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WOMAN‘S GIFT 
ー心に刻まれる映画ー

カフェイン過多 肉球

二松学舎大学



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 目 次

Lady bard. ―心に刻まれた映画

カフェイン過多

人生のプロセス映画

肉球

Lady bard. 
―心に刻まれた映画

カフェイン過多

Lady bard. ―心に刻まれた映画

カフェイン過多

はじめに


 あなたにとって心こころに刻まれている映画ってありますか? 映画が好きでよく鑑賞する私に影響を与えてくれた映画があります。それは2017年にアメリカで公開された『レディ・バード』です。本作は、2002年のカルフォルニア州サクラメントを舞台にした作品で、大都会のニューヨークの大学への進学を夢見るクリスティン(自称:レディ・バード)が母との関係や、恋愛、進路などに悩みながらも成長していく物語です。作品の受賞歴として第九十回のアカデミー賞のノミネート(作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、助演女優賞の五部門)や、第七十五回のゴールデングローブ賞(脚本賞、助演女賞含む四部門にノミネートされて作品賞と主演女優賞(コメディ・ミュージカル部門を受賞。鑑賞者たちの境遇に寄り添い、人々を魅了する本作の魅力について語っていきたいと思います。

作品の魅力①


 観る人々を魅了するそんな作品である本作の魅力を提示していきたいと思います。なんといっても少し自意識過剰とも捉えることができる、クリスティンという名前を持つ自身をレディ・バードと呼んでみるような個性的な部分、自分への期待、田舎で育ったからこそ抱く、大都会への憧れが人々の共感を生んでいるのではないかと思いました。本作では、主人公のクリスティンは、まるで自分の居場所を追い求めているような高校生ならではの悩みにフォーカスして描かれています。自分が置かれている環境は大好きなのだけれども、どこか自分にはしっくりこない、どこか新しいキラキラした環境で成長する自分を追い求めたい、そんな部分に私も共感しました。私自身、自分が置かれている環境に不満を抱いているわけではありませんが、いつもどこかで自分が成長できる、今よりもっと輝ける場所があるのではないか、そんな風に環境のせいにしてしまうような瞬間もありました。中学生・高校生で努力しても自分の周りの環境に満足できず、いつもどこか違う方向を見てしまっていた当時の私に本作をおすすめしてあげたいです。



 作品の魅力②



 二つ目に提示したい本作の魅力は、高校生ならではの友人・恋愛関係についてです。友人にしても恋人にしてもどこか背伸びをしたような人々に惹かれてしまう。本来の自分の良さをなかなか理解できず、その時の自分が憧れたり、うらやましくなったりするような人々に無理して合わせようとする人間関係にも共感する性があるのではないでしょうか。自分を本当に大切にしてくれる友人の良さになかなか気づけなかったり、それに後々気が付いて後悔したり。大人になってから経験する人間関係とはまた少し違った高校生特有の人間関係がリアルに描かれているからこそ共感できる部分があるのではないでしょうか。

 

 作品の魅力③


 最後に提示したい本作の魅力は、母との関係です。クリスティンとどこか似ている母親はいつも娘とぶつかってばかり。クリスティン自身もいつも自分のことを思ってくれているからこそしてくれる母親の行動に対してイラつきを覚えることや、似ているからこそ母親とは違う人生を歩みたいと思っている思春期特有の親に対しての感情がリアルに描かれています。私自身一人娘ということもあり、いつも両親は私に注目して、何か事があるごとに心配しては声をかけられる。自分のためと思ってしてくれている両親の気持ちを理解しつつもどこかもう少し見放してほしいと願ってしまっていたのが高校生から大学一年生あたりまででした。大学生になった現在も両親のもとを離れずに暮らしている私ですが、本作を鑑賞した大学二年生当時、ここまで自分の親に対しての感情と似ている作品に出逢ったことがありませんでした。だからこそ、心を打たれた部分が大きく、本来親元から離れてから感じる感謝の気持ちや親が自分を心配してくれる部分を本作から一緒に生活するうちに親の大切さを実感できたことが私にとって本作が心に刻まれた大きな理由であるのではないかと思えました。



おわりに



 先程も記載した通り、この作品を鑑賞したのは大学二年生の頃でした。この作品を鑑賞した終えて感想は、もっと早くこの作品に出逢っていたかった、です。私自身親元を離れたこともないし、クリスティンと同じように母との関係が悪いわけでもない。でも、いつも自分のことを一番に考えてくれる両親の顔が思い浮かんだし、感謝しなくてはいけないなと思えました。作品内でクリスティンも大学進学を夢みることは今進学を考える私と重なる部分であり、友人関係に悩んでいる姿が過去の自分のようにも見えて、まるで私の気持ちを代弁してくれるような、でもどこかクリスティンは私とは違う魅力を持っている女の子。だからこそ、本作が自分にとって魅力的で心こころに刻まれている、自分自身を見つめ直せるそんな作品であるのだと感じました。今回は、クリスティンの感情と経験に基づいて本作の魅力について語りましたが、ゴールデングローブ賞では、コメディ・ミュージカル部門で輝いたように演出の部分でもたくさんの魅力を持っている作品です。再度鑑賞して今回着目した部分とはまた異なる魅力についても今後注目していけたらと思います。あなたも少し痛いけど見覚えがある『レディ・バード』を鑑賞してみてはいかがでしょうか。

人生のプロセス映画

肉球

人生のプロセス映画

肉球

はじめに


 「プラダを着た悪魔」は、アメリカ映画で大ヒットし現在でも多くの世代で愛されている色褪せない名作である。「プラダを着た悪魔」は、ファッションに興味がない主人公のアンドレアが、有名ファッション誌「ランウェイ」のカリスマ編集長であるミランダのアシスタントとして就職し 、彼女の悪魔的な要求を乗り越え成長していくという物語である。この映画は、数々の賞を受賞した。その中でも、ミランダ役のメリル・ストリープは、ゴールデングローブ賞の映画部門で主演女優賞を受賞している。この映画の注目ポイントは、ファッションとアンドレアの成長過程だ。

ファッションの 成長


 この映画は、音声無しのただの映像としてだけでも楽しめてしまうほど、全てのシーンが魅力的で登場人物は皆ハイセンスなファッションで楽しませてくれる。衣装担当であったパトリシア・フィールドは、衣装デザイン賞を受賞している。また、映画内でされていたコーディネイトは未だに SNS特集され、真似されているのだ。しかし、主人公のアンドレアは、初めはファッションに興味がなく キャリアアップしたいと決心してから、同じく編集部に所属しているナイジェルの手を借りて、ファッション誌に携わっていると言われても違和感の無いハイセンスなファッションを披露した。この映画では、アンドレアの心の成長とファッションセンスは比例している。成長するたびにおしゃれになっていくアンドレアを見るのは、楽しく誇らしい気持ちにさせてくれる。

キャリアの成長


 ミランダの要求は、かなり難しい事ばかりなうえに彼女への対応は決して良いとも言えず、きつい言葉で当たってくる。ファッションに興味がないことから、知識もないアンドレアは余計に強く当たられてしまう。その為、もう辞めてしまおうと何度も考える。しかし、その辞めてしまおうというタイミングが、結果的に彼女が自分を省みるきっかけとなるのだ。追い込まれても、そこで返り咲く彼女の精神の強さは、仕事や勉強で行き詰まった人に影響を与える。最終的には、同じアシスタントである先輩のエミリーよりも重宝され、パリコレクションに同行するという大きな仕事に選ばれたのは、アンドレアだった。友人との関係を優先するのか、仕事を優先するのか多くの人がいつかは経験する問題に立ち向かうアンドレアに男女問わず共感される。
 ファッションを楽しむだけでなく、仕事や勉強、人間関係で何か問題が起きている時や、上手くいかず悩んでいる時に力をくれる映画だ。

WOMAN‘S GIFT ー心に刻まれる映画ー

2023年7月30日 発行 初版

著  者:カフェイン過多 肉球
発  行:二松学舎大学

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堀江 理紗子

二松学舎大学 文学部
都市文化デザイン学科に所属。
編集者として初めての出版!!


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