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この本はタチヨミ版です。
あなたの受験勉強、すべて思い通りに進んでいますか?
思い通りに進んでいるなら、問題ありません。
受験勉強を始めたものの、予備校で授業をたくさん受けているものの、参考書は買ってみたものの、どんなスケジュールで進めればいいか、しっくり来ていないような毎日を送っていませんか?
そもそも、あなたの大学受験が成功するかどうかは何によって決まるのでしょう?
逆転合格しなければならない受験生は、学校や予備校で言われたことを勉強しているだけでは合格には遠くおよびません。
「志望校の問題形式とレベル、自分の受験科目ごとの今の状態に合わせて綿密に順番を立てているか」によって決まるのです。
大学入学後、就職でもその後の仕事選びでも、大学名は名刺代わりになります。社会での信用の1つのモノサシです。難関大学の信頼はとても大きく大学名は一生ついてきます。インフルエンサーなど個人の自由な仕事も増えてきましたが、現実として2023年度の大学生の就職率は97.3%。自由な働き方が増えてきたとはいえ、世の中はまだまだ学歴社会です。
日本の中で難関大学と呼ばれる大学に合格できれば、将来の選択肢は増えるし、家族は安心してくれるし、友人も一目置いてくれます。その先の人生がグッと安定します。
もちろん、頑張れば誰でも成功できるわけではありません。①しっかりとした情報収集、②冷静な戦略立案、③本気の努力、この3つの柱を高いレベルで維持する必要があります。
実際には戦略を立てて情報収集するような受験生は少数派で、何が正解なのか曖昧で掴めないまま受験本番を迎えてしまう人が多いということでもあります。85%の大学受験生は第一志望には合格できない、そんなデータもあります。
「知っているか、知らないか」たったそれだけの違いで、結果が大きく変わってしまうのです。
本書では、大学受験生が①しっかりとした情報収集、②冷静な戦略立案、③本気の努力、この3つを高いレベルで維持できることを目指しています。
第1章と第2章でまず計画とスケジュールの考え方を身につけます。大学受験には期限があるので、逆算して入試日に間に合わせることが最も重要な考え方です。勉強を始める前に、いつまでにどうなっていればいいのかを自分の中で言語化することが大事です。大学受験では勉強法や参考書の情報ばかりが取り沙汰されますが、本当に重要なのは計画とスケジュールの言語化です。
第3章では、各科目の勉強法とおすすめの参考書をご紹介しています。理系の難関国公立大学に合格するためには、数学を中心として全ての科目を非常に高いレベルに仕上げる必要があります。各科目、限られた時間で効率的に伸ばすためのコツがあるので、それらを知ることで時間を短縮することができます。数多くの市販の参考書が販売されていますが、自分の今の成績や志望校にはどれが合うのかレベル設定の見極めが難しいです。自分のレベルにあった教材の見つけ方を身につけていただければ幸いです。
第4章では、独学の大学受験にとって重要なそのほかの情報をまとめました。脳科学を元にした記憶方法や毎日のやる気を保つモチベーション維持の方法、大学受験にまつわるお金のことなど、1年の受験生活をより充実したものにするために大切で、かつ学校でも予備校でも教えてくれないような情報を盛り込みました。
私自身、神奈川県内のちょっとした進学校で全く優秀とは言えないような成績から現役で早稲田大学教育学部社会学科に合格しました。当時から「大学受験は情報と段取りだ」と直感していました。
大学在学中に予備校のスタッフや家庭教師を経験する中で、大学受験は「情報格差が受験結果の格差に繋がっている」ことに問題を感じ、それを解決するために大学のクラスの友人とイクスタという大学受験専用のウェブメディアを創業しました。
その後、設立間もないスタートアップ企業で3年間、法人企業への営業職など社会人として働く傍らイクスタを運営し、2018年に独立して今日までイクスタを経営しています。今ではウェブメディアであるイクスタと、イクスタコーチというオンラインの大学受験のコーチングプログラムで、私自身毎日受験生の第一志望合格をサポートしています。
私のこれまでの3つのキャリアには共通点があります。それは「ゼロから自分の力で頑張って結果を出す、そんな場所に僕自身が身を置いていたい」ということ。困難なプロジェクトを頭を使って体を使って自分の力で解決していく。そのエネルギーに燃えるんです。
本書はイクスタのユーザーとして、またイクスタコーチの受講生として一緒に大学受験を戦ったメンバーとともに完成させることができました。編集者としてイクスタコーチの卒業生のお父様も関わってくださいました。多くの縁から1つの作品を作ることができました。本書からまた次の縁が生まれることを期待しています。
本書は、難関国公立大学の理系学部の受験対策について解説しています。
難関国公立大学とは、予備校の偏差値でおよそ60〜65程度と評価される大学です。
・いわゆる「旧帝大」に属する国公立大学(旧帝大の中でも東京大学、京都大学、東京工業大学、国公立医学部の最難関レベルを除く)
そのほか、・お茶の水大学、筑波大学、横浜国立大学、東京農工大学、国公立薬学部系、国公立獣医学部系などの大学です。
国公立大学以外にも、併願として受験する難関レベルの私立大学にも各科目の勉強法や参考書、スケジュールを応用できます。
難関私立大学
・東京理科大学、上智大学、私立大学医学部、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)、関関同立の理系上位学科
「大学受験のために勉強しているけど、どうやって計画を立てたらいいか分からない」
「高校や予備校では授業はあるけど、自分に合った計画を立ててくれない」
「先生や予備校で言われた通りにやっているけど、伸びる気がしない」
受験生本人、保護者の方ともにそんな悩みや不安はありませんか?
その不安はもっともで、大学受験では教科ごとの教材、時期ごとの成績、入学試験の方式などが非常に複雑なため、「自分に合った計画」を準備してそれに合わせて勉強することができないと、国公立大学やMARCH以上の難関大学に合格することは難しいという現実があります。
大学受験の仕組みは年々複雑化し続けているので、勉強の得意不得意よりも、「いつまでに何を勉強するのか」という長期的なビジョンや方針が大事になってきます。そして、こうしたビジョンや方針を立てるためにはある程度専門的な知識が求められます。
高校1年生から定期試験でも毎回1桁順位を取り続けるくらいコツコツと頑張っていれば、その時点である程度の力はついていることもありますが、それでも難関大学は高い壁です。例えばイクスタコーチには各県のトップ校の受験生も在籍していますが、模試などの成績表で学校の順位を見てみると、県内トップ校であっても学年中位くらいの成績では旧帝大や早慶など超難関大学の合格には、越えなければならない壁が数多くあるという状況になります。
首都圏や関西圏、名古屋などの都市部の中位以上の高校に通っていると、「いい感じにそこそこやっていけばMARCHや関関同立くらいは合格できるでしょ」と認識している受験生がいますが、とても甘いです。そうした甘い思い込みのままだと高校卒業時に涙を飲むことになります。
一般に、高校受験の際の偏差値から7を引いた数値が、大学受験での偏差値と言われています。例えば、高校受験で偏差値60の高校に入学した場合、大学受験では偏差値53前後が同等のレベルということになります。
大学受験はそれくらい厳しいものです。成功するためには、授業や参考書、絶対的な勉強量以上に、自分に合った優れた「勉強計画」が必要です。
勉強計画こそが受験勉強の屋台骨です。まず、勉強計画を立てて、「いつ何をやれば合格できるのか」を明らかにすれば毎日の勉強でもどんどんやる気が出るし、自分の目標に向かって実感を持って近づいていくことができます。
進学校や予備校、塾に通っていても自分の今の成績や志望校に合わせた正しい計画を立てていないのであれば、それでは十分とは言えません。私自身、大手の予備校のスタッフとして、授業代が累計150万円にもなるほどたくさんの授業を受けていても、一向に成績が上がらない受験生を数多く見てきました。
間違えやすいのは、高校や予備校などの授業はそれ自体で価値を持つものではなく、あくまで教材の代理でしかないということです。それぞれの教材が、受験生自身の志望校合格までの道のりの中ので、どのような課題を解決するものなのかを細かく位置付け、何のために、どんなタイミングで活用するかという、俯瞰からの視点による戦略的な勉強計画を立てることが必要です。
本当はこうした視点からの計画が必要なのですが、勉強計画の重要性に気付いている受験生はまだまだ少なく、予備校や塾に通って授業を受けていればいいんだと勘違いしたままです。また、とにかく有名な参考書を読んでいればいいんだという浅い認識で止まっている受験生もいます。そんな環境のなか、自分のための正しい勉強計画を作ることができれば、それだけで大きなアドバンテージを得ることができます。
受験勉強計画法には6つのステップがあります。
① 志望校を決める
② 志望校の合格に必要な点数を調べる
③ 今の自分のレベルを測定する
④ 残り時間からロードマップを作る
⑤ 2ヶ月ごとの中期計画を立てる
⑥ 毎週の計画を立てる
勉強の計画で、最初にやるべきなのは志望校を確定することです。ですが、どんな大学や学部があるのか、大学受験を始めたタイミングではまだ明確になっていない受験生が多くいます。志望校を決めることは重要なことですが、右も左もわからないうちはそれが一番難しいのです。しかし、目的地が分かっていないときに計画を立てても迷子になるだけです。
そこで、まずは情報を集めて、自分にどんな進路があるのかを検討しましょう。「仮に」でもいいので志望校2〜3校に絞っておけば、それに合わせて計画を立てていくことができるようになります。
市販の大学受験案内には、有名な大学や学部について、学べることや学科、定員、難易度などが載っています。初めて志望校を考える際にはどこから探せばいいのかわかりにくいので、こうした一覧になっているものから選んでみるのがおすすめです。興味のある学部系統などで志望校を見つけるのもいいですし、自分が住んでいる地域で絞るのもよいでしょう。
大学受験案内は、立ち読みなどでさっと眺めるだけではなく、家に1冊置いてじっくり目を通すようにしてほしいと思います。イクスタでも1冊の購入を推奨しています。東進と旺文社、晶文社からそれぞれ大学受験案内が出版されています。書店で比べて、お好きなものを購入してください。筆者は東進のものをおすすめしています。
志望校の候補がすでにある場合には、大学の公式ホームページで学部で学ぶ内容やゼミの種類、進路を調べてみましょう。学部や学科、ゼミや教授の研究室まで調べることで、自分の興味があるキーワードに出会えることもあります。聞いたことのないキーワードに触れて、新たに興味を持てる分野が見つかることがあるかもしれません。
考えたり調べたりしてみても志望校をなかなか決められない場合には、東進の大学ランキングを参考にして、難易度を基準に「仮の志望校」を決めてしまうという方法もあります。仮の目標でも、勉強計画を立ててスタートしてしまえば、途中で進路の調整をすることができます。勉強計画がないままに闇雲に進めるよりははるかに効率よく受験勉強ができます。
まずは、国公立大学であれば偏差値57〜58、私立大学であれば61〜62あたりの中から選んでみましょう。
このレベルであれば、イクスタコーチの受講生はゼロからでも1年間本気で頑張れば、安定して合格点を取ることができるようになることがよくあります。
偏差値50の高校で全く受験勉強ゼロからでも、本気の本気で毎日勉強を続けることができれば、受験で65まで伸びる受験生も毎年数人います。
もしもこの段階で行きたい学部まで決められないという場合には、理系であれば化学系を選んでおけば、あとあと就職のときに選択肢を広く取っておくことができます。文系も視野に入れるなら教養系か商学部・経営学部系を想定しておくと融通が効きます。特に決めている進路がないという人は、そのような目標の選択の仕方もあります。とにかくゴールを決めてしまわなければ、スタートは切れませんし、逆にゴールが決まれば、自然とスタートは切れるものです。
国公立大学は共通テストと個別試験の2つの試験の合計点で合否が決まります。大学のホームページに前年までの合格最低点が公開されているので、まずその点数をチェックします。
注意点として、合格最低点として公開されているのは共通テストと個別試験の合計点であることです。あくまで2つの合計点で合格最低点を上回ればいいので、それぞれで何点取ればいいのかは公開されていませんが、計画を立てるには目標点を作る必要があります。
ひとまず、二次試験で60%の得点が必要だと考えて共通テストの目標点を立ててください。
例えば共通テストの配点900点+二次試験の配点500点の合計1400点満点で合格最低点が900点の学部の場合で考えてみます。二次試験では配点のうちの60%の得点が必要なのだから、二次試験の目標得点は300点です。逆算すると、共通テストで600点を取ることができれば、前年の合格最低点900点をクリアできることになります。
900点満点の共通テストで600点を得点するということは共通テストの得点率は66.6%です。つまりこの学部に合格するためには、共通テストで66.6%、二次試験で60%を取ることが必要、という計算が立ちます。
実際には二次試験の難易度や科目数によって状況は変わってきますが、どの大学でも二次試験は57〜65%程度を得点するように想定されていることが多いので、この基準で考えておけば大外しはしません。
一方、私立大学は一般試験の点数のみで合否が決まります。得点調整などの調整が行われる学部もありますが、全科目でおおよそ65〜68%得点できていれば合格最低点を突破しています。同志社大学や立教大学、青山学院大学など全学部共通形式の試験や明治大学国際日本学部の一般入試などでは、合格最低点が75〜78%程度と得点率が高い学部もあります。
合格最低点は大学の公式ホームページで公開されているので、自分の志望校の過去3年分の合格最低点の得点率を把握しておいてください。
前項で調べた志望校の合格点を上回ることを目指して勉強をしていきます。そこで、無駄なく合格するためには自分の科目ごとの状態を正しく診断する必要があります。
今の自分にとって難しすぎる教材でも簡単すぎる教材でも回り道になってしまうため、どの教材を使えばいいのかを判断するために、今の自分の状態を正しく把握します。最も正しく今の自分の実力を測ることができるのは2020年まで実施されていた「センター試験」の過去問です。
「共通テストじゃないの?」と感じるかもしれませんが、共通テストは知識よりも長い文章から趣旨を掴む力や速読力が求められるため、共通テストならではの力が点数に反映されます。国公立二次や私立大学で得点できる力を測るためには共通テストよりもセンター試験の過去問の方が向いているのです。
読解力が優れていて共通テストでは高得点を取れるものの、私立大学やセンター試験過去問ではほとんど点数が取れないということがあります。共通テストは読解力が点数に現れやすい少し特殊な形式だと考えてください。
国公立大学の二次試験や私立大学の一般試験で使用する科目を主要科目と呼びます。この主要科目についてセンター試験の過去問を2回ずつ解いて採点をします。このタイミングでセンター試験の過去問を解く際には回答時間は設定されている時間よりも30分長く伸ばした時間で解きましょう。例えば英語の筆記であれば110分、数学であれば90分で解きます。
じっくり時間をかけて解いた後に大問別に採点します。数学や国語、社会や理科は大問によって求められる分野が明確に異なっているので、大問別に得点を出すことで、どの教科のどの分野を苦手としているのかを把握することができます。
センター試験の過去問では60%を得点できているのかが、一つの目安となります。大問ごとに60%の得点を境に、基礎レベルが定着しているかどうかを判断することができます。
得点率が60%に達してない大問については、今後どんな「知識・理解・技術」があれば60%を安定して得点できるようになるのかを自分なりに推測して、これから使うべき教材を絞っていきます。
大学受験では各科目でどんな「知識・理解・技術」を学んでいるのか、意識しながら勉強すると効率が上がります。高校や予備校に通っていると、やるべき授業やテキストを与えられて、それを順番に進めています。高校受験まではそうした詰め込みでも合格点を取ることができますが、大学受験では自分なりに、それぞれの教材がどんな力を育てることに役に立っているのかを理解している必要があります。
先述のような東進偏差値で60以下の大学であれば、時間をかけて教材をまる覚えすれば合格点を取ることができますが、世の中で難関大学とされている大学では与えられた教材を順番にこなしていくだけでは合格最低点を取れるようにはなれません。今の自分の実力と、志望校の合格に必要な力を客観的にメタ的な視点から把握して対策をする力が求められるのです。
そのためセンター試験過去問を使って、今の自分に必要な知識・理解・技術をできるだけ詳しく言語化する必要があるのです。
例えば、英語であれば英単語や英文法の今のレベルと伸ばすべき力をできるだけ詳しく言語化します。英単語であれば「今の教材のNo.1500まで、英文法であれば仮定法や関係詞を強化する必要がある」というくらいまで細かな言語化をするのをおすすめします。
ここまでで、志望校のレベルと自分のレベルを把握することができました。
そこで、これから入試当日までの残り時間でどの教材をどのように進めればいいのかを可視化して整理します。基礎のレベルから入試問題に対応できるレベルになるまで抜け漏れのないようにロードマップを作成します。
ロードマップを作成するにあたって、前提として押さえておくべきスケジュールがあります。
①国公立志望の場合には、12月1日から1月15日までは勉強時間の8〜9割を共通テスト対策に充てます。
②1月16日以降は併願の私立大学の入試に向けての調整があります。
③標準レベルまでの勉強は逆算して11月終盤には全て終わらせておきます。
タチヨミ版はここまでとなります。
2024年6月9日 発行 初版
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