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介護支援専門員試験 重要項目 らくらく暗記BOOK

上野和夫

ペネトレイト



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介護支援専門員試験 重要項目 らくらく丸暗記BOOK
ー試験合格には「重要項目を正しい覚える」ことが大切!ー




本書について


本書は、介護支援専門員試験の筆記試験によく出題される重要項目を集めています。


毎年出題される問題の半数以上は過去に出されている内容と同じです。介護支援専門員試験の合格ラインは7割以上の正解です。過去の問題をしっかり理解していると、7割以上の点数を取ること ができます。ただ、注意しないといけないのは、同じ文章で問いかけているとはかぎりません。そこで大切なのは、短い文章で正しい内容をしっかりと覚えることが大切なんです。


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目次

本書について
高齢社会の現状
介護保険制度導入の背景
介護保険制度の目的
保険者と被保険者
要介護・要支援認定
保険給付
国民健康保険団体連合会
サービス提供事業者
介護サービス情報の公表
地域支援事業
介護保険事業計画
保険財政と財政安定化基金
介護保険審査会・審査請求・雑則
ケアマネジメントとその基本理念
介護支援専門員
居宅介護支援
介護予防支援
バイタルサインと検査
高齢者の特徴と高齢期の疾病・障害
介護技術の展開
認知症高齢者の介護
精神に障害がある場合の介護
栄養・食生活からの支援・介護
薬の知識
在宅での医療管理
感染症の予防
急変時の対応
健康増進
ターミナルケア
訪問看護
訪問リハビリテーション
居宅療養管理指導
通所リハビリテーション
短期入所療養介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
看護小規模多機能型居宅介護
介護老人保健施設
介護医療院
高齢のケアの基本理念
社会資源の活用
障害者福祉制度と共生型サービス
生活保護制度
高齢者の権利擁護
訪問介護
訪問入浴介護
介護・療養通所介護
短期入所生活介護
特定施設入居者生活介護1
特定施設入居者生活介護2
福祉用具と住宅改修1
福祉用具と住宅改修2
夜間対応型訪問介護
認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護
認知症対応型共同生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
介護老人福祉施設

介護支援専門員 
第1章 介護支援分野


高齢社会の現状


▢ 1.介護保険の第 1号被保険者数は、3,400万人を上回っている。


介護保険の第 1号被保険者数は、2016(平成 28)年度末現在で 3,440万人となっており、3,400万人を上回っている。また、第 1号被保険者数は、増加傾向を示しており、前年度末現在に比べ、約59万人増加している。(平成28年度「介護保険事業状況報告」)


▢ 2.要支援・要介護認定者数は、2016(平成28)年度末現在で約630万人となっている。


要支援・要介護認定者数は、2016(平成 28)年度末現在で約 630万人となっている。要介護(要支援)状態区分別にみると、要介護 1が 126万人で最も多く、次いで要介護2が 110万人となっている。(平成28年度「介護保険事業状況報告」)


▢ 3.65歳以上の者のいる世帯をみると、「夫婦のみの世帯」が 30%以上を占めて最も多い。


平成 29年国民生活基礎調査の「世帯の状況」をみると、65歳以上の者のいる世帯は約2,379万世帯あり、全世帯の47.2%を占めている。世帯構造別にみると、「夫婦のみの世帯」が約773万世帯と最も多く、32.5%を占めている。


▢ 4.介護保険料を負担する40歳以上の人口は、2025年以降、減少すると見込まれている。


人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成 29年推計)によると、保険料負担者となる40歳以上の人口は、介護保険創設時の 2000(平成 12)年以降増加してきたが、2025年以降は減少すると推測されている。



介護保険制度導入の背景


▢ 5.介護保険制度施行前は、老人福祉制度によるサービスは措置制度により提供されていた。


老人福祉制度における措置制度とは、行政機関である市町村が各人の福祉サービスの必要性を判断し、サービスが必要と認められている人に対し、必要なサービスを行政処分として決定し、提供する仕組みである。その費用は公費 (租税)のほか、利用者本人とその家族からの所得に応じて徴収される応能負担で賄われた。


▢ 6.介護保険法施行前は、社会的入院が問題となっていた。


医療の供給が相対的に進んでいたこと、病院への入院のほうが中高所得者層にとって負担が軽いこと等の理由から、医療施設が高齢者の介護需要を実質的に引き受けていた。そのため、社会的入院による医療資源の非効率な使用や医療費の上昇、介護が必要な高齢者にとって不適当な環境である、との問題が指摘されていた。


▢ 7.介護保険制度創設以前は、訪問看護と訪問介護を利用する場合に別の窓口に申請するため、利用しにくかった。


介護保険制度創設以前は、老人保健制度による訪問看護は医療機関 (病院)の窓口に申請し、老人福祉制度の訪問介護は市町村の窓口に申請する仕組みであったため、利用する側にとって利用しにくかった。また、措置制度で実施されていた老人福祉制度によるサービスは、支援内容が画―的になりがちであった。


▢ 8.介護保険制度の創設のねらいは、総合的に利用できる利用者本位の仕組みの構築である。


制度創設のねらいとしては、次の点が挙げられる。
①高齢者介護問題への社会全体での取り組み
②社会保険方式の導入による給付と負担の関係の明確化
③利用者本位のサービス提供
④社会保障構造改革の推進


▢ 9.2005(平成 17)年の介護保険法改正では、予防重視型システムヘの転換などが図られた。


2005(平成 17 )年の介護保険法改正では、高齢者の自立支援と尊厳の保持を基本としながら、制度を持続していく可能性を高めるため、①予防重視型システムヘの転換、②施設給付の見直し、③新たなサービス体系の確立、④サービスの質の向上、⑤負担のあり方や制度運営の見直しに重点が置かれた。
〇予防重視型システムヘの転換:予防給付の創設、地域支援事業の創設
〇施設給付の見直し:居住費や食費の見直し、低所得者に対する措置
〇新たなサービス体系の確立:地域密着型サービスの創設、地域包括支援センターの創設、医療と介護の連携強化
〇サービスの質の向上: 介護サービス事業者の情報公表制度の創設、介護サービス事業者の指定に係る更新制度の導入、欠格要件の見直し、 介護支援専門員資格の更新制度の導入
〇負担のあり方や制度運営の見直し: 第 1号被保険者保険料の見直し、市町村に対する保険者機能の強化、要介護認定の見直し、介護サービスの適正化・効率化


▢ 10.地域包括ケアシステムの実現に向け、2011(平成 23)年に介護保険法が改正された。


2011(平成 23)年の介護保険法改正では、地域包括ケアシステムの実現に向け、「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」に基づいて見直しが行われた。また、社会福祉士及び介護福祉士法や高齢者の居住の安定確保に関する法律などの介護保険法に関連する制度も改正された。
介護保険法の主な改正点
医療と介護の連携強化:新たなサービスの創設、地域支援事業の見直し、介護療養型医療施設の廃止期限の延長
サービスの質の向上:介護サービスの情報公表制度の見直し
介護保険に関連する他法の改正点
介護人材の確保:社会福祉士及び介護福祉士法の改正(痰吸引の実施など)
高齢者の住まいの整備:高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正 (高優賃、高専賃の廃止など)


▢ 11.2014(平成 26)年の介護保険法の改正は、地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化に重点が置かれている。


2014(平成 26)年の介護保険法改正は、医療介護総合確保推進法に基づき行われ、地域包括ケアシステムの構築、費用負担の公平化、在宅医療・介護連携の推進等に重点が置かれている。
〇地域包括ケアシステムの構築:地域支援事業の再編、介護予防訪問介護と介護予防通所介護を地域支援事業に移行、特別養護老人ホームの入所要件 (新規入所者)を見直し
〇費用負担の公平化:低所得者の保険料の軽減割合を拡大、一定以上の所得のある利用者の自己負担を引き上げ (1割負担→ 2割負担)、補足給付の要件に資産を追加
〇サービスの質の向上:介護支援専門員の義務規定に資質向上の責務を追加、地域密着型通所介護の創設
〇在宅医療・介護連携の推進:地域における医療・介護の関係機関が連携し、包括的かつ継続的な在宅医療介護を提供、在宅医療 介護連携推進事業を介護保険の地域支援事業に位づけ


▢ 12.2017(平成 29)年の介護保険法の改正は、地域包括ケアシステムの深化・推進と制度の持続可能性の確保に重点が置かれている。


2017 (平成 29)年の介護保険法の改正は、高齢者の自立支援と要介護状態の重度化防止、地域共生社会の実現を図るとともに、介護保険制度の持続可能性の確保を図ることに重点が置かれている。
利用者負担割合の 3割への引き上げは、2018(平成 30)年8月 から施行されている。また、介護納付金の総報酬割制は2017(平成 29)年 8月 から段階的に導入され、2020年度から全面導入となる。
〇地域包括ケアシステムの深化・推進:保険者機能の強化、医療 介護の連携の推進等 (介護医療院の創設)、都道府県による市町村に対する情報の提供その他の支援の整備
〇地域共生社会の実現に向けた取組:介護保険と障害福祉制度に新たに共生型サービスを位置づけ、市町村による地域住民と行政等との協働による包括的支援体制づくり、地域福祉計画の策定の努力義務化
〇介護保険制度の持続可能性の確保:2割負担者のうち特に所得の高い層の負担割合を 3割に引き上げ、介護納付金への総報酬割の導入



介護保険制度の目的


▢ 13.要介護状態であっても、その尊厳を保持し能力に応じ自立した日常生活を営むことが、介護保険制度の目的である。


介護保険法は、加齢に伴って生じる疾病等により要介護状態となった者が、その尊厳を保持しその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービスおよび福祉サービスの給付を行うために、国民の共同連帯の理念に基づき、国民の保健医療の向上と福祉の増進を図ることを目的とする。(介護保険法第 1条より)


▢ 14.介護保険は、地域保険および短期保険に位置づけられる。


社会保険の 1つである介護保険は、市町村を保険者とする地域保険であり、加入期間にかかわらず保険給付を受けることができるため、短期保険に位置づけられている。
我が国の社会保険には、介護保険、医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険の 5種類がある。



保険者と被保険者


▢ 15.介護保険の保険者は、市町村および特別区である。


介護保険の保険者は市区町村 (市町村および特別区)である。2017(平成 29)年の介護保険法改正では、全市町村が保険者機能を発揮して、自立支援・重度化防止に取り組む仕組みが制度化された。
①データに基づく課題分析と対応 (取組内容・目標の介護保険事業 (支援)計画への記載)
②適切な指標による実績評価
③インセンティプの付与


▢ 16.保険者は、被保険者の資格管理に関する事務を行う。


〇被保険者の資格管理に関する事務:被保険者の資格管理、被保険者台帳の作成、被保険者証の発行・更新、住所地特例の管理
〇要介護認定、要支援認定に関する事務:認定事務 (新規の認定調査は原則として市町村が実施)、 介護認定審査会の設置


▢ 17.保険者は、償還払いの保険給付を行う。


保険給付に関する事務
介護報酬の審査・支払い (実際には国民健康保険団体連合会が行う)
被保険者が居宅サービス計画の作成を居宅介護支援事業者に依頼する旨の届出の受付
償還払いの保険給付 (特例居宅介護サービス費、福祉用具購入費、住宅改修費、高額介護サービス費等)の支給
区分支給限度基準額の上乗せおよび管理
種類支給限度基準額の設定 等


▢ 18.市町村は、保健福祉事業に関する事務を行う。


市町村は、地域支援事業のほか、保健福祉事業を行うことができる。
保健福祉事業の主な種類
要介護被保険者を現に介護する者の支援のために必要な事業
被保険者が要介護状態等となることを予防するために必要な事業
指定居宅サービスや指定居宅介護支援の事業
介護保険施設の運営事業
被保険者が利用する介護給付等対象サービスのための費用に係る資金の貸付け など


▢ 19.保険者は、第 1号被保険者の保険料の料率を決め、徴収する。


保険料に関する事務
第 1号被保険者の保険料率の決定等
保険料の普通徴収
保険料の特別徴収にかかる対象者の確認・通知等
保険料滞納被保険者に対する各種措置
第1号被保険者の保険料率は、3年に1度設定される。


▢ 20.市町村は、介護保険の収入および支出について介護保険特別会計を設ける。


介護保険の財政運営に関する事務
特別会計の設置 ・管理
公費負担の申請・収納等
介護給付費交付金、地域支援事業支援交付金の申請・収納等
財政安定化基金への拠出、交付・貸付申請、借入金の返済


▢ 21.都道府県は、市町村への支援を行う。


財政支援に関する事務
保険給付、地域支援事業に対する財政負担
財政安定化基金の設置・運営
市町村相互財政安定化支援事業の支援
要介護・要支援認定業務の支援に関する事務
介護認定審査会の共同設置の支援
要介護認定等の審査判定業務を市町村から受託、受託した場合の都道府県認定審査会の設置
指定市町村事務受託法人の指定


▢ 22.都道府県は、サービス提供事業者・施設の指定、許可、指導・監督を行う。


サービス提供事業者に関する事務
サービス提供事業者や介護保険施設の人員、設備、運営に関する基準の設定
サービス提供事業者・介護保険施設に対する指定や許可・指定更新・指導・監督 (指導・監督は一部、市町村長も行う)
介護サービス情報の公表に関する事務
介護サービス事業者の調査や指導・監督


▢ 23.都道府県は、介護サービス基盤の整備をする。


介護サービス基盤の整備に関する事務
都道府県計画の策定・変更
市町村計画作成上の助言
その他
介護保険審査会の設置・運営
市町村に対する介護保険事業の実施状況の報告請求
医療保険者の介護給付費・地域支援事業支援納付金に関する報告徴収・実地検査
社会保険診療報酬支払基金に関する報告徴収。実地検査
国民健康保険団体連合会 (国保連)の指導・監督


▢ 24.都道府県が処理する事務を、指定都市や中核市が行うことができる。


都道府県が処理する事務のうち政令で定めるものについては、大都市等の特例規定により、指定都市や中核市が行うことができる。


▢ 25.保険者である市町村の保険財政の安定、円滑な事務の実施、健全かつ円滑な制度運営を支えるのが国の役割である。


各種基準等の設定に関する事務
要介護・要支援認定基準
介護報酬の算定基準
区分支給限度基準額
第 2号被保険者負担率
保険給付、地域支援事業、財政安定化基金等の財政負担
介護サービス基盤の整備に関する事務
基本指針の策定
都道府県計画への助言
その他
市町村に対する介護保険事業の実施状況に関する報告請求
サービス提供事業者等に対する指導監督業務等についての報告請求・助言・勧告
医療保険者、社会保険診療報酬支払基金に対する報告徴収・実地検査
国民健康保険団体連合会 (国保連)に対する指導監督等


▢ 26.介護保険サービスに係る人員・設備・運営に関する基準は、都道府県または市町村の条例に委任される。


介護保険のサービス事業者や施設に定められている人員・設備・運営に関する基準は、サービスの種類によって、都道府県または市町村の条例に委任される。
都道府県の条例
居宅サービス
基準該当居宅サービス
介護予防サービス
基準該当介護予防サービス
介護老人福祉施設
介護老人保健施設
介護医療院
介護療養型医療施設
市町村の条例
地域密着型サービス
地域密着型介護予防サービス
介護予防支援
基準該当介護予防支援
居宅介護支援
基準該当居宅介護支援


▢ 27.第 1号被保険者は、市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者をいう。


市町村の区域内に住所を有する者が65歳になると、第 1号被保険者となる。第 1号被保険者に保険事故が起こると、要介護・要支援認定を受けて、保険給付を受給することができる。


▢ 28.第 2号被保険者は、市町村の区域内に住所を有する40歳以上 65歳未満の医療保険加入者をいう。
第 2号被保険者は、住所と年齢のほかに、医療保険に加入していることが要件となる。第 2号被保険者は、要介護状態等になった原因が特定疾病に起因する場合のみ、要介護者 。要支援者と認定され保険給付を受けることができる。


▢ 29.被保険者となるには、住所要件を満たさなければならない。


被保険者となるための住所要件は「住民基本台帳上の住所を有すること」である。海外に長期滞在して住民票がない場合は被保険者にはならない。日本に長期滞在している外国人 (特別永住者)や 3か月を超えて日本に在留する在留外国人は介護保険の被保険者の住所要件を満たしている。


▢ 30.生活保護法や児童福祉法等に基づく施設に入所している者は、介護保険の適用から除外される。


一定の施設の入所者・入院者は当分の間、介護保険の被保険者から除外されることになっている。
介護保険の適用除外者
指定障害者支援施設の身体障害者・知的障害者・精神障害者、障害者支援施設の身体障害者、医療型障害児入所施設の入所者、国立ハンセン病療養所の入所者、生活保護法上の救護施設の入所者、指定障害福祉サービス事業者である病院の入院者等。


▢ 31.介護保険の被保険者資格は、適用すべき原因となる事実が発生した日に取得する。


介護保険は、適用すべき原因となる事実が発生した日に被保険者資格を取得する「(事実)発生主義」である。
・ 住所地内の医療保険加入者が 40歳に達したとき (誕生日の前日)
・ 住所移転の場合 (転居、適用除外施設からの退所等)
・40歳以上65歳未満の者が医療保険加入者となった場合
・被保険者が 65歳に到達した場合 (誕生日の前日)


▢ 32.被保険者は、市町村に住所を有しなくなった日の翌日に被保険者資格を喪失する。


資格喪失(喪失する状況と 喪失する日)
市町村に住所を有 しなくなった場合ー有しなくなった日の翌日
他の市町村に転居 した場合ー転居 したその日
適用除外施設に入所 した場合ー入所した日の翌日
第 2号被保険者が医療保険加入者でなくなった場合ー加入者でなくなったその日


▢ 33.第 1号被保険者は、資格得喪や異動の届出をしなければならない。


届出義務 (資格得喪や異動)
第 1号被保険者:転入、住所地特例被保険者でなくなったことによる資格取得、氏名の変更、同一市町村内での住所変更、世帯主の変更、転出、死亡
第 2号被保険者:なし
在日外国人の被保険者:65歳到達による資格取得、転入、転居
届出は本人もしくは世帯主が行い、届出を怠った場合には、過料が科せられることがある。


▢ 34.介護保険施設等入所のために住所を移したときは、移転前の市町村が保険者となる。


2か所以上の施設に順次入所し、順次住所を移転した場合は、最初の施設に入る前の住所地の市町村が保険者になる。介護保険施設のほかに養護老人ホームと特定施設も住所地特例の対象である。


▢ 35.住所地特例適用被保険者は、施設所在地の特定地域密着型サービスを利用できる。


住所地特例適用被保険者は、入所等をしている住所地特例対象施設において、施設が所在する市町村の特定地域密着型サービスや地域支援事業を利用できる。
住所地特例対象施設は、その施設が所在する市町村とその住所地特例適用被保険者の保険者である市町村に必要な協力をしなければならない。


▢ 36.介護保険被保険者証は、第 1号被保険者については、原則すべての者に交付される。


介護保険被保険者証は、第 1号被保険者については原則としてすべての者に交付され、第 2号被保険者については要介護・要支援認定の申請を行った者と、被保険者証交付を申請した者に対して交付することとなっている。ただし、被保険者が資格を喪失したときには、速やかに被保険者証を返還しなければならない。



要介護・要支援認定


▢ 37.要介護状態は、「要介護 1~ 5」 の5つに区分される。


要介護状態とは、身体上または精神上の障害があるために、日常生活における基本的な動作の全部または一部について6か月間継続して、常時介護を要すると見込まれる状態をいう。要介護状態は「要介護 1~ 5」 の 5つに区分され、数字が大きいほど介護を必要とする度合が高い。


▢ 38.要支援状態は、「要支援 1・2」 の2つに区分される。


要支援状態とは、①要介護状態の軽減もしくは悪化の防止に資する支援を要すると見込まれる状態、または②身体上もしくは精神上の障害があるために6か月間継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態をいう。要支援1よりも要支援2のほうが介護を必要とする度合いが高い。


▢ 39.要介護認定または要支援認定を受けた被保険者を要介護者または要支援者という。


要介護者・要支援者となるのは、①要介護・要支援状態にある 65歳以上の者、②要介護・要支援状態にある40歳以上 65歳未満の医療保険加入者であって、その要介護状態の原因である身体上または精神上の障害が、加齢に伴って生じる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの (16の特定疾病)によって生じたものである者である。


▢ 40.要介護・要支援認定は、要介護認定基準に基づき判定される。


被保険者から認定申請があると、全国一律の客観的基準(要介護認定基準)に基づき、要介護・要支援認定を行う。その要介護・要支援状態区分に応じて、介護給付や予防給付の支給限度額、施設給付が設定されている。
要介護認定には、要支援1・2、要介護1から5までの7段階の区分が定められている。また、要介護認定で「非該当(自立)」と判定されると、介護保険のサービスを利用することはできない。


▢ 41.緊急やむを得ない理由がある場合は、認定申請前にサービスの提供を受けることができる。


緊急やむを得ない理由で認定申請前にサービスの提供を受ける必要が生じた場合には、認定申請前に利用したサービスが特例サービス費の対象となる。


▢ 42.認定申請は、被保険者以外にも、成年後見人や地域包括支援センターによる申請代行が認められている。


認定申請は被保険者以外に成年後見人や地域包括支援センターなどによる申請代行が認められている。要介護認定を受ける場合には、申請書に被保険者証を添えて市町村へ申請を行う。
申請代行が可能なのは、居宅介護支援事業者・地域密着型介護老人福祉施設・介護保険施設のうち厚生労働省令で定めるもの、地域包括支援センター、被保険者の家族、民生委員、社会保険労務士。


▢ 43.新規の認定調査は、原則として市町村が行う。


認定申請を受けた市町村は認定調査を行う。原則として市町村が行うが、指定市町村事務受託法人への委託が認められている。更新認定調査の場合は居宅介護支援事業者・地域密着型介護老人福祉施設・介護保険施設・地域包括支援センター・介護支援専門員のうち厚生労働省令で定めるものに委託することができる。


▢ 44.被保険者に主治医がいない場合には、市町村の指定する医師またはその市町村の職員である医師の診断を受けなければならない。


主治医の診断は認定の可否を判断するための要件の 1つになる。被保険者に主治医がいない場合、申請した被保険者は、市町村の指定する医師またはその市町村の職員である医師の診断を受けなければならない。


▢ 45.要介護認定の一次判定では、要介護認定等基準時間が計算される。


一次判定は、認定調査票のうちの基本調査で算出される要介護認定等基準時間 をベースに判定される。
直接生活介助: 入浴、排泄の介護等
間接生活介助: 洗濯、掃除等の家事援助等
認知症の行動・心理症状関連行為: 徘徊の探索、不潔行為等の後始末等
機能訓練関連行為:歩行訓練等
医療関連行為: 輸液管理、褥瘡の処置等


▢ 46.要介護認定の二次判定は、介護認定審査会が行う。


市町村は、認定調査の結果 (基本調査、特記事項)と主治医の意見書等を介護認定審査会に通知し、二次判定を求める。二次判定は、国の作成した客観的な判定基準に従って介護認定審査会が以下の事項について審査判定を行う。
①要介護状態に該当するか否か
②該当する要介護状態区分 (要介護度)
③第2号被保険者については、要介護状態が特定疾病によるものか否か


▢ 47.市町村は、審査判定の結果に基づいて認定の決定を行う。


介護認定審査会は市町村に審査結果を通知し、市町村が認定の決定を行う。その際、介護認定審査会は附帯意見を述べることができる。市町村は要介護認定を被保険者に通知するとともに、被保険者証に要介護状態区分と介護認定審査会の意見を記載し、被保険者へ返還する。不認定の場合も、理由を付して、被保険者証を返還する。


▢ 48.介護認定審査会は、認定にかかる審査判定を行う市町村の附属機関である。


介護認定審査会 は、保健 ・医療 ・福祉 に関する学識経験者 によって構成される。委員は市町村長が任命 し、任期は 2年で再任可、定数は 5人を標準 (少なくとも3人)とし、市町村の条例で定める数とする。合議体の長を 1人おき、過半数の出席により、審議が議決できる。
介護認定審査会は、複数の市町村で共同設置し、審査や判定を行うことができる。ただし、認定調査や認定自体は市町村が行う。


▢ 49.認定の効力は、その申請のあった日に遡る。


認定が行われた場合、その効力は申請時に遡及し、認定申請時からサービスの利用がなされていた場合にも、保険給付の対象となる。申請前のサービス利用については、市町村が必要と認めた場合に保険給付の対象となる。申請時から認定時までの保険給付は、事後的に市町村から償還払いとなるが、暫定的ケアプランが作成されていれば、現物給付で受けることができる。


▢ 50.被保険者が認定の申請をすると、30日以内に認定が行われる。


市町村は、申請のあった日から原則として 30日以内に処分 (認定・不認定の決定等)を行う。特別の理由がある場合には、被保険者に通知の上、延期することができる。所定の期間までに処分がなされない場合は、申請の却下が行われたとみなすことができる。


▢ 51.要介護認定の有効期間は、市町村が必要と認める場合、 短縮や延長ができる。


要介護認定の有効期間は原則の認定有効期間が定められているが、介護認定審査会の意見に基づき市町村が必要と認める場合は、一定の範囲内で短縮や延長ができる。
要介護認定等の有効期間
申請区分等: 原則の認定有効期間: 設定可能な認定有効期間
新規申請: 6か月: 3~ 12か月
区分変更申請: 6か月: 3~ 12か月
更新申請: 12か月: 3~ 36か月


▢ 52.認定の更新は、有効期間内に行う。


要介護認定を受けた被保険者は、有効期間満了日の60日前から満了の日まで、要介護更新認定の申請を行うことができる。手続きは基本的に初回の認定と同様になる。この更新認定の効力は、更新前の認定の有効期間満了日の翌日に遡って生じる。


▢ 53.やむを得ない理由で有効期間内に更新認定の申請ができなかった場合は、その理由のやんだ日から1か月以内に限り申請できる。


災害その他のやむを得ない理由で要介護認定の有効期間満了前に申請をすることができなかった場合には、その理由のやんだ日から1か月以内に限り、更新認定の申請をすることができる。


▢ 54.職権による要介護状態区分の変更が行われることがある。


被保険者の介護の必要の程度が低下し、現に認定されている要介護状態区分以外の区分に該当するに至ったと認めるとき、市町村は有効期間満了前でも職権により要介護状態区分の変更認定をすることができる。要介護状態の程度が大きく変化し、介護の必要の程度が現に受けている要介護状態区分以外の区分に該当すると認めるときは、市町村に要介護状態区分の変更の認定申請ができる。


▢ 55.市町村は、認定を取り消すことができる。


市町村は、①被保険者が要介護者に該当しなくなったと認めるとき、②正当な理由なく、職権による要介護状態区分の変更認定や取消を行うための調査や主治医意見書のための診断命令に従わないときには、有効期間満了前でも要介護認定を取り消すことができる。


▢ 56.要介護者等が住所移転した場合、改めて介護認定審査会の審査・判定を行うことなく、認定を受けることができる。


要介護者等が住所移転すると、新しい市町村で認定を改めて受ける必要がある。申請では、移転前の市町村で交付を受けた認定にかかる事項を証明する書面を移転後の市町村に提出する。その場合、改めて認定審査会の審査・判定を行うことなく、移転重の審査・判定に基づいて認定を受けることができる (ただし、転居後 14日以内に申請を行った場合)。



保険給付


▢ 56.介護保険法による保険給付には、介護給付、予防給付、市町村特別給付がある。


要介護者に対する給付を介護給付、要支援者に対する給付を予防給付という。市町村特別給付は法定の介護給付 ・予防給付以外に、市町村が条例で個別に定めるものである。


▢ 57.居宅サービスを受けると、居宅介護サービス費が支給される。


居宅要介護者が、居宅サービス事業者から、居宅サービスを受けたとき、居宅介護サービス費が支給される。あらかじめ、居宅介護支援 (ケアプランの作成)を受けることを市町村に届け出ると、保険給付が現物給付化される。居宅介護サービス計画費、施設介護サービス費、地域密着型介護サービス費の支給についても同様である。


▢ 57.特例サービス費は、市町村が必要と認めた場合、支給される。


特例サービス費は、以下のような場合で、市町村が必要があると認めたときに、被保険者に支給される。
①認定申請前に緊急にサービスを受けた場合
②指定基準を完全に満たしていないが、一定水準以上満たしていると市町村が認めたサービス (基準該当サービス)を受けた場合
③離島などで相当のサービスを受けた場合等


▢ 58.予防給付の対象は主に居宅サービスであり、長期入院型の施設サービスは含まない。


予防給付は、生活機能の維持、改善を積極的に目指す観点でのサービスであり、サービス提供の期間が設けられている。また、長期入所型の施設サービスはなく、主に居宅でのサービス提供である。


▢ 59.市町村特別給付では、法定給付以外の独自給付が可能である。


市町村特別給付は、第 1号被保険者の保険料を財源としてお り、法律で定められた保険給付以外の市町村独自の給付である。
市町村特別給付は、介護保険制度の趣旨と地域の実情を踏まえ、条例で定められる。移送サービス、寝具乾燥サービス、配食サービス等がある。


▢ 60.介護報酬は、3年に 1度改定される。


保険給付の対象となる各種介護サービスの費用の額は介護給付費 (介護報酬 )により算定する。介護報酬は 3年 に 1度改定され、診療報酬は 2年に 1度改定されるため、6年に 1度は同時改定となる。
2018(平成 30)年度には同時改定が行われ、介護報酬では、入居継続支援加算、退院・退所時連携加算、栄養スクリーニング加算、低栄養リスク改善加算などが新設された。


▢ 61.特例サービス費は、償還払いとなる。


償還払いは、サービスを受けた被保険者がサービス提供事業者に全額を支払った後に、市町村からその費用の償還 (払戻し)を受ける。福祉用具購入費、住宅改修費、高額介護サービス費、高額医療合算介護サービス費、特例サービス費、サービスを受ける際に被保険者証を提示できない場合、基準該当サービスを受けた場合、償還払いとなる。


▢ 62.法定代理受領方式では、利用者は自己負担分をサービス提供事業者等に支払い、残りは国保連より支払われる。


事業者または施設からサービスを受けた場合には、利用者は自己負担分だけを払い、残りの費用は事業者・施設が市町村の委託を受けた国民健康保険団体連合会 (国保連)に請求し、保険給付が行われる。これを、法定代理受領 (方式)という。
居宅介護サービス費、地域密着型介護サービス費、居宅介護サービス計画費、施設介護サービス費、特定入所者介護サービス費などが該当する。


▢ 63.請求には、介護給付費請求書、介護給付費明細書が必要である。


介護給付費を国民健康保険団体連合会 (国保連)に請求する際、サービス事業者等は、介護給付費請求書と介護給付費明細書を提出する。公費負担医療等の公費分や生活保護法の介護扶助についても、同一の請求書・明細書で請求する。


▢ 64.市町村から認定者全員に対して、利用者負担を示す証明書が交付される。


市町村は、要介護 (支援)認定者全員に対して、利用者負担の割合 (1割、2割、3割)を記載した証明書を交付する。
2018(平成 30)年 8月 1日から、2割負担者のうち特に所得の高い者の負担割合が 3割となった。


▢ 65.災害等で利用者の負担能力が減退した場合等は、利用者負担が減額・免除される。


市町村は、災害等特別の理由で利用者の負担能力の減退が認められる場合、利用者負担を減額・免除することができる。その理由としては、①震災、風水害、火災などで財産が著しく損害を受けた場合、②生計維持者の死亡、長期入院などで収入が著しく減少した場合、③事業の休廃止や失業、農作物の不作、不漁等で収入が著しく減少した場合などである。


▢ 66.施設等の居住費と食費は、全額自己負担である。


在宅と施設利用者負担の公平性等の理由で、以下の費用は保険給付外となり、全額利用者負担である。
①施設サービスの「食費」および「居住費」
②短期入所系サービスの「食費」および「滞在費」
③通所系サービスの「食費」
施設等利用者負担は、定率負担額(1割、2割または3割)と食費、居住費である。


▢ 70.日常生活費は、全額利用者負担となる。


理美容代、教養娯楽費等、日常生活でも通常必要となる費用で、利用者負担が適当なものについては保険給付の対象とならず、全額利用者負担となる。ただし、おむつ代 については、排泄の介護を受けていておむつを使っている場合には、施設サービス、短期入所系サービスの場合のみ、保険給付される。
利用者負担となる日常生活費 (施設介護サービス)
理美容代、身の回り品の費用、教養娯楽の費用、健康管理費、預り金の出納管理の費用、私物の洗濯代


▢ 71.利用者負担が高額となる場合、高額介護サービス費等が償還払いの形で支給される。


利用者負担の合計が所得区分に応じた負担限度額を超える場合、その超える額について、高額介護サービス費が支給される。高額介護サービス費は、政令で決められる。居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービスが対象であり、福祉用具購入費や住宅改修費は対象外である。


▢ 72.介護保険と医療保険の自己負担額の合計が一定以上の場合、高額医療合算介護サービス費が支給される。


医療保険各制度の世帯内に、介護保険からのサービスを受ける者がいる場合、1年間の介護保険の利用者負担と医療保険の患者負担の合計が一定額を超えると、各保険者がその超えた額を支給する。介護保険からの給付を高額医療合算介護サービス費 (要支援者は高額医療合算介護予防サービス費)という。


▢ 73.特定入所者介護サービス費の支給要件には、資産の状況が含まれている。


特定入所者介護サービス費は、低所得などである要介護被保険者が支給対象サービスを利用した場合にかかった食費、居住費、滞在費について支給するものである。この給付の支給要件には、その者の所得や資産の状況などが含まれている。
特定入所者介護サービス費の支給対象サービス
・介護福祉施設サービス
・介護保健施設サービス
・介護医療院サービス
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・短期入所生活介護
・短期入所療養介護


▢ 74.社会福祉法人による利用者負担額軽減制度がある。


社会福祉法人は、低所得者の介護サービス利用について利用料の軽減を行っている。社会福祉法人による利用者負担額軽減制度では、訪問介護や通所介護等を利用した場合に、介護費負担、食費、居住費 (滞在費)、宿泊費を軽減することができる。


▢ 75.刑事施設等に拘禁された者には、保険給付の制限等が行われる。


介護保険における保険給付の制限等が行われることがある。
①刑事施設等に拘禁された者は、その期間にかかる保険給付を受けられない。
②被保険者の故意の犯罪行為・重大な過失によって保険事故を生じさせた場合は、市町村は給付の全部または一部を行わないことができる。
③介護給付を受ける者が、文書の提出を拒んだり、市町村職員による質問等に応じなかった場合には、介護給付等の全部または一部を行わないことができる。


▢ 76.災害補償関係各法の療養補償等が給付されるとき、介護保険の給付は行われない。


労働災害に対する補償の給付や公務災害に対する補償の給付等を受けられるときは他法令の給付が優先とな り、介護保険からの給付は行われない。
介護保険に優先する給付を行う法令
労働者災害補償保険法/船員保険法/労働基準法/国家公務員災害補償法/地方公務員災害補償法/警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律/戦傷病者特別援護法/原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律 等


▢ 77.医療保険と介護保険で給付が重なるものは、介護保険の給付が優先される。


訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導等、介護保険と医療保険の両方から同様の給付が行われ得る場合、介護保険からの給付が優先となり、医療保険からは給付されない。医療保険からは介護保険でカバーしないサービスが給付される (訪問看護では、状態の悪化等により、毎日訪問が必要な場合など)。


▢ 78.40歳以上 65歳未満の医療保険未加入の被保護者は、介護保険の対象とはならない。


40歳以上 65歳未満の医療保険未加入の生活保護における被保護者は、介護保険の第 2号被保険者ではないので、要介護状態等になった場合は生活保護の介護扶助を受ける。福祉事務所による判定は市町村による判定と同等の基準で行われる。


▢ 79.65歳以上で生活保護を受けている要介護者は、介護保険サービスを受けることができる。


65歳以上の高齢者は、生活保護を受けている場合でも第 1号被保険者となる。生活保護制度では他法優先の原則があり、介護サービスは介護保険から給付される。
65歳以上の被保護者は、介護保険料は生活保護の生活扶助から支給され、利用者負担分は生活保護の介護扶助から支給される。


▢ 80.介護保険法施行後も、老人福祉法による措置は行われている。


介護保険によって、基本的には措置によるサービスの提供から契約に基づく利用者の選択によるサービス提供に変わった。しかし、例外的に本人の心身の状況や家族関係等の事情から、やむを得ない場合には措置によるサービスが提供され、負担能力に応じた費用徴収が行われる (虐待を受け、本人の生命に危機がある場合など)。


▢ 81.自立支援給付と介護保険が重複する場合、介護保険による給付が優先される。


障害者総合支援法の自立支援給付には、障害者に対する介護サービスや医療サービスの提供に関して支給される給付が含まれている。自立支援給付と介護保険サービスで共通する在宅サービスは、原則として介護保険サービスが優先される。


▢ 82.公費負担医療と介護保険が重複する場合、介護保険による給付が優先される。


例えば、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による結核患者への給付率は 95%が公費である。患者が介護保険の被保険者の場合、原則として介護保険が 90%を負担し、公費負担 5%、 残りの 5%が利用者負担となる (利用者負担 5%は変わらない)。


▢ 83.第三者行為によって要介護状態となった場合、市町村は保険給付を行う責任を免れる。


第三者の加害行為によって要介護状態となった場合、市町村はその賠償額の根度で保険給付を行う責任を免れる。また、保険給付が先に行われた場合、市町村は第三者に対して損害賠償請求権を持つ。例としては、交通事故による後遺症のために要介護状態となった場合などがある。


▢ 84.市町村は、不正行為によって保険給付を受けた者に対し、その給付の価額を徴収できる。


市町村は、不正行為によって保険給付を受けた者に対し、その給付の価額の全部または一部を徴収することができる。さらに、その給付が特定入所者介護サービス費などである場合には、支給額の 100分の 200に相当する額以下の金額を徴収することもできる。


▢ 85.市町村は、不正行為によって保険給付を受けた介護サービス事業者に対し、返還額を徴収することができる。


市町村は、介護サービス事業者が偽りその他不正の行為によって代理受領方式での費用の支払を受けた場合、その事業者から、支払額につき返還させるべき額を徴収するほか、その返還させるべ き額に 100分の 40を上乗せした額を徴収することができる。
市町村は、不正受給に荷担した医師や歯科医師に対して、不正受給者に連帯して徴収金を納付すべきことを命じることができる。


▢ 86.保険給付を受ける権利は、差し押さえることができない。


保険給付の受給権は保護されており、譲り渡し、担保に供し、または差し押さえることができない。これは他の社会保険の給付と同様である。
保険給付を受けた金品は租税その他の公課の賦課対象から除外して、被保険者の保険受益を保護している。これは社会保険通則の 1つである。


▢ 87.居宅サービス等については、区分支給限度基準額が設定されている。


在宅に関する給付では、要介護状態等ことに区分支給限度基準額が設けられている。区分支給限度基準額は、居宅介護サービス費と地域密着型介護サービス費およびそれぞれの特例サービス費の合計額である。予防給付では、介護予防サービス費と地域密着型介護予防サービス費およびそれぞれの特例サービス費の合計額である。


▢ 88.区分支給限度基準額は、要介護度によって異なる。


区分支給限度基準額の範囲内であれば、原則として、自由にサービス各種を組み合わせて保険給付を受けることができる。支給限度基準額の範囲を超えるサービス利用については、その費用は全額利用者負担となる。


▢ 89.区分支給限度基準額が適用されないサービスがある。


区分支給限度基準額が適用されないサービス
介護給付
①居宅療養管理指導
②特定施設入居者生活介護
③認知症対応型共同生活介護
④地域密着型特定施設入居者生活介護
⑤地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
予防給付
①介護予防居宅療養管理指導
②介護予防特定施設入居者生活介護
③介護予防認知症対応型共同生活介護
※利用期間を定めて行うものを除く


▢ 90.市町村は、地域密着型介護サービス費の額を独自に設定できる。


介護給付費 (介護報酬)は、厚生労働大臣が定める基準により算定する。地域密着型サービス費と地域密着型介護予防サービス費については、市町村が独自の額を定めることも認められている (厚生労働大臣の定める基準が限度)。介護報酬は、提供したサービスの種類 ・内容に応じて、単位数を計算 し、1単位の単価に乗じて金額に換算する。
介護給付費の算定基準を定める場合には、厚生労働大臣はあらかじめ社会保障審議会の意見を聴かなければならない。


▢ 91.月途中で要介護度が変更された場合、重いほうの1か月分の限度額が適用される。


居宅サービス区分の限度額管理期間は 1か月である。新規認定で月途中に認定されても、1か月分の限度額が適用される。変更認定で月途中に要介護度が変わった場合は、重いほうの要介護度に応じた 1か月分の限度額が適用される。



国民健康保険団体連合会


▢ 92.国民健康保険団体連合会は、市町村の委託を受けた上で、第三者行為求償事務を行うことができる。


国民健康保険団体連合会が行う介護保険事業関係業務は、以下のように必須事業と任意事業に大別できる。
必須事業
①保険給付 (介護報酬)に係る審査・支払い
②第 1号事業支給費の請求に関する審査・支払い
③介護予防・日常生活支援総合事業の実施に必要な費用の支払決定に係る審査・支払い (② と共通性があるもの)
④居宅サービス事業者などのサービスの質の向上に関する調査
⑤居宅サービス事業者などに対する必要な指導・助言
任意事業
⑥第三者行為求償事務
⑦居宅サービスなどのサービス提供事業や介護保険施設の運営
⑧介護予防・日常生活支援総合事業の実施に必要な費用の支払決定に係る審査・支払い (③以外のもの)
⑨その他の事業


▢ 93.介護給付費等審査委員会は、国民健康保険団体連合会に設置される。


介護給付費等審査委員会は、介護給付費請求書および介護予防 ・日常生活支援総合事業費請求書の審査を行うため、国民健康保険団体連合会に設置される。
2015(平成27)年 4月から「介護給付費審査委員会」から「介護給付費等審査委員会」に名称が変更された。


▢ 94.介護給付費等審査委員会の委員は、国民健康保険団体連合会が委嘱する。


介護給付費等審査委員会は、規約で定めるそれぞれ同数の介護給付等対象サービス担当者または介護予防・日常生活支援総合事業担当者を代表する委員、市町村を代表する委員、公益を代表する委員をもって組織する。



サービス提供事業者


▢ 95.居宅サービス事業者・介護予防サービス事業者は、都道府県知事の指定を受ける。


都道府県知事の指定は、居宅サービスの種類ごとに個々の事業所で行われる。6年ごとに指定を更新する。市町村長は居宅サービスの量が介護保険事業計画で定める見込み量に既に達している場合等には、都道府県知事と協議し、指定拒否や条件を付した指定が可能である。
2018(平成 30)年 4月 1日 から、市町村長が都道府県知事に対し、介護保険事業計画との整合性の見地から意見を述べることが可能となった。


▢ 96.居宅サービス・介護予防サービス事業者は、都道府県知事の指導・監督を受ける。


都道府県知事または市町村長は、居宅介護サービス費等の支給に関して必要があると認めるときは、報告・帳簿書類の提出等や立入検査を行うことができる。また、事業所以外の関係する場所への立入検査や、業務管理体制について都道府県知事や厚生労働大臣は報告を求めることができる。


▢ 97.居宅介護支援事業者の指定は、市町村が行う。


居宅介護支援事業者の指定権限は、2018(平成 30)年 4月 1日 より、都道府県から市町村に委譲された。この委譲に伴い、指定の取消し権限も都道府県から市町村に委譲された。
介護予防居宅介護支援については、従来どおり、市町村が指定・取消しの権限をもっている。


▢ 98.病院、薬局などは、居宅療養管理指導等の居宅サービス事業者の指定を受けたとみなされる。


病院、診療所、薬局は、健康保険法に基づく保険医療機関、保険薬局の指定を受けた場合には、居宅療養管理指導等の居宅サービス事業者の指定があったとみなされる。
居宅サービス事業者のみなし指定
居宅療養管理指導: 病院、診療所、薬局
訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション:病院、診療所


▢ 99.介護老人保健施設は、別途指定を受けることなく短期入所療養介護等を提供できる。


介護老人保健施設は、介護保険施設としての許可を受けた場合、短期入所療養介護と通所リハビリテーションの指定居宅サービス事業者の指定があったとみなされる。


▢ 100.基準該当サービス事業者等、指定基準を満たしていなくてもサービスを提供できる。


指定基準を完全に満たしていなくても、保険者が事業者のサービスが一定の水準を満たしていると認めた場合、基準該当サービスとして、特例居宅介護サービス費を償還払いされる。
離島、僻地など、指定居宅サービスや基準該当サービスの確保が著しく困難な地域については、一定の条件の下、市町村の個別の判断により相当サービスが認められる。


▢ 101.地域密着型サービス事業者は、市町村長の指定を受ける。


市町村長は、地域密着型サービスの うち、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の指定申請について、市町村介護保険事業計画の達成 に支障を生じるおそれがあるとき、指定をしないことができる。
2018(平成30)年 4月 1日 から、地域密着型通所介護について、市町村介護保険事業計画達成への支障があり、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の事業者がその市町村の区域内にある場合、指定を拒否できることになった。


▢ 102.介護老人保健施設は、都道府県知事の許可を受ける。


介護老人保健施設は、都道府県知事の許可を受ける。開設者は地方公共団体、医療法人、社会福祉法人、その他厚生労働大臣が定めるものである。


▢ 103.介護老人保険施設の開設許可は、市町村計画や都道府県計画との調和の下、決定される。


都道府県知事 は、介護老人保険施設の開設許可をしようとするときには、市町村介護保険事業計画との調整を図る見地から、関係市町村長の意見を求めなければならない。また、都道府県介護保険事業支援計画の達成に支障を生じるおそれがあるときは、介護老人保健施設の開設を許可しないことができる。


▢ 104.介護医療院は、日常的に医療が必要な重度の要介護者に対し、医療と介護を一体的に提供する新たな介護保険施設である。


介護医療院は、「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話 (介護)」 を一体的に提供する機能をもつ介護保険施設として2018(平成30)年 4月 1日に新設された。介護医療院は、介護療養病床の転換先でもあり、病院または診療所から介護医療院に転換した場合には、転換前の病院または診療所の名称を引き続き使用できる。
2018(平成 30)年 3月 末までに廃止するとされていた介護療養病床については、経過措置期間が 6年延長され、2023年度末までとなった。


▢ 105.居宅サービス事業者は、居宅基準に定められた人員、設備、運営基準を満たさなければならない。


居宅サービス事業者は、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(以下、居宅基準)を満たさないと指定または更新を受けることができない。居宅基準は都道府県や市町村の条例に委任されている。また、厚生労働省令は、規定される事項によって、強い順に「従うべき基準」「標準」「参酌すべき基準」に分かれている。


▢ 106.居宅サービス事業者は、サービス提供前に利用者にあらかじめ説明を行い、同意を得ておかなければならない。


居宅サービス事業者は、サービスの提供の開始に際し、利用申込者またはその家族に、当該居宅サービス事業所の運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制等、利用申込者がサービス選択に必要な重要事項について、説明書やバンフレット等の文書で説明し、サービスを受けることについての同意を得ておかなければならない。


▢ 107.居宅サービス事業者は、正当な理由なくサービス提供を拒んではならない。


居宅サービス事業者は、原則として利用申込者からのサービス提供の求めに応じなければならない。要介護度や所得を理由にサービス提供を断ってはならない。
サービス提供を拒むことができる正当な理由
①当該事業所の現員では申込みに応じきれない場合
②利用申込者の居住地が事業の実施地域外である場合
③その事業所では利用者に適したサービスを提供できない場合


▢ 108.居宅サービス事業者は、居宅介護支援事業者に対する利益供与が禁止されている。


居宅サービス事業者は、居宅介護支援事業者、その他保健医療サービスまたは福祉サービス提供者と連携をとらなければならない。一方、居宅介護支援事業者やその従業者に対し、利用者に特定の事業者によるサービスを利用させることの対償として、金品その他財産上の利益を供与してはならない (居宅介護支援事業者にも、同様の趣旨から利益収受の禁止規定がある)。


▢ 109.訪問系の居宅サービスの従業者は、身分証等を携行しなければならない。


利用者が安心してサービスを受けられるよう、身分を明らかにする書類 (身分証、名刺等)を携行し、初回訪問時や利用者、家族から求められたときは、提示する必要があり、事業者はこれを提示することを指導しなければならない。


▢ 110.居宅サービス事業者は、利用者に提供したサービス内容等の記録を2年間保存しなければならない。


居宅サービス事業者は、サービス提供計画や、具体的なサービスの内容 (市町村への通知、苦情の内容等、事故状況および事故に際してとった処置)等の記録を整備し、それをサービス完結の日から2年間保存しておかなければならない。


▢ 111.有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームは、指定を受けて特定施設となる。


特定施設 (有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームのケアハウス)は都道府県から指定を受けなければならない。介護専用型並びに混合型特定施設入居者生活介護は、都道府県で定める必要利用定員総数に達している場合には、指定されないことがある。


▢ 112.有料老人ホームの施設設置には、都道府県知事への届出義務がある。


有料老人ホームは設置主体の制限がないが、施設設置には都道府県知事への届出義務がある。また、サービスの内容や運営についてはガイドラインに基づき、都道府県によって指導される。2017(平成 29)年の介護保険法改正では、事業停止命令の創設等、入居者保護のための施策が強化され、2018(平成 30)年 4月 1日から施行されている。



介護サービス情報の公表


▢ 113.介護サービス情報の公表は、都道府県知事が行う。


都道府県知事は、サービス事業者・施設から報告された介護サービス情報 (基本情報 ・運営情報)を公表し、必要と認める場合に調査を行う。介護サービス事業者から虚偽の報告等があれば、是正等を命じることができる。それに従わない場合、指定の取消や期間を定めて効力の全部または一部を停止することができる。なお、市町村長が指定する事業者への調査命令や市町村長による指定の取消等が適当であるときは、都道府県知事は市町村長にその旨を通知する。


▢ 114.介護サービス情報の公表は、事業所から報告された内容についてインターネットで行う。


介護サービス事業者は、年に 1回程度、直近の介護サービス情報を都道府県知事に報告し、都道府県知事は、その内容をインターネットを通じて公表する。介護サービス情報公表システムは、国が一元管理している。



地域支援事業


▢ 115.地域支援事業における介護予防・日常生活支援総合事業は、すべての市町村で実施されている。


2014(平成 26)年の法改正により再編された新しい地域支援事業における介護予防・日常生活支援総合事業は、訪問介護・通所介護も含めて、2018(平成 30)年4月 1日 から、すべての市町村で実施されている。
地域支援事業の構成
〇介護予防・日常生活支援総合事業
・介護予防・生活支援サービス事業(第一号事業):訪問型サービス(第一号訪問事業)、通所型サービス(第一号通所事業)、生活支援サービス(配食等)(第一号生活支援事業)、介護予防ケアマネジメント(第一号介護予防支援事業)
・一般介護予防事業:介護予防把握事業、介護予防普及啓発事業、地域介護予防活動支援事業、一般介護予防事業評価事業、地域リハビリテーション活動支援事業
〇包括的支援事業:介護予防ケアマネジメント事業、総合相談支援事業、権利擁護事業、包括的・継続的ケアマネジメント支援事業、在宅医療・介護連携推進事業、認知症総合支援事業、生活支援体制整備事業
〇任意事業:介護給付等費用適正化事業、家族介護支援事業、その他の事業


▢ 116.市町村は、地域支援事業の利用者に対し、利用料を請求できる。


市町村は、地域支援事業の利用者に対し、利用料を請求することができる。また、地域支援事業は、当該市町村における介護予防に関する事業の実施状況、介護保険の運営の状況、75歳以上の被保険者の数その他の状況を勘案して政令で定める額の範囲内で行うものとする。


▢ 117.介護予防・日常生活支援総合事業の費用負担割合は、在宅サービスの介護給付費と同じ割合である。


地域支援事業の介護予防・日常生活支援総合事業の費用負担割合は、在宅サービスの介護給付費と同じ割合で、国が 25%(一律負担 20%に 加え調整交付金 5%を含む)を、都道府県と市町村がそれぞれ 12.5%を 、第 1号被保険者が平均 23%、 第 2号被保険者が 27%(ともに2018~ 2020年度)を負担する。


▢ 118.2017(平成 29)年の介護保険法改正では、介護予防・日常生活支援総合事業等の地域支援事業の円滑実施に向けた市町村・都道府県への規定が盛り込まれている。


2017 (平成 29)年の介護保険法改正では、以下の通り、介護予防・日常生活支援総合事業等の体制整備のための市町村・都道府県への規定が盛り込まれており、2018(平成 30)年 4月 1日施行された。
・市町村は関係機関の連絡調整を行うことができ、関係機関は総合事業等の円滑運営に協力するよう努めること。
・都道府県は情報提供等を通じて、市町村への支援に努めること。


▢ 119.介護予防・日常生活支援総合事業は、介護予防・生活支援サービス事業と一般介護予防事業から構成される。


介護予防・生活支援サービス事業では、介護予防給付から移行した介護予防訪問介護、介護予防通所介護によって、要支援者等に対して必要な支援を行う。一般介護予防事業では、第 1号被保険者に対して体操教室等の介護予防を行う。


▢ 120.介護予防・生活支援サービス事業には、訪問型サービス、通所型サービス、その他の生活支援サービス、介護予防ケアマネジメントがある。


介護予防・生活支援サービス事業
訪問型サービス(第一号訪問事業):要支援者等に対し、掃除、洗濯等の日常生活上の支援を提供
通所型サービス(第一号通所事業):要支援者に対し、機能訓練や集いの場など日常生活上の支援を提供
生活支援サービス(第一号生活支援事業):要支援者等に対し、栄養改善を目的とした配食や一人暮らし高齢者等への見守りを提供
介護予防ケアマネジメント(第 一号介護予防支援事業): 要支援者等に対し、総合事業によるサービス等を適切に提供するためのケアマネジメント


▢ 121.介護予防・日常生活支援総合事業による介護予防ケアマネジメントでは、地域包括支援センターがケアプランを作成する。


介護予防・日常生活支援総合事業による介護予防ケアマネジメントとは、介護予防支援事業と同様、地域包括支援センターが要支援者等に対してアセスメントを行い、その状態や置かれている環境等に応じて、本人が自立した生活を送ることができるようケアプランを作成するものである。


▢ 122.一般介護予防事業の対象者はすべての 65歳以上の高齢者 (第 1号被保険者)及びその支援のための活動にかかわる者である。


一般介護予防事業
・介護予防把握事業:収集した情報等の活用により、閉じこもり等の何らかの支援を要する者を把握し、介護予防活動へつなげる
・介護予防普及啓発事業:介護予防活動の普及 啓発を行う
・地域介護予防活動支援事業:住民主体の介護予防活動の育成支援を行う
・一般介護予防事業評価事業:介護保険事業計画に定める目標値の達成状況等を検証し、一般介護予防事業の評価を行う
・地域リハビリテーション活動支援事業:介護予防の取組を機能強化するため、通所、訪問、地域ケア会議、住民主体の通いの場等へのりリハビリ専門職等による助言等を実施


▢ 123.包括的・継続的ケアマネジメント支援業務は、被保険者が地域において自立した日常生活を営むために包括的かつ継続的な支援を行う。


包括的・継続的ケアマネジメント支援業務では、被保険者の居宅サービス計画や施設サービス計画の検証、介護給付等対象サービスの利用状況などに関する定期的な協議などが実施される。


▢ 124.生活支援コーディネーター (地域支え合い推進員)は、生活支援の担い手の養成・発掘等の地域資源の開発などを行う。


生活支援体制整備事業では、生活支援コーディネーターの配置や生活支援コーディネーターを支えながら一体となって地域の体制整備を検討していく「協議体」の設置等を通じて、互助を基本とした生活支援・介護予防サービスが創出されるよう積極的な取り組みを行うこととされている。生活支援体制整備事業は、2018(平成30)年 4月 1日 からすべての市町村で実施されている。


▢ 125.認知症総合支援事業では、「認知症初期集中支援チーム」の設置や、「認知症地域支援推進員」の設置が進められている。


「認知症初期集中支援チーム」では、認知症施策を推進するため、複数の専門職による個別の訪問支援を実施する。また「認知症地域支援推進員」は地域の実態に応じて認知症施策を推進する役割がある。認知症総合支援事業は、2018(平成 30)年 4月 1日からすべての市町村で実施されている。


▢ 126.地域ケア会議では個別の事例検討を通じ、多職種協働でケアマネジメント支援を行い、地域のネットワーク構築につなげる。


これまで通知に位置づけられていた地域ケア会議は、介護保険法で制度的に位置づけられている。
2017(平成29)年の改正により、地域ケア会議のあり方について厚生労働省が定める省令に従うことが義務づけられ、2018(平成30)年 4月 1日 から施行されている。


▢ 127.介護給付等に要する費用の適正化のための事業は、任意事業である。


任意事業はこのほか、介護方法の指導その他の要介護被保険者を現に介護する者の支援のため必要な事業、その他介護保険事業の運営の安定化および被保険者 (当該市町村の区域内に所在する住所地特例対象施設に入所等をしている住所地特例適用被保険者も含む。)の地域における自立した日常生活の支援のため必要な事業がある。


▢ 128.市町村長は、指定事業者に対し、指定の取消や効力停止を行うことができる。


市町村長は、指定事業者が第一号事業支給費の請求に関し不正をした場合など、一定の条件に該当するときは、指定事業者の指定の取消や、期間を定めて指定の効力停止を行うことができる。


▢ 129.在宅医療・介護連携推進事業は市町村が主体となり、郡市区医師会等と連携して取り組む。


在宅医療・介護連携推進事業は、2018(平成 30)年4月 1日 からすべての市町村 で実施されている。
在宅医療・介護連携推進事業 鯨則として各市町村が実施する取り組み)
・地域の医療・介護の資源の把握
・在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討
・切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進
・医療・介護関係者の情報共有の支援
・在宅医療・介護連携に関する相談支援
・医療・介護関係者の研修
・地域住民への普及啓発
・在宅医療 ・介護連携に関する関係市町村の連携


▢ 130.地域包括支援センターの設置・運営に関しては、市町村単位で設置される地域包括支援センター運営協議会が関与している。


地域包括支援センターの設置・運営に関しては、中立性・公正性の確保や人材確保支援等の観点から、事業者 ・関係機関・被保険者等により構成され、原則として市町村単位で設置される地域包括支援センター運営協議会が関与している。


▢ 131.地域包括支援センターは、市町村長の指定を受けた上で、介護予防支援を実施することができる。


地域包括支援センターは、包括的支援事業のほか、介護予防・日常生活支援総合事業や介護予防支援を実施することができる。介護予防支援を実施する場合には、あらかじめ市町村長の指定を受ける必要がある。
地域包括支援センターが実施する事業
・包括的支援事業
・任意事業
・介護予防・日常生活支援総合事業
・介護予防支援 など


▢ 132.地域包括支援センターの設置者に対 しては、事業の質向上の責務を課している。


地域包括支援センターの設置者に対しては、自ら実施する事業の質の評価を行うことなどにより、事業の質の向上を図ることが義務づけられている。
2017(平成29)年の法改正により、質の向上について、努力義務から義務となり、2018(平成30)年4月1日から施行されている。


▢ 133.市町村は、定期的に地域包括支援センターの事業の実施状況について評価しなければならない。


市町村は、定期的に地域包括支援センターにおける事業の実施状況について評価を行うとともに、必要がある場合には、包括的支援事業の実施に係る方針の変更などの必要な措置を講じなければならない。
2017(平成29)年の法改正により、「点検」の努力義務が「評価」の義務となり、2018(平成30)年 4月 1日から施行されている。



介護保険事業計画


▢ 133.厚生労働大臣は、介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本方針を策定する。


厚生労働大臣は、医療介護総合確保促進法の総合確保方針に即して基本方針を策定する。市町村介護保険事業計画・都道府県介護保険事業支援計画は、基本方針に即し、3年を 1期として策定する。
厚生労働大臣の基本方針策定にかかる役割
・定める場合・変更する場合:あらかじめ総務大臣などの関係行政機関の長と協議
・ 定めた場合:遅滞なく基本方針を公表


▢ 134.介護保険事業計画には、自立支援等の目標設定が課されている。


2017 (平成 29)年 の介護保険法改正では、以下の通り、介護保険事業計画に関する事項が盛り込まれ、2018(平成 30)年 4月 1日 から施行されている。
・市町村・都道府県の両計画において、自立支援・要介護度の重度化防止・費用適正化にかかる施策・目標を盛り込む。
・市町村・都道府県は目標に対する調査・分析・評価を行う。
・厚生労働大臣は、市町村計画策定に資する情報の調査・分析・結果公表を行う。


▢ 135.保険料の水準に関する中長期的な推計計は、市町村介護保険事業計画で定めるよう努める事項である。


市町村介護保険事業計画
〇定めるべき事項
・区域ごとにおける各年度の認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護および地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る必要利用定員総数
・各年度における地域支援事業の量の見込み  など
〇定めるよう努める事項
・各年度における地域支援事業に要する費用の額および地域支援事業の見込量の確保のための方策
・介護給付等対象サービスの種類ごとの量、保険給付に要する費用の額、地域支援事業の量、地域支援事業に要する費用の額および保険料の水準に関する中長期的な推計
・居宅要介護被保険者および居宅要支援被保険者に係る医療その他の医療との連携に関する事項  など


▢ 136.市町村介護保険事業計画は、市町村計画との整合性の確保が図られたものでなければならない。


市町村介護保険事業計画を策定するにあたっては、他法で定める行政計画にも留意なければならない。
医療介護総合確保促進法(市町村計画): 整合性の確保が図られたものでなければならない
老人福祉法(市町村老人福祉計画):一体のものとして作成されなければならない
社会福祉法(市町村地域福祉計画):調和が保たれたものでなければならない


▢ 137.介護サービス情報の公表に関する事項は、都道府県介護保険事業支援計画で定めるよう努める事項である。


都道府県介護保険事業支援計画
定めるべき事項
・各区域における各年度の介護専用型特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護に係る必要利用定員総数
・介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数
・その他の給付等対象サービス量の見込み  など
定めるよう努める事項
・介護サービス情報の公表に関する事項
・介護支援専門員その他の介護給付等対象サービスおよび地域支援事業に従事する者の確保または資質の向上に資する事業に関する事項
・医療・福祉連携推進事業に関する市町村相互間の連絡調整を行う事業に関する事項  など


▢ 138.都道府県介護保険事業支援計画は、都道府県計画と医療計画との整合性の確保が図られたものでなければならない。


都道府県介護保険事業支援計画を策定するにあたっては、他法で定める行政計画にも留意しなければならない。
医療介護総合確保促進法(都道府県計画):整合性の確保が図られたものでなければならない
医療法(医療計画):整合性の確保が図られたものでなければならない
老人福祉法(都道府県老人福祉計画):一体ものとして作成されなければならない
社会福祉法(都道府県地域福祉試験計画):調和が保たれたものでなければならない
高齢者すまい法(高齢者居住安定確保計画):調和が保たれたものでなければならない



保険財政と財政安定化基金


▢ 139.介護保険の給付費の半分は公費で、半分は保険料で賄われる。


介護保険制度では、介護費用から利用者負担を除いた給付費の半分は公費で、半分は保険料で賄われる。給付費は居宅給付費と施設等給付費 (介護保険施設と特定施設)に分かれる。
居宅給付費:国25%(うち5%は調整交付金)、 都道府県12.5%、 市町村12.5%
施設等給付費:国20%(うち5%は調整交付金)、 都道府県17.5%、 市町村12.5%


▢ 140.第 1号被保険者と第 2号被保険者の保険料は、負担割合が異なる。


第 1号被保険者と第 2号被保険者の保険料は、ほぼ同じ水準になるように負担割合が定められる。この負担割合は政令で 3年ごとに定められ、2018~ 2020年度では、第 1号保険料が23%、 第 2号保険料が 27%となっている。


▢ 141.被保険者の保険料率は、被保険者の負担能力に応じた原則 9段階の定額保険料となっている。


個々の被保険者の具体的な保険料率は、被保険者の負担能力 (所得水準)に応じた原則 9段階の定額保険料 (所得段階別定額保険料)となっている。市町村は条例で定めるところにより、所得段階をさらに細分化することや各段階の保険料率を変更することが認められている。


▢ 142.保険料滞納者への給付制限、特別な理由がある場合の保険料の減免や徴収猶予の措置がある。


保険給付を受けている場合に介護保険料の滞納があると、①償還払い、②保険給付の一時差し止め、③滞納保険料と保険給付との相殺の措置が、段階的に講じられる。災害等特別の理由がある場合、市町村は条例により保険料の減免や徴収猶予をすることができる。ただし、保険料の金額免除、収入のみに着目した一律の減免、一般財源繰入れによる保険料減免分の補填による低所得第 1号被保険者の保険料減免は、適当でないとされている。


▢ 143.介護予防・日常生活支援総合事業に要する費用は、保険料と公費で負担する。


介護予防・日常生活支援総合事業に要する費用は、保険料と公費で賄うことになっている。公費は、国::都道府県:市町村が2:1:1の割合で負担する。(国は 20%を負担して、さらに調整交付金として5%を 負担する)


▢ 144.介護予防・日常生活支援総合事業以外の地域支援事業に要する費用に係る保険料負担分は、第 1号被保険者保険料のみで賄う。


介護予防・日常生活支援総合事業以外の地域支援事業に要する費用は、第 1号被保険者保険料と公費で賄うことになっている。
第 1号被保険者23%、公費77%(国38.5%、都道府県19.25%、市町村19.25%)


▢ 145.第 1号被保険者の保険料は、原則として特別徴収される。


第 1号 被保険者の保険料は、原則として年金保険者が公的年金 (老齢年金、遺族年金、障害年金)を支払う際に天引きし、当該徴収金を市町村に対して納入する特別徴収により徴収される。具体的には一定額 (18万円/年)以上の年金受給者が対象となる。


▢ 146.保険料は、年金額が―定額に満たない者については、普通徴収される。


老齢退職年金等が一定額 (18万円/年 )に満たない者は、市町村が直接納入通知書を送付し、保険料の納付を求める普通徴収となる。第1号被保険者の配偶者および世帯主は、保険料の連帯納付義務が課せられる。普通徴収の納期については市町村が条例で定める。市町村は普通徴収を私人 (コンビニエンストア等)に委託することができる。


▢ 147.第 2号被保険者の保険料負担分は、社会保険診療報酬支払基金から各市町村へ交付される。


社会保険診療報酬支払基金は、医療保険者から介護給付費・地域支援事業支援納付金を徴収し、市町村に対し、介護給付費交付金と地域支援事業支援交付金を交付する。この支払基金は厚生労働大臣が指導・監督を行う。


▢ 148.介護給付費・地域支援事業支援納付金 (介護納付金)に、被保険者の総報酬に比例して負担する仕組み (総報酬割)が導入されている。


医療保険者の介護給付費・地域支援事業支援納付金(介護納付金)は、2017 (平成 29)年の介護保険法改正により、加入者割から、被保険者の総報酬に比例した算出 (総報酬割)に変更された。導入は段階的に行われ、2020年度から全面導入となる。


▢ 149.財政安定化基金は、都道府県に置かれる。


財政安定化基金は、①通常の努力を行ってもなお生じる保険料未納により、介護保険財政の収入が不足した場合は、不足額の 2分の 1を交付、②見込みを上回る給付費の増大により介護保険財政に不足を生じた場合は、必要な資金の貸与を行う。


▢ 150.市町村は財政安定化基金より借り入れた資金を第 1号保険料を財源として返済する。


財政安定化基金の財源は、国、都道府県、市町村が3分の1ずつ負担する。市町村の負担分は第 1号保険料で賄われる。市町村は、財政安定化基金から借り入れた場合、当該借入金の償還費用を第 1号保険料に算入し、二年間で分割返済する。貸付は無利子である。



介護保険審査会・審査請求・雑則


▢ 151.介護保険審査会は、要介護認定等にかかる審査請求事件を審理・裁決する。


介護保険における不服申立は、知事の付属機関である介護保険審査会で受理され、保険給付に関する処分やその他の処分について、審査 ・裁決が行われる。
要介護認定等にかかる処分については公益代表委員からなる合議体 (委員の定数は都道府県で定める数)が取り扱い、その他の処分にかかる審査請求事件は会長を含む公益代表委員、被保険者代表委員、市町村代表委員の各3人からなる合議体において取り扱う。


▢ 152.審査請求の裁決後でなければ、行政訴訟を起こすことはできない。


審査請求の対象となる処分の取消を求める訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、裁判所に対して提起することができない。ただし、審査請求があった日から3か月を経過しても裁決がない等の一定の事由では、裁決を経ないで、処分取消の訴えを提起することができる。


▢ 153.厚生労働大臣には、報告徴収等の権限が認められている。


厚生労働大臣には、①市町村の介護保険事業実施状況に関する報告、②都道府県等の事業者・施設、介護支援専門員等に関する報告、③医療保険者の介護給付費・地域支援事業支援納付金に関する報告徴収の権限がある。①③は、都道府県にも認めらねている。それに対し、市町村長は、介護保険事業の実施状況について厚生労働大臣に報告義務を負っている。


▢ 154.被保険者の市町村に対する介護給付費請求権等は、2年の消滅時効にかかる。


介護保険法は、①保険料、介護給付費・地域支援事業支援納付金その他介護保険法の規定による徴収金を徴収する権利、②①の徴収金の還付を受ける権利、③介護保険の保険給付を受ける権利は、2年の消滅時効にかかると定めている。被保険者の市町村に対する介護給付費請求権も、③の「介護保険の保険給付を受ける権利」にあたるので、2年の経過により時効消滅する。



ケアマネジメントとその基本理念


▢ 155.介護支援サービス (ケアマネジメント)は、要介護者等が利用しやすく、適切なサービスを受けられるように支援する仕組みである。


要介護者等に対し、個々の解決すべき課題 (ニーズ)や状態に即した利用者本位の介護サービスが適切かつ効果的に提供されるよう、保健・医療・福祉等のサービスを総合的、一体的、効率的に提供する手法が介護支援サービス (ケアマネジメント)である。


▢ 156.介護支援サービスは高齢者に対する社会的支援であり、高齢者自身による選択によらなければならない。


介護保険制度はその給付を通じて、日常生活に介護を必要とする高齢者やその家族の希望を尊重して、その人らしい、質の高い生活を送ることができるように、社会的な支援をすることを目的としている。サービスを選択するのは、あくまで高齢者自身であり、専門職が連携して、地域で、高齢者とその家族を支援するケアマネジメントの仕組みを確立していくことを目指している。


▢ 156.ケアマネジメントは、4つの各過程とその循環から成り立つ。


ケアマネジメントは以下の過程をたどり、新たな課題(ニーズ)があれば再度アセスメントに戻る。
①課題分析(アセスメント)、②介護サービス計画(ケアプラン)作成、③サービス事業者等との調整・仲介、④サービスの継続的な把握(モニタリング)・評価


▢ 157.介護支援サービスでは、市民の幅広い参加と民間活力の活用が求められる。


介護を受けながらも地域で自立した生活を送るためには、フォーマルな介護保険等のサービスに加えて、近隣の住民、地域社会における市民のインフォーマルなサービスのネットワークの活用が不可欠である。また、高齢者介護は単なる社会福祉ではなく、高齢者自身も含めた、社会全体で支え合う制度でなくてはならない。


▢ 158.介護保険における高齢者ケアの原則は、①自己決定の尊重、②自立支援、③生活の継続性の支援である。


介護保険は高齢者が利用しやすく、適切な介護サービスが円滑かつ容易に手に入れられるような利用者本位の仕組みとし、高齢者自身がサービスを自己決定することを基本としている。介護支援専門員は高齢者が自らの生き方を自分の責任で選択し、質の高い生活が送れるよう専門的に支援する。


▢ 159.高齢者介護においては、家族への支援も必要である。


要介護者・要支援者の家族は重要な社会資源であり、介護の中心を担っているため、身体的・精神的にも負担が大きい。介護支援専門員をはじめとする居宅サービス事業の担当者は家族関係の調整、家族の健康面や自己実現にも配慮し、支援していく必要がある。



介護支援専門員


▢ 160.介護支援専門員は、フォーマルサービスとインフォーマルサービスの連携を図ることが求められる。


介護支援専門員は、利用者の生活状況を総合的に把握し、二一ズに応じたサービスを提供できるように、利用者やその家族、サービス提供事業者等との調整・仲介の役割が期待されている。介護支援専門員は、制度の運用、保健・医療・福祉サービスに関する幅広い知識 、フォーマル・インフォーマルな支援の活用等を理解しておく必要がある。


▢ 161.介護支援専門員の登録は、実務研修を行った都道府県知事に申請する。


厚生労働省令で定める一定の実務経験を有する者が、実務研修受講試験に合格し、実務研修を修了すると、介護支援専門員として都道府県知事の登録を受ける。ただし、欠格事由 (成年被後見人や被保佐人である、禁錮以上の刑に処せられている者、登録申請前 5年以内に居宅サービス等について不正を行った者、登録消除処分を受けてから5年が経過しない者等)があると登録できない。


▢ 162.介護支援専門員は、関係者から請求があったときは、介護支援専門員証を提示する義務がある。


登録を受けている介護支援専門員は、都道府県知事に対して介護支援専門員証の交付を申請することができ、その業務を行うにあたって関係者から請求があったときは、介護支援専門員証を提示しなければならない。さらに、登録が消除された場合や介護支援専門員証が効力を失った場合は、速やかに返納する義務がある。


▢ 163.介護支援専門員証には、5年の有効期間がある。


介護支援専門員証の有効期間 (原則 5年)は、申請により更新できる。その際、更新研修を受講する必要がある。ただし、介護支援専門員の業務に従事し、都道府県知事指定の研修課程を修了した場合、更新研修を受けずに更新することができる。


▢ 164.介護保険法には、介護支援専門員の義務が規定されている。


介護支援専門員の義務
①公正・誠実な業務遂行義務、②基準遵守義務、③資質向上の努力義務、④介護支援専門員証の不正使用の禁止、⑤名義貸しの禁止、⑥信用失墜行為の禁止、⑦秘密保持義務


▢ 165.都道府県知事・指定都市の長は、介護支援専門員に対して指示等を行うことができる。


都道府県知事・指定都市の長は介護支援専門員に対して、業務について報告を求めることができる。「公正・誠実な業務の遂行」「基準遵守」の義務違反があれば、必要な指示や指定する研修を受けるように命令できることができ、従わない場合は 1年以内の業務禁止処分ができる。
介護支援専門員への指導権限は、2018(平成30)年4月1日から、指定都市に限り都道府県から移譲された。


▢ 166.都道府県知事は、介護支援専門員に対して登録を消除することができる。


都道府県知事は、申請により介護支援専門員に対して登録を消除できる (廃業や本人死亡等)。 また、義務違反、業務報告命令に対しての報告拒否や虚偽報告、指示や研修命令違反等の場合、職権による登録の消除ができる。


▢ 167.介護保険施設では、介護支援専門員の配置が義務づけられている。


介護支援専門員の配置が義務づけられるのは、居宅介護支援事業所、介護保険施設、特定施設、グループホーム、小規模多機能型居宅介護施設などである。


▢ 168.介護支援専門員は、公平性を持たなければならない。


介護支援専門員は、利用者と支援者の関係の公平性を維持していかなければならない。利用者との関係を構築していく上で援助関係を逸脱しないよう心がけておく必要がある。医療、介護などの社会的サービスの公平な利用も必要である。限られた社会的サービスや社会資源は、利用者間で公平に利用できるように考慮しなければならない。


▢ 169.介護支援専門員は、職業人としての支援者であり、専門的援助関係の上に成り立っている支援者である。


介護支援専門員は、要介護者等にとって良き隣人、良き友人としての相談相手ではない。介護支援専門員は社会的責任をもって活動しなければならず、具体的には、どの要介護者等に対しても個別性に最大の配慮をした的確な支援をしなければならない。


▢ 170.介護支援専門員は、中立性を保持しなければならない。


利用者やその関係者の間では、意見の対立が生じることがある。介護支援専門員は、中立の立場を保持する必要がある。また、利用者が必要とするサービスを提供する機関との関係においても、中立を保つ必要がある。介護支援専門員は利用者のニーズに合わせた支援を行い、属する機関や関連する居宅サービス事業者の利益につながるように働くことのないようにする。


▢ 171.介護支援専門員は、①自立支援、②ノーマライゼーションとクオリティ・オブ・ライフ、③生涯発達の基本視点を持つ。


高齢者介護では、高齢者自らの意思に基づき自立した質の高い生活を送ることができるよう自立支援をすることが求められる。それには、あらゆる人が普通に生活できる地域社会をつくるノーマライゼーションや高齢者の生活の質を高めるクオリティ・オブ・ライフの考えに基づくことが必要である。また、人間は生涯発達する存在ととらえることができ、高齢者は尊敬される存在である。


▢ 172.ケアマネジメントでは、要介護者等とその家族等に提供される複数のサービスが、混乱なく、効果的に機能するよう調整する。


介護支援専門員は、要介護者等が求めている生活が可能になるように、多様なサービスの利用を調整し、サービス利用による生活の変化の状況を見守り続ける役割を果たすことが期待されている。


▢ 173.居宅サービス計画に基づくサービス実施状況のモニタリングと計画の修正が必要である。


居宅サービス計画の実施状況を全体像として把握し、必要に応じて居宅サービス計画の修正をチームメンバーに働きかけるのは、介護支援専門員の役割である。少なくとも 1か月に 1度、利用者宅を訪問し、モニタリングを行う。モニタリングの内容は記録しなければならない。


▢ 174.介護支援専門員は、利用者に関する情報等をサービス担当者に提供しつつも、秘密保持の責任がある。


原則としてサービス担当者はすべての情報を共有するが、提供する情報の内容と範囲を定めるのは介護支援専門員である。情報の提供手段は問わず、電子メール等でも可能であるが、情報管理については注意が必要である。


▢ 175.介護支援サービスの記録は、要介護者単位で作成される。


記録として含まれるものは以下のようなものである。
①サービス利用者本人・世帯の概要票 ②サービス利用者に関する情報と資料およびその情報源 ③課題分析と居宅サービス計画等作成の過程と内容 ④モニタリングの記録 ⑤関係者間の連絡・調整の記録 ⑥提供したサービスに関する苦情 ⑦介護支援専門員が受けたスーバ
ービジョンの記録



居宅介護支援


▢ 176.居宅介護支援の過程は、 ①居宅サービス計画の作成、②居宅サービス計画の実施、③継続的な管理および再課題分析である。


要介護者等およびその家族の実情を整理しアセスメント (課題分析)を した上で、居宅サービス計画の原案が作成され、サービス担当者会議で協議され、要介護者等の同意を得て居宅サービス計画が作成される。それを実施する過程では実施するサービスに応じた個別の援助計画が立てられ、それぞれのサービスのモニタリングを通じて、必要に応じて再アセスメントが行われる。


▢ 177.介護支援専門員は、解決すべき課題の把握にあたり、利用者の居宅を訪問し、利用者およびその家族に面接を行う。


介護支援専門員は解決すべき課題を把握するため、利用者の居宅を訪問して利用者およびその家族に面接を行う。客観的な課題分析を行う目安として課題分析票が示されている。その中には、基本情報に関する項目、課題分析に関する項目 (ADL、 身体的・精神的健康、社会関係、経済状況、住生活環境、ケア提供者の状況等)が含まれる。


▢ 178.介護支援専門員の作成した居宅サービス計画の原案は、サービス担当者会議を経て修正され、完成する。


居宅サービス計画作成の手順
①アセスメント:生活課題を分析し、必要な援助を明らかにする
②居宅サービス計画の原案作成: 介護支援専門員は目標を設定し援助内容を決め、居宅サービス計画原案の作成を行う
③サービス担当者会議開催:要介護者等、家族および各サービス担当者が出席 して、計画原案を検討する
④居宅サービス計画の修正:計画の修正が行われる
⑤居宅サービス計画の完成:利用者等の同意を得て、サービス計画が完成する


▢ 179.医療系サービスを居宅サービス計画に位置づけるには、主治の医師等の指示を確認しなければならない。


医療系サービスについては、主治の医師等が必要とした場合のみ、居宅サービス計画に位置づけることができる。介護支援専門員は、主治の医師等の指示を確認しなければならない。また、利用者が希望している場合には、利用者に同意を得た上で、主治の医師等の意見を求めなければならない。


▢ 180.介護支援専門員は、サービス担当者会議を開催し、居宅サービス計画の原案について担当者から意見を求める。


介護支援専門員の作成した居宅サービス計画の原案についてサービス担当者会議にて各々の立場から意見を述べ、修正していくことで、より要介護者に適切な計画を立案できる。居宅サービス計画については、利用者またはその家族に対して説明し、文書により同意を得なけねばならない。


▢ 181.実施された居宅サービス計画は、少なくとも月に 1回モニタリングを行い、必要に応じ再課題分析される。


居宅サービス計画が実施されてから、少なくとも月に1回 のモニタリングを行う。居宅サービスが適切に実施されているかどうか、目標が達成されているか、個々のサービス・サポートの内容が適切であるか、新たな生活課題が生じていないか、などを確認し、必要に応じて計画の修正・変更を行う。


▢ 182.居宅介護支援事業所は、市町村長の指定を受ける。


指定居宅介護支援事業所は、市町村長に申請を行い、その指定を受けたものをいう。指定は事業所ごとの指定であり、サービスの種類ごとの指定はない。
従来、居宅介護支援事業所の指定・指導監督等は、都道府県知事の権限であったが、2018(平成 30)年 4月 1日 より、市町村長に移譲された。


▢ 183.居宅介護支援事業所には、管理者として常勤の主任介護支援専門員を置かなければならない。


居宅介護支援事業者は事業所ごとに 1人以上の常勤の主任介護支援専門員を置かなければならない。また、利用者の数が35人またはその端数を増すごとに員数を1人増やさなければならない (増員は非常勤でも可)。 管理者は、介護支援専門員に居宅サービス計画作成の業務を行わせる。


▢ 184.居宅介護支援事業者は、正当な理由なく居宅介護支援の提供を拒んではならない。


正当な理由として認められるものとしては、①当該事業所の現員からは利用申込みに応じきれない場合、②利用申込者の居住地が当該事業所の通常の実施地域外である場合、③利用申込者が他の居宅介護支援事業者にも併せて居宅介護支援の依頼を行っている場合、などである。サービスを提供できない場合は、他の事業者を紹介しなければならない。


▢ 185.地域ケア会議から個別のケアマネジメントの事例の提供の求めがあった場合には、協力するよう努める。


地域包括ケアシステムの構築を推進するため、地域ケア会議が介護保険法上に位置づけられ、会議から資料または情報の提供の求めがあった場合には、関係者等はこれに協力するよう努める。なかでも、居宅介護支援事業者はより積極的に協力することが求められている。


▢ 186.居宅介護支援事業者は、利用者の受給資格等を確認する。


居宅介護支援事業者は、サービスの提供に際し、利用者に被保険者証の提示を求め、以下の点を確認しなければならない。
①被保険者資格
②要介護認定等の有無
③要介護認定等の有効期間


▢ 187.居宅介護支援事業者は、要介護認定等の申請にかかる援助を行う。


居宅介護支援事業者は、被保険者の要介護認定にかかる申請について、利用者の意思を踏まえ、必要な協力を行う。利用者は、居宅介護支援事業者に申請の代行を依頼できる。
利用者の要介護認定等の更新申請においても必要な援助を行う。要介護認定の更新は、有効期間満了の日の60日前から満了日までに申請を行うことができる。


▢ 188.居宅介護支援事業者は、介護支援専門員に身分証を携行させなければならない。


利用者が安心してサービスを受けることができるように、居宅介護支援事業所に属する介護支援専門員は介護支援専門員証を携行して初回訪問時または利用者・家族から求められた場合はこれを提示する。


▢ 189.居宅介護支援の開始に際しては、重要事項を記した文書を交付し、説明を行う。


居宅介護支援事業者は、居宅介護支援の提供を開始する前に、運営規程の概要や重要事項を記した文書を交付して、あらかじめ利用者や家族に十分に説明し、同意を得た上でサービスを提供しなければならない。また、利用者は居宅サービス計画を作成する居宅介護支援事業所が決まり次第、市町村に届出をする。


▢ 190.利用者からの苦情処理は、迅速かつ適切に対応しなければならない。


提供した居宅介護支援や計画に位置づけた居宅サービス等に対する利用者やその家族からの苦情には迅速かつ適切に対応しなければならない。その苦情の内容は、記録しておく。利用者の苦情に関して、市町村や国保連が行う調査には協力するとともに指導または助言を受けた場合は必要な改善を行う。


▢ 191.事故発生時は、速やかに対応しなければならない。


居宅介護支援の提供により事故が発生した場合には、速やかに市町村、利用者の家族に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。事故の状況および事故に際してとった処置については記録して、2年間は保存しなければならない。


▢ 192.居宅介護支援事業者は、諸記録を整備 しておかなければならない。


居宅介護支援事業者は、従業者、設備、備品および会計に関する記録を整備しておかなければならない。また、利用者に対する居宅介護支援の提供に関する記録を整備し、その完結の日から2年間保存しなければならない。①居宅サービス事業者等との連絡調整に関する記録、②居宅介護支援台帳 (居宅サービス計画、アセスメント結果、サービス担当者会議の記録、モニタリングの結果)、 ③市町村への通知に係る記録、④苦情の内容等の記録、⑤事故の状況等についての記録


▢ 193.居宅介護支援事業者は、中立・公正でなければならない。


居宅介護支援事業所の介護支援専門員は、利用者に対して特定の居宅サービス事業者等によるサービスを利用するように指示等を行ってはいけない。また、居宅サービス計画の作成や変更において、特定の居宅サービス事業者等によるサービスを利用させることの対償として、居宅サービス事業者等から金品その他の財産上の利益を収受してはならない。


▢ 194.居宅介護支援事業者は、他のサービス事業者などとの連携に努めなければならない。


居宅介護支援事業者は、市町村、地域包括支援センター、老人介護支援センター、他の居宅介護支援事業者、介護予防支援事業者、介護保険施設などとの連携に努めなければならない。また、入所希望があれば、介護保険施設への紹介やその他の便宜の提供を行う。


▢ 195.要介護者が居宅サービス計画作成を受けたときには、居宅介護支援費が支給される。


要介護者が居宅介護支援を受けると、居宅介護支援費が支給される。居宅介護支援費は 10割給付で、利用者負担はない。居宅介護支援費には、適切な事業運営を行うことや介護支援専門員の業務を勘案 し、初回加算、特定事業所加算、認知症加算や、運営基準減算等の加算 ・減算がある。



介護予防支援


▢ 196.介護予防支援事業者は、保健師その他の介護予防支援に関する知識を有する職員を置かなければならない。


介護予防支援においては、保健師その他の介護予防支援に関する知識を有する職員を、当該指定に係る事業所ごとに 1人以上置かなければならない。保健師、介護支援専門員、社会福祉士、経験ある看護師、相談業務に3年以上従事した社会福祉主事である。また、常勤の管理者を置くことになっているが、支障がなければ、その者は他の職務や地域包括支援センターの職務に従事できる。


▢ 197.介護予防支援のポイントは、生活の質の向上と利用者の自立の可能性を最大限に引き出すことである。


介護予防支援の提供にあたっては、利用者の意欲が高まるための適切な働きかけが求められる。また、利用者ができないことを単に補ったり、利用者のできる能力を阻害するようなサービス提供は避ける。


▢ 198.介護予防支援事業の運営等の基準は、基本的に居宅介護支援の基準と同様である。


基本方針、人員に関する基準、運営に関する基準等は「指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」に定められている。基本的には居宅介護支援の基準と同様である。


▢ 199.介護予防支援事業者は、委託した居宅介護支援事業所が作成した介護予防サービス計画書原案を確認する必要がある。


委託を行ったとしても、介護予防支援にかかる責任主体はあくまでも介護予防支援事業者であるため、委託を受けた居宅介護支援事業所が介護予防サービス計画原案を作成した場合、評価を行った場合には、確認を行う必要がある。


▢ 200.担当職員は、必ず利用者の居宅を訪問し、利用者および家族に面接して課題の把握を行う。


担当職員は居宅を訪問し、面接を行い、課題の把握を行う。課題分析では、利用者の有する生活機能や健康状態、環境を把握した上で、①運動・移動、②家庭生活を含む日常生活、③社会参加並びに対人関係およびコミュニケーション、④健康管理の各領域ごとの問題点を明らかにし、計画を作成する。


▢ 201.介護予防支援では、目標志向型の介護予防サービス計画を策定する。


介護予防支援は、利用者の介護予防に資するよう行われるとともに、医療サービスとの連携に十分配慮して行わなければならない。介護予防の効果を最大限に発揮し、利用者が生活機能の改善を実現するための適切なサービスを選択できるよう、目標志向型の介護予防サービス計画を策定する。担当職員は、介護予防サービス計画を作成した際には、当該サービス計画を利用者および担当者に交付しなければならない。


▢ 202.主治医等の指示がある場合に限り、介護予防サービス計画に医療サービスを位置づけることができる。


担当職員は、医療サービスを介護予防サー ビス計画に位置づける場合には、利用者の同意を得て主治の医師等の意見を求める。介護予防サービス計画 に医療サービスを位置づけるためには、主治の医師等の指示が必要である。
医療サービス
①介護予防訪問看護、②介護予防訪問リハビリテーション、③介護予防通所リハビリテーション、④介護予防居宅療養管理指導、⑤介護予防短期入所療養介護


▢ 203.介護予防のモニタリングは、サービスの期間終了月と、サービス提供をした月の翌月から起算して 3か月に 1回行う。


介護予防では、担当職員は、実施状況の把握 (モニタリング)を著しい変化がなければ原則として 3か月に 1回、利用者の居宅で面接で行う。利用者の事情でできない場合には、サービス事業者等の訪問、利用者へ電話で実施状況を確認する等を行う。利用者宅を訪問しない月でも、介護予防サービス計画の実施状況について確認を行い、1か月に 1回 は結果を記録しなければならない。


施設介護支援


▢ 204.介護保険施設の人員・設備・運営基準は、厚生労働省令から都道府県の条例に委任されている。


介護保険施設の人員・設備・運営基準は、都道府県の条例に委任されている。ただし、厚生労働省による基準(基準省令)は引き続き定められ、強い順に「従うべき基準」「標準」「参酌すべき基準」の3類型に分かれている。都道府県知事は、基準省令をもとに、介護保険施設の人員・設備・運営基準を条例で定める。


▢ 205.施設サービス計画は、計画担当介護支援専門員が作成する。


常勤専任の介護支援専門員 を計画担当介護支援専門員という。計画担当介護支援専門員は、課題分析標準項目に準拠した方式の課題分析票 (アセスメント表 )を用いて、課題分析した上で、施設サービス計画を作成する。施設サービス計画書には、生活全般の解決すべき課題 (二一ズ)、目標 (長期目標、短期目標)、 援助内容 (サービス内容)等が示される。


▢ 206.施設介護支援サービスでは、月 1回のモニタリングやサービス担当者会議の開催・記録等の義務がない。


施設介護支援サービスにおいては、居宅介護支援と異なり、月 1回のモニタリング、サービス担当者会議の開催・記録、サービス担当者への専門的意見の照会、ケアプランの交付等の頻度に関する義務規定がない。ただし、適切に個別の状態を判断し、常に見直しを行いながら、必要時にはモニタリングや再アセスメントを行わなければならない。


▢ 207.施設サービス計画は基本計画 (マスター・プラン)として、個別援助計画との整合性をもたせるようにしなければならない。


施設サービス計画は、利用者が施設の生活を構築していくための指針となる。その状況を把握し、利用者や家族の意向を踏まえた上で利用者と共に作成する。施設サービス計画は、施設の日課や業務を優先させるようなものとなってはいけない。個別援助計画が作成される場合、施設サービス計画は基本計画 (マスター・プラン)として位置づけされ、整合性をもたせるように配慮する。


▢ 208.施設では、専門職がその専門性ごとに個別援助計画を作成する。


施設では、さまざまな専門職が共働して、利用者の生活援助を している。基本計画に基づき、専助計画を作成 し、専門性を生かしたサービスを行う。基本計画と個別援助計画を混同しないようにする。


▢ 209.介護保険施設のサービス利用にあたっては、入所者に対して重要事項を記した文書を交付しなければならない。


介護保険施設では、サービス提供の開始に際して、入所申込者またはその家族に対し、重要事項 (施設の運営規程、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理体制等)が書かれた説明書やバンフレット等の文書を交付して説明を行い、提供の開始について入所申込者の同意を得なければならない。


▢ 210.施設サービスを提供するにあたっては、入所者の受給資格を確認する。


施設サービスを提供するにあたっては、入所者の被保険者証により、①被保険者資格、②要介護認定の有無、③要介護認定の有効期間を確かめなければならない。介護認定審査会の意見が記載されているときには、これに配慮してサービス提供を行う。


▢ 211.介護保険施設は、要介護認定の申請にかかる援助をする。


入所申込者が要介護認定を受けていないことを確認した場合には、申請を行っているか確認し、申請が行われていなければ、速やかに申請が行われるように必要な援助をしなければならない。入所者の要介護認定の更新の援助も行わなければならない。


▢ 212.介護保険施設では、必要性が高い順に優先的に入所させることができる。


介護保険施設は、原則として入所申込に対して応じなければならず、要介護度や所得の多寡を理由にサービス提供を拒否することはできない。入所を待っている申込者がいる場合には、入所して施設介護サービスを受ける必要性が高い順に優先的に入所させることができる。
提供を拒むことができる正当な理由は、入院治療の必要がある場合、入所者に対し適切な施設サービスを提供することが困難な場合等である。


▢ 213.介護保険施設は、居宅介護支援事業者と連携して退所者の援助を行う。


入所者の生活環境を勘案して居宅での介護が可能と判断される場合には、必要な援助を行わなければならない。そのためにも、居宅介護支援事業者、保健・医療・福祉サービス提供者と連携し、また退所時等にはその旨の情報を提供しなければならない。ただし、施設側の理由により退所を促してはならない。


▢ 214.介護保険施設は、サービス提供の記録を 2年間保存しなければならない。


入所に際しては、入所の年月日並びに入所している介護保険施設の種類、名称を、退所に際しては退所の年月日を、当該者の被保険者証に記載しなければならない。サービス提供の当該記録はその完結の日から2年間保存しなければならない。


▢ 215.介護保険施設における居住費、食費、生活費は、利用者の自己負担となる。


介護保険施設は、利用料の一部として、介護報酬に定める額から、施設介護サービス費分を除いた額の支払いを入所者から受ける。また、介護保険施設における居住費、食費は保険給付対象外であり、利用者の自己負担となる(低所得利用者には負担軽減措置がある)。


▢ 216.日常生活費は保険給付のものと重複せず、入所者の選択によるものでなければならない。


入所者の希望による身の回りの品物で施設から提供する物 (歯ブラシ、化粧鴨、シャンプー、タオルなど)や私物の洗濯代など、実費相当の額を利用者から受け取ることができるが、あくまでも保険給付のものと重複しない、入所者の選択によるものでなければならない。入所者の選定による特別な居室の提供の費用、特別な食事の費用、理美容代、その他日常生活においても通常必要となる費用等は別に支払いを受ける。


▢ 217.介護保険施設では、施設サービス計画に基づいてサービスを提供する。


施設サービス計画の原案は計画担当介護支援専門員が作成する。施設サービス計画は課題分析、サービス担当者会議を経て、作成される。利用者に説明し、文書により同意を得て、サービス提供される。施設サービス計画は、入所者に交付される。施設サービス計画を実行に移した後は、定期的に入所者と面接を行うなど、モニタリングを行わなければならない。



介護支援専門員 
第2章 保健医療福祉サービス分野
保健医療サービスの知識等




バイタルサインと検査


☐ 1.高齢者は、34℃以下の低体温状態となることがある。


体温は日内変動があり、通常夕方に高く、朝方最も低くなる。発熱は病気の指標となり、まずは感染症を疑うが、脱水症や膠原病など他の疾患が原因のこともある。ただし、高齢者が解熱鎮痛剤を使用している場合、発熱がみられないこともあるので、注意が必要である。また、高齢者は栄養失調や中枢性の病気などのために起こる低体温が問題になる場合がある。


☐ 2.高齢者は本態性高血圧症が多い。


血圧は通常上腕動脈の血圧を指し、安静時に測定する。運動、体位変換、食事、入浴、気温などで容易に変化する。最高血圧 140mmHg以上、あるいは最低血圧90mmHg以上 (2回以上外来診療時の条件で)が高血圧とされる。高齢者は直接の原因がはっきりしない本態性高血圧症が多い。
体温、血圧、脈拍 (さらに呼吸を加えることもある)をバイタルサインといい、健康状態を把握する目的で測定される。


☐ 3.高齢者は、頻脈も徐脈も注意が必要である。


脈拍は 60未満を徐脈、100以上を頻脈という。頻脈は発熱、心疾患、炎症、脱水の際などにみられ、徐脈は脳障害などで脳圧が亢進した場合などにみられる。不整脈は脈のリズムが乱れているもので、高齢者においては頻度が高くなる。高齢者に増える心房細動は心内血栓を形成しやすく、心原性脳塞栓をきたすことが多いので、注意が必要である。


☐ 4.一般的な高齢者の 1分間あたりの呼吸数は、おおよそ 15~20回である。


一般的な高齢者の 1分間あたりの呼吸数は、おおよそ15~20回で、1回の換気量は一般成人と変わらない。1分間に呼吸数が 25回以上で 1回の換気量が減るものを頻呼吸、1回の呼吸換気量が多いものを過呼吸という。


☐ 5.身長の短縮がみられる場合、骨粗しょう症が起きているおそれがある。


高齢者の健康状態や疾患の発見のため、定期的な身長測定を行う。身長の短縮は、骨粗しょう症の早期発見の手がかりとなり、特に女性に多くみられるので注意する。


☐ 6.アルブミンは、栄養状態の指標となる。


総たんぱく (TP)は血清中に含まれるたんぱくの総称であり、低値を示すとたんぱくの栄養状態が悪いと推定できる。低栄養、吸収障害、水分の貯留等で低値を示す。総たんぱくはアルブミンとグロブリンからなる。特にその約 60%を占めるアルブミン (Alb)は 、内臓のたんぱくや、たんぱくの摂取状態を反映するので、高齢者の栄養状態の指標となる。
総たんぱく (TP): 高齢者の正常下限 6.0g/dl
アルブミン (Alb):3.9g/dl以下で低栄養2.5g/dl以下で浮腫を起こす

☐ 7.脂質異常症は、動脈硬化の危険因子である。


動脈硬化を予防するために生活習慣の改善や治療が必要となるのは、総コレステロール220mg/dL以上、LDLコレステロール140mg/dL以上とされている。また、HDLコレステロールは動脈硬化を予防することから、40mg/dL未満が異常値とされている。
最近では、nonHDLコレステロール値 (総コレステロール値からHDLコレステロール値を引いたもの)を脂質異常症の指標として用いることもあり、150mg/dL以上の場合は問題とされる。


☐ 8.高齢者は耐糖能が低下することが多く、食後に血糖値が上昇しやすい。


空腹時の血糖値が 110mg/dL以上のものを耐糖能低下といい、200dL以上になると糖尿病とされる。また、HbA1c(糖化ヘモグロビン)の値は過去 1~2か月間の平均的な血糖レベルを反映するため、血糖値とHbA1cを併せて測定するとよい。


☐ 9.AST(GOT)、ALT(GPT)は、肝機能の指標である。


AST (GOT)、 ALT(GPT)は肝臓や筋肉に多く存在し、肝機能の指標となる酵素である。肝炎、肝硬変、肝がんなどで上昇する。 心筋梗塞、運動などでも上昇する。γ-GTPが上昇した場合は脂肪肝やアルコール性肝炎が疑われる。


☐ 10.尿素窒素 (BUN)、 クレアチニン (Cr)は腎機能の指標である。


尿素窒素 (BUN)はたんぱく質の代謝の産物であり、クレアチニン (Cr)とともに腎機能の指標とされる。腎障害があると、これらの値は上昇する。腎臓の糸球体における濾過機能を調べるにはクレアチニンクリアランス値を求める。
高齢者の腎機能:高齢者は腎機能の低下から薬剤の作用が強く現れることがある。


☐ 11.電解質 (Na、K、Cl)のバランスは、非常に厳格に保たれている。


電解質として測定されるのは、ナトリウム (Na)、 カリウム (K)、 クロール (CI)である。体内の恒常性を維持するための電解質は非常に厳格に保たれており、電解質の異常は直ちに病変であるといえる。腎機能低下時、脱水症、熱中症などで異常値となる。


☐ 12.炎症があると、C反応性たんぱく(CRP)は上昇する。


C反応性たんぱく (CRP)は 、感染症などの炎症がある場合に上昇する検査値であり、炎症の指標とすることが多い。クレアチンキナーゼ (CKまたはCPK)は筋肉等に存在する酵素で、心筋梗塞などで上昇する。


☐ 13.赤血球数 (RBC)、ヘモグロビン濃度(Hb) 、ヘマトクリット値(Ht)は、年齢とともに低下する。


血液検査
赤血球数 (RBC)・Hb濃度・Ht値:貧血の指標ー加齢に伴い低下傾向、貧血で低値を示す
白血球数 (WBC) :炎症の指標ー感染症や白血病で高値を示す、再生不良性貧血や薬剤で低値を示す
血小板数 (Plt):血液凝固の指標ー血小板減少症や血液疾患で低下し出血傾向、血小板増多症で脳梗塞


☐ 14.胸部レントゲン検査により、呼吸器疾患、心臓疾患の有無が判断できる。


胸部レントゲンの読影は、肺炎、肺気腫、肺結核、肺がん、心疾患の診断に利用される。施設入所者に対しては、1年に1度程度の定期的な胸部レントゲン検査が望ましい。断層検査、CT 、アイソトープなどのさらに詳しい検査も必要に応じて行う。


☐ 15.心電図は、循環器系疾患の診断に有用である。


心電図は不整脈、狭心症、心筋梗塞などの循環器系疾患の診断には欠かせない検査となる。24時間心電図の変化をみられるホルター心電図や、負荷心電図などがある。さらにエコー検査 (超 音波診断)などと組み合わせて判断される。


☐ 16.高齢者では、一般に、呼吸器機能が低下する。


高齢者は肺活量や 1秒量が減少し、残気量は増加する。また、努力性肺活量 (FVC)、 1秒率は減少傾向となる。80歳以下では 1秒率が 70%以下になると異常と考える。喫煙は1秒率を低下させる。
パルスオキシメータ:在宅酸素療法等において、呼吸不全の指標として、パルスオキシメータによる動脈血の酸素飽和度が測定される。



高齢者の特徴と高齢期の疾病・障害


☐ 17.老年症候群とは、加齢により生活機能や生活の質 (QOL)を低下させる症状・病態の総称である。


老年症候群として扱われる症状・病態として、低栄養、食欲不振、脱水、不眠、嚥下障害・誤嚥、手足のしびれ、認知機能障害、意識障害・せん妄、歩行障害、感覚器障害、変形性関節症、骨粗しょう症、褥瘡、尿失禁、抑うつ、廃用症候群 (生活不活発病)、 フレイル、サルコペニアなどがある。


☐ 18.フレイルとは、加齢により心身機能が低下し、筋力や活動が低下している虚弱状態をいう。


フレイルは、①体重減少、②疲れやすい、③身体活動レベルの低下、④握力低下、⑤歩行速度低下の 5つの要素のうち、3つ以上該当するものをいう。ただし、適切な支援により、生活機能を維持 ・向上させることが可能である。


☐ 19.サルコペニアは、加齢に伴う筋力の低下や筋肉量の減少を意味し、筋肉減弱症ともいわれる。


狭義では筋肉量の減少したものを、広義では筋力低下や身体機能低下が含まれたものをサルコペニアと呼んでいる。サルコペニアは、①四肢の骨格筋量、②握力、③歩行速度によって判定される。
サルコペニアは、ギリシャ語の筋肉 (sarco:サルコ)と 、減少(penia:ぺニア)を合わせた造語である。


☐ 20.生活不活発病 (廃用症候群)は、運動や日常生活の活動低下などによって生じる身体的・精神的機能の全般的低下をいう。


生活不活発病 (廃用症候群)は、フレイルが進行したものといえ、具体的な原因としては、運動不足、寝たきり、不規則な生活習慣、交流の機会の減少などがある。また、廃用症候群になると、筋肉・骨組織の萎縮、関節の拘縮、心肺機能の低下などを生じる。


☐ 21.高齢者の疾患では、症状が非定型的であるという特徴がある。


高齢者 (特に 75歳以上の後期高齢者)では疾患の症状が非定型的になり、診断の基準となる症状や兆候がはっきりと現れないことが多い。たとえば、心不全でも呼吸困難がみられない、肺炎でも発熱や咳がみられないことがあるので、倦怠感や食欲不振などの非特異的な症状がみられた場合には、背後に重大な疾患がないか注意する必要がある。


☐ 22.高齢者は免疫機能が低下しているため、疾患が治りにくい。


高齢者は生体防衛力・免疫機能が低下しているため、疾患が治りにくいという特徴がある。そのほか、複数の疾患を併せ持つことが多い、慢性の疾患が多い、個人差が大きい、薬の副作用が出やすいなどの特徴がある。


☐ 23.脳血管障害は高齢者で頻度が高く、予防・再発予防が重要である。


脳血管障害
脳内出血:脳血管の動脈硬化が進展し、高血圧で動脈が破綻することで起こる。頭蓋内圧亢進症状とさまざまな高次脳機能障害がみられる
脳塞栓:心原性 (心臓で作られた血栓が脳に飛ぶ)が多く、心疾患の治療や動脈硬化の予防が必要である
くも膜下出血:脳動脈瘤が破裂 し、くも膜の下に出血が広がる疾患で、昼間や活動時に起こりやすい。突発性の激しい頭痛、嘔気・嘔吐、意識障害がみられる


☐ 24.狭心症には、「労作性狭心症」と「異型狭心症」がある。


狭心症は、動脈硬化により冠動脈が狭窄し、心筋の酸素供給が不足することで前胸部圧迫感等の発作が起こる。運動時に起こる「労作性狭心症」と、夜間・未明・睡眠中に冠動脈が攣縮して起こる「異型狭心症」がある。脂質異常症、高血圧、糖尿病、喫煙習慣、肥満等は、冠動脈疾患の危険因子である。


☐ 25.パーキンソン病の症状としては、振戦、筋固縮、無動、姿勢・歩行障害がみられる。


パーキンソン病は進行性の神経変性疾患であり、特定疾病である。①身体のぶるえ (安静時振戦)、 ②筋の硬さ (筋固縮、歯車現象)、 ③動作の遅さ、拙劣 (無動、仮面様顔貌)、 ④姿勢・歩行障害 (小刻み歩行)の 4つの運動症状がみられる。薬物療法が行われ、特にL-dopaが有効である。日常生活でのADLの低下や転任による骨折、頭部外傷の予防等が大切である。
L-dopaは数年使用すると有効時間が短縮し、また不随意運動 (ジスキネジア)や幻覚・妄想等の副作用がみられる。


☐ 26.筋萎縮性側索硬化症は、全身の骨格筋が萎縮し、進行すると四肢麻痺、呼吸麻痺に至る。


筋萎縮性側索硬化症 (ALS)は原因不明で、徐々に全身の骨格筋が萎縮していく。症状は運動歩行障害、嚥下障害、言語障害、進行すると四肢麻痺、摂食障害、呼吸麻痺により自立困難となる。知能や意識は末期までよく保たれる。介護保険における特定疾病である。


☐ 27.頭部外傷の 1~ 2か月後に、硬膜下血腫となることがある。


頭部外傷の後遺症で、細い静脈 から徐々に出血することによって硬膜下血腫ができることがある。血腫が圧迫することで、頭蓋内圧亢進症状等がみられる。
頭部外傷後 1か月以上してから症状が現れることがあるので、注意が必要である。


☐ 28.脊髄小脳変性症では、小脳性運動失調がみられる。


脊髄小脳変性症は、原因不明の神経変性疾患である。ろれつが回らない、上肢運動が拙劣になる、動作時に上肢が震える、歩行時のぶらつきなどの小脳性運動失調がみられ、日常生活を妨げる。介護保険における特定疾病である。


☐ 29.慢性閉塞性肺疾患の重症患者は、在宅酸素療法の適応となる。


慢性閉塞性肺疾患 (COPD)は 、肺気腫、慢性気管支炎の総称である。気道感染、肺炎等を契機として、急に呼吸不全を起こすので、感染予防・禁煙指導が重要である。特に、高齢者では、嚥下性肺炎や嫌気性菌による嫌気性菌による肺炎に注意する。根本的な治療法はなく、呼吸不全の場合に在宅酸素療法 (HOT)が行われる。
慢性閉塞性肺疾患では、口をすぼめて、息を吐くと呼吸が楽になる


☐ 30.高齢者は、十二指腸潰瘍より胃漬瘍が多い。


高齢者の消化性潰瘍では胃潰瘍が多い。その原因としては、ヘリコバクター・ピロリ菌による慢性胃炎や非ステロイド性消炎鎮痛剤による副作用が挙げられる。胃潰瘍は食後数十分の腹痛がみられるが、高齢者の場合、症状が乏しく、吐血や下血により発見されることも多い。なお、十二指腸潰瘍は、空腹時痛、夜間痛が一般的な症状である。


☐ 31.高齢者の肝疾患では、慢性肝炎や肝硬変が多い。


肝炎の原因は肝炎ウイルスが最も多く、薬剤、アルコール等でもみられる。肝炎ウイルスはA型、B型、C型などがあり、B型、C型が慢性肝炎を引き起こす。特にC型肝炎は慢性化しやすい。肝硬変は、肝細胞が破壊され続け肝臓の中の線維が増えていき、肝臓が働かなくなる状態である。原因としてはC型肝炎が最も多く、アルコールが原因であることは少ない。肝がんを合併することがある。


☐ 32.慢性腎不全の場合は食事療法と人工透析療法が行われる。


慢性腎不全は腎機能に不可逆的な低下が起こる疾病である。たんぱく質、水分、塩分、カリウムなどを厳しく制限した高カロリー食が食事療法として行われ、専門的な援助が必要となる。進行すると人工透析療法の適応となる。慢性腎不全は、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎などが原因として多い。急性腎不全は緊急性が高い疾患で、脱水、心不全、薬剤 (抗生剤、鎮痛剤、利尿剤等)が原因となる。


☐ 33.高齢者の糖尿病は2型糖尿病が多く、食事療法、運動療法、薬物療法を組み合わせて治療する。


高齢者の糖尿病はインスリン作用の相対的な不足が生じている 2型糖尿病が多い。治療は食事療法、運動療法を行い、それでも血糖コントロールができない場合には薬物療法を行う。
糖尿病は三大合併症である、神経症、網膜症、腎症に注意する必要がある。


☐ 34.帯状疱疹では、痛みを伴う水疱がみられる。


帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によって起こるウイルス感染症である。水痘に罹患したときのウイルスが潜伏していて免疫能が低下すると発症する。通常、体の左右どちらか半分に帯を巻いたように、痛みを伴う水疱ができる。高齢者では、重症化することがあり、痛みが残り、潰瘍になる。治療には抗ウイルス剤の投与が行われる。




☐ 35.骨粗鬆症は、高齢者の女性に多い。


骨粗鬆症は骨密度の低下により骨がもろくなることで骨折を起こしやすくなる。女性に多く、年代とともに罹病率が増加する。カルシウム不足、女性ホルモンの減少、運動不足などによって進行が早くなる。転倒に注意するなど介護上配慮が必要である。高齢者の骨折では、大腿骨頸部骨折、脊椎圧迫骨折、上腕骨骨折の頻度が高い。


☐ 36.関節リウマチ、変形性股関節症、変形性膝関節症は、日常生活動作 (ADL)の低下の要因となる。


関節リウマチ、変形性股関節症、変形性膝関節症では、対症療法やリハビリテーション、日常生活における負担の軽減となる支援を行う。
関節 リウマチ:起床時のこわばり、関節痛や腫れ、進行すると関節変形や全身症状出現
変形性股関節症:痛み、歩行障害
変形性膝関節症:膝を曲げられない、長時間歩行による痛み、関節水腫



介護技術の展開


☐ 37.食事の介護では、心理的・社会的・文化的欲求を満たすように援助する。


食事は身体に必要な栄養やエネルギー源を補給するものであるが、高齢者は嚥下障害、麻痺などによって食事の摂取が困難になっている場合が多い。食事はできる限り、自力で、経口で摂取することが、リハビリテーションにもなり、食事の楽しみを味わうことにもなる。


☐ 38.高齢者のみの世帯では、食の質が低下することが多い。


高齢者は、心身機能の低下により調理能力が衰えることなどから、高齢者のみの世帯では、食の質が低下することが多い。特に単身の場合は孤食となり、食事時間も不規則になりがちである。
調理に手間をかけなくてもすむよう、加工食品やお惣菜の利用、配食サービスの利用のほか、共食の機会 (デイサービスなど)などをつくることが大切である。


☐ 39.嚥下困難の場合、液状よりもピューレ状や半固形状でとろみのついたものがよい。


好ましい食品の形状としては、①プリン状、②ゼリー状、③マッシュ状、④とろろ状、⑤粥状、⑥ポタージュ類、⑦乳化状、③ミンチ状などがある。適当ではないものとしては、①液体、②スポンジ状、③練り製品、④口の中に粘着するもの、⑤餅、麺類、酢の物などがある。


☐ 40.嚥下困難がある場合、誤嚥を起こさないように上体を起こして食事介助する。


誤嚥が起こらないように、食事の際はいすに座らせるか、ベッドの上部を上げて上体を起こす。頭部と体幹はわずかに前傾させるように、体位を保持する。食事前に口腔を湿らせ、唾液の分泌を促す。いきなり食事を始めると、一口目でむせてしまうことがあるので、深呼吸、口を動かすなどの準備運動をさせる。食物や液体を飲み込んだ後は、口腔に食物が残っていないか確認する。


☐ 41.腹圧性尿失禁は女性に多く、溢流性尿失禁は男性に多い。


腹圧性尿失禁 :飛び跳ねたり、咳をしたり、重い物を持ち上げたときなど腹圧がかかるときに尿が漏れてしまうもので、女性に多くみられる。
溢流性尿失禁 :尿がだらだらと漏れるもので、男性に多くみられ、前立腺肥大等に原因がある。


☐ 42.尿を我慢できなくて漏らしてしまうのは、切迫性尿失禁である。


切迫性尿失禁:加齢とともに膀胱括約筋の働きが悪くなり、尿を我慢することができなくなる。
機能性尿失禁:手足に麻痺があるために、トイレに行くのに手間取ったり、下着を下ろすのが間に合わず、漏らしてしまう。
反射性尿失禁:脊髄の病気があると、本人の意思とは関係なく尿が出なかったり、反射的に出てしまう。


☐ 43.下痢は脱水症状、栄養不良を引き起こす。便秘は習慣性便秘が多い。


高齢者は、歯の欠損等により咀嚼量が減退し、消化力が低下したために特に脂肪の不消化がよくみられ、脂肪便となる。下痢では脱水症状や栄養不良に注意する。
腸蠕動の低下や腹筋等の筋力低下、排便反射の低下のほか、食事量や水分の減少、軟食摂取、運動不足等により習慣性便秘が起こりやすい。訴えがなくても、常に便の回数や性状に注意し、習慣性にならないように早期に対策を講じる。


☐ 44.排泄の介助では、高齢者の自尊心を傷つけないよう心がける。


排泄がコントロールできない、自分で始末できない場合は、人間としての尊厳が傷つき、周囲からの疎外感、羞恥心や気兼ねなどの精神的苦痛をもたらす。トイレが間に合わないような場合には、ポータブルトイレの設置、あるいは居室をトイレに近い部屋に変更することで失禁を防ぐことができる。おむつの使用や留置カテーテルの使用は、尿意の後退や感染を引き起こすこともあるので、注意が必要である。


☐ 45.褥瘡は、体重のかかる腰部に多く発生する。


褥瘡の発生要因には、①局所の圧迫、②不潔・湿潤、③摩擦、④栄養不良などがある。
特に骨が突出し、体脂肪によるクッションの少ない腰部 (仙骨部、腸骨部、尾骨部、大転子部など)、 踵部、肩甲骨部などに発生しやすい。
褥瘡は、発赤→壊死→潰瘍化→感染と進行するので、発見したら早期に進行をくい止め、治癒するよう努める必要がある。


☐ 46.褥瘡の予防は、体位変換と清潔の保持、栄養改善である。


褥瘡を防ぐには、①計画的な体位変換や、エアーマットなどを使い、体圧の分散を行う、②皮膚を清潔に保ち、排泄物、汗による湿潤のないようにする、③皮膚を保護し、損傷を防ぐ (寝衣・寝具に注意し、予防用具を使用する)、④栄養状態を改善する (高たんぱく、高カロリー、高ビタミン食)などが有効である。


☐ 47.高齢者は、不眠の訴えが多い。


高齢者の不眠の原因としては、①日中の活動不足、②昼間の居眠り、③夜間頻尿による頻回の覚醒、④疼痛やかゆみによる入眠困難や覚醒、⑤夜間の不安感の増強、⑥疾患によるもの等がある。また、高齢者の睡眠には夜寝つきが悪い、睡眠が浅い、夜間覚醒が増えるなどの特徴もみられる。


☐ 48.高齢者は、日中を活動的に過ごすように心がけように心がけることで睡眠が促される。


:(睡眠導入剤)の乱用は不眠の原因となる。睡眠薬服用のときは、虚脱や歩行障害、転側に注意が必要である。
睡眠への援助
就寝前の援助:入浴や足浴、洗顔や歯磨きをする、精神を興奮させるもの (コ ーヒー等)を避ける
環境整備等:室温調整、騒音排除、照明を暗くする、寝具の選択
日中の過こし方:規則正 しい生活 リズムや生活パターンをつくる、昼寝をし過ぎない、離床をすすめる
薬の服用:適度な睡眠薬の服用


☐ 49.清潔保持は、相手の状態に合わせて随時、方法を選択する。


全身入浴:清潔の効果が高いが体力も消耗する。運動機能障害のある人には、特別な設備や工夫が必要。医療機器を使用していても、可能な場合がある。
部分浴:手浴、足浴などは、体力消耗が少ない。
シャワー浴:手軽に行える。
清拭:清潔の効果は劣るが、体力の消耗が少ない。


☐ 50.入浴時には、脳卒中や心臓発作、転倒などに注意する。


入浴することで身体の清潔を保つだけではなく、全身機能の促進やリハビリテーシ∃ン、心理的爽快感が得られる。ただし、全身の変化や事故も起こりやすいので注意する。入浴前には全身状態の観察、バイタルサインのチェックを行い、実施の可否の判断を行う。主治医と連絡が取れるようにしておく。浴室は、湯の温度や浴室の温度を調整し、転倒防止に手すりやゴムマット等を準備しておく。


☐ 51.身体を清潔に保つことには、生理的意義のほか、心理的・社会的意義がある。


身体の清潔は、皮膚等に付着 した老廃物や汚れの除去、血液循環・腸蠕動促進、感染予防等 (生理的意義)、 爽快感や意欲を高める (心理的意義)、社会参加を促す (社会的意義)等の効果がある。身体の清潔には、入浴、部分浴、シャワー浴、清拭の方法がある。実施前には、全身状態やバイタルサインのチェックを行い、実施の可否や適した方法を選択する。


☐ 52.高齢者の清拭は、皮膚を乾燥させるアルコールは避ける。


高齢者は皮脂が少なく、皮膚が乾燥しやすいので、アルコール清拭は不向きである。清拭をするときには、汚れを取り除くだけでなく、全身を観察し、褥瘡などの皮膚のトラブルを早期に発見することが重要である。石鹸や清拭剤は皮脂を除去しすぎない保護成分を含むものを使い、清拭後には乳液やクリーム等で皮膚に潤いを保つようにする。


☐ 53.高齢者は、むし歯や歯周疾患にかかりやすい


加齢に伴い、歯と歯の間の隙間が大きくなり、食物や歯垢が残りやすく、むし歯や歯周疾患にかかりやすい。高齢者における口腔内の衛生は、栄養接種や疾病の予防に重要であり、また、口内炎や口臭による食欲減退誤嚥性肺炎を防ぐためにも必要である。
経管栄養を行っている場合等は、唾液分泌量が減少し咀嚼による自浄作用がないため、口腔内は非常に汚れやすく、積極的な口腔清掃が必要になる。


☐ 54.要介護者における口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防になる。


誤嚥性肺炎は、口腔咽頭粘膜の病原菌を含む唾液等をくりかえし少しずつ吸引し、病原菌や食塊が気道内に入ることで起こる肺炎である。高齢者の嚥下反射が低下している場合、むせなくても誤嚥していることがあり注意が必要である。口腔ケアは、誤嚥性肺炎を予防する効果が認められる。


☐ 55.口腔内に問題があると、生活機能低下や要介護状態につながることがある。


加齢により、口腔粘膜の萎縮、歯槽骨の吸収、睡液分泌機能の低下、咀嚼筋の低下等が起こる。また、噛み合わせは咀嚼機能のみならず、全身の筋力や姿勢の制御等に大きな役割を果たしている。口腔内の問題によって、低栄養、誤嚥性肺炎、転倒、心理的影響を引き起こし、生活機能低下や要介護状態ヘ至るおそれがある。


☐ 56.口腔ケアの基本は、歯ブラシによるプラッシング、洗口剤によるすすぎなどの口腔清掃である。


歯ブラシによるブラッシングは最も歯垢除去効果が期待できる。歯間部はデンタルフロスなどを用いて掃除する。洗口剤は歯ブラシほど効果は期待できないものの、口臭を除去し、気分を爽快にするなどの効果がある。義歯がある場合、1日 1回は義歯用歯ブラシや義歯洗浄剤で洗浄を行う。


☐ 57.リハビリテーションの目的は、生活の質(QOL)を高めることである。


リハビリテーションは、身体や精神の機能回復だけではなく、身の回りの動作などの自立、家庭生活や社会生活が可能となることなど、総合的な支援を通して生活の質 (QOL)を高めることが最終的な目的である。


☐ 58.介護保険制度下で提供されるリハビリテーションは、主として維持的リハビリテーションである。


リハビリテーションは、その果たす機能と時期から、予防的リハビリテーション、治療的リハビリテーション(急性期・回復期)、 維持的リハビリテーションに分けられる。治療的リハビリテーションは医療保険制度の下で、維持的リハビリテーションは主に介護保険制度の下で提供される。


☐ 59.リハビリテーションの際は、事故防止に努める。


リハビリテーション実施の際は、事前の情報収集を行い、予測される危険性を把握 し、事前準備、環境調整、実施時間や内容の検討等、事故防止に努める必要がある。
リハビリテーションのリスクチェック項目
①疾病や障害の確認、②バイタルサイン、③その他:睡眠、疲労、疼痛、転倒の可能性等


☐ 60.拘縮の予防として、関節可動域訓練が有効である。


拘縮とは、関節包や靱帯など関節を構成する組織や周囲の組織が伸縮性を失い、短縮し、正常な関節の動きが阻害された状態をいう。予防には関節可動域訓練が有効である。
関節可動域訓練には、関節を自分で動かす自動的訓練と援助する者が動かす他動的訓練とがあり、後者は意識レベルの低い場合、自分では運動できない場合などに行う。また、訓練は痛みのないように徐々に可動域を広げる。


☐ 61.良肢位を保持しても、拘縮や褥瘡を起こすことがある。


良肢位はできる限り関節拘縮をつくらないような予防的な姿勢で、全身の筋肉がリラックスできる。良肢位を保っていても、長時間同じ姿勢をとっていれば、拘縮・褥瘡の原因になるので、仰臥位から側臥位などに姿勢を変える体位変換や、関節可動域訓練を行うことが必要である。


☐ 62.趣味やレクリエーション活動は、筋委縮を防ぐ効用もある。


毎日の生活の中で、日常生活動作の励行、筋力増強訓練のほか、活動量を保つには、趣味活動なども有用である。精神的な効用のみならず、残存能力をフルに使って趣味活動やレクリエーション活動を行うことにより、運動量を増やし、さまざまな種類の運動を自然に行うことで、筋萎縮の予防につながる。


☐ 63.失行とは目的に沿った行動ができないこと、失認とは対象を認知できない状態をいう。


失行:四肢の運動が可能であり、理解も良好であるのに、指示された行動をとることができない状態をいう。特に麻痺がないのに服がきちんと着られないなどが例として挙げられる。
失認:認知症や意識障害、感覚障害がないにもかかわらず、対象を認知できない状態をいう。
半側空間無視:自己の左あるいは右の半側の状況や物品を認識できないことであり、歩行や車いすで壁や人にぶつからないように注意する。


☐ 64.言語の障害には、構音障害と失語症がある。


構音障害:いわゆる「ろれつが回らない」状態をいい、構音器官 (舌、口唇、咽頭、軟口蓋など)の麻痺や筋相互の協調運動障害が原因となるものである。
失語症:言葉を話す・聞く・読み書きなどの能力が損なわれた状態で、脳卒中の右片麻痺に合併することが多い 。


☐ 65.日常生活は、基本動作、日常生活動作(ADL)、手段的日常生活動作 (IADL)に分けられる。


基本動作・日常生活動作・手段的日常生活動作
基本動作:寝返り、起き上がり、座位、立ち上がり、立位、歩行
日常生活動作(ADL): 食事、排泄、更衣、整容、入浴、起居移動
手段的日常生活動作(IADL):炊事、洗濯、掃除、買い物、金銭管理、趣味活動、公共交通機関の利用、車の運転など


☐ 66.ADLと IADLの 援助では、残存能力を活かして、可能な限り自立できるようにする。


可能な基本動作によって、日常生活動作や生活の仕方、介護量が決まるので、残存能力が維持・向上できるように援助する。ADLや IADLの援助では、残存能力を生かし、可能な限り自立できるように支援する。過剰な介護は自立心を妨げ、依存性を高め、残存能力を低下させるおそれがある。本人や家族に理解を得て、介助は最低限にとどめ、自助具や福祉用具の活用、環境整備を行う。


☐ 67.座位生活を取り入れることは、生活不活発病の予防につながる。


寝たきり状態や長時間座位保持が困難な場合であっても、可能な限り座位生活を取り入れることは、生活不活発病の予防となる。ギャッチアップベッドや車いすを利用するとよい。座位訓練中は、起立性低血圧の可能性があるため、血圧チエックや症状の出現に注意する。疲労度や健康状態を把握しながら、座位訓練を進める。
車いすは座位耐性が十分であれば、屋外への散歩も可能であり、生活圏の広がりや精神的な援助につながる。


☐ 68.転倒の原因となる環境因子は、除去しなければならない。


高齢者は、感覚機能の低下や運動能力の低下、薬剤の副作用等により、転倒を起こしやすい。室内の照明や段差、コード等の障害の解消、家具の配置等を整えること、適切に手すりを取りつけることは転倒の予防につながる。杖や歩行器などを使用する際は、身体寸法に合ったものを選び、適切に使用する。



認知症高齢者の介護


☐ 69.認知症は、認知機能の低下により生活障害を引き起こすものである。


認知症では、認知機能の低下により、初期には手段的日常生活動作 (IADL)の障害が、進行すると日常生活動作 (ADL)の障害が生じる。
認知症は生活障害を引き起こすものであり、認知症の人の生活を支えるという視点で接することが大切である。


☐ 70.認知症には、認知症の状態を引き起こす原因疾患がある。


認知症には、認知症の状態を引き起こす原因疾患があり、変性疾患 、脳血管障害 、外傷性疾患、感染症 、内分泌代謝性疾患などに分類される。
変性疾患に分類されるものには、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症 (ビック病)などがあり、脳血管障害に分類されるものには、血管性認知症がある。


☐ 71.アルツハイマー型認知症の初期症状は健忘であり、エピソード記憶や近時記憶の障害が著しい。


アルツハイマー型認知症の初期症状は健忘 (物忘れ)で、エピソード記憶 (出来ごとの記憶)や近時記憶 (最近の記憶)の障害が著しい。進行すると、見当識障害、注意障害、遂行機能障害、失認、失行などの症状が加わり、社会的認知機能も障害される。


☐ 72.血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などが原因となって発症する。


血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などにより起こる認知症で、会話や動作が緩慢になる、認知スピードが遅くなる、反応が鈍くなる、意欲や自発性が低下するなどの症状がみられるが、 リハビリテーションにより認知機能が改善することがある。
大脳基底核に病変がある場合には、パーキンソン症状 (振戦、固縮、寡動・無動)などの運動障害を伴う。


☐ 73.レビー小体型認知症は、リアルな幻視がみられることが特徴的である。


レビー小体型認知症では、記憶障害のほかに、現実的で鮮明な幻視、パーキンソン症状、レム睡眠行動障害、起立性低血圧、嚥下障害、自律神経症状、薬剤への過敏反応などがみられる。レビー小体型認知症の症状は日によって調子の波が大きく、一日のうちでも変動する。


☐ 74.前頭側頭型認知症 (ピック病)では、人格障害や反社会的行動が起こりやすい。


前頭側頭型認知症 (ピック病)には、主に前頭葉が萎縮するものと、主に側頭葉が萎縮するものがあり、前頭葉が障害されると、人格障害 (興奮したり暴力を振るうなど)や反社会的行動(万引きや交通ルールの無視など)を起こすことがある。


☐ 75.65歳未満の認知症を、若年性認知症という。


65歳未満の認知症を若年性認知症といい、老年性 (65歳以上)と比較すると血管性認知症の割合が高く、前頭側頭葉変性症が多い。若年性認知症では、精神疾患を疑われて認知症の診断が遅れるケースもみられる。
若年性認知症になると、本人や家族は心理的・経済的に大きな負担がかかるため、多方面からの支援が必要となる。


☐ 76.認知症には、中核症状とBPSDがある。


認知症の中核症状は、記憶障害 (思い出せない)と見当識障害 (時間、場所、人がわからない)、 判断力の低下等である。BPSD(認知症の行動・心理症状)は、行動症状と心理症状に分けられるが、観察してわかるのが行動症状、本人・家族の訴えを聞いてわかるのが心理症状である。


☐ 77.認知症高齢者とその家族の両方を重視したケアマネジメントが必要である。


認知症高齢者のみならず、身体的・心理的負担が大きい介護者である家族等への支援も重要である。
①通所介護、短期入所系サービス、訪問介護や訪問看護、認知症対応型共同生活介護、入浴サービスや配食サービス等の介護サービスの利用を勧める。
②家族会への参加を勧める。
③介護者による不適切処遇や高齢者虐待、事故を未然に防ぐ。


☐ 78.認知症高齢者は、転倒や骨折を起こさないように注意する。


認知症高齢者は、筋力、敏捷性、平衡感覚の低下に加え、自分の心身の機能について正確な判断ができず、転倒・骨折しやすい。介護方法や介護用品、設備、環境、介護体制の改善を図り、転倒・骨折を起こさないための支援を行う。以前は、ひもや抑制帯で固定する等の身体拘束をすることがあったが、現在、介護施設では身体拘束は原則禁止されている。


☐ 79.認知症施策推進総合戦略 (新オレンジプラン)では、認知症ケアバスの作成・普及を市町村に求めている。


2015(平成 27)年に発表した新オレンジプランでは、認知症になっても住み慣れた地域で在宅生活を継続できるよう、「認知症ケアバス」の作成・普及を市町村に求めている。
2015(平成 27)年の法改正で、新オレンジプランの考え方が介護保険法に盛り込まれ、2018(平成 30)年 4月 1日 から施行されている。


☐ 80.認知症疾患医療センターは、都道府県や政令指定都市が指定する病院に設置される。


認知症疾患医療センターは、都道府県や政令指定都市が指定する病院に設置されるものであり、認知症の鑑別診断、医療機関等の紹介、援助方法の相談などを実施している医療機関である。


☐ 81.認知症初期集中支援チームは、認知症の疑いがある者などに対する初期支援を行う。


認知症初期集中支援チームは、地域包括支援センターなどに配置され、自立生活のサポートとして、複数の専門職が認知症の疑いがある者、認知症がある者およびその家族を訪問し、アセスメントや家族支援などの初期支援を包括的かつ集中的に行う。


☐ 82.認知症地域支援推進員は、地域包括支援センターや市町村に配置される。


認知症地域支援推進員は、地域包括支援センターや市町村に配置される専門職であり、認知症がある者ができる限り住み慣れた良い環境で暮らし続けることができるよう、地域の実情に応じて医療機関、介護サービス事業所、地域の支援機関をつなぐ連携支援や認知症の人やその家族を支援する相談業務などを取り扱う。


☐ 83.認知症カフェとは、認知症の人や家族等の集いの場のことである。


新オレンジプランの中で、認知症の人の介護者の負担軽減のために、認知症カフェ等の設置が推進されている。2018(平成 30)年度からすべての市町村に配置されている認知症地域支援推進員等の企画により、地域の実情に応じて実施される。


☐ 84.薬物療法で、認知症の進行を遅らせることができる。


現在、アルツハイマー病の治療薬は、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンの4剤があり、早期に投与することで進行を遅らせることが可能である。BPSDには、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠導入薬等が使用されることがあるが、副作用の出現や症状の悪化を起こすこともあり、慎重に投与する。回想法、音楽療法、動物介在療法等の非薬物療法は、BPSDを軽減させる。



精神に障害がある場合の介護


☐ 85.高齢者の精神疾患には、老年期に初発する精神疾患と、若年期に発症したまま高齢に達した精神疾患がある。


高齢者の精神疾患では、多くの因子がいくつも重なり合って症状を形成していると考える見方が大切である。発生要因としては、①脳の加齢性変化、②病前の性格、③心理社会的な要因、④身体疾患、⑤環境の変化、⑥薬物の影響などが挙げられる。


☐ 86.せん妄は意識障害の一種で、治療により改善する。


せん妄は軽度の意識混濁に加え、錯覚、幻覚、それらに基づく妄想や興奮を伴う状態である。比較的急速に発症し、夜間に起きることも多い (夜間せん妄)。通常 2~3日から 1週間程度で改善するが、長期間持続することもある。原因を取り除く治療や水分・電解質補給、脳循環改善薬や少量の向精神薬で改善がみられる。


☐ 87.高齢者の妄想性障害は、妄想の内容がリアルで、対象が身近な人であることが多い。


高齢者の妄想性障害は、妄想の内容が現実の生活を反映したリアルなもので、妄想の対象が身近に実在する人であるという特徴がある。また、妄想の対象に対して強い攻撃性を示すものの、実際に攻撃の行動に出ることはあまりない。
高齢者の場合、妄想に幻覚や錯覚を伴うことも多いが、その境界が曖昧なことが多い。


☐ 88.高齢者ではうつ病が多く、躁病は少ない。


うつ病は初老期 (50~ 64歳 )に発症しやすく、高齢者の自殺の原因となっている。
うつ気分に加え 、不安や焦燥、身体症状や不眠の訴えもみられる。仮性認知症を示すこともある。うつ病が疑われるときには、早急に医療機関で診察を受けることが大切である。抗うつ薬が有効だが、副作用 (眠気、ふらつき、口渇、便秘、尿閉等)に注意する。


☐ 89.老年期の全般性不安障害は、身体的な変化や環境的な変化がきっかけとなって起こる。


老年期には、身体の老化、配偶者や家族との死別、対人関係が狭くなること、経済的な不安などによる心理的な打撃が多く、それらがきっかけとなって全般性不安障害が起こる。もともと、自信がない、几帳面、内向的、依存的などの性格の人に多くみられ、女性に多い。
気分変調症 (不安、焦燥、孤独感)、不安障害 (不安や心配を訴える)、心気症 (身体症状の過度の訴え)がある。


☐ 90.老年期パーソナリティ障害は、著しい性格の偏りがみられる。


老年期パーソナリティ障害は、他の精神障害や脳の器質疾患がないにもかかわらず、老年期の環境の変化により性格の偏りが著しくなったものである。治療は困難であるが、精神療法や環境調整で改善を目指す。





栄養・食生活からの支援・介護


☐ 91.栄養・食生活アセスメントでは、①身体計測、②生理・生化学検査、③臨床徴候、④食事調査が行われる。


栄養・食生活アセスメントでは、 4つの項目の情報から、総合的に評価 ・判定を行う。
①身体計測:身長、体重、BMI、皮下脂肪厚、上腕囲等
②生理・生化学検査:血液検査 (Hb、Ht、総たんぱく質、アルブミン等)、尿検査 (クレアチニン、N-バランス)
③臨床徴候:既往歴、現病歴、健康状態
④食事調査:食物摂取状況調査 (思い出し法、記録法)


☐ 92.高齢者は、加齢に伴う生理的変化や疾病等により、栄養状態の低下を招くことがある。


高齢者は食事量が減少し、低栄養状態に陥ることがある。その場合、浮腫や貧血、免疫力低下による感染、疾病の悪化や褥瘡の助長等をきたしやすくなる。
①加齢に伴う生理的変化:咀嚼力の低下、唾液分泌量低下、歯の欠損、消化吸収機能低下など
②疾患:嚥下障害、逆流性食道炎、胃潰瘍、便秘、うつ病、認知症など
③環境::買い物や食事準備困難など
④その他:薬剤の影響、副作用など


☐ 93.食事摂取量が確保できない場合は、栄養・食生活アセスメントを行い、対策を検討する。


咀嚼力や嚥下力の低下に対しては、食事回数を増やしたり、補食を検討する。麻痺や振戦等により食行動に制限があるときは、食具や調理方法、食形態を変更する。買い物や食事準備が困難な場合は、訪問介護や配食サービス等の利用を検討する。また、何らかの疾患が考えられる場合は、直ちに医療機関を受診する。


☐ 94.低たんぱく血症やエネルギー欠乏症は、食事の摂取方法に工夫が必要である。
低たんぱく血症:TP、Albの低下


①良質なたんぱく質食品を摂取、②エネルギーを十分に摂取
エネルギー欠乏症:BMI18.5以下、あるいは通常時の体重に比べて減少率が6か月に5%以上の人
①摂取エネルギーを増やす工夫、②味をやや濃いめにする、③油をとる、④アルコールやスープを食前に摂取、⑤香辛料や香りの強い野菜の利用、⑥間食やデザートを摂取、⑦栄養補助食品の利用


☐ 95.肥満の食事療法は、必要な栄養素は確保しつつ、摂取エネルギーを抑える。


指肪組織に体脂肪が過度に蓄積した状態を肥満という(BMI25以上)。 肥満は内臓脂肪症候群 (メタボリックシンドローム)や生活習慣病の危険因子である。肥満の食事療法は、必要な栄養素を確保しつつ、摂取エネルギーを抑えることを基本とし、食行動の改善を行う。
BMI=体重 (kg)÷ 身長 (m)÷ 身長 (m)で算出し、18.5未満をやせ、25以上を肥満と判定する。


☐ 96.糖尿病の食事療法は、低エネルギーでバランスのよい食事とする。


糖尿病の食事療法では、糖質代謝異常を修正するためにも、摂取エネルギー量を制限する。三大栄養素のバランスがとれた食事とし、糖質はグリセミックインデックス(GI)の低いものを選択する。肝炎や代償性肝硬変が合併症にある場合はたんぱく質食品をやや多く摂取し、腎炎や腎不全がある場合はたんぱく質食品を控える。


☐ 97.高血圧症の食事療法では減塩食とし、摂取エネJレギーを抑える。


食塩感受性高血圧では、漬物など塩分の多いものは控え減塩食をすすめる。たんぱく質を十分に摂取することやカリウム、マグネシウム、食物繊維の摂取も有効である。
肥満者の場合は、減量をすることにより血圧が低下することが期待される。


☐ 98.脂質異常症は、コレステロールのタイプ別に食事管理をする。


脂質異常症は、高中性脂肪血症と高コレステロール血症に分けられる。高中性脂肪血症では、低脂肪・低エネルギー食にすることに加え、糖質とアルコールを制限する。高コレステロール血症では、低エネルギー食にし、飽和脂肪酸、コレステロールの摂取を減らし、食物繊維を多くとるようにする。


☐ 99.鉄欠乏性貧血では、鉄と良質なたんぱく質を十分に摂取する。


加齢に伴い赤血球数、Hb濃度 、Ht値の低下がみられ、生理的な貧血 (老人性貧血 )が起こる。その他 、慢性感染症 、消化管出血、慢性腎疾患 、血液疾患 、悪性腫瘍による貧血もみられ、一般的には鉄欠乏性貧血がみられる。
鉄欠乏性貧血の食事指導
①鉄の摂取量を増やす、②よく咀嚼する、③たんぱく質 (ヘモグロビン形成)、 酢やビタミンC(胃酸の分泌を促し鉄の吸収を高める)、ビタミンB12や葉酸 (赤血球の形成)を摂取する。


☐ 100.慢性腎臓病の食事療法では、たんぱく質を制限し、高カロリー食とする。


慢性腎臓病では、ナトリウムの摂取制限を行う。同時にたんぱく質、カリウムも制限し、むくみがある場合には、水分摂取も制限する。ただし、利尿剤使用のときには、低ナトリウム血症、低カリウム血症に注意する。たんぱく質としての効率をよくするためには、十分なエネルギー補給が必要であり、高脂肪・高糖質食とし、カロリーは十分に摂取するようにする。





薬の知識


☐ 101.高齢者は、代謝の低下等から常用量でも副作用が現れる場合がある。


高齢者は、肝機能低下による代謝の遅延や、腎機能の低下 (排泄機能の低下)による薬の作用増強に注意が必要である。そのため、副作用の出現や、多剤を併用している場合は相互作用に注意する。
処方された薬剤は、使用量、形状、服用回数等決められているので、利用者が服用中止や減量、形状の変更等を勝手に行わないように指導する。


☐ 102.薬は上半身を起こした姿勢で、多めの水で服用することが望ましい。


薬剤が食道にとどまると、食道潰瘍を起こすおそれがあるため、内服時には、上半身を起こした姿勢で多めの水で服用する。
嚥下障害がある場合は薬を誤嚥するおそれがある。ゼリーに埋め込んだり、おかゆといっしょに飲むなどの介助をする。


☐ 103.利用者の疾病の状況と、服用 している薬、服用の状況を把握することが大切である。


代表的な薬剤とその副作用
抗不安薬ー眠気、ふらつき、めまい
降圧薬ー起立性低血圧、めまい、ふらつき
抗うつ薬ー眠気、めまい、ふらつき、口渇、排尿困難、嚥下障害、便秘
消炎鎮痛薬ー食欲不振、吐き気、消化性胃潰瘍
抗パーキンソン病薬一口渇、嘔吐、不随意運動


☐ 104.複数の薬を併用すると、作用が増強・減弱する相互作用が生じることがある。


複数の薬を併用すると、作用が増強または減弱する相互作用が生じることがある。また、相互作用は、薬と日常的に摂っている食品との間でも同様に生じることがある。
たとえば、グレープフルーツには降圧薬・免疫抑制薬・抗真菌薬などの代謝を妨げる酵素が含まれているため、一緒に摂取すると薬による主作用や副作用が増強されることがある。


☐ 105.薬は、温度の高いところに保管すると変質しやすいが、通常は冷蔵庫に保管する必要はない。


薬は温度や湿度の高いところ、直射日光の当たる場所に保管すると変質しやすくなる。冷蔵庫で保管すると湿気をおびやすくなるものもあるため、指示がなければ冷蔵庫に保管する必要はない。
薬剤によっては、冷蔵庫に保管しないと品質が低下するものもあるので確認する。また、子どもの手の届かないところに保管することも大切である。


☐ 106.医師に処方された薬は、医師の指示どおりに飲み切ることが望ましい。


医師の処方により出された薬は、医師の指示どおりの処方日数を飲み切るようにする。飲み忘れたり、症状が治まったからといって中断して薬が残った場合、保存しておいて後日服用したり、他の人に譲ったりすることは避けなければならない。
処方薬の使用期限は、基本的には、処方された日数となる。



在宅での医療管理


☐ 107.在宅自己注射でインスリン製剤を投与している糖尿病患者は、血糖コントロールが重要である。


インスリンを在宅で自己注射している糖尿病患者は、医師の指示通りに注射の時間、薬の量を順守しなければならない。さらに、食事内容や活動量によっては低血糖や高血糖を起こすことがあり、食事療法や運動療法も含めて血糖コントロールを行う。また、食後の高血糖、コントロール不良による低血糖に対する対策も必要となる。


☐ 108.末期の悪性腫瘍患者に対しては、在宅悪性腫瘍疼痛管理療法が認められている。


持続性の疼痛がある末期の悪性腫瘍の患者が鎮痛剤の経口投与では疼痛がコントロールできない場合には、注射により鎮痛剤を投与する在宅悪性腫瘍疼痛管理療法が行える。
非オピオイド性鎮痛剤等で疼痛がコントロールできない場合に、麻薬を含む鎮痛剤が投与される。疼痛コントロールは、患者の苦痛を和らげ、QOLを高めるために重要である。


☐ 109.在宅自己腹膜灌流法 (CAPD)は、患者が自分で行う人工透析である。


人工透析には、血液透析と腹膜透析がある。血液透析は週 2~ 3回程度、通院が必要であり、患者への負担が大きい。在宅自己腹膜灌流法 (CAPD)は、患者や家族が自宅で腹膜透析を行うもので、月 1~ 2回の通院でよいため、患者の生活や社会復帰が容易である。
CAPDでは、患者や家族が行う手技の指導や、水分バランス、体重、炎症等についての経過観察が必要である。


☐ 110.在宅酸素療法 (HOT)は、慢性閉塞性肺疾患の患者が家庭で行う酸素療法である。


在宅酸素療法 (HOT)は、高度な慢性呼吸不全等がある患者に対して、在宅で酸素投与を行う。基礎疾患としては慢性閉塞性肺疾患 (COPD)が多い。動脈血炭酸ガス分圧が上昇 しやすい患者は、CO2ナルコーシスを生じる危険があり、適切に酸素吸入量を調節する。HOTにより、QOLが改善され外出も可能である。
HOT使用中は、感染や心不全の徴候の観察とともに、人気に近づかないことや禁煙の指導を行う。


☐ 111.中心静脈栄養療法は、在宅で行うことができる。


中心静脈栄養療法は、食道がんや全身状態が悪化して経口・経腸摂取ができない患者に、高カロリー液を輸液する方法である。カテーテルを用いた体外式とポート型の完全皮下埋め込み式がある。
栄養剤のバッグやルートは毎日交換し、ポート針の交換は週1~2回程度行い、無菌的に操作する。


☐ 112.経口摂取ができない、または著しく困難な場合、成分栄養経管栄養療法の対象となる。


嚥下障害による栄養失調、脱水、誤嚥性肺炎を引き起こしたり、その可能性がある場合、成分栄養経管栄養療法が導入されることが多い。経鼻、腸ろう、胃ろう、食道ろうからの方法がある。
経管栄養剤は人肌に温め、ファーラー位かセミファーラー位で注入する。終了後は、30~60分は逆流を防ぐためにファーラー位を保持する。


☐ 113.胃ろうは、内視鏡下で造設できる。


成分栄養経管栄養療法が行われる場合、内視鏡的胃ろう造設術 (PEG)により、胃ろう造設できる。胃ろうからチューブが抜けないよう固定するが、抜けた場合は胃ろうが閉鎖しないようにすぐに医療職へ連絡する。
胃ろうがあっても、ふさいで入浴することが可能である。


☐ 114.在宅人工呼吸療法は、長期の意識障害などがある在宅患者に行われる。


長期にわたり持続的に人工呼吸器に依存せざるを得ず、かつ安定した病状にある場合は、在宅人工呼吸療法が可能である。人工呼吸器、気道内分泌物吸引装置、必要に応じて酸素吸入設備などを加える。気管カニューレの管理や吸引等の十分な訓練と患者や家族の精神的な支援や緊急時のバックアップ態勢が重要となる。
在宅患者が、電動車いすに人工呼吸器を積み、外出できることで、地域社会との関係を保てるようになっている。


☐ 115.気管カニューレは、週1回交換する。


人工呼吸器を装着する際、気管切開し、気管カニューレが 挿入されることがある。感染予防上、切開口は毎日消毒し、気管カニューレは週 1回程度交換する。また、気道の粘膜の損傷を防ぐ上で、最低 1日 1回 はカフエアーを交換したり、カニューレ内が閉塞しないように、痰の吸引を行う。


☐ 116.膀胱カテーテルを留置すると、感染症の危険が高まる。


在宅自己導尿は、自然排尿が困難な患者に対して行われる。間歇自己導尿法、膀洸留置カテーテル法、導尿、または人工膀胱 (尿路ストーマ)などがある。カテーテルを留置する場合、感染症のリスクは高まる。尿の性状に注意し、清潔操作を励行することが必要である。



感染症の予防


☐ 117.感染症の予防には、手洗い、うがい、予防接種等が有効である。


高齢者は一般成人に比べ、免疫力低下等により感染症を起こしやすく、悪化すると死に至ることもある。感染症の症状としては、発熱、疼痛などのほか、食欲不振、無動、意識障害などが出現することがある。 感染予防が重要であり、手洗い、うがい、予防接種、十分な栄養摂取、清潔保持等が効果的である。感染症が発生した場合は、感染源を早期発見、隔離、除去、撲滅する。


☐ 118.高齢者の呼吸器感染症は、生命に危険を及ぼすことがある。


高齢者に多い呼吸器感染症は、肺炎、気管支炎、膿胸、肺結核などであり、予後不良の場合もある。主症状は、咳嗽、喀痰、呼吸困難、チアノーゼ、発熱、頻脈などであり、ときに食欲不振、せん妄などの症状も現れる。高齢者の肺炎では、免疫力の低下した入院患者が感染する院内感染や誤嚥性肺炎が問題となる。


☐ 119.高齢者の肺炎は非特異的な初発症状をとり、高熱にならないことがある。


高齢者の肺炎は、食欲低下、全身倦怠感などの非特異的な初発症状が多く、38℃以上の高熱にはならない場合や、せん妄、傾眠傾向など精神神経症状が前面に出る場合もある。
呼吸器感染症の予防には、口腔ケアが重要である。呼吸困難に対しては、喀痰の吸引、酸素吸入、口腔内異物の除去や重症な場合、気管内挿管することがある。


☐ 120.尿路感染症は、高齢者に最も多い感染症である。


膀胱炎をはじめとする尿路感染症は、高齢者に最も多い感染症である。主な症状としては、 頻尿、排尿時痛、発熱、尿閉などがある。尿閉の場合、緊急に処置が必要である。重度の場合は腎不全や、敗血症性ショックをきたす。
膀胱留置カテーテルを挿入している場合、尿路感染症を起こすことがあり、無菌操作や清潔保持、カテーテルやバッグの定期的な交換が必要である。


☐ 121.褥瘡は一般に感染症を伴い、敗血症の原因になることもある。


褥瘡が漬瘍化すると、皮膚の壊死部分に細菌が繁殖し、感染症を起こしやすい。褥瘡が深部に至ると血液を介して全身に感染が広がり、敗血症となることもある。このため、感染の温床となる壊死組織は取り除かなければならない。感染には抗生物質の全身投与・切開排膿を行う。


☐ 122.敗血症は高齢者にとって非常に重篤な疾患であり、ショック、呼吸困難等の症状を伴う。


敗血症の主な症状 は、ショック、呼吸困難、乏尿 、高熱、悪寒などである。高齢者は敗血症であっても診察時に発熱をみないこともある。
ショック、意識障害、呼吸困難、乏尿などの症状がある場合は、救急処置が必要である。


☐ 123.MRSA感染症は、カテーテルを留置している患者、気管内挿管をしている患者などで起きやすい。


MRSAは 、メチシリンという抗生物質に耐性を持つようになった黄色ブドウ球菌である。MRSAは処置前後の手洗い、消毒などの感染予防対策が重要である。病院内では MRSA感染者は個室に隔離する。ただし、保菌者は介護施設・在宅では隔離する必要はない。


☐ 124.B型肝炎・C型肝炎は、血液を介して感染する。


B型肝炎・C型肝炎は、血液を介して感染する。慢性化し、長期間を経て、肝炎、肝硬変、肝がんとなる場合がある。患者の抗原が陽性であれば、感染の可能性があるが、体内にウイルスが入ることで感染するので、通常の日常生活では感染の危険はない。


☐ 125.咳や微熱が 2週間以上続く場合には、結核を疑うべきである。


高齢者は免疫力低下により、初感染巣に残っていた結核菌から発症することがあり、飛沫感染しやすい。結核は早期発見が重要であり、施設内で感染が広がらないように注意が必要である。結核菌が排菌されているような活動状態と診断されれば、感染症予防法で指定された施設に入院する。保健所への届出が必要である。


☐ 126.高齢者は、インフルエンザの予防接種などの感染予防が重要である。


インフルエンザウイルスは、高熱、関節や筋肉の痛み、呼吸困難などの全身症状を呈し、感染力も強い。高齢者では肺炎を伴い、死亡の原因にもなるので、対策が必要である。インフルエンザの予防接種は重篤化予防の効果があるといわれ、推奨されている。


☐ 127.ノロウイルス感染症では、下痢等の症状がなくなっても便からウイルスの排出が続く。


ノロウイルスによる食中毒は冬季に多い。原因はカキなどの二枚貝が多い。嘔吐、下痢、腹痛などの症状がみられる。感染者の吐物や便にはウイルスがあり、症状がなくても便からのウイルス排出が続くので注意が必要である。使い捨て手袋、マスクの着用、手洗い、吐物等の廃棄、次亜塩素酸ナトリウムによる器具類の消毒等を行う。
ノロウイルスには、アルコール消毒が効かない。


☐ 128.疥癬はヒゼンダニの寄生による感染症で、普通の疥癬とノルウェー疥癬がある。


ヒゼンダニの皮膚内寄生によって発症するのが疥癬で、衣服、タオル、寝具などを介して、あるいは直接感染する。腋窩、手、手首、外陰部などに赤い発疹を生じ強いかゆみを生じる。ノルウェー疥癬は感染力が非常に強い。
水虫といわれる白癬や皮膚カンジダ症も感染することがあり、その際はタオル、スリッパ、マット等の共用を避ける。



急変時の対応


☐ 129.高齢者に意識障害、胸痛、呼吸困難などの症状があれば、救急要請をする。


高齢者の意識障害、胸痛、呼吸困難などでは、救急要請が必要である。緊急性がないようであれば、かかりつけ医に連絡する。また、バイタルチェックをすると同時に、認知症がないかどうか、急変前の生活状況、既往歴、加療中の疾患と服用 している薬剤などについて留意する。


☐ 130.意識障害の程度を測定する方法には、JCS(3-3-9度方式)がある。


意識障害の程度と内容を的確に把握するため、日本ではJCS(3-3-9度方式)が普及している。意識レベルは数値化され、数値が大きいほど意識レベルが低い。
Japan Coma Scale(3‐3‐9度方式)
Ⅲ 刺激をしても覚醒しない状態
300:痛 み刺激に反応しない、200:痛み刺激に反応する、100:痛み刺激を払いのける
Ⅱ 刺激すると覚醒する状態
30:痛み刺激と呼びかけで辛うじて開眼、20:大きな声やゆさぶりで開眼、10:呼びかけで開眼
Ⅰ 刺激 しないでも覚醒している状態
3:自分の名前等が言えない、2:見当識障害がある、1:意識清明とはいえない


☐ 131.高齢者が窒息を起こしたときは、介護者は直ちに異物除去を試みる。


高齢者は食事中に餅、バン、肉などを喉に詰まらせ、窒息を起こすことがある。気道が閉塞すると数分以内に心肺停止に至ってしまうので、救急要請を待つ間も異物除去を試みなければならない。心窩部 (上腹部)を圧迫するなどが効果的である。


☐ 132.高齢者は入浴中の急死に注意が必要である。


入浴死の原因には、心疾患、脳血管障害、溺死などが挙げられる。特に冬季に多い。予防のためには、寒い時期には脱衣所や浴室を暖めて使用し、事前にバイタルサインや健康状態を確認しておき、可否の診断を行う。入浴中は急激な血圧上昇を起こさないように、少しずつお湯に慣らすように介助し、介護者は常に注意深く見守る。


☐ 133.急変時に呼吸がないことを確認した場合は、直ちに胸骨圧迫法で心臓マッサージを行う。


呼吸がない、または死戦期呼吸 (下顎呼吸)が認められた場合は、直ちに胸骨圧迫法で心臓マッサージを行う。AED(自動体外式除細動器)を使えるときは、AEDから与えられる指示に従って処置を行い、AEDが使えないときは、救急隊員に引き継ぐまで胸骨圧迫を続ける。


☐ 134.胸骨圧迫は、1分間に 100~ 120回の速さで行う。


傷病者の脈拍を確認し、心停止があれば、心マッサージを開始する。その際、周囲に助けを求め、救急要請等をしてもらう。胸骨圧迫は、胸骨の下半分に両手を重ねあわせて、手掌で圧迫する。両肘はまっすぐに伸ばし、体をやや前傾させ、上半身の体重を腕に乗せるようにし、胸部を5~ 6cm押 し下げるぐらいの強さで圧迫する。1分間に 100~ 120回の速さで続ける。





健康増進


☐ 135.がんによる死亡は年々増加している。


がんは、我が国の死因第1位を占め、死亡率の増加傾向が続いている。性別では、男性が女性より多い。部位別では、男性が肺がん、胃がん、大腸がんの順で、女性は大腸がん、肺がん、膵臓がんの順である(2016年)。がんの死亡率は、男女とも、おおよそ 60歳代から増加し、高齢になるほど高くなる。また、60歳以降は男性のほうが女性より顕著に高い 。


☐ 136.日本人の死因は、①がん、②心疾患、③脳血管疾患の順である。


がんは、我が国の死因第 1位 (27.9%)を占め、依然として死亡率は高い傾向にある。2位は心疾患(15.3%)、3位は脳血管疾患 (8.2%)となっている。(平成29年人口動態統計)
前年に第 3位だった肺炎は、7.2%で第 5位となり、第 4位は、老衰 (7.6%)となっている。


☐ 137.がんを発症する要因の 1つとして、生活習慣が挙げられる。


がんの発症と進行にはさまざまな要因があるが、食事や肥満等の生活習慣に起因するがんが明らかになっている。
①運動により結腸がんのリスクが低下
②過体重や肥満で食道、結腸、直腸、乳房、子宮体部、腎臓の各がんのリスクが上昇
③飲酒で口腔、咽頭、喉頭、食道、肝臓、乳房の各がんのリスクが上昇


☐ 138.肝がん、子宮頸がん、胃がんはウイルスなどによる感染で発症する場合がある。


これらは、検診等での早期発見や感染予防が重要である。感染の予防には、感染者との濃厚接触を避ける、ワクチン投与等が重要である。
B型肝炎ウイルス (HBV)、 C型肝炎ウイルス (HCV):肝がん
ヒト・パピローマウイルス (HPV):子宮頸がん
ヘリコバクター・ピロリ菌:胃がん


☐ 139.循環器疾患の予防は、運動と食事が基本となる。


死因第 2位の心疾患や第 3位の脳血管疾患は、循環器疾患 (高血圧や心臓・血管の障害に起因する疾患・脳血管疾患を含めた総称)に含まれる。それらの予防には、適度な運動と適正な食事により、適正血圧を維持することが必要である。特に、塩分の過剰摂取や脂質異常症、糖尿病が原因となるので、食事や喫煙、飲酒には注意する。


☐ 140.高齢者における糖尿病予防には、ウォーキングや水泳などの運動が効果的である。


糖尿病を予防するためには、標準体重の維持や過剰なカロリー摂取を避け、バランスのとれた食事をとることが重要である。また、適度な運動も効果がある。高齢者の場合、激しい運動は避け、比較的軽めの運動をする。日常生活においても、エレベーターや交通機関の利用を抑制し、できるだけ自ら体を動かすことを心がける。糖尿病を発症すると、喫煙により合併症の進行を早めるので、禁煙対策も重要である。



ターミナルケア


☐ 141.在宅でのターミナルケアが増えている。


ターミナルケアは終末期ケアとも呼ばれ、死が間近に迫った人に対して行われる。末期がんの患者や他の疾病により死が迫っている患者が対象である。
終末期の患者を対象とする施設であるホスピスや緩和ケア病棟があるが、在宅で最期の時間を過ごすケースも増えている。在宅は最期まで自分の役割を果たすことができる、慣れた家で自由に過ごせる、家族と最期まで過ごせる等の理由から選択される。


☐ 142.死に至る経過を理解し、対応することが重要である。


死に至る経過としては、3つのパターンがある。
①がん等の場合、死亡の数週間前まで日常生活等の機能は保たれ、ある時期に急速に低下する。意識や認知能力は最期まで保たれることもある。ある程度、「最期」を予測できる。
②心臓、肺、肝臓等の臓器不全の場合、ときどき重症化しながら、長い期間にわたり機能が低下する。
③老衰、認知症等の場合、より長い期間を要して徐々に機能が低下していくため、「最期」の予測や判断がしにくい。


☐ 143.がんの疼痛緩和に鎮痛薬としてモルヒネが使用されるときは、副作用の対策を行う。


末期 がん患者に対しては、症状の中でも痛みの緩和が行われる。身体的要因だけではなく、精神的、社会的、霊的要因を含んだ全人的な痛 み (トータルペイン)ととらえて、ケアを行う。
身体的痛みに対しては、痛みの程度に合わせて、経口剤、坐薬、注射薬等のモルヒネが使用される。便秘や嘔気・嘔吐の副作用があり、対策が必要である。


☐ 144.患者やその家族に、死の教育が行われる。


死の教育は、死にゆく患者と看取る家族を対象に行われ、患者と家族が死を受け入れるように導くことを目標にして行われる。特に、家族が抱く不安を少しでも軽減し、よりよい看取りのために重要であり、また、悔いを残さないというグリーフワークの意味もある。具体的には、「死にゆく過程」と「死にゆく患者の苦しみとその適切な対応」である。亡くなった直後には、遺族ケア (ビリーブメントケア)が行われる。


☐ 145.キューブラー・ロスは、死にゆく過程を 5段階に分けている。


キューブラー・ロスは、「人間は以下に述べる5つの心理的な段階を経て死を受け入れる」とした。
最初の段階(否定)→ 第 2の段階(怒り)→ 第 3の段階(取り引き・駆け引き)→第4の段階(うつ状態・抑うつ)→最終の段階(受容)


☐ 146.死亡診断は、医師が行う医療行為である。


死亡診断および死亡診断書の発行は、医師 (歯科医師を含む)だけが行うことができる。原則として継続して治療を行っている患者に対して、死亡確認を行った上で死亡診断書を発行することができる。例外的に 24時間以内に診察を行っていた場合は、死亡確認することなく死亡診断書を発行することができる。





訪問看護


☐ 147.訪問看護は、療養上の世話と必要な医療処置を行う。


在宅療養者の病状の観察と情報収集、療養上の世話 (食事援助、排泄援助、清潔保持、体位変換など)、診療の補助、精神的支援、リハビリテーション、家族支援、療養指導などを行う。医療処置としては、服薬管理、褥瘡の処置、膀胱カテーテルの交換などを行う。ただし、末期の悪性腫瘍や筋萎縮性側索硬化症等 (厚生労働大臣が定める疾病等)の患者に対する訪問看護は医療保険から給付される。


☐ 148.同居家族に対する訪問看護は禁止されている。


訪問看護ステーションは、看護職員を常勤で 2.5人以上、理学療法士等は必要数、保健師か看護師の常勤の管理者を置くこととされている。訪問看護では、利用者ごとに訪問看護計画書を作成し、その内容を利用者または利用者の家族に説明し、同意を得た上で、訪問看護計画書を利用者に交付する。実施した内容については、訪問看護報告書を作成する。訪問看護事業者は、看護師等にその利用者の同居の家族に対して訪問看護の提供をさせてはならない。


☐ 149.医師が必要と認めた場合、訪問看護が行われる。


訪問看護開始時には、主治医が記載した訪問看護指示書が要介護者の状態の変化に応じて交付される。有効期間は 1~ 6か月である。症状が悪化するなどの急性増悪期には特別指示書が交付されると、14日間に限り毎日訪問看護を提供できる (医療保険扱い)。 また、①気管カニューレを使用している場合、②真皮を越える褥瘡の状態にある場合には 1か月に 2回(28日間)まで、医療保険による訪問看護ができる。


☐ 150.理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が訪問看護ステーションから派遣されると、訪問看護の介護報酬を算定する。


訪問看護事業を行う事業所には、訪問看護ステーションと病院または診療所から訪問看護を提供する訪問看護事業所の 2種類がある。訪問看護ステーションから理学療法士等が派遣され行うサービスは訪問看護である。
診療所、病院、介護老人保健施設からの理学療法士等のサービスは訪問リハビリテーションである。


☐ 151.訪問看護は、24時間訪問看護を提供することが可能である。


24時間連絡できる体制の訪問看護ステーションや医療機関であれば、在宅の要介護者のケアプランに緊急時訪問看護 (加算)を入れることができる。
在宅でターミナルケアを行った場合、ターミナルケア加算が算定される。


☐ 152.訪問看護事業所のうち、訪問看護ステーションの管理者は、原則として保健師または看護師でなければならない。


訪問看護事業所のうち、訪問看護ステーションの管理者は、原則として保健師または看護師でなければならない。訪問看護ステーションには、看護職員を常勤換算で2.5人以上置くよう定められている (1人は常勤)。


☐ 153.特別な管理を必要とする利用者に対して、特別管理加算を算定できる。


悪性腫瘍、気管切開、気管カニューレ、留置カテーテル使用の場合 (特別管理加算(Ⅰ))、 在宅自己腹膜灌流等の在宅での医療管理が必要な場合、人工肛門等造設、真皮を越える褥瘡のある場合等 (特別管理加算(Ⅱ))に算定できる。また、利用者の身体的な理由や暴力行為、迷惑行為等がある場合に、二人以上の看護師等が訪問看護を行うと加算される。


☐ 154.介護予防訪問看護は、要支援者に対して介護予防を目的として療養上の世話や診療の補助を行う。


訪問看護同様、介護予防訪問看護においても医師の指示書は必要である。対象者は日常生活は自立しているが、医療処置や服薬管理が必要な場合、軽度の認知症や症状観察が必要な場合等がある。介護予防訪問看護計画書と介護予防訪問看護報告書を医師に提出し、連携を図る。





訪問リハビリテーション


☐ 155.訪問リハビリテーションは、医師の指示のもと、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が行う。


訪問リハビリテーションの対象は、病状が安定し、在宅において医学的管理下でのリハビリテーションが必要と主治医が認めた要介護者である。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が訪問リハビリテーション計画を作成し、サービスを行う。


☐ 156.訪問リハビリテーションは、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院で提供される。


訪問リハビリテーションは、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院で提供される。訪問看護ステーションから、理学療法士等が派遣されて行われるリハビリテーションは訪問看護である。


☐ 157.訪問リハビリテーションにおいては、要介護度別に重点目標を定める。


具体的には、生活不活発病の予防と改善、基本動作・ADL・IADL能力の維持 ・回復、介護負担の軽減、福祉用具利用や住宅改修についての助言を行う。
要支援 1・ 2: 予防的リハビリテーション: 要介護化の予防
要介護 1・ 2 :自立支援型リハビリテーション: ADL自立
要介護 3・ 4・ 5: 介護負担軽減型リハビリテーション:介護負担軽減


☐ 158.介護予防リハビリテーションでは、居宅において、利用者の心身機能の維持・回復を図り、生活機能の維持・向上を目指す。


介護予防訪問リハビリテーションは、利用者の介護予防に資するよう目標を設定し、介護予防訪問リハビリテーション計画を作成する。
計画に沿って、サービスを提供し、終了までに少なくとも 1回はモニタリングを行う。



居宅療養管理指導


☐ 159.居宅療養管理指導では、医学的な面での指導や助言により利用者の療養生活の質の向上を図る。


通院が困難で、①病状が不安定で悪化、再発、合併症を起こしやすい人、②治療が難しい疾病を持っている人、③リハビリテーションを必要とする人、④生命維持に必要な器具をつけている人、⑤疾病にかかりやすい人、⑥入院・入所の判断を要する人、⑦歯や口腔内に問題を持つ人、⑧心理的に不安定な人が対象となる。


☐ 160.在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院では、24時間体制で在宅でのみとりに対応する。


医療制度改革により、療養病床の削減が進められており、他の施設への移ることや在宅での介護が求められている。
在宅療養支援診療所、在宅療養支援病院が、24時間体制で在宅での看取りに対応している。


☐ 161.居宅療養管理指導は、医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士が行う。


居宅療養管理指導は、通院が困難な利用者に対して、療養上の管理および指導を行う。医師または歯科医師が必要性を認めた場合に、医師または歯科医師の指示のもとに行われる。
医学的管理は医師、歯学的管理は歯科医師、薬学的管理は薬剤師が行う。また、管理栄養士による栄養管理に係る情報提供および指導・助言も居宅療養管理指導である。


☐ 162.居宅療養管理指導における歯科衛生指導は、月4回まで算定できる。


口腔内の清掃または有床義歯の清掃に関する指導は、歯科医師の指示および訪問指導計画に基づいて歯科医師や歯科衛生士が行う。


☐ 163.薬剤管理指導は、最少の薬剤使用で最大の効果を得ることを目的に行う。


薬剤管理指導では、不必要な薬剤の使用を避け、利用者に最も適した薬剤・剤形を選択し、薬が正しく保管され、正しく服用され、副作用の防止や早期発見がなされるように確認することが必要である。高齢者は複数の薬剤を使用している場合が多く、相互作用に注意が必要である。
薬剤以外の一般用医薬品、健康食品や一般食品と相互作用を起こすものもあり、確認する必要がある。


☐ 164.薬局薬剤師は、薬学的管理指導計画書を作成する。


薬学的管理指導の流れ
医師・歯科医師の指示→薬局薬剤師→薬学的管理指導計画書→薬学的管理指導(薬剤服用歴・薬剤管理指導記録)
医師・歯科医師の指示→医療機関薬剤師→薬学的管理指導(薬剤服用歴・薬剤管理指導記録)





通所リハビリテーション


☐ 165.通所リハビリテーションは、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院で提供される。


通所リハビリテーション (デイケア)は、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院で提供される。通所介護に比べ医療的ケアとリハビリテーションの機能がより充実している。通所リハビリテーションは、理学療法や作業療法などのリハビリテーションを行うことにより、利用者の心身機能の維持回復を図るものでなければならない。


☐ 166.通所リハビリテーションの目的は、利用者の心身の機能の維持回復を図ることである。


通所リハビリテーションでは、①身体機能の維持・回復、②認知症・若年性認知l症患者の症状軽減や日常生活の回復、③ ADL。 IADLの維持・回復、④コミュニケーション能力や社会関係能力の維持・回復が行われる。個々の利用者に応じて理学療法士等が評価し、個別リハビリテーションや集団リハビリテーションが行われる。


☐ 167.通所リハビリテーション計画は、各職種が共同して作成する。


通所リハビリテーション計画は、医師の指示のもとに、各職種が共同して作成する。計画を利用者または家族に説明し、同意を得て、実施する。実行に移された場合には、実施状況およびその評価を診療記録に記載しなければならない。


☐ 168.介護予防通所リハビリテーションは、利用者の外出の機会となる。


介護保険制度発足以来、著しく増加している要介護度の軽度な者はやがで重度化する可能性があると同時に、自立状態に回復する可能性も大いにあることから、介護予防が必要である。
介護予防リハビリテーションにおいて、2018(平成30)年度の介護報酬改定により、「リハビリテーションマネジメント加算」「生活行為向上リハビリテーション実施加算」が新設された。





短期入所療養介護


☐ 169.短期入所療養介護は、医学的な管理のもとに介護、機能訓練を行う。


短期入所療養介護は、看護・医学的な管理のもとにおける介護、機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行う。短期入所療養介護は、医学的管理、合併症等の定期的な把握やコントロール、リハビリテーション等が必要な要介護者が対象である。


☐ 170.短期入所療養介護は、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院等で提供される。


短期入所療養介護は、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院等で提供される。居宅サービス計画では行うことになっていない緊急時の受け入れを行った場合、7日を限度に緊急短期入所受入加算が設けられている。短期入所療養介護事業所の多職種が共同して個別リハビリテーション計画を作成し、実施した場合、個別リハビリテーション実施加算を算定できる。


☐ 171.短期入所療養介護の最大の役割は、レスパイト・ケアである。


短期入所療養介護では、介護者の負担軽減 (レスパイト・ケア)が、最大の役割である。その他、疾病に対する医学的管理、医療器具の調整・交換やリハビリテーション、認知症患者への対応、急変時の対応、ターミナルケアが行われる。また、在宅復帰後に介護者の不安が解消されるように対処する。
短期入所療養介護では、1週間前に2回以上の入浴または清拭をおこなう。


☐ 172.短期入所療養介護計画の作成は、居宅サービス計画と連動させて行う。


短期入所療養介護計画は、おおむね 4日以上継続して入所する場合に、短期入所療養介護事業所の管理者が作成する。
短期入所療養介護計画を作成するにあたっては、居宅サービス計画の作成を担当する介護支援専門員と情報を共有し、2つの計画を連動させるようにする。


☐ 173.短期入所療養介護では、日帰りのサービスも行っている。


短期入所療養介護では、難病やがん末期の要介護者などが日帰り利用できる「特定短期入所療養介護」のサービスも実施されている。特定短期入所療養介護では、1日単位ではなく、サービス提供時間に応じて、介護費が設定されている。


☐ 174.介護予防短期入所療養介護は、リハビリテーションや栄養の維持・改善等が行われる。


要支援者は、介護予防短期入所療養介護を利用することができる。利用者の介護予防を目的として行われ、リハビリテーションや栄養の維持・改善等、介護予防短期入所療養介護計画に沿って、サービスが提供される。



定期巡回・随時対応型訪問介護看護


☐ 175.定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、定期的な巡回または随時通報により居宅を訪問し、訪問介護と訪問看護が提供される。


定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、定期的な巡回と随時通報により、居宅生活の援助を行い、療養生活の支援、心身の機能回復を目指すもので、地域密着型サービスである。1つの事業所で訪問介護と訪問看護が一体的に提供される「介護・看護一体型」と訪問介護事業者が地域の訪問看護事業所と連携を行う「介護・看護連携型」の 2つがある。


☐ 176.定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、利用者に必要なサービスを必要なタイミングで提供する。


定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、一体型では①~④、連携型では①~③を提供する。
①定期巡回サービス:訪問介護員が定期巡回し、サービス提供
②随時対応サービス:訪問介護員か訪問看護師等が通報を受け、要否等を判断する
③随時訪問サービス: ②の判断に基づき訪問介護員等がサービス提供
④訪問看護サービス:看護師等が医師の指示に基づき、訪問看護を提供 (該当利用者)


☐ 177.定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、訪問介護等の指定を受けられる。


定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業者は、訪問介護、訪問看護、夜間対応型訪問介護の指定を併せて受けることができる。サービスの提供にあたり、事業者は「介護 ・医療連携推進会議」を設置し、年に 2回の頻度で開催して提供状況を報告し、評価を受け、必要な要望や助言等を聴く機会とする。会議は利用者・家族、地域住民、医療関係者、市町村職員か地域包括支援センター職員、有識者によって構成される。


☐ 178.定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画は、担当介護支援専門員に提出する。


計画作成責任者は、看護職員が利用者宅を定期的に訪問して行うアセスメントの結果を踏まえ、定期巡回・随時対応型訪問介護看護計画を作成する。居宅サービス計画が作成されている場合は、その計画に沿って作成する。作成された計画は担当の介護支援専門員に提出する。
計画作成責任者は、従業者であって、看護師、介護福祉士等である。



看護小規模多機能型居宅介護


☐ 179.看護小規模多機能型居宅介護では、柔軟なサービスの提供が可能である。


看護小規模多機能型居宅介護は、利用者の希望やニーズに合わせて看護サービス、通いサービス、訪問サービス、宿泊サービスを適切に組み合わせて提供するものであり、1つの事業所からサービスが組み合わされて提供されるため、サービス間の調整が行いやすく、柔軟なサービス提供ができる。
省令の改正により、サテライト型看護小規模多機能型居宅介護事業所が創設された。


☐ 180.看護小規模多機能型居宅介護のサービス利用中は、算定できない費用がある。


看護小規模多機能型居宅介護を受けている間は、訪問リハビリテーション費、居宅療養管理指導費および福祉用具貸与費を除く指定居宅サービス並びに指定地域密着型サービスに係る費用の額は算定できない。


☐ 181.看護小規模多機能型居宅介護事業者は、介護サービスの提供開始時には、主治医による指示を文書で受けなければならない。


看護小規模多機能型居宅介護事業者は、介護サービスの提供開始時に、主治医による指示を文書で受けなければならない。また、サービス提供時に利用者に症状の急変があった場合、従業者は、速やかに主治医に連絡しなければならない。


☐ 182.看護小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員は、看護小規模多機能型居宅介護計画を作成する。


看護小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員は、看護小規模多機能型居宅介護計画を作成する。同計画作成にあたっては、看護師等と密接な連携を図りつつ行わなければならない。看護師等は、看護小規模多機能型居宅介護報告書を作成する。





介護老人保健施設


☐ 183.介護老人保健施設では、看護・医療管理下にてサービスが提供される。


介護老人保健施設は、施設サービス計画に基づき、看護・医療管理下にて介護および機能訓練、必要な医療、日常生活の世話を行い、入所者の能力に応じた自立した日常生活を営むとともに、居宅生活への復帰を目指す。また、介護老人保健施設は、施設運営にあたり、地域
住民やボランティア団体等との連携および協力を行う等の地域との交流に努めなければならない。


☐ 184.介護老人保健施設は、施設サービスだけでなく、居宅サービスや介護予防支援事業も提供できる。


介護老人保健施設は、介護保険施設としての許可を受けることにより、短期入所療養介護と通所リハビリテーションにおける居宅サービス事業所の指定があったとみなされ、居宅サービスを提供することができる。施設が届出をすると、地域包括支援センターと連携して、要支援 1、 2の認定を受けた者に介護予防支援事業を行うことができる。


☐ 185.介護老人保健施設では、厚生労働大臣の定める医薬品以外の施用・処方はできない。


介護老人保健施設の医師は入所者の心身の状態の把握に努め、必要に応じて介護保険給付により、検査、投薬、処置等を行う。入所者に対しては、厚生労働大臣が定める医薬品以外を施用したり処方したりすることはできない。
従来の「ユニット型準個室」は「ユニット型個室的多床室」に名称変更された。


☐ 186.介護老人保健施設は、感染症または食中毒が発生し、蔓延しないように措置を講じなければならない。


感染症や食中毒が発生しないように、衛生管理に努める。また、感染症や食中毒の予防および蔓延防止のための対策検討委員会を 3か月に 1回以上開催することや、指針の整備、研修を行うことは重要である。


☐ 187.介護老人保健施設には、広告制限が課せられている。


他の介護保険施設と異なり、介護老人保健施設には広告制限があり、定められた事項以外は広告してはならない。広告できる内容は、施設の名称、電話番号、所在地、施設に勤務する医師・看護師の氏名、厚生労働大臣の定める事項、都道府県知事の許可を得た事項である。


☐ 188.介護老人保健施設では、入所者の居宅における生活への復帰を目指す。


介護老人保健施設は、利用者の自立を支援し、その家庭復帰を目指す役割がある。医師をはじめ、看護師、介護職員、支援相談員等が定期的に協議し、居宅における日常生活を営むことができるか検討を行う。退所の際には、利用者とその家族に適切な指導を行うとともに、居宅介護支援事業者への情報提供や、サービス提供者との連携に努める。


☐ 189.入所者に対して、必要な医療の提供が困難な場合、介護老人保健施設の医師は必要な措置を講じなければならない。


入所者の病状からみて、介護老人保健施設において、自ら必要な医療を提供することが困難であると認めたときは、協力病院や診療所への入院や他の医師の往診を求める等の適切な措置を講じなければならない。


☐ 190.介護老人保健施設では、在宅復帰のほか、看取りを含むターミナルケアを実施し、ターミナルケア加算を算定できる。


ターミナルケア加算の算定要件としては、①医師が回復の見込みがないと診断している、②入所家族等の同意を得て、入所者のターミナル計画が作成されている、③医師や看護師が共同して入所者の状態または家族の求めに応じ随時説明し、同意を得て、ターミナルケアが実施されている。
2018(平成 30)年度の介護報酬改定により、かかりつけ医連携薬剤調整加算、排せつ支援加算、褥瘡マネジメント加算、再入所時栄養連携加算等が新設された。





介護医療院


☐ 191.介護医療院は、新しい介護保険施設として創設された。


介護医療院は、要介護者に対し、「長期療養のための医療」と「日常生活の世話 (介護)」 を一体的に提供する介護保険施設として、2017(平成 29)年の介護保険法改正により創設された。日常的な医学管理やターミナル等の機能と、生活施設としての機能を兼ね備えている。


☐ 192.介護医療院のサービスは、対象とする者によって、2つの類型に分けられる。


介護医療院で提供されるサービスには、①重篤な身体疾患のある者や身体合併症のある認知症高齢者等を対象とする介護療養病床相当のサービス (Ⅰ型 )と、それより容体が比較的安定した人を対象とする老人保健施設相当以上のサービス (Ⅱ型)の 2種類がある。


☐ 193.介護医療院は、介護療養病床の転換先の 1つと位置づけられている。


介護医療院は、介護療養病床の転換先の1つと位置づけられている。介護療養型医療施設 (介護療養病床)が提供していた短期入所療養介護、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションについては、介護医療院においても提供することができる。
介護療養病床の経過措置期間は、2018(平成 30)年 3月末までとされていたが、2017(平成29)年の法改正により6年延長され、2024年 3月末までとなった。


☐ 194.病院等から介護医療院に転換した場合には、転換前の名称を引き続き使用することができる。


介護医療院は介護保険法に設置根拠があり、都道府県知事から開設許可を得る。開設主体は、地方公共団体、医療法人、社会福祉法人などの非営利法人等である。
病院または診療所から介護医療院に転換した場合には、転換前の病院または診療所の名称を引き続き使用することができる。





介護支援専門員
第3章 保健医療福祉サービス分野
福祉サービスの知識等


高齢者のケアの基本理念


☐ 1.生活不活発病は、生活機能が低下した状態である。


廃用症候群は、予防重視の観点から生活不活発病と呼ばれるようになった。
WHOのICF(国際生活機能分類)は、介護予防において鍵となる概念である。ICFの考え方は生活機能に問題のある人をトータル (包括的)にとらえる枠組みとなっており、「障害」は「生活機能低下」とされた。


☐ 2.ICFの生活機能には、①心身機能・身体構造、②活動、③参加がある。


ICF(国際生活機能分類)の中心概念は生活機能と生活機能モデルである。生活機能には、①心身機能 ・身体構造、②活動、③参加の3つのレベルがあり、相互に作用し合い、他の要因も影響を受ける (生活機能モデル)。


☐ 3.高齢者ケアにおける目標は、利用者にとって現実の条件下で実現可能な最良の生活機能状態である。


高齢者ケアにおける目標は、利用者が最も幸せな人生の状態であることである。具体的で、将来を見据え、個別・個性的な目標とする。
実際、ケアで働きかけをするのは、ICFの生活機能における「活動」と「参加」のレベルである。それぞれの目標はセットであり、その目標の実現のために必要な心身機能レベルの目標を決めていく。


☐ 4.QOLには、主観的なものと客観的なものがある。


QOLは、主観的 QOLと 客観的 QOLに 分けられる。
客観的 QOLはさらに、社会レベルの QOL(人生の質)、個人レベルのQOL(生活の質)、生物レベルのQOL(生命の質)に分けられる。客観的QOLの 3つは、ICF(生活機能)の3つのレベルと合致する。


ソーシャルワーク


☐ 5.相談面接にあたり、援助者はクライエントを受けとめ、クライエントの主体的取り組みを引き出す援助を行う。


相談面接では、次の基本的視点がある。
①クライエントの人権尊重と権利擁護
②生活問題にかかわる相談は常に生活を全体として把握する
③クライエントの自立支援・自己決定・社会参加の拡大
④専門的援助関係と厳しい職業倫理


☐ 6.相談面接においては、個別化の原則がある。


相談のための面接は定式化されたチェックリストを用いながらも、その作業の中では個々の異なる対応が必要とされる。しかも一人ひとりの事情、情緒、問題等も異なるということが共通の認識になっていなければならない。


☐ 7.相談面接においては、受容と共感を示すことが大切である。


相談面接においては、クライエントの行動や認識、結果だけを見るのではなく、それまでの過程やクライエントにとっての意味、さらに情緒を含め、積極的に受容と共感を示すことが大切である。
相談面接においては、クライエントや家族、関係者の意見や行動を、相談援助者の価値観や社会通念から一方的に評価したり、そのことを表明したりしてはならない。


☐ 8.相談面接においては、クライエントの感情にも目を向ける。


相談面接においては、客観的な事実とともに、それらに伴う感情に積極的に目を向け、感情を表出する機会を与えることが重要である。客観的な事実や経過ばかりではなく、感情も重要な一因である。相談の中では、「そのときのあなたの気持ちは?」 といった質問をして、感情に目を向けるきっかけを意図的につくることも必要である。


☐ 9.相談面接においては、統制された情緒関与の原則がある。


相談面接において、クライエントやその家族が表出した感情を十分に受け止める姿勢とそれにふさわしい自然な温かさを伝える。また、クライエントの怒りや敵意を
無視するのではなく、感情的に巻き込まれない態度を明確にしつつ、情緒的なレベルで関与を続ける役割が求められる。


☐ 10.相談面接においては、クライエントが自己決定できるように働きかける。


クライエントは相談の過程を経て、主体的な選択と決断に到達する。自己の生活の多くの部分を他者に依存している場合においても、自己の人生における決定は、十分に説明を受けた上で自分で判断し、主体的に決定することが目標とされる。


☐ 11.相談面接においては、秘密保持の原則、専門的援助関係の原則がある。


個人の情報をどの程度、どの範囲の者で共有するかについてはあらかじめクライエントの了解を取っておく必要がある。職業倫理としては、職業上知り得た情報を第三者に漏らすことがあってはならない。
相談援助者は相談に関しての専門家であり、個人的な興味や関心を優先させてはならない。


☐ 12.コミュニケーションにおいては、表情、目線などの非言語的なものも重要である。


コミュニケーションにおいては、言語的コミュニケーションを中心としながらも、音声、抑揚、話すときの表情や速さ、目線、握手などの身体的接触といった非言語的コミュニケーションが重要な役割を果たす。言語を用いるときにも、イラストやビデオ、写真など多様な表現方法を利用するとよい。


☐ 13.コミュニケーション技術として、応対の仕方や面接場所にも配慮する。


コミュニケーションの技術には、自己紹介の仕方、相づちの打ち方、応答の仕方などの技術や、面接全体の時間配分、情報のまとめ方、問題の焦点の表現法がある。
面接の時間配分、面接場所の設定、いすの配置、職員の服装、書類の形式などについても配慮する必要がある。


☐ 14.傾聴には、予備的共感、観察、波長合わせの過程が必要である。


傾聴の際には、―般的な知識や基本知識に加えて、あらかじめクライエントの立場からの見方を予想し、共感的姿勢を準備しておく(予備的共感)。 さらに、語られないことも含めて相手をよく観察し、傾聴の過程で相手の反応によって自らの態度や言葉遣いを微妙に変えて波長を合わせていく。


☐ 15.質問は、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分ける。


傾聴のためには通常、オープンクエスチョンのほうがよいとされ、面接の焦点を定めたいときにはクローズドクエスチョンが有効である。面接の焦点を定め、深めるコミュニケーション技術として、「励まし、明確化、要約」がある。
イエス・ノーで答える質問をクローズドクエスチョン、「何でしょう?」とか「例えば?」 などのように答えがオープンなものをオープンクエスチョンという。


☐ 16.インテーク面接は受理面接・受付面接とも呼ばれ、最初の出会いから契約に至る過程をいう。


インテーク面接とは、クライエントと相談援助者が相談目的のための場面ではじめて出会い、状況と課題を確認し、援助計画を作成し、契約を結ぶに至るまでの過程をいう。十分にクライエントが納得した上で契約するために、問題を明確化し、援助の計画や内容について、クライエントと率直に話し合い、合意を得る。


☐ 17.インテーク面接では、主訴や必要な情報を収集し、問題を明確化する。


相談援助者は、受容的で話しやすい雰囲気をつくり、主訴、クライエントや家族の状況や問題を把握する。問題が明確化された後、対処方法や仮の目標を共同で設定していくが、この際、タイミングを見はからって、援助機関や援助者ができることとできないことを伝達する必要がある。


☐ 18.社会的抑圧や個人・家族的抑圧によって、ニーズが隠れることがある。


生活支援のニーズはあるものの、それが隠されている場合がある。
①社会的抑圧 (サービスの存在を知らない、諦めなど)
②個人・家族的抑圧 (家族への気兼ね、虐待など)
③本人・家族がニーズを自覚していない
④極端な社会的孤立
⑤多様な問題の陰に隠れている場合 (アルコール依存、万引きなど)


☐ 19.ミクロ・ソーシャルワークは、クライエントとの間に築かれる専門的援助関係を軸に、面接を主な手段として展開する。


ミクロ・ソーシャルワークは、個人や家族の抱える生活課題を解決・緩和するために、インテークから始まり、専門ソーシャルワーカーとクライエントの間に形成される専門的援助関係を媒介にして行われる。


☐ 20.メゾ・ソーシャルワーク (集団援助)は、集団場面や集団関係を対象とし、あるいはそれを媒介にして、社会福祉援助を行う。


メゾ・ソーシャルワーカーは、集団場面、集団関係がもたらす以下の集団活動を、個別援助の課題と結びつけて活用する。
①ほかのメンバーの行動を観察する機会がもたらす効果
②メンバーのなかに共通の問題を発見することによる効果 ③集団内での役割交換の効果 ④現実吟味と社会的学習機会の拡大効果 ⑤援助を他人と分かち合う体験


☐ 21.マクロ・ソーシャルワーク (地域援助)は、地域を援助の直接的対象としている。


マクロ・ソーシャルワーク (地域援助)は、地域(コミュニティ)を直接的な対象に、ソーシャルワーカーとの間に築かれる専門的援助関係を軸に援助を展開する。我が国では、社会福祉協議会が中心的機能をになっている。
マクロ・ソーシャルワークは、1960年代の終わりから、コミュニティワークと呼称するようになった。それまでは、一般的にコミュニティオーガニゼーションと呼称されていた。


☐ 22.援助困難事例では、高齢者や介護者が問題を自覚していても援助を受けていない場合がある。


援助困難事例には、①高齢者自身が問題を自覚しているのに援助を受けようとしない場合、②介護者が問題を自党しているが援助を受けようとしない場合、③それが複合した場合がある。援助困難事例を発見した場合は、保健 ・福祉機関に連絡し、積極的な援助を開始しなければならない。



社会資源の活用


☐ 23.介護支援専門員は、フォーマルサービスやインフォーマルサポートを活用する。


介護支援専門員は、中心となる介護保険サービスのほかにフォーマルサービスを熟知していなければならない。年金等の所得保障、医療保険、市町村等の保健福祉サービス、成年後見制度などの日常生活自立支援事業、公営住宅、緊急通報システムなどの市町村サービス、さらに地域のボランティア活動、自治会などのインフォーマルな活動も利用できるようにする必要がある。


☐ 24.フォーマルサービスは安定性や供給性に優れ、インフォーマルサポートは柔軟性に優れている。


フォーマルサービスは、一般的に安定性や供給性に優れているが、柔軟性に乏しいという特徴がある。一方、インフォーマルサポー トは、一般的に柔軟性があるが、安定性や供給性に乏しいという特徴がある。





障害者福祉制度と共生型サービス


☐ 25.障害者総合支援法における障害福祉サービスの利用者負担は、応能負担が原則である。


障害者総合支援法で定義する障害者には、身体障害者、知的障害者、精神障害者(発達障害者を含む)、難病を有する者が含まれている。市町村は、市町村審査会が行う障害支援区分に関する審査・判定の結果に基づき、障害支援区分の認定を行う。


☐ 26.相談支援には、基本相談支援、地域相談支援、計画相談支援の 3種類がある。


障害者総合支援法に基づく相談支援には、基本相談支援、地域相談支援、計画相談支援の3種類があり、事業は一般相談支援事業と特定相談支援事業に区分されている。
一般相談支援事業 =地域相談支援(地域移行支援+地域定着支援)+基本相談支援
特定相談支援事業 =計画相談支援(サービス利用支援)+継続サービス利用支援)+基本相談支援


☐ 27.介護保険と障害福祉両方の制度に、新たに共生型サービスが位置づけられた。


2017 (平成 29)年の介護保険法改正により創設された共生型サービスは介護サービスと障害者サービスを一体化して提供するもので、障害福祉サービス事業所であれば介護保険事業所の指定が受けやすくなる (逆の場合も同様)特例が設けられている。
共生型サービスの創設により、障害者サービスを利用していた者が65歳以上になっても、同じ事業所を引き続き利用できるようになった。


☐ 28.共生型サービスの対象となるのは、居宅サービス等である。


共生型サービスの対象となるのは、訪問介護、通所介護、療養通所介護、短期入所生活介護といった居宅 サービス等 (障害者総合支援法 ・児童福祉法においては、それに相当するもの)とされている。
共生型サービスは、介護保険法と障害者総合支援法だけでなく、社会福祉法、児童福祉法などにまたがり、従来の制度を超えた仕組みとなっている。





生活保護制度


☐ 29.生活保護受給者も、介護サービスを受けることができる。


生活保護制度において、介護保険では最低限の生活維持に必要な介護扶助等が支給される。
介護扶助の範囲は、居宅介護、福祉用具、住宅改修、施設介護、介護予防、介護予防福祉用具、介護予防住宅改修、介護予防・日常生活支援、移送 (交通費の支弁が困難な場合)


☐ 30.生活保護法上の被保護者が介護保険の被保険者でない場合、介護扶助で 10割給付される。


介護保険の第1号、第2号被保険者は、介護保険給付に係る自己負担分や施設等の食費等の自己負担分は介護扶助から支給される。介護保険の対象でない40~65歳未満の被保護者は、介護扶助から10割支給される。ただし、居宅サービスの場合は支給限度額までである。


☐ 31.被保護者の介護保険料は、生活扶助から支給される。


介護保険の第 1号被保険者には、生活扶助から介護保険料が支給される。生活扶助は、日常生活に必要な食費、被服等の給付であり、介護施設入居者の日常生活費も支給される。ただし、医療費は医療扶助から、住宅に関する費用は、住宅扶助から支給される。


☐ 32.介護扶助による介護給付は、指定介護機関が行う。


介護扶助 による介護の給付は介護サービス提供の適正な実施を確保するため、介護保 険法の指定 を受け、かつ生活保護法による指定を受けた事業者等 (指定介護機関)に委託 して行われる。指定介護機関には福祉事務所等より介護券が交付され、介護報酬の請求は、国民健康保険団体連合会 (国保連)に行う。


☐ 34.介護保険の被保険者でない被保護者の要介護認定は、生活保護制度で独自に行う。


介護保険被保険者である被保護者は、一般の被保険者と同様に要介護認定を受け、要介護度に応じて保険給付および介護扶助を受ける。被保険者以外の者については、生活保護制度で独自に要介護認定を行う。
郡部などでは、介護認定審査会にその審査判定を委託する場合がある。


☐ 35.生活保護制度の改正によって、就労自立給付金が創設された。


生活保護制度の改正によって、安定した職業に就くことにより保護からの脱却を促すための給付金として就労自立給付金が創設された。就労自立給付金は、安定した職業に就いたことにより保護を必要としなくなったと認めた者に対し、保護受給中の収入認定額の範囲内で仮想的に積み立て、保護脱却時に一括支給される。



高齢者の権利擁護


☐ 36.高齢者の尊厳が尊重される社会の実現を目指して「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」が施行されている。


この法律は虐待者を取り締まるだけでなく、虐待者の多くを占める高齢者の介護者を支援することも明記している。具体的な対策の担い手として市町村・都道府県が位置づけられており、地域包括支援センターが虐待対応の中核機関となる。


☐ 37.虐待には身体的・心理的なものなどのほか、介護等放棄 (ネグレクト)もある。


虐待の類型には、①身体的虐待、②介護等放棄 (ネグレクト)、③心理的虐待、④性的虐待、⑤経済的虐待がある。高齢者への虐待のうち、養護者 (家族、親族、同居人等)による虐待では身体的虐待が約68%と最も多く、次いで心理的虐待が約41%となっている 。(平成 28年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果。重複あり)


☐ 38.高齢者虐待の種類には、養護者による虐待と養介護施設従事者等による虐待がある。


高齢者虐待防止法における高齢者虐待の種類には、養護者による高齢者虐待、養介護施設従事者等による高齢者虐待がある。一方、障害者虐待防止法における障害者虐待の種類には、養護者による障害者虐待、障害者福祉施設従事者等による障害者虐待、使用者による障害者虐待がある。
障害者虐待の類型は、高齢者虐待防止法における高齢者虐待の類型と同様である。


☐ 39.高齢者の生命や身体に重大な危険を生じている場合は、市町村に通報する義務がある。


家庭内の養護者による高齢者虐待では、虐待を発見した者には通報の義務があり、高齢者本人が届け出ることもできる。市町村は、①高齢者や養護者への相談、指導、助言、②事実確認、③老人福祉法による保護措置、④保護措置のための居室確保、⑤立入調査 (その際所管の警察署長に援助を求められる)を行う。


☐ 40.養介護施設等の従事者による虐待の通報を理由に、通報者が解雇その他不利益な取扱いを受けない。


養介護施設等の従事者は、施設内で虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合、市町村に通報しなければならない。その場合、通報したことを理由に解雇その他不利益な取扱いを受けないとされている。市町村は、その通報を受け、事実確認や訪問調査を行う。虐待が疑われる場合は都道府県に報告する。市町村長または都道府県知事は、老人福祉法または介護保険法による権限を行使し、報告徴収や立入検査等を行う。


☐ 41.成年後見制度は、判断能力が不十分な者の権利擁護のための制度である。


成年後見制度とは、認知症・知的障害 。精神障害など判断能力が不十分な者の権利を擁護するために、家庭裁判所や本人によって選任された後見人等が財産管理や身上監護を本人に代わって行う制度である。成年後見制度は、法定後見制度と任意後見制度に分けられる。


☐ 42.法定後見制度は、後見類型、保佐類型、補助類型に分けられる。


後見類型:認知症等の精神上の障害により、判断能力を欠く常況にある場合が対象となり、成年後見人が選任される。
保佐類型:認知症等の精神上の障害により、判断能力が著しく不十分な場合であり、保佐人が選任される。
補助類型:認知症等の精神上の障害により、判断能力が不十分な場合であり、軽度の認知症、知的障害、精神障害がある場合が該当する。


☐ 43.任意後見人となる者は、公正証書で任意後見契約をしなければならない。


任意後見制度は、本人が後見人をあらかじめ契約により決めておく制度で、この契約は公正証書で行われる。公証人は後見登記を扱う東京法務局で後見登記を行う。任意後見人に不正等があると、家庭裁判所が任意後見監督人の報告を受けて、解任することもできる。
2012年4月から、老人福祉法で、後見等に係る体制の整備等に係る体制の整備等を図る条項が創設され、後見人等の人材育成が課題となっている。


☐ 44.日常生活自立支援事業は、利用者本人の判断能力が不十分なときに介護保険サービスの選択・契約 ・利用の援助を行う。


日常生活自立支援事業は、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な者に対して、福祉サービスの利用に関する援助等を行うことにより、地域において自立した生活が送れるように支援する。都道府県・指定都市社会福祉協議会が事業実施主体となって、市区町村社会福祉協議会にも一部委託できる。


☐ 45.日常生活自立支援事業では、日常的金銭管理も行われる。


日常生活自立支援事業により実施される具体的な支援の内容は、以下のとおりである。
①福祉サービスの利用援助 (福祉サービス利用手続、行政手続、利用料の支払い等)
②日常的金銭管理サービス (年金等の手続、医療費・税金・保険料・公共料金の支払い、預金の払戻等)
③書類等の預かリサービス (年金証書、通帳、権利証、保険証書、実印等の預かり)
④介護保険の利用に関する援助


☐ 46.日常生活自立支援事業では、介護保険における要介護認定等の申請手続きなどの援助を行う。


介護保険の利用に関する日常生活自立支援事業の具体的な援助としては、次のようなものがある。
①要介護認定等に関する申請手続きの援助
②要介護認定等に関する調査等に立ち会い、本人の状況を正しく調査員に伝える
③居宅介護支援事業者の選択や、契約締結、解約に関する手続きの援助
④居宅サービス計画等の作成に関する手続きやアセスメントに立ち会い、本人の状況を正しく介護支援専門員に伝える
⑤介護保険サービス事業者との契約締結、契約変更、解約に関する手続きの援助
⑥介護保険サービス利用料の支払いの援助
⑦介護保険サービス内容のチェックの援助
③介護保険サービスの苦情解決制度の利用手続きの援助
書類等の預かりサービスでは、年金証書、通帳、権利証、保険証書、実印等の預かりを行う。



訪問介護


☐ 47.訪問介護は、利用者が可能な限り居宅において、自立した日常生活を営むことができるように援助を行う。


訪問介護には、次のような目的がある。
①個人が培った生活習慣、文化、価値観を尊重し、生活基盤を整える
②生活の自立支援
③生きることの喜び、意味を見出し、自己実現を図る
④予防的な対処によるQOLの維持
⑤状態の変化を発見し、他職種へつなぐ
2017(平成29)年の介護保険法改正により、訪問介護に「共生型訪問介護」が位置づけられた。


☐ 48.訪問介護の身体介護は、利用者のADLや意欲向上のために利用者ととに行う自立支援サービスである。


訪問介護における身体介護
排泄介助、食事介助、清拭・入浴介助、整容・洗面・更衣介助、移乗・移動介助、通院・外出介助、見守り、就寝・起床介助 ・体位変換、流動食 ・糖尿病食等の特段の専門的配慮をもって行う調理


☐ 49.医療行為に該当しないものは、身体介護で行うことができる。


医療行為に該当しない身体介護
体温測定、血圧測定、パルスオキシメータ装着、軽微な切り傷・すり傷・やけど処置、一定条件下の医薬品の使用介助等、爪の手入れ、歯や口腔粘膜・舌の汚れの除去、耳垢除去、ストマ装具のパウチの排泄物を捨てる、自己導尿補助の準備や介助、ディスポ市販品の浣腸等。


☐ 50.介護職員等は、一定の条件下で喀痰吸引を実施することができる。


介護福祉士は、医師の指示の下に喀痰吸引および経管栄養を行うことができる。また、介護従事者(介護福祉士を除く)のうち、喀痰吸引等の研修を修了して都道府県知事が認定した者(認定特定行為業務従事者)も行える。
介護事業者が喀痰吸引等を行う場合、認定特定行為事業者として都道府県に登録する必要がある (医療機関は除く)。


☐ 51.訪問介護の生活援助を受けるには、給付に条件が設けられている。


生活援助を受けられるのは、単身者である場合、家族等が同居していても家族が障害や疾病等を有する場合や、やむを得ない事情で家事を行うことが困難な場合である。生活援助は、掃除、洗濯、ベッドメイク、衣類の整理、被服の補修、―般的な調理、配下膳、買い物、薬の受け取り等である。
利用者以外の者の洗濯、調理、買い物、布団干し、掃除、来客の応接、草むしり等は生活援助に含まれない。


☐ 52.通常よりも訪問回数の多い生活援助については、市町村への届出が必要である。


2018(平成30)年10月より、通常のケアプランより多い回数の生活援助中心型の訪問介護を位置づけた場合には、市町村に届け出ることとなった。市町村は、届け出のあったプランについて検証を行い、必要に応じて介護支援専門員に対し、サービス内容の是正を促す。
市町村への届出が必要な回数
要介護1-27回以上、要介護 2ー34回 以上、要介護 3ー43回以上、要介護 4ー38回以上、要介護 5ー31回以上



訪問入浴介護


☐ 53.訪問入浴介護は、入浴が困難な利用者を対象に浴槽を提供して行われるサービスである。


訪問入浴介護の利用者は、入浴にあたり身体的・精神的に配慮が必要な人である。利用者は要介護 4、5の重度の場合が多い。また、終末期にある利用者や医療処置を受けている利用者 (鼻腔経管栄養、胃ろう造設、中心静脈栄養、人工肛門、人工膀胱、膀胱留置カテーテル、CAPD、 血液透析、HOT、人工呼吸器等)も可能である。


☐ 54.訪問入浴介護サービスを提供するためには事前訪問を行う。


サービス提供にあたり、看護職員また介護職員は事前に家庭訪問を行う。看護職員は主治医の指示を確認し、日常生活動作や全身状態の観察、介護職員は入浴方法を検討する。
事前に入浴時の協力についてまとめた文書 (準備するもの、注意事項等)について利用者や家族等に説明しておく。


☐ 55.訪問入浴介護従業者は、サービス提供時の利用者の急変時等の対応にあらかじめ備えなければならない。


入浴に際して、利用者の状態に異常があれば、主治医の指示を仰ぎ、必要に応じて部分浴、清拭への変更や入浴中止とする。現に訪問入浴介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、速やかに主治医またはあらかじめ当該訪問入浴介護事業者が定めた協力医療機関への連絡を行う等の措置を講じなければならない。


☐ 56.訪問入浴介護では、原則看護職員 1人と介護職員 2人で行う。


訪問入浴介護は、看護職員1人、介護職員 2人で全身浴を行うのが基本であるが、利用者の状況に応じて介護職員3人で行うこともできる(減算となる)。
サービス提供には、用いる設備、器具等の使用に際して安全および清潔の保持に留意し、特に利用者の身体に接触するものは、サービスの提供ごとに消毒する。





介護・療養通所介護


☐ 57.通所介護では、利用者の社会的孤立の解消や心身機能の維持、家族の負担の軽減を図る。


通所介護では、外出と社会的な交流による社会的孤立感の解消、利用者の機能訓練や日常生活訓練とともに、家族の介護負担の軽減も重要な目的である。
通所介護は、要介護者に対し、①入浴や食事の提供、②生活等に関する相談および助言、③健康状態の確認、その他必要な日常生活上の世話、④機能訓練を行う。
2017(平成 29)年の介護保険法改正により、通所介護に「共生型通所介護」が位置づけられた。


☐ 58.サービスは、通所介護計画に沿って提供される。


通所介護事業所の従業者は、生活相談員、看護職員、介護職員、機能訓練指導員であり、常勤の管理者を置く。管理者は、居宅サービス計画に沿って通所介護計画を作成する。介護報酬は、要介護度やサービス提供時間、事業所の規模によって異なる。


☐ 59.通所介護の利用者は、利用日ごとに異なる提供時間数のサービスを受けることができる。


通所介護事業所では、利用者の希望、要介護状態、心身状態、生活環境などに合わせて、利用者ごとに異なるサービス利用時間でサービスを提供することができる。
さらに、利用日ごとに異なる提供時間数のサービスを提供することもできる。


☐ 60.療養通所介護では、難病やがん末期の中重度要介護者等を受け入れる。


療養通所介護は難病やがん末期の要介護者で、看護師による常時観察が必要な場合が対象であり、日常生活上の世話および機能訓練が行われる。療養通所介護事業所は、利用定員が 18人以下で、管理者は看護師である。管理者が療養通所介護計画を作成するが、訪問看護計画がある場合、整合性を図る。
省令の改正により、療養通所介護の利用定員は 9人→18人となった。

短期入所生活介護


☐ 61.短期入所生活介護を利用することで、在宅での自立支援を行う。


短期入所生活介護を利用する要介護者は、「利用者の心身の状況」「家族の疾病、冠婚葬祭、出張等」「利用者の家族の身体的および精神的な負担の軽減等」などの理由から一時的に居宅において日常生活を営むのに支障がある者で要介護 1~5に認定された者が利用できる。
2017(平成 29)年の介護保険法改正により、短期入所生活介護に「共生型短期入所生活介護」が位置づけられた。


☐ 62.短期入所生活介護および短期入所療養介護は、要介護認定の有効期間の半分以上は利用できない。


短期入所生活介護は、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、病院、介護老人保健施設などで提供される。短期入所サービスの利用は、在宅生活の維持のためにも有用である。
居宅サービス計画に短期入所サービスを位置づける場合は、要介護認定の有効期間のおおむね半分を超えないこととされている。


☐ 63.短期入所生活介護としておおむね4日以上継続して入所する場合は、短期入所生活介護計画を作成する。


短期入所生活介護計画は、おおむね4日以上継続して入所する場合に作成するとされているが、それ未満の利用であっても利用者の状況によって作成されることもある。居宅サービス計画が作成されている場合は、その内容に沿って作成される。短期入所生活介護事業者の管理者は他の従業者と協議して計画作成を行う。


☐ 64.短期入所生活介護では、緊急に利用者を受け入れることが可能である。


認知症の行動 ・心理症状が認められ、在宅での生活が困難な場合、緊急に短期入所生活介護を行うことができる。居宅サービス計画にない受け入れを緊急に行った場合は7日 を限度とし、家族のやむを得ない事情の場合は14日を限度として行うことができる。その他、若年性認知症利用者の受け入れもできる。





特定施設入居者生活介護


☐ 65.介護保険制度では、特定施設入居者生活介護は居宅サービスと位置づけられている。


特定施設入居者生活介護サービスを利用できるのは、有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム(主にケアハウス)の特定施設の入居者で、要介護5と認定された第 1号または第2号被保険者である。
特定施設は、介護保険制度では居宅サービスと位置づけられている。


☐ 66.外部サービス利用型特定施設入居者生活介護では、他の居宅サービスを利用できる。


特定施設入居者生活介護は、特定施設サービス計画に基づいて日常生活における支援や介護サービスを総合的に提供するので、訪問介護等の居宅サービスを利用できない。「外部サービス利用型特定施設入居者生活介護」は、施設職員が基本サービスを行い、介護サービスや機能訓練、療養上の世話は、施設が委託した外部の居宅サービス事業者が提供する。


☐ 67.有料老人ホームは、介護サービスとの関係から、4つに分類される。


有料老人ホームは老人福祉法に定められている居住施設で、施設設置主体や経営運営等の決まりはない。情報開示や一時金保全措置等が義務づけられている。
有料老人ホームは、①介護付有料老人ホーム (―般型特定施設入居者生活介護)、 ②介護付有料老人ホーム (外部サービス利用型特定施設入居者生活介護)、 ③住宅型有料老人ホーム、④健康型有料老人ホームの4類型がある。


☐ 68.養護老人ホームでは、外部サービス利用型特定施設入居者生活介護が行われる。


養護老人ホームも特定施設に含まれている。ただし、外部サービス利用型特定施設入居者生活介護のみ利用が可能である。外部サービス利用型特定施設入居者生活介護では、特定施設サービス計画に基づき、受託居宅サービス事業者によって介護支援サービスが提供される。





特定施設入居者生活介護


☐ 69.ケアハウスは、介護対応型の軽費老人ホームである。


軽費老人ホームの A型、B型、ケアハウスの 3種類のうち、ケアハウスが介護対応型として設置されている。自炊ができない程度の身体機能の低下がある高齢者や在宅での生活に不安がある高齢者が入居する契約型の施設である。指定を受けて特定施設入居者生活介護サービスを提供する。


☐ 70.指定特定施設には、計画作成担当者を置かなければならない。


計画 作成担当者は、利用者100人で1人を標準として1人以上の配置をしなければならない。介護サービスを提供する場合は必ず特定施設サービス計画を立てて実行し、それを再アセスメントする過程が必要である。
計画作成担当者は介護支援専門員でなければならないが、他の業務と兼務してもよい。


☐ 71.有料老人ホームにおいて法定代理受領サービスを提供するには、利用者の同意が必要である。


有料老人ホームが特定施設として、特定施設入居者生活介護を法定代理受領サービスとして提供する場合には、利用者の同意が条件であることをあらかじめ説明し、利用者の意思を確認しなければならない。


☐ 72.介護予防特定施設入居者生活介護の目的は、利用者が特定施設で能力に応じた自立した生活を送れるようにすることである。


介護予防特定施設入居者生活介護は、介護予防特定施聖サービス計画に基づき、利用者が特定施設で能力に応じた自立した生活を送れるように利用者の心身機能の維持 。回復を図り、生活機能の維持・向上を目指すものである。
外部サービス利用型介護予防特定施設入居者生活介護もある。





福祉用具と住宅改修


☐ 73.福祉用具は、利用者の身体機能のほかにケアプランで実現しようとする目標に合わせて選択する。


福祉用具は、選択を間違えたり調整に不備があると、効果が発揮されないばかりか、危険が生じたり、不活発な生活に誘導することがあり、注意しなければならない。
福祉用具の選択・調整のポイントは、①身体機能、②介護者の状況、③住環境、④利用するその他の福祉用具、⑤その他 (費用、使用頻度)が挙げられる。


☐ 74.介護支援専門員は、居宅サービス計画に福祉用具貸与の利用の妥当性を検討し、計画に必要な理由を記載しなければならない。


居宅サービス計画に福祉用具貸与を位置づ けるには、計画に必要な理由を記載する必要があり、また、必要に応じてサービス担当者会議で検討する。
特定福祉用具販売でも、その利用の妥当性を検討し、計画に必要な理由を記載しなければならない。


☐ 75.福祉用具貸与・販売事業者は、福祉用具専門相談員を置かなければならない。


福祉用具貸与・販売事業者、介護予防福祉用具貸与・販売事業者は、福祉用具専門相談員を2人以上置かなければならない。福祉用具専門相談員は、福祉用具サービス計画書 (福祉用具貸与計画、特定福祉用具販売計画、介護予防福祉用具貸与計画、特定介護予防福祉用具販売計画)を作成する。


☐ 76.福祉用具の貸与価格には、上限が設定されている。


2017 (平成 29)年の介護保険法改正により、福祉用具の適正価格での貸与を確保するため、商品ごとの全国平均貸与価格の公表や、貸与価格に上限を設定するなどの見直しが行われた。
福祉用具貸与の見直し内容
2018年4月~ :機能や価格帯の異なる複数商品を提示する
2018年10月~:①国は商品の全国平均貸与価格を公表する。②福祉用具貸与事業者は、利用者に対 し、全国平均貸与価格と自らの貸与価格の両方を説明する。③貸与価格に上限を設定する (商品ごとに全国平均貸与価格+1標準偏差)
2019年4月~:新商品についても、3か月ごとに全国平均貸与価格の公表と上限設定を行う





福祉用具と住宅改修


☐ 77.福祉用具購入費支給限度基準額は 10万円である。


福祉用具は身体機能や生活状態の変化が考えられるため、基本的には貸与される。排泄用具・入浴用具などは購入することとなっており、特定福祉用具とされている。福祉用具購入費の支給は、厚生労働大臣が月を単位として省令で定める期間 (4月1日からの12か月間)について、福祉用具購入費支給限度基準額を10万円に設定している。


☐ 78.福祉用具が障害者施策と介護保険で重複する場合、介護保険が優先する。


車いす、歩行器、歩行補助つえなど障害者総合支援法の福祉用具と重複するものは、原則として介護保険から給付される。更生相談所などの判断により障害者総合支援法の補装具として給付されることもある。
認知症対応型共同生活介護、特定施設入居者生活介護などを受けている場合、福祉用具貸与費は算定されない。


☐ 79.要支援者等は、特殊寝台、車いす、移動用リフト等は、原則として利用できない。


車いす、特殊寝台、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフトとそれらの付属品は、要支援者 (介護予防福祉用具貸与費)、要介護 1(福祉用具貸与費)では算定されない。ただし、医学的所見、サービス担当者会議を経たケアマネジメントで、市町村が確認した場合は例外給付が認められる。


☐ 80.特殊寝台は、貸与種目の福祉用具である。


背上げ機能や全体の昇降機能や、サイドレールが付いている、いわゆる介護ベッド、マットレス、サイドレール、トランスファーボード (ベッドから車いすへの移乗に利用)、 スライディングシートも対象となっている。
特殊寝台は、自立して起居姿勢や動作ができない場合や介護が必要な場合が想定されており、布団よりベ ッドで寝るほうが楽であるようなケースでは用いられない。


☐ 81.手すりは、福祉用具貸与と住宅改修の両方が考えられる。


ポータブルトイレの手すり等、工事が伴わない手すり・工事を伴わない設置タイプのスロープは福祉用具の貸与種目である。壁面への手すりの取り付け、階段からスロープヘの変更などの工事を伴うものは住宅改修の対象となる。


☐ 82.1本杖は、福祉用具とはならない。


貸与種目の歩行補助杖として対象となるのは、松葉杖、ロフストランド・クラッチ、多点杖等の歩行を補完するものに限定されている。 いわゆる1本杖 (ステッキ、ストックの類)は福祉用具とはならない。歩行器はあくまでも歩行時に支えとして使用するものと考えられており、フレーム内に身体等の一部が入る用具に限定されている。


☐ 83.移動用リフトは貸与種目、つり具は購入種目の福祉用具である。


移乗介助に使う移動用リフトのうち、工事を伴わないものが福祉用具として貸与種目となる。移乗介助は介助者の腰痛等の原因ともなるので、移動用リフトは有効である。リフトのつり具は購入種目となる。


☐ 84.腰掛便座、入浴補助用具、簡易浴槽などは購入種目の福祉用具である。


排泄 ・入浴などに用いるもの (ポータブルトイレや補高便座などの排泄用品、シャワーチェア、シャワー用車いすなどの入浴用品など)は、特定福祉用具として購入する。尿・便を吸引する自動排泄処理装置は貸与種目だが (要介護4、5のみ)、レシーバーなどは購入種目である。
2014(平成26)年改正により、特定福祉用具販売の腰掛便座に「水洗ポータブルトイレ」が追加された。


☐ 85.福祉用具貸与の対象である車いすには、自走用、介助用、電動式がある。


福祉用具貸与の対象となる車いすは、①自分で操作する自走用標準型車いす、②介助者が操作する介助用標準型車いす、③動力で動かす普通型電動式車いすとなっている。また、車いすと一体的に使用されるクッション、電動補助装置等の車いす付属品も貸与種目となっている。


☐ 86.住宅改修の目的は、在宅生活を継続するために生活の改善を図ることである。


高齢者が居住する住宅は、築年数が長くバリアフリー化されていない場合が多い。住宅改修は、生活動作の自立促進、介護負担の軽減、外出の機会につながるなど、在宅生活を維持するには有効である。


☐ 87.引き戸等への扉の取替え、洋式便器への取替えは、住宅改修の給付対象となる。


保険給付の対象となる住宅改修
・手すりの取り付け (工事を伴う)
・段差の解消
・滑りの防止および移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
・引き戸等への扉の取替え
・洋式便器等への便器の取替え
※2015(平成27)年4月より、「便器の位置・向きの変更」が追加された。


☐ 88.住宅改修に付帯して必要となる工事も、給付対象となる。


洋式便器への便器の取替えでは、和式から洋式の暖房便座等の機能付き便座にした場合は給付されるが、洋式から洋式の機能付き便座にした場合は給付対象外である。その他住宅改修に付帯して必要となる工事は支給対象である。


☐ 89.住宅改修の支給限度基準額は 20万円となっている。


住宅改修費の支給限度基準額は、要支援・要介護状態区分によらず、20万円である。実際に還付されるのは申請額の9割、8割または7割であるため、給付は18万円までが償還払いされる。要介護状態区分が3段階以上あがった場合、転居した場合にも、1回に限り再申請できる。ただし、要支援1から要介護2となった場合は、2段階の上昇とされ、再支給されない。


☐ 90.住宅改修に関しては、利用者保護の観点から事前申請制度が導入された。


住宅改修費の支給申請には住宅改修申請書、理由書、見積書等を提出する。保険者はその申請付の対象として適当かどうかを確認する。
住宅改修が必要な理由書は、居宅サービス計画を作成した介護支援専門員または地域包括支援センター職員が作成する。また、保険者が認める福祉、医療または建築の専門家も作成できる。





夜間対応型訪問介護


☐ 91.夜間対応型訪問介護では、定期巡回サービス、オペレーションセンターサービス、随時訪問サービスを一括して提供する。


夜間対応型訪問介護は、定期巡回サービス、オペレーションセンターサービス、随時訪問サービスを一括して提供しなければならない。
定期巡回サービス:定期的に利用者の居宅を巡回して介護支援を提供するサービス
オペレーションセンターサービス:随時、利用者からの通報を受け、通報内容等を基に訪問介護員等の訪問の要否等を判断するサービス
随時訪問サービス:オペ レーションセ ンター等からの連絡に対応して、介護支援を提供するサービス


☐ 92.夜間対応型訪問介護計画は、原則、オペレーションセンター従業者が作成する。


夜間対応型訪問介護計画の作成業務は、原則としてオペレーションセンター従業者が担当する。夜間対応型訪問介護計画は、既に居宅サービス計画が作成されている場合、その居宅サービス計画の内容に沿って作成しなければならない。


☐ 93.オペレーターの資格要件には、看護師、介護支援専門員、社会福祉士などが含まれる。


オペレーターの資格要件は、看護師、介護福祉士、医師、保健師、准看護師、社会福祉士、介護支援専門員 、サービス提供責任者として1年以上従事した者である。
サービス提供責任者の経験年数は、3年以上から1年以上に緩和された。ただし、初任者研修課程及び旧2級課程修了者については、引き続き3年以上となっている。


☐ 94.サービス提供時間は、最低限22時から翌朝6時までの間は含めて設定する。


夜間対応型訪問介護のサービス提供時間は、夜間対応型訪問介護事業所ごとに設定することができるが、最低限22時から翌朝6時までの間は含めなければならない。
夜間対応型訪問介護事業者は、利用者が適切にオペレーションセンターに通報できるように、利用者に対し、通信のための端末機器を配布しなければならない。





認知症対応型通所介護


☐ 95.単独型・併設型の認知症対応型通所介護事業所の利用定員は12人以下である。


認知症対応型通所介護の事業所形態には、①単独型事業所、②併設型事業所、③共用型事業所がある。単独型・併設型事業所の利用定員は1単位あたり12人以下となっており、共用型事業所の利用定員は、認知症対応型共同生活介護事業所、地域密着型特定施設では 1施設あたり3人以下となっている。
ユニットケアを行っている地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の利用定員は、1ユニットあたりユニットの入居者と合わせて12人以下である。


☐ 96.認知症対応型通所介護は、利用者の家族の介護負担軽減も目的としている。


認知症対応型通所介護は、利用者の居宅での自立した生活の継続、社会的孤立感の解消、心身機能の維持のほか、利用者の家族にかかる介護負担を軽減することも目的としている。
2018(平成30)年度の介護報酬改定により。基本報酬のサービス提供期間の区分が、2時間ごとから1時間ごとになった。



小規模多機能型居宅介護


☐ 97.小規模多機能型居宅介護事業所の登録定員は、29人以下とする。


①本体事業所
登録定員:29人以下
通いサービスの利用定員:登録定員 (25人までの場合)の 1/2~15人まで、登録定員が 25人を超える場合には、登録定員 26~27人では 16人 、28人では17人、29人では 18人
宿泊サー ビスの利用定員:通いサービスの利用定員の1/3~ 9人まで
②サテライト型事業所
登録定員:18人以下、通いサービスの利用定員
通いサービスの利用定員:登録定員の1/2~12人まで
宿泊サービスの利用定員:通いサービスの利用定員の 1/3~ 6人まで
本体事業所定員は、看護小規模多機能型居宅介護事業所と同一である。


☐ 98.通いサービスの利用者は、登録定員に比べて著しく少ない状態が続いてはならない。


小規模多機能型居宅介護事業所において、通いサービスの利用者は、登録定員に比べて著しく少ない状態(おおむね登録定員の3分の1以下)が続いてはならない。
通いサービスと宿泊サービスの利用は、利用者の様態や希望によって特に必要と認められる場合、一時的に利用定員を超えてサービス提供を行うことができる。


☐ 99.運営推進会議は、おおむね2か月に1回以上開催する。


小規模多機能型居宅介護事業者などの地域密着型サービス事業者は、運営推進会議を、おおむね2か月に1回以上開催する (一定の条件を満たす場合は、複数の事業所で合同開催することができる)。


☐ 100.地域密着型サービス事業者は、運営推進会議の内容を記録し、その内容を公表する。


地域密着型サービス事業者は、運営推進会議で行われた報告内容、評価、助言、要望などについて記録を作成し、その記録を公表しなければならない。
地域密着型サービスにおいて、事業の効率を図ったり、事業所間のネットワーク形成を促進するなどの観点から、一定の条件を満たせば、複数の事業所で運営推進会議等を合同開催することができるようになった。





認知症対応型共同生活介護


☐ 101.認知症対応型共同生活介護の共同生活住居の入居定員は、5人以上9人以下である。


認知症対応型共同生活介護事業所 (グループホーム)には、 1つまたは2つの共同生活住居を設ける。1居室の定員は、原則として 1人であるが、利用者の処遇上必要と認められる場合には 2人とすることができる。
現行では「1または2」と規定されているユニット数の標準について、新たな用地確保が困難である等の事情がある場合には3ユニットまで差し支えないことが明確化された。


☐ 102.認知症対応型共同生活介護計画の作成業務は、計画作成担当者が担当する。


認知症対応型共同生活介護計画の作成にあたっては、通所介護などの活用や地域における活動への参加の機会の提供など、利用者の多様な活動の確保に努めなければならない。さらに、利用者の心身状況や希望などを踏まえて、他の介護従業者と協議して、援助の目標や具体的なサービスの内容などを検討して作成しなければならない。


☐ 103.認知症対応型共同生活介護の介護報酬において、夜間の支援体制の充実を図った事業所に対しては、ユニット数に合わせて加算として評価される。


認知症対応型共同生活介護において、夜間及び深夜の時間帯を通じて介護職員を 1ユニット1人配置することに加えて、夜勤を行う介護従業者又は宿直勤務を行う者を 1人以上配置することにより、「夜間支援体制加算」が算定できる。


☐ 104.退居する場合には、退居後の生活環境や介護の継続性に配慮し、退居に必要な援助を行う。


利用者が退居する場合には、退居後の生活環境や介護の継続性に配慮 し、退居に必要な援助を行うとともに、利用者または利用者の家族に対し、適切な指導や居宅介護支援事業者などへの情報提供なども行う。
入居の際は、入居の年月日と入居している共同生活住居の名称を、退居の際は、退居の年月日を、利用者の被保険者証に記載する。





地域密着型特定施設入居者生活介護


☐ 105.地域密着型特定施設入居者生活介護では、地域密着型特定施設サービス計画に基づいてサービスを提供する。


地域密着型特定施設入居者生活介護は、要介護者が自立した日常生活を営むことができるようにすることを目的に、地域密着型特定施設サービス計画に基づいて介護、機能訓練、療養上の世話などを提供する。
地域密着型特定施設入居者生活介護事業者は、安定的かつ継続的な事業運営に努めなければならない。


☐ 106.入居の際は、入居およびサービス提供に関する契約を文書により締結しなければならない。


地域密着型特定施設入居者生活介護事業者は、あらかじめ、入居申込者または入居申込者の家族に対し、重要事項に関する規程の概要、従業者の勤務の体制、利用料の額、利用料の改定の方法などの重要事項を記した文書を交付して説明し、入居およびサービス提供に関する契約を文書により締結しなければならない。





地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護


☐ 107.地域密着型介護老人福祉施設では、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行う。


地域密着型介護老人福祉施設では、入所者の意思 ・人格を尊重し、常にその入所者の立場に立ってサービス提供を行うように努めなければならないだけでなく、明るく家庭的な雰囲気を有し、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行い、市町村や居宅介護支援事業者などとの密接な連携にも努めなければならない。


☐ 108.入所者が居宅で日常生活を営むことができるか否かについて定期的に検討する。


地域密着型介護老人福祉施設の入所者に対しては、居宅において日常生活を営むことができるかについて、生活相談員、介護職員、看護職員、介護支援専門員などの従業者の協議により、定期的に検討しなければならない。
入所申込者が入所する際には、その者に係る居宅介護支援事業者に対する照会などによって、その者の心身状況、生活歴、病歴などの把握に努めなければならない。





介護老人福祉施設


☐ 109.介護老人福祉施設は、日常生活上の世話、機能訓練等のサービスを提供することで、できる限り自立した生活の支援が目的である。


介護老人福祉施設は、特別養護老人ホーム (入所定員が 30人以上)が都道府県知事に申請し、指定を受けたものである。施設サービス計画 に基づき、日常生活上の世話、機能訓練、健康管理および療養上の世話をすることを目的とした施設である。
入所者の有する能力に応じ自立した日常生活を営むことを目指す。


☐ 110.介護老人福祉施設は、介護支援専門員を置かなければならない。


介護老人福祉施設は、1人以上の介護支援専門員を配置する。100人またはその端数を増すことに1人を増やさなければならない。医師は非常勤でも可能である。
入所者対看護・介護職員は、(常勤換算で)3:1の人員が必要で、さらに看護職員は施設の規模が大きくなるほど増員される。その他、生活相談員 (入所者100人対 1人以上)、 機能訓練指導員 (1人以上)が配置される。


☐ 111.介護老人福祉施設の新規入所者は、原則として要介護 3以上の者に限定される。


介護老人福祉施設に新規に入所できるのは、原則として要介護 3以上の者である。ただし、要介護 1・ 2であっても、次のような場合は特例として入所が認められる。
①認知症や知的・精神障害により日常生活に支障をきたすような症状が頻繁にみられる場合
②深刻な虐待が疑われ、心身の安全・安心の確保が困難な場合
③単身世帯などで家族等の支援が期待できず、地域での介護サービス等の供給が不十分である場合


☐ 112.入所者が可能な限り離床して、食堂で食事をとることを支援しなければならない。


介護老人福祉施設では、入所者が可能な限り離床して、食堂で食事をとることを支援しなければならず、さらに、栄養、入所者の心身状況、嗜好を考慮した食事を、適切な時間に提供しなければならない。
介護老人福祉施設は、教養娯楽設備等を備えるほか、適宜入所者のためのレクリエーション行事を行わなければならない。


☐ 113.ユニット型介護老人福祉施設は、自宅により近い環境で生活する施設である。


ユニットの居室は原則1人部屋で、共同生活室に近接するように一体的に設置される。1つのユニットの定員はおおむね 10人以下とされている。プライバシーを守りながら、入居者同士の社会的なつながりを構築できる施設である。ユニットケアを提供することに伴って必要となる費用(いわゆるホテルコスト)は利用者負担である。


☐ 114.ユニット型介護老人福祉施設では、1つのユニットごとに常勤のユニットリーダーを配置する。


1つのユニットごとに常勤のユニットリーダーを配置することとなっている。人員要件としては、昼間は1つのユニットごとに常時1人以上、夜間は 2つのユニットごとに 1人以上の介護職員、または看護職員を配置することになっている。


☐ 115.介護老人福祉施設の入所者が病院等に入院した場合、退院後にもとの施設に戻れるように配慮される。


入所者が医療機関への入院に至った場合、3か月以内に退院できる見込みのときには、(施設側のやむを得ない事情がある場合を除き)退院後に円滑に入所できるようにしなければならない。
入院中にその空きベッドをショートステイに利用することは認められている。


☐ 116.介護老人福祉施設では機能訓練も行われる。


介護福祉施設サービスでは、日常生活上の世話、機能訓練、健康管理および療養上の世話を行う。施設サービス計画を基本として、個別機能訓練計画を作成し、実施する (機能訓練指導員の配置が必要)。 他に、栄養ケアに基づく栄養マネジメン ト(管理栄養士の配置が必要)、 経口移行計画に基づく経口移行も行われる。
個別機能訓練計画、栄養ケア、経口移行計画は、各職種が共同して作成する。


☐ 117.入居者が居宅での生活が可能か検討し、可能な場合は退所の援助を行う。


計画担当介護支援専門員が施設サービス計画を作成し、定期的に面接し、モニタリングを行う。心身の状況や環境などから、居宅での生活が可能かどうかを生活相談員、介護職員、看護職員、介護支援専門員等で検討し、居宅での生活が可能な場合には、本人や家族の希望を勘案して、円滑な退所の援助を行う。


☐ 118.介護老人福祉施設は衛生管理を適切に行い、感染症や食中毒の発生やまん延を予防するようにしなけねばならない。


介護老人福祉施設は、衛生管理に努め、感染症や食中毒の発生やまん延を予防するように、指針の作成、予防・まん延防止を検討する委員会をおおむね3か月に1回以上開催、定期的な職員研修、発生時には厚生労働大臣の定めるマニュアルに沿った対応をする。


☐ 119.身体的拘束等の適正化を図るための措置を講じていない場合は、身体拘束廃止未実施減算が算定される。


身体的拘束等の適正化を図るための措置 (下記)を講じていない場合は、身体拘束廃止未実施減算として、1日につき5%が減算される。
・身体的拘束等を行う場合には、その態様と時間、入所者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録する
・ 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を 3月に 1回以上開催し、その結果を介護職員その他従業者に周知徹底を図る
・ 身体的拘束等の適正化のための指針を整備する
・ 従業者に対する身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施する


☐ 120.介護老人福祉施設では、看取り介護加算が算定される。


2018(平成30)年度の介護報酬改定により、看取り介護加算(Ⅱ)が新設された。また配置医師緊急時対応加算、生活機能向上連携加算、排せつ支援加算、褥瘡マネジメント加算 (3か月に1回を限度とする)、在宅サービスを利用したときの費用、障害者生活支援体制加算 (Ⅲ)、 低栄養リスク改善加算、再入所時栄養連携加算が新設された。





介護支援専門員試験 重要項目 らくらく暗記BOOK

2022年3月28日 発行 初版

著  者:上野和夫
発  行:ペネトレイト

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上野和夫

「資格試験のペネトレイト」で医療・介護・福祉の仕事に携わる方に必須の資格取得のお手伝いをしています。 私は、薬剤師、社会福祉士、介護支援専門員の免許を持っていますが、現在は薬剤師の仕事に従事しています。 資格試験合格のノウハウは1つ、シンプルな学習が大切、そのための教材を公開しています。 ホームページ「資格試験のペネトレイト」http://penetrateblog.com/に教材の販売コーナーと無料の問題集を集めた棚を提供しています。 私と一緒に資格試験合格を目指しましょう。

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