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jacket

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現場至上主義

ノ木リ木
レイ
しゅな
マリリン
みさきち
U

二松学舎大学



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 目 次

映画館に行こう!

ノ木リ木

高尾山の日帰り旅行

レイ

なぜ人は熱狂するのか? バスケ観戦という魔法

しゅな

#あふれるしあわせ

マリリン

推し活のすゝめ

みさきち

邦ロックが僕らに語りかけるもの

映画館に行こう!

ノ木リ木

映画館に行こう!

ノ木リ木

はじめに

 サブスクリプションが台頭するにつれ、映画館で映画をみる人間が減ってきたように感じる。当然の流れだ。映画館に行くよりもよっぽど安上がりだし、倍速でみれば時間だってかからない。つまらないと感じたらその時点でみるのをやめられる。他にも、家庭用のスクリーンやスピーカーの性能が向上に伴い、ホームシアターを持つ家庭も増加傾向にあるように感じる。また、フィルム時代に撮られた作品のデジタルリマスター版の発売ペースも上がり、自宅でも簡単に多くの名作をよい設備でみられるようになった。このような映画を取り巻く状況の変化は、映画館離れを引き起こすには十分なものだろう。
 しかし、そんな時代だからこそ、みなさんには映画館で映画をみてほしい。と、わたしは思っている。そこで本稿では、映画館の魅力について述べていこうと思う。

映画館の魅力って?

設備がすごい!

 まず、映画館の魅力の一つと挙げられるのはその設備であろう。例えばIMAXシアター。その大きな特徴は、一般的なシアターと異なり正方形に近いスクリーンだ。従来のスクリーンには映りきらなかった上下の余白も投影することができる。それにより、より迫力のある映像を提供している。また、音響面でもシアター内のスピーカー配置を工夫することで立体的なサウンド効果をもたらしている。これらの設備によって与えられる没入感は、スマホの小さい画面を使って車内で映画をみるときには得られないものだろう。他にも、Dоlby Cinemaや4DXなど、映画館でしか体験できない設備は多くあり、それらを体験できる点は映画館の大きな魅力だ。

ひとりじゃない!

 他には、赤の他人ともリアルタイムで感動を分け合うことができる点が魅力だ。ただ他人と分け合うのではなく、赤の他人と分け合うという点がポイントである。例えば、抑えきれなかった笑い声。演出に驚いて少し跳ねる体。聞こえてくるすすり泣き。例えば、上映前の予告映像をみて歌う子ども。上映後に感想を語り合う友人たち。わたしたちは顔も知らない他人同士であるはずなのに、たまたま同じ劇場で、同じ日時に、同じ作品をみているがために感動を分け合わされる。それを望んだわけではないのに。この体験は映画館でないとできないものだ。映画館以外では、友人や家族などの既に関係性を築けている人間同士で映画をみることが基本だろう。刹那的で、関係とも言えないような関係の人間同士で同じ映画をみることができる点は、映画館の魅力の一つだ。

予告も魅力!

 また、本編上映前に流れる予告映像も映画館の魅力だと言える。サブスクリプションでは、利用者の閲覧履歴を基に好みを導き出し、それに合う作品がおすすめされる。それに対し、映画館で流れる予告映像は、こちらの好みに合わせてくれない。もちろん、子ども向けの作品では子ども向けの作品の予告が流れるなど、上映作品に合わせて予告映像は変わってくる。それでも、自分だけでは知り得なかった作品に出合えることは大いにあるだろう。予告で知り、興味を持って鑑賞した作品に人生を変えられることもあるだろう。もちろんこれは大げさな表現ではあるものの、偶然の出合いがあるという点は映画館の魅力だろう。

スマホから離れて!

 とかなんとか述べてきたが、わたしが映画館にこだわる主な理由は己の集中力のなさにある。わたしのように集中力のない人間にとって、スマホで映画をみるという行為はひどく難しい。二時間の映画をみるのに最低でも三日はかかる。もちろん、映画の終盤にたどり着くときにはすでに冒頭の内容は忘れているので、もう一周みるはめになる。二週目では「なんかみたことあるなー」という気持ちが常にうっすらあるので、集中力がさらに欠ける。一週間はかかる。絶望する。己の集中力のなさに。ありえない。その点、映画館はすごい。二時間の映画を二時間でみさせてくれる。強制的にスマホを手放せられ、目の前の映画のみに神経を集中させられるからだ。この強制性こそが映画館最大の魅力であると、わたしは思う。

おわりに

 もちろん、サブスクリプションを活用してスマホで映画をみることは決して悪ではない。有名な映画監督の新作が配信限定で公開されることもある時代だ。配信には配信の良さがある。どこにいても、どんな時間でも、スマホ一台で映画を楽しむことができるのはスマホやサブスクリプションが普及した現在ならではのことであり、よい進化であろう。また、昔の名作をみるのには、映画館よりもサブスクリプションやDVD・Blu‐rayのほうがずっと便利だ。
 しかし、倍速で、片手間に、途切れ途切れでみる映画が映画のすべてであるとは思わないでほしい。特段気になる作品だけでもいいので、ぜひ映画館に行ってみてもらいたい。サブスクリプションにはサブスクリプションのよさがあるように、DVD・Blu‐rayにはDVD・Blu‐rayのよさがあるように、映画館には映画館のよさがある。映画の鑑賞に特化した環境である映画館でみる映画は、きっとあなたの人生を豊かに彩ってくれる。だからさあ!! みんな! 映画館に行こう!!!

高尾山の日帰り旅行

レイ

高尾山の日帰り旅行

レイ

 「最近、なんだか疲れてるな……」、そんなふうに感じたことはありませんか? 仕事や家事、人間関係に追われる毎日に週末になっても体も心もだるくて、結局スマホを眺めながら一日を終えてしまう。そんなサイクルにハマってしまっている人は、きっと少なくないはずです。かくいう私もその一人でした。特にここ数年、テレワークやライフスタイルの変化で、外に出る機会が減ったこともあり、どこか閉塞感がありました。「このままじゃまずい」と思いながらも、まとまった休みを取るのは難しく、旅行に出かける余裕もありませんでした。そんな時、ふと思い立って出かけたのが「高尾山」でした。

都心から1時間、気軽に行ける〝非日常〟

 高尾山は、東京都八王子市にある標高599メートルの山です。都心から電車でわずか1時間程度というアクセスの良さが魅力で、京王線・高尾山口駅から徒歩5分ほどで登山口にたどり着けます。実際私も朝8時に新宿を出発し、9時過ぎには登山道の入り口に立っていました。「登山」と聞くと、「本格的な装備が必要」「体力に自信がないと無理」と思うかもしれません。しかし、高尾山には複数の登山ルートがあり、初心者から上級者まで、目的や体力に合わせて選べるのがポイントです。私が選んだのは、一番ポピュラーな「1号路」です。道が舗装されていて、スニーカーでも問題なく歩ける手軽なコースです。途中には薬王院というお寺があり、参拝もできるほか、名物の蕎麦や団子を楽しめる茶屋もあります。登るにつれて、空気がひんやりと変わり、木々の香りが鼻をくすぐります。鳥のさえずりや木の葉の揺れる音が耳に心地よく響き、自然の空気に包まれるうちに、スマホの存在を忘れていました。画面を見る代わりに、空の青さや木漏れ日を感じます。たったそれだけで、心がスーッと軽くなるのです。
 山頂までの道のりはおよそ1時間半。軽く汗をかいた体に、山の空気がひんやりと心地よく感じられます。目の前には、奥多摩の山々と、遠くに小さく浮かぶ富士山があります。ベンチに座って、おにぎりとコーヒーでひと息です。何も考えずに、ただ空を見上げる時間。心の中のざわつきが少しずつほどけていくような、静かで優しい時間がそこにはありました。
 現代の生活は、「常に何かしていなければいけない」という無意識のプレッシャーにあふれています。通知の音、SNSの更新、終わらない仕事があるかもしれないが、山の上にはそれがありません。電波も弱く、通知も届かない。時間の流れも街とは違い、ゆっくりと穏やかに感じられます。この「何もしない」時間こそが、今の私にとって一番必要だったのかもしれません。無理に頑張らなくても、ただ自然の中で呼吸を整えるだけで、自分の中の〝ざわざわ〟が静かに収まっていきます。そんな癒しの感覚を久しぶりに味わいました。

帰り道がくれる〝明日への元気〟

 登山の魅力は、頂上にたどり着くことだけではありません。下山する途中にも、新しい発見や楽しみが詰まっています。登りでは気づかなかった景色、すれ違う人との挨拶、風に揺れる枝の音。心に少し余裕ができたからこそ、見えてくる風景があります。下りは足元に注意しながらも、どこか気持ちは軽く、開放感に包まれていました。途中、ケーブルカーの駅もあるので、疲れたら無理せず乗ることもできます。登山の後は、駅前にある日帰り温泉「京王高尾山温泉/極楽湯」で汗を流して、身も心もリフレッシュできます。開放的な露天風呂に身を沈めれば、温かな湯気に包まれて、全身の疲れがじんわりとほぐれていくのが感じられます。高尾山の自然に癒された後に、さらに温泉でリセットすれば、まさに心身ともに新たなエネルギーが湧いてきます。帰りの電車の中では、心地よい疲労感と共に、「また明日から頑張ろう」という前向きな気持ちがふわっと湧いてきたのです。特別な何かがあったわけではないけれど、確かに心が整っている。そんな実感がありました。

忙しい人にこそ、〝半日旅〟のすすめ

 「旅行」という言葉を聞くと、多くの人が「時間やお金がかかる」と感じるかもしれません。でも、日帰り登山のような〝半日旅〟なら、手軽に実行できます。特別な準備も不要で、費用も少ないです。そして何より、「思い立ったらすぐに行ける」という心理的ハードルの低さが魅力です。今回のように、都心から1時間ほどの距離にも、実はたくさんのリフレッシュスポットが存在しています。ちょっとだけ早起きして、自然の中を歩いてみる。それだけで、自分の中にあるモヤモヤや疲れがスーッと消えていくのを感じられるはずです。もし今、「何か変えたい」「最近、少し疲れてるな」と思っている方がいたら、ぜひこの週末、靴ひもを結んで高尾山のような場所に出かけてみてください。山頂で深呼吸をするだけで、自分の中の〝何か〟が静かにリセットされるのを感じるはずです。そして、それは決して難しいことではありません。ほんの少しの時間と、わずかな行動力があれば、誰にでもできるリフレッシュ法です。その一歩が、きっとあなたの毎日を、少しだけ明るく、前向きに変えてくれるでしょう。

なぜ人は熱狂するのか?

バスケ観戦という魔法

しゅな

なぜ人は熱狂するのか? バスケ観戦という魔法

しゅな

バスケ観戦をはじめたきっかけ

 これを読んでいる人で、スポーツ観戦は難しい・ルールが分からないといったことを思ったことはないだろうか? バスケ観戦歴一年目の筆者が、初めて観戦した時に「どうしていいか分からなかった」状態から知っていった、観戦をより楽しむためのポイントをピックアップしていく。
 まず、私がバスケ観戦をはじめたきっかけは母からの誘いである。母は学生の頃バスケ部に所属していて今でも試合を見に行くほどバスケが好きだ。そんな母に誘われ初めて見に行ったのが、「Bリーグ(ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ)」の試合だった。越谷アルファーズと滋賀レイクスの対戦だった。初めての試合観戦ということもあり、コートエンド側の席(ゴールの裏)で体感した、至近距離から見られる選手の顔や3Pシュートやレイアップシュートなどの選手の技術に熱狂した。また、ハーフタイムショーと呼ばれる試合の間に行われるチアリーダーによる演出などもあり楽しみ方が無限にあるかのように思えた。

はじめての観戦で必要な準備や見どころ

 プロバスケットボールチームの試合を見るには、Bリーグの公式サイト(※1)から見たいチームを指定し対戦相手や日程を確認しチケットを購入する必要がある。チケットの価格は選んだ座席や対戦相手によって変化する。紙チケットやモバイルIDチケットがある。モバイルIDチケットを利用するにはBリーグ公式アプリ「B.スマチケ」をインストールする必要がある。アプリでは試合日程の確認や選手のカード集めができる。
 観戦するときに必要な準備についていくつか挙げていく。一つ目は双眼鏡だ。会場の大きさや座席の場所によって必要な場面がでてくる。選手の顔を至近距離で見たい場合は最適である。DAISOなどで買える安いものでも十分見ることができるので、はじめての双眼鏡にオススメである。二つ目は応援グッズである。チームのコンセプトによってグッズのバリエーションが複数あるのでお気に入りを見つけるのも楽しみの一つとなる。例えば、越谷アルファーズには埼玉県ブランド農産物のネギをモチーフにした「ネギばんばん」というグッズがある。クラップメガホンのような形になっていて叩いて選手を応援する。
 次に見どころについて挙げていく。試合開始の2時間前から入場することができる。私のおすすめの楽しみ方はチームのグッズや対戦相手のグッズをチェックすることだ。そして、ホームゲームの会場の外ではキッチンカー、会場内でもフードやお酒の販売が行われている。選手がプロデュースしたグルメが各チームで企画されていて、川崎ブレイブサンダースでは小針幸也選手の「ハッピーロコモコ丼」(※2)や宇都宮ブレックスの比江島慎選手の「フルーツまこパフェ」(※3)など推しの選手のグルメを堪能できる。
 開始30分前になると両チームの選手が入場してくる。試合開始までのウォーミングアップのようすを見ることができる。チームによって練習メニューが異なってくるので比較してみるのも面白い。
 試合開始直前に行われるチーム所属のチアリーダーによる演出は見応えがある。千葉ジェッツでは炎や照明を使った光の演出が豪華で惹きつけられる。チアリーダーによる演出が終わるとスターティングファイブと呼ばれる最初に試合に出る選手のメンバー紹介が行われる。選手の登場シーンも演出が凝っていて、アリーナDJによる音の演出やMCの紹介で会場内のボルテージがどんどんと上がっていく。
 試合開始になるとジャンプボールによって攻守が決まり、両チームの選手による熱い戦いが始まっていく。自分が推している選手が得点を入れたり、相手チームに得点を入れられたりすると、ファンは一喜一憂をする。バスケはクォーター制となっている。たくさん得点が入り、選手の誰でも得点の機会があるので推しの選手を作って活躍を見るのもオススメだ。
 2Q(クォーター)と3Qの間にはハーフタイムという15~20分くらいの休憩時間があり、その時間帯をどのように使うかは自由である。気になるグッズやグルメ、お酒などを買いに行く人やハーフタイムショーを見る人などさまざまである。チアリーダーのダンスパフォーマンスやアーティストによるライブなどの演出がある。
 試合終了後にはMVP選手の発表やコーチによる試合の感想、ヒーローインタビューなどがある。試合後には最前列席に座るファンと選手がタッチなどの交流をする場合がある。顔や肉体美を間近で見たり、直接声をかけられたいファンには最前列席を取るといい。

千葉ジェッツの観戦時に撮影 千葉ジェッツのマスコットキャラクターのジャンボくん
撮影:筆者

推し選手とマスコットキャラクター

 ここで私の推しの選手を紹介していく。宇都宮ブレックスの比江島慎選手(34歳)だ(※4)。ポジションはSG(シューティングガード)で精確な3Pシュートを得意とする選手である。日本代表選手に選ばれるなど活躍の場面が多い。体幹がしっかりとしていて、外国人選手と対峙しても揺るがない強さを持っている。彼の性格はシャイな部分があるが、試合になるととても生き生きとしてみえる。そんな彼がW杯で3Pシュートを決めたときのポーズが話題となっている。三本指を突き出し、首をふるというポーズだ。
 元ネタはNBAのミケル・ブリッジス選手のポーズのマネである(※5)。インタビューで比江島選手は「(ポーズは)気分がノッたときにしかやらない。そのときは日本代表が勝つ瞬間だ」と答えていた。普段の彼の性格であればやらないイメージがあるが、気分が高まったときにポーズが出るというのでリーグ戦での活躍に注目だ。
 次に、マスコットキャラクターについて紹介していく。個性豊かなキャラクターたちが試合を盛り上げている。「MASCOT OF THE YEAR」(※6)が毎年開催され、ファンや選手、メディアからの投票によってその一年の活躍を表彰するイベントがある。トップに君臨するのは、もふもふなマスコットが多い中で、トップ10入りをした異彩を放つマスコットがいる。越谷アルファーズの「アルファマン」だ。バーガンディー色のコスチュームをまとったスーパーヒーローであり、特技はバク転、宙返り、ブレイクダンスなどだ。ハーフタイムショーではAlphaVenus(チアリーダー)とともに会場を盛り上げてくれる愉快なマスコットである。

一度、Bリーグ観戦に行ってみてほしい!

 この紹介を読んで少しでも興味が向いたらBリーグ観戦に行ってみてほしい。リーグ戦のときには全国各地で試合が行われ、いろんなチームがお互いのホーム(拠点)を行き来し、遠隔地に行かなくても済むので、気になったチームなどの試合観戦にチャレンジしてみてほしい。関東近辺であれば7チームもある。決められないようであれば地元のチームを応援するのもオススメだ。

越谷アルファーズ対宇都宮ブレックスの試合風景、6番は比江島慎の背番号である。
撮影:筆者
越谷アルファーズと宇都宮ブレックスのグッズを持って撮影をしている。
撮影:筆者

参考文献

(※1)観戦の楽しみ方|B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト
https://www.bleague.jp/howtoenjoy/
(※2)「2024-25シーズン選手プロデュース企画 グルメ第三弾」販売のご案内 川崎ブレイブサンダース
https://kawasaki-bravethunders.com/news/detail/id=21685
(※3)【グルメ情報】3/19(水)茨城戦 宇都宮ブレックス
https://www.utsunomiyabrex.com/foods/20250319/
(※4)B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト「比江島慎」
https://www.bleague.jp/roster_detail/?PlayerID=8589
(※5)比江島慎の大活躍にNBA公式も注目!「これはエグイ」と“指差しポーズ”の本家も歓喜の投稿<DUNKSHOOT>
https://thedigestweb.com/basketball/detail/id=71878
(※6)【公式】B.LEAGUE MASCOT OF THE YEAR 2024-25 結果発表
https://www.bleague.jp/mascot/2025/result/

#あふれるしあわせ

マリリン

#あふれるしあわせ

マリリン

一 1回表 #野球って楽しいね

 色鮮やかなペンライトが光り、タオルが舞う。ここは東京ドームである。(注:神宮かもしれないし、甲子園かもしれない、京セラドームかもしれないし、エスコンフィールドかもしれない)。
 どこであるにせよ、これから始まるのはキラキラした華やかなものではない。熾烈なリーグ優勝、その先にある日本一を目指して。血と汗の滲むような攻防戦が始まるのである。そう、プレイボールの合図とともに。
 東京ドームをホームスタジアム(後攻になる)とする読売ジャイアンツが守備につく。ペンライトは消え、相手球団のタオルがなびく。ドームの大半を埋めるジャイアンツファンを、祈りがこもった静寂が包みこむ。対戦をしているのだからどちらにもファンがいるのは当然のことである。しかしだ。完全に応援が独立していて、片方を静寂が包むスポーツは野球(ソフトボール含む)以外にあるだろうか。
 「攻めろ」と応援するだけでなく「守れ」と祈りをこめるのを9回(最大12回)繰り返す。こんなスポーツ、他にないだろう。
 とはいえ、野球のルールは複雑で馴染むのが難しいと言われることがある。加えて、始まってしまうと試合終了時間は誰もわからないということもあり敬遠される場合もある。
 実は、私が応援している球団・読売ジャイアンツに対する野次は恐ろしいものがある。そんな危険球を打ち返すぐらいの強い幸せを綴らせて。
 あなたの心が「野球って楽しいね」となってもらえるように。ストライクゾーンじゃなかったらごめんね。一緒に野球を観戦しよう。

#5回表 小さな絶望と大きな希望

 ここまで表と裏を繰り返してきた。初回からの投手にとって5回の攻防ってすごく大切なの。自分の成績に反映される「勝利投手」の権利がかかるから。球場を包む空気も「ついに5回」ってなる。
 守備への応援にも熱を入れるから、ストライク1つで大騒ぎ。ボール1つでざわめきが広がる。塁に相手選手を置いたもんなら空気が凍る。相手球団の方はさらに熱を帯びて、東京ドーム全体は鉄板の上みたいになる。なんだけど、こちらとしては南極に放り込まれたみたいになっている。さて、南極から出られるか。3アウトまであと1つ。
 「え、なんでホームラン」「他に塁に出てなくてよかった、のか」スコアボードに刻まれる1。ここまで0を重ねてきたのに。やはりスコアの動く5回は魔の回とでも言おうか。
 この守備交代時間は全力で叫ぶ。南極は出たけど今度は砂漠。でも砂漠の中で水を見つけるように、何か起こしてくれるって期待に胸が膨らむ。いや、起こしてくれって願ってる。全力で応援をするけどあっという間にアウトは2つ。空振り三振して終わるんかい。
 その瞬間の相手球団の様子は……見ないことにしよう。あと4回は攻めるチャンスがありますから。あとは1点を守ってもらうこと。奪い返してもらうことを祈るだけ。相手のことをどう言ったって気分は明るくならないので。こういう時に限ってジャイアンツ側に対して恐ろしい野次がとんでくる。そういう時は、「危険球退場だね」って笑いすごそう。

#6回裏おわりと7回表の熱狂

 守備交代をしている時のことをイニング間と呼ぶ。テレビ中継だと映らないんだけど、現地では色々なイベントをしている。例えば、球団公式チアによるダンスパフォーマンス、球団マスコットによるコーナーだったりと各ホーム球場によって異なる。
 ここで伝えたいのは、全12球団に共通していることである。それは7回を迎えるイニング(表に攻める球団にとっては6回裏終了後)。ファンが一体となり、選手にエールを届けるのだ。ホーム球場だと、風船を飛ばす・タオルを掲げる・ペンライトが光るなど届け方はそれぞれである。熱狂の渦に包まれるこの空間では、勝っていようが負けていようが関係ない。目の前で頑張っている球団と「一緒に戦っている」ということを示す時間があるのである。

二 9回裏 #こぼれる、しあわせ

 9回裏、最後の攻撃が始まる。ここで同点、さらにはサヨナラ勝ちとできるか(同点なら延長戦だけど、できなければ負ける)。相手球団のファンが固唾をのんで見守っている。勝利を掴むには、3つのアウトまでにホームベースに2人戻ってこなければいけない。アウトカウントが1つ。相手球団のファンが盛り上がり、それに負けないようにこちらは声を出す。応援に返事をしてくれるかのように1人塁に出た。
 野次が飛んでくる。選手に届かないように、打ち返せるように叫ぶ。スコアが取りやすいという2塁に選手が進む。だけど、アウトカウントは2つ。ここで許されるのはヒットかホームランのみ。東京ドームの空気は沸騰寸前。
 ストライクカウントがたまり、相手球団からしたらラストボール。選手の振りぬいたボールがスタンドの方に飛んでくる。オレンジのタオルが舞うスタンドに吸い込まれたサヨナラホームラン。
 東京ドームが揺れた。前後左右の人と喜びを分かち合う。この瞬間が何よりもの幸せ。

 ここまで、試合の行方を見守ってくれてありがとう。春に始まった熾烈な争いは秋まで続く。1点を巡る攻防は心が苦しくなることもあるけれど、世代関係なく目の前で戦うチームを応援する。近くにいる人と喜びを分かち合い、選手を信じるように鼓舞しあう。非日常空間がそこにはある。
 野球は男性(おじさん)の見るスポーツと呼ばれていたころとは違う。性別も年齢も関係ない。それに伴い、公式グッズの発売も多様化した。埼玉西武ライオンズは特に女性に向けて「推し活」を布教している。読売ジャイアンツが始めたのは「パペットシリーズ」である。まだ全選手いるわけではないが、動物になって大集合。選手が好きな動物を選んで、本人の背番号や名前の一部をもりこんだものが完成する。目の前では「命がけ」の試合が進んでいるが、スタンドからは色々な動物さん(ぬいぐるみ)が見守っている。少しでも彼らの癒しになりますように。

パペットにペンライトもたせてみた
(東京ドームにて著者撮影)

 ここは東京ドームである。ペンライトが光り、タオルが舞う。煌びやかな世界とはいえないかもしれない。だけどそこにいる選手は何よりも輝いている。

推し活のすゝめ

みさきち

推し活のすゝめ

みさきち

あなたにとっての推しは?

 近年急速に発展してきている推し活文化。その推し活文化の中心にいる「推し」は、アニメや漫画といった2次元キャラクター、アイドルや俳優、アーティストといった3次元の人物など様々である。そこでこれを読んでいるあなたに質問だ。「あなたにとっての推しは?」
 ここでは「推し」を見つけるための場として2次元と3次元が融合したコンテンツの2.5次元舞台について紹介していきたいと思う。

2・5次元舞台のあれこれ

2・5次元舞台について

 まず、グッズの企画制作を手掛ける株式会社トランスのコラム(著者・白峯アサコ)によると、「2・5次元舞台」とは、「漫画やアニメ、ゲーム(2次元)を原作とした作品を、舞台やミュージカル(3次元)で再現しているものを指す」のだという(※1)。代表的な作品では、「刀剣乱舞」や「テニスの王子様」、「ヒプノシスマイク」などがあげられる。また、2・5次元舞台に出演する俳優を「2・5次元俳優」と呼び、アイドルの推し活と並ぶくらい「2・5次元俳優」を推す推し活が現在盛んである。
 では既存の「舞台「」とよばれるものと「2・5次元舞台」はいったい何が違うのか。白峯氏の記事には以下の点が挙げられている(※1)。

・観劇客は「原作漫画のファン」を中心に、「特定の2・5次元俳優を推すオタク」などがいる。
・看板俳優や演出など著名人による集客ではなく、原作の知名度に依るところが強い。
・DVD、Blu-ray、ライブビューイング、配信、キャストの肖像グッズなど、興行収益以外での収益モデルが確立している。
・キャラクター≒俳優と捉えて推すファンも多く、無名の若手俳優にとっての登竜門となっている。

特に原作からのファンを大切にしていることは覚えておきたい点だ。

刀剣乱舞

 作品の中でも原作が異なるものがあり、「刀剣乱舞」はゲームが原作になる。ゲームが原作の場合プレイヤーが存在する。キャラクターや物語に親密に関わっていく「刀剣乱舞」では、ソロプレイのゲームでありながら観客全体にゲーム内での呼び方でコール&レスポンスをさせることによって観客があたかも舞台上の物語に参加しているように見せている。また、舞台にのみ登場するオリジナルキャラクターを作ることによって作品の新しい物語を見せ、観客を引き込んでいる。さらにLIVEを開催することによって、その世界観への参加を促している。

テニスの王子様

 「刀剣乱舞」と異なり、「テニスの王子様」は漫画が原作の舞台になる。現在でも人気が衰えない2・5次元舞台のなかで特に歴史が長いものがテニスの王子様シリーズである。2003年頃から上演が始まり、原作を忠実に再現するため物語の内容はほとんど変わらないが、現在もキャストを変えながら4thシーズンとして続いている(※2)。テニミュ(「テニスの王子様」の「ミュージカル」を略して、通称「テニミュ」と公式でも呼ばれている)は当時2・5次元舞台の草分け的存在であり、2・5次元舞台で定期的な卒業というシステムがある(主人公・越前リョーマが入学した学校である青春学園のメンバーが、1シーズンのなかで1~2代の代替わりがある)。また、客降りという演出が施される場合があり、原作のキャラクターと触れ合う(ファンサービスをもらう)ことができる場合がある。

観劇までの道のり

 ここまで2・5次元舞台について述べてきたが、初めての観劇だと一体何から始めればよいのかわからないことが多いはずである。そこで一番大切になる観劇までの道のりを紹介したいと思う。

チケット

 まず初めに行うことはチケットを入手することである! 特に歴史の長い作品だと、必ずファンクラブ(通称FC)が存在しており、そこが最速でチケット先行販売に申し込める場となる。続いてキャスト先行というものがある。作品のファンクラブ先行の次に早く行われる先行であり、出演するキャストのファンクラブ先行となる。基本ここまでの2つが最速かつ有料のチケット先行になる。
 次は主催者先行だ。これは作品の制作会社からの先行申し込み枠となっており、無料の会員登録をすれば誰でも申し込める先行になる。
 そして最後はプレリクエスト先行と一般先着だ。これはどちらもイープラス、ローソンチケット、チケットぴあの3社を使用することが多い。ここまでが事前にチケットを手に入れる手段となる。当日劇場で直接販売される当日券というものも存在するが、あらかじめ各先行でチケットを入手していたほうが安心である。

観劇に必要な持ち物は?

 チケットを手に入れてしまえば、あとは観劇日当日まで健康に過ごし、持っていく荷物を考えるだけだ。劇場はどこも座席スペースが狭いため、大きな荷物にならないようにすることがポイントである。公演時間が長く、途中で休憩時間10〜20分を挟む場合があるため、飲み物は必ず持参することをお勧めする。さらに、劇場では物品販売(物販)といった作品のブロマイドやパンフレットなどのオリジナルグッズの販売があるため、財布の中には少し多めにお金を準備した方がよいかもしれない。また、快適な観劇にしたいと思う場合には、オペラグラスの購入を強く勧めたい。劇場では基本8倍のオペラグラスで十分である。観劇のために購入するが、東京ドームなどのライブでも使えるためぜひひとつ手元にあってもよい品物ではないかと思う。

おわりに

 2・5次元舞台と観劇についてまとめたが、敷居の高いように感じる舞台というものが少し身近に感じることができるようになったのではないかと思う。そしてこの2・5次元舞台には原作のキャラクターとされを演じる役者、どちらにも推しを見つけられる可能性を秘めている。これを読んだあなたが、舞台を観劇し、推しを見つけられたら、本稿を書いた意味を見出せるのではないかと考える。
 あなたの推し活の一歩に、2・5次元舞台というコンテンツが響きますように。

参考文献

(※1)グッズの企画制作を手掛ける株式会社トランスのコラム(著者・白峯アサコ)
https://www.trans.co.jp/column/trend/oshikatsu_25dstage/
(※2)ミュージカル「テニスの王子様」公式サイト
https://www.tennimu.com/

邦ロックが僕らに語りかけるもの

U

邦ロックが僕らに語りかけるもの

1. 邦ロックとは何か

 「邦ロック」とは、「日本のロックミュージック」を意味する略語です。しかし、その定義は明確に定まっているわけではありません。J-POP、オルタナティブ、パンク、エモ、ポップ・ロックなど、さまざまな要素を含みながらも、リスナーたちの中で「これは邦ロックだ」と感じられる音楽が、その枠組みを自然と形成してきました。特に2000年代以降、日本の音楽シーンには大きな変化がありました。それまでの「売れるための音楽」や「テレビに出るための音楽」とは一線を画し、ストリートやインディーズ出身のバンドたちが自分たちの信じる音楽を貫いた結果、彼らの音がリスナーの共感を得て、大きなムーブメントへと成長していきました。そのなかでも、ELLEGARDEN(エルレガーデン)は象徴的な存在です。2000年代前半、洋楽的なエモ・パンクのサウンドを日本語詞と融合させ、爆発的な人気を集めました。細美武士のエネルギッシュで感情のこもったボーカル、スピード感のあるサウンド、そしてライブでの熱量の高さは、多くの若者にとって〝音楽に目覚めた瞬間〟となりました。ELLEGARDENのように、海外のロックバンドに影響を受けながらも、日本語のリズムや情緒を大切にした表現が、邦ロックならではの個性を生み出しています。つまり邦ロックとは、「外から学びつつ、内から語る」日本独自のロックの姿とも言えるのです。

2. 歌詞に宿る物語

 邦ロックのもう一つの魅力は、「歌詞」にあります。ただ音を奏でるだけではなく、「言葉」で聴いている人々の心を揺さぶること。これが、邦ロックが多くの共感を得ている理由の一つです。
 RADWIMPS(ラッドウィンプス)は、その筆頭格ともいえるバンドです。彼らの歌詞は、まるで小説や詩のように、日常のなかの些細な感情や哲学的な問い、個人的な痛みなど普段表現するのが難しいことを繊細に描き出します。例えば、「ふたりごと一生に一度のワープver」という楽曲では、恋人への愛をまっすぐに、でも少し照れくさそうに綴っています。言葉遊びのようなフレーズと、飾らない語り口は、まるで手紙を読むような感覚をリスナーに与えます。一方、「有心論」では、人との距離感や不安、愛の裏返しといった複雑な感情が、静かで切実な旋律にのせて歌われています。
 RADWIMPSの歌詞の多くは「僕」と「君」という語りで構成されており、誰もがその「僕」に自分を重ね、「君」に大切な人の顔を思い浮かべることができるような、普遍性を持っています。日本語という言語が持つ独特の間(ま)や余白を活かしながら、音としての響きも意識してつくられた歌詞は、英語詞主体の洋楽とは異なる深みを持っています。音楽を「聴く」のではなく、「読む」「感じる」「考える」ものとして捉えさせてくれるのがRADWIMPSの音楽です。

3. ライブとフェスを通じて体感する音楽の力

 音源だけでは、邦ロックの真の魅力を語り尽くすことはできません。彼らの音楽は、ライブという生身の空間でこそ、最大限の力を発揮します。CDやサブスクで何度も聴いた楽曲が、ライブで聴くとまったく違って聞こえます。そんな経験をしたことがある人は多いはずです。私が初めてELLEGARDENを観たのは、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」でした。快晴の夏空、会場を包む湿気と芝生のにおい、早朝からの待機列。開演前のステージ周辺には、Tシャツ姿の観客たちがすでに熱気を放っていました。「Supernova」のイントロが鳴った瞬間、場内の空気が一変しました。音源では味わえない、生々しく鋭いギターの音、細美のシャウト、ドラムの鼓動のような響き。それらが体を突き抜け、観客のジャンプや叫びと混ざり合い、ステージと客席が一体となっていく感覚は、まさに「音楽に呑まれる」瞬間でした。ラストの「虹」で、ギターボーカルの細美が「ありがとう!」と叫んだとき、隣の知らない人と自然と肩を組んでいました。言葉がなくても、同じ空間で同じ音を浴びた者同士が共有できる一体感。フェスは、音楽の持つ力を身体で証明してくれる場所です。
 年末に幕張メッセで開催される「COUNTDOWN JAPAN(CDJ)」で、RADWIMPSのステージを体験しました。冬の夜、寒さで震えながら会場に入ると、中は熱気でいっぱい。スクリーンには壮大な映像演出が映し出され、ステージには静かにバンドが登場します。「スパークル」から始まったセットリストは、まるで映画のような流れを持ち、「最大公約数」「会心の一撃」など、歌詞の世界観と照明・映像が完全にシンクロした演出に、観客は静まりかえりながら聴き入っていました。ライブというより、芸術作品を〝体験〟しているような感覚。RADWIMPSのライブは、感情の起伏がそのまま音楽になるような構成で、「言葉」「映像」「空気」のすべてがひとつになった時間でした。

4. 邦ロックが教えてくれること

 邦ロックは、ただの音楽ジャンルではありません。それは「言葉にできない感情」を音にのせ共有し、時には代弁し、時には癒し、そして時には背中を押してくれる存在です。
 ELLEGARDENやRADWIMPSをはじめとする多くのバンドが、決して社会の中心にいるわけではない若者たちの「モヤモヤ」や「怒り」や「切なさ」を、言葉にしてくれました。そしてそれが聴き手の「自分も、こう感じていいんだ」という肯定感につながっていきます。邦ロックは、未完成な感情や思考をそのまま音にすることで、多くの人の心に寄り添ってきたのです。

おわりに

 「音楽を知る」という行為は、ただ耳で音を聞くことではありません。それは、自分の感情や価値観と向き合うことでもあり、他人の生き方や痛みに寄り添うことでもあり、それを分かち合い共感することができます。邦ロックは、そんな「知る」ための入り口として、多くの若者に寄り添い、時代ごとに形を変えながら生き続けてきました。本稿を通してまだその魅力に触れていない人々の小さなきっかけになれば幸いです。

現場至上主義

2025年7月25日 発行 初版

著  者:ノ木リ木、レイ、しゅな、マリリン、みさきち、U
発  行:二松学舎大学

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ノ木リ木

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