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森林を含む自然環境やその生態系を治療の一部として利用した療法は「自然療法」(Naturopathy)と呼ばれ、欧米では利用率の高い療法の一つである。「自然療法」とは「人の生命力を高めることで自然治癒力を引き出す療法」であり、自然食品の食事、健康な生活習慣、健康の阻害要因とはならない住環境、自然な生態系に囲まれて暮らすことを、治療を目的として専門家の管理のもとで行う療法である。
欧州における「自然療法」の歴史は古く、多くの分派が発生しているが、鉱泉の湧き出る森林地域の治療所で水治療と運動療法を中心に行う現在の自然療法となったのは19世紀の初めである。ドイツでは、自然療法と通常医学の連携が進み、現在では自然療法は医学部の必修科目であり、医師の国家試験の出題科目にもなっている。
伝統的な自然療法から新たに19世紀の後半にはクナイプ(Sebastian Kneipp)による煎じ薬入りの水療法が始まり、クナイプ療法として普及、現在に継承されている。その発祥の地である保養地についてはすでに多くの研究がなされ、療法も市民権を得ている。クナイプの弟子の一人ルスト(Benedict Lust)はアメリカに渡り、アメリカの自然療法の創始者と称されるようになる。
つまりドイツの伝統的自然療法をその源流の一つとするアメリカの自然療法は、アメリカ医師会による民間療法のための手引き書(アメリカ医師会編 2000)によると、診療所や温泉の療養所に患者を滞在させ、自然食や断食、ハーブやマッサージなどによって生命力を増幅させることで疾病からの自然回復をはかる療法を意味している。
ドイツのように必ずしも森林資源を健康資源化しているわけではないが、「森林散策」や「森林の空気浴」はその治療手段の一部となっている。このように、ドイツ発祥の森林や自然地形を生かした自然代替療法スキルは、欧米をはじめ広く各国に伝播しているのである。
2023年8月10日 発行 初版
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二十歳の時にダライ・ラマ十四世と個人的に出会った事が、世界の山岳・辺境・秘境・極地へのエスノグラフィック・フィールドワークへのゲートウェイだった。その後国内外の「辺(ほとり)」の情景を求めて、国内外各地を探査する。 三十歳代にて鍼灸師と山岳ガイドの資格を取得した後は、日本初のフリーランス・トラベルセラピストとして活動を始める。そのフィールドは、国内の里地・里山から歴史的、文化的、自然的に普遍価値を有する世界各地のエリアである。 また、健康ツーリズム研究所の代表として、大学非常勤講師を務めながら、地方自治体における地域振興のアドバイザーとしても活躍している。 日本トラベルセラピー協会の共同創設者でもある。