spine
jacket

───────────────────────



カトマンズ 暮らしの風景

清水正弘

深呼吸出版



───────────────────────

カトマンズというトポス(場)

ネパールの首都カトマンズは、私にとっての「定点観測地点」のひとつである。これまで幾度どなく訪れている。最初に足を踏み入れた一九七九年夏のことを思い出す。まだまだ電気の普及率は低く、夕闇迫る頃になると、家々の軒先や家屋の中では、仄かな灯りが揺らめくランプに火が灯り始めるのであった。

それから四十五年の歳月(二〇二四年現在)を経ているが、この町が放ち続ける妖しげな魔力の呪縛からはなかなか解きほぐされないのである。当時に比べるといささか近代的物質変化は否めない。しかし、それでもなおこの町は前近代的な時空の面影を、そこかしこに漂わせているのである。

その背景には、多種多様の宗教・民族・文化・習俗が入り乱れながらも、ほどよいカオス的トポス(場)となっていることがあるだろう。豊富なダイバーシティさを日常の営みの中に織り込ませながらも、大きな摩擦的トラブルは発生していないのである。

それは、カトマンズという一つの町のみならず、ネパール国全体にも同じことが言えるだろう。この国はヒンズー教を国教としているが、国の西部には仏教開祖者・釈迦の生誕地ルンビニがある。そのルンビニの周囲は、なんとイスラム教徒の多くが居住する地域なのである。

ヒンズー教、仏教(チベット仏教・テーラワーダ・その他)、シャーマニズム、イスラム教、キリスト教といった近現代における国際紛争の火種となっている宗教信仰心が共存しているのである。カトマンズにおいても、多宗教のもとで祭儀や儀式などが日々執り行われている。

今回の本では、カトマンズにおける人々の営み風景の写真集としているが、「祈り」の諸風景については別途の写真集( https://bccks.jp/viewer/178486/ )を作成している。ほどよいカオス的日々という、カトマンズの町が有する「ほどよい折り合い風景」を読み取ることは、現代人にとってポストモダンの在り方を問い直す術ともなり得るだろう。

カトマンズ 暮らしの風景

2024年2月5日 発行 初版

著  者:清水正弘
発  行:深呼吸出版

bb_B_00178484
bcck: http://bccks.jp/bcck/00178484/info
user: http://bccks.jp/user/152489
format:#002t

Powered by BCCKS

株式会社BCCKS
〒141-0021
東京都品川区上大崎 1-5-5 201
contact@bccks.jp
http://bccks.jp

清水正弘

二十歳の時にダライ・ラマ十四世と個人的に出会った事が、世界の山岳・辺境・秘境・極地へのエスノグラフィック・フィールドワークへのゲートウェイだった。その後国内外の「辺(ほとり)」の情景を求めて、国内外各地を探査する。 三十歳代にて鍼灸師と山岳ガイドの資格を取得した後は、日本初のフリーランス・トラベルセラピストとして活動を始める。そのフィールドは、国内の里地・里山から歴史的、文化的、自然的に普遍価値を有する世界各地のエリアである。 また、健康ツーリズム研究所の代表として、大学非常勤講師を務めながら、地方自治体における地域振興のアドバイザーとしても活躍している。 日本トラベルセラピー協会の共同創設者でもある。

jacket