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「推し活」は「私の生きる希望」になる。もちろん、好きすぎて苦しくなることだってある。
好きだから応援する。
応援するから好きになる。
SNSの普及は、「推し」の範囲を拡大させ続けている。そんな現代だからこそ、誰かの推し活を否定することなく、ただ聞いてあげる時間もあっていいのではないか。だって「私だけの推し」を語りたいんだもの。本書は「私だけの推し」を語るエッセイ集である。

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#あふれるしあわせ

城山春、十時間睡眠、しゅな、マリリン

二松学舎大学



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 目 次

一 城山春 エゴと愛の間の祈り

二 十時間睡眠 最強の推しが、私にくれたもの

三 しゅな なぜ人は熱狂するのか? バスケ観戦という魔法

四 マリリン #あふれるしあわせ

エゴと愛の間の祈り

城山春

エゴと愛の間の祈り

城山春

狂酔

私が死んだときに流れる走馬灯の八割は推しメンが占めていると思う。そう思うくらいには推しメンに人生を捧げているし、推しメンの関わらないところでは薄っぺらい人生を送っているのだ。

 スマホでろうきんのアプリを開く。赤色の数字ばかりの履歴に辟易して、残り少なくなった貯金には見ないふりを決め込んだ。私が払ったお金の何割が私の好きな人に還元されているのだろう、とグッズを買うたびに考える。おそらくCDの売上金は事務所に全額入っていて私の推しメンには入らないだろう。アクスタやチェキも、いくら入っているのか皆目見当もつかない。別に推しメンの生活を豊かにしたいから買うわけではないが、それでも一円も好きな人の懐に入らないとなると話は変わってくる。自己満足は時にエゴイズムとして牙をむく。
 私の働くお店ではお客さんが一枚チェキを撮ってくれるたびに一割のバックが入る。一割、1000円のチェキで100円。自分の価値は思ったよりも安いもんだなと思う。お客さんは1000円で私を買っているのかもしれないが、私は100円で買われている。この認識の相違は埋まらない。私だって推しメンのグッズは10000円で購入しているが、バックは1000円かもしれない。たかだか1000円で人生の一部を売っている。それでも私は10000円で人生の一部を買っている。売る方は自分を安く売りだされているのだからたくさん買ってくれたっていいだろうと考える。買う方は高いから一つか二つしか買えなかったなと考える。9000円の差は大きい。誰も悪くないことだが誰もが悪いことである。
 そんなことを考えていたとて、結局グッズが出たら買ってしまう。取捨選択ができないから、お知らせが来たら後先考えずに購入し支払いに悩む。「タイミーでもするか、当日入金だし」だなんて楽観的な考えでアプリを開いてみるが髪色ネイル自由での絞り込み検索では何もヒットしない。この世の中への恨み節を吐きながらアプリを閉じる。これを何回も何回も繰り返す人生を送ってきている。そもそも髪色が黒でなければいけない理由は一体何なのだろう。髪を黒に染めたところで髪をピンクに染めていたいという思考までは染まりきらない。意味のない、形だけの習慣のようなもの。社会を批判したとて私の口座のお金は増えるわけでもないのに、こんなことを考えて現実逃避していないと正気でいられない。好きという気持ちが行き過ぎた結果のことだ。私の気持ちは推し活なんて柔い言葉で収まるようなものではない。ステージに立つ推しメンはあんなに輝いているのに、それを応援する私は泥の中で蹲るのみだ。

 昨今の推し活ブームは度が過ぎているのではと感じることがある。グッズが出たら買って当たり前。コンサートに複数公演入らないのはオタクとして失格。コンテンツを全部見てない人はオタクを名乗る資格がない。そんなのは誰が決めたことなのだろう。いつから私の好きは人の尺度で測られ、批判されるようになったのだろう。私がCDを何枚買ったとて誰かに関係のある話ではないし、私がコンサートに行こうが行くまいが誰かに影響のある話ではない。ただ好きだからCDを積むし、ただ好きだから全公演入る。それだけの話。私の好きの表し方はそこにあるというだけのこと。絵は描けないけど、絵の描けるオタクに嫉妬したことはない。きれいな韓国語でファンレターを綴ることのできるオタクにも、面白い話ができて推しメンをいつも笑わせているオタクにも、私は誰にも嫉妬したことはない。私にできないことが他のオタクにできるからということで嫉妬したってなにもいいことはないのに、なぜかCDを多く買えるオタクとコンサートに複数公演行くオタクは嫉妬の的になる。これは単に情緒の安定していない中高生のオタクたちが、同時に金銭的自由を得られない環境にあることが一因であると考えることができる。仕事をしていないから親からもらったお小遣いでしかCDが買えず、尚且つ、多感な時期の中高生特有の他責思考がこのような状況を呼ぶのではないか。結局のところ、人の金で生活しているような中高生の手にもSNSがあるせいで、推し活ブームは行き過ぎた思想に呑まれたのである。

あとは夢とか愛とか恋とか


 しかし私の推し活は苦しいことだけではない。確かにお金はないしSNSでは叩かれるが、そんなものを障害だとは思わないほどに私は推しメンのことが好きである。ここからは好きなところをつらつらと語っていくことにする。
 まずは何と言っても顔。推しメンはアイドルだから顔が良いのは当然のことであるが、それにしても私のタイプすぎるのだ。どうやら私の推しメンの顔は「麦茶顔」というらしい。純朴で曲線的で、すこし女性的な顔立ちをしているところが好きだ。春の日差しは私の推しメンの為だけに降り注げばいい。
歌声も良い。滑らかに伸びる高音。この世から音がなくなったとしても彼の歌声は忘れることはない。あとは誠実さ。昨今の男性にしては珍しいほど正しく誠実である。デビュー当初は「正しい男」というキャッチコピーを使っていたくらい正しい。賢く誠実なきれいな人間しか好きになれない私にとっては好条件のアイドルである。他にも、無声両唇摩擦音の発音の仕方が可愛いところ、埋もれ席に入っていても必ず見つけて手を振ってくれるところ、韓国人なのに日本語の勉強を頑張ってくれてオタクと日本語で意思疎通を図ろうとしてくれているところ、努力家なところ、意外と我儘をいうところ、あげたらキリがないほど彼を構成するすべての要素が愛おしくてたまらないのだ。

 時々推し活をしていると自分を見失うことがある。私が本当に好きなのは推しメンなのか、それとも推しメンに貢ぐことなのか、推しメンに貢いでいる自分なのか。SNSに触れていなければこんなにCDを積むこともなかったのだろうか、とも考える。何のために現場に行って、グッズを買って、CDを積んで、毎日毎日推しメン以外にかけるお金を切り詰めながら生活しているのだろう。これは本当に意味のあることなのだろうか。こんなことを考えては終わりの見えない自己問答に精神をすり減らす。幸せを享受するためにしていたはずの推し活はいつしか自分の首を絞めるものへと変わりゆく。
 しかし、そんな考えなど推しメンを前にしたらすべて吹きとんでいく。自分の為の推し活をしている。コンサートで好きな曲のイントロが流れた時の脳が焼き切れるあの感覚を、ハイタッチ会で冷たくて薄い手のひらに触れた時のときめきを、彼の幸せを願って流したあの涙を、すべて忘れてはいけない。私は私の欲求を満たすために彼を応援する。その過程で彼が幸せになるのを見届けられるなら何でもいい。他のオタクなんて関係ない。推しの為でもない。誰の為でもない、私の為だけの推し活。自分の人生の対価として推しメンの人生の一部を買う生活はいまだやめられそうにはない。それでも病まないで、楽しく推し活ができるといい。推し活というには醜い感情ばかり抱えてしまったが、そもそも推し活という言葉に完全な定義がないのをいいことにこれが私の推し活だと開き直らせていただく。推しメンに明るい未来だけが訪れることを夢見ながら、私はこの行き場のない汚い感情の埋葬場所を探して生きる。それが私の推し活なのだ。季節が何度巡ろうと、冬には初めて出会った日のことを思い出し、夏には初めて対面した日のことを思い出したい。春の風は推しメンの頬を撫でるためだけに存在し、秋の香りは推しメンの存在を引き立てるためだけにある。
 君の走馬灯には私は一瞬たりとも映らないかもしれないけど、私だけが、私が君を好きだったことを覚えていられたらいい。

    最強の推しが、私にくれたもの

十時間睡眠

最強の推しが、私にくれたもの

十時間睡眠

1.推しは世界最強馬、イクイノックス。


 私の推しは、競馬ファンから天才少年・世界最強馬と称されるイクイノックスです。
 戦績は10戦8勝(うちG1・6連勝)。主な勝ち鞍としては天皇賞・秋を2連覇、有馬記念、ドバイシーマクラッシック、宝塚記念、ジャパンカップなどが挙げられます。これらの実績により2022年にはJRA賞最優秀3歳牡馬および年度代表馬、2023年にはJRA賞最優秀4歳以上牡馬および年度代表馬に選出されました。また、2023年にはロンジン・ワールド・ベスト・レースホース・ランキングにおいて、日本の競走馬として史上最高記録の135ポンドを獲得し世界ランキング1位に輝き世界的名馬として知られています。
 加えて、種牡馬としては初年度の種付け料としてディープインパクト・コントレイルの1200万円を大きく上回る史上最高の2000万円に設定されました。

撮影:十時間睡眠(筆者)

2.イクイノックスとの出会い。

 私とイクイノックスの出会いは、2021年8月28日、新潟競馬場の芝1800mで行われた彼のデビュー戦でした。レースでは特に注目している馬がいたわけでもなく、ただ漠然とレースを眺めていた私の目に鮮烈な光景が飛び込んできました。それが、イクイノックスでした。
 各々の騎手に鞭を打たれながら他の馬が懸命に走る中、ただイクイノックスだけが鞭をほとんど使われることなく、まるで鼻歌でも歌っているかのように馬なりのままに後続を置き去りにしていき、結果的に6馬身差の圧勝でした。他馬と比べてもまだ若駒であることを象徴するような線が細く厚みのない薄い青鹿毛の馬体からは、想像もつかないほどの力強く美しいストライドでターフを駆け抜ける圧倒的な走りに目が釘付けになっていました。このデビュー戦で私は間違いなく、ターフで輝く彼に心を奪われました。

3.イクイノックスが映す、私の感情のジェットコースター。

 イクイノックスがターフを駆け抜けた全10戦を観戦する中で、私の感情はまさにジェットコースターのように激しく上下しました。彼の存在が、私自身の感情の振れ幅を最大限に引き出したといっても過言ではありません。
 デビュー戦の衝撃的な勝利後、イクイノックスはGⅡ東京スポーツ杯2歳ステークスを勝利牡馬クラシックレースの最有力候補の評価を得ました。しかし、その後の皐月賞で初の敗戦となる2着。続く日本ダービーも2着という結果に終わりました。生涯1度きりのクラシックレースであと1歩届かなかった頂点に、まるで自分事のように悔しかったです。しかし、同時に彼への誇らしさも覚えました。当時のイクイノックスの馬体は未熟で厚みが一切なく、虚弱体質から調教も満足に積むことができないと耳にしていました。さらに、2戦連続で大外枠である18番枠という不運まで背負っており、これほどのハンデと未完成さがありながらポテンシャルだけで2着になったイクイノックスを私は誇らしく思いました。
 夏を経て、イクイノックスは身体的にも大きく成長しました。虚弱体質も改善され、調教も積むことができるようになった彼は、まるで本領を発揮するかのように躍動していきました。2022年の天皇賞・秋での勝利は、彼の才能がついにG1制覇という形で証明された瞬間であり、私は心の底から喜びました。続く有馬記念も制し、イクイノックスは最優秀3歳牡馬と年度代表馬に輝きました。翌年のドバイシーマクラシックでは、前年の覇者シャフリヤールなど強力なライバルを相手に終始馬なりで鞭を使われることなく3馬身差で圧勝。コースレコードを更新し、世界レーティング1位を獲得しました。
 私は、世界一となったイクイノックスに喜びと誇らしさを感じる一方で、「負ける姿を絶対に見たくない。もし負けてしまったら……」と、イクイノックスがレースに負けることに対し極端に恐れていました。特に、帰国初戦となった宝塚記念では出走が発表された直後から私は不安で仕方ありませんでした。コンディションがあまり良くはないという陣営の発言、初の関西輸送、初の阪神競馬場、前走逃げの形をうったことで抑えがきかないのではないかというSNSの意見。なにより、父であるキタサンブラックが2017年の宝塚記念において単勝1・4倍の圧倒的な支持を集めながら大敗したことが頭をよぎり、当日ゲートが開くまで私は毎日ふとした時にイクイノックスのことを考えるたびに不安に襲われました。しかし、イクイノックスはそんな私の不安をよそに、宝塚記念、天皇賞・秋、ジャパンカップとG1を6連勝し現役生活を終えました。
 彼の走りを通じて、私は喜び、誇り、そして不安という様々な感情を経験しそのたびに心が大きく揺さぶられました。
 そうした感情の中でも、宝塚記念の頃から特に顕著になった「負ける姿を見たくない」という強い不安は、私自身の内面を見つめなおすきっかけとなりました。イクイノックスの勝利が続けば続くほど、私は無意識のうちに彼に完璧を求めていました。それは、イクイノックスの成功がまるで自分自身の成功であるかのように感じられ、彼の輝かしい功績が、私自身の自己肯定感や幸福感に繋がっていたからかもしれません。彼の存在は、単なる「推し」としての応援対象を超え、私の感情や心の安定に強く影響を与えていたことを痛感しました。

4.イクイノックス応援記。

 イクイノックスとの距離感が、私独自の「推し活」スタイルを築き上げました。彼のデビュー戦以降、ドバイを除く全てのレースと引退式に足を運びパドックでその美しい馬体を目に焼き付けました。
 SNS、特にX(旧Twitter)では、毎日イクイノックスと検索することが習慣となり常に新しい情報を追いかけました。レース後には、ファンが撮影した彼の写真を眺めるたびに私は充足感を得ていました。また、グッズ収集にも熱中しアイドルホースぬいぐるみをはじめ、サラブレットコレクションシリーズ、引退を記念したブルーレイ、写真集などイクイノックスの関連グッズなどを集めています。こうした1つ1つの「推し活」は単なる趣味を超え、私にとってかけがえのない心の支えとなっています。
 イクイノックスが引退した現在もX(旧Twitter)やYouTubeで彼の近況を追い、種牡馬として管理されている社台スタリオンステーションでの写真や初年度産駒の姿を見ることで日々癒されています。

撮影:十時間睡眠(筆者)

5.イクイノックスこそが、私を映す鏡。

 イクイノックスが私の人生にもたらしてくれたものは、計り知れません。彼の勝利は私に最高の喜びと高揚感を与え、彼の存在そのものが日々のモチベーションとなりました。競馬場に足を運び、SNSで情報を追いかけ、グッズを集める。こうした「推し活」を通じて私の毎日は彩られ、自己肯定感も高まっていったように思います。
 イクイノックスは現役を引退し、現役時代以上の大きな期待を背負いながら種牡馬として第2の道を歩んでいます。ターフで彼の走りを見ることは2度とありません。しかし、それは決して終わりではなく2027年には彼の遺伝子を受け継いだ初年度産駒達がターフを駆け始めていきます。彼の紡ぐ血統の物語を追い、その子供たちを応援できることは、私に尽きることのない喜びを与えてくれます。
 イクイノックスとは、私にとって、終わりのない夢と希望を見せてくれる存在です。

なぜ人は熱狂するのか?
バスケ観戦という魔法

しゅな

バスケ観戦をはじめたきっかけ

これを読んでいる人で、スポーツ観戦は難しい・ルールが分からないといったことを思ったことはないだろうか? バスケ観戦歴一年目の筆者が、初めて観戦した時に「どうしていいか分からなかった」状態から知っていった、観戦をより楽しむためのポイントをピックアップしていく。
 まず、私がバスケ観戦をはじめたきっかけは母からの誘いである。母は学生の頃バスケ部に所属していて今でも試合を見に行くほどバスケが好きだ。そんな母に誘われ初めて見に行ったのが、「Bリーグ(ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ)」の試合だった。越谷アルファーズと滋賀レイクスの対戦だった。初めての試合観戦ということもあり、コートエンド側の席(ゴールの裏)で体感した、至近距離から見られる選手の顔や3Pシュートやレイアップシュートなどの選手の技術に熱狂した。また、ハーフタイムショーと呼ばれる試合の間に行われるチアリーダーによる演出などもあり楽しみ方が無限にあるかのように思えた。

はじめての観戦で必要な準備や見どころ

 プロバスケットボールチームの試合を見るには、Bリーグの公式サイト(※1)から見たいチームを指定し対戦相手や日程を確認しチケットを購入する必要がある。チケットの価格は選んだ座席や対戦相手によって変化する。紙チケットやモバイルIDチケットがある。モバイルIDチケットを利用するにはBリーグ公式アプリ「B.スマチケ」をインストールする必要がある。アプリでは試合日程の確認や選手のカード集めができる。
 観戦するときに必要な準備についていくつか挙げていく。一つ目は双眼鏡だ。会場の大きさや座席の場所によって必要な場面がでてくる。選手の顔を至近距離で見たい場合は最適である。DAISOなどで買える安いものでも十分見ることができるので、はじめての双眼鏡にオススメである。二つ目は応援グッズである。チームのコンセプトによってグッズのバリエーションが複数あるのでお気に入りを見つけるのも楽しみの一つとなる。例えば、越谷アルファーズには埼玉県ブランド農産物のネギをモチーフにした「ネギばんばん」というグッズがある。クラップメガホンのような形になっていて叩いて選手を応援する。
 次に見どころについて挙げていく。試合開始の2時間前から入場することができる。私のおすすめの楽しみ方はチームのグッズや対戦相手のグッズをチェックすることだ。そして、ホームゲームの会場の外ではキッチンカー、会場内でもフードやお酒の販売が行われている。選手がプロデュースしたグルメが各チームで企画されていて、川崎ブレイブサンダースでは小針幸也選手の「ハッピーロコモコ丼」(※2)や宇都宮ブレックスの比江島慎選手の「フルーツまこパフェ」(※3)など推しの選手のグルメを堪能できる。
 開始30分前になると両チームの選手が入場してくる。試合開始までのウォーミングアップのようすを見ることができる。チームによって練習メニューが異なってくるので比較してみるのも面白い。
 試合開始直前に行われるチーム所属のチアリーダーによる演出は見応えがある。千葉ジェッツでは炎や照明を使った光の演出が豪華で惹きつけられる。チアリーダーによる演出が終わるとスターティングファイブと呼ばれる最初に試合に出る選手のメンバー紹介が行われる。選手の登場シーンも演出が凝っていて、アリーナDJによる音の演出やMCの紹介で会場内のボルテージがどんどんと上がっていく。
 試合開始になるとジャンプボールによって攻守が決まり、両チームの選手による熱い戦いが始まっていく。自分が推している選手が得点を入れたり、相手チームに得点を入れられたりすると、ファンは一喜一憂をする。バスケはクォーター制となっている。たくさん得点が入り、選手の誰でも得点の機会があるので推しの選手を作って活躍を見るのもオススメだ。
 2Q(クォーター)と3Qの間にはハーフタイムという15~20分くらいの休憩時間があり、その時間帯をどのように使うかは自由である。気になるグッズやグルメ、お酒などを買いに行く人やハーフタイムショーを見る人などさまざまである。チアリーダーのダンスパフォーマンスやアーティストによるライブなどの演出がある。
 試合終了後にはMVP選手の発表やコーチによる試合の感想、ヒーローインタビューなどがある。試合後には最前列席に座るファンと選手がタッチなどの交流をする場合がある。顔や肉体美を間近で見たり、直接声をかけられたいファンには最前列席を取るといい。

撮影:筆者
千葉ジェッツの観戦時に撮影 千葉ジェッツのマスコットキャラクターのジャンボくん

推し選手とマスコットキャラクター

ここで私の推しの選手を紹介していく。宇都宮ブレックスの比江島慎選手(34歳)だ(※4)。ポジションはSG(シューティングガード)で精確な3Pシュートを得意とする選手である。日本代表選手に選ばれるなど活躍の場面が多い。体幹がしっかりとしていて、外国人選手と対峙しても揺るがない強さを持っている。彼の性格はシャイな部分があるが、試合になるととても生き生きとしてみえる。そんな彼がW杯で3Pシュートを決めたときのポーズが話題となっている。三本指を突き出し、首をふるというポーズだ。
 元ネタはNBAのミケル・ブリッジス選手のポーズのマネである(※5)。インタビューで比江島選手は「(ポーズは)気分がノッたときにしかやらない。そのときは日本代表が勝つ瞬間だ」と答えていた。普段の彼の性格であればやらないイメージがあるが、気分が高まったときにポーズが出るというのでリーグ戦での活躍に注目だ。
 次に、マスコットキャラクターについて紹介していく。個性豊かなキャラクターたちが試合を盛り上げている。「MASCOT OF THE YEAR」(※6)が毎年開催され、ファンや選手、メディアからの投票によってその一年の活躍を表彰するイベントがある。トップに君臨するのは、もふもふなマスコットが多い中で、トップ10入りをした異彩を放つマスコットがいる。越谷アルファーズの「アルファマン」だ。バーガンディー色のコスチュームをまとったスーパーヒーローであり、特技はバク転、宙返り、ブレイクダンスなどだ。ハーフタイムショーではAlphaVenus(チアリーダー)とともに会場を盛り上げてくれる愉快なマスコットである。

一度、Bリーグ観戦に行ってみてほしい!

この紹介を読んで少しでも興味が向いたらBリーグ観戦に行ってみてほしい。リーグ戦のときには全国各地で試合が行われ、いろんなチームがお互いのホーム(拠点)を行き来し、遠隔地に行かなくても済むので、気になったチームなどの試合観戦にチャレンジしてみてほしい。関東近辺であれば7チームもある。決められないようであれば地元のチームを応援するのもオススメだ。

撮影:筆者
越谷アルファーズ対宇都宮ブレックスの試合風景、6番は比江島慎の背番号である。
越谷アルファーズと宇都宮ブレックスのグッズを持って撮影をしている。

参考文献

(※1)観戦の楽しみ方|B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト
https://www.bleague.jp/howtoenjoy/
(※2)「2024-25シーズン選手プロデュース企画 グルメ第三弾」販売のご案内 川崎ブレイブサンダース
https://kawasaki-bravethunders.com/news/detail/id=21685
(※3)【グルメ情報】3/19(水)茨城戦 宇都宮ブレックス
https://www.utsunomiyabrex.com/foods/20250319/
(※4)B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト「比江島慎」
https://www.bleague.jp/roster_detail/?PlayerID=8589
(※5)比江島慎の大活躍にNBA公式も注目!「これはエグイ」と“指差しポーズ”の本家も歓喜の投稿<DUNKSHOOT>
https://thedigestweb.com/basketball/detail/id=71878
(※6)【公式】B.LEAGUE MASCOT OF THE YEAR 2024-25 結果発表
https://www.bleague.jp/mascot/2025/result/

#あふれるしあわせ

マリリン

#あふれるしあわせ

マリリン

一 1回表 #野球って楽しいね


 色鮮やかなペンライトが光り、タオルが舞う。ここは東京ドームである。(注:神宮かもしれないし、甲子園かもしれない、京セラドームかもしれないし、エスコンフィールドかもしれない)。
 どこであるにせよ、これから始まるのはキラキラした華やかなものではない。熾烈なリーグ優勝、その先にある日本一を目指して。血と汗の滲むような攻防戦が始まるのである。そう、プレイボールの合図とともに。
 東京ドームをホームスタジアム(後攻になる)とする読売ジャイアンツが守備につく。ペンライトは消え、相手球団のタオルがなびく。ドームの大半を埋めるジャイアンツファンを、祈りがこもった静寂が包みこむ。対戦をしているのだからどちらにもファンがいるのは当然のことである。しかしだ。完全に応援が独立していて、片方を静寂が包むスポーツは野球(ソフトボール含む)以外にあるだろうか。
 「攻めろ」と応援するだけでなく「守れ」と祈りをこめるのを9回(最大12回)繰り返す。こんなスポーツ、他にないだろう。
 とはいえ、野球のルールは複雑で馴染むのが難しいと言われることがある。加えて、始まってしまうと試合終了時間は誰もわからないということもあり敬遠される場合もある。
 実は、私が応援している球団・読売ジャイアンツに対する野次は恐ろしいものがある。そんな危険球を打ち返すぐらいの強い幸せを綴らせて。
 あなたの心が「野球って楽しいね」となってもらえるように。ストライクゾーンじゃなかったらごめんね。一緒に野球を観戦しよう。

#5回表 小さな絶望と大きな希望


 ここまで表と裏を繰り返してきた。初回からの投手にとって5回の攻防ってすごく大切なの。自分の成績に反映される「勝利投手」の権利がかかるから。
 球場を包む空気も「ついに5回」ってなる。
 守備への応援にも熱を入れるから、ストライク1つで大騒ぎ。ボール1つでざわめきが広がる。塁に相手選手を置いたもんなら空気が凍る。相手球団の方はさらに熱を帯びて、東京ドーム全体は鉄板の上みたいになる。なんだけど、こちらとしては南極に放り込まれたみたいになっている。さて、南極から出られるか。3アウトまであと1つ。
 「え、なんでホームラン」「他に塁に出てなくてよかった、のか」スコアボードに刻まれる1。ここまで0を重ねてきたのに。やはりスコアの動く5回は魔の回とでも言おうか。
 この守備交代時間は全力で叫ぶ。南極は出たけど今度は砂漠。でも砂漠の中で水を見つけるように、何か起こしてくれるって期待に胸が膨らむ。いや、起こしてくれって願ってる。全力で応援をするけどあっという間にアウトは2つ。空振り三振して終わるんかい。
 その瞬間の相手球団の様子は……見ないことにしよう。あと4回は攻めるチャンスがありますから。あとは1点を守ってもらうこと。奪い返してもらうことを祈るだけ。相手のことをどう言ったって気分は明るくならないので。
 こういう時に限ってジャイアンツ側に対して恐ろしい野次がとんでくる。そういう時は、「危険球退場だね」って笑いすごそう。

#6回裏おわりと7回表の熱狂


 守備交代をしている時のことをイニング間と呼ぶ。テレビ中継だと映らないんだけど、現地では色々なイベントをしている。例えば、球団公式チアによるダンスパフォーマンス、球団マスコットによるコーナーだったりと各ホーム球場によって異なる。
 ここで伝えたいのは、全12球団に共通していることである。それは7回を迎えるイニング(表に攻める球団にとっては6回裏終了後)。ファンが一体となり、選手にエールを届けるのだ。ホーム球場だと、風船を飛ばす・タオルを掲げる・ペンライトが光るなど届け方はそれぞれである。熱狂の渦に包まれるこの空間では、勝っていようが負けていようが関係ない。目の前で頑張っている球団と「一緒に戦っている」ということを示す時間があるのである。
 

二 9回裏 #こぼれる、しあわせ


 9回裏、最後の攻撃が始まる。ここで同点、さらにはサヨナラ勝ちとできるか(同点なら延長戦だけど、できなければ負ける)。相手球団のファンが固唾をのんで見守っている。勝利を掴むには、3つのアウトまでにホームベースに2人戻ってこなければいけない。アウトカウントが1つ。相手球団のファンが盛り上がり、それに負けないようにこちらは声を出す。応援に返事をしてくれるかのように1人塁に出た。
 野次が飛んでくる。選手に届かないように、打ち返せるように叫ぶ。スコアが取りやすいという2塁に選手が進む。だけど、アウトカウントは2つ。ここで許されるのはヒットかホームランのみ。東京ドームの空気は沸騰寸前。
 ストライクカウントがたまり、相手球団からしたらラストボール。
 
 選手の振りぬいたボールがスタンドの方に飛んでくる。
 オレンジのタオルが舞うスタンドに吸い込まれたサヨナラホームラン。
 東京ドームが揺れた。前後左右の人と喜びを分かち合う。この瞬間が何よりもの幸せ。

 ここまで、試合の行方を見守ってくれてありがとう。春に始まった熾烈な争いは秋まで続く。1点を巡る攻防は心が苦しくなることもあるけれど、世代関係なく目の前で戦うチームを応援する。近くにいる人と喜びを分かち合い、選手を信じるように鼓舞しあう。非日常空間がそこにはある。
 野球は男性(おじさん)の見るスポーツと呼ばれていたころとは違う。性別も年齢も関係ない。それに伴い、公式グッズの発売も多様化した。埼玉西武ライオンズは特に女性に向けて「推し活」を布教している。読売ジャイアンツが始めたのは「パペットシリーズ」である。まだ全選手いるわけではないが、動物になって大集合。選手が好きな動物を選んで、本人の背番号や名前の一部をもりこんだものが完成する。目の前では「命がけ」の試合が進んでいるが、スタンドからは色々な動物さん(ぬいぐるみ)が見守っている。
 少しでも彼らの癒しになりますように。
 

 ここは東京ドームである。ペンライトが光り、タオルが舞う。煌びやかな世界とはいえないかもしれない。だけどそこにいる選手は何よりも輝いている。

これが、「パペット」
ペンライトもたせてみた 
(東京ドームにて著者撮影)

#あふれるしあわせ

2025年7月25日 発行 初版

著  者:城山春、十時間睡眠、しゅな、マリリン
発  行:二松学舎大学

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