spine
jacket

───────────────────────



日本ホリスティック医学協会
広島事務局の記録

清水正弘

深呼吸出版



───────────────────────


目 次

ホリスティックという言葉とは

二〇一〇年四月十一日・広島事務局再生
事務局長就任時のプロフィール
広島事務局再生への準備(健康フォーラム開催など)

二〇〇九年開催・健康フォーラム
二〇一〇年一月十三日(協会福岡支部の主催)
二〇一〇年〇三月〇五日・津谷先生による健康セミナー開催
二〇一〇年四月十九日健康フォーラム開催

 協会発行の冊子への寄稿文・その1
  ヒマラヤから里地・里山まで 『心身の養生場づくり』

二〇一〇年七月帯津先生による健康フォーラム開催
二〇一〇年八月十四日・ホリスティックコンサート開催
二〇一〇年十一月十二日・城仙泰一郎先生セミナー
二〇一一年一月・心を癒す花の療法セミナー
二〇一一年三月二十五日・世界のホリスティックライフ(ブータン)

二〇一一年五月二十六日 アユールべーダ医学セミナー
二〇一一年七月十日 帯津先生フォーラム・自然治癒力の源泉とは
二〇一二年三月三十日・ドイツ自然代替療法について 
二〇一二年五月十六日・ダッピしてハッピに 野中春樹先生
二〇一二年五月・農園療法現地ツアー・清水事務局長
二〇一二年七月八日・帯津先生第二回目健康フォーラム

 帯津先生への提案書・ヒマラヤ養生塾開設にむけて

二〇一二年八月・森のセミナー
二〇一二年十月・宇土先生による健康セミナー
二〇一三年一月・今田先生による健康セミナー
二〇一三年四月・東條先生による健康セミナー
二〇一三年五月・カルキさんによる健康セミナー
二〇一三年六月・ラーダ・クリシュナさんによる健康セミナー

二〇一三年八月・タイ古式マッサージ健康セミナー
二〇一三年十月・森の中でのヨガ健康セミナー
二〇一四年四月・禅僧(壇上和尚)による健康セミナー
二〇一五年(三回連続講座) 講師・壇上和尚
二〇一五年(三回連続講座) 講師・カルキ先生

 協会発行冊子への寄稿文・その2
 『関係性の“場”から湧きいづる幸福感とは』

二〇一六年(三回連続講座)講師・越智先生
二〇一六年(三回連続講座) 講師・清水事務局長
二〇一七年(三回連続講座) 講師・野沢綾子先生
二〇一八年(三回連続講座) 講師・壇上和尚&大島衣恵先生
                         (能楽師)

ホリスティックという言葉とは

Holisticという言葉は、もともとホーリズム(holism)※1の形容詞から生まれました。ギリシャ語のholos(全体)を語源としていて、そこから派生した言葉にwhole,heal,holy,health…などがあり、健康(health)という言葉自体がもともと『全体』に根ざしています。

現在、「ホリスティック」という言葉は、「全体」「関連」「つながり」「バランス」といった意味をすべて包含した言葉として解釈されています。的確な訳語がないため、そのまま「ホリスティック」という言葉が使われていますが、意味する内容は決して新しく輸入された考えではなく、もともと東洋に根づいていた包括的な考え方に近いものといえます。

人間の生を「いのちの営み」として、ありのまま全体を見つめ、限界や欠如も含めて尊重する姿勢がホリスティックであり、ホリスティック医学をひと言でいうならば、人間をまるごと全体的にみる医学といえます。健康や癒しとは本来、身体だけでなく目に見えない精神・ 霊性も含めた人間の全体性と深く関係があります。これは、病気だけに限定されるものではなく、人生の中の生老病死というステージを考え、病を癒 していくなかに関連する、あらゆる分野の「癒し」も大切に考えるということです。  

したがって、ホリスティックな健康とは、「病気でない状態が健康である」という否定的な 定義や「血液や尿や細胞組織の検査結果が正常値の範囲以内であれば 健康である」という消極的な定義ではありません。『 精神・身体・環境がほどよく調和し、与えられている条件において最良 のクオリティ・オブ・ライフ(生の質)を得ている状態 』を健康と考える、より積極的な状態のことです。

※1 ホーリズム(holism)
1926年にジャン・クリスチャン・スマッツという思想家が「ホーリズム(holism)と進化」という著作の中で「holism」の形容詞として、初めて「Holistic」という造語を使いました。これは、アリストテレスの「全体とは部分の総和以上のなにかである」という表現に代表される還元主義に対立する考え方で、臓器や細胞などといった部分に分けて研究し、それを総合したとしても、人間全体をとらえることはできない。現実の基本的有機体である全体は、それを構成する部分の総和よりも存在価値があるという理論であり、同時に、一固体は孤立に存在するのではなく、それをとりまく環境すべてと繋がっていると考え方です。

(日本ホリスティック医学協会よりの抜粋)

二〇一〇年四月十一日・広島事務局再生

日本ホリスティック医学協会・広島事務局の初代事務局長は、津谷内科呼吸器科クリニック理事長の津谷隆史先生であった。

■ 津谷先生のプロフィール

広島大学医学部第二内科助手・スウェーデン カロリンスカ研究所、中国労災病院 呼吸器科部長を経て平成12年 津谷内科呼吸器科クリニック開設。現在は理事長職。※医学博士※日本内科学会認定内科医※日本呼吸器学会専門医、指導医※日本医師会認定産業医※日本渡航医学会 認定医療職

津谷先生の後、事務局長を引き継いだ山本医師の死去により、一時期広島事務局は閉鎖となっていた。

事務局長就任時のプロフィール

新事務局長・清水正弘プロフィール

1960年兵庫県姫路市生まれ。「健康」と「山歩き」「旅」のプロとして国内外での「健康山歩き講座」を企画・同行したり、紀行作家として旅エッセイやガイド本を発表したりする、マルチ分野の行動人。北極点到達やエベレスト遠征、タクラマカン砂漠踏査や河口慧海師の足跡を訪ねる調査隊に参加したりと、その活動範囲は地球サイズである。20歳の時、ダライ・ラマ14世に個人的に出逢ったことが、世界の山岳辺境・秘境地域への限りない情熱の源泉となる。

鍼灸師・日本ホリスティック医学協会会員・日本山岳ガイド協会認定登山ガイド・
日本ユニセフ協会広島支部・評議員・同志社大学探検会・山岳会会員

■ 著書

「アジアの聖地はどこかアヤシい」青春文庫
「イラストで歩く・広島の山へ行こう!」 南々社(共著)
「イラストで歩く・関西の山へ行こう!」南々社(監修)
「イラスト版・広島の里山を歩こう!」南々社
「旅の達人・地球を歩く」南々社

■ ホリスティック的ライフスタイルの重要性

現在私が、日本よりの訪問団を数多くコーディネートしているヒマラヤの国・ネパールでは、政治・経済状況は国際的にみても充実度が高いとはいえないでしょう。しかし、住民の多くの「幸福感」の獲得度においては、日本を含めた先進国諸国に居住している住民よりも確実に高いと感じるのです。

それは、人間の「幸福感」というものは、社会的システムのインフラ整備や書面上の法整備などの確立や拡充に起因する以上のものがあるからだと思います。世界の辺境や秘境と呼ばれる土地に住む人々の多くは、大自然の厳しさと優しさに常に対峙した生活を送っています。母なる大地からの恩恵を謙虚に享受すると同時に、自然の畏怖心を喪失してはいません。

そして、人間と人間の絆という、目には見えない、「安心のセイフティーネット」が、彼らの幸福感の下支えをしているのでしょう。さらには、共同体レベルで共有する「霊性を重んじる生活」が、幸福感の密度を濃くしていると強く感じられます。

彼ら、世界の辺境や秘境に住む人々の生活にあって、私たちの住む日本の現代社会にないものは、
「てごたえのある幸福感」ではないかと感じます。私たちは、大量な生産・大量の消費・大量に流れる情報・大量に発生する苛立ち、そして大量に喪失する幸福感という、現代社会が抱える見えない病理に苦しんでいるのではないでしょうか。

私がこれまでに訪問してきた、ヒマラヤの山麓の遊牧民やグリーンランドの極寒の漁村、インドネシア領ニューギニアのジャングルに住む高地人などなど、自然と対峙しながら「霊性」を重んじる人々の生活から、現代社会の病理解析、解決へのヒントを見出すことができるのではないかと思います。

私は、そのような「霊性」を重んじる人々の生活の場所への旅を、これまでも企画実施してきました。それらの旅は、現代における「転地療法」でもあり、「養生の旅」であると自負しています。これからも、ホリスティック的ライフスタイルの提案者であり続けたいと願っています。

広島事務局再生への準備(健康フォーラム開催など)

二〇一〇年四月に広島事務局を再生させる準備段階として、さまざまな話し合いなどがおこなわれていた。その上で二〇〇九年に健康フォーラムという名目にて、事務局再生前の告知的な記念行事開催を予定した。

この健康フォーラムの開催には、当時の日本ホリスティク医学協会福岡支部からの協力もあり、講師は鹿児島県指宿にて開業されている女医の原田先生であった。会場は、広島まちづくり交流プラザ(百十名収容)であった。

二〇〇九年開催・健康フォーラム

タイトル:
自然治癒力を高め、健康に生きる!

講師:原田美佳子
プロフィール:
 財団法人メディポリス医学研究財団附属医院院長。大分県出身。熊本大学医学部卒。日本外科学会専門医、鹿児島大学心療内科臨床教授、アリゾナ大学統合医療アソシエートフェロー。熊本大学小児外科・移植外科、熊本市民病院外科、帯津三敬病院などを経て、2007年より現職。

講演要旨:
 医学の発達により、感染症や救急疾患・外科手術などの治療法が飛躍的に進歩した一方で、アレルギー疾患・生活習慣病・こころの病気など、西洋医学のみでは対応できない病気が増えてきています。アリゾナ大学のアンドルー・ワイル博士は西洋医学一辺倒の現状に警鐘を鳴らし、生活習慣を改善し、適切な健康法や治療を取り入れる「統合医療」を提唱しています。

現代の生活は、飽食・運動不足・情報過多・人工的な空間などに代表されますが、食生活を変え、適切な運動を行い、自然と親しみ、ストレス解消法を知り、リラクゼーションを日常的に行うことで、生活の質が変化していきます。また、病気になった時も、やみくもに病気を排除するのではなく、病気のもたらす意味に気づき、人間に生来備わっている「自然治癒力」を高めることで、病気に様々な側面からホリスティック(全人的)に対応していきます。今回は、すでに全米40以上の医学部で正式カリキュラムとして採用されている統合医療の内容と、メディポリス指宿での実際の取り組みをご紹介します。

二〇一〇年度における企画案

二〇一〇年一月十三日
(協会福岡支部の主催)

心の治癒力の上手な引き出し方

講師:黒丸尊治

※広島事務局再生への序章として、会場は広島市内だが、主催は協会福岡支部というスタイルにての開催となった。講師にお呼びしたのは、元・日本ホリスティック医学協会会長の黒丸先生であった。このイベントのことを、清水が代表を務める会のブログにて記載されている。

昨日の午後は、日本ホリスティック医学協会の健康フォーラムが、広島市西区区民文化センターでおこなわれました。この健康フォーラムは、一年に4回開催しています。今回は、彦根市立病院のがん緩和科の部長で、日本ホリスティック医学協会関西支部長の、黒丸先生を講師にお招きし、ご講演と実践(ホリスティック・コミュニケーション)をご紹介いただきました。上の写真は、その実践編の際の写真です。参加者は約60名の方々でした。いつものように、私は司会を務めさせていただきました。ご講演のレジュメの一部をご紹介しましょう。

■ 心の治癒力の上手な引き出し方
  ~ホリスティックコミュニケーションの実際~

1)心の治癒力とは

 1,自分を癒す力   2,身体症状や病気を改善させる力
 3,問題を解決する力 4,困難を乗り越える力 5,幸せを感じる力

2)心の癖を知る

 1,人は誰でも様々な思いこみを持っている 
 2,問題が出てくると、その原因に目を向けようとする 
 3,人は瞬時に快か不快かを感じることができる 
 4,努力しなければ問題は解決できないと思っている
 5,相手に問題がある場合、なんとか相手を変えようと思う 
 6,「できそうもない」と思うことはできない 
 7,いつもしていることは癖や習慣になる

3)心の治癒力を引きだすためのポイントを知る

 1,人は認めて欲しい、わかって欲しいと思っている 
 2,「べき」思考が緩むと、気持ちが楽になる 
 3,「できていること」に目を向けると快が生まれる 
 4,うまくいっているイメージが持てると快が生まれる 
 5,質問の仕方により、目を向けるところが変わってくる 
 6,「それならできそうだ」と思えることはできる 
 7,行動を起こすと、ものの見方や考え方、感情に変化が現れる 
 8,成功体験の蓄積により、ものの見え方が変わってくる
 9,知らない情報や意外性のある話は、その人の考え方に影響を及ぼす
 10,努力ではなく「きっかけ」により人は変わる
 11,人は褒められたり、よい評価をして欲しいと思っている 
 12,快不快刺激は、免疫系や自律神経系にも影響を与える 
 13,感謝の思いが持てるようになると人は変わる

二〇一〇年〇三月〇五日・津谷先生による健康セミナー開催

2010年03月05日 日本ホリスティック医学協会 広島地区主催

健康セミナー(当日の案内文面より)

演題 : 早寝 早起き 良い習慣 ~睡眠障害と生活習慣病~

講師 : 津谷隆史先生   津谷内科呼吸器科クリニック院長
     元・日本ホリスティック医学協会広島事務局長

■本日のスケジュール
■日本ホリスティック医学協会 紹介映像の上映 (5分)
■開会のごあいさつ       清水正弘   
日本ホリスティック医学協会広島地区運営委員

■健康セミナー ご講演     津谷隆史先生 (90分)
    ※ 配布資料をご参照下さい。

■ 質疑応答                  (10分程度)
■日本ホリスティック医学協会広島地区からのご案内

※セミナー終了後は、有志参加にての懇親会なども予定しています。ぜひ、ご参加下さい。
※受付時にお渡ししている、ご来場者カードをご記入されましたか?今後、各種フォーラムやセミナー、また関連行事などのご案内を差し上げます。

※下記は、当日のレポート文から。

本日、日本ホリスティック医学協会・広島地区主催の健康セミナーがありました。講師には、牛田にある津谷クリニックの理事長である津谷先生に来ていただき、睡眠障害と生活習慣病との因果関係などについてお話をいただきました。さらに先生は、イランの毒ガス被害者への支援活動も展開されており、そのお話などもお聞きいたしました。

参加者は総数38名の方。スタッフを入れますと40名を超える盛況なセミナーとなりました。参加者のかたがた、ありがとうございました。セミナー修了後の懇親会では、山歩きがお好きな津谷先生を囲んだ、里山歩きの交流会を実施しよう!との話で、盛り上がりました。話だけでは終りたくないので、必ず近日中に実施いたします。

野外を歩きながら、医療の先生からお話をお聞きする・・・、まさに、私がひとつの理想とする、養生ハイキングのあり方でもあります。

二〇一〇年四月十九日健康フォーラム開催


■ 講師:安保徹 (あぼとおる)先生

 略歴;

新潟大学大学院医歯学総合研究科 免疫学・医動物学 教授
1947年 青森県東津軽郡に生まれる。
1972年 東北大学医学部卒。
1980年 アメリカ・アラバマ大学留学中に「ヒトNK細胞抗原CD57に対するモノクロナール抗体」を作製。
1990年 胸腺外分化T細胞を発見。
1991年 新潟大学医学部教授。
1996年 白血球の自律神経支配のメカニズムを世界で初めて解明。
2000年 マラリア感染の防御は胸腺外分化T細胞によって行なわれることを発見。

===========

広島ひとづくり交流プラザにて、日本ホリスティック医学協会が主催する健康フォーラムが開催されました。写真は、その受付の様子です。ご入場者はスタッフも含めると130名近くになっていたと聞きます。非常に盛況だったようです。

協会発行の冊子への寄稿文・その1

ヒマラヤから里地・里山まで 『心身の養生場づくり』


~ホリスティック・ツーリズムの夜明け~ 
         広島事務局長 清水正弘

私の登山歴は18歳から始まります。現在、プロの山岳ガイドと鍼灸師である私は、単なる登山やトレッキングの目的地として、ヒマラヤなど世界の山岳辺境地域と付き合ってきた訳ではありませんでした。「場としてのヒマラヤ」は、その地を訪れるあらゆるタイプの人を、深遠さと温かさ、そして豊穣さをもって抱擁してくれるのです。

また、中国を発祥とする鍼灸の基礎には、移り行く自然の変化とわが心のありかを、皮膚感覚で対峙させる中で生まれた独特の自然観や宇宙観を構築してきました。古代中国の人は、人間の体を小宇宙とみなし、「気」という肉眼では見えないエネルギーが出入りする磁場を「ツボ」と呼んだのです。私たちの住む星・地球にも、人間の体と同様に磁場としてのツボが存在すると思うのです。

こちらは、人間への癒しと明日ヘの活力を発するエネルギーを流入してくれる土地といっていいでしょう。多くは辺境の地にあり、悠久でかつ厳しい自然環境下にあります。文明の恩恵をあまり受けておらず、人々の生活はシンプルで余分な欲を膨らませなくてもすむ場所です。そこでは、環境に応じた人々の知恵の結晶である伝統医療が息づいている場所でもあるのです。

呪文を唱えながら治療を施す呪術師のいるボルネオ島の熱帯雨林。薬草と熱した金の針などが治療に使われるヒマラヤ山麓の国・ブータン。祈祷師が崇拝されているアフリカのサバンナ。インディオの薬草知識を伝えるアマゾン奥地の密林地帯など……。それらの土地では、自然の中で心と体のハーモニーを奏でている人たちが住んでいることを我が目で確認してきました。別の表現をすれば、『幸せの在り処』をしっかり見据えている人たちだとも言えるでしょう。

私は、これら伝統医療が息づく辺境の土地は、地球のエコロジカルな調和状態を知る定点観測地ではないかと思い、その『場のエネルギー』を感じる養生の旅を続けてきたのです。「心身の養生場」としてヒマラヤや世界の秘境・辺境地域を捉え直してからは、多くの方をその場へと案内してきました。コンピューターでは管理できない「匂い」や「触感」「味わい」を大切にしながらの、『地球のツボ・世界の秘境辺境』への旅は、今という時代を生きることの意味を探す旅でもあると思います。

「ヒマラヤ養生塾プログラム」では、曙光に淡く輝くヒマラヤを前にしたメディテーション(坐臥や歩き瞑想など)、チベット医学のアムチ(伝統医療従事者)やアーユルベーダの術師からの講習、曼荼羅制作現場の見学、そしてパーマカルチャー的ライフを実践するヒマラヤ山村での滞在などのエッセンスを組み込んできました。同行者の多くは、20歳代~60歳代くらいの女性です。彼女らの行動もなかなかユニークなものです。

朝陽に輝くヒマラヤと気の還流をするのだと、緩やかに太極拳を始める人。乾燥した水牛の糞が点在する牧草地で、ビニールシートを広げていきなりの瞑想タイムに入る人。着ぐるみ状態でブルブル震えながら、満天の星空を見上げ、流れ星の数をいつまでもカウントする人。また、現地の子供達に話しかけ、即席でのネパール・日本友好「歌と踊りの交流会」がはじまったりもします。至るところで笑顔が輝き、笑い声が弾けています。ヒマラヤ養生塾では、時間を厳密に区切ったスケジュールは特には設定していないのです。予測不可能で絶えず移ろう「自然環境」の中で、参加者の「心の環境(その時の気分)」をどう調和させてゆくかがコーディネーター役としての私の腕の見せ所でもあると思っています。

なにも、「心身の養生」や「デトックス(心身の解毒)」を目的とする環境設定は、ヒマラヤなどの圧倒的で壮大な自然環境下だけではないと思っています。古来より日本の各地においては、山、森、巨木、岩、泉、滝、島、岬などには「タマ=霊」や「カミ=守」が宿るとされ自然崇拝の対象ともなってきました。里地や里山、里海とは、人間の俗なる生活の場であると同時に、「浄めの場」や「癒しの場」といった、聖なる非日常空間との接点場でもあったのでしょう。

虚心になり森羅万象の恵みの中で歩いていると、体中から娑婆気が抜け山野の香気に全身が洗われる気がする時があります。自然界のささやかではありますが、営々と続いている大いなる命のハーモニー風景に出逢うことにより、身体の隅々にある微細な細胞群が喜びに溢れているのを体得する瞬間があります。その命のハーモニー風景との出逢いとは、ちょっとした刹那で起きる偶発的瞬間なのです。突然降り注ぐ森の木漏れ日に全身が包まれた時や、ふと顔をあげた瞬間に鳥のさえずり音で身体の動きが止まった時などなど。

このように自然界からの恵みを受けながら歩くことは、「見る」「聞く」「匂う」「味わう」「感じる」という五感を新たに研磨できるだけでなく、「何ものかに包まれる」とか「何ものかとつながる」、といった六番目以降の感覚に気づく機会を与えてくれるのかもしれません。里地・里山・里海・里森といった「里」という文字の付く土地は、大切な何かについての気づきの場ではないでしょうか。秒針が刻むリズムで管理される都市に住んでいると、予測不可能な自然から得られる「手応えのある至福感」といったものは、なかなか感じにくくなってきています。

自らの五感や直観で感じる「至福感」は、人間の心身や魂に本来内在されている「自然治癒力」をあるべき姿へと導いてくれる源泉ではないかとも思います。ヒマラヤなど世界の山岳辺境地域から、身近な里地里山での「心身養生の場」の設定・プログラム実践の主目的はここにあります。これまで、山岳・秘境・辺境世界と東洋医学の世界に身を浸してきた者として、『ホリスティック・ツーリズム』の普及活動が、豊かで成熟した社会の構築への一助となればと願っています。

二〇一〇年七月帯津先生による健康フォーラム開催

当日のスケジュール

7月11日の当日のマニュアル

役割分担 : 
 清水 → 総合司会、講師控室での講師への対応担当
 中嶋 → 受付総合チーフ 
 越石 → 受付サブならびに、出入金担当、講師控室セッティング
 ※ 当日受付補助をあと2名必要。
 ※会場側アドバイザーとして中元氏(医師会館勤務)

時系列での進行

   11:30 スタッフ全員集合 
(1)受付テーブル設置・張り紙設置・講師控室セッティング
 ※ 中嶋・越石担当
(2)スライドプロジェクターなどの確認・設定(第二部での映像紹介用)
 ※ 清水担当
   12:00 篠笛奏者・福原氏到着予定
(1)会場舞台での各配確認作業・講師控室への案内
 ※ 清水担当
   12:30 帯津先生・到着予定(12:05広島駅到着新幹線→タクシー利用)
(1)講師控室への誘導 
 ※ 越石担当
(2) 講師控室での対応・福原氏を含め
  ※ 清水担当
   13:00 開場開始 ※臨機応変に、多少早く開場しても大丈夫→中嶋判断
   13:20 講師、福原氏・舞台袖へ誘導→3階かららせん階段にて舞台袖へ
   13:30 福原氏の篠笛演奏(凛=りん)開始
   13:35 演奏終了予定  → 清水司会あいさつ開始
   13:40 帯津先生講演開始
   15:00 講演終了 ・ 休憩開始 ・ 二部の実技用会場使用都合を告知
   15:15 第二部開始 ・ ホリスティック医学協会紹介映像開始
   15:20 映像上映終了 清水司会により第二部開始告知
   15:25 帯津先生・気功実技指導開始
   16:00 実技終了  →   質疑応答時間開始(※帯津先生舞台上)
   16:25 質疑応答時間終了  →   事務局からのお知らせ開始
   16:30 お知らせ終了 →  福原氏による終了演奏開始
   16:35 演奏終了によって、すべてのプログラム終了
   17:00 遅くともこの時間には、帯津先生は、会場から広島駅へとタクシー乗車必要 
           ※広島駅発 17:37分の新幹線乗車ご予定


■ 当日の報告レポート(by 清水)

広島事務局・再生第一回健康フォーラム報告
講師・帯津良一先生
演題・「人間・地球・生命 まるごとの医療と養生法」
     ~人間と自然との共生から考える~
開催日:7月11日 広島県医師会館ホールにて

2010年7月11日に向けての取り組みは、昨年6月からすでに始まっていた。日本ホリスティック医学協会・広島事務局創設の歴史は意外にも古い。創設以来からの年数は、ひとときの休局期間を除いても15年以上カウントされている。他の支部や事務局と比べても遜色ない実績年数がある。残念なことに、本年4月までの1年強は、前事務局による不手際もあり、広島事務局は休局を余儀なくされていた。

しかし、広島県のみならず中国地方においての、ホリスティック的活動再開に対する潜在的な要望や希求の声は、その密度をしだいに増幅していたのである。2009年6月から、旧スタッフからの引継ぎヒアリングを重ねながら、広島事務局再生への道筋を模索する作業が始まった。

この作業のプロセスにおいて、福岡事務局長の浜田氏の献身的なサポートが私達の大きな励ましとなっていたことは深く感謝している。そして昨年10月には、アンドリューワイル博士の下で修練を重ねてこられた、鹿児島県にあるメディポリス指宿院長の原田美佳子先生をお招きした健康フォーラム(福岡事務局主催)を広島の地にて開催することができたのである。

再生への準備第一弾のフォーラムであったにも関わらず、60数名の参加者の熱き思いに接することができた。このフォーラムが再生作業への大きな転換点になったことは事実である。フォーラム開催に至るまでの過程において、60数名の参加者のみならず、多くの関係者の方々からの、「広島事務局再生への、期待と励ましの温かいまなざし」を強く感じたのである。その温かいまなざしは、事務局再生作業を進める一人ひとりの背中にそっと差し伸べられた、「見えない後押しの手」となっていたのである。

昨年10月以降、「ヒマラヤ養生塾からの報告セミナー」、「関西支部長・黒丸先生による健康フォーラム」、「元・広島事務局長、津谷隆史先生による健康セミナー」、「免疫学の権威・安保徹先生による健康フォーラム」、「生活習慣病予防の為の、デトックスハイキング」、「南アジア伝統医療・アーユルベーダ入門講座」などを隔月ペースにて実施してきた。

開催するごとに、参加者の数もしだいに増加していき、本年4月の安保先生によるフォーラムへは、130名を超える参加者にご来場いただいた。その過程において、しだいに新しい事務局機能のエンジン音が響き始めてきているのを肌で感じ取っていた。

広島事務局の休局期間に、しばらくホリスティック的活動から遠ざかっていた会員の方々の懐かしい顔や声にも接することができた。それ以上に衝撃的だったのは、各行事への参加者の多くが、非会員・一般の方によって占められていたことであった。

「まだまだ、ホリスティック医学協会の存在を知らない方々が多くいる。」
「そして、広島県、中国地方にての啓蒙普及活動の必要性が望まれている。」

当初より、再生準備を進める私たちは、広島事務局主催の再生第一回健康フォーラムには、帯津会長をお呼びすることに照準を合わせてきた。それは、前事務局の負のイメージを一掃すると同時に、広島事務局の活動を一般の人たちに広く告知したいとの強い願いからでもあった。このようなプロセスを経た上で、昨日(7月11日)の健康フォーラムが実施されたのである。

会場設定も、広島の地での統合医療の将来性を見据え、人的ネットワークを駆使して広島県医師会館に設定した。当日のプログラムにも、多少の知恵と工夫を織り交ぜてみた。帯津先生には、失礼を承知の上で、「ホリスティック的医療と生き方の入門講座」的な内容にしていただくよう事前にお願いをしていた。そして、「人間・地球・生命、まるごとの医療と養生法」というテーマをご了承いただいたのである。

さらに、場のエネルギーを上昇させる工夫を施してみた。フォーラム開始時には、チベット仏教で使用する仏具の鐘の音からスタートさせた。その後に、当地広島の福原一間氏より、和の調べである篠笛(曲名は「凛(りん)」)の音色を奏でていただき、場を清浄化していただいた。

そして、帯津先生に清浄化された場にご登壇いただき、「場の医療」や「場のエネルギーによる養生」についてのお話をいただいた。主催者側の思いとすれば、単なるご講演だけで終るのではなく、スタッフも含め160名前後の人たちが「集う場」の意味を共有できるような環境(時間と空間)を創造したいという思いがあった。

その「集う場」そのものが、当日その場にいた人全員を、まるごと包括し、許容し、そして互いに結びつく、プラスのエネルギーを育くむのではないかと思っていたのである。「人が集う」ということ自体に、「人を癒す」エネルギーが内在されているとも思う。

健康フォーラムや健康セミナーというのは、貴重な話や体験談を聞くというワンウェイでの機会にとどまらず、参加者一人ひとりが「場を共有」することによって、「双方向の結びつき」を確認する場でありたいと願ってもいる。

広島事務局は、今後一年に4回の健康フォーラム、そして野外や自然の中での開催を含む、複数回の健康セミナーの開催、さらには、地元国立大学医学部健康開発学講座との連携指導を受けながらの、転地療法としてのヒマラヤ養生塾実施への検討を重ねてゆく予定である。

これら、すべての行事が、会員へのサービスにとどまらず、新規会員募集への魅力ある誘導行事展開ともなり、また、「人と人の繋がりの場」づくりとなっていけることを強く願ってもいる。  

文責:広島事務局長 清水正弘

二〇一〇年八月十四日・ホリスティックコンサート開催

中南米エクアドルからの、スピリチュアルな調べを奏でるグループのコンサート情報です。このグループの名前は、シサイ(花が咲く・花が開く)といいます。南米といえばフォルクローレが有名ですが、もちろん彼らもその名手でもありますが、それ以上に、彼らの独自性が発揮されているのは、その霊性(スピリチュアリティ)を感じさせるナチュラルハーモニー(調べ)ではないかと思います。そして、さらに驚くのは、彼らはヒマラヤの国・ネパールのトラディショナルなミュージシャンともセッションをしているのです。ヒマラヤとアンデス・・・、やはり大自然に育まれた、自然との共生から獲得された共通の感性が存在するのでしょうね。上記の案内は、呉にて行なわれるコンサートの案内です。同じグル-プによって、広島でもコンサートが開催されることになりました。主催は、「身体・心・霊性、の総合的な自然治癒力を高める」ことを目的にしている、日本ホリスティック医学協会広島事務局です。

二〇一〇年十一月十二日・城仙泰一郎先生セミナー

本日、今まで日本ホリスティック医学協会広島事務局主催の「健康セミナー」を開催しておりました。今回も盛況のうちに終了することができました。回数を重ねるごとに、セミナーへの参加者も増加してきています。今回の講師は、広島パークヒル病院緩和ケアセンター長の、城仙(じょうせん)先生でした。広島で独立系ホスピス病院のたちあげを9年前に創始者的に始められました。広島における、ホスピスケアの第一人者的存在です。

そんな先生が、ご講演の前の30分間、がんの末期患者さんへの前向きなケアにも使われている、中国の楽器・ニ胡による演奏もしていただきました。先生の言葉を借りると、「ウェルカム・コンサート」でした。9年間で700人以上の方を見送ってこられた先生のお話からは、私たちが普段接っすることの少ない、緩和ケアの現状が伝わってきました。先生は、「生きる望みを引き出すのが、緩和ケアの最大の目的」と言われています。「安らかな死」を、迎えるためではなく、小さくても今日という一日を生き切る、といったことにサポートするのが、緩和ケアであると述べられました。

また、「友人がガンだと宣告された。どのような言葉がけをしたらいいのでしょうか?」との、会場からの質問に対しては・・・。「言葉って大事ですよね。」「まず、慌てない、焦らない、」という言葉がけは大切。その上で、むやみに「励ます」のではなく、状況に応じて、まず、「自然の流れを、受け入れる」、「人生において、成り行きというものを見つめなおす」といったような言葉がけが大切である。

また、死期を迎えた患者さんへの「音楽」や「調べ」によるサポートは、どのようなものが好まれるのだろうか?という質問に対しては、「二胡」や「和の横笛、篠笛」「ハープ」「フルート」などの楽器が好まれる。ピアノなどの打楽器はあまり好まれない・・。そして70歳代から80歳代の患者さんが多いせいか、「美空ひばり」さんの演歌などがいいそうである。

意外にも童謡や唱歌などは好まれないそうである。また、「千の風になって」は、一番ダメだしの曲だそうだ。この曲は、すでに身内が亡くなった方の悲嘆に共感するメロディーなので、まだ今日という一日を懸命に生きようとする患者、またその家族には、不向きだそうだ。

昨日まで、比叡山にいた。延暦寺で「千日回峰」の本とDVDを買ってきた。今日の日中、ちょっと時間があったので、そのDVDを見ていた。千日回峰とは、「死からの再生」であるという。だから、行者は死に装束である、白無垢の着物を羽織る。荒行で、生死の境をさまようことで、おそらく、疑似臨死体験をするのであろう。仏の世界を垣間見るのである。だから、信者は、その行者の姿に「仏の化身」を感じるのであろう。

城仙先生は言う、「ホスピスは死に場所ではなく、今日という一日を懸命に生ききる場所」であり、そこで働くスタッフは、「生きるための希望」を共有する仲間である、と。千日回峰は、7年間で1000日弱の荒行をすることをいう。その前半は、自分の為の修行らしい。その自分の為の荒行を終了した者のみが、後半からの「他人の為の修行」期間に入れるという。ホリスティック医学協会広島事務局の本年から来年へのテーマは、「死と生を見つめなおす」ということにしている。

もしかすると、比叡山の千日回峰は、荒れた社会や人心へのホスピスケアの担い手を養成するプログラムではなかったのだろうか。そう考えると、城仙先生は、さしずめ現代の阿闍梨(あじゃり)的存在なのかもしれないな、と延暦寺の朝の勤行を思い出していたのである。

二〇一一年一月・心を癒す花の療法セミナー


講師:林サオダ先生 プロフィール

●日本ホリスティック医学協会常任理事●バッチ財団登録プラクティショナー●一般社団法人バッチホリスティック研究会理事

ホリスティック医学関係の翻訳・通訳を経て、1992年にバッチフラワーと出会う。1994年より英国人ブロックウェイ女史の日本におけるバッチフラワーの普及活動に参加。英国のブリストルがんヘルプセンタープログラム修了後、英国バッチセンターのプラクティショナーコースを卒業。

1997年バッチ国際教育プログラムの日本での実施に関わり認定講師としてプラクティショナー養成に従事し、2003年総責任者であるコーディネーターに就任。日本におけるバッチフラワーに関する第一人者的存在。


●著書(翻訳・監修)

「リフレクソロジー~手足による健康法」、「心を癒すアロマテラピー~香りの神秘とサイコアロマテラピー」(フレグランスジャーナル社)
「がんのセルフヒーリング~生きる意志ががんを癒す」(創元社)「バッチフラワーの癒し~日本での実践例と可能性」、ほか多数。

二〇一一年三月二十五日・世界のホリスティックライフ(ブータン)

経済指数での豊かさを追求せず、幸福感を実感できる営みを大切にするブータンからの知恵を学びます。私達現代人が忘れかけている、自然の循環性リズムを基軸としながらの死生観や健康観からは、学ぶべきものが多いのではないでしょうか?

欧州や日本でも、「幸福度指数」が注目される本年。ヒマラヤの国ブータンの最新事情をご紹介します。

講師:清水正弘 プロフィール ● 日本ホリスティック医学協会広島事務局長●広島修道大学非常勤講師

※ 昨年11月の幸福度指数に関する調査行時の資料や映像などを交えながら、ブータンの医療事情などもご紹介します。

二〇一一年五月二十六日 アユールべーダ医学セミナー

アユールベーダ医学の真髄を探る

講師: カルキ・パラメソールさん  プロフィール
 ● 日本ホリスティック医学協会広島所属会員   
 ● アーユルベーダー医学 研究・実践家
 ※ アーユルベーダー発祥地(南アジア・ネパール)の出身。広島でアーユルベーダー医学の研究・実践活動をおこなっている。

今回の講師には、南インドの伝統医療である、アーユルベーダの指導者、カルキ・パラメソールさんにきていただきました。カルキさんは、ホリスティック医学協会の会員でもありますが、ヒマラヤ山脈を抱く国・ネパールのご出身の方でもあります。20年前に日本の女性(広島出身の看護師さん)とネパールでの医療関係のお仕事で知り合われ、縁あって広島の地に居を構えられました。もともと、カルキさんは、アーユルベーダの指南者を輩出している家系のご出身でした。現在、御兄弟がヒマラヤ山麓の山村で、薬草園やヨガ・呼吸法の指導する道場などを運営されているそうです。

カルキさんによると、アーユルベーダがなぜ5000年間継承されてきたのか、その最大の理由は、「非常にシンプルな真理であった」ことによると言われています。そのシンプルではありながら、哲学的な根本理念をまるで禅問答のような講義の進め方で、やさしく解説していただきました。
現代の日本で普及している、表面的なアーユルベーダーの実践論を展開する前に、基本理念の項目でもある「セルフヒーリング」と「セルフケア」に関する意味の深さを知ることの大切さも話されました。アーユルベーダーは 「いかに自分らしく生きる」ための処方として息づいてきた、とも語られました。講義の中間には、休息と眠気解消も含めて、カルキさんの指導で「片鼻呼吸法」の指導もありました。

二〇一一年七月十日 帯津先生フォーラム・自然治癒力の源泉とは

ホリスティック医学協会は、人間を「身体・心・霊性」等の有機的統合体ととらえ、人間・地球・生命の調和にもとずく包括的、全体的な健康観に立脚しています。生命が本来自らのものとしてもっている「自然治癒力」を癒しの原点におき、この自然治癒力を高め、増強することのできる医療や養生法の啓蒙・普及活動を展開しています。

ホリスティックとは、医療行為の世界だけでなく、生き方やライフスタイルそのものなのです。私達の『内なる環境』である身体・心・霊性は、自然や環境などの『外なる環境』との融合・調和なくして、美しいハーモニーを奏でることはできません。人間と自然との共生や、自然治癒力の源泉のありかなど、本願と悲しみの場からの視点で捉えなおす時代へ向けた指針となるお話を、帯津先生よりお聞きいたします。二部では、帯津先生による気功の実践講座を予定しています。

二〇一二年三月三十日・清水事務局長による視察報告セミナー
二〇一二年五月十六日セミナー
五月農園セミナー
二〇一二年七月八日 帯津先生フォーラム

帯津先生への提案書・ヒマラヤ養生塾開設に向けて

自然環境の中での、歩行を中心とした旅プログラムが内包する、健康回復や健康増進に寄与する可能性について私はこれまで、山岳秘境専門エージェントでの十二年間の在職期間、それ以降取得した鍼灸師と国際山岳ガ資格での、十年以上の活動期間を、一貫して「身体・心・魂を含めたホリスティック的健康づくりのための旅プログラム」を企画・実践してきた。 そのプログラム実践の場の多くは、国内外の山岳・森林・峡谷などの自然環境の中であった。国内においては、四季を通じた里山でのトレッキングや歴史・文化探訪プログラムなどである。海外においては、ヒマラヤや欧州アルプスなどでの、歩行を中心とした滞在型野外活動プログラムを推進してきた。

「自然環境の中での、歩行を中心とする旅プログラム」は、歩行それ自体が運動療法にもなり、旅自体が、転地療法でもあると考えた上でプログラムを実践してきたのである。 その現場経験の中で、「自然環境の中での、歩行を中心とする旅プログラム」が内包する、健康回復や健康増進に寄与する可能性の大きさに絶えず注目してきた。
            
私が実践してきた中での具体的な事例では、自閉傾向の二十歳代男性が、ヒマラヤでのプログラムより帰国後、外部環境への順応度を自発的に高め、すでに四年の就労体験を経て現在も継続中であるケースがある。また、鬱症状の治療を受けていた二十歳代女性が、幾度かの里山でのトレッキング・プログラムやヒマラヤで旅プログラムに参加後、昨年春からネパールにてピアノ教師の職に就いている具体例もある。

これらの事例は、ヒマラヤや里山といった場所での非日常的体験が、個人の精神的健康回復への転換点になったものではないかと推測される。 プログラムが内包する可能性は、なにも個人の肉体的、精神的な分野に限定されるものではない。「自然の中での活動」は、環境問題への意識変革の可能性を秘めている。里山は、過去その土地に在住していた人々が、社会的な営みと自然環境との狭間で、どのような折り合いをつけて来たのかを知る最良のフィールドである。

自然と共生しながら人間が生活をしてきた時代の痕跡が、里山には点在しているのである。ヒマラヤにおいては、現在もなお、自然環境と折り合いをつけながら霊性を大切にする生活が継続している。そこには、絶えず移ろい変化し、予測することが困難な自然環境に接した際に育まれてきた、人間の知恵やストレス回避術を学ぶ場面や機会がある。そして多くの有機質な物質にて構成される里山や海外の自然環境は、現代社会における過度のストレスを緩和もしくは予防するフィールドとしても有効なのではないだろうか。

旅プログラムの内包する健康回復への寄与は、社会環境への還元効果にもみられるのではないだろうか。日本での旅の歴史を振り返ると、団体による旅の期限は、江戸時代から始まる「伊勢参り」だったといわれている。「伊勢参り」は、地域の住人有志が集って、農閑期におこなう歩行巡礼であった。幾日もかけた旅の道中で遭遇する「非日常体験」を共有する中で、収穫までの労働に対する互いのねぎらいと同時に、共同体への所属意識を再確認したりしたのである。

さらには、旅先にて見聞きした新しい習俗、技能、情報などを所属する共同体へ還元していったと推測される。同時に、日本の各地方からの巡礼者を迎える住人の側にとっても、経済的還元効果のみならず、異なる価値観を有する人々との接触が果たす社会的還元効果もあったはずである。このように、本来個人の精神的安寧を求める目的であった巡礼の旅が持つ、所属社会への還元効果や文化交流促進効果などの副次的社会作用は、団体旅行の起原時より存在していたと考えられる。
                                     
個別的な旅行為の効果が個人段階で完結することなく、所属社会へ及ぼす還元効果を科学的に解明することができれば、地域社会や職場社会における諸環境の健全化へも、効果の高いプログラムを構築する道筋がつけられるのではないだろうか。国内外での、「自然の中で歩行を中心とした旅プログラム」は、一般社会へのヘルスプロモーション活動として還元していけるのではないかと考えている。 また、国内の里山でのプログラムは、職域、地域での福利厚生分野での活動事例としてや、地域自治体おける健康関連や町おこしなどの公益事業などにも活用できると考えている。 個人の健康回復・増進、病気の予防や生活習慣病対策のレベルにとどまらず、地域社会の総合的な健全化にも役立つのではないだろうか。
                                    
特に、ヒマラヤにおける「養生プログラム」においては、次のような背景と効果が考察される。まずは、ヒマラヤの「場」としての力についてである。約2億年前、ヒマラヤは海だった。ユーラシア大陸とインド大陸の大陸間プレートの移動・衝突隆起によってヒマラヤの地形は形成されている。そして、現在も微細な動きの活動を継続しているのである。地球上で最も高い山脈であると同時に、そこには、人知を超えた、「おおいなるもの」の存在感 や、地球の営みの「場」のエネルギーが集約しているともいえるだろう。

また、「時空の流れ方」としての力も感じられる。そこには、予測不能な自然の営みに、人間がそっと寄り添うような暮らしぶりが見られる。そして、まだまだ神話や伝説が息づく土地でもある。自然の循環に身を寄せた生活をする人々の背景には、秒針の刻む「時間」というリズムは存在していない。そして、その営みを支えているのは、人間同士の「絆」、という見えないセイフティーネットである。「場としてのエネルギー」や「時空の流れ方としてのリズム感」のある生活とは、言葉を換えると、「手ごたえのある幸福感を感じ取る生活 」ではないだろうか。そのようなヒマラヤでの養生プログラムからは3つの大きな効果が期待できる。

① 「歩く」ことによる運動療法→身体性養生
② シンプルでスローな生活風景→精神性養生
③ おおいなるものとの出会い→霊性的養生

すでに、これまで個人的に、数度の養生塾をヒマラヤの地にて実施してきた。その主なプログラムは、下記のようなものであった。

① 一日3時間程度の軽いハイキング (標高2000メートルの集落周辺にて)
② ヒマラヤ山麓にての滞在(集落内の簡易ロッジにて)。集落内の現地の方と交流
③ ヒマラヤ山麓にての瞑想、呼吸法体験、早朝の湖上での舟上での瞑想体験
④ チベット仏教美術の最高峰・両界曼荼羅の制作過程を見学。宇宙観の説明を受ける。
⑤ アーユルベーダ医学の実践講座。体験的ハーブオイル・マッサージを受ける。

現在、広島大学医学部保健学科健康開発学講座の担当教授(小林敏生教授)よりの指導を受けながら、「ヒマラヤ養生塾」のプログラム内容の向上を検討している。このヒマラヤでの養生塾への取り組みは、次のようなコンセプトのもとに検討を重ねている。

 ヒマラヤや里山の自然の中での歩行を中心とする養生プログラム
          ↓
 日常性からの離脱・非日常性との接触
          ↓
 心身・魂レベルでの安息感、癒し感、心地よい緊張感の獲得。
          ↓  
 自分自身への新たな発見や気づきの時間と空間
          ↓
 人生観、死生観、健康感、宇宙観、世界観を新たに構築する“場”
 
今後、日本ホリスティック医学協会広島事務局として、このような「場所的、心的空間としての養生の場」を、ヒマラヤや日本各地の里山の自然環境の中に求めてゆく活動を継続していきたいと願っている。日本ホリスティック医学協会広島事務局が主管し、広島大学医学部保健学科健康開発学講座の指導を受けながら、早ければ、本年10月にも「ヒマラヤ養生塾」を広島事務局主管にて実施したいと願っている。

帯津先生からの養生塾へのご推薦の御言葉を頂ければ幸いに存じます。まことに、勝手な主張、ご依頼を申し上げ大変恐縮に存じます。

三枚つづりからの抜粋
二〇一二年八月 森のセミナー
二〇一二年十月三日 宇土先生セミナー
二〇一三年一月今田先生セミナー
二〇一三年四月東條先生セミナー
二〇一三年五月カルキさんセミナー
二〇一三年六月ラーダ・クリシュナさんセミナー
二〇一三年八月河添みゆき講師セミナー
二〇一三年十一月宮城明子さん講師セミナー
二〇一四年七月壇上和尚セミナー
二〇一五年(三回連続講座)壇上和尚講師セミナー
二〇一五年(3回連続講座)カルキさん講師セミナー

協会発行冊子への寄稿文・その2

『関係性の“場”から湧きいづる幸福感とは』


ヒマラヤの王国・ブータンの知恵 

~近未来へ向けたホリスティックライフの実験場~ 
      広島事務局長 清水正弘


昨年は、ブータンと日本の外交関係樹立30周年でした。全国にて『ブータン・しあわせに生きるためのヒント』と銘打った巡回ブータン展が開催されました。私が初めてこの国を訪れたのは、1980年代後半。それ以来、地球の俯瞰的定点観測地の一つとして設定し、これまで10数回の渡航訪問をしています。ブータンはヒマラヤ南斜面に位置しており、北にチベット(中国)、東西及び南でインドと国境を接する陸封国です。

日本のように国境が海に接することなく、北は『世界の屋根・ヒマラヤ山脈』、南は『亜熱帯のジャングル』という自然の障壁に加護されています。国土は九州くらいの面積で、人口も日本の約200分の一程度の小さな王国です。30年弱にわたりこの国の変化を見続けてきた者として言えることは、ブータンは、『近未来へ向けたホリスティックライフ構築の壮大稀有な実験場』ではないだろうか、ということです。

「日本人はミラクルである」、10数年前にこの国から来日したチベット仏教の僧侶が私に言った言葉です。広島に来た彼は、原爆投下直後の写真と、現在の街の景観を見比べながら頭を悩ませていました。悠久の自然景観・ヒマラヤを背後に生活するブータンの人にとっては50年や60年くらいで、街の景観や物事の価値観は変わらないのでしょう。

当時のブータンの首都ティンプー近郊でも、庶民の家にはテレビなどなく、バザールでの会話や祭りの時などが貴重な情報交換の場でもありました。現在でも、物質文化が徐々に浸透していますが、学生や公務員は日本の着物に良く似た民族衣装を着て、学校生活や執務時間内の仕事をしています。寺子屋のような教室では、伝統的な文化や価値観がゆっくりとしたリズムの中で、次世代に受け継がれている光景を目にします。

先代の王・ジグメ・ワァンチュック前国王が掲げた、国民総幸福(GNH)という、近代化への速度を抑えた開発施策理念は、第9 次5か年計画(2002 ~07 年)を経た上にて、2008年に発布された成文憲法下でその方針が明文化されました。その柱は4つ(①経済発展、②文化的遺産の保全と振興、③環境の保全と適切な活用、④よい統治)。

この4つの柱の中でも、最も大切な基軸とされているのが、②と③なのです。簡潔に言えば、『山川草木・森羅万象を含む“風土”との共生の上に、先人らが築いてきた伝統的価値観』の基底を忘れることなく、それぞれの時代に対応させていく為に、政治・経済という外的システムを整備していく。ということではないかと思います。その成文化された憲法を縦軸とし、輪廻転生というチベット仏教の時空を横軸とする、世界で唯一無二の『幸せの座標軸』を設定している実験国家、それがブータンではないかと思うのです。

ブータンでは様々なものが『回旋』します。お祈りの際に廻すマニ車、お祭り時に鹿の面などを被る仮面舞踏、仏塔や聖地巡礼での左廻り歩き、そして善悪所業の輪廻という概念・・。何事も直線的・二元的な動きでなく、螺旋型のリズムが精神の深層部分にあると言えるかもしれません。また、ブータンでの伝統的着物は、見事なまでの染色デザインが施されています。

その手織りの現場に立ち会うと、ブータンの人たちの、死生観や宇宙観、幸福観といった目には見えないものが、魂の文様として織物の中に紡ぎ込まれていくかのようです。伝統的価値観というものは、口頭や文書で伝わる一方、生活のなにげない営み風景の中に螺旋のリズムで織り込まれていくようにも思えます。

昨年日本を巡回したブータン展では、ブータンの映像も多種会場内にて流されていました。その中で一つの映像に心が留まりました。それは、ブータン語(ゾンカ語)で『セムガェ=(心が晴れ晴れとする)』ということについてでした。映像の中でブータンの庶民の人たちに、『どんな時にセムガェを感じますか?』との質問に、『織物をしている時』『娘の顔を見ている時』『親の手伝いをしている時』『バザールで客と話す時』『久しぶりに友と会う時』、そして『全ての生き物の安寧を祈る時』などの答えが返ってきていました。

即ち、「関係性の中で、生きている手応えを感じる時」に、セムガェを覚えているのだと感じました。誰一人として、個人の所有欲の為に、何かをしている時ではないのです。物欲などの我欲の達成時ではなく、関係性の“場”の中にこそ幸福感の源泉があることをブータンの庶民は知っているのでしょう。そして、その関係性の”場“とは、なにも現世上の人間関係だけではないのです。輪廻転生という回旋する時空により結ばれる、過去・現在・未来という生命連鎖の”場“も含まれているのでしょう。

さらに、その”場“は、人間という世界に終始することなく、生き物を含め森羅万象との関係性とも繋がっているのだと思います。そのことは、成文化された憲法の中に、『国土の60%以上を森林で保全せねばならない』とう一節が存在することで証明されています。その自然との共生に基軸をおいた伝統的価値観は、長寿を描いたチベット仏画(タンカ)にシンボライズされてもいます。この長寿絵は、WWFとブータン王立自然保護協会(RSNP)が発行した環境教育のテキスト冊子の表紙にもなっています。

これらの長寿絵には、生命が長く続くことを祈願し、鳥、鹿、木、岩、水、老人の 6 つの必須アイテムが描かれています。自由を祝福し不死である鳥はヒマラヤを渡るオグロヅル、鹿は平和と調和を現し、木は成長と繁栄、岩は不動の象徴です。老人を長寿のシンボルとし、水が生物界の生命の源であることを示し、その循環に関わる人のあり方を教えています。森羅万象との共生の中で、『手ごたえのある至福感』を体得しながら安寧の長寿人生を送る・・。この壮大稀有な『ホリスティックライフ構築』への実験を取り組んでいる、ブータンの開発理念と理想像は、すでに中世に描かれた長寿絵の中に塗り込まれていたのです。

二〇一六年(三回連続講座)越智ようこさん講師セミナー
二〇一六年(三回連続講座)清水事務局長セミナー
二〇一七年(三回連続講座)野澤綾子さん講師セミナー
二〇一八年(三回連続講座)壇上和尚講師セミナー

日本ホリスティック医学協会広島事務局の記録

2024年6月29日 発行 初版

著  者:清水正弘
発  行:深呼吸出版

bb_B_00179244
bcck: http://bccks.jp/bcck/00179244/info
user: http://bccks.jp/user/152489
format:#002t

Powered by BCCKS

株式会社BCCKS
〒141-0021
東京都品川区上大崎 1-5-5 201
contact@bccks.jp
http://bccks.jp

清水正弘

二十歳の時にダライ・ラマ十四世と個人的に出会った事が、世界の山岳・辺境・秘境・極地へのエスノグラフィック・フィールドワークへのゲートウェイだった。その後国内外の「辺(ほとり)」の情景を求めて、国内外各地を探査する。 三十歳代にて鍼灸師と山岳ガイドの資格を取得した後は、日本初のフリーランス・トラベルセラピストとして活動を始める。そのフィールドは、国内の里地・里山から歴史的、文化的、自然的に普遍価値を有する世界各地のエリアである。 また、健康ツーリズム研究所の代表として、大学非常勤講師を務めながら、地方自治体における地域振興のアドバイザーとしても活躍している。 日本トラベルセラピー協会の共同創設者でもある。

jacket