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パレイドリア現象の空
~自由律俳句 第1集~

金子奈央

玉兎文庫



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  この本はタチヨミ版です。

 目 次

2023年春(2月~4月)
  
2023年夏(5月~8月)
  
2023年秋(9月~10月)
 
2023年冬(11月~12月)

日々の記憶

あとがき


2023年春(3月~4月)

      3月


国道の桜と鮮やかなツツジの赤のコントラスト

玉葱をスライスしながら涙ぐみ

痛みと腫れ治まりリハビリに移る日々

風強し杖を頼りに歩く春

風強く駐輪場の自転車が将棋倒しに

強風で倒れた自転車を起こす警備員に感謝

週替りに春と冬が通りすぎる

寒暖差に体の中がストライキ起こす

杖の柄をベビーカーの赤児が珍しそうにみる

左膝の痛みとともに終わる3月


      4月

毎朝の味噌汁はルーティーン

半年ぶりに髪を切り心身ともに軽くなり

風は涼し日差しは暑し

リハビリは理学療法士との二人三脚

褒め上手な理学療法士とリハビリの日々

大型連休来るとも我が身に関係なし

一週間ごとに良好になってると理学療法士の言葉

リハビリの種類がまたひとつ増える月曜日

杖無しで歩けそうな気分と不安な気持ちの狭間

2023年夏(5月~8月)

      5月

枝しなるほどたわわな青梅
(ご近所の庭の梅)

大型連休も自宅でリハビリ

蒸し暑さと戦う月曜日

塀際のドクダミと青空の飛行機雲を見る

※朝焼けの空に漁船の水しぶきが跳ねる

※金目鯛の赤と金のコントラストが眩し

※リポーターの食べるマグロ丼に喉が動き
(※印はノンフィクション番組を見て)
4年ぶりの神田祭に帰省できぬ寂しさ

葬儀の日は涙雨 一周忌は快晴
(父の一周忌に)

      6月

「生ビール 冷えてます!」幟に後ろ髪引かれ

線状降水帯の非常 梅雨入り宣言の無情

梅雨時の雨の匂いは怠さと眠気との戦い

六月一日 父の命日 快晴と笑顔

小雨降り家路を急ぐ人々の流れを見る

贅沢な花の香 明るい時間のバスタイム 

梅雨を実感する蒸し暑さに身体が重く

紫陽花の瑞々しさに一時の清涼感を得る

亡き父の在りし日を思う2度目の「父の日」

「猛暑日です」気象予報士の声に光熱費を憂う

      7月

雨から始まる7月1日

雨が止み潮の香りする午後の日向

電力会社は節電 気象庁は適切なエアコン推奨

抜歯後の麻酔が切れよみがえる痛みと違和感

新しいエアコン機能の細やかな配慮に驚く

梅雨明けぬまま夏日が続く

7月のお盆を知る人は少なくて

役目を終えたように色褪せた紫陽花が立つ

梅雨明けと同時に子どもらも夏休みに入る

炎天に鳴く雀らは元気なり

      8月

雷雨で始まる8月1日

78年目の原爆忌 体験者の声は聞こえているか

立秋過ぎるも猛暑は続く 体感はまだ夏

台風ふたつがノロノロと北上するお盆期間

入道雲の内側からランタンのごと光おり

水の匂いで雨降ると察し足早に帰る

減塩の味噌と間違えて買った 塩味が濃い

卒業から54年 中学の同窓会の知らせ来る

夏休み期間のスーパーは子ども連れの遊園地化となり

日差しが強ければ強いほどヒマワリの色鮮やか





2023年秋(9月~10月)

      9月

猛暑で始まる9月1日は歯科医院の日

台風接近中の晴れと曇りと雨が交差する

不安定な気候ほど心も揺れる

杖握る右手の甲だけ日焼けの色濃く

気温30℃が涼しく感じる非日常

曇り空に赤く際立つ彼岸花

残暑からの気温が急降下の木曜日

折り畳み式杖を買い行動範囲が変わる秋

「らんまん」が終わり草花の見る視点が変わり

秋風に誘われ散歩して9000歩

      10月

秋晴れと秋雨とが交互に来る10月初め

左膝の伸びが心なしか良いのはリハビリのお陰か

11月並みの気温の「スポーツの日」は冷雨に

金木犀の香載せて風が横切る

どぜうなべ、お新香、日本酒で祝う誕生日

浅草寺で引いた神籤は末吉 佳き文字が浮かぶ

※45年過ぎ人生を歩み大人の顔になった同窓生ら

※還暦を迎えても恩師にとって皆は生徒

※恩師は齢91歳 私たちの前では教師に戻る

※終宴に校歌合唱 忘れぬものだと感慨深き
(※印は中学校同窓会)

2023年冬(11月~12月)

      11月

11月とは思えぬ暖かさに体調が狂う

発熱して約3日で落ちる体力に驚く

熱が引いても残る咳と痰に息苦しくて

立冬に夏日 信じがたく体が追いつかず

蒸し暑さに仕舞った半袖をまた出すとは

半袖と長袖の人が行き交う立冬の町

夫の誕生日の晩酌は牛すじと木綿豆腐と日本酒と

世界情勢も自然界も不穏

歯のクリーニングとヘアケアの奥深さは似ている

久しぶりに母と会う老体でも楽しみを見つけ笑顔だ

      12月

師走とは思えぬ暖かさの日曜日

クラフトビールフェスで飲むビールの個性豊かさ

シャワーヘッド交換し水の勢いに感動す



  タチヨミ版はここまでとなります。


パレイドリア現象の空

2025年3月28日 発行 初版

著  者:金子奈央
発  行:玉兎文庫

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金子奈央

幼少のころから読書好きで、小学生のころから物語を書くようになりました。 その後は詩・小説・エッセイを書き、大人になって同人誌活動を始めました。さまざまな人と交流をしていくうちに児童文学と出会い、作家の村山早紀先生に師事。児童向けの物語を書いて合評や勉強をしてきました。のちに俳句とエッセイの勉強をし、最近は自由律俳句と3行日記を書いています。

本書はnoteに投稿した2023年の
自由律俳句を加筆・修正して収録しました。
写真・イラストは筆者によるものです。
(筆名は本名を交えたペンネームです)


【 投稿先 】
note http://note.com/azuminyan
投稿!自由律俳句 https://jiyuriyu.net

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