この本はタチヨミ版です。
「電子書籍」の「Googleトレンド」をチェック
2016年には何が起こる?
【コラム】Amazonの読み放題サービス「Kindle Unlimited」が日本で始まるとどうなるか?
【コラム】Kindleストアのシェアが電子書籍市場の6割はあり得るのか
【コラム】アマゾンに対抗する出版社自身による読み放題サービス
【コラム】楽天が「楽天Kobo」とは完全に別の電子書店「楽天マンガ」を始めた理由は
【コラム】リアル書店で電書が買える仕組みがなかなか普及しない
【コラム】超高速横断検索API「カーリル Unitrad API」が既存の“使えない”図書館横断検索システムを駆逐する
【コラム】「電書バト」電子コミック11円セールで売上総額3億円超の衝撃とAmazonのエブリデーロープライス戦略
【コラム】『出版物販売額の実態2016』に感じた日販と時代の変化
【コラム】もうすぐWindows標準アプリで電書が開けるようになる
◆ 電子書店で行う期間限定無料キャンペーンのメリットとデメリット
本書は、筆者が2016年に個人ブログ「見て歩く者」で更新していた「出版業界関連の気になるニュースまとめ」記事などを、ジャンル別にまとめて2017年1月に発行した初版(978-4-8020-9308-8)を、HON.jpから発行し直すのにあたって加筆修正したものです。筆者が気になった“広義の”出版ニュースを毎週ピックアップし、独自の視点でコメントしています。電子出版関連が多めです。
誤字脱字の修正や言い回しの微調整などを除き、基本的に記事を書いた当時のまま収録してあります。そのため、企業名や人物の肩書などが本書発行時点とは異なっている場合があります。また、基本は敬体ですが、一部のコラムは常体です。あらかじめご了承ください。なお、記載のURLは2022年11月時点ですべてチェックしなおし、すでに消えている記事はInternet ArchiveのWayback Machineなどから発掘したURLを記載しておきました。
また、「シミルボン」等へ寄稿していたコラムを新たに収録しました。初版は縦書きですが、今後の年鑑編集コストを考慮し横書きに変更しました。章の順番やまとめかたについても、PEST分析のフレームワークに則る形に変更しています(第7章以降)。初版に収録されている「2017年予想」は2017年版と重複していたため、2016年版からは削除しました。ウェブ(※1)でお読みいただくか、2017年版をご参照ください。
(※1)一年の始まりなので、2017年に出版関連でどんな動きがあるか予想してみる〈見て歩く者 by 鷹野凌(2017年1月1日)〉
https://wildhawkfield.com/2017/01/predict-2017-of-the-electronic-publishing-industry.html
本書はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 – 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。あなたは以下の条件に従う場合に限り、この資料を自由に共有(複製や再配布)、翻案(二次的著作物の作成)できます。
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本書の販売収益は、発行元であるNPO法人HON.jpの活動資金となります。零細非営利団体にとって、貴重な収入源です。ご購入いただいた方に、感謝申し上げます。そのいっぽうで、本書はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもとに提供されています。それは、教育機関や図書館などの非営利セクターで本書を広くご活用いただくことが、HON.jpのビジョン「本(HON)のつくり手をエンパワメントすることにより、創造性豊かな社会を実現する」ことにつながると考えたからです。非営利目的であれば、どうぞご自由に二次利用ください。そして、もしこの試みを意気に感じていただけたのなら、寄付などご支援を賜れたら幸いです。
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https://www.aiajp.org/donation
予想の前に、「Googleトレンド」をチェックしてみました。キーワード「電子書籍」はここ数年、暫減しています。ピークの2010年12月は、シャープ「GALAPAGOS」やソニー「Reader」が発売されたり、au「LISMO Book Store」やトゥ・ディファクト「honto」やKADOKAWA「BOOK☆WALKER」などが始まったりしたタイミング。次のピークは2012年7月開始の「楽天Kobo」と10月開始の「Kindleストア」あたりです。
インプレス『電子書籍ビジネス調査報告書2015』 によると、電子書籍市場は2011年が629億円、2012年が729億円、2013年が936億円、2014年が1266億円と確実に成長しており、2015年は1600億円、2016年は1980億円という予測になっています(※1)。つまり電子書籍市場は伸びているのに、「電子書籍」の検索ボリュームは減っているのです。面白い。
仲俣暁生氏が2013年8月にWIREDへ寄稿したコラム“さようなら、「電子書籍」”で、“「電子書籍」というぎこちない言葉のほうを、そろそろ脱ぎ捨てたほうがいいのかもしれない”とおっしゃっていました(※2)。そのときを「Googleトレンド」の起点にすると、いまは4割減といったところです。実は私もこの記事を読んでから、なるべく「電子書籍」という言葉は使わず、「電子出版」「電子の本」「(本の)電子版」「電書」「電子書店」などという言い方をするようになりました。電子書籍ポータルサイトとして2010年4月に始まった「ITmedia eBook USER」は、2015年9月で更新終了しました。今後はもっと「電子書籍」という言葉が使われなくなるのではないか、という気がします。
さて、2016年にはどんなことが起こるでしょうか? 正月早々悪い予想をしても面白くないのですが、出版科学研究所が年末に発表した2015年の出版物販売額は1兆5200億円(直販や電子出版市場が含まれない)と、過去最大の落ち込みだったことは踏まえないといけないでしょう(※3)。電子と紙は地続きなのですから。
● 雑誌のウェブ化が進む
● 新書や文庫がデジタルファーストに
● サブスクリプションが急速に伸びる
● 電子書店の吸収合併が相次ぐ
● 投稿型プラットフォームがさらに増える
電子出版にとって「端末」は非常に重要な要素のひとつであることは間違いないのですが、2016年の予想からは外しました。しばらく、大型化・高解像度化・軽量化というゆるやかな進化以外、劇的な変化は起きないと思います。
簡単に言えば「稼げる方へ移行するしかない」という話です。「えー?」と思ったかもしれません。実際、ウェブメディアが「儲かる」かどうかは、意見の分かれるところでしょう。ただ、電通が昨年2月に発表した「2014年 日本の広告費」によると、雑誌広告費2500億円(前年比100.0%)に対し、インターネット広告媒体費は8245億円(同114.5%)です(※4)。
出版科学研究所によると、2015年の雑誌推定販売額は前年比約8.2%減の7800億円前後(電子雑誌は含まれていないはずですが、インプレスの予測値を足しても8000億円前後)。雑誌広告費が販売額と同じくらい減って、インターネット広告媒体費が前年と同じくらい伸びたとすると、雑誌販売額+広告費とインターネット広告媒体費が同じくらいになります。
売上額が同じくらいになるということはつまり、そろそろ定期刊行される紙メディアありきの編集・制作から、まずウェブに記事を出した後に紙メディアへ二次利用する方向に移行してもおかしくないはずです。この方向性はアドビが2015年に提供を開始した「Adobe Digital Publishing Solution」でも示されており、私が以前いた「情報誌」の世界では10年前に果たしていた変化です。
問題は、既存メディアからコンテンツを安く買いたたいて莫大な収益を上げ一人勝ちだと批判されている「Yahoo!ニュース」や、モラルもへったくれもない「まとめブログ」や「バイラルメディア」の“釣り”がトラフィックを集めたりしている点ですが、このあたりを書き始めると長くなるのでやめておきます。
新書の粗製濫造傾向は、相当酷いようです。「束を確保するために無理矢理内容を薄めて話を引き延ばしている」みたいな話もあります。物理的な制限を受けない電子版なら、短くても出せます。雑誌と同様、まずウェブで連載してから紙で出すという手も。
文庫は、単行本の発行からしばらくしてから普及用の廉価版として出すモデルが限界。文庫ファーストのラノベもそろそろ辛い。発行点数増は書店の棚を圧迫し返品率を増やすだけですから、「読み捨て」でいい読者は電子版へ誘導し、コレクターには上装丁版、という形に切り分けていった方がいいように思います。
「まずウェブで」+実売印税で利益率30%の「アルファポリス」は、成功例のひとつです。ただ、完全な実売印税は著者にとってあまりに厳しいので、アドバンスを払うけど実売部数が一定数を超えるまでは印税が発生しない、みたいな折衷型モデルが増えていくかもしれません。
問題は、取次から刷部数で入金される錬金術的な仕組みがあるから、発行点数を増やすドーピングがやめられないところでしょうか。まさに自転車操業。雑誌販売額の減で取次流通が危なくなると、取次が果たしていた金融機能がなくなるわけで、早くこのドーピング依存から抜け出さないと大変なことになると思うのですが。
昨年6月に「dマガジン」がサービス開始から1年で会員200万人突破しています。同じように定額読み放題サービスをやっているところは「ブックパス」「シーモア」「Yahoo!ブックストア」「ビューン」「タブホ」「U-NEXT」などがあります。
恐らく今年、アマゾンが「Kindle Unlimited」を投入してくるはずです。アマゾンの動きは他社にも大きな影響を与えますから、「Kindle Unlimited」が流行るというより上記の競合他社が負けじと販促に力を入れることで全体が急激に伸びるのではないかと。
ちなみに「Kindle Unlimited」はアメリカでは月額9.99ドルなので、恐らく日本へ投入する際も音楽や映像のように「アマゾンプライム会員なら追加料金なし」ではなく、オーディオブックの「Audible(月額1500円)」と同じように別料金になると思います。競合他社より条件が悪かったら、出版社がコンテンツを出さないでしょうし。
昨年の予想「4.ソーシャルDRMで直接配信する出版社が増える」の修正版です。「DOTPLACE」に寄稿した年次回顧にも書きましたが、2014年の明治図書出版やJTBパブリッシングの事例以降、DRMフリーあるいはソーシャルDRMで配信する出版社は増えていません(※5)。少なくとも私は知りません。ちょっと楽観的すぎる予想だったようです。反省。ドイツは「DRMフリー元年」だったらしいんですけどね。
わりと日本のユーザーって、DRMでプラットフォームに縛り付けられることを気にしてないようです。でも電子書店の閉鎖は必ず起きるし、そろそろ結構ユーザー数の多い中堅どころが倒れる事態も起きそうです。ではそうなったとき、何が起こるか。
これまで電子書店閉鎖時には、返金あるいはポイント還元でユーザーを救済するのがスタンダードでした。これはこれまで閉鎖したところは、会員数が少なかったからできる技だったように思います。
ところが2015年には「BookLive! for Toshiba」が「BookLive!」に統合されるパターン(元が同じ仕組みだから簡単だったというのはあるでしょう)や、同じく東芝の「BookPlace」がU-NEXTへ事業継承されるパターンが出てきました。
2014年にはソニー「Reader Store」の北米撤退時に、楽天Koboが既存ユーザーを引き継いだ事例があります。実は楽天、2015年にインドの「Flipkart.com」が電子書店サービスを閉鎖するときにも既存ユーザーを引き継いでいます。
日本でもそろそろ、結構ユーザー数の多い中堅電子書店が閉鎖するような事態が起きると思います。でも恐らく、楽天など他社がそういう電子書店のユーザーを引き継ぐ方向に動くだろうな、と。小さいところは引き継いだところでメリットが薄いから難しいでしょうけど。
昨年の予想「5.出版社直営の作品投稿サイトが盛り上がる」の延長上です。「ダ・ヴィンチニュース」の“「小説投稿サイト」の2015年を総括”という記事に「2015年新規参入の主なサイト」がまとめられていました(※6)。NHN comico「comicoノベル」、ディスカヴァー・トゥエンティワン「ノベラボ」、インデックス「STORIE(ストリエ)」、KADOKAWA「カクヨム」など、小説系だけを見てもどんどん増えてます。
「E★エブリスタ」「小説家になろう」「アルファポリス」「comico」などの成功事例を踏襲し、ウェブやアプリで人気の出た作品を紙で売るやり方がスタンダードになっていくのでしょう。IT企業と出版社による、「売れる作家」の争奪戦です。
集英社の「少年ジャンプルーキー」は、年末に「第1回少年ジャンプ+連載グランプリ」を発表したばかりなのでまだ「成功事例」になるかどうか分からないのですが、たぶん今年あたりに講談社や小学館のマンガ編集部が後へ続くと思います。著者の発掘育成方法が変わりますね。
さて、2016年はどんな年になるでしょうか。
初出:ブログ「見て歩く者」(2016年1月1日)
https://wildhawkfield.com/2016/01/predict-2016-of-the-electronic-publishing-industry.html
(※1)2014年度の電子書籍市場規模は前年比35%増の1,266億円 2019年度は2,900億円規模へ成長と予測『電子書籍ビジネス調査報告書2015』7月30日発行|ニュースリリース〈株式会社インプレス(2015年6月29日)〉
https://www.impress.co.jp/newsrelease/2015/06/20150629-02.html
(※2)さようなら、「電子書籍」〈WIRED.jp(2013年8月2日)〉
https://wired.jp/2013/08/02/farewell-ebooks/
(※3)今年の出版物販売額、落ち込み最大に240万部超 「火花」で書籍健闘も、雑誌の不振深刻〈産経ニュース(2015年12月29日)〉
https://www.sankei.com/article/20151229-WRJL7AOMXRNVHKZJLCIWNLJZ6M/
(※4)「2014年 日本の広告費」は6兆1,522億円、前年比102.9%〈電通ウェブサイト(2015年2月24日)〉
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0224-003977.html
(※5)鷹野凌 今月の出版業界気になるニュースまとめ 2015年12月「出版業界気になるニュース2015年回顧」〈DOTPLACE(2015年12月24日)〉※Internet Archive
https://web.archive.org/web/20151228070340/http://dotplace.jp/archives/20647
(※6)新人作家デビューの新しい手段として定着―「小説投稿サイト」の2015年を総括〈ダ・ヴィンチWeb(2015年12月31日)〉
https://ddnavi.com/news/277373/
本章は年頭の「雑誌のウェブ化が進む」という予想に基づき、ウェブメディア関連のニュースをまとめました。
https://mainichi.jp/articles/20160115/k00/00m/020/073000c
「超いいね!」ボタンとともに日本へやってきた「Instant Articles」は、ひとまず毎日、朝日、読売、産経、日経と、東洋経済が参加するようです。「Yahoo!ニュース」の二の舞にならないか心配。ウェブのトラフィックを奪われることになるわけで。“新聞社系のニュースが届きにくくなっている若年層を多く抱えるSNS上でのニュース配信が、日本でも本格化しそうだ。”とあり、「フェイスブックって若年層が多いのか?」と疑問に思い調べてみたら、意外と多かったです(総務省調査)。おっさんSNSという勝手なイメージがありました。先入観はいけませんね。少なくとも、新聞を定期購読している層の中心に比べたら段違いに若いのは確かでしょう。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1601/14/news136.html
これも「新しい出版のかたち」のひとつ。
https://magazine-k.jp/2016/01/21/big-bang-of-book-review/
まつもとあつし氏によるインタビュー。素早い。素晴らしい。いまのところ収益事業として位置づけられておらず、運営のリソースは一部「デイリー新潮」と共用しているそうです。大丈夫かな? ちなみに、オープン直後に公式アカウントに尋ねたのですが、「Book Bang」とスペースを空けるのが正しい表記だそうです。
https://news.yahoo.co.jp/byline/fujisiro/20160121-00053626
藤代裕之氏によるバズフィード日本版の評価。「技術と編集の融合」「グローバル」「ソーシャル」と理由を挙げているのですが、ではなぜ2013年に「ハフィントン・ポスト日本版は失敗する」という記事を書いたのかが疑問でした。それをツイッターに書いたら、本人から“先にふじいさんに書かれたからに決まってるじゃないかあ。”との回答がありました(※1)。確かに、ふじいりょう氏が先に「日本版『BuzzFeed』は失敗すると思う理由(ふじいりょう)」を書いています(※2)。なんか、なんだかなあ。苦笑するしかない。
https://news.yahoo.co.jp/byline/ishitanimasaki/20160121-00053628
いしたにまさき氏によるバズフィード日本版の評価。こちらは、ヤフーと組むことの意味についてしっかり語られていてわかりやすい。ハフィントンポストが朝日新聞社と組んだのとは好対照。ヤフーの子会社がやってる「THE PAGE」の立場は、という気もしますが。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yanaihitofumi/20160121-00053548
“Amazonの始めた紙本の値引き販売に筑摩書房が参加”というのは“主客が逆転している”と、筑摩書房が抗議文を掲載した件の顛末がまとめられています。“山野社長は読んだ瞬間、「これは主客が転倒していて間違いだ。こんなことを書かれては会社がつぶれかねない」と危機感をもったという。”という箇所がとても気になります。この記事だけで会社がつぶれかねないという危機感を抱かせてしまうとは。「再販制護持」を唱えない出版社は、書店や取次から爪弾き者にされる、ということなのでしょうか?「時限再販は再販制を守るため」というのは、理屈はわからないでもないけど、いちユーザーとしては納得ができない話なのですが。
https://www.advertimes.com/20160218/article217957/
「ツイッターはもう落ち目だ」とかなんとか言われてる中、黙っていられなくなったのでしょうか。Twitter Japanが日本の数字を公開しています。月間アクティブユーザー数(MAU)で3500万人とはスゴイ。なお「Web担当者Forum」によると、これまでツイッターの国内ユーザーは2200万人と言われていました(※3)。ところで、こういう数字で自動投稿プログラム(BOT)はどういう扱いになっているのか、気になります。
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/744796.html
リリースを参照したら「媒体社の方々は規模、国や地域を問わずインスタント記事をFacebook上で配信いただけるようになります」とあり、個人でも利用可能なのかどうかが興味津々。「Quickstart Guide(英語)」などを調べてみたのですが、はっきりしたことは分からず。もし可能なら「Yahoo!個人ニュース」や「note」あたりとかち合うことになりそうです。ちなみに実際の「Instant Articles」はモバイルで見ると、サムネイルの右上に雷マークが表示されます。表示、超早い。
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2016/0223-008678.html
出版に関わる数字だけピックアップすると、雑誌広告費:2443億円(前年比97.7%)、インターネット広告媒体費:9194億円(同111.5%)です。インターネット広告媒体費は、2016年も同じ伸び率ならいよいよ1兆円を超えます。電通報に解説記事が出ていましたが、「そもそも、インターネットはメディアなのか。メディアではなくコミュニケーションの手段ではないのか」と書いてあって混乱しました(※4)。この場合の「メディア」の定義って何だろう?「箸袋だってメディアだ」というのは、広告業界の発想だったはずなんですが。
https://japan.cnet.com/article/35079114/
あーなるほどそうきたか、と思った事案。リリース時に「個人でも利用可能なのかどうかが興味津々」と書いたのですが、WordPressプラグインを提供するということは当然、個人でも利用可能なのでしょう。いろんな意味で面白くなりそうです。
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/752126.html
Wikipediaみたいな名前ではありますが、ボランティアが情報を入力しているわけではなく、“著作権は株式会社リンクトデータに帰属”しています。Wikipediaのようにクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで再利用可能な形には、なっていません。ちょっと残念。“編纂は百科事典で行うのと同じように進められ”ているとのことで、集合知型のニコニコ大百科やピクシブ百科事典などより情報の信頼性は高いのかな?
https://on-deck.jp/archives/20153774
ウェブマガジンへ移行したのが昨年5月。1年で終了に。ただし“公開情報誌としての”と含みがあることと、編集長の井芹昌信氏が前向きなので、ただ終わるのではないのかも。続報を待ちます。
https://www.buzzfeed.com/jp/kazukiwatanabe/arent-we-news-media
ネットメディアでも、例えばJ-CASTニュースは普通に取材して記事にもしているので、ネットメディアというだけで排除されたわけではないような気が。BuzzFeed, Incの「会社情報」を見ると、住所・電話番号・代表者名など、自らの素性を示す情報が一切ない。これは塩対応されても仕方がないような気がしますよ? そういえば、自由報道協会ってあったなあ……あ、まだあるのか。
http://zen.seesaa.net/article/439047519.html
日本の特異性として、「Yahoo! ニュース」の飛び抜けた強さ、軟派ニュースに関心を持つ割合の高さ、メディア接触での受動的態度の高さなどが挙げられています。
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1008989.html
ついにスマートフォン広告費とPC広告費が逆転。もはやモバイル対応は当たり前の時代になったと言えるでしょう。
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1009113.html
現状の本の要約サイト「flier (フライヤー)」はアマゾンや楽天ブックスなどさまざまなところへ購入の導線を張っていますが、この企業向けサービスでは「honto」での購入に限定されているようです。日本ユニシスは、大日本印刷グループですもんね。
https://web.archive.org/web/20160816035639/http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2016_0816.html
国立国会図書館「WARP」事業の紹介。アメリカでは非営利団体の「Internet Archive」が行っている取り組みです。NHKは過去記事をどんどん消してしまうので「お前のところこそ過去のページをちゃんと保存しろよ」というツッコミが多数入っていました。この記事も消えてしまうような気がする……。[追記:本書初版編集時の2017年1月7日時点では残っていましたが、2022年11月改訂版編集時には消えていました。]
https://japan.cnet.com/article/35088142/
機械学習アルゴリズムによって、文章を要約して見出しにするそうです。技術の進歩のためオープンソース化してGitHubで公開、というところがグーグルらしい。いずれ、煽り・釣りタイトルも自動生成されるようになるのかしら?
https://gamebiz.jp/news/171251
メディアドゥのニュース&リリースを遡って確認してみたのですが、2013年11月に東証マザーズ市場へ上場して以降、初の企業買収のようです。法人向け電子書籍サービス「bizbook」に要約サービスが連携するとのこと。
https://developers-jp.googleblog.com/2016/10/budou.html
これ、HTMLでの日本語表現に大きな影響がありそうです。とくにタイトルや見出しで、1文字だけはみ出してしまうのを防ぐことができると嬉しい。オープンソースプロジェクトなので、一気に広がるかも。
https://on-deck.jp/archives/20154457
電子出版系専門メディア「OnDeck」が終了。今後はリニューアルした「IMPRESS INNOVATION LAB」が、キュレーションメディアとして機能していくことになるそうです。「ITmedia eBook USER」も2015年9月に更新終了しており、電子出版系専門メディアが生き残っていくことの難しさを改めて感じます。
https://www.advertimes.com/20161031/article236982/
いろいろモヤッとする対談。まず“プラットフォーマーが力を持ちすぎている”というのは、実態としては「Yahoo!ニュース」の比率がまだ非常に高いと思うのですよね。あと、「週刊文春」が読み放題なのは現時点で「dマガジン」だけなので、“たとえば雑誌読み放題サービスなんかは、うちも一刻も早くやめるべきだと思っているんです”というのは実質「dマガジン」を名指ししているわけで。NTTドコモとの関係は大丈夫かしら? まあ、「週刊文春デジタル」ですら「ニコニコチャンネル」というプラットフォームに依存しているわけで、そういう意味ではタイトルの「流通を制する者がメディアを制す」というのは正しい認識だとは思いますが。
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/061700004/111700162/
フェイスブックやグーグルの検索結果で米大統領選挙に関連する偽ニュースが跋扈し、トランプ候補の勝利に貢献してしまった、という批判を受けての対策のようです。フィルターバブル恐るべし。アルゴリズムで制御することの難しさを感じます。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1611/26/news021.html
https://www.buzzfeed.com/jp/keigoisashi/welq-03
https://web.archive.org/web/20161129151323/http://www.asahi.com/articles/ASJCY6HHMJCYULFA02M.html
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1611/30/news084.html
https://web.archive.org/web/20161201074622/http://jp.techcrunch.com/2016/12/01/welq-dena/
https://web.archive.org/web/20161201082005/http://jp.techcrunch.com/2016/12/01/dena-moriyashu/
https://web.archive.org/web/20161202163547/http://www.yomiuri.co.jp/national/20161201-OYT1T50110.html
周囲がしばらくこのニュース一色に染まっていました。健康情報サイト「WELQ」の記事があまりに酷いと批判が集まり、まず“専門家から監修を受けます”と対応。そこへ「BuzzFeed News」が、問題の記事群は組織的に大量生産されていたことを暴き大炎上。東京都福祉保健局から来庁の呼び出しを受けた直後に「WELQ」の全記事を非公開に。それでも炎上は収まらず、他のサイトに対する盗用の指摘もあり、結局「MERY」を除くDeNAパレット事業9つのメディア全記事を非公開に。朝日新聞や読売新聞など一般紙も報道を始め、そして「MERY」も過去記事が9割ほど削除されている、というのが本稿執筆時点の状況です。ちなみにDeNAパレットのサイトは閉鎖されアクセス不能です。なんていうか、メディアの矜持って無いんですかね?
なお、山本一郎氏が“お目当てのキーワードを入れるだけでネットから品質の高い記事をコピーしてきてリライトソフトにぶち込んでくれるBOT”で記事を大量生産していたのだという記事を書いていて(※5)、一瞬鵜呑みにしそうになったのですが、だったらわざわざクラウドワークスやランサーズに発注しなくてもいいのでは? という疑問が。読者投稿だという体裁にするためだけに1文字1円も払う? エビデンスもないので、ちょっとこれに関しては判断保留。
また、この炎上事件を受けてか、サイバーエージェントのキュレーションメディア「Spotlight」や(※6)、リクルートのキュレーションメディア「ギャザリー」も(※7)、慌てて過去記事を非公開にし始めたようです。ただ、現時点では情報源がひとつなのと、両サイトとも表向きにはとくにお知らせなど出していないので、こちらも若干判断保留気味です。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1612/05/news128.html
こういったまとめサイトの総本山と言っていい「NAVERまとめ」が新方針を打ち出しました。いろいろ言いたいことはありますが、いい方向へ転換しようとしていることは評価したいです。
https://magazine-k.jp/2016/12/08/writing-for-curation-media/
“私は、自分のことを筆力のある人間だと思って”いるのであれば、1文字1円以下の記事を量産するより、自分のブログで書く(=自分のメディアを持つ)方がいいように思います。Google AdSenseやアマゾンアソシエイツで得られる収入はたいしたことがないですが、「こういう文章が書ける人なのだ」という宣伝効果が大きい。
https://toyokeizai.net/articles/-/149282
サブタイトルの“悪いのは「盗むこと」「無断でまとめること」”に強い違和感。盗むのが悪いのはそのとおりですけど、「ちゃんとした引用」であれば無断でまとめても適法です。問題は不適切な「なんちゃって引用」が多い点なのでは。ちなみに、記事中で“コンテンツの質にこだわる”と言っている「antenna*(アンテナ)」には、別の論点で言いたいことが。ここは、ネイティブ広告がやたらと多いのと、「PR」のアイコンが小さすぎるのと、「PR」の画像がぼやけて見づらい。まあそれでも、PR表記していないメディアに比べたら遥かにマシなんですけど。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1612/12/news067.html
そもそも、無断転載されていることを権利者側が把握するには、それなりに労力がかかります。その上、削除申請にも労力がかかるのに、さらに、自身の元記事に追記しなければ対応してくれないという。典型的な「ハードルを上げることで諦めさせる」事例で、涙が出そうです。「まとめ」をする人へPVに応じて報奨金を出し、事業者側も儲かる仕組みになっているわけですから、プロバイダー責任制限法に基づく対処をすれば事業者側が免責される(=「まとめ」をする人にすべて責任をかぶせられる)状態になってしまっているのは、おかしいように思うのです。胴元がちゃんと管理できていないことこそが、責められるべき点なのに。今後、テレコムサービス協会(テレサ協)によるプロバイダー責任制限法ガイドラインの見直しや、プロバイダー責任制限法改正って話になっていくかも。
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1612/13/news123.html
「NAVERまとめ」に、アイティメディアが次々追い打ち。ちょっと驚いたのが「全体のうち約33.7%(3本に1本)にあたる違反記事を日々削除している」という回答。それだけ削除してなお、あの惨状なのですか……。
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/279975/121500006/
安心と信頼の井上理記者の記事。ちょっと驚いたのが、南場智子取締役会長がやっていた「Medエッジ(メドエッジ)」時代の話。「メドエッジの記事コストは1本あたり約5000円だった」って、それでまともな監修ができると思っていたんでしょうか……?
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1612/16/news078.html
「OneTopi」の編集長をやっていた松尾公也氏による振り返り。「キュレーター」の名付け親なのだそうです。細野不二彦氏の『ギャラリーフェイク』が元ネタとのこと。新刊が出てるの知らなかった!
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1612/13/news140.html
「ランサーズ」「クラウドワークス」といったクラウドソーシングサイトにも延焼です。コピペ重複を検出するツールで「重複率○パーセント以下に」といった指示がなされているそうで、そこから「リライト」する方向へ変わっていったのではないかと思われます。この問題で難しいのは「単なる事実」や「アイデア」は著作物ではないので、保護対象ではない点。アイデアを盗んでも、著作権侵害にはならないのです。
https://storialaw.jp/blog/2503
法律の専門家による解説。引用の要件と、複製・翻案と侵害にならない表現のライン、そして、プロバイダー責任制限法について、非常にわかりやすく説明されています。
タチヨミ版はここまでとなります。
2023年1月20日 発行 増補改訂版
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