1911年初演ミハイル・フォーキン振付のバレエ作品を題材として詩人 眠後(みんご)が歌う、少女の自分と薔薇の精が踊る夢を見る、ある老女のとても簡単な物語詩。
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私は
私の名前は「薔薇」
あなたが連れて行ってくれたでしょう
舞踏会へ
昨晩
私の衣装を好きだと言った
だからひとひら
あげましょう
あなたに
(Pierre Jules Théophile Gautierの詩をもとに)
老女は揺籠で眠っていた
胸には薔薇を付けて
少女の時の夢を見ていた
初めて行った舞踏会
疲れて眠ってしまった
まだ踊っている
窓から「薔薇」が入ってきた
ショールに頬寄せて
そっと手を取って
口づけをして
音楽の中へ誘う
リズムは鼓動
薔薇が先導する
何の力もいらない
その一瞬
ハッと息を呑む
薔薇はフワッと跳ぶ
風に吹かれたみたい
再び手を取って
クルクル回してくれる
気を失った私は
今気が付いた
「薔薇」は窓から消えた
振り向く笑顔と
ひとひらだけ
残して
「あなたは一体誰?」
私は眠りから
目覚めたばかり
2023年6月20日 発行 初版
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音高と音大を卒業後、都内バレエ団とその付属バレエ学校で十数年ピアニストをつとめてから、渡米。再び日本に戻って、西洋古典語そして文芸を学びつつ、記憶を文字で刻み始める。「音を聞いたら素直にしか反応できない幼児が一番恐かった」。