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俳詩作品集 100篇

Kusabue

Kusabue出版



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俳詩 作品集 100篇
〜俳句を母体とした詩〜

俳詩の作品集です。

2025年の作品から
100篇を選んでまとめました。

俳詩として個人的に、俳句の「575の型」「季語」等や「口語体」を母体として、より深い詩性、思想性、現代性などを表現、探究する試みです。

巻末に解説を簡潔に記しています。

『俳詩作品集 100篇』
〜2025年〜

「秋蝶」


伸びくる手越えて越えては秋の蝶

乗せた手に痛み残してばったとぶ

すすきはらとぶ光子数かぎりなく

色鳥の咲いている枝──散った枝

わたりどりともども京を俯瞰して

「一舟」

霧のみずうみみな一舟の幻で居る

ながれ澄む水みずからを追つめて

秋の大河時代を揉みながしてゆく

土手じゅうが花かんむりよ草の先

すれちがうふね綺羅に消え秋夕焼

「銀河」

都市よ橋よ河よ絶えなく霧ながれ

父が降る祖父が降る土地ながれ星

みずというみずがかがみに盆の月

億年たてば億年むかしきょうの月

ふかみゆく闇ふかみゆく銀河の淵

「旅」

オリオンの肖像星空のキャンバス

シリウスをあおぐあまたの文明が

太陽系も旅ひとすじのふゆぎんが

凍星よしんとじぶんの背を抱けば

神話かがやき仮説またたき冬の星

「今世」

ガス灯に雪舞うゆるしゆるされて

ヒト科ヒト属ヒトゆえ孤独冬の靄

ホットワイン今世に酔いという光

金平糖ひとつぶ雪のいくせんまん

詩がひとり詩がふたり消え雪景色

「途上」

ほわと割る湯気のかたまり蒸饅頭

寒りんご愛情はキュビズムでした

ふりむかずしんと記憶の大地凍て

現代も途上手にゆきはらはらはら

ひとはデモつづけ鯨は跳びつづけ

「鶴」

こえのこすそらに最後尾のつるが

目にうかぶきみ目にのこる遠雪嶺

ふもとまちまでゆめのなか眠る山

ふゆりんごなかば陰手に落とす影

寒菊黄さす日のおくに死後も見え

「無尽」

遠くちいさくふりむく鹿に雪無尽

白鳥の水尾さかさ富士切りひらく

みきに手をあててすぐに陽大冬木

空ひとつだけ風花はひとひらだけ

枯草が春はぐくんでいるたそがれ

「原風景」

原風景にいろづける筆雪しんしん

記憶の始まり記憶の終わり枯野星

たましいとたましいさがす綿虫と

照りかげる過去ひとつ月寒に入る

一つ一つきおくを燃やす寒木瓜が

「白息」

しろい息銀河は銀河呑みこみつつ

知と心 またたきとやみ 冬星座

寒昴──はてまでやみの夜の大気

日のはてへ少年、夜のはてへ寒星

まだ無い言葉──南天の実が真紅

「雪」

雪は言葉背むけた街にふりつづく

千々の灯にふる雪秩序たもちつつ

降りつづき雪国はととのってゆく

冬霧を踏むおと父子はすれちがい

冬芽にもなる墓つちと果てたあと

「風花」

天狼瞬くしんと傲りに気づくとき

焚火そだてて夜をふかめて人未明

寒いみずうみ君が隣りに来て映る

ただ小春おおげさなこと何もない

老いていい風花のひとひらとして

「窓景」

黙る目に雪たましいに雪しんしん

雪降りだす嘘とうわさが本当の街

聖樹に灯優しく見切りつけている

ホットコーヒー灯の窓景の内と外

冬銀河ひとはじぶんもわからない

「孤島」

マスクしてふと絶海の孤島に居る

差別するマフラー差別受けながら

四つ角のおくも四つ角風邪また風

ブロッコリー幻の鳥棲ませている

クリスマスツリー過去ほど新しく

「聖樹」

灯として地 星として天 聖夜劇

ホットウイスキー 夕明色ランプ

雪 誰も耳にとめないこえをきく

うしろ姿じぶんにつづく道 晩冬

敗戦 占領 独立 聖樹 親子供

「秒針」

集合的無意識──伸べた手にも雪

雪の夜の秒針、対話と違うはやさ

「草々」の遠いやりとり炬燵蜜柑

船下り──手にもひとひら雪の川

我のつよい白波、珠のふゆかもめ

「白鳥」

白鳥来る──北の沈黙つれて来る

坂 一灯 ニ灯 三灯 傘 氷雨

地方都市ぽたぽたと垂れさむい霧

金の街──銀の街──灯の聖誕祭

オートロック全灯まもられて雪夜

「回廊」

寒くひとつ灯提げこころの回廊へ

生家小春なかば夢だと気づきつつ

吹きこぼすとおい日土なべ雑炊が

冬の鳩ふとじんせいのあしもとに

落ち葉焚むかしばなしのあとの灰

「寒夕焼」

けさのゆき金閣ほほえましくして

雪よ黙手をのべて生き死ねること

帰路を吹く靴のうらまで地吹雪が

ゆるゆるとバス、刻々と年のくれ

寒ゆうやけ橋がわたしを歩かせる

「名画と風景」

くものおくやま生々流転ふゆの舟

月がさむいシルクロードの旅の列

臨済禅師のたたかいの喝雪がやむ

ふねに大波大波にふねゆきの富士

ふゆのきりもかすれては消え松林

終わり

◯名画ご紹介 感銘を受けた画

「生々流転」 横山大観

「シルクロードシリーズ」 平山郁夫

「臨済禅師『喝』」 都路華香

「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」 葛飾北斎

「松林図屏風」 長谷川等伯

◯俳詩とその特徴などについて

◇俳詩とは

『俳句を母体とした口語体による現代定型詩』


俳詩とは「俳句を母体とした詩」という意味の新ジャンルの探究です。

俳句の575の型・季語等や現代語を基盤として、より深い詩性・思想性等を表現する試みです。

◇俳句と俳詩の傾向の比較

◯『俳詩の傾向』
・詩的構築
・言葉で世界を創る
・内面・観念・思考を基にする傾向
・情感を中心として重視
・詩性・思想性・象徴性・時代性、等々

◯『俳句の傾向』
・自然描写
・世界を写し取る言葉
・外界・実感・写実を基にする傾向
・季感を中心として重視
・俳句性・写実性・具象性・普遍性、等々

*それぞれに共通する点、重なる点、
 グレーゾーン的な部分もまた存在しそうです

◇使用文体等について

主に575の型・季語等や、現代語・現代仮名遣いを用いて書いています。

また小説・詩・短歌などと同様に、主に「現代の書き言葉」表現をメインに書いています。

「現代の話し言葉」表現の作品も適宜詠みこんでいます。


◇俳句・川柳・俳詩の大まかな特徴

俳句は発句。季語、切れ字、切れを常用して四季折々の自然とその暮らし、風雅さ、余情、感動などをより突き詰めて「詠む」傾向があるそうです。

川柳は平句。季語、切れ字、切れは常用せず人情や滑稽さ、機知、風刺などをより突き詰めて「吐く」傾向があるそうです。

俳詩は詩。575の型、季語、現代語等を用いつつ詩的な側面をより重視し、詩性、思想性、現代性、自己性、社会性、象徴性などを突き詰めて「書く」ことを試みています。

◇俳句の取り組みについて

俳句についても、伝統俳句、現代俳句、文語体、口語体、会話体の各俳句、AI共作俳句、自由律句など、個人的に様々に探究をつづけています。

俳詩はそれらの俳句の探究の次にはじめた取り組みの一つです。

今後も俳句の探究は継続しますし、「俳句」に対して否定的な思想や考え方等は特に持っていません。

◇俳句と俳詩の2つの取り組みについて

2025年10月から、「俳句」と「俳詩」の2つに取り組みを分けました。

「俳句」のほうでは現代語を用いて「575の型・季語・切れ」をはじめ、基礎・基本に立ち返って作品を詠んでいます。

「俳詩」のほうでは、より現在的で自由な表現や詩情、工夫、挑戦などを探り行っています。

*俳詩の作品集をまとめました

*また現時点で公開できる解説等を簡潔にまとめました。

*俳詩は、2025年3月から行っていた「一行詩的俳句」の取り組みを呼称を変えて引き継ぎ、進化させたものです

*解説等について至らない点、十分に書き尽くせていない部分もありますがご容赦ください

俳詩作品集 100篇

2025年12月25日 発行 初版

著  者:Kusabue
発  行:Kusabue出版

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