20世紀はじめ、リヨンの駅と南仏の避暑地を結ぶ青列車は区切られた時空間を移動する。近代化されていく社会を映す文化と夢のような世界が融合される、造形詩付き対話風物語。
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「ああこの夏も来れて良かった。ね、エマ。」
「本当。着いたら何する?」
「まずは泳ぎたいな。」
「マルタンさんの別荘にプールがあるから行こうか。」
「だけど毎度ながらこの列車からの景色が好きなのよね。」
「マルセイユの香りも。」
「魚介たっぷりブイヤベース食べたい。」
「あらブイヤベースばかりじゃないのよ、南欧で美味しいのは。」
「景色も空気も一緒に食べちゃうからね。」
「車輪の音のせい? 地上におりたら蝉の音に敏感になっちゃった。」
「そう、私も。」
「こう何ていうか、何人かで小刻みで弾いているバイオリンのような。」
「弦楽四重奏のような?」
「そうだけど、よく聞いてたら色々な声や鳴き方があるのね。」
「あっ笛が鳴った。」
「ルイーズ、あの人見て。」
「うわっ、すっごい筋肉。」
「あの人じゃない? マルタンさんの甥っ子って。アクロバットが得意な。」
「見て見て。ほら。」
「エマ、動きやすそうな素敵な洋服ね。」
「いいでしょ?」
「何処で買ったの?」
「ベルナールさんのお店。この頃はココ・シャネルの影響で機能性重視なんだって。世の中変わってきたわね。」
「この間はどうも。」
「まあ、マルタン邸で?」
「君テニスする?」
「少しだけ。」
「じゃあ明日ロワ邸で。」
「あっ君、名前は?」
「ルイーズ。あなたは?」
「ジャン。よろしく。」
「ねぇルイーズ、あの人に誘われたの?」
「彼、ジャンっていうの。」
「テニスも上手そう。」
「きっと優しくリードしてくれるわ。」
「明日パリへ戻るのね。」
「そうよ、エマ。」
「ジャンにはもう会わないの?」
「運命次第ね。」
「戻ったらこの夏ここで過ごしたことは区切られた世界のことになってしまうのかしら。」
「青列車ってすごい。」
2023年6月19日 発行 初版
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音高と音大を卒業後、都内バレエ団とその付属バレエ学校で十数年ピアニストをつとめてから、渡米。再び日本に戻って、西洋古典語そして文芸を学びつつ、記憶を文字で刻み始める。「音を聞いたら素直にしか反応できない幼児が一番恐かった」。