に関する条約1条において、「児童とは、18歳未満のすべての者をいう。ただし、当該児童で、その者に適用される法律によりより早く成年に達したものを除く」と規定している。


▢ 1311.児童の権利に関する条約では、児童が「自由に自己の意見を表明する権利を確保する」と明記している。


▢ 1312.児童権利宣言は、1959年にジュネーブ宣言の修正として国際連合で採択された。これにより、児童の最善の利益という理念が初めて明文化された。


▢ 1313.1909年にアメリカで開催された第1回ホワイトハウス会議(児童福祉白亜館会議)において、セオドア・ルーズベルト大統領は、児童にとって「家庭生活は、文明の所産のうち最も高い、最も美しいものである。児童は緊急やむを得ない理由がない限り、家庭生活から引き離されてはならない」と宣言した。


▢ 1314.児童憲章は1951年に児童福祉法で示された理念を普及するために制定された、日本独自の宣言である。児童の権利に関するジュネーブ宣言は1924年に国際連盟で採択され、児童に固有の権利を保障する初めての国際宣言となっている。


▢ 1315.1989年に国際連合が採択した児童の権利に関する条約を、わが国は1994年に批准した。




<3> 児童福祉法


▢ 1316.児童福祉法1条において、「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する」と規定されている。


▢ 1317.児童福祉法2条2項で、児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負うと規定されている。


▢ 1318.児童福祉法3条の2において、国および地方公共団体は、児童の保護者を支援しなければならないと規定されている。


▢ 1319.児童福祉法6条で、保護者とは、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護する者をいうと規定されている。


▢ 1320.放課後児童健全育成事業は、1997年の児童福祉法改正により法定化された。


▢ 1321.2004年の児童福祉法の改正により、退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことが、児童養護施設の目的として加えられた。


▢ 1322.2007年の児童福祉法の改正により、地方公共団体による要保護児童対策地域協議会の設置は、任意設置から、2008年度以降は努力義務となった。


▢ 1323.2014年の児童福祉法の改正により、児童福祉施設に幼保連携型認定こども園が加わり、12種別となった。


▢ 1324.児童福祉法では、児童自立支援施設の長は入所児童を就学させる義務がある。これは、児童養護施設の長や障害児入所施設の長、里親なども同様である。


▢ 1325.福祉型障害児入所施設は、障害児を入所させ、保護、日常生活の指導および独立自活に必要な知識技能の付与を行うことを目的とする施設である。


▢ 1326.児童発達支援センターは、障害児を日々保護者の下から通わせて支援を提供する施設で、福祉型と医療型に区分される。福祉型は、日常生活における基本的動作の指導、独立自活に必要な知識技能の付与や集団生活への適応のための訓練を行うことを目的とする施設で、医療型は、上記に加え、治療を行うことを目的とする施設である。


▢ 1327.医療型障害児入所施設は、障害児を入所させ、保護、日常生活の指導、独立自活に必要な知識技能の付与および治療を行うことを目的とする施設である。入所対象は自閉症児、肢体不自由児、重症心身障害児となっている。児童心理治療施設は、環境上の理由により社会生活への適応が困難になった児童が入所対象である。


▢ 1328.里親とは、保護者のない児童または保護者に監護させることが不適当であると認められる児童(要保護児童)を養育することを希望する者であって、都道府県知事が適当と認める者をいう。


▢ 1329.専門里親は、原則として2年以内の期間を定めて、要保護児童のうち児童虐待等の行為により心身に有害な影響を受けた児童を養育する里親として認定を受けた者である。


▢ 1330.民法上の扶養義務を有する親族は、親族里親になることができる。


▢ 1331.児童相談所長は、一時保護が行われた児童等に対し、監護、教育、懲戒に関し、その児童の福祉のため必要な措置を採ることができるが、体罰を加えることはできない。


▢ 1332.法改正によって、2020年4月から児童相談所の長や児童福祉司の要件に、精神保健福祉士や公認心理師が加わった。


▢ 1333.児童福祉審議会は、児童や知的障害者などから意見を聴く場合、その者の心身状況や置かれている環境などに配慮しなければならない。


▢ 1334.障害児通所支援は、児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援の5種類がある。


▢ 1335.情緒障害児短期治療施設は、2017年4月から児童心理治療施設に名称変更された。


▢ 1336.居宅訪問型児童発達支援は、児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービスを受けるために外出することが著しく困難な障害児を対象にしている。


▢ 1337.児童福祉法において、児童発達支援と放課後等デイサービスは、共生型サービスが認められている。


▢ 1338.要保護児童対策地域協議会の設置は、地方公共団体に対して努力義務を課している。




<4> 児童・家庭福祉の法制度


▢ 1339.児童虐待防止法では、児童虐待とされる行為として、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト(保護の怠慢・拒否)、心理的虐待の4つがあげられている。


▢ 1340.虐待の通告を受けた機関は、必要に応じ近隣住民、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ、当該児童との面会その他の当該児童の安全の確認を行うための措置を講ずるとされている。


▢ 1341.2007年の児童虐待防止法の改正では、児童虐待防止対策強化の観点から、児童の安全確認等のための立入調査等の強化、保護者に対する面会・通信等の制限の強化などが行われた。


▢ 1342.児童虐待防止法において、学校、児童福祉施設、病院、学校の教職員、医師、保健師、弁護士、警察官、婦人相談員などは、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならないと規定されている。


▢ 1343.児童虐待防止法では、親権者は、児童のしつけに際して、体罰をしてはならないという体罰の禁止規定が設けられている。


▢ 1344.2013年のDV防止法改正により、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力およびその被害者についても、配偶者(事実婚を含む)からの暴力とその被害者に準じて、同法の適用対象となった。


▢ 1345.DV防止法において、配偶者からの暴力を受けている者を発見した者は、その旨を配偶者暴力相談支援センターまたは警察官に通報するよう努めなければならないと規定されている。


▢ 1346.母子生活支援施設の対象は、配偶者のない女子またはこれに準ずる事情にある女子およびその者の監護すべき児童であり、父子家庭は利用できない。


▢ 1347.児童福祉法38条では、母子生活支援施設について規定している。


▢ 1348.母子・父子自立支援員は、社会福祉士の資格が要件となっていない。都道府県知事、市長、福祉事務所設置町村長が、社会的信望があり、職務を行うに必要な熱意と識見を持っている者のうちから委嘱するとされている。


▢ 1349.市町村は、母子保健法により満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児および満3歳を超え満4歳に達しない幼児の健康診査を実施しなければならない。


▢ 1350.母子保健法は、妊娠した者に妊娠の届出を義務付けるとともに、市町村には、妊娠の届出をした者に対する母子健康手帳の交付を義務付けている。


▢ 1351.養育医療とは、市町村が、養育のため病院・診療所に入院することを必要とする未熟児に対して給付する医療である。


▢ 1352.母子保健法では、体重が2,500g未満の乳児が出生したときは、その保護者は、速やかに、その旨をその乳児の現在地の市町村に届け出なければならない。


▢ 1353.都道府県、市および福祉事務所を設置する町村は、妊産婦が経済的理由により、入院助産を受けることができない場合、その妊産婦から申込みがあったときは、助産を行わなければならない。


▢ 1354.健やか親子21(第2次)では、① 切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策、② 学童期・思春期から成人期に向けた保健対策、③ 子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり、の3つの基盤課題を設定している。


▢ 1355.2012年に改正された児童手当法における児童の定義は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者であるが、支給対象は、中学校修了前の児童(15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者)である。


▢ 1356.2012年度から実施されている児童手当には、子ども手当にはなかった所得制限が設けられた。ただし、所得制限を超える場合であっても、当分の間の特例給付として、児童1人当たり月額5,000円が支給される。


▢ 1357.現行の児童手当の支給額は、児童の年齢により異なる。具体的には、3歳未満は1万5,000円、 3歳以上小学校修了前の第1子と第2子は1万円。同じく第3子以降は1万5,000円、中学生は1万円である。


▢ 1358.児童扶養手当は、父子家庭も対象にしている。児童扶養手当法は1961年に制定され、翌年施行された。現在のこの法律の目的は、父または母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、その児童について児童扶養手当を支給することにより、児童の福祉の増進を図ることである。


▢ 1359.児童扶養手当の支払回数は、従来年3回であったが、2019年11月から年6回に変更された。


▢ 1360.児童扶養手当の費用負担の割合は、国が3分の1を都道府県等が3分の2に相当する額を負担する。


▢ 1361.特別児童扶養手当法では、障害児を「20歳未満であって、障害等級1級および2級に該当する程度の障害の状態にある者」と定義している。特別児童扶養手当の支給額は、障害等級が1級に該当する場合には高く設定されている。なお、1家庭に2人以上の障害児がいる場合にも減額はされない。


▢ 1362.障害児福祉手当は、特別児童扶養手当法に定める障害児のうち、政令で定める程度の重度の障害の状態にあるため、日常生活において常時の介護を必要とする者(重度障害児)に支給される。ただし、当該障害児が施設に入所している場合は支給されない。


▢ 1363.特別障害者手当は、障害者支援施設等に入所している場合は支給されない。また、病院や診療所等に継続して3か月を超えて入院している場合なども支給されない。


▢ 1364.次世代育成支援対策推進法において、従業員100人を超える企業には、一般事業主行動計画の策定・届出、公表・周知が義務付けられている。


▢ 1365.厚生労働大臣は、一般事業主の団体またはその連合団体の中から行動計画の策定実施を支援する次世代育成支援対策推進センターを指定することができる。


▢ 1366.2003年に制定された少子化社会対策基本法では、政府は、少子化に対処するための施策の指針として、総合的かつ長期的な施策の大綱を定めなければならないとしている。この規定により、2004年に少子化社会対策大綱が策定された。


▢ 1367.子ども・子育て支援法の本格施行(2015年4月)に先がけて、地方公共団体に対し支援策が講じられた。2013年に策定されたのは、待機児童解消加速化プランである。


▢ 1368.2016年に創設された仕事・子育て両立支援事業には、従業員のための保育施設の設置や運営の費用を助成する「企業主導型保育事業」と残業や夜勤などでベビーシッターを利用した際に、費用の補助を受ける「企業主導型ベヒーシッター利用者支援事業」などがある。


▢ 1369.母子及び父子並びに寡婦福祉法13条において、都道府県は、母子家庭の母親に対し、経済的自立の助成と生活意欲の助長を図り、あわせてその扶養している児童の福祉を増進するため、事業開始資金、修学資金、生活資金等を貸し付けることができると規定されている。


▢ 1370.婦人保護施設は、売春防止法に基づく、要保護女子を収容保護するための施設である。


▢ 1371.配偶者暴力相談支援センターは、配偶者からの暴力がある家庭で乳幼児を養育している母につき、子と共に一時保護する。


▢ 1372.母子保健法に基づく母子健康包括支援センターは、子育て世代包括支援センターともいい、妊娠・出産・子育てに関する妊産婦等からの相談に応ずるとともに、必要に応じ、支援プランを策定する業務を担っている。




<5> 児童・家庭福祉制度における関連機関と関連職種の役割


▢ 1373.児童福祉法において、市町村長は、児童および妊産婦の福祉に関する相談のうち、専門的な知識や技術を必要とするものについては、児童相談所の技術的援助・助言を求めなければならないと規定されている。


▢ 1374.児童福祉法により、都道府県は、少年法による保護処分の決定を受けた児童について、その決定に従い、児童自立支援施設または児童養護施設に入所させる措置をとらなければならない。


▢ 1375.触法少年および14歳未満の虞犯少年については、都道府県知事または児童相談所から送致のあった場合にのみ、家庭裁判所の審判に付することができる。


▢ 1376.児童福祉法の規定により、罪を犯した満14歳以上の児童を発見した者は、これを家庭裁判所に通告しなければならない。


▢ 1377.家庭裁判所は、非行少年の保護処分として、児童自立支援施設または児童養護施設に送致するほか、保護観察所の保護観察に付すこと、少年院に送致することができる。


▢ 1378.児童委員は、都道府県知事の推薦を受けて厚生労働大臣が委嘱し、その職務に関して都道府県知事の指揮監督を受ける無給の民間ボランティアである。


▢ 1379.児童委員は、民生委員も兼ねており、担当区域内の児童および妊産婦について、必要な援助や指導を行うとともに、児童福祉司、社会福祉主事の職務に協力するという役割を負っている。


▢ 1380.主任児童委員は、児童委員のうちから厚生労働大臣によって指名された者であるため、民生委員も兼任する。しかし、児童委員とは異なり、区域を担当せず、児童福祉に関する事項を専門的に担当する。


▢ 1381.保育士とは、保育士登録簿に登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識および技術をもって、児童の保育および児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者である。


▢ 1382.保育士は名称独占の国家資格であり、児童福祉施設での職を辞した後でも保育士を名乗ることはできる。


▢ 1383.母子生活支援施設の入所中の個々の母子に対する自立支援計画は、母子生活支援施設の施設長が作成しなければならない。


▢ 1384.家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)は、全国の乳児院のほか、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設に配置され、児童の早期家庭復帰や家庭復帰後の相談・養育指導、里親委託の促進等の業務を専門に担当する職員である。


▢ 1385.里親支援専門相談員は、里親の新規開拓、里親への研修、里親家庭への訪問、電話相談といった里親支援を行うため、里親支援を実施している児童養護施設および乳児院に配置される。




<6> 児童相談所の役割と各種関連機関との連携


▢ 1386.児童相談所は、都道府県および指定都市への設置が義務付けられている。
児童相談所を設置する市として政令で定める市(2017年4月より特別区も含む)も希望して認められれば設置することができる。


▢ 1387.保育所への入所決定は、児童福祉法の規定により市町村が行う。


▢ 1388.児童福祉司は、児童相談所長が定める担当区域内に配置される。また、担当区域内における児童に関し必要な事項につき、担当区域を管轄する児童相談所長または市町村長にその状況を通知し、あわせて意見を述べなければならない。


▢ 1389.児童福祉司は、調査に当たって、担当区域内の市町村長に協力を求めることができる。


▢ 1390.指導教育担当児童福祉司は、おおむね5年以上勤務した者であって、厚生労働大臣が定める基準に適合する研修の課程を修した者という要件を満たした場合になることができ、児童福祉司のスーパーバイザー的役割を担っている。


▢ 1391.家庭裁判所の承認を得て児童福祉施設へ入所措置した場合、入所の期間は2年を超えてはならない(措置を継続しなければ児童の福祉を害する恐れがある場合は、家庭裁判所の承認を得て、更新が可能)。


▢ 1392.児童福祉法の規定により、児童相談所長が施設入所措置等をとるに当たっての報告書には、児童の住所、氏名、年齢、履歴、性行、健康状態および家庭環境、措置についての児童およびその保護者の意向その他児童の福祉増進に関し、参考となる事項を記載しなければならない。


▢ 1393.親権喪失の審判の請求は、民法によって、子、子の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、検察官が行うことができると定められているが、児童福祉法において、児童相談所長も行うことができると規定されている。


▢ 1394.児童福祉法には、「児童相談所長は、親権を行う者のない児童等について、その福祉のため必要があるときは、家庭裁判所に対し未成年後見人の選任を請求しなければならない」とされており、未成年後見人の指名をすることができるとはされていない。


▢ 1395.児童相談所長または都道府県知事が行う一時保護期間は、原則として2か月を超えてはならない。ただし、必要があると認めるときは、延長することができるが、その際および2か月を経過するごとに、都道府県知事は、都道府県児童福祉審議会の意見を聴かなければならない。


▢ 1396.1998年に児童相談所運営指針が改正され、児童相談所長は、児童の児童福祉施設入所措置をとる場合、児童、保護者に措置の理由等について十分な説明しなければならないとされた。児童が有する権利や施設生活の規則等についても、児童の年齢に応じ懇切に説明する。


▢ 1397.児童福祉法は、市町村の行うべき業務として、児童および妊産婦の福祉に関し、家庭その他からの相談に応じ、必要な調査および指導を行うこと等をあげ、市町村長は、これら業務のうち専門的な知識および技術を要するものについては、児童相談所の技術的援助および助言を求めなければならないとしている。


▢ 1398.児童相談所長は、親権喪失のほか、親権停止や管理権喪失の審判についても家庭裁判所に請求することができる。













18. 就労支援サービス
 
この科目では、障害者の社会参加を促進するための関係法規や、一般企業に就職するのが困難な人々に対する支援策およびその関連機関などについて学びます。




<1> 雇用・就労の動向


▢ 1399.労働力人口は、労働力調査において15歳以上の人口のうち、就業者と完全失業者を合わせたもの。


▢ 1400.15歳以上の人口のうち、就業者と完全失業者を除いたもの(労働力人口以外)を非労働力人口という。


▢ 1401.労働力調査における完全失業者とは、① 仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった(就業者ではない)、② 仕事があればすぐ就くことができる、③ 調査週間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)の3つの条件を満たすものをいう。


▢ 1402.ワーク・ライフ・バランスとは、さまざまなライフイベントに出会う中で、仕事と生活の調和を図ることである。


▢ 1403.「令和元年障害者雇用状況の集計結果」によると、2019年6月1日現在の民間企業全体の実雇用率は前年の実雇用率に比べて上昇している。


▢ 1404.「令和元年障害者雇用状況の集計結果」によると、2019年6月1日現在、国の実雇用率は、2.31%と法定雇用率(2.5%)に達していない。


▢ 1405.就労支援の就労には、一般就労だけではなく、福祉的就労や社会参加に結び付く就労なども含まれている。一般就労(一般雇用)は、企業等において事業主と雇用関係を結ぶ就労形態。福祉的就労は、一般就労が困難な障害者が、障害者支援施設などにおいて支援を受けながら、訓練を兼ねて働く就労形態をいう。




<2> 労働法規の概要


▢ 1406.日本国憲法では、「団体交渉権」「団体行動権」に加えて、「団結権」(勤労者が団結する権利)も認められている(いわゆる労働三権)。


▢ 1407.労働基準法90条において、「使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない」と規定されている。


▢ 1408.労働基準法で定める労働条件の基準は、最低のものであるので、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないだけでなく、その向上を図るように努めなければならない。


▢ 1409.労働基準法3条において、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」と、均等待遇が規定されている。


▢ 1410.労働基準法4条では賃金についてのみ男女差別を禁止している(男女同一賃金の原則)。賃金以外の男女差別禁止については、男女雇用機会均等法に規定されている。


▢ 1411.労働基準法17条に、使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならないと規定されている(前借金相殺の禁止)。


▢ 1412.使用者は、労働者に1週間について40時間を超えて労働させてはならないと規定しているのは、労働基準法である。


▢ 1413.職業安定法の改正により、2018年1月から求人者が行った虚偽の求人申込みを罰則対象とすることや、求人者や募集者に対して採用時の条件が事前に示した条件と異なる場合は、その旨を求職者に明示する義務を課すなどの見直しが図られた。


▢ 1414.障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)では、社会連帯の理念に基づき、事業主は障害者雇用を義務付けられている。


▢ 1415.障害者雇用促進法の2013年改正により、2018年4月から法定雇用率の算定基礎に精神障害者(精神障害者保健福祉手帳所持者)が加わった。


▢ 1416.障害者雇用率制度による法定雇用率は、2018年度より、一般の民間企業が2.2%、特殊法人等が2.5%、国、地方公共団体が2.5%、都道府県等の教育委員会が2.4%となっている。


▢ 1417.障害者雇用率制度の法定雇用率は、2021年4月までに0.1%引き上げられる。一般の民間企業が2.3%、特殊法人等、国、地方公共団体が2.6%、都道府県等の教育委員会が2.5%となる。


▢ 1418.最低賃金法による最低賃金には、各都道府県内のすべての使用者および労働者に適用される地域別最低賃金と、特定の産業の使用者および労働者に適用される特定(産業別)最低賃金とがある。同時に適用される場合には、高いほうの最低賃金が適用される。


▢ 1419.雇用保険に加入できずに企業で働いていたが、現在失業している者が職業訓練を受講したい場合、求職者支援法に基づく求職者支援制度の利用対象となり得る。求職者支援法の対象者は特定求職者で、① 公共職業安定所に求職を申し込んでいること、② 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと、③ 労働の意思と能力があること、④ 職業訓練の必要性を公共職業安定所が認めた者となっている。




<3> 就労支援制度の概要


▢ 1420.常勤(週30時間以上の労働)の重度の身体障害者の場合、1人をもって2人分として実雇用率を算定できる。また、知的障害の場合も重度であれば1人を2人分とする(ダブルカウント)。




▢ 1421.障害者雇用納付金制度とは、雇用率未達成企業(常用労働者100人超の事業主)から、不足人数1人分につき月額5万円(減額特例あり)を徴収する制度である。障害者雇用納付金は、障害者雇用調整金と報奨金の財源となる。障害者雇用納付金の納付による雇用義務の免除はない。


▢ 1422.障害者雇用促進法に、地域障害者職業センターは、「障害者に対する職業評価、職業指導、職業準備訓練及び職業講習を行うこと」と規定されている。


▢ 1423.職場適応訓練は、障害者の正式雇用へ向けた訓練制度である。ハローワークを通して、都道府県知事が事業主に訓練を委託し、訓練後雇用されることを期待して、通常6か月(重度の障害者等は1年)間、訓練を実施する。なお、短期の職場適応訓練については、2週(重度の障害者に係る訓練は4週)間以内となっている。


▢ 1424.障害者試行雇用(トライアル雇用)事業は、障害者に関する知識や雇用経験がない事業所に対し、障害者を試行的に雇用する形で受け入れ、本格的に障害者雇用に取り組むきっかけづくりを進める事業であり、身体障害者、知的障害者だけでなく、精神障害者も対象となっている。


▢ 1425.職場適応援助者(ジョブコーチ)事業は、各事業所にジョブコーチが出向いて直接支援を行い、障害者の職場定着を図る事業である。


▢ 1426.就労移行支援事業は、障害者総合支援法に基づく支援である。


▢ 1427.就労移行支援事業は、市町村の障害者福祉担当が窓口となっており、そこで就労移行支援事業サービスを利用するための福祉サービス受給者証が交付される。


▢ 1428.就労移行支援事業の対象となるのは、一般就労を希望する65歳未満の障害者である。


▢ 1429.就労継続支援事業A型は、利用者との間で雇用契約を結び、就労に必要な知識および能力の向上のために必要な訓練などを提供するものである。就労継続支援事業B型は、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供および生産活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識および能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行う。


▢ 1430.2019年の障害者雇用促進法の改正によって、国と地方公共団体に対し、障害者雇用推進者と障害者職業生活相談員を選任する義務等を課したほか、2020年4月から、障害者活躍推進計画を作成し、公表する義務も課している。


▢ 1431.障害者雇用推進者とは、障害者雇用の促進等の業務を担当する者をいい、障害者職業生活相談員とは、各障害者の職業生活に関する相談・指導を行う者をいう。


▢ 1432.生活困窮者自立支援法による自立相談支援事業を行う責務を有するのは、市および福祉事務所を設置する町村または都道府県である。






<4> 就労支援に係る組織、団体の役割と実際


▢ 1433.雇用施策を機能的に進めていくためには、国は雇用施策の全体的な企画立案を行い、都道府県は連絡調整に当たり、市町村は地域に密着した具体的なサービスを担当する。


▢ 1434.職業安定法8条において、「公共職業安定所(ハローワーク)は、職業紹介、職業指導、雇用保険その他この法律の目的を達成するために必要な業務を行い、無料で公共に奉仕する機関とする」ことが規定されている。


▢ 1435.広域障害者職業センターは、障害者に対する職業評価、職業指導、職業講習等を一貫した体系の中で実施するが、職業準備訓練や職場適応援助者の養成および研修は地域障害者職業センターが行う。


▢ 1436.精神障害者総合雇用支援事業は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が実施する精神障害者の新規雇用、職場復帰および雇用継続にかかる総合的な支援を行う事業で、全国の地域障害者職業センターで実施している。


▢ 1437.障害者職業能力開発校における訓練期間は、原則1年であるが、技能習得の程度により、1年を限度として延長することができる。


▢ 1438.障害者就業・生活支援センターは、障害者雇用促進法に基づき支援対象障害者からの相談に応じ、関係機関との連絡調整を行っている。




<5> 就労支援に係る専門職の役割と実際、および連携


▢ 1439.生活保護を担当する現業員は、自立の助長を図るための指導・指示を行ったり、経済状況を含む相談者の状況を正確に把握するために関係機関との連携をとるなど、実態を把握し、事実に基づいた保護を行わなければならない。


▢ 1440.就労支援員は、サービス管理責任者の補佐、個別支援計画に基づいた施設外実習や企業実習、職場定着支援などの一般就労に向けた支援を行うもので、就労継続支援事業への移行を支援するものではない。


▢ 1441.地域障害者職業センターに配置されている職場適応援助者(ジョブコーチ)の主な役割は、具体的には障害者本人に対する職場環境・仕事内容への適応支援や、障害者を雇用する際の職場の環境づくりに関する事業主への相談・助言である。


▢ 1442.障害者職業カウンセラーは、障害者に対しては職業評価や職業指導、職業準備支援事業などを、事業主に対しては障害者雇用の相談や情報提供、障害者の雇用継続のための支援などを、それぞれ行う職種である。


▢ 1443.地域障害者就労支援事業は、ハローワークが主査、対象障害者が利用する施設などが副主査となって「障害者就労支援チーム」を設置し、対象障害者の就職に向けた準備、就職、職場定着までの一連の支援を行う。


▢ 1444.現場実習は、学校とは違った実際の社会を体験することにより社会性を高めることを目的とする体験学習と、本格的に就労を意識し、職業意識の育成、職業生活へのスムーズな移行を目的とする企業実習に分けられる。

















19. 更生保護制度


 犯罪や非行をした人の立ち直りや社会復帰には、地域社会の理解と協力が不可欠です。更生保護の概要と制度の担い手について理解してください。




<1> 更生保護制度の概要


▢ 1445.更生保護法の目的は、犯罪をした者および非行のある少年に対し、社会内で適切な処遇を行うことにより、再犯を防ぎ、またはその非行をなくし、これらの者の自立と改善更生を助けるものである。


▢ 1446.犯罪者予防更生法は、更生保護の機関として地方更生保護委員会や保護観察所等を、更生の措置として仮釈放や保護観察等を定めた。同法の制定により、新たな国家の制度として更生保護制度が成立した。


▢ 1447.少年法は、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずること」を目的とする。保護観察中の者に対する措置なども定めており、保護観察に付された少年にも適用される。


▢ 1448.少年法は、家庭裁判所が決定する保護処分として、保護観察所の保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致、少年院送致を定めている。


▢ 1449.犯罪・非行をした者が14歳未満の触法少年や虞犯少年以外の少年(20歳未満)の場合、家庭裁判所に送られる。家庭裁判所が、保護観察や少年院送致を決定した場合、保護観察(少年院仮退院後の保護観察を含む)を実施する機関は保護観察所となる。


▢ 1450.少年院からの仮退院者には保護観察が付されるが、児童自立支援施設からの退所者には保護観察は付されない。


▢ 1451.特別遵守事項は、保護観察所の長または地方更生保護委員会が、各保護観察対象者の事情に応じて、一般遵守事項とは別に「遵守すべき特別の事項」として定めるものである。


▢ 1452.更生保護法は、遵守事項について、違反すれば不良措置につながる法的規範であることを明確にしたうえで、保護観察の開始に際して特別遵守事項の設定を必要的なものとせず、保護観察の途中でもこれを設定、変更することができるとしている。


▢ 1453.仮釈放とは、懲役または禁錮に処された者に改悛の状があるとき、有期刑についてはその刑期の3分の1を、無期刑については理年(いわゆる「法定期間」)を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することを指す。


▢ 1454.仮釈放や仮退院を許された者は、その期間中、保護観察に付されるが、仮出場を許された者は保護観察に付されない。


▢ 1455.仮釈放の許否に関する審理は、地方更生保護委員会が、委員3人から構成される合議体によって行う。この審理は、矯正施設の長からの申出がなくても、地方更生保護委員会が必要があると認めるときには開始することができる。


▢ 1456.更生緊急保護は、その対象となる者の改善更生のために必要な限度で、国の責任において行われる。保護観察所長が自ら行うか、更生保護法人やその他の適当な者に委託して行うこととされている。


▢ 1457.更生保護施設が保護観察所の長の委託に基づいて行う更生緊急保護の期間は、6か月を超えない範囲とされているが、必要があると認められれば、さらに6か月を超えない範囲で延長ができる。


▢ 1458.更生緊急保護の対象者には、「保護観察に付されなかった者」が含まれる。仮釈放中の者は保護観察に付されている者であるため、更生緊急保護を受けることができない。


▢ 1459.恩赦には、政令恩赦と個別恩赦がある。政令恩赦は、政令で定められた恩赦の対象となる者に対して一律で行われるものであり、大赦、減刑、復権がある。一方、個別恩赦は特定の者について個別に審査して行われるものであり、特赦、減刑、刑の執行の免除、復権がある。


▢ 1460.中央更生保護審査会は更生保護法に基づき法務省に設置される機関で、委員長および委員4人で組織される。審査会が審査の結果、恩赦を実施すべきであると認める場合には、法務大臣にその旨の申出を行い、内閣が閣議により決定し、天皇が認証する。


▢ 1461.犯罪被害者等基本法が定める「犯罪被害者等」は、「犯罪やこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為の被害者およびその家族または遺族」を指す。


▢ 1462.意見等聴取制度とは、地方更生保護委員会が行う加害者の仮釈放・仮退院の審理において、犯罪被害者等が意見等を述べることができる制度である。これを利用できる者は、「被害者本人」「被害者の法定代理人」「被害者が死亡した場合またはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系親族または兄弟姉妹」に限られている。


▢ 1463.更生保護における犯罪被害者等施策のひとつである心情等伝達制度を利用して、被害に関する心情等を加害者に伝えられるのは、加害者が保護観察を受けている期間である。




<2> 更生保護制度の担い手


▢ 1464.保護観察官の採用試験には、国家公務員採用総合職試験、法務省専門職員(人間科学)採用試験、国家公務員採用一般職試験がある。


▢ 1465.保護観察官が配置されているのは、地方更生保護委員会および保護観察所である(更生保護法31条)。


▢ 1466.保護司は、保護観察所の長の推薦により法務大臣から委嘱される非常勤の国家公務員である。


▢ 1467.保護司には給与は支給されないが、職務に要した費用は実費弁償の形で支給される。


▢ 1468.保護司の任期は2年である。再任は妨げられないと規定されており、任期後の再任は可能である。


▢ 1469.補導援護および指導監督とも、保護観察官(主任官)と保護司(担当保護司)の協働のもと、保護観察対象者の改善更生を図ることを目的として実施される。


▢ 1470.保護観察所は、国(法務省)によって設置される。保護観察所は法務省の出先機関で、各地方裁判所の管轄区域ごとに設置され、保護観察の実施を主な業務としている。


▢ 1471.保護司の定数は保護司法2条において「全国を通じて、5万2,500人を超えないものとする」と定められている。また保護区ごとの定数が法務大臣により定められている。


▢ 1472.更生保護施設の運営主体の多くは、更生保護事業法に基づき、法務大臣の認可を受けて更生保護事業を営む民間団体の更生保護法人であるが、これに限られてはいない。社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、社団法人が運営するものもある。


▢ 1473.更生保護施設には、実務の執行を総括する施設長と、被保護者の生活指導を行い、その相談に応じる補導主任を置かなければならない。


▢ 1474.更生保護サポートセンターは、地域における更生保護活動の拠点として2008年度から設置が進められており、経験豊富な企画調整保護司が常駐し、保護司の処遇活動に対する支援や関係機関との連携による地域ネットワークの構築等を行っている。


▢ 1475.自立更生促進センターは、親族や民間の更生保護施設では円滑な社会復帰のための環境を整えることができない仮釈放者や少年院仮退院者等を、国が保護観察所に併設した宿泊施設に宿泊させながら、保護観察官が指導監督と就労支援を行うことで、対象者の改善更生と再犯防止を図るための施設である。


▢ 1476.更生保護女性会は、地域社会の犯罪・非行を未然に防ぐための啓発活動を行うとともに、犯罪をした者や非行のある少年の改善更生に協力することを目的とするボランティア団体である。


▢ 1477.協力雇用主は、犯罪や非行をした者を雇用することで、その立ち直りに協力する民間の事業者である。協力雇用主を志望する事業主が、事業内容や雇入れ条件などを保護観察所に登録し、保護観察所と公共職業安定所が登録情報を共有することで、犯罪や非行をした者の就職を円滑に進めようとするものである。




<3> 更生保護制度における関係機関・団体との連携


▢ 1478.保護観察所の長が、保護観察付執行猶予者の刑の執行猶予の言渡しの取消しを申し出るのは、対象者の現在地または最後の住所地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所または簡易裁判所に対応する検察庁の検察官に対してである。


▢ 1479.保護観察所の長は、更生緊急保護を行う必要があるか否か判断するに当たっては、申出をした対象者の刑事上の手続に関与した検察官またはその者が収容されていた刑事施設の長もしくは少年院の長の意見を聴かなくてはならない。


▢ 1480.保護観察所の長が、保護観察処分少年に対する特別遵守事項を定める場合や変更する場合にあたっては、保護処分をした家庭裁判所の意見を聴くことになっている。


▢ 1481.検察官は、更生保護法に規定される対象者に、必要があると認めるときは、更生緊急保護の制度および申出の手続について教示しなければならない。


▢ 1482.保護観察所の長は、矯正施設に収容されている者について、その社会復帰を円滑にするため必要があると認めるときは、その者の家族などを訪問して協力を求めるなどの方法により、釈放後の住居、就業先その他の生活環境の調整を行う。


▢ 1483.警告を発したにもかかわらず、保護観察処分少年が遵守事項を遵守せず、その程度が重いと認めるときは、保護観察所の長は、家庭裁判所に少年院等送致の決定を申請することができる。


▢ 1484.2006年度から開始された刑務所出所者等総合的就労支援対策では、施策として矯正機関・更生保護機関と職業安定機関との連携の強化、刑務所受刑者および少年院在院者に対する就労支援の推進、保護観察対象者および更生緊急保護対象者に対する就労支援の推進などをあげている。


▢ 1485.刑務所出所者等総合的就労支援対策には、就労先の一層の確保のため、国民や雇用主の理解と協力を促進し、犯罪前歴を承知のうえで雇用する協力雇用主の拡大も含まれている。


▢ 1486.保護観察所の長は、その援護によっても公共の衛生福祉に関する機関などから必要な応急の救護を得られない場合には、予算の範囲内で自ら保護観察対象者の救護を行うものとされているが、更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者に委託して行うことができる。


▢ 1487.2011年度から緊急的住居確保・自立支援対策が開始された。これは、NPO法人等が管理する施設の空きベッド等を活用した施設(自立準備ホーム)を予めに登録し、保護が必要なケースについて、保護観察所から事業者に対して宿泊場所、食事の提供とともに、毎日の生活指導等を委託するものである。




<4> 医療観察制度の概要


▢ 1488.心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)の目的には、対象者の処遇を決定する手続と、医療の確保や必要な観察および指導、病状の改善、再発の防止だけでなく、社会復帰の促進がうたわれている。


▢ 1489.精神保健観察を実施する保護観察所は、法務省が所管し、地方裁判所の管轄区域ごとに設置されている。社会復帰調整官は、精神障害者の保健および福祉や医療観察法に基づく対象者の処遇に関する専門的知識に基づき、生活環境の調査、生活環境の調整、精神保健観察の実施等に関する事務を行う。


▢ 1490.医療観察制度では、地域社会における処遇は、保護観察所を中心として、指定通院医療機関(病院・診療所等)、都道府県・市町村(精神保健福祉センター・保健所等)、障害福祉サービス事業者等の関係機関・団体の相互間の連携を軸に行われる。


▢ 1491.医療観察制度において、指定入院医療機関は、国、都道府県、特定独立行政法人、特定地方独立行政法人が開設する病院の中から、開設者の同意を得て、厚生労働大臣が指定する。


▢ 1492.裁判所によって通院の決定を受けた対象者には、裁判所の決定の日から原則3年間、指定通院医療機関による医療が提供される。


▢ 1493.社会復帰調整官は、医療観察法により、精神保健福祉士その他の精神障害者の保健および福祉に関する専門的知識を有する者として政令で定めるものとされており、具体的には、精神保健福祉士、社会福祉士、保健師、看護師等となっている。


▢ 1494.医療観察制度では、裁判官と精神保健審判員各1名からなる合議体を構成し、審判が行われる。


▢ 1495.精神保健参与員は、精神保健福祉士などの精神障害者の保健と福祉に関する専門的知識および技術を有する者の名簿に記載された者のうち、地方裁判所が予め選任したものの中から処遇事件ごとに裁判所が指定する。その員数は、各事件について1人以上とされる。


▢ 1496.精神保健参与員は、地方裁判所が対象者の処遇に関する審判を行う際に、処遇の要否について意見を述べる。


▢ 1497.社会復帰調整官は、審判の結果、医療観察法の入院による医療の決定を受けた者に対して、厚生労働大臣が指定した医療機関(指定入院医療機関)の入院期間中から、退院後の生活環境の調整を実施する。


▢ 1498.社会復帰調整官は、保護観察所に配属されている。


▢ 1499.社会復帰調整官は、精神保健観察に付されている者と適当な接触を保ち、指定通院医療機関の管理者、都道府県知事および市町村長から報告を求めるなどして、必要な医療を受けているか否かおよびその生活の状況を見守る。


▢ 1500.厚生労働大臣が、指定通院医療機関の指定を行う。









社会福祉士試験 合格のための 重要事項短文集暗記BOOK

2022年3月28日 発行 初版

著  者:上野和夫
発  行:ペネトレイト

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上野和夫

「資格試験のペネトレイト」で医療・介護・福祉の仕事に携わる方に必須の資格取得のお手伝いをしています。 私は、薬剤師、社会福祉士、介護支援専門員の免許を持っていますが、現在は薬剤師の仕事に従事しています。 資格試験合格のノウハウは1つ、シンプルな学習が大切、そのための教材を公開しています。 ホームページ「資格試験のペネトレイト」http://penetrateblog.com/に教材の販売コーナーと無料の問題集を集めた棚を提供しています。 私と一緒に資格試験合格を目指しましょう。

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