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扉②

mp3

mp3出版



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    目次     


  1.Lie

  2.中学校卒業式前日

Lie

 嘘という名の裏切り行為を行った彼は、友人も恋人も失う結果になった。


「最低だな、お前」
大学は広い。なのに、まさか沙希といるところに洋介と出くわしてしまうなんて。ついていないにも程がある。

「……洋介。黙ってて、悪かった」
沙希は状況についていけない。

「え、何? 樹と洋介って……知り合いなの?」



「知り合い、ねぇ……中高部活が同じで知らない方が、おかしいだろ?」


樹、沙希が2人で歩いているところに、洋介が偶然現れたのである。今の言葉は洋介が発したものだった。
「……え?」

気まずい空気が3人の中に流れる。

「ま、今となっては、赤の他人だと思われてたようだな。人の彼女を平気で取ったところを見る限り」


「洋介……!」
樹が悲嘆の声を漏らした。



樹は洋介から沙希のバイト先を聞き出し、同じバイトで働くようになってから関わりを持つようになった。
もっとも、沙希自身は自分目当てではなく、偶然知り合ったものとしてこれまでは付き合っていた。



完全なる初対面を装った友人の彼女の横取り。沙希が元気のない隙を上手くついて、樹は洋介から彼氏の座を奪い取ったのだった。


中学校卒業式前日

これから、高校へ飛び立つあなたたちへ。



「毎日の給食。きちんと食べましたか? 掃除も、きちんと行っていましたか?」

「成績はもちろん、大事です。
でも、あなたという人柄は、いろんな場面で、輝かせることが出来ます」


これは、全員が着席した教室の前で担任の先生が言った台詞だった。


「表彰」
先生が、生徒一人ひとりに賞の名前をつけて、表彰状を渡した。


書道に込めた思い。
みんなが、これまでがんばってきたことを、事前に半紙へ書いていた。

勉強、部活、体育祭、文化祭、中には学校とは関係のない習い事など。



生徒それぞれが、思い思いに書き記し、一人ずつみんなの前で書いた作品を見せながら発表した。


拍手喝采。
すでに泣いている生徒も、何人かいた。時には、笑いも起きた。
先生の瞳も、潤んでいるように見えた。



先生が話し始めた。
「あなたたちは、明日卒業します。今ここで、数々の思いを発表していただきました。
達成できた目標。でも、中にはまだそうではない目標が残っている人もいるでしょう。
それは、今後の人生の中で、やるかやらないか。どちらでもいいのです」



「数々の実績を残してきたあなたたち。その裏には、それ以上の失敗、努力の積み重ねがあったはずです。
その裏であったことを、決して忘れてはいけません。
実績は、結果。確かに1番目を引くものだけれど、同じ結果を残した人は、世の中にはたくさんいる。
それを実感するのは、あなた達がもう少し大人になってからのことでしょう」



「けれど、それまでの努力は、誰にも真似できない、あなただけの個性、すなわち光があるのです。
実績を残すことを要求される世の中で忘れがちですが、努力の過程にこそ、あなたという人間性が表れている。
どうか、そのことを忘れないでください」



「そして、その努力を共にしてきた人たち。その人たちからもらった手紙などは、持っていませんか?
時折、それを眺めてみてください。あなたのことを認めてくれた言葉が、きっと並んでいるはずです」


10
「一度に話しすぎてしまいました。
今すぐ、今日の話を覚えてくれていなくても、問題ありません。
でも、いつか、いつでもいい。
思い出してくれる日があるのなら、私がこの場で話した意味は大いにあると思います」


11
「以上、私からあなたたちへのメッセージとします」


「明日の晴れ姿、楽しみにしています」

作品コメント
1.Lie
最古の作品。「噓も方便」ということわざもあるが、使い方を間違えてしまうとこれ以上に人間関係が破綻する原因になってしまうので、気をつけねばならない。

2.中学校卒業式前日
これは、割と実話をもとにした走り書きです。担当していただく教師によって、人生は大きく変動しますよね。
日本の教育現場が少しでも良くなることを願い、この作品を最後に掲載しました。

あとがき

本書をこのようにして書き上げることが出来た「現在」に感謝しかありません。
この話を読んでいただいた方の時間の無駄にならないことを祈ります(笑)

扉②

2024年5月31日 発行 初版

著  者:mp3
発  行:mp3出版

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つらつらと小説を販売予定です。 漫画や絵も描きますが、販売できるほどのクオリティはなかなか作れないかもしれません。。

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