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インドア生活のススメ
~大学生自粛編~

厚見 昌俊 熊谷 優希 久方 しづ子

二松学舎大学



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 目 次

自分の部屋を、小さなボールパークとする
(厚見昌俊)

コロナ禍を乗り越えた大学生がこれからの大学生に向けた、インドア生活の楽しみ方
(熊谷優希)

コロナ渦のインドア生活でできなかったこと、やったこと、やっていることについて話をする本。
(久方しづ子)

自分の部屋を、小さなボールパークとする

厚見昌俊

自分の部屋を、小さなボールパークとする

厚見昌俊

【はじめに】

 プロ野球を生で観戦することができない。球場へ応援しに行くことができない。新型コロナウイルスの蔓延によって、野球に限らず様々なスポーツの現地観戦が難しくなった。その事実は筆者だけでなく、多くのスポーツファンの心に大きな穴を開けてしまったに違いない。しかし、「with コロナ」が叫ばれる中、我々の生活の様式は大きく変化していった。同時に、筆者の野球観戦も時代に合わせてその形を変えた。そしてそれは、より良い観戦方法であったと実感しており、現在でも実践している。本稿を通して、すでにスポーツ観戦が趣味である人はより充実させて欲しいという願いを込めつつ、そもそも興味がないという人々へ向けてもインドア生活の新たな1ページとして、新鮮な気持ちで読み進めていっていただきたい。また、同じような観戦方法をすでにとっているという方達には、共感を示していただけるとありがたい。

【with コロナの野球観戦】

 どこまでも広がるように思える大きな空、海のように映える芝、広大なグラウンドで躍動する選手達を現地で目にすることができない。第一にこの時点で「臨場感」という面においては、TV中継が現地応援を凌駕することは難しいと考えた。せめてもの抵抗として、音声を外部のスピーカーから流した。この部分は、より質の高いスピーカーや音響が搭載されている部屋などを用意すればクオリティを上げることのできる要素ではある。それでもやはり、現地に赴いた際にやってくる「高揚感」に勝ることはできないと判断したため、筆者のこだわりは強くない。重要になってくるのは今から述べる、大きく分けて3点の準備である。この準備が部屋での応援に「高揚感」を付与するのだ。

【ユニフォームを着よう】

 まず、家で選手のレプリカユニフォームを着用する。これは、以前の私には考えられない行為だった。きっかけはなんてことのないことだった。とある現地観戦で着用しようと注文していたユニフォームがあったのだが、緊急事態宣言の影響で試合そのものが無観客開催になってしまったことため、せっかくだから家の中でも着てみたいという軽い気持ちで羽織ったことから始まった。最初は多少の気恥ずかしさを感じたものの、着用してみると部屋着で観戦している時と比べると、心なしか試合開始へのワクワク感が向上していることを感じた。

【ドリンクを準備しよう】

 そして2点目は、ドリンクの準備である。ポイントとなってくるのは、普段日常で飲まないものをチョイスすること、高いジュースやエナジードリンク、アルコール飲料でも良い。通常ではあまり口にしないドリンクと氷と、サイズの大きいコップやタンブラーなどを用意することによって、日常から逸脱することができるのである。

【友人とオンライン同時観戦】

最後に用意するのは、電話を繋ぐことができ、共に観戦することができる友人である。これによって、何も準備がなされずに行われる野球観戦との圧倒的な差別化を完成させる最後のピースがはめられる。チームや選手の状態、次に投げる球種などを言い合いながら冷たいドリンクを口にし、応援歌を口ずさんだ時には、もうそこは小さなボールパークなのである。

【おわりに】

 以上のように筆者が重視していることは、より現地への観戦に近づけるという点である。思いつきそうで考えもしなかったことをコロナ禍は気づかせてくれたのだ。規制が緩和され、観客動員が徐々に以前の数まで戻りつつ現在ではあるが、筆者は自宅で観戦する際に、今回取り上げた方法を、常に全部という訳ではないが複数実践している。少なくとも、コロナ禍前よりTV中継での観戦が充実しているように感じられている。スポーツ観戦を趣味としてすでに楽しんでいる方はぜひ実践してみていただきたい。興味のない方も、なんだか面白そうな趣味もあるのだなと認識していただけたら幸いである。

物語を生きる

熊谷優希

物語を生きる

熊谷優希

 私は、映画館という場所が好きだ。映画館で見る映画は家で見るのとは大きく違い、子供のころの高揚感を思い出すというか特別感があってとても好きだ。
 しかし二年ほど前、緊急事態宣言が発令され、自粛を強いられてから前ほど足を運ばなくなってしまった。
 最近は、二年前ほど外出に対しての風当たりは強くはないが、それでもこの生活に慣れてきている私は外出に多少の抵抗感を覚えている。
 
 そんな生活の中で家でも映画館で感じた童心を味わえるようなものはないかと考えていた時に、Netflixで『ウィッチャー』のドラマが配信された。
 『ウィッチャー』は天体の合という現象が起き、もともとエルフやドワーフが住んでいた地に人間や吸血鬼、人狼やその他の怪物が召喚された世界を舞台とする。そこで怪物退治を生業とするウィッチャーという職業に就くゲラルトという人物を主人公に置いた長編小説である。それを元にゲームやドラマ、アニメーションが作られている。
 映画やドラマに飢えていた私は、配信されるや否や『ウィッチャー』を視聴した。大変面白くすっかりハマったのだが、やはり映画館で感じる高揚感などは多少あるものの、映画館のそれとは比べ物にならなかった。
 私はもともとゲームも好きで色々と触れていたのだが、オープンワールドのアドベンチャーゲームというものには触れたことがなかった。ゲームをやっていると映画館で感じる高揚感に近しいものを感じる時があったため、いい機会だと考え『ウィッチャー』のゲームである、『ウィッチャー3 ワイルドハント』を遊んでみたのだ。
 『ウィッチャー3 ワイルドハント』はドラマ『ウィッチャー』よりも時系列的にはだいぶ後の話らしいということを聞いていたので少し気後れする気持ちだったが、実際にやってみて驚いた。映画館での高揚感をプレイ中ずっと感じられるのだ。この高揚感は物語への没入で得られるのだと知った。ドラマで見ていた『ウィッチャー』の世界を、オープンワールドゲームということもあり、好きに旅をすることが出来、その世界に住む人々と交流を持つことが出来るのだ。例えばドラマのように人々から依頼を受けて怪物を倒して小銭を稼いだり、その人たちと夜が開けるまで酒を飲みかわしたり、カードゲームで賭けをしたりとそこの世界で生きているような感覚に陥るのだ。そこら辺にいる人も機械的ではなく、昼は外に出て近所の奥様達と立ち話や買い物をし、夜になると自宅に帰る。そういった行動を見ているうちにそれらがすごく魅力的に感じ、私はそのゲームにすっかりハマってしまった。
 現在では、コロナも収まったとは言い難いものの、ワクチンの接種が進み以前ほど外出に難を示す人たちは減った。そんな中で映画館も営業を再開し、私は以前のように映画館へ足を運んでいる。が、いまだにゲームの『ウィッチャー』をやっている私もいる。やはり映画やドラマで描かれている世界を、自分の好きに歩き回るのは映画館で感じる高揚感とは別物だった。映画やドラマでは、主人公に感情移入し、その世界に思いを馳せ、結果として物語に沈んでいく。しかし、ゲーム『ウィッチャー』を始めとするオープンワールドのゲームではコントローラーを握り、開始したその瞬間からその物語の一人として生きられるのだ。没入度の観点で見てみるとゲームの方が映画より1歩先んじていると私は感じている。
 自粛期間中に、映画を腐るほど見て少し飽きがきてしまった人も映画の世界に魅入られその世界を自由に探検したいといった人もぜひゲーム『ウィッチャー』を始めとしたオープンワールドのゲームをプレイしてみてはいかがだろうか。
 

おうちで体験! デジタルミュージアム

久方しづ子

おうちで体験! デジタルミュージアム

久方しづ子

【はじめに】

 コロナ禍で、私たちは大きな生活の変化を強いられた。モノやヒトの移動が大きく制限され窮屈な暮らしが続く中、私が一番悔しかったのは博物館や美術館(以下、ミュージアム)へ足を運びにくくなったことだ。中でも、ミュージアムの長期閉館や開館時間を短縮するなどの蔓延防止措置が適用されたことで、気になっていた企画展を観覧できずに見逃してしまったことが今でも心残りである。
 しかし、ミュージアムによってはコロナの蔓延がオンラインコンテンツを充実させる契機となった。私自身、それを活用しながら自宅で自粛しつつも、新しいミュージアム体験をした瞬間に抱いた高揚や今後への期待感は記憶に新しい。実際に直接鑑賞するのとオンラインを活用するインドア鑑賞とでは質の違いがあるだろうが、デジタル空間だからこそ面白い経験ができることもある。

【バーチャルミュージアムの魅力】

 今回は、私がコロナ禍を通じて体験したバーチャルミュージアム体験について書いていこうと思う。直接赴かずとも価値体験を得られる手軽さから、貴方がミュージアムに関心を持つちょっとしたきっかけになれば嬉しい。
 今回取り上げるのは江戸東京博物館(以下、江戸博)である。東京都墨田区に館を構えており、現在は大規模な改修工事のために全館休館している。二〇二五年終了予定とのことで長期間観覧できないのは非常に惜しいが、そんな中でも活用可能なオンラインコンテンツのひとつに『常設展示室「360°パノラマビュー」』がある。
 これは無料で江戸博館内を鑑賞でき、仮想空間の中で実際に展示の前を歩いているような体験ができるものだ。画質や視線の角度など、直接見るより不自由な部分はあるが、逆に普通は見られない視点から展示品を捉えることもできる。例えば、江戸の街を模した大きなパノラマの中に立ち入り、実際にその街の中に入り込んだかのような視点から展示を見るといった新感覚な観覧が可能だ。このような展示のウェブビューアは江戸博に限らず多くのミュージアムから提供されているため、気軽に覗き見る感覚で館内の様子や展示の雰囲気を知ることができる。私も、コロナ禍で出かける機会が減った分、江戸博に限らず様々なミュージアムのオンラインビューアを使用した。今でも実際に入館する前に展示を見たり、離れた土地のミュージアムを覗いたりすることがある。インドア生活でもミュージアムに触れる機会を得られ、加えてコロナ禍に限らずとも活用できる点は非常に面白い。

 また、同じく江戸博が提供する「ハイパー江戸博(Hyper Edohaku)」というスマートフォンアプリも存在する。これは「江戸をさがす・みつける・あつめる」をテーマとしており、江戸博の収蔵品をアプリで見られるコンテンツだ。江戸の町のマップを自由に散策しながら、町中に置かれた収蔵品たちを収集するゲームで、大人も子供も非常にとっつきやすい。江戸の文化や知恵を自宅でも十分に学べる上、展示作品を高画質の画像で見ることができ、かつシンプルな解説も添えられているため新感覚の資料集といってもよいだろう。このようなアプリでも、インドア生活の中でミュージアム体験を楽しめる。

【おわりに】

 現在は以前ほど移動を制限されておらず、ミュージアムにも比較的気軽に行けるようになった。しかし、情勢にかかわらずデジタルコンテンツによって更に豊かなミュージアム体験ができるのは非常に価値のあることであり、学生にもおすすめできる学びの経験だ。
 是非貴方も、インドアとミュージアムを活かした新しい価値体験に触れてみてはどうだろうか。

【URL】

江戸東京博物館 常設展示室「360°パノラマビュー」
https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/panorama/jp/
ハイパー江戸博 Hyper Edohaku(スマートフォンアプリ)
https://hyper.edohaku.jp/

インドア生活のススメ ~大学生自粛編~

2022年7月30日 発行 初版

著  者:厚見昌俊 熊谷優希 久方しづ子
発  行:二松学舎大学

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田口颯太

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