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ちょっと短めの競馬レース回顧【2021.10〜2022.02版】

和良 拓馬

ワラサンスポーツ出版



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 目 次

はじめに

2021年10月

2021年11月

2021年12月

2022年1月

2022年2月

はじめに

この度は本書を手にとってくださり、誠にありがとうございます。
こちらは僕のnote内のマガジン「ちょっと短の競馬レース回顧」として連載していたものを、加筆・修正を施したのち、1冊にまとめたものになります。2021年の10月から年明けにかけての競馬をまとめたものになります。GⅠ戦線の激闘を振り返った内容となっておりますので、ぜひご一読いただけますと幸いです。

さて、競馬の予想や振り返りをする上では、様々な情報が必要となってきます。様々な情報の取捨選択をするのも、競馬の楽しみではないでしょうか。そんなわけで、今日は僕がどのような評論家を信頼しているのか? どんなメディアから情報を受け取っているのか? を簡単にご紹介したいと思います。

◆好きな競馬評論家(敬称略)
・石橋武:競馬に触れ始めたころ、netkeibaで連載していた「単勝二頭流」の記事を読んで、「競馬予想ってここまで考えてするべきなんだ!」という衝撃を受けました。「競馬予想で知っておくと面白いハック」を伝えてくれた、ある意味では先生のような存在かもしれません。
・境和樹:僕が「血統」に目覚めたキッカケが、氏の重賞予想YouTubeでした。理路整然としていて、かつ情報のまとめ方が非常に素晴らしくてわかりやすい。レース後の回顧記事も楽しみにしていましたが……ラジオへと活躍の場を移してから、動画投稿もレース回顧も無くなってしまい残念無念。

◆使用している競馬予想メディア&ツール
・競馬ラボ:競馬情報の集約は競馬ラボさんで行っています。理由は単純に、馬柱が自分的に使いやすかったというだけですが。あと、当日傾向重視派としては、「本日の傾向」のページが非常にありがたい。
・BS11競馬中継:特に16時〜17時半までの第2部はおすすめ。情報の質や量は「ビギナーから中級者へステップアップしたい」という方にはもってこいと思います。宮島咲良氏や皆藤愛子氏が、年月を経てどっぷり競馬にのめり込む様子が面白いのです(?)
・地方競馬ネット新聞 / e-SHINBUN :少しだけ地方競馬をしたいけど、全レース掲載の新聞を買うのはもったいない。そんなときは、60円から買えるPDF新聞がおすすめ。ちょっと使いにくいのが玉にキズですが……

さて、ここからどう馬券を買うかは……また別の機会に。ではまた!


2022年11月 和良拓馬

2021年10月

【シリウスS】
サンライズホープは前走から状況好転。最後は力で押し切った。4歳世代は芝よりもダートで輝いている。この世代交代の流れに待ったをかけたのがウエスタールンド。2度の進路変更はロスではあるが、インを諦めなかったからこその2着とも言える。ゴッドセレクションはトラブルがあったかのだろうか? 負けすぎにも程がある。

【スプリンターズS】
ピクシーナイトに◎を打ち、単勝馬券を買うのは少々勇気がいることだった。ここ2戦でスプリント仕様に整えてきたとは言え、3歳秋の段階では完成度的にどうなのか、と。そういう不安を覆す、お見事な勝ちっぷりだった。エピファネイアが中長距離、そしてモーリスが短距離をカバーする。ロベルトの血が日本競馬を席巻しつつあると実感した。
レシステンシアは前にピクシーナイトがいるとは思ってもなかっただろう。GⅠでの物足りなさはなかなか埋まらない。ダノンスマッシュは力を出せなかったのか、それとも力が衰えているのか。次戦も買いにくい敗戦。シヴァージのキャラ変にはビックリ。吉田隼人騎手はGⅠで印象に残る騎乗が続く。
最後に少しだけ。実は◎からワイドを流していた4着5着。モズスーパーフレアは外枠が良い逃げ馬だけど、全盛期と比べると…。メイケイエールは強いメンツが揃うタフな展開の方が良いかもしれない。開き直って、これからもマクり続ければ良いのだ。

【凱旋門賞】
私達は凱旋門賞を通して、欧州の競馬を学んでいる。「キングジョージの勝ち馬は凱旋門賞を勝てない」と「ロンシャンの重馬場にはアドラーフルークの血が良い」というのが、今年のレースで僕が得た知恵だ。さて、日本の競馬界にとってはこの重馬場をどう考えるか? である。どんなに良い馬を創り上げても、今の日本競馬界ではあの馬場を創り上げることはできない。クロノジェネシスもディープボンドも、プロセスで手を尽くした末の敗北だ。一番変えないといけないのは、根本的な「発想」なのかもしれない。

【サウジアラビアRC】
着順が人気通りというのはJRAの重賞では初めててのこと。ファンの見る目が素晴らしいということだ。コマンドラインはルメール騎手の思い切った判断で勝ちきったと言える。国枝師に牡馬クラシック制覇の夢をプレゼントすることはできるだろうか。ステルナティーアは騎手が猛省するほど酷い騎乗とは思わなかった。今日は相手の問題である。

【京都大賞典】
ダービー馬らしい走りはラスト50メートルのみだった。持続力と引き換えに、年々切れ味は鈍っている。そんなマカヒキ自身の特性が阪神芝2,400メートルという舞台とぴったり合致したのだろう。良いものを見た。そして、キセキのファンも「いずれは…!」と思っているに違いない。アリストテレスもこういう舞台が得意なのは再認識できたが、やはり物足りなさも残ったままで。

【毎日王冠】
シュネルマイスターが56kgをこなすとは思わなかった。出遅れたダノンキングリーが途中でポジションを上げたことで、良い目標ができたのも大きかったかもしれない。それでも、厳しいハンデを乗り越えたことは大きな収穫だ。残された課題は長距離輸送の適応力である。上位2頭以外は前残りの展開だった。ポタジェの才能開花は間近であり、ダイワキャグニーの府中ワンターン適性は衰えていない。

【南部杯】
盛岡は砂を入れ替えたので、昨年と違う傾向になるのでは? と言われていたが、その影響を受けそうな方のアルクトスがあっさりと勝ってしまった。盛岡がトコトン合っているのだろう。その割には、東京のワンターンで勝ちあぐねるのはなんでだろう? 2着のヒロシゲゴールドも好走要因を言葉にするのが難しい。大舞台の亀田騎手は常に馬券でチャレンジすべし、ということか……。

【エーデルワイス賞】
見応えのある末脚比べだった。この日の門別は足を溜めた外枠の馬が優勢だったが、進路選択も含めてスピーディキックはお見事である。新種牡馬なの中ではドレフォン産駒に注目しているので、ヒストリックノヴァが2着に入ったことも嬉しい話である。芝でもダートでも水準以上の馬を排出している。ただ、◎を打ったのがレディーアーサーだったので、ちょっとがっかり。

【府中牝馬ステークス】
何度着順表や映像を見直しても、色々と腑に落ちないところがある。ひとまず、ラップタイムが「急→緩→急」となっているのを見て、このレースは「慌ただしすぎた」ということでまずはまとめる。最後の「急」の部分で力を出せたシャドウディーヴァが勝ち、「緩」の時間をアンドラステはもう少し伸ばしたかった、ということで。マジックキャッスルは某記者が調整不安を訴えていたので、その通りに……。

【秋華賞】
エイシンヒテンと彼女との間にもう1頭いれば良かったのか? と言うのが第一印象。でも、この負け方は何なんだ? と腑に落ちずにいたが、「ゲートに顔をぶつけて歯が折れていた」との一報が…。これだと踏ん張るのは難しい。ゴールドシップ先輩とはまた異なるユニークさを持っている。◎ソダシが強い馬であるという考えは変えないが、どうすれば力が出せるか? の試行錯誤は続いていく。
一方、アカイトリノムスメは善戦ウーマンを脱却する勝ちっぷりだった。好意から勢いよく外へ持ち出し、末脚を弾かせる。しっかり休ませたのが奏功か。国枝師の判断にあっぱれ。○ファインルージュも▲アンドヴァラナウトもしっかり力を出し切ってるので、見ている側としては納得がいく。それにしても、7着のアールドヴィーヴルまで、上位の馬にはもれなくディープインパクトの血が入っている。パワーのエッセンスも必要なレースとは言え、これが「今の日本競馬」ということなのだろうか。

【富士S】
レースの入り方自体は普通だが、残り5ハロンはずっと11秒台が続く。タフな展開をロスなくムダなくこなせたのがソングラインだった。軽斤量の恩恵はあるが、東京では実に崩れない。ダノンザキッドはこんなに影が薄い馬だっけ? というくらい、オーラが無くなっていることが気がかり。「落ち込んだダービー馬はマイル戦に出よ」論者としては、ワグネリアンの復調気配に少しばかり安堵。

【菊花賞】
予想に悩んでいた僕は、ピンときて「京都と阪神で、春天はどう変わったか?」を再度調べることにした。ここでわかったことは2つ。①長距離とは言え、原則は「阪神内回り」であり、先行有利と考えるべし。②傾向は引き継げるものが多く、特に血統面は京都と変わらないと心得るべし…というものだ。そして、①を無視して単勝を外し、②を守ってワイドを当てたのである。
逃げ、先行勢の中で最も実力がある。ただ、前走の負け方と内枠に入ったのを考えると、怖い。ここで僕は買うのを躊躇ってしまった。ロケットスタート、中盤での一息、ラストスパート…長距離は騎手の腕と言うが、武史騎手はもう一流の腕を有している。タイトルホルダーの姿に、セイウンスカイを重ねたファンも多いのではないだろうか。
現代の菊花賞に適した父方の血と、小回りコース&非根幹距離愛にあふれる母方の血。大外に目を瞑ってオーソクレースに◎を打ったが、やはり位置取りは厳しかった。▲ディバインラブは悔いなき好走。今秋の福永騎手は信頼できる。牝馬の菊花賞馬の誕生も近いか? 中京22の2勝クラス勝ち馬は穴のトレンドになっている。○ステラヴェローチェは展開向かず。ただ、距離を縮めれば、まだ成長の余地も残っていそう。最後にレッドジェネシス。騎手の乗り替わりが無く、かつオッズが倍の値だったら、がっつり買っていたかもしれない。とにかく、この過剰人気は摩訶不思議だった。

【スワンS】
上位3頭は阪神コースが大好きという共通点を持つ。ダノンファンタジーは前すぎず、後ろすぎずの好ポジション。ハイペースだけど馬群密集という展開に苦しむ馬が多かった中、一番スムーズに走れたとも言うべきか。サウンドキアラは昨年春にアーモンドアイに喧嘩を売った馬。もう一花咲かせられるか? ホウオウアマゾンは次走絞れたら更に買い。

【アルテミスS】
ここでエピファネイア産駒が人気薄で1着・3着というのは、翌日への伏線だったのかなあ…というのはさておき。サークルオブライフだけ違う脚で走ってきた。早い上がりを使える馬ではあるが、展開が向いている訳では無い。東京巧者ということか? ベルクレスタはアドマイヤリードの妹。レースの賢さで言えばこちらが上だったが。シゲルイワイザケの崩れない走りも興味深い。

【天皇賞(秋)】
いわゆる「3強」の評価は◎コントレイル>○エフフォーリア>▲グランアレグリアとした。勝てるチャンスはココだと踏んでいたのだが…。精神的にダメージの大きな負けでもある。コントレイルの母系は早熟かつ短距離。古馬になってからはマイルで可能性を探っても良いのでは? と思っていたが、三冠馬にはそれが許されない。決して弱い馬では無いのに、背負わされるものが大きすぎる。それも含めて、僕は次走もコントレイルを応援し続けたいと思う。
距離が持つところまで飛ばしたいグランアレグリア。そんな彼女をしっかりマークしたいエフフォーリア。両馬の作戦は完璧である。今日の勝因は彼の成長力を信じ続けたこと。調教の評価は非常に高かったが、映像から流れる馬体も素晴らしかった。コントレイルには少々窮屈な状態があったが、そういったストレスが無いのも大きかったかもしれない。グランアレグリアにとっても、これが限界と思い知らされてしまったか。間隔は空けたいタイプなので、最後は香港遠征だろうか。とにもかくにも、昨年のJCに負けない異種格闘技戦は、ただただ単純に面白いものであった。
そして、最後にこれだけは言いたい。馬券を◎からの馬連(馬単にしなくて良かった?)で絞りに絞り厚く買っている中、唯一△を付けて複勝を持っていたのがサンレイポケットだった。嗚呼、あともうひと伸びを望むのは酷だけれども…。まあ、今日の東京は位置取りに関係なく「ラスト3ハロンを早く走れた者が勝つ」という側面があったので、一番適した馬を選べたことに悔いはない。

2021年11月

【JBCレディースクラシック、JBCスプリント、JBCクラシック】
金沢で行われたこの3レースに関しては、ひとくくりにして総括する方がわかりやすいだろう。なぜならば、この3レースの流れの中に、「地方競馬予想の大事なイロハ」が詰まっているからだ。それは「騎手の腕」と「馬場読み」である。
まず、この日は「川田騎手と吉原騎手を買い続ければ良かった」と結論づけることができる。ここ数週間不調だった川田騎手は、地方で再びリズムを取り戻したと言えるだろう。特に小回り経験の足りないレッドルゼルに対するエスコートはお見事だった。
そして、このレースで勝ち馬と共にインを突き、サンライズノヴァを2着に持ってきた吉原騎手の馬場読みはお見事だった。外差しが有利というのが金沢競馬場のスタンダードだが、今日はどういう訳かそうでもなかった。そこに気がつけた者とそうでない者との差は着順に反映されている。
最後に◎ミューチャリーについても触れておきたい。遠征しても結果を出せる馬なだけに、事前に白山大賞典を使ったことは大きなプラスになった。有力馬の出遅れもあったが、あの位置を悠々と駆ける姿を見て、単勝を持つ僕も勝利を確信できた。中央と地方のダート馬の格差は徐々に縮まっており、会場が地方ならば地方馬が勝つというのも当たり前になってきている。更に壁を壊すことはできるだろうか? その先に、日本競馬界における「ダート馬の地位向上」が進めばなお良いのだが。

【JBC2歳優駿】
門別18は2歳馬にとってはタフだ! ということで◎ナッジと○リコーヴィクターのワイド1点勝負をしたのだが、両馬の前にアイスジャイアントがいた。前走とは全く違う脚質で勝ったことも含めて、この走りっぷりにはただただ驚き。中京18を勝ち上がった馬を来年もマークすることにしよう。あと、このような良い馬たちのために、中央ももう少し若駒のダート戦線を整理して欲しいところである。

【京王杯2歳S】
レース後のキングエルメスの怪我は残念。ただ、内容は典型的な先行前残り。かつ、勝ち馬を筆頭に大半がマイルよりも短い距離で活躍しそうな感はある。ラブリイユアアイズはペースが流れると、もう少し良い脚が使えるのではないだろうか。

【ファンタジーS】
シルバーステート産駒×母父キングヘイローという、最近の血統トレンドを見事に反映した組み合わせである。先日の野路菊ステークスもシルバーステート産駒が制したので、決してマイル以下という種馬でも無い。未完の大器は種牡馬で花開くか。ナムラクレアは前走と比べると、やはり伸びあぐねた感あり。

【アルゼンチン共和国杯】
スローの上がり勝負耐性×東京への巧拙を考えると、ハンデが重くなってもオーソリティは強かった。ハンデがギリギリ58キロに届かなかったのも助かったか。次走ジャパンカップというのも納得である。個人的には◎フライライクバード、○レクセランスで諸々悶える。ディープ産駒が馬券になる馬場だったので、過去のレース傾向を無視してでも後者を選択できたのだが……無念。

【みやこS】
◎クリンチャーは叩き良化型とは言え、ここまで負けるとは。あとは、ソフトな騎手よりもハードな騎手が合うということか。骨っぽいメンバーが揃う中で、やや格下の差し馬が台頭するレースになった。この日の阪神ダートもボールドルーラーの血が穴を開けていたが、▲ヴェンジェンスじゃなくてメイショウハリオだったか〜、と後悔。複勝を持っていた○プリティーチャンスも4着で、もう悶っぱなしである。

【武蔵野S】
東京では2着2回の実績があるとは言え、どうもソリストサンダーにはワンターンのイメージが湧かなかった。それも今日の勝利で修正しないといけない。短距離で目が出ずに1600〜1700メートルをうろうろしている経緯もあるので、チャンピオンズカップでは一層適応力が求められる。エアスピネルもまだ気持ちは衰えていない。阪神では同期のケンホファヴァルトも頑張っていた。マカヒキも含め、たくましい世代である。

【デイリー杯2歳S】
スローで直線からよーいドン! というのは他の2歳重賞と変わらないところはあるが、セルフォスの末脚は好印象を抱くものだった。コーナーで膨れたにも関わらず、ちゃんと差し切ったのはお見事。やはり中内田厩舎の2歳重賞は買いだ。カワキタレブリーが高配当の使者になったが、伸びないインで足をしっかり使える点を次回も頭に入れておきたい。

【福島記念】
次の項目でも書きたいと思うが、「ハイペース」というのは競馬を一層面白くさせる。パンサラッサの逃げ自体は高評価であるべし。ただ、他の馬たちのマークが甘かったというか、いくら何でも縦長すぎる。馬券的には◎ヒュミドールの単複をだったので救われた。このレースは引き続きステイゴールド一族が強いとメモしておこう。

【エリザベス女王杯】
波乱を起こし、強いものに勝ちたければハイペースで戦え。そんなことを実感した一戦になった。アカイイトの爆発力にはただただ驚き。外差し有利な馬場を味方できたのは間違いない。それを差し引いても、こんな強さを隠し持っていただなんて……と。阪神コースが得意なキズナ産駒はここでGⅠ初勝利。パワーのエッセンスが必要な昨今の日本競馬において、まだまだこの血の需要が衰えることは無いだろう。
同じく外を狙ったステラリアにとっては、コーナーで勝ち馬の勢いに押されたのは痛恨だったか。それが無ければ、もう少し着差は縮まっていたことだろう。クラヴェルのイン突きはThis is 典さんの好騎乗。もう一列後ろだったら、ムジカと同じ走りをしていたことになるので、薄氷の末脚でもある。
最後に人気を分け合った3頭についても。レイパパレはあれだけかかるとなると、距離以前の問題では。東京コースで走る姿を見たいと毎回言っている気もする。アカイトリノムスメは良くも悪くも優等生であるが故に、適応力に欠けるのが弱みだろう。そしてウインマリリン。天皇賞(春)の際にも書いたが、「負けてもまた強くなる馬」という考え方を僕は変えない。まずは身体を癒やして、元気な状態でコースに戻って来れることをば。

【東京スポーツ杯2歳S】
「母父キングヘイロー」の勢いに驚かされるばかりである。一頭だけ直線のスピード感が違っていた。キタサンブラック産駒の中距離適性や仕上がりの良さは、現役時代からイメージはつくのだけれども、この直線の伸びは種牡馬になって見せた新しい一面である。アサヒはレースセンスがあるけれど、レース選択は少々相手が強いもの続きで……。ひとまず、ジオグリフの新馬戦はレベルが高い。

【マイルCS】
◎グランアレグリアってこんなに強い馬だったの? と初めて思ったのは2年前の阪神カップだった。このレースを見て、体調さえ整えば【加速力×阪神巧者】でどんどん勝てそうだな…と。今日のラストランも、その要素でしっかり勝ちきったものである。中2週に対する不安説も大きかったが、そこは厩舎サイドの腕の見せ所ということ。今後の中距離戦線の結果次第では、彼女が年度代表馬になるのでは? という期待も添えて。
○シュネルマイスターまでは予想も合っていた(ワイドで流したのが⑤と⑩なので…以上)。外枠だったらもっと良い勝負ができていたことだろう。鞍上とともに、非関東圏での戦い方や調整方法が今後のキーか。対してダノンザキッドはあの入れ込みと発汗で3着とは! 前走でオーラが消えたと記したが、これは大外れで反省。後傾ラップに高い適性があるということをここに記したい。とにもかくにも、今後のマイルを引っ張るのはこの両者である。
サリオスはお姉さんと同じく、真の買い時は来年の秋冬だ。穴人気しても我慢我慢。でも、その体重増はいかがなものか? グレナディアガーズはスプリント路線に進むべき? 一度崩れると立て直せないのがフランケル産駒全体の悪いところで、心配。3歳ならばホウオウアマゾンの方が未来はありそう。最後にインディチャンプ。アーモンドアイ、グランアレグリアの両頭に立ち向かい、最後まで見せ場を創り続ける。あとは香港で、もう一度「主役」になれるか否かである。

【京都2歳S】
新馬戦で負かされた相手に、しっかり勝ちきったジャスティンロック。競馬場が変わり、馬場状態も変わると序列はあっさり変わるということか。ただ、ジャスティンロックの長く使える末脚は魅力的。中山2000mでも力を出し切れそうである。対するトゥデイイズザデイはスタート出遅れから終始イマイチ。鞍上と調教師の不調がそのまま反映されているようだ。

【京阪杯】
内枠はどうかな? と思っていたが、今の馬場が合うと思ってチョイスした、▲エイティーンガールの単勝を持っていて救われた…。テンポよく逃げた○ファストフォースと共に、阪神の馬場傾向は「内で粘る」か「外から追い込む」かで両極端である(ちなみに◎はミッキーブリランテでした)。タイセイビジョンは毎回ちょっとツキがない。レイハリアは万全の状態では無いまま出走したのだろうか

【ジャパンカップ】
血統というファクターを重視すると、コントレイルが2,400mを走るのはしんどいと感じてしまう。しかし、素の力とこれまで積み重ねた格を信じ、僕は本命を打った。結果的に大団円で嬉しい限り。ディープ産駒は色々見てきたけれど、その「スピード」はどの馬よりも魅力的だ。そして、「弱い三冠馬」とバカにする人や言説もあったが、コントレイルの価値は社会が揺れ動き続けた日々に、安息と勇気を与えたことだ。スピードと夢を与える無形の力。この2点が彼の産駒にも引き継がれていくことに、僕は期待している。
対抗はアリストテレス、単穴はサンレイポケットにした。前者の逃げには賛否両論が出ているが、僕は基本的には是である。ただ、もう少しラップは速く刻んでも良かったのでは。早い上がりが使えない馬というのは明確なだけに、生き残り方を考えなければ。後者はまたしても悔しい4着。天皇賞(秋)に続き、複勝を持っていた僕はのたうち回ることに。6歳ながらまだまだ奥が深そうなので、何とか一度でも大きなところで馬券圏内に入ってくれないかなあ…
福永騎手は他馬を気にしない云々と言っていたが、オーソリティとシャフリヤールはぴったりマークされる苦しい展開だった。その最中でも、しっかり力を出し切ったと思う。色々な理由によりK厩舎の馬にはあまり手を出さないようにしているのだが、オーソリティに関しては僕の想像以上に走っていた。GⅡ大将から脱却できるだろうか。シャフリヤールが中距離を走れるのは3歳秋までだと感じている。これからは長くても2000m、あるいはマイル転向の際に狙いたいと思う。

2021年12月

【ステイヤーズS】
1000メートル・1分5秒のペースで刻み続けていたため、結局はラスト5Fの追いかけっこに。アイアンバローズやシルヴァーソニックにおあつらえの展開だったが、これを一気にごぼう抜きしてしまったディバインフォースはお見事である。ただ、「天皇賞(春)的なステイヤー」ではないということも既に証明されている。海外の長距離レースに活路を見出すのも良いのではないだろうか。

【チャレンジカップ】
結果的に、ソーヴァリアントは菊花賞に出なくて良かった。2着3着は善戦キャラとは言え、手強い相手であることには変わりない。昨年のレイパパレと同じ成長曲線を描けるだろうか。対するジェラルディーナは距離延長がしっくり来なかったか。マイル路線がベターな気がする。今後の進路決めに役立つ、良いレースだったということで。

【チャンピオンズカップ】
ソダシの単勝はよく売れているけれど、各種連勝式馬券となると3番人気相当になる。僕も情の部分で非常に揺れ動いた。「クロフネ産駒はダート重賞で勝てない」と「シラユキヒメ牝系はダート代わりに注意」、そして「ソダシはこれまでのクロフネ産駒とはスケールが違う」と。ただ、今回の敗戦では「ダートの可否」は解らなかった。逃げたこと、インティらのマークが厳しかったことが敗因と考える。フェブラリーSへの挑戦は支持したいが、ソダシのメンタルをどう整えるかの過程はよく確認しておきたい。
対するテーオーケインズの圧勝ぶりには驚いた。この世代の芝部門は3冠馬引退で寂しさが増すところだが、砂部門は今後も楽しめそうである。かつ東京のワンターンというよりも、チュウワウィザードと同じく中東の地で力を発揮して欲しい。アナザートゥルースは涼しくなって体調改善。トゥルース一族は息が長いのも特徴だが、偉大な兄に続けるだろうか。◎を打ったのはオーヴェルニュだが、中京巧者という特徴だけではまだ勝てず。そして、カフェ&ダノンの両アメリカンファラオ産駒を見ていると、この血をコントロールすることの難しさを実感する。

【中日新聞杯】
中京の芝中距離は人気薄の逃げ馬を買えば良い、という要素がどんどん強まっている。来年もこのマイ格言を活かしていこう。ショウナンバルディのスローレース適性も大したものがある。シゲルピンクダイヤも2年連続でこのレースを好走。寒い時期×スロー×小回り耐性の馬なのか。中堅どころは軒並み総崩れで残念。

【カペラS】
地方競馬で揉まれて強くなった馬のワン・ツー。やはり中央ダートの短距離重賞は経験値が物を言わせるということか。ダンシングプリンスは復活の勝利。ハイペースである方がより強さを見せつけている感がある。リュウノユキナは中央の砂でも一定の能力があることを見せつけた。そして、快速馬・モズスーパーフレアは引退レース。後続の足を使わせる逃げは最後まで錆びず。お疲れ様でした。

【阪神JF】
ナミュールは「このオッズはなんじゃこりゃ?」と思ったので、馬券から外した。出遅れ後+向正面で外に出せなかったのダブルパンチから、決死のイン突きによるカバーはお見事だったが、今後を考えるとますます「買いにくい馬」になった感はある。で、彼女を外して選んだのが同じ系統の◎ベルクレスタでは…馬券が下手ですね。来週も気をつけよう、右回り未経験の2歳馬。反省!
その一方で、▲サークルオブライフの末脚とパワーは、今の阪神にぴったりだった。馬体減の馬が目立つ中、プラスマイナスゼロという国枝厩舎の牝馬を仕上げる手腕にはため息が漏れる。そして、王道ローテのアルテミスS組+阪神JFに強いビワハイジの血。勝つ要素がいっぱいあるのに、なかなか気が付けないものですね…。
○ウォーターナビレラの粘りは予想以上だった。距離も3歳春ならばマイルも大丈夫。ラブリイユアアイズやナムラクレアも最後まで頑張って走れる馬。クラシック路線の馬という感じでは無いが、それとは別の場所で良い配当をもたらしてくれるはず。対して期待を裏切ってしまったステルナティーア。兄とは異なり、もう少し長い目で成長を見守るのがベターということだろう。

【香港国際競走】
グローリーヴェイズとラブズオンリーユーの両頭については、間違いなく「香港巧者」と言って良いだろう。ここに狙いを定めた前者の活躍は予見できたが、後者は単純に驚いた。アメリカから香港への長期遠征も軽々こなすタフさ。この世代の牝馬は珠玉の世代だ。
他に印象に残ったこと。サリオスの真の買い時は5歳秋から説は変えないけど、今日はびっくり。ダノンキングリーは馬場にやられ、ヒシイグアスは外枠不利が馬場で相殺された模様。レイパパレはやはり広いワンターンのコースが良いと思うのだが。そんなこんなで、唯一当たった馬券はロシアンエンペラーの複勝。いやはや、海外競馬は「日本馬以外で食い込みそうな海外馬」を当てることに終始しているような…

   ◆

香港スプリントの回顧は控えたい。何事もなく、戦えていたらと思うと…。アメージングスターとナブーアタックの冥福をお祈り致します。また、ピクシーナイト&福永騎手はもちろん、本件で負傷した馬と騎手の早期回復も願うばかり。そんな中で、レシステンシアはベストを尽くし、川田騎手の安全確保も好判断だった。ダノンスマッシュが残した悔いは、子どもたちが晴らすと信じよう。

【ターコイズS】
あとでスマートリアンが1番人気と知ったとき、人気を当てるのも難しそうだなと感じた。アンドラステの勝ちパターンを、最後方から直線一気でミスニューヨークが差し切る。ミルコ騎手の好調さが伝わってくる。マルターズディオサは翌週の阪神に出て欲しかったのと、スマイルカナの絶不調ぶりが心残り。

【朝日杯FS】
エアスピネルがこのレースの勝利を逃したとき、「もう武豊は一生勝てないのでは…」と当時思ったのだが。JRA七不思議のひとつがここで消えることになった。ラストの直線で少し膨れたものの、冷静な進路取りだった。残すはホープフルSだが、果たして。セリフォスは位置取りを重視した分、ラストの脚が残っていなかった。ジオグリフはマイルが適距離では無い気がする。

【中山大障害】
オジュウチョウサンはもう終わりだ…と春に書いたのだが、これはもう大反省ものである。勝因は飛越が以前よりも上手くなっていたこと。無駄なく飛べれば、平地力の衰えもカバーできる。メイショウダッサイとケンホファヴァルトとの再戦も楽しみ。タガノエスプレッソはよもやの息切れ。

【阪神カップ】
リピーター性が強いレースということで◎ダノンファンタジーは想定内だし、単勝も持っていた○ホウオウアマゾンの成長も想定内。ただ、グレナディアガーズが立て直しに成功したのは想定外だった。一度崩れると戻せないフランケル産駒×3歳以降の成長力に課題の中内田厩舎というイメージを、来年も払拭できるだろうか? 末脚堅実なタイセイビジョンの複勝も持ったいたのでますます悔しい……」。

【有馬記念】
12月25日までは、騎手も厩舎も悪い流れがあった。それを気にして僕はエフフォーリアの評価を下げた(有馬記念に限らず、僕はそういうことを気にするので…)。だが、結果は全くの杞憂に終わった。勝利騎手インタビューでは平身低頭だったが、横山武史騎手の良い意味での開き直りで、馬も力を出せたのだと思う。距離延長+非根幹距離がどうか? と思ったが、馬の力は関係なく。2022年はこの人馬が競馬界の中心になるはずだ。
対して対抗まで評価を上げたのがディープボンドなのだが、まさか単勝で20倍以上あるとは。こちらもスタミナ比べのレースには自信がある。和田騎手が3コーナー以降はインにこだわったのも大成功。タイトルホルダーと共に、来年のステイヤー路線を盛り上げていくだろう。一方のステラヴェローチェの人気は少々過剰気味な感あり。どんなときも速い脚が使える万能型なれど、複勝止まりからは抜け出せない。
最後にクロノジェネシスの評価について。僕は非根幹距離での無類の強さを信じて、今日も◎を打った。凱旋門帰りの不調説もあったが、今日は3コーナーで良い位置が取れず、エフフォーリアが先に仕掛けて前に行かれたことが敗因である。それでも3着に残せたのだから、有馬への適性は高かった。この世代の有力牝馬が続々と引退する中で、彼女もまたある意味では有終の美を飾れたのではないだろうか。長らく夏と冬のグランプリレースを盛り上げてくれたことに感謝して。お疲れ様でした。

【ホープフルS】
ジオグリフとコマンドラインは、レースの選択が逆だったのでは? と思わず言いたくなってしまう。双方とも力を出せないまま負けてしまった。そんなレースを制したのはキラーアビリティ。多頭数とより速いペースへの適性を見せているのも好印象。ジャスティンパレスは良馬場、ラーグルフは重馬場の小回りコースで次も狙ってみたい。

【東京大賞典】
3コーナーからの団子状態で、力を出せた馬とそうでない馬の差がくっきり出た印象あり。外に膨れてしまったオメガパフュームだったが、それもお構いなしの見事な立て直し方。今年は苦しいレースが続いていたが、最後に大井巧者の本領発揮である。◎クリンチャーは惜しかったが、この1年間で地方適性を磨き続けた成果でもある。それにしても、ポツンと残っていたウエスタールンドの末脚にはただただ驚き。よく届いたなと……

2022年1月

【中山金杯】
想定以上のスローで始まり、ジェットモーションが捲ってからは持久力勝負に。レッドガランは難しいレース展開の中、きっちりと最後まで折り合うことができたのが勝因。時々危なっかしい騎乗のある斎藤騎手だが、中距離重賞を勝てたのは一層の自信になるはず。ヒートオンビートは相変わらず勝ちきれない。期待した◎トーセンスーリヤも最後はガス欠で無念。

【京都金杯】
◎ダイワキャグニーの複勝でちょっとだけ乾杯。坂のある左回りのコースならばやはり崩れない。この条件ならば抑え続けたいところだ。内で詰まるか、こじ開けるかの勝負になっており、非常に見どころの多い攻防になった。後方にいたザダルは思い切った走りがで勝利を呼び寄せた。松山騎手は3年連続で金杯(しかも京都→中山→中京で)勝利とは! これぞ「金杯男」である。

【シンザン記念】
まさに横山典弘的な神騎乗である。中京芝はインの取り合いがまだ続きそうなだけに、騎手の力量も問われそうである。マテンロウオリオンは違う脚の使い方で連勝できたのは大きい。残すは距離の壁か。ラスールはあれだけ吹聴した割には期待外れ。ルメール騎手の正月ボケはまだ続く。

【フェアリーS】
スタートの出遅れも、大外ぶん回しもミルコ騎手らしさが満載。そして、ライラックの勝ち方は相当印象に残るものだ。クラシックに直結しないフェアリーSも徐々に個性的な競争馬を輩出しつつある。冬の中山芝のステイゴールド系も引き続き注意しなければ。個人的には▲フィールシンパシーの複勝を持っていたので無念。

【愛知杯】
ラストの直線、想定以上に内と外が広がっていた。あれだけインが空いていれば、ルビーカサブランカは突き抜けるのも楽だったであろう。横山典弘騎手に続き、武豊騎手も重賞勝ち。ベテランの技が花開く中京開催だ。マリアエレーナは強い競馬をしたが、ちょっともったいない直線の走り方ではある。単勝を持っていた○デゼルは悔しい3着。ただ、体調が整えばこれだけ走れるし、川田騎手とも合いそうなので収穫は多し。

【日経新春杯】
ヨーホーレイクは右回りの中山で買いたいんだよな〜、と思っていたらここで勝ち上がってしまった。折り合いもバッチリなので、より距離が伸びても面白そう。クロウキャニオン一族、遂にGⅠに手が届くか? 対するステラヴェローチェは斤量が響いたか。能力だけで2着確保。ここを使った理由は未だに釈然としないが……。4歳世代の強さが際立つという要素も、今後の古馬路線で覚えておこう。

【京成杯】
○ヴェローナシチーの複勝は的中も、◎ロジハービンの単勝を逃して無念。ただ、両者とも自己条件ならば大いに戦える。オニャンコポンの末脚には驚いた。ホープフルステークスの苦戦から得た経験を、このレースに繋げたとも言えるだろう。エイシンフラッシュと同じ道のりを歩むことができるか。菅原騎手のクラシック初挑戦も楽しみである。上位人気4頭はまだ鍛錬の余地ありで、本格化は秋以降?

【東海S】
スタートからムチを用い、ラストの直線も追い通し。松田騎手だからこそ、どこで馬の気合をいれるべきかが分かっている。調教の評価の高さから◎スワーブアラミスにしたが、改めて良いコンビと知れて大満足。オーヴェルニュも団野騎手もベストは尽くした。もう少し雨の降り始めが早ければ。上位勢が府中向きか否かは、現時点ではピンとこない。カデナの5着は驚き。芝でも小回り巧者だったが、ダートでも?

【AJCC】
後方にいた馬が上位を独占。スローペースだったことを考えると、相当なロングスパート合戦だったことがわかる。その最大の犠牲者がオーソクレース。展開不向きと体調イマイチのダブルパンチだ。キングオブコージは母父ガリレオの血が騒いだか。負荷の強い中距離戦では引き続き買い。◎ボッケリーニのイン突きは止む終えず。悔いなし。そして、忘れないようにしよう、外差しが決まる馬場でのマイネルファンロン!

【シルクロードS】
内枠スタートは難しいと見て軽視しただけに、メイケイエールの勝利は驚きの一言。馬具や調教の工夫、荒れ馬が得意な池添騎手の努力もお見事。レベルがより上がった方が闘志に火を着けやすいだけに、高松宮記念がますます楽しみ。シャインガーネットとナランフレグの中京巧者は素晴らしい。カレンモエの物足りなさはどうすれば良いのか。◎ジャンダルムは好スタートが逆に仇となる。

【根岸S】
上がりの速さ×非リピーター性×鮮度の良さがこのレースの特徴! ……のはずが、1・2着は先行馬×前年凡走のベテラン馬。2番手以降のペースが遅かったというエクスキューズはあるが、ちょっと来年の予想方法は考えざるをえない。◎オメガレインボーも○タガノビューティーもGⅠで馬なりに走れると思うが、果たして賞金は足りるだろうか……。

2022年2月

【きさらぎ賞】
今年7勝のうち、3勝が重賞。横山典弘騎手がどんどん重賞をかっさらっていく。中山では無く中京で乗り続ける意図も気になったり。さて、マテンロウレオの勝利で前走ホープフルS組の価値はますます高まった。朝日杯組は今週の共同通信杯が試金石になる。中京替わりの中距離重賞が好きな友道厩舎。クロウキャニオン一族は強さ見せるも勝てず。やはり中山のほうが……。

【東京新聞杯】
連勝中の上がり馬に優しいこのレース。イルーシブパンサーの強さを僕はなめてしまった。スケールの違う脚を持っている。ただ、このレースで出世した他の馬たちがそうであるように、「敗戦からのスケールアップしてGⅠ勝利」という成長曲線を期待している自分もいる。◎はカラテにしたが、これはしょうがない。さて、ルメール騎手がまだ冬眠から目覚めない。

【クイーンC】
上位人気による順当な決着も、細かく見ていけば「実績よりも鮮度」。プレサージュギフトはまだ底を見せていない。ハービンジャー産駒、充実の冬。スターズオンアースもベルクレスタも勝ちきれなかったのは少々痛い。特に前者も末脚は良かっただけに……。

【京都記念】
例年と比べると小粒なメンバーなのに、前走で複勝を買っていたアフリカンゴールドになぜか目を向けることができなかった。国分恭介騎手との手は非常に合っている。GⅠで好走するには、少し展開と馬場を味方にできれば。タガノディアマンテはインで我慢できたからこそ。ユーバーレーベンは血の印象以上に広いコース向きか? 団子状態の3〜7着は盲点になりそうなので、次レースのオッズはよく見ておくべし。

【共同通信杯】
ダノンベルーガは最後まで取捨に悩み、結局評価を下げてしまった。このレースも徐々に新馬からの直行組の信頼度が高まりつつある。皐月賞への適性は不明だが、ダービーでは注視したい一頭だ。ジオグリフはようやく自分らしく走れるようになっている。アサヒは色々な意味で成長が必要。ビーアストニッシドは我慢強くて良い馬だ。名脇役になれそう。

【京都牝馬S】
祝・岩田望来騎手重賞初制覇! 5番人気の馬を勝たせたのだから文句なし。本田某の言葉を借りれば、ケチャップのように重賞もドバドバ勝っていくのでは? 2〜3番手で我慢できたときのロータスランドはやはり強い。2〜4着は1400メートルで好成績を残した馬がずらり。血統もロベルト的なタフさが求められていた。対して、ギルデッドミラーは直線で窮屈な場面がありもったいない。

【ダイヤモンドS】
藤沢先生ありがとう馬券はココだ! ということでランフォザローゼスの複勝一点勝負をしたら大的中。当日の傾向に合致するのが選択の理由だが、長距離未経験というのは盲点だった。さて、テーオーロイヤルはただただ強かった。タイムもフェイムゲームと肩を並べる出来。GⅠは斤量との勝負になるが、実力は保証されている点は強調したい。

【小倉大賞典】
「1番人気が勝てない重賞戦線」の呪縛を打ち破ったのは、アリーヴォ&外枠の和生。内側が傷んでいるが故に、大半の馬がぶん回し状態という難しい馬場。中途半端な位置取りや足の使い方ほど、結果を出せなかったと言える。ランブリングアレーとノルカソルカを単勝で買っていたが、諸々納得できる走りだった。カデナは前年よりも斤量減だし、小回りは見限れないと思ったが……。

【フェブラリーS】
「Xという馬はYという条件ならば走れる/走れない」という感じで、レンジを照合させながら僕は予想を進めているのだけど、それで外した馬券と当てた馬券があるので、色々と振り返っていこう。
外した馬券はカフェファラオとレッドルゼルの取捨選択である。15時前後で再び雨が降り出した様子を見て、これは前者に不利で、後者に有利になると踏んだ。故に、馬場や展開があまり差しに転じなかった点を踏まえても、カフェファラオが好走できる範囲を読み違えたのは痛恨だった。去年から着実に苦手条件を克服しているが、どうもワンターン適性が強すぎる感もある。下手に地方ダートを巡るくらいなら、安田記念という手もあるのではないか? 一方、レッドルゼルは距離なのか。走れそうな条件なのに、まったく走れないという意味では、アルクトスと似たような課題を抱えていそうだ。
上手くいった馬券はテイエムサウスダン+ソダシのワイドだ。代用で持っていて良かった。というか、「ソダシの複」は盲点になりすぎていないかと。前者は岩田騎手のエスコートがお見事だった。好スタートを切り、サンライズホープの後ろで呼吸を整え、直線で最後の力を振り絞る。こちらは地方の砂も合っているので、着実に賞金を稼いでいくはずだ。後者は天の利を最も味方につけたと言える。ただ、逆にダートで好走できるレンジは限られているのもわかりつつある。個人的にはレッツゴードンキとキャラクターが似ている印象を抱いた。VMもいいけど、おでよ高松宮記念。
最後に、◎を打ったのがスワーヴアラミスなので一言。今日はコース形態も馬場傾向も血統傾向的にも合わなすぎた。調教は良く見えたのだけど。まあ、「サンデー系が走れる&差しオッケーの馬場」という条件で、また買い続けましょう。松田騎手ともども、引き続き応援なり

【サウジカップデー】
久々に調子の良いルメール騎手を見れたような。日本馬が勝ったレースは、ある意味では「この時期の日本競馬界に足りないレース」とも言える。左回りの芝短距離〜中距離の古馬戦、そしてダート短距離戦。不足する需要を海外で穴埋めするのは、良いことなのか、それとも問題を放置していることになるのか?
肝心のサウジカップは難しい結果になってしまった。特に、テーオーケインズには展開も馬場もコース形態も向かなかったと言える。この馬はコーナー4つのコースがベター。米国血統が優勢だったことも踏まえると、府中マイルでも走れる馬がサウジ向きと言えそうだ。これもまた、難しい問題を孕んでいそうな……。
ポジティブな側面としては、やはりステイゴールドの血はまだまだ熱いことを知れたことも挙げられる。ステイフーリッシュ、久々の勝利おめでとう。そして、マルシュロレーヌは最後まで気持ちを切らさずに走りきった。お疲れ様でした!

【阪急杯】
ダイアトニックが正攻法で勝利。約1年半ほど棒に振ってしまったが、態勢整えば楽に勝てるということ。高松宮記念への視界は良好だ。トゥラヴェスーラは常にビックリさせられる一頭。鮫島騎手のイン突きもお見事。穴馬として常に追い続けて行かねば。重い印を打ったリレーションシップは好位をキープできす、グレイイングリーンは今日の馬場では外から届かないよね……。


【中山記念】
パンサラッサとは、加速力に秀でた逃げ馬である。1コーナーと3コーナーでは全く違うリードの取り方だった。スタートダッシュ特化型の逃げ馬とは異なる。あとはそれがGⅠの舞台で出せるか否か。そういえば、先週のBS11のインタビューにて、凱旋門賞は逃げ馬で行くべし! と矢作氏は仰っていたような……。ダノンザキッドはどうも情緒不安定。◎ガロアクリークは無念の4着も、引き続き小回りなら買っていきたい。

   ◆

僕が競馬を見始めたときの代表馬といえば、ペルーサやコディーノだった。素質があって、ファンも多いのに、なかなか期待に応えられない。ようするにネタ厩舎。その流れを変えたのはレイデオロ。ホープフルSから皐月賞への直行は怪我の功名とは言え、ダービーで輝くための方程式を見事に成立させた。これも常に馬を思い、変化には柔軟に対応する「軸」が最後まで揺るがなかったからこそ。藤沢先生、お疲れ様でした!

ちょっと短めの競馬レース回顧【2021.10〜2022.02版】

2022年11月4日 発行 初版

著  者:和良 拓馬
発  行:ワラサンスポーツ出版

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和良 拓馬

1988年3月生まれ、神奈川県横浜市出身。サラリーマンを続ける傍ら、2014年秋より電子書籍の作成及び執筆活動をスタート。得意ジャンルはスポーツとファンタジー。主な寄稿先は「月刊群雛(GunSu)」「ウマフリ」など。NovelJam 2018に編集として参加し、新城カズマ賞及び海猫沢めろん賞を受賞。(これに気を良くしてしまい、)以降は雑誌制作活動も開始。「電子雑誌をつくろう!」「ラグビークラスタ」「#susonolife」の編集長を務める。日本代表から近所の空き地まで、場所と格を問わず、暖かくスポーツの現場を見守り続けています ・Twitter @Waratas ・note https://note.mu/waratas

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