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ふだんのしゃべり言葉(会話体)を基本にした口語句集です。
会話体で俳句を詠むこと
また川柳との違いについて次のことを意識して取り組みました。
・季語、切れの活用
・四季折々の自然とその暮らしを詠む
・風情、格調、俳句理念など
・俗に片寄りすぎない
・詠嘆をして余情、余韻を生む、等々
どう詠めば俳句で、どう詠めば川柳なのか、
また俳句と川柳が融合した形はあり得るのかなど、
創作を楽しみながら、試験的に行った取り組みをまとめたものです。
楽しんでご覧いただければ幸いです。
見るうみがはためかせます秋日傘
草絮吹く旅はいっぽんみちでした
生さびし死さびし月がさしていた
鳴きだしてすずむしいろの星空だ
初もみじけんらんと谷染めたいか
オ━トバイとめてもつどう秋風だ
ただむねを撞かれています鐘の秋
見あげますおおうず巻きを天の川
天の川しんととどろきやみません
案山子です今日も明日も明後日も
方言のように案山子は立っていた
ただそらを欲しているか曼珠沙華
ゆうばえの果ての色です焼秋刀魚
中の人あかりともしたあきすだれ
朝顔一輪じぶんはなにを努力した
蜻蛉まで赤いきせつとなりました
はずみますかぜのたかさを秋神輿
鉄道草手をふるように揺れていた
秋の蟻もうかげでしかありません
行けばいい道になるからくさの花
噴火とか地震とか降る木の実とか
手のひらにえだ伸ばしくる白萩だ
あきの鳶見上げつづけています風
世のなかがそこにあります運動会
葛の花ひとの暮らしが咲いていた
つき見るかはんぶんやみの歓楽街
月あおぐスマホの照らす顔たちが
あたらしいれきしがひとつ名月だ
天の川いまだ詩でしかありません
あかいそらあおいそらみな朝顔だ
葡萄狩だれも日ざしを摘んでいた
撞く人もかげです鐘のあきのくれ
けさ咲いた散るかのように彼岸花
鳶翔ってひゅるると高くなる秋だ
まつやまは句碑のまちです秋日和
きこえます瀬々しろじろと天の川
十六夜の野を風はしりやみません
じぶん対じぶん酒つぐながい夜だ
ほしぞらがきいていました残る虫
野菊摘むうつむき癖のあるひとだ
りんご噛むじぶんのなかの明と暗
よい日ですかおりにも慣れ菊花展
ゆうひへとゆれやみません吾亦紅
あじがあるみのるすがたも柿の秋
わたりどり田越えゆきます筑波山
掃くおとが濡れはじめたか露の寺
草じらみ城あとのそらゆうぐれた
バス停は立ったままです秋のくれ
陽になるか孤影になるか秋のくれ
駅まえの灯のあたりです地虫鳴く
摘み摘んで陽をとおします葡萄棚
鳶というかげとひなたの秋ぞらだ
秋の蚊をぱんとたたけば白でした
萩の花咲いても咲いても淋しいか
灯の駅のひとりのこらず霧だった
転居することも旅ですくさのわた
雁の列たびにかたちはありません
ひとつぶのちきゅうの記憶露の玉
野良ねこが伸びをしました秋日和
釣りびともちいさな秋の暮でした
橋あるく夜明けとともに霧が来た
けものらも水を飲みますもみじ川
秋神輿うなばらはかがやいていた
あおみかん山と海しかありません
ゆび触れよ松葉のさきのつゆの玉
風という字のように揺れ萩の野だ
壜に陽がささっていますあきの浜
金木犀とおい日の香に立っていた
かもめ又翔ぶのでしょうか台風後
掲揚旗あきがはためきやみません
生まれた日あめだったらし秋の傘
身うつすかもみじに映える竜田川
からすです尾羽したたる秋のあめ
まないたに銀のなみうつ太刀魚だ
のこるのはえだまめでした送別会
空だとか干し柿だとか茅ぶき屋根
ひと掴みほどのめでたい新蕎麦だ
胸はって鶫はそらを見あげている
猿子鳥はな咲くように木々にいた
赤い羽根誰はばたかすのだろうか
冬支度なが生きしたくなりました
これですかおとこもかがむ思い草
生きるとはめぐりあうこと美術展
落ちてきた切れ字のように秋の滝
かかります灯の大橋があまのがわ
今の世に立ちこめるのは霧でした
たいふうは嶺々のむこうか鳶の空
せかいまた燃えはじめたか秋の暮
しんと瀬のかがやきだした天の川
渡り鳥こころなかなか老いません
みな暮れにゆきつく秋の野遊びだ
木洩日が散るのでしょうか銀杏坂
わたつけて芒なかなか暮れません
あいされてにくまれて皆秋暮れた
よせる波あわときえます秋のくれ
目がなれていきます千々の星月夜
秋の酒世のありさまのなかに居た
舞う鳶も秋の名残りということか
照り紅葉天守むかしのままでした
並み木みち暮れるまでです文化祭
包丁音ひとりぐらしが身にしみた
林檎噛む冬がちかいということだ
ものがたりまんてんにです流れ星
◇俳句と川柳それぞれの特徴
川柳は平句。季語、切れ字、切れは常用せず、人情や滑稽さ、機知、風刺などをより突き詰めて「吐く」傾向があるそうです。
俳句は発句。季語、切れ字、切れを常用して、四季折々の自然とその暮らし、風雅さ、余情、詠嘆などをより突き詰めて「詠む」傾向があるそうです。
どちらも俳諧連歌から派生したものだそうですが、祖となる人やたどってきた歴史はそれぞれに異なるようです。
*試験的な取り組みとその作品をまとめた記事です
*俳句については個人・団体によって様々な考え方や見解があります
2024年11月23日 発行 初版
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