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たいいちろう

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 広がる空は青。
 自由な雲は白。
 深みのある海は蒼。
 自由な翼は白。
 光はあなた。
 願いごとを添えて夜に息を吹きかけた。
 息を吹きかけると、暗い夜に明るい光が灯って鏡が現れたんだ。
 鏡のまえに立つと瞼の奥に優しい光が見える。
 触れることよりももっと近くに感じられる温かい光。
 大切なこと。
 奇跡のようなこと。
 優しい光が届けてくれること。
 鳥に力強い翼が誕生する瞬間。
 頼りなかった翼は羽ばたくたびに鮮やかな色をした音を奏で始める。
 その音は生きることには意味があるのだと伝えてくれる。
 なんて心地のよい音。
 その身に降り注いだ真っ直ぐな光の優しさと、真っ直ぐな温もりとともに。
 霧雨が降る昼。
 鳥はこの小雨が、これから激しい雨へと変わるものだと、そう思い込んでいた。
 静寂のなか、小さな音でなにかに跳ね返る音を奏でる雨粒たち。
 ぽつんぽつんと雨が謳う。
 この小雨のあとは激しい雨ではなく、爽やかな青空が広がっていくのだ。
 空に綺麗な湾曲を描いた、美しい虹が現れるのを感じる。
 目は光の気持ちよさを相棒に、その虹の先を穏やかな心で見つめる。
 うまくこの世界を飛ぶことができなかったその鳥は、まるで青い空に大切な忘れ物を取りにいくみたいに羽ばたいていく。
 上空へと高く高く舞い上がる鳥。
 希望という名の宝物を取り戻しにいくみたいに。
 鳥は空から光の輝きをその身に集めると、今度は絵の世界の海のなかへと翼をたたみ、身を細くし、高度を下げていく。
 世界に一つの美しい水彩の海に水しぶきをあげて、勢いよく飛び込む。
 青から碧い海の美しい世界のなかで、海を生きる人魚たちとともに、その翼で蒼の世界のなかを飛ぶのだ。
 鳥は蒼の世界のなかを自由に羽ばたいていく。
 人魚たちはカラフルな尾ひれを楽しそうに揺らしている。
 その鳥のことを人魚たちは励ましているのだ。
 鳥はこの海の世界の蒼に溶け込むと、海水を気持ちよさげに弾きながら、青の空へと戻っていく。
 水彩の優しい光の色と光の声に包まれながら。
 今度は静かに。
 どこまでも平和で平穏で、ただ愛に包まれた世界にその身を委ねていくのだ。
 水平に翼を伸ばして、その翼で空の優しい空気を受けとめる。
 その空気はとても清らかで、とても柔らかい。
 その空気はふわふわとしている。
 夜になる。
 夜空を舞う鳥。
 星たちが巡る季節を繋げていくみたいに流れていく。
 絵筆で夜の美しい黒に、優しくとても明るい色で線を引いていくみたいに。
 星座の星々たちが、鳥の心に灯りを届け始める。
 灯りを受け取ったことで得た幸福。
 鳥も幸せを届けに、星々の元へと、どこまでも夜空を舞い上がる。
 願いの息吹は感謝の想いが宿る力強い翼。
 その想いは自然に溢れでるもの。
 それは鳥の翼をより美しくし、よりしなやかなものにもする。
 飛ぶ力を強靭なものにし、朝の世界も夜の世界も、時の流れをも美しく色づかせて輝かせる。
 翼はいつも愛と感謝と循環する優しさとともにある。
 一瞬が永遠になり、起きてもいないことをもう心配する必要はない世界。
 ただ広がっていく宇宙みたいな奇跡。
 広がる空は青。
 自由な雲は白。
 深みのある海は蒼。
 自由な翼は白。
 光はあなた。
 その温かい光に翼を照らされて、優しさに溢れた光に包まれて。
 翼は潤いを持ち、光を放ち、輝いていく。
 鏡の向こう側の、その光に寄り添いながら。

2024年2月29日 発行 初版

著  者:たいいちろう
発  行:ANUENUEBOOKS

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たいいちろう

巡り会えたあなたに、
幸せが訪れますように…。

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