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みなさんこんにちは、ネット音楽の世界へようこそ。
まずネット音楽とひとくくりに言っても、近頃は色々な種類の音楽がネットにあるため、ここではインターネット上で音楽活動をしているアーティストが制作したものをネット音楽と位置付けようと思う。
ということで、本稿を読んでいるみなさんの中にはネット発アーティストが好きだ、歌ってみたが好きだという人、反対に全く知らないという人がいるだろう。そんなみなさんはネット音楽にどのようなイメージを持っているだろうか。最近よく流行っているものだ、難しそうな曲が多いなど、多くの意見が飛び交うだろう。安心してほしい、ネット音楽とはそういうものである。
そもそもネット音楽は、プロではないが楽曲作りが得意だという人がボーカロイドなどの歌手を使用して動画投稿サイトに曲をあげたことが始まりである。そんな小さな個人の承認欲求が今では大勢の心を動かすような存在に発展していった。本書ではそんなネット音楽を代表する者を取り上げ、どのような活躍を行なっているのか、どんな魅力があるのかを記していきたいと思う。
ネット音楽を代表するものは多くいるが、今回は「まふまふ」を取り上げようと思う。
まふまふは2010年からボーカロイド曲をカバーする〝歌ってみた〟動画を動画共有サービスに投稿し、2012年から自身のオリジナル曲を発表し、ボーカリストだけでなく、作詞、作曲、編曲、エンジニアリングを行うマルチクリエイターである。2021年にはネットの世界を飛び出して「第72回NHK紅白歌合戦」に出場し、カンザキイオリの「命に嫌われている」を披露。そして2022年に単独での東京ドーム公演を成功させた。5月16日現在YouTubeのチャンネル登録者数が350万人を超えており、代表曲として、歌ってみたでは「命に嫌われている」、オリジナル曲では「夢のまた夢」「女の子になりたい」が挙げられる。
まふまふの大きな特徴はなんと言っても男性とは思えない高音ボイスである。しかし今回は書籍でその声を聞かせることができないため、声ではなく〝歌詞〟に着目して記していこうと思う。高音ボイスが気になるという人は一度立ち止まってぜひ本稿を読み切った後で聞きにいってほしい。
さて、まふまふが作る曲の主なテーマは〝いじめ〟や〝うまくいかないこと〟など、世間から否定的に捉えられるようなものが取り上げられる。ここまでは普段のJ-POPでは少ない方ではあるものの、まだあり得るテーマだと思うが、それだとまふまふが人々から評価されている理由にはならない。
以前、まふまふの活動10周年を記念して「まふまふ楽曲総選挙」という企画が開催された。まふまふのリスナーが投票し、その得票数でランキングされるというものだ。その際に「心に響いたあのフレーズ(歌詞)」という項目があり、数多の楽曲の歌詞の中で上位に選ばれたフレーズがある。
3位にランクインしたのは「夢のまた夢」の一節。
〝こんなゴミのような世界でも ボクは好きでたまらない〟
2位は「生まれた意味などなかった。」の一節。
〝死にたいかと言われりゃ 特に死ぬほどの孤独でもないが 生きたいかと問われたら 何も言えない〟
そして1位は2015年に投稿された「林檎花火とソーダの海」という楽曲の一節。
〝誰かの涙でできたソーダを飲んで 笑えるような大人になりたくないな〟
これだけ見ても普段、世間で聞くような楽曲にはないような言葉やフレーズが飛び交っているランキングであるが、ここで押さえるべき点はそこではない。これらのフレーズは全て〝肯定的ではない〟ということだ。
よく聞く「生きてたらいいことあるよ」というようなセリフもそれは偽善でしかなくて、なんの根拠もなく未来はいいものになると決めつけているうざったい言葉に感じる。しかしまふまふの言葉は未来なんてものはわからないけど、今ここに君の居場所はあるよと寄り添ってくれるように感じる。その理由としてまふまふは過去にいじめを受けていたことがあるそうだ。その時の苦しみ、痛みを楽曲で表現しており、いじめられていた当時に自分が聞きたかった、投げかけてほしかった楽曲を制作していると語っている。
さあ、ここでもう一度先述したフレーズを見返してみようと思う。どうだろう、言葉の重みが先ほどと全く違うのが感じられるだろうか。
これが、ネット音楽の魅力なのである。
歌詞の深読みで意味が変わることなんて、J-POPにも溢れているという人もいるだろう。もちろんその通りだ。しかし、ネット音楽の最大の特徴はまえがきでも記したが元は〝承認欲求〟であるということだ。もっとわかりやすく言うと、自分のうちに秘めた思いをなんの制限もなく表現できることであると考えている。
テレビでの放映とネットでは全く違う。あいみょんの「貴方解剖純愛歌〜死ね〜」という曲は曲名や歌詞に「死ね」とあったり、曲が「あなたの両腕を切り落として」から始まったりなど過激な内容のため、テレビでは放送NGとされているがYouTubeでは問題なく再生できる。Adoの「うっせぇわ」もこれに似たものを感じる。テレビにはコンプライアンスなどの制限があるため、自分の作りたい音楽が作れないことがあるように思う。ネットでは見る見ないは個人の判断となるため規制は少なく、思う存分自分の世界を曝け出すことができ、それに共感した、好きだと感じた人が見るだけである。
売れる売れないに関係なく、自分のやりたいことをとことんやり通す。それがネット音楽の良さであり、本来のアーティストの姿を形取っていると言えるだろう。
さて、ネット音楽の世界はどうだっただろうか。
本稿でネット音楽に興味を持った人はぜひ、様々な楽曲を聴いて好きなアーティストを見つけてほしいと思う。ボーカロイド楽曲を制作するボカロP、ボーカロイド楽曲をカバーする歌い手の他にも、テレビで活躍しているようなアーティストの楽曲も多くある。必ず、好みにあった音楽やアーティストが見つかるだろう。
あなたがこの世界に染まることを楽しみにしている。
まふまふちゃんねる - YouTube
https://www.youtube.com/@uni_mafumafu
まふまふ10周年記念「楽曲総選挙」
https://mafumafu-10th-anniversary.com/
私は好きな音楽がたくさんある。だがマイナーなものが多い。だが知ってもらいたい。それは当たり前の欲求であろう。なのでボカロ編、ヴェイパーウェーブ、フィーチャーファンク編、その他編と分けて曲を紹介する。
私はボーカロイドの2012年ごろからの愛好者だ。もはや初期となったこの時期の曲を紹介する。
魔法少女幸福論 (ニコニコ動画)
https://www.nicovideo.jp/watch/sm20503130
「トーマ」の活動時期は実は短い。最終作としてあげられたこの曲はハイクオリティなPVはもちろんのこと、トーマ持ち味の高速造語歌詞が繰り広げられる。
そして、「生まれ変わらせて」という歌詞が出てくるあたり、出した時点でボーカロイド活動に区切りをつけようとしていたのだろうか。リンクはニコニコ動画だがいまだ公式でのYouTube投稿はない。
【初音ミク(1640メートル)】 タイムマシン 【オリジナル】 (ニコニコ動画)
https://www.nicovideo.jp/watch/sm12098837
こちらは「スカイツリー」建設完了前に登場した曲である。
歌詞が上京ソングだと思われるので「Project DIVA Arcade」でも、スカイツリー建設後だが上京シーンが描かれている。
「ウェイパーウェーブ」はもはやあまり人気ではないのかもしれない。しかし一時期は本が出たりと活発で 派生ジャンルも多く出ていた。
real sound「世界初となるヴェイパーウェイヴのディスクガイド『新蒸気波要点ガイド』発売へ」
https://realsound.jp/book/2019/10/post-435377.html
ヴェイパーウェイヴの本の詳細。
note. Dr.ファンクシッテルー「いまさら聞けない「フューチャーファンク(Future Funk)」って何?」
https://note.com/drfunk/n/n1ee1f540f1fe
フューチャーファンクの理解の助けになりそうな記事。
SQUΛD GOΛLS - Future Funk DJ Mix「(YouTube)」
https://www.youtube.com/watch?v=tbWS0j2fulY
曲数が極端に多いのでまずはこちらを参照してもらいたい。
左記は有名曲のリミックスである。「フューチャーファンク」は曲数が特に多い。
リサフランク420/現代のコンピュー
https://www.youtube.com/watch?v=aQkPcPqTq4M
まず「ヴェイパーヴェーブ」というジャンルを一躍有名にしたのがリサフランク420の「現代のコンピュー」だろう。これはアルバムの一曲で、表題曲である。このアルバムは名盤とされていて、他の曲もこの翻訳のような曲名である。
ミカヅキBIGWAVE Adventure アドベンチャーhttps://www.youtube.com/watch?v=GyahyDgF9hw
こちらは個人的にお気に入りの曲である。どちらかというと「フューチャーファンク」だ。アルバム曲の一つだが、変身音のようなサンプリングが効いている。この曲の作者は日本人だ。なぜそう書いたかというと、ウェイパーウェーブもフィーチャーファンクも外国主体のジャンルだからだ。インタビューも存在する。
IndieGlub 「【INTERVIEW】ミカヅキBIGWAVE『海辺のSENTIMENTAL』」
https://indiegrab.jp/interview/87663/
正直ここからが重要である。
ハカハカイプリンセス (Prod. Shogo Nomura) /りむる(CV:(をとは)
https://www.youtube.com/watch?v=YUguyTvNyJM
「電音部」を知っているか。
「電音部」は近未来の女子高生が音楽でつながる……という作品だ。詳しくは「はじめての電音部」を参照してほしい。
電音部 「はじめての電音部」
https://denonbu.jp/first-step
その中の一曲がこの「ハカハカイプリンセス」だ。強烈なキャラソン的楽曲である。
りむるは「分散型自立ゴーレムりむる」として音声ソフトにもなっている。
https://denonbu.jp/reml
KOTOKO「Face of Fact」(LIVE)(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=Mhr3DPwZO1k
I've Soundの合法な音源はネット上に少ない。理由を説明すると、I've Soundは、アダルトゲームの曲をよくリリースしていた。だがアダルトゲーム会社は倒産も昨今多くなっており権利がクリアではない曲も多数存在する。
「KOTOKO」は有名でメジャーデビューしていることもあり、権利関係がしっかりしているのかライブ動画がある。
正直私なりに聴いてほしい音楽を紹介したがいかがだろうか。もし興味があるならぜひ聴いてみてほしい。
2024年7月26日 発行 初版
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