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スポーツ観戦の形の多様化

まるた、バヤシ

二松学舎大学



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 目 次

野球観戦の〝いま〟―ベルーナドーム編―

スポーツ観戦のおもしろさ

野球観戦の“いま”
―ベルーナドーム編―

まるた

野球観戦の〝いま〟―ベルーナドーム編―

まるた

 2023年3月、野球の日本代表「侍ジャパン」がワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界の頂点に立ち、日本のプロ野球に注目が集まっている。そのような中、同時期に北海道の北広島市に「エスコンフィールドHOKKAIDO」という球場が新たに開場し、その球場の内部の構造や観戦の形に注目が集まった。今回はそういったいわゆる「ボールパーク化」を果たした球場での新たな観戦の形の事例として、2021年3月に大型改修を終えた、「ベルーナドーム」を挙げていきたいと思う。
 ベルーナドームは埼玉県の所沢市に所在している、埼玉西武ライオンズの本拠地となっている球場である。この球場では、2019年から2021年の約3年間にわたって改修工事が行われ、大きく姿を変えて選手や我々ファンを出迎えることになった。改修工事によって変わったことの主な内容としては、座席の形(芝生であった場所が通常の椅子に変化した)であったり、バックスクリーンのビジョンのサイズが大幅に大きくなったりなどが挙げられるが、ここではまた別の内容として2つ挙げたい。
 まず1つ目は大規模にリニューアルした飲食店と、球場の外周路である。改修以前の飲食店の店舗数はあまり多くなかったが、改修後は77店舗と日本の球場では最大級の規模となった。また、改修以前は一塁側と三塁側間で行き来ができなかった外周路がつながって通行できるようになった。こうしたことによって、ドームでありながら火を使った料理を提供できる利点も生かし、野球を観ること以外の楽しみ方として飲食を前面に押し出せるようになったのである。
 2つ目に「テイキョウキッズフィールド」や「トレイン広場」をはじめとする、野球とは関連性の薄い施設や建造物の設置である。はじめに「テイキョウキッズフィールド」は、その名の通り子供が遊べるような遊具が建ち並ぶ広場であり、試合を観戦すると同時に子供たちには別の楽しみを提供できる。そして「トレイン広場」は、こちらもその名の通り電車の車両が設置されており、シンボル的な存在になっているほか、中に入ることもできる。運転席に設置されているボタンを押すと、音の演出を楽しむこともできる。このような施設や建造物ができたことによって、野球以外のアミューズメント施設としての性質も高めることができるようになったのである。

スポーツ観戦のおもしろさ

バヤシ

スポーツ観戦のおもしろさ

バヤシ

近年、新型コロナウイルスが収まり、いろいろな場面で制限が解除されていく中、新型コロナウイルスが流行する前よりもスポーツ観戦が人気になりつつあるように思う。これは良いタイミングでサッカーワールドカップや野球のWBC(ワールドベースボールクラシック)が開催されたのも後押しされてのことだろう。これらの影響で「自分もスタジアム・現地で観戦したい!」といった人が多くなっていた。

スポーツ観戦の醍醐味 ①競技以外のコンテンツ

ここではスポーツ観戦の何が面白いのかを解説しようと思う。これを読んで少しでも行ってみたいなと思ってもらえたら幸いである。
 最近のスポーツ観戦は、どのスポーツにも共通するタイミングがあるのだが、「競技やプレーを通して全部は見ない時間」が比較的増えているように思える。このような現象が起きている要因として、一番にスタジアムグルメの発展があげられると思う。昔からスポーツ観戦の場において飲食もついてきてはいたが、最近では有名な飲食店とのコラボ商品を展開したり、ホームチームの選手とスタジアム内の飲食店がコラボして、選手監修のメニューを出したりと飲食のレパートリーや厚みを出してきている。見に来たファンは「体験」としておいしいグルメを食べたり、推しの選手のグルメを楽しんだりしている。
 もうひとつ、競技観戦以外の体験でイベントや催しごとを行うことがある。私の贔屓球団である千葉ロッテマリーンズでは、入場特典としてユニフォームがもらえたり、夏の期間は「BLACK SUMMER WEEK」と題して試合前に特別ゲストが始球式を行ったり、夏限定のユニフォームで選手が試合を行ったり、夏祭りとしてスタジアムの周りで出店や屋台、太鼓のパフォーマンスを行ったりと野球の試合以外でも他のコンテンツを楽しんでもらう「消費体験」のヴァリエーションが増えてきているのだ。

スポーツ観戦の醍醐味 ②応援

そして私が一番スポーツ観戦をしていて面白いと感じる体験・行動として紹介したいのが、「応援」についてだ。スポーツ観戦をしていると必ず応援の声が聞こえてくるだろう。サッカーだと「チャント」、野球だと「応援歌」が応援団によって歌われているのだ。私が野球やサッカーを観に行く理由になったのが、マリーンズのありえないくらい大きい声量の応援、柏レイソルのピッチと観客席が近いが故の白熱した応援に惹かれたことが理由である。もちろん競技自体の面白さが元来からあるのはよく理解しているが、それをもっと引き立たせているのが応援であると思う。 
 では応援の何がよいのかということを深堀りしていこうと思う。まず1つ目は声量による迫力である。先ほども述べた私の贔屓球団、千葉ロッテマリーンズ(以下マリーンズ)の応援はプロ野球12球団でも随一の声量と迫力があることで有名だ。
 例えば個人個人の応援歌で有名なものが荻野貴司選手(背番号0)の応援歌である。キャッチ―なメロディーに合わせてスタンドの観客が飛び跳ねながら熱唱するのだが、マリーンズファンの声の大きさと歌詞のかっこよさ、ジャンプすることによって生まれる迫力から他球団のファンでもこの応援歌を好むという人がいるくらいである。
 また外国人助っ人のネフタリ・ソト選手(背番号99)の応援歌があるのだが、これが今巷で話題を呼んでいる。ただ「バーモネフタリ……バーモネフタリ……オオオ……ソト!!!」をただひたすら繰り返すだけの応援歌なのだが、これがあまりにも癖の強い雰囲気を醸し出しており、プロ野球ファンの間で「ネフタリ教」と呼ばれているのだ。
 そしてチャンスを作った時に不定期で演奏される「チャンステーマ」がマリーンズの応援のなかで最も有名な応援とされている。チャンスが相まって観客のボルテージが最高潮になり、応援の声も選手の応援歌の倍は出ているだろう。これに魅了されたファンも多く、マリーンズのチャンステーマは野球界ではかなり有名な物とされている。守備をしている相手の選手もマリーンズの応援がかなりのプレッシャーを与えているという選手もいるそうだ。また高校野球の応援でもマリーンズの選手の応援歌やチャンステーマを採用している高校が増えているようで、人気の高さがよくわかる。
 そして2つ目がファンの一致団結力である。それが顕著に表れているのが、ビジター主催試合(ホームのZOZOマリンスタジアムで行わない試合)のスタンドのファンの多さである。平日にもかかわらず相手のファンと同じかそれ以上のファンが押し寄せることもあり、ホームと同じくらいの声量で応援をしている。
 また点差がかなり離れ、チームが負け試合濃厚な場合でも試合が終わる最後の最後まで大きな声を出して選手を鼓舞しているという姿がよく賞賛されている。選手にとって負けていても応援があると頑張れるというのは少なからずあるらしく、まさに野球ファンの鏡と言えるだろう。
 たったこの2つだけの要素なのだが、これらに魅了されるファンはたくさんおり、応援が好きだからマリーンズのファンをやっているという人もいたりする。私もその応援に魅せられた一人であり、これからもマリーンズを応援しようという気持ちは絶えず続いていくだろう。

さいごに

スポーツ観戦は敷居が高いとよく言われるが、全くそんなことはない。誰もが楽しめて、誰もが思い出を作ることができる素晴らしい余暇活動だ。球場やスタジアムの雰囲気というものはテレビでは伝えきれない迫力や緊張感が味わえると私は思う。行きたいと思うきっかけはなんだってよいと思う。出身高校がたまたま自分と同じ人がスタメンだから、噂の応援を聞きに行きたいから、ニュースで毎日話題になっているから、友達に無理やりつれて来られたから。私の綴った想いを読んで、少しでも「スポーツ観戦に行ってみたいな」と思ってくれれば幸いである。

スポーツ観戦の形の多様化

2024年7月26日 発行 初版

著  者:まるた、バヤシ
発  行:二松学舎大学

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