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ちょっと短めの第92回日本ダービー展望①(皐月賞とダービーが逆転している? 論)
久々に、そして誰しもの予想が外れるかたちで、単勝1倍台の馬が敗れたという実感がある。これが第85回皐月賞の第一印象だ。
ホープフルSを頂点とする比較、そして序列が4ヶ月かけて着実に出来上がっていたが故に、クロワデュノールの敗北とミュージアムマイルの逆転劇は驚きをもって迎えられている。ただし、これまでは前者が表街道を歩き、後者はその煽りを受けて不向きなレースをこなしていたという印象もあった。耐え忍んで掴んだ栄光に歓喜する者がいれば、初めての挫折に直面する者もいる。明暗が分かれるとか、コインの裏表とか、そういう頻出表現がよく当てはまる皐月賞だった。
では、皐月賞でひっくり返った序列はそのまま日本ダービーでも適用されるのか? その点に関しては、僕はもう少し慎重に考えた方が良いと考えている。その理由は、「ここ数年の皐月賞はダービーっぽい血統の馬が勝っていて、ダービーは皐月賞っぽい血統の馬が勝っている」という仮説が頭をよぎるからだ。
その傾向を初めて感じたのが一昨年のダービーだった。サトノクラウン産駒のタスティエーラが勝利した瞬間、自分の中で「?」が生じた。父はもちろん、母の父もマンハッタンカフェだ。ダービーは軽い血統が勝つのでは無いのか? 例えば、ディープインパクト×ストームキャットみたいに。
そして、去年もその傾向は続いた。ダノンデサイルはもちろん、3〜4着のシンエンペラーとサンライズアースも「今までのダービーらしさ」に欠ける重ための血統だった。
一体この原因は何か? ディープ・キンカメ・ハーツという平成後期を彩った3大種牡馬が一線を退いたからだ、とか、府中の馬場の作り方が変わってタフさが求められているからだ、とか。色々な仮説が出てくるだろう。その件についての詳しい調査は時間と紙幅の都合上割愛する(!?)が、ひとつ言えるのは、ダービーというレースが変化しているのであれば、それに合わせて馬券の買い方も変化させるべきである、ということだ。
ということで、2025年のダービーは「新しい傾向に適した血統」っぽいクロノデュワール、マスカレードボール、ジョバンニらを絡めた馬券と、「今までの傾向に適した血統」っぽいミュージアムマイルやサトノシャイニングを絡めた馬券を用意し、二刀流で戦ってみようと思う。優柔不断? いやいや、そうじゃなくて、明暗が分かれているのだから、馬券のトーンも全く逆方向で揃えているのですよ、ということでお許しを……
毎日杯を【1分46秒5】以内のタイムで勝利した馬は、のちにGⅠを勝てるだけの実力がある。競馬界にも様々なジンクスがあるが、ダービーの時期になると思い出すのがこの言葉である。
内容は非常に簡単なものだ。毎年3月下旬に阪神競馬場にて行われる3歳馬の重賞・毎日杯(芝1800メートル)をこのタイムより速く走り、かつ勝利すれば良い。ごちゃごちゃ言う前に、この条件で勝利した馬を挙げれば下記の通りになる。
・2012年 キズナ 1分46秒2
・2017年 アルアイン 1分46秒5
・2018年 ブラストワンピース 1分46秒5
・2021年 シャフリヤール 1分43秒9
・2024年 メイショウタバル 1分46秒0(※重馬場)
・2025年 ファンダム 1分45秒9
なんと輝かしい成績だろうか! ダービー馬が2頭いて、さらにアルアインは皐月賞と大阪杯を、ブラストワンピースは有馬記念を制している。タイムという明確な基準を突破すれば、これからの出世は約束されたようなものなのである。
そういう意味で、2024年のメイショウタバルには色めき立った。なんと、重馬場でこの基準を突破してきたのだ! ピンパーなところのある逃げ馬であるけれども、皐月賞も日本ダービーも重い印を打ち、必ず単勝を買うことを胸に誓った。結局、実を結ばなかったのだが……(神戸新聞杯で少し取り戻せたけど)。4歳となり日経新春杯、ドバイターフと苦戦が続いているが、次の宝塚記念も単勝は抑えておこうと思う。
そして、2025年のファンダムである。最後方から脚を貯め続け、直線で一気に爆発。逃げ粘るガルダイアを難なく捉え、上がり3ハロンを32秒5で差し切り勝ち。母の父であるジャスタウェイのアーリントンカップを想起させる内容だった。
ということで、引き続きファンダムには注目せざるを得ない。もちろん、ダービーに向けては距離の壁があり、ハイペースの経験が無いのも不安材料だ。とは言え、まだ【1分46秒5】のジンクスがある限り、単勝なり紐なりに入れる価値は保たれたままだ。メイショウタバルともども、注視し続けていこうと思う。
(もっとも、このジンクスがどこまで生き続けていくのか? そして基準のタイムがさらに下がっているのでは? ということを、心配性の自分はし続けているのですが……これも今年が分水嶺になりそうな予感がする)
コナコーストの単勝を買っていた僕は、最後の直線に入った瞬間「勝てるな」と思った。ペリファーニアが迫っていたので、そのまま! と何度か声を発していた気がする。要するに、大外の馬には何の注意も払っていなかったのである。
当日の馬場傾向を全て無視した、驚異の末脚。レースが終わった瞬間、オークスも逆らえないと痛感した。そのレースについても、いちいち語る必要は無いだろう。
リバティアイランドが世界で一番強い馬だと思った時期。それは4月から5月にかけての晩春と初夏の狭間である。
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強い競走馬には2つのパターンがある。一つは、相手に全力を出させつつ、自分はやすやすと勝利を収めるタイプだ。イクイノックスがそのタイプであり、天才肌の馬によく当てはまるだろう。
もう一つは、相手の力を奪い取り、それをエネルギーにして自分が勝つタイプだ。この代表例がキタサンブラックである。彼に喧嘩を売って前に行った馬は飲み込まれ、そのオーラを避けようと後方で待機した馬は届かない。その厄介さは前者のタイプよりも手を焼くのではないだろうか。
そして、リバティアイランドにもその要素がある。彼女と2歳戦からクラシックにかけて争ったライバルたちは、勝負の後はパタッと力を失ったり、早めの幕引きの憂き目にあっている。マスクトディーヴァ、ハーパー、ドゥーラ、モリアーナ……彼女たちはターフを去った。ペリファーニアとドゥアイズも苦しい日々が続く。辛うじて、シンリョクカとラヴェルが頑張っているくらいだろうか。
そしてコナコーストも、桜花賞のリベンジを果たせぬ日々が続き、今年1月に引退・繁殖入りが決定した。
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リバティアイランド自身も、明け4歳からは苦戦の日々が続いた。先に挙げた馬たちとは異なり、一段階高いレベルでの戦いに挑んではいた。ただ、何かが違う。あの時の鮮烈な鮮やかさ、輝きが、どうも感じ取れない。
戦績表を見て、ふと思った——最も持ち味を発揮できる季節に走れていないのでは? 古馬になってから、秋から冬にかけてと、季節感に乏しい異国の地で走っていた。ヴィクトリアマイルという選択肢は……。
図らずも、4月27日は桜花賞とオークスの間にある1日だ。ニュースを聞いて、久々にあの2着馬を思い出した。
死の悼み方は様々だが、僕はコナコーストに第一子が誕生したら、いの一番でPOGで指名したいと思っている
葉桜や終戦で得た自由とは
2025年5月25日 発行 初版
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1988年3月生まれ、神奈川県横浜市出身。サラリーマンを続ける傍ら、2014年秋より電子書籍の作成及び執筆活動をスタート。得意ジャンルはスポーツとファンタジー。主な寄稿先は「月刊群雛(GunSu)」「ウマフリ」など。NovelJam 2018に編集として参加し、新城カズマ賞及び海猫沢めろん賞を受賞。(これに気を良くしてしまい、)以降は雑誌制作活動も開始。「電子雑誌をつくろう!」「ラグビークラスタ」「#susonolife」の編集長を務める。日本代表から近所の空き地まで、場所と格を問わず、暖かくスポーツの現場を見守り続けています ・Twitter @Waratas ・note https://note.mu/waratas