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マッチングアプリで高校時代にバカにされていた先輩とマッチングした結果

さのぞう

沙乃蔵出版



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  この本はタチヨミ版です。

俺の名前は横澤隆一。とうとう30歳を超えたばかりのシステムエンジニアである。
しかも彼女いない歴=年齢という悲しい事実もあるのだ。
周りには女性がいない。そして出会いがどんどんなくなっていく。これが現実なのか。
そんな同じ環境でも女をとっかえひっかえしている同期の貴史がいる。正直、そこまでイケメンではないのだがなぜだろうか。
真相を確かめるべく飲みに誘った。
貴史曰く「今はなぁ。マッチングアプリだぜ」とのことだった。
「でも、マッチングアプリなんて世の中に溢れてるし、サクラとかも多いんじゃないの?」と当然の疑問を貴史にぶつけた。
「そんな中でも当たりの多いアプリがあるんだよ」
「なんだよそれ!教えてくれよ!」
「じゃあ、今日の飲みは奢りな」
「わかったよ・・・」と仕方なく条件をのんだ。
「これだよ」と言って見せてきたのは『恋できました』というアプリだった。
「あと、当然だが写真は大事だぞ!今、俺が撮ってやる」と貴史が良い感じの写真を撮ってくれた。さすが慣れてるなぁ。
さっそく家に帰って登録から始めることにした。
(登録は結構簡単だな。後は勝負写真でどれだけ釣れるかだ)
(次は相手を選んでいくのか。いいねなら右にスワイプ、イマイチなら左へスワイプ・・・本当にこれだけでマッチングすんのか?)
と相手を選んでいる時に気になる女性を見つけたのだ。
(これ、高村先輩じゃん)と高校時代に俺をバカにしていた先輩を見つけた。
(どうしようかな・・・顔は嫌いじゃないんだよな・・・)と思っていたら『いいね』にしていたのだ。
(これでマッチングしたらどうしようかな・・・)と思いつつ、その日はとりあえず寝たのだった。

翌日、起きてみてマッチングアプリを見てみると3人とマッチングしていて、その中に高村先輩も入っていたのだ!
(どういうつもりだ・・・って向こうもそう思ってるよな)
昼休みに貴史に報告すると、
「すぐに返事を返さないとアカンぞ」と言われたので、定型文と言われる文章を貴史から教わりメッセージを送った。
ただ、高村先輩だけはどう返そうか迷っていた。
「この女性、高校の時の先輩で、いつも俺のことを『陰キャ』ってバカにしてたんだよね。どういうつもりでマッチングさせたと思う?」と貴史に聞いてみると、
「そういう過去がある人間同士が実は上手くいくもんなんだよ」と言ってきた。
「10年以上会ってないんだけど、どういう感じで返信したらいいかな?」
「『お久しぶりです。よかったら食事にでも行って近況報告しませんか?』って返せばいいと思うよ」
「なるほど、それいただいた」
「今日のランチ代でいいよ」
「くっ、仕方ねぇ・・・」
とりあえず、3人に返信をして業務へと戻った。
仕事が終わってアプリを見ると高村先輩だけ返事が来ていた。
すごく食事に乗り気のようだ。
(相手に熱があるうちに具体的な日にちを決めるんだったな)
と言うことで次の土曜日に食事に行くことを決めたのだ。

そして、土曜日がやって来た。ランチの約束だったので11時に待ち合わせだ。
15分前に待ち合わせ場所に着くと、高村先輩は既に来ていたのだ。
高校時代とは違い、大人っぽくなっていて、それでいてとても31歳とは思えないほど若々しいのだ。
(変に緊張してしまうな)
「お、お久しぶりです、高村先輩」と挨拶すると。
「この歳になって“先輩”はないでしょう」と笑われてしまった。
「だって、今まで高村先輩としか呼んだことないんですから」と言い訳をした。
「そうね。じゃあ、栞さんとか栞先輩とかなら許せるかな」と微笑んだ。
「なんでいきなり下の名前なんですか!ハードル高いでしょ。高村さんにしますからね!」
「ちぇ~」と高村先輩は残念そうだった。
「とりあえず、お店に行きましょうか」と移動を促がした。
「そうね。積もる話は多いでしょうから」
「僕はあんまりないんですけどね・・・」
「後で聞くから、ネタ用意しておいてね」と楽しそうだ。
そして、パスタのお店に入った。
注文して、料理が届くまでの間にいろいろ話した。
「高村さん、キャラ変わりました?昔はもっと刺々しかったですよ」
「まぁ、若気の至りよ。横澤くんはカッコ良くなったよね」
「高村さんこそ、大人っぽくなっちゃって。昔はギャルだったのに」
「過去の黒歴史を言うのはやめてよ陰キャくん」
「あっ、やっぱりまだそれ言うんだ・・・」
「いやそれがさ、昔と変わってなかったら陰キャくんで弄ろうと思ったのに、全然そういう雰囲気じゃないんだもの」
「そりゃ、10年以上会ってないですからね」
「そうね。お互いいろいろあったわね」
料理が運ばれてきて、とりあえずランチを食べ始めた。
「それで?なんでアプリなんか使ってマッチングしたんですか?」と俺はいきなり本題に切り込んだ。
すると、高村さんは恥ずかしそうに下を向いてしまった。
「いや、恥ずかしいことなら別にいいですよ」と言うと。
「いや、恥ずかしいことではないんだけど・・・なんていうか・・・」とモジモジしだした。
(なんだこの可愛い生き物は・・・)
「恥ずかしいことじゃないなら教えてくださいよ!」
「わかったわよ!バカ!」と怒られた。
そして、意を決して高村さんは語り始めた。
「私ね、今年31歳になるのね。結婚を意識してるんだけど、なかなかいい人がいなくて」と言ったのだ。
(やっぱりいい歳して婚活アプリを使うのは恥ずかしかったんだな)と解釈した俺は話の続きを聞いたのだ。
すると・・・
「それでマッチングアプリを使って探そうと思ったんだけど、さすがに30代になると『いいね』がもらえないのよ」と言い出した。
「30代でいいねをもらえる人は少ないですよね。僕だって3しかもらえなかったし」と共感したのだ。
「それでなんで私に『いいね』くれたの?」とニヤニヤしだしたのだ。
「それは単純に“懐かしい”ってのがあったんですよ」と素直に答えたのだ。
「私ってすぐにわかったの?」
「そりゃわかりますよ」
「なんで?」とまたニヤニヤしだしたのだ。
「そりゃあんなに絡まれた先輩いなかったですからね。大人っぽくなったとはいえ面影がしっかり残ってますよ。ギャルのね」と笑った。
「ギャルはやめてよ。今はおばさんだし・・・」とまた下を向いてしまった。
「いや、でもかわいいですよ」とフォローすると顔が真っ赤になっていた。
そして、パスタを食べ終わってデザートが運ばれてきた時に高村さんが話し出したのだ。
「横澤くん・・・私ね実は今でも横澤くんの事が気になってて、それでマッチングしたのも運命かなって思って」と言ったのだ!
(え?マジで?)と思った俺は思わず聞き返してしまった。
「それはどう言う意味なんですか?」と。
すると、「実は高校時代も嫌いだからバカにしてたんじゃないのよ」と言って顔を赤くした。
「じゃあ、なんでバカにしてたんですか?」と聞くと、
「それは・・・なんかあるじゃない・・・この話は一旦終わりね」
「えー」
「そういう横澤くんはどうしてアプリなんか始めたの?」と話を変えてきた。
「それはですね、高校時代に僕をバカにしていた女性を見つけたからですよ」
「やっぱり根にもってるんじゃないのよ!」と高村さんはケラケラ笑い出した。
「いや、全然根に持ってるわけじゃないんですよ。ただ、僕も男ですから30代になって結婚を焦ってるんですよ」と素直に答えたのだ。
「一応、確認なんだけどさ。アプリしてるってことはフリーなんだよね?」
「だから彼女いない歴=年齢なんですって!」
「いや、30歳になっていきなり彼女出来ましたとか言われたらショックだし」
「そういう高村さんはどうなんですか?」
「私は彼氏いない歴=年齢よ!」と言ってピースしてきた。
「ウソつきなさい。高校の時に彼氏さんいたでしょ!」
「やめて!あれも黒歴史なんだから・・・」
「そうなんだ。お似合いだったけどなぁ」とお返しにニヤニヤしてやったのだ。
「もうっ!と、それは置いておいて、まとめるとさぁフリーで結婚したい30代の男女がいるってことでいいんだよね?」
「そうですね」
「じゃあ、食事も済んだしこの後どうする?」
「そうですね。買い物とかどうですか?服とか靴とかね」と言うと高村さんの顔がみるみる赤くなり、そして俺にこう言ったのだ。
「横澤くんって意外とグイグイ来るよね・・・いや、これが普通なのかも・・・」と言ったのだった。
「え?」と困惑していると。
「いや、なんでもないよ。じゃ、とりあえず買い物行きましょう」と笑顔で返されたのだった。
高村さんの真意はわからないが、とりあえず俺と高村さんは買い物にいくことになったのだ。
「ところで何を買うの?」と高村さんが聞いてきたので答えた。
「高村さんの服を見立ててあげましょうか?」と言ってみると、
「私、陰キャくんに服を選ばれるほどダサいってこと?」とプンプン怒った。
「いやいや、そういう意味じゃなくてですね・・・」と俺が説明しようとすると。
「冗談よ。なんか懐かしくて嬉しいのよ。じゃ、私に合う服をコーディネートしてちょうだい」といたずらっぽく笑ったのだ。
「わかりましたよ」と言って高村さんに似合う服を探し始めたのだ。
「高村さん、ギャルでいいですか?」と真顔で言うと、
「いや、それはやめてよ」と本気で嫌がられた。
「じゃあ、どんなのがいいんですか?」と聞くと、
「うーん。無難なのがいいなぁ」と高村さんは答えたのだ。
「じゃあワンピースですかね。ミニとロングとどっちがいいですか?」
「ロングかな?」
「了解です。ちょっと試着してみてもらえますか?」と言って高村さんを呼び止めた。
そして、ワンピースを高村さんに渡し、試着室に入ってもらうことにしたのだ。
すると「さすがに1人で着るの恥ずかしいんだけど」と言ってきたのだった。
(え?よくそんなセリフ言えるな)と思った俺は素直に思ったことを伝えたのだ。
「なんかもっとギャルっぽくなるかと思ったらすごくいい感じですよ」と褒めると照れていた。
「ちなみに僕の趣味でミニワンピも着てみません?」
「横澤くん、いつからそんなに積極的になったのよ。昔は教室の端にしかいなかったのに」
「とりあえず、着てください!」
「わかったわよ・・・」
と言って高村さんは試着室に入っていった。
そして、しばらくしてカーテンが開いたのだ。
「どう?似合う?」とポーズを取った高村さんが聞いてきたので素直に答えたのだ。
「すごく綺麗ですよ」と感想を言うと、顔を真っ赤にしながら「恥ずかしいんだけど・・・」と言ったのだった。
しかし、俺は大満足だった。
(いやー本当に大人っぽくなって・・・昔の面影が全然ないな)と思ってしみじみしていた。
「これ、買ってあげますよ。僕チョイスだし」
「いや、いいよ。自分で買うから」
「あ、さっきのも今のもね」
「え?2枚も買ってくれるの?」と驚いていたので俺はこう答えたのだ。
「今日のランチもご馳走になったし、そのお礼ですよ」と言うと納得した様子で受け取ってくれたのだ。
そして、高村さんは嬉しそうにワンピースを買った後、俺の服も見立ててくれたのだった。
「今の僕はもう陰キャじゃないですか?」と恐る恐る聞いてみた。
「そうね。もう陽キャになってるわ。見た目も中身も」とクスクス笑っていた。
「もう、バカにしないでくださいよ」と怒ってみると、「ごめんごめん」と素直に謝ってきたのだった。
そして買い物が終わり、「もうこんな時間だしさ、夕飯食べて帰らない?」と言う高村さんの提案を俺はすんなり受け入れたのだった。
そして、2人でレストランに入って席につきメニューを見たのだ。
「あれ?高村さんはお酒飲まないんですか?」と聞くと。
「うん。お酒は苦手でね」と恥ずかしそうに答えてくれたのだ。
「え?じゃあ、なんで今日誘ってきたんですか?」と素直に疑問に思ったことを聞くと、
「もうっ!そう言うのはわかっても言わないのが気遣いってものでしょう?」と怒られたのだった。
結局2人でご飯を食べ終わり、帰ろうとしていたのだが高村さんが唐突にこんなことを言い始めたのだ。
「ねぇ、次はいつ会えるの?」
「え?」と俺が困惑していると、
「だから、また会いたいって言ってんの!察してよね!」と詰め寄ってきた。
「いや、彼女いない歴=年齢ですから察せません!もちろん会いたいですよ」と素直に答えたら。
「それって私以外でもいいってこと?」とちょっと悲しそうな顔をした。
「いや、それは違う。高村さん以外じゃダメです」と正直に答えた。
すると、「じゃあさ、私から告白してもいいの?」と聞いてきたのだった。
「それって罰ゲームで言わされてるとかじゃなくてですよね?」と言うと怒られた。
「そんなのじゃないわよ!」と言われたので俺は素直に答えたのだ。
「でも、男の僕から言わせてください」
「え?」と高村さんは驚いていたが、俺は続けてこう言ったのだ。
「高村さん、僕と付き合ってください!」と頭を下げてお願いしたのだ。
「うん!もちろんだよ!」と笑顔で答えてくれて俺はホッとしたのだった。
「それで、次はいつにしようかね?」と本題(?)に戻した。
「次はカップルだしなぁ」と高村さんは嬉しそうだ。
「じゃあ、遊園地とかどうですか?」と俺はベタな提案してみた。
「それいいね。じゃ、今度の土曜日にデートしようね」と笑顔で答えてくれた。
こうして高村さんとデートの約束をして俺たちは別れたのだった。
(あれ?俺って今まで恋人いなかったよな)となぜか自分でツッコミを入れてしまった。
(高村さんだったからいつも以上の自分が出せたのかな?)と思い帰路に着いたのだった。

次の土曜日である。かなり楽しみにしていた。
待ち合わせ場所に行くとすでに高村さんが待っていたのだ。
「おはようございます」と挨拶すると高村さんが笑顔で言ってきたのだ。
「今日はカップルなんだから敬語禁止だからね」と。
「じゃあ、お互い下の名前で呼ぶこと!」と俺が付け加えた。
「それはちょっと恥ずかしくない?」と顔を真っ赤にしている高村さんが可愛い。
「じゃあ、お互い呼びたくなったらでいいんじゃない?」と返すと納得したようだった。
そして俺たちは遊園地の入場口に向かったのだ。
「うわぁ・・・カップルばっかりだね」と高村さんは少し引いていた。
「いやいや、ここはアトラクションとか楽しいらしいですよ」と俺はネットで見た情報を話した。
すると高村さんが俺の手を握ってきたのだった。
「え?どうしたの?」と言うと、
「だって私たちカップルなんでしょ?」と言ってニコッと笑ったのだ。
「じゃあ恋人つなぎにしようよ」と言ってみると、
「いつからそんなに積極的になったの?」と突っ込まれた。
と言いつつ、しっかり恋人つなぎにしていたのは内緒だ。
「じゃあ、最初はジェットコースターに乗りましょう!」と提案すると、
「いや、それは・・・」と高村さんが拒否したのだ。
「もしかして高村さん・・・怖いんですか?」と俺がニヤニヤして聞くと。
「そ、そんなわけないでしょう!むしろ大好きよ!」と強がりを言ったのだ。
「じゃあ行きましょうよ!」と言って嫌がる高村さんを引っ張りながらジェットコースターに向かったのだ。
そして、ジェットコースターに乗る順番が来たのだが・・・
「ねぇ、横澤くん。もう1回並ばない?」と涙目の高村さんに言われたのだ。
「いや、でも順番来ちゃったし」と説得して乗ることが出来たのだ。
(高村さん・・・本当に怖いんだな)と心の中で思ったのだった。
そして、ジェットコースターを乗り終わった後、俺は思わずこう言ってしまったのだ。
「栞さんって可愛いですね」と言うと、なぜか怒られたのだった。
(え?なんで怒られるの?)と思った俺だったが
「今のは恋人同士だから呼び捨てでいいって意味だよ。バカ!」と言われてしまった。
「ごめんね。栞」と素直に謝ると、「うん、許す」と言って笑顔になってくれたのだ。
(ツンデレか?)と思った俺だったが言わないでおいたのだった。
それから俺たちはいろんなアトラクションに乗ったりして楽しんだのだが・・・
お化け屋敷だけは頑なに拒否する高村さんだった。
そして夕方になりそろそろ帰ろうかと話していた時のこと・・・俺はとんでもないことに気が付いたのだ!
(あれ?これってもしかしてデートは・・・)
「「これで終わり?」」
と俺たちはハモっていた。
「いや、デートはここで終わりだけど、僕たちの関係性は終わらないよ」と俺が言うと。
「そうだね。これからもよろしくね」と言って笑う栞さんがすごく可愛かったのだ!
(俺・・・今最高に幸せかも)と思いながら遊園地を後にしたのだった。
遊園地デートを終えた俺と栞さんは2人で帰路に着いていた。
(このまままっすぐ帰っていいのか?それともどこか寄っていくか?)と頭の中で考えていると、突然栞さんに
「横澤くん。今日私のためにお洒落してきてくれたんだよね?」と言われたのだ。
「え?なんでわかったの?」と素直に驚いてしまったのだ。
「だって、今日の横澤くんいつもと全然違うんだもん」と言って笑ったのだった。
(そんなに違うかな?)と考えていると栞さんがこう続けたのだ。
「いやね、昔は髪の毛ぼさぼさだし、Tシャツにデニムだったもんね」と笑いながら言うので俺は焦ってしまった。
(やばい・・・俺って昔からどんだけ『陰キャ感』を出してるんだよ!)と悲しくなった。
そして、俺はあることを思いついたのだ。
(栞さんのためにプレゼントを用意するか)と思い、彼女に聞いてみたのだ。
「栞さん、何か欲しいものない?」と聞くと彼女は即答でこう答えたのだ。
「横澤くんの家に行きたい」と言ったのだった。
俺は思わず「え?」と言ってしまい、一応確認した。
「今、僕一人暮らしだけどいいの?」
「うん。横澤くんがどんなところで生活してるのか気になるし」と笑顔で答えられたのだった。
(これってもしかして・・・家デートってやつか?)と気が付いてしまった俺。
「じゃあ、行こうか!」と言って俺たちは俺の家に向かうことになったのだ。

俺の家の前に着くと、彼女は目を輝かせてこう言ったのだ。
「何このマンション!すごいね!」と言われてちょっと嬉しかった。
そして、俺は栞さんを部屋に案内したのだが、PCだらけの部屋の中を見て彼女はかなり驚いていたのだ。
(やっぱり俺って『陰キャ』って感じの部屋なんだよなぁ)と思っていると、突然栞さんがこう言ってくれたのだ。
「横澤くん、私ね・・・実は今日お泊りセット持ってきたの。だから今日はここに泊まってもいい?」と言われたのだ。
「お泊りセットって泊まる気満々やん!」と突っ込んだ。
「だって、今日一日だけで終わりなの?」と少し悲しそうな顔をしたのだ。
(え?どういうこと?)と疑問に思っていると、
「横澤くんはさ・・・私じゃ不満なの?」と言われた。
俺は思わず「いや、そういうわけじゃないよ」と答えたのだが。
「でもさ・・・今日一日で終わりってことはないんじゃない?」と言われてしまったのだった。
(確かに今日は楽しかったし、まだ一緒にいたいけどさぁ)
「じゃあ、今日は泊ってく?」と言うと彼女は嬉しそうに「うん!」と答えてくれた。
そして、俺は彼女にお風呂をすすめて先に入らせたのだ。



  タチヨミ版はここまでとなります。


マッチングアプリで高校時代にバカにされていた先輩とマッチングした結果

2024年3月4日 発行 初版

著  者:さのぞう
発  行:沙乃蔵出版

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