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SNSや広告ビジョンにたびたび出る「文豪とアルケミスト」。文字通り文豪をテーマにしたシュミレーションゲームです。文豪本人ではなく、世間が持つ「文豪」の概念を擬人化したキャラクターが登場します。文豪というとお堅いイメージですが、「事実は小説より奇なり」を体現した曲者揃いです。とんでもない史実エピソードが盛り込まれているのも、このゲームの魅力の一つと言えるでしょう。
例えば詩人として有名な中原中也。「文豪とアルケミスト」の世界では酒瓶を携えて、酔っ払いよろしく荒々しい態度で小説家の太宰治に絡みます。一方で彼は詩人の宮沢賢治の大ファンでもあり、尊敬する先生の前では一読者として作品に夢中になる一面も。酒好きなのも、太宰治に絡むのも、宮沢賢治のファンなのも、すべて史実です。また、太宰治の友人の檀一雄という小説家は、中原中也に絡まれる太宰の援護に回り、丸太を構えました。これも実在する人物の話です。登場するキャラクターによっては、史実の方が個性的だったということも少なくありません。彼らは万人に好かれるキャラクターではないかもしれませんが、特定の人を魅了し夢中にする個性があります。創作のキャラクターに負けず劣らず個性的な彼らには、噛めば噛むほど味が出るスルメのような魅力があります。
最近のゲームはプレイヤー同士の交流機能がついているものが多々ありますが、「文豪とアルケミスト」はゲーム内での交流がほとんどありません。しいて言えば「研究報告」といって一方的に文章や公式画像の一部を投稿し、他プレイヤーの投稿を閲覧する機能があるだけです。そのため、SNS等で積極的にプレイヤーを探すなどしない限りは自分のペースで楽しむことができます。
しかし、こういったゲームでは期間限定公開のストーリーやアイテムがつきものです。似たようなゲームをプレイした方は、期間に間に合わずに歯がゆい思いをしたこともあるかもしれません。ただこのゲームでは、全てではないものの自分がプレイする前のストーリーを読んだりアイテムを手に入れたりすることが可能です。特に期間限定公開だったストーリーは、ほぼ確実に後日全プレイヤーに公開されます。そのため、「やり始めるのが遅くて、知らないストーリーがある」という心配は少ないです。
また、実際のプレイではキャラクターを戦わせてレベルを上げる、という操作が主ですが、戦闘場面ではほとんど操作せずにゲームを進めることができます。いわゆる「放置ゲーム」の側面も持っているのです。そのため、手慣れたプレイヤーだと作業の片手間にゲームをすすめることも多くあります。このようなゲームでよくあるのが操作ミスによるキャラクターロスト(キャラクターの死亡などにより操作できなくなること)です。しかし、このゲームでは2021年7月の大型アップデートによりキャラクターロストがなくなりました(注1)。そのため安心して放置することができます。もちろん、戦闘場面を楽しむこともこのゲームの醍醐味です。しかし放置ゲームでは同じ作業の繰り返しが多いため、安心して目を離せるというシステムは、やはり気軽にプレイできる魅力があります。
キャラクターデザインや声優を売りにしているゲームは多々ありますが、このゲームはデザインや声優に「この文豪だからこうした」というこだわりが山のようにちりばめられています。例えば、衣装のデザイン一つをとっても、生前深い関係にあった文豪同士は同じアクセサリーを付けたり同じ系統の服を着たりと統一感があります。また、戦闘場面で使う武器はそれぞれの作品の分野によって振り分けられています。制作側のこだわりが伝わったのか、衣装に造詣が深い一部のプレイヤーの中には、衣装の柄と由来になった作品について考察する人もいました。
声優についても、文豪同士の関係性と声優同士の関係性をリンクさせたような配役が数多く見られます。例えば世間的に仲が良いと評価されている声優は、それぞれ友人・兄弟関係等の配役になりました。意図的であることが公式でも明言されています(注2)。そして、人気声優が多く活躍していながらも2024年5月時点で兼役が一つもありません。ボイス付きのキャラクターが80人以上実装されていることを踏まえると、驚異的とも言えます。そのため、声優のファンからも高い評価を得ています。
また、重厚感あるBGMも大きな魅力の一つです。クラシックベースのBGMは、文豪たちが生きた明治・大正を彷彿とさせます(注3)。また、このゲームはアニメ化も舞台化もされましたが、それぞれオリジナルのBGMを作っています。アレンジバージョンなどで数々の曲が生まれた結果、公式サウンドトラック「文豪とアルケミスト 音樂大全集」で確認できるだけでも音源の数が150になりました(注4)。プレイヤーの中にはBGMファンもおり、中でもゲーム起動時に流れるメインテーマを最後まで聞く人が少なくありません。公式CDのブックレットや生放送では作曲家本人が解説することもあり、制作側がBGMに力を入れていることが伺えます。
「文豪とアルケミスト」は最近のゲームのメディアミックスの流れにたがわず、アニメ化・小説化・舞台化しました。しかしこのゲームはそれだけに収まらず、文豪の記念館とも頻繁にコラボしています。実在の人物をテーマにしていることもあり、運営側からは遺族の意思を尊重する姿勢も見受けられます。そのため、ただの「ゲーム」の枠に収まらない広げ方ができるのです。ゲームの運営側によるものではありませんが、論文で取り上げられることすらあります。元々は文豪と彼らの作品をテーマにしているため、それぞれの資料や作品全てがゲームに関連しているとさえ言えるでしょう。史実由来の要素が組み込まれているだけに、文豪について知れば知るほど「元ネタ」が分かるようになり、より楽しめます。ゲーム関連の供給がこれほど多いと一生かかっても楽しみ切れません。似たような状態にはまってしまったのが、歴代の文学研究者たちです。前例から分かるように、一生かけても文学の全てを堪能しつくすことはほぼ不可能です。すなわち、例えゲームがサービス終了しても一生物の趣味が残ります。
このように「文豪とアルケミスト」は気軽に楽しめるゲームでありながら、末長く楽しめる側面も備えています。決して堅苦しく考える必要はありません。入口も一つではないのです。キャラクターが好き、文学が好き、声優が好き……プレイヤーは様々な理由からこのゲームを始めています。私が書き連ねた言葉が僅かでもその理由になれたなら、こんなに嬉しいことはありません。
注1 文豪とアルケミスト公式サイト参照
https://bungo.dmmgames.com/
注2 「文豪とアルケミスト劇伴音樂集」ブックレット参照
注3 「文豪とアルケミスト劇伴音樂集」ブックレット参照
注4 「文豪とアルケミスト音樂対全集」ブックレット参照
任天堂の数あるゲームの中でも人気な「スプラトゥーン」シリーズ。スプラトゥーンはTPS(サードパーソンシューティングゲーム)といって、操作するキャラクターの後方からの視点でプレイするゲームで、基本的にステージのエリアにインクを塗り合うゲームです。2015年に第一作が発売以来多くのプレイヤーを魅了してきました。今回は700時間以上プレイした筆者がスプラトゥーンの魅力を様々な視点から掘り下げ、ゲームが好きな人や気になっている人に楽しんでもらえる内容を目指していきます。
私が初めてスプラトゥーンをプレイしたのは、従姉妹の家にソフトが置いてあり、遊びに行った時に遊ばせてもらったことがきっかけでした。4対4で構成され、ステージにより多く自陣のインクを塗った方が勝ちというシンプルなルールが印象的でした。スプラトゥーンは誰でもわかるルール、シンプルさが魅力の一つだと思います。そして、マッチメイキングというシステムによって同じウデマエ(レベル)の人たちと対戦するため初心者でも安心して始めることができます。
また対人ゲームと聞いて、中には敵を倒し合うシューティングゲームに苦手意識を持っている方もいるかもしれません。しかし、スプラトゥーンは「塗れば勝ち」というルールなので敵を倒さなくても、長射程武器を使って高いところからエリアを塗ったり、インクや障害物の陰に身を潜めるというのも戦法の一つであったりと、自分に合わせた戦い方ができるのも魅力です。
スプラトゥーンはヒトの姿に変身できるイカやタコがメインキャラクターの世界であり、四頭身ほどの可愛いらしいフォルムで、「マンメンミ!」(ナイスという意味)などといった独特な言語を話します。
空港やショッピングモール、リゾート、温泉、キャンパスなど舞台にした24種類(2024年5月時点で新たに発表されている新ステージも含む)ものステージがあり、私達が住んでる世界と同じような世界観で解像度も高いため、引き込まれるようなリアルさがあります。
戦いを盛り上げるために必要な楽曲ですが、こちらも魅力の一つとなっています。戦いに燃えるような音楽、お祭り気分なノリノリな音楽、残り30秒でプレイヤーを焦らせるような音楽など素晴らしい楽曲がたくさんあり、公式がゲーム音楽の生演奏を定期的にライブ公演したり、サウンドトラックを発売したりと楽曲需要も高いのです。
戦いに欠かせない武器の種類も豊富で、ユニークな形をした武器が何十種類もあり、中でも衝撃的だったのが「オーバーフロッシャー」(通称お風呂)と呼ばれる浴槽型の武器で、インクが泡となって出てくる武器や、長射程武器の中では高圧洗浄機の形をした武器など私達の世界にあるものが武器となって登場します。また、ギアと呼ばれる服や帽子、靴などがありオシャレも楽しめちゃうのです。私のおすすめなオシャレギアは、ニット帽に大きめのセーターで、萌え袖をしているイカタコちゃんがとっても可愛く、愛着が湧いてきます。このように、幅広いカスタマイズ要素から自分だけの戦略、スタイルを作り上げることができ、スプラトゥーンのゲームの世界で個性を反映し見出すことができます。
スプラトゥーンは基本的なルールとしてたくさん塗った方が勝ちという「ナワバリバトル」が有名ですが、他に中級者に向けた「バンカラマッチ」や、一定のウデマエに達すると解放される上級者向けの「Xマッチ」があります。この二つのマッチでは、ステージの中心にある決められたエリアを塗って、一定時間確保したら勝ちというルールの「ガチエリア」や、移動するヤグラに乗って相手陣地までヤグラを運んだら勝ちというルールの「ガチヤグラ」、ホコを持って相手陣地まで運んだら勝ちというルールの「ガチホコバトル」、相手陣地にあるゴールに散らばったアサリを多く投げ入れたほうが勝ちというルールの「ガチアサリ」の4つのモードが時間帯によってランダムで遊ぶことができます。「ナワバリバトル」と違って、負けるとウデマエが下がってしまい、勝つとウデマエが上がるシステムなのでより熱いバトルが繰り広げられます。
スプラトゥーンには定期的に開催されるフェスというものがあります。フェスの時期になると街はお祭り騒ぎになり、特別な演出があったり景色も普段とは一変し、より鮮やかな雰囲気になります。例えば「アイスといえば?」というお題に、バニラVSストロベリーVSチョコミントと3つの中の好きなチームに投票し、それぞれ分かれて戦い、勝利したチームはレアアイテムをゲットすることができます。自分の好きな勢力に参加し対戦することで、イベントを通じてプレイヤー同士で協力する楽しさを感じることができます。筆者がプレイしていて遊び心があるなと思ったところは、マッチした時に勝手にゲーム側がチーム名をつけてくれるシステムがあり、チーム4人の武器やギアの共通点からつけてくれます。例えばシューター武器でイカ4人チームだと「シューターイカ軍団」とつけてくれたり、それぞれが違う武器のチームだと「バラエティ武器同好会」とつけてくれます。一部では共通部分を意図的に増やしチーム名をどれだけ長くできるか選手権を開催しているのだとか(笑)チーム名がつくことによってクスッと笑えたりチームの団結力が高まるため、フェスを盛り上げる要素の一つといえるでしょう。
フェス期間でなくてもフレンドとの通信機能があり最大8人で通信が可能です。チームになって戦ったり、時にはライバルとして対戦することができます。また、プライベート部屋とよばれるフレンド内での対戦では独自でルールを作ることができ、バトルだけでなく、ステージの障害物を利用してかくれんぼや、インクでお絵描き、スプラトゥーンに備わっているカメラモードを利用してステージ内で一緒に写真をとったり独自で様々な遊び方を生み出すことができます。カメラモードにはドローン撮影やタイマー機能、フィルター機能など他にも充実した機能がついているのでいろんな場所で映え写真を撮ることができます。プライベート部屋の遊び方は無限大なのです。
スプラトゥーンは初心者に優しく、独特でリアルな世界観が魅力的なゲームです。インクを塗るというシンプルなルールに豊富なカスタマイズ要素、様々なゲームモードがあり誰でも楽しめるゲームです。ただインクを塗りあって敵を倒すゲームではありません。様々な戦略性やチームで協力してプレイする面白さがたくさん詰まっています。筆者もスプラトゥーンの沼にハマり、ゲームのリアルさや面白さからインクの幻覚や幻聴が起きてしまった事が何度があったのでハマりすぎに注意です。
ぜひ一度、皆さんもインクの世界に飛び込み、無限大な遊び方を探してみてください。きっとスプラトゥーンの魅力に引き込まれることでしょう。
・任天堂「ギモン解消 教えて!スプラトゥーン」(2024年5月23日閲覧)https://www.nintendo.com/jp/software/feature/splatoonqa/index.html
2024年7月26日 発行 初版
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ゲーム好きの大学生。新しくリリースされるゲームとサービス終了間際のゲームに追われて、いつもスマホの容量がギリギリになっています。容量と時間が欲しいです。