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☆ 里地里山歩きでの旅養生プログラム
1: 歩く、といった移動手段そのものが運動療法。
2: 大自然に触れることで聖性や霊性との出合い。
3: 循環型生活を送る土地での新たな価値観と接触。
日常の中では見えなかったものへの気づき。
↓ ↓ ↓
人生観・世界観・健康観・幸福感の見直し作業の開始。
◆ ヘルスツーリズムの概念
旅の捉え方;
日常性からの離脱・非日常性との接触
↓
心身への安息感、癒し感の獲得。
↓
自分自身への新たな発見や気づき
↓
人生観、世界観を新たに構築する“場”
ツーリズムとは;
場所的、心的空間としての場を心身の
養生の場として環境設定すること。
◆ 新しい健康ツーリズム
歩く・見る・学ぶ、そして伝えないといけないものは・・・
「手ごたえのある、幸福感」
世界の山岳・辺境地帯や日本の里地・里山には、「手の記憶」「目の記憶」「身体の記憶」が残っている。 そこに暮らす人たちの生活風景の中には、「営み」「作法」そして、「物語」が残っている。
◆ 景観づくりと健康づくり
里地・里山景観を保全・育成することは、自らの「健康感」「幸福感」を取り戻すことである。
◆ 現代における「物語」の復活
蓄積されてきた土地独自の景観を支えているのは、そこにある自然と、その自然の恩恵を受けながら暮らしている人々との「物語」が必ずある。真の、そして深い意味での「健康づくり」は、この「物語」を復活し、そして新たな「物語」を積み上げ、次世代に継承してゆくことではないだろうか。
◆ 動物学者・マイケル・W・フォックスの言葉(著書「アースマインド」から)
自然界の存在と人間的な存在の間に失われた鎖とは、多種多様な生物種と、それらのあいだのかかわりあいの全体である。あらゆるものが均衡がとれ、複雑で、相互に依存しあい、すべてがあやなす全体なのである。
安芸太田町におけるヘルスツーリズム展開は、この2010年に開催した「健康ツーリズムフォーラム」なくしては語れない。民間の健康ツーリズム推進協議会(代表・清水正弘)が開催した、中国地方ネットワーク網構築を見据えた、自然環境活用プログラム協議会。安芸太田町にて開催されたフォーラムに、当時の安芸太田町職員も参加。
その上で広島県から派遣されていた職員(三島氏)からの要請にて、自治体内でのヘルスツーリズム展開への序章がはじまっていく。右に添付しているのは、JATA(日本旅行業協会)中四国支部へ提出した、フォーラムの趣意書である。これは、前年にJATAよりの要請にて、広島市内にて『これからの健康ツーリズムのあり方』に関する講演を受けていたこととも関係している。フォーラムでは、当時の日本旅行業協会・中四国支部長である森氏より開会のご挨拶をいただいている。
健康ツーリズム推進協議会 ~中国山地・広域連携ネットワーク~
議長 :清水正弘 日本ホリスティック医学協会広島事務局長・鍼灸師
副議長 :徳永巧 グラウンドワーク大山蒜山代表・観光カリスマ百選
推進委員:谷口真一(グラウンドワーク大山蒜山副代表・鳥取県琴浦町)山口周治(ちゅうごく田舎暮らし交流クラブ 会長)小串重治(グラウンドワーク大山蒜山役員)長谷川浩司(鳥取県自然体験塾 代表)佐々木高一(山の学校ビオトープ倶楽部)歌房靖男(阿波探検・はっけん・ほっとけん事務局長)里藤信義(グラウンドワーク大山蒜山役員)辻野誠三(真庭自然を観察する会 会長)
全国広域観光振興事業「ヘルスツーリズム セミナー in ひょうご」を開催
日時:2008年1月16日(水) 14:00〜17:00 参加費無料
会場:神戸夙川学院大学 101教室(収容人員250名)
〒650-0045 兵庫県神戸市中央区港島1丁目3番11(神戸ポートアイランド)
交通:神戸ポートライナー「市民病院前」下車 徒歩8分 アクセスマップはこちら
テーマ:新たなツーリズム「ヘルスツーリズム」兵庫県からの提案
−観光は健康を促進する−
プログラム(14:00〜17:00)
司会:福本 賢太(神戸夙川学院大学准教授)
開会挨拶:兵庫県社団法人日本観光協会
基調講演(1時間)
宮地 正典(NPO健康保養ネットワーク常務理事)
パネルディスカッション(1時間30分)
パネラー宮地 正典 NPO健康保養ネットワーク常務理事
鷲尾 裕子 社団法人日本観光協会事業推進グループ
国内振興チームリーダー
當谷 正幸 社団法人有馬温泉観光協会会長
桜井 一成 神戸夙川学院大学教授(医学博士)
清水 正弘 鍼灸師・辺境旅行プロデューサー
小島 正樹 NPO森と地域・ゼロエミッションサポート倶楽部
コーディネーター;戸祭達郎神戸夙川学院大学教授
主催;社団法人ひょうごツーリズム協会、社団法人日本観光協会、神戸夙川学院大学
後援;兵庫県、神戸市、日本旅行業協会(関西支部)、全国旅行業協会(兵庫支部)、日本観光学会関西支部、日本観光研究学会関西支部、社団法人有馬温泉観光協会、旅行ビジネス研究学会、NPO森と地域・ゼ ロエミッションサポート倶楽部
お問い合わせ先;社団法人ひょうごツーリズム協会
〒650-8567 神戸市中央区下山手通5-10-1 兵庫県庁1号館7階 TEL:078-361-7661
(担当 渡邉、矢島)
2010年度10月には、中国山地・広島県安芸太田町にて「健康ツーリズムフォーラム」を開催する。下記はその開催にあたり企画の趣旨説明文からである。写真は同年6月に実施した、健康いフォーラムへのキックオフのミーティング(場所は安芸太田町龍頭峡)
=============
自然環境を活用した、新しいツーリズムの在り方を考える
健康ツーリズム・フォーラム イン 中国山地
~中国5県・広域連携ネットワーク~
中国山地の自然環境を活用した、新しい健康ツーリズムのありかたを考えるフォーラムならびに、実践ツーリズム講座の開催です。実施日時は、2010年10月23日(土)、24日(日)の2日間。この企画の趣旨を列記しています。
(1)旅の原点である、「心身の養生」を、身近な自然環境で
ある、中国山地や瀬戸内海・日本海に求める
(2)温泉療法のみならず、自然の素材を活用した、
森林セラピーや各種養生法をツーリズムに組み入れる
(3)ツーリズムの受け手側(自然環境保全の担い手)と
送り手側(旅行会社)の関係性の再構築を図る
(4)中国山地をフィールドとして活動する、健康ツーリズム
の担い手の広域連携・情報交流の場づくりを図る
(5)新しい健康ツーリズムの在り方への提言をおこなう
主催母体 : 健康ツーリズム推進協議会
代表 : 清水正弘 健康ツーリズム研究所代表
・ 日本ホリスティック医学協会広島事務局長
主催会場について :
広島県山県郡安芸太田町『いこいの村ひろしま』
実践編は安芸太田町管内各地
草案スケジュールについて:
10月23日 記念講演から始まる健康ツーリズム・フォーラム
開始(午後13時30分から開始予定)
●健康ツーリズムフォーラム2010 議 長 : 清水正弘
□ 10月23日のプログラム
※下記(1)(2)を13時30分より15時45分まで予定
(1) 基調講演 広島大学医学部保健学科健康開発学講座
小林敏生教授
(2) 中国山地での健康ツーリズムの具体例紹介
● 地元安芸太田町での取り組み(広島県)
● グランドワーク大山・蒜山での取り組み(岡山県・鳥取県)
●鉄の歴史村での取り組み(島根県)
●やましろツーリズムについて(山口県)
●行政と民間との連携ツーリズム(フジトラベルサービス)
●日本ホリスティック医学協会・養生塾
(デトックス・ハイキング)について
ーーー休憩時間を15分とり、第二部は16時から開始、質疑応答も含めて
17時45分までを予定
(3)シンポジウム タイトル案
「健康ツーリズムの夜明け」 ~中国山地からの提案~
パネリスト 4~5名 + 記念講演者 コーディネーター1名
パネリストは、第一部の報告者。
コーディネーターは議長の清水が務める。
★ 第二部修了後、宿泊者は、入浴・食事・懇親会予定。
昨日から、今日にかけて、秋に開催予定の『健康ツーリズム・フォーラム イン 中国山地』の、プレ・キックオフ・イベントがありました。安芸太田町の龍頭ハウスに集合(中国各地からの活動団体計20数名)し、まずは、健康ツーリズム実践編のフィールドの一つである、龍頭峡を歩いてもらいました。
私が代表幹事を務める健康ツーリズム推進協議会。この協議会の主目的は、下記のようなものなのです。
個人の心身の健康、地域コミュニティの健康(活性化)、自然環境・地域資源の健全化(保全と再生)について、健康ツーリズムの展開をキーワードに中国山地・中国五県の広域ネットワークづくりをベースとして、各地での取り組みを広域にて連携していく。
健康ツーリズムという、人が移動する2ウェイでの業態は、参加する人個人の心身の健康のみならず、訪れる先のコミュニティーへも経済的波及効果のみならず、地域社会が有している有形無形の自然・歴史・文化資源の見直し作業への着手にも効果があるのではないだろうか、と思います。
そして、一番注目しなければならないのは、参加者が健康ツーリズムに参加することにより、心身の健康増進や生活習慣病予防などの直接的効果の取得にとどまることなく、「生きがい再構築」や「日常の生活の質向上」などへの効果によって、その参加者の属しているコミュニティーへの還元効果の可能性についてであるのです。
例えば、心身の不健康な状態にある参加者が、健康ツーリズムのプログラムに参加することにより、所属している職域や地域、学域への順調な復帰の手助けとなった事例もあるのです。このように、「健康ツーリズム」は、ただ単に、参加者の心身の健康状態の健全化に役立つ時代から、健全な社会再構築への波及効果の可能性を探る時代へと移行していっていると考えています。
里山イニシアティブって何?
先週の日曜日から3日間、名古屋のcop10の会場に出かけてきたことは、今週前半のブログにてご紹介しました。広島の環境省関係者とともに、交流フェアのセッションなどに参加してきました。
その際、「里山イニシアティブ」に関する若干の資料を取得してきましたので、その一部をお知らせいたします。この里山イニシアティブは、里地・里山・里海の生態系と人間の福利(健康回復や増進などを含む)との関係性を国際ネットワークを構築しながら、新しい価値体系を模索してゆく試みです。
日本政府(環境省)が中心となって、各プログラムを展開してゆくのです。人の営みと自然の営みとが、折り合いをつけてきた歴史が残る、里地や里山の環境から、21世紀の新しい価値のパラダイムを模索してゆく、壮大な試みなのです。
実は、この試みとベクトルを同じくするフォーラムを今週末23日、中国山地の山麓にて開催しております。そのフォーラムのレポートは来週にでもご紹介できると存じます。ご興味のある方は、入場無料ですので、ふるってご来場ください。
10月23日(土)13時開場 13時30分基調講演開始。
「健康ツーリズムフォーラム イン 中国山地」
場所:安芸太田町深入山山麓 いこいの村ひろしま 電話:0826‐29‐0011


昨日、広島県山県郡安芸太田町町のいこいの村ひろしま、という施設内にて、『健康ツーリズム・フォーラム イン 中国山地』というイベントが開催されました。深呼吸クラブの清水正弘先生が代表を務められる『健康ツーリズム推進協議会』が主催でした。
基調講演には、広島大学医学部保健学科の小林先生でした。小林先生は、転地療法や生活習慣病予防のためのヘルスプロモーションを研究されておられます。今後、ツーリズムの世界にて、必ず『健康増進や健康回復』といった内容が重きをなしてくる、ということとその実践課題についてお話をいただきました。
参加者は、総数60名近いかたが来場されました。開催地の地元である安芸太田町の職員さんたちも、熱心に聞かれていたようです。

基調講演
広島大学医学部保健学科健康開発学研究室
小林敏生先生
★下記の記述は、小林先生のご講演の要旨を事務局がまとめてみたものです。
■ 現在の「健康」の概念と、今後の注目される健康概念について
• WHOが規定する概念には、健康とは、単に疾病がない、
虚弱ではないだけでなく、肉体的、精神的、社会的に
良好な状態をさす。 さらには、QOLやWell‐Being、
Happiness などの個々の健康に寄与する着眼点が必要。
ツーリズム(旅)の現代社会における必要性
なにかの不足を補うため,人は旅(移動)に出る。
現代の私達は、なにを求めて旅にでのだろうか?
今の私達の日常生活の中で「不足」しているものとは・・・。
↓
現代の社会においては、物質的な不足感は少ない。
↓
自殺者が年間3万人。うつ症状を訴える人が
100万人という社会
全国のコンビニ店舗と同じ数の人間が、
一年間に自殺している。
↓
精神的・魂的な分野での「不足感」が、
蔓延している社会。
一見平和に見えるが、「心の内戦」という、
見えない戦争状態にある。
ココロの不足を補うための「旅行為」は、
今にはじまったことではない。
■ 古来からの日本の旅による養生とは・・・。
日常性からの離脱・非日常性との接触
↓
心身への安息感、癒し感、心地よい緊張感の獲得。
↓
自分自身への新たな発見や気づきの時間と空間
↓
人生観、世界観を新たに構築する“場”
ツーリズムとは;
場所的、心的空間としての場を心身の養生の場として環境設定すること
■ 健康ツーリズムとは・・・。
心身のあらゆる状態(健康・未病・病気の方)、
また、性別・年齢・地域性を越えたあらゆる人々に対し、
医科学的な検証・根拠に基づく健康増進・健康回復を
理念とし、個人レベルでの健康活動 のみならず、
住域や職域などの地域環境の健全化を、ツーリズムを
通して実践することでは ないだろうか。
■ 健康ツーリズムの諸例
• ヘルスプロモーション旅行
-職域にての自然の中での保健活動プログラム
• 治療
– 糖尿病食改善旅行・アトピー性皮膚炎緩和旅行
• 介護・重度バリアフリー
– 人工透析旅行・ソラリア療法旅行(多角的がん療法)
• 療養・回復・予防
– 温泉療養旅行・生活習慣病対応型旅行
– PET検査旅行・花粉症症状緩和旅行
• 美容、痩身、禁煙など 健康増進
– 断食道場旅行・禁煙定着訓練旅行
• ストレス解消・美容等の健康増進
エステ&マッサージ旅行
• レジャー、健康増進や体力増強
– 自然体験旅行(里山歩きなど)・ヨガレッスン旅行・
– 農業体験旅行・民家宿泊体験旅行
• LOHAS的
– エコ旅行・スローフード旅行
• スピリチュアル的
– 精神世界探訪旅行・癒し旅行・パワースポット巡り
■ 健康ツーリズム実践の効果の可能性について
• 生活習慣病予防とヘルスプロモーション展開
• 職域における健康管理と保養推進活動
• 地域社会における公衆衛生・保健活動
• 代替療法としての予防医学
■ その他、健康度測定の科学的手法の最新情報
• 例) ストレス推定の指標
• ● 唾液アミラーゼ測定
● POMS (気分プロフィール検査)
● CES-D(セスディー)
• ● 顔表情変化による感情の推定
★ 「健康度」の指数測定にも各種ある
※上記以外にも、パワーポイントをご使用になり、
森林医学の医科学的検証についてもご報告いただきました。
● 中国5県における、健康ツーリズム実践団体による活動報告
01 送り手側からみた、健康ツーリズムの可能性などについて
株式会社フジトラベルサービス 中国営業部部長 藤田裕之さん
※現在実践されておられる、安芸太田町・北広島町・安芸高田市
の自治体との連携でのプログラム「もうひとつの広島」の内容。
実践されている上で、送り手側のエージェントの目から見られた、
過疎地の観光における課題や問題点など。
02 森林セラピー基地活動の現状について
島根県飯南町産業振興課 三島光暁さん
※ 森林セラピー基地がスタートされて3年。
スタートする前の構想とスタートした後に見えてきた
問題点や課題などについて。また、現状において来客
される方の年齢層や居住地、願望などの傾向など。
03: 修学旅行生の農家民泊や、自然体験プログラムなどの取り組み
山口県岩国市錦町 特定非営利活動法人
ほっとにしき理事長 寺本隆宏さん(前錦町町長)
※ 健康ツーリズムの一環として、環境教育を含めた
若年層への取り組みの中で注目すべき農家や山村民泊への
実践について、これまでの課題や問題点、
現状と将来性などについて。
04: 名峰と風景保全から考える健康ツーリズムの展開について
岡山県真庭市 グランドワーク大山蒜山
代表:徳永巧さん (国土交通省観光カリスマ)
※ グランドワーク大山蒜山の諸活動の紹介とともに、
名峰と風景保全活動から見た健康ツーリズムの可能性
について。また、現在実践されているサントリーの森
での自然ガイド案内などについてのコメント
05: 森林セラピー活動へ向けての展開について
鳥取県智頭町・森林セラピー推進員 長谷川浩司さん
※ 本年森林セラピー基地の認定を受け、
来年8月のグランドオープンに向けての取り組みの
上で見えてきた課題や問題点など。
また、森林セラピー基地認定を受けるまで
のプロセス(自治体内部での意思統一課程や
諸手続き関係などについても)
※ 長谷川さんからは、上記以外にも森林セラピー活動の
DVDの上映もありました。
● シンポジウムに関して
※ 基本的には、基調講演や活動報告を拝聴した上で、自由闊達な
議論をおこなうのが原則ですが、予め議論の骨子案を下記のように
箇条書きにしております。この項目にとらわれることなく、各パネリ
ストの方々からも他パネリストの方へのご質問や問題提起などをして
いただければ、幸いに存じます。
■ 「中国山地での健康ツーリズムのプログラム上にて抱える問題点とその対策法について」
■ 「健康ツーリズムのマネージメント上にて抱える問題点とその対策法について」
■ 「ツーリズムの受けて側から送り手側へ希望、期待すること」
■ 「ツーリズムの送り手側から受けて側へ希望、期待すること」
■ 「健康ツーリズムの将来への可能性について」
■ 中国山地をフィールドとする、中国五県の健康ツーリズム・ネットワーク構築について
シンポジウムのパネリストは、下記の方々です。
広島大学医学部保健学科 小林教授
島根県飯南町 三島さん
鳥取県智頭町 山中章弘さん
グランドワーク大山蒜山 徳永さん
ほっとにしき 寺本さん
フジトラベル 藤田さん
進行役 清水正弘(健康ツーリズム研究所)
一昨日には、健康ツーリズムフォーラムが開催され、昨日にはその関連イベントである、健康ツーリズム実践講座が開催されました。舞台にて、清水代表が主催者を代表しての挨拶をされておられます。この実践講座には、総数70余名の参加者でした。その参加者が4つのコースに分かれてのプログラムに実践参加されたのです。
1: 山焼きがおこなわれる広島県安芸太田町の深入山を散策登山をしたのち、北広島町にて八幡湿原 を歩くコース。
2:広島県最高峰である恐羅漢山の山麓にあるブナの原生林が残る、台所原を歩くコース
3:国の当別名勝・三段峡の知られざる、とっておきのリバーサイドウォーキングコース。
4;日本棚田百選である井仁(いに)の棚田を住民とともに歩き、龍頭峡の隠された名瀑を歩くコース。
※当日は朝から小雨交じりの天候でありましたが、小雨交じりの天候ならではの景観も満喫でき、参加者からも満足感の感想をいただけたようです。健康ツーリズムの主眼である、自然環境を活用した、運動療法でもある「歩行」をとりいれたプログラム。
それも、生物多様性の感じられる里地や里山の自然環境の中を歩き、人と自然の営みの歴史や残されてきた風景・ 景観に接することで、日常生活のありようを再考するきっかけづくりとなる・・。
また、そのプログラムは、中山間地域など過疎や産業衰退に悩む地域への活力剤ともなり得る可能性を秘めている、といったことを実践の中から将来像を浮き彫りにしていくことが目的であったようです。今後は、医科学的な検証データーの収得なども踏まえながら、健康増進や健康回復などへ寄与できる各種のプログラムを検討していく予定とのことでした。
中国山地の中山間地域自治体から、養生プログラムについてのコーディネートやコンサルティング、そして講演依頼をよく受ける。写真は、島根県奥出雲町にて開催された『中山間地域・広域連携観光促進セッション』での講演風景である。
地方の行政関係者の方々とお話しをしていると、その地方特有の課題が垣間見えてくる。それは、予算配分の問題からはじまり、人材確保、潜在資源、などなど多岐にわたる。ただ、いつもアドバイス申し上げているのは、『短期戦略』や『物真似的発想』のみでは先は見えてこない、ということである。
自治体は『一年予算』という縛りの中で奮闘せざるを得ない現実はある。しかし、それに甘んじていると、いつも間にか可視不可視の『負の遺産』だけが残されていく。元来、中山間地域や島嶼部に住まう人達は、第一次産業に従事してきている。それらの『営み風景』は、身体を季節の変化に寄り添わせながら、等身大レベルにて中長期スパーンでの生活や制度の設計であったはず。
それらの『中長期スパーンを見据えた営み風景』というものは、残念ながら都市部では皆無に等しくなっている。そこに、現代人の『メンタル問題』などが多発する要因もあるのだろう。それだけに、中山間地域や島嶼部の『地域活性化』における『短期戦略』は、『その土地風土性のある中長期戦略』の一部として捉えていかねばならない。
数十年スパーンの林業における一年単位は、その典型事例であろう。その一年単位の短期戦略(仕事)は、確実に『年輪』として完成物の内部に刻まれていくのである。私の地元・広島県安芸太田町で活動するNPOは、『100年後を見据えた取り組み』を、国の名勝である三段峡にて実践されている。その提唱者は、Ⅰターンの若者である。
1970年代以降、日本の中山間地域や島嶼部でも、過疎化が進み、住民の高齢化も加速するばかりである。中長期的展望を基軸とした営み風景は、それを支える精神とともに途絶えかけている地域もある。
そんな地域にこそ、新しい活性剤として(アイ・ジェイ・ユー)ターンの(若者・ヨソ者・バカ者)などによる、シャッフル(かき混ぜ)作用が必要となると思われる。
特に保守的な地域では、一時混乱もするだろう。しかし、そのシャッフルも中長期的視野で俯瞰するぐらいの度量が求められるだろう。
10月27日の中国新聞朝刊の記事の転載です。我が安芸太田町は、広島県内での人口減少率が最高、しかし、人口は最低数・・・。一年間に、死亡・転出などで人口が12%も減っている。この調子で減少してゆくと、10年以内に人口は一ケタ台??
特効薬はないだろうが、住民一人一人が「前向きの智恵」を出し合い、さらに、町出身者で町外に住んでいる人たちとの連携(サポーター制度など)を強化する施策を強固にするようなアイデアが必須であろう。
生物多様性が豊富な中山間地域に、生物多様性の種のひとつである、人間の適正な数は確保しておきたいと思う。ただ、適正な数がどのくらいか、これを吟味しなければなるまい。そのためには、下の記事でアップしている、大竹市の取り組みや、ヒマラヤ山麓の国・ブータンの取り組みなどからもヒントは得られるだろう。
要は、人口の増減に一喜一憂するのではなく、住民の「幸せ感」の濃度を濃くしてゆくことにあるのでは。そして、その幸せ感の内容も、100年前から100年先までを振り返り、そして見据えたものに構築する必要性がある。それは、単純に、産業育成とか利益還元の手法、といった短期的なこと以上の重点をかける、人間性の深部に訴えかけるものの構築ではないだろうか。
安芸太田町ヘルスツーリズム推進母体発足時に自治体担当者へ提案したもの
日本の観光が変わる
(1)20世紀は「他律的観光の時代」
*パッケージツアー依存=旅行会社が主導する観光
(2)他律的観光の3要素
*団体旅行十名所見物十周遊
(3)21世紀は「自律的観光の時代」
*「団体旅行」から「個人・夫婦・家族・小グループ旅行」へ
*名所見物型観光から参加体験・自己実現型観光(学び・癒し観光)へ
*「周遊型観光(ファーストT)」から「滞在型観光(スローT)」へ
(4)「観光(視覚重視)」から「感幸(五感重視)」.「歓交(交流重視)」へ
(5)「観光の量」重視から「観光の質」重視ヘ
ツーリズムの再生
日本の地域が変わる
(1)少子化による人口減少十長寿化=地域社会の変化十産業構造の変化
(2)2030年における地域経済規模予測(経済産業省、2005年)
*大都市圈と一部の地域を除いて、ほとんどの地域で経済規模縮小
(3)地域経営の転換:「定住人口」重視から「交流人口」重視へ
*第1の市民十第2の市民十第3の市民
*「定住人口(第1の市民)」重視から「交流人口(第3の市民)」重視ヘ
*「自治体による地域経営」から「多様な市民参画による地域経営」ヘ
(4)観光を基軸にした地域活性化の創出
(5)地域間競争の激化=観光をめぐる大競争時代
日本人の暮らしが変わる
(1)自然環境破壊、ヒト体内環境の破綻、ヒトの心の破綻
*ボディ(からだ)とマインド(こころ)とスピリット(たましい)の
一体化。ホリスティック的人生哲学の必要性
(2)日本人の国民性調査
*イライラ感の増大(とくに20歳代~30歳代)
*生活水準の低下感・貧困意識の増大
*一番大切なものは「家族」
*人のためになることをしたい(20歳代で43%、30歳代で52%)
(3)ワーク・ライフ・バランスの実現
*自らの人生の見直し=「無用の用」の価値=美しき成熟
*GNP(国民総生産)重視からGNH(国民総幸福)重視ヘ
*憲法13条に「国民の幸福追求権」
(4)人生をいかに楽しむかが重要になる→旅行需要の増大→内需拡大
*ウエルネス・ツーリズム、クリエイティブ・ツーリズム
(5)成熟社会における新しいライフスタイルの創造=ライフスタイル
起業家の時代
*食、住、遊、学、健、美にかかわるライフスタイル
*新しいライフスタイルを求めて、アメニティ・ムーバーが動く
日本の各世代が抱える人生問題
(1)若年世代の抱える人生問題
*ニート問題、若年雇用問題、草食消費、引き寵もりなど
*若い世代の旅行離れ、若い世代のスポーツ離れ?
*「ユース・オリンピック」(14歳から18歳が対象)が必要なのか?
(2)団塊世代によるライフスタイル・イノベーション
*団塊の世代(1947年~1949年生まれ)=約700万人
(人口の5.5%)
*100万人ふるさと回帰・循環運動
*団塊の世代は日本を変えるか?
*二地域居住によるセカンドホーム・ツーリズムの可能性
(3)老年世代の抱える人生問題
*一人平均3500万円を抱えて死ぬ日本人の人生は素晴らしいか?
*1500兆円に及ぶ個人金融資産の有効活用は可能か?
*ハッピー・リタイアメントはあり得ないのか?
*日本人は人生を楽しむことができるか?
*日本人にとって人生とはなになのか?
幸福感の再構築=幸せの再生
(4)旅行機会のさらなる減少
*有給休暇取得率46%で低迷 →有給休暇完全取得の実現は可能か?
*「有給休暇完全取得法」の制定は可能か?
*「旅育推進法」の制定は可能か?
*「旅行減税」の導入は可能か?
観光は地域経済の未来を拓くか?
(1) ニューツーリズムの活発化
*地域医療・健康・保養システムの確立による「ヘルスツーリズム」
*エコミュージアムを前提にした「エコツーリズム」
*農地改革・農村再生を前提にした「グリーンツーリズム」
*歴史文化基本構想による「カルチャー・ツーリズム」
*伝統産業・地場産業をベースにした「産業観光」
*ジオパークを前提にした「ジオツーリズム」
*二地域居住を前提にした「セカンドホーム・ツーリズム」
注)安芸太田町は、上記すべてのツーリズムの可能性を秘めています。
(2)ニューツーリズムとしての「ステイケーション」
*ステイ十バケーション=ステイケーション(合成語)
*自宅で連続休暇を過ごすこと
*経済不況の米国で生じた現象
*ホームタウンでの観光を楽しむ
(3)セカンドホーム・ツーリズムのすすめ
*「都市と農山漁村の対流・共生事業」の活用
*都市部と農山漁村との交流促進
*都市市民のためのセカンドホーム(第二の故郷)づくりによる
滞在型観光
(4)ボランティア・ツーリズムのすすめ
*人のためになることをしたい(20歳代で43%、30歳代で52%
という統計あり)
*地元の人たちのためになるツーリズムはありえないのか?
(5)「地元民によるお宝発見隊」のすすめ
*地元のお宝=地域に対する「誇り」や「愛着」の源泉
*地元のお宝=地元のGNH(町民総幸福)の源泉を探る。
*町民のためのお宝=町民が「人生を豊かに楽しむ」ための
財産・資源
*町民によるお宝さがし=地元民によるお宝発見隊
(6)体験型観光の可能性
*ふるさと子ども夢学校(子ども農山漁村交流事業)
*企業向け旅行型健康増進プログラム=ヘルシーカンパニー
注)広島市内のみならず、関西、九州圏の企業・団体との連携
は必須です。特に最初に手掛けてみるのは、広島銀行の
組合事業ではないでしょうか?
(8)人材育成の重要性=「地域磁力の源泉」としての人材
注)自然と人間との共生が語れる、「物語の語り部」のガイド育成
が急務
(9)PR・情報発信の重要性/インターネットの活用
注)物語性のある、地域の自然環境などを活用したオリジナル
映像の制作
(10)「もてなし」の向上=地域住民による「もてなし・おもいやり」
の重要性
注)安芸太田町ならではの、「もてなし」の物語を創出する。
観光振興の王道とは、歳月をかけて、「民産官学の協働」で自律的に地域資源の持続可能な活用を図ること。また、ヘルスツーリズムを含め、町の将来ビジョンとしての「基本理念」の構築が必須。「健康」「癒し」「再生」などをキーワードにした基本理念の構築が必須。
観光振興対策(抜粋)「ヘルスツーリズム」と「体験型観光地」の推進
◆提言内容
○安芸太田町の持つイメージ(山、森、清流、癒し、田舎など)を最大限活かし、観光客へ健康・癒し(心と体)を提供する様々な体験メニューを提供できるヘルスツーリズム観光地を目指す必要がある。
◆施策提案
○観光協会のビジターセンター化及び外部人材の公募を実施
○ヘルスツーリズム観光のシンボルとして「森林セラピー基地」の認定
○安芸太田病院等との連携によるセラピー事業の推進(医療ツーリズム推進)
○全町ウォーキング公園化構想に基づくコース整備等の実施
○田舎体験・農林漁業体験や地域の自然・歴史・伝統文化等を生かした体験メニュー開発
・田植え・稲刈り・間伐・鮎養殖などの農林漁業体験
・たたら・神楽などの歴史文化体験
・スキー、登山、ラフティングなどのスポーツ体験
・地域全体で観光客をもてなす「町民観光ナビゲーター宣言」などの機運づくり
○体験メニューを活用したしての修学旅行誘致を実施
・農家民泊の導入
○観光において重要な「食」の提供体制の構築
・「報恩講料理」の活用
◆組織整備
○安芸太田町観光協会と町の観光行政(産業観光課の観光担当)の一体化を行い、観光振興の推進体制整備を行うべきである。
雑誌・『環・太田川』よりのインタビュー記事
~未来戦略会議委員・清水正弘さんに聞く~
安芸太田町では昨年、町の官民組織の未来戦略会議を組織して町・活性化の方向を審議し、昨年末に提言をまとめました。会議は「産業再生」「定住促進」「観光情報再生」の3つの部会に分かれ、昨年6~11月に6~7回の会議を重ねてきたもので、提言は今年3月の議会に報告され、今後施策として実行していくものが予算化されました。
その中で、町活性化の柱として浮上したのが、基幹産業としての観光振興。三段峡や恐羅漢山などの自然資源を健康づくりや癒しの場に活かしていく「ヘルスツーリズム」の推進です。「ヘルスツーリズム」とは何か?未来戦略会議の委員、安芸太田町筒賀に在住、広島市西区横川に事務所を開いている清水正弘さんにお話しをうかがいました。
◆広島で初の森林セラピー基地へ
町の「ヘルスツーリズム」は、これから皆で基本理念などを考えていくのですが、分かりやすくいえば中心は「森林セラピー基地構想」(森林浴による癒しを提供する)です。今全国に44か所の森林セラピー基地・森林セラピーロードがあり、中国地方では、岡山=新庄村、島根=飯南町、山口=徳地町で、鳥取県は智頭町が今年7月発足します。広島県ではまだありません。
町が、今申請の手続き中ですが、広島県では最初の認定基地になります。森林セラピーは「森林浴」の人体への癒し効果を医学的に実証し、森林浴に必要な自然や施設などが完備している所を、NPO法人「森林セラピーソサエティー(代表・登山家・医師今井道子氏)が認可するのですが、各地ともまだ試行錯誤が続いています。
町内にて、昨年10月23日に「健康ツーリズムフォーラム」を戸河内の「いこいの村ひろしま」で開催し、今度、町の「ヘルスツーリズム推進協議会」の会長に就任される予定の広島大学の医学部の小林敏生教授の講演や、中国地方の森林セラピー基地の活動報告を行いました。2日目は広島市内からの参加者約100人が奥三段峡など4か所に分かれて体験歩きを実施いたしました。
◆ヒマラヤへ80回登山
私は、大学を卒業後、関西にて世界の山岳や辺境の地などを案内するツーリズム関係の仕事を12年間続け現在も同様の活動を続けています。ヒマラヤにはもう80回くらい渡航していますが、そうした経験から、安芸太田町に12年間住む1町民として、今回のヘルスツーリズム展開計画に関わることになりました。中国地方各県の森林セラピー基地も幾度か訪問いたしました。
今日は「ヘルスツーリズム」に対しての私の考えをお話いたしましょう。
◆人と人、人と自然、人と社会の物語復活へ・・・
「森林セラピー」を基軸とする「ヘルスツールズム」においての私の個人的な考えは、健康の再生、生きがいの再生、幸福の再生、人の絆の再生などを目的としています。その上で、広島市内や関西圏から九州までを対象にした、「養生の里づくり」を考えていきたいのです。
例えば、生活習慣病予防のプログラムとして、我が町に一週間程度滞在していただき、写経や座禅などの精神的修養体験や、有機農法での田畑作業体験、そして、森林にてのセラピーや環境整備体験などに参加していただくのです。そして、プログラムを体験していただきながら、地域の住民とともに、「人と人」「人と自然」、「人と社会」の関係を穏やかに見つめ直していただく「刻=とき」を獲得していただきたいのです。
その「刻=とき」を、迎え入れる地域住民とともに、再生、共生・創生する作業を実践してみたいのです。その作業は、私達現代人が忘れつつある、「物語」を復活することに繋がるはずだと思うのです。
◆「癒される」ことの意味を深めたい・・。
中国地方の森林セラピー基地に広島の若い女性達と行ったことがあります。ストレスチェックなど癒しの効果を医学的に検査したり、森の中で木に持たれて10分ぐらい目をつぶり「座観」をするなどプログラムが組まれていました。その時思ったのですが、座観の前にもうワンポイント捻りがほしいなと思いました。
例えば縄文時代から日本の人間が樹木をどういう風にとらえていたのか、とか飯南町で林業を担っていた人々にとっての木との距離感とは、など「人間と自然」を縦軸と横軸にした、大きな座標軸をイメージできるようなお話があってもいいのではないかとも思ったのです。
そのお話(物語)が、中国山地で暮らしていた人々の自然観や死生観、健康観といったものを想起させてくれるものであれば、目の前にある一本の樹木の持つ「いのちの歴史」が座観の中で時空を超えて展開してくれることでしょう。それは、人間に「命の連続性」についても考える「刻=とき」を与えてくれることでしょう。
私は、森林セラピーにおいて、「参加者が癒される」ことは、「心の再生」作業だと思います。しかし、個の心の「再生」が、半径1mで接する他者の心と「共生」することに繋がっていく。そして、二つ以上の「再生した心の共生」は、社会の新たな「総有する心の創生」へと広がってゆくことにならないだろうかと考えます。
個が癒されることが、社会をリ・クリエイトしていく・・。リ・クリエイトしていく社会によって、他(多)が癒されていく・・。セラピー=癒し、という言葉には、深い意味が隠されているように思うのです。
◆生きる術、技、作法を再び…
その深い意味を探るひとつの方法として、これまで日本人が継承してきた自然と人間の距離感の持ち方、共生の物語など、それらをベースにしたムラの協同体の在り方などを見つめ直すことがあるのではないかと思うのです。
今都会の人がなぜ、森林に癒しを求めてくるかといえば、派遣労働などで2~3カ月で仕事が変わる状態では、人生の物語が作れないからではないかと考えます。年間3万人以上の自殺者がありますが、昔の自殺者と現在の自殺者の大きな違いは遺書を書くか書かないかである、という話しを聴きました。
昔は自殺する人は自殺にいたった事情などを書いて「あとは頼む」と死に対する物語が遺書だったというのです。それに比して、今の若い人があまり遺書を書かないのは死に対しても物語が書けないのではないかと・・・。
生まれて育って、家族ができて、老いて死んでいくことは人生の大きな物語です。その傍らには、春夏秋冬の日本的自然の物語が寄り添っているのだと思います。
人はその中で色々な生きる術や技、そして作法を学んできたと思うのです。そうしたものが高度成長以降、特に都会ではぶつ切りにされてきたのでしょう。だから物語をどう紡いだらいいのかが判らなくなってしまったのでしょう。自分の身体と心が求める「物語」が都会にては紡ぐことができないので、その「物語性」が少なからず残っている、森や自然の中にセラピーを求めて旅立つのではないでしょうか。
1970年以前の農村や山村、漁村での生活は、人間が生きてきた物語と自然が織り成す物語が、ホリスティック(全体的)に循環していたのではないでしょうか。食物には旬という「刻=とき」がありました。毎年同じ時期に同じ場所で桜が咲くという穏やかな安心感があって人間は生きていたと思うのです。そういう感覚を取り戻すことが、「健康の再生・生きがいの再生」だと私は思うのです。ヘルスツーリズムにおいても、そのようなことを大切に考えていきたいのです。
◆物語の素材はまだ残っている
それだけに、大切になるのはツーリストを迎える側の、町に住む人たちの立ち位置ではないでしょうか。田舎の人たちは自然を身近に感じながら住んではいますが、時間の観念とかはほぼ都会の人と変わらないかもしれません。
しかし、周囲をみてみますと…、朝起きると目の前に田んぼがあり、夕方には今頃はカエルが一斉に鳴き、夜は満点の星空が広がります。1年間の風物詩のサイクルも、一月の「とんど」から花田植えへ、そしてお盆があり報恩講があったり、と自然の変化と人々の営み風景がリフレインしている生活のリズムが残されています。
その時間の流れ方が、物語を再生する源泉ともなってゆくのではないでしょうか。そのことに、地域に住む人々も新たな視線を向ける必要があるのではないでしょうか。その作業を進めることは同時に、その土地に住む意味や意義を深めることにもなり、郷土愛や地域への誇りとかを再生する可能性にも繋がります。地域にて再生したものをツーリズムによって双方向へと受発信していくことが、都市住民との「共生」作業だといえないでしょうか。
◆パラダイム・シフトと、未来への伝達へのヒントに…
東日本大震災以降、これまで既存の価値観やパラダイムが、大きくシフトしていっているのは多くの人が実感しています。19世紀以降の科学万能主義の行きついた末に原子力があったり、遺伝子組み換えがあったりしました。
人間の生活を極限まで便利に効率的に、そして思考を論理的に合理的につきつめてきた歴史に中で私達は生きてきました。でも、個々の「人生の不可解さ」は、根本的な解決策が提示されていません。「不可解」や「不思議」という言葉とどう対峙していいのかが現代人には納得できていないのではないでしょうか?
自然現象の多くは、「予測不可能」で「不可解」であり、「不思議」なものです。大きな自然災害などを目の当たりにすると、「効率」や「合理」は立ち止まらざるを得なくなります。そこでは、「温故知新」がひとつの局面打開へのヒントを与えてくれると思うのです。
それは、21世紀に生きる私達ができる未来への「伝言」ではないでしょうか。22世紀にも新たなパラダイム・シフトは必ずやおきることでしょう。その際に、21世紀を「温古」するはずでしょうから。
◆新たな縁を結ぶ活動を…
私は筒賀で、すでに百年を経ている古民家に暮らしています。夕暮れ時に、縁側で冷えたビールなどを飲んでいる際ふと思うことがあります。古い農家の縁側というのは家の内側の人と外側
の人をつなぐ新しい「縁」を作る場だったのではないかと…。家族や親せき以外の外の人が靴を脱がずに気軽に腰かけられる。家の人間がそこへお茶を運び世間話が交わされる、というなにげない「刻=とき」が流れていたのでしょう。
新たな縁を作る場所だから、縁側と呼んだのかなという想いがします。そのような「人と人」「人と自然」そして、「人と社会」の縁が、再生し、共生し、創生していける「場づくり」が、ヘルスツーリズムを通じて実践できればと願っています。
清水正弘さん(51)…安芸太田町筒賀在住。1960年兵庫県姫路市生。同志社大学卒業後、海外の山岳、辺境地への旅をコーディネートするエージェンシーに12年間勤務、その後鍼灸専門学校卒業、現在、広島大学大学院保健学科健康開発学教室所属。国内外の里地・里山を歩く「深呼吸クラブ」を主宰。昨年4月から日本ホリスティック医学協会広島事務局長に就任。
◆ホリスティック医学とは?
「ホリスティック」とはギリシャ語の「Holos」を語源として「全体」「関連」「つながり」「バランス」などと訳されています。ホリスティック医学とは身体だけでなく、目に見えない心や霊性を含めた「身体」「心」「精神」のつながりや「環境」まで含めた全体的な視点で健康を考える医療運動です。広島事務局では2カ月に1回広島市内で講演会などを開催しています。7月10日、医学協会帯津良一先生の講演会を開催予定。
提出者・清水正弘
~縁側のある、養生の里づくり~
物語」は「縁側」からはじまる。
100年もの昔から「縁側」は、訪れる人と迎える人との「出逢いの場」であり、「交流の場」でありました。そこでは新たな人と人の「縁」が結ばれてきたのです。「縁」は、人と人の間だけではなく、人と自然、人と社会の間にも存在します。
私達が考える「健康」とは、身体的、精神的、社会的にすべてが満たされるだけでなく、個人のココロとカラダが、それを取り巻く他者や環境との間に、有機的な「縁」が結ばれている状態であると考えます。
「縁側」では、地域に根付いた「人生物語」が語られてきました。その「物語」には、さまざまな知恵と経験が含まれていました。私達の考える「観光」とは、西中国山地の豊かな生物多様性を背景にした安芸太田町ならではの「物語」を再発見する作業から始めます。
そして地域の「幸せの無形文化遺産」として再生させ、この地を訪れる人々とともに、「小さくとも確実に体感できる新たな幸せの物語」を創出することだと考えます。
ヘルスツーリズムとは、人や物が移動することで、ツーリズムに関与したすべての人が、今以上の幸福感や充足感を感じることであると考えます。その幸福感や充足感の再生の場所は、心の原風景の中にある「縁側」であると考えます。
安芸太田町は、都市(マチ)の人たちと田舎(ムラ)の人たちを結ぶ、「縁側」になりたいと考えます。また、「先人の知恵が蓄積した過去」と「私たちが生きている現在」、そして「100年先を見越した未来」という「3つの時代の縁を結ぶ縦軸の場」でもありたいと願っています。
里地里山で継承されてきた「人間と自然の共生の物語」は、22世紀にこの地に住むであろう未来人に伝える、「知恵と技の無形文化遺産」だと考えます。そこでは、私達の行為が「時代の縁側」となり、未来人を出迎えることでしょう。
私達21世紀を生きる人間が、どのように「健康」と「観光」を考えたのか、その行動の軌跡と記録が物語として継承されてゆくのです。そして、同じ考えを有する地球上の多くの地域や共同体との「グローバルな横軸連携ネットワークづくり」の縁側となることも同時に目指していきます。
私達の考えるヘルスツーリズムとは、一人ひとりの「生」が輝きを取り戻し、多くの「生」と繋がっていくことのできる、「縁側のある、養生の里づくり」なのです。
安芸太田町・森林セラピー・本実験日(森編)
本日は、安芸太田町において、森林セラピーの生理化学実験の本実験日初日でした。私は、森編の実験に記録として出掛けてきました。東京から、森林セラピー財団の方々が広島に来られ、町編と森編との実験をおこなっています。明日は、町編の記録に出掛けてきます。
2011年8月9日
広島県で一番人口が少なく、人口減少率も一番という。『一番?の町・安芸太田町』は、2012年3月に広島県で初めて森林セラピー基地として認定された。私は町が設立した『ヘルスツーリズム推進協議会』において、人材育成・商品開発部長の拝命を受けた。そして、森林セラピーをガイドするだけではなく、広く『森林環境』を舞台に活動する『里山ガイド』という名称でのガイディング制度を立ち上げた。そして幾度か『ガイディング基礎講座』などを開催し、人をガイディングするとは、とか、自然と人間の関係性について講義した。また、『古民家の縁側で人生を振り返る』、といったタイトルでのプログラムも企画した。
安芸太田町は、古来『山で暮らしを建てる』という歴史文化が継承されてきた。一部地域にては、入会山から村有林へと、森林からの恵みをコモンズ(社会財)としてきた歴史もある。さらに、人間からの働きかけに対する『自然界からの恵みや贈与、そして反動』は、人智を超えた予測不可能性を有している事を深く諒解してきた風土性を持つ。森林セラピー基地構想も、その安芸太田町特有の『風土性』に再びスポットライトが当たる為の、一つのリーディングプログラムと認識していた。人智を超える『予測不可能性』は、一人一人の人生にも起こり得る現象であろう。
今日は東へ・・、伊豆長岡にて昨日から、静岡県の伊豆長岡に来ています。昨日から来週火曜日の午前中まで、伊豆にて研修があります。この研修は、グランドワークといって、イギリスが発祥の、民・官・学、そして市民参画型の、地域づくりのプログラムなのです。
大山・蒜山山麓の地域活性化に取り組んでいる知人からの紹介で、参加しています。なんと、日本全国から200名を超える参加者が集い、非常に刺激的な内容の研修でもあります。これからの地域づくりは、情報を占有する行政がリーダーシップを取るのではなく、いかに、他の分野の情報と知恵を共有しながら、地域づくりをすすめてゆくか、ということが20世紀のイギリスで注目されました。その活動の中心に、グランドワークという考え方があったのです。
私の町、広島県安芸太田町も、現在・ヘルスツーリズムにての地域活性化に取り組み始めたばかりです。私も、一般町民としてこのプログラムに参画していますが、行政とタイアップしながら物事を進めてゆくことは、人生の中でも始めての体験であり、戸惑いのほうが多いのが実情です。
行政の思考回路と、今までの自分の行動様式とに、大きな隔たりを感じるのも事実です。物事の進行してゆくスピード感や、中長期的展望の設定の仕方、資金捻出に対する受動能動の思考の違い、などなど、数えればきりがありません。
しかし、一旦取り組んだ限り、その「隔たり」や「温度差」を、どれだけの多くの人の「情熱」や「前向きの知恵」というものが、突破口となって打ち破れるかが自分自身の課題ともなっています。それだけに、知人から紹介されて参加している、今回のグランドワークの研修会で、どれだけのヒントを獲得することができるのか、わくわくしてもいます。
昨夜も同室となった、熊本から、東京から、千葉からの参加者とさまざまな体験を背景にしながらの、意見交換をおこないました。本日は、耕作放棄地の転換利用の事例を、フィールド見学に出かける予定です。また、写真ででも報告ができるかとも思いますので、ご期待下さい。
広島県安芸太田町が、森林セラピーを軸とするヘルスツーリズムを展開する上において、写真にあるような「里山ガイド養成講座」を開設いたします。これは、ちょっと他に類をみないような内容になっています。
森林セラピーの効能についての専門家からの講座もあり、また、セラピストや山岳ガイドからの講座、、また、近隣実践地への視察などなど。そして、他に類を見ないのは、町内の心理療法士からの、人間関係における距離感のつかみ方や、運動療法士からの、健康的なウォーキング活動への
諸注意事項などなどが盛り込まれています。
手前みそになってはいけませんが、ちょっと他にはない、ガイド養成講座になっています。それだけに、森林セラピーガイド養成ではなく、もう一回り上を目指す、里山ガイドの養成講座になっています。
御関心のある方は、ぜひ、講演会とシンポジウムに御参加下さい。自然環境を活用した、代替・補完療法としてのガイドも養成いたします。
2011年暮れから2012年にかけて、里山ガイド一期生・養成講座を総合コーディネートした。その際に、とあるウェブに下記のようなレポートをしている。
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メインの講師は、安芸太田町ヘルスツーリズム推進協議会会長で、広島大学大学院教授の小林先生でした。講義のタイトルは、「里山の環境と健康」というものです。そして、サブ講師には、安芸太田町の森林組合専務の佐々木さん。この方もヘルスツーリズム推進協議会の人材商品開発部会員でもあります。安芸太田町の森林の現状をお話いただきました。
そしてもう一人のサブ講師は、町史編纂委員でもあった、佐々木さん(町内は佐々木さんが一杯います)による、安芸太田町の豊かな自然とその背景といったものを、江戸時代にさかのぼり、町の歴史を紐といた解説をいただきました。
第三回、第四回の内容を御紹介いたしましょう。単なる森林セラピーのガイドだけでなく、広く安芸太田町の魅力を発信していただける、そんな里山ガイドを養成していきたいと願っております。
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12月18日(日)
13:00~14:30 小林先生の講演
14:30~14:40 休憩
14:40~15:00 安芸太田の森林について【太田川森林組合】
15:00~16:00 安芸太田の自然と歴史文化について
【元戸河内町史編纂室専門員・佐々木正孝】
16:00~16:20 質疑応答
16:20~16:25 閉会あいさつのあと解散
1月8日(日)
13:00~13:45 ガイドの倫理と役割について
【国際的山岳ガイド 清水正弘】
13:55~16:55 普通救命講習【広島市消防安芸太田出張所】
16:55~17:00 閉会あいさつのあと解散
安芸太田町ヘルスツーリズム展開における、現地にてのナビゲーターを「森林セラピーガイド」ではなく、あえて「里山ガイド」と命名したのは、当時の人材商品開発部会長であった清水氏である。そこには、彼の独自の考え方があったのです。
安芸太田オリジナル版・里山体感メニューへのこだわり。
広島県安芸太田町ヘルスツーリズム推進協議会は、森林セラピー基地のグランドオープンや、今秋実施する森林セラピーなどのモニタリングツアーの告知も兼ねて、8月31日に広島市内のメルパルクで「お披露目会」を開催することはすでにご案内しています。
また、そのお披露目会にてプレゼンする資料の一部を「ちょこっと早出し」でお知らせもしています。今回は、その第三弾!森林セラピー以外の安芸太田オリジナル版・里山体感メニューです。
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日本各地の森林セラピー基地の多くが悩んでいることがあります。それは、森林セラピーだけのプログラムでは、なかなかリピーター層が増えてこない、また、単独プログラムだけでは、宿泊を伴わないケースが多いので、地元への経済還元効果が少ない・・、などなど。
そこで、各地のセラピー基地では、森林セラピープログラムに併せるスタイルでの、各種企画を模索されています。アロマやヨガ、太極拳、マッサージなどの代替療法。トレッキングやノルディックウォーク、ハイキングや山菜摘み、植物観察などの野外体験型講座。そして、田舎ならではの「伝統的な匠の技や、おばあちゃんの知恵」などの伝授型講座などなど・・。
森林セラピーのプログラム実施には、ある一定の枠があるので、どの基地とも大差ないプログラムが出来上がらざるをえないのでしょう。しかし、地元にとってみれば、独自性や特異性、差別化などを考えないと、なかなかリピーターやファン層の獲得にはいたりません。
かといって、「流行り」のものに安易に手を出すと、「かるがるしさ」や「軽薄さ」のそしりをまぬがれません。「健康」や「癒し」といったある意味「人間にとって普遍でなおかつ不変なもの」を提供する側が、地元の歴史や文化にあまり関連性のないものに、安易に手を出すと必ず「痛いしっぺ返し」がくることでしょう。
これまでの、日本各地の中山間地域に残る「負の遺産」がその「しっぺがえし」を物語ってくれています。だからこそ、「知恵の結集」が必須なのではないでしょうか?町内外の心ある人たちからの「意見」や「知恵」をいかに柔軟に取り込むことができるか、そのことが新しい事業の成否を握っているはず・・・。
「環・太田川」 145号 2013年(平成25年) 5月
元中国新聞記者(広島市佐伯区在住) 桑田 信介さん。
~安芸太田町森林セラピー 水内の将来を創る会~
〇 元気をもらう地域づくり
広島市北部に隣接する安芸太田町と市近郊の佐伯区水内地区の二カ所で昨年から地域づくりにかかわっている。安芸太田では「里山ガイド」として、水内では広島市認定の「農村活性化コーディネーター」として。2つの町と地区がともに苦悩する過疎と高齢化は、広島県内のみならず全国の多くの農山村が共通して抱える課題である。それだけに地域づくりが容易でないことは目に見えているが、安芸太田町は森林セラピー、水内では若手主体の組織立ち上げと、従来なかった視点や手法を取り入れるなどユニークな進め方に光が見えてくるようである。
奇しくも太田川の本流上流域と支流に位置する2つの地域。ともにボランティアとして参加したり、お手伝いをしている立場であるが、地元のやる気や熱い思いがびんびんと感じられ、逆にこちらが元気をもらっている。
〇 安芸太田町の森林セラピー
安芸太田町で5月25日、県内初の森林セラピー基地がグランドオープする。 現代社会が生み出す様々なストレスにより、近ごろ森林、山岳や里山などの自然に親しむ人たちが増えている。森林セラピーは森林内の散策などによってリラックスしたり、ストレス軽減を図るといった心身への「癒し効果」を得ようというものである。この癒し効果は高血圧を下げ、ストレスホルモンを減らすほか、免疫系のヒトNK細胞やリンパ細胞内の抗がんタンパク質の増加といった幾つかの点で既に科学的実証がなされている。ただ、森林セラピーという言葉自体が一般に浸透していない現段階で、どれほど需要があるのか読めない不安を抱えているのも現実である。
安芸太田町の森林セラピーは、龍頭峡、三段峡、深入山、恐羅漢の4カ所で認定された散策コースで実施される。里山ガイドは都市部からセラピー目的で訪れた人たちを案内する。NPO法人の森林セラピーソサエティ (今井通子理事長)認定のセラピスト、セラピーガイド資格を持つ人もいれば、森や動植物についての専門知識、地域の歴史などに詳しい人たちもいる。
町の公募に応じ、およそ1年間の養成講座を修了して現在里山ガイドに認定されているのは70人以上。うち半数近くが町外からの応募であることは驚きである。地域づくりを進めるにあたって自治体が必要な人材派遣を霞ヶ関や県庁に要請することは多々あるケースだが、公募による「エブリボディ・ウェルカム」方式によって、町外にも積極的に支援と協力を仰ぐケースはあまり耳にしない。
しかも、実際に多くの応募があった。それほど安芸太田町は雄大な自然資源に富み、町外に隠れたファンを持っている。廿日市市吉和、北広島町を含む西中国山地の四季に魅せられ、このエリアに足を運ぶ沿岸部の都市住民は少なくない。 高速道を利用して車を飛ばせば広島市の都心から1時間以内で来られるアクセスの良さも引きつける要素の一つである。
〇 多士済々の里山ガイド
町外メンバーには、渓流釣りなどを楽しむアウトドア派の若者、西中国山地の山々を知り尽くした退職世代の登山愛好家といった個性に富む面々を含む。応募の動機は「素晴らしい自然との触れ合いや自分の体験を伝えたい」というものが多い。仕事上のストレスや重い疲れから解放されようと、自ら森の癒し効果を求め、里山ガイドに活躍の場を見つけたいという現役組もおり、 多士済々である。
こうした町外メンバーの大部分は町出身でなく、町内に親類縁者がいるわけでもない。 若者が進学や就職で故郷を離れる農山村では、定住人口の増加が見込めないため、イベント開催などで都市民との交流促進に力を入れている。
しかし、リピーターも交流人口も思うほど増えていないのが現状である。その意味では、町外からリピーターで訪れる里山ガイドは交流人口以上の存在意義を持っている。過疎の町内だけでは地域づくりに必要な人材がそろわないケースが多い。 そこで外に向けて情報発信し、人材を集めたうえで、町の活性化を手助けてくれる戦力に自前で養成していく。
安芸太田町のそうした手法はひとまず成功例といえよう。単に自然と親しむだけでは飽き足りず、土地の人たちとの出合いと交流にも喜びを感じたい。そんな時代の志向に合わせた受け入れ側の仕掛けがこれからの地域づくりでキーポイントになる予感がする。
〇 太田川への想いを胸に...
私も地域の人たちとの交流が大切だと強く感じる一人である。新聞記者のころ農林業や過疎の取材でたびたび中国山地の町や人を訪ねた。だが、残念なことに時の経過とともに地域や人とのつながりは大半が薄れ、途切れてしまった。 安芸太田町に親戚縁者は一切いない私が里山ガイド養成講座に応募した理由は、「一緒にまちづくりに参加してみませんか」という町の呼びかけが胸に響いたからである。実は応募の動機がもう一つある。ずばり太田川である。上流域に安芸太田町があり、下流域の広島市に住んでいるという関係性である。
近年の不漁には不満タラタラであるが、夏季のアユ釣りを楽しめるのも、上流域の住民が清流を守ってくれているお陰だと言っても過言ではない。その清流はいうまでもなく森林がはぐくみ、水源となっている。もし、太田川が清流を失うことになれば、30年以上続く私の最大の趣味は奪われ、気の抜けた哀れな夏を過ごすことになる。
里山ガイドとして活動することは、私にとってアユのすむ清流を守ってくれている上流域への感謝とせめての恩返しである。森林セラピー基地になったからといって長年放置されたままの森が直ちにきれいに整備されると考えるのは単純すぎる。しかし、森林の価値があらためて見直されることは間違いない。 水源涵養、土砂崩れ防止といった森林の多面的機能に加えて、「癒し効果」がクローズアップされるからである。一方で森林セラピー基地をより多くの都市住民が訪れ、地域経済や観光面でもプラスに作用すれば、地元にとってまさに願ったりかなったりである。
昨日の学会発表の場にて、私のすぐ隣には、温泉療法の発表がありました。温泉を活用して、メタボ予防や介護予防などに効果のあるプログラムを開発・研究されています。温泉療法は、もともと代替療法の中でも研究が進んでいる分野です。
先日訪れたドイツでも、中世の時代から温泉活用での保養プログラムがあります。特にシュバルツバルト(黒い森)に隣接する町・バーデンバーデンでも、温泉と森歩きを組み合わせるような保養プログラムがありました。
日本においても、温泉は大概が、山の中などにあります。私はすでに広島で実施しているのですが、中高年の里山歩きと帰路の温泉を組み合わせた企画を実施しています。なんとか、その企画を研究レベルまで引き上げられないかとも思っております。
また、広島県安芸太田町で推進しているヘルスツーリズムの中にも、この温泉療法を組み入れねばと思っております。なんたって、温泉が4つも町内にあるのですから・・。中山間地域の活性化に、生物多様性や自然資源を有効に、そして近未来のニーズに合わせて、角度をかえた視点から捉えなおすことの必要性を感じます。
森林セラピーなどヘルスツーリズムを軸とする健康まちづくりプランの構築と今後の課題
【目的】広島県山県郡安芸太田町がおこなった、健康まちづくりプラン構築に至る経過において、2010年6~11月の期間設置された住民参加型の「未来戦略会議・観光再生部会」では、KJ法分析による地域内観光資源の洗い出し作業が行われた。その取り組みが生みだした、ヘルスツーリズムを基軸とする健康まちづくりプラン構築への過程を検証する。
【方法】会議設置期間内にて複数回中間報告されたKJ法分析結果を、時系列に沿って多角的に捉えなおし、「セラピー」や「健康づくり」「ヘルスツーリズム」などのキーワードがいかなる文脈の中で浮上し、そして参加者の共有できる言語意識化プロセスを経て、最終報告書の中に位置づけられたのかを、会議参加者への聞き取り調査を交えて追跡調査した。
また地域資源を客観的に捉え直し、新たなる地域づくりの基本理念を「観光(ツーリズム)」の視座から構築し、基本理念の素案づくりや具体的展開の手法提示をするまでの作業プロセスを事例検証した。
【結果】地域力を測るバロメーターとして、これまでは地域経済の推移や人口増減、個人所得の変動などに関する指標が一般的に採用されてきたが、今後は日常生活への満足度や充足度、近隣に住む縁者や他者との幸福感の共有、居住地の文化や自然環境への誇りといった点など、「生きがい」の感じられる生活環境のある地域かどうかを評価していくことも、地域力を測る重要なバロメーターとして注目されている。
【考察】「地域の総合力」を高める作業の推進が、結果として地域の課題を再確認し、新たなる地域づくりのエネルギーの再構築を図ることにも繋がっている。地域力の高さは決して地域の経済指標や人口動態指標によってのみ判定されるものではなく、その土地に居住する生活者のQOL向上の為の取り組みによっても読み取れる。
その取り組みは、住民が主体となって、自然・文化・社会・産業・歴史・人的ネットワークなど、様々な地域資源が居住地にどのように存在しているのかをつぶさに把握し、客観的に評価することからはじまる。またその各資源を有機的に連動させる「基本理念の構築」と「基本理念の具現化へのしくみづくり」が必要である。
今後当該地以外でのヘルスプロモーション素案作成時における、人的・社会的・自然環境的な地域資源精査に活用できるKJ法分析の効果精度の検証とともに、未来戦略会議の素案を受けて森林セラピー基地展開を具現化していく安芸太田町の今後の展開への追跡調査が課題である。
広島大学医歯薬学部大学院・健康開発学教室
大学院研究生・清水正弘
研究1: 町外住民と町内住民の有機的連携を目的とする効果的なヘルスツーリズム・プログラム開発のための基礎的調査
■調査目的:
持続可能な交流型観光において重要なことは、町内から発信される地域資源情報に対し、外部からの訪問者が「一時の見学者」として接するだけではなく、地域資源を維持・発展させてゆく「新たな担い手」としての意識の醸成を目指す仕組みづくりである。
その基礎調査として、町内外から参加している里山ガイド受講生の潜在的な地域資源への価値認識を分析調査することは、地域住民と外部からの来訪者が価値を共有できる効果的な地域資源活用プログラム立案への重要な土台造りとなる。
さらに、中山間地域と都市周辺部を結ぶ有機的なネットワークづくりに対する里山ガイド受講生の意識を分析することにより、町内外住民両者の心理的充足感や満足感を有機的に連携することのできるより質の高い健康プログラム開発への基礎的資料を得ることを目的とする。
■調査方法:
(調査1)里山ガイド養成講座への参加者(町内住民約5名・町外住民約5名を選出)を対象とする半構成的面接法によるインタビューの聞き取り調査(一人30分~1時間程度)。
(調査2)里山ガイド養成講座への参加者全員へのアンケート調査。
■調査期間:
(調査1)平成24年4月~7月(調査2)平成24年5月~6月
■調査内容: ●安芸太田町での暮らしに対するプラス面とマイナス面(町内住民対象)
●都市周辺部での暮らしに対するプラス面とマイナス面(町外住民対象)
※(プラス面やマイナス面とは利便性や快適性などに対する事項への自己評価を意味する)
●町内から見た安芸太田町の潜在的な地域資源への価値認識(町内住民対象)
●町外から見た安芸太田町の潜在的な地域資源への価値認識(町外住民対象)
※(潜在的な地域資源とは可視的なものに限らず、社会的資本(ソーシャルキャピタル)なども含む)
●里山ガイド講習受講前と受講後における地域への関心度の変化やその理由(町内外住民対象)
●中山間地域と都市周辺部を有機的に連携させる仕組みづくりについて(町内外住民対象)
■分析方法: (調査1)インタビューした面接内容を逐語録にし、調査内容について語られた部分をカテゴリ化して抽出する。抽出された文節の意味内容を分析した上にて、安芸太田町における
地域資源に対する、町外・町内住民別の価値認識や評価基準を検討する。
(調査2)調査内容に関する調査票を用いたアンケート調査を実施し、インタビュー調査で得られた結果について量的な評価を行う。
調査1および2より、町外(広島市周縁)住民と町内(安芸太田町内)住民のヘルスツーリズム事業に対する価値認識・評価基準の差異性や同質性を分析し、両者を有機的に連携させることのできる地域資源の有効活用法を検討する。
研究2 森林セラピーがもたらすストレス軽減効果に関する実証的研究
■調査目的:
森林セラピーが生体にもたらすストレス軽減効果について、実験的研究を実施し科学的エビデンスを集積することで、中国地方では後発である安芸太田町の森林セラピーに対する価値評価を高めることを目的とする。
本年度のモニターツアー時に実験的な検証実験を行うことによって、町と大学との共同研究によるセラピー基地としての医科学的根拠を裏づけるデーターを町の資料として蓄積することができ、さらには平成25年度森林セラピー基地の本格稼働時に、セラピー効果の告知素材としても有効に活用できる。
また、セラピーガイドを担当する里山ガイドにとって、検証実験の手法を学ぶ貴重な場となることも期待される。町内住民に対しては、自ら検証実験に参加することで、森林セラピー行為やその効果に対しての認知度を高め、その価値を実感することで、森林セラピーの推進の原動力となることが期待できる。
■調査方法:
森林セラピーモニタツアー時において、参加者のQOL(生活の質)の評価、およびセラピーを実施する前後でのストレス度の変化について評価する 。評価をPOMS(※下記参照)、STAI、の尺度にて測定する。
QOL(Quality of life 評価尺度 SF8);
POMS (Profile of Mood States = 気分の状態を6つの尺度で測る心理テスト)
STAI (State-Trait of Anxiety Inventory = 不安感を測定する尺度)
■調査期間:
森林セラピー・モニタリング実施期間
■調査内容: 森林セラピーモニターツアー参加者約100名を対象とする。
・QOL:森林セラピー参加者の生活の質の評価をQOL評価尺度SF8で測定評価する。
・POMS:参加者における、セラピー体験前後の感情尺度の変化を測定評価する(6つの感情尺度)。
①(抑うつー落ち込み)②(活気)③(怒りー敵意)④(疲労)⑤(緊張―不安)⑥(混乱)
・STAI:(状態不安尺度20項目、特性不安尺度20項目)の質問事項で不安感を測定評価する
質問紙への記入回答を求める形式で実施。
QOLは8項目セラピー実施前
POMS質問項目は30項目、セラピー実施前後
STAI 状態不安尺度20項目、特性不安尺度20項目セラピー実施前後
回答時間は一人約20分程度。
■分析方法:
森林セラピー体験前後におけるPOMSおよびSTAIの得点の変化を測定し、森林セラピーが参加者の心理状態にもたらす、ストレスや不安感の軽減効果を測定し、さらに日常の生活の質(QOL)との関連を検討することで、セラピーのもたらす効果が どのような生活と関連しているかについても検討を行う。
昨日、四国にて今秋以降の『健康ツーリズム』(地方自治体との連携も視野に入れての)実践編復活への打ち合わせが松山であった。今日は『健康(ヘルス)ツーリズムの研究』について記述する。
このテーマについて、大学院にて研究したいという思いは30歳代後半くらいからあった。それが具体的になるキッカケは、なんとヒマラヤ山中のことであった。NGOのコーディネーター役として、海外医療支援チームとネパールに帯同した際、チームの一員でもあった広島大学・医学部大学院教授と出会ったのである。その際に、それまで10年余り、個人的に研究・実践してきた『心身魂の健康開発を目指す為のツーリズム』についてお話ししていたら、『どうです、私の研究室で一緒に研究しませんか?』との申し出をいただいたのである。
結果、大学院研究室(入試を受けた上での入学)には都合3年在籍し、森林セラピー基地構想やドイツの自然代替療法、ブータンのGNH政策、またヘルスツーリズムによる地域再生、などなどについて実践研究した。在籍中には、公衆衛生学会にて2度研究発表もさせていただいた。残念ながら仕事との折り合いがつかず、志半ばにして退学となった。しかし、51歳からの3年間はとても貴重な時間であった。大学の理系研究の基礎も学ぶことができた。
大学院に集う人間のタイプを観察するのも興味深かった。また、海外からの留学生との懇親も深めることができた。不思議なご縁で、再び学生の身分(学割も一度活用した)に戻ったと同時期に、今度は別の大学で教える側にも任命されたのである。
ヘルスツーリズムで町の再生・活性化を模索する広島県山県郡安芸太田町。本日、ヘルスツーリズムのトライアル企画第一弾が実行されます。短い準備期間だったにも関わらず、関係者の御理解やご協力をいただき、総勢130名弱が、秋晴れの、安芸太田町に集います。
そして、さまざまなコースに分かれて、「人と人」「人と自然」の「ご縁」について、小さな気づきを学びながら、豊かな自然環境の中を歩いていきます。私は、このヘルスツーリズム推進事業において、人材商品開発部会の部会長を務めています。
今回は、趣旨に御賛同いただき御参加いただいた方々、そして日夜遅くまで準備に精を出していただいた、関係者の方々に深く感謝いたします。
このように、実践編を重ねてゆく中で、関わる人たち自身の中にも、新たな「ご縁」が生まれ出ることが、もしかすると、町の再生・活性化への大きなステップなのかもしれませんね。
都会の縁側を目指す安芸太田町に来ませんか?
安芸太田町は、「都会の縁側・養生の里づくり」をキャッチコピーとして、町の再生をヘルスツーリズム展開に賭けています。
そのトライアル企画第二弾の募集案内が、ようやく役場担当課にて作成段階に入りました。その段階での案内書を添付しています。ぜひ、人と人、人と自然、そして、過去、現在、未来という時間の、「ご縁」というものを、安芸太田町の古民家で感じていただきたいのです。
また、自然の生態系が豊富な安芸太田町の森や川、そして滝での、デトックス(解毒)体験も味わってみませんか?健康づくりのスペシャリスト・松本直子先生が直接指導されます。
「環・太田川」 128号
〇安芸太田町ヘルスツーリズム~古民家の縁側と大黒柱に出合う旅~
1月23日、勤労感謝の日。安芸太田町ヘルスツーリズム・秋の企画は2つのコースで行われました。
一つは安芸太田町の森で「ヨーガと森林浴で心身を癒す」コースと「古民家を訪ねて、縁側と大黒柱に出合う旅」 のコースです。本誌では、このうち、一般のバスツアーとしてはユニークな「古民家の縁側と大黒柱に出合うコース」に注目、取材させていただきました。その模様をご紹介します。
(取材・篠原一郎)
訪問する古民家は、戸河内ICから自動車で約20分。 益田市に向かう国道191号、北広島町芸北八幡高原の手前山間に広がる小板地区にあります。ヘルスツーリズムの参加者は、広島駅を朝8時にバスに分乗、安芸太田町「いこいの村ひろしま」に到着。ここから2つのコースに分かれて、「ヨーガ・森林浴」コースは小板地区の森でヨーガの実施。午後は三段峡の散策。「古民家を訪ねる」 コースは午前中、三段峡を散策後、小板地区の古民家を訪れました。このコースの参加者は、広島市内からの中年の女性を中心に地元の方も加わって約20人です。
〇建立百十年~小板の古民家
古民家のオーナーは広島市内で、キャンピングカーや輸入自動車など、幅広く自動車の販売業を営大野賢さんです。10年前に地元の所有者から購入。その時、建ってから100年以上と言っていたから、110年以上経っているという昔の農家です。おばあさんが1人住んでおられ、病気で入院されたので、空き家になり購入されたということ。そして今年、4カ月かけて仲間の人々と手をかけて屋敷の土台から掘り起こし改造されました。昼食後の集いで大野さんはその改造の際に判ったことを次のように話しました。
「ここの建物の構造の基礎となる木材は、大きな材料を使っています。 家の土台には自然の石を使って基礎にして、その上に、弾力に富み湿気に強く、耐久性もあり昔は鉄道の枕木に使われた栗の木で土台を造りその上に柱を立てています。 その上の「ハリ=梁」は、山の斜面に育ち、風に吹かれたり雪に埋もれて曲がった木(マツの老木)を探し出してそのまま使っています。
屋根を支え、雪の重みに耐えるように支えているのは、この大きな「ハリ」なんです。カヤ葺き屋根ですが、丸太を組んでその上にカヤを葺いていますが、丸太は釘は1本も使わず、全部わら縄を使って組んでいます。今回の改造では、カヤを集めるのに3年はかかるというので、葺き替えはせずに、トタン板で覆いました。 小板地区は、四季の変化に富んでいて訪れる人々も 「心が癒され、来てよかった」と言われますが、最近は、ログハウスなど色々休養の施設があるなかで、このような古民家が一番人々の心の癒しに馴染むと思っています。」と語りました。
また、この集いでは、安芸太田町森林組合の佐々木徹専務から、スライドの映像をつかって、安芸太田町の山林の現状や、役割について説明。安芸太田町の山林は約5万kmで、その約半分は戦後からスギ、ヒノキが植林され、40~50年育っているが、今一番間伐などの手入れが必要な時代になっている。今は、木材の価格が安くなり、手入れが遅れていること。
それを放置すると土砂崩壊の原因にもなる、など林業の現状の説明ががありました。また映像では、そりに伐採した木材を積んで山から下ろす木馬道や、山の奥に炭窯をつくった様子などの珍しい写真が紹介されました。ては、このような古民家では、主要な部分の木材は堅い広葉樹の木を使うこと。ここの家の大黒柱は「ケヤキ」で建材にするのに、ノコギリでは無理なので「チョウナ」を使って削り、表面を磨いたのだろうということです。
〇縁側と大黒柱の「縁」結び
「ヘルスツーリズム」で何故「縁側と大黒柱」に注目するのか?へルスツーリズム推進協議会の清水正弘さんは「ヘルス」といえば身体の健康だが、身体だけでなく精神的なもの、例えば地域の人々の幸せ感とか、地域の持つ健全さに触れて訪れる人々もその幸せ感を共有する。「ヘルス」=健康という意味をそういう方向で考えたい、と述べ「縁側と大黒柱」に出合う意味を次のように説明されました。
まず「縁側」について、今都会では「無縁社会と」いう言葉がいわれている。「孤独死」とか年間自殺者が、毎年3万人を越える状況が10年以上続いている。その「無縁社会」の対極に、この伝統的な古民家には「縁側」がある。縁側は外を歩く人が靴を脱がずに腰かけられる、そして家の人とお茶を飲みながら話をして、人と人との新しい出会いがそこに生まれ、縁を結ぶことができ
る。まだまだこの地域にはそういう縁を結ぶ気持ちが残っている。
人と人を結ぶ絆といってもいいですが、それが安心感を生み、充足感を生むというように、それを具体的に表しているのが、この縁側です。もう一つは大黒柱。この古民家には昔は10人ぐらいの家族が住んでいたでしょう。この家の中心を支えているのが大黒柱です。今、都会では「核家族化」が進んでお父さんの存在も薄くなり、今はお母さんが大黒柱になったと言われるかもしれませんが…
一つの世代から次の世代へつないでいくその中心を担う象徴的なものが大黒柱だと気がします。
ですから、「縁側」という横のつながりのネットワークをつくり、「大黒柱」は縦のネットワークをつくる。この古民家の空間の味わいはそうしたことを感じさせる空間だと思います。広島からの参加者は殆どが縁側や、大黒柱のないマンション住まいの人々。
古民家の雰囲気を味わい「昔、祖母の家に行ったのを思い出しなつかしい」「花柄の紙で穴をふさいだ、障子にさしこむ晩秋の日差しが落ち着いて「雰囲気がよい」など感想を述べあっていました。また、30歳になる男性のお年寄りは「子どもの大ころ育った家と全く同じで感無量!」と涙ながらに感慨を語っていました。
本日、登山学校の往路七塚原のサービスエリアでトイレ休憩をとっていると、「清水先生~」という声がした・・。その声の方向を向くと、旧知の人が二人・・・。 島根県飯南町の森林セラピーに関係する役場と民間の男性二人。ピンときました。「あっ、鳥取県の智頭に向かってるんでしょう?」と、「その通~り!」本日、鳥取県の智頭町にて、中国四国地方の森林セラピー基地のブロック会議があったのです。これだけには、行きたかったのです。
というのも、鳥取県智頭町の森林セラピー関係者とは、ガイド養成講座の講師として招いていただいた間柄でもあり、今年の9月には、里地里山シリーズ企画で、智頭町には2度も、そしてトータル100名近くの参加者と一緒に出向いたことがあります。山村再生化のみなさん、そして森林セラピーガイドのみなさんとも旧知の間柄です。そして、島根県飯南町の森林セラピー基地へも、里地里山のシリーズで幾度も訪れています。
私が、個人的に昨年10月に、安芸太田町にて「健康ツーリズムフォーラム」を主催した際にも、前述の2団体からは、活動報告などを含め多くの賛同者に来ていただきました。それだけに、本日登山学校が入っていなければ、なにをさしおいても、智頭町に出向いたのです。でも、少し安心感もあるのです。安芸太田町のヘルスツーリズム関係者からは、会長である広大の小林教授、そして、実質的な事務局長的存在である、観光課のS氏の二人が参加してくださったのです。
写真は、智頭町の知人である長谷川さんが撮影されています。その中にも、前述の何人かの方の姿があります。私は、遠く広島の神話の山地(’吾妻山から比婆山)から、エールを送っておりました。おそらくや、来年は、島根県飯南町にて行われることでしょう。必ずや、出席したいと思っております。他県の活動は、官民一体となったエネルギーを常に感じています。
それに比して・・・? ここから先は、言葉に出さず、行動で示していきたいと思っておりますので、あえて、文字としては表明しません。夢の実現に向かっては、前を向いた行動と思考あるのみです。高邁な基本理念があるので、決してどの分野の人たちも、ぶれることなく、将来への布石を打ってくれることでしょう。
この見事な棚田の周囲を巡る『森林セラピーロード』があるのです。安芸太田町にての森林セラピー基地認定への手続きプロセスにおいて、関係者とともにこの場所を視察に来たのです。その際にご案内いただいたのが、吉弘拓生さんだったのです。
当時は九州のテレビ局ディレクターを経て、うきは市の観光担当でした。その後吉弘氏は、群馬県下仁田町の副町長を経て、総務省地域力創造アドバイザー、地方創生<内閣官房・内閣府>企業版ふるさと納税マッチング・アドバイザーなどでご活躍されています。
ここのところ、森林セラピー関係にて知り合った方々との旧交を温めなおしています。昨日も、高知県梼原町の関係者の方とお話をしました。梼原町とは、森林セラピー中四国ブロック大会(島根県飯南町にて)にて私が基調講演をした際、お声がけいただいたのです。
それ以降、梼原町には幾度かお邪魔させていただき、講演やセラピーロード視察などをさせていただきました。この人的ネットワークをなんとか地元地域へと再還元できればと願ってもいます。森林セラピーソサエティ理事で森とこころの研究所所長の春日さん、前述の吉弘さん、各地(飯南町・智頭町など)のセラピー担当者さんなどからの実践知と、地元在来の実践知を融合できればと願っています。
昨日、鳥取県の智頭町へ出かけていました。智頭町は、今年の春に「森林セラピー基地」の認定を受けています。来年夏のセラピーロードのグランドオープンに向けて、現在ガイドの育成事業などに取り組まれています。
今回、縁がありまして私が、ガイド養成講座の講師として招かれたのです。智頭町は、数年前に訪れてより、私自身町のファンになっており、先日は町長さんとお昼ご飯などをご一緒したのです。ここの町長さん、只者ではありません。鳥取県で唯一観光カリスマ(国土交通省認定)の資格を有しています。
また、優れたアイディアマンでもあります。過疎化の進む地域を、都会のシェルター構想という逆転の発想をもって未来への可能性を模索してもいます。森林セラピー基地もその一端なのでしょう。
トップが斬新的であれば、部下(町の職員)にも優秀なスタッフが生まれます・・、というより、潜在的な力の発揮場所が強力なリーダーシップの元で確保できるのでしょう。
私の居住する広島県の安芸太田町と同じくらいの人口なのですが、なにか、人々の表情にも活気があふれています。この町には、私が可能性を強く感じている健康ツーリズム推進の機運があふれています。非常に魅力を感じています。
今後も、さまざまな形で協力体制をとる予定です。これで、約1週間連続した自然活動展開(明日は蒜山高原にて)があります。もう少し続きますが、暑い広島市内にいないだけでもよしとしましょう!
広島県庄原市にては、二〇一〇年代よりほぼ毎年のように、ガイド養成講座や地方創生に寄与する企画、比婆道後帝釈国定公園にての連携事業などなど、多くのお声がけをいただいている。
これらのはじまりは、庄原DMOの専務理事である坂田さんからのお声がけによるものである。坂田さん自身、旅行業界から地域おこし協力隊員(ご出身の庄原市にて)を経て、DMOの専務理事という重責を担われている。
2013年度活動履歴・11月30日・森林セラピー基地ブロック大会
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ゲストスピーカーで登壇した様子が、高知新聞に掲載されている。地元梼原の担当者より送られてきた。
お互いの距離を縮める為の一つの方法・その1
〇仲間づくりの第一歩
同じ誕生月同士のグループを作ってみましょう!指で誕生月の月数を表示しながら、同士を募 る小旅行に出かけてみましょう。片手の指で数字を表示しながら、同士が見つかれば、もう片方の手どうしを握りましょう。グループができれば、同士ごとの輪の座る場所を決めて、それぞれが移動しましょう。
〇役割やプログラムづくりをしましょう。
月の中で一番早く生まれた日の人が、進行役となりましょう。月の中で一番遅く生まれた日の人が、記録係となりましょう。
〇得意技・自慢話・関心事・趣味 を 言いましょう。聞きましょう。書きましょう。
進行役の人が「得意なこと・自慢できることなど」を発言する順番を決めてください。記録係の人は、名前 と 年齢(できれば)、居住町名、そして、各自発言される 「得意なことなど」の話を記録してください。
※得意技・自慢話・関心事・趣味 について
各自持ち時間は、1分です。「得意なこと・自慢できること」については、なんでも結構です。一人できるだけ多くの事柄を言ってみてください。(例)子だくさん。ワインについて興味がある。人の話を聞くのが苦にならない。 000士の資格がある。草花を育てることが好き。釣り・裁縫・料理が得意などなど
〇各グループ間同士で公開しましょう。
各グループの進行役の人から、「我がグループの得意・自慢・関心事・趣味など」をみんなの前で公開しましょう。
お互いの距離を縮める為の一つの方法・その2
〇仲間づくりの第一歩→無縁の人との間に、なにかの縁を探す作業 同じ誕生月同士、住んでいる町別・県別、などなど
〇役割やプログラムづくりをしましょう。→結んだ縁で小さな協働作業へ。進行役や記録係、その他適材適所を見つける。
〇得意技・自慢話・関心事・趣味を言いましょう。聞きましょう。書きましょう。
↓ ↓ ↓ ↓
協働作業をしながら、「縁の距離」の密度を増す作業。各グループ間同士で公開しましょう。複数の「縁」の相関図作成・共有作業
■具体的なガイディングの場をシュミレーションしてみましょう。
無縁の人との間に、なにかの縁を探す作業
お客さんと初めて出会う場面→どのようにしてこの企画を知ったのか?企画参加の動機は何なのか? どこから来られたのか?相手(参加者)に対する関心を育む時間。
結んだ縁で小さな協働作業へ
初めてのガイダンスをする場面→今日のスケジュール構成についての説明・自己紹介を誘導する。参加者からの安心感・信頼感、参加者間同士の連帯感を育む時間。協働作業をしながら、「縁の距離」の密度を増す作業
各人とのコミュニケーション場面→各人からの話に耳を傾け、興味関心事に対して応答するガイドの知識・技量などを情報公開できる時間。
複数の「縁」の相関図作成・共有作業
グループをまとめてゆく場面→参加者からの体験後の感想を導き出す。ガイドからのコメント。今日一日(時間)を一緒に過ごしたという共有感の醸成時間 。反省点を踏まえた上での、次回の課題を確認する時間。
★ 楽しいガイディングとは、つまるところ 「縁結び・縁づくり?」
( 人と人、人と地域、人と自然、人と環境の間を結ぶ 「縁づくり」 )
ガイドとは、単なる知識・技術・能力の提供者でもなく、解説者であってはならない。
ガイドに望まれるのは、資質+人間性。それが信頼感・連帯感を育む素地となる。
ガイドとは、各自の秘めた能力、明日への活力や希望への気づきの場の協働作業人である。
ガイドの資質は、どこで育むことができるのでしょうか?
強い責任感・統率力・指導力・冷静な判断力や決断力 → 現場経験が育むもの
大きな包容力や温情・人格的魅力・味のある人間味 → 人生経験が育むもの
※ 各場面へのちょっとしたヒント
■ 相手(参加者)に対する関心を育む時間。
● 話す相手の目を見ていますか? 身体の向きは相手に対して正面を向いていますか?
● 自分よりも年齢の低い参加者へも丁寧な応対をしていますか?
● 安心感を与える、「あいづち」や「うなづき」って、できていますか?
● 一人の話を聞きながら、周りの参加者へも目線は送れていますか?
■ 参加者からの安心感・信頼感、参加者間同士の連帯感を育む時間。
● 複数人数の場合、集団の「扇のかなめ」に位置取りしていますか?
● 全員が揃った上でのインフォメーションになっていますか?
● ゆっくりと明確な言葉づかいができていますか?
● 話をしながら、全方位へ顔を向けられていますか?
■ ガイドの知識・技量などを情報公開できる時間。
● 知識や技術を一方的に話していませんか?
● 参加者の欲している情報に沿った話をしていますか?
●「わかったふり」「しったかぶり」「聞いたふり」などをしていませんか?
● 参加者の持っている、知識・技量を導きだせていますか?
■ 今日一日(時間)を一緒に過ごしたという共有感の醸成時間
● 一人ひとりの参加者からの感想を聞き出せていますか?
● ガイドと参加者の枠を超えた「人間関係の縁づくり」になった時間でしたか?
● 人と人、人と地域、人と自然、人と環境、どこかに「新しいご縁」ができましたか?
★ その「ご縁」をより深めたいと思っている人が、リピタ―(再訪者)なのでしょうね。
※資料作成・人材商品開発部会長 清水正弘
下記は、千葉大学の公共政策がご専門である広井教授の文章からの抜粋です。地域活性化においての、見落とされがちな視点ではないでしょうか?ここで、教授は「ケア」を福祉分野に相応する言葉として使用されているのですが、「人間のケア」や「地域のケア」という広義に捉えると深く納得できる部分が浮き彫りになってきます。さらに、現在地元・安芸太田町で展開している「ヘルスツーリズム」の基本的考え方にも共通項があると感じています。
~ケアと「自然のスピリチュアリティー」~
やや概念的な整理になりますが、ケアとはいったい何かと考えてみると、個人は決してばらばらな存在ではなくコミュニティーに支えられていて、しかしコミュニティーも真空の中に存在しているのではなく、それを取り巻く自然・環境の中にあるといえます。もともとこういうものは一体的なものであったと。
そしてさらに、自然の底にスピリチュアリティーが存在するのではないか。このスピリチュアリティーという点は後でまたご説明いたします。 こうした理解を踏まえると、ケアというのは、ともすればばらばらになってしまいがちな個人を、その底にあるコミュニティーや自然、さらにはスピリチュアリティーの次元に、いわばつないでいくことに本質的な意味があるのではないか。言い換えますと、個人の中にこういったコミュニティーや自然やスピリチュアリティーというようなものを回復していく、ということに意味があるのではないか、という考えです。
それで今日のお話とも関係してくるのですが、自然とスピリチュアリティーに関して、「自然のスピリチュアリティー」というコンセプトが考えられないか。 「自然のスピリチュアリティー」というと少し聞きなれないですが、キリスト教や仏教などの、高次宗教と呼ばれる言語化・体系化された宗教では、スピリチュアリティーは非常に理念的な「永遠」・「涅槃」・「空」というように抽象化された概念として考えられています。
これに対して、日本を含む地球上の各地域・文化圏におけるもっとも基層にある伝統的な自然観においては、「風の神様」「山の神様」「八百万(やおよろず)の神様」といったように、スピリチュアリティーは具体的な自然と一体のものとして考えられるわけです。
こういう視点をケアと融合していくことができないか。言い換えますと、ケアに関わる3つの領域、すなわち第一に医療・福祉、第二に環境・自然、第三に日本人の死生観の3つの層にスピリチュアリティーや広い意味での宗教という、ともすれば別個に考えられていたものをもう少し融合させていくということで新しいケアの形が拓けるのではないか、という問題意識です。
具体的には、社会資源として環境・自然・神社・お寺というものに、私たちの研究会は注目いたしました。日本各地のいろいろなところに、緑地・里山・農地は残っています。神社やお寺もたくさんあります。それらを社会資源として見直して、ケアとの関連で新しい利用形態を考えていけないか。医療・福祉以外の様々な人びとが集まる場所ですし、こうした場所は、幸か不幸か高度成長期には半ば忘れられていた、人びとの意識の関心の中心から外れていたところにあった存在です。よくいえば開発を免れた、都会の中に静かな空間がポッと残っていたりします。
「環・太田川」 144号・2013年(平成25年)4月10日
広島県内で最初に誕生した安芸太田町の森林セラピー基地・グランドオープンの行事が5月25日 (土)、25日(日)、恐羅漢・キャンプ場で開かれます。25日の記念式典には、NPO法人森林セラピーソサエティー理事長、登山家で医師の今井通子氏が記念講演。翌25日には恐羅漢、三段峡、龍頭峡など6つのコースに分かれて森林セラピーを体験する企画です。
清水正弘さんはこの3年間、この安芸太田町のヘルスツーリズムの土台作りに参加されてきました。自然を活用した健康づくりの今後の方向について独自の考えを持たれています。特に一昨年ブータンのジグミ・ケサル国王が来日した際にも語られた、ブータンにおける「国民総幸福量」=GNHに注目され、一つの町の取り組みを越えた広域的な運動の展開を構想されています。
◆ 「国民総幸福量」とは
このところブータンに連続して行っていますが、ブータンという国はちょっとユニークな国なのです。GDP「国民総生産量」=経済の大きさで国民の「幸せ度」を測るのではなく、国民一人一人が生きていて「幸せ感」を感ずることを国の優先施策にしていく、GNH「国民総幸福量」という指標を提唱している国なのです。ブータンやネパールなどヒマラヤの秘境といわれる土地では、日本における1年間分の変化が、50年分の変化に相応するともいわれます。そういう時間の流れの中で人々の「人生における価値感」が形成されていきます。
暮らしの基本は衣食住です。 ブータンの民族衣装は今でも手織りで製作されます。 国民の多くが手織りの民族衣装を着用することは、同時に「手織職人さん」の生計が成り立ち、 伝統的工芸技術
が継承されていく土壌となります。確かにブータンでもインターネット文化などが浸透し始めていますので、このような現状を維持することが困難になるかもしれません。しかし、変化のスピードはそんなに急激でなくてもいいのじゃないか、と多くの国民は考えているのです。
それは、日本の中山間地域の地域づくりや活性化に対する新たな視線を養うことのできるヒントなのです。ブータンの国土面積は日本の九州ぐらい、総人口は30万人前後です。日本の中国地方を考えた時、5県の総人口は大きくブータンを上回りますが、総面積はブータンと規模からいうと同じくらいかもしれない。そう考えると県や市町村などの行政単位での区切りの活動展開を考えるのではなく、中国地方で各地の有志を集め、緩やかなネットワーク連携を基軸とする、「ミニサイズ・ブータン」的な活動が地理的空間の広がりの中で展開できるのじゃないかと思うのです。
またその際には、ブータンが提唱しているGNH的な指標が必要になるのではないかと思うのです。中国山地の広域連携を現在安芸太田町が展開しているへルスツーリズムも、そのような地理的空間における広域的な視野をもった方向で発展していかないと、行政主体でのやり方では未来図を描くこができないように思われます。行政はその習性として1年単位の予算で事業展開を考えがちです。
しかし、森林セラピー事業は50年~100年かけて育成してきた森林資源をフィールドにするわけです。おそらくや、100年後には、事業の展開フィールドである森は存在しても、「森林セラピー」という言葉や行動は消滅している可能性もあります。今流行の動きに乗って近視眼的に事業展開するのではなく、どんなに少なくとも10~20年後の町の未来図を、丁寧に時間をかけながら住民の共有認識としてゆくようなブータン的思考が求められていると思うのです。
それだけに行政の枠を超えて、民間の人間達が広域的に連携して「中国山脈」という横軸での繋がりや、「太田川の上流下流・瀬戸内海」といった縦軸での繋がりの中で地域の将来考えていくこと視座が必要ではないかと思うのです。本年、県内では神石高原町からの森林セラピー基地申請が認められ、来年には認可されるでしょう。 島根県では飯南町が既に事業展開しています。
お互いに広島市内人口密集地帯での事業マーケット獲得が競合することは目に見えています。しかし、そのようなネガティブな思考ではなく、中国五県で6つになる(広島県2・他県各々1)森林セラピー基地が連携して、「中国山地・森林文化圏基地構想」といった広域的展開を提唱する先導役になれるのではと考えています。それには、50年~100年後の中国山地での「景観・風景・風土」に対する共有できる未来図が必要です。
その未来図を描くことは、「人間と自然とのあり方、その距離感、さらには自然と共生する人間にとっての幸福感」を考え直す作業ではないだろうかと思うのです。ブータンは国家レベルでそういうことをやっています。そこから学ぶことや得られるヒントが数多くあります。グローバルな視座からは、ローカルへフィードバックできる視線を養うことができるのです。
◆都会の縁側・養生の里づくり
安芸太田町のヘルスツーリズム事業のキャッチフレーズは「都会の縁側養生の里づくり」です。日本のほとんどの古い家には縁側がありました。縁側とは不思議な空間でもあります。縁側は歩いている人が靴を脱がずに、ちょっと腰掛けてお茶をいただいて会話ができるのです。 そこでは新たな縁が結ばれ、そのご縁から何かが生まれ、人生のちょっとしたスパイスとなっていったのでしょう。
現代風に捉えなおすと、田舎は「都会の縁側」と成り得るのではないでしょうか?「無縁社会」「孤立社会」と呼ばれる都会から、ひと時の癒しを求めて「縁側である田舎」を訪れる。そして靴を履きながらチョット腰かける滞在する)。そして、都会から来た人は縁側に腰掛ける「腰かけ賃=滞在費」を払っていただく。その「腰かけ賃=滞在費」が地元の経済をソフトに緩やかな速度で潤しながら、「風土の醸成=地域の振興」に結果として寄与してゆく。
そんな、お互いに「ウィン・ウィン」の関係を築くということ、それ自体が世の中全体のヘルスプロモーション(社会における健全・安寧・ウェルビーイング構築)への基礎づくりに繋がるのではないかと思うのです。つまり、ヘルスツーリズムの最終的な目標は、自然と人間との関係性を考え直すきっかけをつくり、その上で新たな社会のあり方を考え土台となることではないでしょうか。
森林セラピー事業において見逃されがちなのは、 癒してくれた森を誰がどのように維持・管理してきたのか、そして未来の人たちへも「癒し場」としての森をどのように継承していけるか、という視点です。 維持・管理し未来へ引き継ぐためには、現代での知恵や工夫が必要です。例えば「都会の縁側」という言葉を地元のブランド言葉にしたのであれば、地産の木材で縁側や縁台をつくって、病院・介護施設、公民館や学校、公園などの公共施設に設置活用していただく事業も同時に考える。
その際はもちろん、地元にある森林組合の協力を仰ぎ、木材と大工職人をワンセットにして売り出す、というようなことも考えられるのではないでしょうか。「無縁社会」が蔓延る都会へ、有縁社会」である過疎地域からの逆提言のシンボルとして「縁側」の輸出プロジェクトです。もちろん、「縁側」が果たしてきた意味や意義を販売理念の筆頭におかねばなりません。
◆景観10年・風景100年・風土1000年
人生の寿命がたかだか100年にも満たない人間社会にとって、この言葉の持つ意味は非常に深いものがあると思います。私達の世代でおこなうさまざまな地域づくりや地域活性化プログラムは、1000年の歴史を刻んできたその土地の風土の上で展開するのです。それだけに、近視眼的な流行りものに安易に手を出す前に、深く、潔く、丁寧に、そして時間をかけて、1000年後の子孫へ引き継ぐ気構えで取り組むことが求められるのではないでしょうか。
「急がば廻れ」、それがブータンの国民総幸福量=GNHの考え方とも共通する精神ではないでしょうか。中国山地に住んでいた私達の祖先は、森と共生した営みの中でどのように「幸せ」を育んできたのか、など、その時代に生きた人々の森との距離感をもう一度とらえ直す。そのことが、ひいては森からの恵みを感じる癒し行為にも繋がり、さらにその先にある風土を形成する森林資源をどのように活用するかというヒントを獲得できるのではないかとも思うのです。
2024年6月27日 発行 初版
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二十歳の時にダライ・ラマ十四世と個人的に出会った事が、世界の山岳・辺境・秘境・極地へのエスノグラフィック・フィールドワークへのゲートウェイだった。その後国内外の「辺(ほとり)」の情景を求めて、国内外各地を探査する。 三十歳代にて鍼灸師と山岳ガイドの資格を取得した後は、日本初のフリーランス・トラベルセラピストとして活動を始める。そのフィールドは、国内の里地・里山から歴史的、文化的、自然的に普遍価値を有する世界各地のエリアである。 また、健康ツーリズム研究所の代表として、大学非常勤講師を務めながら、地方自治体における地域振興のアドバイザーとしても活躍している。 日本トラベルセラピー協会の共同創設者でもある。